説明

樹脂シートの微細貫通孔成形方法及び微細構造転写成形装置

【課題】針状、円錐あるいは台形状等種々の形状の貫通孔を明けることができ、バリや穴底の丸まりや形状不良がほとんど無く、形状・寸法精度に優れ、大面積にわたり均一な性状の微細孔を有する樹脂シートを製造する方法を提案する。
【解決手段】本発明に係る樹脂シートの微細貫通孔成形方法は、微細突起を有する加熱されたスタンパ上に樹脂シートを供給する段階と、前記樹脂シート上に溶融樹脂媒体を供給する段階と、前記溶融樹脂媒体を介して軟化した前記樹脂シートを押圧し、前記微細突起によりその樹脂シートを穿孔する段階と、前記溶融樹脂媒体及び前記樹脂シートを押圧しつつ冷却する段階と、固化した前記溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートを前記スタンパから剥離する段階と、前記加工された樹脂シートと前記固化した溶融樹脂媒体とを剥離する段階と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートに微細な貫通孔を明ける微細貫通孔成形方法及びその方法の実施に好適に使用することができる微細構造転写成形装置に関する。
【0002】
貫通孔を有する樹脂シートは、例えば、医療用途として、マイクロ針アレイによる経皮性薬剤搬送システム、バイオセンサー、医用高分子膜(血液浄化、血液透析、人工肝臓、膜型人工肺、ウイルス除去膜等)、人工血管等への利用が進められている。また、電気・電子材料用途として、電池用セパレータ、多孔質センサ、液晶光学表示素子等への利用が進められている。
【0003】
このような貫通孔を有する樹脂シートの製造方法として、先ず、射出成形法や熱式インプリント法が挙げられる。射出成形法は、第7図に示すように、金型に突起状のピンを形成し、その周りに溶融樹脂を射出して冷却した後、金型を開いて取り出す工法である。一方、熱式インプリント法は、第8図に示すように、Si、ガラス、石英等の基板上に形成された固体状の熱可塑性樹脂フィルムをそのガラス転移温度以上に加熱して軟化させるとともに、同じく加熱されたスタンパの突起を樹脂に押圧して加圧変形させ、それらを冷却して離型した後に、突起と基板との間の残膜を酸素の反応性イオンエッチングで除去して基板表面を出し、基板と樹脂とを引き剥がして貫通孔を形成させる工法である。
【0004】
また、図9(a)に示すような針状突起を有する金型を用いて樹脂フィルムを押圧することにより微細な貫通孔を明ける精密機械加工法がある。
【0005】
さらに、貫通孔を有する微細構造成形体の製造方法として、例えば、特許文献1に、PET,PES,PC,PI等の高分子材料からなるフィルムにレーザ光を照射して穿孔加工を施すことを特徴とする微細粒子分級用フィルターの製造方法が提案されている。
【0006】
特許文献2には、複数の貫通孔が形成されている基板の前記各貫通孔に対して、所定の透光性及び所定の粘度を有しかつ硬化可能な液状のレンズ材料を滴下又は噴射し、前記各貫通孔に前記レンズ材料を位置させて各マイクロレンズを製造するマイクロレンズアレイの製造方法が提案されている。そして、明細書に、貫通孔は、そのサイズに応じて、超精密切削加工、レーザ加工、集束イオンビーム加工、レーザエッチング加工、マイクロ放電加工、電子ビーム描画等により明けることができると記載されている。
【0007】
また、特許文献3に、電鋳加工し微細金型として利用可能な樹脂層中に傾斜した側壁を有する高精度な3次元微細構造体を、簡易なX線露光システムにより、安価に大量生産できる方法が提供されている。特許文献4に、樹脂にエンボス加工を施し、エンボス加工された凹部底を化学エッチング又はレーザによるアブレーション処理を行って貫通孔を形成し薄膜ミクロフィルタを製造する製造方法が提案されている。
【0008】
特許文献5には、プラスチックフィルムを針剣山ロールと圧縮空気吹き出し口との間隙に置き、該フィルムに圧縮空気を吹き付けて針剣山ロールに押し付け、針によって連続的に微細孔を加工する方法であって、針根元径が1mm以下で、プラスチックフィルムに設けられた開口部の平均径が500μm以下となるプラスチックフィルム用微細孔加工設備が提案されている。
【0009】
特許文献6には、帯状のシート、特にプラスチックシートを穿孔するための、一対のローラを有する装置が記載されている。このローラ対は、その外周面に対して半径方向に設けられたニードルを有するニードル付ローラと、該ニードル付ローラとの接触状態に保持される対向ローラとからなっており、該対向ローラの外周面が、各ニードルの先端部の針入を可能にするライニング、例えば弾性的な外側層を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10-118569号公報
【特許文献2】特開2003-4909号公報
【特許文献3】特開2008-89617号公報
