熱処理方法及び熱処理装置
【課題】処理の均一性を確保しつつ基板保持具の搭載枚数を従来よりも増やす基板保持具を提供する。
【解決手段】被処理基板wに所定の熱処理を施す熱処理方法において、基板保持具11に裏面を上面にした被処理基板wを上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環34で支持した単板ユニット35を構成し、上記基板保持具11は、被処理基板wの周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱27と、該支柱27に被処理基板wを保持する爪部36と、上記単板ユニット35の支持環34の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニット35を支持するユニット支持部37とを有することにより、上記被処理基板wの裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くしている。
【解決手段】被処理基板wに所定の熱処理を施す熱処理方法において、基板保持具11に裏面を上面にした被処理基板wを上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環34で支持した単板ユニット35を構成し、上記基板保持具11は、被処理基板wの周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱27と、該支柱27に被処理基板wを保持する爪部36と、上記単板ユニット35の支持環34の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニット35を支持するユニット支持部37とを有することにより、上記被処理基板wの裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理方法及び熱処理装置に係り、特に処理の均一性を確保しつつ処理枚数を増やす技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、被処理基板例えば半導体ウエハ(以下、ウエハともいう。)に、酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの処理を施すために、各種の処理装置(半導体製造装置)が用いられている。そして、その一つとして、一度に多数枚の被処理基板の熱処理が可能な縦型の熱処理装置が知られている。
【0003】
この熱処理装置は、熱処理炉と、複数枚のウエハを上下方向に所定間隔で保持して上記熱処理炉に搬入搬出される基板保持具であるボートとを備えている(例えば、引用文献1参照。)。また、上記熱処理炉の下方に形成されたローディングエリア(作業領域)には、上記熱処理炉の炉口を閉塞する蓋体の上部に炉口保温手段(炉口断熱手段)である保温筒を介して上記ボートを載置した状態で蓋体を上昇下降させて炉内へのボートの搬入及びローディングエリアへのボートの搬出を行う昇降機構や、ローディングエリアに搬出されたボートと複数枚のウエハを収納可能な収納容器との間でウエハの移載を行う移載機構等が装備されている。
【0004】
上記ボートは、底板と天板の間に複数本の支柱を介設し、これら支柱にウエハの周縁部を支持する溝状ないし突状の基板支持部を上下方向に所定の間隔(ピッチ)で形成して構成されている。特に、上記ボートには、すべてのウエハが被処理面である表面を上面にした状態で搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−223254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記熱処理装置においては、ボートにおけるウエハの搭載枚数を決めるピッチ幅が、処理の面内及び面間の均一性の観点及び移載の観点より最小値が決まってしまっており、搭載枚数を増やすことが困難であった。なお、処理の面内及び面間の均一性を更に向上させるべく上記ピッチ幅を大きくすると、搭載枚数が減少してしまう。
【0007】
なお、ボートにおけるウエハの搭載枚数を増大させる技術としては、例えば2枚のウエハを裏面同士で重ね合わせ、これをボートに搭載して熱処理するという提案がなされているが、2枚のウエハを裏面同士で重ね合わせると、熱処理後(例えば成膜後)、2枚のウエハが張り付いて引き剥がす(分離する)ことが困難となり、無理に引き剥がすとウエハの破損を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、被処理基板同士が張り付くおそれがなく、処理の均一性を確保しつつ基板保持具の搭載枚数を従来よりも増やすことができる熱処理方法及び熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち、請求項1の発明は、複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理方法において、上記基板保持具に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に被処理基板を保持する爪部と、上記単板ユニットの支持環の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニットを支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットを上記基板保持具上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士が対向するように支持環を介して基板保持具に保持することにより、上記被処理基板の裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くすることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理装置において、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持する爪部と、上記単板ユニットを上記爪部上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士対向するように支持環を介して支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットの支持環が、外周に適宜間隔で突設された突片を有し、上記ユニット支持部が、上記突片を支持するように形成され、上記被処理基板の裏面同士の間隔が表面同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする。
【0011】
