説明

検査方法、検査システムおよび検査装置

【課題】ウェーハの欠陥を容易にかつ高精度で弁別する。
【解決手段】標準粒子が付着したウェーハのレーザ散乱測定を行い、標準粒子から測定される散乱光強度を用いて参照弁別線を設定した後、異物が付着したウェーハのレーザ散乱測定を行い、その欠陥(異物およびCOP)から測定される散乱光強度の近似線を設定する。その欠陥のうち、参照弁別線と近似線とに挟まれた領域の散乱光強度を示す一部の欠陥を選択し、レビューSEMを用いて、その一部の欠陥が異物であるかCOPであるかを判定する。その判定結果を基に、異物とCOPの散乱光強度の境界値に弁別線を設定する。製品ウェーハ等で検出された欠陥の散乱強度を、その弁別線と比較することにより、容易にかつ精度良く、その製品ウェーハ等の欠陥を異物とCOPとに弁別することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査方法、検査システムおよび検査装置に関し、特にウェーハ等の被検査体の検査を行うための検査方法、検査システムおよび検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、高い歩留りを確保するために、製造過程のウェーハ上の欠陥、例えば、形成した回路パターンの剥がれや傷、研磨等で発生したスクラッチ、エッチング残渣等の異物等の有無が検査される。検査で欠陥が見つかった場合には、その発生原因を調べて、その対策が講じられる。このようにして行われる検査では、欠陥を高精度で検出することができ、かつ、その検出された欠陥の種類を適切に判別することができなければ、その発生原因が究明しにくく、したがって、適切な対策を講じることも難しくなる。
【0003】
従来、ウェーハ検査に関しては、レーザ光をウェーハ面に照射したときに検出される散乱光の強度や受光角度に基づいて欠陥の有無を検査する手法が広く用いられている。また、レーザ光をウェーハの特定箇所に、その面に対してほぼ垂直方向と斜め方向からそれぞれ照射し、検出される散乱光強度を所定の基準値(弁別線)と比較することにより、スクラッチや結晶欠陥(Crystal Originated Particle;COP)等の凹型欠陥と、ウェーハ表面に付着した異物等の凸型欠陥とを弁別する手法等も提案されている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2002−257533号公報
【特許文献2】特開2002−098645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置製造に現在広く用いられているいわゆるCZウェーハには、その表面性状に起因してCOPが形成されやすい。半導体装置製造にCOPを含むウェーハが用いられる場合には、欠陥検査の際、ウェーハ起因のCOPを、製造過程で何らかの外的要因によって発生する異物等の欠陥と精度良く弁別し、COPの存在(個数や位置等)を把握すると共に、COPから弁別された異物等の欠陥について、その発生原因を究明し、その後の対策に活用していく必要がある。
【0005】
異物とCOPとを弁別する方法には、上記のように所定角度のレーザ光照射で検出された散乱光強度を所定の弁別線と比較して弁別するものがある。しかし、その弁別線は、あらかじめ粒径既知の標準粒子をウェーハ上に配置した状態で、所定角度のレーザ光照射により散乱光強度を検出し、標準粒子とCOPの境界を定めたものである。このような弁別線を、製造過程で発生した異物が付着するウェーハの検査に適用すると、特に弁別線付近では、実際には異物であるにも関わらず、COPとみなされてしまう場合があった。
【0006】
また、研磨したウェーハを用いた際、異物とスクラッチとを弁別するために、同様に標準粒子を用いて弁別線を設定した場合には、異物とCOPとを弁別するときと同様の問題が起こり得る。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ウェーハ等の被検査体の欠陥を検出し、検出された欠陥をその種類によって容易にかつ高精度で弁別することのできる検査方法、検査システムおよび検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では上記課題を解決するために、被検査体の欠陥の検査を行う検査方法において、所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定し、複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定し、前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥について、種類の判定を行い、前記判定に基づいて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定し、設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする検査方法が提供される。
【0009】
このような検査方法によれば、所定の粒子および複数種の欠陥の散乱光強度を測定し、その複数種の欠陥のうちの一部の欠陥について、その種類の判定を行い、その種類による散乱光強度の境界値を弁別線として設定する。そして、その弁別線を用いて、被検査体の欠陥を弁別する。例えば、被検査体の欠陥から測定される散乱光強度と、弁別線とを比較することにより、その被検査体の欠陥をその種類ごと弁別することができるようになる。
【0010】
また、本発明では、被検査体の欠陥の検査を行う検査システムにおいて、所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥について、種類の判定を行う手段と、前記判定に基づいて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定する手段と、設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別する手段と、を有することを特徴とする検査システムが提供される。
【0011】
このような検査システムによれば、所定の粒子および複数種の欠陥の散乱光強度が測定され、その複数種の欠陥のうちの一部の欠陥について、その種類の判定が行われ、その種類による散乱光強度の境界値が弁別線として設定される。そして、その弁別線を用いて、被検査体の欠陥が弁別される。
【0012】