【特許文献4】特表2002-533236号公報
【特許文献5】特開2004-344986号公報
【特許文献6】特表平11-508830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
微細孔を有する樹脂シートを工業的に作製する上で重要なことは、微細孔の形状精度(真円度、孔の直径、形状又は深さ、バリやヒケの無いこと)、微細孔の形状の自由度(深さ、直径、孔の形状)、スタンパ突起の耐久性(磨耗、折損、変形)、歩留まりや成形サイクルタイムなどの生産性又は経済性である。そして、医療用途や電気・電子材料用途においては、様々な特性を有する様々な種類の樹脂材料(熱可塑性、熱硬化性、UV硬化性などの種別と耐熱性、機械的強度などの諸物性)が用途に応じて使用され、また、単一ではなく高精度の多数の微細孔を有する大面積のものが求められる傾向にある。このため、多様な種類又は各種厚さの樹脂シートであって、大面積にわたり微細な貫通孔が均一に形成される寸法精度及び形状精度に優れた微細貫通孔成形方法が求められている。
【0012】
このような要求に対して、射出成形法は、生産性が高いが、金型内には20MPa以上の高圧が作用し、しかも金型内におかれた突起には、樹脂が金型に充填される際に高いせん断力が作用するので、突起状のピンが磨耗、折損、倒壊などを生じやすくその耐久性に問題がある。また、突起の廻りを樹脂が流動する時のウエルドラインが発生しやすい。ピンの耐久性の問題から、直径が数百μm以下の孔を明けるには無理がある。そして、金型の孔とピンとの勘合部に樹脂が侵入し、バリが出やすいと同時に残膜が残って完全な貫通孔を明けるのが容易でないという問題がある。さらに、成形品として得られる厚さは0.3mm以上であり、均一な微細孔を有する薄く大面積の樹脂シート状の成形体を得ることが困難であるいう問題がある。
【0013】
熱式インプリント法は、図8(b)に示すように、ガラス転移点の近辺で加熱軟化された固体状の熱可塑性樹脂フィルムを突起で加圧変形させるために、極めて大きな加圧力を要し、スタンパの突起の先端の磨耗、ヘタリや折損を生じやすい。また、図8(c)に示す残膜を酸素の反応性イオンエッチングで除去するためには、高価な設備と余分の工程時間を必要とするため、生産性が低く、設備が高価になるという問題がある。さらに、固体状の樹脂を常温からガラス転移温度まで、金型からの伝熱で加熱するためには数分台の長い時間を要し生産性が低いという問題がある。
【0014】
金型の微細突起で常温の固体状の樹脂フィルムを穿孔する場合は、図9(b)、(c)に示すように、微細な貫通孔を明けるのが容易でなく、バリが発生しやすいという問題がある。特に剛性の低い樹脂が加工対象である場合は、貫通孔を明けるのが困難であるという問題がある。
【0015】
特許文献1〜3に記載されたレーザ、X線あるいは電子線等を利用して微細な貫通孔を明ける方法は、大がかりな設備を要する他に、円錐等の断面形状が変化する貫通孔を明けるのが困難であるという問題がある。特に大面積のシート樹脂に穿孔するためには、孔の数に比例して多大の時間を要する。特許文献4に記載されたホットエンボス加工法は、特許文献4に記載するようにアブレーション処理が必要になる、剛性の低い樹脂フィルムには貫通孔を明けることができない、金型の寿命が短い、あるいは、金型の加熱・冷却に時間を要し生産性が悪い等の問題がある。
【0016】
特許文献5及び特許文献6に示された方法は、上記精密機械加工法の場合と同様に、固体状のシートあるいはフィルム等の固体樹脂に孔を明ける方法であり、加熱していないシートに孔を明けるものであるから、孔明け部位にバリが発生しやすく、孔のエッジ部が丸くなりやすく形状精度が出ないという問題がある。また、固体樹脂が伸び変形する場合は孔が明き難く、部分的に孔のない部分が発生するという問題がある。特許文献5に示されるように、風圧で固体樹脂シートを剣山ロールに押し付ける場合には、対象面積に均等に風圧をかけることが困難であるので精密な孔あけには向かないという問題がある。
【0017】
さらに、特許文献5及び特許文献6に示す方法にあっては、孔の形状がスタンパの突起の形状に制約され、その先端が針状でない円柱状あるいは台形状の孔はあけることはできないという問題がある。また、スタンパの突起先端部分には大きな応力が作用するから、磨耗、ヘタリ等が発生しやすく、孔の直径と深さの比(アスペクト比)が1を超える場合、あるいは高弾性の固体樹脂を加工する場合は、スタンパの突起の座屈強度が問題となる。例えば、直径100μm、高さ1mmといった高アスペクト比の針状突起により孔明け加工をすると、針状突起は座屈破壊する可能性が高い。また、回転するローラ上で穿孔しているので、突起のフィルムへの挿入方向と抜出方向に微傾斜が生じ、フィルムの相対角度が変化し、突起の形状を忠実に孔の形状に転写させることができないという問題がある。
