説明

洗浄方法、洗浄装置

【課題】単位時間当たりに多数のウェハを洗浄できる洗浄方法及び洗浄装置を提供する。
【解決手段】複数枚の半導体基板を一度に洗浄するバッチ方式の洗浄方法であって、複数枚の半導体基板を所定の間隔で保持した状態で搬送する第1の工程と、複数枚の半導体基板の表面及び裏面ごとに複数本ずつ設けられ、長手方向が表面及び裏面に対して平行に配置されたロールブラシで、複数枚の半導体基板を挟持する第2の工程と、表面及び裏面ごとに設けられた複数本のロールブラシを回転させて、複数枚の半導体基板を洗浄する第3の工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体基板の洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板(以下、ウェハ)の洗浄には、種々の方法が提案されている。例えば、ブラシを用いた洗浄方法、超音波を用いた洗浄方法、洗浄液をスプレする洗浄方法等がある。これら洗浄方法の中でも、ブラシを用いた洗浄方法のパーティクル除去能力が最も優れている。ここで、ブラシを用いた洗浄方法には、ウェハを一枚ずつ洗浄する枚葉方式と、複数枚のウェハを一度に洗浄するバッチ方式とがある。
【0003】
一般に、ウェハを一枚ずつ洗浄する枚葉方式のほうが、複数枚のウェハを一度に洗浄するバッチ方式よりもパーティクル除去能力が高い傾向にある。このため、従来のブラシ洗浄装置では、ウェハを一枚ずつ洗浄する枚葉方式を採用したものが主流となっている。
【0004】
しかしながら、枚葉方式の洗浄装置では、ウェハを一枚ずつ洗浄する上、ウェハの表面及び裏面を片面ずつブラシで洗浄するため単位時間当たりに洗浄できるウェハ枚数が少ない。このため、従来のブラシ洗浄装置には、複数枚のウェハを一度の洗浄するバッチ方式を採用したものがある(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−256207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、枚葉方式を採用した従来のブラシ洗浄装置では、ウェハを一枚ずつ洗浄する上、ウェハの表面、裏面及びベベル部をそれぞれ個別にブラシで洗浄するため単位時間当たりに洗浄できるウェハ枚数が少ないという課題があった。
【0007】
本発明の実施形態は、単位時間当たりに多数のウェハを洗浄できる洗浄方法及び洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の洗浄方法は、複数枚の半導体基板を一度に洗浄するバッチ方式の洗浄方法であって、複数枚の半導体基板を所定の間隔で保持した状態で搬送する第1の工程と、複数枚の半導体基板の表面及び裏面ごとに複数本ずつ設けられ、長手方向が表面及び裏面に対して平行に配置されたロールブラシで、複数枚の半導体基板を挟持する第2の工程と、表面及び裏面ごとに設けられた複数本のロールブラシを回転させて、複数枚の半導体基板を洗浄する第3の工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る洗浄装置の構成図。
【図2】第1の実施形態に係る搬送機構の構成図。
【図3】第1の実施形態に係るブレードの構成図。
【図4】第1の実施形態に係る洗浄ユニットの構成図。
【図5】第1の実施形態に係る洗浄装置内でのウェハの移動の順序を示す図。
【図6】第1の実施形態に係る洗浄装置のウェハの受け渡しを説明する図。
【図7】第1の実施形態に係る洗浄装置のウェハの洗浄を説明する図。
【図8】第1の実施形態に係る洗浄装置のウェハの受け渡しを説明する図。
【図9】第1の実施形態に係る洗浄装置のウェハの乾燥を説明する図。
【図10】第2の実施形態に係る洗浄ユニットの構成図。
【図11】第2の実施形態に係る洗浄装置のウェハの受け渡しを説明する図。
【図12】第2の実施形態に係る洗浄装置のウェハの洗浄を説明する図。
【図13】第2の実施形態に係る洗浄装置のウェハの受け渡しを説明する図。
【図14】その他の実施形態に係る搬送機構の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、各実施形態に係る洗浄装置は、半導体基板W(以下、ウェハWと記載する)の各表面及び裏面に、複数本のロールブラシを当接した状態で回転させ、複数枚のウェハWを一度に洗浄するバッチ方式のブラシ洗浄装置である。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る洗浄装置1(以下、洗浄装置1と記載する)の構成図である。図1(a)は、洗浄装置1の平面図である。図1(b)は、洗浄装置1の右側面図である。以下、図1を参照して、洗浄装置1の構成について説明する。
