説明

現像装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

【課題】現像装置内の現像剤量を画像形成装置の印刷速度に関わらず維持する。
【解決手段】キャリアCとトナーTとを有する現像剤Gを収容するとともに、感光体ドラム21上に形成される潜像を現像する現像装置23であって、軸部上にスクリュ部が形成されるとともに、現像装置内に収容された現像剤Gを長手方向に搬送して循環経路を形成する第1〜第3搬送スクリュ23b1〜23b3と、装置内に新たにキャリアを供給する剤カートリッジ28と、第1搬送スクリュ23b1によって搬送される現像剤Gの剤面が所定高さを超えたときにその現像剤Gを外部に排出するために第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の隔壁である仕切板27に形成された現像剤排出口23dと、を備え、現像剤排出口23dは、現像装置内の現像剤Gの嵩に対応して口の高さを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される現像装置及びプロセスカートリッジとに関し、特に、現像装置内に新品のキャリアを適宜に供給するプレミックス現像方式の現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含むものとする)を収容した現像装置に、スクリュで撹拌されながら移動する貯溜現像剤の移動下流側にある現像ハウジング側壁の所定高さ位置に現像剤排出部を設け、適宜に新しいキャリアが補給されるたびに排出部から古いキャリアが排出され、現像剤の特性値を一定に保つ技術(プレミックス現像方式、またはトリクル現像方式という)が既に知られている。
【0003】
また、特許文献1には、古い現像剤を自動的に回収し、現像剤の現像特性を一定に維持させるとともに現像剤の交換作業が不必要な現像装置を提供することを目的とし、撹拌手段の上方にキャリア補給装置とトナー補給装置とを分離、または一体化して設け、撹拌手段の撹拌により移動する貯溜現像剤の移動下流側に存する現像ハウジング側壁の所定高さ位置に現像剤排出部を設けたことを特徴とする現像装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプレミックス現像方式の現像装置では、画像形成装置の印刷速度によって、現像機の回転数が変化することにより、装置内の貯溜現像剤の嵩が変化し、現像ハウジング側壁に設けた所定の現像剤排出部の高さでは、現像剤がうまく排出されなくなるという問題があった。このように、所望の現像剤量にならず現像剤が不足することにより、異常画像の発生、あるいは現像剤が増加し、現像ギャップに詰まって現像ロールがロックする等の問題があった。
【0005】
例えば、上記特許文献1に記載の技術においても、画像形成装置の印刷速度を変更した場合に、現像装置内の現像剤の嵩が変動し、所望の現像剤量を維持できなくなるという問題が生じることとなる。
【0006】
そこで本発明は、印刷速度に関わらず現像剤が排出部から安定して排出され、外部に排出する現像剤量にバラツキが生じることがなく、出力画像の画質を安定させることができる現像装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明に係る現像装置は、キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、軸部上にスクリュ部が形成されるとともに、現像装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材と、装置内に新たにキャリアを供給する供給手段と、複数の搬送部材のうち1つの搬送部材によって搬送される現像剤の剤面が所定高さを超えたときにその現像剤を外部に排出するために当該1つの搬送部材による搬送経路の隔壁に形成された排出部と、を備え、排出部は、現像装置内の現像剤の嵩に対応して口の高さを変更する現像剤排出口を備えたものである。
【0008】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、本発明に係る現像装置と、像担持体とが一体化されたものである。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る現像装置と、像担持体と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像装置内の現像剤量を画像形成装置の印刷速度に関わらず維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの基本構成を示す拡大図である。
【図3】現像装置における循環経路を長手方向にみた断面図である。
【図4】図3の現像装置における循環経路のY1−Y1断面を示す断面図である。
【図5】現像剤排出部の側面図である。
【図6】現像剤排出部の断面図である。