【0018】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、針状、円錐あるいは台形状等種々の形状の貫通孔を明けることができ、バリや穴底の丸まりや形状不良がほとんど無く、形状・寸法精度に優れ、大面積にわたり均一な性状の微細孔を有する樹脂シートを製造する方法を提案することを目的とする。また、金型の突起部の磨耗、折損や座屈破壊を生じる可能性が低くかつ金型の寿命が長く、貫通孔を有する樹脂シートを効率的に製造することができる製造方法を提案することを目的とする。さらには、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず多様な材質の樹脂シートを穿孔できる適用範囲の広い樹脂シートの微細貫通孔成形方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る樹脂シートの微細貫通孔成形方法は、微細突起を有する加熱されたスタンパ上に樹脂シートを供給する段階と、前記樹脂シート上に溶融樹脂媒体を供給する段階と、前記溶融樹脂媒体を介して軟化した前記樹脂シートを押圧し、前記微細突起によりその樹脂シートを穿孔する段階と、前記溶融樹脂媒体及び前記樹脂シートを押圧しつつ冷却する段階と、固化した前記溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートを前記スタンパから剥離する段階と、前記加工された樹脂シートと前記固化した溶融樹脂媒体とを剥離する段階と、を有している。
【0020】
上記発明において、樹脂シートが熱可塑性樹脂である場合には、前記溶融樹脂媒体は、その融点Tbmが前記樹脂シートの融点Tpmに対しTbm≦Tpmであるのがよく、溶融樹脂媒体を前記樹脂シート上に供給する温度Tbfは、Tbm<Tbf≦Tpmであるのがよい。なお、上記各温度及び以下に示す温度は、℃温度を示す。
【0021】
また、上記発明において、固化した溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートの前記スタンパからの剥離は、そのスタンパの温度を調整することにより行うことができる。そして、そのスタンパの温度調整は、前記スタンパの温度に対する前記樹脂シートと前記スタンパとの付着力特性と、前記溶融樹脂媒体の温度に対する前記溶融樹脂媒体とその溶融樹脂媒体を押圧するために用いられる押圧部材との付着力特性に基づいて行うのがよく、固化した溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートの前記スタンパから剥離する剥離温度Tseは、Tse≦Tbm-10 であるのがよい。
【0022】
また、上記発明において、溶融樹脂媒体は、Tダイから吐出される溶融樹脂媒体を塗布することにより供給されるのがよい。
【0023】
微細突起は、円錐、角錐、円柱、半球状の先端を有する円柱、円錐状の先端を有する円柱、または、角錐状の先端を有する円錐又は角錐形状をしており、高さが1μm〜3mm、断面の平均径がφ1μm〜φ1mmであるものとすることができる。
【0024】
樹脂シートは厚さが1μm〜1mm、前記溶融樹脂媒体は厚さが50μm〜3mm、前記微細突起は高さが前記樹脂シートの厚さを越え前記樹脂シートと前記溶融樹脂媒体の厚さの和未満であるものとすることができる。
【0025】
また、溶融樹脂媒体の材質は、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフイン樹脂、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリエチレン・ナフタレート樹脂・ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、メタクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、または、ポリオキシメチレン樹脂であるものを使用することができる。
【0026】
樹脂シートの材質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド・イミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフイン樹脂、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリエチレン・ナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、メタクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、または、ポリオキシメチレン樹脂であるものを使用することができる。
【0027】