【0012】
(洗浄装置1の構成)
洗浄装置1は、ロードポート10、搬送機構20(ハンドラ)、第1受渡室30、第2受渡室40、洗浄室50、乾燥室60及び廃液処理室70を備えている。ロードポート10は、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard of Mechanical Interface)など、複数枚(通常、25枚)のウェハWが収納された容器Fの蓋を開閉する。
【0013】
第1受渡室30は、ロードポート10にセットされた容器Fと搬送機構20との間でウェハWの受け渡しを行うための部屋(空間)である。第2受渡室40は、洗浄室50と搬送機構20との間でウェハWの受け渡しを行うための部屋(空間)である。搬送機構20は、第1受渡室30、第2受渡室40及び乾燥室60を移動して、容器Fに収納されたウェハWを洗浄室50及び乾燥室60へ搬送する。
【0014】
洗浄室50では、搬送機構20により搬送される複数枚のウェハWが一括して洗浄される。洗浄室50で洗浄されたウェハWは、搬送機構20により乾燥室60へ搬送される。乾燥室60では、洗浄室50で洗浄されたウェハWが乾燥される。ウェハWは、乾燥室60で乾燥された後、搬送機構20によりロードポート10にセットされた容器F内へ収納される。
【0015】
図2は、搬送機構20の構成図である。図2(a)は、搬送機構20の平面図である。図2(b)は、搬送機構20の側面図である。搬送機構20は、ウェハWを保持するための25枚のブレード201と、25枚のブレード201を支持する支持部材と202とを備える。支持部材202は、駆動機構(図示せず)に連結されており、第1受渡室30、第2受渡室40及び乾燥室60を移動する。なお、ブレード201の枚数は、25枚に限られない。
【0016】
図3は、ブレード201の構成図である。図3(a)は、ブレード201の平面図である。図3(b)は、図3(a)の線分I−Iでの断面図である。以下、図3を参照して、ブレード201の構成について説明する。
【0017】
各ブレード201には、ウェハWを載置するための突起201a(以下、レストピン201aと記載する)が設けられている。ウェハWは、このレストピン201a上に載置される。
【0018】
図4は、洗浄室50内に配置された洗浄ユニットの構成図である。図4(a)は、洗浄室50内に配置された洗浄ユニットの平面図である。図4(b)は、図4(a)の線分I−Iでの断面図である。以下、図4を参照して、洗浄ユニットについて説明する。
【0019】
洗浄室50内には、一度に洗浄するウェハWの枚数(25枚)と同じ数の洗浄ユニットU1〜U25が設けられている。なお、洗浄ユニットU1〜U25の構成は同じである。以下では、洗浄ユニットU25の構成について説明し、他の洗浄ユニットU1〜U24の構成については重複した説明を省略する。
【0020】
洗浄ユニットU25は、ウェハWの表面を洗浄するサブユニットU25aと、ウェハWの裏面を洗浄するサブユニットU25bと、サブユニットU25a,U25bに洗浄液を供給する供給ノズル507a,507b(図示せず)とを備えている。以下、サブユニットU25a,U25bの構成について説明するが、サブユニットU25a,U25bの構成は同じである。以下では、サブユニットU25aの構成について説明し、U25bの構成については重複した説明を省略する。
【0021】
サブユニットU25aは、ウェハWの表面を洗浄する複数本のロールブラシ501と、ロールブラシ501を回転させるモータ502,503、及びモータ502,503の動力をロールブラシ501へ伝達するウォームホイール504及びウォーム505をそれぞれ備える。
【0022】
各ロールブラシ501は、筒状に形成されたスポンジ状の多孔質体であるブラシ体501aと、該ブラシ体501aの中心軸に沿ってブラシ体501a内に挿入された芯体501bとを備える。ブラシ体501aには、PVA(polyvinyl alcohol)やPP(polyvinyl alcohol)等のテフロン系の材料を用いることが好ましい。芯体501bの一端には、ウォームホイール504が取り付けられ、芯体501bの他端側は、洗浄室50の筐体に回転可能に保持されている。