【図7】現像剤排出部における回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る構成を図1から図7に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
(画像形成装置)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。以下、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
【0014】
書込み部2A〜2Dは、画像情報に基づいて帯電工程後の感光体ドラム21(像担持体)に静電潜像を書き込むための装置であって、ポリゴンミラー3A〜3Dや光学素子4A〜4D等を用いた光走査装置である。なお、書込み部として、光走査装置の替わりにLEDアレイを用いることもできる。
【0015】
給紙部61は、記録紙、OHP等の被転写材Sを格納して、画像形成時には被転写材Sを転写ベルト30に向けて給送する。
【0016】
転写ベルト30は、被転写材Sをその表面に静電的に吸着させて搬送して感光体ドラム21上に形成されたトナー像を被転写材S上に転写するための無端状ベルトであって、その外周面上に吸着ローラ64とベルトクリーナ65とを設けている。
【0017】
転写ベルト30を介して感光体ドラム21に対向する転写ローラ24は、芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有する。転写ローラ24の導電性弾性層は、ポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)等の弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ等の導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を中抵抗に調整した弾性体である。
【0018】
定着部66は、加熱ローラ68および加圧ローラ67を有し、被転写材S上のトナー像を圧力と熱とによって被転写材Sに定着させる。
【0019】
転写ベルト30に沿って縦方向に配設された4つのプロセスカートリッジ20Y,20C,20M,20BKは、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像を形成するためのものである。
【0020】
各プロセスカートリッジ20Y,20C,20M,20BK上には、キャリア(磁性キャリア)Cと各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)Tとを現像装置23に供給する供給手段としての剤カートリッジ(トナーカートリッジ)28Y,28C,28M,28BKが設置されている。
【0021】
プロセスカートリッジ20Y,20C,20M,20BK、及び、剤カートリッジ28Y,28C,28M,28BKは、転写ベルト30を、回転支軸を中心に開放して装置本体1から着脱することができる。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置は、複写機及びプリンタとして機能する複合型の画像形成装置である。複写機として機能する場合には、スキャナから読み込まれた画像情報に対してA/D変換、MTF補正、階調処理等の種々の画像処理が施されて書込みデータに変換される。プリンタとして機能する場合には、コンピュータ等から送信されるページ記述言語やビットマップ等の形式の画像情報に対して画像処理が施されて書込みデータに変換される。
【0023】
画像形成時には、書込み部2A〜2Dからプロセスカートリッジ20BK,20M,20C,20Yに対して、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの画像情報に応じた露光光がそれぞれ照射される。すなわち、各光源から発せられた露光光(レーザ光)がポリゴンミラー3A〜3D、光学素子4A〜4D等を通過して、各感光体ドラム21上に照射される。これによって、各プロセスカートリッジ20BK,20M,20C,20Yの感光体ドラム21(像担持体)上に、露光光に応じたトナー像が形成される。そして、このトナー像が、被転写材Sに転写されることになる。
【0024】
給紙部61から給紙ローラ62により給送された被転写材Sは、レジストローラ63の位置で一旦タイミングを合わせて、転写ベルト30の位置に搬送される。転写ベルト30の送入位置に配設された吸着ローラ64は、電圧の印加によって送入された被転写材Sを転写ベルト30に吸着させる。転写ベルト30の矢印方向の走行にともない移動する被転写材Sは、各プロセスカートリッジ20Y,20C,20M,20BKの位置を順次通過して各色のトナー像が重ねて転写される。
【0025】
