説明

画像形成装置

【課題】転写ベルトに付着した皮脂などの汚れにより画質不良の発生を効率的に抑制する。
【解決手段】画像形成装置10では、転写ベルトのクリーニング処理が設定されていると、フロントカバー又はトップカバーが開かれたか否かを確認し、何れかのカバーが開かれると、環境温度、湿度に基づいてトナー濃度を設定する(ステップ200〜206)。また、トップカバーが開かれていると、トップカバーに対応する領域及び転写ベルトの回転数を設定し、フロントカバーが開かれていると、フロントカバーに対応する領域及び回転数を設定する(ステップ200〜212)。この後、カバーが閉じられると、設定された濃度、領域及び回数でトナーバンドを形成して、転写ベルトのクリーニングを行う(ステップ216)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光ドラムなどの感光体に形成したトナー像を記録紙に転写することにより、記録紙に画像を形成する画像形成装置では、感光ドラムの付着物が、記録紙の形成される画像を損ねてしまう。
【0003】
ここから、感光体に対して接離する複数のブレードを設け、該ブレードを独立して感光体の表面へ接触させることにより感光体に付着したラベルなどの粘着物を除去する提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、トナーリフレッシュ時に、トナーに応じて転写バイアスを切替えることにより、研磨力の高いトナーが転写ベルトに転写されないようにして、該トナーを用いて感光体ドラムのクリーニングを行う提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
さらに、感光体上の付着物に電荷を付与することにより、転写ベルトへ転写して感光体上から除去する提案がなされている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
一方、感光体の表面の研磨を行う外部添加剤をトナーに含ませると、この外部添加剤が転写ベルト上に残留することがあり、このときに、記録紙に最後に形成した画像、記録紙に形成した複数の画像を合成した画像、ベタ画像などを転写ベルトに転写し、転写ベルトのクリーニングを行う提案がなされている(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
ところで、画像形成装置では、トナーなどの消耗品の交換、搬送不良が生じたときの記録紙の取り出しを行うために筐体のカバーを開いたときに、転写ベルトが露出することがあり、この転写ベルトに指などが触れると皮脂が付着することがある。転写ベルトに付着した皮脂などは、転写ベルトへのトナーの転写ムラを生じされ、記録紙に形成する画像に白抜けなどの画像不良を生じさせることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−298640号公報
【特許文献2】特開2007−233049号公報
【特許文献3】特開2004−117464号公報
【特許文献4】特開2007−232842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、転写ベルトなどの像保持体に付着した皮脂などの汚れにより記録紙などの画像形成媒体に画質不良を生じるのを効率的に抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の画像形成装置は、画像形成材料によって画像が形成される感光体と、前記感光体と共に筐体内に収容されて、感光体に形成された前記画像を保持して回転し、保持した画像を画像形成媒体に転写する像保持体と、前記像保持体上に保持されて前記画像形成媒体に転写されずに残った前記画像形成材料を除去する除去手段と、前記筐体に設けられて開かれることにより前記像保持体の対応する領域が露出されるカバーと、前記カバーが開かれたときに露出される領域を含む前記像保持体上の予め設定された清掃領域を覆う清掃画像を、前記画像形成材料により形成して保持させ、該当清掃画像を形成している画像形成材料を前記除去手段によって像保持体から除去することにより清掃処理する清掃制御手段と、を含む。
【0011】
請求項2は、請求項1において、前記カバーが開かれたときの前記像保持体の露出状態を検出する検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記清掃画像の濃度、前記清掃画像の形成回数、前記像保持体の回転動作に対する前記清掃画像の形成間隔又は前記清掃領域の少なくとも一つを切換える。
【0012】
請求項3は、請求項2において、前記検出手段として、前記カバーの開閉を検出する開閉検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記開閉検出手段の検出結果に基づいて計測される前記カバーの開時間から前記清掃画像の濃度を切替える。
【0013】
請求項4は、請求項2において、前記検出手段として、複数の前記カバーのそれぞれに、該当カバーの開閉を検出する開閉検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記開閉検出手段によって検出される前記カバーに応じて前記清掃領域を切替える。
【0014】
請求項5は、請求項2において、前記検出手段として、前記カバーの開度を検出する開度検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記開度検出手段の検出結果から前記清掃領域を切替える。
【0015】
請求項6は、請求項2において、前記検出手段として装置の設置環境の環境条件を検出する環境検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記環境検出手段によって検出される前記環境条件に基づいて前記清掃画像の濃度を切替える。
【0016】
請求項7は、請求項6において、前記環境条件として環境温度を検出する温度検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記環境温度が高いほど前記画像濃度が高くなるように設定する。
【0017】
請求項8は、請求項6又は請求項7において、前記環境条件として環境湿度を検出する湿度検出手段を含み、前記清掃制御手段が、前記環境湿度が高いほど前記画像濃度が高くなるように設定する。
【0018】
請求項9は、請求項1から請求項8の何れか1項において、前記画像を形成するプロセスカラーの各色の前記画像形成材料から前記清掃画像を形成する画像形成材料を選択して設定する設定手段を含み、前記清掃制御手段が、前記設定手段によって設定された色の画像形成材料を用いて前記清掃処理を行う。
【0019】
請求項10は、請求項9において、前記画像形成の残量を検出する残量検出手段を含み、前記設定手段が、前記残量の多い色の画像形成材料を選択する。
