説明

画像形成装置

【課題】 装置本体部に対する開閉部に備わる操作入力部の電源をケーブルや蓄電池を用いずに確保し、不要な電磁波輻射を低減し、蓄電池交換の必要もなくする。
【解決手段】 装置本体部10に対して開閉部20が閉じられると、装置本体部10の交流磁界発生部111から発生する交流磁界によって、表示/操作部21の誘導結合部218で誘導電流が生じ、電源部219が該誘導電流を整流、平滑化して表示/操作部21の各部に動作電源を供給する。装置本体部10の制御部12からの表示制御情報は、変調部112、発光部113、受光部216、復調部217を介して光通信により表示/操作部21の制御部213に送信し、入力部212でのキー操作信号は、制御部213から変調部214、発光部215、受光部114、復調部115を介して光通信により制御部12に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置においては、装置本体部に対して開閉可能なカバーを有し、該カバーを開けることで用紙トレイに対する給紙等を行なうものがある。
【0003】
この種の画像形成装置では、カバー側に、キー入力機能と情報表示機能を有する操作パネル部を設け、該操作パネル部と装置本体部の制御部等の間を接続ケーブルを用いて接続し、キー操作信号等の信号とキー操作部に対する表示制御情報等の情報を送受信する構成のものも少なくない。
【0004】
このタイプの構成の画像形成装置では、カバーの開閉によって接続ケーブルの切断の危険があったり、ノイズを発生し制御上誤動作を生じるという懸念を払拭する工夫が必要となる。
【0005】
この種の従来装置の一例として、下記特許文献1には、プリンタ本体11とオペレーションパネル12に、ASK変調方式の無線送受信回路を設け、オペレーションパネル12ではバッテリ64を動作電源として各部を駆動し、キースイッチ信号をプリンタ本体に無線送信して印刷内容を設定し、プリンタ本体11からの表示情報をオペレーションパネル12に無線送信して表示情報を表示させるプリンタが開示されている。
【特許文献1】特開平05−270101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置本体部に対する開閉部に備わる操作入力部の電源をケーブルや蓄電池を用いずに確保し、不要な電磁波輻射を低減でき、蓄電池交換の必要もない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置の発明は、装置を制御する制御部を有する装置本体部と、前記装置本体部に対して開閉可能に装着される開閉部と、前記開閉部に設けられ、情報を表示する表示部を有する操作入力部とを具備し、前記装置本体部は、前記開閉部を閉じた状態で、前記操作入力部に対して無線で電力を供給するとともに、前記操作入力部と前記制御部との間で信号の送受を行うインタフェース部を具備し、前記操作入力部は、前記開閉部を閉じた状態で、前記インタフェース部から供給された電力を受信して該操作入力部を駆動する電源を出力する電源部と、前記開閉部を閉じた状態で、前記インタフェース部を介して前記制御部との間で信号の送受を行う信号送受信部とを具備する。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記インタフェース部は、前記制御部の制御により交流磁界を発生する交流磁界発生部と、前記制御部の制御により該制御部と前記操作入力部の信号送受信部との間で送受される信号を光信号を用いて通信する第1の光信号通信手段とを具備し、前記操作入力部の電源部は、前記交流磁界発生部から発生された交流磁界に電磁結合されて、起電力を発生する誘導結合部を具備し、前記操作入力部の信号送受信部は、前記第1の光信号通信手段により送受される光信号を送受して前記制御部と通信する第2の光信号通信手段を具備する。