説明

溶融ガス化炉に微粉炭材を吹込む溶鉄製造装置及びその溶鉄製造方法

【課題】本発明は、溶融ガス化炉に微粉炭材を取込んで還元力を高めた還元ガスを供給することによる、溶鉄の製造時の燃料費低減を目的とする。また、本発明による溶鉄製造装置は、微粉炭材を取込んで、石炭の燃焼熱の利用効率を増大させることを目的とする。
【解決手段】本発明による溶鉄製造方法は、鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階、還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を準備する段階、溶融ガス化炉のドーム型の上部に塊状炭材を装入して石炭充填層を形成する段階、還元体を溶融する熱源として揮発分を含む微粉炭材を準備する段階、溶融ガス化炉に設置された羽口を通じて酸素及び微粉炭材を石炭充填層に吹込む段階、還元体を還元炉と連結された溶融ガス化炉に装入して溶鉄を製造する段階、そして塊状炭材及び微粉炭材に含まれている揮発分から生成された溶融ガス化炉内の還元ガスを還元炉に供給する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガス化炉に微粉炭材を吹込む溶鉄製造装置及びその溶鉄製造方法に関し、より詳細には、炭材及び鉄を含む物質(iron carrier)を溶融ガス化炉に装入し、溶融ガス化炉に微粉炭材を取込んで溶鉄を製造する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼産業は、自動車、造船、家電、建設などの全産業に基礎素材を供給する核心基幹産業であって、人類の発展と共に歩んできた最も歴史の古い産業の一つである。鉄鋼産業の中枢的な役割を担う製鉄所では、原料として鉄鉱石及び石炭を利用して溶融状態の銑鉄である溶鉄を製造した後、これから鋼を製造して各需要先に供給している。
【0003】
現在、全世界の鉄生産量の60%程度が14世紀に開発された高炉法によって生産されている。高炉法は、焼結過程を経た鉄鉱石及び有煙炭を原料にして製造したコークスなどを高炉に共に入れて酸素を吹込んで、鉄鉱石を鉄に還元して溶鉄を製造する方法である。溶鉄を製造する主な方法である高炉法は、その反応特性上、一定水準以上の強度を保有し、炉内の通気性を確保することができる粒度を保有した原料を要求するので、前記のように、燃料及び還元剤として使用する炭素源は特定の原料炭を加工処理したコークスに依存しており、鉄源は一連の塊状化工程を経た焼結鉱に主に依存している。そのため、現在の高炉法では、コークス製造設備及び焼結設備などの原料予備処理設備が必要であるので、高炉以外の付帯設備を構築する必要があるだけでなく、付帯設備で発生する諸般の環境汚染物質に対する環境汚染防止設備を設置する必要があるので、投資費用が多大で、製造原価が急激に上昇する問題点がある。
【0004】
このような高炉法の問題点を解決するために、世界各国の製鉄所では、溶融還元製鉄法の開発に努力している。溶融還元製鉄法では、燃料及び還元剤として一般炭をそのまま使用し、鉄源としては鉱石をそのまま使用して、溶融ガス化炉で溶鉄を製造する。
【0005】
溶融ガス化炉内には石炭からなる石炭充填層が形成されているので、鉄を含む物質及び副原料が石炭充填層内で溶融及びスラギング(slagging)されて溶鉄及びスラグとして排出される。溶融ガス化炉の側面に設置された複数の羽口から酸素が吹込まれて石炭充填層を燃焼させて、高温の還元ガスに変換されて流動還元炉に移送されて、鉄を含む物質及び副原料を還元及び焼成した後で外部に排出する。
【0006】
溶融ガス化炉の上部から全量が装入される塊状石炭は、1000℃程度の高温に維持される溶融ガス化炉のドーム(dome)部から落下する間に急激な熱衝撃で分化する。この場合、大量の炭素成分を含むダストが大量に発生する。大量のダストによって溶融ガス化炉の通気性が悪化する。このような問題点を解決するために、溶融ガス化炉のドーム型の上部にダストバーナーを設置して、ダストを燃焼させて酸素を吹込む。ダストを燃焼させることによってダスト内の炭素成分の燃焼熱を利用することができる。
【0007】
一方、塊状石炭は溶融ガス化炉に装入されてドーム型の上部で急速に加熱される。塊状石炭に含まれている揮発分は、主にC組成の鎖状構造を有する熱分解ガスや環状構造を有するタール(tar)状に1次熱分解される。揮発分は、1次熱分解後に、再びCO及びHガスなどの還元ガスに分解される。ここで、熱分解過程に必要な熱が周囲から吸収されるので、ドーム型の上部の温度が低下する。したがって、温度の低下を防止するために、ダストバーナーまたは酸素バーナーを通じてダストの燃焼に必要な酸素以外に追加酸素を供給する。追加酸素の供給によって溶融ガス化炉のドーム型の上部に形成される還元ガスの一部を燃焼させて、温度の低下を防止する。このような燃焼にもかかわらず、石炭の熱分解ガスやタールなどの一部は完全にCO及びHに分解されない。したがって、溶融ガス化炉から排出される還元ガス内には、CHなどの分解されていない炭化水素ガス一が部含まれる。
【0008】
前記のように塊状石炭を溶融ガス化炉に装入する場合、揮発分内に含まれている炭素材の燃焼熱は揮発分そのものから発生するガスの熱分解及び熱分解ガスの昇温に主に利用される。一部の炭素材は燃焼熱を発生させない状態で溶融ガス化炉の外部に排出される。したがって、溶融ガス化炉の下部では、塊状石炭に含まれている炭素材の量全体から揮発分内の炭素材の量を除いた量だけが燃焼する。したがって、溶鉄の製造に必要な熱源を供給するために必要以上の炭素材を使用しなければならない。一方、CHなどの分解されていない炭化水素ガスが還元ガス内に一部含まれている状態で溶融ガス化炉から排出される。そして、一部の還元ガスはダストバーナーによる過剰酸素の供給によって、CO及びHOなどが含まれている状態で排出される。したがって、還元炉に供給される還元ガスの還元力が低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記問題点を解決するためのものであって、本発明による溶鉄製造方法は、溶融ガス化炉に微粉炭材を取込んで還元力を高めた還元ガスを供給することによって、溶鉄の製造時の燃料費を低減させることを目的とする。
【0010】
また、本発明による溶鉄製造装置は、微粉炭材を取込んで、石炭の燃焼熱の利用効率を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記問題点を解決するために、本発明による溶鉄製造方法は、鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階、還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を準備する段階、溶融ガス化炉のドーム型の上部に前記塊状炭材を装入して石炭充填層を形成する段階、還元体を溶融する熱源として揮発分を含む微粉炭材を準備する段階、溶融ガス化炉に設置された羽口から酸素及び微粉炭材を石炭充填層に吹込む段階、還元体を還元炉と連結された溶融ガス化炉に装入して溶鉄を製造する段階、そして塊状炭材及び微粉炭材に含まれている揮発分から生成された溶融ガス化炉内の還元ガスを還元炉に供給する段階を含む。
【0012】
還元体を溶融する熱源として揮発分を含む微粉炭材を準備する段階において、微粉炭材は8.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含み、揮発分は炭素及び水素を含むのが好ましい。
【0013】
微粉炭材の自由膨潤係数(free swelling index、FSI)は6.0以下であるのが好ましい。
【0014】
還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を準備する段階において、塊状炭材は20.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含み、揮発分は炭素及び水素を含むのが好ましい。
【0015】
塊状炭材の粒径は8mm乃至35mmであるのが好ましい。
【0016】
塊状炭材を準備する段階は、原料炭を粉炭及び塊炭に分級する段階、及び塊炭を高温ガスと接触させて乾燥させた塊状炭材を準備する段階を含むのが好ましい。
【0017】
本発明による溶鉄製造方法は、分級された粉炭を微粉炭材として石炭充填層に吹込む段階をさらに含むのが好ましい。
【0018】