【0020】
請求項11は、請求項9において、前記画像形成に用いた前記画像形成材料の使用量を累積し、前記設定手段が、前記使用量の少ない色の画像形成材料を選択する。
【0021】
請求項12は、請求項9において、前記設定手段が前記プロセスカラーの各色の画像形成材料を、前記清掃画像を形成するごとに予め設定された順序で順に選択する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、予め清掃領域を設定しない場合に比べて、画像形成材料の消費が抑制されるという効果が得られる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、画像形成材料の消費を抑制しながら、確実に像保持体上の汚れを除去することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、像保持体の汚れに応じた濃度の清掃画像を形成して、確実な汚れ除去を図れる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、像保持体上の的確な位置に清掃画像を形成して、汚れの除去が行われる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、カバーの開度によって汚れが付着する範囲が変化しても、的確な範囲に清掃画像が形成されるという効果を有する。
【0027】
請求項6から請求項8の記載によれば、環境条件に応じて汚れの量が変わっても、付着した汚れに応じた的確な量の画像形成材料が用いられる。
【0028】
さらに、請求項9から請求項12の発明によれば、画像形成材料をバランスよく使用されて汚れ除去が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の要部の構成図である。
【図2】画像形成装置の制御部の要部の構成図である。
【図3】画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図4】画像形成装置のフロントカバーを開いた状態を示す要部の構成図である。
【図5】画像形成装置のトップカバーを開いた状態を示す要部の構成図である。
【図6】(A)及び(B)は転写ベルトの回転数に対する白抜けグレードの変化を示す線図であり、(A)はトナー濃度をパラメータとし、(B)はトナーバンドの形成間隔をパラメータとしている。
【図7】(A)から(C)は転写ベルトの回転数に対するトナーバンドの形成を示すタイミングチャートであり、(A)は1周毎、(B)は2周毎、(C)は3周毎を示している。
【図8】(A)は温度、湿度に対する環境区分の設定の一例を示す図表、(B)は環境区分に対するトナー濃度の設定の一例を示す図表である。
【図9】実施例1に係るトナーバンドの形成処理を示す流れ図である。
【図10】実施例2に係るトナーバンドを形成するトナー設定を示す流れ図である。
【図11】実施例3に係るトナーバンドの形成処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に適用した画像形成装置10が示されている。画像形成装置10には、筐体12の内部に、現像ユニット14が設けられている。画像形成装置10では、プロセスカラーであるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(クロ)のトナーを用いて記録紙16に画像を形成し、現像ユニット14としては、Y色の現像ユニット14Y、M色の現像ユニット14M、C色の現像ユニット14C及びK色の現像ユニット14Kを有している(以下、総称するときは、現像ユニット14とする)。
【0031】
画像形成装置10では、現像ユニット14Y、14M、14C、14Kが筐体12内に並べられて配置されている。また、現像ユニット14のそれぞれには、感光体として感光ドラム18が設けられている。また、現像ユニット14(現像ユニット14Y、14M、14C、14K)には、感光ドラム18にトナーを供給する現像器20(現像器20Y、20M、20C、20K)が設けられている。現像器20のそれぞれには、筐体12内に装填された図示しないトナーカートリッジからトナーが供給され、現像器20は、そのトナーを感光ドラム18に供給する。
【0032】
現像ユニット14には、帯電器及びクリーナ(何れも図示省略)が設けられており、帯電器によって均一に帯電された感光ドラム18に、静電潜像を形成し、現像器20から供給されるトナーによって現像されることによりトナー像が形成される。このトナー像が記録紙16に転写されることにより、記録紙16に画像が形成される。また、感光ドラム18に残留したトナーはクリーナによって除去される。
【0033】
筐体12には、現像ユニット14の下方(図1の紙面下側)に露光ユニット22が設けられている。この露光ユニット22は、例えば、半導体レーザなどの光源を備え、この光源から射出されるレーザ光LB(レーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−K)を、感光ドラム18のそれぞれに走査しながら照射する。このときに、レーザ光LBが、画像情報に応じて変調されることにより、各感光ドラム18に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0034】
なお、感光ドラム18に静電潜像を形成する光源としては、半導体レーザに限らず、LEDなどの発光素子を配列して、画像情報に基づいて発光させるなどの任意の光源及び走査方式を適用することができる。
【0035】
画像形成装置10には、各現像ユニット14の感光ドラム18に対向して像保持体として設けられている無端の転写ベルト24が設けられている。転写ベルト24は、ドライブロール26、テンションロール28、アイドルロール30及びバックアップロール32を含む複数のロールに一定の張力が付与されて巻き掛けられている。また、転写ベルト24は、ドライブロール26が駆動されることにより、図1の矢印方向へ回転移動される。
【0036】
転写ベルト24は、各現像ユニット14の感光体ドラム18の周面に接触されるようになっている。感光ドラム18のそれぞれには、転写ベルト24を挟んで転写ロール(一次転写ロール)34が対向配置されており、感光ドラム18に形成されたトナー像は、転写ロール34によって転写ベルト24に転写される。このときに、画像形成装置10では、現像ユニット14Y、14M、14C、14Kの順でそれぞれの感光ドラム18に接触されことにより、Y、M、C、Kの各色トナー像が重ねられて転写される。
【0037】
ドライブロール26には、転写ロール(二次転写ロール)36が対向されており、転写ベルト24に転写されたトナー像は、転写ベルト24の移動に同期してドライブロール26と転写ロール36との間の転写位置へ送り込まれる記録紙16に転写される。
