画像形成装置
【課題】トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知せず、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】新品時には封止部材によって開口が封止されているトナー容器を有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、前記プロセスカートジッリを駆動する回転駆動源と、新品検知手段によりトナー容器が新品であると検知した場合(S1102)に、速度誤差の範囲をトナー容器の開封用の値に設定して(S1103)、回転駆動源を起動するとともに、開封手段によるトナー容器の開封動作を開始し(S1104)、トナー容器の開封動作が完了したと判断したときに、速度誤差の範囲をトナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値に設定する(S1106)制御手段と、を備えた画像形成装置により前記課題を解決する。
【解決手段】新品時には封止部材によって開口が封止されているトナー容器を有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、前記プロセスカートジッリを駆動する回転駆動源と、新品検知手段によりトナー容器が新品であると検知した場合(S1102)に、速度誤差の範囲をトナー容器の開封用の値に設定して(S1103)、回転駆動源を起動するとともに、開封手段によるトナー容器の開封動作を開始し(S1104)、トナー容器の開封動作が完了したと判断したときに、速度誤差の範囲をトナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値に設定する(S1106)制御手段と、を備えた画像形成装置により前記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジに関し、特に、新品のプロセスカートリッジの開口部を密封するために設けられているシール部材の開封に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、感光体および前記感光体に作用するプロセス手段を一体化し、これを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が広く採用されている。
このようなプロセスカートリッジでは、現像装置の一部を構成する現像剤収納容器であるトナー収納容器が、トナー収納容器内に収納されているトナーを現像容器側に供給する開口を有する。そしてこの開口はプロセスカートリッジの未使用状態においてシール部材であるトナーシールによって封止されている。
【0003】
プロセスカートリッジを初めて使用する際、画像形成装置にプロセスカートリッジを装着する。すると、トナー収納容器の開口部を封止するトナーシールを自動的に開封するトナーシール自動開封装置を備えたプロセスカートリッジおよびプロセスカートリッジのトナーシール自動巻取装置を駆動可能とする画像形成装置が知られている。(特許文献1、2)
【特許文献1】特開平1−193872号公報、
【特許文献2】特開昭62−127876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセスカートリッジのシール自動巻取りには、プロセスカートリッジの現像装置(現像部とトナー収納容器を含む)および感光体ドラムを駆動しているモータの駆動力を利用する手法が多く採用されている。
【0005】
この場合、モータに要求されるトルクスペックは現像装置および感光体ドラムだけを駆動していた場合よりもシール巻取り動作時の負荷トルク分だけ増大することになる。
さらに、プロセスカートリッジの現像装置のトルクについては、輸送時などプロセスカートリッジに振動を与えるとトナー収納容器内のトナーが敷き詰まるという現象が一般的に知られている。これにより新品のプロセスカートリッジにおいて、トナー収納容器内のトナーを初めて攪拌する際には、敷き詰まったトナーの影響によって攪拌時のトルクが増大することになる。
【0006】
つまり、モータに要求されるトルクスペックは、トナーが敷き詰まった状態を想定した現像装置の駆動トルク、感光体ドラムの駆動トルク、さらにシール巻取りトルクの全ての総和となるため、モータのコストも増大してしまう。なお、図16はトナーシール巻取り時において、モータにかかる負荷トルクの推移の一例を示したものであり、敷き詰まったトナーを攪拌する際のトルクをタッピングトルクと記載している。
前述の輸送時によるトナーの敷き詰まりおよびトナーシール巻取りに関しては新品のプロセスカートリッジを初めて使用する時にのみ必要となるトルクである。そこで、特開2005−221976号公報ではステッピングモータを使用する場合を想定し、トナーシール巻取り時にはモータの駆動速度を低速にしてモータの出力トルクを補う内容が記載されている。
しかしながら特開2005−221976号公報記載の手法ではトナーシールの巻取りに要する時間が長くなることからユーザに対して不快感を与えてしまうという問題がある。
【0007】
また、トナーシールの自動巻取り装置は、一般的に高速モノクロ画像形成装置またはカラー画像形成装置といった比較的高いスペックの製品に搭載されていることが多い。また、これらの画像形成装置には特開2005−221976号公報で記載されているステッピングモータではなくブラシレスモータが使用されることが多い。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知せず、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能な画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明では、画像形成装置をつぎの(1)のとおりに構成する。
【0010】
(1)新品時には封止部材によって開口が封止されているトナー容器を有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、
前記プロセスカートジッリを駆動する回転駆動源と、
前記回転駆動源の動力を利用して前記封止部材によって封止されている前記トナー容器を開封する開封手段と、
前記画像形成装置に装着された前記プロセスカートリッジが新品か否かを検知する新品検知手段と、
前記回転駆動源の回転速度が所定の速度誤差の範囲を超えた場合に前記回転駆動源の回転速度異常として検知する速度異常検知手段と、