カラーのトナー像が転写された被転写材Sは、転写ベルト30から分離して定着部66に達する。被転写材S上のトナー像は、加熱ローラ68及び加圧ローラ67に挟まれつつ加熱されることで被転写材S上に定着される。一方、被転写材Sが分離した後の転写ベルト30表面は、その後にベルトクリーナ65の位置に達して、その表面に付着したトナー等の汚れがクリーニングされる。
【0026】
(現像装置・プロセスカートリッジ)
次に、画像形成装置におけるプロセスカートリッジ及び剤カートリッジの基本構成について詳述する。なお、各プロセスカートリッジ20Y,20C,20M,20BKはほぼ同一構造であって、各剤カートリッジ28Y,28C,28M,28BKもほぼ同一構造であるために、図2にてプロセスカートリッジ及び剤カートリッジは符号のアルファベット(Y,C,M,BK)を除して図示する。また、書込み部は符号のアルファベット(A〜D)を除して図示する。
【0027】
図2は、画像形成装置に設置されたプロセスカートリッジ20及びトナーカートリッジ28を示す拡大図である。図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、像担持体としての感光体ドラム21、帯電部22、現像装置23、クリーニング部25が一体化されたものであって、プレミックス現像方式(キャリアの補給・排出を適宜におこなう現像方式)が採用されている。
【0028】
像担持体としての感光体ドラム21は、負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0029】
帯電部22は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部22の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
【0030】
クリーニング部25は、感光体ドラム21に摺接するクリーニングブラシ(又は、クリーニングブレード)が設置されていて、感光体ドラム21上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0031】
現像装置23は、現像剤担持体としての2つの現像ローラ23a1、23a2(以下、現像ローラ23aとして総称することもある)が感光体ドラム21に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム21と磁気ブラシとが接触する現像領域が形成される。現像装置23内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置23は、感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する)。なお、現像装置23の構成・動作については、後述する。
【0032】
ここで、本実施形態に係る現像装置23は、プレミックス現像方式のものであって、現像装置23内に適宜に新品のキャリアC(現像剤G)が剤カートリッジ28から供給されるとともに、劣化した現像剤Gが現像装置23の外部に設置された剤貯留容器70に向けて排出される。
【0033】
剤カートリッジ28は、その内部に現像装置23内に供給するための現像剤G(トナーT及びキャリアC)を収容している。そして、剤カートリッジ28は、現像装置23に新品のトナーTを供給するトナーカートリッジとして機能するとともに、現像装置23に新品のキャリアCを供給する供給手段として機能する。具体的に、現像装置23に設置された磁気センサ26(図3を参照)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーTの割合)の情報に基づいて、シャッタ機構80の開閉動作をおこなって、供給手段としての剤カートリッジ28から現像装置23内に向けて現像剤Gを適宜に供給する。
【0034】
なお、本実施形態では、剤カートリッジ28の現像剤Gにおける、キャリアCに対するトナーTの混合率(トナー濃度)が比較的高く設定されている。
【0035】
供給手段としての供給管29は、剤カートリッジ28から供給される現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置23内に確実に導くためのものである。すなわち、剤カートリッジ28から排出された現像剤Gは、供給管29を介して、現像装置23内に供給される。
【0036】
次に、感光体ドラム21上でおこなわれる作像プロセスについて説明する。図2に示すように、感光体ドラム21が反時計方向に回転駆動されると、まず、帯電部22の位置で感光体ドラム21の表面が一様に帯電される。
【0037】
その後、帯電された感光体ドラム21表面は、露光光Lの照射位置に達して、書込み部2による露光工程がおこなわれる。すなわち、露光光Lの照射によって感光体ドラム21上を画像情報に応じて選択的に除電することで、照射されなかった非画像部の電位との差(電位コントラスト)を発生させて静電潜像を形成する。なお、この露光工程は、感光体ドラム21の感光層中で電荷発生物質が光を受けて電荷を発生して、このうち正孔が感光体ドラム21表面の帯電電荷と打ち消しあうものである。