【0038】
筐体12の下部には、記録紙16が収容された給紙ユニット38が設けられている。また、筐体12内には、記録紙16の搬送路である用紙搬送路40が形成されている。
【0039】
記録紙16は、図示しないフィードロールなどによって給紙ユニット38から1枚ずつ取り出されると、給紙ロール42によってレジストロール44へ向けて搬送される。レジストロール44は、転写ベルト24上に転写されたトナー像の移動に合わせて、記録紙16をドライブロール26と転写ロール36との間の転写位置へ送り込む。これにより、転写ベルと24上のトナー像が記録紙16に転写される。
【0040】
用紙搬送路40には、転写ロール36の下流側に定着器46が設けられている。この定着器46は、定着ロール48を備えている。トナー像が転写された記録紙16は、この定着ロール48によって加圧及び加熱され、トナーが溶融定着されて画像情報に応じた画像が形成される。
【0041】
画像形成装置10には、筐体12の上部に用紙受50が形成されており、画像が形成された記録紙16は、排紙ロール52によって用紙受50上に送り出される。
【0042】
なお、画像形成装置10では、記録紙16の両面に画像形成が可能となっており、記録紙16の両面に画像が形成される場合には、片面に画像が形成された記録紙16の先端部を筐体12から突出させると共にこの記録紙16の後端部を排紙ロール52によって挟む。この状態で、排紙ロール52を逆回転すると共に、図示しない切換えガイドを操作することにより、記録紙16をロール54Aへ向けて搬送し、このロール54Aからロール54Bを介してレジストロール44へ戻す。また、画像形成装置10には、手差しトレイ56が設けられ、この手差しトレイ56に記録紙16が載せられることにより給紙ロール58によって筐体12内に引き入れられてレジストロール44へ送られる。
【0043】
一方、画像形成装置10には、転写ベルト24が巻き掛けられているバックアップロール32に対向してクリーナ60が設けられている。このクリーナ60は除去手段として設けられており、バックアップロール32に対向するブレード62を備えている。このブレード62は、転写ベルト24の幅方向の全域に対向されており、転写ベルト24は、ブレード62に接触しながらブレード62とバックアップロール32との間を通過されることにより、表面に付着しているトナーが除去されて回収される。
【0044】
なお、除去手段としては、ブレード62を備えたクリーナ60を用いたが、転写ベルト24の幅方向の全域から、表面に付着しているトナーを除去する構成であれば、この構成に限るものではない。
【0045】
図2に示されるように、画像形成装置10の制御部64には、コントローラ66が設けられている。このコントローラ66は、CPU、ROM及びRAMがシステムバスなどのバス(何れも図示省略)によって接続されて形成された一般的構成のマイクロコンピュータ、各種の入出力インターフェイス及び駆動回路を備えている。
【0046】
このコントローラ66には、露光ユニット22、用紙搬送路50によって記録紙16を搬送する搬送モータ68、転写ベルト24(ドライブロール26)を駆動する駆動モータ70、現像ユニット14Y、14M、14C、14Kの感光ドラム18を回転駆動する駆動モータ72Y、72M、72C,72Kと共に、定着器46が接続されている。
【0047】
また、画像形成装置10には、筐体12の表面に操作パネル74(図3参照)が設けられ、この操作パネル74がコントローラ66に接続している。この操作パネル74には、図示しないディスプレイ及び操作キーが設けられており、各種の設定操作がなされる。これにより、コントローラ66は、RAMをワークメモリとしながら、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成装置10の作動を制御する。
【0048】
また、コントローラ66には、多数の情報処理端末76が接続されるようになっており、情報処理端末76から出力される画像形成指示を受け付けると、画像形成指示に含まれる画像データに基づいた記録紙16への画像形成処理を行う。
【0049】
このときに、コントローラ66は、画像データからY、M、C、Kの各色のラスタデータを生成し、このラスタデータに基づいて露光ユニット22を制御することにより、画像データに応じた画像を記録紙16に形成する。
【0050】
コントローラ66は、Y、M、C、Kのラスタデータから、該当ラスタデータに基づいたトナー像を形成するときのトナー量の算出が可能となっている。コントローラ66は、このトナー量を積算することにより、図示しないトナーカートリッジ内のトナー残量を把握する。
【0051】
また、コントローラ66は、駆動モータ70、駆動モータ72(72Y、72M、72C、74Kの回転数から、転写ベルト24の移動量や、転写ベルト24上で設定されている基準位置の移動位置、感光ドラム18の回転角の把握が可能となっている。
【0052】
さらに、コントローラ66は、記録紙16の搬送速度と共に、感光ドラム18の回転速度及び、転写ベルト24の回転速度(線速度)を、例えば、2段階などの複数段階に切り替える。例えば、コントローラ66は、K色のみを用いた単色画像や低解像度のカラー画像を記録紙16に形成するときに高い速度に設定し、高解像度のカラー画像を記録紙に形成するときに低い速度に切替えて、搬送モータ68及び駆動モータ70、72(72Y、72M、72C、72K)を駆動する。
【0053】
一方、図3に示されるように、画像形成装置10には、筐体12が、フロントカバー76、トップカバー78及びサイドカバー80を含んで形成されている。画像形成装置10では、サイドカバー80を開くことにより、図示しないトナーカートリッジの交換が可能となっている。
【0054】
また、図1及び図4に示されるように、筐体12内には、フロントカバー76の下部にシャフト82が設けられており、画像形成装置10では、このシャフト82を軸にフロントカバー76を回動することにより、フロントカバー76が開かれる。
【0055】
図4に示されるように、画像形成装置10では、フロントカバー76が開かれると、記録紙16の用紙搬送路50が開放され、搬送不良が生じた記録紙16を取り出すことができる。また、画像形成装置10では、フロントカバー76を開くことにより定着器46が開放され、この定着器46の交換などのメンテナンスが行われる。
【0056】
図1及び図5に示されるように、筐体12には、上部にシャフト84が設けられており、このシャフト84を軸にトップカバー78を回動することにより、トップカバー78の開閉がなされる。なお、画像形成装置10では、例えば、フロントカバー76を開いた状態でトップカバー78が開閉されるが、図5では、単にトップカバートップ78を開いた状態のみを図示して説明する。
【0057】