前記塊状炭材を準備する段階は、塊炭の高温ガスとの接触時に捕集した微粉炭を移送して微粉炭材として吹込む段階をさらに含むのが好ましい。
【0019】
塊状炭材は成形炭を含み、塊状炭材を準備する段階は、原料炭を粉炭及び塊炭に分級する段階、及び粉炭を成形して成形炭を製造する段階を含むのが好ましい。
【0020】
成形炭を製造する段階は、粉炭を乾燥する段階、粉炭にバインダーを添加して混合する段階、そしてバインダーを添加して混合した粉炭を成形して成形炭を製造する段階を含むのが好ましい。
【0021】
前記成形炭を製造する段階は、粉炭の乾燥時に捕集した微粉炭を移送して微粉炭材として吹込む段階をさらに含むのが好ましい。
【0022】
微粉炭材を石炭充填層に吹込む段階において、微粉炭材は原料炭を粉砕して製造し、粉砕した微粉炭材の粒径は3mm以下であるのが好ましい。
【0023】
還元ガスを還元炉に供給する段階において、還元ガスの酸化度は、微粉炭材の吹込み量の増加によって0%より大きく11.432%以下になるように減少するのが好ましい。
【0024】
微粉炭材の吹込み量の増加によって溶融ガス化炉内のCHガスの量が減少し、CHガスの量の減少によって還元ガスの酸化度が減少するのが好ましい。
【0025】
微粉炭材の吹込み量をxとし、溶融ガス化炉内のCHガスの減少量をyとする場合、y=0.0001xを実質的に満たすのが好ましい。ここで、xの単位はkg/t−pであり、yの単位は%であり、0.0001の単位は%/(kg/t−p)である。
【0026】
溶融ガス化炉内のCHガスの量をxとし、還元ガスの酸化度をyとする場合、−3.4718≦1.6653x−y≦1.3824を実質的に満たすのが好ましい。ここで、xの単位はvol%であり、yの単位は%であり、1.3824の単位は%/vol%である。
【0027】
溶融ガス化炉内のCHガスの量をxとし、還元ガスの酸化度をyとする場合、1.6653x−y=−1.1472を実質的に満たすのが好ましい。ここで、xの単位はvol%であり、yの単位は%であり、1.6653の単位はvol%/%である。
【0028】
還元ガスの酸化度をxとし、還元体の還元率をyとする場合、y=−2.10x+103.9を実質的に満たすのが好ましい。ここで、xの単位は%であり、yの単位は%であり、103.9の単位は%である。
【0029】
微粉炭材を石炭充填層に吹込む段階において、前記石炭充填層に吹込まれる微粉炭材の量の増加によって溶融ガス化炉内の燃焼温度が低下するのが好ましい。
【0030】
微粉炭材の量を溶鉄1トン当り50kgずつ増加させることによって、燃焼温度は実質的に200℃ずつ低下するのが好ましい。
【0031】
鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階は、順次に連結された多段の還元炉を通じて鉄鉱石を含む混合体を流動させて還元体に変換するのが好ましい。
【0032】
前記還元体に変換する段階は、還元体を溶融ガス化炉に装入する前に塊状化する段階をさらに含むのが好ましい。
【0033】
鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階において、還元炉は流動層型還元炉であるのが好ましい。
【0034】
鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階において、還元炉は充填層型還元炉であるのが好ましい。
【0035】
溶融ガス化炉に設置された羽口から酸素及び微粉炭材を石炭充填層に吹込む段階において、羽口の前に形成される燃焼空間の長さは0.7m乃至1.0mであるのが好ましい。
【0036】
本発明による溶鉄製造装置は、鉄鉱石を含む混合体を還元して還元体に変換する還元炉、還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を供給する石炭供給装置、ドーム型の上部を有し、還元炉と連結されて還元体が装入され、石炭供給装置と連結されて前記塊状炭材が装入されて、その側面に設置された羽口から酸素と共に揮発分を含む微粉炭材を取込んで溶鉄を製造する溶融ガス化炉、微粉炭材を供給する微粉炭材供給装置、そして塊状炭材及び微粉炭材に含まれている揮発分から生成された溶融ガス化炉内の還元ガスを還元炉に供給する還元ガス供給管を含む。
【0037】
微粉炭材は8.0質量%乃至35.0質量%以下の揮発分を含み、揮発分は炭素及び水素を含むのが好ましい。
【0038】
微粉炭材の自由膨潤係数は6.0以下であるのが好ましい。
【0039】
塊状炭材は20.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含み、揮発分は炭素及び水素を含むのが好ましい。
【0040】
塊状炭材の粒径は8mm乃至35mmであるのが好ましい。
【0041】
微粉炭材供給装置は、原料炭を保管する原料炭保管槽、原料炭保管槽と連結されて、前記原料炭を粉砕して微粉炭材を製造するミル(mill)、ミルと連結されて、粉砕製造された微粉炭材を保管する微粉炭材保管槽、微粉炭材保管槽から溶融ガス化炉に微粉炭材を定量供給するための均圧供給装置、溶融ガス化炉の上部に設置されて、微粉炭材の供給量を調節する分配器、そして均圧供給装置と連結されて、羽口に微粉炭材を供給する微粉炭材吹込み管を含むのが好ましい。
【0042】
複数の分配器は各々複数の羽口と連結されて、微粉炭材は各分配器に均等に供給されて各羽口に供給されるのが好ましい。
【0043】
本発明による溶鉄製造装置は、羽口付近に設置された混合室、混合室に追加ガスを供給するように混合室と連結された追加ガス供給管、そして混合室及び羽口を連結して微粉炭材を吹込む微粉炭材吹込み管をさらに含み、混合室は、微粉炭材供給装置と連結されて、微粉炭材供給装置から供給された微粉炭材を追加ガスを利用して微粉炭材吹込み管を通じて溶融ガス化炉に吹込むのが好ましい。
【0044】
微粉炭材は、輸送ガスと共に混合室に供給されるのが好ましい。
【0045】
追加ガス供給管から供給される追加ガスの流量を調節し、微粉炭材吹込み管から排出される微粉炭材の流速を40〜70m/secに調節するのが好ましい。
【0046】
追加ガスとして燃焼性ガスを使用するのが好ましい。
【0047】
追加ガス供給管は微粉炭材吹込み管と30°乃至90°の角度をなすのが好ましい。
【0048】
石炭供給装置は、粉炭を成形して製造した成形炭を供給する成形炭製造装置を含むのが好ましい。
【0049】
成形炭製造装置は、粉炭を乾燥する乾燥機、乾燥機で発生する粉塵を捕集する粉塵除去機(dust separator)、乾燥機と連結されて、乾燥された粉炭にバインダ
ーを添加して混合する混合器、そして混合器と連結されて、バインダーを添加して混合した粉炭を成形して成形炭を製造する一対のロール(roll)を含むのが好ましい。
【0050】
粉塵除去機は、捕集された粉塵を微粉炭材として微粉炭材供給装置に供給するのが好ましい。
【0051】
微粉炭材供給装置は、成形炭製造装置と連結されて、成形炭製造装置から微粉炭材の供給を受けるのが好ましい。
【0052】
還元炉は、順次に連結された多段の流動還元炉であるのが好ましい。
【0053】
本発明による溶鉄製造装置は、還元炉と連結されて、還元体を塊状化する塊状体製造装置をさらに含み、塊状体製造装置で製造した塊状体を溶融ガス化炉に供給するのが好ましい。
【0054】
還元炉は充填層型還元炉であるのが好ましい。
【0055】
羽口の前に形成される燃焼空間の長さは0.7m乃至1.0mであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0056】
このように、微粉炭材を吹込めば、微粉炭材に含まれている揮発分が完全燃焼するので、溶融ガス化炉内の還元ガスの量が増加する。このように還元ガスの量が増加されて還元炉に供給されるので、還元炉を通過する還元体の還元率が増大する。したがって、溶融ガス化炉では、最終還元のために装入される塊状炭材の量を減少させることができる。つまり、燃料費が節減される効果がある。
【0057】
また、溶融ガス化炉の羽口を通じて酸素と共に微粉炭材を吹込むことによって、溶融ガス化炉内の燃焼温度の調整が可能であり、炉熱を微細調整することができるだけでなく、石炭充填層を安定化させることができる利点がある。
【0058】
