説明

炭素細長構造束状体、その製造方法および電子素子

【課題】カーボンナノチューブ(CNT)等の炭素細長構造体を高密度に配した良好な電気的接続構造および/または熱的接続構造体を提供する。
【解決手段】炭素細長構造体は、化学気相成長法で得られ、真空度、原料組成、触媒組成、触媒層膜厚、触媒担持層組成、触媒担持層膜厚、成長温度、希釈ガス組成、ガス流量および希釈ガス濃度からなる条件の少なくとも一つを調整することにより、先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素細長構造束状体に関する。更に詳しくは、電子素子として使用できる炭素細長構造束状体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置やプリント配線基板等を含む半導体集積回路装置では、導電体や熱伝導体の性質を持った電子素子に、いわゆるカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンファイバ中に見出される筒状になった炭素材料を用いる検討がされている。
【0003】
特にCNTは、化学的安定性に優れ、また、特異な物理的・電気的性質を有する等、様々な特性を有しており、半導体デバイスの形成材料として注目され、たとえば、その太さや長さの制御のほか、形成位置制御やカイラリティ制御等、現在も様々な検討が続けられている。
【0004】
図11に、そのようなCNTを利用した配線ビア構造(たとえば特許文献1および非特許文献1参照。)の一例を示す。このようなビア構造は、図11に示すように、たとえば、基板1上に、下地層2およびCu配線層3を設け、このCu配線層3上にCuの拡散を防ぐバリア膜(Ta膜など)4を堆積し、絶縁層5をその上に設け、ビアホールを設けた後、触媒金属担持膜(例えばTi膜)6とCo等の触媒金属膜7とをスパッタ等により堆積し、ついで、炭化水素系ガス(CH、C等)を用いた化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition;CVD)等でCNT8を成長させ、その後、上部配線を形成することで作製することができる。
【特許文献1】特開2002−329723号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2005−022885号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2006−229297号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】二瓶ら,「ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japan Journal of Applied Physics)」,2005年,第44巻,p. 1626
【非特許文献2】二瓶ら,「ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japan Journal of Applied Physics)」,2004年,第43巻,p. 1856
【非特許文献3】岩井ら,「IEEE IEDM Technical Digest」,2005年,p.257−260
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のCNT配線において、ビアから成長したCNT配線とその上の配線とのコンタクト部分は、単純にビアから成長したCNTに金属電極を蒸着した構造をとっているのが一般的である。
【0006】
しかしながら、このような構造を用いたビアでは、CNTと上層配線との間に高いコンタクト抵抗が生じるため、CNT自体の良い電気特性を有効に利用しているわけではないことが判明した。
【0007】
その理由の一つに、各々のCNTの長さの不均一が挙げられる。そのため、CNTの先端が揃っておらず、全てのCNTに均一に電極金属をコンタクトさせることが難しかったからである。これらの問題を解決するために行われる手法の一つとして研磨による平坦化が挙げられるが、研磨によりCNTをビアに合うように削ることで見かけ上の平坦性は得られるものの、長さの不均一性を取り除くには不十分であり、CNTそのものに割れ等の物理的なダメージを与えるため必ずしも適切な手法ではなかった。
【0008】
同様の問題は、CNTを熱伝導体として、たとえば放熱バンプに使用する場合にも存在する。すなわち、CNTの先端が一様でなく揃っているわけではないために、その良好な熱伝導性が他の材料との接触の際に大きく妨げられる場合があるからである。
【0009】
本発明は、これらの問題を解決し、CNT等の炭素細長構造体を高密度に配した良好な電気的接続構造および/または熱的接続構造を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、一方の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている炭素細長構造束状体が提供される。本発明態様により、低い抵抗を有する電気的接続構造および/または高い熱伝導率を有する熱的接続構造が得られる。
【0011】
