説明

画像形成装置、カラー画像形成装置および画像形成方法

【課題】 二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤の特性値変化を効率良く検知し、現像剤変化に応じて制御値を最適化することにより、経時または環境変動時に、高品位の画像を安定的に維持する。
【解決手段】 感光体ドラム100と、トナーとキャリアとを含む現像剤Gを収納し、感光体ドラム100の表面の静電潜像をトナーで現像する現像器300と、現像器300内の現像剤Gのトナー濃度を検出する透磁率センサ350とを具備し、複数の画像出力モード(標準線速、厚紙モード時の線速1,2)が実行可能な画像形成装置において、少なくとも1つの画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時における透磁率センサ350からの出力値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新する制御部37を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等、あるいはこれらの少なくとも一つから構成される複合機等の画像形成装置、カラー画像形成装置およびそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置のうちでも複写機、レーザプリンタにおいては、高画質を求められると同時に、高耐久性、高安定性も望まれている。つまり、環境変動による画質の変化が少なく、また常に安定した画像を経時において提供していかなければならない。従来より、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)を現像剤担持体としての現像スリーブ上に保持し、現像スリーブに内包される磁極によって磁気ブラシを形成させ、像担持体としての感光体と対向する位置で現像スリーブに現像バイアスを印加することにより現像を行う二成分現像方式が広く知られている。
この二成分現像方式は、カラー化が容易なことから現在広く用いられている。この方式において、現像剤は現像スリーブの回転に伴い、現像領域に搬送される。現像剤が現像領域に搬送されるに従い、現像剤中の多数の磁性キャリア(以下、単に「キャリア」というときがある)が現像極の磁力線に沿いながらトナーを伴って集合し、磁気ブラシを形成する。
【0003】
これら二成分現像方式は、一成分現像方式と異なり、トナーとキャリアとの重量比(トナー濃度)を精度よく制御することが、画像の安定性を向上させる上で非常に重要とされている。例えばトナー濃度が高すぎると、画像に地肌汚れが発生したり、細部解像力の低下が生じたりする。また、トナー濃度が低い場合には、ベタ画像部の濃度が低下や、キャリア付着が発生するという不具合が生じる。そのため、トナー補給量を制御して、現像剤の中のトナー濃度を適正範囲に調整する必要がある。ここで、トナー濃度制御は、トナー濃度検出手段(透磁率センサ)によるトナー濃度の検出値としての透磁率の出力値:Vtをトナー濃度の基準値:Vrefと比較し、その結果に基づきトナー補給量を設定することにより行われる。
【0004】
トナー濃度を検知する方法・方式としては、透磁率センサを用いたものが一般的である。この方式においては、トナー濃度が変化することによる現像剤の透磁率変化を基準濃度の出力と比較して、トナー濃度の現在値を検知するものである(例えば、特許文献1ないし5、7および8参照)。
【0005】
また別のトナー濃度検知方法としては、光学センサを用いる方法があり、感光体ドラムまたは中間転写ベルト上に基準パターンを形成し、このパターンの画像部と非画像部の反射濃度を前記光学センサにより検出し、その結果に基づいてトナー濃度を検知するものである(例えば、特許文献6および9参照)。
。また、印刷中においても、紙間で基準パターンを作成し、逐次、透磁率センサの基準値:Vrefを制御する方法も公知である。
しかしながら、紙間でパターンを作成することによるトナーの過剰な消費を極力低減する要望があり、紙間の基準パターン作成による、補正は行わない方向である。さらに、中間転写ベルト上にパターンを作成する場合、二次転写ローラ上にクリーニング装置を設置する必要があり、メカ的なコスト削減の観点からも紙間のパターン作成を極力抑える傾向がある。こうした場合、連続印字時や画像モード変更(プロセス線速の変更)時の透磁率センサ単独によるトナー濃度制御がさらに正確に行われることが必要となってくる。
【0006】
ところで、これら二成分現像装置、特にカラー画像形成装置においては、トナー分散性を向上するために、シリカや酸化チタン等の添加剤がトナー表面に外添されている。これら添加剤はメカ的ストレスや熱ストレスに弱く、現像器内での攪拌時に、トナー内部に埋没したり、表面から離脱したりする現象が発生する。その結果、現像剤(トナーおよびキャリアを含む)の流動性や帯電特性が変化し、かさ密度が変化する。
また、経時においても、キャリア表面の形状の変化、トナー外添剤の離脱蓄積、キャリアコート膜削れによるCA(キャリアの帯電能力)の低下により、流動性が変化し、かさ密度が変化する。
これらの変化は透磁率センサが正確にトナー濃度を検知する上で障害となる。例えば複数の画像出力モードを有し、それに伴い現像器中の攪拌スクリュの回転数が変化するシステムの場合、同一トナー濃度であっても、出力値が変化するが、現像剤の劣化状態や、使用状況によって補正量が変化してしまい正確に補正を行うことが困難な状況となる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−207357号公報
【特許文献2】特開2002−14588号公報
【特許文献3】特開平9−236983号公報
【特許文献4】特開平5−232814号公報
【特許文献5】特開平7−28325号公報
【特許文献6】特開2002−258547号公報
【特許文献7】特開2003−280355号公報
【特許文献8】特開2004−20614号公報
【特許文献9】特開平7−168436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開2002−207357号公報(特許文献1)記載の技術では、現像装置内のトナー濃度をトナー濃度検出手段(透磁率センサ)にて検出して、その検出値をしきい値と比較して現像装置内のトナー濃度を制御するとともに、感光体の線速の変化に応じて、トナー濃度検出手段の検出値に対するしきい値を変更するという手法を用いている。
しかしながら、前記の方法においては、初期的には制御が可能であると考えられるが、経時における劣化による補正が考慮されていないため、長期にわたって高品位画像の安定性を維持することは困難であると考えられる。
【0009】
特開2002−14588号公報(特許文献2)記載の技術では、現像装置(搬送スクリュ)の回転速度に応じて、トナー濃度センサ(透磁率センサ)のしきい値を変化させるものであるが、前者の技術と同様に、経時における劣化による補正が考慮されていないため、長期にわたって高品位画像の安定性を維持することは困難であると考えられる。
【0010】
