説明

活性成分及びカカオ粉末を含む製剤、並びにその使用

【課題】迅速な口腔内取り込みを提供する1又は複数の活性医薬成分(API)の経口投与可能な医薬製剤の提供。
【解決手段】経口取り込みに適した1又は複数の活性医薬成分(API)を含む医薬製剤であって、カカオ粉末を含む製剤、該製剤の製造方法、及び治療のための製剤の使用。該APIとしては、エレトリブタン、硫酸テレブタリン、トリアゾラム、マレイン酸クロロフェニルアミン、デキストロプロポキシフェン、ファミチジン、メトクロプラスト、ニトログリセリン、ヒドララジン、マレイン酸ロシグリタゾン、インドメタシン、バクロフェン、カフェイン、マレイン酸チモロール、ノスカピン、デキストロメトルファンなどであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、1又は複数の活性医薬成分 (API)、場合によりその塩、複合体、プロドラッグ及び代謝産物を含む経口投与される新規の医薬製剤であって、さらにカカオ粉末を含む製剤に関し、医薬効果を達成するために経口投与される医薬の製造のための、1又は複数の活性医薬成分(API)であって、場合によりその塩、プロドラッグ、及び代謝産物を含む活性医薬成分の使用に関し、並びに1又は複数の活性医薬成分(API)であって、場合によりその塩、プロドラッグ、及び代謝産物を含む活性医薬成分の経口投与による、ヒト又は動物の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
1又は複数の活性医薬成分(API)の医薬製剤であって、迅速な、好ましくは口腔内取り込み、例えば舌下及び/又は頬からの取り込みをもたらし、かつ活性剤のまずい味を十分に隠すことができる製剤に対する必要性が存在する。
【0003】
先行技術
“Development of oral acetaminophen chewable tablets with inhibited bitter taste”において、Suzuki et al., International Journal of Pharmaceuticals 251 (2003) 123-132は、アセトアミノフェンの苦味に対する矯味薬として、スクロース、カカオ粉末、及び市販の苦味矯味粉末混合体Benecoat BMI−40の併用を開示する。実際はSuzuki et al.,の製剤の矯味剤効果は、脂質マトリックスを介して達成されると考えられる。しかし、使用される脂質マトリクスWitepsol H−15は通常、坐薬に使用され、そして経口又は口腔内製剤に適さない。Suzuki et al.,の製剤内のアセトアミノフェンの量は、一般的な治療投与量のかなり下回っている。本製剤と対照的に、Suzuki et al.,の製剤は、口腔内取り込みに向けられるものではなく、経口投与後に胃腸管において取り込まれることに向けられる。アセトアミノフェンの治療有効単位投与量は、口腔内における取り込みを介して投与されるためには多すぎる。
【0004】
例えばカカオ粉末の異なる形態であるチョコレートは、医薬品の成分としてほとんど使用されず、これまでは唯一下剤において使用された。1の例は、ExLax(商標)であり、Novartisにより市販されるセノシドを含むチョコレート製の下剤片である。フェノールフタレインがチョコレートと剤形される下剤であるピュレックス(Purex)は、1950年代に市販された。
【発明の概要】
【0005】
1又は複数のAPIを含み、そしてさらにカカオ粉末を矯味剤、増量剤、及び賦形剤(texturizer)として含む製剤の使用を介して、まずい味の成分を十分矯味すると同時に1又は複数のAPIの早く、好ましくは口腔内取り込みが達成されることが、ここで発見された。
【0006】
本発明は、医薬効果を達成するための1又は複数のAPIであって、場合によりその塩、複合体、プロドラッグ、及び代謝産物を含むAPIの経口投与される医薬製剤を提供する。投与はヒト又は動物にされうる。
【0007】
第一の目的は、1又は複数のAPIを基本的に口腔内取り込みすることを介して早く開始する製剤を提供することである。「早い開始」は、投与後、治療効果が短い時間内、好ましくは1時間未満、より好ましくは30分未満で達成されることを意味する。
