説明

画像形成装置

【課題】 カラー画像を形成する際の色ずれの発生を防止し、高画質のカラー画像を形成する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像信号に基いて変調された複数の光源からの光ビームによって、前記各光ビームに対応する像担持体を走査し、静電潜像を形成する光走査手段と、前記静電潜像を各色トナーで顕像化し、トナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する転写手段と、各色の前記トナー像の色ずれ量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基いて色ずれを補正する色ずれ補正手段とを有する画像形成装置であって、光源は、カップリングレンズと、該カップリングレンズの光軸から微小量だけ変位させた位置に固定された半導体レーザから構成されており、色ずれ補正手段は検出手段からの検出結果に基づいて、カップリングレンズの光軸を回転軸とした光源の回転により色ずれ補正を行うことにより、装置を大型化することなく安定したカラー画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、カラー画像を形成する際の色ずれの発生を防止し、高画質のカラー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像形成装置には、種々のタイプのものがある。例えば、光走査手段に半導体レーザ等を用いた電子写真方式のカラー画像形成装置は、原稿を読み取り走査して得られるカラー画像信号に応じて、変調された光ビームを感光体ドラム、感光体ベルト等の像担持体に照射して静電潜像を形成し、その静電潜像を対応する色のトナーで現像し、用紙に転写する構成となっている。
【0003】
この電子写真方式を利用したカラー画像形成装置には、色毎に独立の画像形成部でカラー画像を形成するタイプと、単一の画像形成部でカラー画像を形成するタイプのものがある。一般に、前者のタイプは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応して4つの画像形成部を有することから4タンデムエンジンと称され、後者のタイプは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の画像を単一の画像形成部で形成することからシングルエンジンと称されている。
【0004】
シングルエンジンのカラー画像形成装置は、光走査手段から感光体ベルトに光ビームを照射して感光体ベルトの外周面に第1色目〜第4色目までの静電潜像を順に書き込み、ロータリー式の現像器によって直ちに当該色の現像を行う。現像器は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各現像スリーブを有しており、光走査手段により書き込まれた静電潜像に対応する色の現像スリーブで当該色のトナーを感光体ベルトに供給する。次に、感光体ベルト上に現像されたトナー像を、感光体ベルトの外周面に常時接触している中間転写ベルトに一次転写する。その際、中間転写ベルト上のマークを検出手段によって検出した信号を基に、各色の画像形成タイミングをとって、所定の時間後に光ビームにより感光体ベルト上にトナー像を形成することで、各色の画像の位置を合わせる。上記一次転写を感光体ベルトの回転毎に繰り返し行って、中間転写ベルト上に第1色目〜第4色目までのトナー像を順次重ね合わせて転写し、一つのカラー画像を中間転写ベルト上に形成する。最後に、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像を、用紙トレイから送り出されてきた用紙に2次転写し、その後、用紙を定着器で画像定着させて装置外部の排紙トレイ上に排出する。なお、用紙への画像転写後に中間転写ベルトに残った残留トナーは、クリーナによって取り除かれる。
【0005】
そして、光走査手段に回転多面鏡を用いて光ビームを偏向する場合には、中間転写ベルトの1回転周期が、中間転写ベルトの周長の部品公差や経時変化による中間転写ベルトの伸び、中間転写ベルトの張り渡されているローラの外径公差、中間転写ベルトと当該ローラのスリップ等によって、書込走査間隔の整数倍の関係にすることが難しい。そのため、一般的には光走査手段の走査周期と中間転写ベルトの回転周期とが非同期となり、色ずれ発生の原因となる。また、中間転写ベルトではなく、転写ドラム上に用紙を巻きつけた転写方法のカラー画像形成装置においても同様に、色ずれが発生する。