また、特開2003−280355号公報(特許文献7)記載の技術では、トナー濃度制御にトナー濃度センサSD(透磁率センサ)の出力値であるVt値をそろえるために、Vc(コントロール電圧もしくはVcnt:センサ制御電圧)を変化させている。Vc値を変化すると、トナー濃度センサSDの特性(感度)が大きく変化する場合があるため、容易に変えることは困難である。また、Vc値の調整は、例えば二分割法により10点程度電圧を変化させて、目標のVt値になるように調整することが必要であるため、調整に時間を要する。さらに調整時には、トナー濃度を基準値(8重量%)に設定する必要がある。そのため、プロセスコントロールにかかる時間を増大させることが考えられる。
【0011】
そこで、本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであって、現像剤の特性値変化を効率良く検知し、現像剤変化に応じて制御値を最適化することにより、経時または環境変動時に、高品位の画像を安定的に維持することが可能な画像形成装置、カラー画像形成装置および画像形成方法を提供することを主な目的としている。その他、後述の効果を奏することが可能な画像形成装置、カラー画像形成装置および画像形成装置を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、各請求項毎の発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、表面に潜像を形成する像担持体と、該像担持体に対向して配置され、トナーと該トナーを保持する磁性キャリアとを含む二成分現像剤を収納し、前記像担持体の表面の潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段内における二成分現像剤のトナーの濃度を検出するトナー濃度検出手段とを具備し、複数のプロセス線速の変更を伴う複数の画像出力モードが実行可能な画像形成装置において、少なくとも1つの前記画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時に実行することにより、該画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、前記現像手段へのトナーの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新する制御手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記複数の画像出力モードの全てを実行することにより、該全ての画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値に基づいて、前記画像濃度制御パラメータを更新することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、少なくとも2つの画像出力モードを実行することにより、該少なくとも2つの画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値に基づいて、前記プロセス線速に対する傾きを算出することにより、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことにより、前記画像濃度制御パラメータを更新するモードを個別に実行することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記トナー濃度検出手段が、二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサであることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記画像出力モードの実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値を補正することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を画像形成枚数に応じて実行することを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を環境変動に応じて実行することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくとも2色のトナーを用いて現像可能な複数の現像手段を有し、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を前記複数の現像手段でそれぞれ独立して実行することが可能であることを特徴とするカラー画像形成装置である。
【0021】
請求項10記載の発明では、像担持体に対向して配置され、内部に磁石を有する現像剤担持体が、トナーとトナーを保持する磁性キャリアとを含む二成分現像剤を担持し、該二成分現像剤を前記像担持体との間に形成される現像領域に搬送し、前記像担持体の表面上に形成される潜像を前記現像剤担持体から供給されるトナーで現像する現像手段と、該現像手段内における二成分現像剤のトナーの濃度を検出するトナー濃度検出手段とを使用して、複数のプロセス線速の変更を伴う複数の画像出力モードが実行可能な画像形成方法において、少なくとも1つの前記画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時に実行することにより、該画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、前記現像手段へのトナーの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置、カラー画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。すなわち、本発明によれば、環境変動、現像剤劣化に従い現像剤特性の変化を計測し、トナー濃度検出手段(特には透磁率センサ)からの検出値(出力値Vt)の補正量を正確に算出し更新することで、より高い安定性を獲得することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を含む実施形態を説明する。実施形態、変形例および実施例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、実施形態、変形例および実施例等のそれと区別するものとする。
(第1の実施形態)
図1〜図7に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す。
まず、図1を参照して、本発明を適用した画像形成装置の全体構成を説明する。同図に示す画像形成装置は、その一例としてのフルカラー画像形成装置50であり、4色のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色毎に像担持体としての感光体、現像手段としての現像装置等を具備し、各色のトナー像をシート状記録媒体の一例としての転写材(以下、さらに具体的な「転写紙」で説明する)に順次転写することにより、フルカラー画像を形成するタンデム方式の装置構成である。
【0024】
