説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】 ネットワークに多数存在する画像形成装置を階調補正する際に、各々の装置の状況を考慮し、ユーザの作業負荷を軽減する方法が必要である。
【解決手段】 本発明の画像処理装置は、第1又は第2の階調補正を実施する複数の画像形成装置とネットワークで接続され、これらの装置に対し階調補正の実施を指示し、夫々に対し第1又は第2の階調補正を選択する。第1の階調補正を選択した装置に対して、この装置の像担持体にパッチパターンを形成し、これを装置のセンサで読取ったデータから階調補正データを生成して階調補正を開始する事を指示する。ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された装置に対し、紙にパッチパターンを印刷する事を指示する。このパターンがユーザによって読取り部に配置されると、これを読取り第2の階調補正を選択された装置に読取り値を補正するためのデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上に多数存在する画像形成装置の階調補正を一括で行う際に、それぞれの画像形成装置における階調補正の方法を選択し、ネットワーク上の画像形成装置の階調補正を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー、プリント、ファクシミリ機能を兼ね備える複合機(以下、MFPと表現する)やプリンタは、オフィス内においてカラー化が加速している。MFPやプリンタは、その使用頻度、使用環境により濃度特性が変動する。その変動を改善する技術として、階調補正がある。階調補正データの作成方法には、大きく分けて2つある。一つは、MFPやプリンタから階調補正用パッチパターンを印字した紙を出力し、その紙上の階調補正パッチパターンを読取装置(例えば、MFPのスキャナや市販の濃度計)を用いて読取り、階調補正データを作成する方法である。もう一つは、MFPやプリンタから階調補正用パッチパターンをMFPやプリンタ内部の転写ベルト上に印字し、内部のセンサを用いて読取り、階調補正データを作成する方法である。
【0003】
階調補正データの作成の作業、特に紙出力による階調補正データの作成方法は、ユーザ自身が、紙に出力されたパッチパターンを出力先から取得し、そのパッチパターンを読取り装置に読み込ませなければならないので、ユーザに負荷がかかる。特許文献1においては、必要に応じて、階調補正用パッチパターンの数を減らすことで、補正にかかる時間を減らした階調補正を実施する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−058415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、パッチパターンの数を減らすことで階調補正自体にかかる時間を減らすことについて記載があった。しかし、各々の画像形成装置の状況を考慮に入れて、上記2つの階調補正方法のいずれかを選択することで、ユーザの作業負荷を軽減する点について検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、第1の階調補正、又は第2の階調補正を実施する複数の画像形成装置とネットワークで接続され、前記接続された複数の画像形成装置に対し階調補正の実施を指示することができる画像処理装置であって、前記接続された複数の画像形成装置それぞれに対し、前記第1の階調補正又は第2の階調補正を選択する選択手段、前記選択手段により、前記ネットワークで接続され第1の階調補正を選択された画像形成装置に対して前記画像形成装置における像担持体にパッチパターンを形成し、該パッチパターンを前記画像形成装置のセンサにより読取られたデータから階調補正データを生成し、階調補正を開始するように指示を送信し、前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に対しては、紙にパッチパターンを印刷するように指示する指示手段、ユーザによって読取り部に配置され、前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置が印刷したパッチパターンを読取る読取り手段、前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に前記パッチパターンの読取り値を補正するためのデータを送信する送信手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ネットワーク上に存在するMFPやプリンタの階調補正を行う際に、ネットワークで接続された各MFPやプリンタの状況を判定し、状況下に沿った階調補正を選択し、実行することができる。これにより、ユーザ負荷を抑えながら、各MFPやプリンタに対して、濃度特性の精度を保つことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像処理システムを示すブロック図である。