上記基板保持具は、被処理基板の移載方向対して左右一対の支柱及び奥側中央の支柱とを有し、上記ユニット支持部として、上記左右一対の支柱には上記支持環の後側左右一対の突片を支持する板状で平面円弧状の前部ユニット支持部が前面側に張り出して形成されていると共に、上記奥側中央の支柱を挟んで両側に配置された一対の補助支柱には上記支持環の前側左右一対の突片を支持する後部ユニット支持部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1又は2の発明によれば、上記基板保持具に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に被処理基板を保持する爪部と、上記単板ユニットの支持環の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニットを支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットを上記基板保持具上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士が対向するように支持環を介して基板保持具に保持することにより、上記被処理基板の裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くしているため、簡単な構造で2枚の被処理基板を裏面同士が対向する状態に容易に保持することができ、被処理基板同士が張り付くおそれがなく、処理の均一性を確保しつつ基板保持具の搭載枚数を従来よりも増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態である熱処理装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する一例を概略的に説明する説明図である。
【図3】支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図である。
【図4】支持環を示す図で、(a)は全体の概略的斜視図、(b)は要部拡大斜視図である。
【図5】支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する他の例を概略的に説明する説明図である。
【図6】支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図である。
【図7】支持環を用いて1枚のウエハを支持する他の例を概略的に説明する説明図である。
【図8】裏面を上面にしたウエハを直接、表面を上面したウエハを支持環を介してボートに保持する状態を示す概略的正面図である。
【図9】支持環を示す図で、(a)は全体の概略的斜視図、(b)は要部拡大斜視図である。
【図10】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図11】図8の要部拡大図である。
【図12】ボートにおける支持環の保持状態を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて詳述する。図1は本発明の実施の形態である熱処理装置を概略的に示す縦断面図、図2は支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する一例を概略的に説明する説明図、図3は支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図、図4は支持環を示す図で、(a)は全体の概略的斜視図、(b)は要部拡大斜視図である。
【0015】
図1において、1は縦型の熱処理装置で、この熱処理装置1は外郭を形成する筐体2を有している。この筐体2内の上方には、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状の半導体ウエハwを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型の熱処理炉3が設けられている。この熱処理炉3は、下部が炉口4として開口された縦長の処理容器例えば石英製の反応管5と、この反応管5の炉口4を開閉する昇降可能な蓋体6と、上記反応管5の周囲を覆うように設けられ、反応管5内を所定の温度例えば300〜1200℃に加熱制御可能なヒータ(加熱装置)7とから主に構成されている。
【0016】
上記筐体2内には、熱処理炉3を構成する反応管5やヒータ7を設置するための例えばSUS製のベースプレート8が水平に設けられている。ベースプレート8には反応管5を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0017】
反応管5の下端部には外向きのフランジ部が形成され、このフランジ部をフランジ保持部材にてベースプレート8に保持することにより、反応管5がベースプレート8の開口部を下方から上方に挿通された状態に設置されている。反応管5は、洗浄等のためにベースプレート8から下方に取外せるようになっている。反応管5には反応管5内に処理ガスやパージ用の不活性ガスを導入する複数のガス導入管や反応管5内を減圧制御可能な真空ポンプや圧力制御弁等を有する排気管が接続されている(図示省略)。なお、反応管5の下端部には、ガス導入管や排気管を接続するガス導入ポートや排気ポートを有する円筒状のマニホールドが接続されていても良く、この場合、このマニホールドが炉口を形成することになる。
【0018】
上記筐体2内におけるベースプレート8より下方には、蓋体6上に炉口保温手段である保温筒10を介して載置されたボート(基板保持具)11を熱処理炉3(すなわち反応管5)内に搬入(ロード)したり、熱処理炉3から搬出(アンロード)したり、或いはボート11に対するウエハwの移載を行うためのローディングエリア(作業領域)12が設けられている。このローディングエリア12にはボート11の搬入、搬出を行うべく蓋体6を昇降させるための昇降機構(図示省略)が設けられている。
【0019】
上記蓋体6は炉口4の開口端に当接して炉口4を密閉するように構成されている。蓋体6の下部には、ボート11を回転するための回転機構13が取付けられている。この回転機構13の回転軸は蓋体6を気密に貫通し、蓋体上に配置された図示しない回転テーブル又は図10に示すようにボート11の底部中央に設けられた支持脚30を回転するようになっている。
【0020】
筐体2の前部には、複数枚例えば25枚程度のウエハを所定の間隔で収納可能な収納容器14を載置して筐体2内への搬入搬出を行うための載置台(ロードポート)15が設置されている。収納容器14は前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた密閉型収納容器(フープともいう。)とされている。ローディングエリア12内の前後には収納容器14の蓋を取外して収納容器14内をローディングエリア12内に連通開放するドア機構16が設けられ、ローディングエリア12には収納容器14とボート11の間でウエハwの移載を行う水平な複数枚例えば5枚のフォーク(移載板)17を上下方向に所定間隔で有する移載機構18が設けられている。
【0021】
ローディングエリア12外の前部上側には、収納容器14をストックしておくための保管棚部20と、搬入出用の載置台15から保管棚部20へ又はその逆に収納容器14を搬送するための図示しない搬送機構とが設けられている。なお、ローディングエリア12の上方には蓋体6を開けた時に炉口4から高温の炉内の熱が下方のローディングエリア12に放出されるのを抑制ないし防止するために炉口4を覆う(又は塞ぐ)シャッター機構21が設けられている。また、上記載置台15の下方には移載機構18により移載されたウエハwの外周に設けられた切欠部(例えばノッチ)を一方向に揃えるための整列装置(アライナ)22が設けられている。