【0006】
更に、この色ずれは、光走査手段の走査周期と中間転写ベルトの回転周期との非同期が原因であるため、シングルエンジンカラー画像形成装置だけでなく、4タンデムエンジンカラー画像形成装置においても発生する問題である。
【0007】
この色ずれを防止する方法として、以下の発明が提案されている。
【0008】
特許文献1では、中間転写ベルトに設けられたマークをマーク検出センサで検出し、当該マーク検出センサのマーク検出タイミングを基準にして、光走査手段の回転多面鏡を所定の画像書き始めまでの所定の時間内に回転制御を行うことにより、露光位置のズレをなくして各色版の単色画像の重ねあわせを良好に行うことができるカラー画像形成装置が提案されている。
【0009】
特許文献2では、モータ制御方法、及び記録媒体は、転写ドラム又は中間転写ドラムをステップモータで駆動し、ビーム検知信号(BD)を用いて定速回転制御を行い、各所の色ずれを生じさせない構成の画像形成装置において、駆動するためのモータを大型化することなしに、スムーズな加速、減速を行え得る構成の制御手段を有するカラー画像形成装置が提案されている。
【0010】
特許文献3では、光源の回転軸からカップリングレンズを変移させて配置し、光源を回転させることで各色のカラーレジストずれを防止する画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開平8−152833号公報
【特許文献2】特開平10−14291号公報
【特許文献3】特開2003−330243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記の発明は、以下の問題を有している。
【0012】
従来の画像形成装置にあっては、安価にカラーレジストずれの発生を防止して、画像品質を向上させる上で改良の必要があった。すなわち、特許文献1記載のカラー画像形成装置は、回転多面鏡の回転速度を制御して画像の色ずれを防止しているが、回転多面鏡の回転速度は非常に速いため、その回転速度を変更して位相を同期させることは精度的には極めて困難である。
また、これを達成するために、高価な回転多面鏡が必要となり、画像形成装置が高価なものになる。
【0013】
また、特許文献2記載のカラー画像形成装置は、転写ドラムまたは転写ベルトの駆動手段を加減速して、書込走査間隔周期に同期させることで、カラーレジストずれを防止しているため、転写ドラムまたは転写ベルトを回転駆動させる駆動手段が専用に必要になるとともに、この駆動手段の速度及び位置制御を行う必要があり、また高価なモータ等の駆動手段が必要となり、画像形成装置が高価なものになる。
【0014】
また、特許文献3記載の画像形成装置は、光源の回転軸とカップリングレンズの光軸を変移させてカラーレジストずれを防止するために、その成す角度は約1°以上離間させる必要があり、この角度が大きいと副走査方向の結像性能を劣化させ、画像品質を著しく低下させる。また、この角度を小さくするためにはポリゴンミラーと光源との距離を非常に長く取る必要があり、これは装置の大型化に繋がるという弊害を生じる。
【0015】
そこで、本発明は、画像信号に基いて変調された複数の光源からの光ビームによって、前記各光ビームに対応する像担持体を走査し、静電潜像を形成する光走査手段と、前記静電潜像を各色トナーで顕像化し、トナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する転写手段と、各色の前記トナー像の色ずれ量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基いて色ずれを補正する色ずれ補正手段とを有する画像形成装置であって、光源は、カップリングレンズと、該カップリングレンズの光軸から微小量だけ変位させた位置に固定された半導体レーザから構成されており、色ずれ補正手段は検出手段からの検出結果に基づいて、カップリングレンズの光軸を回転軸とした光源の回転により色ずれ補正を行うことにより、装置を大型化することなく安定したカラー画像を出力できる画像形成装置を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明は、画像信号に基いて変調された複数の光源からの光ビームによって、前記各光ビームに対応する像担持体を走査し、静電潜像を形成する光走査手段と、前記静電潜像を各色トナーで顕像化し、トナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する転写手段とを有する画像形成装置において