また、本発明では、被検査体の欠陥の検査に用いる検査装置において、所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥に関するデータを抽出する手段と、抽出された前記一部の欠陥に関するデータを評価装置に送信する手段と、前記評価装置から送信される、前記一部の欠陥の種類の判定結果を示すデータを受信する手段と、受信した前記判定結果を示すデータを用いて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定する手段と、設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別する手段と、を有することを特徴とする検査装置が提供される。
【0013】
このような検査装置によれば、所定の粒子および複数種の欠陥の散乱光強度が測定され、その複数種の欠陥のうちの一部の欠陥に関するデータが抽出されて評価装置に送られ、その評価装置によるその一部の欠陥の種類の判定結果を示すデータを用いて、その種類による散乱光強度の境界値が弁別線として設定される。そして、その弁別線を用いて、被検査体の欠陥が弁別される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、所定の粒子および複数種の欠陥に光を照射して測定される散乱光強度を用い、その複数種の欠陥のうちの一部の欠陥の種類の判定を基に、弁別線を設定し、それを用いて被検査体の欠陥を弁別するようにした。これにより、被検査体の欠陥をその種類によって容易にかつ高精度で弁別することが可能になる。その結果、被検査体の欠陥のうち、特定の種類の欠陥に関する情報を精度良く効率的に取得することができ、その情報を基に適切な対策を講じることが可能になるため、半導体装置の高品質化および歩留り向上を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、ウェーハで検出される欠陥を異物とCOPとに弁別する場合を例に、図面を参照して詳細に説明する。
まず、検査の原理について説明する。
【0016】
図2はレーザ散乱測定の結果の一例を示す図である。
ウェーハ上の欠陥(ここでは異物およびCOP)は、レーザ散乱測定によって検出することができる。レーザ散乱測定によって検出されるウェーハ上の欠陥を異物とCOPとに弁別する際には、それらにレーザ光を照射したときに得られる散乱光強度に基づいて弁別する弁別線が用いられる。
【0017】
凸型欠陥である異物は、その形状から、それにレーザ光をウェーハ表面に対して低角度で照射したときと、高角度(垂直を含む。)で照射したときとで、散乱光強度が大きく変わらない。これに対し、凹型欠陥であるCOPは、その形状から、それにレーザ光を低角度で照射したときの方が、高角度で照射したときに比べ、散乱光強度が弱くなる。
【0018】
このような性質を利用し、まず、粒径既知の複数種の標準粒子をウェーハ上に付着させてそれを凸型欠陥とみなしたウェーハ(標準粒子付着ウェーハ)について、レーザ光を低角度・高角度でそれぞれ照射するレーザ散乱測定を行う。次いで、得られた散乱光強度を、横軸に高角度照射時の散乱光強度をとり、縦軸に低角度照射時の散乱光強度をとってプロットする。そして、プロットしたデータのうち、標準粒子のデータ領域とそれ以外の部分のデータ領域との境界に、図2に示すように、参照弁別線を設定する。
【0019】
参照弁別線は、通常、この図2に示したように、一次関数で表すことができる。その場合、傾きは、レーザ光の低角度・高角度照射時の散乱光強度の比率(低角度照射時の散乱高強度/高角度照射時の散乱光強度)であり、切片は、レーザ光の低角度照射時の散乱光強度のオフセットである。
【0020】
図2において、参照弁別線より上側の領域は、標準粒子付着ウェーハ上の標準粒子すなわち凸型欠陥のデータ領域になり、参照弁別線より下側の領域は、標準粒子付着ウェーハ上の標準粒子以外の部分すなわち凹型欠陥のデータ領域になる。
【0021】
同様に、凸型欠陥として実際に製造過程で発生する異物が付着したウェーハ(異物付着ウェーハ)について、レーザ光を低角度・高角度でそれぞれ照射するレーザ散乱測定を行い、得られた散乱光強度を、図2に示したようにプロットする。図2に示した各プロット点は、異物付着ウェーハ上の欠陥(異物およびCOP)について測定された散乱光強度を示している。
【0022】
異物付着ウェーハ上の欠陥を、先に標準粒子を用いて設定した参照弁別線のみを用いて異物とCOPとに弁別すると、実際には、参照弁別線より下側の領域の散乱光強度を示す欠陥の中に、異物が含まれてしまう場合がある。すなわち、参照弁別線より上側の領域が凸型欠陥のデータ領域で、下側の領域が凹型欠陥のデータ領域であるという前提で、参照弁別線より上側の領域が異物で、下側の領域がCOPであると判定することは、必ずしも適切ではない。
【0023】
そのため、異物付着ウェーハで検出された欠陥を異物とCOPとに精度良く弁別するために、検出されたすべての欠陥、または検出されたすべての欠陥のうち参照弁別線付近の散乱光強度を示す非常に多くの欠陥について、SEMによる評価を行い、個々の欠陥が異物かCOPかを判定する方法が採用されてきた。あるいは、検出された欠陥の散乱光強度を所定条件で補正し、その補正後の散乱光強度を参照弁別線と比較して、参照弁別線より上側か下側かで、欠陥を異物とCOPとに弁別する方法が採用されてきた。
【0024】
ここでは、標準粒子付着ウェーハを用いて参照弁別線を設定し、さらに異物付着ウェーハを用いてその異物の散乱光強度について近似線を設定し、これら参照弁別線と近似線とを用いて、欠陥を異物とCOPとに弁別する弁別線を設定する。
【0025】
図1は弁別線の設定原理を説明する図である。なお、図1は、図2のA部に対応している。
まず、上記のように、標準粒子付着ウェーハを用いて、図1に示したような参照弁別線を設定した後、異物付着ウェーハのレーザ散乱測定を行い、図1に示したように、その欠陥(異物およびCOP)について得られた散乱光強度をプロットし、その近似線を設定する。近似線は、参照弁別線と同様に一次関数によって表すことができるほか、多次の関数によって表すこともできる。
【0026】
そして、散乱光強度が測定された異物付着ウェーハの欠陥のうち、参照弁別線と近似線とに挟まれた領域の散乱光強度を示した欠陥を選択し、選択されたその一部の欠陥について、SEMによる評価を行い、その欠陥が異物であるかCOPであるかを判定する。
【0027】