【0023】
また、ブラシ体501aの長さLは、洗浄対象であるウェハWの直径Dよりも長くなっている。ブラシ体501aは、スポンジ状の多孔質体である。このため、ブラシ体501aは、ウェハWのベベル(Bevel)の形状に合わせて変形し、ウェハWのベベルに付着しているパーティクルも効率よく洗浄することができる。
【0024】
なお、ウェハWの洗浄に用いるブラシは、スポンジ状の多孔質体に限られない。例えば、PVAやPP等のテフロン(登録商標)系の材料からなる毛束を上記芯体501bの外周全面に植設したものを用いてもよい。
【0025】
ウォームホイール504は、モータ502,503の回転軸にカプラ506により連結されたウォーム505と螺合している。モータ502,503の回転軸が回転すると、この回転軸にカプラ506により連結されたウォーム505が回転する。ウォーム505が回転すると、ウォーム505に螺合したウォームホイール504が回転してロールブラシ501が回転する。モータ502,503の回転軸の回転方向及び回転速度を変更することで、ロールブラシ501の回転方向及び回転速度も変更することができる。
【0026】
図4(a)に示すように、サブユニットU25aが備える複数本のロールブラシ501は、交互にモータ502とモータ503に駆動されるようになっており、モータ502とモータ503は、それぞれ独立してロールブラシ501を回転させる。つまり、この実施形態では、サブユニットU25aが備える複数本のロールブラシ501の回転方向及び回転速度を、一本おきに変更することが可能となっている。
【0027】
なお、この実施形態では、ウォームホイール504及びウォーム505によりモータ502,503の動力をロールブラシ501へ伝達しているが、他の方式を利用してもよい。例えば、モータ502,503の動力をベルトでロールブラシ501へ伝達してもよい。
【0028】
供給ノズル507aは、サブユニットU25aの両側に設けられ、洗浄液をロールブラシ501及びウェハWへ供給する。この実施形態では、洗浄液として水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等を含有するアルカリ水溶液を使用している。洗浄液として、アルカリ水溶液を使用することで、パーティクル及びウェハWが同電位とるため、除去されたパーティクルがウェハWへ再付着することを効果的に抑制することができる。
【0029】
また、ロールブラシ501も同電位となるので、ロールブラシ501へのパーティクルの付着も抑制することができる。なお、洗浄液は、除去されたパーティクルがウェハWへ再付着することを防止できればよく、他の添加剤(例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、等)を含有させた純水を用いてもよい。
【0030】
なお、洗浄液は、ウェハWを洗浄している間だけでなく、ロールブラシ501が乾燥しない程度に常時、一定量が供給されている。また、供給ノズル507aを設ける代わりに、ロールブラシ501の芯体501b内に洗浄液を通し、ブラシ体501aから浸み出させることで、洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0031】
乾燥室60は、搬送機構20に保持された複数枚のウェハW間にCDA(Clean Dry Air)又は窒素ガス(NGas)を吹き付けて、複数枚のウェハWを一度に乾燥させる。廃液処理室70では、洗浄室50で使用した洗浄液の中和や、金属イオンの除去等が行われる。
【0032】
(洗浄装置1の動作)
図5は、洗浄装置1内でのウェハWの移動の順序を示す図である。図6〜図8は、洗浄室50におけるウェハWの受け渡し及び洗浄についての説明図である。図9は、乾燥室60におけるウェハWの乾燥についての説明図である。以下、図5〜図9を参照して、洗浄装置1の動作について説明する。なお、図5中の矢印に付帯する番号は、ウェハWを搬送する順序を表している。
【0033】
(ウェハWの取り出し)
オペレータが、ウェハWが収納された容器Fをロードポート10にセットすると、ロードポート10により容器Fの蓋が開く。搬送機構20は、容器F内のウェハWの下側に、ブレード201を挿入した後、所定の高さまでブレード201を持ち上げてウェハWをブレード201のレストピン201a上に載置する。次に、搬送機構20は、ウェハWを容器Fから取り出す。搬送機構20は、180度反転した後、第2受渡室40へ移動する。搬送機構20は、第2受渡室40へ移動すると洗浄室50へウェハWを受け渡す。
