説明

液中ウェーハ単離方法及び液中ウェーハ単離装置

【課題】極薄のウェーハを安全、簡単、確実かつ迅速に単離させることができ、かつ従来と比べて処理スピードが改善されたウェーハ単離方法及びウェーハ単離装置を提供する。
【解決手段】多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体を液体中に浸漬させて準備するステップと、前記最上層のウェーハの一端部を吸着し、前記最上層のウェーハの他端部は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させる吸着ステップと、前記最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間に流体を吹き込む流体吹き込みステップと、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめるウェーハ変位ステップと、を含み、ウェーハを単離するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数枚又は複数枚のウェーハ、特に薄いウェーハ、例えば、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハ、特には太陽電池用の半導体ウェーハが積層されたウェーハ積層体の最上層のウェーハを隣接する下側のウェーハから安全で簡単かつ確実に引き離すことができ、従来よりも処理スピードが改善された新規な液中ウェーハ単離方法及び液中ウェーハ単離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンインゴットなどからスライスされて切り出された薄層状のシリコンウェーハ等の半導体ウェーハ(以下、単にウェーハという)は、その後各種の処理を受けて最終製品化される。このウェーハの各種の処理にあたって、多数枚又は複数枚のウェーハを積層してウェーハ積層体(コインスタックと通称される)となし、このウェーハ積層体から1枚ずつウェーハを引き離して各ウェーハ毎に処理されるのが通常である。
【0003】
しかしながら、例えば、インゴットからスライスされたウェーハの表面には油を含有した砥粒剤(スラリー)が残存付着しているように、各種処理後のウェーハ表面には油等の液体が付着していることが多い。多数枚又は複数枚のウェーハを積層した場合には、ウェーハ面に存在するこれらの液体の表面張力によって、ウェーハを側方に移動することはできるにしても隣接する下側のウェーハから上方に引き離すことは困難である。
【0004】
そこで、本出願人は、多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体の最上層のウェーハの周縁部を上方に反らせ、該最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間に流体を吹き込むとともに該最上層のウェーハを上昇せしめ、ウェーハを単離するようにしたウェーハ単離装置を提案した(特許文献1)。
【0005】
上記従来のウェーハ単離装置の動作原理を説明すると、多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体の最上層のウェーハの中心部をウェーハ押え手段によって押えると共に、ウェーハ吸着手段によってウェーハの周辺部を真空吸着してウェーハの周縁部を上方に反らせ、該最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間の間隙に流体噴射手段によって流体(水及び/又は空気)を吹き込むと共に該最上層のウェーハを上昇せしめ、ウェーハをウェーハ積層体から単離するというものである。
【0006】
しかしながら、最近では、ウェーハは益々極薄化してきており、上記特許文献1に記載のウェーハ単離装置では、ウェーハの単離時に割れが発生するおそれがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本出願人は、液中で単離を行うことによりウェーハの割れの発生を低減し、安全、簡単、確実かつ迅速に極薄のウェーハを単離させることができる液中ウェーハ単離装置を提案した(特許文献2)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に記載のウェーハ単離装置では、ウェーハの割れの発生を低減することには成功したものの、ウェーハ単離装置の処理スピードが遅くなってしまったという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−64152号公報
【特許文献2】WO2008/068943
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、極薄のウェーハを安全、簡単、確実かつ迅速に単離させることができ、かつ従来と比べて処理スピードが改善されたウェーハ単離方法及びウェーハ単離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の液中ウェーハ単離方法は、液体中に浸漬された状態の多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体から最上層のウェーハを単離するウェーハ単離方法であって、多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体を液体中に浸漬させて準備するステップと、前記最上層のウェーハの一端部を吸着し、前記最上層のウェーハの他端部は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させる吸着ステップと、前記最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間に流体を吹き込む流体吹き込みステップと、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめるウェーハ変位ステップと、を含み、ウェーハを単離するようにしたことを特徴とする。