【図2】データ処理装置を示すブロック図である。
【図3】入力画像処理部を示すブロック図である。
【図4】本実施形態1の概要を示すフローチャートである。
【図5】階調補正用印刷出力物の一例を示す図である。
【図6】ユーザに開示するレポートを示す図である。
【図7】本実施形態1の概要を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態2の概要を示すフローチャートである。
【図9】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図10】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図11】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図12】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図13】転写ベルト上に印字される階調補正用パッチパターンの一例を示す図である。
【図14】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図15】ユーザに開示するレポートを示す図である。
【図16】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図17】本実施形態1の概要を示すフローチャートである。
【図18】本実施形態3の概要を示すフローチャートである。
【図19】ユーザに開示するレポートを示す図である。
【図20】UI画面に表示される一例を示す図である。
【図21】UI画面に表示される一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【0010】
オフィス10内に構築されたLAN106には、画像処理装置であるMFP101、画像形成装置であるMFP103、画像形成装置であるプリンタ102、104と、ローカルPC105が接続されている。
【0011】
画像処理装置であるMFP101は、このネットワークで接続されている複数のMFPやプリンタの階調補正を一括で行うことが可能なセンターマシンである。(以後、ネットワーク上に接続されている複数のMFPやプリンタの階調補正を一括で行うことをネットワーク自動階調補正と表現する)。
【0012】
[MFPに搭載されているデータ処理装置]
図2は、MFP101に搭載されているデータ処理装置の構成を示す図であり、入力画像処理部201、UI部202、自動階調補正部203、記憶部204、送信部205、で構成されている。
【0013】
図3は、図2の入力画像処理部201の構成を示す図であり、受信部301、画像分割部302、QRコード解析部303、輝度濃度変換部304、送信部305で構成されている。
【0014】
[階調補正処理]
本実施形態の説明で使用する2つの階調補正の処理方法について説明する。
図5は、画像形成装置であるMFP101から印刷出力される階調補正用のパッチパターンのイメージを表す図である。
【0015】
図13は、画像形成装置内の転写ベルト上に印字される階調補正用のパッチパターンのイメージを表す図である。
【0016】
1つ目の階調補正方法は、ネットワーク上に接続されている複数の画像形成装置から紙上に階調補正用パッチパターン502を各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)印字したものを印刷する。印刷の際には、画像形成装置が所有する全ての種類の画像形成方法により印字する必要がある。さらに、各々のMFPやプリンタのIPアドレスや製品名をコード化したQRコード503も印刷する。ユーザは、階調補正用に出力された印刷出力物501であるパッチパターンを各画像形成装置から回収し、それら印刷出力物501をMFP101のスキャナに装填し、スキャンする。スキャンし、読み込まれた階調補正用パッチパターン502の輝度値から各色の濃度特性を得る。その各色の濃度特性と画像形成装置が持つ理想の濃度特性を比較し、階調補正データを生成し、これを用いて階調補正を行う。以上の方法を、「紙出力による階調補正(第1の階調補正)」と呼ぶ。
【0017】
QRコード503には後述するように、印刷出力物501を出力した画像形成装置のIPアドレス、製品名がコード化して記録されている。
【0018】