【0034】
(洗浄室50へのウェハWの受け渡し)
図6(a)は、搬送機構20から洗浄室50へのウェハWの受け渡しの説明図である。図6(b)は、図6(a)の一部拡大図である。図6に示すように、ウェハWを搬送機構20から洗浄室50へ受け渡す際は、ウェハWの表面側に設けられたサブユニットU1a〜U25aが備えるロールブラシ501を矢印αの方向(反時計方向)に回転させ、ウェハWの裏面側に設けられたサブユニットU1b〜U25bが備えるロールブラシ501を矢印βの方向(時計方向)に回転させる。
【0035】
次に、搬送機構20は、回転するローラブラシ501間にウェハWの先端を挿入する。該ウェハWの先端は、回転するロールブラシ501により挟持される。ロールブラシ501がさらに回転すると、ウェハWは、ロールブラシ501との摩擦により洗浄室50の中央へと移動する。また、供給ノズル507a,507bからは、所定の流量の洗浄液が供給される。
【0036】
(洗浄室50におけるウェハWの洗浄)
図7(a)は、洗浄室50におけるウェハWの洗浄の説明図である。図7(b)は、図7(a)の一部拡大図である。ウェハWが洗浄室50の略中央まで移動すると、図7に示すように、各サブユニットU1a〜U25a及びU1b〜U25bが備えるロールブラシ501を一本おきに矢印αの方向(反時計方向)と矢印βの方向(時計方向)とへ回転させてウェハWを洗浄する。一本おきに異なる方向に回転させることで、矢印αの方向(反時計方向)に回転するロールブラシ501との摩擦力と矢印βの方向(時計方向)に回転するロールブラシ501との摩擦力とが打ち消しあうため、ウェハWの位置は、略同じ位置で洗浄される。
【0037】
なお、ウェハWは、ロールブラシ501による洗浄面を変更しながら洗浄することが好ましい。具体的には、以下のステップ1とステップ2を交互に繰り返してウェハWの全面をロールブラシ501により洗浄する。
ステップ1:各サブユニットU1a〜U25a及びU1b〜U25bが備えるロールブラシ501を一本おきに異なる方向へ回転させてウェハWを洗浄する。
ステップ2:ウェハWの表面側に設けられたサブユニットU1a〜U25aが備えるロールブラシ501を反時計方向に回転させ、ウェハWの裏面側に設けられたサブユニットU1b〜U25bが備えるロールブラシ501を時計方向に回転させて、ロールブラシ501による洗浄面を変更する。
【0038】
(搬送機構20へのウェハWの受け渡し)
図8(a)は、洗浄室50から搬送機構20へのウェハWの受け渡しの説明図である。図8(b)は、図8(a)の一部拡大図である。図8に示すように、ウェハWを洗浄室50から搬送機構20へ受け渡す際は、ウェハWの表面側に設けられたサブユニットU1a〜U25aが備えるロールブラシ501を矢印βの方向(時計方向)に回転させ、ウェハWの裏面側に設けられたサブユニットU1b〜U25bが備えるロールブラシ501を矢印αの方向(反時計方向)に回転させる。ウェハWは、ロールブラシ501との摩擦により洗浄室50の中央から左方向へ移動し、搬送機構20のブレード201のレストピン201a上に載置される。
【0039】
(ウェハWの乾燥)
図9は、乾燥室60におけるウェハWの乾燥についての説明図である。図9(a)は、乾燥室60内での搬送機構20の左側面図である。図9(b)は、乾燥室60内での搬送機構20の正面図である。なお、図9(b)の矢印βは、CDA又は窒素ガスの吹付方向を示している。
【0040】
洗浄室50から搬送機構20へウェハWが受け渡されると、搬送機構20は、第2受渡室40から乾燥室60へ移動する。乾燥室60では、搬送機構20のブレード201のレストピン201a上に載置された各ウェハWへCDA又は窒素ガスが一定時間吹き付けられる。このCDA又は窒素ガスの吹付によりウェハWは乾燥する。また、ウェハWは、レストピン201a上に載置されているので、ウェハWの裏面も乾燥する。
【0041】
(ウェハWの収容)
ウェハWの乾燥後、搬送機構20は、乾燥室60から第1受渡室30へ移動する。搬送機構20は、容器FからウェハWを取り出した際とは、逆の手順でブレード201に載置されたウェハWを容器F内へ収容する。その後、ロードポート10により容器Fの蓋が閉じられ、ウェハWの洗浄が完了する。
【0042】