図1において、符号40は、フルカラー画像形成装置50の装置本体を示す。フルカラー画像形成装置50の装置本体40内には、像担持体としての4個の感光体1Y、1M、1C、1Bkが左斜め上方向に図において右から左へとこの順に並んで配設されている。各感光体1Y、1M、1C、1Bkには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色の画像を形成するための画像形成部22Y、22M、22C、22Bkが配置されている。これらの画像形成部22Y、22M、22C、22Bkによりフルカラー画像を形成する。各色の画像形成部22Y、22M、22C、22Bkは、それぞれ同じ構成および動作を行うようになっているため、最右方部に配置されたイエロー(Y)の画像形成部22Yについてのみ説明し、他の画像形成部22M、22C、22Bkについては同じ部分に同一のアラビア数字を付すとともにその色を表す英字を添えることで説明を省略する。
【0025】
画像形成部22Yは、ドラム状の感光体1Y(以下、「感光体ドラム1Y」という)と、この感光体ドラム1Yの周りに配設されイエロー(Y)画像を繰り返し形成するための帯電手段としての帯電装置2Y、図示を省略した露光手段としての露光装置から照射される露光4Y、現像手段としての現像装置(以下、「現像器」というときがある)3Y、クリーニング手段としてのクリーニング装置6等から構成されている。
【0026】
感光体ドラム1Yは、装置本体40の図示しない筐体側板に図1において時計回りに回転自在に支持されている。前記露光装置は、画像信号に応じてレーザ光を生成照射する図示しないレーザダイオード(LD)、このLDから照射されたレーザ光を走査するポリゴンミラー(図示せず)等からなるレーザ光走査光学系(図示せず)を有していて、露光4Yがなされる。
各画像形成部22Y、22M、22C、22Bkの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkの配置位置の図1において下方には、シート状記録媒体である転写材の一例としての転写紙Pを吸着し搬送する搬送転写ベルト5が対向して張設されている。搬送転写ベルト5は、駆動ローラ15と従動ローラ17との間に掛け渡されて図中矢印方向(反時計回り)に走行搬送するようになっている。搬送転写ベルト5は、転写紙Pを静電吸着・担持し搬送する搬送転写手段としての機能を有する。
【0027】
各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkに対向する図1において下方には、搬送転写ベルト5を挟んで接触転写手段としての転写ローラを備えた転写装置8Y、8M、8C、8Bkが配設されている。各転写装置8Y、8M、8C、8Bkは、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk上に形成された各色のトナー像を搬送転写ベルト5により静電吸着されて搬送される転写紙P上に電界の作用で転写する周知の機能を有する。転写紙Pは、装置本体40の下部に配設された給紙部19−1〜19−3の何れか一つの給紙部が選択されることにより、所定のタイミングをとって搬送転写ベルト5上に送り出される。
【0028】
給紙部19−1〜19−3は、転写紙Pを積載収納しているサイズのみ異なり、同様の構成を有しているため、給紙部19−1を代表して説明する。給紙部19−1は、転写紙Pを積載収納する給紙カセット21と、この給紙カセット21の上方に配設され最上位の転写紙Pを1枚ずつ給送する給紙コロ20と、この給紙コロ20により給送された転写紙Pを所定のタイミングで送り出す一対のレジストローラ18等とから主に構成されている。給紙コロ20とレジストローラ対18との間の転写材搬送路には、図示しない転写材ガイド板および搬送コロ対が配設されている。
【0029】
転写材搬送路の下流側である図1において装置本体40の左方部には、搬送転写ベルト5上から転写紙Pを分離するための図示しない分離装置が搬送転写ベルト5を介して駆動ローラ15に対向して設けられる。該分離装置の左側には転写紙Pに転写された各色のトナー像を溶融加圧定着するための定着ローラおよび加圧ローラを具備する定着装置9が、さらに定着装置9の上方には排紙ガイド板(図示せず)を介して一対の排紙ローラ24が、この排紙ローラ対24の右方下部にはトナー画像の形成された転写紙Pを排出するための排紙トレイ(図示せず)を備えた排紙部23が配設されている。
図1には、本発明の主として、各現像装置3Y、3M,3C,3Bkへのトナーの補給量を決める画像濃度制御パラーメータを更新するための制御手段の機能・構成を有する図示しない制御部(制御装置)を各画像形成部22Y、22M,22C,22Bk(画像形成ステーション)ごとに有しており、これについては後で詳述する。
【0030】
フルカラー画像形成装置50では、従来の画像形成装置と同様に、複数のプロセス線速の変更を伴う複数の画像出力モードが実行可能な構成を有している。
ここで、「画像出力モード」とは、プロセス線速の変更を伴う、高速、低速モード等を指す。本実施形態においては、各モードにおけるプロセス線速はそれぞれ、標準モードが205(mm/s)、線速1が115(mm/s)、線速2が77(mm/s)である。
ここで、標準モードは、例えば普通紙へコピーを行う際の一番速いコピー速度(画像形成速度)に、線速1は、例えば厚紙へコピーを行う際の中速のコピー速度に、線速2は、厚紙への画質良好なコピーを行う際の超低速のコピー速度に、それぞれ相当する。
【0031】
次に、フルカラー画像形成時の動作を説明する。
図示しない操作パネルのキー操作等によりフルカラー画像形成の信号が送信されると、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各画像形成部22Y、22M、22C、22Bkが所定のタイミングでそれぞれ作動して、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk上に各色のトナー像が形成される。これを画像形成部22Yで例示すると、感光体ドラム1Yが図1中時計回り方向に回転するとともに、その外表面が帯電装置2Yにより一様に帯電された後、露光装置3Yの前記LDから画像信号に応じてレーザ光が照射され、前記ポリゴンミラーにより走査されつつ感光体ドラム1Y上に露光・結像されて、静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム1Yが現像装置3Yに対向すると、現像器3Y内の現像剤担持体である現像ローラとも呼ばれる現像スリーブ302(図2参照)により現像器3Y内の現像剤が感光体ドラム1Yと対向する現像ニップ領域へ搬送されることで、現像剤中のトナーが感光体ドラム1Yの表面に形成された静電潜像に供給・付着されて現像され、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)の顕像化されたトナー像が形成される。
他色の画像形成部22M、22C、22Bkでも、画像形成部22Yと同様にしてトナー像が形成される。
【0032】
