説明

検査方法及び検査装置

【課題】半田等の接合部材を容易にかつ短時間で検査することができる検査方法を提供する。
【解決手段】測定対象物までの距離を非接触に測定する非接触式変位計10を、電子部品搭載基板に対し基板のマウント表面と平行を成すように相対的に移動させて、前記基板のマウント表面までの距離と前記電子部品の表面までの距離を測定する工程と、前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面までの距離と電子部品の厚さとを減算して、基板と電子部品の間に介在した接合材の厚さを算出する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に電子部品を接合して成る電子部品搭載基板の検査方法及びその検査装置に関し、詳しくは、基板と電子部品の間に介在した接合材を検査する検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リードフレームに半導体ペレット(以下、ペレットと呼ぶ)をマウントする場合、接合材として半田や樹脂等が用いられる。以下、図13を参照して、リードフレームへのペレットのマウントの工程を説明する。
【0003】
図13に示すリードフレーム100は、所定間隔にランド部200を設けた長尺帯板状の部材であり、図示しないマウント装置のレール上を搬送されて、同図の(a)(b)(c)に示す各工程を経てペレット300のマウントが行われる。
【0004】
詳しくは、図13の(a)に示す半田供給ポジションで、リードフレーム100のランド部200に、半田400が(通常ボール状に)載せられる。次に、図13の(b)に示す半田延ばしポジションで、載せられた半田400を専用のツールによってペレットの形状に押し広げられて薄くのばされる。そして、図13の(c)に示すマウントポジションにおいて、コレットにより吸着保持したペレット300を押し広げられた半田400の上に移載し、ペレット300を半田400の上に押しつけて接合する。以降、同様に各ランド部200にペレット300を接合する。
【0005】
ところで、互いに接合されたリードフレームとペレットの間に介在する半田の厚さは、所定の範囲内となることが品質上要求されている。しかし、リードフレームの表面状態(粗さ)や半田の性質等、その他の様々な要因によって、半田の厚さにばらつきが生じる。このため、マウント後、半田厚さを測定する検査を行っている。
【0006】
従来は、測定者が、マウント済みのリードフレーム群から一部のリードフレームを抜き取り、マイクロメータ等の接触式の変位計を使用して半田の厚さを測定していた。具体的には、図14に示すように、マイクロメータの測定子500をリードフレーム100の上面とペレット300の上面に接触させ、各測定位置での接触子500の垂直方向変位の差からリードフレーム100の上面からペレット300の上面までの高さhを求める。そして、その高さhからペレット300の厚さTを減算することによって、半田400の厚さtが求まる。上記接触式の変位計の発明として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開平9−72702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記マウント後のリードフレームの抜き取り検査は、一つの半田付けの不良が発見されると、リードフレームをロッド単位で廃棄しなければならず、歩留まりが悪くなる欠点がある。従って、全数検査を行うことが好ましい。しかし、測定者はマイクロメータを用いて手動で半田厚の測定を行っているため、全数検査は測定作業時間の観点から現実的に困難である。また、接触式の変位計を使用しているため、リードフレームやペレットを傷つける虞もあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、半田等の接合部材を容易にかつ短時間で検査することができる検査方法、及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、基板のマウント表面に電子部品を接合材を介して接合して成る電子部品搭載基板の検査方法において、測定対象物までの距離を非接触に測定する非接触式変位計を、前記電子部品搭載基板に対し基板のマウント表面と平行を成すように相対的に移動させて、前記基板のマウント表面までの距離と前記電子部品の表面までの距離を測定する工程と、前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面までの距離と電子部品の厚さとを減算して、基板と電子部品の間に介在した接合材の厚さを算出する工程とを有する検査方法である。
【0010】