このような発明は、以下の微細構造転写成形装置により好適に実施することができる。すなわち、本発明に係る微細構造転写成形装置は、貫通孔を有する微細構造成形体を製造するプレス式の微細構造転写成形装置であって、温度調整手段を有する下金型と、前記下金型に対向して上下動し、温度調整手段を有する上金型と、前記下金型に設置される微細突起部を有するスタンパと、前記微細構造成形体を形成させる樹脂シートを前記スタンパ上に供給する素材供給装置と、前記樹脂シート上に溶融樹脂媒体を供給する媒体供給装置と、を有する。
【0028】
上記微細構造転写成形装置に係る発明において、媒体供給装置は、前記樹脂シート上に供給される溶融樹脂媒体が、その樹脂シートの厚さに対して所定の厚さに供給されるように調整する厚さ調整手段を有するのがよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、種々の断面形状をした微細な貫通孔を有し、バリや穴底の丸まりや形状不良がほとんど無い高品質の樹脂シートを製造することができる。また、大面積にわたり均一な性状の微細孔を有する樹脂シートを製造することができる。また、本発明は、スタンパの寿命を長く、スタンパの微細突起部の座屈破壊の恐れを少なくすることができ、微細な貫通孔を有する樹脂シートを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る樹脂シートの微細貫通孔成形方法を説明する概念図である。
【図2】図1に示す発明において使用される各種微細突起を有するスタンパの例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る樹脂シートの微細貫通孔成形方法の各工程を示す説明図である。
【図4】溶融樹脂媒体を供給するTダイ本体部分の説明図である。
【図5】穿孔加工された樹脂シートをスタンパから剥離する方法を説明する模式図である。
【図6】実施例において使用したスタンパの微細突起の形状を示す説明図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【図8】他の従来技術の説明図である。
【図9】他の従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係る樹脂シートの微細貫通孔成形方法を説明する概念図である。本樹脂シートの微細貫通孔成形方法は、図1に示すように、微細突起35を有する加熱されたスタンパ30の上に溶融樹脂媒体55を付着させた樹脂シート50が装着された状態において(a)、溶融樹脂媒体55を介して樹脂シート50を押圧すること(b)によって微細な貫通孔を樹脂シート50に明けることを特徴とする。これにより、本微細貫通孔成形方法は、微細突起35を損傷させることなく樹脂シート50を最適な状態で穿孔することができ、高精度の貫通孔を明けることができる。
【0032】
本微細貫通孔成形方法において、溶融樹脂媒体55は、所定の温度に保持され適度の圧縮性と流動性を有する粘弾性体である。そして、この溶融樹脂媒体55は、金属に比べて二倍以上の定圧比熱と1/100以下の低い熱伝導率を有するため、樹脂シート50を穿孔するのに最適な軟化状態にすることができる。また、この溶融樹脂媒体55は、樹脂シート50の穿孔の際に、補強部材、緩衝部材としての機能を発揮するので、樹脂シート50が剛性の低い樹脂であっても又薄い樹脂であっても高精度の貫通孔を明けることができ、スタンパ30の微細突起35の損傷を防ぎ摩耗を抑制することができる。
【0033】
溶融樹脂媒体55は、樹脂シート50が薄く剛性が低い場合にはその剛性を確保するために必要に応じて所要の厚さにされ、また、樹脂シート50を貫通した微細突起35がその内部に保持され微細突起35の先端部の損傷が防止できる程度の厚さにされるのがよい。このため、溶融樹脂媒体55の供給においては、その厚さが高い精度で制御できることが好ましい。
【0034】
溶融樹脂媒体55は、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、環状ポリオレフイン樹脂、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリエチレン・ナフタレート樹脂・ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、熱可塑性エラストマー樹脂、メタクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、または、ポリオキシメチレン樹脂を使用することができる。
【0035】
樹脂シート50は、上述のように、剛性の低い樹脂であっても又薄い樹脂であってもよい。例えば、厚さが数μm〜1mmの樹脂シートであってもよい。また、樹脂シート50は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