【0038】
その後、潜像が形成された感光体ドラム21表面は、現像装置23との対向位置に達する。感光体ドラム21上の静電潜像は、現像ローラ23a1、23a2上の磁気ブラシと接触して、磁気ブラシ中の負帯電されたトナーTが付着されて可視化される。
【0039】
詳しくは、上方の現像ローラ23a1の磁極による磁力で汲み上げられた現像剤Gは、ドクターブレード23cによって適量化された後に、感光体ドラム21との対向部である現像領域(2つの現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との対向領域)に搬送される。
【0040】
現像領域において穂立ちされたキャリアCが感光体ドラム21を摺擦する。このとき、キャリアCに混合されているトナーTは、キャリアCとの摩擦によって負帯電されている。
【0041】
これに対して、キャリアCは正帯電されている。不図示の電源部から現像ローラ23a1、23a2に対して、所定の現像バイアスが印加される。これによって、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との間に電界が形成されて、負帯電されたトナーTが電界によって感光体ドラム21上の画像部にのみ選択的に付着してトナー像を形成する。
【0042】
その後、トナー像が形成された感光体ドラム21表面は、転写ベルト30及び転写ローラ24との対向位置に達する。そして、このタイミングに合わせてその対向位置に搬送された被転写材S上に、感光体ドラム21上のトナー像が転写される。このとき、転写ローラ24には、所定の電圧が印加されている。
【0043】
その後、トナー像が転写された被転写材Sは、定着部66を通過して、排出ローラ69から装置外部に排出される。
【0044】
一方、転写工程時に被転写材Sに転写されずに感光体ドラム21上に残留したトナーT(未転写トナー)は、感光体ドラム21上に付着したままクリーニング部25との対向部に達する。そして、感光体ドラム21上の未転写トナーは、クリーニング部25で除去・回収される。
【0045】
その後、感光体ドラム21表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0046】
図3は、現像装置23における循環経路を図2に示す矢印X方向から長手方向にみた断面図である。図3を参照して、現像剤Gの流れについて説明する。
【0047】
現像装置23は、現像剤担持体としての現像ローラ23a1,23a2、搬送部材としての搬送スクリュ23b1〜23b3(オーガスクリュ)、ドクターブレード23c、等で構成されている。
【0048】
現像ローラ23aは、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブが不図示の回転駆動機構によって時計方向に回転されるように構成されている。
【0049】
現像ローラ23aのスリーブ内には、スリーブの周面に現像剤Gの穂立ちを生じるように磁界を形成するマグネットが固設されている。
【0050】
マグネットから発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤G中のキャリアCがスリーブ上にチェーン状に穂立ちする。このチェーン状に穂立ちしたキャリアCに帯電したトナーTが付着されて、磁気ブラシが形成される。
【0051】
磁気ブラシは、スリーブの回転によってスリーブと同方向(時計方向)に移送される。
ドクターブレード23cは、現像領域の上流側に設置されていて、現像ローラ23a上の現像剤Gを適量に規制する。
【0052】
3つの搬送スクリュ23b1〜23b3は、現像装置23内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である)に循環しながら撹拌・混合する。
【0053】
第1搬送スクリュ23b1(第1搬送部材)は、現像ローラ23a1に略対向する位置に配設されていて、現像剤Gを水平方向に搬送する(図3の白矢印に示す左方向の搬送)とともに、現像ローラ23a上に現像剤Gを供給する。
【0054】
第2搬送スクリュ23b2(第2搬送部材)は、第1搬送スクリュ23b1の下方であって現像ローラ23a2に略対向する位置に配設されていて、現像ローラ23aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ極によって現像ローラ23a上から強制的に離脱された現像剤G)を水平方向に搬送する(図3の白矢印に示す左方向の搬送)。
【0055】
第1搬送スクリュ23b1及び第2搬送スクリュ23b2は、現像ローラ23aや感光体ドラム21と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。
【0056】