【0008】
投与は液体を添加することなく達成されてもよい。液体を加えない投与は、例えば綺麗な水又は他の適切な液体が利用できない全ての状況、例えば旅行中などにおいて大きな利点となる。投与が目立たず、講義中及び映画館において大きな利点となる。さらに、飲み込まれるよりは口の中で溶けるべきである本製剤の使用は、従来の錠剤を飲み込むことを困難とするヒト全てにとって大きな利点となる。本発明の特に好ましい投与形態は、水又は他の液体を飲む必要なく口内において崩壊しまたは溶解する製剤である。
【0009】
製剤は、1又は複数のAPIの治療有効量を含む投与形態である。1又は複数のAPIの量が重篤な副作用を引き起こす量未満であることが望ましい。
【0010】
ヒト又は動物対象の治療のための本発明の製剤の使用方法が、本発明により提供される。本発明の他の特徴は、一部は以下の記載から明らかであり、そして一部は以下の記載において指摘されるであろう。
【0011】
本発明の目的は、カカオ粉末を含む1又は複数のAPIの新規の経口投与される医薬製剤を提供することである。
本発明の第二の目的は、上記製剤の製造方法を提供することである。
本発明の第三の目的は、ヒト又は動物対象の治療において上記製剤を使用する方法である。
【0012】
本発明に従った製剤は、好ましくは口腔内で溶解すべきであり、それにより1又は複数のAPIの口腔取り込みが最適化される。
本発明は、目立たない自己投与に適している。本明細書中の「目立たない自己投与」は、治療に必要とするものの存在に対して注意を引かない自己投与を意味する。
本明細書のさらなる目的は、当業者に明らかになり、そしてさらに他の目的も本明細書の以下の記載及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0013】
本発明に従った製剤により提供される主要な利点は以下:
1) 該製剤が、1又は複数のAPIを基本的に口腔内取り込みすることを介して早い開始を提供し;
2) 該製剤が、投与時に加えられる液体を全く必要とせず;
3) 該製剤が、良好な矯味効果を提供し;
4) 該製剤が、従来の錠剤が与えるような患者であるとすぐに気づかれる医薬との連想を与えず;
5) 該製剤が、目立たない自己投与を提供し;
6) 該製剤が、飲み込むことに問題を有する人に容易に投与され;
7) 該製剤が、低減された第一通過代謝のため、増大された生体利用効率を提供し;そして
8) 該製剤が、好物の連想を提供しうること
である。
上記利点は、本発明に適したAPIの全てにとって同じである。このことは、本発明の要旨、つまりカカオ粉末の添加として発明の単一性があり、投与されるAPIに関わらず共通の特徴が存在することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一の目的は、治療に有用であり、経口投与されるカカオ粉末を含む医薬製剤を提供することである。
カカオ粉末は、幾らかの油脂を取り除き、そして粉末へと挽かれたカカオの実の子葉として定義される。カカオの実の子葉は、殻を取り除いたカカオの実として定義される。カカオ・バターは、カカオの実の中央(種子又は子実)から取り出された油脂として定義される。カカオ粉末は、煎ったカカオの実から製造される。カカオ粉末は、デンプン、カカオ・バター、アミノ酸、タンパク質、キサンチン、アミン、単糖及び多糖、リン脂質、フラボノイド、ピラジンなどからなる複合化合物である。
【0015】
より特異的に、唾液若しくは物理的侵食、又はそれらの組合せの助力を伴うか又は伴わずに、口腔内で崩壊及び/又は溶解するような製剤であって、その後外製剤が口腔内組織への接着性を示すような製剤を提供することを本発明の目的とする。
【0016】
好ましくは、製剤は、投与のときに液体の添加を必要としない製剤である。
緩衝剤の任意の添加は、唾液の局所pHの一過的な変化を与え、口腔内での取り込みを亢進する。
まずい味の成分の十分な矯味効果が、カカオ粉末の使用を介して達成されるということを驚くべきことに発見した。カカオ粉末は、矯味剤、増量剤、及び賦形剤として作用する。
本発明に従った製剤の一般的な実施態様は、約200〜1000mgの質量を有し、そして下記の組成(w/w)を有する。
【0017】
【表1】