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記インタフェース部は、前記制御部の制御により交流磁界を発生する交流磁界発生部と、前記制御部の制御により該制御部と前記操作入力部の信号送受信部との間で送受される信号を高周波信号として前記交流磁界発生部から発生される交流磁界に重畳して通信する第1の高周波通信手段とを具備し、前記操作入力部の電源部は、前記交流磁界発生部から発生された交流磁界に電磁結合されて、起電力を発生する誘導結合部を具備し、前記操作入力部の信号送受信部は、前記第1の高周波通信手段により送受される高周波信号を前記誘導結合部を介して送受する第2の高周波通信手段を具備する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、プリンタ本体部に対する開閉カバーに設けた操作パネル部の電源を確保するために接続ケーブルもバッテリも必要なく、不要な電磁波輻射を低減でき、バッテリ交換も不要になる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、プリンタ本体部と操作パネル部間で光信号により制御信号を送受でき、両者の間のケーブル接続をなくし、操作パネル部の配置の自由度を高めることができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、プリンタ本体部と操作パネル部間で高周波通信により制御信号を送受するにあたって、無線により電力を供給する電磁結合を活用でき、構成を簡略化できると共に、ケーブル接続を不要にして外来ノイズによる誤動作を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係わるプリンタ100の概観構造を示す概念図である。
【0015】
このプリンタ100は、装置本体部10と、該装置本体部10に図示しないヒンジ部を介して取り付けられ、該装置本体部10に対して開放された状態と閉じた状態とに開閉自在なカバー部材としての開閉部20とを備えて構成される。
【0016】
開閉部20には、各種情報を表示する表示機能と、動作指令等の操作を受付けて該操作入力を取り込む入力操作機能を併せ持つ表示/操作部21が設けられている。
【0017】
図1において、同図(a)は、開閉部20を矢印a1方向に動かすことにより、該開閉部20を装置本体部10から開放した時の斜視構造を示し、同図(b)は、該開閉部20を装置本体部10に対して閉じた時の斜視構造を示している。
【0018】
同図(a)に示す状態で該プリンタ100のメンテナンス(装置本体部10内の給紙トレイを引き出して記録用紙を装填する作業、トナー交換作業等)を実施でき、その後、同図(b)に示すように、装置本体部10に対して開閉部20を閉じた状態にすることで表示/操作部21からのキー操作によってプリンタ動作の制御を実施できる。
【0019】
図2は、本発明に係わるプリンタ100の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、このプリンタ100は、例えば、原稿読取(スキャン)、複写(コピー)、印刷(プリント)等の複数の機能を有し、装置本体部10には、開閉部20が装置本体部10に対して閉じた状態にある時、開閉部20に設けた表示/操作部21に対して無線により電力を供給するためのインタフェースを果たすインタフェース(I/F)部11、表示/操作部21との間で上記インタフェース部11を通じて表示/操作部21からの指令信号、あるいは装置本体部10からの動作状態表示用の制御信号等の送受信を行なって、スキャン、コピー、プリント等の各機能に係わる該当各部の動作制御等、装置全体の制御を行なう制御部12、動作プログラムや後述するスキャンデータ等の各種情報を記憶する記憶部13、プラテン上にセットされる原稿(紙文書)の画像をスキャンし、電気的な画像信号(画像データ)に変換する読取部(スキャナ部)14、読取部14により紙文書をスキャンして得られたスキャンデータや、クライアント端末(不図示)から送られてくる印刷ジョブから印刷データを生成するための画像処理を行う画像処理部15、画像処理部15により生成された印刷データに基づき電子写真プロセスを実行して記録媒体(記録用紙)に該印刷データに対応する画像を形成する画像形成部16、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークと通信(クライアント端末から送られる上記印刷ジョブを受信する等)に係わる通信インタフェース機能を有する通信インタフェース(I/F)部17を備えて構成される。
【0021】
また、開閉部20において、表示/操作部21は、タッチパネル機能を有する大型ビットマップディスプレイ等により構成され、該パネルディスプレイに表示される各種操作ツールをタッチすることで該操作ツールに対応した操作指定等を入力する操作入力機能と、操作ガイダンスや動作状態等の各種情報を該ディスプレイに表示する表示機能とが設けられている。