【0012】
従来は、最上層のウェーハを変位させることなく、同一位置で上方に引き上げるのみであったため、ウェーハ単離時の割れが発生し易かったが、本発明では、傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめることで、ウェーハ単離時の割れの発生を極力抑えることに成功した。傾斜させた最上層のウェーハの傾斜の延長線上に沿って変位させられたウェーハ、すなわち、前記ウェーハ積層体から離れるようにその傾斜の延長線上に沿って変位させられたウェーハは、例えばベルトコンベアベルト上に置くことで所望の場所へと運ぶ構成とすることができる。
【0013】
本発明においては、ウェーハ積層体WSの全体が浸漬液に浸漬されており、このようにして、最上層のウェーハW1を液中から取出せしめると、最上層のウェーハW1が隣接する下側のウェーハW2から単離される際の液体の負圧の発生が抑制されるため、液体の負圧を原因とするウェーハ割れの事故が発生し難くなる。更にウェーハ上の液体もウェーハ上に滞留しにくくなる為、ウェーハ割れを減少させる事ができる。
【0014】
前記ウェーハとしては、シリコン単結晶半導体ウェーハなどの単結晶半導体ウェーハ又はシリコン多結晶半導体ウェーハなどの多結晶半導体ウェーハのいずれも適用できる。
【0015】
前記傾斜角度は、1°〜30°であるのが好ましく、3°〜30°がより好ましく、5°〜30°が最も好ましい。
【0016】
前記流体としては、水及び/又は空気であるのが好ましい。すなわち、前記流体としては、水又は空気のいずれかを用いてもよいし、水及び空気の混合でもよい。特に、水及び空気の混合流体が好適に用いられる。
【0017】
また、前記流体は水及び空気であり、水及び空気を所定時間で切り替えて吹き込むようにしてもよい。
【0018】
さらに、前記吸着ステップにおいて、前記最上層のウェーハの一端部を吸着すると共に前記最上層のウェーハの他端部を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハの吸着された一端部の周縁部を上方に反らすようにするのが好適である。
【0019】
さらにまた、前記吸着ステップにおいて、前記最上層のウェーハの一端部の少なくとも2箇所を吸着手段によりウェーハ周縁部が上方に反るように吸着することにより、前記最上層のウェーハの一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させるようにするのが好適である。
【0020】
前記最上層のウェーハの他端部下面と隣接する下側のウェーハの上面との間隙を空けてから前記ウェーハ変位ステップを行うようにするのが好適である。前記間隙としては、1mm〜10mm程度が好ましい。
【0021】
本発明の液中ウェーハ単離装置は、液体中に浸漬された多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体から最上層のウェーハを単離する液中ウェーハ単離装置であって、上下動自在に設けられた支持板と、前記支持板の下面周辺部に設けられ、前記最上層のウェーハの上面一端部の1以上の吸着位置を吸着するウェーハ吸着手段と、前記支持板の下面周辺部に前記ウェーハ吸着手段に相対向して設けられ、前記最上層のウェーハの上面一端部の吸着位置とウェーハの中心部を介して相対向する上面他端部の1以上のおさえ位置をおさえるウェーハおさえ手段と、前記ウェーハ吸着手段に対応してその外方に設けられた流体噴射手段と、前記支持板を所定の傾斜角度に水平方向で傾斜せしめかつ前記傾斜の延長線上に沿って水平方向に変位せしめる変位手段と、ウェーハ積層体の全体が浸漬するように浸漬液を満たしかつウェーハの単離動作が液中で行えるように構成された浸漬容器と、を有し、前記ウェーハ吸着手段により前記最上層のウェーハの上面一端部の1以上の吸着位置を吸着し前記最上層のウェーハの他端部は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させ、前記流体噴射手段により前記最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間に流体を吹き込み、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめることにより、ウェーハを単離するようにしたことを特徴とする。
【0022】
前記傾斜角度は、1°〜30°であるのが好ましく、3°〜30°がより好ましく、5°〜30°が最も好ましい。
【0023】
前記流体としては、水及び/又は空気であるのが好ましい。すなわち、前記流体としては、水又は空気のいずれかを用いてもよいし、水及び空気の混合でもよい。特に、水及び空気の混合流体が好適に用いられる。
【0024】
また、前記流体は水及び空気であり、水及び空気を所定時間で切り替えて吹き込むようにしてもよい。
【0025】
前記ウェーハおさえ手段が、ウェーハ押圧手段であり、前記吸着手段で前記最上層のウェーハの上面一端部を吸着すると共に前記ウェーハ押圧手段で前記最上層のウェーハの上面他端部を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハの吸着された一端部の周縁部を上方に反らすようにしてなるのが好ましい。
