説明

洗浄組成物

【課題】本発明は半導体基材から不要な有機及び無機の残渣及び汚染物質を除去するために使用する、水系洗浄組成物に関する。
【解決手段】洗浄組成物は、基材からの有機残渣除去を主に担う成分として、例えばジメチル尿素のような尿素誘導体を含む。本発明の洗浄組成物にはフッ化物イオン源も含まれ、基材からの無機残渣除去を主に担う。本発明の洗浄組成物は毒性が低く、環境に許容されうるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体基材上の不要なレジスト膜、ポストエッチ及びポストアッシュ残渣の除去を含む、様々な用途に使用可能な洗浄組成物を提供する。特に本発明は、洗浄剤として尿素誘導体を含む洗浄組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景は、集積回路製造を含む洗浄用途における本発明の使用と関連させて説明される。しかし当然のことながら、本発明の使用には以下の記載よりも幅広い応用が含まれる。
【0003】
集積回路の製造では、プロセス中の集積回路ウェーハ上に位置するシリコン、ガリウムヒ素、ガラス又は他の基材の表面上に堆積又は成長させた薄膜中にある、開口部又は他の形状をエッチングする必要がしばしば生じる。そのような膜をエッチングする現在の方法では、膜の部分を除去するためにその膜を化学的エッチング剤にさらす必要がある。膜の部分を除去するのに使用する特定のエッチング剤は、膜の性質で左右される。酸化膜の場合、例えばエッチング剤はフッ酸であってよい。ポリシリコン膜の場合、典型的にはフッ酸又は硝酸と酢酸との混合物である。
【0004】
膜の所望部分のみを確実に除去するために、コンピュータで描いたフォトマスクのパターンを膜表面に転写することによる、フォトリソグラフィプロセスが使用される。マスクは選択的に除去される膜領域を特定する役割を果たす。このパターンはフォトレジスト材料を用いて形成され、そのフォトレジストは、プロセス中の集積回路ウェーハ上に薄膜でスピン塗布され、フォトマスクを通して投射される高強度の照射で露光する、感光性材料である。露光した又は未露光のフォトレジスト材料は、その組成に応じて通常現像液に溶解して、他の領域のエッチングを防ぎつつ選択した領域でエッチングが生じるようなパターンを残す。ポジ型レジストは、例えば、エッチングを行ったときにビア、トレンチ、コンタクトホールなどになる、基材上のパターンを描画するためのマスク材料として幅広く使用されている。
【0005】
例えばプラズマエッチング、反応性イオンエッチング、又はイオンミリングのようなドライエッチングプロセスが、ビア、トレンチ、コンタクトホールなどを形成するために、フォトレジストで保護されていない基材領域を攻撃するのに使用されることが多くなっている。プラズマエッチングプロセスを行うと、フォトレジスト、エッチングガス及びエッチングされた材料の副生成物が、基材のエッチングされた開口部の側壁の周り又は側壁上に残渣として堆積する。
【0006】
またそのようなドライエッチングプロセスは、通常レジストマスクの除去を非常に困難にする。例えば、複数層の後工程インターコネクト配線を備える高性能DRAM及びロジックデバイスのような複雑な半導体デバイスでは、中間誘電体層を通るビアを形成するために反応性イオンエッチング(RIE)が使用され、ある層のシリコン、シリサイド又は金属配線と次の層の配線との間にコンタクトを提供する。これらのビアは、Al、AlCu、Cu、Ti、TiN、Ta、TaN、シリコン、又は例えばタングステン、チタンもしくはコバルトのシリサイドのようなシリサイドを通常露出する。RIEプロセスは、例えば再スパッタされた酸化物材料、エッチガスに由来するポリマー材料、及びビアを描画するのに使用したレジストに由来する有機材料を含有しうる複合混合物を含む、そのプロセスに関係する基材上に残渣を残す。
【0007】
さらに、エッチング工程の終了後、最終の仕上げ操作を行えるように、フォトレジスト及びエッチ残渣をウェーハの保護領域から除去しなければならない。これは、適当なプラズマアッシングガスを用いてプラズマ「アッシング」工程で行うことができる。プラズマアッシングは、例えば200℃を超える高温で通常起こる。アッシングはほとんどの有機残渣を揮発性種へと変換するが、主に無機の残渣を基材上に残す。そのような残渣は、通常は基材表面上だけでなく、存在しうるビアの内壁にも残留する。その結果、アッシュ処理した基材は、基材から付着性の高い残渣を除去するために「液体ストリップ組成物」と通常呼ばれる洗浄組成物を用いて処理されることが多い。金属回路に悪影響を及ぼさずに、例えば金属回路を腐食、溶解又はダリングせずに、この残渣を除去するための適当な洗浄組成物を見出すことは困難であることも判っている。残渣の完全除去又は中和に失敗すると、回路配線の断線を招いて電気抵抗の望ましくない増大が生じうる。
【0008】
先行技術のストリップ組成物には、例えば、(a)アルキルベンゼンスルホン酸を主なストリップ成分として含有する有機スルホン酸系ストリップ溶液や、(b)主なストリップ成分としてモノエタノールアミンのようなアミンを含有する有機アミン系ストリップ溶液が含まれる。しかしながら、エッチング残渣を除去するためのそのような先行技術のストリップ組成物には顕著な欠点がある。例えばこれらの使用により、ビアホールの底部に露出した銅配線が浸食される傾向がある。
【0009】