前記新品検知手段により前記トナー容器が新品であると検知した場合に、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値に設定して、前記回転駆動源を起動するとともに、前記開封手段による前記トナー容器の開封動作を開始し、前記トナー容器の開封動作が完了したと判断したときに、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知せず、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1である“カラー画像形成装置”の概略構成を示す断面図である。同図に示すカラーの画像形成装置(以下、本体と称す)は、本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、同一構造であるが、異なる色、すなわち、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(Bk)のトナーによる画像を形成する点で相違している。プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、それぞれトナー容器23Y,23M,23C,23K、像担持体である感光ドラム1Y,1M,1C,1K、帯電ローラ2Y,2M,2C,2K、現像ローラ3Y,3M,3C,3Kを有している。さらに、ドラムクリーニングブレード4Y,4M,4C,4K、廃トナー容器24Y,24M,24C,24Kを有している。
【0014】
プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの下方にはレーザユニット7Y,7M,7C,7Kが配置され、画像信号にもとづく露光を感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して行う。
【0015】
感光ドラム1Y,1M,1C,1Kは、帯電ローラ2Y,2M,2C,2Kによって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7Y,7M,7C,7Kによってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3Y,3M,3C,3Kによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Bkのトナー像が形成される。
【0016】
中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10から構成されている。また、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kが配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。
各感光ドラムが矢印方向に回転し、中間転写ベルト8を矢印A方向に回転させ、さらに一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kに正極性のバイアスを印加する。これにより、感光ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成されたトナー像は、感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。
【0017】
給搬送装置12は、転写材Pを収納する給紙カセット13内から転写材Pを給紙する給紙ローラ14と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置12から搬送された転写材Pはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。
中間転写ベルト8から転写材Pへの転写においては、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加することにより、搬送された転写材Pに、中間転写ベルト8上の4色のトナー像を二次転写する。
【0018】
トナー像転写後の転写材Pは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは排紙ローラ対20によって外部へ排出される。
【0019】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム1Y,1M,1C,1K表面に残ったトナーは、ドラムクリーニングブレード4Y,4M,4C,4Kによって除去される。また、転写材Pへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー回収容器22へと回収される。
【0020】
また、図1における80は、本体の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板であり、制御基板80にはCPU40が搭載されている。CPU40は転写材Pの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジの駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、さらには故障検知に関する制御など、本体の動作を一括して制御しているものである。
【0021】
次にプロセスカートリッジ5におけるトナー容器23の構成について説明する。
図2において、トナー容器23内のトナー27は攪拌軸25に取り付けられた攪拌シート26により攪拌される。また攪拌軸25は不図示の駆動源にて回転駆動されている。そして、攪拌シート26の回転動作により跳ね上げられたトナー27は現像ローラ3へ到達する。
またプロセスカートリッジ5が新品の時(請求項の新品時に相当)には、トナー容器23と現像ローラ3との間にはトナーシール28が設けられており、トナー27が現像ローラ3側へ入り込まない構成となっている。
【0022】
図3はプロセスカートリッジ5を使用する際に、トナーシール28を巻き取る構成を示したものである。ギア30、31は、感光ドラム1、現像ローラ3および攪拌軸25を駆動している不図示の駆動源と連結している。ギア30、31により伝達された駆動力はウォームギア32により回転方向を90°変化させた後、ギア33に伝達されトナーシール28を巻き取る巻取り軸34を回転させる。これによりトナーシール28を巻取り軸34に巻きつかせることによりトナーシール28によって封止されていたトナー容器23を開封している(請求項の開封動作に相当)。
【0023】
次に感光ドラム1、現像ローラ3および攪拌軸25の駆動源であるDCブラシレスモータの駆動方法について説明する。
図4はDCブラシレスモータ(以下、モータ39と称す)の駆動回路構成であり、Y結線されたコイル55〜57とロータ58が備えられている。さらにロータ58の位置検出手段としてホール素子59〜61を備えており、このホール素子59〜61は磁界を検知することにより半導体片の両端に電圧が表れる素子であり、ロータの位置検出が可能となる。その出力はアンプ62で増幅され、モータ駆動制御回路42に入力される。
また、41はモータ39の駆動回路部であり、モータ駆動制御回路42とハイ側FET43〜45とロー側FET46〜48を備えている。そしてFET43〜48はそれぞれがY結線されたコイルの端部であるU,V,Wに接続されており、モータ駆動制御回路42から出力される相切り替え信号に従ってON/OFF制御し順次励磁する相を切り替えてロータを回転させる。また前記相切り替え信号はCPU40の出力ポートからの駆動信号およびホール素子59〜61から発生するロータ58の位置信号を検出しモータ駆動制御回路42より生成されるものである。相切り替えに関するモータ39の回転に関しては端部U,V,Wの電位を図5に示す順序で切り替えることにより各相が順次励磁され、モータ39が回転する原理となっている。