一方、給紙カセット21にセットされた転写紙Pは、給紙コロ20により取り出され、転写材搬送路に沿ってレジストローラ対18に送られた後、レジストローラ対18により、転写紙Pの先端が感光体ドラム1Y上に形成された一色目のイエロー(Y)のトナー像にタイミングを合わせて感光体ドラム1Yの転写部の転写領域に送られる。
一色目のイエロー(Y)のトナー像転写位置において、転写装置8Yにより形成される電界の作用で、イエロー(Y)のトナー像が転写紙Pに転写され、その転写が行われると同時に、転写紙Pは搬送転写ベルト5に静電吸着されて搬送転写ベルト5により搬送される。このようにしてイエロー(Y)のトナー像が転写された転写紙Pは、各色毎に順に設けられた転写装置8M、8C、8Bkと各感光体ドラム1M、1C、1Bkとの間の転写位置に順次搬送され、各感光体ドラム1M、1C、1Bk上に形成されたシアン(C)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、ブラック(Bk)のトナー像が転写紙P上に順次転写される。こうして全ての色のトナー像が転写紙P上に転写されることでフルカラーのトナー像が転写紙P上に形成される。
【0033】
フルカラーのトナー像が形成された転写紙Pは、前記分離装置により搬送転写ベルト5から分離された後、定着装置9へ送り込まれ、定着装置9によりフルカラーのトナー像が溶融加圧定着されてフルカラー画像が完成し、排紙部23の排紙ローラ対24を介して排紙トレイ(図示せず)上に排出される。
【0034】
一方、クリーニング装置6Yでは、転写紙8に転写し切れずに感光体ドラム1Y表面に残った残留トナー等をクリーニングブレードにより除去され、図示しない廃トナー回収経路を通じて廃トナーボトル10に回収・貯留される。クリーニング装置6Yを通過した感光体ドラム1Yの表面は、その後、帯電装置2Yにより表面を一様に帯電され、次の画像形成工程を繰返す。これと同様の動作が、残りの各画像形成部22M,22C,22Bkでも同様に行われる。
【0035】
図2に、フルカラー画像形成装置50の画像形成部の要部、現像装置周りおよびその制御構成を示す。図2に示す画像形成部は、説明の簡明化を図るために、図1に示した画像形成部22Y,22M,22C,22Bkの何れか一つを総括的な表現で表している他、単色の画像形成装置の画像形成部も表している。
図2において、符号100は、像担持体としてのドラム状の感光体(以下、「感光体ドラム」という)を、符号300は、感光体ドラム100上に形成された静電潜像を顕像化(可視像化)すべく現像する現像手段としての現像装置(以下、「現像器」と言い替える)を、符号Gは二成分現像剤をそれぞれ示す。
感光体ドラム100は、例えば図1に示した感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkの総括的な表現であり、現像装置300も例えば図1に示した現像装置3Y,3M,3C,3Bkの総括的な表現である。
【0036】
感光体ドラム100は、光導電性を有し表面に静電潜像を形成する感光体であり、例えば周知の有機感光体からなる。感光体ドラム100は、図2中矢印で示す時計回りに駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により回転駆動される。像担持体は、感光体ドラム100に限らず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
感光体ドラム100の周りには、図1に示したと同様に図2中矢印で示す回転方向の順に、同図のほぼ真上に配置された図示しない帯電装置、図示しない露光装置からの露光、前記現像器300、図示しない転写装置、図示しないクリーニング装置が配置されていて、これらによって画像形成部が構成されている。
【0037】
現像器300は、感光体ドラム100に対向して配置され、トナーTとトナーTを保持する磁性キャリアC(以下、単に「キャリアC」という)とを含む二成分現像剤G(以下、単に「現像剤」というときがある)を担持し、該現像剤を感光体ドラム100との間に形成される現像領域に搬送し、内部に磁石(図示せず)を有する現像剤担持体としての現像ローラとも呼ばれる現像スリーブ302を備え、感光体ドラム100の表面上に形成される静電潜像を現像スリーブ302から供給されるトナーTで現像する機能・構成を具備している。
現像スリーブ302は、その軸の両端部が、これを内蔵するハウジングである現像器ケーシング301の紙面の手前側および奥側に形成された図示しないケーシング側壁に、図2中矢印で示す回転方向(反時計回り)に回転自在に支持されていて、図示しない駆動手段によって同方向に回転駆動される。
【0038】
現像器300は、前記現像スリーブ302の他に、図1および図2に示すように、前記図示しないケーシング側壁により両図中矢印で示す回転方向(反時計回り)に回転自在に支持された第1攪拌軸に固着された第1搬送スクリュ部305と、前記図示しないケーシング側壁により両図中矢印で示す回転方向(時計回り)に回転自在に支持された第2攪拌軸に固着された第2搬送スクリュ部304と、第1搬送スクリュ部305から移動され現像スリーブ302の外周面上に担持された現像剤Gを所定の層厚に規制する現像剤層厚規制手段・部材としてのドクターブレード303等とから主に構成されている。
現像器ケーシング301には、第1搬送スクリュ部305と第2搬送スクリュ部304とを仕切る仕切り壁が一体的に形成されている。図2において、符号310は、現像スリーブ302の外周上方を覆うトナー補給部ハウジングを示す。ドクターブレード303の基端部は、現像器ケーシング301の内壁に図示しない締結手段によって締結・固定されている。
【0039】
現像剤Gは、図1および図2中砂状模様で示されている。現像器300には、例えば、新規トナーを収納したトナーボトル(図示せず)およびこの供給口に接続された補給経路(図示せず)を介して、新規トナーが第2搬送スクリュ部304側のトナー補給部に補給されるようになっている。トナーTは、例えばポリエステルを主材とし顔料あるいは(本実施形態例では例えばカラー画像形成装置なのでイエロー、マゼンタ、シアン、カーボンブラックの少なくとも2色)の着色剤、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を表面に添加したものからなるが、もちろん他の周知のものでもよい。
また、現像器300には、例えば、新規キャリアを収納したキャリアボトル(図示せず)、その供給口に接続された補給経路(図示せず)および新規キャリアあるいは新規現像剤を送り込み圧送する粉体ポンプの一種であるモーノポンプ(図示せず)を介して、新規キャリアあるいは新規現像剤が直接的に補給されるように構成されている。キャリアCは、例えばフェライトをコアとしてその周りに絶縁性樹脂をコーティングしたものからなるが、もちろん他の周知のものでもよい。
両図に示すように、現像剤Gは、第1攪拌軸に固着された第1搬送スクリュ部305と、第2攪拌軸に固着された第2搬送スクリュ部304との間で循環している。
【0040】