次いで、その判定結果を基に、参照弁別線と近似線とに挟まれた領域の散乱光強度を、異物のものとCOPのものとに分け、その異物とCOPの境界となる所に、図1に示したように弁別線を設定する。この弁別線より上側が異物のデータ領域になり、下側がCOPのデータ領域になる。
【0028】
このようにして弁別線を設定すると、別のウェーハで検出された欠陥、例えば製品ウェーハで検出された欠陥を、容易にかつ精度良く、異物とCOPとに弁別することが可能になる。
【0029】
図3は弁別線を用いた検査フローの一例を示す図である。
弁別線を用いて、製品ウェーハの検査を行う場合には、次のような流れで行うことができる。
【0030】
製品ウェーハの検査に先立ち、弁別線が設定される。弁別線を設定する場合には、まず、上記のように、標準粒子付着ウェーハを用いて参照弁別線を設定した後(ステップS1)、異物付着ウェーハに対しレーザ光を低角度・高角度で照射するレーザ散乱測定を行い、その欠陥(異物およびCOP)を検出し、その欠陥について得られた散乱光強度をプロットして、その近似線を設定する(ステップS2)。次いで、異物付着ウェーハで検出された欠陥のうち、参照弁別線−近似線間の散乱光強度を示す欠陥について、SEMによる評価を行い、その欠陥が異物であるかCOPであるかを判定する(ステップS3)。そして、その判定結果を基に、参照弁別線−近似線間の散乱光強度を、異物のものとCOPのものとに分け、それらの境界に弁別線を設定する(ステップS4)。
【0031】
弁別線の設定後、製品ウェーハの検査が行われる。まず、標準粒子付着ウェーハや異物付着ウェーハと同様に、製品ウェーハに対しレーザ光を低角度・高角度で照射するレーザ散乱測定を行い、その製品ウェーハ上の欠陥を検出する(ステップS5)。そして、その検出された欠陥の散乱光強度を、ステップS4で設定した弁別線と比較し、その欠陥が異物かCOPかを弁別する(ステップS6)。
【0032】
ここで、図4は弁別線による欠陥の弁別方法を説明する図である。なお、図4では、参照弁別線および近似線については、その図示を省略している。
ステップS6において、製品ウェーハで検出された欠陥を異物とCOPとに弁別する場合には、製品ウェーハ上の欠陥について得られた散乱光強度が、弁別線より上側か下側かによって、その欠陥を異物とCOPとに弁別する。すなわち、図4に示すように、散乱光強度が弁別線より上側になる欠陥(図中○で表示)は異物と判定し、散乱光強度が弁別線より下側になる欠陥(図中□で表示)はCOPと判定する。
【0033】
このようにして欠陥を異物とCOPとに弁別した後は、その弁別結果を基に、異物についての検査データのみを選択して評価装置、例えばレビューSEMに送ってその製品ウェーハ上の異物をSEMでレビューし、異物の詳細な評価を行う(ステップS7)。
【0034】
このようにすると、レビューSEMでは、ウェーハ起因のCOPの影響を排除して、何らかの外因によって製造過程で発生した異物あるいはそれが存在する領域のレビューが行え、異物に関する情報を効率的に取得することができる。したがって、レビューの結果を解析して、異物の発生原因を究明し、異物の発生原因となる製造工程に対して適切な対策、例えば、部品交換やクリーニング等の製造装置のメンテナンス、製造条件の変更等、を施すことが可能になる。
【0035】
また、この検査では、弁別線を設定するために、検出されたすべての欠陥のうち、参照弁別線と近似線とを用いて選択される特定の欠陥についてだけ、SEMによる評価を行えば足り、より多数のあるいはすべての欠陥についてSEMによる評価を行うことは不要である。
【0036】
また、検出された欠陥の散乱光強度をそのまま用いて、その散乱光強度が弁別線より上側か下側かで、異物かCOPかを容易にかつ精度良く弁別することができ、弁別に当たり、検出された欠陥の散乱光強度を補正するといった処理も不要である。
【0037】
次に、上記のような弁別線の設定およびウェーハの検査を実施するための検査システムについて説明する。
図5は検査システムの一例の概念図である。
【0038】
図5に示す検査システム1は、検査装置10およびレビューSEM20を有している。検査装置10には、所定の製造装置での処理が終了したウェーハ(製品ウェーハ)や、所定の試験を行うためのウェーハ(試験ウェーハ)が搬送される。検査装置10に搬送されたウェーハは、レーザ光を低角度・高角度で照射するレーザ散乱測定により、欠陥の有無、個数、密度、形状、サイズ、座標等が検査される。
【0039】
検査装置10は、検出された欠陥を異物とCOPとに弁別する機能を有する。弁別された異物の座標等を含んだデータ(検査データ)が、適当な有線または無線の通信手段を用いて、レビューSEM20に送信される。また、検査装置10での検査が終了したウェーハは、レビューSEM20に搬送される。
【0040】
レビューSEM20は、検査装置10から送信された異物の検査データを用い、その異物をSEMでレビューする。これにより、レビューSEM20では、COPの影響を排除し、異物に関する情報を効率的に取得することができる。それにより、レビューの結果を解析して、異物の発生原因を究明し、異物の発生原因となる製造プロセスに対して適切な対策を施すことが可能になる。
【0041】
レビューSEM20でのレビュー後、そのウェーハは、製品ウェーハであれば例えば次工程の製造装置へと搬送され、また、試験ウェーハであれば例えば検査結果に基づく検討が行われたり別の試験装置に搬送されたりする。
【0042】
さらに、この検査システム1は、上記のようにして欠陥を異物とCOPとに弁別するための弁別線を設定する機能を有する。弁別線を設定するため、あらかじめ所定ウェーハ(上記の標準粒子付着ウェーハおよび異物付着ウェーハ)について、レーザ光を低角度・高角度で照射するレーザ散乱測定による欠陥の検出が行われる。
【0043】
検査装置10は、その所定ウェーハ上の欠陥の検出時に得られたレーザ光の低角度・高角度照射時の散乱光強度(測定データ)および検査データのうち、特定の測定データ(参照弁別線−近似線間の測定データ)およびその測定データに該当する欠陥の検査データを、レビューSEM20に送信する。
【0044】
そのような測定データ等を受信したレビューSEM20は、SEMによる測定によってその欠陥が異物かCOPかを自動で判定し、その判定結果を示すデータ(判定データ)を生成して、その判定データを検査装置10に送信する。
【0045】
そして、検査装置10は、受信したその判定データを用い、判定された欠陥の異物とCOPとの境界となる所に弁別線を設定する。
