説明

画像処理方法および装置並びにプログラム

【課題】擬似3次元医用画像の概観から断面画像の精読に至る読影ワークフローを効率化する。
【解決手段】画像取得部31で取得した3次元医用画像Vに基づいてボリュームレンダリング(VR)処理を行い、VR画像Pを出力するボリュームレンダリング処理部32と、生成されたVR画像P中に関心領域(ROI)Rを指示するROI指示部33と、指示された関心領域Rの3次元的位置Qを推定する推定部34と、関心領域Rの3次元的位置Qを含む断面画像Sを生成するMPR処理部35と、VR画像Pや断面画像Sを表示する画像表示部36とを設けた。推定部34では、関心領域R内の投影画素に反映された3次元医用画像V中の画素列を特定し、VR処理時にその画素列に沿って積算された積算不透明度の値が所定の閾値より大きくなった探索点の位置を求め、この位置を関心領域Rの3次元的位置Qと推定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理に関し、特に詳しくは、擬似3次元画像の概観から断面画像の精読に至る読影ワークフローを支援するために、3次元医用画像に基づいて擬似3次元画像を生成し、生成された擬似3次元画像中に読影者により指示された関心領域を含む断面画像を生成する画像処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CT装置、MRI装置、超音波診断装置(エコー)等の発展により、より詳細なレベルでの3次元医用画像の取得が可能になったが、それと同時に、1回の検査で撮影される画像数も膨大になったため、撮影された断面画像を1枚ずつ観察することによって読影する従来の方法では、膨大な時間がかかるようになった。また、断面画像に基づいて被検体の3次元的構造を把握するには、十分な経験を要することから、読影者の経験の差によって、読影精度にも差が生じてしまっていた。
【0003】
そこで、3次元コンピュータグラフィックスの技術を応用して、3次元医用画像を2次元平面に立体的に可視化した擬似3次元画像を生成する画像処理が行われるようになった。
【0004】
このような擬似3次元画像を生成する技術としては、ボリュームレンダリング法が知られている。これは、3次元医用画像を構成する各画素(ボクセル)に対して設定された不透明度(Opacity)と輝度値とに基づき、視線に沿った各探索点におけるこれらの値をサンプリングし、加算していくことによって投影画素の画素値を求め、半透明な投影画像を生成する処理である(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
【0005】
この擬似3次元画像は、光源からの光による反射や透過を考慮した陰影づけがなされているため、画像の明暗や濃淡は、もとの3次元医用画像の画素値の高低を直接的に反映したものとはなっていない。すなわち、擬似3次元画像からCT値等の原信号値を読み取ることは不可能になっている。
【0006】
したがって、実際の読影では、このような擬似3次元画像によって被検体を概観した後、画像中の関心領域については、MPR(Multi-Planar Reconstruction;多断面再構成)処理やMIP(Maximum Intensity Projection;最大値投影)処理、MinIP(Minimum Intensity Projection;最小値投影)処理等により生成される、もとの3次元画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像によって、詳細に観察することが行われている(例えば、特許文献2,3)。
【0007】
一方、擬似3次元画像は、半透明化処理によって、被検体の表面だけでなく内部構造も可視化したものであるから、この画像を構成する各投影画素には、もとの3次元医用画像の複数の画素の画素値が投影されたものとなっている。このため、擬似3次元医用画像中に関心領域を設定しても、関心領域内の画素がもとの3次元医用画像中のどの画素に対応するかを特定することができないので、その擬似3次元画像の奥行き方向の位置を特定することはできない。したがって、読影者は、擬似3次元画像における奥行き方向の位置を試行錯誤しながら、その擬似3次元画像中の関心領域を含む断面画像を生成する必要があり、作業効率の点で問題があった。
【0008】
この奥行き方向の位置を推定する方法としては、ボリュームレンダリング画像において3次元量を計測する際に、任意の視点と投影面上の複数の投影画素の各々とを結ぶ視線に沿って3次元医用画像中の各画素を投影したボリュームレンダリング画像中に関心領域を指定した後、その関心領域内の投影画素の視線方向における不透明度や輝度の変化をグラフ表示し、読影者がそのグラフを見て奥行き方向の位置を推定する方法が知られている(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開2002−312809号公報
【特許文献2】特開2002−011000号公報
【特許文献3】特開2001−236492号公報
【特許文献4】特開平10−201755号公報
【非特許文献1】周藤安造著,「医学における三次元画像処理―基礎から応用まで」,初版,コロナ社,1995年3月,p.104−112