ジメチルアセトアミド(DMAC)を含む洗浄組成物が、半導体基材から残渣を除去するために幅広く使用されている。DMACは極性が高くて有機残渣の優れた溶媒となるために、このような用途に特に適している。またDMACは引火点が高く、水溶性、低粘度で比較的安価であることから望ましい。しかしながら残念なことに、DMACはアメリカ合衆国及びヨーロッパの両方で有毒物質に分類されている。これに関して、DMACのNPFA衛生等級(health rating)は2であり、MSDSにはDMACが容易に皮膚を通して吸収されることが表示されている。毒性データもまた、DMACが胎児毒性物質である可能性を示唆しており、そのようなものとしてヨーロッパではDMACの使用は抑制され、アメリカ合衆国及びアジアでは幅広く精査されている。結果的に、例えばエレクトロニクス産業ではDMACを含む洗浄組成物が使用されなくなるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため本技術分野では、例えばプラズマプロセスで生成するもののようなフォトレジスト及びプラズマアッシュ残渣をストリップすることを含む後工程の洗浄操作のための、非毒性で環境に優しい洗浄組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、洗浄有効量の、水、洗浄成分として少なくとも1種の尿素誘導体、及びフッ化物源を含む、半導体基材から残渣を除去するために使用する組成物を提供することによってこの要求を満足する。本発明の組成物には、例えば1種以上の水混和性有機溶媒、バッファー剤及び腐食防止剤のような他の材料が必要に応じて含まれる。
【0012】
ある実施態様では、本発明は、半導体基材から残渣を除去するために使用され、かつ洗浄有効量の、水;洗浄剤として機能する式(I)の少なくとも1種の化合物:
【化1】

(上式中、R1及びR3はそれぞれ水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキロール;R2及びR4はそれぞれC1−C4アルキル又はC1−C4アルキロールである。);
及びフッ化物イオン源;並びに必要に応じて、水混和性有機溶媒;バッファー剤;及び腐食防止剤を含む組成物を提供する。洗浄組成物の好ましい実施態様では、式(I)の化合物は、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択され、フッ化物イオン源はフッ化アンモニウムである。
【0013】
他の実施態様では、本発明は、例えば半導体基材のような基材から不要な残渣を除去するための方法を提供する。その方法には、基材を本発明の組成物と接触させ、洗浄組成物を基材からリンスし、及び基材を乾燥する工程が含まれる。
【0014】
本発明の組成物は、半導体産業で現在使用されている組成物と比べて、優れた洗浄特性を有し、毒性が低くて、環境に許容されうるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の範囲内の洗浄組成物及び比較組成物を使用した結果を、以下の図面からなる添付図に示す。
【0016】
本発明は、例えば半導体基材のような基材から、残渣を有効に除去する量の成分が存在する組成物を提供する。半導体基材に関する用途において、そのような残渣には、例えばフォトレジスト残渣、アッシュ残渣、及び例えば反応性イオンエッチングで生じた残渣のようなエッチ残渣が含まれる。さらに半導体基材には、金属、シリコン、シリケート及び/又は堆積した酸化ケイ素のような中間層誘電材料も含まれ、これらもまた洗浄組成物と接触することになる。典型的な金属には、銅、銅合金、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、アルミニウム、及び/又はアルミニウム合金が含まれる。本発明の洗浄組成物は、金属及び/又は誘電体のエッチレートが低いためにそのような材料と適合する。
【0017】
本発明の洗浄組成物は水系であるため水を含む。本発明では、例えば組成物の1種以上の固形成分を溶解するために、成分のキャリア、残渣除去における助剤、組成物の粘度調節剤、及び希釈剤などとして水は様々に機能する。好ましくは、洗浄組成物に使用する水は脱イオン(DI)水である。
【0018】
多くの用途について、本発明の実施態様は、例えば水を約10〜約90質量%含むと考えられる。本発明の他の好ましい実施態様は、水を約18〜約90質量%含んでもよい。本発明のさらに別の好ましい実施態様は、水を約35〜約60質量%含んでもよい。本発明のさらに別の好ましい実施態様は、水を約12〜約25質量%含んでもよい。本発明のさらに別の好ましい実施態様は、他の成分が所望の質量パーセントとなるような量の水を含んでもよい。
【0019】
本発明の洗浄組成物は、基材上に存在する有機残渣を主に溶解するか、又はその残渣の溶解を補助する洗浄剤として機能する、尿素誘導体を含む。好ましくは、尿素誘導体は式(I)の化合物である。
【化2】

(上式中、R1及びR3はそれぞれ水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキロール;R2及びR4はそれぞれC1−C4アルキル又はC1−C4アルキロールである。)
1−C4アルキル基又はC1−C4アルキロール基のアルキル部位は直鎖又は分岐であってよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基であってよい。好ましくは、アルキロール部位は非ジェミナルであって、言い換えるとメチロール又は1−アルキロールではない。通常式(I)の化合物は室温で固体である。
【0020】
式(I)の好ましい尿素誘導体には、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1,3−トリメチル尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、エチレン尿素、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、及び1−メチル,3−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、並びにこれらの混合物が含まれる。最も好ましい尿素誘導体は1,3−ジメチル尿素である。