、各色の前記トナー像の色ずれ量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基いて色ずれを補正する色ずれ補正手段とを有し、前記レーザ発光素子は、前記カップリングレンズの光軸から微小量だけ変位させた位置に固定され、前記色ずれ補正手段は、前記カップリングレンズの光軸を回転軸として前記レーザ発光素子を回転させることにより色ずれを補正することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記検出手段は、ジョブ間に各色の前記トナー像の色ずれ量を検出することを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記検出手段は、1ページごとに各色の前記トナー像の色ずれ量を検出することを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記色ずれ補正手段は、前記検出手段による検出結果の平均に基いて前記色ずれを補正することを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記検出手段は、前記静電潜像を形成するレーザ光から各色の前記トナー像の色ずれ量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、画像信号に基いて変調された複数の光源からの光ビームによって、前記各光ビームに対応する像担持体を走査し、静電潜像を形成する光走査手段と、前記静電潜像を各色トナーで顕像化し、トナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する転写手段と、各色の前記トナー像の色ずれ量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基いて色ずれを補正する色ずれ補正手段とを有する画像形成装置であって、光源は、カップリングレンズと、該カップリングレンズの光軸から微小量だけ変位させた位置に固定された半導体レーザから構成されており、色ずれ補正手段は検出手段からの検出結果に基づいて、カップリングレンズの光軸を回転軸とした光源の回転により色ずれ補正を行うことにより、装置を大型化することなく安定したカラー画像を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成及び動作について説明する。
【0023】
なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
図1〜図11は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。図1は、本実施形態を適用した1ドラム方式(シングルエンジン)のカラー画像形成装置1の正面概略構成図である。
【0025】
カラー画像形成装置1は、本体筐体2内に、書込ユニット3、帯電ローラ4、感光体ユニット5、現像ユニット6、転写ユニット7、マーク検出センサ8(図2、図4参照)、転写ローラ9、クリーニング部10、給紙ユニット11、定着ユニット12、排紙部13及び除電ランプ14等を備えており、画像データに基づいて、電子写真方式で、最終的に図示しない転写紙に画像を形成して、本体筐体2外に設けられた排紙台15上に転写紙を排出する。
【0026】
感光体ユニット5は、一対のローラ21、22と、これらのローラ21、22に張り渡されシームレスの環状に形成された可撓性の感光体ベルト23と、を備えており、感光体ベルト23は、少なくともローラ21、22の一方が回転駆動されることで、ローラ21、22に沿って図1中の時計方向に回転駆動される。
【0027】
帯電部4は、感光体ユニット5のローラ21の近傍で感光体ベルト23に近接して配設されており、感光体ベルト23を一様に帯電させる。
【0028】
書込ユニット3は、レーザ発光素子(以下、LDという。)31、ポリゴンミラー32、ポリゴンミラー(回転多面鏡)32を一定の角速度で回転駆動する駆動モータ33、fθレンズ34、折返しミラー35及び同期検知センサ(主走査方向同期検知手段)36等を備えており、LD31で画像データに基づいて変調されて発生された光ビーム37を、駆動モータ33で回転されるポリゴンミラー32により回転走査して、fθレンズ34を経て折返しミラー35により光路を曲げて、予め除電ランプ14により除電され帯電部4によって一様に帯電された感光体ベルト23の周面上に露光して、静電像を形成するとともに、光ビーム37の主走査方向であって感光体ベルト23から外れた位置に設けられた同期検知センサ36にも光ビーム37を照射して、当該同期検知センサ36が、検出結果を主走査同期信号として出力する。なお、ポリゴンミラー32は、鏡面数が6面である。