【実施例1】
【0022】
図3は、本発明の実施例1に係わるプリンタ100Aにおける表示/操作部21と、装置本体部10のインタフェース部11の詳細機能構成を示すブロック図であり、特に、開閉部20を、図1(b)に示す如く、プリンタ100Aの装置本体部10に閉じた状態での各構成要素の対応関係を例示している。
【0023】
図3に示すように、プリンタ100Aにおいて、開閉部20に設けられる表示/操作部21は、表示部211、入力部212、制御部213、変調部214、発光部215、受光部216、復調部217、誘導結合部218、電源部219を備えて構成される。
【0024】
表示部211、入力部212は、それぞれ、上述した表示機能、操作入力機能に相当するものである。
【0025】
制御部213は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)で構成され、上記表示及び操作入力機能を含む当該表示/操作部21全体の制御を行う。
【0026】
変調部214は、入力部212からの操作信号等、装置本体部10の制御部12に送る信号を発光部215を駆動するための信号に変調する変調処理を行う。
【0027】
発光部215は、例えば、発光ダイオードで構成され、変調部214により変調された信号に基づき駆動され、該変調信号に応じた明滅パターンで光信号を出力する。
【0028】
受光部216は、例えば、受光ダイオードで構成され、装置本体部10の発光部113から送出される光信号を受光し、該光信号の受信に応じた受光出力を発生する。
【0029】
復調部217は、受光部216の受光出力を変調前の信号に復調する復調処理を行う。
【0030】
誘導結合部218は、装置本体部10のインタフェース部11の交流磁界発生部111から発生される交流磁界に対して誘導結合(電磁結合)し該交流磁界に応じた起電力(交流電力)を発生するコイル41を有する。
【0031】
電源部219は、誘導結合部218のコイル41が交流磁界発生部111からの交流磁界の作用を受けて発生する交流電力を整流、平滑して直流電力を生成し、表示/操作部21の各部に動作電源として供給する。
【0032】
また、装置本体部10において、インタフェース部11は、交流磁界発生部111、変調部112、発光部113、受光部114、復調部115を具備して構成される。
【0033】
交流磁界発生部111は、コイル31を有し、制御部12の制御によって印加される交流電源に基づき該コイル31から交流磁界を発生する。
【0034】
変調部112は、制御部12からの制御信号等、表示/操作部21の制御部213に送る信号を発光部113を駆動するための信号に変調する変調処理を行う。
【0035】
発光部113は、例えば、発光ダイオードで構成され、変調部112により変調された信号に基づき駆動され、該変調信号に応じた明滅パターンで光信号を出力する。
【0036】
受光部114は、例えば、受光ダイオードで構成され、表示/操作部21の発光部215から送出される光信号を受光し、該光信号の受信に応じた受光出力を発生する。
【0037】
復調部115は、受光部114の受光出力を変調前の信号に復調する復調処理を行う。
【0038】
次に、本実施例に係わるプリンタ100Aの動作について説明する。
【0039】
図4は、実施例1に係わるプリンタ100Aの装置本体部10の制御部12と、開閉部20に設けられる表示/操作部21の制御部213との間の通信動作に係わる制御シーケンスを示す概念図である。
【0040】
本実施例に係わるプリンタ100Aの上述した構成によれば、開閉部20が装置本体部10に対して閉じられた状態〔図1(b)に示す状態〕において、装置本体部10のインタフェース部11と、開閉部20に設けられた表示/操作部21間では、図3に示す如く、交流磁界発生部111がそのコイル31から発生する交流磁界が誘導結合部218と誘導結合する状態に対向配置されると共に、発光部113と受光部216、及び発光部215と受光部114とが、それぞれ、光信号を送受信可能に対向配置される。
【0041】
これにより、上記開閉部20が開放された状態では、図4に示す如く、インタフェース部11の交流磁界発生部111で発生する交流磁界が表示/操作部21における誘導結合部218には作用せず(電磁結合非結合状態となり)、表示/制御部21は駆動停止状態となる。
【0042】