【0026】
前記吸着手段により、前記最上層のウェーハの一端部の少なくとも2箇所をウェーハ周縁部が上方に反るように吸着することにより、前記最上層のウェーハの一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させるようにするのが好適である。
【0027】
また、前記最上層のウェーハの他端部下面と隣接する下側のウェーハの上面との間隙を空けてから、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめることにより、ウェーハを単離するようにするのが好適である。ウェーハがさらに単離し易くなるからである。
【0028】
前記ウェーハ積層体を上下動自在に保持するためのウェーハ積層体保持手段と、最上層ウェーハの高さ位置を確認するためのウェーハ位置確認センサーと、をさらに含み、前記ウェーハ積層体が所定高さにセットされるようにするのがさらに好適である。
【0029】
前記支持板を十字形状、X字形状或いはエ字形状に形成し、該支持板の下面周辺部に、前記ウェーハ吸着手段を設けることが好ましい。
【0030】
前記支持板は、上方移動時に水平方向で傾斜するように設けられていることが好ましい。前述した如く、単離する際に最上層のウェーハを水平方向で傾斜しつつ上昇することで液体の表面張力の影響を低減できる。そのためには、支持板を上方移動時に水平方向で傾斜するように設けておくことで、支持板に設けられているウェーハ吸着手段やウェーハ軸押え手段も同様に水平方向で傾斜することとなり、最上層のウェーハがウェーハ吸着手段により吸着されて前記傾斜させた最上層のウェーハが、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめることができる。前記した浸漬液及び噴射液体としては水を用いればよいが、水に薬液、例えば界面活性剤等を添加したものを使用することもできる。
【0031】
前記ウェーハ吸着手段が流体噴射機能を備える真空吸着ノズルであり、該真空吸着ノズルから液体を噴射し、前記ウェーハ積層体の最上層のウェーハの吸着位置を洗浄することが好ましい。シリコンインゴット等からスライスされて切り出された薄層状のシリコンウェーハ等は、スライス時のスラリー等の液体が残存付着しており、この残存したスラリー等の液体は時間が経つとウェーハ表面で半乾状態となるため、ウェーハ吸着手段による吸着に失敗したり、不完全な吸着となったりして、非常に不安定なものとなる。そこで、上述したように、真空吸着ノズルから液体を噴射して、吸着位置を洗浄するようにしておけば、吸着の失敗や不完全な吸着等の不具合を解消できる。
【0032】
前記ウェーハ吸着手段が流体噴射機能を備える真空吸着ノズルであり、該真空吸着ノズルから液体を噴射し、該真空吸着ノズルに連通する配管の洗浄を行うことが好ましい。上述した如く、ウェーハにはスライス時のスラリー等の液体が残存付着しているため、これを吸着する際に、スラリー等の液体も真空吸着ノズルに連通する配管に吸い込まれるため、配管が汚れて詰まったりして動作不良を起こしてしまう。そこで、真空吸着ノズルから液体を噴射して、配管を洗浄するようにしておけば、このような動作不良の発生を防ぐことができる。
【0033】
前記ウェーハ吸着手段が流体噴射機能を備える真空吸着ノズルであり、該真空吸着ノズルから液体を噴射し、前記ウェーハ吸着手段がウェーハ表面上で一時的にホバリングするようにすることが好ましい。シリコンウェーハ等の半導体ウェーハは、脆性材料であるため、衝撃等により容易に破損が生じ得る。特に、ウェーハ吸着手段を降下せしめてウェーハの表面に接触させ、真空吸着を行う場合、単純にウェーハ吸着手段を自重落下させると、ウェーハ吸着手段が急降下してウェーハの表面に衝突し、ウェーハの破損が生じてしまう。そこで、真空吸着ノズルから液体を噴射しつつウェーハ吸着手段を降下せしめ、ウェーハ吸着手段がウェーハ表面上で一時的にホバリングするようにしておけば、このようなウェーハの破損が生じるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0034】
以上述べた如く、本発明によれば、極薄のウェーハを安全、簡単、確実かつ迅速に単離させることができ、かつ従来と比べて処理スピードが改善されたウェーハ単離方法及びウェーハ単離装置を提供することができるという大きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のウェーハ単離装置において、ウェーハ単離時にウェーハを水平方向で傾斜して取出せしめる動作原理を示す側面概念説明図である。
【図2】(a)は、本発明のウェーハ単離方法によって、略四角形状のウェーハを単離する場合の吸着位置を示す平面図である。(b)は、最上層のウェーハの一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させた状態を示す概略側面図である。
【図3】本発明のウェーハ単離装置の概略平面図である。
【図4】本発明のウェーハ単離装置の概略側面図である。
【図5】本発明のウェーハ単離装置において、ウェーハ位置確認センサーによるセンシングを模式的に示す側面概念説明図である。
【図6】本発明のウェーハ単離装置において、ウェーハ単離時にウェーハを水平方向で傾斜して取出せしめる動作原理を示す側面概念説明図である。