炭素細長構造束状体が化学気相成長法によって得られたものであること、互いに繋がっている前記先端部分が平坦な面を形成していること、互いに繋がっている前記先端部分と前記炭素細長構造束状体の中間部との間が炭素ネットワークにより接続しており、加えて電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続していること、前記先端部分と前記中間部との間の熱伝導率が1,000〜6,000W/(m・ケルビン)の範囲にあること、前記炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、互いに繋がっている前記先端部分から他方の先端部分(根元部分)まで、それぞれ一本の炭素細長構造体であること、および、前記炭素細長構造束状体が、炭素細長構造束状体が互いに繋がっている前記先端部分を研磨してなるものであること、が好ましい(非特許文献2,3参照。)。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、上記炭素細長構造束状体を導電体または熱伝導体または導電体兼熱伝導体として用いた電子素子が提供される。本発明態様により、良好な電気的接続構造および/または高い熱伝導性を有する電子素子が得られる。前記電子素子が、ビア配線、放熱用バンプ、受動素子、放熱材料、または配線材料であることが好ましい。
【0013】
本発明の更に他の一態様によれば、化学気相成長法による炭素細長構造束状体の製造方法において、真空度、原料組成、触媒組成、触媒層膜厚、触媒担持層組成、触媒担持層膜厚、成長温度、希釈ガス組成、ガス流量および希釈ガス濃度からなる条件の少なくとも一つを調整することにより、成長した炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようになす、炭素細長構造束状体の製造方法が提供される。本発明態様により、低い抵抗を有する電気的接続構造および/または高い熱伝導率を有する熱的接続構造を容易に製造することができる。
【0014】
互いに繋がるようになした前記先端部分が平坦な面を形成するようになること、互いに繋がっている前記先端部分と前記炭素細長構造束状体の中間部との間が電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続しているようになること、前記先端部分と前記中間部との間の熱伝導率が1,000〜6,000W/(m・ケルビン)の範囲にあること、および、炭素細長構造束状体を構成する前記炭素細長構造体が、前記平坦な面を形成する先端部分から他方の先端部分まで、それぞれ一本の炭素細長構造体となること、が好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、低い抵抗を有する電気的接続構造および/または高い熱伝導率を有する熱的接続構造が得られる。また、これらの構造を利用した電子素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等及び説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0017】
なお、以下においては、導電性に関する効果を目的とする場合(すなわち、低い抵抗を有する電気的接続構造)について主に説明するが、場合によっては、本発明は、導電性の代わりに熱伝導性についての効果を目的とする場合(すなわち高い熱伝導率を有する熱的接続構造)や、その両者を同時に実現することを目的とする場合にも適用できるものであることは言うまでもない。
【0018】
一方の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている炭素細長構造束状体は、その先端上に導電体を形成した場合には、その導電体との間で良好な導電性を得ることが可能であることが判明した。なお、上記の「先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている」状態は、顕微鏡写真等で、炭素細長構造束状体を形成する炭素細長構造体の先端同士が繋がっていることを確認できる状態を意味する。
この状態は、単層または複層のグラファイトシートに類似している。すなわち、本発明に係る炭素細長構造束状体は、単層または複層のグラファイトシート状の炭素ネットワークから柱状に突き出ている構造をなしている。
【0019】
上記の良好な導電性は、炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっていることにより、その上に形成された導電体と電気的に確実に接触するためであろうと考えられる。たとえばビア配線にこの炭素細長構造体を適用する場合、先端部分が互いに繋がることにより長さと先端が揃っているため、炭素細長構造束状体とその上の導電体とのコンタクト部を形成することが容易であるためと考えられる。研磨等のプロセスを経ることがないため炭素細長構造体に物理的または化学的なダメージを与えることを防ぐことも可能となる。また、先端部分は炭素ネットワークによりグラファイトシート状に繋がっているため、電気的、熱的にも接続しており、この点もコンタクト部の接触向上させる要因となっている。
【0020】
この場合の導電体の種類には特に制限はなく、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、タンタル(Ta)、タンタルナイトライド(TaN)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)及びポリシリコン等を例示できる。導電体の厚さには特に制限はないが、半導体集積回路装置の配線の場合には1〜1000nmの範囲が一般的である。本発明における導電体の作製方法については特に制限はなく、公知の方法から選択することができる、めっき法、スパッタ法を例示できる。
【0021】
