説明

画像形成装置および色ずれ補正方法

【課題】コピーの終了時間の遅延を低減しつつ、色ずれ補正を適切なタイミングで行うことのできる画像形成装置および色ずれ補正方法を提供する。
【解決手段】画像担持体7に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出する色ずれ検出手段15と、ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出する印刷準備動作検出手段と、印刷準備動作検出手段が印刷準備動作を検出した場合に、色ずれ検出手段により検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行う色ずれ補正手段16とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色ずれ補正可能な画像形成装置および色ずれ補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から画像形成時の色ずれ補正に関する技術が知られている。例えば、待機中に一定時間経過する度に色ずれ補正を行うものが知られている(例えば、「特許文献1」参照)。また、ユーザがコピーボタンを押した際、光学書込みユニット内の温度変化量か、それまでの印刷枚数の合計数を確認し、それらがある基準値を超えていた場合、色ずれ補正を行ってから、コピーを開始するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−228670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にかかる装置においては、ユーザが印刷するタイミングと、色ずれ補正が行われるタイミングの間に時間差が生じてしまう。したがって、コピー時には再び色ずれが発生している可能性がある。また、上述のようにコピーボタンを押した際に色ずれ補正を開始する場合には、色ずれ補正の間、ユーザをコピー機の前で待たせることとなり問題であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コピーの終了時間の遅延を低減しつつ、色ずれ補正を適切なタイミングで行うことのできる画像形成装置および色ずれ補正方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、画像担持体に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出する色ずれ検出手段と、ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出する印刷準備動作検出手段と、前記印刷準備動作検出手段が前記印刷準備動作を検出した場合に、前記色ずれ検出手段により検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行う色ずれ補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、光学書込ユニット内の温度変化を計測する温度計測手段と、印刷用紙に画像を形成する画像形成手段により画像形成された印刷枚数を計測する印刷枚数計測手段とをさらに備え、前記色ずれ補正手段は、前記温度計測手段により計測された温度変化が予め定められた基準温度を超えていた場合および前記印刷枚数計測手段により計測された印刷枚数が予め定められた印刷枚数を超えていた場合に、前記色ずれ補正を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置であって、原稿用紙に描画された画像を前記印刷用紙に転写する際に前記原稿用紙を固定する固定板をさらに備え、前記印刷準備動作検出手段は、前記固定板が前記原稿用紙を固定する動作を前記印刷準備動作として検出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、複数の印刷用紙をセット可能な自動原稿送り装置をさらに備え、前記印刷準備動作検出手段は、前記自動原稿送り装置に前記印刷用紙がセットされる動作を前記印刷準備動作として検出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、ユーザが手差しで印刷用紙をセットする手差しトレイをさらに備え、前記印刷準備動作検出手段は、前記手差しトレイに前記印刷用紙がセットされる動作を前記印刷準備動作として検出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6にかかる発明は、色ずれ補正方法であって、画像担持体に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出する色ずれ検出ステップと、ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出する印刷準備動作検出ステップと、前記印刷準備動作検出ステップにおいて前記印刷準備動作を検出した場合に、前記色ずれ検出ステップにおいて検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行う色ずれ補正ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1にかかる発明によれば、色ずれ検出手段が、画像担持体に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出し、印刷準備動作検出手段が、ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出し、色ずれ補正手段が、印刷準備動作検出手段が印刷準備動作を検出した場合に、色ずれ検出手段により検