説明

現在位置算出装置

【課題】現在位置を正しく算出できる現在位置算出装置を提供する。
【解決手段】表示候補点が分岐後の道路に属するものであって、分岐後の道路に対応するリンクに道路高さ情報が付加されている場合には、信頼度trstの算出に先だって、道路高さ情報と、車両の加速度センサ11bで検出される車両の高さ方向の変位(車両高さ変位)とに基づいて、分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在位置を算出する現在位置算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の現在位置を算出する際に、マップマッチング処理を行うことで、車両の現在位置を修正する現在位置算出装置が知られている。この現在位置算出装置では、マップマッチング処理を行う際に、検出した車両の進行方向と、データとして格納されている道路の延在方向との差が所定値以下となる道路を現在走行している道路の候補として選択している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−334371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路のデータには、上述したように延在方向についての情報が含まれているが、たとえば、1本の道路から本線と側道とに分岐する部分(分岐部)や、高速道路の入口や出口における分岐部などでは、実際の分岐部の延在方向と、データ上の延在方向とに大きな違いが見られることがある。そのため、分岐部の走行中にマップマッチング処理が行われると、実際に走行している道路とは異なる道路を走行しているものと判定されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による現在位置算出装置は、進行方向前方で道路が分岐している場合に、道路の延在方位に関する情報以外の情報であって分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断するための情報(分岐路判断情報)の有無を、道路の分岐点に到達する前に判断する有無判断手段と、分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断する際に、有無判断手段で分岐路判断情報が存在すると判断されると、分岐路判断情報に基づく判断によってのみ、分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断し、有無判断手段で分岐路判断情報が存在しないと判断されると、分岐路判断情報を用いることなく分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断する位置判断手段と、位置判断手段の判断結果に基づいて、現在の位置を推定する現在位置推定手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の現在位置算出装置において、位置判断手段は、分岐した道路について種類の異なる複数の分岐路判断情報が存在していた場合には、複数の分岐路判断情報の中から最も信憑性が高いと判断される分岐路判断情報に基づいて、分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断し、最も信憑性が高いと判断される分岐路判断情報に基づいて走行する道路が特定された場合には、他の分岐路判断情報を利用しないことを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の現在位置算出装置において、分岐路判断情報は、道路の高さに関する情報を含むことを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の現在位置算出装置において、位置判断手段は、走行に伴う自身の高さ位置の変化に関する情報を取得し、道路の高さに関する情報と比較することで、分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現在位置を正しく算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜7を参照して、本発明による現在位置算出装置を車載用途のカーナビゲーション装置に適用した一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態のカーナビゲーション装置の全体構成を示す図である。カーナビゲーション装置1は、車両位置周辺の道路地図を表示する機能、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能など、車両の走行に関する情報を提示する機能を兼ね備えている。カーナビゲーション装置1は、いわゆるナビゲーションあるいは道路案内などを行う装置である。
【0008】
図1において、11は車両の現在地を検出する現在地検出装置であり、たとえば車両の進行方位の変化量を検出するジャイロセンサ11a、車両の高さ方向の変位を検出するための加速度センサ11b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ11c、車速を検出する車速センサ11d等から成る。
【0009】
100は制御装置であり、CPU101およびその周辺回路から成る。CPU101およびその周辺回路は互いにバスで接続されている。周辺回路は、メモリ102、パラレルI/O103、A/D変換器104a,104b、シリアルI/O105、カウンタ106、グラフィックコントローラ107、画像メモリ108、地図記憶装置109等から成る。14は車室内の乗員が視認可能な位置に配設されて、地図や各種情報を表示する表示モニタである。15は乗員が車両の目的地等の入力など、各種操作入力を行うためのスイッチである。スイッチ15は、表示モニタ14の画面上に設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。スイッチ15は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたスイッチであってもよい。