本発明の検査方法は、非接触式変位計を採用しているので、容易かつ迅速に基板及び電子部品との距離を測定することができる。これにより、接合材の厚さの検査に要する時間を短縮することができる。また、基板や電子部品に対して非接触に距離の測定を行うことが可能であるので、基板や電子部品を傷つける虞がない。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の検査方法において、前記非接触式変位計によって、電子部品の表面上の平面を規定する異なる3つの位置までの距離と、前記基板のマウント表面までの距離を測定する工程と、前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面上の異なる3つの位置までの距離を別々に減算すると共に、当該各減算結果から電子部品の厚さを減算して、前記電子部品の異なる3つの位置における接合材の厚さを算出する工程を有する検査方法である。
【0012】
電子部品の表面上の平面を規定する異なる3つの位置における接合材の厚さを算出することによって、基板に対する電子部品の傾斜度がわかる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の検査方法において、前記光学式変位計によって、電子部品の表面上の少なくとも3つのコーナー部までの距離と、前記電子部品の各コーナー部に隣接する基板のマウント表面上の隣接部までの距離を測定する工程と、前記基板の各隣接部までの距離から、前記各隣接部に隣接する前記電子部品の各コーナー部までの距離及び電子部品の厚さを減算して、前記電子部品の少なくとも3つのコーナー部における接合材の厚さを算出する工程とを有する検査方法である。
【0014】
基板と電子部品の間に介在する接合材の厚さは、特に電子部品のコーナー部においてばらつきが大きくなる傾向にある。そこで、電子部品の少なくとも3つのコーナー部のおける接合材の厚さを算出することによって、接合材の厚さや基板に対する電子部品の傾斜度の検査をより正確に行うことが可能である。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の検査方法において、前記非接触式変位計を電子部品の周縁部を跨ぐように移動させて、基板の表面までの距離より短く電子部品の表面までの距離より長い中間値を測定することにより、電子部品の周縁部の接合材のはみ出しを検知する検査方法である。
【0016】
接合材のはみ出しの検査を、上記接合材の厚さの検査を行う非接触式変位計によって行うことができるので、接合材のはみ出しを検査する装置を別途配設する必要がない。これにより、検査装置の製造コスト及びメンテナンスコストの削減やコンパクト化、検査時間の短縮等を図ることが可能である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の検査方法において、前記接合材の厚さを算出する工程において、前記電子部品の厚さとしてその実測値を適用する方法である。
【0018】
電子部品の厚さには、若干ばらつきがある。このため、上記算出する接合材の厚さにも多少の誤差が生じる。そこで、接合材の厚さを算出する工程において、該当する電子部品の厚さの実測値を適用することにより、高精度に接合材の厚さを算出することが可能となる。
【0019】
請求項6の発明は、基板のマウント表面に電子部品を接合材を介して接合して成る電子部品搭載基板の検査装置において、前記電子部品搭載基板を順次搬送する搬送ライン上に、測定対象物までの距離を非接触に測定する非接触式変位計を配設すると共に、当該非接触式変位計を前記電子部品搭載基板に対し基板のマウント表面と平行を成すように相対的に移動させて前記基板のマウント表面までの距離と前記電子部品の表面までの距離を測定するように構成し、前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面までの距離及び電子部品の厚さとを減算して、前記基板と電子部品の間に介在した接合材の厚さを算出する演算手段を備えたものである。
【0020】
本発明の検査装置は、非接触式変位計を採用しているので、容易かつ迅速に基板及び電子部品との距離を測定することができる。これにより、接合材の厚さの検査に要する時間を短縮することができる。また、基板や電子部品に対して非接触に距離の測定を行うことが可能であるので、基板や電子部品を傷つける虞がない。
【0021】
請求項7の発明は、請求項6に記載の検査装置において、前記算出した接合材の厚さが所定の厚さの範囲内にない場合、当該接合材によって接合された電子部品搭載基板を、前記搬送ラインから除去する除去手段を配設したものである。
【0022】
これにより、電子部品搭載基板を、接合材の厚さが所定範囲内のものとそうでないものに自動的にわけることができる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項6に記載の検査装置において、前記算出した接合材の厚さが所定の厚さの範囲内にない場合、警告手段によって警告信号を発すると共に、前記搬送ラインの搬送を停止するように構成したものである。
【0024】