また、微粉炭材の吹込み時に溶融ガス化炉内の装入物の滞留時間が増加して、ドーム型の上部の温度を自然に増加させることによって、溶融ガス化炉内に設置されたダストバーナーの酸素の流量を減少させることができる。それによって、還元ガスの再酸化率を低下させて、還元に有利な還元ガスを得ることができる。
【0059】
本発明を前記によって説明したが、特許請求の範囲の概念及び範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能だということを、本発明が属する技術分野の当業者は簡単に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施例による溶鉄製造装置の概略的な斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例による溶鉄製造装置の概略的な斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例による溶鉄製造装置の概略的な斜視図である。
【図4】本発明の第4実施例による溶鉄製造装置の概略的な斜視図である。
【図5】本発明の第5実施例による溶鉄製造装置の概略的な斜視図である。
【図6】本発明の第1実施例乃至第5実施例による溶鉄製造装置の微粉炭材の吹込みの概念図である。
【図7】本発明の第1実験例による微粉炭材の吹込み量及びCHガスの減少量の関係を示したグラフである。
【図8】本発明の第2実験例によるCHガスの量及び還元ガスの酸化度の関係を示したグラフである。
【図9】本発明の第3実験例による還元ガスの酸化度及び還元体の還元率の関係を示したグラフである。
【図10】本発明による溶鉄製造時の微粉炭材の吹込みによる燃料の低減効果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図1乃至図6を参照して本発明の実施例を説明する。このような本発明の実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。
【実施例1】
【0062】
図1では、溶融ガス化炉20に微粉炭材を吹込む過程を概略的に示した。ここで、炭材は、カーボン(carbon)を含む物質を意味する。微粉炭材は、羽口202を通じて酸素(O)と共に溶融ガス化炉20に吹込まれる。
【0063】
溶融ガス化炉20は、高炉と異なって、その上部206がドーム型に形成される。ドーム型の上部206は、溶融ガス化炉20の石炭充填層の上部に位置する。溶融ガス化炉20の内部に形成される石炭充填層の体積(V)は、ドーム型の上部206の体積(V)より小さく形成される。このような構造によって、ドーム型の上部206は、ガスの流速を減少させる。したがって、溶融ガス化炉20に装入される還元体に含まれている微粉炭材及び石炭充填層内の石炭の急速な昇温によって微粉炭材が溶融ガス化炉20の外部に排出されるのを防止する。
【0064】
溶融ガス化炉20は、石炭をそのまま使用するので、ガスの発生量の変動が不規則である。ドーム型の上部206は、これによる溶融ガス化炉20内の圧力の変動を吸収する。それによって、溶融ガス化炉20のドーム型の上部206は加圧維持されて、900〜1100℃の高温に維持される。ドーム型の上部206が高温に維持されるので、石炭の脱揮過程で発生するタール成分を完全に分解することができる。
【0065】
還元鉄は、石炭充填層内で降下しながら溶鉄及び溶融スラグに転換される。したがって、石炭充填層の下部には、大量のチャー(char)を含むチャーベッド(char bed)が形成される。チャーは、石炭がガス化された後の形態を意味する。図1に示したように、便宜上、石炭充填層は、チャーベッドを含むものと定義する。チャーは、羽口202を通じて吹込まれる酸素によって燃焼して消滅する。したがって、石炭充填層の体積を一定に維持するためには、石炭、還元鉄、及び副原料を含む混合物の体積及び下部で燃焼及び消滅するチャーの体積の間が平衡でなければならない。このために、石炭充填層は上広下狭の構造からなるのが好ましい。つまり、石炭充填層の上部は広く、石炭充填層の下部は狭いのが好ましい。本発明では、微粉炭材の吹込みによって還元ガスを追加的に発生させるので、溶融ガス化炉20が加圧される。
【0066】
高炉は前記溶融ガス化炉20とは全く異なる構造からなるので、溶鉄製造メカニズムも大きく異なる。高炉は上狭下広の構造からなる。つまり、高炉の上部は狭く、高炉の下部は広く形成される。したがって、高炉の構造は、大量の還元ガスを発生させるための溶融ガス化炉20の構造とは根本的に異なる。
【0067】
高炉は、焼結鉱及び揮発分を事前に除去して強度を増大させたコークスを使用して溶鉄を製造する。したがって、揮発分によるガスの発生がないので、高炉の内部は2気圧以下に維持される。揮発分によるガスの発生がないので、高炉に微粉炭材を取込んでも還元ガスの発生量の増加とは関係がなく、コークスを交換して熱だけ供給する。また、高炉の上部まで充填されたコークス及び焼結鉱で、気体及び固体の間に熱交換が十分に行われる。したがって、高炉の上部から排出されるガスの温度は200℃以下に維持される。
【0068】
本発明では、微粉炭材を取込んで微粉炭材内の揮発分及び固定炭素内に含まれている炭素材を燃焼させる。そして、炭素材の燃焼時の燃焼熱を溶鉄製造に使用する。そして、微粉炭材を高温で燃焼させてCO及びHなどだけからなる大量の高温の還元ガスを生成する。大量の高温の還元ガスは、溶融ガス化炉20に形成された石炭充填層を通過して、溶融ガス化炉20のドーム型の上部に供給される。したがって、溶融ガス化炉20に装入される塊状炭材の熱分解に所要されるエネルギーを供給する。そして、微粉炭材の吹込みによって、溶融ガス化炉20に装入される塊状炭材の量を減少させる。高炉の微粉炭材の吹込みとは異なって、本発明は、大量の揮発分を含む微粉炭材を溶融ガス化炉20に取込んで、還元ガスの量を増加させる。
【0069】
微粉炭材の吹込みによって溶融ガス化炉のドーム型の上部に設置されたダストバーナーまたは酸素バーナーを通じて供給される過剰な酸素の量を減少させることができる。それによって、ドーム型の上部での還元ガスの燃焼量及び分解されていない炭化水素の量も減少する。
【0070】
図1に示したように、溶融ガス化炉20の上部を通じて塊状炭材を装入して、石炭充填層を形成する。塊状炭材は、還元体を溶融する熱源として使用される。塊状炭材は、塊炭または成形炭を含むことができる。
【0071】
本発明では、揮発分を20.0〜35.0質量%含む塊状炭材を使用する。ここで、揮発分は炭素及び水素を含む。塊状炭材に含まれている揮発分が20.0質量%未満である場合には、溶融ガス化炉20で発生する還元ガスの量が還元炉52で還元体の還元に所要される量より顕著に少ない問題点がある。また、塊状炭材に含まれている揮発分が35.0質量%を超える場合には、製鉄用石炭として受給するのが難しい。塊状炭材は、準瀝青炭系の一般炭を使用する。塊状炭材は、原料炭を分級して得ることができ、その粒径は8mm乃至35mmであるのが好ましい。塊状炭材の粒径が8mm未満である場合には、溶融ガス化炉で通気性を確保するのが難しい。また、塊状炭材の粒径が35mmを超える場合には、生産効率が低下する。
【0072】
一方、還元炉52では、鉄鉱石を含む混合体を還元する。
【0073】
還元体を溶融ガス化炉20に装入して溶鉄を製造する。塊状炭材に含まれている揮発分以外に微粉炭材に含まれている揮発分を利用して還元ガスを製造する。したがって、還元力が増大した還元ガスを還元炉に供給することができるので、還元体の還元率を大きく増大させることができる。それによって、究極的には、溶融ガス化炉20での燃料費を大きく節減することができる。
【0074】
微粉炭材は気送によって羽口の前端まで供給されて、羽口内に吹込まれる。したがって、気送に適するように、微粉炭材内に含まれている水分を2.0質量%以下に調節する。微粉炭材は8.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含むのが好ましい。ここで、揮発分は炭素及び酸素を含む。微粉炭材に含まれている揮発分が8.0質量%未満である場合には、微粉炭材による還元ガスの追加発生量が微小である。また、微粉炭材は、気送乾燥されるので、揮発分の含有量が35.0質量%を超えるのは難しい。微粉炭材としては、揮発分の含有量が35.0質量%以下である半無煙炭または準瀝青炭を使用することができる。
【0075】