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4記載の方法では、奥行き方向の位置の推定を読影者が手作業で行う必要があるため、関心領域を含む断面画像の生成の際にこの方法を適用したとしても、読影者による手作業が残ることになり、前記の擬似3次元医用画像の概観から断面画像の精読に至る読影ワークフローを効率的に実施することはできない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、この読影ワークフローを効率化する画像処理方法および装置並びにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による画像処理方法は、3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像を、所定の投影面に投影する際に、半透明化および陰影づけを行うことによって、3次元医用画像の画素値の高低がその投影面上の画素の画素値の高低に直接的に反映されていない擬似3次元画像を生成し、生成された擬似3次元画像を表示し、表示された擬似3次元画像中の関心領域を指示し、3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき、指示された関心領域の、擬似3次元画像の奥行き方向における位置を推定し、推定された関心領域の位置における画素の画素値を投影することによって、3次元医用画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像を生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明による画像処理装置はこの方法を実施するものである。すなわち、3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像を、所定の投影面に投影する際に、半透明化および陰影づけを行うことによって、3次元医用画像の画素値の高低が投影面上の画素の画素値の高低に直接的に反映されていない擬似3次元画像を生成する擬似3次元画像生成手段と、生成された擬似3次元画像を表示する表示手段と、表示された擬似3次元画像中の関心領域を指示する指示手段と、3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき、この擬似3次元画像の奥行き方向における、指示手段によって指示された関心領域の位置を推定する推定手段と、推定手段によって推定された関心領域の位置における画素の画素値を投影することによって、3次元医用画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像を生成する断面画像生成手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明による画像処理プログラムは上記の方法をコンピュータに実行させるためのものである。すなわち、3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像を、所定の投影面に投影する際に、半透明化および陰影づけを行うことによって、3次元医用画像の画素値の高低が投影面上の画素の画素値の高低に直接的に反映されていない擬似3次元画像を生成する擬似3次元画像生成手段と、生成された擬似3次元画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、表示された擬似3次元画像中の関心領域の指示を受け付ける指示受付手段と、3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき、擬似3次元画像の奥行き方向における、指示受付手段により受け付けられた関心領域の位置を推定する推定手段と、推定手段によって推定された関心領域の位置における画素の画素値を投影することによって、3次元医用画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像を生成する断面画像生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0014】
次に、本発明による画像処理方法および装置並びにプログラムの詳細について説明する。
【0015】
「3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像」とは、被検体を表す医用画像であって、3次元的に配列された画素(ボクセル)の各々に画素値を与えることによって定義された3次元画像データによる画像である。具体例としては、CT装置やMRI装置を使用した撮影によって得られる複数の2次元のスライス画像を奥行き(深さ)方向に積み重ねて3次元にした画像が考えられる。
【0016】
「所定の投影面に投影する」手法は、平行投影であっても、透視投影であってもよい。
【0017】
「半透明化」とは、3次元医用画像に表された被検体の表面だけでなく、被検体の内部についても視覚化することを意味する。すなわち、擬似3次元画像が生成される投影面上の各画素の画素値には、3次元医用画像を構成する複数の画素の画素値が反映されるのである。したがって、擬似3次元画像中の各画素が、3次元医用画像中の各画素のどれに対応するかを特定することはできない。
【0018】
「陰影づけ」とは、光源や周囲の光(環境光)、視点からの見え具合、被検体表面の色や反射率などを考慮して、被検体の表面の色や輝度、陰影、光沢などを決定する処理を意味する。これにより被検体の立体感が表現されるが、同時に、擬似3次元画像中の明るさや濃度は、もとの3次元医用画像の画素値と直接的に対応しなくなる。
【0019】
「擬似3次元画像」は、前記の半透明化および陰影づけ処理により生成されたものであり、立体感や遠近感をもたせながら被検体を2次元に投影した画像である。