本発明において、「炭素細長構造体」には、典型的にはCNTが含まれるが、その他のサイズや形状のものであっても、主として炭素からなっており、細長い形状を有している導電体および/または熱伝導体であればどのようなものでもよい。なお、本発明において「Aおよび/またはB」と表された場合には、AであることまたはBであることまたはAでありかつBであることの三つの場合が含まれる。
【0022】
CNTには、金属的な性質を示すための条件を満たすバンド構造を取るものと、半導体的な性質を示すための条件を満たすバンド構造を取るものとがある。本発明に係るCNTとしては金属的な性質を示すもの、特に多層CNT、が好ましい。
【0023】
なお、本発明に係るCNTは、金属を内包したフラーレンなどの、ナノチューブとは別のナノ構造体がCNT内に詰まっている、いわゆるピーポッド構造のナノチューブとして形成してもよい。
【0024】
このような別のナノ構造体を含むピーポッド構造のナノチューブを用いることにより、ビアの電気伝導特性あるいは機械的強度を増強することが可能になる。
【0025】
金属内包フラーレンのように、ナノチューブとは別の構造体もしくは分子あるいは原子は、ナノチューブ内ではなく、一つのビアを構成している隣接ナノチューブ間に存在していてもよい。また、内部に金属フラーレンを含む隣接ナノチューブ間に、上記のナノチューブとは別の構造体もしくは分子あるいは原子を配置することも可能である。
【0026】
CNT等の炭素細長構造体の形成には、従来はアーク放電やレーザーアブレーションが用いられてきたが、現在ではプラズマCVD(プラズマ化学気相成長法)や熱CVDがよく用いられている。CVDによる形成方法は、ナノチューブを直接基板上に形成できることから、集積回路の製造への応用が期待されている。
【0027】
CVDによる形成方法では、基板上に触媒担持体層とこの炭素細長構造体を生成するための触媒薄膜層とが積層されてなるのが一般的である。CVDにおける昇温により触媒薄膜が微粒子化し、その触媒微粒子を核として炭素細長構造体が基板上に形成されることが知られているが、本発明では、炭素細長構造体の形成前には触媒の微粒子化は行わない。
【0028】
本発明に係る炭素細長構造束状体は、このようにCVDで作製することが好ましく、その場合には、炭素細長構造束状体が基板上に生成するが、炭素細長構造束状体が基板上に生成すること自体は本発明の要件ではない。すなわち、炭素細長構造束状体の互いに繋がっている先端部分ではない方の先端部分(根元部分)がどのようになっているかについては特に制限はない。
【0029】
CVDで本発明に係る炭素細長構造束状体を作製する場合、この基板を形成する材料には特に制限はなく公知のものから適宜選択できるが、導電性を得る場合には、導電性のものを使用し、熱伝導性を得る場合には熱伝導性の良好なものを選択することが好ましい。
【0030】
CVDで本発明に係る炭素細長構造束状体を作製する場合の触媒としては、使用する炭素細長構造体に応じて、適宜公知のものから選択することができる。コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)およびそれらを含む合金からなる群から選ばれた金属を挙げることができる。炭素細長構造体がCNTの場合には、特に、Co、NiまたはFeやそれらを含む合金が好ましい。
【0031】
触媒薄膜の厚さは特に制限はないが、CNTを形成するためには、0.5〜3nmの範囲のものが好ましい。
【0032】
触媒薄膜の堆積の仕方については特に制限はないが、真空蒸着法、スパッタリング、CVD等などにより触媒担持体層上に堆積させる方法が挙げられる。CVDで本発明に係る炭素細長構造束状体を作製する場合、その炭素細長構造体は、触媒薄膜を核にして成長するので、膜厚の均一化は、炭素細長構造の直径や形成位置の制御に重要である。一般的には触媒担持体層上に均一に分布して堆積することが好ましい。
【0033】
CVDで本発明に係る炭素細長構造束状体を作製する場合の触媒担持体層とは、炭素細長構造体を生成するための触媒薄膜層を堆積しているあるいは堆積していた層を意味する。本触媒担持体層を形成する材料は公知の材料から適宜選択できるが、導電性を得る場合には、導電性のものを使用し、熱伝導性を得る場合には熱伝導性の良好なものを選択することが好ましい。導電性かつ熱伝導性のものとしては、たとえば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミ二ウム(Al)、HfN、ZrN、TiN、TaNおよびTiSiからなる群から選ばれた材料を少なくとも1種以上含む一層体または2以上の層からなる多層体を挙げることができる。触媒担持体層直下の構造は、炭素細長構造束状体の先端部分に形成される導電体と同様に、例えばビア配線などの電極構造の場合は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、タンタル(Ta)、タンタルナイトライド(TaN)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)やそれらの多層体を例示できる。
【0034】
なお、本発明に係る触媒担持体層の厚さについては特に制限はないが、0.5〜50nmの範囲が一般的である。本発明に係る触媒担持体層の作製方法には特に制限はなく、真空蒸着法、スパッタリング、CVD等を利用することができる。
【0035】