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行う、すなわち実際に印刷が指示されるよりも前のタイミングにて色ずれ補正を開始するので、コピー終了までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項2にかかる発明によれば、温度計測手段が、光学書込ユニット内の温度変化を計測し、印刷枚数計測手段が、印刷用紙に画像を形成する画像形成手段により画像形成された印刷枚数を計測し、色ずれ補正手段が、温度計測手段により計測された温度変化が予め定められた基準温度を超えていた場合および印刷枚数計測手段により計測された印刷枚数が予め定められた印刷枚数を超えていた場合に、色ずれ補正を行うので、適切な色ずれ補正を行うことができるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項3にかかる発明によれば、固定板が、原稿用紙に描画された画像を印刷用紙に転写する際に原稿用紙を固定し、印刷準備動作検出手段は、固定板が原稿用紙を固定する動作を印刷準備動作として検出するので、コピー終了までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項4にかかる発明によれば、印刷準備動作検出手段が、複数の印刷用紙をセット可能な自動原稿送り装置に印刷用紙がセットされる動作を印刷準備動作として検出するので、コピー終了までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0016】
また、請求項5にかかる発明によれば、印刷準備動作検出手段が、ユーザが手差しで印刷用紙をセットする手差しトレイに印刷用紙がセットされる動作を印刷準備動作として検出するので、コピー終了までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項6にかかる発明によれば、色ずれ検出ステップにおいて、画像担持体に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出し、印刷準備動作検出ステップにおいて、ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出し、色ずれ補正ステップにおいて、印刷準備動作検出ステップにおいて印刷準備動作を検出した場合に、色ずれ検出ステップにおいて検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行うので、コピー終了までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および色ずれ補正方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は、画像形成装置としてのコピー装置10のうち紙搬送ベルトにトナーパターンを定着させる構成を示す図である。画像担持体ベルト(中間転写ベルト)に関しても、機構は同じである。実施の形態にかかるコピー装置10は、画像形成部が並んだタンデムタイプといわれるカラー画像形成装置である。
【0020】
各々異なる色(イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:K)の画像を形成する画像形成部が、転写紙1を搬送する搬送ベルト2に沿って一列に配置されている。搬送ベルト2は、その一方が駆動回転する駆動ローラと他方が従動回転する従動ローラである搬送ローラ3、4によって架設されており、搬送ローラの回転により矢印方向に回転駆動される。
【0021】
搬送ベルトの下部には、転写紙1が収納された給紙トレイ5が備えられている。収納された転写紙1のうち最上位置にある転写紙は、画像形成時には給紙され、途中レジストセンサ14により各ユニットとのタイミングが取られ、静電吸着によって搬送ベルト上に吸着される。吸着された転写紙1は、第1の画像形成部(イエロー)に搬送され、ここでイエローの画像形成が行われる。第1の画像形成部(イエロー)は、感光体ドラム6Yと感光体ドラムの周囲に配置された帯電器7Y、露光器8、現像器9Y、感光体クリーナ10Yから構成されている。感光体ドラム6Yの表面は、帯電器7Yで一様に帯電された後、露光器8によりイエローの画像に対応したレーザー光11Yで露光され、静電潜像が形成される。
【0022】
形成された静電潜像は現像器9Yで現像され、感光体ドラム上にトナー像が形成される。このトナー像は感光体ドラムと搬送ベルト上の転写紙と接する位置(転写位置)で転写器12Yによって転写され、転写紙上に単色(イエロー)の画像を形成する。転写が終わった感光体ドラムは、ドラム表面に残った不要なトナーを感光体クリーナ10Yによってクリーニングされ、次の画像形成に備えることとなる。
【0023】
このように、第1の画像形成部(イエロー)で単色(イエロー)を転写された転写紙1は、搬送ベルト2によって第2の画像形成部(マゼンタ)に搬送される。ここでも、同様に感光体ドラム6M上に形成されたトナー像(マゼンタ)は、転写紙上に重ねて転写される。転写紙は、さらに第3の画像形成部(シアン)第4の画像形成部(ブラック)に搬送され、同様に形成されたトナー像を形成されたトナー像を転写されてカラー画像を形成してゆく。第4の画像形成部を通過してカラー画像が形成された転写紙は、搬送ベルトから剥離され、定着器13にて定着された後、排紙される。
【0024】
センサ15は、色ずれ補正用に印刷された各色のパターンを読取る。その読取り値により各色の色ずれ量が算出され、その色ずれ量分は補正部16において補正される。色ずれ補正直後からの露光機8内のリアルタイムの温度変化量と、コピーおよびプリントの合計印刷枚数を共にコピー装置10が備えるメモリ(図示せず)に記録しておく。