【0010】
制御装置100のメモリ102は、制御プログラムを格納するROMおよび作業エリアのRAMを含むメモリである。CPU101は、メモリ102にアクセスして制御プログラムを実行し、各種の制御を行う。パラレルI/O103は、スイッチ15を構成する個別のスイッチ等が接続されるパラレルI/Oポートである。A/D変換器104a,104bは、ジャイロセンサ11aおよび加速度センサ11bのアナログ信号をそれぞれA/D変換する変換器である。シリアルI/O105は、GPSセンサ11cからのシリアル信号を受信するシリアルI/Oポートである。カウンタ106は、たとえば車軸の回転に伴って車速センサ11dから出力されるパルス信号をカウントするカウンタである。
【0011】
グラフィックコントローラ107は、CPU101から出力される表示データを、画像データとして画像メモリ(ビデオRAM)であるメモリ108に格納し、メモリ108に格納された画像データを表示モニタ14に表示するための制御を行う。CPU101から出力される表示データは、各種の文字データや道路地図などの各種の図形データなどから成る。制御装置100は、表示モニタ14の表示制御装置として機能する。
【0012】
地図記憶装置109は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データやPOI情報(Point of Interest 観光地や各種施設の情報)など各種の情報を格納する地図記憶装置であり、ハードディスク装置が用いられている。なお、地図記憶装置109は、ハードディスク装置以外にも、道路地図データが格納されたCD−ROMやDVD、その他の記録媒体、および、その読み出し装置であってもよい。
【0013】
−−−データ構成−−−
道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などから成る。地図表示用データは道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者等に推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0014】
図2(a),(b)は、地図表示用データ(道路データ)の構成を示した図である。道路データはリンク列データとメッシュコードを含み、メッシュ領域単位で格納されている。なお、リンク列データとは、一本の道路を、交差点などのノードと、ノード間のリンクとして定義したデータ構造である。メッシュ領域とは、道路地図を所定範囲毎に区分けしたときの区分けされた各領域をいう。メッシュコードの記憶領域401には、メッシュ領域を識別する番号が格納される。リンク列データの記憶領域402には、図2(b)に示すように、ノードの位置座標Xn,Ynと、ノード間のリンクの番号と、リンクをさらに短く分割する補間点の位置座標Xn,Ynとがそれぞれの領域に格納される。これらの位置座標が地図表示や後述する現在位置算出処理の形状データとして用いられる。なお、図示はしないが、たとえば高さの異なる隣接する道路間を結ぶ道路(たとえばランプなど)や、傾斜している道路などについては、道路地図データとして所定距離毎(たとえば数m毎)に高さのデータ(道路高さ情報)がたとえば数十cm単位で格納されている。
【0015】
このように構成されるカーナビゲーション装置1は、現在地検出装置11により取得した情報および地図記憶装置109に格納されている道路地図データに基づき各種のナビゲーションを行う。たとえば、制御装置100のCPU101は、車両の現在位置近辺の道路地図および車両の現在位置を表示モニタ14に表示し、経路探索によって得られた経路(推奨経路)に沿って運転者を誘導するように各部を制御する。
【0016】
−−−現在位置算出処理−−−
表示モニタ14に表示された現在位置近辺の道路地図に車両の現在位置を重畳的に表示するため、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、以下のような処理によって現在位置を算出している。図3は、現在位置算出処理の動作を示したフローチャートである。車両の不図示のイグニッションキーによりアクセサリーON(ACC ON)になると、カーナビゲーション装置1の電源が入り、図3に示す処理を行うプログラムが定期的に起動される。
【0017】
CPU101は、ジャイロセンサ11aおよび車速センサ11dからのデータを読み込み(ステップS1)、読み込んだデータに基づいて車両が直進しているか否かを判断する(ステップS3)。車両が直進していると判断されると(ステップS3肯定判断)、読み込んだデータに基づいて車両の進行方位と車両の走行距離を算出することで車両の移動量を算出する。そして、前回算出した車両の現在位置を起点として、今回算出した車両の移動量を加算することで、現在車両が存在すると推定される地点を算出する(ステップS5)。この地点を推定現在位置とする。
【0018】
なお、カーナビゲーション装置1の起動直後などには、前回カーナビゲーション装置1を停止する直前に算出して記憶されている車両の現在位置、もしくはあらかじめ別途設定された地点を前回算出した車両の現在位置として上記の処理を行う。
【0019】
上述したように推定現在位置を算出した後、現在位置の候補を以下のようにして算出する。CPU101は、下記の(a)および(b)の双方を満たすリンク(候補リンク)を地図記憶装置109に格納された道路データから検索して抽出する(ステップS7)。
(a) 推定現在位置の算出に際して算出された車両の進行方位と道路データのリンクの方位(リンク方位)との差が所定値以下である。
(b) 上述した推定現在位置からリンクに対して垂直に降ろした線分の長さが所定値以下である。
【0020】