触媒薄膜層は、炭素細長構造体を形成する前に触媒担持体層上に堆積される。しかしながら炭素細長構造体の形成と共に触媒薄膜は微粒子化し(たとえば炭素細長体構造の先端に)移動する場合があることが知られている。さらに、触媒微粒子がCNTの根本にある場合でも、触媒担持体層とCNTとの直接の接触が生じ得ると考えられており、このような場合には、たとえば、触媒担持体層が導電性の場合には、基板との間に良好な導電性を得ることが可能となる。このようにして、本発明に係る炭素細長構造束状体の「互いにつながっている先端部」の反対側にある先端部(根元部)では、他の要素との良好な電気的接触が可能となる。ただし、その他の手段により他の要素との良好な電気的接触が可能となる場合も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0036】
本発明に係る炭素細長構造体を使用することにより、低抵抗の電気的接続構造を提供することができる。断線の原因となるマイグレーション耐性を高くできる。本発明に係る炭素細長構造体は、ビアホールのように、高アスペクト比の場合に特に有用である。
【0037】
たとえば、ビアホール充填材としてアルミニウムや銅を使用した場合には、マイグレーション現象として知られる配線材料の金属原子の移動現象問題が知られている。これは、導電材料に加わるストレスや配線中を流れる電子に起因する断線現象で、複雑な構造を採らざるを得ない配線やビア部分などで、特にこの現象が生じることが多い。ストレスに起因して発生するマイグレーションはストレスマイグレーション、配線中を流れる電子に起因するものはエレクトロマイグレーションと呼ばれる。マイグレーション耐性は導電材料の放熱能力とも密接な関係にあり、放熱が悪く導電材料の温度が上昇するとマイグレーション耐性が低下することが知られている。
【0038】
これに対し、たとえば、CNTをビアホール充填材として使用した場合には、機械的強度に優れることから、ストレスマイグレーション耐性が高く、高い熱伝導性に加え、高い電流密度に耐えうることからエレクトロマイグレーション耐性も高い。同様に、炭素の熱伝導性が良好であることから放熱能力の点でも良好である。本発明に係る炭素細長構造体はこのような点でも有利である。
【0039】
本炭素細長構造束状体は、その細長構造により、ビアホールのように高アスペクト比の場合に有用である。特に、CVDを利用してCNT束状体を作製する場合には、触媒薄膜層上に自己組織化により形成できるため、アスペクト比による影響を受け難いこと、CNTの筒直径が、1〜50nm程度であり、例えば、2μm直径のビアホールに数百本以上(たとえば数万本)のCNTを林立させることが可能であること等により有利である。
【0040】
炭素細長構造束状体とはこのように炭素細長構造体を林立させたものを意味する。なお、炭素細長構造体や炭素細長構造束状体の太さ、長さおよびアスペクト比については特に制限はない。CVDを利用してCNT束状体の場合には、100程度のアスペクト比を容易に実現できる。
【0041】
このような構造体を得る方法については特に制限はないが、CVDによる炭素細長構造束状体の製造について種々検討した結果、真空度、原料組成、触媒組成、触媒層膜厚、触媒担持層組成、触媒担持層膜厚、成長温度、希釈ガス組成、ガス流量および希釈ガス濃度等の条件を適当に選択すると、成長した炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようにすることが容易であることが見出された。
【0042】
その様子を図1〜4の走査型電子顕微鏡写真によって説明する。図1は炭素細長構造束状体の成長初期の写真、図2は中期の写真、図3は、成長の結果、炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようになっていることを示す写真(基板に垂直な断面の写真)である。図3では下側に基板があり、上側は平坦な面をなしている。このような平坦な面はこの面を上から見た場合、長さや密度によっても見え方は異なるが、基板色ないしは白系統の色に視覚的に認識することができる。これに対し、従来のCNTは同じく長さや密度により濃淡が変化するものの黒系統の色で認識可能である。
【0043】
図1,2,3から、炭素細長構造体が成長してくると先端部が互いにつながり合い、最後には図5の模式図に示すように、基板50上に成長した炭素細長構造体51の束である炭素細長構造束状体52の先端部分53が炭素ネットワークにより互いに繋がった構造になることが理解される。図4は、図3の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がった構造を拡大した写真である。図4から、それぞれ炭素細長構造体が先端近くで太くなりその後炭素ネットワークにより互いに繋がった構造となっていることが理解される。
【0044】
なお、図3は、炭素細長構造体が林立して炭素細長構造束状体を形成している様子を明確に示している。
【0045】
本発明に係る炭素細長構造束状体は、この写真のように、炭素細長構造体が一方向に揃って延在していること、互いに繋がっている先端部分から他方の先端部分まで、それぞれ一本の炭素細長構造体であること、曲がりくねったり横倒しになったりしていないこと等が好ましい。これらは、良好な導電性を得る上で重要である。互いに繋がっている先端部分から他方の先端部分(根元部分)まで、それぞれ一本の炭素細長構造体であることや曲がりくねったり横倒しになったりしていないことは、このように走査型電子顕微鏡等で拡大した炭素細長構造束状体の側面図を目視して判断すれば充分である。すなわち、図3の例で言えば、全体として束状に下から上まで揃って見えれば、上記条件は充足されると考えることができる。
【0046】