これにより、所定の厚さの範囲内にない接合材が検出されたことを知ることができる。また、そのとき搬送ラインを停止することで、その後の対応処置を適切にとることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の検査方法及び検査装置は、非接触式変位計を採用しているので、容易かつ迅速に測定対象物との距離を測定することができる。従来は、測定者が接触式の変位計を使用して手作業で測定を行っていたため、接合した箇所の全数検査を行うことは困難であったが、本発明によれば、非接触式変位計を使用して測定時間を大幅に短縮することができ、全数検査を行うことが可能である。これにより、不良品を確実に判別することができると共に、製品をロッドごとに廃棄する必要がないので歩留まりが向上する。
【0026】
また、基板や電子部品に対して非接触に距離の測定を行うことが可能であるので、電子部品や基板を傷つける虞がない。これにより、検査時における製品の品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の検査装置を、基板としてのリードフレームに電子部品としてのペレットを半田付けするマウント装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の検査装置を簡略化した全体構成図である。図1に示すように、本発明の検査装置は、半田厚検査装置1と、第1マーキング手段2と、第1除去手段3と、半田はみ出し検査装置4と、第2マーキング手段5と、第2除去手段6とを備える。これら各装置及び各手段は、リードフレーム7を搬送する図示しない搬送ライン上に配設されている。図1において、左側が前記搬送ラインの上流側、右側が下流側である。また、半田検査装置1の上流側には、リードフレーム7にペレット8を半田付けするためのコレット9等が配設されている。なお、半田付けされたペレット8とリードフレーム7の間には半田が介在しているが、図1では半田を省略している。
【0028】
上記半田厚検査装置1は、測定対象物までの距離を光学的に測定する光学式変位計10を有する。光学式変位計10として、測定対象物へレーザ光を照射する投光部と、測定対象物からの反射レーザ光を入射する受光部を有するレーザ変位計を採用している。また、図2に示すように、この光学式変位計10は、ペレット8をマウントしたリードフレーム7(以下、ペレット搭載リードフレームという)の上方を図の矢印Aに示すように移動可能に構成されている。
【0029】
図1に示すように、光学式変位計10には、演算手段11と厚さ判定手段12が電気的に接続されている。演算手段11は、光学式変位計10から送信される距離データや、予め入力されているペレットの厚さのデータに基づいて、ペレットとリードフレームの間に介在する半田の厚さを算出するための手段である。この演算手段11で算出した半田の厚さが所定の厚さの範囲内にあるか否かの判定を、厚さ判定手段12によって行うように構成されている。
【0030】
上記第1マーキング手段2は、厚さ判定手段12によって半田の厚さが所定の厚さの範囲内にない、つまり不良と判定されたペレット搭載リードフレームに対して、マーキングを行う手段である。
【0031】
第1除去手段3は、第1マーキング手段2によってマーキングされたペレット搭載リードフレームを搬送ラインから除去する手段である。この第1除去手段3の搬送ラインの上流側に隣接して第1センシング手段15が配設されている。第1センシング手段15は、第1マーキング手段2によって付されたマークを検知可能に構成されている。そして、第1センシング手段15の検知信号に基づいて、第1除去手段3はペレット搭載リードフレームを除去するように制御されている。
【0032】
上記半田はみ出し検査装置4は、ペレット搭載リードフレームを撮像するカメラ13と、そのカメラ13で撮像した画像データに基づいてペレット8の周縁部に半田のはみ出しが有るか否かを判定するはみ出し判定手段14を有している。
【0033】
上記第2マーキング手段5は、はみ出し判定手段14によって半田のはみ出しが無いと判定されたペレット搭載リードフレームに対して、マーキングを行う手段である。
【0034】
第2除去手段6は、第2マーキング手段5によってマーキングされたペレット搭載リードフレームを搬送ラインから除去する手段である。この第2除去手段6の搬送ラインの上流側に隣接して第2センシング手段16が配設されている。第2センシング手段16は、第2マーキング手段5によって付されたマークを検知可能に構成されている。そして、第2センシング手段16の検知信号に基づいて、第2除去手段6はペレット搭載リードフレームを除去するように制御されている。
【0035】
また、図示省略するが、上記第1マーキング手段2、第1センシング手段15及び第1除去手段3を省略して、第2マーキング手段5、第2センシング手段16及び第2除去手段6が、上記第1マーキング手段2、第1センシング手段15及び第1除去手段3の役割を兼ねてもよい。
【0036】
また、上記マーキング手段、センシング手段及び除去手段に代えて、ペレット搭載リードフレームが不良と判定された場合に警告信号を発する警告手段や、搬送ラインを停止させる停止手段等を配設してもよい。