上述した候補リンクが存在するか否かを判断し、存在すると判断されると(ステップS9肯定判断)、推定現在位置の算出に際して算出された車両の走行距離だけ前回の処理で算出した車両の現在位置からリンクに沿って移動させた地点を現在位置の候補とする(ステップS11)。このようにして得られた現在位置の候補を表示候補点と呼ぶ。上述した(a),(b)を満たすリンクが存在しないと判断されると(ステップS9否定判断)、後に述べる、デッドレコニング処理(ステップS19)が実行される。
【0021】
上述した処理で得られた複数の表示候補点が属するリンクを車両の進行方向側に向かって先に(たとえば表示候補点から100m〜300m程度先まで)たどっていたときに、2以上のリンクに分岐しているか否かを判断する(ステップS21)。2以上のリンクに分岐している場合には(ステップS21肯定判断)、それら分岐しているそれぞれのリンクのフラグに1をセットして、以下の処理を行う。一方、分岐したリンクがないと判断された場合には(ステップS21否定判断)、フラグのセットを特に行わずに、以下の処理を行う。
【0022】
なお、説明の便宜上、図4に示すように、表示候補点が属するリンクを車両の進行方向側に向かって先にたどっていたときに、分岐しているリンク(リンクa1,a2,a3・・・およびリンクb1,b2,b3・・・)の個々のリンクをそれぞれ分岐リンクと呼ぶ。そして、これら個々の分岐リンクをまとめて分岐リンク群と呼ぶ。また、任意の一の分岐リンク(たとえばリンクa2)と同じ分岐に属する個々の分岐リンク(たとえばリンクa1,a3)をそれぞれ同枝分岐リンクと呼び、同枝分岐リンクをまとめて同枝分岐リンク群と呼ぶ。任意の一の分岐リンク(たとえばリンクa2)とは別の分岐に属する個々の分岐リンク(たとえばリンクb1〜b3)をそれぞれ異枝分岐リンクと呼び、個々の異枝分岐リンクをまとめて異枝分岐リンク群と呼ぶこととする。
【0023】
上述した処理では、複数の候補リンクおよび表示候補点が抽出されるため、実際に車両が走行している道路としての確からしさ(信憑性)を表す信頼度trstを、それぞれの表示候補点について算出する(図3のステップS13)。信頼度trstの算出処理については後に詳述する。それぞれの表示候補点について信頼度trstが算出されると、信頼度trstが最も高い表示候補点を選択する(ステップS15)。そして、選択した表示候補点を車両の現在位置として、周辺の道路地図とともに表示モニタ14に重畳的に表示させる(ステップS17)。このように、候補リンクを抽出し、信頼度trstが最も高い表示候補点を車両の現在位置として決定する処理は、一般にマップマッチングと呼ばれる。なお、信頼度trstが最も高い表示候補点はもちろんであるが、信頼度trstが最も高い表示候補点以外の表示候補点についても、その位置が記憶され、次回の処理の際に推定現在位置の算出する際の起点とされて信頼度trstが算出される。
【0024】
ジャイロセンサ11aおよび車速センサ11dからのデータを読み込んだ(ステップS1)後、車両が旋回していると判断された場合(ステップS3否定判断)、または、上述した(a),(b)を満たすリンクが存在しないと判断された場合(ステップS9否定判断)、公知のデッドレコニング処理が行われる(ステップS19)。すなわち、読み込んだデータに基づいて車両の進行方位と車両の走行距離を算出することで車両の移動量を算出する。そして、前回算出した車両の現在位置に今回算出した車両の移動量を加算することで得られる地点を車両の現在位置として(ステップS19)、周辺の道路地図とともに表示モニタ14に重畳的に表示させる(ステップS17)。
【0025】
−−−信頼度trstの算出について−−−
信頼度trstは、算出された車両の進行方位と道路データのリンク方位との差の絶対値(方位差)△θ、および、推定現在位置から候補リンクに対して垂直に降ろした線分の長さ(垂線距離)Lに基づいて算出される。具体的には次のようにして算出される。なお、リンク方位は、図2(b)に示す道路データのリンク列データの記憶領域402から当該リンクの両端に位置するノードの位置座標を読み込んで算出される。
【0026】
方位差△θと、垂線距離Lから(1)式で定義されるエラーコスト値ecを算出する。
ec=α×△θ+β×L ・・・(1)
(1)式において、αおよびβは係数である。
【0027】
次に累積エラーコストesを算出する。累積エラーコストesは、前回の処理で算出された累積エラーコストesn−1と今回算出されたエラーコスト値ecとに基づいて、次のように算出される。
es=(1−k)×esn−1+k×ec ・・・(2)
ここで、kは重み係数である。累積エラーコストesは、前回の処理で算出された累積エラーコストesn−1を、今回の処理で算出されたエラーコストに反映させた値である。
【0028】
方位差△θが小さいほど、および、垂線距離Lが短いほど(1)式および(2)式で求めたエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesは0に近づく。すなわち、実際の車両位置としての信憑性が高くなるほど、(1)式および(2)式で求めたエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesは0に近づく。しかし、実際の車両位置としての信憑性が高くなるほど信頼度trstの値が大きくなるほうが理解しやすいため、信頼度trstを(3)式で定義する。
trst=100/(1+es) ・・・(3)
これにより、実際の車両位置としての信憑性が高くなるほど信頼度trstの値は100に近づき、実際の車両位置としての信憑性が低くなるほど信頼度trstの値は0に近づくこととなる。
【0029】
−−−信頼度trstの算出における従来の問題点−−−
このように信頼度trstは、車両が走行することで算出される車両の進行方位および走行距離と、道路データとに基づいて算出される。そのため、たとえば図5(a),(b)に示すように、異なる高さ位置に一般道と高速道路とが延在しているが、一般道と高速道路が平面上で隣接して略同方向に延在していると、ランプを走行して高速道路に進入しても、車両の進行方位の変化量が少ないため、車両の現在位置を表す表示(カーマーク)が一般道上に表示され続けてしまうことがある。逆に、ランプ手前のドライバーのハンドル操作によって車両が左右に揺らぎ、この車両の揺らぎをジャイロセンサ11aが検出することで、一般道を走り続けているにもかかわらず、ランプに進入したものと判断されてランプ上にカーマークが誤表示されてしまうこともある。