検査装置10は、このようにして設定された弁別線を用い、上記のように、レビューを行うウェーハ(例えば製品ウェーハ)において検出された欠陥を異物とCOPとに弁別して、異物の検査データのみをレビューSEM20に送信し、レビューSEM20は、その異物の検査データを用いて、そのウェーハのレビューを行う。
【0046】
続いて、検査システム1を構成する検査装置10およびレビューSEM20の構成について、詳細に説明する。
図6は検査装置の構成例を示す図である。
【0047】
検査装置10は、図6に示すように、欠陥検出手段11、記憶手段12、参照弁別線設定手段13、近似線設定手段14、抽出手段15、通信手段16、弁別線設定手段17、弁別手段18および出力手段19を有する。
【0048】
欠陥検出手段11は、標準粒子付着ウェーハ、異物付着ウェーハ、製品ウェーハの各ウェーハについて、レーザ光を低角度・高角度で照射するレーザ散乱測定を行い、そのウェーハ上の欠陥を検出する。欠陥検出手段11は、そのような欠陥検出を行うため、ウェーハを搬送し、位置合せを行って載置する機構を備える。さらに、欠陥検出手段11は、載置されたウェーハに対してレーザ光を低角度・高角度で照射する機構、およびそのようなレーザ光の照射によって生じる散乱光を検出する機構等を備える。
【0049】
この欠陥検出手段11により、ウェーハ上の標準粒子、異物およびCOPの座標等が検査データとして取得されると共に、ウェーハ上の標準粒子、異物およびCOPのレーザ光の低角度・高角度照射時の散乱光強度が測定データとして取得される。
【0050】
記憶手段12は、各ウェーハについて欠陥検出手段11により取得される検査データおよび測定データを記憶する。また、記憶手段12は、測定データを用いて設定される参照弁別線および近似線の各データ、レビューSEM20から送信される判定データ、その判定データを用いて設定される弁別線のデータ、並びにその弁別線を用いた欠陥の弁別結果を示す弁別データ等を記憶する。
【0051】
参照弁別線設定手段13は、記憶手段12によって記憶された、標準粒子付着ウェーハについて得られた標準粒子の測定データを用い、参照弁別線を設定する。参照弁別線設定手段13によって設定された参照弁別線のデータは、記憶手段12によって記憶される。
【0052】
近似線設定手段14は、記憶手段12によって記憶された、異物付着ウェーハについて得られた欠陥(異物およびCOP)の測定データを用い、近似線を設定する。近似線設定手段14によって設定された近似線のデータは、記憶手段12によって記憶される。
【0053】
なお、参照弁別線設定手段13による参照弁別線の設定、および近似線設定手段14による近似線の設定は、上記の原理に従って行われる。
抽出手段15は、記憶手段12によって記憶された異物付着ウェーハの測定データのうち、参照弁別線および近似線を用いて選択される特定の測定データ、およびそれに該当する欠陥の検査データを抽出する。また、抽出手段15は、記憶手段12によって記憶された製品ウェーハの検査データのうち、レビューSEM20においてレビューを行うべき異物についての検査データを抽出する。
【0054】
通信手段16は、抽出手段15によって抽出された測定データおよび検査データを、レビューSEM20へ送信する。また、通信手段16は、レビューSEM20へ測定データを送信した場合に、レビューSEM20から送信される、その測定データが異物のものであるかCOPのものであるかを示す判定データを受信する。通信手段16によってレビューSEM20から受信したその判定データは、記憶手段12によって記憶される。
【0055】
弁別線設定手段17は、記憶手段12によって記憶された、レビューSEM20による判定データを用い、欠陥を異物とCOPとに弁別する弁別線を設定する。なお、弁別線の設定は、上記の原理に従い、レビューSEM20から受信した判定データに含まれる欠陥について、その測定データを異物のものとCOPのものとに分け、その境界を設定することにより行われる。弁別線設定手段17によって設定された弁別線のデータは、記憶手段12によって記憶される。
【0056】
弁別手段18は、欠陥検出手段11によって取得され、記憶手段12によって記憶された製品ウェーハの測定データを用い、それを弁別線設定手段17によって設定された弁別線と比較することにより、製品ウェーハで検出された欠陥が異物であるかCOPであるかの弁別を行い、その弁別結果を示すデータ(弁別データ)を生成する。弁別手段18によって生成された弁別データは、記憶手段12によって記憶される。抽出手段15は、その弁別データを用いて、レビューSEM20でレビューを行う製品ウェーハの異物の検査データを抽出する。
【0057】
出力手段19は、弁別手段18によって生成された弁別データを、例えば異物とCOPそれぞれの製品ウェーハ上の存在位置を示したマップの形式で、表示装置や印刷装置等に出力する。また、出力手段19は、記憶手段12によって記憶された各種データを、例えばその種類に応じて適当な形式にグラフ化する等の適当な処理を施し、表示装置や印刷装置等に出力する。
【0058】
図7はレビューSEMの構成例を示す図である。
レビューSEM20は、図7に示すように、通信手段21、記憶手段22、SEM測定手段23、欠陥判定手段24、抽出手段25および出力手段26を有する。
【0059】
通信手段21は、検査装置10から送信された特定の測定データおよび検査データのほか、検査装置10による弁別後の異物の検査データを受信する。また、通信手段21は、その特定の測定データおよび検査データを基に生成される判定データを検査装置10に送信する。
【0060】
記憶手段22は、通信手段21によって受信した特定の測定データおよび検査データ、検査装置10による弁別後の異物の検査データ、並びにSEMによる測定で得られるSEMデータおよびそのSEMデータを用いて生成される判定データ等を記憶する。
【0061】
SEM測定手段23は、検査装置10から送信されて記憶手段22に記憶された測定データおよび検査データを用い、該当する欠陥をSEMによって測定し、その測定結果を示すSEMデータを生成する。生成されたSEMデータは、記憶手段22によって記憶される。
【0062】
欠陥判定手段24は、SEM測定手段23によって生成されたSEMデータを用いて、その欠陥が異物であるかCOPであるかの判定を行い、その判定結果を示す判定データを生成する。生成された判定データは、記憶手段22によって記憶される。
【0063】
