洗浄処理装置
【課題】洗浄処理液の洗浄処理槽内流れを上向きとし、下向きの流れを最小にすると共に、整流板及び拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を明確にし、液流のバラツキをリアルタイムにモニターできる手段を具備した洗浄処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄処理装置は、上方向に流れる洗浄処理液を貯留する洗浄処理槽と、該洗浄処理槽内底部に洗浄処理液を流通させる小孔が面内に配列された整流板と、該洗浄処理液供給口の上方と該整流板の下方の位置に洗浄処理液を流通させる小孔が面内に配列された拡散板と、を備えている。さらに、本発明の洗浄処理装置は、洗浄処理槽内壁面に一本ないし複数本の細糸が固定されることにより、洗浄処理槽内壁面近傍の液流が可視化される整流モニター機構を有し、液流のバラツキをリアルタイムにモニターできる手段を設けている。
【解決手段】本発明の洗浄処理装置は、上方向に流れる洗浄処理液を貯留する洗浄処理槽と、該洗浄処理槽内底部に洗浄処理液を流通させる小孔が面内に配列された整流板と、該洗浄処理液供給口の上方と該整流板の下方の位置に洗浄処理液を流通させる小孔が面内に配列された拡散板と、を備えている。さらに、本発明の洗浄処理装置は、洗浄処理槽内壁面に一本ないし複数本の細糸が固定されることにより、洗浄処理槽内壁面近傍の液流が可視化される整流モニター機構を有し、液流のバラツキをリアルタイムにモニターできる手段を設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶表示装置及び半導体素子及びプラズマディスプレイ等の電子デバイス製造工程においては、被処理体の表面に付着したパーティクル、有機汚染物、金属汚染物等のコンタミネーションあるいは表面に形成された自然酸化膜等を除去するために洗浄処理装置が使用されている。従来のオーバーフロー型ウェット洗浄処理装置においては、洗浄処理における界面活性剤あるいは超純水等の洗浄処理液を洗浄処理槽内の下方から上方に供給し、一方、洗浄処理槽内の液流を上向きの層流とすることを目的に槽内に多数の小孔を有する整流板を設置し、その上に被処理体を保持したキャリアを載せた構造のものがあった。ここで上方及び上向きとは物体が重力により自然落下する方向の逆方向のことである。そのような構造の洗浄処理装置は、例えば特許文献1に開示されている。従来は、整流板には小孔が一様に空けられていたが、特許文献1は、整流板内の被処理体に近い部分の小孔を他の部分の小孔より大きくし、また、複数の整流板を配置して、洗浄処理槽の下方から上方に向かう一様な層流を形成し、被処理体を均一に洗浄しようとするものである。また、特許文献1においては洗浄装置内における純水の流動状況を観察する方法としてポリスチレン製の粒子を純水中に混ぜると共に、アルゴンレーザを用いてポリスチレン粒子の挙動を観察する方法を用いている。
【0003】
特許文献2には、整流板と供給口の上方に配置した拡散板とで構成した整流手段を具備した洗浄処理装置において、洗浄処理液の阻流壁を形成することにより、処理槽内を上昇する洗浄処理液に乱流が起こるのを防止することができることが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を互いに隣接する整流板間で相互にずらせたことにより、洗浄処理液の整流化に寄与することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平4−56321号公報
【特許文献2】特開平6−333907号公報
【特許文献3】特開平7−161677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗浄処理装置において、整流板を設置せずに洗浄処理槽底面中央から洗浄処理液を下方から上方へ流通させ、被処理体を浸漬し洗浄処理を行った場合、洗浄処理槽中心付近の液流と洗浄処理槽壁面付近の液流が部分的に逆流になるという問題があった。その為、被処理体表面から剥がれたパーティクル等の汚染が、逆流により被処理体表面に再度運ばれ、被処理体表面に再付着するという問題があった。
【0007】
逆流が発生する問題を解決する為に、特許文献1〜3において、整流板及び拡散板を洗浄槽底部に設置することにより、洗浄処理槽の下方から上方に向かう一様な液流を形成させ、被処理体表面から剥がれたパーティクル等の汚染を効率的に洗浄処理槽外に排出する手段が開示されている。しかしながら、このような洗浄処理装置において、整流板及び拡散板の開口率と液流のバラツキの関係が明確でない為、洗浄処理槽の形状を変化させると、整流板及び拡散板を設置しても洗浄処理槽の下方から上方に向かう一様な液流を形成させることができないという問題があった。ここで開口率とは整流板及び拡散板の面積に対する小孔の面積の総和をパーセンテージで表したものである。また、液流のバラツキとは式1に示す通り、後述する観測方法で洗浄槽内の任意の複数点で観測した流速の標準偏差σのことである。流れの向きが槽の上方へ向かう場合をプラスとし、流れが下向きの場合をマイナスとして標準偏差すなわち液流のバラツキを求めた。
【0008】
【数1】
【0009】
また、特許文献1においては、洗浄装置内における純水の流動状況を観察する方法としてポリスチレン製の粒子を純水中に混ぜると共に、アルゴンレーザを用いてポリスチレン粒子の挙動を観察する方法を用いているが、流動状況を観測する為の時間が掛かり、実際の製造ラインにおける流動状況を把握することが困難であるという問題があった。
【0010】
一方、特許文献3において、整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を互いに隣接する整流板間で相互にずらせたことにより、洗浄処理液の整流化に寄与することが開示されているが、相互にずらす事の具体的な手法が明らかになっていないという問題があった。
【0011】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、洗浄処理液の洗浄処理槽内流れを上向きの流れとし、下向きの流れを最小にすると共に、整流板及び拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を明確にし、液流のバラツキを実際の製造ラインにおいてリアルタイムにモニターできる手段を具備した洗浄処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る洗浄処理装置は、例えば液晶表示装置の液晶セルの全体または一部を被処理体とするものであって、上方向に流れる洗浄処理液を貯留し、当該洗浄処理液に被処理体が浸漬される洗浄処理槽と、洗浄処理槽の洗浄処理液面からオーバーフローして排出される洗浄処理液を回収する洗浄処理液受け皿と、洗浄処理槽の供給口へ洗浄処理液を供給するポンプと、被処理体を充填した洗浄バスケットを洗浄処理槽間搬送ロボットアームが保持し洗浄処理槽中に吊るす機構と、を有し、洗浄処理槽内底部の洗浄処理液供給口にそれぞれ洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔が面内に配列された1枚もしくは複数枚の整流板と、上記供給口の上方と上記整流板の下方に位置する、それぞれ洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔が面内に配列された拡散板と、を有し、洗浄処理槽内壁面に整流モニター機構を一箇所ないし複数箇所有していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る整流モニター機構は、洗浄処理槽内壁面に一本ないし複数本の細糸が固定されることにより、洗浄処理槽内壁面近傍の液流が可視化される機構を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る洗浄処理装置の整流板は、洗浄処理槽底面の面積と同等もしくはそれ以下の面積を有する整流板Aと、上記整流板Aの一方面と接した、洗浄処理槽底面の面積から洗浄バスケット底面の面積分を差し引いた面積を有する整流板Bと、槽底面へ固定もしくは接触させて配置する為の整流板取付け脚と、を有し、洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔は正方形格子の格子点に配置されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る洗浄処理装置の整流板上に設けた洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔は、例えば、直径5mmの円形小孔が配列され、小孔を正方形格子の各交点に配置する配列パターンにおいて、小孔の配列ピッチは中心間隔で12mmに設定されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る洗浄処理装置の整流板Bは、洗浄槽の直方体の長辺と同等の横幅を有する長辺側整流板と、直方体の短辺と同等の横幅を有する短辺側整流板とを有していることを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明に係る洗浄処理槽は、洗浄処理液がオーバーフローして排出される面が開放された、立方体または長方形の形状を有している。前記した長辺側整流板及び短辺側整流板は、それぞれ洗浄処理槽底面の長辺方向および短辺方向に配置された整流板を示す。
【0018】