【0030】
たとえば、首都高速4号新宿線線下り線側の永福入口では、国道20号線から4号新宿線に進入するランプが国道20号線の下り右車線側に設けられている。そして、ランプは緩やかに右側にカーブしながら高架上の4号新宿線に接続されているが、ランプ下の国道20号線および高架上の4号新宿線も同じように緩やかに右側にカーブしている。このような場所では、車両が右側にカーブしながら走行していることがジャイロセンサ11aで検出されても、ランプに進入したのか、国道20号線をそのまま走行しているのかを正確に判別することが困難である。
【0031】
また、高速道路からランプを走行して一般道へ降りても、車両の進行方位の変化量が少ないため、カーマークが高速道路上に表示され続けてしまうことがある。逆に、ランプ手前のドライバーのハンドル操作によって車両が左右に揺らぎ、この車両の揺らぎをジャイロセンサ11aが検出することで、高速道路を走り続けているにもかかわらず、ランプに進入したものと判断されてランプ上にカーマークが誤表示されてしまうこともある。
【0032】
さらに、たとえば、図5(a),(b)において一般道を図示左側から右側に向かって走行する場合のように、一般道からなだらかにランプが分岐し、ランプがランプ下の一般道と略平行となる道路では、一般道からランプへと分岐する部分の車線の延在方位と、一般道からランプへと分岐する部分(分岐部)の車線に相当するリンクのリンク方位とが大きく異なる場合がある。このように、分岐点の近傍で実際の道路の延在方位とリンク方位とが大きく異なると、車両の現在位置が誤って算出されてしまう可能性が高くなる。
【0033】
分岐後の一般道路と高速道路とが略平行である場合には、以下に説明するように、車両の現在位置が誤った方の道路上にあるものとして算出され続けてしまうことがある。すなわち、分岐後の一般道路と高速道路とが略平行である場合には、一般道および高速道路についてのリンク方位が略平行であるため、それぞれのリンク方位と車両の進行方位との差が略等しくなり、一般道と高速道路とのエラーコスト値ecの差が小さくなる。しかし、累積エラーコストesには、前回の処理で算出された累積エラーコストesn−1が反映されるため、今回の処理においても前回現在位置として決定された方の道路上の表示候補点の信頼度trstが前回現在位置として決定されなかった方の道路上の表示候補点の信頼度trstよりも高くなってしまう。そのため、前回現在位置として決定された方の道路上の表示候補点が車両の現在位置として決定されてしまう。このまま、一般道と高速道路とが左右に曲がっていたとしても互いに並んで延在している場合には、すなわち、一般道の形状と高速道路の形状との間に大きな違いがなければ、一旦、車両の現在位置が誤った方の道路上にあるものとして算出されると、誤りが修正されないこととなる。
【0034】
−−−本実施の形態における信頼度の算出−−−
一方、図5(a),(b)に示すように道路の高さが異なる一般道と高速道路とが略同方向に延在している場合であっても、ランプ部分については、その傾斜角度が明らかに一般道および高速道路とは異なる。一般的に、建設コストや用地確保の関係からランプ部分の距離を必要以上に長くすることは少ないため、ランプ部分の傾斜角度は大きめとなる。この傾向は、一般的には都市部で顕著である。また、特に都市部では、用地確保の困難性から、以前からからある一般道の上に高架橋を設置して高速道路が設けられていることが多いため、道路の高さが異なる一般道と高速道路とが略同方向に延在していることが多い。したがって、たとえば図5(a),(b)に示すような一般道と高速道路のいずれを走行しているのかを判断する場合には、方位差△θおよび垂線距離Lに基づく信頼度trstから判断するよりも、道路高さ情報と、車両の加速度センサ11bで検出される車両の高さ方向の変位とに基づいて判断した方が、判断精度が高くなる。
【0035】
そこで、CPU101は、表示候補点が分岐後の道路に属するものであって、分岐後の道路に対応するリンクに道路高さ情報が付加されている場合には、信頼度trstの算出に先だって、道路高さ情報と、車両の加速度センサ11bで検出される車両の高さ方向の変位(車両高さ変位)とに基づいて、分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断する。
【0036】
すなわち、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できるのであれば、道路高さ情報および車両高さ変位のみを考慮して車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断する。そして、当該判断に際して、方位差△θおよび垂線距離Lなど、他の判断要素は考慮しない。この場合には、たとえば推奨経路上にカーマークが表示されやすくなるように、推奨経路上の表示候補点に関して、推奨経路上以外の表示候補点よりも、たとえば信頼度trstが高い値となるように設定されていたとしても、そのような設定は無効として車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断する。本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、道路高さ情報を、道路の延在方位に関する情報以外の情報であって分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断するための情報(分岐路判断情報)として利用する。
【0037】