これに対し、上記開閉部20が装置本体部10に対して閉じられた状態〔かつ、装置本体部10の電源スイッチ(不図示)がオンの状態〕になると、装置本体部10の交流磁界発生部111のコイル31から交流磁界が発生し、該交流磁界が、表示/操作部21の誘導結合部218のコイル41に作用〔誘導結合(電磁結合)〕する。
【0043】
その際、誘導結合部218のコイル41には、上記交流磁界の誘導結合によって起電力が発生し、該起電力に基づく交流電流が電源部219にも流れる。
【0044】
電源部219では、この交流電流をダイオード及びコンデンサを介して整流、平滑化し、表示/操作部21の各部(表示部211、入力部212、制御部213、変調部214、発光部215、受光部216、復調部217)に動作電源として供給する。
【0045】
以後、装置本体部10の制御部12と開閉部20の表示/操作部21の制御部213の間では、制御情報の送受信が光信号を用いた通信により行なわれる(ステップS110,S210,S220,S120)。
【0046】
その際、制御部12は制御部213と光通信を行うために、表示制御信号等の送信信号を変調部112で変調し、該変調に応じた発光を発光部113により行う(ステップS110)。また、受光部114で発光部215から受けた表示/操作部21からの操作指令信号等の信号を復調部115で復調して該信号を受信する(ステップS120)。
【0047】
また、制御部213は、制御部12と光通信を行うために、操作指令信号等の送信信号を変調部214で変調し、該変調に応じた発光を発光部215により行う(ステップS220)。また、受光部216で発光部113から受けた制御部12からの表示制御情報等の信号を復調部217で復調して該信号を受信する(ステップS210)。
【0048】
以下、上記光通信による具体的制御動作の例について説明する。
【0049】
開閉部20が閉じられた状態(但し、電源オン)で、装置本体部10の制御部12は、読取部14、画像処理部15、画像形成部16等の動作状態を監視し、何等の動作も行なわれていない場合には、待機状態に対応した画面を表示する制御信号を表示/操作部21向けの信号として変調部112に送出する。
【0050】
変調部112では制御部12からの上記制御信号を変調し、発光部113が該変調された信号に応じて発光パターンで光信号を発生する。
【0051】
表示/操作部21では、受光部216が、発光部113の発光パターンに応じた光を受光して該受光に応じた電気信号を出力し、復調部217が該受光出力を変調前の制御信号に復調し、制御部213に入力する。
【0052】
上記制御信号が入力されると、制御部213は、表示部211に対して所定の待機画面を表示する制御信号を送出し、表示部211は、該制御信号に基づき、パネルディスプレイ部にプリントやスキャンあるいはコピー等の開始ボタン等を含む待機画面を表示し、操作受付け可能状態で待機する。
【0053】
上記待機状態において、ユーザにより、例えば、コピーの開始操作がなされると、制御部213は、該操作指令信号を装置本体部10の制御部12向けの信号として変調部214に入力する。
【0054】
変調部214では制御部213からの上記制御信号を変調し、発光部215が該変調された信号に応じた発光パターンにより光信号を発生する。
【0055】
装置本体10側では、受光部114が、発光部215の発光パターンに応じた光を受光して該受光に応じた電気信号を出力し、復調部115が該受光出力を変調前の制御信号に復調し、制御部12に入力する。
【0056】
これにより、制御部12は、入力される制御信号がコピー等の開始を指示する制御信号であることを解析し、読取部14、画像処理部15、画像形成部16を駆動して原稿のコピー動作を実行する。
【0057】
コピー動作が開始されると、制御部12は、読取部14、画像処理部15、画像形成部16等の動作状態の監視結果を基に、該動作状態を表示するための制御信号を、逐次、表示/操作部21向けの信号として変調部112に送出する。
【0058】
変調部112では、逐次入力する上記制御信号を変調し、発光部113が該変調された信号に応じて駆動されて光信号を発生する。
【0059】
表示/操作部21側では、受光部216が、発光部113が発生する光を受光して該受光に応じた電気信号を出力し、復調部217が該受光出力を変調前の制御信号に復調し、制御部213に入力する。
【0060】