【0024】
また、図6はモータ39の回転速度制御に関する制御ブロック図である。ここで、CPU40からモータ39に送られた速度指令(加速または減速)は誤差増幅部65により増幅され、PWM駆動部66に送られる。PWM駆動部66ではモータ駆動制御回路42内のFET43〜48をPWM駆動し、ロータ58が回転する。図6中の回転数検出部68については図7〜9を用いて説明する。
【0025】
図7において、70はモータ39のプリント基板(不図示)上に形成された矩形波状のFGパターンである。このFGパターン70の上をロータ58の内面に取り付けられた複数極からなるマグネット71が回転し、各々のFGパターン70上では図8に示すような状態となる。このとき、図8のFGパターン70に発生する誘起電圧は図9に示す正弦波(波形まる1、丸数字が使えないので、まる1という、以下同様))となり、図6中の回転数検出部68に送られる。ここで回転数検出部68はヒステリシス特性を有するコンパレータ(不図示)で構成されており、FGパターン70に発生した誘起電圧(波形まる1)を図9に示すパルス信号(波形まる2)(以下、FG信号と称す)に変換し、CPU40に送っている。CPU40は回転数検出部68から送られてくるFG信号(波形まる2)の周期を監視し、FG信号(波形まる2)の周期が所望の周期になるように速度指令(加速または減速)をモータ39に送ることでモータ39の回転速度のフィードバック制御が可能となる。FG信号は請求項の回転動作に同期したパルス信号に相当する。
【0026】
次に、CPU40における速度指令の算出方法について図10を用いて説明する。
【0027】
CPU40は所定周期の内部クロックを有しており、これを用いてFG信号(波形まる2)の周期を監視している。本実施例においてはFG信号の立下りエッジ間の周期を監視しているものとし、また、CPU40がモータ39の回転数を、FG信号の立下りエッジ間にCPU40の内部クロック10パルス分に相当するような速度制御を行うものとして説明する。
【0028】
図10において実際の回転速度が目標とする回転速度よりも遅い場合、つまりFGパルス間にカウントされる内部クロック数が11パルス以上(図10では11パルス)の場合にはCPU40はモータ39に対して加速指令を出す。逆に、実際の回転速度が目標とする回転速度よりも速い場合、つまりFGパルス間にカウントされる内部クロックが9パルス以下(図10では9パルス)の場合にはCPU40はモータ39に対して減速指令を出す。このような速度フィードバック制御を行うことにより、実際のFGパルス間にカウントされる内部クロックが10パルスとなるようにして、モータ39の回転速度を所望の速度に制御することが可能となる。
【0029】
また、CPU40は、モータ39の回転制御中の回転速度を監視しており、FG信号から検出した実際の回転速度が、目標とする回転数に対して所定以上の誤差を生じた場合には回転速度異常を検知するエラー検知機能を備えている。特に画像形成に関与するプロセスカートリッジ5を駆動するモータの回転速度制御においては、感光ドラム1上に描かれる画像に乱れが生じないようにするため、回転速度誤差の範囲が約3%以下になるように設定されている。そして、この誤差範囲を超えると回転速度の異常として検知する。
【0030】
続いて、本実施例における処理の流れを図11のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、CPU40により行われる。
【0031】
S1101(ステップ1101をS1101と略記する、以下同様)で本体の電源を入れると、S1102でプロセスカートリッジ5が新品か否かを判断する(請求項の新品検知手段に相当)。この判断は、プロセスカートリッジ5に取り付けた不図示の不揮発性メモリ内の使用状況を示す情報にもとづいて行う。S1102でプロセスカートリッジ5が新品と判断した場合には、S1103でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値をトナーシール巻取り用の値(本実施例では±30%)に設定し、S1104でモータ39を起動する。このモータ39の回転動作によりプロセスカートリッジ5のトナーシール28が図3のトナーシール巻取り軸34に巻き取られていく。そしてトナーシール28の巻取りを開始してから所定時間が経過し、S1105でシール巻取りが完了したことが確認される。すると、S1106でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値を画像形成用の値(本実施例では±3%<トナーシール巻取り用の閾値の値)に設定し、一連のトナーシール巻取りシーケンスが終了する。その後、S1107で本体はイニシャル動作を行い、S1108でスタンバイ状態に遷移する。このときS1109で電源がOFFにならず、S1110でプリント指示があった場合、S1111で所望の画像形成動作を開始する。そして、S1112で一連のプリント動作が終了した場合にはS1108に戻り、再びスタンバイ状態に遷移する。
【0032】
以上説明したように、本実施例では、速度誤差の範囲を、トナー容器の開封時にはトナー容器の開封用の値である±30%に設定し、画像形成動作時にはトナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値である±3%に設定する。これにより、トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知しないため、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能となる。
【実施例2】
【0033】
実施例2である“カラー画像形成装置”について説明する。本実施例は、実施例1の構成と殆ど同じであり、トナーシール28の巻取り完了の検知手法が異なるだけである。そこで、巻取り完了の検知手法以外の点については、実施例1の説明を援用し、ここでの説明を省略する。
本実施例における巻取り完了の検知手法は、巻取り時にモータ39から出力されるFGパルス数をカウントする(請求項のパルス数を計測に相当)というものであり、実際のモータ39の負荷トルク、回転数およびFGパルス数の関係を図12に示している。
図12において、本実施例では、シール巻取り時にモータ39にかかる負荷トルクが図16に示したトルク推移(図12(下段)のグラフ)であり、シール巻取り時のモータ39の回転数は図12(中段)のグラフのようになる。ここでは例として、負荷に応じてモータ39の回転数が変化する構成として記載している。この時、モータ39から出力されるFGパルス数の積算値は図12(上段)のグラフのような推移となる。前述の通り、モータ39から出力されるFGパルス数はモータ39のロータ58の回転数に対応しているため、トナーシール28を巻き取るのに必要なモータ回転数から実際に巻取り完了する時のFGパルス数を逆算して設定することができる。
【0034】
続いて、本実施例における処理の流れを図13のフローチャートを用いて説明する。この処理は、CPU40により行われる。なお、図13においてはスタンバイおよびプリント時の動作は図11と同じであるため、トナーシール巻取り時の動作についてのみ記載している。
