説明

画像形成装置

【課題】観測者の顔の向いた方向の壁部上に画像を投影することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、投影領域21を設定し得る壁部2のある環境下に置かれて使用され、前記壁部2に光を投射して画像を投影する投影部30と、前記壁部2の形状を含む壁部情報が記憶される記憶部を有し、前記壁部2に、画像を投影する投影領域21を設定する投影領域設定手段と、観測者200の顔の位置および顔の向いた方向を検出する観測者情報検出手段とを備え、前記投影領域設定手段は、前記検出された顔の向いた方向の前記壁部2上に前記投影領域21を設定し、前記投影部30は、前記設定された投影領域21に画像を投影するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、光を投影して画像を表示する画像形成装置として、特許文献1のような投射型プロジェクタが知られている。
特許文献1の投射型プロジェクタは、プロジェクタ本体をスクリーンに対して傾斜して配置した場合に、スクリーン上に映し出される画像(映像)の上側と下側とで、スクリーン横方向の長さが異なる「台形歪み」と呼ばれる歪みを補正する台形歪み補正手段を有している。
しかしながら、特許文献1の投射型プロジェクタでは、固定された位置に画像を表示するようになっており、このため、観測者が、例えば、移動したり、姿勢を変更し、その顔の位置や向きが変わると、対応することができなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−249401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、観測者の顔の向いた方向の壁部上に画像を投影することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の画像形成装置は、投影領域を設定し得る壁部のある環境下に置かれて使用され、
前記壁部に光を投射して画像を投影する投影部と、
前記壁部の形状を含む壁部情報が記憶される記憶部を有し、前記壁部に、画像を投影する投影領域を設定する投影領域設定手段と、
観測者の顔の位置および顔の向いた方向を検出する観測者情報検出手段とを備え、
前記投影領域設定手段は、前記検出された顔の向いた方向の前記壁部上に前記投影領域を設定し、
前記投影部は、前記設定された投影領域に画像を投影するよう構成されていることを特徴とする。
【0006】
これにより、観測者の顔の向いた方向の壁部上に画像を投影することができ、観測者が、例えば、移動したり、姿勢を変更し、その顔の位置や向きが変わっても、観測者に画像を視認させることができる。
また、常に、観測者に画像を視認させることができるので、例えば、広告表示を行うことにより、多大な宣伝効果が得られる。
【0007】
本発明の画像形成装置では、前記投影領域設定手段は、前記投影部の全体または一部を変位させる変位機構を有することが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、投影領域に画像を投影することができる。
本発明の画像形成装置では、前記観測者情報検出手段は、前記投影部の周囲を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像の画像データに基づいて、観測者の顔を認識し、その顔の位置および顔の向いた方向を特定する観測者特定部とを有することが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、観測者の顔の位置および顔の向いた方向を検出することができる。
【0008】
本発明の画像形成装置では、前記撮像手段は、複数の電子カメラを有し、
前記観測者特定部は、前記各電子カメラの位置と、前記各電子カメラの向いた方向と、前記各電子カメラにより撮像された画像の画像データとに基づいて、観測者の顔の位置および顔の向いた方向を特定するよう構成されていることが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、観測者の顔の位置および顔の向いた方向を検出することができる。
【0009】
本発明の画像形成装置では、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する座標系を想定し、
前記壁部情報は、前記座標系における前記壁部の表面の各部位の3次元座標であり、
観測者情報検出手段は、前記座標系における前記観測者の顔の所定部位の3次元座標を求め、前記観測者の顔の位置を検出するよう構成されていることが好ましい。
これにより、正確に、観測者の顔の位置を検出することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置では、前記検出された顔の位置を観測点とし、
前記投影領域設定手段は、前記観測点から前記検出された顔の向いた方向に向かう直線と前記壁部の表面との交点が、観測者が前記観測点から前記投影領域を見たときに、前記投影領域の略中心になるように該投影領域を設定するよう構成されていることが好ましい。
これにより、観測者が見易いように、画像を形成することができる。
【0011】
本発明の画像形成装置では、前記投影部は、光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射された光を反射する光反射部を備えた可動板が少なくとも一方向または互いに直交する二方向へ回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した光を前記投影領域に走査するアクチュエータを有する光走査部とを備え、
前記投影領域に光を走査することにより画像を描画するよう構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で投影領域に2次元画像を描画することができる。
【0012】
本発明の画像形成装置では、前記検出された顔の位置を観測点とし、
前記投影領域設定手段は、観測者が前記観測点から前記投影領域を見たときに、前記投影領域と、前記検出された顔の位置とに応じて、画像が最適になるように、前記光出射部の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段と、
前記駆動パターン生成手段により生成された前記駆動パターンに対応させて、前記光出射部の作動を制御する制御手段とを備えることが好ましい。
これにより、観測者に最適な画像を視認させることができる。
【0013】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記観測点と前記投影領域との間に仮想的な観測者用仮想スクリーンを設定し、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された観測者用の多数の点を特定し、前記観測点から見たときの、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された前記観測者用の多数の点を、それぞれ、前記投影領域上の位置に対応付け、その対応付けられた前記投影領域上の位置に前記光出射部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成することが好ましい。
これにより、より確実に、観測者に最適な画像を視認させることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記観測者用の多数の点について、それぞれ、その点および前記観測点を通る線分と前記投影領域との交点の3次元座標を求めることにより、前記観測者用の多数の点と前記投影領域の各部位とをそれぞれ対応付け、前記対応付けられた前記投影領域上の位置を求めることが好ましい。
これにより、比較的簡単にかつ正確に、観測者用仮想スクリーン上に設定された多数の点と、投影領域の各部位とをそれぞれ対応付けることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、前記アクチュエータの前記可動板の挙動を検知する挙動検知手段を有し、前記制御手段は、前記挙動検知手段の検知結果および前記駆動パターンに基づいて、前記光出射部の作動を制御することが好ましい。