現像剤Gは現像スリーブ302の図示しない汲み上げ磁極により、現像器300を構成している現像ユニット内の第1搬送スクリュ部305から現像スリーブ302に移動する。その後、現像剤Gは現像スリーブ302の図2中矢印方向への回転に伴い、搬送極の磁場と現像スリーブ302表面の摩擦力とによりドクターブレード303近傍まで搬送される。ドクターブレード303近傍まで搬送された現像剤Gは、ドクター上流部320において一旦滞留し、ドクターブレード303の先端であるドクターエッジ部303aと現像スリーブ302外周面とのギャップGdで層厚を規制された後、現像領域に搬送される。
【0041】
現像領域には、所定の現像バイアスが印加されており、感光体ドラム100上に形成された静電潜像にトナーTを付勢する方向に現像電界が形成されるため、トナーTは感光体ドラム100上に現像される。また、現像領域を通過した現像剤Gは、現像スリーブ302上の現像剤離れ極位置で現像スリーブ302から離れ、第1搬送スクリュ部305に戻る。その後、現像剤Gは第2搬送スクリュ部304に移動し前記トナー補給部にて、適正なトナー濃度に調整され現像スリーブ302に再び搬送される。
現像器ケーシング301の底部には、該現像器300内における現像剤G中のトナーTの濃度を検出するトナー濃度検出手段としての透磁率センサ350が内壁に露出した状態で配置・取り付けられている。
【0042】
現像工程終了後、感光体ドラム100に現像されたトナーは図示しない転写装置にて、すなわち単色の画像形成装置においては転写装置(図示せず)を構成する図示しない転写ローラを介して転写紙に、図1に示したカラー画像形成装置50においては搬送転写ベルト5を介して転写紙Pに、または中間転写体としての図示しない中間転写ベルト(図示せず)に転写される。この際、感光体ドラム100に残留した残留トナーは、図2では省略しているクリーニング装置により除去・回収される。
【0043】
図2のブロック図を参照して、制御構成を説明する。
透磁率センサ350の詳細構成および利点等は、例えば特開2002−207357号公報(特許文献1)の段落番号「0007」〜「0008」に記載されているものと同様であるため、その説明を省略する。
感光体ドラム100の外周面の近傍には、感光体ドラム100上に形成されたトナー画像(テスト用のトナー画像)のトナー付着量を検知してトナー付着量検知信号を出力するトナー付着量検出手段としての光学センサ30が配置されている。光学センサ30は、例えば反射型のフォトセンサからなる。図1のフルカラー画像形成装置50においては、光学センサ30は、搬送転写ベルト5上に形成されたトナー画像(テスト用のトナー画像)のトナー付着量を検知する。
【0044】
透磁率センサ350と光学センサ30(図1に設置位置記載)とは、それぞれ図示しないA/D変換器を介してI/Oボード31に接続されている。制御部37は、CPU(中央演算処理装置)32、ROM(読み出し専用メモリ)20、RAM(読み出し書き出しメモリ)34およびI/Oボード31から主に構成されている。ここでのRAM34は、説明の簡明化を図るためNV−RAM(電池等の電源でバックアップされたメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ)を含む広い概念の記憶装置を意味する。
【0045】
CPU32からは、I/Oボード31を介して、図示しない補給装置(前記したトナー補給部)を駆動するトナー補給駆動モータ14に制御指令信号を伝達するように構成されている。RAM34には、I/Oボード31を介して透磁率センサ350から送信されるトナー濃度に係る出力値Vtを一時保存するVtレジスタ、現像器300内のトナー濃度の制御基準値Vrefを記憶するVrefレジスタ、光学センサ30からの出力値Vsを記憶するVsレジスタ等が設けられている。ROM33には、後述するフローチャートに係るトナー濃度制御プログラム、および画像濃度制御パラメータ補正プログラムが記憶されている。
【0046】
制御部37のCPU32は、ROM33に記憶されている前記プログラムを呼び出しながら、次の制御を行う制御手段としての諸機能を有する。
CPU32は、少なくとも1つの画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時に実行することにより、該画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの検出値としての出力値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新する制御手段としての機能を有する。
CPU32は、複数の画像出力モードの全てを実行することにより、該全ての画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの出力値に基づいて、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新する制御手段としての機能を有する。
【0047】
また、CPU32は、少なくとも2つの画像出力モードを実行することにより、該少なくとも2つの画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの出力値に基づいて、プロセス線速に対する傾きを算出することにより、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行う制御手段としての機能を有する。
また、CPU32は、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことにより、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新するモードを個別に実行する制御手段としての機能を有する。
また、CPU32は、画像出力モードの実行時における透磁率センサ350からの出力値を補正する制御手段としての機能を有する。
また、CPU32は、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を、例えば感光体ドラム100への前記露光装置からのレーザ光等の書き込み信号により認識される画像形成枚数、感光体ドラム100(または搬送転写ベルト5)の総回転数を計数し認識することによるエンジンの駆動時間(総走行距離)、および
温湿度センサ340から送信されてくる温湿度信号による環境変動の少なくとも1つに応じて実行する制御手段としての機能を有する。
【0048】
先ず、印刷ごとに実行されるトナー補給制御動作について説明する。以下の諸制御動作では、制御部37のCPU32(以下、説明の簡明化のため「制御部37」というときがある)の制御の下で実行されるため、CPU32による一々の説明を省略する。
図3を参照して、透磁率センサ350の検出値である出力値Vtとトナー濃度(重量パーセント:wt%)との関係について述べる。図3において、y軸でもある縦軸には透磁率センサ350からの出力値Vt(V)を、x軸でもある横軸にはトナー濃度(重量パーセント:wt%)をそれぞれ取って示すように、あるトナー濃度の範囲では直線近似することが可能である。換言すれば、図3に示した出力値Vt(V)とトナー濃度(重量%)とは、y=−0.5519x+5.8144という略一次関数で表すことができる。