【0035】
S1301で本体の電源を入れると、S1302でプロセスカートリッジ5が新品か否かを判断する。S1302でプロセスカートリッジ5が新品と判断した場合には、S1303でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値をトナーシール巻取り用の値に設定し、S1304でモータ39を起動する。このモータ39の回転動作によりプロセスカートリッジ5のトナーシール28が図3のトナーシール巻取り軸34に巻き取られていく。この際、S1305でCPU40はモータ39が出力するFGパルス数をカウントし、S1306でカウント数が予め定めた所定カウント数(巻取り完了できる値)に到達するとS1307で巻取りが完了したと判断する。その後、S1308でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値を画像形成用の値(<トナーシール巻取り用の閾値の値)に設定し、一連のトナーシール巻取りシーケンスが終了する。
【0036】
本実施例によれば、トナーシール巻取りの完了を、実施例1より短時間に検知することができ、る。
【実施例3】
【0037】
実施例3である“カラー画像形成装置”について説明する。本実施例は、実施例1の構成と殆ど同じであり、トナーシール28の巻取り完了の検知手法が異なるだけである。そこで、巻取り完了の検知手法以外の点については、実施例1の説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0038】
図14において、例としてシール巻取り時にモータ39にかかる負荷トルクが図16に示したトルク推移(図14(下段)のグラフ)であり、シール巻取り時のモータ39の回転数は図14(上段)のグラフのようになる。ここでは例として、負荷に応じてモータ39の回転数が変化する構成として記載している。
【0039】
本実施例における巻取り完了の検知手法は、図14(上段)に示すように、CPU40が巻取り時に所定時間間隔Tでモータ39から出力されるFGパルスの周期をサンプリングし、その周期からモータ39の回転速度を逆算する。そして、CPU40がFGパルスをサンプリングする所定時間間隔Tとその時に逆算したモータ39の回転速度(請求項の実回転速度に相当)から、サンプリング時間Tの間に回転した回転移動量を算出する。そして、各サンプリング時に算出した回転移動量の積算値が所定値(巻取り完了できる値)に到達することで巻取り完了を検出するものである。なお、モータ39の速度異常検知用の閾値変更に関しては図12と同様のため、図14では省略している。
【0040】
続いて、本実施例における処理の流れを図15のフローチャートを用いて説明する。この処理は、CPU40により行われる。なお、図15においてはスタンバイおよびプリント時の動作は図11と同じであるため、トナーシール巻取り時の動作についてのみ記載している。
S1501で本体の電源を入れると、S1502でプロセスカートリッジ5が新品か否かを判断する。S1502でプロセスカートリッジ5が新品と判断した場合には、S1503でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値をトナーシール巻取り用の値に設定し、S1504でモータ39を起動する。このモータ39の回転動作によりプロセスカートリッジ5のトナーシール28が図3のトナーシール巻取り軸34に巻き取られていく。この際、S1505でCPU40はサンプリング時間Tが経過した後、S1506でモータ39が出力するFGパルス周期からモータ39の回転速度を検出し、S1507でサンプリング時間Tとモータ39の回転速度から求めたモータ39の回転移動量を積算する。S1508でモータ39の回転移動量の積算値が予め定めた所定値(巻取り完了できる値)に到達するとS1509で巻取りが完了したと判断する。その後、S1510でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値を画像形成用の値(<トナーシール巻取り用の閾値の値)に設定し、一連のトナーシール巻取りシーケンスが終了する。
【0041】
本実施例によれば、トナーシール巻取りの完了を、実施例1より短時間に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1であるカラー画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施例1におけるプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図
【図3】実施例1におけるトナーシール巻取り部の構成を示す斜視図
【図4】実施例1におけるDCブラシレスモータの駆動回路の構成を示す図
【図5】実施例1におけるDCブラシレスモータの相切り替えを示す図
【図6】実施例1におけるDCブラシレスモータの駆動制御ブロック図
【図7】実施例1におけるFGパターンを示す図
【図8】実施例1におけるFGパターンとFGパターンマグネットとの位置関係を示す図
【図9】実施例1におけるFG信号を示す図
【図10】実施例1における速度制御の概略を示す図
【図11】実施例1における処理を示すフローチャート
【図12】実施例2における動作説明図
【図13】実施例2における処理を示すフローチャート
【図14】実施例3における動作説明図
【図15】実施例3における処理を示すフローチャート
【図16】トナーシール巻取り時のトルク推移例を示す図
【符号の説明】
【0043】
5 プロセスカートリッジ
23 トナー容器
28 トナーシール
39 DCブラシレスモータ
40 CPU
70 FGパターン
71 マグネット
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジに関し、特に、新品のプロセスカートリッジの開口部を密封するために設けられているシール部材の開封に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、感光体および前記感光体に作用するプロセス手段を一体化し、これを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が広く採用されている。
このようなプロセスカートリッジでは、現像装置の一部を構成する現像剤収納容器であるトナー収納容器が、トナー収納容器内に収納されているトナーを現像容器側に供給する開口を有する。そしてこの開口はプロセスカートリッジの未使用状態においてシール部材であるトナーシールによって封止されている。
【0003】
プロセスカートリッジを初めて使用する際、画像形成装置にプロセスカートリッジを装着する。すると、トナー収納容器の開口部を封止するトナーシールを自動的に開封するトナーシール自動開封装置を備えたプロセスカートリッジおよびプロセスカートリッジのトナーシール自動巻取装置を駆動可能とする画像形成装置が知られている。(特許文献1、2)
【特許文献1】特開平1−193872号公報、