以上のように、第1の実施形態に係る洗浄装置1は、25枚のウェハWを搬送機構20で一度に搬送し、ウェハWの表面及び裏面ごとに複数本ずつ設けられ、長手方向がウェハWの表面及び裏面に対して平行に配置されたロールブラシにより、25枚のウェハWを一度に洗浄するように構成されている。さらに、搬送機構20と洗浄室50との間、及び搬送機構20と乾燥室60との間で、ウェハWを受け渡しするための搬送機構が必要ない。このため、ウェハWの受け渡しに必要な時間が大幅に短縮される。結果、ウェハWの洗浄に必要なTAT(Turn Around Time)を効果的に短縮することができ、洗浄装置1の単位時間当たりの処理枚数(スループット)が向上する。
【0043】
また、洗浄液として、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等を含有するアルカリ水溶液を使用している。このため、ウェハWから除去されたパーティクルがウェハWに再付着することを効果的に抑制することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る洗浄装置2(以下、洗浄装置2と記載する)の洗浄室50A内に配置された洗浄ユニットUA1〜UA25の構成図である。図10(a)は、洗浄室50A内に配置された洗浄ユニットUA1a〜UA25bの平面図である。図10(b)は、図10(a)の線分I−Iでの断面図である。
【0045】
以下、図10を参照して、洗浄室50A内に配置された洗浄ユニットUA1a〜UA25bの構成について説明する。なお、洗浄装置2が備える洗浄室50A以外の構成については、図1〜図3を参照して説明した洗浄装置1の構成と同じであるため、重複した説明を省略する。また、図1〜図3を参照して説明した洗浄装置1の構成と同一の構成には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0046】
(洗浄室50A内の構成)
洗浄室50A内には、一度に洗浄するウェハWの枚数(25枚)と同じ数の洗浄ユニットUA1〜UA25と、ウェハWを回転させる2つの回転機構508とが設けられている。なお、洗浄ユニットUA1〜UA25の構成は同じである。以下では、洗浄ユニットUA25の構成について説明し、他の洗浄ユニットUA1〜UA24の構成については重複した説明を省略する。
【0047】
洗浄ユニットUA25は、ウェハWの表面を洗浄するサブユニットUA25aと、ウェハWの裏面を洗浄するサブユニットUA25bと、サブユニットUA25a,UA25bに洗浄液を供給する供給ノズル507a,507b(図示せず)とを備えている。以下、サブユニットUA25a,UA25bの構成について説明するが、サブユニットUA25a,UA25bの構成は同じである。以下では、サブユニットUA25aの構成について説明し、UA25bの構成については重複した説明を省略する。
【0048】
サブユニットUA25aは、ウェハWの表面を洗浄する複数本のロールブラシ501と、ロールブラシ501を回転させるモータ502と、モータ502の動力をロールブラシ501へ伝達するウォームホイール504及びウォーム505とをそれぞれ備える。
【0049】
各ロールブラシ501の一端は、ウォームホイール504が取り付けられている。また、各ロールブラシ501の他端側は、洗浄室50の筐体に回転可能に保持されている。各ロールブラシ501は、ウォームホイール504及びウォーム505を介して伝達されるモータ502の動力により回転する。
【0050】
回転機構508は、モータ(図示せず)に接続された回転軸508aと、この回転軸508aに取り付けられた25個の回転体508bとを備える。各回転体508bは、回転軸508aの回転とともに回転する。また、各回転体508bの外周面には、PVA(polyvinyl alcohol)やPP(polyvinyl alcohol)等のテフロン系材料を材質とするスポンジ状の多孔質体が取り付けられており、この多孔質体によりウェハWのベベルが洗浄される。
【0051】
(洗浄室50AへのウェハWの受け渡し)
図11(a)は、搬送機構20から洗浄室50AへのウェハWの受け渡しの説明図である。図11(b)は、図11(a)の一部拡大図である。図11に示すように、ウェハWを搬送機構20から洗浄室50Aへ受け渡す際は、ウェハWの表面側に設けられたサブユニットUA1a〜UA25aが備えるロールブラシ501を矢印αの方向(反時計方向)に回転させ、ウェハWの裏面側に設けられたサブユニットUA1b〜UA25bが備えるロールブラシ501を矢印βの方向(時計方向)に回転させる。
【0052】