【0021】
多くの用途について、尿素誘導体の量は組成物の約2〜約75質量%を構成すると考えられる。尿素誘導体は、好ましくは組成物の約5〜約70質量%、最も好ましくは約5〜約67質量%を構成する。
【0022】
本発明の組成物に使用する尿素誘導体は、例えばDMAC又はN−メチルピロリドンのような従来の有機溶媒系洗浄剤と比べて比較的非毒性であって、優れた洗浄特性を有している。好ましい状態では、尿素誘導体は極性が高く、水への溶解性が高く、かつ生分解性である。
【0023】
また本発明の洗浄組成物は1種以上のフッ化物イオン源を含む。フッ化物イオンは、主に基材からの無機残渣の除去を補助するように機能する。本発明のフッ化物イオン源を提供する典型的な化合物は、フッ酸及びその塩、フッ化アンモニウム、例えばフッ化テトラメチルアンモニウム及びフッ化テトラブチルアンモニウムのような4級アンモニウムフッ化物、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、並びに六フッ化アルミニウムである。また、脂肪族1級、2級又は3級アミン、例えば下式のアミンのフッ化物塩も使用できる。
5N(R6)R7
(上式中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立してH又はC1−C4アルキル基を表す。)
通常、R5、R6及びR7基の全炭素原子数は12炭素原子以下である。
【0024】
好ましい実施態様では、フッ化物イオン源はフッ化アンモニウムであるが、フッ化アンモニウムを使用する場合、アンモニウムイオンを系から除去することが好ましい。これは調製した洗浄組成物を室温で長時間放置して行ってもよいが、溶液を加熱して除去することもできる。
【0025】
フッ化物イオン源の選択の際は、洗浄する表面に悪影響を及ぼす傾向のあるイオンを、そのフッ化物イオン源が放出する傾向があるかどうかに関して配慮しなければならない。例えば半導体素子の洗浄の際、洗浄組成物にナトリウム又はカルシウムイオンが存在すると素子表面に悪影響を及ぼしうる。
【0026】
洗浄組成物のフッ化物イオン源として使用される化合物の量は、ほとんどの用途について約0.1〜約5質量%を構成すると考えられる。化合物は約0.1〜約3質量%を好ましくは構成し、最も好ましくは約0.1〜約2.5質量%を構成する。しかし当然のことながら、使用するフッ化物イオンの量は、洗浄する特定の基材に左右されるのが普通である。例えばある種の洗浄用途において、フッ化物エッチングに対して耐性が高い誘電体を含む基材を洗浄する場合、フッ化物イオンの量は比較的多くてもよい。反対に別の用途において、例えばフッ化物エッチングに対して耐性が低い誘電体を含む基材を洗浄する場合、フッ化物イオンの量を比較的少なくしなければならない。
【0027】
本発明の洗浄組成物は、必要に応じて1種以上の水混和性有機溶媒を含む。本発明の様々な実施態様では、通常基材上の金属配線が水混和性有機溶媒を使用できるかどうかを決定する。例えば基材上にアルミニウム配線が存在する場合、水とフッ化物イオンの組み合わせは通常アルミニウムをエッチングする傾向がある。そのような実施態様では、水混和性有機溶媒を使用すると、アルミニウムのエッチングが無くならないとしても、そのエッチングを非常に低減できる。
【0028】
使用可能な水混和性有機溶媒の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコール メチルエーテル、プロピレングリコール プロピルエーテル、ジエチレングリコール n−ブチルエーテル(Dowanol DBの商品名で市販されている)、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、又はこれらの混合物である。好ましい溶媒はアルコール、ジオール、又はこれらの混合物である。最も好ましい溶媒は例えばプロピレングリコールのようなジオールである。
【0029】
ほとんどの用途について、水混和性有機溶媒の量は、組成物の約5〜75質量%を構成すると考えられる。この溶媒は、好ましくは組成物の5〜約70質量%を構成し、最も好ましくは約5〜約67質量%を構成する。
【0030】
さらに本発明の洗浄組成物は、必要に応じて通常約3〜約6、より典型的には約3.5〜約5.5の範囲内に組成物のpHを調節するバッファー剤を含む。バッファーの使用が有利であって実際に非常に重要な、様々な用途が存在する。例えばいくつかの用途では、pHドリフトによって洗浄及び基材エッチングにおける顕著かつ望ましくない変化が生じる場合がある。pH4.75の半水系フッ化物含有ストリップ剤は銅をさほどエッチングしないが、pH7.5以上ではストリップ剤が銅を激しく攻撃して、デバイスの限界寸法の許容できない損失が生じる場合がある。
【0031】
本発明に使用するバッファー剤は、弱酸及びその弱酸の共役塩基を含有する可溶塩を通常含んでいる。例えばバッファー剤は、例えば酢酸及び酢酸アンモニウムのような、弱い有機一酸及びその共役塩基を含んでもよい。他の実施態様では、バッファー剤は有機二酸と組み合わせた有機又は無機塩基を含んでもよい。適した塩基の例には、水酸化アンモニウム、アミン及び水酸化4級アンモニウムが含まれる。半導体用途では金属イオンが基材を汚染する傾向があるため、塩基が金属イオン、例えばナトリウム及びカリウムを含んでいないことが好ましい。好ましい塩基は水酸化アンモニウム及びモノエタノールアミン(MEA)である。
【0032】
洗浄組成物のpHは、選択した特定の一酸又は二酸及びその効果的なバッファー範囲に依拠し、約1〜約7、又はより典型的には約5.5〜約6.0と様々であってよい。例えば二酸は2つのpKa値で定義され、バッファーは一般に所定のpKaのいずれかの側の0.75pH単位の辺りに作られる。例えば、マロン酸のpK値はpK1=2.8及びpK2=5.7である。従って、マロン酸はpH2.05〜3.55及びpH4.95〜6.45の間でバッファーとして作用することが予想できる。同様にアジピン酸のpK値はpK1=4.5及びpK=5.5である。2つのpHがほとんど重なっているため、アジピン酸の効果的なバッファー範囲はpH3.75〜6.25である。