【0020】
「関心領域」は、点でも、線分でも、円や多角形等の閉領域でもよい。
【0021】
「3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき」とは、CT値等の入力画素値に基づいていてもよいし、ボリュームレンダリング法における不透明度や輝度値のように、入力画素値に基づいて取得した2次的数値に基づいていてもよい。
【0022】
推定手段による推定の手法としては、指示手段によって指示された関心領域中の画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、3次元医用画像中の画素の位置を、前記関心領域の位置と推定することが考えられる。また、この寄与の度合が所定の基準よりも大きい、3次元画像中の画素の位置を、擬似3次元画像を生成する際に記憶する記憶手段を設け(本発明の画像処理プログラムでは、記憶手段に記憶させる記憶制御手段としてコンピュータを機能させるようにし)、推定手段が、この寄与の度合が所定の基準よりも大きい、3次元画像中の画素の位置を、記憶手段から取得し、関心領域の位置と推定するようにしてもよい。
【0023】
この擬似3次元画像の具体例としては、3次元医用画像を構成する各画素に輝度値と不透明度とを割り当て、任意の視点と投影面上の各画素とを結ぶ複数の視線に沿って輝度値と不透明度の各々を積算して投影面上の画素の画素値を決定するボリュームレンダリング法によって生成された画像が考えられる。この場合、推定手段が、輝度値と不透明度の少なくとも一方に基づき、関心領域の位置を推定するようにすることが好ましい。具体的な推定の手法としては、不透明度の値が所定の閾値より大きい位置や、視線に沿って不透明度の積算をしていく際に既に積算済の不透明度の値が所定の閾値を超えた位置、積算をしていく際に不透明度の値が所定の閾値よりも大きく変化する位置を、関心領域の位置と推定することが考えられる。また、これら3つの位置の少なくとも1つを記憶する記憶手段を設け(本発明の画像処理プログラムでは、記憶手段に記憶させる記憶制御手段としてコンピュータを機能させるようにし)、推定手段が、記憶手段からこれらの位置を取得し、この関心領域の位置と推定するようにしてもよい。
【0024】
また、断面画像生成手段が、関心領域を含み、推定によって生じうる関心領域の位置の視線の方向における誤差とほぼ等しい厚さを有する視線に垂直な断面中の画素の画素値を投影することによって、断面画像を生成するようにしてもよい。
【0025】
「断面画像」は、3次元医用画像の画素値の高低が断面画像中の明るさや濃淡に直接的に反映されたものであり、断面画像を生成する処理の具体例としては、3次元医用画像中の所定の領域の軸位断(Axial)だけでなく、冠状断(Coronal)や矢状断(Sagittal)、斜位断(Oblique)により任意の断面画像を生成するMPR(Multi-Planar Reconstruction;多断面再構成)処理や、視線毎に探索点の画素値の最大値/最小値を抽出して投影するMIP(Maximum Intensity Projection;最大値投影)処理/MinIP(Minimum Intensity Projection;最小値投影)処理が考えられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の画像処理では、表示された擬似3次元画像中の関心領域を指示し、指示された関心領域の奥行き方向における位置を自動的に推定し、推定された関心領域の位置における画素の画素値を投影した断面画像を生成する。したがって、読影者は、擬似3次元画像の概観から断面画像の精読に至る読影ワークフローの中で、擬似3次元画像中の関心領域の奥行き方向の位置を手作業で試行錯誤的に行う必要がなくなるため、この読影ワークフローの効率化が実現される。
【0027】
また、擬似3次元画像を生成する際に、擬似3次元画像の各画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、3次元医用画像中の画素の位置を、擬似3次元画像の画素毎に記憶するようにし、指示された関心領域の位置を、この記憶された位置を取得して推定するようにした場合には、擬似3次元画像を生成するために3次元医用画像中の各画素をスキャンする際に、同時並行で、擬似3次元画像中の画素の画素値の決定に対する寄与の度合を判断するので、指示された関心領域の位置の推定の際に、関心領域中の画素の画素値の決定のためにスキャンした3次元医用画像中のすべての画素を再度スキャンして、その寄与の度合を求める必要がなくなるため、処理効率がさらに向上する。
【0028】
なお、本発明における擬似3次元画像を構成する各画素の画素値には、もとの3次元医用画像の複数の画素の画素値が投影されているため、擬似3次元画像中に関心領域を指示しても、その指示された関心領域の奥行き方向の位置を正確に特定することは不可能である。そこで、断面画像の生成の際に、関心領域を含み、関心領域の位置の推定によって生じうる関心領域の位置の視線の方向における誤差とほぼ等しい厚さを有する、視線に垂直な断面中の画素の画素値を投影することによって、断面画像を生成するようにした場合には、推定された関心領域の位置に多少の誤差があったとしても、生成された断面画像中に関心領域が含まれるため、読影者が関心領域を含む断面画像を手作業で試行錯誤的に作成する必要がなくなり、さらなる読影効率の向上に資する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は、3次元医用画像処理システムの概要を示すハードウェア構成図である。図に示すように、このシステムでは、モダリティ1と、画像保管サーバ2と、画像処理ワークステーション3とが、ネットワーク9を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0031】