本発明に係る洗浄処理装置の長辺側整流板と短辺側整流板は、整流板Aの一方面と接し長辺及び短辺側整流板を整流板Aに対してスライドさせ、両整流板それぞれに設けられた小孔のオーバーラップ部分によって形成される小孔の面積を可変とするスライド機構とを有していることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る洗浄処理装置の長辺側整流板と短辺側整流板のスライドによって形成される整流板Aとのオーバーラップ部分によって形成される小孔の開口率は、望ましくは、12%から8%の範囲内であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る洗浄処理装置の拡散板は、整流板の下側に供給口の上に重なるように取付けることができ、供給口と拡散板間の高さを調整できる機構を有し、洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔は同心円状に配置されることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る洗浄処理装置の拡散板の小孔は、小孔を流通する洗浄処理液をせき止める役割を担う物体で塞がれる機構と、この物体の取付け及び取外しによって拡散板の開口率を変えることのできる機構を有していることを特徴とする。この物体は例えば小孔と同径のネジやゴム栓やその他の物質である。
【0022】
本発明に係る洗浄処理装置の拡散板に設けられる小孔の開口率は、望ましくは、20%から14%の範囲内であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、洗浄処理槽内の整流板及び拡散板と洗浄処理液面との間の洗浄処理液の流れを上向きの流れにし、下向きの流れを最小にすることができる。これにより、被処理体から遊離した汚染物質が速やかに洗浄処理液面から排出され、被処理体への再付着が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、本発明の洗浄処理装置を液晶セルの洗浄処理装置に適用した場合について説明する。なお、実施の形態を説明する為の全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0025】
さらに、以下の実施の形態では、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、とくに明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示したとき及び原理的に明らかに特定の数に限定されるときを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップなどを含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0026】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合を除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。このことは、上記数値及び範囲についても同様である。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明による洗浄処理装置の第一実施例の概略構造を示す断面図である。当該洗浄処理装置は、液晶セル9を洗浄処理槽16の底面に対して垂直に設置する図示しないカセットを最大で6列2段設置する洗浄バスケット5と、当該洗浄バスケット5を浸漬して液晶セル9を洗浄するための洗浄処理液を満たした洗浄処理槽16と、洗浄処理槽からオーバーフローした洗浄処理液を回収するための洗浄処理液受け皿19とに、洗浄処理液を供給する為のポンプ35と、洗浄処理槽16への洗浄処理液の流入を制御する為のバルブ34と、洗浄処理液の洗浄処理槽16内の液流を整流化する為の整流板3,4及び拡散板2と、洗浄処理槽16内の液流をモニターする為の整流モニター機構6とから構成される。尚、図示しないが、当該洗浄処理装置はこれらの構成に加えて、洗浄処理液の温度を調節するための機能部や被処理体からの汚染物質剥離促進のための超音波印加機能部を有していても構わない。また、洗浄バスケット5は洗浄バスケット吊り下げ部33に洗浄処理槽間搬送ロボットアーム14で支持され、洗浄処理槽16内に吊るされた状態で保持される。さらに、洗浄バスケット5は液晶セル9が洗浄された後に、洗浄処理槽間搬送ロボットアーム14で引き上げられ、図示しない他の洗浄処理装置もしくは図示しない他の工程の処理装置へと搬送される。
【0028】
図1中に示した矢印は洗浄処理液の液流を示しており、洗浄処理液供給口1から供給された洗浄処理液は洗浄処理槽16の上方へ向かって噴出され、各液晶セル9間を通り、洗浄処理液面15付近へ達した洗浄処理液は矢印17に示すように洗浄処理槽16からオーバーフローし、洗浄処理液受け皿19でオーバーフローした洗浄処理液が回収されるようになっている。
【0029】
図2は本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す分解斜視図である。整流板A 3は洗浄バスケット5の下方に整流板取付け脚7に高さ調整ナット8で固定して取付ける。上記整流板取付け脚7の表面と高さ調整ナット8の内側にネジ山を施しておき、相互にオスネジ及びメスネジの関係にする。この際、高さ調整ナット8を二つ用いて整流板A 3を挟み込む構造で固定するか、整流板A 3の下側だけに高さ調整ナット8を一つ用いて整流板A 3を置く構造にするかはどちらでも良い。また、ここでは図3に示すように、整流板取付け脚7は4本を洗浄処理槽の四隅に配置するように設置したが、整流板が液流によって動かなければどの様な設置方法を取っても良い。さらに、整流板A 3の上側(洗浄処理液面15側)にそれぞれの一方面と接して短辺側整流板4a及び長辺側整流板4bを設置する。短辺側整流板4a及び長辺側整流板4bはそれぞれ短辺側整流板開口率調整ネジ10aと短辺側整流板開口率調整ナット10b、長辺側整流板開口率調整ネジ12aと長辺側整流板開口率調整ナット12bで整流板A 3上に設置される。さらに、拡散板2は整流板A 3の下側に拡散板取付け脚11aと拡散板高さ調整ナット11bを用いて洗浄処理液供給口1の上に重なるように設置される。また、ここでは図4に示すように、拡散板取付け脚11aは4本を拡散板の外周の4点に配置するように設置したが、拡散板が液流によって動かず且つ液流の妨げにならなければどの様な設置方法を取っても良い。
【0030】
図5は本発明による拡散板2と拡散板取付け脚11aと拡散板高さ調整ナット11bとの詳細な取付け方法を図示したものである。拡散板2の下側から拡散板取付け脚11aを押え板11cとワッシャ11dと共に差し込み、拡散板2の上側から拡散板高さ調整ナット11bと押え板11cとワッシャ11dとに拡散板取付け脚11aの脚部分を通し、拡散板2と拡散板取付け脚11aを固定する。他の拡散板取付け脚11aも同様に取付ける。上記拡散板取付け脚11aの表面と拡散板高さ調整ナット11bの内側にネジ山を施しておき、相互にオスネジ及びメスネジの関係にする。
【0031】
図6は本発明による整流板A 3と拡散板2及び拡散板取付け脚11aの取付け態様を示す拡大断面図である。拡散板2と拡散板取付け脚11aとを取付けた上記部品を整流板A 3の下側に、拡散板高さ調整ナット11bと押え板11cとワッシャ11dの3個の部品を2セット用い、整流板A 3を挟み込む構造で拡散板取付け脚11aを通して固定する。他の拡散板取付け脚11aも同様に取付ける。この際、拡散板取付け脚11aの脚部分の長さ分だけ整流板A 3と拡散板2との間の距離を可変にできる。また、拡散板取付け脚11aの脚部分の径を洗浄処理液流通小孔20に通すことができる大きさにしておけば、洗浄処理液供給口1の位置が変化しても、拡散板2の取付け位置をそれに合わせて対応できる。
【0032】
以下に請求項6に示した、拡散板のそれぞれに設けた小孔を塞ぐことにより、拡散板の開口率を変化させる構造について図示して説明する。
【0033】
図7は第一実施例における開口率20%の拡散板2を示す平面図である。ここで拡散板2は例えば円形のものを示すが、その他に正方形や長方形や三角形やひし形などでも良い。洗浄処理液流通小孔20は拡散板2の中心と外周との同心円状に配置させる。その関係は以下の通りである。拡散板2の半径をRとし、Rを4等分し1/4R、2/4R、3/4Rの半径の同心円上に洗浄処理液流通小孔20を設ける。1/4Rと2/4Rの円上には円周を8等分する配置で洗浄処理液流通小孔20を設け、3/4Rの円上には円周を16等分する配置で洗浄処理液流通小孔20を設けた。但し、拡散板取付け脚11aのヘッド部分が同心円上にある場合は、洗浄処理液流通小孔20を設けない。ここで、洗浄処理液流通小孔20の形状は例えば円状のものを示すが、その他に正方形や長方形や三角形やひし形などでも良い。本発明においては円状孔直径4mmのものを上記同心円状に配置させる。開口率は前述の通り整流板及び拡散板の面積に対する孔の面積の総和をパーセンテージで表したものである。従って、本実施例においては拡散板2の半径Rを24.5mmとするならば、拡散板の面積は約1885mm2となり、洗浄処理液流通小孔20の面積の総和は約377 mm2となる。つまり拡散板の開口率は約20%と表すことができる。その他の拡散板の開口率も同様に表すことができる。
【0034】