もう1つの階調補正方法は、各画像形成装置内部にある中間転写ベルト1301上や感光体(不図示)である像担持体に階調補正用パッチパターン1302を各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)印字する。印字の際には、画像形成装置が所有する全ての種類の画像形成方法により印字する必要がある。印字された階調補正用パッチパターン1302は、装置内のセンサ1303により濃度特性を取得する。取得された各色の濃度特性と画像形成装置が持つ理想の濃度特性を比較し、階調補正データを作成する。以上の方法を、「内部での階調補正(第2の階調補正)」と呼ぶ。
【0019】
紙出力による階調補正と内部での階調補正を比較すると、使用するパッチパターンの階調数が紙出力による階調補正の方が多いため、補正に関する処理の演算精度は高い。よって、階調補正の精度を求める際には、紙出力による階調補正を選択する。
【0020】
しかし、この紙出力による階調補正を選択した場合、上述したようにユーザ自身が、紙に出力されたパッチパターンを出力先から取得し、そのパッチパターンを読取り装置に読み込ませなければならないので、ユーザに負荷がかかる。
【0021】
その点、内部での階調補正は、パッチパターンを紙ではなく転写ベルト等の像担持体上に印字するため、ユーザの負担もなく、階調補正を行うことができる。
【0022】
[階調補正方法の選択]
本実施形態の特徴的な処理を説明するためのフローチャートを図4に示す。図4は、センターマシンが、ネットワーク自動階調補正時に接続されている画像形成装置に対して、上記2つの階調補正方法のうち、どちらの階調補正方法を実行するか選択する処理に関する説明図である。このフローチャートの各処理は、MFP101の自動階調補正部203によって制御される。
【0023】
図6、図14は、センターマシンであるMFP101のUI部202に表示される画面の一例を示す。
以下、実施形態を詳細に説明する。
【0024】
MFP101のコントロールパネル画面上に表示されている図14に示すようなUI画面上からボタン1401が押下されると、UI部202は、自動階調補正部203に後述するネットワーク自動階調補正がスタートすることを通知する。そして、ステップS401へ進む。一方、ボタン1402が押下されると、ネットワーク自動階調補正はキャンセルされる。ステップS401に進むと、自動階調補正部203は、ネットワーク上に接続されている画像形成装置の台数をカウントする。この際、カウントするのは後述する「ネットワーク自動階調補正を行う画像形成装置」と登録された画像形成装置である。
【0025】
自動階調補正部203はカウントが終了すると、画像形成装置毎にどちらの階調補正方法を選択するか検討を開始する。まず、ネットワーク上に接続されている1台の画像形成装置を検討対象とし、以下のステップS402〜S405において判定処理を行う。まずステップS402において、自動階調補正部203は、紙出力による階調補正を行う際に用いる紙が格納されている画像形成装置の給紙段を確認する。この紙残量が少ない場合には、ステップS403に進む。そしてステップS403において、自動階調補正部203は、検討対象の画像形成装置に対して、内部での階調補正を行うことを、送信部205を通じて指示する。紙残量が多い場合には、ステップS404に進む。そしてステップS404において、自動階調補正部203は、検討対象である画像形成装置の機種のスペックを確認する。機種スペックがロースペックの場合には、階調性がそれほど求められないと判定され、ステップS403へ進む。そしてステップS403において、自動階調補正部203は、検討対象の画像形成装置に対して、内部での階調補正を行うことを、送信部205を通じて指示する。ステップS404にて機種スペックがハイスペックであると判定された場合には、ステップS405へ進む。ハイスペックな機種とは、例えば画像処理の工程が多く設定されていたり、解像度が高解像度のものである。機種スペックについては、後述するように、ユーザが予め設定することもできる。
【0026】
そして、ステップS405において、自動階調補正部203は、検討対象の画像形成装置のセンターマシンであるMFP101からの距離を確認する。センターマシンからの距離が遠いと判定された場合には、ステップS403へ進む。そしてステップS403において、自動階調補正部203は、検討対象の画像形成装置に対して、内部での階調補正を行うことを、送信部205を通じて指示する。ステップS404にて距離が近いと判定された場合には、ステップS406へ進む。そしてステップS406では、これらの判定結果を用いて、自動階調補正部203が、検討対象の画像形成装置に対して紙出力による階調補正を行うための印刷出力物501を印刷出力することを、送信部205を通じて指示する。