次に、搬送機構20は、回転するローラブラシ501間にウェハWの先端を挿入する。該ウェハWの先端は、回転するロールブラシ501により挟持される。ロールブラシ501がさらに回転すると、ウェハWは、ロールブラシ501との摩擦により、図11の右方向へ移動する。また、供給ノズル507a,507bからは、所定の流量で洗浄液が供給されるともに回転機構508の回転軸508aがモータ(図示せず)により回転させられる。
【0053】
(洗浄室50AにおけるウェハWの洗浄)
図12(a)は、洗浄室50AにおけるウェハWの洗浄の説明図である。図12(b)は、図12(a)の一部拡大図である。ロールブラシ501の回転により、ウェハWが回転体508bと当接する位置まで移動する。すると、ウェハWは、回転体508bとの摩擦により回転する。この実施形態では、ウェハWの表面側に設けられたサブユニットUA1a〜UA25aが備えるロールブラシ501を矢印αの方向(反時計方向)に回転させ、ウェハWの裏面側に設けられたサブユニットUA1b〜UA25bが備えるロールブラシ501を矢印βの方向(時計方向)に回転させた状態で所定の時間(例えば、5分間)洗浄が行われる。
【0054】
(搬送機構20へのウェハWの受け渡し)
図13(a)は、洗浄室50Aから搬送機構20へのウェハWの受け渡しの説明図である。図13(b)は、図13(a)の一部拡大図である。図13に示すように、ウェハWを洗浄室50Aから搬送機構20へ受け渡す際は、ウェハWの表面側に設けられたサブユニットUA1a〜UA25aが備えるロールブラシ501を矢印βの方向(時計方向)に回転させ、ウェハWの裏面側に設けられたサブユニットUA1b〜UA25bが備えるロールブラシ501を矢印αの方向(反時計方向)に回転させる。ウェハWは、ロールブラシ501との摩擦により図12の左方向へ移動し、搬送機構20のブレード201のレストピン201a上に載置される。
【0055】
なお、その他の動作については、図5〜図9を参照して説明した洗浄装置1の動作と同じであるため重複した説明を省略する。以上のように、洗浄装置2は、洗浄対象であるウェハWのベベルを洗浄する回転機構508を備えているので、ウェハWのベベルに付着したパーティクルをより効果的に洗浄することができる。その他の効果は、洗浄装置1の効果と同じである。
【実施例】
【0056】
発明者らは、洗浄液としてアルカリ水溶液を使用した場合の洗浄性能について調べた。具体的には、純水にコリンを0.01wt%含有させた混合液を洗浄液とした場合(実施例)と、純水のみを洗浄液とした場合(比較例)とについて、洗浄前と洗浄後のパーティクル数を調べた。ウェハは、直径300mmのシリコンベアウェハを使用した。なお、洗浄液以外の洗浄条件は同じである。
【0057】
表1に実施例と比較例の結果を示す。なお、パーティクルは、半導体デバイスが形成されるウェハ表面のみ計測した。
【表1】

【0058】
表1の結果からは、洗浄液として、アルカリ水溶液を使用したほうが洗浄前後のパーティクルの増加数が非常に少なく、良好な結果を得られることがわかる。なお、表1の結果では、洗浄後のパーティクル数が洗浄前のパーティクル数よりも増加している。これは、パーティクルのほとんど付着していない清浄度の高いウェハを使用したことに起因する。また、洗浄後にパーティクル数が増加するのは、ブラシに付着したパーティクルがウェハに再付着することが原因である。以上のことから、洗浄液として、アルカリ水溶液を使用した場合、ブラシに付着したパーティクルがウェハに再付着することを非常に効果的に抑制できることがわかる。
【0059】
(その他の実施形態)
以上のように、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を変更しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形が、発明の範囲や要旨に含まれるのと同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0060】
例えば、第1,第2の実施形態に係る洗浄装置1,2では、25枚のウェハWを一度の洗浄する実施形態について説明した。これは、半導体デバイスの製造において、通常、25枚のウェハWを1Lotとして処理することに対応したものである。しかしながら、実際の洗浄においては、必ずしも、25枚のウェハWを一度に洗浄する必要ない。例えば、25枚のウェハWを複数枚ずつ(13枚と12枚)に分割して洗浄するようにしてもよい。また、複数のロードポートを備え、複数ロット(例えば、50枚)のウェハWを一度に洗浄するようにしてもよい。