道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できた場合、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点について、累積エラーコストesの値をとりうる最大の値(またはあらかじめ定めた所定値)にセットする。走行していると判断された方の道路のリンク上に存在する表示候補点については、従来どおり、上述したようにエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesを算出する。このようにすることで、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点の信頼度trstを限りなく0に近づけて、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点が車両の現在位置として誤って算出されることを防止する。
【0038】
なお、道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できない場合には、CPU101は、従来どおり、方位差△θおよび垂線距離Lに基づいて信頼度trstを算出する。
【0039】
具体的には、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、以下のような処理によって信頼度trstを算出している。図6は、上述した現在位置算出処理の動作を示したフローチャートにおける、信頼度算出のサブルーチン(図3のステップS13)である。CPU101は、上述したようにフラグをセットした(ステップS23)後、または、表示候補点を算出した後(図3のステップS21否定判断)、算出した表示候補点の任意の1つを選択する(ステップS131)。以下の説明では当該選択された表示候補点を選択表示候補点と呼ぶ。そして、選択表示候補点の属するリンクのフラグに1がセットされているか否かを判断する(ステップS133)。すなわち、選択表示候補点の属するリンクが、上述した図3のステップS21で、分岐したリンクであるとされたリンク(すなわち分岐リンク)であるか否かを判断する。
【0040】
選択表示候補点の属するリンクのフラグに1がセットされていた場合、すなわち、選択表示候補点の属するリンクが分岐リンクであった場合(ステップS133肯定判断)、当該分岐リンクと、当該分岐リンクに対する異枝分岐リンクの両方に道路高さ情報が付加されているか否かを判断する(ステップS151)。道路高さ情報が付加されている場合には(ステップS151肯定判断)、その道路高さ情報と、車両の加速度センサ11bで検出される車両の高さ方向の変位に関する情報を取得する(ステップS153)。その後、選択表示候補点と、選択表示候補点の属する分岐リンクに対する異枝リンク上の表示候補点のそれぞれについて、表示候補点における道路の高さ位置を算出する。
【0041】
そして、算出した高さ位置と、前回の演算時に算出した高さ位置とを比較して、それぞれ前回の演算時から今回の演算時までの表示候補点の高さ位置の変位を算出する(ステップS155)。すなわち、道路の高さがどの程度変化したのかを算出する。たとえば、図7(a),(b)に示すように、ランプが接続された一般道のランプ近傍を車両が走行する場合について例示する。たとえば、前回の演算時の表示候補点がランプの入口の手前で、今回の演算時の表示候補点がランプ上、および、ランプ入口を通りすぎた一般道上にそれぞれある場合を考える。まず、前回の演算時の表示候補点と今回の演算時のランプ上の表示候補点との間での道路の高さの差△hrと、前回の演算時の表示候補点と今回の演算時の一般道上の表示候補点との間での道路の高さの差△hdとを算出する。
【0042】
なお、表示候補点における道路の高さは、上述したように道路高さ情報として所定距離毎に格納されているので、表示候補点の前後の位置における道路高さ情報から適宜補間して求める。また、たとえばランプのみに道路高さ情報が存在していた場合には、一般道の道路の高さをランプの入口における道路の高さと等しいものとして演算するようにしてもよい。
【0043】
このように、表示候補点の高さ位置の変位を算出するほか、前回の演算時に取得した車両の高さ方向の変位に関する情報と、今回の演算時に取得した車両の高さ方向の変位に関する情報とに基づいて、前回の演算時から今回の演算時までの車両の高さの変位を算出する(ステップ157)。車両の高さ方向の変位は、加速度センサ11bで検出される車両の高さ方向の加速度を前回の演算時から今回の演算時までの間で時間積分を2回行うことで得られる。たとえば、図7(a)に示すように、前回の演算時の車両の位置がランプの入口の手前で、今回の演算時の車両の位置がランプ上にある場合、車両の高さ方向の変位は図示△hcに相当する変位となる。また、図7(b)に示すように、今回の演算時の車両の位置が一般道上にある場合、車両の高さ方向の変位は図示△hdに相当する変位となる。
【0044】
前回の演算時から今回の演算時までの表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位とを比較して、車両が選択表示候補点の属するリンク上に存在しているのか、異枝分岐リンク上に存在しているのかを判断する(ステップS159)。たとえば、選択表示候補点の属する分岐リンクについての表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位との差が所定値以内であり、異枝分岐リンクについての表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位との差が所定値を超えている場合には、車両が選択表示候補点の属する分岐リンク上に存在していると判断する。逆に、選択表示候補点の属する分岐リンクについての表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位との差が所定値を超え、異枝分岐リンクについての表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位との差が所定値以内である場合には、車両が異枝分岐リンク上に存在していると判断する。なお、選択表示候補点の属する分岐リンクについての表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位との差、および、異枝分岐リンクについての表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位との差の双方が所定値以内であるか所定値を超えている場合には、車両が選択表示候補点の属する分岐リンク上に存在しているのか、異枝分岐リンク上に存在しているのかを判断しない(できない)。