図8は第一実施例における開口率14%の拡散板を示す平面図である。洗浄処理液流通小孔20の配置は図7で述べた配置と同様である。ここでは洗浄処理液流通小孔20に拡散板開口率調整ネジ21をはめる事により開口率が14%となるように調整する。拡散板開口率調整ネジ21はここでは便宜上ネジと呼んでいるが、洗浄処理液流通小孔20を通過する洗浄処理液の液流をせき止める役割をする物体であり、且つ洗浄処理液に浸食されず洗浄処理液中にパーティクル等の汚染物質を撒き散らさない物体であればどの様なものでも良い。例えばこのような条件を満たす物体として、ステンレス製のネジが挙げられる。
【0035】
図9は第一実施例における開口率8%の拡散板を示す平面図である。洗浄処理液流通小孔20の配置は小孔の中心と中心を正方形格子状の1点として各頂点に合計8個配置し、また小孔の中心と拡散板取付け脚11aのヘッド部分との間を結ぶ線から±45度の角度で、かつ上記正方形格子状に配置した小孔の中心から15mmの位置に配置される。
【0036】
図10は第一実施例における開口率40%の拡散板を示す平面図である。洗浄処理液流通四角小孔24の形状は一辺が2mmの正四角形をしており、各四角小孔の中心と他方の四角小孔の中心との間隔は4mmにすることにより開口率が40%に設定される。
【0037】
以下に請求項3に示した、整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を整流板間で相互にずらせることにより、整流板の開口率を可変とする構造を図示して説明する。
【0038】
図11は第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大断面図である。整流板A 3と整流板B 4が互いの一方の面同士を接して、短辺側整流板開口率調整ネジ10a及び長辺側整流板開口率調整ネジ12aと、短辺側整流板開口率調整ナット10b及び長辺側整流板開口率調整ナット12bとで挟み込んで設置されている。この際、整流板A側洗浄処理液流通小孔20aと整流板B側洗浄処理液流通小孔20bが重ね合わせて設置することにより、整流板全面の開口率が12%に設定される。矢印25は開口率12%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す。整流板A側洗浄処理液流通小孔20aと整流板B側洗浄処理液流通小孔20bが重ね合わせて設置されていることにより、小孔を流通する液流は洗浄処理液自身の粘度以外の影響を受けないことがわかる。洗浄処理槽内全体の液流としては、整流板の小孔を施していない部分の抵抗を受け、全ての液流が小孔と流通して洗浄処理液面15方向である上向きへ流れる。
【0039】
図12は第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大断面図である。本図は上述の図11の断面図から、整流板B 4をスライドした事により、整流板B 4上全ての小孔の開口率で50%になるように設置されている。スライドさせた整流板B 4は短辺側整流板4aと長辺側整流板4bの各2枚で合計4枚である。この4枚の整流板を小孔の面積で50%になるようにスライドさせることにより、整流板全体の開口率としては10%として設置されている。つまり4枚の整流板以外の部分は洗浄バスケット5の下に対応する領域であり、その領域の小孔の開口率を100%とし、4枚の整流板で遮蔽した領域の小孔の開口率を50%として、小孔の総面積を求め、整流板の総面積に占める割合を算出すると整流板全体の開口率としては10%となる。矢印26は開口率10%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す。
【0040】
図13は第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大断面図である。本図は上述の図12の断面図から、整流板B 4をスライドした事により、整流板B 4上全ての小孔の開口率で0%になるように設置されている。これにより、洗浄処理液は整流板B 4の小孔を流通できない状態になる。スライドさせた整流板B 4は短辺側整流板4aと長辺側整流板4bの各2枚で合計4枚である。この4枚の整流板を小孔の面積で0%になるようにスライドさせることにより、整流板全体の開口率としては8%として設置されている。つまり4枚の整流板以外の部分は洗浄バスケット5の下に対応する領域であり、その領域の小孔の開口率を100%とし、4枚の整流板で遮蔽した領域の小孔の開口率を0%として、小孔の総面積を求め、整流板の総面積に占める割合を算出すると整流板全体の開口率としては8%となる。矢印27は開口率8%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す。
【0041】
図14は第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大平面図である。本図は図11の断面状態図を平面図に置き換えたものであり、整流板B 4の短辺側整流板4aと長辺側整流板4bのスライドさせる前の状態を示している。短辺側整流板4aは短辺側整流板開口率調整隙間29において短辺側整流板開口率調整ネジ10aを用いて整流板A 3に固定されている。長辺側整流板4bは長辺側整流板開口率調整隙間28において長辺側整流板開口率調整ネジ12aを用いて整流板A 3に固定されている。
【0042】
図15は第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大平面図である。本図は図12の断面状態図を平面図に置き換えたものであり、整流板B 4の短辺側整流板4aと長辺側整流板4bを整流板B 4上全ての小孔に対して50%の開口率になるようにスライドさせた状態を示している。短辺側整流板4aは短辺側整流板開口率調整隙間29において短辺側整流板開口率調整ネジ10aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して50%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度短辺側整流板開口率調整ネジ10aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。長辺側整流板4bは長辺側整流板開口率調整隙間28において長辺側整流板開口率調整ネジ12aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して50%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度長辺側整流板開口率調整ネジ12aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。
【0043】
図16は第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大平面図である。本図は図13の断面状態図を平面図に置き換えたものであり、整流板B 4の短辺側整流板4aと長辺側整流板4bを整流板B 4上全ての小孔に対して0%の開口率になるようにスライドさせた状態を示している。短辺側整流板4aは短辺側整流板開口率調整隙間29において短辺側整流板開口率調整ネジ10aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して0%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度短辺側整流板開口率調整ネジ10aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。長辺側整流板4bは長辺側整流板開口率調整隙間28において長辺側整流板開口率調整ネジ12aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して0%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度長辺側整流板開口率調整ネジ12aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。
【0044】
整流板A 3及び整流板B 4は、例えば数mm程度の比較的薄い厚みに形成される。さらに、整流板A 3及び整流板B 4は、洗浄処理液内にて劣化や水圧による変形を生じない材料で構成される。これらの観点から、本装置の整流板A 3及び整流板B 4は耐食性を有したステンレス鋼で形成される。
【0045】
整流板A 3及び整流板B 4に設けられる一様な小孔の大きさは、例えば、直径5mmの円形小孔が配列される。例えば、小孔を正方形格子の各交点に配置する配列パターンにおいて、小孔の配列ピッチは中心間隔で12mmに設定される。
上記装置構成において、好適な条件の決定に際しては、洗浄処理槽16にミルクを注入する方法により、洗浄処理槽内の流れを可視化し、これを観察することによって、洗浄処理槽16内の液流のバラツキを前述の式1より求めた。
【0046】
以下に請求項7に示した拡散板の開口率が20%から14%の範囲内であることの技術的意義について図示して説明する。
【0047】