【特許文献2】特開昭62−127876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセスカートリッジのシール自動巻取りには、プロセスカートリッジの現像装置(現像部とトナー収納容器を含む)および感光体ドラムを駆動しているモータの駆動力を利用する手法が多く採用されている。
【0005】
この場合、モータに要求されるトルクスペックは現像装置および感光体ドラムだけを駆動していた場合よりもシール巻取り動作時の負荷トルク分だけ増大することになる。
さらに、プロセスカートリッジの現像装置のトルクについては、輸送時などプロセスカートリッジに振動を与えるとトナー収納容器内のトナーが敷き詰まるという現象が一般的に知られている。これにより新品のプロセスカートリッジにおいて、トナー収納容器内のトナーを初めて攪拌する際には、敷き詰まったトナーの影響によって攪拌時のトルクが増大することになる。
【0006】
つまり、モータに要求されるトルクスペックは、トナーが敷き詰まった状態を想定した現像装置の駆動トルク、感光体ドラムの駆動トルク、さらにシール巻取りトルクの全ての総和となるため、モータのコストも増大してしまう。なお、図16はトナーシール巻取り時において、モータにかかる負荷トルクの推移の一例を示したものであり、敷き詰まったトナーを攪拌する際のトルクをタッピングトルクと記載している。
前述の輸送時によるトナーの敷き詰まりおよびトナーシール巻取りに関しては新品のプロセスカートリッジを初めて使用する時にのみ必要となるトルクである。そこで、特開2005−221976号公報ではステッピングモータを使用する場合を想定し、トナーシール巻取り時にはモータの駆動速度を低速にしてモータの出力トルクを補う内容が記載されている。
しかしながら特開2005−221976号公報記載の手法ではトナーシールの巻取りに要する時間が長くなることからユーザに対して不快感を与えてしまうという問題がある。
【0007】
また、トナーシールの自動巻取り装置は、一般的に高速モノクロ画像形成装置またはカラー画像形成装置といった比較的高いスペックの製品に搭載されていることが多い。また、これらの画像形成装置には特開2005−221976号公報で記載されているステッピングモータではなくブラシレスモータが使用されることが多い。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知せず、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能な画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明では、画像形成装置をつぎの(1)のとおりに構成する。
【0010】
(1)新品時には封止部材によって開口が封止されているトナー容器を有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、
前記プロセスカートジッリを駆動する回転駆動源と、
前記回転駆動源の動力を利用して前記封止部材によって封止されている前記トナー容器を開封する開封手段と、
前記画像形成装置に装着された前記プロセスカートリッジが新品か否かを検知する新品検知手段と、
前記回転駆動源の回転速度が所定の速度誤差の範囲を超えた場合に前記回転駆動源の回転速度異常として検知する速度異常検知手段と、
前記新品検知手段により前記トナー容器が新品であると検知した場合に、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値に設定して、前記回転駆動源を起動するとともに、前記開封手段による前記トナー容器の開封動作を開始し、前記トナー容器の開封動作が完了したと判断したときに、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知せず、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1である“カラー画像形成装置”の概略構成を示す断面図である。同図に示すカラーの画像形成装置(以下、本体と称す)は、本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、同一構造であるが、異なる色、すなわち、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(Bk)のトナーによる画像を形成する点で相違している。プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、それぞれトナー容器23Y,23M,23C,23K、像担持体である感光ドラム1Y,1M,1C,1K、帯電ローラ2Y,2M,2C,2K、現像ローラ3Y,3M,3C,3Kを有している。さらに、ドラムクリーニングブレード4Y,4M,4C,4K、廃トナー容器24Y,24M,24C,24Kを有している。
【0014】
プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの下方にはレーザユニット7Y,7M,7C,7Kが配置され、画像信号にもとづく露光を感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して行う。
【0015】
感光ドラム1Y,1M,1C,1Kは、帯電ローラ2Y,2M,2C,2Kによって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7Y,7M,7C,7Kによってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3Y,3M,3C,3Kによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Bkのトナー像が形成される。
【0016】
中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10から構成されている。また、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kが配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。
各感光ドラムが矢印方向に回転し、中間転写ベルト8を矢印A方向に回転させ、さらに一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kに正極性のバイアスを印加する。これにより、感光ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成されたトナー像は、感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。
【0017】
給搬送装置12は、転写材Pを収納する給紙カセット13内から転写材Pを給紙する給紙ローラ14と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置12から搬送された転写材Pはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。