【0036】
樹脂シート50は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド・イミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフイン樹脂(COP)、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリエチレン・ナフタレート樹脂(PEN)、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、メタクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、または、ポリオキシメチレン樹脂を使用することができる。
【0037】
スタンパ30は、公知のものを使用することができる。しかしながら、スタンパ30の微細突起35は、円錐、角錐、円柱、半球状の先端を有する円柱、円錐状の先端を有する円柱、または、角錐状の先端を有する円錐又は角錐形状等の種々の形状にすることができる。例えば、微細突起35は、図2に示すように、円筒又は角柱状(a)、円錐又は角錐状(b)、円筒又は角柱であって先端部が砲弾状(c)又は槍状(d)、円錐台又は角錐台(e)、あるいは図2(b)の特殊な形状((f)、(g))にすることができ、さらに(g)のように貫通孔の他に同時に微細凹凸を形成させるような形状のものなどの種々の形状にすることができる。
【0038】
微細突起35は、高さが1μm〜3mm、断面の平均径がφ1μm〜φ1mmのものを使用することができる。また、微細突起35は、直径100μm、高さ1mmといった高アスペクト比のものも使用することができる。なお、微細突起35の先端部の損傷を防止するために、微細突起35の高さは、樹脂シート50の厚さを越え樹脂シート50と溶融樹脂媒体55の厚さの和未満とするのがよい。
【0039】
スタンパ30の加熱温度は、樹脂シート50上への溶融樹脂媒体55の供給温度を考慮し、樹脂シート50が穿孔加工を行うのに最適な軟化状態になっているように選択される。このため、樹脂シート50が熱可塑性樹脂である場合には、溶融樹脂媒体55は、その融点Tbmが樹脂シートの融点Tpmに対しTbm≦Tpmであるものを使用するのがよい。そして、溶融樹脂媒体55を樹脂シート50上に供給する温度Tbfは、Tbm<Tbf≦Tpmであるようにするのがよい。
【0040】
樹脂シート50の穿孔加工を行うのに最適な軟化状態は、樹脂シート50の熱変形温度試験(荷重たわみ温度試験:JIS K7191-2又はASTM D648、ビカット軟化温度試験:JIS K7206)に基づいて求めることができる。この求められた樹脂シート50の穿孔加工温度が保持されるように、スタンパ30の加熱温度Tss及び溶融樹脂媒体55の供給温度Tbfが選択される。スタンパ30の加熱温度Tssは、樹脂シート50の溶融又は過度の軟化を防止するため樹脂シート50の融点Tpmより10℃以上、かつできるだけ低い温度であるのがよい。溶融樹脂媒体55の供給温度Tbfは、樹脂シート50の熱変形温度より高いのがよい。なお、上記熱変形試験においていずれの方法を使用するかは、使用される樹脂シート又は溶融樹脂媒体の種類及び特性を考慮して決められる。
【0041】
溶融樹脂媒体55を介して樹脂シート50を押圧する方法は、特に限定されない。しかしながら、詳細については以下に説明するが、図1に示すように、下金型10に保持されたスタンパ30及びスタンパ30上に装着された樹脂シート50及び溶融樹脂媒体55を、下金型10及び上金型20間で押圧するのがよい。これにより、溶融樹脂媒体55の粘弾性特性と相まって、広い面積を高圧で均一に押圧することができる。
【0042】
上記に説明した本樹脂シートの微細貫通孔成形方法は、図3に模式的に示すプレス式の微細構造転写成形装置により好適に実施することができる。この微細構造転写成形装置は、図3(a)に示すように、温度調整手段を有する下金型10と、下金型10に対向して上下動し、温度調整手段を有する上金型20と、下金型10に設置される微細突起部35を有するスタンパ30と、微細構造成形体を形成させる樹脂シート50をスタンパ30上に供給する素材供給装置(図示せず)と、樹脂シート50上に溶融樹脂媒体55を供給する媒体供給装置40(図3(b))と、を有する。
【0043】
本微細構造転写成形装置において、下金型10及び上金型20は公知のものを使用することができ、スタンパ30は上述の構成を有するものを使用することができる。媒体供給装置40は、図4に示すようなTダイ本体を有するTダイ式の媒体供給装置を使用するのがよい。すなわち、Tダイ本体は、所要の温度の溶融樹脂媒体を樹脂溜部に貯留しており、Tダイ吐出口を有する口唇部からフィルム状の溶融樹脂媒体を吐出することができる。これにより、樹脂シート50上に所要厚さの溶融樹脂媒体55を供給(塗布)することができる。