【図7】本発明のウェーハ単離装置において、ウェーハ単離時にウェーハを水平方向で傾斜して取出せしめる動作原理を示す側面概念説明図であり、(a)はウェーハを前記最上層のウェーハの他端部下面と隣接する下側のウェーハの上面との間隙を空けてから、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめる状態を示し、(b)ウェーハを前記最上層のウェーハの他端部下面と隣接する下側のウェーハの上面との間隙を空けずに、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめる状態を示す。
【図8】従来のウェーハ単離装置と同様に、ウェーハ単離時にウェーハを傾斜して上方に取出せしめる動作原理を示す側面概念説明図である。
【図9】従来のウェーハ単離装置と同様に、単離させたウェーハを上方に取出せしめる動作原理を示す側面概念説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に本発明の実施の形態をあげるが、以下の説明は例示的に示されるもので限定的に解釈すべきものでないことはいうまでもない。
【0037】
図において、符号2は本発明に係る液中ウェーハ単離装置である。液中ウェーハ単離装置2は、液体中に浸漬された多数枚又は複数枚のウェーハWが積層されたウェーハ積層体WSから最上層のウェーハW1を単離する液中ウェーハ単離装置であって、上下動自在に設けられた支持板12と、前記支持板12の下面周辺部に設けられ、前記最上層のウェーハW1の上面一端部の1以上の吸着位置を吸着するウェーハ吸着手段22a,22bと、前記支持板12の下面周辺部に前記ウェーハ吸着手段22a,22bに相対向して設けられ、前記最上層のウェーハW1の上面一端部の吸着位置とウェーハの中心部を介して相対向する上面他端部の1以上のおさえ位置をおさえるウェーハおさえ手段23a,23bと、前記ウェーハ吸着手段22a,22bに対応してその外方に設けられた流体噴射手段24a,24bと、前記支持板12を所定の傾斜角度θに水平方向で傾斜せしめかつ前記傾斜の延長線上に沿って水平方向に変位せしめる変位手段10と、ウェーハ積層体WSの全体が浸漬するように浸漬液132を満たしかつウェーハの単離動作が液中で行えるように構成された浸漬容器134と、を有し、前記ウェーハ吸着手段22a,22bにより前記最上層のウェーハW1の上面一端部の1以上の吸着位置を吸着し前記最上層のウェーハW1の他端部は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハW1を水平方向で傾斜させ、前記流体噴射手段24a,24bにより前記最上層のウェーハW1の下面と隣接する下側のウェーハW2の上面との間に流体を吹き込み、前記傾斜させた最上層のウェーハW1を、その傾斜角度θの延長線EL上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハW1を取出せしめることにより、ウェーハを単離するようにされている。
【0038】
図において、符号WSは多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体である。該ウェーハ積層体WSはウェーハ乗せ台130の上面に載置されている。符号10は前記支持板12を所定の傾斜角度θに水平方向で傾斜せしめかつ前記傾斜の延長線EL上に沿って水平方向に変位せしめる変位手段であり、図示の例では、ロボットアームを示した。前記変位手段10としては、水平方向はもちろん支持板12を上下動させることもできる。また、前記ロボットアームの構造としては、公知のロボットアームを使用できる。
【0039】
符号4はウェーハ積層体保持手段で、ウェーハ乗せ台130を上下動させて、多数枚又は複数枚の半導体ウェーハ、例えばシリコンウェーハなどのウェーハが積層されたウェーハ積層体WSを上下動自在に保持する作用を行う。ウェーハ乗せ台130を上下動させる構成は、例えばラック及びピニオンによる構造などの公知の手法を用いればよく、詳細は省略する。
【0040】
ウェーハ吸着手段22a,22bによって最上層のウェーハW1が吸着される位置を図2(a)に示す。図2(a)において、吸着位置A,Bは、それぞれウェーハ吸着手段22a,22bによって吸着される吸着位置を示す。このように、吸着位置としては最上層のウェーハW1の少なくとも一端部を吸着するようにすればよいもので、図示の例では、2個所の例を示したが、1以上の個所を吸着するようにすればよい。
【0041】
また、図示の例では、角形のウェーハを示したが、丸形のウェーハでもよく、シリコン単結晶半導体ウェーハなどの単結晶半導体ウェーハ又はシリコン多結晶半導体ウェーハなどの多結晶半導体ウェーハのいずれも適用できる。
【0042】
同様に、ウェーハおさえ手段23a,23bによって最上層のウェーハW1がおさえられるおさえ位置を図2(a)に示す。図2(a)において、おさえ位置C,Dは、それぞれウェーハおさえ手段23a,23bによっておさえられるおさえ位置を示す。このように、おさえ位置としては、最上層のウェーハW1の上面一端部の吸着位置とウェーハW1の中心部を介して相対向する上面他端部の1以上のおさえ位置をおさえるようにすればよいもので、図示の例では、2個所の例を示したが、1以上の個所を吸着するようにすればよい。
【0043】
前記変位手段10にはフレーム部材11を介して支持板12が取り付けられている。支持板12の下面にはウェーハ吸着手段22a,22b及びウェーハおさえ手段23a,23bが設けられている。ウェーハ吸着手段22a,22bに対応して夫々その外方に流体噴射手段24a,24bが設けられている。
【0044】