抽出手段25は、記憶手段22によって記憶された判定データを抽出する。抽出された判定データは、通信手段21によって検査装置10へ送信される。
出力手段26は、SEM測定手段23によって生成されたSEMデータを、適当な処理を施し、表示装置や印刷装置等に出力する。
【0064】
続いて、上記のような構成を有する検査システム1における処理の流れについて、詳細に説明する。
まず、検査装置10の処理フローについて説明する。なお、ここでは、はじめに弁別線を設定し、その弁別線を用いて製品ウェーハ上の欠陥を弁別して、その製品ウェーハ上の異物をレビューする場合について説明する。
【0065】
図8は検査装置の処理フローの一例を示す図である。
検査装置10では、弁別線を設定するため、まず、標準粒子付着ウェーハのレーザ散乱測定による欠陥検出処理が行われる。
【0066】
その際、検査装置10は、欠陥検出手段11により、標準粒子付着ウェーハにレーザ光を低角度で照射して散乱光強度を測定し、レーザ光の低角度照射時の測定データを取得する(ステップS10)。続いて、検査装置10は、欠陥検出手段11により、その標準粒子付着ウェーハにレーザ光を高角度で照射して散乱光強度を測定し、レーザ光の高角度照射時の測定データを取得する(ステップS11)。標準粒子付着ウェーハの測定データは、記憶手段12により記憶される。
【0067】
なお、この欠陥検出処理の際には、レーザ光の高角度照射時の測定データを取得した後に、レーザ光の低角度照射時の測定データを取得するようにしてもよい。
標準粒子付着ウェーハに対する欠陥検出処理後、検査装置10は、参照弁別線設定手段13により、標準粒子付着ウェーハの測定データを用い、参照弁別線を設定する(ステップS12)。得られた参照弁別線のデータは、記憶手段12により記憶される。
【0068】
次いで、検査装置10では、弁別線の設定に当たり、異物付着ウェーハについて、同様にレーザ散乱測定による欠陥検出処理が行われる。
その際、検査装置10は、欠陥検出手段11により、異物付着ウェーハに対するレーザ光の低角度照射時の測定データを取得し(ステップS13)、続いて、その異物付着ウェーハに対するレーザ光の高角度照射時の測定データを取得する(ステップS14)。異物付着ウェーハの測定データは、記憶手段12により記憶される。
【0069】
なお、この欠陥検出処理の際には、レーザ光の高角度照射時の測定データを取得した後に、レーザ光の低角度照射時の測定データを取得するようにしてもよい。
また、異物付着ウェーハは、例えば、このステップS13,S14の欠陥検出処理が終了した段階で、レビューSEM20へと搬送される。
【0070】
異物付着ウェーハに対する欠陥検出処理後、検査装置10は、近似線設定手段14により、異物付着ウェーハの測定データを用い、近似線を設定する(ステップS15)。得られた近似線のデータは、記憶手段12により記憶される。
【0071】
次いで、検査装置10は、抽出手段15により、参照弁別線および近似線の各データを用い、異物付着ウェーハについて得られたすべての測定データおよび検査データのうち、参照弁別線−近似線間の測定データ、およびそれに該当する欠陥の検査データを記憶手段12から抽出する(ステップS16)。
【0072】
次いで、検査装置10は、通信手段16により、抽出された異物付着ウェーハの測定データおよび検査データをレビューSEM20に送信し(ステップS17)、また、その送信データに該当する欠陥の判定データをレビューSEM20から受信する(ステップS18)。受信された判定データは、記憶手段12によって記憶される。
【0073】
次いで、検査装置10は、弁別線設定手段17により、レビューSEM20による判定データを用い、弁別線を設定する(ステップS19)。得られた弁別線のデータは、記憶手段12により記憶される。
【0074】
弁別線の設定後、検査装置10では、製品ウェーハのレーザ散乱測定による欠陥検出処理が行われる。
その際、検査装置10は、欠陥検出手段11により、製品ウェーハに対するレーザ光の低角度照射時の測定データを取得し(ステップS20)、続いて、その製品ウェーハに対するレーザ光の高角度照射時の測定データを取得する(ステップS21)。製品ウェーハの測定データは、記憶手段12により記憶される。
【0075】
なお、この欠陥検出処理の際には、レーザ光の高角度照射時の測定データを取得した後に、レーザ光の低角度照射時の測定データを取得するようにしてもよい。
また、製品ウェーハは、例えば、このステップS20,S21の欠陥検出処理が終了した段階で、レビューSEM20へと搬送される。
【0076】
そして、検査装置10は、弁別手段18により、製品ウェーハの測定データと先に設定した弁別線との比較を行い、製品ウェーハで検出された欠陥を異物とCOPとに弁別し、弁別データを生成する(ステップS22)。生成された弁別データは、記憶手段12により記憶される。
【0077】
次いで、検査装置10は、出力手段19により、弁別データを用い、異物とCOPそれぞれの製品ウェーハ上の存在位置を示したマップを出力する(ステップS23)。
ここで、図9はマップの一例を示す図である。検査装置10は、弁別データを用い、製品ウェーハ上で検出された欠陥を異物とCOPとに分け、図9に示すような、製品ウェーハ上の異物の存在位置を示したマップ(異物マップ)と、COPの存在位置を示したマップ(COPマップ)とを、それぞれ出力する。
【0078】
なお、このステップS23のようなマップの出力は、必要に応じて行うようにしてもよい。
図8に戻り、製品ウェーハについての弁別データの生成後、検査装置10は、抽出手段15により、その弁別データを用い、記憶手段12により記憶された製品ウェーハの欠陥の検査データのうち、異物の検査データのみを抽出し(ステップS24)、通信手段16により、その抽出した製品ウェーハの異物の検査データをレビューSEM20へ送信する(ステップS25)。
【0079】
図10はレビューSEMの処理フローの一例を示す図である。
まず、レビューSEM20には、検査装置10から、その欠陥検出処理を終えた異物付着ウェーハが搬送される。
【0080】
レビューSEM20は、通信手段21により、上記図8のステップS17で検査装置10から送信される測定データおよび検査データを受信する(ステップS30)。受信された測定データおよび検査データは、記憶手段22により記憶される。
【0081】
次いで、レビューSEM20は、SEM測定手段23により、検査装置10からの測定データおよび検査データを用い、異物付着ウェーハ上の該当する欠陥についてSEMによる測定を行い、SEMデータを生成する(ステップS31)。生成されたSEMデータは、その内容に応じた画像等で出力手段26により出力される。