同図から分かるように、トナー濃度が高いほど、出力値Vtが小さくなる特性を示す。この特性を利用して、透磁率センサ350の出力値Vtが制御基準値Vrefより大きい場合に現像器300の前記トナー補給部のトナー補給駆動モータ14を駆動してトナー補給動作を行う。
【0049】
以下、本実施形態の現像剤特性値測定方法と補正方法について、具体的に説明する。
図4において、y軸でもある縦軸には透磁率センサ350からの出力値Vt(V)を、x軸でもある横軸にはプロセス線速(mm/s)をそれぞれ取って示すように、あるトナー濃度の範囲では直線近似することが可能である。換言すれば、図4に示した出力値Vtとプロセス線速とは、y=−0.008x+3.0559という略一次関数で表すことができる。
複数のプロセス線速を有する画像形成装置(例えば、図1のフルカラー画像形成装置50参照)の場合、そのプロセス線速が異なるとき、透磁率センサ350の出力値Vtは、同一のトナー濃度であっても異なった値として出力される。そのため、線速ごとに透磁率センサ350の出力値Vtの補正を行う必要がある。これは、制御基準値Vrefに対して、透磁率センサ350の出力値Vtが大きくずれてしまうことにより、適正なトナー補給制御が困難となるためである。
【0050】
複数のプロセス線速ごとに透磁率センサの出力値の補正を行う場合の手順について、図5フローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS1において、画像出力モード(印刷モード)、すなわち線速を検知する。ステップS2において、透磁率センサ350から出力される出力値Vt'を検知する。ここで、出力値Vt'(以下、各フローチャートでは「出力値」を省略する)とは、透磁率センサ350から出力される値そのものであり、補正は行われていない。次にステップS3に進み、どのようなプロセス線速であるかを判定する。標準線速であれば、補正を行わず出力値Vt=出力値Vt'として出力値Vtを更新する(ステップS4およびステップS5)。
【0051】
標準線速以外の場合は、ステップS6に進み、ここで線速1の場合は、出力値Vt=Vt'−ΔVt1として、出力値Vtを更新する(ステップS5)。線速2の場合は、出力値Vt=Vt'−ΔVt2として出力値Vtを更新する(ステップS5)。ここで、ΔVt1、ΔVt2は補正量(V)である。本実施形態においては、前述したとおり各モードにおけるプロセス線速はそれぞれ、標準モードにおける標準線速が205(mm/s)、線速1が115(mm/s)、線速2が77(mm/s)である。
【0052】
この補正において、各線速に対する補正量は、従来は実験で求めた固定値であることが一般的であった。しかしながら、現像剤劣化の進行に伴い現像剤の流動性、かさ密度が変化するため、透磁率センサ350の出力値が大きく変動してしまい、経時において正確に出力値Vtの補正を行うことが困難となった。
また、固定値では環境変動による現像剤特性の変化を加味して補正を行うことができないため、高温高湿や低温低湿において動作が不安定になることがあった。さらに、固定値を使用した場合には、透磁率センサ350自体のばらつき、透磁率センサ350取り付けのばらつき、現像剤の製造ロット(lot)差等の補正を行うことが不可能であるため、全ての変動要因を加味した上で補正値を決定する方法が望まれていた。本実施形態では、環境変動、現像剤劣化に従い現像剤特性の変化を計測し、透磁率センサ350の出力値Vtの補正量を正確に算出し更新することで、より高い安定性を獲得することが可能となっている。
【0053】
次に、図6を参照して、現像剤特性値測定のフローを説明する。
同図において、先ず、ステップS10において、標準線速モードで例えば図1や図2に示した画像形成装置の駆動部(以下、「エンジン」という)を駆動する。ステップS11において、補正前のトナー濃度検出値Vt'0を取得する。次にステップS12において、線速1モードでエンジンを駆動し、ステップS13でVt'1を取得する。同様にステップS14において、線速2モードで駆動し、ステップS15でVt'2を取得する。次にステップS16で補正量:ΔVt1、ΔVt2を次式に従って算出する。
ΔVt1=Vt'1−Vt'0 ・・・・・(1)
ΔVt2=Vt'2−Vt'0 ・・・・・(2)
その後、ステップS17において、ΔVt1、ΔVt2を更新し、RAM34のNV−RAMに保存し、終了する。
【0054】
前述した補正量の算出タイミングであるが、本実施形態では画像形成枚数(印刷枚数)1000枚ごとに計測し値を更新するように設定しているが、その他に、現像器300がユニット化された現像ユニットの場合にはその新品との交換時、または現像剤交換時に補正量を算出することが望ましい。そのため、本実施形態例では補正量の算出を独立して行えるモードを有しているため、任意に補正を実行することができる。その他の方法として、温湿度センサ340を設け、その出力値に応じて、補正量を算出することにより、より精度の高い補正が可能となる。
また本実施形態例では、補正量測定モードを別途設けているが、さらなる時間短縮のため、印刷ジョブ中、画像出力モードが変化する前後の透磁率センサ350の出力値Vtから補正値を算出し更新してもよい。
【0055】
次にプロセスコントロール時間の短縮のための現像剤特性測定のフローを、図7を参照して説明する。
同図において、先ずステップS20において、標準線速モードでエンジンを駆動する。ステップS21において、補正前のトナー濃度検出値Vt'0を取得する。次にステップS22において、線速1モードでエンジンを駆動し、ステップS23でVt'1を取得する。次にステップS24において、ステップS21、ステップS23で取得したVt'0とVt'1を用いて、線速に対するVt'の近似直線の傾きとy切片を取得する。この近似直線からΔVt'2を算出する。次にステップS25において、上記(1)式、(2)式を用い、ΔVt1、ΔVt2を算出する。その後、ステップS26において、ΔVt1、ΔVt2を更新し、NV−RAMに保存し、終了する。
【0056】
このように、傾きを算出して各線速の補正量を算出することにより、全ての画像出力モードで検出値を測定する必要がなくなるため、測定時間の短縮に繋がる。本実施形態例においては、3線速を有する画像形成装置を例にしているが、さらに多くの画像出力モードを持つ画像形成装置においても同様に測定することができる。
本実施形態では、透磁率センサの出力値Vt値そのものを変化度合いに応じて補正することが可能であるため、特開2003−280355号公報(特許文献7)による制御と比較して、透磁率センサの出力値Vt値をそろえるために、その制御電圧Vcntを変化させることなく、すなわち透磁率センサの特性(感度)を大きく変化させることなく、また制御電圧Vcnt値の調整に関して例えば二分割法により、10点程度電圧を変化させて目標のVt値になるように調整するという必要もないから、その調整にかかる時間を大幅に短縮することが可能である。
【0057】
本実施形態は、図1に示したフルカラー画像形成装置50や図2に示した例に限らず、少なくとも2色のトナーを用いて現像可能な複数の現像装置(現像器)を有するカラー画像形成装置に本発明を適用した場合でも、上述した内容に準じて同様の作用・効果を奏することができることはいうまでもない。
【0058】