【0022】
上記フォーク17のうち、中央のフォークは単独で前方に進退移動可能とされ、中央以外のフォーク(一枚目、二枚目、四枚目及び五枚目)はピッチ変換機構により中央のフォークを基準として上下方向に無段階でピッチ変換可能とされている。これは、収納容器14内のウエハの収納ピッチと、ボート11内のウエハの搭載ピッチとが異なる場合があるので、その場合でも収納容器14とボート11との間でウエハを複数枚ずつ移載可能とするためである。
【0023】
移載機構18は、昇降及び旋回可能な基台23を有している。具体的には、移載機構18は、ボールネジ等により上下方向に移動可能(昇降可能)な昇降アーム24を備え、この昇降アーム24に箱型の基台23が水平旋回可能に設けられている。この基台23上にはその長手方向に沿って中央の1枚のフォークを移動可能とする第1の移動体25と、中央のフォークを挟んで上下に2枚ずつ配された計4枚のフォークを移動可能とする第2の移動体26とがそれぞれ設けられている。
【0024】
なお、上記移載機構18のフォーク17の基部には先端部の位置決め溝との間でウエハwをフォーク長手方向前後から把持可能なチャッキング機構が設けられていてもよい。また、上記移載機構18のフォーク17は、ウエハwを下方から支持又は把持(下掴み)して移載する通常移載と、ウエハを上方から支持又は把持(上掴み)して移載する特殊移載とを選択的に行えるように構成されていてもよい。更に、フォーク18の先端部にはボート11内や収納容器14内のウエハの位置を検出してマッピングを行うためのマッピングセンサが設けられていてもよい。
【0025】
上記ボート11は、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウエハwを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。上記ボート11は、例えば図10に示すように、天板11aと底板11bの間に複数本例えば3本の支柱27を介設してなる。上記支柱27と共に補助柱28が適宜設けられていてもよい。このボート11は、底部中央に一本の支持脚30を有し、この支持脚30が蓋体6に設けられた回転機構13の回転軸に連結されている。このボートの場合、蓋体6と底板11bとの間には保温筒の代わりに図示しない遮熱部材が設けられる。ボートとしては、支持脚を有しないで、蓋体上部の回転テーブル上に保温筒を介して搭載されるタイプのものであってもよい(図1参照)。
【0026】
上記ボート11には、図2ないし図3に示すように、2枚のウエハwを裏面同士が対向するように周縁部で支持環(サポートリング)31を介して支持して構成される複板ユニット32が該複板ユニット32上のウエハwの間隔Paよりも広い間隔Pbで上下方向に複数保持される。上記支持環31は、例えば石英製である。上記支持環31は、裏面wbを上面(すなわち表面waを下面)にしたウエハwを水平に支持する第1支持環31aと、該第1支持環31aの上部に載置され、表面waを上面にしたウエハwを水平に支持する第2支持環31bとからなっている。
【0027】
上記第1支持環31a及び第2支持環31bは、図4にも示すように、ウエハと同一又はウエハよりも少し大きい直径(外径)の円環部31xと、該円環部31xの外周に適宜間隔で突設された複数例えば4つの突片31yとを有している。複板ユニット32の下段に載置されるウエハwの下向きの表面(被処理面)waの処理面積を大きく確保するために、少なくとも第1支持環31aの円環部31xの内径はウエハwの直径に近くなるようできるだけ大きく形成されていることが好ましい。
【0028】
円環部31xの上面と突片31yの上面とは同一平面(面一)とされていることが好ましいが、円環部31xの上面から突片31yの上面が突出していても良く、その突片31yによりウエハwの横滑りによる飛び出しや脱落を防止することができる。第1支持環31aの突片31y上に第2支持環31bの突片31yが載置され、少なくとも第2支持環31bの突片31yの厚さtは、第1支持環31a上のウエハwに対して第2支持環31b上のウエハwを所定の間隔Paで保持し得る厚さとされている。
【0029】
上記複板ユニット32を組み立てる場合には、図2の(a),(b)に示すように第1支持環31aの円環部31xの上面にウエハwを載置し、次に図2の(c),(d)に示すように上記第1支持環31a上に第2支持環31bを載置し、該第2支持環31bの円環部31xの上面にウエハwを載置すればよい。上記組立作業は、熱処理装置1内で行っても良く、或いは予め組み立てられた複板ユニット32が収納容器14内に収納されていても良い。
【0030】
上記ボート11の支柱27には、上記複板ユニット32を該複板ユニット32上のウエハwの間隔Paよりも広い間隔Pbで保持するための爪部33が設けられている。すなわち、上記爪部33の上面に、複板ユニット32の第1支持環31aの突片31yが載置(係止)されて複板ユニット32が支持される。複板ユニット32上におけるウエハwの間隔(ピッチ)Paは例えば2mmであり、ボート11上における複板ユニット32の間隔(ピッチ)Pbは例えば11mmである。これにより、ボート11の搭載枚数を従来に比して収納容器1ロット分の枚数(25枚)だけ増加することが可能となる。
【0031】
なお、図示例では、第1支持環31aの突片31yも第2支持環31bの突片31yの厚さtと同じ厚さとされているが、第1支持環31aの突片31yの厚さは円環部31xの厚さと同じ厚さとされていてもよい。上記突片31yの断面は支柱27の断面に比して十分に小さいため、支柱27のようにウエハwに対して影響を与えることはない(支柱27の場合、ウエハwの被処理面waの周縁付近が支柱27の陰になるため、処理の面内均一性に影響を与える傾向がある)。また、支持環31が突片31yを介して支柱27の爪部33に支持されるため、ウエハwの周縁部から支柱27が離間し、しかも円環部31xの上面にウエハwの周縁部が載置されているため、いわゆるリングボートと同様に特にウエハwの周縁部を含む面内均一な処理が可能となる。
【0032】
以上の構成からなる熱処理方法ないし熱処理装置1によれば、2枚のウエハwを裏面同士が対向するように周縁部で支持環31を介して支持した複板ユニット32を構成し、該複板ユニット32をボート11に複板ユニット32上のウエハwの間隔Paよりも広い間隔Pbで上下方向に複数保持し、これにより上下に隣り合うウエハwが裏面同士と表面同士とが上下方向に交互になり、ウエハの裏面同士の間隔Paが表面同士の間隔Pbよりも狭くなり、表面同士の間隔paが処理の均一性を確保し得る間隔に、裏面同士の間隔pbが表面同士の間隔よりも狭い間隔になるため、処理の均一性を確保しつつボート11の搭載枚数を従来よりも増やすことができ、スループットの向上が図れる。しかも、2枚のウエハwを裏面同士が対向するように周縁部で支持環31を介して支持した複板ユニット32を構成しているため、2枚のウエハ同士が張り付くおそれがなく、また、複板ユニット32ごと収納容器14に収納することも可能であり、ウエハを2枚ずつ移載することができるため、効率が良く、移載時間の短縮、スループットの更なる向上が図れる。