液中ウェーハ単離装置2は、ウェーハ積層体WSの全体が浸漬するように浸漬液132を満たしかつウェーハの単離動作が液中で行えるように浸漬容器134を有している。該浸漬容器134は、図示を省略するが、給液口及び排液口が設けられており、給液及び排液が適宜行われるように構成されている。該浸漬容器134の側壁140は、ウェーハ積層体WSの全体が浸漬できるように、即ちウェーハ積層体WSの最上層のウェーハW1の上面よりも浸漬液の液面132aが上方に位置するように、その高さが設定されており、余分な浸漬液はオーバーフロー液として排液口から排出されるようになっている。浸漬液としては水を用いればよいが、水に薬液、例えば界面活性剤等を添加したものを使用することもできる。
【0045】
支持板12は、少なくとも1方向以上において、ウェーハの直径よりも長い部材であればよく特に限定されない。ウェーハよりも大きな円形や四角形とすることもできるが、好ましくは、十字形状、X字形状或いはエ字形状に形成すればよい。図示の例では、図2(a)に示すように四角形とした例を示した。
【0046】
ウェーハ吸着手段22a,22bの基端部は夫々配管によって真空源とオンオフ可能に接続されており、先端の真空吸着部がウェーハを吸着する場合には真空源との接続がオンとなって真空吸着を行ない、吸着しない場合には真空源との接続がオフとなるようになっている。
【0047】
ウェーハ吸着手段22a,22bの先端の真空吸着部には真空吸着を行なうための真空吸着ノズルが設けられている。該真空吸着ノズルは水等の液体を噴射する流体噴射機能を併せて具備することができ、この場合は、配管によって水供給源とオンオフ可能に且つ真空源と切り換え可能に接続する。真空吸着ノズルから液体を噴射する場合には、真空源から水供給源に切り換えて、水供給源との接続をオンとして液体を噴射し、液体を噴射しない場合には水供給源との接続もオフとする。
【0048】
該真空吸着ノズルの流体噴射機能は、該真空吸着ノズルによって真空吸着を行うウェーハにはスラリー等が残存しているために、真空吸着を繰り返して行っていると該真空吸着ノズルに連通する配管が汚れて動作不良の原因となるため、該真空吸着ノズルから水等の液体を噴射することによって該真空吸着ノズルに連通する配管の洗浄を行なうものであり、また、最上層のウェーハがスラリー等で汚れていると、真空吸着ノズルによる真空吸着が不安定となることがあるので、真空吸着を行う前に、該真空吸着ノズルから水等の液体を噴射して最上層のウェーハの吸着位置の洗浄を行なうものである。
【0049】
符号24a,24bは流体噴射手段で、前記ウェーハ吸着手段22a,22bに対応してその外方に位置するように該支持板12の周端部に取付金具を介して設けられている。該流体噴射手段24a,24bの下端部には流体噴射孔が夫々形成されている。該流体噴射手段24a,24bは夫々に配管と連通しており液体供給源とオンオフ可能に接続されている。
【0050】
該流体噴射手段24a,24bは、ウェーハ積層体WSの最上層のウェーハW1の下面と隣接する下側のウェーハW2の上面との間に形成される間隙D1に液体を噴射する。噴射する液体としては、水を用いればよいが、水に薬液、例えば界面活性剤等を添加したものを使用することもできる。
【0051】
このような構成の液中ウェーハ単離装置2を用い、まず、ウェーハ積層体WSの最上層のウェーハW1の一端部をウェーハ吸着手段22a,22bによって吸着し、他端部は吸着せずにウェーハおさえ手段23a,23bでおさえる。このとき、前記最上層のウェーハW1の一端部を吸着すると共に前記最上層のウェーハW1の他端部を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハW1の吸着された一端部の周縁部を上方に反らすようにするとより好ましい。
【0052】
また、図2(b)に示すように、前記最上層のウェーハW1の一端部の少なくとも2箇所をウェーハ吸着手段22a,22bによりウェーハ周縁部が上方に反るように吸着することにより、前記最上層のウェーハW1の一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハW1を水平方向で傾斜させるようにするとより好ましい。図2(b)において、前記最上層のウェーハW1は、吸着された側のウェーハ周縁部が上方に反っており、水平方向で傾斜させられているため、最上層のウェーハW1の下面15がみえている状態となっている。
【0053】
そして、このようにウェーハ積層体WSの最上層のウェーハW1の一端部をウェーハ吸着手段22a,22bによって吸着し、他端部は吸着せずにウェーハおさえ手段23a,23bでおさえ、該最上層のウェーハW1の下面15と隣接する下側のウェーハW2の上面との間の間隙D1に、流体噴射手段24a,24bによって、流体(例えば、水)を吹き込む(図1)。
【0054】
また、ウェーハおさえ手段23a,23bがウェーハ押圧手段であり、前記ウェーハ吸着手段22a,22bで前記最上層のウェーハW1の上面の一端部16を吸着すると共に前記ウェーハ押圧手段で前記最上層のウェーハW1の上面の他端部17を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハW1の吸着された一端部16の周縁部を上方に反らすようにするのがさらに好適である。ウェーハおさえ手段23a,23bをウェーハ押圧手段とするには、ウェーハおさえ手段23a,23bに下方への押圧機能を付加すればよいもので、例えば、油圧、ガス圧やバネなどによってウェーハおさえ手段23a,23bが下方へ付勢されるようにすればよい。
【0055】