前述したように、従来の固定値による補正方法では環境変動による現像剤特性の変化を加味して補正を行うことができないため、高温高湿や低温低湿において動作が不安定になることがあった。さらに、固定値を使用した場合には、透磁率センサ自体のばらつき、透磁率センサ取り付けばらつき、現像剤の製造ロット差等の補正を行うことが不可能であった。
しかしながら、本実施形態によれば、CPU32は、少なくとも1つの画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時に実行することにより、該画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの検出値としての出力値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新することにより、またCPU32は、複数の画像出力モードの全てを実行することにより、該全ての画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの出力値に基づいて、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新することにより、環境変動、現像剤劣化に従い現像剤特性の変化を計測し、透磁率センサ350からの出力値Vtの補正量を正確に算出し更新することで、より高い安定性を獲得することが可能となっている。
【0059】
本実施形態によれば、制御部37(CPU32)は、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことにより、現像器300へのトナーTの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新するモードを個別に実行することにより、画像濃度制御パラメータの更新を任意に行うことが可能となり、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。また、現像器を新品に交換したり、現像剤を交換した際にも即座に対応が可能となる。
また、本実施形態によれば、トナー濃度検出手段として透磁率センサ350を用いているので、現像剤の流動性の変化等に対して透磁率センサ350の出力値が変化するため、現像剤特性値の変化状態を把握することができる。
また、本実施形態によれば、制御部37(CPU32)は、画像出力モードの実行時における透磁率センサ350からの出力値を補正することにより、現像剤変化に応じて制御値を最適化することが可能となるので、経時または環境変動時に、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
また、本実施形態によれば、制御部37(CPU32)は、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を、例えば感光体ドラム100への前記露光装置からのレーザ・書き込み信号により認識される画像形成枚数に応じて実行することにより、経時における現像剤変化に応じて制御値を最適化することが可能となるので、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
また、本実施形態によれば、制御部37(CPU32)は、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を、例えば温湿度センサ340から送信されてくる温湿度信号による環境変動の少なくとも1つに応じて実行することにより、急激な環境変動に対して追従することができ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
また、本実施形態によれば、少なくとも2色のトナーを用いて現像可能な複数の現像器(現像手段)を有し、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を複数の現像器(現像手段)でそれぞれ独立して実行することが可能であるカラー画像形成装置であることにより、各画像形成部(画像ステーション)ごとに現像剤の変化度合いが異なるが、このような場合でも例えばモノクロ画像のみの出力時にはブラックの画像形成部Bkの実行回数を多くするなどの設定が可能となり、より効率的に補正が行える。
また、本実施形態によれば、制御部37(CPU32)は、少なくとも2つの画像出力モードを実行することにより、該少なくとも2つの画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの出力値に基づいて、プロセス線速に対する傾きを算出して各線速の補正量を算出することにより、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことで、全ての画像出力モードで検出値を測定する必要がなくなるため、測定時間の短縮に繋がる。
【0060】
(変形例)
図8および図9を参照して、第1の実施形態の変形例を説明する。
前述したように、現像剤の特性値が経時により変化するため、透磁率センサ350の出力値が変化する。例えば図8に示すように、初期現像剤とランニング後の現像剤では線速に対するVt'の傾きが大きく異なる。そのため、傾きの変化から、現像剤特性値変化状態(現像剤の劣化状態)を判断し、補正を行っていくことが可能である。
【0061】
図9を参照して、透磁率センサの出力値の補正の実行可否を考慮に入れた場合の、現像剤特性値の測定に関するフローを説明する。
先ず、同図のステップS30において、標準線速モードでエンジンを駆動する。ステップS31に進み、補正前のトナー濃度の検出値である出力値Vt'0を取得する。次に、ステップS32において、線速1モードでエンジンを駆動し、ステップS33でVt'1を取得する。次に、ステップS34において、ステップS31、ステップS33で取得したVt'0とVt'1を用いて、線速に対するVt'の近似直線の傾き:αとy切片を取得する。その後ステップS35において補正を行うかどうかを判断する。判定は、次式(3)に従って行う。
|αn-αn−1|≧α0・・・・・・・・・(3)
ここで、αnは傾きの現在値、αn−1は前回の傾き、α0は制御基準値を示す。α0の値は、現像剤の制御トナー濃度、キャリア粒径など現像剤ごとに固有に決定される値である。
補正する場合は、ステップS36に進んで、上記(1)式、(2)式を用い、ΔVt1、ΔVt2を算出する。その後、ステップS37において、ΔVt1、ΔVt2を更新し、NV−RAMに保存し、終了する。一方、ステップS35で補正を行わない場合は、そのまま終了する。
【0062】
本実施形態によれば、制御部37(CPU32)は、少なくとも2つの画像出力モードを実行することにより、該少なくとも2つの画像出力モード実行時における透磁率センサ350からの出力値に基づいて、プロセス線速に対する傾きを算出して各線速の補正量を算出することにより、現像剤Gの劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことで、全ての画像出力モードで検出値を測定する必要がなくなるため、測定時間の短縮に繋がる。加えて、透磁率センサの出力値の補正の実行可否も判断に入れてトナー補正制御を行うことができる。