図19は本発明による整流板開口率10%における拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。本関係において、拡散板の開口率100%の条件とは従来槽における拡散板を設置せずに開口率10%の整流板のみを設置した条件である。例えば、その条件の洗浄処理槽の流れを図17に示す。また、拡散板の開口率40%の条件とは図10に示した拡散板を設置し、開口率10%の整流板を設置した洗浄処理槽のことである。同様に、拡散板の開口率20%の条件とは図7に示した拡散板を設置した条件であり、拡散板の開口率14%の条件とは図8に示した拡散板を設置した条件であり、拡散板の開口率8%の条件とは図9に示した拡散板を設置した条件である。これらの各条件において、上述の流れの可視化により液流のバラツキを求めグラフ化したものが図19である。上記条件の洗浄処理槽内の液流を検討した結果、液流のバラツキが10以下の拡散板の開口率が22%から0%の時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが小さくになっている。この為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が増大し、異物の被処理体への再付着確率が減少する。液流のバラツキが10より大きい場合は、洗浄処理槽内に下向きの液流が多く発生する為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が減少し、異物の被処理体への再付着確率が増大する。より好ましくは、整流度合い8.5以下の拡散板の開口率が20%から14%の時が望ましい。なぜなら、この時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが最小になっていることが本実験により明らかになっているからである。つまり、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が最大となり、異物の被処理体への再付着確率が最小となる。
【0048】
以下に請求項4に示した整流板の開口率が12%から8%の範囲内であることの技術的意義について図示して説明する。
【0049】
図20は本発明による拡散板開口率20%における整流板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。本関係において、整流板の開口率100%の条件とは従来槽における整流板を設置せずに開口率20%の拡散板のみを設置した条件である。また、整流板の開口率12%の条件とは図11に示した整流板を設置し、開口率20%の拡散板を設置した洗浄処理槽のことである。同様に、整流板の開口率10%の条件とは図12に示した整流板を設置した条件であり、整流板の開口率8%の条件とは図13に示した整流板を設置した条件である。これらの各条件において、上述の流れの可視化により液流のバラツキを求めグラフ化したものが図20である。上記条件の洗浄処理槽内の液流を検討した結果、液流のバラツキが10以下の整流板の開口率が20%から6%の時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが小さくになっている。この為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が増大し、異物の被処理体への再付着確率が減少する。液流のバラツキが10より大きい場合は、洗浄処理槽内に下向きの液流が多く発生する為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が減少し、異物の被処理体への再付着確率が増大する。より好ましくは、整流度合い8.5以下の拡散板の開口率が12%から8%の時が望ましい。なぜなら、この時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが最小になっていることが本実験により明らかになっているからである。つまり、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が最大となり、異物の被処理体への再付着確率が最小となる。
【実施例2】
【0050】
図18は本発明による洗浄処理装置の第二実施例の概略構造を示す断面図である。装置構成は上記第一実施例と同等である。整流板B 4を洗浄処理液面15方向へ可変させ、整流板の開口率と液流のバラツキを観測した。その結果、従来槽に対して洗浄処理槽内の液流は、上向きの流れが多くなり下向きの流れが少なくなった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による洗浄処理装置の第一実施例の概略構造を示す断面図である。
【図2】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す分解斜視図である。
【図3】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す概略斜視図である。
【図4】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明による拡散板と取付け脚の取付け態様を示す分解斜視図である。
【図6】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す拡大断面図である。
【図7】第一実施例における開口率20%の拡散板を示す平面図である。
【図8】第一実施例における開口率14%の拡散板を示す平面図である。
【図9】第一実施例における開口率8%の拡散板を示す平面図である。
【図10】第一実施例における開口率40%の拡散板を示す平面図である。
【図11】第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大断面図である。
【図12】第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大断面図である。
【図13】第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大断面図である。
【図14】第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大平面図である。
【図15】第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大平面図である。
【図16】第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大平面図である。
【図17】従来の洗浄処理装置を示す断面図である。
【図18】本発明による洗浄処理装置の第二実施例の概略構造を示す断面図である。
【図19】本発明による整流板開口率10%における拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。
【図20】本発明による拡散板開口率20%における整流板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1…洗浄処理液供給口、2…拡散板、3…整流板A、4…整流板B、4a…短辺側整流板、4b…長辺側整流板、5…洗浄バスケット、6…整流モニター機構、7…整流板取付け脚、8…高さ調整ナット、9…液晶セル、10a…短辺側整流板開口率調整ネジ、10b…短辺側整流板開口率調整ナット、11a…拡散板取付け脚、11b…拡散板高さ調整ナット、11c…押え板、11d…ワッシャ、12a…長辺側整流板開口率調整ネジ、12b…長辺側整流板開口率調整ナット、13…液晶セル固定棒、14…洗浄処理槽間搬送ロボットアーム、15…洗浄処理液面、16…洗浄処理槽、17…洗浄処理液のオーバーフローの様子を示す矢印、18…洗浄処理液の供給口における液流の様子を示す矢印、19…洗浄処理液受け皿、20…洗浄処理液流通小孔、20a…整流板A側洗浄処理液流通小孔、20b…整流板B側洗浄処理液流通小孔、21…拡散板開口率調整ネジ、22…開口率8%拡散板、23…開口率40%拡散板、24…洗浄処理液流通四角小孔、25…開口率12%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す矢印、26…開口率10%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す矢印、27…開口率8%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す矢印、28…長辺側整流板開口率調整隙間、29…短辺側整流板開口率調整隙間、30…従来槽における壁面付近の液流の様子を示す矢印、31…従来槽における液晶セル付近の液流の様子を示す矢印、32…第二実施例における壁面付近の液流の様子を示す矢印、33…洗浄バスケット吊り下げ部、34…液流調整バルブ流量計、35…ポンプ。
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶表示装置及び半導体素子及びプラズマディスプレイ等の電子デバイス製造工程においては、被処理体の表面に付着したパーティクル、有機汚染物、金属汚染物等のコンタミネーションあるいは表面に形成された自然酸化膜等を除去するために洗浄処理装置が使用されている。従来のオーバーフロー型ウェット洗浄処理装置においては、洗浄処理における界面活性剤あるいは超純水等の洗浄処理液を洗浄処理槽内の下方から上方に供給し、一方、洗浄処理槽内の液流を上向きの層流とすることを目的に槽内に多数の小孔を有する整流板を設置し、その上に被処理体を保持したキャリアを載せた構造のものがあった。ここで上方及び上向きとは物体が重力により自然落下する方向の逆方向のことである。そのような構造の洗浄処理装置は、例えば特許文献1に開示されている。従来は、整流板には小孔が一様に空けられていたが、特許文献1は、整流板内の被処理体に近い部分の小孔を他の部分の小孔より大きくし、また、複数の整流板を配置して、洗浄処理槽の下方から上方に向かう一様な層流を形成し、被処理体を均一に洗浄しようとするものである。また、特許文献1においては洗浄装置内における純水の流動状況を観察する方法としてポリスチレン製の粒子を純水中に混ぜると共に、アルゴンレーザを用いてポリスチレン粒子の挙動を観察する方法を用いている。