【0027】
また、ステップS402〜405の判定処理を全て行うことなく、この中から選択的に処理を行って、判定してもよい。例えば、ステップS402で紙残量が多ければ直ちにステップS406に進み、紙出力による階調補正を行うと判定してもよい。
【0028】
上記判定処理はシーケンシャルに行うことにより、処理を簡略化している。自動階調補正部203は、ステップS407、S408において、ステップS401で確認した全ての画像形成装置に対して、階調補正方法の選択が終了したか否かを確認する。終了していない場合は、ステップS402以降の処理を繰り返す。終了している場合には、ステップS409に進み、自動階調補正部203が、図6に示すようなレポートを作成する。具体的には、画像形成装置ごとに内部での階調補正を行うのか、紙出力による階調補正を行うのかを記憶部204が保存しておく。
【0029】
この判定のレポートを保存している画像形成装置にて、上記判定を再び行い、その結果が保存してあるレポートと異なる場合、ユーザに警告UIを表示してもよい。
【0030】
例えば、ハイスペックであり且つセンターマシンからの距離が近く、本来は紙出力で補正処理を行うべき画像形成装置において、紙残量が少ない時に上記判定が行われると、ステップS402において、内部での階調補正を行うと判定されてしまう。
【0031】
これに対して、前回の判定結果を保存しておくと、今回の結果と差異が出る場合(主に、ステップS402の紙残量の判定結果において差異が出る場合が考えられる)警告UIを出せば、本来の方法で階調処理が行える。具体的には、内部での階調補正と判断された画像形成装置に対して、ユーザが給紙段に紙を追加したり、機種スペックの設定を変更すればよい。
【0032】
[ネットワーク自動階調補正]
図17は、ネットワーク自動階調補正の手順に関するフローチャートを示す。
ステップS1701において、センターマシンであるMFP101は、ネットワーク自動階調補正を行うための登録がされているネットワーク上における画像形成装置の階調補正方法の選択を行う。ここでの処理の詳細に関しては図4で述べた通りである。
【0033】
ステップS1702において、ユーザによって、ネットワーク上に、紙出力による階調補正が選択された画像形成装置があるか否かを確認が行われる。次にステップS1703において、紙出力による階調補正が選択されている全ての画像形成装置に対し階調補正用の印刷出力物501が印刷出力されていることをユーザにより確認される。そして、ユーザによりステップS1704において、紙出力による階調補正が選択されている全ての画像形成装置の排紙口から階調補正用の印刷出力物501が回収される。ステップS1705において、ユーザに回収された全ての印刷出力物は、ユーザによってMFP101のスキャナ上に設置されているADF(Auto Document Feeder)に載せられる。ステップS1706において、MFP101のコントロールパネル画面を介してスキャンスタートの指示がユーザによりなされると、順次スキャナが印刷出力物の読取りを行う。
【0034】
[ネットワーク自動階調補正登録]
図20、図21は、センターマシンであるMFP101のUI部202に表示される画面の一例を示す。
【0035】
ユーザは、UI部202に表示されている図20により、ネットワーク自動階調補正を行う画像形成装置の登録を行う。この登録を行った画像形成装置のみネットワーク自動階調補正の対象としてカウントされる。エリア2001には、ネットワーク上に存在する画像形成装置の一覧が表示される。ユーザは、その中からネットワーク自動階調補正を行う画像形成装置を押下する。次に、ボタン2002を押下するとUI部202に図21が表示される。エリア2101には、ネットワーク自動階調補正を行う画像形成装置が表示される。各々の画像形成装置の説明も同時に表示される。スペック関しては、画像形成機種名称から自動的に判断されるが、ボタン2102のプルダウンメニューボタンを押下し、ユーザが選択してもかまわない。また、設置場所は、予め登録されている場所の一覧からボタン2102のプルダウンメニューボタンを押下する事によって選択される。選択された場所とセンターマシンであるMFP101との距離を自動的に算出し、自動階調補正部203はこの算出結果を記憶する。
また、この登録において、センターマシンであるMFP101をネットワーク自動階調補正の対象機として登録してもよい。
【0036】
[紙出力による階調補正方法]
図7は、紙出力による階調補正方法を行うためのフローチャートである。
このフローチャートの各処理は、センターマシンであるMFP101の自動階調補正部203によって制御される。
【0037】
図9、図10、図11、図12は、センターマシンであるMFP101のUI部202に表示される画面の一例を示す。