【0044】
素材供給装置は、特に限定されないが、必要に応じて樹脂シート50をスタンパ30上の所定位置に供給することができるものであればよい。なお、この素材供給装置には、以下に説明する上金型20に付着されてスタンパ30から剥離された貫通孔加工済みの樹脂シート及び固化した溶融樹脂媒体を上金型20から剥離する剥離治具を付設することができる。
【0045】
本樹脂シートの微細貫通孔成形方法は、上記微細構造転写成形装置により以下のように実施される。すなわち、本樹脂シートの微細貫通孔成形方法は、図3に示すように、微細突起を有する加熱されたスタンパ30上に樹脂シート50を供給する段階(a)と、樹脂シート50上に溶融樹脂媒体55を供給する段階(b)と、溶融樹脂媒体55を介して軟化した樹脂シート50を押圧し、微細突起35によりその樹脂シート50を穿孔する段階(c)と、溶融樹脂媒体55及び樹脂シート50を押圧しつつ冷却する段階(c)と、固化した溶融樹脂媒体57及び貫通孔成形済みの加工された樹脂シート53をスタンパ30から剥離する段階(d)と、加工された樹脂シート53と固化した溶融樹脂媒体57とを剥離する段階(f)と、を有している。
【0046】
上記微細貫通孔成形方法において、微細な貫通孔を樹脂シート50に穿孔する例について説明したが、スタンパ30に微細突起35の他に貫通孔を有しない微細構造(通常の微細構造)を設けることができ、樹脂シート50に通常の微細構造と貫通孔が形成された微細構造成形体を製造することができる。また、微細構造が形成された樹脂シートは、損傷を受け又は歪みを生じやすいので、加工された樹脂シート53は、図3(d)に示すように、固化した溶融樹脂媒体57とともにスタンパ30から剥離するのがよい。なお、スタンパ30から剥離された加工済みの樹脂シート53及び固化した溶融樹脂媒体57は、図3(d)に示す状態で加工された樹脂シート53と固化した溶融樹脂媒体57を剥離してもよく、図3(e)に示す状態で加工された樹脂シート53及び固化した溶融樹脂媒体57を一旦上金型20から剥離した後に、加工された樹脂シート53と固化した溶融樹脂媒体57を剥離(図3(f))してもよい。
【0047】
溶融樹脂媒体55を樹脂シート50上に供給するには、図3(b)に示すTダイ式の媒体供給装置40を使用するのがよく、これにより溶融樹脂媒体55の厚さを容易に所要の厚さに制御することができる。すなわち、Tダイ吐出口と既に樹脂シート50上に塗布された溶融樹脂媒体55との間隙を数十μm〜数十mmに設定するとともに、Tダイ吐出口から吐出される溶融樹脂の吐出速度及びTダイ吐出口の水平方向移動速度を制御することにより、樹脂シート50上に塗布する溶融樹脂媒体55の厚さを制御することができる。溶融樹脂媒体55の厚さを高精度で制御するには上記隙間を小さくするのがよい。しかしながら、微細突起の強度、樹脂シート50及び溶融樹脂媒体55の特性を考慮し、図3(b)に示すように大きい隙間を確保して溶融樹脂媒体55を樹脂シート50上に塗布することができる。
【0048】
本微細貫通孔成形方法において、スタンパの加熱温度をどのように設定するかが重要であることを説明した。例えば、樹脂シート50がPP(ポリプロピレン)であり、溶融樹脂媒体55がLDPE(低密度ポリエチレン)である場合の溶融樹脂媒体55の供給温度Tbfは、ポリプロピレンの融点Tpm(150〜175℃)、低密度ポリエチレンの融点Tbm(98〜115℃)を考慮して130℃とする。スタンパ30の加熱温度Tssは、140℃とする。
【0049】
一方、樹脂シート50が熱硬化性のエポキシ樹脂であり、溶融樹脂媒体55がPMMA(アクリル樹脂)であれば、溶融樹脂媒体55の供給温度Tbfは、エポキシ樹脂に融点はなく400℃以上の熱分解温度を有しエポキシ樹脂の熱変形温度が107〜260℃である点を考慮して、260℃とする。スタンパ30の加熱温度Tssは、アクリル樹脂の粘弾性特性を考慮して150〜170℃とする。
【0050】
また、穿孔加工された樹脂シート53をスタンパ30から剥離する際のスタンパ30の冷却温度も重要である。スタンパ30の冷却温度を調整することにより、上金型20と下金型10が開かれたとき、図3(e)に示すように加工された樹脂シート53と固化した溶融樹脂媒体57が一体になった状態でスタンパ30から加工された樹脂シート53が剥離されるようにすることができる。これにより、貫通孔又は微細構造に歪みや損傷のない微細構造体を得ることができる。
【0051】
この加工された樹脂シート53のスタンパ30からの剥離は、樹脂の金属等への付着力がその温度によって特徴的な様子を示すことを利用している。すなわち、加工された樹脂シート53の冷却途中におけるスタンパ30との付着力特性、固化した溶融樹脂媒体57の冷却途中における上金型20との付着力特性に基づいて、穿孔加工された樹脂シート50をスタンパ30から剥離するときのスタンパ30の冷却温度を設定することによって行われる。