【0029】
現像ユニット(画像形成部)6は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(B)の4色の現像器6Y、6C、6M、6Bが1つの回転ドラム41に配設されており、現像ユニット6は、回転ドラム41が回転することで、各色の現像器6Y、6C、6M、6Bが個別に感光体ベルト23に対向する状態となって、静電像の形成された感光体ベルト23に各色のトナー(現像剤)を順次付着させて、各色の画像を現像する。すなわち、現像ユニット6は、所定の位置で感光体ベルト23と近接あるいは接触する各現像スリーブを備え、感光体ベルト23上の潜像を非接触現像法あるいは接触現像法により顕像化する機能を有している。
【0030】
感光体ベルト23には、ローラ22部分で、転写ユニット7の中間転写ベルト51が接しており、中間転写ベルト51は、シームレスの環状に形成されて、一対のローラ52、53に張り渡されている。転写像担持体としての中間転写ベルト51は、少なくとも一方のローラ52、53が、図示しないモータにより回転駆動されることで、ローラ52、53に沿って図1中の反時計方向に回転駆動される。
【0031】
中間転写ベルト51内には、バイアスローラ54が配設されており、バイアスローラ54は、高圧電源からの転写バイアスを中間転写ベルト51に印可して、感光体ベルト23上のトナー画像を中間転写ベルト51上に転写させる。そして、中間転写ベルト51に接離するように転写ローラ9が設けられている。
【0032】
中間転写ベルト51には、感光体ベルト23上に形成された各色のトナー画像が順次重ねて転写され、カラーのトナー画像(カラートナー画像)を再現して、バイアスローラ54で中間転写ベルト51に転写して、最終的に、転写ローラ9で、中間転写ベルト51上のカラーのトナー画像を、給紙ユニット11から搬送されてきた転写紙(転写部材)に転写する。具体的には、感光体ベルト23上の第一回目の顕像(トナー画像)が、中間転写ベルト51内に設けられたバイアスローラ54により中間転写ベルト51上に転写され、同様のプロセスを反復することで、第二回目の顕像、第三回目の顕像、第四回目の顕像が中間転写ベルト51上にそれぞれ重ね合わされて位置ズレを生じないように転写される。
【0033】
そして、トナー画像の転写された転写紙は、定着ユニット12に送られて、定着ユニット12で、加熱・加圧され、トナー画像が転写紙に定着されて、排紙部13で排紙台15上に順次排出される。
【0034】
上記給紙ユニット11は、給紙カセット61、給紙ローラ62、複数の搬送ローラ63及びレジストローラ64等を備え、給紙カセット61内には、複数枚の転写紙が収納される。給紙ユニット11は、給紙ローラ62により給紙カセット61内の転写紙を1枚ずつ分離して送り出し、複数の搬送ローラ63で順次転写紙をレジストローラ64に搬送する。レジストローラ64は、送られてきた転写紙をタイミング調整した後、転写ローラ9と中間転写ベルト51との間に搬送し、転写ローラ9で中間転写ベルト51上のトナー画像を転写紙に転写させる。
【0035】
そして、クリーニング部10は、感光体ベルト23に残留する残留トナーをクリーニングする。
【0036】
また、中間転写ベルト51は、中間転写ベルトクリーニング部65により残留トナーが除去され、中間転写ベルトクリーニング部65は、画像形成中には中間転写ベルト51の表面から離間した位置に保たれ、画像転写後のクリーニング時にのみ中間転写ベルト51の表面に圧接される。
【0037】
中間転写ベルト51には、図3に示すように、カラー画像に転写位置を正確なものとして各色のトナー画像の位置ずれを防止する6個の基準マーク66A〜66Fが中間転写ベルト51の幅方向の一方側端部であってトナー画像に転写領域外に、所定の間隔で設けられており、上記マーク検出センサ(中間転写部材周期検知手段)8は、ローラ53よりも中間転写ベルト51の回転方向下流側で、中間転写ベルト51上の基準マーク66A〜66Fを検出して検出信号(中間転写1回転検知信号)を出力する。このマーク検出センサ8は、反射型フォトインタラプトからなる反射型フォトセンサが用いられているが、図4に示すように、透過型フォトセンサ8A、8Bを用い、基準マーク66A〜66Fを透明部材とするか、切り抜きとして、透過型フォトセンサ8A、8Bで基準マーク66A〜66Fを検出するようにしてもよい。