【0003】
特許文献2には、整流板と供給口の上方に配置した拡散板とで構成した整流手段を具備した洗浄処理装置において、洗浄処理液の阻流壁を形成することにより、処理槽内を上昇する洗浄処理液に乱流が起こるのを防止することができることが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を互いに隣接する整流板間で相互にずらせたことにより、洗浄処理液の整流化に寄与することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平4−56321号公報
【特許文献2】特開平6−333907号公報
【特許文献3】特開平7−161677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗浄処理装置において、整流板を設置せずに洗浄処理槽底面中央から洗浄処理液を下方から上方へ流通させ、被処理体を浸漬し洗浄処理を行った場合、洗浄処理槽中心付近の液流と洗浄処理槽壁面付近の液流が部分的に逆流になるという問題があった。その為、被処理体表面から剥がれたパーティクル等の汚染が、逆流により被処理体表面に再度運ばれ、被処理体表面に再付着するという問題があった。
【0007】
逆流が発生する問題を解決する為に、特許文献1〜3において、整流板及び拡散板を洗浄槽底部に設置することにより、洗浄処理槽の下方から上方に向かう一様な液流を形成させ、被処理体表面から剥がれたパーティクル等の汚染を効率的に洗浄処理槽外に排出する手段が開示されている。しかしながら、このような洗浄処理装置において、整流板及び拡散板の開口率と液流のバラツキの関係が明確でない為、洗浄処理槽の形状を変化させると、整流板及び拡散板を設置しても洗浄処理槽の下方から上方に向かう一様な液流を形成させることができないという問題があった。ここで開口率とは整流板及び拡散板の面積に対する小孔の面積の総和をパーセンテージで表したものである。また、液流のバラツキとは式1に示す通り、後述する観測方法で洗浄槽内の任意の複数点で観測した流速の標準偏差σのことである。流れの向きが槽の上方へ向かう場合をプラスとし、流れが下向きの場合をマイナスとして標準偏差すなわち液流のバラツキを求めた。
【0008】
【数1】
【0009】
また、特許文献1においては、洗浄装置内における純水の流動状況を観察する方法としてポリスチレン製の粒子を純水中に混ぜると共に、アルゴンレーザを用いてポリスチレン粒子の挙動を観察する方法を用いているが、流動状況を観測する為の時間が掛かり、実際の製造ラインにおける流動状況を把握することが困難であるという問題があった。
【0010】
一方、特許文献3において、整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を互いに隣接する整流板間で相互にずらせたことにより、洗浄処理液の整流化に寄与することが開示されているが、相互にずらす事の具体的な手法が明らかになっていないという問題があった。
【0011】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、洗浄処理液の洗浄処理槽内流れを上向きの流れとし、下向きの流れを最小にすると共に、整流板及び拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を明確にし、液流のバラツキを実際の製造ラインにおいてリアルタイムにモニターできる手段を具備した洗浄処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る洗浄処理装置は、例えば液晶表示装置の液晶セルの全体または一部を被処理体とするものであって、上方向に流れる洗浄処理液を貯留し、当該洗浄処理液に被処理体が浸漬される洗浄処理槽と、洗浄処理槽の洗浄処理液面からオーバーフローして排出される洗浄処理液を回収する洗浄処理液受け皿と、洗浄処理槽の供給口へ洗浄処理液を供給するポンプと、被処理体を充填した洗浄バスケットを洗浄処理槽間搬送ロボットアームが保持し洗浄処理槽中に吊るす機構と、を有し、洗浄処理槽内底部の洗浄処理液供給口にそれぞれ洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔が面内に配列された1枚もしくは複数枚の整流板と、上記供給口の上方と上記整流板の下方に位置する、それぞれ洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔が面内に配列された拡散板と、を有し、洗浄処理槽内壁面に整流モニター機構を一箇所ないし複数箇所有していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る整流モニター機構は、洗浄処理槽内壁面に一本ないし複数本の細糸が固定されることにより、洗浄処理槽内壁面近傍の液流が可視化される機構を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る洗浄処理装置の整流板は、洗浄処理槽底面の面積と同等もしくはそれ以下の面積を有する整流板Aと、上記整流板Aの一方面と接した、洗浄処理槽底面の面積から洗浄バスケット底面の面積分を差し引いた面積を有する整流板Bと、槽底面へ固定もしくは接触させて配置する為の整流板取付け脚と、を有し、洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔は正方形格子の格子点に配置されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る洗浄処理装置の整流板上に設けた洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔は、例えば、直径5mmの円形小孔が配列され、小孔を正方形格子の各交点に配置する配列パターンにおいて、小孔の配列ピッチは中心間隔で12mmに設定されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る洗浄処理装置の整流板Bは、洗浄槽の直方体の長辺と同等の横幅を有する長辺側整流板と、直方体の短辺と同等の横幅を有する短辺側整流板とを有していることを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明に係る洗浄処理槽は、洗浄処理液がオーバーフローして排出される面が開放された、立方体または長方形の形状を有している。前記した長辺側整流板及び短辺側整流板は、それぞれ洗浄処理槽底面の長辺方向および短辺方向に配置された整流板を示す。
【0018】
本発明に係る洗浄処理装置の長辺側整流板と短辺側整流板は、整流板Aの一方面と接し長辺及び短辺側整流板を整流板Aに対してスライドさせ、両整流板それぞれに設けられた小孔のオーバーラップ部分によって形成される小孔の面積を可変とするスライド機構とを有していることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る洗浄処理装置の長辺側整流板と短辺側整流板のスライドによって形成される整流板Aとのオーバーラップ部分によって形成される小孔の開口率は、望ましくは、12%から8%の範囲内であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る洗浄処理装置の拡散板は、整流板の下側に供給口の上に重なるように取付けることができ、供給口と拡散板間の高さを調整できる機構を有し、洗浄処理液を流通させる1個もしくは複数の小孔は同心円状に配置されることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る洗浄処理装置の拡散板の小孔は、小孔を流通する洗浄処理液をせき止める役割を担う物体で塞がれる機構と、この物体の取付け及び取外しによって拡散板の開口率を変えることのできる機構を有していることを特徴とする。この物体は例えば小孔と同径のネジやゴム栓やその他の物質である。
【0022】
本発明に係る洗浄処理装置の拡散板に設けられる小孔の開口率は、望ましくは、20%から14%の範囲内であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、洗浄処理槽内の整流板及び拡散板と洗浄処理液面との間の洗浄処理液の流れを上向きの流れにし、下向きの流れを最小にすることができる。これにより、被処理体から遊離した汚染物質が速やかに洗浄処理液面から排出され、被処理体への再付着が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、本発明の洗浄処理装置を液晶セルの洗浄処理装置に適用した場合について説明する。なお、実施の形態を説明する為の全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0025】