なお、上記より、互いに繋がっている炭素細長構造体の先端部分は炭素ネットワークよりなる平坦な面を形成していることが好ましいと考えられる。ここで平坦であるとは、図3に示すように走査型電子顕微鏡で見た場合に、大きな凹凸がないことを意味する。より具体的に言えば、互いに繋がっている炭素細長構造体の先端部分のなす面が、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microcopy; AFM)のタッピングモードで測定した場合、500nm角の平均面粗さ(Ra)が10nm以下であれば充分であると考えることができる。なお、電子顕微鏡、XPS(X線光電子分光分析)、EDX(エネルギー分散型X線分光分析)等から、炭素細長構造体の先端部分がグラファイトシート状に炭素ネットワークによって接続されていることが見出されている。
【0047】
本発明に係る炭素細長構造束状体が得られたかどうかは、上記のように外観検査で知ることができるが、さらに、本発明に係る炭素細長構造束状体としては、互いに繋がっている先端部分と炭素細長構造束状体の中間部との間が電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続していることも重要であり、確認することも可能である。電気的に接続しているかどうかは電気抵抗で、熱的に接続しているかどうかは熱伝導率で知ることができる。この場合の電気抵抗や熱伝導率の程度は、実情に応じて任意に定めればよいが、一般的には電子回路に使用される導電体と同程度以下であることが好ましい。より具体的には、上記先端部分と上記中間部との間の熱伝導率が1,000〜6,000W/(m・ケルビン)の範囲にあることが好ましい。上記のように、炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、互いに繋がっている先端部分から他方の先端部分(根元部分)まで、それぞれ一本の炭素細長構造体であることは、このような低い電気抵抗や高い熱伝導率を得る上で有利である。
【0048】
本発明に係る炭素細長構造束状体は、互いに繋がっている先端部分を研磨してもよい。ビア等はビアホールの深さに合わせて適当な長さの炭素細長構造束状体を作製する必要がある。このことは、炭素細長構造束状体作製条件(たとえば作製時間)の制御によっても可能であるが、その後、その長さを調節する目的やその他の目的で、CMP(化学的機械的研磨)等で互いに繋がっている炭素細長構造体の先端部分を研磨する必要がある場合もあり得る。本発明に係る炭素細長構造束状体の互いに繋がっている先端部分は数nm程度の厚さとすることができるので、その厚さ部分の一部または全てを研磨することが可能である。
【0049】
本発明に係る炭素細長構造束状体は、その導電体または熱伝導体または導電体兼熱伝導体としての性質を利用して電子素子に使用することができる。この場合、上記の金属内包フラーレンのように、炭素細長構造体(たとえばCNT)とは別の構造体もしくは分子あるいは原子が、炭素細長構造束状体(たとえばCNT束状体)間に存在していてもよい。また、内部に金属フラーレンを含む炭素細長構造束状体間に、炭素細長構造体とは別の構造体もしくは分子あるいは原子を配置することも可能である。また、先端部分はグラファイトシート状の炭素ネットワークを有するため、先端部分に平行方向に電子素子として使用することも可能である。
【0050】
具体的には、ビア配線、放熱用バンプ、受動素子、放熱材料、または配線材料等を例示することができる。
【0051】
図6は、本発明に係る電気的接続構造をビアに利用した半導体集積回路装置を模式的に示す断面図である。図6では、シリコン基板61にトランジスタ62等の素子が複数作りこまれ、それらを覆って複数の絶縁層(層間絶縁膜)63a〜63fが形成されている。絶縁層を挟んで配線層が位置し、所定の配線層の配線65は絶縁層を貫通して形成されたビア66により別の層の配線65につながれている。67は、素子同士をつなぐ配線65に接続するコンタクトを表している。一番上の配線層は保護層68で被覆されている。この図に示した集積回路装置では、ビア66に本発明に係る電気的接続構造を適用することができる。
【0052】
図7は放熱用バンプの例を示す模式図である。図7において、パッケージ基板上にグラウンドと入出力用の電極パターンが形成されており、さらにその電極上において触媒薄膜がパターニングされた所望の箇所に放熱用バンプとして炭素細長構造束状体が形成される。その炭素細長構造束状体に金でメッキ後、GaN等の高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)がフリップチップされる。トランジスタの電極と、放熱用バンプであるパッケージの電極とを直接接続する構造により、インダクタンス低減と共に放熱性が確保される。
【0053】
図8は受動素子の例を示す模式図である。図8において、入力から出力までの信号ラインに沿って炭素細長構造束状体が接続されている。このようなストリップライン構造により高周波分布定数回路における実行波長の短縮化による回路の小型化を可能とすることができる(特許文献3参照。)。
【0054】
図9は放熱材の例を示す模式図である。図9において、携帯電話やコンピューターのCPUなどの熱対策として、熱源からより熱容量の大きなヒートシンクなどへの放熱体として炭素細長構造束状体が形成されている。通常このような放熱に用いられるグラファイトシートでは、面方向に対して厚さ方向の熱伝導率は十分の一以下である。それに対し、炭素細長構造束状体は厚さ方向(高さ方向)にも一体となった構造を有しているため、より放熱性に優れており効果的な放熱構造の実現が可能となる。また、一般的にグラファイトシートは厚み数十ミクロン程度が限界であるが、炭素細長構造束状体では成長条件によって任意の厚さ(数十ナノメートルから数十ミクロン程度の長さ)にまで調整が可能である。