【0033】
ほとんどの用途について、バッファー剤は組成物の約0.2〜約30質量%を構成すると考えられ、好ましくは組成物の約0.5〜約30質量%を構成し、最も好ましくは組成物の約0.5〜約28質量%を構成する。
【0034】
また本発明の洗浄組成物は必要に応じて腐食防止剤を含む。組成物を金属性基材の洗浄に使用する場合、腐食防止剤を使用するのが好ましい。腐食防止剤の例には、芳香族ヒドロキシル化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその酸無水物、並びにトリアゾール化合物が含まれる。
【0035】
典型的な芳香族ヒドロキシル化合物には、フェノール、クレゾール、キシレノール、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、サリチルアルコール、p−ヒドロキシベンジルアルコール、o−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノレゾルシノール、p−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシ安息香酸が含まれる。
【0036】
典型的なアセチレンアルコールには、2−ブチン−1,4−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールが含まれる。
【0037】
典型的なカルボキシル基含有有機化合物及びその酸無水物には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、無水酢酸、及びサリチル酸が含まれる。
【0038】
典型的なトリアゾール化合物には、ベンゾトリアゾール、o−トリルトリアゾール、m−トリルトリアゾール、p−トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、及びジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾールが含まれる。
【0039】
好ましい防止剤は、カテコール、没食子酸、ベンゾトリアゾール、ピロガロール、4−メチルカテコールフマル酸、及びジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)であり、ベンゾトリアゾールは銅と結合する性質があるため、銅を含む基材を洗浄する場合はベンゾトリアゾール以外の防止剤を使用することが好ましい。
【0040】
ほとんどの用途について、腐食防止剤は組成物の約0.01〜約5質量%を構成すると考えられ、好ましくは組成物の約0.01〜約4質量%を構成し、最も好ましくは組成物の約0.01〜約3質量%を構成する。
【0041】
洗浄組成物に使用可能な他の任意選択成分は金属キレート剤である。金属キレート剤は、組成物が溶液中の金属を保持する容量を増大し、金属残渣の溶解が促進されるように機能しうる。この目的に有用なキレート剤の典型例は、以下の有機酸及びその異性体並びにこれらの塩、すなわち、(エチレンジニトリロ)四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2−シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、糖酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、カテコール、没食子酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8−ヒドロキシキノリン、及びシステインである。好ましいキレート剤はEDTAのようなアミノカルボン酸、CyDTA、及びEDTMPのようなアミノホスホン酸である。
【0042】
ほとんどの用途について、キレート剤は組成物中に0〜約5質量%の量で存在すると考えられ、好ましくは組成物の約0.1〜2質量%の量で存在する。
【0043】
色素、殺生剤などのような他の一般に知られている成分も、例えば合計で組成物の約5質量%を最大とする従来量で洗浄組成物に含まれてもよい。
【0044】
本発明の洗浄組成物は、全ての固体が水系媒体中に溶解するまで、室温の容器内で成分を一緒に混合することによって通常調製される。
【0045】
本発明の洗浄組成物は、基材から望ましくない残渣を除去するのに使用できる。半導体デバイス製造プロセス中に残渣が堆積又は生成する半導体基材の洗浄に、特に良好に役立つようにこの組成物を使用できると考えられ、そのような残渣の例には、膜状のレジスト組成物(ポジ型とネガ型の両方)、及びドライエッチング中に生成するエッチング堆積物に加えて、化学的に分解したレジスト膜が含まれる。除去される残渣が、金属膜露出面を有する半導体基材上のレジスト膜及び/又はエッチング堆積物である場合に、この組成物を使用するのが特に効果的である。基材自体への攻撃を伴わずに、本発明の組成物を使用して洗浄できる基材の例には、金属基材、例えばアルミニウム、チタン/タングステン、アルミニウム/ケイ素、アルミニウム/ケイ素/銅、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及びガリウム/ヒ素が含まれる。そのような基材には、フォトレジスト及び/又はポストエッチ堆積物を含む残渣が通常含まれる。
【0046】