さらに、以下の実施の形態では、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、とくに明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示したとき及び原理的に明らかに特定の数に限定されるときを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップなどを含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0026】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合を除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。このことは、上記数値及び範囲についても同様である。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明による洗浄処理装置の第一実施例の概略構造を示す断面図である。当該洗浄処理装置は、液晶セル9を洗浄処理槽16の底面に対して垂直に設置する図示しないカセットを最大で6列2段設置する洗浄バスケット5と、当該洗浄バスケット5を浸漬して液晶セル9を洗浄するための洗浄処理液を満たした洗浄処理槽16と、洗浄処理槽からオーバーフローした洗浄処理液を回収するための洗浄処理液受け皿19とに、洗浄処理液を供給する為のポンプ35と、洗浄処理槽16への洗浄処理液の流入を制御する為のバルブ34と、洗浄処理液の洗浄処理槽16内の液流を整流化する為の整流板3,4及び拡散板2と、洗浄処理槽16内の液流をモニターする為の整流モニター機構6とから構成される。尚、図示しないが、当該洗浄処理装置はこれらの構成に加えて、洗浄処理液の温度を調節するための機能部や被処理体からの汚染物質剥離促進のための超音波印加機能部を有していても構わない。また、洗浄バスケット5は洗浄バスケット吊り下げ部33に洗浄処理槽間搬送ロボットアーム14で支持され、洗浄処理槽16内に吊るされた状態で保持される。さらに、洗浄バスケット5は液晶セル9が洗浄された後に、洗浄処理槽間搬送ロボットアーム14で引き上げられ、図示しない他の洗浄処理装置もしくは図示しない他の工程の処理装置へと搬送される。
【0028】
図1中に示した矢印は洗浄処理液の液流を示しており、洗浄処理液供給口1から供給された洗浄処理液は洗浄処理槽16の上方へ向かって噴出され、各液晶セル9間を通り、洗浄処理液面15付近へ達した洗浄処理液は矢印17に示すように洗浄処理槽16からオーバーフローし、洗浄処理液受け皿19でオーバーフローした洗浄処理液が回収されるようになっている。
【0029】
図2は本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す分解斜視図である。整流板A 3は洗浄バスケット5の下方に整流板取付け脚7に高さ調整ナット8で固定して取付ける。上記整流板取付け脚7の表面と高さ調整ナット8の内側にネジ山を施しておき、相互にオスネジ及びメスネジの関係にする。この際、高さ調整ナット8を二つ用いて整流板A 3を挟み込む構造で固定するか、整流板A 3の下側だけに高さ調整ナット8を一つ用いて整流板A 3を置く構造にするかはどちらでも良い。また、ここでは図3に示すように、整流板取付け脚7は4本を洗浄処理槽の四隅に配置するように設置したが、整流板が液流によって動かなければどの様な設置方法を取っても良い。さらに、整流板A 3の上側(洗浄処理液面15側)にそれぞれの一方面と接して短辺側整流板4a及び長辺側整流板4bを設置する。短辺側整流板4a及び長辺側整流板4bはそれぞれ短辺側整流板開口率調整ネジ10aと短辺側整流板開口率調整ナット10b、長辺側整流板開口率調整ネジ12aと長辺側整流板開口率調整ナット12bで整流板A 3上に設置される。さらに、拡散板2は整流板A 3の下側に拡散板取付け脚11aと拡散板高さ調整ナット11bを用いて洗浄処理液供給口1の上に重なるように設置される。また、ここでは図4に示すように、拡散板取付け脚11aは4本を拡散板の外周の4点に配置するように設置したが、拡散板が液流によって動かず且つ液流の妨げにならなければどの様な設置方法を取っても良い。
【0030】
図5は本発明による拡散板2と拡散板取付け脚11aと拡散板高さ調整ナット11bとの詳細な取付け方法を図示したものである。拡散板2の下側から拡散板取付け脚11aを押え板11cとワッシャ11dと共に差し込み、拡散板2の上側から拡散板高さ調整ナット11bと押え板11cとワッシャ11dとに拡散板取付け脚11aの脚部分を通し、拡散板2と拡散板取付け脚11aを固定する。他の拡散板取付け脚11aも同様に取付ける。上記拡散板取付け脚11aの表面と拡散板高さ調整ナット11bの内側にネジ山を施しておき、相互にオスネジ及びメスネジの関係にする。
【0031】
図6は本発明による整流板A 3と拡散板2及び拡散板取付け脚11aの取付け態様を示す拡大断面図である。拡散板2と拡散板取付け脚11aとを取付けた上記部品を整流板A 3の下側に、拡散板高さ調整ナット11bと押え板11cとワッシャ11dの3個の部品を2セット用い、整流板A 3を挟み込む構造で拡散板取付け脚11aを通して固定する。他の拡散板取付け脚11aも同様に取付ける。この際、拡散板取付け脚11aの脚部分の長さ分だけ整流板A 3と拡散板2との間の距離を可変にできる。また、拡散板取付け脚11aの脚部分の径を洗浄処理液流通小孔20に通すことができる大きさにしておけば、洗浄処理液供給口1の位置が変化しても、拡散板2の取付け位置をそれに合わせて対応できる。
【0032】
以下に請求項6に示した、拡散板のそれぞれに設けた小孔を塞ぐことにより、拡散板の開口率を変化させる構造について図示して説明する。
【0033】
図7は第一実施例における開口率20%の拡散板2を示す平面図である。ここで拡散板2は例えば円形のものを示すが、その他に正方形や長方形や三角形やひし形などでも良い。洗浄処理液流通小孔20は拡散板2の中心と外周との同心円状に配置させる。その関係は以下の通りである。拡散板2の半径をRとし、Rを4等分し1/4R、2/4R、3/4Rの半径の同心円上に洗浄処理液流通小孔20を設ける。1/4Rと2/4Rの円上には円周を8等分する配置で洗浄処理液流通小孔20を設け、3/4Rの円上には円周を16等分する配置で洗浄処理液流通小孔20を設けた。但し、拡散板取付け脚11aのヘッド部分が同心円上にある場合は、洗浄処理液流通小孔20を設けない。ここで、洗浄処理液流通小孔20の形状は例えば円状のものを示すが、その他に正方形や長方形や三角形やひし形などでも良い。本発明においては円状孔直径4mmのものを上記同心円状に配置させる。開口率は前述の通り整流板及び拡散板の面積に対する孔の面積の総和をパーセンテージで表したものである。従って、本実施例においては拡散板2の半径Rを24.5mmとするならば、拡散板の面積は約1885mm2となり、洗浄処理液流通小孔20の面積の総和は約377 mm2となる。つまり拡散板の開口率は約20%と表すことができる。その他の拡散板の開口率も同様に表すことができる。
【0034】
図8は第一実施例における開口率14%の拡散板を示す平面図である。洗浄処理液流通小孔20の配置は図7で述べた配置と同様である。ここでは洗浄処理液流通小孔20に拡散板開口率調整ネジ21をはめる事により開口率が14%となるように調整する。拡散板開口率調整ネジ21はここでは便宜上ネジと呼んでいるが、洗浄処理液流通小孔20を通過する洗浄処理液の液流をせき止める役割をする物体であり、且つ洗浄処理液に浸食されず洗浄処理液中にパーティクル等の汚染物質を撒き散らさない物体であればどの様なものでも良い。例えばこのような条件を満たす物体として、ステンレス製のネジが挙げられる。
【0035】
図9は第一実施例における開口率8%の拡散板を示す平面図である。洗浄処理液流通小孔20の配置は小孔の中心と中心を正方形格子状の1点として各頂点に合計8個配置し、また小孔の中心と拡散板取付け脚11aのヘッド部分との間を結ぶ線から±45度の角度で、かつ上記正方形格子状に配置した小孔の中心から15mmの位置に配置される。
【0036】
図10は第一実施例における開口率40%の拡散板を示す平面図である。洗浄処理液流通四角小孔24の形状は一辺が2mmの正四角形をしており、各四角小孔の中心と他方の四角小孔の中心との間隔は4mmにすることにより開口率が40%に設定される。
【0037】
以下に請求項3に示した、整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を整流板間で相互にずらせることにより、整流板の開口率を可変とする構造を図示して説明する。
【0038】
図11は第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大断面図である。整流板A 3と整流板B 4が互いの一方の面同士を接して、短辺側整流板開口率調整ネジ10a及び長辺側整流板開口率調整ネジ12aと、短辺側整流板開口率調整ナット10b及び長辺側整流板開口率調整ナット12bとで挟み込んで設置されている。この際、整流板A側洗浄処理液流通小孔20aと整流板B側洗浄処理液流通小孔20bが重ね合わせて設置することにより、整流板全面の開口率が12%に設定される。矢印25は開口率12%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す。整流板A側洗浄処理液流通小孔20aと整流板B側洗浄処理液流通小孔20bが重ね合わせて設置されていることにより、小孔を流通する液流は洗浄処理液自身の粘度以外の影響を受けないことがわかる。洗浄処理槽内全体の液流としては、整流板の小孔を施していない部分の抵抗を受け、全ての液流が小孔と流通して洗浄処理液面15方向である上向きへ流れる。
【0039】