中間転写ベルト8から転写材Pへの転写においては、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加することにより、搬送された転写材Pに、中間転写ベルト8上の4色のトナー像を二次転写する。
【0018】
トナー像転写後の転写材Pは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは排紙ローラ対20によって外部へ排出される。
【0019】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム1Y,1M,1C,1K表面に残ったトナーは、ドラムクリーニングブレード4Y,4M,4C,4Kによって除去される。また、転写材Pへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー回収容器22へと回収される。
【0020】
また、図1における80は、本体の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板であり、制御基板80にはCPU40が搭載されている。CPU40は転写材Pの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジの駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、さらには故障検知に関する制御など、本体の動作を一括して制御しているものである。
【0021】
次にプロセスカートリッジ5におけるトナー容器23の構成について説明する。
図2において、トナー容器23内のトナー27は攪拌軸25に取り付けられた攪拌シート26により攪拌される。また攪拌軸25は不図示の駆動源にて回転駆動されている。そして、攪拌シート26の回転動作により跳ね上げられたトナー27は現像ローラ3へ到達する。
またプロセスカートリッジ5が新品の時(請求項の新品時に相当)には、トナー容器23と現像ローラ3との間にはトナーシール28が設けられており、トナー27が現像ローラ3側へ入り込まない構成となっている。
【0022】
図3はプロセスカートリッジ5を使用する際に、トナーシール28を巻き取る構成を示したものである。ギア30、31は、感光ドラム1、現像ローラ3および攪拌軸25を駆動している不図示の駆動源と連結している。ギア30、31により伝達された駆動力はウォームギア32により回転方向を90°変化させた後、ギア33に伝達されトナーシール28を巻き取る巻取り軸34を回転させる。これによりトナーシール28を巻取り軸34に巻きつかせることによりトナーシール28によって封止されていたトナー容器23を開封している(請求項の開封動作に相当)。
【0023】
次に感光ドラム1、現像ローラ3および攪拌軸25の駆動源であるDCブラシレスモータの駆動方法について説明する。
図4はDCブラシレスモータ(以下、モータ39と称す)の駆動回路構成であり、Y結線されたコイル55〜57とロータ58が備えられている。さらにロータ58の位置検出手段としてホール素子59〜61を備えており、このホール素子59〜61は磁界を検知することにより半導体片の両端に電圧が表れる素子であり、ロータの位置検出が可能となる。その出力はアンプ62で増幅され、モータ駆動制御回路42に入力される。
また、41はモータ39の駆動回路部であり、モータ駆動制御回路42とハイ側FET43〜45とロー側FET46〜48を備えている。そしてFET43〜48はそれぞれがY結線されたコイルの端部であるU,V,Wに接続されており、モータ駆動制御回路42から出力される相切り替え信号に従ってON/OFF制御し順次励磁する相を切り替えてロータを回転させる。また前記相切り替え信号はCPU40の出力ポートからの駆動信号およびホール素子59〜61から発生するロータ58の位置信号を検出しモータ駆動制御回路42より生成されるものである。相切り替えに関するモータ39の回転に関しては端部U,V,Wの電位を図5に示す順序で切り替えることにより各相が順次励磁され、モータ39が回転する原理となっている。
【0024】
また、図6はモータ39の回転速度制御に関する制御ブロック図である。ここで、CPU40からモータ39に送られた速度指令(加速または減速)は誤差増幅部65により増幅され、PWM駆動部66に送られる。PWM駆動部66ではモータ駆動制御回路42内のFET43〜48をPWM駆動し、ロータ58が回転する。図6中の回転数検出部68については図7〜9を用いて説明する。
【0025】
図7において、70はモータ39のプリント基板(不図示)上に形成された矩形波状のFGパターンである。このFGパターン70の上をロータ58の内面に取り付けられた複数極からなるマグネット71が回転し、各々のFGパターン70上では図8に示すような状態となる。このとき、図8のFGパターン70に発生する誘起電圧は図9に示す正弦波(波形まる1、丸数字が使えないので、まる1という、以下同様))となり、図6中の回転数検出部68に送られる。ここで回転数検出部68はヒステリシス特性を有するコンパレータ(不図示)で構成されており、FGパターン70に発生した誘起電圧(波形まる1)を図9に示すパルス信号(波形まる2)(以下、FG信号と称す)に変換し、CPU40に送っている。CPU40は回転数検出部68から送られてくるFG信号(波形まる2)の周期を監視し、FG信号(波形まる2)の周期が所望の周期になるように速度指令(加速または減速)をモータ39に送ることでモータ39の回転速度のフィードバック制御が可能となる。FG信号は請求項の回転動作に同期したパルス信号に相当する。
【0026】
次に、CPU40における速度指令の算出方法について図10を用いて説明する。
【0027】
CPU40は所定周期の内部クロックを有しており、これを用いてFG信号(波形まる2)の周期を監視している。本実施例においてはFG信号の立下りエッジ間の周期を監視しているものとし、また、CPU40がモータ39の回転数を、FG信号の立下りエッジ間にCPU40の内部クロック10パルス分に相当するような速度制御を行うものとして説明する。
【0028】
図10において実際の回転速度が目標とする回転速度よりも遅い場合、つまりFGパルス間にカウントされる内部クロック数が11パルス以上(図10では11パルス)の場合にはCPU40はモータ39に対して加速指令を出す。逆に、実際の回転速度が目標とする回転速度よりも速い場合、つまりFGパルス間にカウントされる内部クロックが9パルス以下(図10では9パルス)の場合にはCPU40はモータ39に対して減速指令を出す。このような速度フィードバック制御を行うことにより、実際のFGパルス間にカウントされる内部クロックが10パルスとなるようにして、モータ39の回転速度を所望の速度に制御することが可能となる。
【0029】
また、CPU40は、モータ39の回転制御中の回転速度を監視しており、FG信号から検出した実際の回転速度が、目標とする回転数に対して所定以上の誤差を生じた場合には回転速度異常を検知するエラー検知機能を備えている。特に画像形成に関与するプロセスカートリッジ5を駆動するモータの回転速度制御においては、感光ドラム1上に描かれる画像に乱れが生じないようにするため、回転速度誤差の範囲が約3%以下になるように設定されている。そして、この誤差範囲を超えると回転速度の異常として検知する。