本発明の洗浄組成物を使用して効果的に除去できるレジスト組成物の例には、エステル又はオルト−ナフトキノンとノボラック型バインダーとを含有するフォトレジスト、及びブロックポリヒドロキシスチレン又はポリヒドロキシスチレンのコポリマーと光酸発生剤とを含有する化学増幅レジストが含まれる。市販のフォトレジスト組成物の例には、Clariant CorporationのAZ1518、AZ4620、Shipley Company, Inc.のフォトレジストであるS1400、APEX−E(商品名)ポジ型DUV、UV5(商品名)ポジ型DUV、Megaposit(商品名)SPR(商品名)220シリーズ、JSR MicroelectronicsのフォトレジストであるKRF(登録商標)シリーズ、ARF(登録商標)シリーズ、並びにTokyo Ohka Kogyo Co., Ltd.のフォトレジストであるTSCRシリーズ及びTDUR−P/Nシリーズが含まれる。
【0047】
金属膜の露出面を有する半導体ウェーハ上の、レジスト膜及び/又はエッチング残渣の除去に使用する場合に効果的であることに加えて、金属膜が銅又は銅を主成分として含む銅合金でできており、かつ低誘電体膜を中間層絶縁膜として使用している場合に、本組成物は特に効果的である。銅を主成分として含む銅合金の例は、銅を90質量%以上含み、かつ他の元素、例えばSn、Ag、Mg、Ni、Co、Ti、Si及びAlを含むものである。これらの金属は低抵抗であって素子の高速動作を改善するが、薬品で容易に溶解又は腐食するために、本発明の組成物の「非腐食」特性は格別である。
【0048】
腐食の影響をほとんど受けずに、比較的低温で半導体基材からポストエッチ及びポストアッシュ、他の有機及び無機残渣に加えてポリマー残渣を除去するために、本洗浄組成物を使用できる。所望の洗浄効果を得るのに十分な時間、洗浄組成物を表面に適用する必要がある。その時間は、例えば残渣の性質、洗浄組成物の温度、及び使用する特定の洗浄組成物を含む、数多くの因子によって様々である。一般的には、例えば約25℃〜約85℃の温度にて約1分〜約1時間の範囲で基板と接触させ、その後洗浄組成物を基板からリンスし、基板を乾燥することによって、洗浄組成物を使用してもよい。
【0049】
接触工程は、例えば浸漬、スプレー又はシングルウェーハプロセスを介してなどの任意の適当な手段で行うことができる。フォトレジスト、アッシュもしくはエッチ堆積物、及び/又は汚染物質の除去に液体を利用する任意の方法が使用できる。
【0050】
リンス工程は、任意の適当な手段、例えば浸漬又はスプレー技術により脱イオン水を用いて基材をリンスすることによって行われる。好ましい実施態様のリンス工程は、脱イオン水と例えばイソプロピルアルコールのような水混和性有機溶媒との混合物を使用して行われる。
【0051】
乾燥工程は、任意の適当な手段、例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥によって、又は求心力によって行われる。
【0052】
当業者にとって当然理解されることだが、製造プロセスにおいて高スループット洗浄を維持できるように本発明の洗浄組成物を変更して、基材に損傷を与えずに最適な洗浄が実現可能である。例えば当業者にとって、洗浄される基材の組成、除去される残渣の性質、及び使用する特定のプロセスパラメータによって、例えば組成物のいくつか又は全ての量を変更しうることは理解されるだろう。
【0053】
本発明を主に半導体基材の洗浄と関連させて説明したが、本発明の洗浄組成物は、有機及び無機残渣を含む任意の基板を洗浄するために使用できる。
【実施例】
【0054】
以下の例は本発明をさらに詳述する目的で記載されており、本発明を限定することを全く意図していない。
【0055】
洗浄組成物を調製する一般的手順:本例の対象となる全ての組成物は、材料500gを、1インチのテフロン(登録商標)被覆撹拌棒を備えた600mLビーカー内で混合して調製した。水混和性有機溶媒を含まない組成物の場合、ビーカーに加えた第1の材料は脱イオン(DI)水であった。水溶性の高いジメチル尿素を次に添加した。比較的大量の固体ジメチル尿素(DMU)を使用する場合、水溶液が透明になるまで撹拌してからDMUを水に添加することが推奨される。その後、残りの成分を任意の順序で添加できるが、本例で使用しているように、他の成分を使用する場合に好ましい順序は(1)酢酸、(2)フッ化アンモニウム(40%)、(3)酢酸アンモニウムである。
【0056】
水混和性有機溶媒を含む組成物の場合、組成物を上述の様に混合するが、例えばプロピレングリコールのような溶媒は、ジメチル尿素を導入する前に水に添加するのが好ましい。その尿素は水中のようにはプロピレングリコールに溶解しないため、得られる溶液は透明に変わるまで若干時間がかかる。
【0057】
基材の組成:本例で使用した各基材は、窒化ケイ素基材上に堆積した窒化チタンキャップ層を有する、有機シリケートガラス(OSG)誘電性材料を含んでいた。OSGは反応性イオンエッチング(RIE)でエッチングされて、窒化チタンでキャップされたOSGの線を残した。RIE後、基材をプラズマ中で処理してフォトレジストをアッシングした。図1に洗浄前の基材上の残渣を示す。
【0058】
プロセス条件:洗浄試験は、洗浄組成物305mLを用い、600rpmに設定された1/2インチの円形テフロン(登録商標)撹拌棒を備えた400mLビーカー内で行った。洗浄組成物は、必要であればホットプレート上で以下に示す所望温度に加熱した。大きさがおよそ1/2インチ×1/2インチのウェーハ部分を、以下の一組の条件下で組成物中に浸漬した。
25℃にて10分
25℃にて20分
35℃にて10分
35℃にて20分
【0059】
次にその部分をDI水の掛け流し浴中で3分間リンスし、引き続き濾過窒素を用いて乾燥した。その後、SEM顕微鏡を用いて清浄度を分析した。
【0060】
