説明

熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

【解決手段】(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(B)成分の内部離型剤が、式(1)


(R1,R2,R3はH,−OH,−OR,−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数。)
で示され、融点が50〜90℃の範囲である成分を含有してなる熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【効果】本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、成形性、特に離型性に優れると共に、長期間にわたり耐熱性、耐光性を保持し、均一でかつ黄変の少ない硬化物を与えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形性、特に離型性に優れると共に、良好な耐熱性、耐光性を有し、熱による変色、特に黄変を抑えて、信頼性に優れた硬化物を与える熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び該組成物の硬化物で受光素子その他の半導体素子(但し、LED素子等の発光素子を除くが、発光素子と受光素子とが一体化されたフォトカプラーは包含する)を封止した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体・電子機器装置の封止材への信頼性要求は、薄型化、小型化と共に、高出力化によって、益々厳しくなっている。一例として、LEDやLD(lazer diode)等の半導体素子は、小型で効率よく鮮やかな色の発光をし、また半導体素子であるため球切れがなく、駆動特性が優れ、振動やON/OFF点灯の繰り返しに強い。そのため、各種インジケータや種々の光源として利用されている。
このような半導体素子を用いたフォトカプラー等の半導体・電子機器装置の材料のひとつとして、ポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。
【0003】
しかしながら、今日の光半導体技術の飛躍的な進歩により、光半導体装置の高出力化及び短波長化が著しく、高エネルギー光を発光又は受光可能なフォトカプラー等の光半導体装置では、特に無着色・白色の材料として従来のPPA樹脂を用いた半導体素子封止及びケースでは、長期間使用による劣化が著しく、色ムラの発生や剥離、機械的強度の低下等が起こりやすく、このため、このような問題を効果的に解決することが望まれた。
【0004】
更に詳述すると、特許第2656336号公報(特許文献1)には、封止樹脂が、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化体で構成されていることを特徴とする光半導体装置が記載されている。この場合、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が主として用いられ、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることも記載されているが、トリグリシジルイソシアネートは、実施例においてビスフェノール型エポキシ樹脂に少量添加使用されているもので、本発明者らの検討によれば、このBステージ状半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に高温・長時間の放置で黄変するという問題がある。
また、発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用については、特開2000−196151号公報(特許文献2)、特開2003−224305号公報(特許文献3)、特開2005−306952号公報(特許文献4)に記載があるが、これらは、いずれもトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とを用いてBステージ化したものではない。
【0005】
なお、本発明に関連する公知文献としては、上記の公報に加えて、下記特許文献5〜7及び非特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特許第2656336号公報
【特許文献2】特開2000−196151号公報
【特許文献3】特開2003−224305号公報
【特許文献4】特開2005−306952号公報
【特許文献5】特許第3512732号公報
【特許文献6】特開2001−234032号公報
【特許文献7】特開2002−302533号公報
【非特許文献1】エレクトロニクス実装技術2004.4の特集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、長期間にわたり白色性、耐熱性、耐光性を保持し、均一でかつ黄変の少ない硬化物を与え、かつ、成形性、特に離型性に優れた熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び該組成物の硬化物で半導体素子(但し、LED素子等の発光素子を除くが、発光素子と受光素子とが一体化されたフォトカプラーは包含する)が封止された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(B)成分の内部離型剤が、下記一般式(1)
【化1】


(式中、R1,R2,R3はH,−OH,−OR,−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示され、融点が50〜90℃の範囲である成分を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物が、良好な離型性を有し、連続成形性に優れると共に、耐熱性、耐光性が良好な硬化物となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記に示す熱硬化性エポキシ樹脂組成物並びに半導体装置を提供する。
[I](A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(B)成分の内部離型剤が、下記一般式(1)
【化2】


(式中、R1,R2,R3はH,−OH,−OR,−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示され、融点が50〜90℃の範囲である成分を含有してなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[II]更に、(F)酸化防止剤を含有する[I]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[III](A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂が、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂である[I]又は[II]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[IV]上記(A)成分の固形物が、下記一般式(2)
【化3】