【0045】
車両が選択表示候補点の属する分岐リンク上に存在しているのか、異枝分岐リンク上に存在しているのかを判断できた場合には(ステップS159肯定判断)、車両が存在していると判断されなかった方のリンクに属する表示候補点の累積エラーコストesを取り得る最大の値(またはあらかじめ定めた所定の値)に設定した上で、この表示候補点についての信頼度trstを上述した(3)式により算出する(ステップS161)。
【0046】
そして、車両が存在していると判断された方のリンクに属する表示候補点のエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesを上述した(1)式および(2)式で算出した上で、この表示候補点についての信頼度trstを上述した(3)式により算出する(ステップS163)。その後、今回の演算で選択表示候補点の属するリンクの同枝リンク群および異枝リンク群の各リンクのフラグに0をセットする(ステップS165)。
【0047】
なお、選択表示候補点の属するリンクのフラグに0がセットされていると判断された場合(ステップS133否定判断)には、フラグに1がセットされていると判断された場合とは異なり、リンクついての道路高さ情報を読み込みに行くことなく、上述した(1)〜(3)式によりエラーコスト値ec、累積エラーコストes、および信頼度trstを算出する(ステップS143)。なお、リンクについての道路高さ情報が存在しなかった場合(ステップS151否定判断)も同様である(ステップS143)。また、前回の演算時から今回の演算時までの表示候補点の高さ位置の変位と車両の高さの変位とを比較して、車両が選択表示候補点の属する分岐リンク上に存在しているのか、異枝分岐リンク上に存在しているのかを判断できなかった場合も同様である(ステップS143)。
【0048】
上述した処理をすべての表示候補点について順次実行する(ステップS141否定判断)。すべての表示候補点について信頼度trstを算出すると(ステップS141肯定判断)、信頼度算出のサブルーチンにおける処理を終了し、メインルーチン(図3のステップS15)へ戻る。
【0049】
上述したカーナビゲーション装置1では、次の作用効果を奏する。
(1) 道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できるのであれば、道路高さ情報および車両高さ変位のみを考慮して車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断するように構成した。これにより、分岐した道路のいずれの分岐路上に車両が位置しているのかを判断する際の判断精度を向上できるので、車両の現在位置を正しく算出できるようになり、正確な車両の現在位置を乗員に提示できる。
【0050】
特に、カーナビゲーション装置1で、車両が走行している道路の種別に応じて案内表示を行う場合には、高速道路の出入口近傍を走行する際に、高速道路を走行しているにも関わらず、ハイウェイ情報が表示されなかったり、一般道路を走行しているにも関わらず、ハイウェイ情報が表示されたりするなどの、誤表示を防止できる。
【0051】
(2) 車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断する際に、方位差△θおよび垂線距離Lなどの判断要素は考慮しないように構成した。これにより、たとえば、リンク方位が道路の延在方位とは大幅に異なる場合であっても、道路の延在方位とは大幅に異なるリンク方位の影響を受けて車両の現在位置が誤って算出されることがなくなるので、車両の現在位置を正しく算出できるようになり、正確な車両の現在位置を乗員に提示できる。また、不要な演算を省略できるので、CPU101の演算負荷を低減して、現在位置算出に要する演算時間を短縮でき、現在位置の表示の応答性を高めることができる。
【0052】
(3) 道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できるのであれば、道路高さ情報および車両高さ変位のみを考慮して、信頼度の算出前に、車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断するように構成した。これにより、車両が走行していないと判断されたリンク上の表示候補点については、方位差△θおよび垂線距離Lなどに基づいてエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesを算出しなくてもよい。したがって、不要な演算を省略できるので、CPU101の演算負荷を低減して、現在位置算出に要する演算時間を短縮でき、現在位置の表示の応答性を高めることができる。
【0053】
(4) 道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、車両が分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できた場合、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点について、累積エラーコストesの値をとりうる最大の値(またはあらかじめ定めた所定値)にセットするように構成した。また、走行していると判断された方の道路のリンク上に存在する表示候補点については、従来どおり、上述したようにエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesを算出するように構成した。これにより、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点が車両の現在位置として誤って算出されることを防止しつつ、分岐リンクおよび異枝分岐リンク以外の他のリンク上の表示候補点との間で信頼度trstを比較することで、現在位置として最も確からしい表示候補点を算出できる。したがって、前回の演算時に複数の表示候補点がある場合にも、車両の現在位置を正しく算出できるようになり、正確な車両の現在位置を乗員に提示できる。