【0038】
ステップS701において、自動階調補正部203は、図4の処理によりネットワーク上に接続されている全ての画像形成装置の階調補正方法が決定されていることを確認する。ステップS702において、UI部202は図9を表示させる。図9の画面において、UI部202は、エリア901に紙出力による階調補正を行う予定の画像形成装置名を表示する。ボタン903が押下されると、紙出力による階調補正は中断される。ユーザによって階調補正用の印刷出力物を各画像形成装置の排紙口から回収され、ボタン902が押下されると、UI部202は図10を表示させる。ボタン1002が押下されると、紙出力による階調補正は中断される。ユーザによって回収された階調補正用の印刷出力物がMFP101のスキャナに設置されているADFに配置され、ボタン1001が押下される。もちろん、ADFを使わず、ユーザが印刷出力物を原稿台上に配置し、ボタン1001を押下してもよい。すると、ステップS702において、自動階調補正部203は、送信部205を介して、スキャナにスキャンをスタートさせると、入力画像処理部201の受信部301がスキャンにより読み込まれた階調補正用の印刷出力物501の画像データを受信する。そして、画像分割部302は、受信された印刷出力物501の画像データに対して、階調補正用パッチパターン502とQRコード503を分割する。そして、ステップS703では、QRコード解析部303がQRコード503を解析し、階調補正後のデータを送信する画像形成装置のIPアドレスと製品名称を、送信部305を介して、自動階調補正部203に送信し、これを記憶させる。次にステップS704において、輝度濃度変換部304は、画像分割部302で分割された階調補正用パッチパターン502の輝度データを取得し、これを濃度データに変換する。そしてこのデータを、送信部305を介して自動階調補正部203に送信する。濃度データを受信した自動階調補正部203は、受信した濃度データとその画像形成装置が理想とする濃度特性と比較し、受信した濃度データ群を理想とする濃度特性に変換する。濃度補正を階調補正データとして生成する。そして、ステップS705に進み、自動階調補正部203は、送信部205を介して、階調補正データを画像形成装置に送信する。または、画像処理装置が階調補正データを生成せずに、パッチパターンの読取り値に関するデータを画像形成装置に送信してもよい。この場合、パッチパターンの読取り値に関するデータを受取った各画像処理装置は、このデータを元に、階調補正データを生成する。次に、ステップS706において、自動階調補正部203は、スキャナ上のADFにセットされた階調補正用印刷出力物の有無を確認し、階調補正用の印刷出力物が残っていれば、ステップS703以降の処理を繰り返す。その際、自動階調補正部203からの指示によりUI部202は、図11のような画面を表示する。エリア1101には、紙出力による階調補正方法を選択した画像形成装置の補正の進捗を示している。ボタン1102が押下されると、ステップS706において、自動階調補正部203はネットワーク階調補正を終了する。階調補正用の印刷出力物が残っておらず、かつ階調補正データが全て送信完了になった時、自動階調補正部203からの指示によりUI部202は、図12のような画面を表示する。エリア1201には、全ての紙出力による階調補正方法が選択された画像形成装置の補正が全て完了したことが示されている。ボタン1202が押下されると、ステップS707において自動階調補正部203は、記憶部204に保存したレポートを、予め登録されている管理者のメールアドレスに送信部205を介して送信する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態1によって、ネットワーク上に存在する複数の画像形成装置それぞれの状況を判断し、判断結果に応じて紙出力による階調補正又は内部での階調補正のうちいずれかの階調補正を行うよう指示することができる。これにより、ユーザ負荷を抑えながら、各MFPやプリンタに対して、濃度特性の精度を保つことが可能になる。
【0040】
(実施形態2)
実施形態1において、階調補正の方法について選択を行ったが、紙出力による階調補正時に、階調補正用の印刷出力物の枚数を削減し、作業時間の短縮を図れる方がより望ましいと考えられる。
【0041】
よって、本実施形態2では、紙出力による階調補正が選択された際に、階調補正用の印刷出力物501の枚数を削減する方法について説明する。
【0042】
図8に実施形態2に関するフローチャートを示す。このフローチャートの各処理は、センターマシンであるMFP101の自動階調補正部203によって制御される。
【0043】