図5に示されるように、画像形成装置10では、トップカバー78に転写ベルト24が取り付けられており、トップカバー78を開くことにより、現像ユニット14が開放される。これにより、画像形成装置10では、現像ユニット14に設けている感光ドラム18(感光ドラム18が設けられている感光体ユニット)の交換などのメンテナンスが成される。なお、フロントカバー76、トップカバー78及びサイドカバー80のそれぞれは、図示しないロック機構によって閉じられた状態で保持され、ロック機構を解除することにより開かれる。
【0058】
このように構成されている画像形成装置10では、情報処理端末76から画像データと共に画像形成指示を受け付けると、コントローラ66が、画像形成指示に含まれる画像データに対して所定の画像処理を行うと共に、Y、M、C、Kの各色のラスタデータを生成する。露光ユニット22では、このラスタデータに基づいて変調したレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各現像ユニット14の感光ドラム18へ走査しながら照射する。
【0059】
これにより、感光ドラム18のそれぞれが走査露光され、静電潜像が形成される。現像器20は、この感光ドラム18へトナーを供給してトナー現像を行うことにより、静電潜像に応じたトナー像を形成する。各感光ドラム18に形成されるトナー画像は、感光ドラム18の回転に同期されて回転移動する転写ベルト24へ重ねられて転写される。
【0060】
また、画像形成装置10では、転写ベルト24に転写されたトナー像の移動に同期されて、転写位置へ記録紙16が送り込み、トナー像を記録紙16に転写する。トナー像が転写された記録紙16は、用紙受50へ排出されるときに、定着器46を通過することにより、トナー像が定着される。
【0061】
トナー像が転写された転写ベルト24は、クリーナ60を通過するときに、ブレード62によって表面に付着しているトナーが除去されてクリーナ60に回収される。
【0062】
ところで、図2に示されるように、画像形成装置10には、開閉検出手段としてフロントカバー76の開閉を検出するドアセンサ86、トップカバー78の開閉を検出するドアセンサ88及びサイドカバー80の開閉を検出するドアセンサ90が設けられている。ドアセンサ86、88、90は、コントローラ66に接続されている。また、画像形成装置10には、シャフト84を軸にしたトップカバー78の回動角からトップカバー78を開いたときの開度θ(図5参照)を検出する開度センサ92が設けられ、この開度センサ92がコントローラ66に接続されている。
【0063】
このコントローラ66は、ドアセンサ86、88、90のオン/オフからフロントカバー76、トップカバー78、サイドカバー80の何れかが開かれているか否かの検出と共に、オン時間から開時間を検出する。また、コントローラ66は、ドアセンサ88がオンしたときの開度センサ92の出力からトップカバー78の開度θを検出する。なお、このトップカバー78の開度θは、トップカバー78を閉止しているときを0°とした回転角度としている。
【0064】
また、画像形成装置10には、設置環境の温度を検出する温度センサ94及び、設置環境の湿度を検出する湿度センサ96が設けられている。温度センサ94及び湿度センサ96は、コントローラ66に接続されており、コントローラ66は、温度センサ94、96によって画像形成装置10の設置環境を検出する。
【0065】
一方、画像形成装置10では、転写ベルト24に汚れが付着すると、記録紙16に形成した画像に白抜けなどの転写ムラが生じる。例えば、転写ベルト24の表面に皮脂などが付着すると、記録紙16に転写された画像の該当部位に、トナーが薄くなる所謂白抜けが生じる。
【0066】
図4に示されるように、画像形成装置10では、フロントカバー76を開いて、定着器46を取り外すと、転写ベルト24の一部、例えば、ドライブロール26の近傍(図4の領域A)が露出し、この部分に作業者の手が触れると、転写ベルト24に皮脂が付着する。
【0067】
また、図5に示されるように、画像形成装置10では、トップカバー78を開けると、ドライブロール26からテンションロール28を経てアイドルロール30の近傍に達する範囲で転写ベルト24が露出する。これにより、転写ベルト24には、皮脂などが付着しやすくなる。また、皮脂などが付着しやすい範囲は、トップカバー78の開度θが小さいときには、ドライブロール26からテンションロール28を経て現像ユニット14Kに対応する範囲(領域B)程度となるが、トップカバー78の開度θが大きくなるにつれて、皮脂などが付着しやすい範囲が広くなる(例えば、領域B)。
【0068】
画像形成装置10では、転写ベルト24に皮脂などの汚れが付着したと推定されるときに、転写ベルト24上の幅方向の全域に跨るトナー像(図7参照、以下、トナーバンド100とする)を転写し、このトナーバンド100を記録紙16に転写せずに、クリーナ60のブレード62によって除去するクリーニング処理を行うようにしている。なお、画像形成装置10では、このクリーニング処理を行うときに、転写ロール36が転写ベルト24から離間する構成を適用している。また、これに限らず、例えば、転写ベルト24から記録紙16への転写機構としてコロトロンを用いた非接触放電方式を適用したものであってもよく、また、転写ロール36に逆バイアスを印加することによりトナーの転写を抑えるようにしてもよい。
【0069】
コントローラ66では、感光ドラム18に、転写ベルト24の幅方向の全域に跨る予め設定された濃度のトナー画像が形成されるように、感光ドラム18に静電潜像を形成し、これにより得られるトナー画像(以下ベタ画像とする)をトナーバンド100として転写ベルト24に転写する。
【0070】
また、コントローラ66では、トナーバンド100を形成するときの転写ベルト24の移動速度を、複数段階の速度の中で早い速度に切替える。
【0071】
さらに、コントローラ66では、C、M、Y、Kの各色のトナーの残量、使用頻度に基づいて、何れの色のトナーを使用するかを選択する。
【0072】
一方、トナーバンド100を用いた転写ベルト24上の汚れの除去は、トナーバンド100の形成回数、トナーの濃度に応じて変化する。
【0073】
図6(A)及び図6(B)には、転写ベルト24の回転数に対する白抜けの変化の試験結果を示している。なお、図6(A)及び図6(B)では、白抜けが生じているか否かの判定を白抜けグレードとしている。この白抜けグレードは、グレード0は白抜けが発生していない状態であり、グレード5は完全な白抜けが発生している状態としている。また、白抜けグレードでは、グレード0からグレード5の間を、グレード1からグレード4までの4段階(都合、6段階)に分けている。
【0074】