【実施例】
【0018】
以下に本発明の実施態様の調製に関する非制限的な例を記載する。
実施例1
約400mgの質量である製剤は、以下の組成(w/w)を有する。
【0019】
【表2】

【0020】
カカオ粉末は、非アルカリ化形態及びアルカリ化形態で使用されてもよい。両方の形態は、本製剤に有用である。アルカリ化カカオ粉末は、いくらかよりマイルドな味が所望されるとき好ましい。
【0021】
硬化ダイズ油の一部は、融解される。固体の要素、つまり固体であるならばAPI(エレトリプタン・ヒドロブロミドは固体である)、カカオ粉末、マンニトール、トウモロコシ・デンプン、アスパルテーム、アセスルファム−K、二酸化チタン、塩化ナトリウム、及び固体であるならば香味剤が加えられ、そして混合される。固体要素の粒子サイズの低減は、精砕ロール機中で製粉することにより行った。例えば脂肪要素と混合する前に製粉することにより、固体要素が既に必要な粒子サイズに達していたならば、ロールによる精砕は省略される。ロール精砕機における処理後、混合体と、融解した脂肪要素又は固化しているならば再融解した脂肪要素の残りとを混合し、そして残りの融解硬化ダイズ油と混合した。融解液の混合を、適切なミキサー内で行う。液体要素、つまり液体であるならばAPI(エレトリプタン・ヒドロブロミドは、固体であり、そして上記のように扱われる)、ダイズレシチン、及び液体であるならば香味剤を加える。必要があれば、適切な前提条件付けの後に、適切な技術、例えば成型、突き出し、又は凝固など、例えばトローチ化(pastillation)を使用して錠剤又は他の固体投与形態を作った。他の適切な製造方法を使用してもよい。
【0022】
実施例2: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約500mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0023】
【表3】

【0024】
実施例3: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約300mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0025】
【表4】

【0026】
実施例4: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約400mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0027】
【表5】

【0028】
実施例5: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約600mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0029】
【表6】

【0030】
実施例6: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約400mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0031】
【表7】

【0032】
実施例7: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約400mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0033】
【表8】

【0034】
実施例8: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約400mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0035】
【表9】

【0036】
実施例9: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約400mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0037】
【表10】

【0038】
実施例10: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約400mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0039】
【表11】

【0040】
実施例11: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約300mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0041】
【表12】

【0042】
実施例12: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約300mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0043】
【表13】

【0044】
実施例13: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約800mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0045】
【表14】

【0046】
実施例14: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約500mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0047】
【表15】

【0048】
実施例15: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約600mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0049】
【表16】

【0050】
実施例16: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約500mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0051】
【表17】

【0052】
実施例17: 更なる実施態様の製造
実施例1と実質的に同じ方法で、約200mg〜約1000mgの質量を有し、以下の成分(w/w)を有する製剤が製造される:
【0053】
【表18】