エッチレート測定手順:ブランケットAl又はブランケットCuウェーハの試験片について、Creative Design Engineering, Inc.のResMap(商品名)モデル273抵抗率測定機を使用して金属層の抵抗率を測定することにより、その金属層の厚さを測定した。次に試験片を所望の温度で最大1時間組成物に浸漬した。定期的に試験片を組成物から取り出し、脱イオン水でリンスし、乾燥して、金属層の厚さを再測定した。浸漬時間を関数とする厚さ変化のグラフを作成し、エッチレート(オングストローム/分)を曲線の傾きから決定した。
【0061】
以下参照される表1に試験した組成物を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
表2及び3にそれぞれ、例1及び2のエッチレートをまとめる。
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
例1及び2の組成物は、ジメチル尿素が洗浄剤である本発明の洗浄組成物である。図2及び3はそれぞれ、例1及び2の組成物が、半導体ウェーハ表面からのエッチ及びアッシュ残渣の除去に効果的な洗浄組成物であることを図示している。表2は、例1及び2の組成物が基材上の金属をエッチングすることなく効果的に洗浄することを示す。
【0067】
比較例Aの組成物は、尿素誘導体成分を除いて例1の組成物と同様である。これに関して、比較例Aの組成物は、例えば洗浄剤として米国特許第6423480号に開示されている種類のような環式尿素を使用する。図4は、そのような環式尿素が、半導体ウェーハ表面からのエッチ及びアッシュ残渣の除去に有効でないことを図示している。
【0068】
比較例B、C及びDは、米国特許出願公開第2001/0014534号(「534公開公報」)に開示される組成物の洗浄性能を比較する。図5は、組成物の35%で尿素を使用した比較例Cの組成物を用いて半導体ウェーハを洗浄した結果を示す。図5を図2及び3と比較すると、本発明の洗浄組成物が、半導体ウェーハ表面からのエッチ及びアッシュ残渣の除去により効果的であることが示される。この結果は、洗浄剤としてN−メチル−エタノールアミンに頼る534公開公報の教示と整合する。
【0069】
比較例B及びDの組成物は、尿素の洗浄性能を分析するために調製した。比較例Bの組成物は、尿素、没食子酸及び水からなり、尿素によって洗浄されるかどうかを確認するために、洗浄剤であるモノエタノールアミンを含んでいない534公開公報中表1の組成物2を評価するため調製した。比較例Dの組成物は、例2の尿素誘導体成分を尿素と置き換えたことを除き、例2と同様である。比較例B及びDのいずれについても、全ての成分が溶液中に溶解しなかったため評価できなかった。
【0070】
好ましい実施態様の上述の例及び記載は、特許請求の範囲で規定される本発明を限定するものではなく、本発明を詳述するものとして理解すべきである。容易に理解できることであるが、上述の特徴の無数の変形及び組み合わせを、特許請求の範囲に記載した本発明から逸脱することなく利用できる。そのような変形は本発明の精神及び範囲から逸脱するものとはみなされず、また全てのそのような変形は特許請求の範囲の範囲内に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】洗浄操作前で不要な残渣を有する半導体基材の、異なる倍率でのSEM写真が含まれている。
【図2】本発明の洗浄組成物で洗浄した後の半導体基材の、異なる倍率でのSEM写真が含まれている。
【図3】本発明の洗浄組成物で洗浄した後の半導体基材の、異なる倍率でのSEM写真が含まれている。
【図4】比較例Aの組成物で洗浄した後の半導体基材の、異なる倍率でのSEM写真が含まれている。
【図5】比較例Cの組成物で洗浄した後の半導体基材の、異なる倍率でのSEM写真が含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基材から残渣を除去するために使用する組成物であって、洗浄有効量の、
(a)水;
(b)式(I)の少なくとも1種の化合物:
【化1】

(上式中、R1及びR3はそれぞれ水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキロール;R2及びR4はそれぞれC1−C4アルキル又はC1−C4アルキロールである。);
(c)フッ化物イオン源;
(d)必要に応じて水混和性有機溶媒;
(e)必要に応じてバッファー剤;及び
(f)必要に応じて腐食防止剤
を含む、組成物。
【請求項2】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1,3−トリメチル尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、1−メチル,3−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記フッ化物イオン源が、フッ酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、六フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミン、フッ化水素エチルアミン、フッ化水素プロピルアミン、及び式R5N(R6)R7F(上式中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立してH又はC1−C4アルキル基を表す。)の脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フッ化物イオン源がフッ化アンモニウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