図12は第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大断面図である。本図は上述の図11の断面図から、整流板B 4をスライドした事により、整流板B 4上全ての小孔の開口率で50%になるように設置されている。スライドさせた整流板B 4は短辺側整流板4aと長辺側整流板4bの各2枚で合計4枚である。この4枚の整流板を小孔の面積で50%になるようにスライドさせることにより、整流板全体の開口率としては10%として設置されている。つまり4枚の整流板以外の部分は洗浄バスケット5の下に対応する領域であり、その領域の小孔の開口率を100%とし、4枚の整流板で遮蔽した領域の小孔の開口率を50%として、小孔の総面積を求め、整流板の総面積に占める割合を算出すると整流板全体の開口率としては10%となる。矢印26は開口率10%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す。
【0040】
図13は第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大断面図である。本図は上述の図12の断面図から、整流板B 4をスライドした事により、整流板B 4上全ての小孔の開口率で0%になるように設置されている。これにより、洗浄処理液は整流板B 4の小孔を流通できない状態になる。スライドさせた整流板B 4は短辺側整流板4aと長辺側整流板4bの各2枚で合計4枚である。この4枚の整流板を小孔の面積で0%になるようにスライドさせることにより、整流板全体の開口率としては8%として設置されている。つまり4枚の整流板以外の部分は洗浄バスケット5の下に対応する領域であり、その領域の小孔の開口率を100%とし、4枚の整流板で遮蔽した領域の小孔の開口率を0%として、小孔の総面積を求め、整流板の総面積に占める割合を算出すると整流板全体の開口率としては8%となる。矢印27は開口率8%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す。
【0041】
図14は第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大平面図である。本図は図11の断面状態図を平面図に置き換えたものであり、整流板B 4の短辺側整流板4aと長辺側整流板4bのスライドさせる前の状態を示している。短辺側整流板4aは短辺側整流板開口率調整隙間29において短辺側整流板開口率調整ネジ10aを用いて整流板A 3に固定されている。長辺側整流板4bは長辺側整流板開口率調整隙間28において長辺側整流板開口率調整ネジ12aを用いて整流板A 3に固定されている。
【0042】
図15は第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大平面図である。本図は図12の断面状態図を平面図に置き換えたものであり、整流板B 4の短辺側整流板4aと長辺側整流板4bを整流板B 4上全ての小孔に対して50%の開口率になるようにスライドさせた状態を示している。短辺側整流板4aは短辺側整流板開口率調整隙間29において短辺側整流板開口率調整ネジ10aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して50%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度短辺側整流板開口率調整ネジ10aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。長辺側整流板4bは長辺側整流板開口率調整隙間28において長辺側整流板開口率調整ネジ12aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して50%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度長辺側整流板開口率調整ネジ12aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。
【0043】
図16は第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大平面図である。本図は図13の断面状態図を平面図に置き換えたものであり、整流板B 4の短辺側整流板4aと長辺側整流板4bを整流板B 4上全ての小孔に対して0%の開口率になるようにスライドさせた状態を示している。短辺側整流板4aは短辺側整流板開口率調整隙間29において短辺側整流板開口率調整ネジ10aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して0%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度短辺側整流板開口率調整ネジ10aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。長辺側整流板4bは長辺側整流板開口率調整隙間28において長辺側整流板開口率調整ネジ12aを緩め、整流板B 4上全ての小孔に対して0%の開口率になるようにスライドさせ、もう一度長辺側整流板開口率調整ネジ12aを締め直すことにより整流板A 3に固定されている。
【0044】
整流板A 3及び整流板B 4は、例えば数mm程度の比較的薄い厚みに形成される。さらに、整流板A 3及び整流板B 4は、洗浄処理液内にて劣化や水圧による変形を生じない材料で構成される。これらの観点から、本装置の整流板A 3及び整流板B 4は耐食性を有したステンレス鋼で形成される。
【0045】
整流板A 3及び整流板B 4に設けられる一様な小孔の大きさは、例えば、直径5mmの円形小孔が配列される。例えば、小孔を正方形格子の各交点に配置する配列パターンにおいて、小孔の配列ピッチは中心間隔で12mmに設定される。
上記装置構成において、好適な条件の決定に際しては、洗浄処理槽16にミルクを注入する方法により、洗浄処理槽内の流れを可視化し、これを観察することによって、洗浄処理槽16内の液流のバラツキを前述の式1より求めた。
【0046】
以下に請求項7に示した拡散板の開口率が20%から14%の範囲内であることの技術的意義について図示して説明する。
【0047】
図19は本発明による整流板開口率10%における拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。本関係において、拡散板の開口率100%の条件とは従来槽における拡散板を設置せずに開口率10%の整流板のみを設置した条件である。例えば、その条件の洗浄処理槽の流れを図17に示す。また、拡散板の開口率40%の条件とは図10に示した拡散板を設置し、開口率10%の整流板を設置した洗浄処理槽のことである。同様に、拡散板の開口率20%の条件とは図7に示した拡散板を設置した条件であり、拡散板の開口率14%の条件とは図8に示した拡散板を設置した条件であり、拡散板の開口率8%の条件とは図9に示した拡散板を設置した条件である。これらの各条件において、上述の流れの可視化により液流のバラツキを求めグラフ化したものが図19である。上記条件の洗浄処理槽内の液流を検討した結果、液流のバラツキが10以下の拡散板の開口率が22%から0%の時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが小さくになっている。この為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が増大し、異物の被処理体への再付着確率が減少する。液流のバラツキが10より大きい場合は、洗浄処理槽内に下向きの液流が多く発生する為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が減少し、異物の被処理体への再付着確率が増大する。より好ましくは、整流度合い8.5以下の拡散板の開口率が20%から14%の時が望ましい。なぜなら、この時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが最小になっていることが本実験により明らかになっているからである。つまり、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が最大となり、異物の被処理体への再付着確率が最小となる。
【0048】
以下に請求項4に示した整流板の開口率が12%から8%の範囲内であることの技術的意義について図示して説明する。
【0049】
図20は本発明による拡散板開口率20%における整流板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。本関係において、整流板の開口率100%の条件とは従来槽における整流板を設置せずに開口率20%の拡散板のみを設置した条件である。また、整流板の開口率12%の条件とは図11に示した整流板を設置し、開口率20%の拡散板を設置した洗浄処理槽のことである。同様に、整流板の開口率10%の条件とは図12に示した整流板を設置した条件であり、整流板の開口率8%の条件とは図13に示した整流板を設置した条件である。これらの各条件において、上述の流れの可視化により液流のバラツキを求めグラフ化したものが図20である。上記条件の洗浄処理槽内の液流を検討した結果、液流のバラツキが10以下の整流板の開口率が20%から6%の時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが小さくになっている。この為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が増大し、異物の被処理体への再付着確率が減少する。液流のバラツキが10より大きい場合は、洗浄処理槽内に下向きの液流が多く発生する為、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が減少し、異物の被処理体への再付着確率が増大する。より好ましくは、整流度合い8.5以下の拡散板の開口率が12%から8%の時が望ましい。なぜなら、この時、洗浄処理槽内の液流がほぼ上向きの流れになり、下向きの流れが最小になっていることが本実験により明らかになっているからである。つまり、被処理体表面から遊離したパーティクル等の異物が洗浄処理液面15からオーバーフローし系外に排出される確率が最大となり、異物の被処理体への再付着確率が最小となる。