【0054】
上記1又は複数の活性医薬成分(API)は、口腔内取り込みに適したAPIから選ばれ、非限定的に以下:
・ 抗炎症剤:ジクロフェナク、ケトロラク、インドメタシン、トルノキシカム(tornoxicam)、ピロキシカム、テノキシカム、ケトプロフェン、セレコキシブ及びロフェコキシブ(roficoxib);
・ 筋肉弛緩剤:オルフェナドリン及びバクロフェン;
・ 骨石灰化に作用する薬剤:アレンドロン酸及びリセドロン酸;
・ 鎮痛剤:プロポキシフェン、ブプレノルフィン(buprenorfin)、ケトベニドン(ketobenidon)、ヒドロモルフォン、トラマドール、及びモルヒネ
・ 抗偏頭痛薬:ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、エレトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、及びゾルミトリプタン ;
【0055】
・ 抗パーキンソン病薬:プラミペキソール、ロピニロール、及びセレギリン ;
・ 抗不安薬:アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、及びオキサゼパム;
・ 睡眠薬:フルニトラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、トリアゾラム、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデム(zolpiderm)、クロメチアゾール、及びプロピオマジン;
・ 精神刺激薬:カフェイン;
・ 物質依存に対する薬:ブプロピオン、ロベリン、ナルトレキソン、及びメタドン;
・ 胃潰瘍治療薬:ファモチジン、及びラニチジン;
・ 鎮痙薬:ヒヨスチアミン;
・ 制吐薬:メトクロプラミド、オンダンセトロン、スコポラミン、ヒヨスチン、ペルフェナジン、プロクロペラジン、メクリジン、及びハロペリドール:
【0056】
・ 抗糖尿病薬:ロシグリタゾン ;
・ 心血管作動薬: エチレフリン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、及び一硝酸イソソルビド;
・ 抗高血圧剤:ヒドララジン;
・ 利尿薬:フロセミド、及びアミロリド ;
・ β受容体遮断薬:プロプラノロール、及びチモロール;
・ カルシウム・チャネル遮断薬:アムロジピン ;
・ ACE阻害剤:カプロプリル、リシノプリル、及びホシノプリル;
・ 血中脂質低減剤: シンバスタチン;
・ 乾癬治療薬:アシトレチン ;
・ 抗喘息薬: テルブタリン ;
【0057】
・ 住血除去剤:シュードエフェドリン、及びフェニレフリン;
・ 下痢止め薬:ロペラミド ;
・ 咳止め薬:デキストロメトルファン、コデイン、及びノスカピン、及び
・ 抗ヒスタミン剤:クレマスチン、クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、ロラタジン、アクリバスチン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、ドキシラミン、及びジメンヒドリナートである。
【0058】
実施例18:代わりの実施態様の製造
有用な実施態様は、上記実施例1〜17の実施態様の添加剤の幾つかを、同じように機能する代わりの化合物と交換することにより得られる。
カカオ粉末は、その非アルカリ化形態、そのアルカリ化形態、又はそれらの混合体で使用されてもよい。
【0059】
希釈剤は、1又は複数の化合物、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、転化糖、医薬として許容されるポリオール、例えば、ザイリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト、及びグリセロール、又はポリデキストロース、又はデンプン、或いはそれらの混合体から選ばれうるが、カカオ粉末の矯味効果が十分である範囲に限られる。
【0060】
脂質成分は、脂肪要素であり、以下の化合物:
- カカオバター及びカカオバターの代わり、例えばカカオバター同等物(CBE)、カカオバター代替物(CBS)、カカオバター置換物(CBR)、及びカカオバター改良物(CBI)、
- ココナッツ、油やしオイル、及び他の類似のオイルであって、主にラウリン酸及びミリスチン酸により特徴付けられるオイル、
- パーム油、シアバター、カライト(karite)バター、イリッペ・バター、マンゴー・カーネル油、サラノキ油、及び他の類似の脂肪であって、主にパルミチン酸、及びオレイン酸、及びステアリン酸に基いて特徴付けられる脂肪
- コーン油、ヒマワリ油、ハイブリッド・サンフラワー油、ダイズ油、アブラナ油、カノーら油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油、落花生 (ピーナッツ、ラッカセイ)油、及び他の油であって、オレイン酸、リノール酸、及び リノレン酸に基き、そして適切な融点にまで水素添加されることに基いて特徴付けられる油、
- 魚油、獣脂、ラード、乳脂肪、及び他の動物由来の脂肪、並びに
- 合成脂肪、再エステル化脂肪、何も使用しないか、又は酸性、アルカリ性、又は酵素触媒を使用して脂肪酸とグリセロールとの化学反応により得られる硬い脂肪
の1又は複数から選ばれうる。これにより、該化合物は、単一要素として又は互いに混合されて使用され、粗製であるか、又は物理的若しくはアルカリ精製を使用して精製され、又はさらなる処理、例えば触媒性水素付加、エステル交換、エステル転移、及び分画にかけられる。
【0061】
任意の緩衝剤(単数又は複数)は、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウムの炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、リン酸塩、又はグリシン酸塩、或いはその混合体から選ばれうる。多くのリン酸塩は、適切なものではないと考えられている。なぜなら、リン酸塩の味は受け入れがたく、矯味するのが難しいからである。緩衝剤(単数又は複数)の添加は、口腔内の粘膜を介した取り込みを増加することもある。
【0062】