モダリティ1は、被検体を表す3次元医用画像Vを取得し、3次元医用画像データV(以下、画像と画像データとは同じ記号を用いる)を出力するものである。具体的には、CT装置やMRI装置、超音波診断装置等である。
【0032】
画像保管サーバ2は、モダリティ1で取得された3次元医用画像データVや画像処理ワークステーション3での画像処理によって生成された画像データの医用画像を画像データベースに保存・管理するコンピュータであり、大容量外部記憶装置やデータベース管理ソフトウェア(例えば、ORDB(Object Relational DataBase)管理ソフトウェア)を備えている。
【0033】
画像処理ワークステーション3は、読影者からの要求に応じて、モダリティ1や画像保管サーバ2から取得した3次元医用画像Vに対して画像処理を行い、生成された画像を表示するコンピュータであり、特に、読影者からの要求を入力するキーボードやマウス等の入力装置と、取得した3次元医用画像Vを格納可能な容量の主記憶装置と、生成された画像を表示する高精細液晶ディスプレイとを備えている。
【0034】
画像データの格納形式やネットワーク9経由での各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)等のプロトコルに基づいている。
【0035】
図2は、画像処理ワークステーション3の機能を示すブロック図である。図に示すように、画像処理ワークステーション3は、処理対象となる3次元医用画像データVをモダリティ1や画像保管サーバ2から取得する画像取得部31と、取得された3次元医用画像データVに基づいてボリュームレンダリング処理を行い、ボリュームレンダリング画像Pの画像データPを出力するボリュームレンダリング処理部(擬似3次元画像生成手段)32と、生成されたボリュームレンダリング画像P中に関心領域(ROI)Rを指示するROI指示部(指示手段、指示受付手段)33と、指示された関心領域Rの3次元的位置Qを推定する推定部(推定手段)34と、MPR処理によって、関心領域Rの3次元的位置Qを含む断面画像Sの画像データSを生成するMPR処理部(断面画像生成手段)35と、ボリュームレンダリング画像Pや断面画像Sを表示する画像表示部(表示手段、表示制御手段)36とから構成されている。
【0036】
ROI設定部33で設定された関心領域Rは、ボリュームレンダリング画像Pにおける奥行き方向の位置情報を有していないため、推定部34は、ボリュームレンダリング処理部32の処理中に得られる視線方向情報Dを利用して3次元的位置Qの推定を行う。なお、この視線方向情報Dの詳細については後述する。
【0037】
次に、この医用画像処理システム、特に画像処理ワークステーション3によって、ボリュームレンダリング画像Pの概観から断面画像Sの精読に至る読影ワークフローを実現する読影者の操作と処理の流れとについて説明する。
【0038】
まず、読影者は、画像処理ワークステーション3の高精細液晶ディスプレイに表示される図3に示す画面を見ながら、処理対象の3次元医用画像Vの選択を行う。図3の画面は、画像取得部31によって生成されたものであり、検査対象の画像の検索条件が階層化されたカテゴリに分類されている。画像取得部31は、読影者がマウスやキーボード等の操作により選択したカテゴリを、処理対象の画像の検索条件を画像保管サーバ2に対する検索要求メッセージに設定する。例えば、図3のように、現在の日時を2004年1月10日16時45分として、読影者が「直近24時間の検査」、「CT」を選択した場合、画像取得部31は、検査日時が「2004年1月9日16時46分〜2004年1月10日16時45分」かつモダリティが「CT」という検索条件を検索要求メッセージに設定する。読影者がマウス操作により検索実行ボタンをクリックすると、画像取得部31は、検索要求メッセージをネットワーク9経由で画像保管サーバ2に送信する。画像保管サーバ2では、受信した検索要求メッセージに基づいて、画像データベースを検索し、該当する画像データの患者氏名、患者ID、検査日付、モダリティ、画像数等のリスト情報を応答メッセージとして画像処理ワークステーション3に送信する。画像処理ワークステーション3では、画像取得部31が受信したリスト情報を図4のように表示する。読影者が、リストされた画像データに関する情報から、読影対象の患者の画像データを表す行をマウスやキーボード等の操作により選択すると、画像取得部31は、選択された行のリスト情報を画像取得要求メッセージに設定し、画像保管サーバ2に送信する。画像保管サーバ2は、受信したリスト情報に基づいて、画像データベースを検索し、該当する画像データVを画像処理ワークステーション3に送信する。画像処理ワークステーション3では、画像取得部31が、受信した画像データVを画像メモリに書き込む。この画像データVは、被検体の左右方向をx軸、前後方向をy軸、上下方向をz軸とする3次元座標系で各画素(以下、ボクセルという)の位置が定義され、各ボクセルの画素値は、そのボクセルの位置の座標と関連づけられている。
【0039】