【0054】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点について、累積エラーコストesの値をとりうる最大の値(またはあらかじめ定めた所定値)にセットするように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、エラーコスト値ecをとりうる最大の値(またはあらかじめ定めた所定値)にセットするように構成してもよい。この場合には、前回の処理で算出された累積エラーコストesn−1が今回算出する累積エラーコストesに反映されるため、上述した(2)式の重み係数kを一時的に増加させて、前回の処理で算出された累積エラーコストesn−1の反映度合いを引き下げるようにしてもよい。なお、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点の信頼度trstの値をたとえば0としてもよく、走行していると判断されなかった方の道路のリンク上に存在する表示候補点を削除してもよい。
【0055】
(2) 上述の説明では、異なる高さ位置に延在する一般道と高速道路、およびこれらを繋ぐランプについて説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、異なる高さ位置に延在する2つ以上の一般道、およびこれらを繋ぐ道路がある場合であっても本発明を適用でき、異なる高さ位置に延在する2つ以上の高速道路、およびこれらを繋ぐ道路(ジャンクション)がある場合であっても本発明を適用できる。
【0056】
(3) 上述の説明では、道路高さ情報を、道路の延在方位に関する情報以外の情報であって分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断するための分岐路判断情報として利用しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、次の(α)および(β)の条件をともに満たすように構成されている場合には、車両がETCのゲート(ECTゲート)を通過したことを示す情報の有無のみによって、車両がETCゲートが設置された方の分岐路を走行しているのか、ETCゲートが設置されていない方の分岐路を走行しているのかを判断するようにしてもよい。すなわち、ETCゲートの設置位置に関する情報を、分岐路判断情報として利用してもよい。
(α) カーナビゲーション装置1にETC車載機が接続されており、車両がETCゲートを通過したこと示す情報をカーナビゲーション装置1がETC車載機から受信可能に構成されている。
(β) 道路地図データにETCゲートの設置位置に関する情報が格納されている。
【0057】
この場合には、CPU101は、次のようにして、車両がETCゲートが設置された方の分岐路を走行しているのか、ETCゲートが設置されていない方の分岐路を走行しているのかを判断する。たとえば、1本の道路が途中から2本の道路に分岐している場合であって、図8に示す分岐リンクb2と分岐リンクb3の間のノードにETCゲートが設置されているものとする。
【0058】
図8のような道路を走行していると判断される場合に、CPU101は、表示候補点の1つがリンクb2からリンクb3上へ移ったと判断されてもなお、ETC車載機から車両がETCゲートを通過したこと示す情報を取得できなかった場合には、車両がリンクb2,b3についての異枝分岐リンク上(すなわち、リンクa1,a2,a3・・・のいずれか)に存在しているものと判断する。そして、リンクb3上の表示候補点についての累積エラーコストesの値をとりうる最大の値(またはあらかじめ定めた所定値)にセットする。また、異枝分岐リンク上の表示候補点については、従来どおり、上述したようにエラーコスト値ecおよび累積エラーコストesを算出する。このように演算することで、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
なお、図9(a)に示すように、ETCゲートの設置情報と、道路高さ情報の双方が存在している場合には、ETCゲートの設置位置よりも手前側に、道路高さ情報が存在してれば、ETCゲートの設置情報に基づく判断に優先して、道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断するようにすればよい。この場合、分岐リンクa1,a2および分岐リンクb1,b2の少なくともいずれか一方の分岐リンク群に道路高さ情報が存在していれば、ETCゲートの設置情報に基づく判断に優先して、道路高さ情報と車両高さ変位とに基づいて、分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断できる。
【0060】
また、図9(b)に示すように、ETCゲートの設置位置よりも手前側には道路高さ情報が存在していない場合には、ETCゲートの設置位置よりも向こう側に道路高さ情報が存在していたとしても、ETCゲートの設置情報に基づいて、分岐後のいずれの道路を走行しているのかを判断するようにすればよい。なお、道路上に設置されたVICS情報を送信する電波ビーコンや、路側システムの路側無線装置(後述)など、道路地図データに設置位置に関する情報が格納されていて、車両がこれらの設置位置を通過したことを検出できるのであれば、電波ビーコンや、路側無線装置の設置位置に関する情報を、分岐路判断情報として利用してもよい。
【0061】