甘味剤は、1又は複数の人工甘味剤、例えばスクロース、アスパルテーム、アセスルファム・カリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、チクロ、グリチルチリン、タウマチン (タリン)、スクラロース、ジヒドロカルコン(ネオヘスペリジン・ジヒドロ-カルコン)、アリテーム、ミラクリン(ミラクルフルーツ)、モネリン(セレンディピティーベリー)、ステブシド(stevside)及び/又はそれらの塩から選ばれうる。
【0063】
乳濁剤/可溶化剤は、好ましくはダイズ・レシチン及び/又はタマゴ・レシチンであるが、以下の:
- 非イオン性界面活性剤、例えばポロキサマー、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド、及び他のエステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、脂肪酸、例えばポリグリセロールリシノール酸のポリグリセロールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
- 陰イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸、脂肪酸の石鹸、ラクチレート、特にナトリウム及び/又はカルシウムステアロイルアセチレート、ラウリル硫酸ナトリウム及びラタノール、
- 双性イオン性界面活性剤、例えば双性イオンのリン脂質、例えばホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン、
又はその混合体、一部、又は誘導体と交換されてもよいし、或いはレシチンと交換されてもよい。
【0064】
調味剤は、好ましくは塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、及びグリチルリジン酸アンモニウムから選ばれる。
着色剤は、好ましくは二酸化チタン、酸化鉄、及びアルミニウム・レーキから選ばれる。
本発明に従った製剤は、主に溶解可能及び/又は吸引可能な経口錠剤から構成されるが、頬パッチ、頬ペースト、及び頬スプレーなどの口腔内投与のための他の適切な投与形態を含んでもよい。
【0065】
さらに、本発明は、1又は複数のほかの経路、例えば経皮投与、経口投与、吸入による投与、クリーム、軟膏、及びバジトリー(vagitory)による投与、及び/又は注射による投与を介してAPIを投与することと同時に、経口経路を介して表題の製剤を投与することを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の活性医薬成分(API)、場合により活性医薬成分の塩、複合体、プロドラッグ、及び代謝産物を含む経口投与される医薬製剤であって、当該医薬製剤がカカオ粉末を含み、かつ1又は複数のAPIが経口取り込みに適しているAPIの中から選ばれることを特徴とする、前記医薬製剤。
【請求項2】
前記1又は複数の活性医薬成分(API)が以下の:
・ 抗炎症剤:ジクロフェナク、ケトロラク、インドメタシン、トルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ケトプロフェン、セレコキシブ及びロフェコキシブ;
・ 筋肉弛緩剤:オルフェナドリン及びバクロフェン;
・ 骨石灰化に作用する薬剤:アレンドロン酸及びリセドロン酸;
・ 鎮痛剤:プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ケトベニドン、ヒドロモルフォン、トラマドール、及びモルヒネ;
・ 抗偏頭痛薬:ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、エレトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、及びゾルミトリプタン ;
・ 抗パーキンソン病薬:プラミペキソール、ロピニロール、及びセレギリン ;
・ 抗不安薬:アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、及びオキサゼパム;
・ 睡眠薬:フルニトラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、トリアゾラム、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデム、クロメチアゾール、及びプロピオマジン;
・ 精神刺激薬:カフェイン;
・ 物質依存に対する薬:ブプロピオン、ロベリン、ナルトレキソン、及びメタドン;
・ 胃潰瘍治療薬:ファモチジン、及びラニチジン;
・ 鎮痙薬:ヒヨスチアミン;
・ 制吐薬:メトクロプラミド、オンダンセトロン、スコポラミン、ヒヨスチン、ペルフェナジン、プロクロペラジン、メクリジン、及びハロペリドール:
・ 抗糖尿病薬:ロシグリタゾン ;
・ 心血管作動薬: エチレフリン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、及び一硝酸イソソルビド;
・ 抗高血圧剤:ヒドララジン;
・ 利尿薬:フロセミド、及びアミロリド ;
・ β受容体遮断薬:プロプラノロール、及びチモロール;
・ カルシウム・チャネル遮断薬:アムロジピン ;
・ ACE阻害剤:カプロプリル、リシノプリル、及びホシノプリル;
・ 血中脂質低減剤: シンバスタチン;
・ 乾癬治療薬:アシトレチン ;
・ 抗喘息薬: テルブタリン ;
・ 住血除去剤:シュードエフェドリン、及びフェニレフリン;
・ 下痢止め薬:ロペラミド ;
・ 咳止め薬:デキストロメトルファン、コデイン、及びノスカピン、及び
・ 抗ヒスタミン剤:クレマスチン、クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、ロラタジン、アクリバスチン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、ドキシラミン、及びジメンヒドリナート
から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記製剤が1又は複数の脂質成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項4】