(式中、R4は酸無水物残基、mは0〜200の数である。)
で示される化合物を含有するものである[III]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[V]内部離型剤が、融点50〜70℃であるグリセリンモノステアレートを含むものであり、全組成物に対して0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする[I]〜[IV]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[VI]内部離型剤が、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含むものであり、全組成物に対して0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする[I]〜[IV]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[VII]発光素子を除く半導体素子ケース形成用である[I]〜[VI]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[VIII][I]〜[VI]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物で半導体素子(但し、発光素子を除くが、発光素子と受光素子とが一体化した素子は包含する)を封止した半導体装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、成形性、特に離型性に優れると共に、長期間にわたり耐熱性、耐光性を保持し、均一でかつ黄変の少ない硬化物を与えるものである。そのため、本発明の組成物の硬化物にて封止されたフォトカプラー等の受光素子を有する半導体・電子機器装置は、産業上特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A)反応物
本発明に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とを、エポキシ基当量/酸無水物基当量を0.6〜2.0の割合で反応させて得られた反応物を樹脂成分として使用する。
【0011】
(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂
本発明で用いられる(A−1)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂は、これを酸無水物と特定の割合で反応させて得られる反応物を樹脂成分として含有することにより、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の黄変を抑制し、かつ経時劣化の少ない半導体発光装置を実現する。かかるトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂であることが好ましい。特にイソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れており、1つのイソシアヌレート環に対して、2価の、より好ましくは3価のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等を用いることができる。
【0012】
本発明で用いるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の軟化点は90〜125℃であることが好ましい。なお、本発明において、このトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、トリアジン環を水素化したものは包含しない。
【0013】
(A−2)酸無水物
本発明で用いられる(A−2)成分の酸無水物は、硬化剤として作用するものであり、耐光性を与えるために非芳香族であり、かつ炭素炭素二重結合を有さないものが好ましく、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などが挙げられ、これらの中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物系硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0014】
酸無水物系硬化剤の配合量としては、上記した酸無水物基1当量に対しトリアジン誘導体エポキシ樹脂のエポキシ基が0.6〜2.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量、更に好ましくは1.2〜1.6当量となる量である。エポキシ基当量/酸無水物基当量が0.6当量未満では硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。また、2.0当量を超える量では未反応硬化剤が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。
【0015】
本発明においては、上記した(A−1),(A−2)成分、又は(A−1),(A−2)成分と後述する酸化防止剤を、予め70〜120℃、好ましくは80〜110℃にて4〜20時間、好ましくは6〜15時間、又は(A−1),(A−2)と後述する硬化触媒、又は(A−1),(A−2)とそれぞれ後述する酸化防止剤,硬化触媒を、予め30〜80℃、好ましくは40〜60℃にて10〜72時間、好ましくは36〜60時間反応させ、軟化点が50〜100℃、好ましくは60〜90℃である固形物とし、これを粉砕して配合することが好ましい。反応させて得られる物質の軟化点が、50℃未満では固形物とはならず、100℃を超える温度では流動性が低下するおそれがある。この場合、反応時間が短すぎると、高分子成分が少なくて固形物とならず、長すぎると、流動性が低下する場合が生じる。なお、本発明において、軟化点は、JIS環球法値による測定法に基づく測定値である。
【0016】
ここで得られた反応物(反応固形物)は、(A−1)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂と(A−2)成分の酸無水物との反応物のうち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析において(但し、分析条件として試料濃度0.2%、注入量50μlを移動相THF100%,流量1.0ml/min.、温度40℃の条件下、検出器RIで測定)、分子量が1,500を超える高分子量成分と、分子量300〜1,500までの中分子量成分と、モノマー成分とを含有し、高分子量成分が20〜70質量%、中分子量成分が10〜60質量%、モノマー成分が10〜40質量%であることが好ましい。
【0017】
上記反応物は、(A−1)成分としてトリグリシジルイソシアネートを用いた場合、下記式(2)で示される反応生成物を含有し、特に(A−2)成分の酸無水物がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸である場合、下記式(3)で示される反応生成物を含有する。
【0018】
【化4】

【0019】
上記式中、R4は酸無水物残基、mが0〜200、好ましくは0〜100の範囲の任意のものを含み、平均分子量が500〜10万の成分であるが、本発明に係る反応物にあっては、上述したように、分子量が300〜1,500の中分子量成分を10〜60質量%、特に10〜40質量%、モノマー成分(未反応エポキシ樹脂及び酸無水物)を10〜40質量%、特に15〜30質量%含有することが好ましい。
【0020】
(B)内部離型剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、内部離型剤を配合する。(B)成分の内部離型剤は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、下記一般式(1)
【化5】