ステップS401〜408についての説明は上述したので、ここでは省略する。上記各ステップにて紙出力による階調補正が選択された画像形成装置に対し、ステップS801において自動階調補正部203は、印刷出力する予定である階調補正に用いる印刷出力物の合計枚数が予めユーザにより設定されている閾値よりも大きいか否かを判断する。使用予定印刷枚数が閾値よりも小さい場合には、ステップS802に進む。そしてステップS802において、自動階調補正部203は、階調補正を行うための印刷出力物を印刷することを各画像形成装置に送信部205を通じて指示する。使用予定枚数が閾値よりも大きい場合には、ステップS803に進む。そしてステップS803において、自動階調補正部203は、各画像形成装置のジョブ履歴を確認する。
【0044】
例えばプリンタ102においてジョブの履歴である出力履歴を調査したところ、プリント出力が大部分を占め、コピー出力の使用が少なかったとする。このような場合、検討対象である画像形成装置において、コピー出力で使用する画像形成に用いる印刷処理については、使用頻度が少ないので階調補正が不要と判断できる。よって、この調査対象の画像形成装置においては、コピー出力で使用する画像形成に用いる階調補正用の印刷出力物を削減することができる。具体的には、コピー出力物に使用する誤差拡散法により形成されるパッチパターンの印刷出力を行わない。
【0045】
または、ジョブ履歴を調査する際に、プリント出力時のドキュメントを構成するオブジェクトの出現頻度を調べることにより、印刷出力物を削減することができる。例えば、通常のプリント出力時には、2種類のスクリーン、(ドキュメント中の文字オブジェクトとラインオブジェクトには高線数のスクリーン、イメージオブジェクトとグラフィックスオブジェクトには低線数のスクリーン)を使用する。
【0046】
しかし、ユーザのプリント出力が文字オブジェクトやラインオブジェクトでドキュメントの大部分を占めているのであれば、主には、高線数スクリーンを使用し、低線数スクリーンは使用しない。よって、このスクリーン用の階調補正が不要と判断できる。その結果、低線数スクリーンによる階調補正用の印刷出力を削減することができる。具体的には、コピー出力物に使用する低線数スクリーンにより形成されるパッチパターンの印刷出力を行わない。
【0047】
また、ジョブ履歴を調査する際に、プリント出力時に設定されている画像形成方法それぞれの種類に対して使用頻度を調べることによっても、印刷出力物を削減することができる。ユーザがプリント出力時にプリンタドライバで設定する画像形成方法の種類をカウントすることで、そのユーザがあまり使用しない画像形成方法による階調補正用の印刷出力を削減することができる。
【0048】
このような検討をステップS803で行った後、ステップS805に進む。そしてステップS805において、自動階調補正部203は、以上のような削減を各画像形成装置に対して行う。そして、印刷出力物の枚数が決まった後にステップS801に戻る。それでも使用予定印刷枚数が閾値よりも大きい場合には、ステップS803での判定を強化する。具体的には、一度目の判定時は、使用頻度がプリント出力:コピー出力=9:1の場合に、コピー出力で使用する画像形成に関する階調補正用の印刷出力物を削減した。しかし判定が強化された場合である二度目の判定時には、使用頻度がプリント出力:コピー出力=8:2と、コピー出力が先ほどよりも多く使われている場合においても、階調補正時の印刷出力を削減するようにする。
【0049】
また、ドキュメントを構成するオブジェクト出現頻度を調査し、その結果によって印刷出力物を削減する際も同様に判定を行う。
【0050】
一度目の判定時は、文字/ラインオブジェクト:イメージ/グラフィックオブジェクト=9:1の場合、イメージ/グラフィックオブジェクトに使用される画像処理に用いる階調補正用の印刷出力物を削減する。
【0051】
それに加え、二度目の判定時には、文字/ラインオブジェクト:イメージ/グラフィックオブジェクト=8:2の場合においても削減するようにする。
画像形成方法の調査による階調補正用の印刷出力を削減する際にも同様に、一度目の判定時は、画像形成方法A:画像形成方法B=9:1の場合に、画像形成方法Bによる階調補正用の印刷出力物を削減する。加えて、二度目の判定時には、画像形成方法A:画像形成方法B=8:2の場合においても画像形成方法Bによる階調補正用の印刷出力物を削減するようにする。
【0052】
印刷出力物の出力枚数が決定したら、ステップS802に進む。そしてステップS802で、自動階調補正部203は、紙出力による階調補正を行うための印刷出力物を印刷出力することを各画像形成装置に送信部205を通じて指示する。次にステップS804に進み、自動階調補正部203は、図15に示すようなレポートを作成する。具体的には、画像形成装置ごとに内部での階調補正を行ったのか、紙出力による階調補正を行ったのかについて記載する。さらに、紙出力による階調補正に対しては、画像形成方法を選択した場合に関しても記載する。このレポートは、自動階調補正部203が、記憶部204に保存する。