これにより、より確実に、観測者に最適な画像を視認させることができる。
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、1対の前記アクチュエータを備え、
前記1対のアクチュエータは、それぞれ、前記可動板と、該可動板を回動可能に支持する支持部と、前記可動板と前記支持部とを連結する連結部と、前記可動板を回動させる駆動手段とを有しており、互いに、前記可動板の回動中心軸が直交するように設けられていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で投影領域に2次元画像を描画することができる。
【0016】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記投影部と前記投影領域との間に仮想的な画像描画装置用仮想スクリーンを設定し、前記画像描画装置用仮想スクリーン上に設定された画像描画装置用の多数の点を特定し、前記投影領域上の位置に対応付けられた前記観測者用の多数の点を、それぞれ、前記画像描画装置用仮想スクリーン上に設定された前記画像描画装置用の多数の点に対応付け、その対応付けられた前記表面上の位置に前記投影部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成するのが好ましい。
【0017】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記投影領域との交点について、それぞれ、その点および前記投影部を通る線分と前記画像描画装置用多数の点との交点の3次元座標を求めることにより、前記対応付けられた位置を求めるのが好ましい。
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記画像描画装置用仮想スクリーン上の光の軌跡上に沿って、前記画像描画装置用の多数の点を対応付けるのが好ましい。
【0018】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記画像描画装置用仮想スクリーン上の設定された前記画像描画装置用の多数の点と、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された前記観測者用の多数の点とを対応付け、その対応付けられた前記前記観測者用仮想スクリーン上の前記点に前記投影部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の画像形成装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す構成図、図2は、図1の画像形成装置を示すブロック図、図3は、図1の投影領域設定手段を示すブロック図、図4は、図2のアクチュエータを示す模式的斜視図、図5は、図4に示すアクチュエータの駆動を示す模式的断面図、図6は、各仮想スクリーンの設定方法を示す図、図7、図8は、LUTを作成する方法を示す図、図9は、図8の画像描画装置用仮想スクリーンの設定例を示す図、図10は、図7の光走査面形状ポリゴンの設定例を示す図、図11は、図7の光走査面形状ポリゴンと交点の例を示す図、図12は、LUTの例を示す図、図17は表示する映像データのデータ配置の例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図4、図5中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
まず、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する図示しない座標系(3次元座標系)を想定する。そして、後述する各3次元座標および各方向は、それぞれ、その座標系上のものとする。
【0020】
図1および図2に示す画像形成装置1は、画像が投影(形成)される投影領域(投影部位)を設定し得る壁部のある環境下に置かれて使用されるものである。図1に示すように、本実施形態では、代表的に、画像形成装置1が、床110と、4つの壁120、130、140および150と、図示しない天井とにより画成(形成)された部屋(室)100内に設置されて、使用される場合について説明する。
ここで、本発明における壁部には、部屋100を囲っている(区画している)面、すなわち、床110、壁120、130、140、150および天井が、すべて含まれるものとする。
【0021】
なお、以下の説明では、床110、壁120、130、140、150および天井を総称して、壁部2と言う。
図1および図2に示すように、画像形成装置1は、壁部2の表面に光を走査して画像を描画(形成)する投射型の画像形成装置であり、画像形成装置本体3と、撮像手段として複数(図示の構成では2つ)の電子カメラ11とを有している。この画像形成装置1では、壁部2上に投影領域21が設定され、その投影領域21に、静止画や動画等の所定の画像が描画される。
画像形成装置本体3は、壁部2の表面に光を走査(投射)して画像を描画(投影)する投影部30を有している。この投影部30は、光を出射する光源ユニット(光出射部)4と、光源ユニット4から出射した光を壁部2上に設定された投影領域21に走査する光走査部5とを有し、互いに直交する2つの回動中心軸31、32のそれぞれを中心に回動自在に設置されている。
【0022】
また、画像形成装置本体3は、各電子カメラ11により撮像された画像の画像データに基づいて、観測者200の顔を認識(識別)し、その顔の位置および顔の向いた方向を特定(検出)する観測者特定部12と、壁部2に、画像を投影する投影領域21を設定する投影領域設定手段6とを有している。
投影領域設定手段6は、各情報が記憶(格納)される記憶部14と、投影部30を回動(変位)させる回動機構(変位機構)13と、光源ユニット4の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段7と、光源ユニット4および光走査部5の作動を制御する作動制御装置(制御手段)8とを有している。
なお、前記各電子カメラ11および観測者特定部12により、観測者200の顔の位置および顔の向いた方向を検出する観測者情報検出手段の主要部が構成される。
【0023】
以下、画像形成装置1の各構成要素について順次説明する。
図2に示すように、光源ユニット4は、各色のレーザ光源41r、41g、41bと、各レーザ光源41r、41g、41bに対応して設けられたコリメータレンズ42r、42g、42bおよびダイクロイックミラー43r、43g、43bとを備えている。
各色のレーザ光源41r、41g、41bは、それぞれ赤色、緑色および青色のレーザ光RR、GG、BBを射出する。レーザ光RR、GG、BBは、それぞれ、作動制御装置8から送信される駆動信号(後述する駆動パターン)に対応して変調された状態で射出され、コリメート光学素子であるコリメータレンズ42r、42g、42bによって平行化されて細いビームとされる。
【0024】
ダイクロイックミラー43r、43g、43bは、それぞれ、赤色レーザ光RR、緑色レーザ光GG、青色レーザ光BBを反射する特性を有し、各色のレーザ光RR、GG、BBを結合して1つのレーザ光LLを射出する。
なお、コリメータレンズ42r、42g、42bに代えてコリメータミラーを用いることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、各色のレーザ光源41r、41g、41bから平行光束が射出される場合、コリメータレンズ42r、42g、42bは、省略することができる。さらに、レーザ光源41r、41g、41bについては、同様の光束を発生する発光ダイオード等の光源に置換することができる。
【0025】
次いで、光走査部5について説明する。
図2に示すように、光走査部5は、一対のアクチュエータ51、51と、各アクチュエータ51の挙動を検知する挙動検知手段52とを有している。なお、以下では、一対のアクチュエータ51、51は、互いに同様の構成であるため、一方のアクチュエータ51について代表して説明し、他方のアクチュエータ51については、その説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、アクチュエータ51は、基体511と、基体511の下面に対向するよう設けられた対向基板513と、基体511と対向基板513との間に設けられたスペーサ部材512とを有している。