【0033】
図5は支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する他の例を概略的に説明する説明図、図6は支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図である。この例では、複板ユニット32を構成する支持環31すなわち第1の支持環31a及び第2の支持環31bが上下逆に使用されている。すなわち、円環部31xの下面と突片31yの下面が同一面(面一)とされ、突片31yの上面が円環部31xに載置されたウエハwの上面よりも高く設定されている。この場合、円環部31xの上面に載置されたウエハwの周囲が突片31yにより取り囲まれるため、ウエハwの横滑りによる突出や脱落を防止することができる。本例においても前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0034】
図7は支持環を用いて1枚のウエハを支持する他の例(実施形態)を概略的に説明する説明図、図8は裏面を上面にしたウエハを直接、表面を上面したウエハを支持環を介してボートに保持する状態を示す概略的正面図である。この例では、ボート11には、裏面wbを上面にしたウエハwと、表面waを上面にしたウエハwの周縁部を支持環34で支持して構成される単板ユニット35とが、上下方向に所定の間隔で交互に保持されている。この場合、上記ボート11上のウエハwと単板ユニット35上のウエハwとが裏面同士を対向させて保持され、上記ウエハwの裏面同士の間隔Paが表面同士の間隔Pbよりも狭く設定されている。
【0035】
上記単板ユニット35は、図7に示すように、支持環34の上面に、表面(被処理面)waを上面にしたウエハを載置することにより構成されている。上記支持環34は、ウエハと同一又はウエハよりも少し大きい直径(外径)の円環部34xと、該円環部34xの外周に適宜間隔で突設された複数例えば4つの突片34yとを有している。円環部34xの厚さは薄く例えば2.5mmである。円環部34xの厚さと突片部34yの厚さは同一である。円環部34xの内径の寸法は特に限定されない。
【0036】
上記単板ユニット35を組み立てる場合には、図7(a),(b)に示すように支持環34の円環部34xの上面にウエハwを載置するだけで良い。上記組立作業は、熱処理装置内で行っても良く、或いは予め組み立てられた単板ユニット35が収納容器14内に収納されていても良い。この場合、収納容器14としては、ウエハwを収納した第1収納容器と、単板ユニット35を収納した第2収納容器とが用いられる。
【0037】
上記ボート11は、図10、図11ないし図12にも示すようにウエハwの周囲を取り囲むように配置された複数本例えば3本の支柱27を有し、該支柱27にはウエハwを保持する爪部36と、上記単板ユニット35の支持環34の突片34yを介して単板ユニット35を支持するユニット支持部37とを有している。図示例のボート11は、天板11aと底板11bの間に複数例えば3本の支柱27と、2本の補助柱28とを掛け渡して構成され、図12の右側からウエハw又は単板ユニット35が移載(搭載)されるようになっている。
【0038】
ウエハwの移載方向(図12左右方向)に直交する方向に一対の支柱27が配置され、移載方向の奥側中央に1本の支柱27が配置され、この支柱27を挟んで両側に補助柱28が配置されている。これら3本の支柱27には、ウエハwの周縁部を支持する爪部36が上下方向に所定間隔(ピッチ)Pcで配設されている。Pc=Pa+Pbである。
【0039】
ユニット支持部37として、移載方向に対して左右一対の支柱27には支持環34の後側の一対の突片34yを受ける(支持する)板状で平面円弧状の前部ユニット支持部37aが前面側(図12右方)に張り出して形成され、一対の補助支柱28には支持環34の前側の一対の突片34yを受ける(支持する)後部ユニット支持部37bが形成されている。なお、場合によっては、後側の支柱27と一対の補助柱28との間に板状で円弧状の支持板38を掛け渡して後部ユニット支持部としても良い。
【0040】
本実施形態では、図8(a)に示すように、先ず移載機構18により裏面を上面にしたウエハwをボート11の爪部36に順に搭載した後、図8(b)に示すように単板ユニット35をボート11のユニット支持部37に突片34yを介して搭載すれば良い。本実施形態によれば、ウエハ同士が張り付くおそれがなく、処理の均一性を確保しつつボート11の搭載枚数を従来よりも増やすことができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 熱処理装置
w 半導体ウエハ(被処理基板)
3 熱処理炉
6 蓋体
11 ボート(基板保持具)
31 支持環
31a 第1支持環
31b 第2支持環
31y 突片
33 爪部
34 支持環
34y 突片
35 単板ユニット
36 爪部
37 ユニット支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理方法及び熱処理装置に係り、特に処理の均一性を確保しつつ処理枚数を増やす技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、被処理基板例えば半導体ウエハ(以下、ウエハともいう。)に、酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの処理を施すために、各種の処理装置(半導体製造装置)が用いられている。そして、その一つとして、一度に多数枚の被処理基板の熱処理が可能な縦型の熱処理装置が知られている。
【0003】
この熱処理装置は、熱処理炉と、複数枚のウエハを上下方向に所定間隔で保持して上記熱処理炉に搬入搬出される基板保持具であるボートとを備えている(例えば、引用文献1参照。)。また、上記熱処理炉の下方に形成されたローディングエリア(作業領域)には、上記熱処理炉の炉口を閉塞する蓋体の上部に炉口保温手段(炉口断熱手段)である保温筒を介して上記ボートを載置した状態で蓋体を上昇下降させて炉内へのボートの搬入及びローディングエリアへのボートの搬出を行う昇降機構や、ローディングエリアに搬出されたボートと複数枚のウエハを収納可能な収納容器との間でウエハの移載を行う移載機構等が装備されている。
【0004】
上記ボートは、底板と天板の間に複数本の支柱を介設し、これら支柱にウエハの周縁部を支持する溝状ないし突状の基板支持部を上下方向に所定の間隔(ピッチ)で形成して構成されている。特に、上記ボートには、すべてのウエハが被処理面である表面を上面にした状態で搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−223254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記熱処理装置においては、ボートにおけるウエハの搭載枚数を決めるピッチ幅が、処理の面内及び面間の均一性の観点及び移載の観点より最小値が決まってしまっており、搭載枚数を増やすことが困難であった。なお、処理の面内及び面間の均一性を更に向上させるべく上記ピッチ幅を大きくすると、搭載枚数が減少してしまう。