これにより、制御部213は、入力される制御信号がコピー開始後の動作状態を表示する制御信号であることを解析し、該制御信号に基づき表示部211を駆動してパネルディスプレイ上にこの時のコピーの動作状態を、逐次、表示させる。
【0061】
上記制御により、画像形成部16から、原稿の画像内容が印刷出力され、コピー動作が終了すると、表示/操作部21のパネルディスプレイにはその旨の表示が行なわれ、上記待機状態に復帰する。
【0062】
このように、実施例1に係わるプリンタ100Aでは、装置本体部10から表示/操作部21に対して無線により駆動電源を供給し、表示/操作部21に動作電源としてのバッテリ(蓄電池)を搭載する必要性をなくし、必然的に該バッテリを交換する等の作業も不要なものとしている。
【0063】
また、実施例1のプリンタ100Aでは、装置本体部10と表示/操作部21間の制御信号については光信号を用いて送受し、装置本体部10と表示/操作部21間のケーブル接続をなくし、接続ケーブルを用いていた従来装置のように該接続ケーブルからノイズがのることがないようにしている。
【実施例2】
【0064】
図5は、本発明の実施例2に係わるプリンタ100Bの開閉部20bに設けられる表示/操作部21bと、装置本体部10bのインタフェース部11bの詳細機能構成を示すブロック図である。
【0065】
ここでも、開閉部20bが、図1(b)に示す如く、プリンタ100Bの装置本体部10bに対して閉じられている状態での各構成要素の対応関係を例示している。
【0066】
図5において、実施例1に係わる表示/操作部21と、装置本体部10のインタフェース部11の構成各部(図3参照)と同様のものには同一の符号を付している。
【0067】
実施例2において、開閉部20bに設けられる表示/操作部21bは、表示部211、入力部212、制御部213、変調部214b、高周波重畳分離部220、復調部217b、誘導結合部218b、電源部219を備えて構成される。
【0068】
表示部211、入力部212、制御部213は、それぞれ、実施例1に係わる表示/操作部21内の対応部分と同様のものである。
【0069】
これに対し、変調部214b、復調部217b、誘導結合部218b及び高周波重畳分離部220は、それぞれ、本実施例特有の構成要素である。
【0070】
誘導結合部218bは、実施例1に係わる誘導結合部218(図3参照)の構成において、コイル41の他に、高周波送受用のコイル42を付加したものである。
【0071】
高周波重畳分離部220は、変調部214bからの変調信号に対応した高周波信号を生成してコイル42に流すと共に、該コイル42に流れる高周波信号を取り出して復調部217bに送る処理を行う。
【0072】
変調部214bは、制御部213からコピー開始信号等の制御信号を入力し、高周波重畳分離部220への入力に先立って該制御信号を変調する処理を行う。
【0073】
復調部217bは、高周波重畳分離部220でコイル42から取り出された高周波信号を変調前の信号に復調する処理を行う。
【0074】
また、本実施例に係わるプリンタ100Bの装置本体部10bに設けられるインタフェース部11bは、交流磁界発生部111b、変調部112b、復調部115b、高周波重畳分離部116を具備して構成される。
【0075】
交流磁界発生部111bは、実施例1に係わる交流磁界発生部111(図3参照)の構成において、コイル31の他に、高周波送受用のコイル32を付加したものである。
【0076】
高周波重畳分離部116は、変調部112bからの変調信号に対応した高周波信号を生成してコイル32に流すと共に、該コイル32に流れる高周波信号を取り出して復調部115bに送る処理を行う。
【0077】
変調部112bは、制御部12から動作状態表示等に係わる制御信号を入力し、高周波重畳分離部116への入力に先立って該制御信号を変調する処理を行う。
【0078】
復調部115bは、高周波重畳分離部116により取り出された高周波信号を変調前の制御信号等に復調する処理を行う。
【0079】
上記高周波重畳分離部116と220の構成及び処理動作によれば、制御部12と制御部213間で送受される信号は、コイル32とコイル42との間において、交流磁界発生部111bから発生される交流磁界に高周波信号として重畳して通信される。
【0080】
次に、本実施例に係わるプリンタ100Bの動作について説明する。
【0081】
図6は、実施例2に係わるプリンタ100Bの装置本体部10b内の制御部12と、開閉部20bに設けられる表示/操作部21bの制御部213との間の通信動作に係わる制御シーケンスを示す概念図である。