次にボリュームレンダリング処理部32が行う処理について説明する。図5は、ボリュームレンダリング処理の手順を表したものである。図に示すように、ボリュームレンダリング処理では、3次元医用画像データVの入力後、雑音除去や画像強調等の前処理を行い、前処理後の3次元医用画像Vを構成する各ボクセルについて、輝度値と不透明度とを決定し、これらの値をそれぞれ合成することによりボリュームレンダリング画像Pを構成する画素の画素値(出力画素値)を求める。輝度値の決定と不透明度の決定とは、互いに独立した処理のため、直列処理で行う場合にはどちらの処理を先に行ってもよいし、並列処理により同時並行で行ってもよい。
【0040】
まず、前処理では、各ボクセルについて、周辺6近傍(または、18,26近傍)のボクセルに対して画像演算オペレータを設定し、フィルタリング演算(積和演算)を行う。これにより、平滑化により孤立点等が除去された3次元医用画像V’が得られる。
【0041】
次に、各ボクセルの輝度値を決定する処理について説明する。ボクセル(i,j,k)の輝度値b(i,j,k)は、次の式(1)により算出される。
【数1】

【0042】
ここで、hは、拡散反射によるシェーディング係数である。なお、本実施形態では、環境光や鏡面反射光については考慮していない。また、N(i,j,k)は、ボクセル(i,j,k)における法線ベクトルであり、次の式(2)により算出される。
【数2】

【0043】
このΔf(i,j,k)とは、次の式(3)のように、ボクセル(i,j,k)に隣接する6つのボクセルの入力画素値から求めた勾配値である。なお、fはそのボクセルの入力画素値を表す。
【数3】

【0044】
さらに、Lは、ボクセル(i,j,k)から光源への単位方向ベクトル、「・」はベクトルの内積、cm(i,j,k)(ただし、m=R,G,B)は、予め被検体の組織毎(CT値等の入力画素値毎)に定義された色情報に基づき、各ボクセルに割り当てられた色情報である。なお、光源の位置は装置の初期設定ファイル等で予め設定しておいてもよいし、読影者がキーボードやマウスを使用して入力するようにしてもよい。
【0045】
次に、各ボクセルの不透明度を決定する処理について説明する。ボクセル(i,j,k)の不透明度α(i,j,k)は、例えば、次の式(4)により算出される。
【数4】

【0046】
ここで、αa、αb、αcは、被検体の組織を表す入力画素値毎に定義した不透明度である。すなわち、画素値fa、fb、fcのボクセルの不透明度は各々αa、αb、αcと定義している。なお、fa≦fb≦fcである。また、式(4)では、異なる組織間の境界を強調するため、ボクセル(i,j,k)に隣接する6つのボクセルの入力画素値から求めた勾配Δf(i,j,k)をさらに考慮している。
【0047】
なお、勾配値Δf(i,j,k)は、輝度値を決定する処理と不透明度を決定する処理の各々において算出するようにしてもよいが、画像処理ワークステーション3のメモリ容量に余裕があれば、予め各ボクセル(i,j,k)について勾配値Δf(i,j,k)を算出して記憶させておき、輝度値や不透明度の決定の際には、メモリに格納されている勾配値Δf(i,j,k)を読み出して用いるようにしてもよい。これにより、演算時間の短縮を図ることが可能になる。
【0048】
各ボクセルの輝度値と不透明度とを決定した後、レイキャスティングにより、ボリュームレンダリング画像Pを構成する画素の画素値(出力画素値)を求める。まず、初期設定ファイル等や読影者によるキーボードやマウス等からの入力により、視点と投影面(大きさ、位置、画素数、法線ベクトルの向き)の設定を行う。これにより、視点と投影面上の投影画素の各々とを結ぶ複数の視線が決定される。次に、決定された視線に沿って探索点を順に設定し、図6に示すように、隣接する8つのボクセルの輝度値と不透明度とに基づき線形補間を行って、探索点での輝度値と不透明度とを求める。そして、各探索点での輝度値と不透明度とに基づいて、輝度値の積算を行っていく。具体的には、n番目の探索点を通過した光を表す積算輝度値bout(n)は、次の式(5)により算出される。
【数5】

【0049】
ここで、bin(n)はn番目の探索点に入射する光を表す積算輝度値、α(n)はn番目の探索点における不透明度、b(n)はn番目の探索点における輝度値を表す。なお、n番目の探索点を通過した光が(n+1)番目の探索点に入射する光となるから、bout(n)=bin(n+1)となる。
【0050】
また、この輝度値の積算と同時に、探索点を通過する毎にその探索点の不透明度を加算していく。ここで加算された不透明度を積算不透明度αTとよぶ。そして、探索点が3次元医用画像Vの範囲外となるか、積算不透明度αTが1(不透明)に達したら、その視線についての処理を終了し、その時点での積算輝度値boutを、その視線上にある投影画素の出力画素値として決定する。
【0051】
このような処理を各視線について行い、投影面上のすべての投影画素の出力画素値を決定し、ボリュームレンダリング画像Pを生成する。
【0052】
なお、ここで求められた各探索点における積算輝度値boutおよび積算不透明度αTは、その探索点を通る視線や投影画素、その探索点の位置と関連づけられて、画像処理ワークステーション3の主記憶装置に記憶される。本実施形態では、この情報を視線方向情報Dと呼ぶ。
【0053】
生成されたボリュームレンダリング画像Pは、画像表示部36によって画像処理ワークステーション3の高精細液晶ディスプレイに表示される。
【0054】