基体511は、可動板511aと、可動板511aを回動可能に支持する支持部511bと、可動板511aと支持部511bとを連結する1対の連結部511c、511dとを有している。
【0027】
可動板511aは、その平面視にて、略長方形状をなしている。このような可動板511aの上面には、光反射性を有する光反射部511eが設けられている。光反射部511eは、例えば、Al、Ni等の金属膜で構成されている。また、可動板511aの下面には、永久磁石514が設けられている。
支持部511bは、可動板511aの平面視にて、可動板511aの外周を囲むように設けられている。すなわち、支持部511bは、枠状をなしていて、その内側に可動板511aが位置している。
【0028】
連結部511cは、可動板511aの左側にて、可動板511aと支持部511bとを連結し、連結部511dは、可動板511aの右側にて、可動板511aと支持部511bとを連結している。
連結部511c、511dは、それぞれ、長手形状をなしている。また、連結部511c、511dは、それぞれ、弾性変形可能である。このような1対の連結部511c、511dは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下「回動中心軸J」と言う)を中心として、可動板511aが支持部511bに対して回動する。
【0029】
このような基体511は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板511aと支持部511bと連結部511c、511dとが一体的に形成されている。このように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、アクチュエータ51の小型化を図ることができる。
【0030】
スペーサ部材512は、枠状をなしていて、その上面が基体511の下面と接合している。また、スペーサ部材512は、可動板511aの平面視にて、支持部511bの形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサ部材512は、例えば、各種ガラス、各種セラミックス、シリコン、SiOなどで構成されている。
なお、スペーサ部材512と基体511との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよいし、スペーサ部材512の構成材料などによっては陽極接合などを用いてもよい。
対向基板513は、スペーサ部材512と同様に、例えば、各種ガラス、シリコン、SiOなどで構成されている。このような対向基板513の上面であって、可動板511aと対向する部位には、コイル515が設けられている。
【0031】
永久磁石514は、板棒状をなしていて、可動板511aの下面に沿って設けられている。このような永久磁石514は、可動板511aの平面視にて、回動中心軸Jに対して直交する方向に磁化(着磁)されている。すなわち、永久磁石514は、両極(S極、N極)を結んだ線分が、回動中心軸Jに対して直交するよう設けられている。図5に示すように、本実施形態では、回動中心軸Jの左側がN極、右側がS極となっている。
このような永久磁石514としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
【0032】
コイル515は、可動板511aの平面視にて、永久磁石514の外周を囲むように設けられている。このようなコイル515には、作動制御装置8により、所定の電圧が印加される。
例えば、作動制御装置8によりコイル515に交番電圧を印加すると、可動板511aの厚さ方向(図5中上下方向)の磁界が発生し、かつ、その磁界の向きが周期的に切り換わる。すなわち、コイル515の上側付近がS極、下側付近がN極となる状態Aと、コイル515の上側付近がN極、下側付近がS極となる状態Bとが交互に切り換わる。
状態Aでは、図5(a)に示すように、永久磁石514の右側が、コイル515への通電により発生する磁界との反発力により上側へ変位するとともに、永久磁石514の左側が、前記磁界との吸引力により下側へ変位する。これにより、可動板511aが反時計回りに傾斜する。
【0033】
反対に、状態Bでは、図5(b)に示すように、永久磁石514の右側が下側へ変位するとともに、永久磁石514の左側が上側へ変位する。これにより、可動板511aが時計回りに傾斜する。
このような状態Aと状態Bとを交互に繰り返すことにより、連結部511c、511dを捩り変形させながら、可動板511aが回動中心軸Jまわりに回動する。
なお、このようなアクチュエータ51の構成としては、可動板511aを回動させることができれば、特に限定されず、いわゆる2自由度振動系のアクチュエータであってもよいし、コイル515と永久磁石514とを用いた電磁駆動にかえて、圧電素子を用いた圧電駆動や静電引力を用いた静電駆動としてもよい。
【0034】
ここで、図2に示すように、一対のアクチュエータ51、51は、互いの回動中心軸Jが直交するように設けられている。一対のアクチュエータ51、51をこのように設けることにより、光源ユニット4から出射したレーザ光LLを投影領域21に2次元的に走査することができる。これにより、比較的簡単な構成で、投影領域21に2次元画像を描画することができる。
【0035】
次に、挙動検知手段52について説明する。
なお、一対のアクチュエータ51、51のうちの一方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段と、他方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段とは、互いに同様の構成であるため、一方のアクチュエータ51の可動板51の挙動を検知する手段について代表して説明し、他方のアクチュエータ他方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段については、その説明を省略する。
【0036】
図4に示すように、挙動検知手段52は、アクチュエータ51の連結部511c上に設けられた圧電素子521と、圧電素子521から発生する起電力を検出する起電力検出部522と、起電力検出部522の検出結果に基づいて可動板511aの挙動を検知する挙動検知部523とを有している。
圧電素子521は、可動板511aの回動に伴って連結部511cが捩り変形すると、それに伴って変形する。圧電素子521は、外力が付与されていない自然状態から変形すると、その変形量に応じた大きさの起電力を発生する性質を有しているため、挙動検知部523は、起電力検出部522で検出された起電力の大きさに基づいて、連結部511cの捩れの程度を求め、さらに、その捩れの程度から可動板511aの挙動(回動角)を検知する。このようにして検知された可動板511aの挙動に関する信号(情報)は、作動制御装置8に送信される。
【0037】
このような挙動検知手段52は、可動板511aの挙動をリアルタイムで検知していてもよいし、例えば、所定のタイミング(時刻)で可動板511aの挙動を検知した後は、その検知タイミングと、コイル515に印加する交番電圧(波形や周波数)とに基づいて可動板511aの挙動を予測してもよい。
なお、挙動検知手段52としては、可動板511aの挙動を検知することができれば、本実施形態のような圧電素子を用いたものに限定されず、例えば、フォトダイオードを用いてもよい。この場合には、例えば、可動板511aが所定の傾き(回動角)となった時に、フォトダイオードが光を受光する(または、受光が遮られる)よう構成されていて、このフォトダイオードでの受光タイミングから可動板511aの挙動を検知するよう構成してもよい。
【0038】
次に、観測者情報検出手段について説明する。
図1および図2に示すように、観測者情報検出手段は、部屋100内(投影部30の周囲等)を撮像する各電子カメラ11および観測者特定部12を有している。
各電子カメラ11としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、赤外線カメラ等を用いることができる。
【0039】