【0082】
本実施例に係わるプリンタ100Bの上述した構成によれば、開閉部20bが装置本体部10bに対して閉じられた状態〔図1(b)参照〕において、装置本体部10bのインタフェース部11bと、開閉部20bに設けられた表示/操作部21b間では、図5に示す如く、交流磁界発生部111bがコイル41から発生する交流磁界が誘導結合部218bのコイル41、42と誘導結合する状態に対向配置される。
【0083】
これにより、上記開閉部20bが開放された状態では、図6に示す如く、インタフェース部11bの交流磁界発生部111bで発生する交流磁界が表示/操作部21における誘導結合部218bには作用せず(電磁結合非結合状態となり)、表示/制御部21bは駆動停止状態となる。
【0084】
これに対し、上記開閉部20bが装置本体部10bに対して閉じられた状態〔かつ、装置本体部10bの電源スイッチ(不図示)がオンの状態〕になると、装置本体部10bの交流磁界発生部111bのコイル31から交流磁界が発生し、該交流磁界が、表示/操作部21bの誘導結合部218bのコイル41,42に作用〔誘導結合(電磁結合)〕する。
【0085】
その際、誘導結合部218bのコイル41には、上記交流磁界の誘導結合によって起電力が発生し、該起電力に基づく交流電流が電源部219にも流れる。
【0086】
電源部219では、この交流電流をダイオード及びコンデンサを介して整流、平滑化し、表示/操作部21bの各部(表示部211、入力部212、制御部213、変調部214b、復調部217b、高周波重畳分離部220)に動作電源として供給する。
【0087】
以後、装置本体部10bの制御部12と開閉部20bの表示/操作部21bの制御部213の間では、制御情報の送受信が高周波信号を用いて行なわれる(ステップ115,S215,S225,S125)。
【0088】
その際、制御部12は制御部213と通信を行うために、表示制御信号等の送信信号を送信信号を変調部112bで変調し、該変調信号に応じた高周波信号を高周波重畳分離部116で発生し、交流磁界発生部111bのコイル32に結合する(ステップS115)。また、交流磁界発生部111bのコイル32から高周波重畳分離部116が取り出した表示/操作部21からの操作指令信号等の信号に対応する高周波信号を復調部115bで復調して信号を受信する(ステップS125)。
【0089】
また、制御部213は、制御部12と通信を行うために、操作指令信号等の送信信号を変調部214bで変調し、該変調信号に対応した高周波信号を高周波重畳分離220で発生し、誘導結合部218bのコイル42に結合する(ステップS225)。また、誘導結合部218bのコイル42から高周波重畳分離部220が取り出した制御部12からの表示制御情報等の信号に対応する高周波信号を復調部217bで復調して信号を受信する(ステップS215)。
【0090】
以下、上記高周波信号を用いた具体的制御動作の例について説明する。
【0091】
開閉部20bが閉じられた状態(但し、電源オン)で、装置本体部10bの制御部12は、読取部14、画像処理部15、画像形成部16等の動作状態を監視し、何等の動作も行なわれていない場合には、待機状態に対応した画面を表示する制御信号を表示/操作部21向けの信号として変調部112bに送出する。
【0092】
変調部112bでは制御部12からの上記制御信号を変調し、高周波重畳分離部116が、該変調信号に対応する高周波信号を交流磁界発生部111bのコイル32に導通させるように制御する。これにより、コイル31から発生する交流磁界にはコイル32からの高周波信号が重畳される。
【0093】
一方、表示/操作部21bでは、交流磁界発生部111bのコイル32によって重畳された高周波信号が、誘導結合によって、誘導結合部218bのコイル42bに流れ、高周波重畳分離部220が該高周波信号を取り出して復調部217bに入力する。
【0094】
復調部217bでは、該入力信号を復調前の制御信号に復調し、制御部213に入力する。
【0095】
上記制御信号が入力されると、制御部213は、表示部211に対して所定の待機画面を表示する制御信号を送出し、表示部211は、該制御信号に基づき、パネルディスプレイ部にプリントやスキャンあるいはコピー等の開始ボタン等を含む待機画面を表示し、操作受付け可能状態で待機する。
【0096】