【0007】
なお、ボートにおけるウエハの搭載枚数を増大させる技術としては、例えば2枚のウエハを裏面同士で重ね合わせ、これをボートに搭載して熱処理するという提案がなされているが、2枚のウエハを裏面同士で重ね合わせると、熱処理後(例えば成膜後)、2枚のウエハが張り付いて引き剥がす(分離する)ことが困難となり、無理に引き剥がすとウエハの破損を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、被処理基板同士が張り付くおそれがなく、処理の均一性を確保しつつ基板保持具の搭載枚数を従来よりも増やすことができる熱処理方法及び熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち、請求項1の発明は、複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理方法において、上記基板保持具に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に被処理基板を保持する爪部と、上記単板ユニットの支持環の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニットを支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットを上記基板保持具上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士が対向するように支持環を介して基板保持具に保持することにより、上記被処理基板の裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くすることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理装置において、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持する爪部と、上記単板ユニットを上記爪部上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士対向するように支持環を介して支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットの支持環が、外周に適宜間隔で突設された突片を有し、上記ユニット支持部が、上記突片を支持するように形成され、上記被処理基板の裏面同士の間隔が表面同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする。
【0011】
上記基板保持具は、被処理基板の移載方向対して左右一対の支柱及び奥側中央の支柱とを有し、上記ユニット支持部として、上記左右一対の支柱には上記支持環の後側左右一対の突片を支持する板状で平面円弧状の前部ユニット支持部が前面側に張り出して形成されていると共に、上記奥側中央の支柱を挟んで両側に配置された一対の補助支柱には上記支持環の前側左右一対の突片を支持する後部ユニット支持部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1又は2の発明によれば、上記基板保持具に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に被処理基板を保持する爪部と、上記単板ユニットの支持環の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニットを支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットを上記基板保持具上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士が対向するように支持環を介して基板保持具に保持することにより、上記被処理基板の裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くしているため、簡単な構造で2枚の被処理基板を裏面同士が対向する状態に容易に保持することができ、被処理基板同士が張り付くおそれがなく、処理の均一性を確保しつつ基板保持具の搭載枚数を従来よりも増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態である熱処理装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する一例を概略的に説明する説明図である。
【図3】支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図である。
【図4】支持環を示す図で、(a)は全体の概略的斜視図、(b)は要部拡大斜視図である。
【図5】支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する他の例を概略的に説明する説明図である。
【図6】支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図である。
【図7】支持環を用いて1枚のウエハを支持する他の例を概略的に説明する説明図である。
【図8】裏面を上面にしたウエハを直接、表面を上面したウエハを支持環を介してボートに保持する状態を示す概略的正面図である。
【図9】支持環を示す図で、(a)は全体の概略的斜視図、(b)は要部拡大斜視図である。
【図10】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図11】図8の要部拡大図である。
【図12】ボートにおける支持環の保持状態を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて詳述する。図1は本発明の実施の形態である熱処理装置を概略的に示す縦断面図、図2は支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する一例を概略的に説明する説明図、図3は支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図、図4は支持環を示す図で、(a)は全体の概略的斜視図、(b)は要部拡大斜視図である。
【0015】
図1において、1は縦型の熱処理装置で、この熱処理装置1は外郭を形成する筐体2を有している。この筐体2内の上方には、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状の半導体ウエハwを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型の熱処理炉3が設けられている。この熱処理炉3は、下部が炉口4として開口された縦長の処理容器例えば石英製の反応管5と、この反応管5の炉口4を開閉する昇降可能な蓋体6と、上記反応管5の周囲を覆うように設けられ、反応管5内を所定の温度例えば300〜1200℃に加熱制御可能なヒータ(加熱装置)7とから主に構成されている。