また、部屋100内の同一の領域を互いに異なる位置に配置された少なくとも2つの電子カメラ11で撮像し得るように、その電子カメラ11の数、位置(配置)、向き(方向)等の諸条件が設定される。図示の構成では、2つの電子カメラ11が、互いに異なる位置に設置されている。
なお、部屋100内の略すべての領域を撮像し得るような構成と、所定の領域のみを撮像し得るような構成のいずれも可能であり、それは、目的や用途等に応じて、適宜選定することができる。
【0040】
観測者200の顔の位置および顔の向いた方向の検出を行う際は、まず、各電子カメラ11で部屋100内を撮像する。撮像された各画像の画像データは、それぞれ、各電子カメラ11から観測者特定部12に送信される。観測者特定部12では、各画像データに対して所定の各処理を行い、各画像データに基づいて、観測者200の顔を認識(識別)し、その顔の位置および顔の向いた方向を特定する(検出する)。すなわち、観測者特定部12は、各電子カメラ11の位置と、各電子カメラ11の向いた方向と、各画像データとに基づいて、観測者200の顔の位置および顔の向いた方向を特定する。
【0041】
具体的には、観測者200の顔の位置については、観測者200の顔の所定部位の3次元座標を求める。これにより、観測者200の顔の位置が特定される。
また、観測者200の顔の向いた方向についても、前記座標系上の方向を求める。これにより、観測者200の顔の向いた方向が特定される。
なお、顔のうちのいずれの部位の位置を顔の位置とするかは、特に限定されないが、例えば、鼻の位置を、顔の位置として設定することができる。
また、顔の向いた方向をどのように定義するかも、特に限定されないが、例えば、鼻元から鼻先に向かう方向(鼻の方向)を、顔の向いた方向として設定することができる。
【0042】
以下、検出された観測者200の顔の位置および顔の向いた方向に関する情報を、観測者情報とも言う。
得られた観測者情報は、観測者特定部12から投影領域設定手段6に送信され、記憶部14に記憶(格納)される。
なお、前記観測者200の顔の位置および顔の向いた方向の検出(特定)は、例えば、所定間隔で、随時行われ、それに応じて、記憶部14の観測者情報は、随時更新される。
【0043】
図3に示すように、投影領域設定手段6は、各情報が記憶(格納)される記憶部14と、投影部30を回動(変位)させる回動機構(変位機構)13と、光源ユニット4の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段7と、光源ユニット4および光走査部5の作動を制御する作動制御装置(制御手段)8とを有している。
駆動パターン生成手段7は、観測者用仮想スクリーンSと画像描画装置用仮想スクリーンSSとを対応付けたルックアップテーブル(以下、単に「LUT」と言う)を作成するLUT作成部71と、観測者用仮想スクリーンSを設定する観測者用仮想スクリーン設定部72と、画像描画装置用仮想スクリーンSSを設定する画像描画装置用仮想スクリーン設定部75、観測者用仮想スクリーンS上に画像を仮想的に形成する画像形成部73と、光源ユニット4の駆動パターンを生成する生成部74とを有している。
【0044】
回動機構13は、回動中心軸31を回動中心として、投影部30を回動させる第1の回動機構と、回動中心軸32を回動中心として、前記第1の回動機構(図示せず)とともに投影部30を回動させる第2の回動機構(図示せず)とで構成されている。この回動機構13により、投影部30は、任意の方向を向くことができる。
記憶部14には、前記観測者200の顔の位置(3次元座標)および顔の向いた方向(座標系上の方向)の情報の他に、例えば、各電子カメラ11の位置(3次元座標)、各電子カメラ11の向いた方向(座標系上の方向)、投影部30(画像形成装置本体3)の位置(3次元座標)等の各情報、壁部2の形状(壁部2の表面の各部位の3次元座標)等の壁部情報、後述するLUT、後述する観測者用仮想スクリーンS上の各点Q1〜Qmの3次元座標等が記憶される。
【0045】
ここで、壁部2の表面の形状は、例えば、複数のポリゴン(多角形)の集合体として定義され、各ポリゴンの頂点G1、G2…Gi、…Gn(ただし、i、nはともに自然数である)と、壁部2の表面の各部位(微小領域)とをそれぞれ対応させ、各頂点G1〜Gnの3次元座標がそれぞれ求められている。この各頂点G1〜Gnの3次元座標(壁部2の表面の各部位の3次元座標)により、壁部2の表面の形状が特定される。
【0046】
本実施形態では、記憶部14に、壁部情報の1つとして、各頂点G1〜Gnの3次元座標のデータ(情報)が記憶される。以下の説明では、3次元座標のデータを、単に、「3次元座標」とも言う。
なお、前記各電子カメラ11の位置、各電子カメラ11の向いた方向、投影部30の位置等の各情報、壁部情報等は、それぞれ、例えば、画像形成装置1を設置する際等に、予め、記憶部14に記憶しておくことが好ましい。
投影領域設定手段6は、下記のようにして、投影領域21を設定し、投影部30により、その投影領域21に画像を描画(投影)する。
図1および図6に示すように、まず、投影領域設定手段6は、観測者情報に基づいて、壁部2上に、投影領域21を設定する。
【0047】
この場合、検出された顔の位置を観測点Pとし、観測点Pから検出された顔の向いた方向に向かう直線(線分)310と壁部2の表面との交点320が、観測者200が観測点Pから投影領域21を見たときに、投影領域21の略中心になるようにその投影領域21を設定する。また、図1中の角度αが一定になるように、投影領域21を設定する。なお、以下の説明では、検出された顔の位置を、単に、「顔の位置」とも言い、検出された顔の向いた方向を、単に、「顔の向いた方向」とも言う。
【0048】
具体的には、図6に示すように、観測者用仮想スクリーン設定部72は、まず、観測点Pと壁部2との間に、観測者用仮想スクリーン(仮想投影領域)Sを仮想的に設定する。この観測者用仮想スクリーンSは、平面状をなし、その中心(中央部)を直線310が通り(貫き)、かつ、観測者用仮想スクリーンSが直線310に対して垂直になるよう設定される。また、観測者用仮想スクリーンSは、観測点Pから一定の距離離間した位置に設定される。
そして、観測者用仮想スクリーン設定部72は、観測者用仮想スクリーンS上に、観測者用の多数の点(微小領域)Q1、Q2…Qm(ただし、mは自然数である)を設定(特定)し、記憶部14に、各点Q1〜Qmの3次元座標をそれぞれ記憶する。この観測者用仮想スクリーンSに対応する壁部2上の部位(領域)が投影領域21となる。
【0049】
なお、点Q1〜Qmは、観測者用仮想スクリーンS上に規則的に設定されていてもよいし、不規則に設定されていてもよいが、配置は表示する映像のデータと一致させるのが好ましい。例えば、図17に示すように、表示する映像データSDが、v行×u列(v、uはともに自然数)のデータ配置で、左上の画像データから格子状に規則正しく並んだ状態であれば、点Q1〜Qmも観測者用仮想スクリーンSの一番左上の点から規則正しく並べて設定する。また、設定する点Qの数が多いほど、より鮮明な画像を投影領域21に描画することができる。この点の数としては、投影領域21の大きさ(面積)などによっても異なるが、1万〜1000万個(例えば、横640個×縦480個)であることが好ましい。
【0050】
LUT作成部71は、観測点Pから見たときに、観測者用仮想スクリーンS上の点Q1〜Qmが、それぞれ、壁部2上の交点T1〜Tnのうちのどの交点と対応するかを対応付けたLUTを作成し、そのLUTを記憶部14に記憶する。
この場合、点Q1〜Qmのうちの観測者用仮想スクリーンSの輪郭を構成する各点に対応する、交点T1〜Tnのうちの各交点により、投影領域21が画成され、その投影領域21が決定される。すなわち、点Q1〜Qmに対応する、交点T1〜Tnのうちの各交点に対応する壁部2上の部位(領域)が、投影領域21として設定される。これにより、観測者200の顔の向いた方向に投影領域21が設定される。
【0051】
次に、LUT作成部71は、図6に示すように、投影部30から投射された映像が、壁部2上の投影領域21全てを含みむような投射向きを算出し、投影部30からの直線311と壁部2上との交点321を計算する。