【0055】
図10は配線材の例を示す模式図である。図10において、ビア配線から延びたナノチューブは金属ブロックを介して横方向の炭素細長構造束状体に電気的に接続されている。ビア配線に用いられるナノチューブは通常のCNTでも炭素細長構造束状体でも構わない。具体的には、ビア配線に用いられるナノチューブの上部を研磨して高さを揃えた後にたとえば銅メッキにより上記金属ブロックを形成し、そのブロック構造を起点として、横方向に炭素細長構造束状体が形成されている。このようにビア配線以外にもLSIの配線として本発明の炭素細長構造束状体を適用することができる。
【実施例】
【0056】
次に本発明の実施例を詳述する。
【0057】
[実施例1]
触媒担持体層チタンナイトライド(TiN)層の膜厚とコバルト(Co)層の膜厚とを種々変更したものを作製し、熱CVD法により炭素細長構造体成長を行った。成長温度は510℃でアセチレンとアルゴンの混合ガス(1:9)を1kPa成長炉に導入した。この結果、Co層の膜厚が例えば5nmと厚い場合には炭素細長構造体が成長せず、TiN層についても膜厚が30nmと厚い場合には先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている構造を得ることはできなかった。実験の結果から、先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている構造の炭素細長構造束状体を得るには、Co層の膜厚が0.5−2nm、TiN層の膜厚が2.5−15nmが望ましいことがわかった。
【0058】
図1は、Co層が1nm、TiN層が5nmから成長した炭素細長構造体の成長初期の様子を示し、図2は、その中期の走査型電子顕微鏡像を示す。これらの図から炭素細長構造体の成長初期の段階から、互いに接続した先端部分が形成されていることが明らかとなった。図3,4は、さらに成長後の走査型電子顕微鏡像の断面図であり、先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている炭素細長構造束状体を示している。それぞれ成長時間を調整することで異なる成長段階の様子が観察できる。さらに、図3もしくは図4で観察した同じ炭素細長構造体束状体の断面図を透過型電子顕微鏡で観察した写真が次の図12である。図12は炭素細長構造体束状体の先端部分が互いに接続していることを明確に示しており、さらに先端部分直下の炭素細長構造体が多層CNTであることも明らかとなった。図12に示した先端部分の構造については明確に明らかではないものの、先端部分に基板に対して平行な、5nm程度の厚みのグラファイトシートの多層構造を確認でき、先端から離れるに従いグラファイトシートの向きが基板に垂直になっている(多層CNTに変化していく)様子が確認できる。なお、先端部分のグラファイトシート構造と下部のCNT部は独立しているわけではなく、お互いのグラフェンシートは一体化して接続しており、電気的・熱的に接続が保たれている模様である。なお、先端部分とCNT部分の間には微粒子化した触媒が観察できる。
さらに同じ炭素細長構造束状体の平坦性を確認するため、AFMのタッピングモードで測定すると、500nm角の平均面粗さ(Ra)が3−4nm程度であることがわかった。この結果は、炭素細長構造束状体の先端部分の平坦性が高いことを示唆している。
【0059】
これらの写真より、互いに繋がっている前記先端部分が平坦な面を形成していることや炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、先端部分から他方の先端部分(基板側の根元部分)まで、それぞれ一本の炭素細長構造体であることを読みとることができる。
【0060】
図13(a)はCo層が1nm、TiN層が10nmから成長した炭素細長構造体の走査型電子顕微鏡像を示す。TiN層の厚みを変えた場合でも同様の炭素細長構造束状体を得られることがわかる。また、 図13(b)は、炭素細長構造束状体の先端部分以外のCNT部分を透過型電子顕微鏡で観察した結果を合わせて示す。その結果、多層CNTは直径がおよそ10nm程度、層数が6層から10層程度であることがわかった。
【0061】
[実施例2]
熱酸化膜を有するシリコン基板上に下層配線となるCu(100nm)、Ta(15nm)及び触媒担持体層であるTiN(7.5nm)を連続して堆積し、さらにSiO層を設けた。このSiO層に直径2μm、深さ300nmのビアホールを触媒担持体層であるTiNまでリソグラフィにより開口を行った。このビア底にはすでにTiNが堆積されているので、その上にCo(1nm)(触媒薄膜層)をスパッタ法により堆積した。
【0062】
510℃でアセチレンとアルゴンの混合ガス(1:9)を1kPa導入し、CVDにより炭素細長構造体成長を行った。図14はビアホールから成長した炭素細長構造束状体の走査電子顕微鏡像を示す。先端は炭素ネットワークで接続した構造を有していた。ビアホールからの炭素細長構造束状体の成長後、上部電極の作製を行い炭素細長構造束状体による配線ビア構造の電気測定を行った。測定の結果、2μmビアに対して平均しておよそ13オームの値を得た。この結果は、炭素細長構造束状体の先端部分とその直下に位置する炭素細長構造体とが電気的に接続していることを強く支持している。なお、従来のCNTでは30オームという結果を得ており、CNT密度がほぼ同程度と仮定すると先端が平坦である炭素細長構造束状体の優位性が示唆された。
【0063】
[実施例3]