(式中、R1,R2,R3はH,−OH,−OR,−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示され、かつ融点が50〜70℃の範囲である成分を含む。この場合、(B)成分は、全組成物に対して0.2〜5.0質量%含有するように添加するものである。内部離型剤としては、カルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスがあるが、一般的に高温条件下や光照射下では、容易に黄変したり、経時劣化し、離型性を有しなくなるものが多い。
その中で、本発明に係る上記式(1)の内部離型剤は、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、かつ長時間に亘り、良好な離型性を継続して保持する。
【0021】
この場合、一般式(1)中のR1,R2,R3のうち、少なくともひとつは−OCOCabであることが必須である。すべてが−OHでは、十分な離型性、耐熱性が得られないが、構造内に−OCOCabを含むことにより、良好な相溶性と耐熱性、離型性を有することができる。
−OCOCabに含まれるa及びbは、a=10〜30、好ましくはa=11〜20ののものが好適である。a=10未満では、十分な耐熱黄変性が得られない場合があり、a=30を超えると十分に相溶せず、良好な離型効果が得られない場合がある。
また、bはCabが飽和あるいは不飽和の脂肪族炭化水素基であり、不飽和の場合、不飽和基を1又は2個有するものが好ましく、従ってb=2a+1、2a−1又は2a−3であるもの、特にb=2a+1、2a−1であるものが好ましい。この点からb=17〜61、好ましくは19〜41の整数であることがよく、より好ましくはb=21〜61、特に23〜41の整数である。
【0022】
具体的には、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリントリ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノベヘネート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノベヘネート等が挙げられる。
但し、融点、高温での揮発分も耐熱性特性には重要な特性であり、融点は50〜90℃、好ましくは65〜85℃が好ましい。更には、250℃での揮発分が10質量%以下のものが好ましい。融点が、50℃未満では十分な耐熱黄変性が得られない場合があり、90℃を超えると相溶性が不十分になり、良好な離型効果が得られない場合がある。特に分散性、相溶性の面から融点50〜70℃のグリセリンモノステアレートが好ましい。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルも好ましい。
【0023】
なお、上記式(1)の離型剤は、全内部離型剤(B)中20〜100質量%、特に50〜100質量%含有することが好ましい。この場合、残りの離型剤は、上述した天然ワックス、酸ワックス、他の合成ワックス等である。
【0024】
該内部離型剤(B)の添加量は、組成物全体の0.2〜5.0質量%、特には0.5〜3.0質量%が好ましい。添加量が0.2質量%未満では、十分な離型性を得られない場合があり、5.0質量%を超えると、沁み出し不良や接着性不良等が起こる場合がある。
【0025】
(C)反射部材
本発明のエポキシ樹脂組成物には、反射部材を配合する。(C)成分の反射部材は、白色着色剤として、白色度を高めるために配合するものであり、反射部材としては二酸化チタンを用いることが好ましく、この二酸化チタンの単位格子はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わない。また、平均粒径や形状も限定されないが、平均粒径は通常0.05〜5.0μmである。上記二酸化チタンは、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、AlやSiなどの含水酸化物等で予め表面処理することができる。また、反射部材(白色着色剤)として、二酸化チタン以外にチタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を単独で又は二酸化チタンと併用して使用することもできる。
【0026】
反射部材の充填量は、組成物全体の2〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。2質量%未満では十分な白色度が得られない場合があり、80質量%を超えると未充填やボイド等の成形性が低下する場合がある。
【0027】
(D)無機充填剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に無機充填剤を配合する。配合される(D)成分の無機充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、三酸化アンチモン等が挙げられるが、上記した反射部材(白色着色剤)は除かれる。
【0028】
これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常5〜40μmである。
なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
【0029】
上記無機充填剤は、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
【0030】
無機充填剤の充填量は、(A−1)エポキシ樹脂と(A−2)酸無水物の総量100質量部に対し、20〜700質量部、特に50〜400質量部が好ましい。20質量部未満では、十分な強度を得ることができないおそれがあり、700質量部を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、この無機充填剤は、組成物全体の10〜90質量%、特に20〜80質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0031】
(E)硬化触媒
この(E)成分の硬化触媒としては、エポキシ樹脂組成物の硬化触媒として公知のものが使用でき、特に限定されないが、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩、有機カルボン酸金属塩、金属−有機キレート化合物、芳香族スルホニウム塩、有機ホスフィン化合物類、ホスホニウム化合物類等のリン系硬化触媒、これらの塩類等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、イミダゾール類、リン系硬化触媒、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール又はメチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト、第四級ホスホニウムブロマイドが更に好ましい。
【0032】
硬化触媒の使用量は、組成物全体の0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるおそれがある。
【0033】
(F)酸化防止剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要により、酸化防止剤を配合することができる。
(F)成分の酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤を使用でき、酸化防止剤の具体例としては、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
【0034】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、中でも2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが好ましい。
【0035】
リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、トリフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホネート等が挙げられ、中でも亜リン酸トリフェニルが好ましい。
【0036】
また、硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0037】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、リン系酸化防止剤単独又はフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との使用割合は、質量比でフェノール系酸化防止剤:リン系酸化防止剤=0:100〜70:30、特に0:100〜50:50とすることが好ましい。
【0038】