上記待機状態において、ユーザにより、例えば、コピーの開始操作がなされると、制御部213は、該操作信号を装置本体部10の制御部12向けの信号として変調部214bに入力する。
【0097】
変調部214bでは制御部213からの上記制御信号を変調し、高周波重畳分離部220が、該変調信号に対応する高周波信号を生成し、誘導結合部218bのコイル42に導通させるように制御する。これにより、交流磁界にはコイル42からの高周波信号が重畳される。
【0098】
一方、装置本体部10bでは、誘導結合部218bのコイル42によって重畳された高周波信号が、誘導結合によって、交流磁界発生部111bのコイル32に流れ、高周波重畳分離部116が該高周波信号を取り出して復調部115bに入力する。
【0099】
復調部115bでは、該入力信号を変調前の制御信号に復調し、制御部12に入力する。
【0100】
これにより、制御部12は、入力される制御信号がコピー等の開始を指示する制御信号であることを解析し、読取部14、画像処理部15、画像形成部16を駆動して原稿のコピー動作を実行させる。
【0101】
コピー動作が開始されると、制御部12は、読取部14、画像処理部15、画像形成部16等の動作状態の監視結果を基に、該動作状態を表示するための制御信号を、逐次、表示/操作部21b向けの信号として変調部112bに送出する。
【0102】
変調部112bでは制御部12からの上記制御信号を変調し、高周波重畳分離部116が、該変調信号に対応する高周波信号を交流磁界発生部111bのコイル32に導通させるように制御する。
【0103】
一方、表示/操作部21bでは、交流磁界発生部111bのコイル32によって重畳された高周波信号が、誘導結合によって、誘導結合部218bのコイル42bに流れ、高周波重畳分離部220が該高周波信号を取り出して復調部217bに入力する。
【0104】
復調部217bでは、該入力信号を変調前の制御信号に復調し、制御部213に入力する。
【0105】
制御部213は、入力される制御信号がコピー開始後の動作状態を表示する制御信号であることを解析し、該制御信号に基づき表示部211を駆動してパネルディスプレイ上にこの時のコピーの動作状態を、逐次、表示させる。
【0106】
上記制御により、画像形成部16から、原稿の画像内容が印刷出力され、コピー動作が終了すると、表示/操作部21bのパネルディスプレイにはその旨の表示が行なわれ、上記待機状態に復帰する。
【0107】
このように、実施例2に係わるプリンタ100Bは、実施例1と同様、装置本体部10bから表示/操作部21bに対して無線により駆動電源を供給し、表示/操作部21bに動作電源としてのバッテリ(蓄電池)を実装する必要性をなくしている。
【0108】
更に、実施例2に係わるプリンタ100Bでは、装置本体部10bと表示/操作部21b間の信号を高周波信号により送受するようにしている。この場合も、装置本体部10bから表示/操作部21b間の給電のためのケーブル接続をなくし、接続ケーブルを用いていた従来装置のように該接続ケーブルからノイズがのることを防止できる。
【0109】
また、本実施例では、装置本体部10bと表示/操作部21b間で高周波信号を送受するにあたり、無線により電力を供給する誘導結合構造(交流磁界発生部111b,誘導結合部218b)を活用でき、発光素子、受光素子を用いた光通信手段を用いる場合に比べて構成を簡略化できる。
【0110】
この他、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0111】
例えば、上記実施例1,2では、図1に示すように、装置本体部10に対して正面前面で矢印a1方向に開閉可能な開閉部20を有する構造について例示したが、これに限らず、例えば、図7示すように、装置本体部10cに対して上下(矢印a2方向)に開閉する開閉部20cに表示/操作部21cを備えたプリンタ100Cや、図8に示す如く、装置本体部10dの前面に対して右または左から矢印a3方向に開閉可能な開閉部20dに表示/操作部21dを備えたプリンタ200Dにも適用可能である。
【0112】