【0016】
上記筐体2内には、熱処理炉3を構成する反応管5やヒータ7を設置するための例えばSUS製のベースプレート8が水平に設けられている。ベースプレート8には反応管5を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0017】
反応管5の下端部には外向きのフランジ部が形成され、このフランジ部をフランジ保持部材にてベースプレート8に保持することにより、反応管5がベースプレート8の開口部を下方から上方に挿通された状態に設置されている。反応管5は、洗浄等のためにベースプレート8から下方に取外せるようになっている。反応管5には反応管5内に処理ガスやパージ用の不活性ガスを導入する複数のガス導入管や反応管5内を減圧制御可能な真空ポンプや圧力制御弁等を有する排気管が接続されている(図示省略)。なお、反応管5の下端部には、ガス導入管や排気管を接続するガス導入ポートや排気ポートを有する円筒状のマニホールドが接続されていても良く、この場合、このマニホールドが炉口を形成することになる。
【0018】
上記筐体2内におけるベースプレート8より下方には、蓋体6上に炉口保温手段である保温筒10を介して載置されたボート(基板保持具)11を熱処理炉3(すなわち反応管5)内に搬入(ロード)したり、熱処理炉3から搬出(アンロード)したり、或いはボート11に対するウエハwの移載を行うためのローディングエリア(作業領域)12が設けられている。このローディングエリア12にはボート11の搬入、搬出を行うべく蓋体6を昇降させるための昇降機構(図示省略)が設けられている。
【0019】
上記蓋体6は炉口4の開口端に当接して炉口4を密閉するように構成されている。蓋体6の下部には、ボート11を回転するための回転機構13が取付けられている。この回転機構13の回転軸は蓋体6を気密に貫通し、蓋体上に配置された図示しない回転テーブル又は図10に示すようにボート11の底部中央に設けられた支持脚30を回転するようになっている。
【0020】
筐体2の前部には、複数枚例えば25枚程度のウエハを所定の間隔で収納可能な収納容器14を載置して筐体2内への搬入搬出を行うための載置台(ロードポート)15が設置されている。収納容器14は前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた密閉型収納容器(フープともいう。)とされている。ローディングエリア12内の前後には収納容器14の蓋を取外して収納容器14内をローディングエリア12内に連通開放するドア機構16が設けられ、ローディングエリア12には収納容器14とボート11の間でウエハwの移載を行う水平な複数枚例えば5枚のフォーク(移載板)17を上下方向に所定間隔で有する移載機構18が設けられている。
【0021】
ローディングエリア12外の前部上側には、収納容器14をストックしておくための保管棚部20と、搬入出用の載置台15から保管棚部20へ又はその逆に収納容器14を搬送するための図示しない搬送機構とが設けられている。なお、ローディングエリア12の上方には蓋体6を開けた時に炉口4から高温の炉内の熱が下方のローディングエリア12に放出されるのを抑制ないし防止するために炉口4を覆う(又は塞ぐ)シャッター機構21が設けられている。また、上記載置台15の下方には移載機構18により移載されたウエハwの外周に設けられた切欠部(例えばノッチ)を一方向に揃えるための整列装置(アライナ)22が設けられている。
【0022】
上記フォーク17のうち、中央のフォークは単独で前方に進退移動可能とされ、中央以外のフォーク(一枚目、二枚目、四枚目及び五枚目)はピッチ変換機構により中央のフォークを基準として上下方向に無段階でピッチ変換可能とされている。これは、収納容器14内のウエハの収納ピッチと、ボート11内のウエハの搭載ピッチとが異なる場合があるので、その場合でも収納容器14とボート11との間でウエハを複数枚ずつ移載可能とするためである。
【0023】
移載機構18は、昇降及び旋回可能な基台23を有している。具体的には、移載機構18は、ボールネジ等により上下方向に移動可能(昇降可能)な昇降アーム24を備え、この昇降アーム24に箱型の基台23が水平旋回可能に設けられている。この基台23上にはその長手方向に沿って中央の1枚のフォークを移動可能とする第1の移動体25と、中央のフォークを挟んで上下に2枚ずつ配された計4枚のフォークを移動可能とする第2の移動体26とがそれぞれ設けられている。
【0024】
なお、上記移載機構18のフォーク17の基部には先端部の位置決め溝との間でウエハwをフォーク長手方向前後から把持可能なチャッキング機構が設けられていてもよい。また、上記移載機構18のフォーク17は、ウエハwを下方から支持又は把持(下掴み)して移載する通常移載と、ウエハを上方から支持又は把持(上掴み)して移載する特殊移載とを選択的に行えるように構成されていてもよい。更に、フォーク18の先端部にはボート11内や収納容器14内のウエハの位置を検出してマッピングを行うためのマッピングセンサが設けられていてもよい。
【0025】
上記ボート11は、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウエハwを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。上記ボート11は、例えば図10に示すように、天板11aと底板11bの間に複数本例えば3本の支柱27を介設してなる。上記支柱27と共に補助柱28が適宜設けられていてもよい。このボート11は、底部中央に一本の支持脚30を有し、この支持脚30が蓋体6に設けられた回転機構13の回転軸に連結されている。このボートの場合、蓋体6と底板11bとの間には保温筒の代わりに図示しない遮熱部材が設けられる。ボートとしては、支持脚を有しないで、蓋体上部の回転テーブル上に保温筒を介して搭載されるタイプのものであってもよい(図1参照)。
【0026】
上記ボート11には、図2ないし図3に示すように、2枚のウエハwを裏面同士が対向するように周縁部で支持環(サポートリング)31を介して支持して構成される複板ユニット32が該複板ユニット32上のウエハwの間隔Paよりも広い間隔Pbで上下方向に複数保持される。上記支持環31は、例えば石英製である。上記支持環31は、裏面wbを上面(すなわち表面waを下面)にしたウエハwを水平に支持する第1支持環31aと、該第1支持環31aの上部に載置され、表面waを上面にしたウエハwを水平に支持する第2支持環31bとからなっている。
【0027】
上記第1支持環31a及び第2支持環31bは、図4にも示すように、ウエハと同一又はウエハよりも少し大きい直径(外径)の円環部31xと、該円環部31xの外周に適宜間隔で突設された複数例えば4つの突片31yとを有している。複板ユニット32の下段に載置されるウエハwの下向きの表面(被処理面)waの処理面積を大きく確保するために、少なくとも第1支持環31aの円環部31xの内径はウエハwの直径に近くなるようできるだけ大きく形成されていることが好ましい。
【0028】