【0037】
図3は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、上記半田厚の測定を行うための光学式変位計10を、半田のはみ出し検査にも使用している。このため、図3では、図1に示す半田はみ出し検査装置4のカメラ13等が省略されている。
【0038】
光学式変位計10には、上記と同様に半田の厚さを算出する演算手段11と、その算出した半田の厚さの良否を判定する厚さ判定手段12が電気的に接続されている。また、光学式変位計10に、半田のはみ出しの有無を判定するはみ出し判定手段17も電気的に接続されている。このはみ出し判定手段17は、光学式変位計10から送信される距離データに基づいてペレット8の周縁部に半田がはみ出しているか否かを判定するように構成されている。
【0039】
光学式変位計10の搬送ラインの下流側には、マーキング手段18とセンシング手段19と除去手段20が順次配設されている。マーキング手段18は、上記厚さ判定手段12によって半田の厚さが不良と判定された場合、もしくは、上記はみ出し判定手段17によって半田のはみ出しが無いと判定された場合の、少なくとも一方の場合に、対象のペレット搭載リードフレームにマーキングをするように構成されている。
【0040】
センシング手段19は、ペレット搭載リードフレームに付されたマーキングを検知する手段である。また、除去手段20は、センシング手段19の検知信号に基づいて、ペレット搭載リードフレームを搬送ラインから除去する手段である。
【0041】
また、図3において、図1と同一の符号の箇所は、図1と同様の構成であるので説明を省略する。
【0042】
以下、本発明の図1に示す検査装置の動作(検査方法)について説明する。
なお、本発明の検査装置で検査を開始する前に、上記図13の(a)〜(c)で説明したのと同様に、リードフレーム(のランド部)にペレットを半田付けするマウント工程を行う。
【0043】
図4は、検査装置の動作を示すフローチャートである。図4を参照して、この検査装置の動作の概略を説明すると、まず、ペレット及びリードフレームの各距離の測定工程S1と、半田厚の算出工程S2と、半田厚の良否判定工程S3を行う。次に、半田のはみ出し観察工程S4と、半田のはみ出しの有無の判定工程S5を行う。また、上記半田厚の良否判定工程S3において、「不良」と判定された場合は、第1マーキング工程S6と、第1センシング工程S7と、第1除去工程S8を行う。また、上記半田のはみ出しの有無の判定工程S5において、「不良(はみ出し無し)」と判定された場合は、第2マーキング工程S9と、第2センシング工程S10と、第2除去工程S11を行う。
【0044】
以下、上記各工程について詳しく説明する。
図1に示すように、ペレット搭載リードフレームが、搬送ライン上を光学式変位計10の配設位置まで搬送されると、その搬送を一旦停止し、上記ペレット及びリードフレームの各距離の測定工程S1を行う。光学式変位計10は、ペレット搭載リードフレームに対してリードフレーム7のマウント表面(以下、表面という)と平行を成すように移動する。具体的には、光学式変位計10は、図2の矢印Aに示すようにコ字状に連続的に移動する。このとき、光学式変位計10のレーザ光は図の矢印Bのコ字を描くように照射され、リードフレーム7及びペレット8の表面がスキャンされる。
【0045】
上記矢印Bに示すレーザ光の照射経路は、図5に示すように、ペレット8の4つのコーナー部C1〜C4と、各コーナー部C1〜C4に隣接したリードフレーム7(のランド部)の4箇所の隣接部R1〜R4を通過するように設定されている。レーザ光を経路Bに沿って、移動させて、R1→C1→C2→…→C4→R4の順にスキャンする。そして、光学式変位計10が測定した4つのコーナー部C1〜C4までの距離と4箇所の隣接部R1〜R4までの距離のデータを、各データを演算手段11へ送信する。
【0046】
次に、演算手段11によって上記半田厚の算出工程S2を行う。
演算手段11は、光学式変位計10から送信された距離のデータと、予め入力されているペレットの厚さのデータに基づいて、ペレット8の各コーナー部の半田の厚さを算出する。ペレット8の各コーナー部の半田の厚さの算出は、どれも同様に行うので、1つのコーナー部の半田の厚さの算出方法を例に挙げて説明する。
【0047】
図6は、ペレット8の1つのコーナー部C1を正面から見た図である。同図において、符号21は、ペレット8とリードフレーム7との間に介在する半田である。演算手段11は、ペレット8のコーナー部C1の表面までの距離D1と、そのコーナー部C1に隣接するのリードフレーム7の隣接部R1の表面までの距離D2のデータを、光学式変位計10から得ている。まず、このリードフレーム7の隣接部R1の表面までの距離D2から、ペレット8のコーナー部C1の表面までの距離D1を減算することによって、リードフレーム7の表面からペレット8の表面までの高さhが算出される。次に、算出した高さhから、ペレット8の厚さTを減算することにより、半田21の厚さtを算出することができる。この半田厚の算出工程を、ペレット8の残りのコーナー部でも行って4つのコーナー部における半田の厚さを算出する。