その後、画像描画装置用仮想スクリーン設定部75は、投影部30と壁部2との間に、画像描画装置用仮想スクリーン(仮想投影領域)SSを仮想的に設定する。この画像描画装置用仮想スクリーンSSは、平面状をなし、その中心(中央部)を投影部30と交点321とを通る直線311が通り(貫き)、かつ、画像描画装置用仮想スクリーンSSが直線311に対して垂直になるよう設定される。また、画像描画装置用仮想スクリーンSSは、投影部30から一定の距離離間した位置に設定される。
【0052】
そして、画像描画装置用仮想スクリーン設定部75は、画像描画装置用仮想スクリーンSS上に、画像描画装置から出射される光の軌跡78上の多数の点(以下描画点という)D1、D2・・・Dk(ただしkは自然数である)を設定し、記憶部14に、各点D1〜Dkの3次元座標をそれぞれ格納する。軌跡78上に描画点D1〜Dkを設定することにより、すべての描画点にレーザ光LLを照射し得るため、描画特性が向上する。
最後に、LUT作成部71は、画像描画装置用仮想スクリーンSS上の描画点D1〜Dkが観測者用仮想スクリーンS上の点Q1〜Qmのどの点とそれぞれ対応するかを対応付けたLUTを作成し、そのLUTを記憶部14に記憶する。
【0053】
以下、前記対応付けの方法について、一例を挙げて説明する。なお、言うまでもないが、対応付けの方法は、以下に説明する方法に限定されるものではない。また、対応付けの方法としては、点Q1〜Qmで互いに同様であるため、以下では、説明の便宜上、点Q1について代表して説明し、その他については、その説明を省略する。
まず、LUT作成部71は、記憶部14から、観測点Pの3次元座標および観測者用仮想スクリーンS上の点Q1の3次元座標を読み出し、双方の3次元座標に基づいて、観測点Pと点Q1とを通る線分(以下、「線分L」と言う)を求める。
次いで、LUT作成部71は、記憶部14に記憶されている各頂点G1〜Gnの3次元座標を読み出し、線分Lが図10で示すように、頂点G1〜Gn中の近接する3点で決定されるポリゴンとどの座標で交わるかを求める。図7に示すように、線分Lは、交点T1と交わっている。
【0054】
次に、図6に示すように、LUT作成部71は、Q1〜Qmまで同様の計算を行い交点T1〜Tnを求め、投影部30から投射された映像が、壁部2上の投影領域21すなわち交点T1〜Tnを全てを含むような投射向きを算出し、投影部30からの直線311と壁部2上との交点321を計算し、記憶部14に記憶する。
その後、LUT作成部71は、記憶部14および画像描画装置用仮想スクリーン設定部75から、それぞれ、投影部30の3次元座標、向き、および画像描画装置用仮想スクリーンSS上の座標情報を読み出し、双方の3次元座標に基づいて、交点T1と投影部30とを通る線分(以下、「線分L1」と言う)を求め、画像描画装置用仮想スクリーンSSとこのL1との交点の座標(画像描画装置用仮想スクリーンSS上での座標)を求め、更に描画点D1〜Dkの中から、この交点にもっとも距離が近い描画点を実際の交点とする。図8では、D1が一番近かったため、交点を描画点D1としている。
【0055】
また、LUT作成部71は、描画点D1の座標と点Q1とを対応付け、その情報をLUTの情報として記憶部14に記憶する。なお、線分Lが頂点G1〜Gnの近接する3点で決定されるポリンゴンのいずれとも交わらない場合、もしくは線分L1が画像描画装置用仮想スクリーンSSとも交わらない場合には、スクリーンの範囲外という事であり、非表示として、0を対応付けする。
最後に、LUT作成部71は、画像描画装置用仮想スクリーンSS上の座標全てをチェック対応付けが無い座標に関しては、上下左右の座標で対応付けが行われている座標から線形補間等の手法で対応付けを行い、図12に示すようなLUTを生成する。図12のLUTでは、点Q1〜Qm(ただしrやsは1からmまでの自然数である)を線形補間して描画点D1〜Dkに対応付けている。
このような方法によれば、比較的簡単にかつ正確に、前記対応付けをすることができる。
【0056】
以下、同様にして、点Q2〜Qmについてそれぞれ対応付けを行うことにより、点Q1〜Qmが、それぞれ、描画点D1〜Dkのうちの所定の描画点と対応付けられ、LUTが作成される。
次に、図6に示すように、回動機構13により、投影部30が投影領域21の交点321に向くように、その投影部30を回動させる。
【0057】
そして、投影領域21に画像を描画する。
すなわち、画像形成部73は、図示しない外部装置から入力された画像信号に基づいて、観測者用仮想スクリーンS上に画像を仮想的に形成する。また、画像形成部73は、観測者用仮想スクリーンS上に形成された画像に基づいて、観測者用仮想スクリーンS上に設定された各点Q1〜Qmについて、その点に対応する領域に表示されている色を特定する。
【0058】
生成部74は、画像形成部73で特定された各点Q1〜Qmの色情報と、LUTとに基づいて、光源ユニット4の駆動パターンを生成する。
具体的に説明すれば、生成部74は、各点Q1〜Qmの色情報に基づいて、LUTによって各点Q1〜Qmと対応付けされている各描画点に、それぞれ、その描画点と対応付けされた点(例えば描画点D1であれば点Q1)と同色のレーザ光LLが投射されるような駆動パターンを生成する。すなわち、生成部74は、画像描画装置用仮想スクリーンSS上の描画点D1〜Dk中どの描画点に何色のレーザ光LLを投射すればよいかを決定する。このようにすると、観測者200が観測点Pから投影領域21を見たときに、その投影領域21(例えば、表面形状等)と、検出された顔の位置とに応じて、画像が最適になるように、すなわち、歪やずれのない自然な画像となるように、駆動パターンを生成することができる。生成された駆動パターンに関する信号(情報)は、作動制御装置8へ送信される。
【0059】
作動制御装置8は、前記投影部30の位置および方向に関する情報に基づいて求められた、一対のアクチュエータ51、51の3次元座標と、画像描画装置用仮想スクリーンSS上の描画点D1〜Dkの3次元座標とが記憶される図示しない記憶部を有している。これにより、一対のアクチュエータ51、51と各描画点D1〜Dkとの相対的位置関係を導くことができ、各可動板511a、511aの傾きと、その傾きの時に光源ユニット4から出射されたレーザ光が投射される描画点(描画点D1〜Dk中のいずれかの描画点)とを対応付けることができる。
【0060】
さらに、作動制御装置8は、挙動検知手段52から送信された一対の可動板511a、511aの挙動に関する信号を受信している。そのため、生成部74で生成された駆動パターンに対応させて、例えば、一対の可動板511a、511aのそれぞれの傾きが描画点D1に対応するものとなるとほぼ同時に、点Q1と同色のレーザ光LLを出射するよう光源ユニット4を作動することにより、画像を投影領域21に描画することができる。
この場合、例えば、図1に示すように、観測者200の顔の向いた方向が、矢印410〜440のいずれの方向の場合も、角度αが一定となり、また、観測者200が観測点Pから投影領域21を見たときの画像の縦横比が一定となるように、画像が描画される。なお、図示しないが、投影領域21が床110や天井に設定される場合も同様である。
以上説明したように、この画像形成装置1によれば、観測者200の顔の向いた方向の壁部2上に画像を描画することができる。これにより、観測者200が、例えば、移動したり、姿勢を変更し、その顔の位置や向きが変わっても、観測者200に画像を視認させることができる。
【0061】
また、常に、観測者200に画像を視認させることができ、このため、例えば、広告表示を行うことにより、多大な宣伝効果が得られる。
また、観測者用仮想スクリーンS上の点Q1〜Qmと画像描画装置用仮想スクリーンSS上の描画点D1〜Dkの対応付けを行うことにより、観測者200が観測点Pから投影領域21を見たとき、観測者200に観測(視認)させたい画像(歪やずれのない自然な画像)を視認させることができる。例えば、投影領域21が屈曲していても、また、投影領域21の表面形状が非平面であっても、その形状に応じて、観測者200が観測点Pから投影領域21を見たときに、観測者200に観測させたい画像が視認されるように、投影領域21に画像を描画することができる。なお、前記投影領域21の表面形状が非平面の場合は、その非平面形状に起因して発生する画像の歪みが相殺され、これにより、観測者200に観測させたい画像を視認させることができる。