【0082】
そして、レビューSEM20は、欠陥判定手段24により、生成されたSEMデータを用い、SEMで測定した欠陥が異物かCOPかの判定を行い、判定データを生成する(ステップS32)。生成された判定データは、記憶手段22により記憶される。
【0083】
レビューSEM20は、抽出手段25により、記憶手段22から判定データを抽出し(ステップS33)、通信手段21により、その判定データを検査装置10に送信する(ステップS34)。
【0084】
異物付着ウェーハについての欠陥判定処理後、レビューSEM20には、検査装置10から、その欠陥検出処理を終えた製品ウェーハが搬送される。
レビューSEM20は、通信手段21により、上記図8のステップS25で検査装置10から送信される製品ウェーハの異物の検査データを受信する(ステップS35)。受信された異物の検査データは、記憶手段22により記憶される。
【0085】
そして、レビューSEM20は、SEM測定手段23により、その異物の検査データを用い、製品ウェーハ上の該当する異物のレビューを行う(ステップS36)。レビューの結果を示すデータは、記憶手段22により記憶され、また、その内容に応じた画像等で出力手段26により出力される。
【0086】
このように検査システム1では、標準粒子を用いて参照弁別線を設定し、さらに異物を用いて近似線を設定して、これら参照弁別線と近似線とを用いて、異物とCOPとの弁別に用いる弁別線を設定する。このようにして設定された弁別線を用いることにより、欠陥を異物とCOPとに、容易にかつ高精度で、弁別することが可能になる。また、レビューSEM20では、ウェーハ起因のCOPの影響を排除し、異物に関する情報を精度良く効率的に取得することができるため、より適正な解析を行い、それを基に、より適切な対策を講じることが可能になる。その結果、半導体装置の高品質化を図ると共に、製造時の歩留り向上を図ることが可能になる。
【0087】
ここでは弁別線を用いて製品ウェーハ上の欠陥を弁別して異物のレビューを行う場合を例にして検査システム1の処理の流れを説明したが、必ずしも製品ウェーハであることを要しない。例えば、製造装置が正常に動作しているか否か等の調査を目的とした試験的なウェーハであっても構わない。そのようなウェーハを用いて上記のような異物の評価を行うことにより、製造装置の稼働状況を適切に把握することが可能になる。
【0088】
なお、検査システム1が備える検査装置10およびレビューSEM20の上記各処理機能は、コンピュータを用いて実現することが可能である。
一般に、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、グラフィック処理部、入力I/F(Interface)、通信I/F等によって構成され、これらはバスを介して接続される。ここで、CPUは、HDDに格納されているプログラムに記述された処理を実行する。ROMは、CPUが実行する基本的なプログラムやデータを格納する。RAMは、CPUが実行途中のプログラムやデータを格納する。HDDには、CPUが実行するOS(Operating System)やアプリケーションプログラム、各種データ等が格納される。グラフィック処理部は、CPUからの描画命令に従って表示装置に画像を表示させる。入力I/Fには、マウスやキーボードが接続され、これらによってユーザが入力した情報を受信し、バスを介してCPUに送信する。通信I/Fは、各コンピュータ間のLAN(Local Area Network)接続のためのインタフェースである。
【0089】
検査装置10およびレビューSEM20の上記各処理機能をコンピュータによって実現する場合、検査装置10およびレビューSEM20が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、上記HDD等の磁気記録装置のほか、DVD(Digital Versatile Disk)やCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスク、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。
【0090】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0091】
なお、以上の説明では、ウェーハで検出される欠陥を異物とCOPとに弁別する場合を例にして述べたが、ウェーハのほか、ALTIC基板、ガラス基板、ディスク基板等の平板状の被検査体にも同様に適用可能である。また、欠陥は、異物とCOPに限定されるものではなく、異物とスクラッチといった他の組み合わせに対しても同様に適用可能である。さらに、扱う欠陥の種類は、2種類に限定されるものではなく、3種類以上であっても同様にそれらを弁別することが可能である。
【0092】
(付記1) 被検査体の欠陥の検査を行う検査方法において、
所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定し、
複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥について、種類の判定を行い、
前記判定に基づいて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定し、
設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする検査方法。
【0093】
(付記2) 前記種類の判定を行う際には、
前記所定の粒子から測定された散乱光強度の境界値を示す参照弁別線を設定し、
前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の近似線を設定し、
前記複数種の欠陥のうち、前記参照弁別線と前記近似線との間の散乱光強度を示す前記一部の欠陥について、前記種類の判定を行うことを特徴とする付記1記載の検査方法。
【0094】
(付記3) 前記種類の判定を行う際には、前記一部の欠陥を、SEMを用いて評価することによって、前記種類の判定を行うことを特徴とする付記1または2に記載の検査方法。
【0095】