円環部31xの上面と突片31yの上面とは同一平面(面一)とされていることが好ましいが、円環部31xの上面から突片31yの上面が突出していても良く、その突片31yによりウエハwの横滑りによる飛び出しや脱落を防止することができる。第1支持環31aの突片31y上に第2支持環31bの突片31yが載置され、少なくとも第2支持環31bの突片31yの厚さtは、第1支持環31a上のウエハwに対して第2支持環31b上のウエハwを所定の間隔Paで保持し得る厚さとされている。
【0029】
上記複板ユニット32を組み立てる場合には、図2の(a),(b)に示すように第1支持環31aの円環部31xの上面にウエハwを載置し、次に図2の(c),(d)に示すように上記第1支持環31a上に第2支持環31bを載置し、該第2支持環31bの円環部31xの上面にウエハwを載置すればよい。上記組立作業は、熱処理装置1内で行っても良く、或いは予め組み立てられた複板ユニット32が収納容器14内に収納されていても良い。
【0030】
上記ボート11の支柱27には、上記複板ユニット32を該複板ユニット32上のウエハwの間隔Paよりも広い間隔Pbで保持するための爪部33が設けられている。すなわち、上記爪部33の上面に、複板ユニット32の第1支持環31aの突片31yが載置(係止)されて複板ユニット32が支持される。複板ユニット32上におけるウエハwの間隔(ピッチ)Paは例えば2mmであり、ボート11上における複板ユニット32の間隔(ピッチ)Pbは例えば11mmである。これにより、ボート11の搭載枚数を従来に比して収納容器1ロット分の枚数(25枚)だけ増加することが可能となる。
【0031】
なお、図示例では、第1支持環31aの突片31yも第2支持環31bの突片31yの厚さtと同じ厚さとされているが、第1支持環31aの突片31yの厚さは円環部31xの厚さと同じ厚さとされていてもよい。上記突片31yの断面は支柱27の断面に比して十分に小さいため、支柱27のようにウエハwに対して影響を与えることはない(支柱27の場合、ウエハwの被処理面waの周縁付近が支柱27の陰になるため、処理の面内均一性に影響を与える傾向がある)。また、支持環31が突片31yを介して支柱27の爪部33に支持されるため、ウエハwの周縁部から支柱27が離間し、しかも円環部31xの上面にウエハwの周縁部が載置されているため、いわゆるリングボートと同様に特にウエハwの周縁部を含む面内均一な処理が可能となる。
【0032】
以上の構成からなる熱処理方法ないし熱処理装置1によれば、2枚のウエハwを裏面同士が対向するように周縁部で支持環31を介して支持した複板ユニット32を構成し、該複板ユニット32をボート11に複板ユニット32上のウエハwの間隔Paよりも広い間隔Pbで上下方向に複数保持し、これにより上下に隣り合うウエハwが裏面同士と表面同士とが上下方向に交互になり、ウエハの裏面同士の間隔Paが表面同士の間隔Pbよりも狭くなり、表面同士の間隔paが処理の均一性を確保し得る間隔に、裏面同士の間隔pbが表面同士の間隔よりも狭い間隔になるため、処理の均一性を確保しつつボート11の搭載枚数を従来よりも増やすことができ、スループットの向上が図れる。しかも、2枚のウエハwを裏面同士が対向するように周縁部で支持環31を介して支持した複板ユニット32を構成しているため、2枚のウエハ同士が張り付くおそれがなく、また、複板ユニット32ごと収納容器14に収納することも可能であり、ウエハを2枚ずつ移載することができるため、効率が良く、移載時間の短縮、スループットの更なる向上が図れる。
【0033】
図5は支持環を用いて2枚のウエハを裏面同士が対向する状態で支持する他の例を概略的に説明する説明図、図6は支持環を用いてボートにウエハを2枚ずつ上下方向に所定の間隔で保持した状態を示す概略的正面図である。この例では、複板ユニット32を構成する支持環31すなわち第1の支持環31a及び第2の支持環31bが上下逆に使用されている。すなわち、円環部31xの下面と突片31yの下面が同一面(面一)とされ、突片31yの上面が円環部31xに載置されたウエハwの上面よりも高く設定されている。この場合、円環部31xの上面に載置されたウエハwの周囲が突片31yにより取り囲まれるため、ウエハwの横滑りによる突出や脱落を防止することができる。本例においても前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0034】
図7は支持環を用いて1枚のウエハを支持する他の例(実施形態)を概略的に説明する説明図、図8は裏面を上面にしたウエハを直接、表面を上面したウエハを支持環を介してボートに保持する状態を示す概略的正面図である。この例では、ボート11には、裏面wbを上面にしたウエハwと、表面waを上面にしたウエハwの周縁部を支持環34で支持して構成される単板ユニット35とが、上下方向に所定の間隔で交互に保持されている。この場合、上記ボート11上のウエハwと単板ユニット35上のウエハwとが裏面同士を対向させて保持され、上記ウエハwの裏面同士の間隔Paが表面同士の間隔Pbよりも狭く設定されている。
【0035】
上記単板ユニット35は、図7に示すように、支持環34の上面に、表面(被処理面)waを上面にしたウエハを載置することにより構成されている。上記支持環34は、ウエハと同一又はウエハよりも少し大きい直径(外径)の円環部34xと、該円環部34xの外周に適宜間隔で突設された複数例えば4つの突片34yとを有している。円環部34xの厚さは薄く例えば2.5mmである。円環部34xの厚さと突片部34yの厚さは同一である。円環部34xの内径の寸法は特に限定されない。
【0036】
上記単板ユニット35を組み立てる場合には、図7(a),(b)に示すように支持環34の円環部34xの上面にウエハwを載置するだけで良い。上記組立作業は、熱処理装置内で行っても良く、或いは予め組み立てられた単板ユニット35が収納容器14内に収納されていても良い。この場合、収納容器14としては、ウエハwを収納した第1収納容器と、単板ユニット35を収納した第2収納容器とが用いられる。
【0037】
上記ボート11は、図10、図11ないし図12にも示すようにウエハwの周囲を取り囲むように配置された複数本例えば3本の支柱27を有し、該支柱27にはウエハwを保持する爪部36と、上記単板ユニット35の支持環34の突片34yを介して単板ユニット35を支持するユニット支持部37とを有している。図示例のボート11は、天板11aと底板11bの間に複数例えば3本の支柱27と、2本の補助柱28とを掛け渡して構成され、図12の右側からウエハw又は単板ユニット35が移載(搭載)されるようになっている。
【0038】
ウエハwの移載方向(図12左右方向)に直交する方向に一対の支柱27が配置され、移載方向の奥側中央に1本の支柱27が配置され、この支柱27を挟んで両側に補助柱28が配置されている。これら3本の支柱27には、ウエハwの周縁部を支持する爪部36が上下方向に所定間隔(ピッチ)Pcで配設されている。Pc=Pa+Pbである。
【0039】