【0030】
続いて、本実施例における処理の流れを図11のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、CPU40により行われる。
【0031】
S1101(ステップ1101をS1101と略記する、以下同様)で本体の電源を入れると、S1102でプロセスカートリッジ5が新品か否かを判断する(請求項の新品検知手段に相当)。この判断は、プロセスカートリッジ5に取り付けた不図示の不揮発性メモリ内の使用状況を示す情報にもとづいて行う。S1102でプロセスカートリッジ5が新品と判断した場合には、S1103でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値をトナーシール巻取り用の値(本実施例では±30%)に設定し、S1104でモータ39を起動する。このモータ39の回転動作によりプロセスカートリッジ5のトナーシール28が図3のトナーシール巻取り軸34に巻き取られていく。そしてトナーシール28の巻取りを開始してから所定時間が経過し、S1105でシール巻取りが完了したことが確認される。すると、S1106でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値を画像形成用の値(本実施例では±3%<トナーシール巻取り用の閾値の値)に設定し、一連のトナーシール巻取りシーケンスが終了する。その後、S1107で本体はイニシャル動作を行い、S1108でスタンバイ状態に遷移する。このときS1109で電源がOFFにならず、S1110でプリント指示があった場合、S1111で所望の画像形成動作を開始する。そして、S1112で一連のプリント動作が終了した場合にはS1108に戻り、再びスタンバイ状態に遷移する。
【0032】
以上説明したように、本実施例では、速度誤差の範囲を、トナー容器の開封時にはトナー容器の開封用の値である±30%に設定し、画像形成動作時にはトナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値である±3%に設定する。これにより、トナー容器の封止部材の開封時のトルクにより回転駆動源の回転速度が多少変化した場合でも速度異常を検知しないため、回転駆動源のトルクスペックを低減させ、コストメリットを得ることが可能となる。
【実施例2】
【0033】
実施例2である“カラー画像形成装置”について説明する。本実施例は、実施例1の構成と殆ど同じであり、トナーシール28の巻取り完了の検知手法が異なるだけである。そこで、巻取り完了の検知手法以外の点については、実施例1の説明を援用し、ここでの説明を省略する。
本実施例における巻取り完了の検知手法は、巻取り時にモータ39から出力されるFGパルス数をカウントする(請求項のパルス数を計測に相当)というものであり、実際のモータ39の負荷トルク、回転数およびFGパルス数の関係を図12に示している。
図12において、本実施例では、シール巻取り時にモータ39にかかる負荷トルクが図16に示したトルク推移(図12(下段)のグラフ)であり、シール巻取り時のモータ39の回転数は図12(中段)のグラフのようになる。ここでは例として、負荷に応じてモータ39の回転数が変化する構成として記載している。この時、モータ39から出力されるFGパルス数の積算値は図12(上段)のグラフのような推移となる。前述の通り、モータ39から出力されるFGパルス数はモータ39のロータ58の回転数に対応しているため、トナーシール28を巻き取るのに必要なモータ回転数から実際に巻取り完了する時のFGパルス数を逆算して設定することができる。
【0034】
続いて、本実施例における処理の流れを図13のフローチャートを用いて説明する。この処理は、CPU40により行われる。なお、図13においてはスタンバイおよびプリント時の動作は図11と同じであるため、トナーシール巻取り時の動作についてのみ記載している。
【0035】
S1301で本体の電源を入れると、S1302でプロセスカートリッジ5が新品か否かを判断する。S1302でプロセスカートリッジ5が新品と判断した場合には、S1303でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値をトナーシール巻取り用の値に設定し、S1304でモータ39を起動する。このモータ39の回転動作によりプロセスカートリッジ5のトナーシール28が図3のトナーシール巻取り軸34に巻き取られていく。この際、S1305でCPU40はモータ39が出力するFGパルス数をカウントし、S1306でカウント数が予め定めた所定カウント数(巻取り完了できる値)に到達するとS1307で巻取りが完了したと判断する。その後、S1308でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値を画像形成用の値(<トナーシール巻取り用の閾値の値)に設定し、一連のトナーシール巻取りシーケンスが終了する。
【0036】
本実施例によれば、トナーシール巻取りの完了を、実施例1より短時間に検知することができ、る。
【実施例3】
【0037】
実施例3である“カラー画像形成装置”について説明する。本実施例は、実施例1の構成と殆ど同じであり、トナーシール28の巻取り完了の検知手法が異なるだけである。そこで、巻取り完了の検知手法以外の点については、実施例1の説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0038】
図14において、例としてシール巻取り時にモータ39にかかる負荷トルクが図16に示したトルク推移(図14(下段)のグラフ)であり、シール巻取り時のモータ39の回転数は図14(上段)のグラフのようになる。ここでは例として、負荷に応じてモータ39の回転数が変化する構成として記載している。
【0039】
本実施例における巻取り完了の検知手法は、図14(上段)に示すように、CPU40が巻取り時に所定時間間隔Tでモータ39から出力されるFGパルスの周期をサンプリングし、その周期からモータ39の回転速度を逆算する。そして、CPU40がFGパルスをサンプリングする所定時間間隔Tとその時に逆算したモータ39の回転速度(請求項の実回転速度に相当)から、サンプリング時間Tの間に回転した回転移動量を算出する。そして、各サンプリング時に算出した回転移動量の積算値が所定値(巻取り完了できる値)に到達することで巻取り完了を検出するものである。なお、モータ39の速度異常検知用の閾値変更に関しては図12と同様のため、図14では省略している。
【0040】
続いて、本実施例における処理の流れを図15のフローチャートを用いて説明する。この処理は、CPU40により行われる。なお、図15においてはスタンバイおよびプリント時の動作は図11と同じであるため、トナーシール巻取り時の動作についてのみ記載している。