そして、変位手段10により、該最上層のウェーハW1を所定の傾斜角度θに水平方向で傾斜せしめかつ前記傾斜の延長線EL上に沿って水平方向に変位せしめ、液中から該最上層のウェーハW1を取出し、単離する。本発明においては、ウェーハ積層体WSの全体が浸漬液に浸漬されており、このようにして、最上層のウェーハW1を液中から取出せしめると、最上層のウェーハW1が隣接する下側のウェーハW2から単離される際の液体の負圧の発生が抑制されるため、液体の負圧を原因とするウェーハ割れの事故が発生し難くなる。更にウェーハ上の液体もウェーハ上に滞留しにくくなる為、ウェーハ割れを減少させる事ができる。
【0056】
また、前記最上層のウェーハW1の他端部17側(ウェーハおさえ手段23a,23bでおさえた側)の下面15と隣接する下側のウェーハW2の上面との間隙を空けてから、前記傾斜させた最上層のウェーハW1を、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハW1を取出せしめるようにするのがさらに好適である。
【0057】
前記傾斜角度としては、1°〜30°であるのが好ましく、3°〜30°がより好ましく、5°〜30°が最も好ましい。
【0058】
変位手段10により単離された該最上層のウェーハW1は、ウェーハ移送部150へと運ばれる。ウェーハ移送部150は、ベルトコンベア152a,152bを有しており、該ベルトコンベア152a,152bによって運ばれた該最上層のウェーハW1は、ウェーハ収容部154へと順次運ばれ、ウェーハ収容部154内に積層して収容される。
【0059】
また、図5に示すように、最上層ウェーハW1の高さ位置を確認するためのウェーハ位置確認センサー9a,9b、をさらに含み、前記ウェーハ積層体WSが所定高さに常にセットされるように構成するのがさらに好適である。
【0060】
次に、上記のように構成された液中ウェーハ単離装置2を用いた本発明の液中ウェーハ単離方法を説明する。
【0061】
まず、多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体WSを液体中に浸漬させて準備する。
【0062】
次に、前記最上層のウェーハW1の一端部16を吸着し、前記最上層のウェーハW1の他端部17は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハW1を水平方向で傾斜させる(吸着ステップ)。
【0063】
流体噴射手段24a,24bによって、前記最上層のウェーハW1の下面15と隣接する下側のウェーハW2の上面との間に流体を吹き込む(流体吹き込みステップ)。この流体吹き込みステップは、前記吸着ステップと同時に行ってもよいし、吸着ステップで前記最上層のウェーハW1を少しだけ水平方向で傾斜させた後に流体吹き込みステップを行ってもよい。すなわち、吸着ステップと流体吹き込みステップを行うタイミングについては、適宜調整して行えばよい。
【0064】
そして、吸着しながら傾斜させた最上層のウェーハW1を、その傾斜の延長線EL上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハW1を取出せしめる(ウェーハ変位ステップ)。このようにして、ウェーハW1をウェーハ積層体WSから単離する。
【0065】
変位手段10により変位されて単離された該最上層のウェーハW1は、ウェーハ移送部150へと運ばれる。そして、ベルトコンベア152a,152bによって順次運ばれた該最上層のウェーハW1は、ウェーハ収容部154へと運ばれ、ウェーハ収容部154内に積層して収容される。
【0066】
前記ウェーハとしては、シリコン単結晶半導体ウェーハなどの単結晶半導体ウェーハ又はシリコン多結晶半導体ウェーハなどの多結晶半導体ウェーハのいずれも適用できる。
【0067】
前記傾斜角度は、1°〜30°であるのが好ましく、3°〜30°がより好ましく、5°〜30°が最も好ましい。
【0068】
前記流体としては、水及び/又は空気であるのが好ましい。すなわち、前記流体としては、水又は空気のいずれかを用いてもよいし、水及び空気の混合でもよい。特に、水及び空気の混合流体が好適に用いられる。
【0069】
また、前記流体は水及び空気であり、水及び空気を所定時間で切り替えて吹き込むようにしてもよい。
【0070】
さらに、前記吸着ステップにおいて、前記最上層のウェーハW1の一端部16を吸着すると共に前記最上層のウェーハW1の他端部17を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハW1の吸着された一端部16の周縁部を上方に反らすようにするのが好適である。
【0071】
さらにまた、前記吸着ステップにおいて、前記最上層のウェーハW1の一端部の少なくとも2箇所をウェーハ吸着手段22a,22bによりウェーハ周縁部が上方に反るように吸着することにより、図2(b)に示すように、前記最上層のウェーハの一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させるようにするのが好適である。
【0072】
また、前記最上層のウェーハW1の他端部17の下面15と隣接する下側のウェーハW2の上面との間隙を空けてから前記ウェーハ変位ステップを行うようにするのが好適である。前記間隙としては、1mm〜10mm程度が好ましい。
【実施例】
【0073】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0074】
(実施例1〜7)
上述した液中ウェーハ単離装置2を用いて、太陽電池製造用のシリコン多結晶ウェーハを単離した。ウェーハとしては、156mm角、厚さ0.2mmの略四角形のウェーハを使用した。
【0075】