第3搬送スクリュ23b3(第3搬送部材)は、第2搬送スクリュ23b2による搬送経路の下流側と、第1搬送部材23b1による搬送経路の上流側と、を直線的に結ぶように、水平方向に対して斜めに配設されている。
【0057】
そして、第3搬送スクリュ23b3は、第2搬送スクリュ23b2によって搬送された現像剤Gを第1搬送部材23b1による搬送経路の上流側に搬送するとともに、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の下流側から落下経路23fを介して循環される現像剤Gを第1搬送部材23b1による搬送経路の上流側に搬送する(図3の白矢印に示す右斜め上方への搬送)。
【0058】
なお、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路と、第2搬送スクリュ23b2による搬送経路と、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路と、は壁部によって隔絶されている。
【0059】
第2搬送スクリュ23b2による搬送経路の下流側と、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路の上流側と、は第1中継部23gを介して連通している。また、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路の下流側と、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側と、は第2中継部23hを介して連通している。また、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の下流側と、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路の上流側と、は落下経路23fを介して連通している。
【0060】
このような構成により、3つの搬送スクリュ23b1〜23b3によって、現像装置23において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。ここで、現像装置23が稼動されると、装置内に収容された現像剤Gは図3中の斜線で示すような状態で流動する。
【0061】
第1搬送スクリュ23b1における搬送経路において、下流側における現像剤Gの剤面が上流側の剤面に比べて低くなっているのは、搬送中の現像剤Gの一部が現像ローラ23aに供給されているためである。
【0062】
すなわち、現像ローラ23aに供給されなかった現像剤Gは、落下経路23fを介して第3搬送スクリュ23b3の上流側に移動することになる。なお、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路中にはトナー濃度センサとしての磁気センサ26が設置されている。
【0063】
そして、磁気センサ26によって検知されるトナー濃度の情報に基いて、供給手段としての剤カートリッジ28から現像装置23内に向けて所定のトナー濃度の現像剤Gが供給される。
【0064】
ここで図2、図3において 、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路中には、現像装置23内に収容された現像剤Gの一部を外部(剤貯溜容器70)に排出する排出部(現像剤排出部ともいう)としての現像剤排出口(排出口ともいう)23dが設けられている。
【0065】
詳しくは、排出口23dは、供給手段28、29によって現像装置23内に現像剤Gが供給されて装置内の現像剤量が増加してその位置に搬送される現像剤Gの剤面(上面)が所定高さを超えたときに、その余剰分の現像剤Gを剤貯留容器70に向けて排出するためのものである。
【0066】
すなわち、余剰分の現像剤Gは、排出口23dの下部の高さを超えて、排出口23dから排出されて排出経路71を経由して剤貯留容器70に向けて重力落下していく。
【0067】
このように、トナーTの母体樹脂や外添剤によって汚染されて劣化したキャリアCが自動的に現像装置23の外部に排出されるので、経時においても画像品質の劣化を抑止することができる。
【0068】
(現像剤排出部)
図4は図3の現像装置23における循環経路のY1−Y1断面を示す断面図である。現像剤撹拌スクリュ23b1に沿った下流側ハウジングの背面側の壁部の現像剤界面近くに仕切板27が設けられており、内部の現像剤量が所定の量を越えると越えた分の現像剤Gは仕切板27に設けられた穴部(現像剤排出口)23dからあふれだし、あふれた現像剤Gは排出経路71へ搬送する排出スクリュ23nへ落下し搬送される。
【0069】
しかしながら、図4に示す現像装置23のように、現像ハウジング側壁の所定高さ位置に現像剤排出口23dとして穴を1箇所設けた構成では、例えば、画像形成装置の印刷速度が遅くなる、すなわち現像装置の現像剤攪拌スクリュの回転数が下がると、それにあわせて現像装置内の現像剤Gの嵩Pが下がり、現像剤排出口23dから現像剤Gが排出されなくなってしまう。