【0053】
[階調補正用の印刷出力物の枚数に関する閾値]
図16にセンターマシンであるMFP101のUI部202に表示される画面の一例を示す。ユーザはボタン1601を押下すると、紙出力による階調補正時の合計枚数を設定することができる。合計枚数が決定したら、ボタン1602を押下する。
【0054】
以上説明したように、紙出力による階調補正時に、階調補正用の印刷出力物の合計枚数を削減できるような処理を設けることにより、紙出力による階調補正時に要する作業時間の短縮が可能になる。
【0055】
(実施形態3)
実施形態1において、階調補正の方法の選択を行ったが、ネットワーク上の画像形成装置の中で画質が最優先されている画像形成装置は、必ず紙出力による階調補正を行える方がより望ましいと考えられる。
【0056】
よって実施形態3では、ネットワーク上の画像形成装置の中で画質が最優先されている画像形成装置が存在する場合において、各画像形成装置が上記2つの階調補正方法のうち、どちらの階調補正方法を実行するか選択する処理について説明する。
【0057】
図18に実施形態3に関するフローチャートを示す。
このフローチャートの各処理のうち、ステップS401〜409についての説明は上述したので、ここでは省略する。まず、ステップS1801において、自動階調補正部203は、その階調補正方法の選択をする検討対象となる画像形成装置において画質が最優先になっているか否かを判断する。最優先になっている場合には、紙出力による階調補正を必ず行う必要がある。よってステップS406に進む。そして、ステップS406において、自動階調補正部203がその検討対象である画像形成装置に、紙出力による階調補正用の印刷出力を行うよう送信部205を通じて指示する。
【0058】
そして、ステップS409において、自動階調補正部203が、図19に示すようなレポートを作成する。具体的には、画像形成装置ごとに内部での階調補正を行ったのか、紙出力による階調補正を行ったのかを記載する。さらに、画質最優先が指定されている画像形成装置に関しては、その目印も記載する。本実施形態では、画像形成装置名の前に「★」を記載している。このレポートは、自動階調補正部203が記憶部204に保存する。
【0059】
以上説明したように、階調補正の方法の選択を行う際に、ネットワーク上の画像形成装置の中で画質が最優先されている画像形成装置は、必ず紙出力による階調補正を行うように設定することが可能になる。
以上は、実施形態1を基本にして記載しているが、実施形態2においても同様の効果が得られる。
【0060】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の階調補正、又は第2の階調補正を実施する複数の画像形成装置とネットワークで接続され、
前記接続された複数の画像形成装置に対し階調補正の実施を指示することができる画像処理装置であって、
前記接続された複数の画像形成装置それぞれに対し、
前記第1の階調補正又は第2の階調補正を選択する選択手段、
前記選択手段により、前記ネットワークで接続され第1の階調補正を選択された画像形成装置に対して
前記画像形成装置における像担持体にパッチパターンを形成し、該パッチパターンを前記画像形成装置のセンサにより読取られたデータから階調補正データを生成し、階調補正を開始するように指示を送信し、
前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に対しては、
紙にパッチパターンを印刷するように指示する指示手段、
ユーザによって読取り部に配置され、前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置が印刷したパッチパターンを読取る読取り手段、
前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に前記パッチパターンの読取り値を補正するためのデータを送信する送信手段、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記選択手段により選択された、前記画像形成装置が行った階調補正を記憶する記憶手段、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択手段において、前記第2の階調補正を行う際に使用する給紙段に、紙の残量が多いか否かを選択する紙残量の判定結果、
画像形成装置のスペックを判定するスペックの判定結果、