【0048】
演算手段11によって上記4箇所の半田の厚さを算出した後、それら半田の厚さのデータを厚さ判定手段12に送信し、上記半田厚の良否判定工程S3を行う。厚さ判定手段12には、予め半田の厚さの上限値と下限値が入力されている。そして、この半田の厚さの上限値及び下限値と、上記算出した各半田の厚さの比較を行う。具体的には、例えば、半田の厚さの目標値を30μmと設定している場合、上限値を60μm、下限値を10μmと設定する。
【0049】
算出した4箇所の半田の厚さが全て、上限値と下限値の範囲内となっている場合は、「良」と判定する。しかし、算出した半田の厚さが1つでも、上限値を超える又は下限値未満となる場合は、そのペレット搭載リードフレームを「不良」と判定する。
【0050】
厚さ判定手段12によって「不良」と判定されたペレット搭載リードフレームは、第1マーキング手段2によってマーキングされる(第1マーキング工程S6)。その後、第1センシング手段15によってマーキングを検知すると(第1センシング工程S7)、第1除去手段3は、第1センシング手段15の検知信号に基づいて、マーキングが付されたペレット搭載リードフレームを搬送ラインから除去する(第1除去工程S8)。
【0051】
また、厚さ判定手段12によって「良」と判定された場合、そのペレット搭載リードフレームは半田のはみ出しの観察工程S4へ送られる。この半田のはみ出しの観察工程S4は、カメラ13でペレット搭載リードフレームを上方から撮像することによって行う。
【0052】
カメラ13で撮像した画像データをはみ出し判定手段14へ送信し、はみ出し判定手段14によって上記半田のはみ出しの有無の判定工程S5を行う。図5に示すように、この実施形態では、ペレット8の周縁部に半田21が積極的にはみ出すようにマウントを行っている。この半田のはみ出しを確認することによって、半田付けがペレットの接合面全域に渡って確実に行われているか否かを判定することができる。
【0053】
はみ出し判定手段14によって、半田のはみ出しが無いと判定した場合、そのペレット搭載リードフレームを「不良」と判定する。また、半田のはみ出しが有ると判定した場合は、そのペレット搭載リードフレームを「良」と判定する。
【0054】
はみ出し判定手段14によって、「不良(はみ出し無し)」と判定した場合、そのペレット搭載リードフレームに、第2マーキング手段5によってマーキングする(第2マーキング工程S9)。その後、第2センシング手段16によってマーキングを検知すると(第2センシング工程S10)、第2除去手段6は、第2センシング手段15の検知信号に基づいて、マーキングが付されたペレット搭載リードフレームを搬送ラインから除去する(第2除去工程S11)。
【0055】
また、はみ出し判定手段14によって、「良(はみ出し有り)」と判定した場合、そのペレット搭載リードフレームについての一連の検査工程を終了する。以後、搬送ラインを順次搬送されるペレット搭載リードフレームに、同様の検査工程を行う。
【0056】
上記光学式変位計10によって、ペレットの表面の1箇所(例えば、中央の1箇所)と、リードフレームの表面の任意の1箇所をスキャンしても、半田厚を算出することは可能である。しかし、半田の厚さは、特にペレットのコーナー部においてばらつきが大きくなる傾向にある。そのため、上記実施形態のように、ペレットの4つのコーナー部の表面と、それに隣接するリードフレームの4つの隣接部の表面をスキャンすることによって、半田厚の検査をより正確に行うことが可能である。
【0057】
また、各ペレットの厚さにも若干ばらつきがある。このため、上記算出する半田厚にも多少の誤差が生じる。そこで、半田厚を算出する工程において、該当するペレットの厚さの実測値を適用することにより、高精度に半田厚の算出を行うことが可能である。
【0058】
次に、本発明の図3に示す検査装置の動作(検査方法)について説明する。
図7は、図3の検査装置の動作を示すフローチャートである。図7を参照して、この検査装置の動作の概略を説明すると、ペレット・リードフレーム・半田はみ出し領域の各距離の測定工程T1と、半田厚の算出工程T2と、半田厚の良否判定工程T3と、半田のはみ出しの有無の判定工程T4を行う。上記半田厚の良否判定工程T3において「不良」と判定された場合、もしくは、上記はみ出し判定工程T4において「不良(はみ出し無し)」と判定された場合の、少なくとも一方の場合に、マーキング工程T5と、センシング工程T6と、除去工程T7を行う。
【0059】
以下、各工程について説明する。
ペレット・リードフレーム・半田はみ出し領域の各距離の測定工程T1は、光学式変位計10によって行う。光学式変位計10をペレット搭載リードフレームの上方を移動させて、図8の矢印Eに示すコ字状の経路に沿ってレーザ光を照射する。レーザ光の照射経路Eは、ペレット8の4つのコーナー部C1〜C4と、その各コーナー部に隣接するリードフレーム7の4箇所の隣接部R1〜R4と、前記各コーナー部の周縁部の半田はみ出し領域における4箇所の測定対象部H1〜H4を通過するように設定されている。