ユニット支持部37として、移載方向に対して左右一対の支柱27には支持環34の後側の一対の突片34yを受ける(支持する)板状で平面円弧状の前部ユニット支持部37aが前面側(図12右方)に張り出して形成され、一対の補助支柱28には支持環34の前側の一対の突片34yを受ける(支持する)後部ユニット支持部37bが形成されている。なお、場合によっては、後側の支柱27と一対の補助柱28との間に板状で円弧状の支持板38を掛け渡して後部ユニット支持部としても良い。
【0040】
本実施形態では、図8(a)に示すように、先ず移載機構18により裏面を上面にしたウエハwをボート11の爪部36に順に搭載した後、図8(b)に示すように単板ユニット35をボート11のユニット支持部37に突片34yを介して搭載すれば良い。本実施形態によれば、ウエハ同士が張り付くおそれがなく、処理の均一性を確保しつつボート11の搭載枚数を従来よりも増やすことができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 熱処理装置
w 半導体ウエハ(被処理基板)
3 熱処理炉
6 蓋体
11 ボート(基板保持具)
31 支持環
31a 第1支持環
31b 第2支持環
31y 突片
33 爪部
34 支持環
34y 突片
35 単板ユニット
36 爪部
37 ユニット支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理方法において、上記基板保持具に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に被処理基板を保持する爪部と、上記単板ユニットの支持環の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニットを支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットを上記基板保持具上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士が対向するように支持環を介して基板保持具に保持することにより、上記被処理基板の裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くすることを特徴とする熱処理方法。
【請求項2】
複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理装置において、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持する爪部と、上記単板ユニットを上記爪部上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士対向するように支持環を介して支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットの支持環が、外周に適宜間隔で突設された突片を有し、上記ユニット支持部が、上記突片を支持するように形成され、上記被処理基板の裏面同士の間隔が表面同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項3】
上記基板保持具が、被処理基板の移載方向対して左右一対の支柱及び奥側中央の支柱とを有し、上記ユニット支持部として、上記左右一対の支柱には上記支持環の後側左右一対の突片を支持する板状で平面円弧状の前部ユニット支持部が前面側に張り出して形成されていると共に、上記奥側中央の支柱を挟んで両側に配置された一対の補助支柱には上記支持環の前側左右一対の突片を支持する後部ユニット支持部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の熱処理装置。
【請求項1】
複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理方法において、上記基板保持具に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持し、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に被処理基板を保持する爪部と、上記単板ユニットの支持環の外周に適宜間隔で突設された突片を介して単板ユニットを支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットを上記基板保持具上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士が対向するように支持環を介して基板保持具に保持することにより、上記被処理基板の裏面同士の間隔を表面同士の間隔よりも狭くすることを特徴とする熱処理方法。
【請求項2】
複数枚の被処理基板を基板保持具に上下方向に所定の間隔で搭載し、該基板保持具を熱処理炉内に搬入して被処理基板に所定の熱処理を施す熱処理装置において、表面を上面にした被処理基板の周縁部を支持環で支持した単板ユニットを構成し、上記基板保持具は、被処理基板の周囲を取り囲むように配置された複数本の支柱と、該支柱に裏面を上面にした被処理基板を上下方向に所定の間隔で保持する爪部と、上記単板ユニットを上記爪部上の被処理基板に対して単板ユニット上の被処理基板が裏面同士対向するように支持環を介して支持するユニット支持部とを有し、上記単板ユニットの支持環が、外周に適宜間隔で突設された突片を有し、上記ユニット支持部が、上記突片を支持するように形成され、上記被処理基板の裏面同士の間隔が表面同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項3】
上記基板保持具が、被処理基板の移載方向対して左右一対の支柱及び奥側中央の支柱とを有し、上記ユニット支持部として、上記左右一対の支柱には上記支持環の後側左右一対の突片を支持する板状で平面円弧状の前部ユニット支持部が前面側に張り出して形成されていると共に、上記奥側中央の支柱を挟んで両側に配置された一対の補助支柱には上記支持環の前側左右一対の突片を支持する後部ユニット支持部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の熱処理装置。
【図4】
【図9】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図9】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2012−104831(P2012−104831A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245549(P2011−245549)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【分割の表示】特願2007−249040(P2007−249040)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【分割の表示】特願2007−249040(P2007−249040)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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