前記1又は複数の脂質成分が、以下の:
- カカオバター及びカカオバターの代わり、例えばカカオバター同等物(CBE)、カカオバター代替物(CBS)、カカオバター置換物(CBR)、及びカカオバター改良物(CBI)、
- ココナッツ、油やしオイル、及び他の類似のオイルであって、主にラウリン酸及びミリスチン酸に基いて特徴付けられるオイル、
- パーム油、シアバター、カライト(karite)バター、イリッペ・バター、マンゴー・カーネル油、サラノキ油、及び他の類似の脂肪であって、主にパルミチン酸、及びオレイン酸、及びステアリン酸に基いて特徴付けられる脂肪
- コーン油、ヒマワリ油、ハイブリッド・サンフラワー油、ダイズ油、アブラナ油、カノーら油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油、落花生 (ピーナッツ、ラッカセイ)油、及び他の油であって、オレイン酸、リノール酸、及び リノレン酸に基き、そして適切な融点にまで水素添加されることに基いて特徴付けられる油、
- 魚油、獣脂、ラード、乳脂肪、及び他の動物由来の脂肪、並びに
- 合成脂肪、再エステル化脂肪、何も使用しないか又は酸性、アルカリ性、又は酵素触媒を使用して脂肪酸とグリセロールとの化学反応により得られる硬い脂肪
から選ばれ、これにより、該化合物は、単一要素として又は互いに混合されて使用され、粗製物であるか、又は物理的若しくはアルカリ精製を使用して精製され、又はさらなる処理、例えば触媒性水素付加、エステル交換、エステル転移、及び分画にかけられることを特徴とする、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記1又は複数の脂質成分が、カカオバター同等物(CBE)、カカオバター代替物(CBS)、及びカカオバター置換物(CBR)から選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記製剤が1又は複数の緩衝剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記1又は複数の緩衝剤が、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウムの炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、リン酸塩、又はグリシン酸塩、或いはその混合体から選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤が、1又は複数の甘味剤及び場合により1又は複数の香味剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記1又は複数の甘味剤が、スクロース、アスパルテーム、アセスルファム・カリウム、サッカリン、サッカリン・ナトリウム、チクロ、グリチルチリン、タウマチン (タリン)、スクラロース、ジヒドロカルコン(ネオヘスペリジン・ジヒドロ-カルコン)、アリテーム、ミラクリン(ミラクルフルーツ)、モネリン(セレンディピティーベリー)、ステブシド及び/又はそれらの塩であることを特徴とする、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤が、1又は複数の乳濁剤/可溶化剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記1又は複数の乳濁剤/可溶化剤が、以下の:
- レシチン、好ましくはダイズ・レシチン及び/又はタマゴ・レシチン、
- 非イオン性界面活性剤、例えばポロキサマー、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド及びそのエステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、脂肪酸(ポリグリセロールリシノール酸を含む)のポリグリセロールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル
- 陰イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸、脂肪酸の石鹸、ラクチレート、特にナトリウム及び/又はカルシウム・ステアロイルアセチレート、ラウリル硫酸ナトリウム及びラタノール、
- 双性イオン性界面活性剤、例えば双性イオンのリン脂質、例えばホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン、
又はその又はレシチンとの混合体、一部、又は誘導体から選ばれることを特徴とする、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記1又は複数の乳濁剤/可溶化剤が、レシチン、好ましくはダイズ・レシチン及び/又はタマゴ・レシチンから選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記製剤が、1又は複数の化合物、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、転化糖から選ばれる物質(単数又は複数)、医薬として許容されるポリオール、例えばザイリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト、及びグリセロール、又はポリデキストロース、又はデンプン、或いはそれらの混合体をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項14】
前記製剤が、好ましくは塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、及びグリチルリジン酸アンモニウムから選ばれる1又は複数の調味剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
前記製剤が、好ましくは二酸化チタン、酸化鉄、及びアルミニウム・レーキから選ばれる1又は複数の着色剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜14に記載の製剤。
【請求項16】
製剤の単位投与量が、約200〜1000mgの質量を有し、そして以下:
【表1】