【0025】
図2は、コピー装置10の外観構成を示す図である。コピー装置10は、手差しトレイ20と、固定板30と、自動原稿送り装置(ADF)40とを備えている。手差しトレイ20は、図に示すように開閉することができる。固定板30は、一辺を軸として開閉可能に設けられている。固定板30の下にコピーすべき原稿用紙がセットされる。ADF40には、複数の原稿用紙を連続して印刷する場合に、複数の原稿用紙がセットされる。ADF40は、セットされた複数の原稿用紙を1枚ずつ図1に示した紙搬送ベルトに送出する。
【0026】
コピー装置10は、手差しトレイ20の開閉動作を印刷準備動作として検出するセンサ22をさらに備えている。また、他の例としては、手差しトレイ20に印刷用紙がセットされることを印刷準備動作として検出するセンサ(図示せず)を備えてもよい。コピー装置10はさらに、固定板30を開く動作を印刷準備動作として検出するセンサ32およびADF40に原稿用紙がセットされたことを検出するセンサ42を備えている。
【0027】
図3は、コピー装置10による色補正処理を示すフローチャートである。まず、印刷準備動作が検出されると(ステップS100,Yes)、メモリに記憶されている温度変化量および印刷枚数が特定される(ステップS102)。なお、印刷準備動作は、図2を参照しつつ説明したように、コピーを行うために固定板30を開く動作、コピーを行うために原稿をADF40にセットする動作および手差しトレイ20を開く動作である。
【0028】
ステップS102において特定した温度変化量が予め定めた基準量を超えている場合および印刷枚数が予め定めた基準値である閾値を超えている場合には(ステップS104,Yes)、補正部16は、色ずれ補正を行う(ステップS106)。一方、温度変化量および印刷枚数のいずれも基準値未満である場合には(ステップS104,No)、ステップS108へ進む。次に、ユーザによりコピーボタンが押され、印刷が指示されると(ステップS108,Yes)、印刷処理が開始する(ステップS110)。以上で、色補正処理が完了する。
【0029】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コピー装置10のうち紙搬送ベルトにトナーパターンを定着させる構成を示す図である。
【図2】コピー装置10の外観構成を示す図である。
【図3】コピー装置10による色補正処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
10 コピー装置
15 センサ
16 補正部
20 手差しトレイ
22,32,42 センサ
30 固定板
40 ADF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像担持体に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出する色ずれ検出手段と、
ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出する印刷準備動作検出手段と、
前記印刷準備動作検出手段が前記印刷準備動作を検出した場合に、前記色ずれ検出手段により検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行う色ずれ補正手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
光学書込ユニット内の温度変化を計測する温度計測手段と、
印刷用紙に画像を形成する画像形成手段により画像形成された印刷枚数を計測する印刷枚数計測手段と
をさらに備え、
前記色ずれ補正手段は、前記温度計測手段により計測された温度変化が予め定められた基準温度を超えていた場合および前記印刷枚数計測手段により計測された印刷枚数が予め定められた印刷枚数を超えていた場合に、前記色ずれ補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
原稿用紙に描画された画像を前記印刷用紙に転写する際に前記原稿用紙を固定する固定板をさらに備え、
前記印刷準備動作検出手段は、前記固定板が前記原稿用紙を固定する動作を前記印刷準備動作として検出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の印刷用紙をセット可能な自動原稿送り装置をさらに備え、
前記印刷準備動作検出手段は、前記自動原稿送り装置に前記印刷用紙がセットされる動作を前記印刷準備動作として検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザが手差しで印刷用紙をセットする手差しトレイをさらに備え、
前記印刷準備動作検出手段は、前記手差しトレイに前記印刷用紙がセットされる動作を前記印刷準備動作として検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像担持体に印刷されたパターンをセンサで読み、色ずれ量を検出する色ずれ検出ステップと、
ユーザによる印刷指示前の所定の印刷準備動作を検出する印刷準備動作検出ステップと、
前記印刷準備動作検出ステップにおいて前記印刷準備動作を検出した場合に、前記色ずれ検出ステップにおいて検出された色ずれ量に基づいて、色ずれ補正を行う色ずれ補正ステップと
を有することを特徴とする色ずれ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−219174(P2007−219174A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39906(P2006−39906)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】