【実施例2】
【0050】
図18は本発明による洗浄処理装置の第二実施例の概略構造を示す断面図である。装置構成は上記第一実施例と同等である。整流板B 4を洗浄処理液面15方向へ可変させ、整流板の開口率と液流のバラツキを観測した。その結果、従来槽に対して洗浄処理槽内の液流は、上向きの流れが多くなり下向きの流れが少なくなった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による洗浄処理装置の第一実施例の概略構造を示す断面図である。
【図2】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す分解斜視図である。
【図3】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す概略斜視図である。
【図4】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明による拡散板と取付け脚の取付け態様を示す分解斜視図である。
【図6】本発明による整流板と拡散板及び取付け脚の取付け態様を示す拡大断面図である。
【図7】第一実施例における開口率20%の拡散板を示す平面図である。
【図8】第一実施例における開口率14%の拡散板を示す平面図である。
【図9】第一実施例における開口率8%の拡散板を示す平面図である。
【図10】第一実施例における開口率40%の拡散板を示す平面図である。
【図11】第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大断面図である。
【図12】第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大断面図である。
【図13】第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大断面図である。
【図14】第一実施例における開口率12%の整流板を示す拡大平面図である。
【図15】第一実施例における開口率10%の整流板を示す拡大平面図である。
【図16】第一実施例における開口率8%の整流板を示す拡大平面図である。
【図17】従来の洗浄処理装置を示す断面図である。
【図18】本発明による洗浄処理装置の第二実施例の概略構造を示す断面図である。
【図19】本発明による整流板開口率10%における拡散板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。
【図20】本発明による拡散板開口率20%における整流板の開口率と液流のバラツキの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1…洗浄処理液供給口、2…拡散板、3…整流板A、4…整流板B、4a…短辺側整流板、4b…長辺側整流板、5…洗浄バスケット、6…整流モニター機構、7…整流板取付け脚、8…高さ調整ナット、9…液晶セル、10a…短辺側整流板開口率調整ネジ、10b…短辺側整流板開口率調整ナット、11a…拡散板取付け脚、11b…拡散板高さ調整ナット、11c…押え板、11d…ワッシャ、12a…長辺側整流板開口率調整ネジ、12b…長辺側整流板開口率調整ナット、13…液晶セル固定棒、14…洗浄処理槽間搬送ロボットアーム、15…洗浄処理液面、16…洗浄処理槽、17…洗浄処理液のオーバーフローの様子を示す矢印、18…洗浄処理液の供給口における液流の様子を示す矢印、19…洗浄処理液受け皿、20…洗浄処理液流通小孔、20a…整流板A側洗浄処理液流通小孔、20b…整流板B側洗浄処理液流通小孔、21…拡散板開口率調整ネジ、22…開口率8%拡散板、23…開口率40%拡散板、24…洗浄処理液流通四角小孔、25…開口率12%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す矢印、26…開口率10%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す矢印、27…開口率8%整流板における洗浄処理液の液流の様子を示す矢印、28…長辺側整流板開口率調整隙間、29…短辺側整流板開口率調整隙間、30…従来槽における壁面付近の液流の様子を示す矢印、31…従来槽における液晶セル付近の液流の様子を示す矢印、32…第二実施例における壁面付近の液流の様子を示す矢印、33…洗浄バスケット吊り下げ部、34…液流調整バルブ流量計、35…ポンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄処理装置において、洗浄処理槽内底部の洗浄処理液供給口側に、1個もしくは複数の小孔を有する1枚もしくは複数の水平に配置された整流板と、該洗浄処理液供給口の上方と該整流板の下方に位置する、1個もしくは複数の小孔を有する水平に配置された拡散板と、洗浄処理槽内壁面に1個もしくは複数の整流モニター機構を設けたことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項2】
請求項1において、整流板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項3】
請求項2において、該整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を整流板間で相互にずらせることにより、整流板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項4】
請求項3において、整流板の開口率が12%から8%の範囲内であることを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項5】
請求項1または2において、拡散板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項6】
請求項5において、該拡散板のそれぞれに設けた小孔を塞ぐことにより、拡散板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項7】
請求項6において、拡散板の開口率が20%から14%の範囲内であることを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項8】
請求項1において、洗浄処理槽内壁面に一本ないし複数本の細糸が固定されることにより、洗浄処理槽内壁面近傍の液流が可視化される機構を有することを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項1】
洗浄処理装置において、洗浄処理槽内底部の洗浄処理液供給口側に、1個もしくは複数の小孔を有する1枚もしくは複数の水平に配置された整流板と、該洗浄処理液供給口の上方と該整流板の下方に位置する、1個もしくは複数の小孔を有する水平に配置された拡散板と、洗浄処理槽内壁面に1個もしくは複数の整流モニター機構を設けたことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項2】
請求項1において、整流板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項3】
請求項2において、該整流板のそれぞれに設けた小孔の位置を整流板間で相互にずらせることにより、整流板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項4】
請求項3において、整流板の開口率が12%から8%の範囲内であることを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項5】
請求項1または2において、拡散板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項6】
請求項5において、該拡散板のそれぞれに設けた小孔を塞ぐことにより、拡散板の開口率を変化させる構造を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項7】
請求項6において、拡散板の開口率が20%から14%の範囲内であることを特徴とする洗浄処理装置。
【請求項8】
請求項1において、洗浄処理槽内壁面に一本ないし複数本の細糸が固定されることにより、洗浄処理槽内壁面近傍の液流が可視化される機構を有することを特徴とする洗浄処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−66540(P2009−66540A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238670(P2007−238670)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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