プロピレングリコール、トリプロピレングリコール メチルエーテル、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール プロピルエーテル、ジエチレングリコール n−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される水混和性有機溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記水混和性有機溶媒がプロピレングリコールである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
二酸を含有するバッファー剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
酢酸及び酢酸アンモニウムを含有するバッファー剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
芳香族ヒドロキシル化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその酸無水物、トリアゾール化合物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される腐食防止剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記腐食防止剤が、カテコール、没食子酸、ピロガロール、4−メチルカテコールフマル酸、ジエチルヒドロキシルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
半導体基材から残渣を除去するために使用する洗浄組成物であって、
(a)水 約10.0質量%〜約90.0質量%;
(b)式(I)の化合物 約2.0質量%〜約75.0質量%:
【化2】

(上式中、R1及びR3はそれぞれ水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキロール;R2及びR4はそれぞれC1−C4アルキル又はC1−C4アルキロールである。);
(c)フッ化物イオン源 約0.1質量%〜約5.0質量%;
(d)必要に応じて少なくとも1種の水混和性有機溶媒 約10.0質量%〜約75.0質量%;
(e)必要に応じてバッファー剤 約0.2質量%〜約30.0質量%;及び
(f)必要に応じて腐食防止剤 約0.01質量%〜約5.0質量%
を含む、組成物。
【請求項13】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1,3−トリメチル尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、及び1−メチル,3−(2−ヒドロキシプロピル)尿素からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記フッ化物イオン源が、フッ酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、六フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミン、フッ化水素エチルアミン、フッ化水素プロピルアミン、及び式R5N(R6)R7F(上式中、R5、R6及びR7はそれぞれH又はC1−C4アルキル基を表す。)の脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記フッ化物イオン源がフッ化アンモニウムである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
プロピレングリコール、トリプロピレングリコール メチルエーテル、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール プロピルエーテル、ジエチレングリコール n−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される水混和性有機溶媒を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記水混和性有機溶媒がプロピレングリコールである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
有機二酸を含有するバッファー剤を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
酢酸及び酢酸アンモニウムを含有するバッファー剤を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項21】
芳香族ヒドロキシル化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその酸無水物、トリアゾール化合物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される腐食防止剤を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項22】
前記腐食防止剤が、カテコール、没食子酸、ピロガロール、4−メチルカテコールフマル酸、ジエチルヒドロキシルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
(a)水 約18.0質量%〜約90.0質量%;
(b)式(I)の前記化合物 約5.0質量%〜約67.0質量%;
(c)フッ化物イオン源 約0.1質量%〜約2.5質量%;
(d)バッファー剤 約0.5質量%〜約28.0質量%;及び
(e)腐食防止剤 約0.01質量%〜約2.5質量%
から本質的になる、請求項12に記載の組成物。
【請求項24】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
キレート剤をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
(a)水 約12.0質量%〜約25.0質量%;
(b)式(I)の前記化合物 約5.0質量%〜約67.0質量%;