を含むことを特徴とし、ここで該1又は複数の活性医薬成分(API)は、口腔内取り込みのために適しているAPI、好ましくは以下の:
・ 抗炎症剤:ジクロフェナク、ケトロラク、インドメタシン、トルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ケトプロフェン、セレコキシブ及びロフェコキシブ;
・ 筋肉弛緩剤:オルフェナドリン及びバクロフェン;
・ 骨石灰化に作用する薬剤:アレンドロン酸及びリセドロン酸;
・ 鎮痛剤:プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ケトベニドン、ヒドロモルフォン、トラマドール、及びモルヒネ;
・ 抗偏頭痛薬:ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、エレトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、及びゾルミトリプタン ;
・ 抗パーキンソン病薬:プラミペキソール、ロピニロール、及びセレギリン ;
・ 抗不安薬:アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、及びオキサゼパム;
・ 睡眠薬:フルニトラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、トリアゾラム、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデム、クロメチアゾール、及びプロピオマジン;
・ 精神刺激薬:カフェイン;
・ 物質依存に対する薬:ブプロピオン、ロベリン、ナルトレキソン、及びメタドン;
・ 胃潰瘍治療薬:ファモチジン、及びラニチジン;
・ 鎮痙薬:ヒヨスチアミン;
・ 制吐薬:メトクロプラミド、オンダンセトロン、スコポラミン、ヒヨスチン、ペルフェナジン、プロクロペラジン、メクリジン、及びハロペリドール:
・ 抗糖尿病薬:ロシグリタゾン ;
・ 心血管作動薬: エチレフリン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、及び一硝酸イソソルビド;
・ 抗高血圧剤:ヒドララジン;
・ 利尿薬:フロセミド、及びアミロリド ;
・ β受容体遮断薬:プロプラノロール、及びチモロール;
・ カルシウム・チャネル遮断薬:アムロジピン ;
・ ACE阻害剤:カプロプリル、リシノプリル、及びホシノプリル;
・ 血中脂質低減剤: シンバスタチン;
・ 乾癬治療薬:アシトレチン ;
・ 抗喘息薬: テルブタリン ;
・ 住血除去剤:シュードエフェドリン、及びフェニレフリン;
・ 下痢止め薬:ロペラミド ;
・ 咳止め薬:デキストロメトルファン、コデイン、及びノスカピン、及び
・ 抗ヒスタミン剤:クレマスチン、クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、ロラタジン、アクリバスチン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、ドキシラミン、及びジメンヒドリナート
から選ばれる1又は複数のAPIから選ばれる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項17】
経口投与形態として剤形され、そして前記1又は複数の活性医薬成分を主に口腔内デリバリー、好ましくは舌下及び/又は頬デリバリーを介してデリバリーする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
ヒト又は動物の治療に有用な医薬の製造のための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項19】
ヒト又は動物対象の治療方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の経口投与される医薬製剤を該対象に投与することを含む、前記治療方法。
【請求項20】
ヒト又は動物対象の治療法法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の経口投与される医薬製剤を該対象に投与し、同時に1又は複数の活性医薬成分(API)を1又は複数の他の投与経路で投与することを含む、前記治療方法。
【請求項21】
前記1又は複数のほかの経路が、経皮及び経口投与、並びに吸入及び注射による投与から選ばれる、請求項20に記載される対象の治療方法。

【公開番号】特開2011−79841(P2011−79841A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−255113(P2010−255113)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2006−506377(P2006−506377)の分割
【原出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【出願人】(507287799)マクニール アクティエボラーグ (2)
【Fターム(参考)】