一方、微粉炭材の吹込み時に微粉炭材吹込み管が詰まらないようにするために、微粉炭材の粒度を制限する。微粉炭材は粒度が3.0mm以下になるように粉砕して使用する。また、微粉炭材によって羽口が詰まるのを防止するために、自由膨潤係数が6.0以下の微粉炭材を使用する。自由膨潤係数が高いほど粘結力が増大するので、微粉炭材の粘着が著しくなる。自由膨潤係数が6.0以上の微粉炭材は乾燥過程で互いに粘着するので、気送に適した粒度に粉砕しにくい。そして、気送過程で粘着によって微粉炭材吹込み管が詰まることもある。
【0076】
溶融ガス化炉20の下部に設置された羽口202から酸素を供給し、酸素によるチャー燃焼熱を利用して、石炭充填層を高温に加熱する。羽口202は、微粉炭材吹込み管113と連結されて、微粉炭材供給装置10から微粉炭材の供給を受けて、酸素と共に石炭充填層に微粉炭材を吹込む。
【0077】
この場合、羽口202の前の燃焼空間204の長さ(d)は0.7m乃至1.0m程度と短い。燃焼空間204の長さ(d)が0.7m未満である場合には、燃焼空間204が短すぎて、羽口202のノーズ(nose)が損傷する可能性がある。また、燃焼空間204の長さ(d)が1.0mを越える場合には、流速の増加によってチャーが砕かれる。羽口202を通じて酸素を供給するので、燃焼空間204の長さ(d)が比較的短い。
【0078】
鉄鉱石還元体及び炭材をそのまま使用する溶鉄製造方法では、石炭充填層に酸素と共に微粉炭材を吹込むことによって、多様な利点を得ることができる。つまり、溶融ガス化炉20の羽口202に微粉炭材を吹込む時に、微粉炭材が燃焼しながら、微粉炭材に含まれている揮発分が燃焼する。したがって、炭素の利用効率を増大させ、還元ガスの量を増加させて、鉄鉱石を含む還元体の還元率を増大させる。したがって、燃料費を低減することができる。また、完全燃焼によってCHガスの発生を防止することができるので、CHガスの量の減少によって酸化度を改善することができる。
【0079】
本発明では、微粉炭材の吹込みによって酸化度が減少した還元ガスを溶融ガス化炉20から還元炉52に供給することによって、還元体の還元率を増大させることができる。つまり、溶融ガス化炉20に設置された羽口202から微粉炭材を吹込む場合、微粉炭材が溶融ガス化炉20内の高温の燃焼空間に直接接触して燃焼が起こる。したがって、微粉炭材に含まれている揮発分(volatile material、VM)が炭素(C)、
水素(H)、及び酸素(O)に完全に分解されて、不完全燃焼によるCHガスの発生量が少ない。また、下記の化学式1のような反応によって、還元に必要な大量のCO及びHガスが発生する。
【0080】
C+CO→2CO (化学式1)
C+HO→H+CO (化学式1)
【0081】
したがって、大量のCO及びHガスによって酸化度が減少した還元ガスを溶融ガス化炉から還元炉に供給することによって、鉄鉱石を含む混合体を還元して還元体に変換することができる。鉄鉱石を含む混合体は副原料を含むので、還元体の焼成を助ける。
【0082】
一方、溶融ガス化炉20に微粉炭材を吹込む時に、微粉炭材に含まれている揮発分が熱分解されるので、溶融ガス化炉20内の燃焼温度を低下させることができる。したがって、溶融ガス化炉20の炉熱を簡単に制御することができるだけでなく、溶鉄中のSiの含有量を減少させることができる利点がある。
【0083】
図1に示した溶鉄製造装置100に酸素と共に吹込まれる微粉炭材は、下記のような過程を経て製造することができる。産地で採取した原料炭を粉砕して微粉炭材を製造し、粉砕した微粉炭材を酸素吹込み側に移送する。次に、微粉炭材を酸素と混合して、溶融ガス化炉20の石炭充填層に吹込む。微粉炭材の吹込みは微粉炭材供給装置10を通じて行われる。
【0084】
図1に示した微粉炭材供給装置10の構造は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。したがって、他の変形された構造の微粉炭材供給装置を通じて溶融ガス化炉20に微粉炭材が供給されることもできる。以下で、微粉炭材供給装置10の構造についてより詳細に説明する。
【0085】
微粉炭材供給装置10は、原料炭保管槽101、ミル(mill)102、微粉炭材保管槽104、均圧供給装置110、分配器108、及び微粉炭材吹込み管113を含む。その他にも必要に応じて他の装置をさらに含むことができる。
【0086】
原料炭保管槽101は、原料炭を保管する。ここで、複数の原料炭保管槽101を設置することもできる。この場合、各原料炭保管槽101ごとに産地が異なる多様な種類の石炭を保管して使用することができる。
【0087】
ミル102は、原料炭保管槽101と連結されて、原料炭を粉砕して微粉炭材を製造する。粉砕された微粉炭材の粒度は3mm以下であるのが好ましい。微粉炭材の粒度が3mmを超える場合には、微粉炭材の吹込み時に羽口202が詰まる危険がある。微粉炭材保管槽104は、ミル102と連結されて、粉砕製造された微粉炭材を保管する。
【0088】
均圧供給装置110は、微粉炭材保管槽104から溶融ガス化炉20に微粉炭材を定量供給する。このために、均圧供給装置110は、均圧槽103、加圧排出槽105、遮断バルブ107、109、及び定量供給装置を含む。均圧槽103及び加圧排出槽105は上下に配置されて、遮断バルブ107、109によって粉砕製造された微粉炭材の供給量を調節する。
【0089】
溶融ガス化炉20内の圧力が大きい点を勘案して、分配器108は、溶融ガス化炉20の上部に位置する。したがって、分配器108で溶融ガス化炉20内に微粉炭材を吹込むための圧力を十分に確保しながら、微粉炭材の供給量を調節する。微粉炭材吹込み管113は、分配器108を通じて均圧供給装置110と連結されて、羽口202に微粉炭材を供給する。
【0090】
ここで、複数の羽口202及び複数の分配器108を設置することができる。複数の分配器108は、各々複数の羽口202と連結されて、微粉炭材が各分配器108に均等に供給されて各羽口202に供給される。均圧供給装置110は、分配器108に微粉炭材を均等に分配する。
【0091】
前記各装置の詳細な内部構造は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【実施例2】
【0092】
また、本発明では、原料炭を分級して溶融ガス化炉20に吹込む微粉炭材として使用することができる。このような本発明の第2実施例を、図2を参照してより詳細に説明する。
【0093】
図2に示した本発明の第2実施例による溶鉄製造装置200は、本発明の第1実施例による溶鉄製造装置とその構造が類似しているので、同一な部分には同一な図面符号を使用して、その詳細な説明は省略する。
【0094】
原料炭は、分級装置111によって塊炭及び粉炭に分級される。粒径が8mm以上の原料炭は塊炭に分級し、粒径が8mm未満の原料炭は粉炭に分級する。このような粒径基準は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。したがって、他の粒径基準で原料炭を分級することもできる。
【0095】
塊炭は、乾燥装置115で高温ガスと接触して乾燥される。乾燥された塊状炭材を溶融ガス化炉20に装入する。乾燥装置115は、溶融ガス化炉20から排出される熱を利用して塊炭を乾燥する。この他の方法で塊炭を乾燥することもできる。
【0096】
乾燥装置115で塊炭が高温ガスと接触する時に捕集した微粉炭を微粉炭材移送管121を通じて原料炭保管槽101に移送する。したがって、捕集した微粉炭を微粉炭材として溶融ガス化炉20に吹込むことができる。また、原料炭から分級された粉炭も微粉炭材として使用することができる。したがって、溶鉄製造装置200は、微粉炭材吹込み用の原料炭以外の原料炭から発生した粉炭を利用することができるので、粉炭の利用効率を極大化することができる利点がある。
【0097】
溶融ガス化炉20で発生した還元ガスは、還元ガス供給管70を通じて充填層型還元炉52に供給される。充填層型還元炉52で還元された還元体は、溶融ガス化炉20に供給されて溶融される。
【実施例3】
【0098】
図3に示した本発明の第3実施例による溶鉄製造装置300は、成形炭製造装置30を含む。成形炭製造装置30で製造された成形炭を溶融ガス化炉20に装入する。溶鉄製造装置300における成形炭製造装置30を除く他の部分は、本発明の第1実施例による溶鉄製造装置100と類似しているので、その詳細な説明は省略し、同一な部分には同一な図面符号を使用した。
【0099】
溶鉄製造装置300は、図1に示した微粉炭材供給装置を使用して溶融ガス化炉20に微粉炭材を供給する。図3では、便宜上、微粉炭材供給装置は省略して示した。