S1501で本体の電源を入れると、S1502でプロセスカートリッジ5が新品か否かを判断する。S1502でプロセスカートリッジ5が新品と判断した場合には、S1503でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値をトナーシール巻取り用の値に設定し、S1504でモータ39を起動する。このモータ39の回転動作によりプロセスカートリッジ5のトナーシール28が図3のトナーシール巻取り軸34に巻き取られていく。この際、S1505でCPU40はサンプリング時間Tが経過した後、S1506でモータ39が出力するFGパルス周期からモータ39の回転速度を検出し、S1507でサンプリング時間Tとモータ39の回転速度から求めたモータ39の回転移動量を積算する。S1508でモータ39の回転移動量の積算値が予め定めた所定値(巻取り完了できる値)に到達するとS1509で巻取りが完了したと判断する。その後、S1510でCPU40はモータ39の速度異常検知用の閾値を画像形成用の値(<トナーシール巻取り用の閾値の値)に設定し、一連のトナーシール巻取りシーケンスが終了する。
【0041】
本実施例によれば、トナーシール巻取りの完了を、実施例1より短時間に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1であるカラー画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施例1におけるプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図
【図3】実施例1におけるトナーシール巻取り部の構成を示す斜視図
【図4】実施例1におけるDCブラシレスモータの駆動回路の構成を示す図
【図5】実施例1におけるDCブラシレスモータの相切り替えを示す図
【図6】実施例1におけるDCブラシレスモータの駆動制御ブロック図
【図7】実施例1におけるFGパターンを示す図
【図8】実施例1におけるFGパターンとFGパターンマグネットとの位置関係を示す図
【図9】実施例1におけるFG信号を示す図
【図10】実施例1における速度制御の概略を示す図
【図11】実施例1における処理を示すフローチャート
【図12】実施例2における動作説明図
【図13】実施例2における処理を示すフローチャート
【図14】実施例3における動作説明図
【図15】実施例3における処理を示すフローチャート
【図16】トナーシール巻取り時のトルク推移例を示す図
【符号の説明】
【0043】
5 プロセスカートリッジ
23 トナー容器
28 トナーシール
39 DCブラシレスモータ
40 CPU
70 FGパターン
71 マグネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新品時には封止部材によって開口が封止されているトナー容器を有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジを駆動する回転駆動源と、
前記回転駆動源の動力を利用して前記封止部材によって封止されている前記トナー容器を開封する開封手段と、
前記画像形成装置に装着された前記プロセスカートリッジが新品か否かを検知する新品検知手段と、
前記回転駆動源の回転速度が所定の速度誤差の範囲を超えた場合に前記回転駆動源の回転速度異常として検知する速度異常検知手段と、
前記新品検知手段により前記トナー容器が新品であると検知した場合に、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値に設定して、前記回転駆動源を起動するとともに、前記開封手段による前記トナー容器の開封動作を開始し、前記トナー容器の開封動作が完了したと判断したときに、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記トナー容器の開封動作の開始から所定の時間が経過したときに前記トナー容器の開封動作が完了したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記回転駆動源は、前記プロセスカートリッジを駆動するとともに、その回転動作に同期したパルス信号を生成し、
前記制御手段は、前記トナー容器の開封動作の開始から、前記パルス信号のパルス数を計測し、計測したパルス数が所定のパルス数に到達したときに前記トナー容器の開封動作が完了したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記トナー容器の開封動作の開始から、前記回転駆動源の実回転速度を所定時間間隔Tごとに監視し、監視した実回転速度と所定時間間隔Tから前記回転駆動源の回転移動量を積算し、積算した回転移動量が所定の回転移動量に到達したときに前記トナー容器の開封動作が完了したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
新品時には封止部材によって開口が封止されているトナー容器を有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジを駆動する回転駆動源と、
前記回転駆動源の動力を利用して前記封止部材によって封止されている前記トナー容器を開封する開封手段と、
前記画像形成装置に装着された前記プロセスカートリッジが新品か否かを検知する新品検知手段と、
前記回転駆動源の回転速度が所定の速度誤差の範囲を超えた場合に前記回転駆動源の回転速度異常として検知する速度異常検知手段と、
前記新品検知手段により前記トナー容器が新品であると検知した場合に、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値に設定して、前記回転駆動源を起動するとともに、前記開封手段による前記トナー容器の開封動作を開始し、前記トナー容器の開封動作が完了したと判断したときに、前記速度誤差の範囲を前記トナー容器の開封用の値より小さい画像形成用の値に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記トナー容器の開封動作の開始から所定の時間が経過したときに前記トナー容器の開封動作が完了したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記回転駆動源は、前記プロセスカートリッジを駆動するとともに、その回転動作に同期したパルス信号を生成し、
前記制御手段は、前記トナー容器の開封動作の開始から、前記パルス信号のパルス数を計測し、計測したパルス数が所定のパルス数に到達したときに前記トナー容器の開封動作が完了したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記トナー容器の開封動作の開始から、前記回転駆動源の実回転速度を所定時間間隔Tごとに監視し、監視した実回転速度と所定時間間隔Tから前記回転駆動源の回転移動量を積算し、積算した回転移動量が所定の回転移動量に到達したときに前記トナー容器の開封動作が完了したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−128682(P2009−128682A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304315(P2007−304315)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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