【0038】
カラー画像形成装置1は、マーク検出センサ8の基準マーク66A〜66Fに対する検出信号に対して、マーク検出センサ8で検出された基準マーク66A〜66Fの個数管理により画像の書込タイミングとして使用できないようにマスクをかけて、中間転写1回転検知信号を出力する。
【0039】
すなわち、カラー画像形成装置1は、マーク検出センサ8により任意のマーク(例えば、基準マーク66A)を検出することにより書き込みを開始し、中間転写ベルト51が一周して再度基準マーク66Aを検知したときに、2色目以降の書き込みを順次開始する。このとき、他の基準マーク66B〜66Fは、基準マーク66A〜66Fの個数を管理することで、書き込みタイミングとして使用しないように信号にマスクがかかるようにしている。
【0040】
そして、上記LD31は、図5に示すように、LDユニット(光学素子ユニット)70として、カップリングレンズ71とともに保持部材72に保持されており、LD31から出射された光ビーム37は、カップリングレンズ71及びポリゴンミラー32との間に配設されているアパーチャ73とシリンダレンズ74を通して、ポリゴンミラー32に照射される。このLDユニット70は、ポリゴンミラー32及び感光体ベルト23に光ビームを照射させる他の光学素子を保持して光学ユニットを構成する光学ハウジング(図示略)に対して、回転可能に取り付けられているとともに、LDユニット70の回転軸OSとカップリングレンズの光軸は合致しており、LD31がOSから微小量だけ変移されて固定されている。
【0041】
また、LDユニット70は、図6に示すように、その主走査方向側の一端部側にビーム位置調整モータ75のリードスクリュウ76が係合しており、ビーム位置調整モータ75が回転すると、リードスクリュウ76が回転して、LDユニット70が回転中心軸OSを中心として、図6に矢印で示すように回転する。LDユニット70が回転中心軸OSを中心として回転すると、LD31から出射された光ビーム37が、感光体ベルト23上では、図7に示すように、回転中心を中心にして、副走査方向に移動して、ビーム照射位置が変位する。
【0042】
このように、LDユニット70を回転中心軸OSを中心に回転させることで、繰り返し安定性を向上させることができ、後述する色ずれを高精度に補正することができる。
【0043】
そして、上記ビーム位置調整モータ75は、例えば、1回転20パルスのステッピングモータを用いることができ、LDユニット70の回転角度と感光体ベルト23上のビーム照射位置を計測したところ、ビーム位置調整モータ75であるステッピングモータの1パルスによって、副走査方向のビーム変位は、サブμm程度であり、十分な分解能を得ることができる。
【0044】
上記の構成によれば、カップリングレンズ71の倍率がビーム位置調整に寄与するため、特許文献3にある方式よりも、高精度にビーム位置を調整することができる。
【0045】
なお、図7に示したように、本実施形態のカラー画像形成装置1では、LDユニット70を回転させると、主走査方向にもビーム位置が変位するが、その値は十分に小さいとともに、主走査方向の同期を検知する同期検知センサ36の検知結果で補正することにより、主走査方向のビーム位置の変位を是正することができる。
【0046】
そして、カラー画像形成装置1は、図8に示すように、画像形成制御回路81、カウンタ82、ビーム位置制御回路83、LD駆動回路84及び上記レーザ発光素子31とビーム位置調整モータ75等を備えている。
【0047】
画像形成制御回路81には、同期検知センサ36からの主走査同期信号、マーク検出センサ8からの中間転写1回転検知信号及び画像データが入力され、画像形成制御回路81は、これらの信号に基づいて、LD31を点灯制御する制御信号をLD駆動回路84に出力する。LD駆動回路84は、画像形成制御回路81からの制御信号に基づいてLD31を点灯駆動する。
【0048】
カウンタ(演算手段)82には、同期検知センサ36からの主走査同期信号とマーク検出センサ8からの中間転写1回転検知信号が入力され、カウンタ82は、主走査同期信号と中間転写1回転検知信号の時間差(位相差)をカウントして当該カウンタ値をビーム位置制御回路83に出力する。
【0049】
ビーム位置制御回路83は、カウンタ82からのカウンタ値に基づいて、ビーム位置調整モータ75を回転駆動し、時間差(位相差)に相当する色ずれの距離だけ光ビーム37の照射位置を副走査方向に移動させることにより、色ずれを補正する。そして、上記ビーム位置制御回路83及びビーム位置調整モータ75は、変位駆動手段として機能している。