【0070】
すなわち、現像剤排出口23dから溢れ出るために必要な現像剤Gの量が多くなるため、現像装置内の現像剤量は初期の印刷速度の所望の量に対して増え、現像剤担持体23aと像担持体21とのギャップに現像剤Gが詰まり、モータロック等の不具合が発生するおそれがある。
【0071】
また、逆に、例えば、画像形成装置の印刷速度が速くなる、すなわち、現像装置の攪拌スクリュの回転数が上がると、それにあわせて、現像装置内の現像剤Gの嵩Pが上がるため現像剤排出口23dからの排出量が増え、現像装置内の現像剤量は初期の印刷速度での現像剤量に対して減少する。このため、現像剤担持体23aに十分な量の現像剤Gが保持されず、画像にスクリュピッチの濃度ムラが出るという問題が発生するおそれがある。
【0072】
そこで、本実施形態に係る現像装置23は、上記のような不具合を解消するために、キャリアCとトナーTとを有する現像剤Gを収容するとともに、像担持体(感光体ドラム21)上に形成される潜像を現像する現像装置(現像装置23)であって、軸部上にスクリュ部が形成されるとともに、装置内に収容された現像剤Gを長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材(第1〜第3搬送スクリュ23b1〜23b3)と、装置内に新たにキャリアCを供給する供給手段(剤カートリッジ28、供給管29)と、複数の搬送部材のうち1つの搬送部材(第1搬送スクリュ23b1)によって搬送される現像剤Gの剤面が所定高さを超えたときにその現像剤Gを外部に排出するために当該1つの搬送部材による搬送経路の隔壁(仕切板27)に形成された排出部(現像剤排出口23d)と、を備え、排出部は、現像装置内の現像剤Gの嵩に対応して口の高さを変更できるようにしている。
【0073】
図5は、本実施形態に係る現像装置における仕切板および現像剤排出部の拡大構成図である。また、図6は、図5に示す仕切板および現像剤排出部の断面構成図である。なお、本実施形態に係る現像装置の仕切板、現像剤排出部を除く他の構成については、上述した現像装置(図2〜図4)と同様の構成で良い。
【0074】
本実施形態に係る現像装置23の仕切板27は、現像剤排出部としての排出口23dを3箇所に設け(穴23d1,23d2,23d3とする)とし、各穴はそれぞれ別の高さに開いている。なお、排出口23dの数およびその配設位置は、図5に示す例に限られるものではない。また、仕切板27は、図5に示すように、現像装置23に対して着脱自在に設置されることが好ましい。これにより、排出口23dの数やその配設高さの異なる仕切板27に交換することも可能となる。
【0075】
本実施形態では、穴23d1は、画像形成装置の印刷速度が1分当たりの印刷枚数(ppm:page per minute)が70枚の時の現像装置の回転数で規定される現像剤Gの嵩P1が現像装置として適した嵩になるような高さに設けられている。同様に、穴23d2は90ppm、23d3は120ppm時に適した現像剤量になるような高さの穴である。
【0076】
さらに、各排出口23dの排出側の口の周りは、電線が巻かれたコイルLとしている。このような構成とすることにより、後述のように、通電により電磁石として機能させるものである。なお、コイルLは、各排出口23dの高さに合わせてそれぞれL1,L2,L3とする。
【0077】
例えば、現像装置23の回転数が120ppmである場合の現像装置内の現像剤Gの嵩がP3であるとすると、現像剤Gは穴23d3から排出されるが、この状態では下側の別の穴23d1および23d2からも現像剤Gが排出されてしまう。
【0078】
そこで、本実施形態に係る現像装置23の現像剤排出部は、図7に示すように、各排出口23dの周りに設けたコイルL1,L2,L3は、その通電状態を切り替えるスイッチSW1,SW2,SW3に接続されている。
【0079】
具体的には、画像形成装置の印刷速度設定(すなわち、現像装置の回転数)を検知し、切り替わるスイッチSW1,SW2,SW3のうち、印刷速度が120ppmのときはスイッチSW1およびSW2を繋げて、コイルL1およびL2を励磁し、磁界が発生するようにさせる。
【0080】
これにより、コイルL1,L2は電磁石として現像剤Gを保持するようになるため、穴23d1および穴23d2には現像剤Gが詰まって排出されなくなり、所望の穴の高さである穴23d3からのみ排出が行われるようになる。
【0081】
同様に、例えば、印刷速度が90ppmのときは、スイッチSW2でコイルL2への電流を切り、コイルL1およびL3を励磁することで穴23d2以外から現像剤Gが排出されなくなるようにするものである。
【0082】
このように、現像剤Gが印刷速度に合わせて適した穴の高さから排出されるようになるため、現像剤量が常に適した量に安定し、現像装置及び印刷画像に異常が発生することをなくすことが可能となる。
【0083】