(付記4) 前記所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する際には、前記所定の粒子に光を第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する際には、前記複数種の欠陥に光を前記第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の検査方法。
【0096】
(付記5) 前記被検査体の欠陥を弁別する際には、
前記被検査体に光を照射して散乱光強度を測定し、
前記被検査体の欠陥から測定された散乱光強度と前記弁別線との比較を行い、
前記比較に基づいて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の検査方法。
【0097】
(付記6) 前記被検査体の欠陥を弁別した後、前記被検査体の欠陥のうち、弁別された特定の欠陥について、評価を行うことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の検査方法。
【0098】
(付記7) 被検査体の欠陥の検査を行う検査システムにおいて、
所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥について、種類の判定を行う手段と、
前記判定に基づいて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定する手段と、
設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別する手段と、
を有することを特徴とする検査システム。
【0099】
(付記8) 前記所定の粒子から測定された散乱光強度の境界値を示す参照弁別線を設定する手段と、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の近似線を設定する手段と、を有し、
前記種類の判定を行う手段は、前記複数種の欠陥のうち、設定された前記参照弁別線と前記近似線との間の散乱光強度を示す前記一部の欠陥について、前記種類の判定を行うことを特徴とする付記7記載の検査システム。
【0100】
(付記9) 前記種類の判定を行う手段は、前記一部の欠陥を、SEMを用いて評価することによって、前記種類の判定を行うことを特徴とする付記7または8に記載の検査システム。
【0101】
(付記10) 前記所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段は、前記所定の粒子に光を第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段は、前記複数種の欠陥に光を前記第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定することを特徴とする付記7〜9のいずれかに記載の検査システム。
【0102】
(付記11) 前記被検査体の欠陥を弁別する手段は、前記被検査体に光を照射して前記被検査体の欠陥から測定された散乱光強度と、前記弁別線との比較を行い、前記比較に基づいて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする付記7〜10のいずれかに記載の検査システム。
【0103】
(付記12) 前記被検査体の欠陥のうち、弁別された特定の欠陥について、評価を行う手段を有することを特徴とする付記7〜11のいずれかに記載の検査システム。
(付記13) 被検査体の欠陥の検査に用いる検査装置において、
所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥に関するデータを抽出する手段と、
抽出された前記一部の欠陥に関するデータを評価装置に送信する手段と、
前記評価装置から送信される、前記一部の欠陥の種類の判定結果を示すデータを受信する手段と、
受信した前記判定結果を示すデータを用いて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定する手段と、
設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別する手段と、
を有することを特徴とする検査装置。
【0104】
(付記14) 前記所定の粒子から測定された散乱光強度の境界値を示す参照弁別線を設定する手段と、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の近似線を設定する手段と、を有し、
前記一部の欠陥に関するデータを抽出する手段は、前記複数種の欠陥のうち、設定された前記参照弁別線と前記近似線との間の散乱光強度を示す前記一部の欠陥に関するデータを抽出することを特徴とする付記13記載の検査装置。
【0105】
(付記15) 前記所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段は、前記所定の粒子に光を第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段は、前記複数種の欠陥に光を前記第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定することを特徴とする付記13または14に記載の検査装置。
【0106】
(付記16) 前記被検査体の欠陥を弁別する手段は、前記被検査体に光を照射して前記被検査体の欠陥から測定された散乱光強度と、前記弁別線との比較を行い、前記比較に基づいて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする付記13〜15のいずれかに記載の検査装置。
【0107】
(付記17) 前記被検査体の欠陥のうち、前記被検査体の欠陥を弁別する手段によって弁別された特定の欠陥に関するデータを、前記評価装置に送信する手段を有することを特徴とする付記13〜16のいずれかに記載の検査装置。
【0108】
(付記18) 前記評価装置は、レビューSEMであることを特徴とする付記13〜17のいずれかに記載の検査装置。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】弁別線の設定原理を説明する図である。
【図2】レーザ散乱測定の結果の一例を示す図である。
【図3】弁別線を用いた検査フローの一例を示す図である。
【図4】弁別線による欠陥の弁別方法を説明する図である。
【図5】検査システムの一例の概念図である。
【図6】検査装置の構成例を示す図である。
【図7】レビューSEMの構成例を示す図である。