【0050】
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態のカラー画像形成装置1は、帯電部4により一様に帯電された感光体ベルト23に書込ユニット3から光ビーム37を照射して感光体ベルト23にイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(B)の4色の静電像を順に書き込むが、感光体ベルト23に任意の色(例えば、イエロー(Y))の静電像を書き込むと、現像ユニット6の当該色であるイエロー色の現像器6Yによって直ちに当該色の現像してトナー画像を形成し、当該感光体ベルト23上のトナー画像を中間転写ベルト51に転写する。
【0051】
カラー画像形成装置1は、上記書込ユニット3による静電像の形成、現像ユニット6による感光体ベルト23の静電像の現像及び現像されて形成された感光体ベルト23上のトナー画像の中間転写ベルト51への転写を以降のシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(B)について順次行って、中間転写ベルト51上に、カラートナー画像を形成する。
【0052】
カラー画像形成装置1は、この中間転写ベルト51上のカラートナー画像を給紙ユニット11からレジストローラ64でタイミング調整された後、転写ローラ9と中間転写ベルト51との間に搬送されてきた転写紙に転写し、カラートナー画像の転写された転写紙を定着ユニット12に搬送して、定着ユニット12で、加熱・加圧してカラートナー画像を転写紙に定着した後、排紙部13で排紙台15上に順次排出する。
【0053】
上記感光体ベルト23上に形成したトナー画像を中間転写ベルト51に転写する際に、前に転写されているトナー画像と正確に位置合わせして、転写する必要がある。
【0054】
そして、カラー画像形成装置1は、図3に示したように、中間転写ベルト51に、6個の基準マーク66A〜66Fが中間転写ベルト51の幅方向の一方側端部であってトナー画像に転写領域外に、所定の間隔で設けられており、マーク検出センサ8が、ローラ53よりも中間転写ベルト51の回転方向下流側で、中間転写ベルト51上の基準マーク66A〜66Fを検出して中間転写1回転検知信号を出力する。
【0055】
カラー画像形成装置1は、図9に示すように、このマーク検出センサ8が6個の基準マーク66A〜66Fのうち、任意のマーク、例えば、基準マーク66Aを検出した信号を基に、ある一定時間Tk1経過後に、書込ユニット3に感光体ベルト23に対する1色目の画像の書き込み(イエロー(Y)の画像信号に対応した光ビーム37による露光)を開始する。この一定時間Tk1は、次式で表され、基準マーク66Aを検出した信号と同期検知センサ36からの同期信号(主走査同期検知信号)との時間差tb1と同期信号の1周期期間tpの整数倍である。
【0056】
Tk1=tb1+n×tp
n:は整数(0でも可)
次に、カラー画像形成装置1は、基準マーク66Aが一周して再度マーク検出センサ8が基準マーク66Aを検出した信号を基に、ある一定時間Tk2経過後に、書込ユニット3が感光体ベルト23に対して2色目の画像の書き込み(マゼンタ(M)の画像信号に対応した光ビーム37による露光)を開始する。この一定時間Tk2は、次式で表され、基準マーク66Aを検出した信号と同期検知センサ36からの同期信号(主走査同期検知出力)との時間差tb2と同期信号の1周期期間tpの整数倍である。
【0057】
Tk2=tb2+n×tp
n:は整数(0でも可)
カラー画像形成装置1は、以下同様に、シアン(C)及びブラック(B)の画像を感光体ベルト23上に形成する。
【0058】
ところが、中間転写ベルト51の周長の部品公差や経時変化による中間転写ベルト51の伸び及びローラの外径公差や中間転写ベルト51とローラのスリップ等の誤差要因によって、中間転写1回転検知信号と主走査同期検知信号(同期信号)とは同期しないため、tb1、tb2、tb3、tb4の値は、±1/2tpの範囲でばらついてしまう。その結果、各色の画像の位置が、図10に示すように、副走査方向に最大1ドッドずれてしまうことになる。なお、図10において、Mは、マゼンタ(M)の画素を示しており、Yは、イエロー(Y)の画素を示している。
【0059】
そこで、本実施の形態のカラー画像形成装置1は、色ずれを補正する方法として、主走査同期信号と中間転写1回転検知信号の時間差(位相差)をカウンタ82のカウンタ値により測定し、そのカウンタ値に基づいてビーム位置制御回路83によりビーム位置調整モータ75を制御して、時間差(位相差)に相当する色ずれの距離だけビームの照射位置を副走査方向に移動させることで補正している。