【0060】
上記「半田はみ出し領域」とは、ペレットをリードフレームに半田付けしたことにより、ペレットの周縁部に半田がはみ出す領域である。また、上記「半田はみ出し領域における測定対象部」は、図8に示すようにペレット8の周縁部に半田21がはみ出している場合は、その半田の表面が測定対象部となり、半田がはみ出していない場合は、リードフレーム7の表面が測定対象部となる。また、上記リードフレーム7の隣接部は、ペレット8のコーナー部に隣接すると共に、半田はみ出し領域に包含されない箇所に配設されている。
【0061】
レーザ光を経路Eに沿って、移動させて、R1→H1→C1→…→C4→H4→R4の順にスキャンする。そして、光学式変位計10から、4つのコーナー部C1〜C4までの距離のデータと、4箇所の隣接部R1〜R4までの距離のデータを、演算手段11(図3参照)へ送信する。この送信されたデータに基づき、演算手段11が半田厚を算出する。そして、算出された半田厚に基づいて、厚さ判定手段12が半田厚の良否判定を行う。この演算手段11による半田厚の算出工程T2と、厚さ判定手段12による半田厚の良否判定工程T3は、上述したのと同様の方法で行うので説明を省略する。
【0062】
また、光学式変位計10から、4つのコーナー部C1〜C4までの距離のデータと、リードフレーム7の各隣接部R1〜R4までの距離のデータと、半田はみ出し領域の4つの測定対象部H1〜H4までの距離のデータを、はみ出し判定手段17(図3参照)へ送信する。
【0063】
はみ出し判定手段17によって、上記ペレット8の4つのコーナー部C1〜C4の周縁部に、半田21がはみ出しているか否かを判定する半田のはみ出しの有無の判定工程T4を行う。各半田はみ出し領域における半田のはみ出しの有無の判定は、どれも同様に行うので、1つの半田はみ出し領域における判定方法を例に挙げて説明する。
【0064】
図9は、ペレット8の1つのコーナー部C1を正面から見た図である。光学式変位計10を図9の左から右へペレット8の周縁部を跨ぐように移動させて、隣接部R1→半田はみ出し領域の測定対象部H1→コーナー部C1の順にスキャンして、各測定ポイントまでの距離を測定する。図9に示すように、半田21がペレット8の周縁部からはみ出している場合、半田はみ出し領域の測定対象部H1は、はみ出した半田21の表面となる。この半田はみ出し領域の測定対象部H1までの距離D3は、リードフレーム7の隣接部R1までの距離D2より短く、かつペレット8のコーナー部C1までの距離D1よりは長い。つまり、リードフレーム7の隣接部R1までの距離D2より短く、ペレット8のコーナー部C1までの距離D1より長い中間値(D3)を測定した場合、はみ出し判定手段17によって、「良(はみ出し有り)」と判定する。
【0065】
これに対し、図10に示すように、半田21がペレット8の周縁部からはみ出していない場合、半田はみ出し領域の測定対象部H1は、リードフレーム7の表面となる。従って、半田はみ出し領域の測定対象部H1までの距離D3は、リードフレーム7の隣接部R1までの距離D2と略同一となる。このように、リードフレーム7の隣接部R1までの距離D2より短く、ペレット8のコーナー部C1までの距離D1より長い中間値が測定されなかった場合、はみ出し判定手段17によって、「不良(はみ出し無し)」と判定する。
【0066】
上記半田厚の良否判定工程T3において「不良」と判定された場合、もしくは、上記はみ出し判定工程T4において「不良(はみ出し無し)」と判定された場合の、少なくとも一方の場合に、該当するペレット搭載リードフレームに、図1に示すマーキング手段18によってマーキングする(マーキング工程T5)。その後、センシング手段19によってマーキングを検知すると(センシング工程T6)、除去手段20は、センシング手段19の検知信号に基づいて、マーキングが付されたペレット搭載リードフレームを搬送ラインから除去する(除去工程T7)。
【0067】
また、半田厚の良否判定工程T3において「良」と判定され、さらに、はみ出し判定工程T4において「良(はみ出し有り)」と判定された場合は、そのペレット搭載リードフレームについての一連の検査工程を終了する。以後、搬送ラインを順次搬送されるペレット搭載リードフレームにも、同様の検査工程を行う。
【0068】
また、上記図7のフローチャートに示す検査方法において、半田厚の良否判定工程T3と、半田のはみ出しの有無の判定工程T4は、どちらを先に行ってもよい。あるいは、これらの工程を同時に行ってもよい。
【0069】