読影者は、表示されたボリュームレンダリング画像Pを観察し、ROI設定部33のキーボードやマウス操作により、関心領域Rを指示する。具体的には、図7に示すように、関心領域Rにマウスのポインタを合わせて右クリックを行うことにより指示する。なお、この関心領域Rは、画像中の点であってもよいし、線分であってもよいし、また、閉領域であってもよい。線分や閉領域を指示する場合には、前記の右クリックをしたままドラッグを行う。以下では、関心領域Rが点の場合を例にして説明を行うが、関心領域Rが線分や閉領域の場合についても、これらは点の集合であることから、関心領域Rが点の場合と同様に取り扱うことができる。このとき、ROI指示部33は、指示された関心領域Rに属する投影画素を認識する。
【0055】
関心領域Rの指示後、推定部34は、関心領域Rとして指示されたボリュームレンダリング画像P中の投影画素を通る視線を特定し、その視線における視線方向情報Dに基づき、関心領域Rの3次元医用画像Vにおける3次元的位置Qを推定する。具体的には、積算不透明度αTの値が所定の閾値より大きくなった探索点の位置を求め、この位置を関心領域Rの3次元医用画像Vにおける3次元的位置Qと推定する。なお、積算不透明度αTの値の変化率(増加率)が所定の値より大きくなった探索点の位置を求め、この位置を関心領域Rの3次元医用画像Vにおける3次元的位置Qと推定してもよい。
【0056】
読影者は、マウスの右クリックにより関心領域Rを指示した際に表示されるメニューから、次に表示する断面画像を生成するための処理の種類を選択する。ここでは、MPR処理を選択した場合を例にして説明を行う。
【0057】
関心領域Rの3次元的位置Qの推定後、MPR処理部35が、この3次元的位置Qにある探索点を含み、視線方向に所定の厚さを有する、この視線に垂直な断面内の画素の画素値を、MPR技術により、この断面と平行な投影面に投影した断面画像Sを生成する。ここで、所定の厚さとは、推定部34で推定された3次元的位置Qと、実際に読影者が関心を持っている領域の真の位置との間の誤差を考慮して予め設定されたものである。すなわち、この厚さが厚すぎると、断面画像Sに投影される真の関心領域以外の部分の画素が多くなりすぎるため、読影しづらくなってしまうし、逆に薄すぎると、真の関心領域の位置の画素が断面画像Sに投影されない可能性が高くなってしまうので、このような問題を回避できる適切な厚さを設定しておくのである。具体的には、10〜30mm程度の厚さが好ましい。
【0058】
生成された断面画像Sは、画像表示部36によって画像処理ワークステーション3の高精細液晶ディスプレイに表示される(図8)。
【0059】
このように本発明による画像処理の実施形態となる3次元医用画像処理システムでは、3次元医用画像Vに基づいてボリュームレンダリング処理部32で生成されたボリュームレンダリング画像P中に設定された関心領域Rの3次元的位置Qを、推定部34が、ボリュームレンダリング処理部32の処理の際に生成された視線方向情報Dに基づいて自動的に推定し、MPR処理部35が、この3次元的位置Qを含む断面画像Sを生成する。したがって、読影者は、ボリュームレンダリング画像Pによる概観から断面画像Sによる精読に至る読影ワークフローを効率的に実施することが可能になり、読影効率が向上する。
【0060】
また、観察対象の部位や3次元医用画像Vの撮影条件等によっては、推定部34によって推定された3次元的位置Qと関心領域Rの真の3次元的位置との間に誤差が生じる場合もありうるが、MPR処理部35が投影する3次元領域の視線方向における厚さをこの誤差を考慮した値に設定可能にしたので、断面画像Sは関心領域Rの画素が投影されたものとなり、読影者は関心領域Rが含まれる断面画像Sを試行錯誤的に手動で生成する必要がなくなり、読影効率が向上する。
【0061】
本実施形態では、数式を用いて各ボクセルの輝度値bや不透明度αを算出するようにしていたが、入力値と出力値との関係を予め計算しておいたテーブルを主記憶装置に格納しておき、実際の処理の際には、テーブル参照により各ボクセルの輝度値bや不透明度αを決定するようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、ボリュームレンダリング処理部32において、各探索点における積算輝度値boutおよび積算不透明度αTを視線方向情報Dとして主記憶装置に記憶させるようにしていたが、ボリュームレンダリング処理部32でレイキャスティングを行う際に、積算不透明度αTの値が所定の閾値より大きくなった探索点の位置や、積算不透明度αTの値の変化率(増加率)が所定の値より大きくなった探索点の位置だけを、視線方向情報Dとして視線毎に主記憶装置に記憶させるようにしてもよい(記憶手段、記憶制御手段)。これにより、主記憶装置に探索点毎の情報を記憶させる必要がなくなるため、記憶容量の節約になるとともに、探索点毎の情報を再度読み込んで閾値処理を行う必要もなくなるため、処理効率も向上する。
【0063】
本実施形態では、MPR技術により断面画像Sを生成するようにしていたが、関心領域Rを含む3次元領域を対象にしたMIP(Maximum Intensity Projection;最大値投影)処理、すなわち、Slab−MIP処理や、Slab−MinIP(Minimum Intensity Projection;最小値投影)処理により断面画像Sを生成するようにしてもよい。
【0064】