【0100】
成形炭製造装置30は、還元体を溶融させる熱源として粉炭を成形して成形炭を製造する。原料炭は、粒度選別機40を通じて粒径が大きい塊炭及び粒径が小さい粉炭に選別される。塊炭は、塊炭乾燥機42で乾燥された後、溶融ガス化炉20に直接装入される。粉炭は、溶融ガス化炉20内での通気性の確保のために、成形炭に製造した後、溶融ガス化炉20に装入される。ここで、塊炭及び粉炭は粒径8mmを基準にして、粒径8mmを超える塊炭及び粒径8mm以下の粉炭に選別される。このような粒径基準は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。したがって、他の粒径を基準にして塊炭及び粉炭を選別することもできる。
【0101】
このように粉炭を成形して製造した成形炭及び塊炭を含む塊状炭材を準備する。塊状炭材を溶融ガス化炉20に装入して、石炭充填層を形成する。ここで、塊状炭材を準備する段階は、原料炭を塊炭及び粉炭に分級する段階、及び粉炭を成形して成形炭を製造する段階を含む。
【0102】
成形炭を製造する段階は、原料炭を塊炭及び粉炭に分級する段階、粉炭を乾燥する段階、粉炭にバインダーを添加して混合する段階、そしてバインダーを添加して混合した粉炭を成形して成形炭を製造する段階を含む。
【0103】
このような工程を実現するために、成形炭製造装置30は、乾燥機33、混合器37、及び一対のロール(roll)39を含む。その他にも粉炭保管槽31、バインダー保管槽35、及び成形炭保管槽44などをさらに含むこともできる。
【0104】
乾燥機33は、粉炭を乾燥する。混合器37は、乾燥機33と連結されて、バインダー保管槽35からバインダーの供給を受けて乾燥された粉炭及びバインダーを混合する。一対のロール39は、混合器37と連結されて、バインダーが混合された粉炭をプレスして成形炭を製造する。
【0105】
粉炭保管槽31は、粉炭を臨時で保管し、バインダー保管槽35は、糖蜜などのバインダーを保管する。また、成形炭保管槽44は、製造した成形炭を臨時で保管する。この他にも必要に応じて粉塵除去機など成形炭の製造に必要なその他の装置を含むこともできる。
【実施例4】
【0106】
特に、本発明では、産地で採取した粉状の原料炭及び粉状の鉄鉱石をそのまま使用して溶鉄を製造することができる。以下、図4を参照して、このような溶鉄製造方法をより詳細に説明する。
【0107】
図4に示したように、粉状の原料炭及び粉状の鉄鉱石をそのまま使用して溶鉄を製造することもできる。図4は前記工程を行うための本発明の第4実施例による溶鉄製造装置400を示したものである。図4に示した溶鉄製造装置400の構造は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。したがって、この他の構造にこれを変形することもでき、その他の装置を含むこともできる。
【0108】
溶鉄製造装置400は、図3に示した溶鉄製造装置とその構造が類似しているので、同一な部分には同一な図面符号を使用して、その詳細な説明は省略する。
【0109】
溶鉄製造装置400は、還元炉である流動還元炉50、成形炭製造装置30、溶融ガス化炉20、微粉炭材供給装置10(図1に図示)、及び還元ガス供給管70を含む。この他にも、溶鉄製造装置400は、流動還元炉50及び溶融ガス化炉20の間に連結された塊状体製造装置60をさらに含むことができる。この他にも、溶鉄製造装置400は、溶鉄製造に必要な多様な装置を含むことができる。
【0110】
流動層が内部に形成された多段の流動還元炉50は、鉄鉱石を含む混合体を還元して還元体に変換するように順次に連結されている。各流動還元炉50は、還元ガス供給管70を通じて溶融ガス化炉20の石炭充填層から排出された還元ガスの供給を受ける。還元ガスが流入して流動するようにして、鉄鉱石及び副原料を通過させて還元体に変換する。還元体は、塊状体製造装置60を通じて塊状化されることができる。このように製造した還元体を溶融ガス化炉20に装入して、溶鉄に製造する。
【0111】
塊状体製造装置60は、通気性の確保及び飛散の防止のために、還元体を塊状化された還元体に製造する。塊状体製造装置60は、装入ホッパー(hopper)62、一対のロール64、破砕機66、そして還元体保管槽68を含む。この他にも、塊状体製造装置60は、必要に応じて他の装置を含むことができる。
【0112】
装入ホッパー62は、鉄を含む混合体を還元した還元体を保管する。一対のロール64は、還元体をプレスして、塊状化された還元体に製造する。破砕機66は、塊状化された還元体を適当な大きさに破砕する。還元体保管槽68は、破砕された還元体を臨時で保管する。
【0113】
高温均圧装置46は、塊状体製造装置60及び溶融ガス化炉20の間に位置する。高温均圧装置46は、圧力の調節のために、溶融ガス化炉20の上部に設置される。溶融ガス化炉20の内部が高圧であるため、高温均圧装置46が圧力を均一に調節して、破砕された還元体が溶融ガス化炉20に容易に装入されるようにした。
【実施例5】
【0114】
図5に示した本発明の第5実施例による溶鉄製造装置500では、成形炭の製造時に発生する微粉炭を溶融ガス化炉20に吹込むことができる。本発明の第5実施例による溶鉄製造装置500の構造は、図4に示した溶鉄製造装置の構造と類似しているので、同一な部分には同一な図面符号を使用して、その詳細な説明は省略する。
【0115】
成形炭製造装置30は、乾燥機33で発生する微粉炭を捕集する粉塵除去機(dustseparator)32を含む。粉塵除去機32は、微粉炭材供給装置10と連結されて、微粉炭材供給装置10に微粉炭を供給する。微粉炭は、溶融ガス化炉20に酸素と共に吹込まれる。このような方法を利用して、石炭をリサイクルすることができる。したがって、燃料費を最少化することができるだけでなく、粉炭の飛散による石炭の損失量を最少化することができる。
【0116】
前記本発明の第1実施例乃至第5実施例では、微粉炭材の吹込みのために、羽口202付近に微粉炭材供給装置を設置する。以下、図6を参照して、微粉炭材供給装置について説明する。
【0117】
図6に示したように、羽口の前端に混合室203を設置して、微粉炭材を追加ガスと混合した後、羽口側に供給する。混合室203には、追加ガス供給管115を連結して、一定量の追加ガスを供給する。微粉炭材は、微粉炭材供給装置から微粉炭材吹込み管113を通じて供給される。そして、微粉炭材を追加ガスを利用して溶融ガス化炉に吹込む。
【0118】
微粉炭材吹込み管113を通じて酸素と共に微粉炭材を羽口に供給する場合、微粉炭材が急速に燃焼する。したがって、微粉炭材吹込み管113から排出される微粉炭材の流速が遅い場合、微粉炭材燃焼空間が微粉炭材吹込み管113付近に形成される。燃焼空間から輻射熱が放出されるので、輻射熱によって、微粉炭材吹込み管113が融着されて詰まる現象が発生する。
【0119】
このような現象を防止するために、追加ガス供給管115を通じて追加ガスを供給する。それによって、微粉炭材吹込み管113から排出される微粉炭材の流速を早くする。したがって、燃焼空間が微粉炭材吹込み管113から遠く形成される。この場合、追加ガスの流量を調節して、微粉炭材吹込み管から排出される微粉炭材の流速を40〜70m/sに調節するのが好ましい。微粉炭材の流速が40m/s未満である場合には、高炉に比べて圧力及び圧力の変動幅が非常に大きい溶融ガス化炉の内部に吹込むのが難しい。また、微粉炭材の流速が70m/sを超える場合には、微粉炭材の燃焼性が低下する問題点がある。
【0120】
追加ガスとしては、燃焼性ガスを利用することができる。燃焼性ガスは、炭化水素、水素、及び一酸化炭素を含む。例えば、液化天然ガス(liquid natural gas、LNG)及びコークスオーブンガス(cokes oven gas、COG)などを使用することができる。そして、本発明の第1実施例乃至第5実施例による溶鉄製造装置で発生する排ガスからCO及びHOを一部除去したガスを利用することもできる。
【0121】
燃焼性ガスを酸素と共に羽口に吹込む場合、下記の化学式2のような燃焼反応が起こる。
【0122】
燃焼性ガス内(C,H)+O→CO+HO (化学式2)
【0123】