図11は、別の変位の測定方法を説明するための図である。同図の矢印Fに示す経路に沿ってレーザ光を照射することにより、半田はみ出し領域において8箇所の測定対象部H1〜H8の変位を測定する。レーザ光を経路Fに沿って照射することによって、測定対象部はH1→H2→…→H7→H8の順にスキャンされる。この測定方法では、ペレット8の4つのコーナー部C1〜C4の周縁部に、はみ出し領域の測定対象部が2つずつ設定されている。図11に示すように、ペレット8のコーナー部を形成する2辺に対向した2箇所に測定対象部を設定することにより、半田のはみ出しの有無を一層確実に検査することが可能である。
【0070】
また、上記半田はみ出し領域における8箇所の測定対象部H1〜H8の変位を測定するのに、2つの光学式変位計を使用してもよい。具体的には、図12に示すように、一対の光学式変位計(図示省略)からそれぞれレーザ光を、図の互いに平行を成す経路X1とX2に沿って照射する。これにより、経路X1上に配設した測定対象部H4とH3、及び経路X2上に配設した測定対象部H1とH2が、スキャンされる。次に、一対の光学式変位計のレーザ光を、図の互いに平行を成す経路Y1とY2に沿って照射する。これにより、経路Y1上に配設した測定対象部H5とH6、及び経路Y2上に配設した測定対象部H8とH7が、スキャンされる。このように、図12に示す実施例は、図11に示す実施例に比べて、光学式変位計の1台あたりの移動させる経路が短くなるので、計測時間を短縮することができる。
【0071】
また、ペレットの少なくとも3箇所のコーナー部の半田厚に基づいて、リードフレームに対するペレットの傾斜度を算出することも可能である。なお、ペレットの平面を規定する(コーナー部以外の)任意の異なる3点における半田厚を求めることによっても、リードフレームに対するペレットの傾斜度を算出することも可能である。ただし、リードフレームに対するペレットの傾斜度をより正確に求めるには、ペレットの少なくとも3箇所のコーナー部の半田厚を算出することが好ましい。上記ペレットの異なる3点における半田厚を求めるには、まず、光学式変位計をペレット搭載リードフレームに対して相対的に移動させて、リードフレームのマウント表面上の任意の一箇所までの距離と、前記ペレットの表面上の異なる3つの位置までの距離を測定する。次に、測定したリードフレームのマウント表面までの距離から、測定したペレットの表面上の異なる3つの位置までの距離を別々に減算する。そして、各減算結果からペレットの厚さを減算して、ペレットの異なる3つの位置における接合材の厚さを算出することができる。
【0072】
本発明の検査装置及び検査方法は、光学式変位計を採用しているので、容易かつ迅速に測定対象物との距離を測定することができる。従来は、測定者が接触式の変位計を使用して手作業で測定を行っていたため、半田付けした箇所の全数検査を行うことは困難であったが、本発明によれば、光学式変位計を使用して測定時間を大幅に短縮することができ、全数検査を行うことが可能である。これにより、不良品を確実に判別することができると共に、製品をロッドごとに廃棄する必要がないので歩留まりが向上する。
【0073】
また、光学式変位計による測定は、測定対象物対して非接触で行うことが可能であるので、ペレットやリードフレームを傷つける虞がない。これにより、検査時における製品の品質の低下を防止することができる。
【0074】
なお、光学式変位計として、レーザ変位計を使用する以外に、顕微鏡などの光学焦点距離を画像で認識する変位計を適用することも可能である。あるいは、測定対象物との間の静電容量の変化でもって測定対象物との距離を測定する静電容量式の非接触式変位計などを適用してもよい。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明の検査装置を、基板としてのリードフレームに電子部品としてのペレットを半田付けするマウント装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、プリント基板又はそれ以外の基板等にペレット以外の電子部品を実装する装置にも適用可能である。また、電子部品と基板を接合する接合材は、上記半田に限らず樹脂等であってもよい。また、上述の実施形態では、ペレットの周縁部に、半田(接合材)のはみ出しがある場合に良と判定する例について説明したが、半田(接合材)のはみ出しがある場合に不良と判定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の検査装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】前記検査装置に使用する光学式変位計の動作を示す斜視図である。
【図3】本発明の検査装置の他の実施形態を示す全体構成図である。
【図4】前記検査装置の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】変位の測定方法を説明する図である。
【図6】半田厚の算出方法を説明するための図である。
【図7】前記検査装置の他の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】他の変位の測定方法を説明する図である。
【図9】半田のはみ出しの有無の判定方法を説明するための図である。