【0060】
例えば、反射面を6面有するポリゴンミラー32を2万rpmで回転させ、画素密度600dpiの画像をシングルビームのLD31で形成する場合には、主走査同期検知信号(同期信号)の間隔は500μsとなる。例えば、1色目のイエロー(Y)の画像形成時の上記基準マーク66Aを検出した信号と同期検知センサ36からの同期信号(主走査同期検知出力)との時間差tb1が100μsのときは、この時間差に相当するずれ量X1は、次式で与えられる。
【0061】
X1=42.3μm×100μs/500μs
=42.3μm×tb1/500μs
=8.5μm
ここで、42.3μmは、1ドット間隔の長さである。
【0062】
そして、カラー画像形成装置1は、上述のように、中間転写1回転検知信号から、主走査検知信号を500パルス後に1色目の画像を書き始めるとすると、この主走査検知信号の500パルスの間で上記ずれ量である8.5μmを、ビーム位置調整モータ75により感光体ベルト23への照射位置を副走査方向にずらして補正する。この場合は、図3で現像ユニット6側に移動させる。
【0063】
次に、中間転写ベルト51が1回転した検知信号(中間転写1回転検知信号)と同期信号の時間差tb2が400μsのとき、この時間差に相当するずれ量X2は、次式で与えられる。
X2=42.3μm×400μs/500μs−X1
=42.3μm×(tb2−tb1)/500μs
=25.4μm
そして、この2色目での補正は、1色目に対してのずれについては既に補正しているため、以前の補正値を引いたものになり、3色目及び4色目においては、中間転写1回転検知信号と同期信号の時間差tb3、tb4が400μsのとき、これらの時間差に相当するずれ量X3、X4は、それぞれ次式で与えられる。
【0064】
X3=42.3μm×tb3/500−X1−X2
=42.3μm×(tb3−tb2)/500μs
X4=42.3μm×tb4/500−X1−X2−X3
=42.3μm×(tb4−tb3)/500μs
【0065】
カラー画像形成装置1は、これらのずれ量X2、X3、X4に基づいて、上記同様に、ビーム位置調整モータ75により感光体ベルト23への照射位置を副走査方向にずらして補正する。
【0066】
カラー画像形成装置1は、光ビーム照射位置を副走査方向に変位させる方法として、ビーム位置調整モータ75によりリードスクリュウ76を回転させて、LDユニット70を回転中心軸OSを中心として回転させて、LD31から出射された光ビーム37を、感光体ベルト23上で、図7に示したように、回転中心を中心にして、副走査方向に移動して、ビーム照射位置を変位させることで行っている。
【0067】
このように、本実施の形態のカラー画像形成装置1は、光ビーム37を出射するLD31とカップリングレンズ71を保持するLDユニット70の当該LD31から出射されてカップリングレンズ71を通過した光ビーム37をポリゴンミラー32で主走査方向に偏向して光学素子を通過させて感光体ベルト23上に照射して静電像を形成し、感光体ベルト23上の静電像に現像ユニット6から所定色の現像剤であるトナーを付与して現像剤像(トナー像)を形成し、トナー像を中間転写ベルト51に位置合わせして転写する作像動作処理を複数色について順次行って、中間転写ベルト51に各色のトナー像を重ね合わせてカラートナー像を形成し、当該カラートナー像を転写紙に転写して画像形成するに際して、LDユニット70を、ポリゴンミラー32及び光学素子を保持する光学ユニットである光学ハウジングに対して位置変位可能に取り付け、中間転写ベルト51の1回転周期を検知するマーク検出センサ8の出力する中間転写1回転検知信号と、光ビーム37の感光体ベルト23上への主走査方向の書出位置を検知する同期検知センサ36の出力する主走査同期信号の位相差をカウンタ82で比較演算し、当該位相差に基づいて、ビーム位置制御回路83及びビーム位置調整モータ75でLDユニット70を回転させて、感光体ベルト23上への光ビーム37の照射位置を副走査方向に移動させている。
【0068】
したがって、各色の感光体ベルト23上に形成される静電像の位置ずれ量を厳密に補正することができ、形成されるから画像の色ずれを防止して、安価に高品質のカラー画像を形成することができる。なお、静電像の位置ずれ量の検出は、画像形成動作が実行される度、又は1ページの画像形成動作が完了する度に実行される。また、位置ずれ量の検出は、複数回行われ、検出された位置ずれ量の平均値から静電像の位置ずれ量に応じて、位置ずれを補正する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態に係るカラー画像形成装置の正面概略構成図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置の書込ユニット、感光体ユニット、及び転写ユニット部分の拡大概略斜視図である。