ここで生成されるCO+HOは、微粉炭材及び羽口の周囲に形成された石炭充填層内の炭素成分と前記化学式1のように反応する。したがって、燃焼性ガスの供給によって羽口で発生する追加的な還元ガスを利用することができる。また、還元ガスの優先的燃焼によって発生する熱は、微粉炭材の昇温を加速して、微粉炭材の点火温度に到達するまでの時間を短縮させる。したがって、微粉炭材の燃焼を促進することができる。
【0124】
そして、燃焼性ガスの昇温及び燃焼ガス内に含まれている炭化水素の熱分解に所要される熱によって燃焼空間の温度を下げることができ、高温ガスの発生量を増加させることができる。したがって、羽口の周囲の熱分布をより広い範囲で均一に調節することができる。
【0125】
追加ガス供給管115及び微粉炭材吹込み管113がなす角度(α)は30°乃至90°であるのが好ましい。角度(α)が30°未満である場合には、追加ガスによる流速が速すぎて、燃焼が起こりにくい。反対に、角度(α)が90°を越える場合には、微粉炭材の加速が容易でない問題点がある。
【0126】
以下、実験例を通じて本発明をより詳細に説明する。このような実験例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。
【0127】
<実験例>
溶融ガス化炉に微粉炭材を吹込むことによる還元ガスの還元率の変化を観察し、溶融ガス化炉内の燃焼温度の変化を観察するために、図4に示した本発明の第4実施例による構造の溶鉄製造装置を対象にして、下記のような実験を行った。
【0128】
溶融ガス化炉の羽口から温度が25℃の酸素を380Nm/(t−p)、つまり溶鉄1トン当り380Nmの酸素を溶融ガス化炉に吹込みながら、微粉炭材供給装置によって微粉炭材の量を変化させながら吹込んだ。本発明の実験例で使用した微粉炭材の工業分析及び元素分析の結果は、各々表1及び表2の通りである。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
実験例1では、前記微粉炭材の吹込み量による溶融ガス化炉内のCHガスの減少量を測定し、実験例2では、溶融ガス化炉内のCHガスの量による還元ガスの酸化度を測定した。実験例3では、還元ガスの酸化度の変化によって還元ガスに還元される還元体の還元率を測定した。最後に、実験例4では、微粉炭材の吹込み量の変化による溶融ガス化炉内の燃焼温度の変化を測定した。以下、実験例1乃至実験例4について詳細に説明する。
【0132】
<実験例1>
溶融ガス化炉の微粉炭材の吹込み量の増加によるCHガスの減少量を観察するために、微粉炭材の吹込み量を50kg/(p−t)で増加させながら、その時ごとに溶融ガス化炉内のCHガスの量の減少量を測定した。微粉炭材の吹込み前に溶融ガス化炉内で約4.5vol%であったCHガスの量は、微粉炭材の吹込み量を増加させることによって次第に減少した。微粉炭材の吹込み量の増加による溶融ガス化炉内のCHガスの減少量を示すと、下記の表3の通りである。ここで、CHガスの減少量は最初のCHガスの量である4.5vol%から測定時のCHガスの量を引いた値である。
【0133】
【表3】

【0134】
図7には、前記表3のデータをグラフ化して示した。図7では、微粉炭材の吹込み量をx軸に、溶融ガス化炉内のCHガスの減少量をy軸に示した。図7に示したように、微粉炭材の吹込み量及びCHガスの減少量は線状関係を示している。つまり、微粉炭材の吹込み量が増加することによって、溶融ガス化炉内のCHガスが一定に減少することが分かった。図7に示したように、微粉炭材の吹込み量(x)及び溶融ガス化炉内のCHガスの減少量(y)は、下記の数式1を実質的に満たす。つまり、数式1と同一であるか、数式1に近似した条件を満たした。
【0135】
y=0.0001x (数式1)
【0136】
ここで、xの単位はkg/t−pであり、yの単位は%であり、0.0001の単位は%/(kg/t−p)である。
【0137】
実験例1から、溶融ガス化炉に微粉炭材を吹込む場合、溶融ガス化炉内のCHガスの量を線状的に減少させることができることが分かった。
【0138】
<実験例2>
本発明の実験例2では、溶融ガス化炉内のCHガスの量の減少による還元ガスの酸化度を測定した。酸化度の測定は、線スペクトルを観察することができる分光器を利用して行った。酸化度の測定方法は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【0139】
溶融ガス化炉内のCHガスの量の変化による還元ガスの酸化度を総計で67回にわたって測定し、その結果を下記の表4に示した。
【0140】
【表4】

【0141】
表4に示したように、還元ガスの酸化度が11.432%以下に減少することが分かった。つまり、還元ガスの酸化度は0%より大きく11.432%以下になるように減少して、還元炉に供給された。したがって、微粉炭材の吹込みによってCHガスの量が減少して、還元ガスの酸化度が11.432%以下に減少することが分かった。
【0142】
図8は表4のデータをグラフ化して示したものである。図8に示したように、溶融ガス化炉内のCHガスの量が増加することによって還元ガスの酸化度が増加する推移を観察することができた。つまり、還元ガスの還元力が増大した。溶融ガス化炉内のCHガスの量及び還元ガスの酸化度の相関関係を導き出すために、最小自乗法(linear square method)で直線関数を求めた。最小自乗法は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が簡単に理解できるので、その詳細な説明は省略する。溶融ガス化炉内のCHガスの量をxとし、溶融ガス化炉内の還元ガスの酸化度をyとする場合、下記の数式2を実質的に満たすことが分かった。つまり、CHガスの量及び還元ガスの酸化度は、下記の数式2と同一であるか、数式2に近似した条件を満たす。
【0143】
1.6653x−y=−1.1472 (数式2)
【0144】
ここで、xの単位はvol%であり、yの単位は%であり、1.6653の単位はvol%/%である。
【0145】
また、前記数式2の直線と傾きが同一な直線として、表4のデータ値のうちの上限及び下限に相当するデータ値を通過する直線を把握するために、数式2の直線との距離が最も遠いデータ値を調査した。
【0146】
その結果、表4でNo.2に相当するCHガスの量2.215vol%及び還元ガスの酸化度2.307%が下限値に相当し、No.51に相当するCHガスの量4.107vol%及び還元ガスの酸化度10.311%が上限値に相当した。
【0147】
したがって、前記下限値及び上限値を通過して前記数式2の直線と傾きが同一な直線を求めてその範囲を示すと、下記の数式3の通りであった。つまり、溶融ガス化炉内のCHガスの量(x)及び還元ガスの酸化度(y)は、下記の数式3のような関係を実質的に満たした。つまり、溶融ガス化炉内のCHガスの量及び還元ガスの酸化度は、下記の数式3と同一であるか、これに近似した条件を満たす。
【0148】
−3.4718≦1.6653x−y≦1.3824 (数式3)
【0149】
ここで、xの単位はvol%であり、yの単位は%であり、1.3824の単位は%/vol%である。
【0150】
数式3のCHガスの量の減少による還元ガスの酸化度を図8に斜線で示した。前記のように、本発明の実験例2から、CHガスの量の減少に比例して還元ガスの酸化度も減少することが分かった。したがって、微粉炭材の吹込みによって還元ガスの酸化度を減少させることができることが分かった。
【0151】
<実験例3>
実験例3では、還元ガスの酸化度による還元体の還元率の変化をグラフ化して、その推移を観察した。つまり、溶融ガス化炉内の還元ガスの酸化度を測定し、還元ガスが供給される還元炉で還元された還元体の還元率を測定して、これをグラフ化した。還元ガスの酸化度の測定は、実験例2と同様な方法で行い、還元体の還元率は、還元炉を通過する前の鉄鉱石を含む混合体及び還元炉を通過した後の鉄鉱石を含む混合体を互いに比較して測定した。このような還元ガスの酸化度の測定及び還元体の還元率は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【0152】
図9は総計で26回の測定を行って、溶融ガス化炉内の還元ガスの酸化度をx軸に、還元体の還元率をy軸に示した。
【0153】
図9に点で示した還元ガスの酸化度及び還元体の還元率の関係を最小自乗法を使用して直線化することによって、下記の数式4のような結果を得た。還元ガスの酸化度(x)及び還元体の還元率(y)は、下記の数式4を実質的に満たす。つまり、還元ガスの酸化度(x)及び還元ガスの還元率(y)は、下記の数式4と同一であるか、数式4に近似した条件を満たす。