ここで、路側システムとは、国土交通省国土技術政策総合研究所と民間企業との共同研究成果である「次世代道路サービス提供システムに関する共同研究報告書(1.0 版)」で挙げられた「道路上における情報提供サービス」において、車両側に対して安全運転支援情報や道路交通情報等を提供するためのシステムである。「道路上における情報提供サービス」は、挟域通信システム(DSRC)技術を利用して各種の情報を車載受信機に送信するものである。路側無線装置は、路側システムにおける、路車間通信で情報を送信するための送信機である。
【0062】
このように、分岐路判断情報が複数種類存在している場合には、複数の分岐路判断情報の中から最も信憑性が高いと判断される分岐路判断情報に基づいて、車両が分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断するようにすればよい。そして、最も信憑性が高いと判断される分岐路判断情報に基づいて、車両走行する道路を特定できれば、他の分岐路判断情報を使わないようにしてもよい。これにより、分岐した道路のいずれの分岐路上に車両が位置しているのかを判断する際の判断精度をさらに向上できる。
【0063】
(4) 上述の説明では、道路が分岐している場合にのみ(図6のステップS133肯定判断)、道路高さ情報を読み込みに行くように構成しているが(図6のステップS151)、本発明はこれに限定されない。道路の分岐の有無にかかわらず、表示候補点の属するリンクに道路高さ情報が付加されているか否かをあらかじめ確認するようにしてもよい。
【0064】
(5) 上述の説明では、車載用途のカーナビゲーション装置について説明したが、本発明による現在位置算出装置は車載用途に限らず、自動二輪車や自転車へ搭載するナビゲーション装置や、歩行者用のナビゲーション装置などにも適用できる。
(6) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0065】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、有無判断手段、位置判断手段および現在位置推定手段は、CPU101およびCPU101で実行されるプログラムで実現される。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】カーナビゲーション装置1の全体構成を示す図である。
【図2】地図表示用データ(道路データ)の構成を示した図である。
【図3】現在位置算出処理の動作を示したフローチャートである。
【図4】分岐リンクについて説明する図である。
【図5】異なる高さ位置に一般道と高速道路とが延在している場合の例を示す図である。
【図6】図3のフローチャートにおけるステップS13のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】表示候補点の高さ位置の変位および車両の高さ方向の変位を説明する図である。
【図8】変形例を示す図である。
【図9】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 カーナビゲーション装置 11 現在地検出装置
100 制御装置 101 CPU
109 地図記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向前方で道路が分岐している場合に、道路の延在方位に関する情報以外の情報であって分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断するための情報(分岐路判断情報)の有無を、道路の分岐点に到達する前に判断する有無判断手段と、
前記分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断する際に、前記有無判断手段で前記分岐路判断情報が存在すると判断されると、前記分岐路判断情報に基づく判断によってのみ、前記分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断し、前記有無判断手段で前記分岐路判断情報が存在しないと判断されると、前記分岐路判断情報を用いることなく前記分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断する位置判断手段と、
前記位置判断手段の判断結果に基づいて、現在の位置を推定する現在位置推定手段とを備えることを特徴とする現在位置算出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現在位置算出装置において、
前記位置判断手段は、前記分岐した道路について種類の異なる複数の前記分岐路判断情報が存在していた場合には、複数の前記分岐路判断情報の中から最も信憑性が高いと判断される前記分岐路判断情報に基づいて、前記分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断し、前記最も信憑性が高いと判断される前記分岐路判断情報に基づいて走行する道路が特定された場合には、他の分岐路判断情報を利用しないことを特徴とする現在位置算出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現在位置算出装置において、
前記分岐路判断情報は、道路の高さに関する情報を含むことを特徴とする現在位置算出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の現在位置算出装置において、
前記位置判断手段は、走行に伴う自身の高さ位置の変化に関する情報を取得し、前記道路の高さに関する情報と比較することで、前記分岐した道路のいずれに位置しているのかを判断することを特徴とする現在位置算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−43938(P2010−43938A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208002(P2008−208002)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】