本実施形態では、画像処理ワークステーション3で画像処理と画像表示の両方を行うようにしたが、画像処理サーバを別途設けてネットワーク9に接続し、前記の画像処理はこの画像処理サーバに行わせるようにしてもよい。これにより、分散処理が図られ、例えば、画像の表示を複数の端末で行う場合には、高性能の画像処理ワークステーションを複数台設置する必要がなくなり、システム全体のコストの低減に資する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】3次元医用画像処理システムの概要を示すハードウェア構成図
【図2】画像処理ワークステーションの機能を示すブロック図
【図3】画像処理ワークステーションで処理対象画像の検索条件を設定する画面の一例を示す図
【図4】画像処理ワークステーションで検索結果リストが表示された画面の一例を示す図
【図5】ボリュームレンダリング処理の手順を示すフロー図
【図6】探索点と隣接する8つのボクセルとの位置関係を示す図
【図7】ボリュームレンダリング画像中の関心領域を指示する画面の一例を示す図
【図8】MPR画像の一例を示す図
【符号の説明】
【0066】
1 モダリティ
2 画像保管サーバ
3 画像処理ワークステーション
9 ネットワーク
31 画像取得部
32 ボリュームレンダリング処理部
33 ROI指示部
34 推定部
35 MPR処理部
36 画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像を、所定の投影面に投影する際に、半透明化および陰影づけを行うことによって、前記3次元医用画像の画素値の高低が前記投影面上の画素の画素値の高低に直接的に反映されていない擬似3次元画像を生成し、
生成された前記擬似3次元画像を表示し、
表示された前記擬似3次元画像中の関心領域を指示し、
前記3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき、指示された前記関心領域の、前記擬似3次元画像の奥行き方向における位置を推定し、
推定された前記関心領域の位置における画素の画素値を投影することによって、前記3次元医用画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像を生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像を、所定の投影面に投影する際に、半透明化および陰影づけを行うことによって、前記3次元医用画像の画素値の高低が前記投影面上の画素の画素値の高低に直接的に反映されていない擬似3次元画像を生成する擬似3次元画像生成手段と、
生成された前記擬似3次元画像を表示する表示手段と、
表示された前記擬似3次元画像中の関心領域を指示する指示手段と、
前記3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき、前記擬似3次元画像の奥行き方向における、前記指示手段によって指示された前記関心領域の位置を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記関心領域の位置における画素の画素値を投影することによって、前記3次元医用画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像を生成する断面画像生成手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記推定手段が、前記指示手段によって指示された前記関心領域中の画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、前記3次元医用画像中の画素の位置を、前記関心領域の位置と推定するものであることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記擬似3次元画像を生成する際に、前記擬似3次元画像の各画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、前記3次元医用画像中の画素の位置を、前記擬似3次元画像の画素毎に記憶する記憶手段をさらに備え、
前記推定手段が、前記指示手段によって指示された前記関心領域中の画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、前記3次元医用画像中の画素の位置を、前記記憶手段から取得し、前記関心領域の位置と推定するものであることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記擬似3次元画像が、前記3次元医用画像を構成する各画素に輝度値と不透明度とを割り当て、任意の視点と前記投影面上の各画素とを結ぶ複数の視線に沿って前記輝度値と前記不透明度の各々を積算して前記投影面上の画素の画素値を決定するボリュームレンダリング法によって生成された画像であり、
前記推定手段が、前記輝度値と前記不透明度の少なくとも一方に基づき、前記関心領域の位置を推定するものであることを特徴とする第2項から第4項のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記推定手段が、前記不透明度の値が所定の閾値より大きい位置と、前記視線に沿って前記不透明度の積算をしていく際に既に積算済の前記不透明度の値が所定の閾値を超えた位置と、前記積算をしていく際に前記不透明度の値が所定の閾値よりも大きく変化する位置のうちの少なくとも1つを、前記関心領域の位置と推定するものであることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記擬似3次元画像が、前記ボリュームレンダリング法によって生成された画像であり、