グレード1は、記録紙16上の画像を注意深く凝視したときに、白抜けが見つけられる状態であり、グレード2は、一見しただけでは白抜けに気付かない状態、グレード3は、一見しただけで白抜けに気付く状態、グレード4は、濃度変化が大きく明確に白抜けが表れている状態としている。また、白抜けグレードは、グレード2以下(グレード0、グレード1及びグレード2)が、記録紙16に形成した画像の品質が損ねられていないと許容できる範囲としている。
【0075】
図6(A)には、最大濃度を100%(トナーによって形成されるドットの面積率)として、トナーバンド100(図7参照)におけるトナー濃度を、濃度10%、濃度30%、濃度50%の3段階で試験を行ったときの結果を示している。また、このときには、転写ベルト24が2回転するごとにトナーバンド100を形成している。
【0076】
図7(A)から(C)には、転写ベルト24を展開した状態を示している。なお、図7(A)はトナーバンド100を転写ベルト24の1周毎に形成するものとし、図7(B)、図7(C)はそれぞれ、トナーバンド100を2周毎、3周毎に形成するものとしている。
【0077】
図7(A)から図7(C)では、例えば、ドライブロール26の近傍で汚れが付着している領域を領域102とする。画像形成装置10では、この領域102に重ねてトナーバンド100を形成する。このとき、最初の1回転目では、領域102が既に現像ユニット14に対向する位置を過ぎている。このために、転写ベルト24の1回転目では、トナーバンド100が形成されず、転写ベルト24の2回転目で1回目のトナーバンド100の形成が行われる。
【0078】
図7(A)に示されるように、1周毎にトナーバンド100を形成する場合には、転写ベルト24の2回転目以降は、毎回、トナーバンド100が形成される。
【0079】
また、図7(B)に示されるように、2周毎にトナーバンド100を形成する場合、3回転目ではトナーバンド100を形成せずに、クリーナ60による転写ベルト24上のクリーニングのみが行われるようにし、4回転目に2回目のトナーバンド100の形成を行う。
【0080】
さらに、図7(C)に示されるように、3周毎にトナーバンド100を形成する場合、2回転目の次は、転写ベルト24の5回転目にトナーバンド100を形成する。
【0081】
図6(A)に示されるように、2周毎にトナーバンド100を形成するようにしていると、トナーバンド100のトナー濃度が濃度10%と低いときには、25回転目で白抜けグレードがグレード2に達するが、40回転目を過ぎても、白抜けグレードがグレード0に達することはなかった。
【0082】
これに対して、トナー濃度を濃度30%とすると、15回転目で白抜けグレードがグレード2に達し、40回転目では、白抜けグレードがグレード0に達する。
【0083】
さらに、トナー濃度を濃度50%と高くすると、10回転目で、グレード5からグレード2に低下し、15回転目で、グレード1、25回転目で、グレード0まで低下する。
【0084】
したがって、白抜けが回復するまでの時間を考えると、トナーバンドを形成するときのトナー濃度を高くし、さらに、トナーバンド100を形成する回数を増やすことが好ましい。
【0085】
また、グレード2を目標としたときにトナー濃度を濃度50%とすると10回転目でグレード2に達し、トナー濃度を濃度10%とすると、25回転目でグレード2に達するが、グレード2に達するまでのトナー消費量は、濃度50%のときの1/5で済む。
【0086】
一方、図6(B)には、トナーバンド100を形成する間隔を、1周毎、2周毎、3周毎の3段階に分けて、それぞれにおける白抜けの回復具合を示している。なお、図6(B)では、トナーバンド100のトナー濃度を濃度30%としている。
【0087】
ここで、3周毎にトナーバンド100を形成した場合、白抜けグレードがグレード2に達するのが20回転目、グレード1に達するのが30回転目であったが、40回転目となっても、グレード0まで改善されることがなかった。
【0088】
これに対して、1周毎にトナーバンド100を形成するようにした場合、すなわち、転写ベルト24が1回転するごとにトナーバンド100の形成を行うと、8回転目でグレード5からグレード2まで低下し、10回転目でグレード1まで低下する。さらに、20回転目となると、白抜けグレードがグレード0に達する。
【0089】
白抜けグレードがグレード2以下となることを目標とすると、トナーバンド100を1周毎(毎周)に作成すれば、8回転目で達し、2周毎では15回転目、3周毎では20回転目で達する。このときには、何れもトナーバンド100は7回ずつ形成されていることになる。
【0090】
ここから、画像形成装置10では、2周毎にトナーバンド100の形成するのを基準として、回復時間の短縮や確実な白抜けの除去を計るときには、1周毎に変更されるようにすることが好ましい。また、トナー消費を抑制するときには、3周毎にトナーバンド100を形成するように変更すればよい。
【0091】
一方、転写ベルト24への皮脂の付着は、環境温度、環境湿度に影響を受ける。すなわち、低温、低湿度の環境下では、皮脂が転写ベルト24に付着し難いが、温度ないし湿度が高い高温、高湿環境では、転写ベルト24に僅かに手が触れただけで皮脂が付着してしまう。
【0092】
ここから、画像形成装置10では、温度、湿度に応じて環境区分を分けている。図8(A)には、この一例を示している。この環境区分では、環境区分1から環境区分5までの5段階に設定し、温度が低いほど環境区分が下がり、湿度が低いほど環境区分が下がるように設定している。
【0093】
また、画像形成装置10では、トナーバンドを形成するときのトナー濃度を環境区分に応じて変更するようにしている。図8(B)には、この一例を示している。この環境区分に対するトナー濃度は、環境区分1が濃度10%、環境区分2及び環境区分3が濃度30%、環境区分4及び環境区分5が濃度50%に設定されている。なお、環境区分2と環境区分3及び環境区分4と環境区分5の間では、転写ベルト24の回転数を変えるなどの差を設けるようにしてもよい。
【0094】
画像形成装置10では、環境温度、湿度に対する環境区分及び、環境区分毎のトナー濃度が、コントローラ66に設けている図示しない不揮発性のメモリに記憶されている。コントローラ66は、温度センサ94及び湿度センサ96によって検出される環境条件からトナー濃度を設定する。
【0095】
また、サイドカバー80が開かれたときには、転写ベルト24に皮脂などの汚れは付着しにくいが、フロントカバー76が開かれたときには、定着器46を外したときに転写ベルト24に汚れが付着してしまうことがある。
【0096】
ここから、画像形成装置10では、サイドカバー80が開かれたときには、転写ベルト24のクリーニング(トナーバンド100の形成)を行わないように設定されても良い。
【0097】
また、画像形成装置10では、フロントカバー76が開かれると、開時間Tを計測し、開時間Tが予め設定されている時間Tsを越えたときに、トナーバンド100の形成(クリーニング)を行うように設定されるものであっても良い。
【0098】