酸化防止剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物中、0.01〜10質量%、特に0.03〜5質量%とすることが好ましい。配合量が少なすぎると十分な耐熱性が得られず、変色する場合があり、多すぎると硬化阻害を起こし、十分な硬化性、強度を得ることができない場合がある。
【0039】
その他のエポキシ樹脂
また、本発明の組成物には、必要に応じて、(A−1)成分以外のエポキシ樹脂を本発明の効果を損なわない範囲で一定量以下(特に、(A−1)成分100質量部に対し0〜40質量部、特に5〜20質量部の割合で)配合することができる。このエポキシ樹脂の例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂又は4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂のようなビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、その他のエポキシ樹脂の軟化点は70〜100℃であることが好ましい。
【0040】
その他の添加剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、シリコーン系等の低応力剤、ハロゲントラップ剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
【0041】
エポキシ樹脂組成物の調製方法
本発明のエポキシ樹脂組成物を成形材料として調製する場合の方法としては、反応物として、予め(A−1),(A−2)成分、又は(A−1),(A−2),(F)成分を混合して、70〜120℃、好ましくは80〜110℃の温度範囲にて、又は、予め(A−1),(A−2),(E)成分、又は(A−1),(A−2),(E),(F)成分の各成分を混合して30〜80℃、好ましくは40〜60℃の温度範囲にて、無溶媒の加温可能な反応釜等の装置により均一に溶融混合し、混合物が常温で取扱うのに十分な軟化点、具体的には50〜100℃、より好ましくは60〜90℃になるまで増粘させたものを冷却して、固形化したものを使用する。
【0042】
この場合、これら成分を混合する温度域としては、(A−1),(A−2)成分、又は(A−1),(A−2),(F)成分を混合する場合は70〜120℃が適切であるが、より好ましくは80〜110℃の範囲である。混合温度が70℃未満では、室温で固形となるような混合物を得るためには温度が低すぎ、120℃を超える温度では、反応速度が速くなりすぎるため、期待した反応度で反応を停止することが難しくなってしまう。なお、(A−1),(A−2),(E)成分、又は(A−1),(A−2),(E),(F)成分を混合する場合の温度は上記の通りであるが、混合温度が低すぎる場合、逆に高すぎる場合の不利は上記と同様である。
【0043】
次に、この固形物(反応物)を粉砕した後、(B),(C),(D)成分、及び(E),(F)成分を上記固形物(反応物)の調製に用いない場合は(E)成分や必要により(F)成分の各成分、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕してエポキシ樹脂組成物の成形材料とすることができる。
【0044】
このようにして得られる本発明のエポキシ樹脂組成物は、LED素子等の発光素子を除く(但し、発光素子と受光素子とが一体化されたフォトカプラーは包含する)半導体・電子機器装置、特にはフォトカプラー用の封止材として有効に利用できる。なおここで、本発明の組成物を用いた半導体素子の一例であるフォトカプラーの断面図を図1に示す。図1で示されるフォトカプラーは、化合物半導体からなる半導体素子1がリードフレーム2にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ3により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンドされている。また、この半導体素子1と対向するように受光用の半導体素子4がリードフレーム5上にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ6により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンディングされている。これらの半導体素子の間は透明封止樹脂7により充填されている。更に、この封止樹脂7により被覆された半導体素子は本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物8により樹脂封止されている。
【0045】
この場合、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の封止の最も一般的な方法としては低圧トランスファー成形法が挙げられる。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の成形温度は150〜185℃で30〜180秒行うことが望ましい。後硬化は150〜185℃で2〜20時間行ってもよい。
【実施例】
【0046】
以下、実験例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0047】
下記例で使用した原料を以下に示す。
(A−1)エポキシ樹脂
トリアジン誘導体エポキシ樹脂;トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネート(TEPIC−S:日産化学工業(株)製商品名、エポキシ当量100)
(A−2)酸無水物
非炭素炭素二重結合酸無水物;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名)
【0048】
(B)内部離型剤
(B−1)グリセリンモノステアレート(H−100;理研ビタミン(株)製商品名)
(B−2)プロピレングリコールモノベヘネート(PB−100;理研ビタミン(株)製商品名)
(B−3)グリセリントリ12−ヒドロキシステアレート(TG−12;理研ビタミン(株)製商品名)
(B−4)ポリエチレンワックス(PE−190;クラリアントジャパン(株)製商品名)
(B−5)酸化ポリエチレンワックス(H−22;クラリアントジャパン(株)製商品名)
(B−6)酸ワックス;ステアリン酸(和光純薬(株)製商品名)
(B−7)モンタン酸ワックス(LICOWAX S;クラリアントジャパン(株)製商品名)
(B−8)エステルワックス(LICOWAX E;クラリアントジャパン(株)製商品名)
(B−9)カルナバワックス(カルナバワックスNS−1P;日興ファイン製商品名)
(B−10)メタロセンワックス(P−65;クラリアントジャパン(株)製商品名)
【0049】
(C)反射部材
二酸化チタン;ルチル型(R−45M:堺化学工業(株)製商品名)
(D)無機充填剤;破砕溶融シリカ((株)龍森製商品名)
【0050】
(E)硬化触媒
(E−1)リン系硬化触媒;メチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト(PX−4MP:日本化学(株)製商品名)
(E−2)イミダゾール系触媒;2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成(株)製商品名)
【0051】
(F)酸化防止剤
(F−1)リン系酸化防止剤;亜リン酸トリフェニル(和光純薬(株)製商品名)
(F−2)フェノール系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:和光純薬(株)製商品名)
【0052】
(G)その他のエポキシ樹脂
(G−1)ビスフェノールA型水素添加エポキシ樹脂(YL−7170:ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、エポキシ当量1200)
(G−2)ビフェニル型水素添加エポキシ樹脂(YL−7040:ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、エポキシ当量220)
(G−3)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(E1004:ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、エポキシ当量890)
【0053】
(H)その他の硬化剤
(H−1)含炭素炭素二重結合酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッドTH:新日本理化(株)製商品名)
(H−2)フェノールノボラック樹脂(TD−2131:大日本インキ化学工業(株)製商品名)
【0054】
[実験例1〜10]
表1に示す通り、各内部離型剤において、以下の特性を測定した。結果を表1に示す。
《耐熱黄変性》
各内部離型剤をアルミシャレ内に10gづつ入れ、180℃で24時間放置し、黄変性を比較した。
【0055】
【表1】