【0063】
本発明を適用するカラー画像形成装置は、図1に示したフルカラー画像形成装置50に限らず、例えば4色のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色毎に像担持体としての感光体、現像手段としての現像装置等を具備し、複数の感光体上に露光手段(光走査装置等)により静電潜像を形成するとともに、該静電潜像を像担持体毎に異なる色トナーで現像し、該各感光体上に形成されたトナー像を順次中間転写体上に重ねて転写した後、シート状記録媒体としての転写材に一括転写することによりカラー画像を得るフルカラー画像形成装置や2色以上のカラー画像形成装置にも適用できることは勿論である。
【0064】
上述したとおり、第1の実施形態および変形例において、課題を解決するための手段欄に記載した請求項10に係る画像形成方法を使用していたと言える。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した各実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すフルカラー画像形成装置の概略的な構成図である。
【図2】図1の感光体ドラムおよび現像器周りをブロック図とともに示す要部の一部断面正面図である。
【図3】トナー濃度と透磁率センサの出力値との関係を表すグラフである。
【図4】トナー濃度が同一の場合の、複数のプロセス線速とこれに対応した透磁率センサの出力値との関係を表すグラフである。
【図5】複数のプロセス線速ごとに透磁率センサの出力値の補正を行う場合のフローチャートである。
【図6】現像剤特性値の測定に関するフローチャートである。
【図7】プロセスコントロール時間の短縮化を図るための現像剤特性値の測定に関するフローチャートである。
【図8】現像剤特性値の経時による変化をパラメータとした場合の、複数のプロセス線速とこれに対応した透磁率センサの出力値との関係を表すグラフである。
【図9】透磁率センサの出力値の補正の実行可否を考慮に入れた場合の、現像剤特性値の測定に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1Y,1M,1C,1Bk,100 感光体ドラム(像担持体)
2Y,2M,2C,2Bk 帯電装置(帯電手段)
3Y,3M,3C,3Bk,300 現像器(現像手段、現像装置)
8Y,8M,8C,8Bk 転写ローラ(転写手段を構成する)
14 トナー補給駆動モータ
30 光学センサ(トナー付着量検出手段)
32 CPU(制御手段)
33 ROM(制御手段を構成する)
34 RAM(制御手段を構成する)
37 制御部(制御手段)
50 フルカラー画像形成装置
340 温湿度センサ(環境変動条件)
350 透磁率センサ(トナー濃度検出手段)
C キャリア
G 現像剤
P 転写紙(シート状記録媒体の一例)
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に潜像を形成する像担持体と、該像担持体に対向して配置され、トナーと該トナーを保持する磁性キャリアとを含む二成分現像剤を収納し、前記像担持体の表面の潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段内における二成分現像剤のトナーの濃度を検出するトナー濃度検出手段とを具備し、複数のプロセス線速の変更を伴う複数の画像出力モードが実行可能な画像形成装置において、
少なくとも1つの前記画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時に実行することにより、該画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、前記現像手段へのトナーの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記複数の画像出力モードの全てを実行することにより、該全ての画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値に基づいて、前記画像濃度制御パラメータを更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、少なくとも2つの画像出力モードを実行することにより、該少なくとも2つの画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値に基づいて、前記プロセス線速に対する傾きを算出することにより、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性の検知を行うことにより、前記画像濃度制御パラメータを更新するモードを個別に実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記トナー濃度検出手段が、二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記画像出力モードの実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を画像形成枚数に応じて実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を環境変動に応じて実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一つに記載の画像形成装置において、
少なくとも2色のトナーを用いて現像可能な複数の現像手段を有し、
二成分現像剤の劣化度合いを含む現像剤特性値の検知を前記複数の現像手段でそれぞれ独立して実行することが可能であることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項10】
像担持体に対向して配置され、内部に磁石を有する現像剤担持体が、トナーとトナーを保持する磁性キャリアとを含む二成分現像剤を担持し、該二成分現像剤を前記像担持体との間に形成される現像領域に搬送し、前記像担持体の表面上に形成される潜像を前記現像剤担持体から供給されるトナーで現像する現像手段と、該現像手段内における二成分現像剤のトナーの濃度を検出するトナー濃度検出手段とを使用して、複数のプロセス線速の変更を伴う複数の画像出力モードが実行可能な画像形成方法において、
少なくとも1つの前記画像出力モードにおけるトナー濃度検知を環境の変動時に実行することにより、該画像出力モード実行時における前記トナー濃度検出手段からの検出値を制御基準値と比較し、その比較結果からの差分を求めて、前記現像手段へのトナーの補給量を決める画像濃度制御パラメータを更新することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−259334(P2006−259334A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77561(P2005−77561)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】