さらに、トップカバー78が開かれたときには、開度θによって汚れの付着する領域(領域102)が変化する。ここから、画像形成装置10では、トップカバー78が開かれると、開度センサ92によってトップカバー78の開度θを検出し、検出した開度θに応じてトナーバンド100を形成する領域(転写ベルト24の周方向に沿った範囲、トナーバンド100のバンド幅)を設定するものであっても良い。なお、このような設定は、操作パネル74上に任意のUIを表示して行うものであればよい。
〔実施例1〕
図9を参照しながら実施例1を説明する。なお、実施例1では、フロントカバー76及びトップカバー78が開かれたときに、クリーニング処理を行うように設定されているものとして説明する。また、トナーバンド100の形成は、転写ベルト24の2周毎に実行し、さらに、実施例1では、フロントカバー76が開かれたときにトナーバンド100を形成する位置及び転写ベルト24の回転数、トップカバー78が開かれたときにトナーバンド100を形成する位置及び転写ベルト24の回転数が予め設定されているものとする。
【0099】
図9には、実施例1において、コントローラ66で実行される転写ベルト24のクリーニング処理(トナーバンド形成処理)の概略を示している。このフローチャートは、画像形成装置10が稼動(電源スイッチのオン)されることにより所定の時間間隔で実行され、最初のステップ200では、クリーニング処理を実行するように設定されているか否かを確認する。
【0100】
ここで、画像形成装置10の操作パネル74上で予めクリーニング処理を行わないように設定されているときには、このステップ200で否定判定されるが、クリーニング処理を行うように設定されているときには、ステップ200で肯定判定してステップ202へ移行する。
【0101】
このステップ202では、ドアセンサ86、88の出力からフロントカバー76又はトップカバー78の何れかが開かれたか否かを確認する。ここで、フロントカバー76又はトップカバー78が開かれると、ステップ202で肯定判定してステップ204へ移行する。
【0102】
このステップ204では、環境条件として温度センサ94によって検出される温度(環境温度)と、湿度センサ96によって検出される湿度(環境湿度)を読み込み、次のステップ206では、読み込んだ環境条件から環境区分を設定し(図8(A)参照)、この環境区分に基づいてトナーバンド100を形成するときのトナー濃度を設定する(図8(B)参照)。なお、環境条件の検出及び検出した環境条件に基づいたトナー濃度の設定は、予め実行されているものであってもよい。
【0103】
この後、ステップ208では、開かれたのがトップカバー78であるか否かを確認する。フロントカバー76が開かれた後にトップカバー78が開かれるときには、トップカバー78が開かれていると判定する。
【0104】
ここで、トップカバー78が開かれているときには、ステップ208で肯定判定してステップ210へ移行する。このステップ210では、トップカバー78が開かれたときに適用する領域を、トナーバンド100を形成する領域に設定し、また、トップカバー78が開かれたときに適用する転写ベルト24の回転数を設定する。
【0105】
これにより、例えば、ドライブローラ26の周囲からテンションローラ28を経て、アイドルローラ30に達する領域(例えば、図5に示される領域B)がトナーバンド100を形成する領域に設定され、転写ベルト24の回転数が20回転に設定される。
【0106】
また、フロントカバー76が開かれているときには、ステップ208で否定判定してステップ212へ移行する。このステップ212では、フロントカバー76が開かれたときに適用する領域を、トナーバンド100を形成する領域に設定し、また、フロントカバー76が開かれたときに適用する転写ベルト24の回転数を設定する。
【0107】
これにより、例えば、ドライブローラ26の周囲からテンションローラ28に達する領域(例えば、図4に示される領域A)を、トナーバンド100を形成する領域に設定され、転写ベルト24の回転数が10回転に設定される。
【0108】
トナーバンド100を形成する領域、転写ベルト24の回転数及びトナー濃度が設定されると、ステップ214では、カバーが閉じられたか否かを確認する。
【0109】
ここで、フロントカバー76又はトップカバー78(又はフロントカバー76とトップカバー78)が閉じられると、ステップ214で肯定判定されてステップ216へ移行する。
【0110】
このステップ216では、設定されたトナー濃度及び領域にトナーバンド100を形成しながら、転写ベルト24を設定回転数まで回転して、クリーニング処理を行う。
【0111】
すなわち、コントローラ66は、現像ユニット14Y、14M、14C、14Kの何れかの感光ドラム18に、転写ベルト24上でトナーバンド100を形成する領域に合わせて、設定されたトナー濃度のベタ画像(網点画像)を形成するように画像データ(ラスタデータ)を生成し、生成した画像データに基づいて感光ドラム18を走査露光する。
【0112】
この走査露光によって感光ドラム18に静電潜像が形成され、この静電潜像に応じたトナー像がトナーバンド100として転写ベルト24に転写される。このときに、コントローラ66は、予め設定されている複数段階の移動速度の中で、最も早い速度で転写ベルト24が移動されるように速度の切替えを行う。
【0113】
転写ベルト24に転写されたトナーバンド100は、クリーナ60に達すると、転写ベルト24上から除去され、このトナーバンド100の除去によって転写ベルト24に付着している皮脂などの汚れが除去される。
【0114】
なお、フロントカバー76、トップカバー78を開いている時間が予め設定している時間よりも短いときには、トナーバンド100の形成処理を省略しても良い。また、フロントカバー76、トップカバー78を開いている時間が長くなったと判断されるときには、例えば、トナーバンド100を形成するときの転写ベルト24の回転数を増加したり、トナー濃度を高くするなどの補正を行っても良い。
【0115】
また、ここでは、クリーニング処理を実行するか否かを、予め設定するようにしているが、フロントカバー76、トップカバー78を開く前や、閉じた直後に、操作パネル74の操作スイッチを操作して、クリーニング処理のキャンセルを行うようにしても良い。
〔実施例2〕
次に実施例2を説明する。実施例2では、トナーバンド100に用いるトナーの色を設定する。
【0116】
図10には、トナー設定の一例を示している。このフローチャートでは、画像形成装置10の稼動中に所定の時間間隔で実行され、最初のステップ220で、Y、M、C、Kの各色のトナー残量を算出する。画像形成装置10に設けられているコントローラ66は、例えば、Y、M、C、Kの各色のトナーによって形成する画像から、トナーの消費量を積算し、積算した消費量から各色の図示しないトナーカートリッジ内のトナー残量をすることができる。