【0154】
y=−2.10x+103.9 (数式4)
【0155】
ここで、xの単位は%であり、yの単位は%であり、103.9の単位は%である。
【0156】
数式4からわかるように、還元ガスの酸化度が増加する場合、還元体の還元率が低下する。したがって、溶融ガス化炉で還元体を完全に還元するのにかかる時間が減少し、これは生産性の増大につながる。
【0157】
つまり、微粉炭材が高温の溶融ガス化炉の中心部に吹込まれるので、完全燃焼して、微粉炭材内に含まれている揮発分がCOガスまたはHガスに変換される。したがって、未燃焼による溶融ガス化炉内のCHガスの量が減少する。また、CHガスの量が減少してCOガスまたはHガスが増加するので、溶融ガス化炉で発生して還元炉に供給される還元ガスの量が増加する。したがって、還元ガスの酸化度も増加する。酸化度が増加した還元ガスが還元炉に供給されて、還元炉を通過する還元体の還元率を増大させる。還元率が増大した還元体が溶融ガス化炉に供給されるので、塊状炭材を溶融ガス化炉に少量だけ装入しても、最終還元された溶鉄を得ることができる。つまり、微粉炭材の吹込みによって溶融ガス化炉に装入される塊状炭材の量が著しく減少して、燃料費が大きく低減される。
【0158】
<実験例4>
実験例4では、微粉炭材の吹込みによる溶融ガス化炉内の燃焼空間の温度変化を測定した。燃焼は、断熱状態で進められて燃焼空間の外部では熱損失がないと仮定して、微粉炭材の吹込み量を溶鉄1トン当り50kgずつ増加させながら、これに伴う燃焼空間の燃焼温度を測定した。燃焼空間の温度は、溶融ガス化炉に設置された熱電対を利用して測定し、その実験結果は、下記の表5の通りである。
【0159】
【表5】

【0160】
表5に示したように、微粉炭材の吹込み量を溶鉄1トン当り50kgずつ増加させることによって、燃焼空間の燃焼温度は実質的に200℃ずつ低下することが分かる。つまり、燃焼温度が200℃近く低下する。
【0161】
本発明の実験例4から分かるように、微粉炭材の吹込み量の増加によって溶融ガス化炉内の燃焼温度を大きく低下させることができることが分かる。それによって、溶融ガス化炉の炉熱の制御が容易であるだけでなく、溶鉄に悪影響を与える溶鉄内のSiの含有量を減少させることができる。また、微粉炭材の吹込み工程は、炉熱の制御のために羽口を通じて調湿を行う工程を代替することができる。
【0162】
図10には、微粉炭材の吹込みによる燃料比率及び生産量の変化を示した。図10には、微粉炭材の吹込み(pulverized coal injection、PCI)前、50〜80kg/(p−t)の微粉炭材の吹込み時、及び80〜120kg/(p−t)の微粉炭材の吹込み時による燃料比率及び生産量の変化を示した。同一な量の溶鉄を生産すると仮定すれば、微粉炭材の吹込みによって燃料が大きく減少されることが分かる。つまり、溶鉄1トン当り微粉炭材を100kg吹込む時に、燃料は、溶鉄1トン当り約30kg減少することが分かった。
【符号の説明】
【0163】
10 微粉炭材供給装置
20 溶融ガス化炉
30 成形炭製造装置
31 成形炭製造装置の粉炭保管槽
32 成形炭製造装置の粉塵除去機
33 成形炭製造装置の乾燥機
35 成形炭製造装置のバインダー保管槽
37 成形炭製造装置の混合器
39 成形炭製造装置の一対のロール
40 粒度選別機
42 塊炭乾燥機
44 成形炭製造装置の成形炭保管槽
46 高温均圧装置
50 流動還元炉
52 充填層型還元炉
60 塊状体製造装置
62 塊状体製造装置の封入ホッパー
64 塊状体製造装置の一対のロール
66 塊状体製造装置の破砕機
68 塊状体製造装置の還元体保管槽
70 還元ガス供給管
101 微粉炭材供給装置の原料炭保管槽
102 微粉炭材供給装置のミル
103 均圧供給装置の均圧槽
104 微粉炭材供給装置の微粉炭材保管槽
105 均圧供給装置の加圧排出槽
107 均圧供給装置の遮断バルブ
108 微粉炭材供給装置の分配器
109 均圧供給装置の遮断バルブ
110 微粉炭材供給装置の均圧供給装置
111 分級装置
113 微粉炭材供給装置の微粉炭材吹込み管
121 微粉炭材移送管
202 羽口
203 混合室
204 燃焼空間
206 溶融ガス化炉の上部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階、
前記還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を準備する段階、
溶融ガス化炉のドーム型の上部に前記塊状炭材を装入して石炭充填層を形成する段階、
前記還元体を溶融する熱源として揮発分を含む微粉炭材を準備する段階、
前記溶融ガス化炉に設置された羽口から酸素及び前記微粉炭材を前記石炭充填層に吹込む段階、
前記還元体を前記還元炉と連結された前記溶融ガス化炉に装入して溶鉄を製造する段階、及び
前記塊状炭材及び前記微粉炭材に含まれている揮発分から生成された前記溶融ガス化炉内の還元ガスを前記還元炉に供給する段階を含む溶鉄製造方法。
【請求項2】
前記還元体を溶融する熱源として揮発分を含む微粉炭材を準備する段階において、前記微粉炭材は8.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含み、前記揮発分は炭素及び水素を含む請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項3】
前記微粉炭材の自由膨潤係数は6.0以下である請求項2に記載の溶鉄製造方法。
【請求項4】
前記還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を準備する段階において、前記塊状炭材は20.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含み、前記揮発分は炭素及び水素を含む請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項5】
前記塊状炭材の粒径は8mm乃至35mmである、請求項4に記載の溶鉄製造方法。
【請求項6】
前記塊状炭材を準備する段階は、
原料炭を粉炭及び塊炭に分級する段階、及び
前記塊炭を高温ガスと接触させて乾燥させた塊状炭材を準備する段階を含む請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項7】
前記分級された粉炭を前記微粉炭材として前記石炭充填層に吹込む段階をさらに含む請求項6に記載の溶鉄製造方法。
【請求項8】
前記塊炭の高温ガスとの接触時に捕集した微粉炭を移送して前記微粉炭材として吹込む段階をさらに含む請求項6に記載の溶鉄製造方法。
【請求項9】
前記塊状炭材は成形炭を含み、前記塊状炭材を準備する段階は、
原料炭を粉炭及び塊炭に分級する段階、及び
前記粉炭を成形して成形炭を製造する段階を含む請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項10】
前記成形炭を製造する段階は、
前記粉炭を乾燥する段階、
前記粉炭にバインダーを添加して混合する段階、及び
前記バインダーを添加して混合した粉炭を成形して成形炭を製造する段階を含む請求項9に記載の溶鉄製造方法。
【請求項11】
前記粉炭の乾燥時に捕集した微粉炭を移送して前記微粉炭材として吹込む段階をさらに含む請求項10に記載の溶鉄製造方法。
【請求項12】
前記微粉炭材を前記石炭充填層に吹込む段階において、
前記微粉炭材は原料炭を粉砕して製造し、前記粉砕した微粉炭材の粒径は3mm以下である請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項13】
前記微粉炭材を前記石炭充填層に吹込む段階において、前記石炭充填層に吹込まれる前記微粉炭材の流速は40〜70m/secに調節する請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項14】
前記還元ガスを前記還元炉に供給する段階において、前記還元ガスの酸化度は、前記微粉炭材の吹込み量の増加によって0%より大きく11.432%以下になるように減少する請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項15】
前記微粉炭材の吹込み量の増加によって前記溶融ガス化炉内のCHガスの量が減少し、前記CHガスの量の減少によって前記還元ガスの酸化度が減少する請求項14に記載の溶鉄製造方法。