更に、投影領域21が完全な平面もしくは完全な平面とみなせる場合には、頂点G1〜Gnを4点のみとして、交点T1〜Tnを求める計算を簡素化する事も可能である。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る画像描画装置が備えるアクチュエータを示す模式的平面図、図14は、図13中のB−B線断面図、図15は、図13に示すアクチュエータが備える駆動手段を示すブロック図、図16は、図15に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図13中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図14中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0063】
以下、第2実施形態の画像表示装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の画像形成装置は、光走査部が備えるアクチュエータの構成が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
光走査部5は、1つのアクチュエータ53を有している。
アクチュエータ53は、図13に示すような第1の振動系54aと第2の振動系54bと支持部54cとを備える基体54と、基体54と対向配置された対向基板56と、基体54と対向基板56との間に設けられたスペーサ部材55と、永久磁石57と、コイル58とを備えている。
【0064】
第1の振動系54aは、枠状の支持部54cの内側に設けられた枠状の駆動部541aと、駆動部541aを支持部54cに両持ち支持する1対の第1の連結部542a、543aとで構成されている。
第2の振動系54bは、駆動部541aの内側に設けられた可動板541bと、可動板541bを駆動部541aに両持ち支持する1対の第2の連結部542b、543bとで構成されている。
駆動部541aは、図13の平面視にて、円環状をなしている。なお、駆動部541aの形状は、枠状をなしていれば特に限定されず、例えば、図13の平面視にて、四角環状をなしていてもよい。このような駆動部541aの下面には、永久磁石57が接合されている。
【0065】
第1の連結部542a、543aは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第1の連結部542a、543aは、それぞれ、駆動部541aを支持部54cに対して回動可能とするように、駆動部541aと支持部54cとを連結している。このような、第1の連結部542a、543aは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J1」という)を中心として、駆動部541aが支持部54cに対して回動するように構成されている。
【0066】
第1の連結部542aには、可動板541bの挙動(回動中心軸J1まわりの回動角)を検知するための圧電素子521が設けられている。
可動板541bは、図13の平面視にて、円形状をなしている。だたし、可動板541bの形状は、駆動部541aの内側に形成することができれば特に限定されず、例えば、図14の平面視にて、楕円形状をなしていてもよいし、四角形状をなしていてもよい。このような可動板541bの上面には、光反射性を有する光反射部544bが形成されている。
【0067】
第2の連結部542b、543bは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第2の連結部542b、543bは、それぞれ、可動板541bを駆動部541aに対して回動可能とするように、可動板541bと駆動部541aとを連結している。このような第2の連結部542b、543bは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J2」という)を中心として、可動板541bが駆動部541aに対して回動するように構成されている。
第2の連結部542bには、可動板541bの挙動(回動中心軸J2まわりの回動角)を検知するための圧電素子521が設けられている。
【0068】
図13に示すように、回動中心軸J1と回動中心軸J2とは、互いに直交している。また、駆動部541aおよび可動板541bの中心は、それぞれ、図14の平面視にて、回動中心軸J1と回動中心軸J2との交点上に位置している。なお、以下、説明の便宜上、回動中心軸J1と回動中心軸J2との交点を「交点G」ともいう。
図14に示すように、以上のような基体54は、スペーサ部材55を介して対向基板56と接合している。対向基板56の上面には、永久磁石57に作用する磁界を発生させるコイル58が設けられている。
【0069】
永久磁石57は、図13の平面視にて、交点Gを通り、回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸に対して傾斜した線分(以下、この線分を「線分M」と言う)に沿って設けられている。
このような永久磁石57は、交点Gに対して長手方向の一方側がS極、他方側がN極となっている。図14では、永久磁石57の長手方向の左側がS極、右側がN極となっている。
【0070】
図13の平面視にて、線分Mの回動中心軸Xに対する傾斜角θは、30〜60度であるのが好ましく、40〜50度であるのがより好ましく、ほぼ45度であるのがさらに好ましい。このように永久磁石57を設けることで、円滑に、可動板541bを回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。本実施形態では、線分Mは、回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸に対して約45度傾斜している。
【0071】
また、図14に示すように、永久磁石57の上面には、凹部57aが形成されている。この凹部57aは、永久磁石57と可動板541bとの接触を防止するための逃げ部である。このような凹部57aを形成することで、可動板541bが回動中心軸J2まわりに回動する際、永久磁石57と接触してしまうことを防止することができる。
コイル58は、図13の平面視にて、駆動部541aの外周を囲むように形成されている。これにより、アクチュエータ53の駆動の際、駆動部541aとコイル58との接触を確実に防止することができる。その結果、コイル58と永久磁石57との離間距離を比較的短くすることができ、コイル58から発生する磁界を効率的に永久磁石57に作用させることができる。
【0072】
コイル58は、電圧印加手段59と電気的に接続されていて、電圧印加手段59によりコイル58に電圧が印加されると、コイル58から回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸に直交する軸方向の磁界が発生する。
図15に示すように、電圧印加手段59は、可動板541bを回動中心軸J1まわりに回動させるための第1の電圧V1を発生させる第1の電圧発生部591と、可動板541bを回動中心軸J2まわりに回動させるための第2の電圧V2を発生させる第2の電圧発生部592と、第1の電圧V1と第2の電圧V2とを重畳し、その電圧をコイル58に印加する電圧重畳部593とを備えている。
【0073】
第1の電圧発生部591は、図16(a)に示すように、周期T1で周期的に変化する第1の電圧V1(垂直走査用電圧)を発生させるものである。
第1の電圧V1は、鋸波のような波形をなしている。そのため、アクチュエータ53は、効果的に光を垂直走査(副走査)することができる。なお、第1の電圧V1の波形は、これに限定されない。ここで、第1の電圧V1の周波数(1/T1)は、垂直走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、30〜80Hz(60Hz程度)であるのが好ましい。
【0074】
本実施形態では、第1の電圧V1の周波数は、駆動部541aと1対の第1の連結部542a、543aとで構成された第1の振動系54aのねじり共振周波数と異なる周波数となるように調整されている。
一方、第2の電圧発生部592は、図16(b)に示すように、周期T1と異なる周期T2で周期的に変化する第2の電圧V2(水平走査用電圧)を発生させるものである。
【0075】