【0117】
次のステップ222では、Y、M、C、Kの各色のトナー残量から、最も残量の多い色を選択し、次のステップ224では、選択した色のトナーを、トナーバンド100を形成するトナーに設定する。例えば、Y色のトナーの残量が、M、C、Kの各色のトナー残量よりも多ければ、Y色のトナーを、トナーバンド100を形成するトナーに設定する。
【0118】
なお、ここでは、トナー残量からトナーバンド100を形成するトナーに設定するようにしたが、これに限らず、例えば、トナー残量ではなく、トナー消費量から、消費量の最も少ない色のトナーを、トナーバンド100の形成に用いてもよく、また、Y、M、C、Kの各色のトナーに対して、最後に使用してからの経過時間を計測し、計測した経過時間の最も長い色のトナーを、トナーバンド100を形成するトナーに設定しても良い。
【0119】
さらに、トナーバンド100を形成するトナーは、例えば、Y、M、C、Kの順などの予め設定した順序で切替えるようにしてもよい。
【0120】
また、1回のクリーニング処理を同じ色のトナーではなく、トナーバンド100を形成するごとに切替えるようにしても良い。すなわち、転写ベルト24に1回目のトナーバンドを形成するときにY色のトナーを使用し、2回目のトナーバンド100はM色、3回目のトナーバンド100はC色、4回目のトナーバンド100はK色とするなど、1回又は複数回毎に色(トナーバンドを形成するトナー)を変えるようにしてもよい。
〔実施例3〕
次に実施例3を説明する。この実施例3では、トップカバー78が開けられたときには、その開度によってトナーバンド100を形成する領域を設定する。また、フロントカバー76が開けられたときには、開かれている時間から、トナーバンド100を形成するか否かを設定する。
【0121】
図11には、このときの処理の一例を示している。このフローチャートでは、ステップ200でトナーバンド100の形成が設定されているとステップ202へ移行し、フロントカバー76又はトップカバー78が開かれたか否かを確認する。
【0122】
フロントカバー76又はトップカバー78が開かれると、ステップ202で肯定判定してステップ204へ移行し、環境条件を検出した後に、検出した環境条件に基づいてトナー濃度を設定する(ステップ206)。これと共に、ステップ208では、トップカバー78が開かれているか否かを確認する。
【0123】
ここで、トップカバー78が開かれているとステップ208で肯定判定してステップ230へ移行する。このステップ230では、開度センサ92によってトップカバー78の開度θを検出する。
【0124】
次のステップ232では、検出した開度θから転写ベルト24上でのトナーバンド100を形成する領域を設定する。このときに、開度θが大きくなるにしたがって、トナーバンド100の幅(転写ベルト24の周方向に沿った長さ)が広がるように設定する。
【0125】
例えば、開度θが予め設定されている設定値θsよりも大きいとき(θ≧θs)には、ドライブロール26からアイドルロール30に至るまでの範囲(図5の領域B)でトナーバンド100を形成するように設定する。また、開度θが設定値θsよりも小さいとき(θ<θs)には、ドライブロール26の周囲からテンションロール28を過ぎた領域(図5の領域B)にトナーバンド100を形成するように設定する。
【0126】
また、ステップ234では、トナーバンド100を形成するときの転写ベルト24の回転数を設定し、この後、ステップ236では、トップカバー78が閉じられたか否かを確認する。
【0127】
このときに、トップカバー78が閉じられてステップ236で肯定判定されると、ステップ216へ移行し、トナーバンド100の形成処理を実行する。
【0128】
これに対して、トップカバー78ではなく、フロントカバー76が開かれていると、ステップ208で否定判定してステップ238へ移行する。このステップ238では、タイマーをリセット/スタートしてフロントカバー76の開放時間(開時間T)の計測を開始する。次のステップ240では、フロントカバー76が閉じられたか否かを確認し、ステップ242では、開時間Tが設定時間Tsに達したか否かを確認する。
【0129】
ここで、開時間Tが設定時間Tsに達する前に、フロントカバー76が閉じられると、ステップ240で肯定判定して、この処理を終了する。すなわち、トナーバンド100の形成を省略する。
【0130】
一方、開時間Tが設定時間Tsに達したときには、定着器46の交換などが行われて、転写ベルト24が露出した可能性があるとして、ステップ242で肯定判定してステップ212へ移行する。
【0131】
このステップ212では、フロントカバー76を開いたときに対して設定されている領域(図4の領域A)及び転写ベルト24の回転数でトナーバンド100を形成するように設定する。
【0132】
この後、ステップ244では、フロントカバー76が閉じられたか否かを確認し、フロントカバー76が閉じられてステップ244で肯定判定されると、ステップ216へ移行し、トナーバンド100の形成処理を実行する。
【0133】
このように、画像形成装置10では、フロントカバー78、トップカバー78に対して、それぞれを開いたときに転写ベルト24が露出する領域を覆うようにトナーバンド100を形成する領域を設定している。
【0134】
また、画像形成装置10では、トップカバー78を開いたときに、その開度θに応じてトナーバンド100を形成する領域を切替える。
【0135】
これにより、画像形成装置10では、転写ベルト24上の的確な位置にトナーバンド100を形成することができるので、不必要な領域にトナーバンドを形成してしまうのを抑制し、トナーバンド100を形成する領域を設定しない場合に比べて、トナーの消費量を抑えることができる。
【0136】
また、画像形成装置10では、トナーバンド100を形成するときに、転写ベルト24の移動速度として、複数段階に設定されている速度の中から最も早い速度に切替えるため、迅速なクリーニング処理を行うことができる。
【0137】
さらに、画像形成装置10では、周囲の温度である環境温度ないし周囲の湿度である環境湿度を検出し、この検出結果に基づいてトナーバンド100のトナー濃度の設定を切替えるので、不必要にトナーを消費してしまうことなく、効率的に皮脂などの汚れを除去することができる。
【0138】
なお、環境温度及び環境湿度からトナー濃度を設定するのではなく、環境温度又は環境湿度の一方を用いてトナー濃度を切替えてもよく、また、トナー濃度ではなく、トナーバンド100を形成する回数を切替えたり、転写ベルト24の回転に対してトナーバンド100を形成する間隔を切替えるようにしてもよく、さらに、これらのうちの複数の条件を切替えるようにしても良い。
【0139】