(c)フッ化物イオン源 約0.1質量%〜約2.5質量%;
(d)少なくとも1種の水混和性有機溶媒 約5.0質量%〜約67.0質量%;
(e)バッファー剤 約0.5質量%〜約28.0質量%;及び
(f)腐食防止剤 約0.01質量%〜約2.5質量%
から本質的になる、請求項12に記載の組成物。
【請求項27】
キレート剤をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
基材から残渣を除去するための方法であって、
(a)水 約10.0質量%〜約90.0質量%;
(b)式(I)の化合物 約2.0質量%〜約75.0質量%:
【化3】

(上式中、R1及びR3はそれぞれ水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキロール;R2及びR4はそれぞれC1−C4アルキル又はC1−C4アルキロールである。);
(c)フッ化物イオン源 約0.1質量%〜約5.0質量%;
(d)必要に応じて少なくとも1種の水混和性有機溶媒 約10.0質量%〜約75.0質量%;
(e)必要に応じてバッファー剤 約0.2質量%〜約30.0質量%;及び
(f)必要に応じて腐食防止剤 約0.01質量%〜約5.0質量%
を含む洗浄組成物を該基材と接触させ;
該洗浄組成物を該基材からリンスし;及び
該基材を乾燥する
工程を含む方法。
【請求項29】
前記基材が半導体基材である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1,3−トリメチル尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、及び1−メチル,3−(2−ヒドロキシプロピル)尿素からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記フッ化物イオン源が、フッ酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、六フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミン、フッ化水素エチルアミン、フッ化水素プロピルアミン、及び式R5N(R6)R7F(上式中、R5、R6及びR7はそれぞれH又はC1−C4アルキル基を表す。)の脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記フッ化物イオン源がフッ化アンモニウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール メチルエーテル、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール プロピルエーテル、ジエチレングリコール n−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される水混和性有機溶媒を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記水混和性有機溶媒がプロピレングリコールである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が有機二酸を含有するバッファー剤を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、酢酸及び酢酸アンモニウムを含有するバッファー剤を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、芳香族ヒドロキシル化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその酸無水物、トリアゾール化合物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される腐食防止剤を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記腐食防止剤が、カテコール、没食子酸、ピロガロール、4−メチルカテコールフマル酸、ジエチルヒドロキシルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、
(a)水 約18.0質量%〜約90.0質量%;
(b)式(I)の前記化合物 約5.0質量%〜約67.0質量%;
(f)フッ化物イオン源 約0.1質量%〜約2.5質量%;
(g)バッファー剤 約0.5質量%〜約28.0質量%;及び
(h)腐食防止剤 約0.01質量%〜約2.5質量%
から本質的になる、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、
(a)水 約12.0質量%〜約25.0質量%;
(b)式(I)の前記化合物 約5.0質量%〜約67.0質量%;
(c)フッ化物イオン源 約0.1質量%〜約2.5質量%;
(d)少なくとも1種の水混和性有機溶媒 約5.0質量%〜約67.0質量%;
(e)バッファー剤 約0.5質量%〜約28.0質量%;及び
(f)腐食防止剤 約0.01質量%〜約2.5質量%
から本質的になる、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
式(I)の前記化合物が、1,1−ジメチル尿素及び1,3−ジメチル尿素からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−243162(P2007−243162A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−17471(P2007−17471)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】