【0052】
このスタンパ30の冷却温度の設定は、以下のように行われる。例えば、樹脂シート及び溶融樹脂媒体が図5に示す特性を有する場合について説明する。図5において、実線は樹脂シート50として使用される樹脂イの特性(A及びa)、一点鎖線は溶融樹脂媒体55として使用される樹脂ロの特性(B及びb)を示す。A又はB曲線は各樹脂の剛性の温度変化を示し、a曲線は樹脂イのスタンパ30との付着力の温度変化、b曲線は樹脂ロの上金型20との付着力の温度変化を示す。また、図中のTpmは樹脂イの融点、Tbmは樹脂ロの融点を示す。
【0053】
樹脂イ又は樹脂ロの付着力は、図5に示すように、一定の温度で著しく高いがその温度の前後では低いという特性を有する。温度Tseは樹脂イの付着力が最大を示す温度であるが、この温度Tseにおいて樹脂イの付着力は低く、温度Tse以上の高温で軟化していた樹脂イ及びロの剛性は高くなっている(樹脂イ及びロの常温の剛性に近い剛性)。従って、スタンパ30の温度がTseのときに金型を開くならば、加工された樹脂シート53を損傷や歪みを生じさせることなく、固化した溶融樹脂媒体57と一体に上金型20に付着した状態で安全にスタンパ30から剥離することができる。樹脂シート53の剥離温度Tseは樹脂ロ(溶融樹脂媒体)の融点Tbmより10℃以下であるのがよい。すなわち、Tse≦Tbm-10 であるのがよい。なお、スタンパ30の温度制御は下金型10の温度制御により行われる。また、樹脂の付着力特性を考慮して、固化した溶融樹脂媒体57及び加工済みの樹脂シート53が上金型20に付着するように、下金型10及び上金型20をそれぞれ個別に温度制御できるようにすることができる。
【実施例1】
【0054】
図3に示す微細構造転写成形装置を用いて樹脂シートに微細貫通孔を成形させる試験を行った。試験条件を表1〜2に示す。表1は、試験した樹脂シートの種類・特性、溶融樹脂媒体の種類・特性を示す。表2は、樹脂シート又はこれに塗布した溶融樹脂媒体の厚さ、押圧力、スタンパの加熱温度及び微細突起の形状等の試験条件を示す。図6(a)に本試験で使用したスタンパの微細突起の形状を示す。
【0055】
試験した樹脂シートは、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフイン(COP)、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)の樹脂シートであった。試験した溶融樹脂媒体は、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)の溶融樹脂であった。
【0056】
試験結果を表3に示す。表3に示す穿孔加工寸法は、加工された樹脂シートを固化した溶融樹脂媒体から剥離し製品の状態になったときの貫通孔の寸法(図6(b))を示す。表2に示す微細突起の形状と表3に示す穿孔加工寸法を比較すると、本発明によれば微細な貫通孔を高精度で明けることができることが分かる。また、表2に示すように、本発明において押圧力は、10MPa程度以下の低い圧力でよいことが分かる。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【符号の説明】
【0060】
10 下金型
20 上金型
30 スタンパ
35 微細突起
40 媒体供給装置
50 樹脂シート
53 加工された樹脂シート
55 溶融樹脂媒体
57 固化した溶融樹脂媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細突起を有する加熱されたスタンパ上に樹脂シートを供給する段階と、
前記樹脂シート上に溶融樹脂媒体を供給する段階と、
前記溶融樹脂媒体を介して軟化した前記樹脂シートを押圧し、前記微細突起によりその樹脂シートを穿孔する段階と、
前記溶融樹脂媒体及び前記樹脂シートを押圧しつつ冷却する段階と、
固化した前記溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートを前記スタンパから剥離する段階と、
前記加工された樹脂シートと前記固化した溶融樹脂媒体とを剥離する段階と、を有する樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項2】
前記樹脂シートが熱可塑性樹脂である場合において、前記溶融樹脂媒体は、その融点Tbmが前記樹脂シートの融点Tpmに対しTbm≦Tpmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項3】