炭素細長構造束状体をLSIの配線ビア構造に適用する際に、層間絶縁膜やトランジスタへの加熱の影響を最小限に抑えるため、CVD成長温度をより下げる必要がある。そこで、5nmのTiN層と1nmのCo層を用い、より低い成長温度で熱CVD法により炭素細長構造体の成長を行った。成長温度は450℃及び400℃で、原料ガスとしてアセチレンとアルゴンの混合ガス(1:9)を1kPa成長炉に導入した。成長中はアルゴンによりさらに混合ガスの希釈を行い、アセチレンの濃度は0.005%とした。この結果、いずれの成長温度においても先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている構造の炭素細長構造束状体が得られた。以上のように、成長温度の低下によっても炭素細長構造束状体の形成が容易であることがわかった。
【0064】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0065】
(付記1) 一方の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている炭素細長構造束状体。
【0066】
(付記2) 化学気相成長法によって得られたものである、付記1に記載の炭素細長構造束状体。
【0067】
(付記3) 互いに繋がっている前記先端部分が平坦な面を形成している、付記1または2に記載の炭素細長構造束状体。
【0068】
(付記4) 互いに繋がっている前記先端部分と前記炭素細長構造束状体の中間部との間が電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続している、付記1〜3のいずれかに記載の炭素細長構造束状体。
【0069】
(付記5) 前記先端部分と前記中間部との間の熱伝導率が1,000〜6,000W/(m・ケルビン)の範囲にある、付記4に記載の炭素細長構造束状体。
【0070】
(付記6) 前記炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、互いに繋がっている前記先端部分から他方の先端部分まで、それぞれ一本の炭素細長構造体である、付記1〜5のいずれかに記載の炭素細長構造束状体。
【0071】
(付記7) 前記炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、互いに繋がっている前記先端部分から他方の先端部分まで、それぞれ一本の多層カーボンナノチューブである、付記1〜5のいずれかに記載の炭素細長構造束状体。
【0072】
(付記8) 互いに繋がっている前記先端部分を研磨してなる、付記1〜7のいずれかに記載の炭素細長構造束状体。
【0073】
(付記9) 付記1〜8のいずれかに記載の炭素細長構造束状体を導電体または熱伝導体または導電体兼熱伝導体として用いた電子素子。
【0074】
(付記10) 前記電子素子が、ビア配線、放熱用バンプ、受動素子、放熱材料、または配線材料である、付記9に記載の電子素子。
【0075】
(付記11) 化学気相成長法による炭素細長構造束状体の製造方法において、真空度、原料組成、触媒組成、触媒層膜厚、触媒担持層組成、触媒担持層膜厚、成長温度、希釈ガス組成、ガス流量および希釈ガス濃度からなる条件の少なくとも一つを調整することにより、成長した炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようになす、炭素細長構造束状体の製造方法。
【0076】
(付記12) 互いに繋がるようになした前記先端部分が平坦な面を形成するようになる、付記11に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0077】
(付記13) 互いに繋がっている前記先端部分と前記炭素細長構造束状体の中間部との間が電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続しているようになる、付記11または12に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0078】
(付記14) 前記先端部分と前記中間部との間の熱伝導率が1,000〜6,000W/(m・ケルビン)の範囲にある、付記13に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0079】
(付記15) 前記炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、平坦な面を形成する前記先端部分から他方の先端部分まで、それぞれ一本の炭素細長構造体となる、付記11〜14のいずれかに記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0080】
(付記16) 前記炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、平坦な面を形成する前記先端部分から他方の先端部分まで、それぞれ一本の多層カーボンナノチューブとなる、付記11〜14のいずれかに記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0081】
(付記17) 前記炭素細長構造束状体を構成する炭素細長構造体が、触媒担持層上の触媒薄膜から合成される、付記11〜16のいずれかに記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0082】
(付記18) 前記触媒薄膜がCo、Ni、Feまたはそれらを少なくとも1種類以上含む合金からなるものである、付記17に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【0083】