また、図6に示すように、各穴23d1〜23d3は、現像剤Gの排出方向に傾斜する傾斜部23k1〜23k3を有することが好ましい。これにより、現像剤Gの排出が補助されて排出がスムーズに行われる。
【0084】
以上説明した本実施形態に係る現像装置によれば、現像剤排出部の開口部高さを画像形成装置の印刷速度に合わせて調整する現像剤排出部を設けることで画像形成装置の印刷速度に合わせた現像装置内の現像剤量の嵩に応じて余剰現像剤が安定して装置外に排出され、現像装置内の現像剤量を常に規定した範囲内に保つことが可能となる。また、当該現像装置を備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置とすることで、上記効果を有するプロセスカートリッジ、画像形成装置とすることができる。
【0085】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置(装置本体)
2A〜2D 書込み部
3A〜3D ポリゴンミラー
4A〜4D 光学素子
20,20Y,20C,20M,20BK プロセスカートリッジ
21 感光体ドラム(像担持体)
22 帯電部
23 現像装置
23a1,23a2 現像ローラ(現像剤担持体)
23b1 第1搬送スクリュ(第1搬送部材)
23b2 第2搬送スクリュ(第2搬送部材)
23b3 第3搬送スクリュ(第3搬送部材)
23c ドクターブレード、
23d 現像剤排出口(排出部)
23d1〜23d3 穴部
23f 落下経路
23g 第1中継部
23h 第2中継部
23k1〜23k3 傾斜面
23n 排出スクリュ
24 転写ローラ
25 クリーニング部
26 磁気センサ
27 仕切板
28,28Y,28C,28M,28BK 剤カートリッジ(供給手段)
29 供給管(供給手段)
30 転写ベルト
61 給紙部
62 給紙ローラ
63 レジストローラ
64 吸着ローラ
65 ベルトクリーナ
66 定着部
67 加圧ローラ
68 加熱ローラ
69 排出ローラ
70 剤貯溜容器
71 排出経路
80 シャッタ機構
C キャリア
G 現像剤(2成分現像剤)
L 露光光
L1〜L3 コイル
P,P1〜P3 嵩
S 被転写材
SW スイッチ
T トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特公平2−21591号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、
軸部上にスクリュ部が形成されるとともに、装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材と、
現像装置内に新たにキャリアを供給する供給手段と、
前記複数の搬送部材のうち1つの搬送部材によって搬送される現像剤の剤面が所定高さを超えたときにその現像剤を外部に排出するために当該1つの搬送部材による搬送経路の隔壁に形成された排出部と、を備え、
前記排出部は、現像装置内の現像剤の嵩に対応して口の高さを変更する現像剤排出口を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤排出口を、現像装置内の現像剤の嵩に合わせて複数設けたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤排出口の切り替えは、複数の前記現像剤排出口の周りに設けたコイルを励磁させることにより行うことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤排出口は、現像剤の排出方向に傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記排出部は、現像装置に対して着脱自在に設置されたことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記排出部は、前記1つの搬送部材による搬送経路の下流側に形成されたことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記供給手段は、現像装置内に新たにトナーを前記キャリアとともに供給することを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1から7までのいずれかに記載の現像装置と、前記像担持体とが一体化されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれかに記載の現像装置と、前記像担持体と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−15758(P2013−15758A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149999(P2011−149999)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】