第2の電圧V2は、正弦波のような波形をなしている。そのため、アクチュエータ53は効果的に光を主走査することができる。なお、第2の電圧V2の波形は、これに限定されない。
このような第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数よりも高いのが好ましい。これにより、より確実かつより円滑に、可動板541bを回動中心軸J1まわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸J2まわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
【0076】
また、第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数と異なり、かつ、水平走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、10〜40kHzであるのが好ましい。このように、第2の電圧V2の周波数を10〜40kHzとし、前述したように第1の電圧V1の周波数を60Hz程度とすることで、スクリーンでの描画に適した周波数で、可動板541bを回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。ただし、可動板541bを回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸まわりに回動させることができれば、第1の電圧V1の周波数と第2の電圧V2の周波数との組み合わせなどは、特に限定されない。
【0077】
本実施形態では、第2の電圧V2の周波数は、可動板541bと1対の第2の連結部542b、543bとで構成された第2の振動系54bのねじり共振周波数と等しくなるように調整されている。これにより、可動板541bの回動中心軸J2まわりの回動角を大きくすることができる。
また、第1の振動系54aの共振周波数をf[Hz]とし、第2の振動系54bの共振周波数をf[Hz]としたとき、fとfとが、f>fの関係を満たすことが好ましく、f≧10fの関係を満たすことがより好ましい。これにより、より円滑に、可動板541bを回動中心軸J1まわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸J2まわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
【0078】
第1の電圧発生部591および第2の電圧発生部592は、それぞれ、作動制御装置8に接続され、この作動制御装置8からの信号に基づき駆動する。このような第1の電圧発生部591および第2の電圧発生部592には、電圧重畳部593が接続されている。
電圧重畳部593は、コイル58に電圧を印加するための加算器593aを備えている。加算器593aは、第1の電圧発生部591から第1の電圧V1を受けるとともに、第2の電圧発生部592から第2の電圧V2を受け、これらの電圧を重畳しコイル58に印加するようになっている。
【0079】
以上のような構成のアクチュエータ53は、次のようにして駆動する。
例えば、図16(a)に示すような第1の電圧V1と、図16(b)に示すような電圧V2とを電圧重畳部593にて重畳し、重畳した電圧をコイル58に印加する(この重畳された電圧を「電圧V3」ともいう)。
すると、電圧V3中の第1の電圧V1に対応する電圧によって、永久磁石57のS極側をコイル58に引き付けようとするとともに、N極側をコイル58から離間させようとする磁界と、永久磁石57のS極側をコイル58から離間させようとするとともに、N極側をコイル58に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、第1の連結部542a、543aを捩れ変形させつつ、駆動部541aが可動板541bとともに、第1の電圧V1の周波数で回動中心軸J1まわりに回動する。
【0080】
なお、第1の電圧V1の周波数は、第2の電圧V2の周波数に比べて極めて低く設定されており、また、第1の振動系54aの共振周波数は、第2の振動系54bの共振周波数よりも低く設計されている。そのため、第1の振動系54aは、第2の振動系54bよりも振動しやすくなっており、第1の電圧V1によって、可動板541bが回動中心軸J2まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0081】
一方、電圧V3中の第2の電圧V2に対応する電圧によって、永久磁石57のS極側をコイル58に引き付けようとするとともに、N極側をコイル58から離間させようとする磁界と、永久磁石57のS極側をコイル58から離間させようとするとともに、N極側をコイル58に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、第2の連結部542b、543bを捩れ変形させつつ、可動板541bが第2の電圧V2の周波数で回動中心軸J2まわりに回動する。
なお、第2の電圧V2の周波数が第2の振動系54bのねじり共振周波数と等しいため、第2の電圧V2によって、支配的に、可動板541bを回動中心軸J2まわりに回動させることができる。そのため、第2の電圧V2によって、可動板541bが回動中心軸J1まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0082】
以上のようなアクチュエータ53によれば、1つのアクチュエータで2次元的に光を走査でき、光走査部5の省スペース化を図ることができる。また、例えば、第1実施形態のように一対のアクチュエータを用いる場合には、アクチュエータ同士の相対的位置関係を高精度に設定しなければならないが、本実施形態ではその必要がないため、製造の容易化を図ることができる。
【0083】
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0084】
また、前述した実施形態では、変位機構として、回動機構13を用いたが、本発明では、変位機構は、これに限らず、投影部30の全体または一部を変位させるものであればよい。
また、本発明では、観測者情報検出手段は、前述した実施形態のものには、限定されず、観測者の顔の位置を検出する位置検出手段としは、例えば、GPS(Global Positioning System)等が挙げられ、観測者の顔の向いた方向を検出する方向検出手段としては、例えば、ジャイロセンサ、視線センサ(視線検出装置)等が挙げられ、これら位置検出手段と方向検出手段とを組み合わせて用いることができる。
【0085】
具体的には、例えば、ヘルメット形状やメガネ形状をなす装着具に、GPSの装置と、ジャイロセンサまたは視線センサとを設置(固定)し、その装着具を観測者の頭や顔に装着する。
また、本発明は、光を投射して画像を投影(形成)する投射型の画像形成装置であれば、各種の装置に適用することができる。すなわち、本発明の画像形成装置は、光を走査し画像を描画する形態の装置には限定されず、例えば、液晶ライトバルブ(液晶パネル)等を有するプロジェクタ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置を示すブロック図である。
【図3】図1の投影領域設定手段を示すブロック図である。
【図4】図2のアクチュエータを示す模式的斜視図である。
【図5】図4に示すアクチュエータの駆動を示す模式的断面図である。
【図6】各仮想スクリーンの設定方法を示す図である。
【図7】LUTを作成する方法を示す図である。
【図8】LUTを作成する方法を示す図である。
【図9】図8の画像描画装置用仮想スクリーンの設定例を示す図である。
【図10】図7の光走査面形状ポリゴンの設定例を示す図である。
【図11】図7の光走査面形状ポリゴンと交点の例を示す図である。
【図12】図8のLUTの例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る画像描画装置が備えるアクチュエータを示す模式的平面図である。
【図14】図13中のB−B線断面図である。
【図15】図13に示すアクチュエータが備える駆動手段を示すブロック図である。
【図16】図15に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。