【0056】
[実施例1〜10、比較例1〜8]
まず、表1に示す実験例の結果より、耐熱黄変性の良好であった実験例1〜4、やや良好であった実験例5,6を選んだ。
エポキシ樹脂、酸無水物、酸化防止剤を予め反応釜により、100℃にて3時間溶融混合し、冷却して固化させた後(軟化点は60℃)、粉砕し、他成分と所定の組成比にて配合し、熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉砕してフォトカプラー用白色エポキシ樹脂組成物を得た。
【0057】
これらの組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表2,3に示す。
《スパイラルフロー値》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃、6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で測定した。
【0058】
《溶融粘度》
高化式フローテスターを用い、10kgfの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度175℃で粘度を測定した。
【0059】
《曲げ強度》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃、6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で測定した。
【0060】
《連続成形性》
1フレームに6キャビティーを持った100P−QFP(14x20x2.7mm)のパッケージデザインである金型をセットした連続成形機において、メラミン樹脂、離型回復剤で金型をクリーニング後、180℃、60秒で連続成形した際、ゲート、ランナー折れ等の離型不良、無充填発生のいずれかにより連続成形が途絶えるまでのショット数を比較した(300ショットを上限とした。)
【0061】
《耐熱性;黄変性》
175℃、6.9N/mm2、成形時間2分の条件で直径50×3mmの円盤を成形し、180℃で24時間放置し、黄変性を比較した。
【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いたフォトカプラーの一例を示すものである。
【符号の説明】
【0065】
1 半導体素子
2 リードフレーム
3 ボンディングワイヤ
4 半導体素子
5 リードフレーム
6 ボンディングワイヤ
7 透明封止樹脂
8 熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(B)成分の内部離型剤が、下記一般式(1)
【化1】


(式中、R1,R2,R3はH,−OH,−OR,−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示され、融点が50〜90℃の範囲である成分を含有してなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
更に、(F)酸化防止剤を含有する請求項1記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂が、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂である請求項1又は2記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
上記(A)成分の固形物が、下記一般式(2)
【化2】


(式中、R4は酸無水物残基、mは0〜200の数である。)
で示される化合物を含有するものである請求項3記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
内部離型剤が、融点50〜70℃であるグリセリンモノステアレートを含むものであり、全組成物に対して0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
内部離型剤が、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含むものであり、全組成物に対して0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
発光素子を除く半導体素子ケース形成用である請求項1乃至6のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物で半導体素子(但し、発光素子を除くが、発光素子と受光素子とが一体化した素子は包含する)を封止した半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−189833(P2008−189833A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26659(P2007−26659)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】