ウェーハW1の取出しの際、図6に示すように、ウェーハ積層体WSの最上層のウェーハW1の一端部をウェーハ吸着手段22a,22bによって吸着し、他端部は吸着せずにウェーハおさえ手段23a,23bでおさえ、前記支持板12を所定の傾斜角度θに水平方向で傾斜せしめ間隙D1を空けて、かつ前記最上層のウェーハW1の他端部17の下面15と隣接する下側のウェーハW2の上面との間隙D2を空け、該最上層のウェーハW1の下面15と隣接する下側のウェーハW2の上面との間の間隙D1に、流体噴射手段24a,24bによって、水とエアーの混合流体を吹き込んだ。水とエアーの混合流体としては、最初に水が1秒間吹込み、その後エアーが4秒間吹込むように設定し、水とエアーの混合流体となるようにした。間隙D2としては、3mmとした。
【0076】
そして、前記傾斜の延長線EL上に沿って水平方向に変位せしめ、液中から該最上層のウェーハW1を取出した。傾斜角度θとしてはそれぞれ3°、5°、10°、15°、20°、25°、30°とした。結果を表1に示す。
【0077】
(実施例8)
上述した液中ウェーハ単離装置2を用いて、太陽電池製造用のシリコン多結晶ウェーハを単離した。ウェーハW1の取出しの際、図7に示すように、間隙D1のみを空け、間隙D2を空けなかった以外は、実施例1と同様にして該最上層のウェーハW1を取出した。傾斜角度θとしては、実施例2と同様に5°とした。不具合枚数は、ウェーハ20枚中1枚であり、5%の不具合枚数であった。
【0078】
(実施例9)
上述した液中ウェーハ単離装置2を用いて、太陽電池製造用のシリコン多結晶ウェーハを単離した。ウェーハW1を単離する際、吹き込む流体として水のみとした以外は、実施例1と同様にして該最上層のウェーハW1を取出した。傾斜角度θとしては、実施例2と同様に5°とした。不具合枚数は、ウェーハ20枚中3枚であり、15%の不具合枚数であった。
【0079】
(実施例10)
上述した液中ウェーハ単離装置2を用いて、太陽電池製造用のシリコン多結晶ウェーハを単離した。ウェーハW1を単離する際、吹き込む流体としてエアーのみとした以外は、実施例1と同様にして該最上層のウェーハW1を取出した。傾斜角度θとしては、実施例2と同様に5°とした。不具合枚数は、ウェーハ20枚中4枚であり、20%の不具合枚数であった。
【0080】
(実施例11〜14)
傾斜角度θをそれぞれ35°、40°、45°、50°とした以外は、実施例1と同様にして該最上層のウェーハW1を取出した。結果を表1に示す。
【0081】
(比較例1)
上述した液中ウェーハ単離装置2を用いて、太陽電池製造用のシリコン多結晶ウェーハを単離した。ウェーハW1の取出しの際、図8に示すように、従来のウェーハ単離装置と同様にウェーハ単離時にウェーハW1を傾斜して上方に取出せしめた以外は、実施例1と同様にして該最上層のウェーハW1を取出した。傾斜角度θとしては、実施例2と同様に5°とした。不具合枚数は、ウェーハ20枚中11枚であり、55%の不具合枚数であった。
【0082】
(比較例2)
上述した液中ウェーハ単離装置2を用いて、太陽電池製造用のシリコン多結晶ウェーハを単離した。ウェーハW1の取出しの際、図9に示すように、従来のウェーハ単離装置と同様に単離させたウェーハを上方に取出せしめた以外は、実施例1と同様にして該最上層のウェーハW1を取出した。傾斜角度θとしては、0°とした。不具合枚数は、ウェーハ20枚中12枚であり、60%の不具合枚数であった。
【0083】
【表1】

【0084】
表1に示した如く、傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出すようにした実施例1〜14では、ウェーハの不具合枚数の発生を低く抑えることができた。特に、30°以下の傾斜角度θで取り出した実施例1〜10では、ウェーハの不具合枚数の発生を低く抑えることができた。
【符号の説明】
【0085】
2:ウェーハ単離装置、4:ウェーハ積層体保持手段、9a,9b:ウェーハ位置確認センサー、10:変位手段、11:フレーム部材、12:支持板、15:下面、16:一端部、17:他端部、22a,22b:ウェーハ吸着手段、23a,23b:ウェーハおさえ手段、24a,24b:流体噴射手段、130:ウェーハ乗せ台、132:浸漬液、132a:液面、134:浸漬容器、140:側壁、150:ウェーハ移送部、152a,152b:ベルトコンベア、154:ウェーハ収容部、A,B:吸着位置、C,D:おさえ位置、D1:間隙、D2:間隙、EL:延長線、W:ウェーハ、W1:最上層ウェーハ、W2:下側のウェーハ、WS:ウェーハ積層体、θ:傾斜角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に浸漬された状態の多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体から最上層のウェーハを単離するウェーハ単離方法であって、
多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体を液体中に浸漬させて準備するステップと、
前記最上層のウェーハの一端部を吸着し、前記最上層のウェーハの他端部は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させる吸着ステップと、
前記最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間に流体を吹き込む流体吹き込みステップと、
前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめるウェーハ変位ステップと、
を含み、ウェーハを単離するようにしたことを特徴とする液中ウェーハ単離方法。