また、上記実施例では、プリンタへの適用例を挙げたが、本発明は、装置を制御する制御部を有する装置本体部と、装置本体部に対して開閉可能に装着される開閉部と、開閉部に設けられ、情報を表示する表示部を有する操作入力部とを備えるものであれば、複合機等も含めた画像形成装置全般に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、装置本体部に対して開閉可能な開閉部に操作パネルが設けられ、開閉部を閉じた時に無線により電力を供給できるプリンタや複合機等の画像形成装置全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係わるプリンタの概観構造を示す概念図。
【図2】本発明に係わるプリンタの機能構成を示すブロック。
【図3】実施例1に係わるプリンタの特定部分の詳細構成を示すブロック図。
【図4】実施例1に係わるプリンタの通信動作制御シーケンスを示す概念図。
【図5】実施例2に係わるプリンタの特定部分の詳細構成を示すブロック図。
【図6】実施例2に係わるプリンタの通信動作制御シーケンスを示す概念図。
【図7】別の実施例に係わるプリンタの概観構造を示す概念図。
【図8】更に別の実施例に係わるプリンタの概観構造を示す概念図。
【符号の説明】
【0115】
100,100A,100B,100C,100D…プリンタ、10,10b,10c,10d…装置本体部、11,11b,11c,11d…インタフェース(I/F)部、111,111b…交流磁界発生部、112,112b…変調部、113…発光部、114…受光部、115,115b…復調部、116…高周波重畳分離部、12…制御部、13…記憶部、14…読取部、15…画像処理部、16…画像形成部、17…通信インタフェース(I/F)部、20,20c、20d…開閉部、21,21b、21c、21d…表示/操作部、211…表示部、212…入力部、213…制御部、214,214b…変調部、215…発光部、216…受光部、217,217b…復調部、218,218b…誘導結合部、219…電源部、220…高周波重畳分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を制御する制御部を有する装置本体部と、
前記装置本体部に対して開閉可能に装着される開閉部と、
前記開閉部に設けられ、情報を表示する表示部を有する操作入力部と
を具備し、
前記装置本体部は、
前記開閉部を閉じた状態で、前記操作入力部に対して無線で電力を供給するとともに、前記操作入力部と前記制御部との間で信号の送受を行うインタフェース部
を具備し、
前記操作入力部は、
前記開閉部を閉じた状態で、前記インタフェース部から供給された電力を受信して該操作入力部を駆動する電源を出力する電源部と、
前記開閉部を閉じた状態で、前記インタフェース部を介して前記制御部との間で信号の送受を行う信号送受信部と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記インタフェース部は、
前記制御部の制御により交流磁界を発生する交流磁界発生部と、
前記制御部の制御により該制御部と前記操作入力部の信号送受信部との間で送受される信号を光信号を用いて通信する第1の光信号通信手段と
を具備し、
前記操作入力部の電源部は、
前記交流磁界発生部から発生された交流磁界に電磁結合されて、起電力を発生する誘導結合部
を具備し、
前記操作入力部の信号送受信部は、
前記第1の光信号通信手段により送受される光信号を送受して前記制御部と通信する第2の光信号通信手段
を具備する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インタフェース部は、
前記制御部の制御により交流磁界を発生する交流磁界発生部と、
前記制御部の制御により該制御部と前記操作入力部の信号送受信部との間で送受される信号を高周波信号として前記交流磁界発生部から発生される交流磁界に重畳して通信する第1の高周波通信手段と
を具備し、
前記操作入力部の電源部は、
前記交流磁界発生部から発生された交流磁界に電磁結合されて、起電力を発生する誘導結合部
を具備し、
前記操作入力部の信号送受信部は、
前記第1の高周波通信手段により送受される高周波信号を前記誘導結合部を介して送受する第2の高周波通信手段
を具備する請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−69189(P2009−69189A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234361(P2007−234361)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】