【請求項16】
前記微粉炭材の吹込み量をxとし、前記溶融ガス化炉内のCHガスの減少量をyとする場合、y=0.0001xを実質的に満たす請求項15に記載の溶鉄製造方法。
ここで、xの単位はkg/t−pであり、yの単位は%であり、0.0001の単位は%/(kg/t−p)である。
【請求項17】
前記溶融ガス化炉内のCHガスの量をxとし、前記還元ガスの酸化度をyとする場合、−3.4718≦1.6653x−y≦1.3824を実質的に満たす請求項15に記載の溶鉄製造方法。
ここで、xの単位はvol%であり、yの単位は%であり、1.3824の単位は%/vol%である。
【請求項18】
前記溶融ガス化炉内のCHガスの量をxとし、前記還元ガスの酸化度をyとする場合、1.6653x−y=−1.1472を実質的に満たす請求項15に記載の溶鉄製造方法。
ここで、xの単位はvol%であり、yの単位は%であり、1.6653の単位はvol%/%である。
【請求項19】
前記還元ガスの酸化度をxとし、前記還元体の還元率をyとする場合、y=−2.10x+103.9を実質的に満たす請求項15に記載の溶鉄製造方法。
ここで、xの単位は%であり、yの単位は%であり、103.9の単位は%である。
【請求項20】
前記微粉炭材を前記石炭充填層に吹込む段階において、前記石炭充填層に吹込まれる前記微粉炭材の量の増加によって前記溶融ガス化炉内の燃焼温度が低下する請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項21】
前記微粉炭材の量を溶鉄1トン当り50kgずつ増加させることによって、前記燃焼温度は実質的に200℃ずつ低下する請求項20に記載の溶鉄製造方法。
【請求項22】
前記鉄鉱石を含む混合体を還元炉で還元して還元体に変換する段階は、順次に連結された多段の前記還元炉を通じて前記鉄鉱石を含む混合体を流動させて還元体に変換する請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項23】
前記還元体を前記溶融ガス化炉に装入する前に塊状化する段階をさらに含む請求項22に記載の溶鉄製造方法。
【請求項24】
前記鉄鉱石を含む混合体を前記還元炉で還元して還元体に変換する段階において、前記還元炉は流動層型還元炉である請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項25】
前記鉄鉱石を含む混合体を前記還元炉で還元して還元体に変換する段階において、前記還元炉は充填層型還元炉である請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項26】
前記溶融ガス化炉に設置された羽口から酸素及び前記微粉炭材を前記石炭充填層に吹込む段階において、前記羽口の前に形成される燃焼空間の長さは0.7m乃至1.0mである請求項1に記載の溶鉄製造方法。
【請求項27】
鉄鉱石を含む混合体を還元して還元体に変換する還元炉、
前記還元体を溶融する熱源として揮発分を含む塊状炭材を供給する石炭供給装置、
ドーム型の上部を有し、前記還元炉と連結されて前記還元体が装入され、前記石炭供給装置と連結されて前記塊状炭材が装入され、その側面に設置された羽口から酸素と共に揮発分を含む微粉炭材を取込んで溶鉄を製造する溶融ガス化炉、
前記微粉炭材を供給する微粉炭材供給装置、及び
前記塊状炭材及び前記微粉炭材に含まれている揮発分から生成された前記溶融ガス化炉内の還元ガスを前記還元炉に供給する還元ガス供給管を含む溶鉄製造装置。
【請求項28】
前記微粉炭材は8.0質量%乃至35.0質量%以下の揮発分を含み、前記揮発分は炭素及び水素を含む請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項29】
前記微粉炭材の自由膨潤係数は6.0以下である請求項28に記載の溶鉄製造装置。
【請求項30】
前記塊状炭材は20.0質量%乃至35.0質量%の揮発分を含み、前記揮発分は炭素及び水素を含む請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項31】
前記塊状炭材の粒径は8mm乃至35mmである、請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項32】
前記微粉炭材供給装置は、
原料炭を保管する原料炭保管槽、
前記原料炭保管槽と連結されて、前記原料炭を粉砕して微粉炭材を製造するミル、
前記ミルと連結されて、粉砕製造された微粉炭材を保管する微粉炭材保管槽、
前記微粉炭材保管槽から前記溶融ガス化炉に微粉炭材を定量供給するための均圧供給装置、
前記溶融ガス化炉の上部に設置されて、前記微粉炭材の供給量を調節する分配器、及び
前記均圧供給装置と連結されて、前記羽口に微粉炭材を供給する微粉炭材吹込み管を含む請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項33】
複数の前記分配器は各々複数の羽口と連結されて、前記微粉炭材は前記各分配器に均等に供給されて各羽口に供給される請求項32に記載の溶鉄製造装置。
【請求項34】
前記羽口付近に設置された混合室、
前記混合室に追加ガスを供給するように前記混合室と連結された追加ガス供給管、及び
前記混合室及び前記羽口を連結して前記微粉炭材を吹込む微粉炭材吹込み管をさらに含み、
前記混合室は、前記微粉炭材供給装置と連結されて、前記微粉炭材供給装置から供給された微粉炭材を前記追加ガスを利用して前記微粉炭材吹込み管を通じて前記溶融ガス化炉に吹込む請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項35】
前記微粉炭材は輸送ガスと共に前記混合室に供給される請求項34に記載の溶鉄製造装置。
【請求項36】
前記追加ガス供給管から供給される追加ガスの流量を調節し、前記微粉炭材吹込み管から排出される微粉炭材の流速を40〜70m/secに調節する請求項34に記載の溶鉄製造装置。
【請求項37】
前記追加ガスとして燃焼性ガスを使用する請求項34に記載の溶鉄製造装置。
【請求項38】
前記追加ガス供給管は前記微粉炭材吹込み管と30°乃至90°の角度をなす請求項34に記載の溶鉄製造装置。
【請求項39】
前記石炭供給装置は、粉炭を成形して製造した成形炭を供給する成形炭製造装置を含む請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項40】
前記成形炭製造装置は、
前記粉炭を乾燥する乾燥機、
前記乾燥機で発生する粉塵を捕集する粉塵除去機、
前記乾燥機と連結されて、前記乾燥された粉炭にバインダーを添加して混合する混合器、及び
前記混合器と連結されて、前記バインダーを添加して混合した粉炭を成形して成形炭を製造する一対のロールを含む請求項39に記載の溶鉄製造装置。
【請求項41】
前記粉塵除去機は、捕集された粉塵を前記微粉炭材として前記微粉炭材供給装置に供給する請求項40に記載の溶鉄製造装置。
【請求項42】
前記微粉炭材供給装置は、前記成形炭製造装置と連結されて、前記成形炭製造装置から微粉炭材の供給を受ける請求項39に記載の溶鉄製造装置。
【請求項43】
前記還元炉は順次に連結された多段の流動還元炉である請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項44】
前記還元炉と連結されて、前記還元体を塊状化する塊状体製造装置をさらに含み、前記塊状体製造装置で製造した塊状体を前記溶融ガス化炉に供給する請求項43に記載の溶鉄製造装置。
【請求項45】
前記還元炉は充填層型還元炉である請求項27に記載の溶鉄製造装置。
【請求項46】
前記羽口の前に形成される燃焼空間の長さは0.7m乃至1.0mである請求項27に記載の溶鉄製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−47053(P2011−47053A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233055(P2010−233055)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2007−523485(P2007−523485)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【Fターム(参考)】