【図8】検査装置の処理フローの一例を示す図である。
【図9】マップの一例を示す図である。
【図10】レビューSEMの処理フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1 検査システム
10 検査装置
11 欠陥検出手段
12,22 記憶手段
13 参照弁別線設定手段
14 近似線設定手段
15,25 抽出手段
16,21 通信手段
17 弁別線設定手段
18 弁別手段
19,26 出力手段
20 レビューSEM
23 SEM測定手段
24 欠陥判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の欠陥の検査を行う検査方法において、
所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定し、
複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥について、種類の判定を行い、
前記判定に基づいて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定し、
設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記種類の判定を行う際には、
前記所定の粒子から測定された散乱光強度の境界値を示す参照弁別線を設定し、
前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の近似線を設定し、
前記複数種の欠陥のうち、前記参照弁別線と前記近似線との間の散乱光強度を示す前記一部の欠陥について、前記種類の判定を行うことを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する際には、前記所定の粒子に光を第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する際には、前記複数種の欠陥に光を前記第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記被検査体の欠陥を弁別する際には、
前記被検査体に光を照射して散乱光強度を測定し、
前記被検査体の欠陥から測定された散乱光強度と前記弁別線との比較を行い、
前記比較に基づいて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の検査方法。
【請求項5】
被検査体の欠陥の検査を行う検査システムにおいて、
所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥について、種類の判定を行う手段と、
前記判定に基づいて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定する手段と、
設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別する手段と、
を有することを特徴とする検査システム。
【請求項6】
前記所定の粒子から測定された散乱光強度の境界値を示す参照弁別線を設定する手段と、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の近似線を設定する手段と、を有し、
前記種類の判定を行う手段は、前記複数種の欠陥のうち、設定された前記参照弁別線と前記近似線との間の散乱光強度を示す前記一部の欠陥について、前記種類の判定を行うことを特徴とする請求項5記載の検査システム。
【請求項7】
前記所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段は、前記所定の粒子に光を第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定し、
前記複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段は、前記複数種の欠陥に光を前記第1,第2の角度で照射してそれぞれ散乱光強度を測定することを特徴とする請求項5または6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記被検査体の欠陥を弁別する手段は、前記被検査体に光を照射して前記被検査体の欠陥から測定された散乱光強度と、前記弁別線との比較を行い、前記比較に基づいて、前記被検査体の欠陥を弁別することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の検査システム。
【請求項9】
被検査体の欠陥の検査に用いる検査装置において、
所定の粒子に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
複数種の欠陥に光を照射して散乱光強度を測定する手段と、
前記複数種の欠陥のうち、前記所定の粒子から測定された散乱光強度を用いて選択される一部の欠陥に関するデータを抽出する手段と、
抽出された前記一部の欠陥に関するデータを評価装置に送信する手段と、
前記評価装置から送信される、前記一部の欠陥の種類の判定結果を示すデータを受信する手段と、
受信した前記判定結果を示すデータを用いて、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の前記種類による境界値を示す弁別線を設定する手段と、
設定された前記弁別線を用いて、前記被検査体の欠陥を弁別する手段と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項10】
前記所定の粒子から測定された散乱光強度の境界値を示す参照弁別線を設定する手段と、前記複数種の欠陥から測定された散乱光強度の近似線を設定する手段と、を有し、
前記一部の欠陥に関するデータを抽出する手段は、前記複数種の欠陥のうち、設定された前記参照弁別線と前記近似線との間の散乱光強度を示す前記一部の欠陥に関するデータを抽出することを特徴とする請求項9記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−170222(P2008−170222A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2430(P2007−2430)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】