一方、画像形成装置10では、トナーの消費量、トナー残量、トナーの使用頻度に基づいて、トナーバンド100を形成するトナーを選択するので、何れかのトナーの残量が他のトナーより少なくなってしまうのを防止することができる。また、最後に使用した時間からの経過時間が長いトナーを、トナーバンド100の形成に使用することにより、トナーカートリッジ内のトナーの劣化を抑えることができる。
【0140】
また、使用するトナーを、トナーバンド100を形成する毎や、クリーニング処理毎に順に切替えることにより、特定のトナーに残量不足を生じさせてしまうことがない。
【0141】
なお、画像形成装置10としては、情報処理端末76から送信される画像形成指示に基づいた画像形成処理であるプリンタ機能ではなく、原稿し記録された画像を形成する複写機能、電話回線などの通信回線を介して受付けたデータに基づいた画像を形成するファクシミリ機能を備えたものであってもよく、また、これらの機能の複数を合わせ持ったものであってもよい。
【0142】
また、以上説明した本実施の形態では、像保持体として転写ベルト24が設けられた画像形成装置10を例に説明したが、像保持体としては、ベルトに限らずロール(中間転写ロール)であっても良い。すなわち、感光体に形成した画像を、感光体と画像形成媒体との間に介在される像保持体としては、画像形成媒体に形成する画像を保持する、転写ベルト、転写ロール、転写ドラムなどを適用でき、画像形成装置は、これらの何れかを備えた構成であればよい。
【符号の説明】
【0143】
10 画像形成装置
12 筐体
14(14Y、14M、14C、14K) 現像ユニット
16 記録紙
18 感光ドラム
22 露光ユニット
24 転写ベルト
60 クリーナ
62 ブレード
64 制御部
66 コントローラ
76 フロントカバー
78 トップカバー
86、88 ドアセンサ
92 開度センサ
94 温度センサ
96 湿度センサ
100 トナーバンド
102 領域
A、B、B 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成材料によって画像が形成される感光体と、
前記感光体と共に筐体内に収容されて、感光体に形成された前記画像を保持して回転し、保持した画像を画像形成媒体に転写する像保持体と、
前記像保持体上に保持されて前記画像形成媒体に転写されずに残った前記画像形成材料を除去する除去手段と、
前記筐体に設けられて開かれることにより前記像保持体の対応する領域が露出されるカバーと、
前記カバーが開かれたときに露出される領域を含む前記像保持体上の予め設定された清掃領域を覆う清掃画像を、前記画像形成材料により形成して保持させ、該当清掃画像を形成している画像形成材料を前記除去手段によって像保持体から除去することにより清掃処理する清掃制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記カバーが開かれたときの前記像保持体の露出状態を検出する検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記清掃画像の濃度、前記清掃画像の形成回数、前記像保持体の回転動作に対する前記清掃画像の形成間隔又は前記清掃領域の少なくとも一つを切換える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段として、前記カバーの開閉を検出する開閉検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記開閉検出手段の検出結果に基づいて計測される前記カバーの開時間から前記清掃画像の濃度を切替える、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段として、複数の前記カバーのそれぞれに、該当カバーの開閉を検出する開閉検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記開閉検出手段によって検出される前記カバーに応じて前記清掃領域を切替える、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検出手段として、前記カバーの開度を検出する開度検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記開度検出手段の検出結果から前記清掃領域を切替える、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段として装置の設置環境の環境条件を検出する環境検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記環境検出手段によって検出される前記環境条件に基づいて前記清掃画像の濃度を切替える、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記環境条件として環境温度を検出する温度検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記環境温度が高いほど前記画像濃度が高くなるように設定する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記環境条件として環境湿度を検出する湿度検出手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記環境湿度が高いほど前記画像濃度が高くなるように設定する、
請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像を形成するプロセスカラーの各色の前記画像形成材料から前記清掃画像を形成する画像形成材料を選択して設定する設定手段を含み、
前記清掃制御手段が、前記設定手段によって設定された色の画像形成材料を用いて前記清掃処理を行う、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成の残量を検出する残量検出手段を含み、前記設定手段が、前記残量の多い色の画像形成材料を選択する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成に用いた前記画像形成材料の使用量を累積し、前記設定手段が、前記使用量の少ない色の画像形成材料を選択する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記設定手段が前記プロセスカラーの各色の画像形成材料を、前記清掃画像を形成するごとに予め設定された順序で順に選択する、
請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−224375(P2010−224375A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73679(P2009−73679)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】