(付記19) 前記触媒担持層が、Ti、Ta、Mo、Al、HfN、ZrN、TiN,TaNおよびTiSiからなる群から選ばれた材料を少なくとも一種以上含む一層体または2以上の層からなる多層体である、付記17または18に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明により、低い抵抗を有する電気的接続構造および/または高い熱伝導率を有する熱的接続構造が得られる。本発明に係る炭素細長構造束状体は電子素子として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】炭素細長構造束状体の成長初期の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】炭素細長構造束状体の成長中期の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】炭素細長構造束状体の510℃での成長の結果、炭素細長構造束状体の先端部分が互いに炭素ネットワークにより繋がるようになっていることを示す断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図3の先端部分が互いに繋がった構造を拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】炭素細長構造束状体の模式的側面図である。
【図6】CNTを利用したビア構造を有する電気的接続構造を示す模式図である。
【図7】放熱用バンプの例を示す模式図である。
【図8】受動素子の例を示す模式図である。
【図9】放熱材料の例を示す模式図である。
【図10】配線材料の例を示す模式図である。
【図11】CNTを利用したビア構造を有する電気的接続構造を示す模式図である。
【図12】炭素細長構造束状体の成長の結果、炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようになっていることを示す断面の透過型電子顕微鏡写真である。
【図13】炭素細長構造束状体の510℃での成長の結果、炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようになっていることを示す断面の走査型電子顕微鏡写真(a)と炭素細長構造体の透過型電子顕微鏡写真(b)である。
【図14】配線ビアホールから成長した炭素細長構造束状体を上から見た走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0086】
1 基板
2 下地層
3 Cu配線層
4 Ta膜
5 絶縁層
6 Ti膜
7 触媒金属膜
8 CNT
50 基板
51 炭素細長構造体
52 炭素細長構造束状体
53 先端部分
61 シリコン基板
62 トランジスタ
63a〜63f
層間絶縁膜
65 配線
66 ビア
67 コンタクト
68 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がっている炭素細長構造束状体。
【請求項2】
化学気相成長法によって得られたものである、請求項1に記載の炭素細長構造束状体。
【請求項3】
互いに繋がっている前記先端部分が平坦な面を形成している、請求項1または2に記載の炭素細長構造束状体。
【請求項4】
互いに繋がっている前記先端部分と前記炭素細長構造束状体の中間部との間が電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続している、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素細長構造束状体。
【請求項5】
互いに繋がっている前記先端部分を研磨してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素細長構造束状体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の炭素細長構造束状体を導電体または熱伝導体または導電体兼熱伝導体として用いた電子素子。
【請求項7】
前記電子素子が、ビア配線、放熱用バンプ、受動素子、放熱材料、または配線材料である、請求項6に記載の電子素子。
【請求項8】
化学気相成長法による炭素細長構造束状体の製造方法において、真空度、原料組成、触媒組成、触媒層膜厚、触媒担持層組成、触媒担持層膜厚、成長温度、希釈ガス組成、ガス流量および希釈ガス濃度からなる条件の少なくとも一つを調整することにより、成長した炭素細長構造束状体の先端部分が炭素ネットワークにより互いに繋がるようになす、炭素細長構造束状体の製造方法。
【請求項9】
互いに繋がるようになした前記先端部分が平坦な面を形成するようになる、請求項8に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。
【請求項10】
互いに繋がっている前記先端部分と前記炭素細長構造束状体の中間部との間が電気的にまたは熱的にまたは電気的および熱的に接続しているようになる、請求項8または9に記載の炭素細長構造束状体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−137846(P2008−137846A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325297(P2006−325297)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】