【図10】半田のはみ出しの有無の判定方法を説明するための図である。
【図11】別の変位の測定方法を説明する図である。
【図12】さらに別の変位の測定方法を説明する図である。
【図13】(a)〜(c)は、リードフレームにペレットを半田付けする工程を説明するための図である。
【図14】従来の半田厚の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1 半田厚検査装置
7 リードフレーム
8 ペレット
10 光学式変位計
11 演算手段
21 半田
D1 ペレットの表面までの距離
D2 リードフレームのマウント表面までの距離
h リードフレームのマウント表面からペレットの表面までの高さ
T ペレットの厚さ
t 半田の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のマウント表面に電子部品を接合材を介して接合して成る電子部品搭載基板の検査方法において、
測定対象物までの距離を非接触に測定する非接触式変位計を、前記電子部品搭載基板に対し基板のマウント表面と平行を成すように相対的に移動させて、前記基板のマウント表面までの距離と前記電子部品の表面までの距離を測定する工程と、
前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面までの距離と電子部品の厚さとを減算して、基板と電子部品の間に介在した接合材の厚さを算出する工程とを有することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記非接触式変位計によって、電子部品の表面上の平面を規定する異なる3つの位置までの距離と、前記基板のマウント表面までの距離を測定する工程と、
前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面上の異なる3つの位置までの距離を別々に減算すると共に、当該各減算結果から電子部品の厚さを減算して、前記電子部品の異なる3つの位置における接合材の厚さを算出する工程を有する請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記光学式変位計によって、電子部品の表面上の少なくとも3つのコーナー部までの距離と、前記電子部品の各コーナー部に隣接する基板のマウント表面上の隣接部までの距離を測定する工程と、
前記基板の各隣接部までの距離から、前記各隣接部に隣接する前記電子部品の各コーナー部までの距離及び電子部品の厚さを減算して、前記電子部品の少なくとも3つのコーナー部における接合材の厚さを算出する工程とを有する請求項1に記載の検査方法
【請求項4】
前記非接触式変位計を電子部品の周縁部を跨ぐように移動させて、基板の表面までの距離より短く電子部品の表面までの距離より長い中間値を測定することにより、電子部品の周縁部の接合材のはみ出しを検知する請求項1から3のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項5】
前記接合材の厚さを算出する工程において、前記電子部品の厚さとしてその実測値を適用する請求項1から4のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項6】
基板のマウント表面に電子部品を接合材を介して接合して成る電子部品搭載基板の検査装置において、
前記電子部品搭載基板を順次搬送する搬送ライン上に、測定対象物までの距離を非接触に測定する非接触式変位計を配設すると共に、当該非接触式変位計を前記電子部品搭載基板に対し基板のマウント表面と平行を成すように相対的に移動させて前記基板のマウント表面までの距離と前記電子部品の表面までの距離を測定するように構成し、
前記測定した基板のマウント表面までの距離から、前記測定した電子部品の表面までの距離及び電子部品の厚さとを減算して、前記基板と電子部品の間に介在した接合材の厚さを算出する演算手段を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項7】
前記算出した接合材の厚さが所定の厚さの範囲内にない場合、当該接合材によって接合された電子部品搭載基板を、前記搬送ラインから除去する除去手段を配設した請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記算出した接合材の厚さが所定の厚さの範囲内にない場合、警告手段によって警告信号を発すると共に、前記搬送ラインの搬送を停止するように構成した請求項6に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−133745(P2009−133745A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310658(P2007−310658)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】