【図3】図1のカラー画像形成装置の現像ユニットの一部、感光体ユニット、転写ユニット、及びマーク検出センサ部分の拡大概略正面図である。
【図4】図3のマーク検出センサを透過型とした場合の構成例を示す図である。
【図5】図1の書込ユニットのLDユニットとポリゴンミラーの拡大平面図である。
【図6】図5のLDユニットの正面図である。
【図7】図5及び図6のLDユニットの回転による感光体ベルト上でのレーザービームの副走査方向の移動状態を示す図である。
【図8】図1のカラー画像形成装置の要部回路ブロック図である。
【図9】図8の主走査同期信号、中間転写1回転検知信号及び画像書出タイミングのタイミング図である。
【図10】中間転写ベルトの周長の部品公差や経時変化等による画素の副走査方向のずれを示す図である。
【図11】LDユニットの回転による感光体ベルト上でのレーザービームの変位の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 カラー画像形成装置
2 本体筐体
3 書込ユニット、
4 帯電ローラ
5 感光体ユニット
6 現像ユニット
6Y、6C、6M、6B 現像器
7 転写ユニット
8 マーク検出センサ
8A、8B 透過型フォトセンサ
9 転写ローラ
10 クリーニング部
11 給紙ユニット
12 定着ユニット
13 排紙部
14 除電ランプ
15 排紙台
21、22 ローラ
23 感光体ベルト
31 LD
32 ポリゴンミラー
33 駆動モータ
34 fθレンズ
35 折返しミラー
36 同期検知センサ
41 回転ドラム
51 中間転写ベルト
52、53 ローラ
61 給紙カセット
62 給紙ローラ
63 搬送ローラ
64 レジストローラ
65 中間転写ベルトクリーニング部
66A〜66F 基準マーク
70 LDユニット
71 カップリングレンズ
72 保持部材
73 アパーチャ
74 シリンダレンズ
75 ビーム位置調整モータ
76 リードスクリュウ
81 画像形成制御回路
82 カウンタ
83 ビーム位置制御回路
84 LD駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に基いて変調された複数の光源からの光ビームによって、前記各光ビームに対応する像担持体を走査し、静電潜像を形成する光走査手段と、前記静電潜像を各色トナーで顕像化し、トナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する転写手段とを有する画像形成装置において、
各色の前記トナー像の色ずれ量を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基いて色ずれを補正する色ずれ補正手段とを有し、
前記レーザ発光素子は、前記カップリングレンズの光軸から微小量だけ変位させた位置に固定され、
前記色ずれ補正手段は、前記カップリングレンズの光軸を回転軸として前記レーザ発光素子を回転させることにより色ずれを補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、ジョブ間に各色の前記トナー像の色ずれ量を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、1ページごとに各色の前記トナー像の色ずれ量を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記色ずれ補正手段は、前記検出手段による検出結果の平均に基いて前記色ずれを補正することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記静電潜像を形成するレーザ光から各色の前記トナー像の色ずれ量を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−181879(P2006−181879A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378200(P2004−378200)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】