【0061】
また、図14に示すように、搬送機構20を縦方向に伸縮可能に構成し、図14(a)の状態で容器FとのウェハWの受け渡しを行い、図14(b)の状態、すなわち、搬送機構20を縦方向に伸長した状態で洗浄室50もしくは洗浄室50AとウェハWの受け渡しを行うようにしてもよい。この伸縮には、エアシリンダやボールねじ等を用いればよい。このように構成すれば、ウェハW間のクリアランス(隙間)を広げた状態でウェハWを洗浄することができるため、洗浄ユニットのレイアウト(配置)に余裕が生じる。
【符号の説明】
【0062】
1〜3…洗浄装置、10…ロードポート、20…搬送機構、30…第1受渡室、40…第2受渡室、50…洗浄室、60…乾燥室、70…廃液処理室、201…ブレード、201a…突起(レストピン)、202…支持部材、501…ロールブラシ、501a…ブラシ体、501b…芯体、502,503…モータ、504…ウォームホイール、505…ウォーム、506…カプラ、507a,507b…供給ノズル、508…回転機構、508a…回転軸、508b…回転体、F…容器、U1〜U25,UA1〜UA25…洗浄ユニット、W…半導体基板(ウェハ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の半導体基板を一度に洗浄するバッチ方式の洗浄方法であって、
前記複数枚の半導体基板を所定の間隔で保持した状態で搬送する第1の工程と、
前記複数枚の半導体基板の表面及び裏面ごとに複数本ずつ設けられ、長手方向が前記表面及び前記裏面に対して平行に配置されたロールブラシで、前記複数枚の半導体基板を挟持する第2の工程と、
前記複数本のロールブラシを回転させて、前記複数枚の半導体基板を洗浄する第3の工程と、
を備える洗浄方法。
【請求項2】
前記第3の工程は、
前記複数枚の半導体基板の同一面内に設けられた前記複数本のロールブラシを、隣り合ったロールブラシの回転方向が反対となるように回転させる請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記第3の工程は、
前記複数枚の半導体基板の同一面内に設けられた前記複数本のロールブラシを、隣り合ったロールブラシの回転方向が反対となるように回転させる工程と、前記複数枚の半導体基板の同一面内に設けられた前記複数本のロールブラシを、隣り合ったロールブラシの回転方向が同一となるように回転させる工程と、を繰り返す請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記第3の工程は、
前記半導体基板へのパーティクルの付着を抑制する添加剤を含有する純水を供給しながら前記複数枚の半導体基板を洗浄する請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記添加剤を含有する純水は、アルカリ水溶液である請求項4に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記第3の工程は、
前記複数本のロールブラシを回転させて、前記複数枚の半導体基板を洗浄するとともに、前記複数枚の半導体基板のベベル部を洗浄する回転体を回転させて、前記ベベル部を洗浄する請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項7】
複数枚の半導体基板を一度に洗浄するバッチ式の洗浄装置であって、
前記複数枚の半導体基板を所定の間隔で保持した状態で、前記複数枚の半導体基板を搬送する搬送手段と、
前記複数枚の半導体基板の表面及び裏面ごとに複数本ずつ設けられ、長手方向が前記表面及び前記裏面に対して平行に配置されたロールブラシと、
前記表面及び前記裏面ごとに設けられた前記複数本のロールブラシを回転させる駆動手段と、
を備える洗浄装置。
【請求項8】
前記複数枚の半導体基板のベベル部と当接した状態で回転し、前記ベベル部を洗浄する回転体をさらに具備する請求項7に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−38356(P2013−38356A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175602(P2011−175602)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】