前記階調補正する画像処理装置からの距離を判定する距離の判定結果のうち少なくとも1つの判定結果を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記送信手段はさらに、前記ユーザによって配置されたパッチパターンから階調補正データを生成する生成手段を有し、前記生成手段によって生成された階調補正データを前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の階調補正において、さらに階調補正用の印刷出力物の枚数を削減するために、各画像形成装置の出力履歴を調査する調査手段、
前記調査手段の結果に応じて、印刷出力物を削減する削減手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記階調補正を選択する手段において、検討対象の画像形成装置が画質最優先の設定を行っている場合は、必ず前記第2の階調補正手段を選択することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載された画像処理装置。
【請求項7】
第1の階調補正、又は第2の階調補正を実施する複数の画像形成装置とネットワークで接続され、
前記接続された複数の画像形成装置に対し階調補正の実施を指示することができる画像処理装置の制御方法であって、
前記接続された複数の画像形成装置それぞれに対し、
前記第1の階調補正又は第2の階調補正を選択する選択ステップ、
前記選択ステップにより、前記ネットワークで接続され第1の階調補正を選択された画像形成装置に対して
前記画像形成装置における像担持体にパッチパターンを形成し、該パッチパターンを前記画像形成装置のセンサにより読取られたデータから階調補正データを生成し、階調補正を開始するように指示を送信し、
前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に対しては、
紙にパッチパターンを印刷するように指示する指示ステップ、
ユーザによって読取り部に配置され、前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置が印刷したパッチパターンを読取る読取りステップ、
前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に前記パッチパターンの読取り値を補正するためのデータを送信する送信ステップ、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記選択ステップにより選択された、前記画像形成装置が行った階調補正を記憶する記憶ステップ、
を具備することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記選択ステップにおいて、前記第2の階調補正を行う際に使用する給紙段に、紙の残量が多いか否かを選択する紙残量の判定結果、
画像形成装置のスペックを判定するスペックの判定結果、
前記階調補正する画像処理装置からの距離を判定する距離の判定結果のうち少なくとも1つの判定結果を取得することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記送信ステップはさらに、前記ユーザによって配置されたパッチパターンから階調補正データを生成する生成ステップを有し、前記生成ステップによって生成された階調補正データを前記ネットワークで接続され第2の階調補正を選択された画像形成装置に送信することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
前記第2の階調補正において、さらに階調補正用の印刷出力物の枚数を削減するために、各画像形成装置の出力履歴を調査する調査ステップ、
前記調査ステップの結果に応じて、印刷出力物を削減する削減ステップを具備することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
前記階調補正を選択するステップにおいて、検討対象の画像形成装置が画質最優先の設定を行っている場合は、必ず前記第2の階調補正ステップを選択することを特徴とする請求項7又は11に記載された画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータに請求項7〜12に記載の方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−128231(P2011−128231A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284569(P2009−284569)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】