【図17】表示する映像データのデータ配置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1……画像形成装置 2……壁部 21……投影領域 3……画像形成装置本体 31、31……回動中心軸 4……光源ユニット(光出射部) 41r、41g、41b……レーザ光源 42r、42g、42b……コリメータレンズ 43r、43g、43b……ダイクロイックミラー 5……光走査部 51……アクチュエータ 511……基体 511a……可動板 511b……支持部 511c、511d……連結部 511e……光反射部 512……スペーサ部材 513……対向基板 514……永久磁石 515……コイル 52……挙動検知手段 521……圧電素子 522……起電力検出部 523……挙動検知部 53……アクチュエータ 54……基体 54a……第1の振動系 541a……駆動部 541a、542a、543a……第1の連結部 54b……第2の振動系 541b……可動板541a 542b、543b……第2の連結部 544b……光反射部 54c……支持部 55……スペーサ部材 56……対向基板 57……永久磁石 57a……凹部 58……コイル 59……電圧印加手段 591……第1の電圧発生部 592……第2の電圧発生部 593……電圧重畳部 593a……加算器 6……投影領域設定手段 7……駆動パターン生成手段 71……LUT作成部 72……観測者用仮想スクリーン設定部 73……画像形成部 74……生成部 75……画像描画装置用仮想スクリーン設定部 78……画像描画装置から出射される光の軌跡 8……作動制御装置 11……電子カメラ 12……観測者特定部 13……回動機構 14……記憶部 100……部屋 110……床 120〜150……壁 200……観測者 310、311……直線 320、321……交点 410……矢印 J……回動中心軸 G1〜Gi〜Gn……ポリゴンの頂点 S……観測者用仮想スクリーン SS……描画装置用仮想スクリーン Q1〜Qm……点 P……観測点 T1〜Tn……交点 D1〜Dk……描画点 LL、RR、GG、BB……レーザ光 L、L1……線分 SD……表示する映像データのデータ配置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影領域を設定し得る壁部のある環境下に置かれて使用され、
前記壁部に光を投射して画像を投影する投影部と、
前記壁部の形状を含む壁部情報が記憶される記憶部を有し、前記壁部に、画像を投影する投影領域を設定する投影領域設定手段と、
観測者の顔の位置および顔の向いた方向を検出する観測者情報検出手段とを備え、
前記投影領域設定手段は、前記検出された顔の向いた方向の前記壁部上に前記投影領域を設定し、
前記投影部は、前記設定された投影領域に画像を投影するよう構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記投影領域設定手段は、前記投影部の全体または一部を変位させる変位機構を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記観測者情報検出手段は、前記投影部の周囲を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像の画像データに基づいて、観測者の顔を認識し、その顔の位置および顔の向いた方向を特定する観測者特定部とを有する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、複数の電子カメラを有し、
前記観測者特定部は、前記各電子カメラの位置と、前記各電子カメラの向いた方向と、前記各電子カメラにより撮像された画像の画像データとに基づいて、観測者の顔の位置および顔の向いた方向を特定するよう構成されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する座標系を想定し、
前記壁部情報は、前記座標系における前記壁部の表面の各部位の3次元座標であり、
観測者情報検出手段は、前記座標系における前記観測者の顔の所定部位の3次元座標を求め、前記観測者の顔の位置を検出するよう構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出された顔の位置を観測点とし、
前記投影領域設定手段は、前記観測点から前記検出された顔の向いた方向に向かう直線と前記壁部の表面との交点が、観測者が前記観測点から前記投影領域を見たときに、前記投影領域の略中心になるように該投影領域を設定するよう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記投影部は、光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射された光を反射する光反射部を備えた可動板が少なくとも一方向または互いに直交する二方向へ回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した光を前記投影領域に走査するアクチュエータを有する光走査部とを備え、
前記投影領域に光を走査することにより画像を描画するよう構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出された顔の位置を観測点とし、
前記投影領域設定手段は、観測者が前記観測点から前記投影領域を見たときに、前記投影領域と、前記検出された顔の位置とに応じて、画像が最適になるように、前記光出射部の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段と、
前記駆動パターン生成手段により生成された前記駆動パターンに対応させて、前記光出射部の作動を制御する制御手段とを備える請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記駆動パターン生成手段は、前記観測点と前記投影領域との間に仮想的な観測者用仮想スクリーンを設定し、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された観測者用の多数の点を特定し、前記観測点から見たときの、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された前記観測者用の多数の点を、それぞれ、前記投影領域上の位置に対応付け、その対応付けられた前記投影領域上の位置に前記光出射部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成する請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動パターン生成手段は、前記観測者用の多数の点について、それぞれ、その点および前記観測点を通る線分と前記投影領域との交点の3次元座標を求めることにより、前記観測者用の多数の点と前記投影領域の各部位とをそれぞれ対応付け、前記対応付けられた前記投影領域上の位置を求める請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記光走査部は、前記アクチュエータの前記可動板の挙動を検知する挙動検知手段を有し、前記制御手段は、前記挙動検知手段の検知結果および前記駆動パターンに基づいて、前記光出射部の作動を制御する請求項8ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記光走査部は、1対の前記アクチュエータを備え、
前記1対のアクチュエータは、それぞれ、前記可動板と、該可動板を回動可能に支持する支持部と、前記可動板と前記支持部とを連結する連結部と、前記可動板を回動させる駆動手段とを有しており、互いに、前記可動板の回動中心軸が直交するように設けられている請求項7ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−180967(P2009−180967A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20347(P2008−20347)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】