【請求項2】
前記傾斜角度は、1°〜30°であることを特徴とする請求項1記載の液中ウェーハ単離方法。
【請求項3】
前記流体は水及び/又は空気であることを特徴とする請求項1又は2記載の液中ウェーハ単離方法。
【請求項4】
前記流体は水及び空気であり、水及び空気を所定時間で切り替えて吹き込むようにすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の液中ウェーハ単離方法。
【請求項5】
前記吸着ステップにおいて、前記最上層のウェーハの一端部を吸着すると共に前記最上層のウェーハの他端部を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハの吸着された一端部の周縁部を上方に反らすようにしたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の液中ウェーハ単離方法。
【請求項6】
前記吸着ステップにおいて、前記最上層のウェーハの一端部の少なくとも2箇所を吸着手段によりウェーハ周縁部が上方に反るように吸着することにより、前記最上層のウェーハの一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の液中ウェーハ単離方法。
【請求項7】
前記最上層のウェーハの他端部下面と隣接する下側のウェーハの上面との間隙を空けてから前記ウェーハ変位ステップを行うようにすることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の液中ウェーハ単離方法。
【請求項8】
液体中に浸漬された多数枚又は複数枚のウェーハが積層されたウェーハ積層体から最上層のウェーハを単離する液中ウェーハ単離装置であって、上下動自在に設けられた支持板と、前記支持板の下面周辺部に設けられ、前記最上層のウェーハの上面一端部の1以上の吸着位置を吸着するウェーハ吸着手段と、前記支持板の下面周辺部に前記ウェーハ吸着手段に相対向して設けられ、前記最上層のウェーハの上面一端部の吸着位置とウェーハの中心部を介して相対向する上面他端部の1以上のおさえ位置をおさえるウェーハおさえ手段と、前記ウェーハ吸着手段に対応してその外方に設けられた流体噴射手段と、前記支持板を所定の傾斜角度に水平方向で傾斜せしめかつ前記傾斜の延長線上に沿って水平方向に変位せしめる変位手段と、ウェーハ積層体の全体が浸漬するように浸漬液を満たしかつウェーハの単離動作が液中で行えるように構成された浸漬容器と、を有し、前記ウェーハ吸着手段により前記最上層のウェーハの上面一端部の1以上の吸着位置を吸着し前記最上層のウェーハの他端部は吸着せずにおさえ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させ、前記流体噴射手段により前記最上層のウェーハの下面と隣接する下側のウェーハの上面との間に流体を吹き込み、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめることにより、ウェーハを単離するようにしたことを特徴とする液中ウェーハ単離装置。
【請求項9】
前記傾斜角度は、1°〜30°であることを特徴とする請求項8記載の液中ウェーハ単離装置。
【請求項10】
前記流体は水及び/又は空気であることを特徴とする請求項8又は9記載の液中ウェーハ単離装置。
【請求項11】
前記流体は水及び空気であり、水及び空気を所定時間で切り替えて吹き込むようにすることを特徴とする請求項8〜10いずれか1項記載の液中ウェーハ単離装置。
【請求項12】
前記ウェーハおさえ手段が、ウェーハ押圧手段であり、前記吸着手段で前記最上層のウェーハの上面一端部を吸着すると共に前記ウェーハ押圧手段で前記最上層のウェーハの上面他端部を下方に押圧せしめ、前記最上層のウェーハの吸着された一端部の周縁部を上方に反らすようにしてなることを特徴とする請求項8〜11いずれか1項記載の液中ウェーハ単離装置。
【請求項13】
前記吸着手段により、前記最上層のウェーハの一端部の少なくとも2箇所をウェーハ周縁部が上方に反るように吸着することにより、前記最上層のウェーハの一端部を半円状に反らせつつ、前記最上層のウェーハを水平方向で傾斜させるようにしてなることを特徴とする請求項8〜12いずれか1項記載の液中ウェーハ単離装置。
【請求項14】
前記最上層のウェーハの他端部下面と隣接する下側のウェーハの上面との間隙を空けてから、前記傾斜させた最上層のウェーハを、その傾斜の延長線上に沿って変位させて液中から前記最上層のウェーハを取出せしめることにより、ウェーハを単離するようにしたことを特徴とする請求項8〜13いずれか1項記載の液中ウェーハ単離装置。
【請求項15】
前記ウェーハ積層体を上下動自在に保持するためのウェーハ積層体保持手段と、最上層ウェーハの高さ位置を確認するためのウェーハ位置確認センサーと、をさらに含み、前記ウェーハ積層体が所定高さにセットされるようにしたことを特徴とする請求項8〜14いずれか1項記載の液中ウェーハ単離装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−124481(P2011−124481A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282720(P2009−282720)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(390004581)三益半導体工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】