前記樹脂シートが熱可塑性樹脂である場合において、前記溶融樹脂媒体を前記樹脂シート上に供給する温度Tbfは、Tbm<Tbf≦Tpmであることを特徴とする請求項2に記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項4】
前記固化した溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートの前記スタンパからの剥離は、そのスタンパの温度を調整することにより行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項5】
前記スタンパの温度調整は、前記スタンパの温度に対する前記樹脂シートと前記スタンパとの付着力特性と、前記溶融樹脂媒体の温度に対する前記溶融樹脂媒体とその溶融樹脂媒体を押圧するために用いられる押圧部材との付着力特性に基づいて行われることを特徴とする請求項4に記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項6】
前記固化した溶融樹脂媒体及び前記加工された樹脂シートの前記スタンパから剥離する剥離温度Tseは、Tse≦Tbm-10 であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項7】
前記溶融樹脂媒体は、Tダイから吐出される溶融樹脂媒体を塗布することにより供給されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項8】
前記微細突起は、円錐、角錐、円柱、半球状の先端を有する円柱、円錐状の先端を有する円柱、または、角錐状の先端を有する円錐又は角錐形状をしており、高さが1μm〜3mm、断面の平均径がφ1μm〜φ1mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項9】
前記樹脂シートは厚さが1μm〜1mm、前記溶融樹脂媒体は厚さが50μm〜3mm、前記微細突起は高さが前記樹脂シートの厚さを越え前記樹脂シートと前記溶融樹脂媒体の厚さの和未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項10】
前記溶融樹脂媒体の材質は、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフイン樹脂、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリエチレン・ナフタレート樹脂・ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、メタクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、または、ポリオキシメチレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項11】
前記樹脂シートの材質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド・イミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフイン樹脂、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリエチレン・ナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、メタクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、または、ポリオキシメチレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂シートの微細貫通孔成形方法。
【請求項12】
貫通孔を有する微細構造成形体を製造するプレス式の微細構造転写成形装置であって、
温度調整手段を有する下金型と、
前記下金型に対向して上下動し、温度調整手段を有する上金型と、
前記下金型に設置される微細突起部を有するスタンパと、
前記微細構造成形体を形成させる樹脂シートを前記スタンパ上に供給する素材供給装置と、
前記樹脂シート上に溶融樹脂媒体を供給する媒体供給装置と、を有する微細構造転写成形装置。
【請求項13】
前記媒体供給装置は、前記樹脂シート上に供給される溶融樹脂媒体が、その樹脂シートの厚さに対して所定の厚さに供給されるように調整する厚さ調整手段を有することを特徴とする請求項12に記載の微細構造転写成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−62765(P2011−62765A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214163(P2009−214163)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】