前記記憶手段が、前記不透明度の値が所定の閾値より大きい位置と、前記視線に沿って前記不透明度の積算をしていく際に既に積算済の前記不透明度の値が所定の閾値を超えた位置と、前記積算をしていく際に前記不透明度の値が所定の閾値よりも大きく変化する位置のうちの少なくとも1つを記憶するものであることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記断面画像生成手段が、前記関心領域を含み、前記推定によって生じうる前記関心領域の位置の前記視線の方向における誤差とほぼ等しい厚さを有する、前記視線に垂直な断面中の画素の画素値を投影することによって、前記断面画像を生成するものであることを特徴とする第5項から第7項のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
3次元空間に定義された、被検体を表す3次元医用画像を、所定の投影面に投影する際に、半透明化および陰影づけを行うことによって、前記3次元医用画像の画素値の高低が前記投影面上の画素の画素値の高低に直接的に反映されていない擬似3次元画像を生成する擬似3次元画像生成手段と、
生成された前記擬似3次元画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
表示された前記擬似3次元画像中の関心領域の指示を受け付ける指示受付手段と、
前記3次元医用画像を構成する画素の画素値に基づき、前記擬似3次元画像の奥行き方向における、前記指示受付手段により受け付けられた前記関心領域の位置を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記関心領域の位置における画素の画素値を投影することによって、前記3次元医用画像の画素値の高低が直接的に反映された断面画像を生成する断面画像生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
前記推定手段が、前記擬似3次元画像の各画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、前記3次元医用画像中の画素の位置を、前記関心領域の位置と推定するように前記コンピュータを機能させることを特徴とする請求項9記載の画像処理プログラム。
【請求項11】
前記擬似3次元画像を生成する際に、前記擬似3次元画像の各画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、前記3次元医用画像中の画素の位置を、前記擬似3次元画像の画素毎に記憶手段に記憶させる記憶制御手段として前記コンピュータをさらに機能させ、
前記推定手段が、前記指示手段によって指示された前記関心領域中の画素の画素値の決定に対する寄与の度合が所定の基準よりも大きい、前記3次元医用画像中の画素の位置を、前記記憶手段から取得し、前記関心領域の位置と推定するように前記コンピュータを機能させることを特徴とする請求項10記載の画像処理プログラム。
【請求項12】
前記擬似3次元画像生成手段が、前記3次元医用画像を構成する各画素に輝度値と不透明度とを割り当て、任意の視点と前記投影面上の各画素とを結ぶ複数の視線に沿って前記輝度値と前記不透明度の各々を積算して前記投影面上の画素の画素値を決定するボリュームレンダリング法によって、前記擬似3次元画像を生成し、
前記推定手段が、前記輝度値と前記不透明度の少なくとも一方に基づき、前記関心領域の位置を推定するようにコンピュータを機能させることを特徴とする第9項から第11項のいずれか1項記載の画像処理プログラム。
【請求項13】
前記推定手段が、前記不透明度の値が所定の閾値より大きい位置と、前記視線に沿って前記不透明度の積算をしていく際に既に積算済の前記不透明度の値が所定の閾値を超えた位置と、前記積算をしていく際に前記不透明度の値が所定の閾値よりも大きく変化する位置のうちの少なくとも1つを、前記関心領域の位置と推定するようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項12記載の画像処理プログラム。
【請求項14】
前記擬似3次元画像生成手段が、前記ボリュームレンダリング法によって前記擬似3次元画像を生成し、
前記記憶制御手段が、前記不透明度の値が所定の閾値より大きい位置と、前記視線に沿って前記不透明度の積算をしていく際に既に積算済の前記不透明度の値が所定の閾値を超えた位置と、前記積算をしていく際に前記不透明度の値が所定の閾値よりも大きく変化する位置のうちの少なくとも1つを前記記憶手段に記憶させるようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項11記載の画像処理プログラム。
【請求項15】
前記断面画像生成手段が、前記関心領域を含み、前記視線の方向における、前記推定によって生じうる前記関心領域の位置の誤差とほぼ等しい厚さを有する前記視線に垂直な断面中の画素の画素値を投影することによって、前記断面画像を生成するようにコンピュータを機能させることを特徴とする第12項から第14項のいずれか1項記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−127(P2006−127A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176364(P2004−176364)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】