画像形成装置
【課題】帯電電位が大きく変化し得る画像形成装置でも、細線の線幅が変化する画質変化が起きるのを抑制することである。
【解決手段】本プリンタでは、所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンを感光体表面に形成して、トナーパターンのトナー付着量を画像検出装置により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルを得るべく、帯電バイアス、基準露光量及び現像バイアスを調整するプロセス制御を行う。このプロセス制御では、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように、帯電バイアス等を調整する。
【解決手段】本プリンタでは、所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンを感光体表面に形成して、トナーパターンのトナー付着量を画像検出装置により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルを得るべく、帯電バイアス、基準露光量及び現像バイアスを調整するプロセス制御を行う。このプロセス制御では、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように、帯電バイアス等を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に係り、詳しくは、露光手段が画像形成時に用いる基準露光量を調整する機能を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プロセス制御において、所定のトナーパターン形成条件の下、通常の画像形成時と同様の動作で感光体上にトナーパターンを形成し、このトナーパターンに対するトナー付着量をセンサで検知し、そのセンサ検知結果に基づいて、帯電バイアス、現像バイアス、基準露光量など(以下、「帯電バイアス等」という。)を現状に沿うように調整する画像形成装置が広く知られている(特許文献1等)。この種の画像形成装置では、上記センサ検知結果から現像ポテンシャルを求め、求めた現像ポテンシャルに対応する好適な帯電バイアス等を特定し、帯電バイアス等を調整する。これにより、環境変動や経時変化が生じて現像γ(ガンマ)等が変動しても、画像濃度を一定に維持することが可能となる。
【0003】
プロセス制御を行う従来の画像形成装置は、一般に、地肌ポテンシャルを固定値とし、目標の現像ポテンシャルが得られるように帯電バイアス等を調整する。このように地肌ポテンシャルを固定値とすることができたのは、従来の画像形成装置で使用する一般的な感光体が、露光手段による最大露光量で露光してもそれ以上低下させることができずに残留してしまう感光体表面の電位(残留露光部電位)があまり変化しないものであったことが理由の1つである。このような感光体であれば、予め好適な地肌ポテンシャルに設定しておくことで、その後に地肌ポテンシャルを調整しなくても、上述したハーフトーン部の端部カスレや地汚れなどの画質劣化があまり生じないのである。
【0004】
また、特許文献2には、ハーフトーンのトナーパターンを形成してこれを画像撮像装置で撮像し、その撮像結果からハーフトーン部の端部カスレや地汚れを検知し、その検知結果に応じて地肌ポテンシャルを調整する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、地肌ポテンシャルが高すぎることによって生じるハーフトーン部の端部カスレや、地肌ポテンシャルが低すぎることによって生じる地汚れの発生を、画像撮像手段を用いて直接的に把握するので、ハーフトーン部の端部カスレや地汚れが発生しない最適な地肌ポテンシャルを安定して設定することができる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−14729号公報
【特許文献2】特開2005−308833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、本発明者は、地肌ポテンシャルが高すぎることによって生じる不具合(ハーフトーン部の端部カスレ等)や、地肌ポテンシャルが低すぎることによって生じる不具合(地汚れ等)が発生しない好適な地肌ポテンシャルが設定されている場合であっても、次のような不具合が生じることを確認した。
すなわち、詳しくは後述するが、図8(a)及び図9(a)からわかるように、所望のトナー付着量が得られるように現像ポテンシャルが調整されていて、かつ、地肌ポテンシャルも上述した不具合が生じない好適な範囲内(例えば200[V])に設定されている場合でも、帯電電位Vdが異なると、細線の線幅が異なってしまうという画質変化が起きる不具合を確認した。
【0007】
従来の画像形成装置で使用される一般的な感光体は、上述したように残留露光部電位があまり変化しないため、現像ポテンシャルを調整するにあたって帯電電位Vdを大きく変化させる必要はほとんどない。しかし、近年、感光体の表面層にフィラー等を含有させることにより感光体表面硬度を高めて摩耗に対する耐性を向上させた感光体(高硬度感光体)が提案されているが、このような高硬度感光体の中には、残留露光部電位が経時的に徐々に高まる特性をもったものも存在する。高硬度感光体に限らないが、残留露光部電位が経時的に徐々に高まるような感光体では、経時的に同じトナー付着量(一定の画像濃度)を確保するために、適切な現像ポテンシャルを確保すべく現像バイアスを経時的に徐々に高める必要が生じる。この場合、現像バイアスの上昇に伴い、好適な地肌ポテンシャルを維持すべく、帯電電位Vdが経時的に徐々に高まるように調整される。そのため、残留露光部電位が経時的に徐々に高まるような感光体を用いる場合には、帯電電位Vdが経時的に徐々に高まる結果、一定の画像濃度を確保しようとすると、経時的に細線の線幅が太くなるという画質劣化が生じ得る。
【0008】
なお、細線の線幅が変化する画質変化が起きる不具合は、上記の例に限らず、現像ポテンシャルを調整する際に帯電電位を大きく変化させるような画像形成装置であれば、同様に生じ得るものである。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像ポテンシャルを調整する際に帯電電位を大きく変化させるような画像形成装置でも、細線の線幅が変化する画質変化が起きるのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、感光体と、該感光体の表面が目標帯電電位となるような帯電バイアスで該感光体の表面を一様に帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電した感光体の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、感光体の表面に形成された静電潜像に対して現像バイアスが印加された現像剤担持体上のトナーを付着させて該感光体の表面にトナー像を形成する現像手段とを備え、感光体の表面に形成されたトナー像を最終的に記録材上へ転移させることにより該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、トナー付着量を検知するトナー付着量検知手段と、所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンを上記感光体の表面に形成して、該トナーパターンのトナー付着量を該トナー付着量検知手段により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である現像ポテンシャルを得るべく、帯電バイアスと露光量及び現像バイアスの少なくとも一方とを調整するプロセス制御を行う制御手段を有し、上記制御手段は、現像ポテンシャルに対する非静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように、上記プロセス制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルが予め決められた規定範囲内である場合には、該現像ポテンシャルに対する該地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該地肌ポテンシャルが該規定範囲内から外れる場合には、地肌ポテンシャルを該規定範囲内の値に決定し、かつ、該現像ポテンシャルに対する決定後の地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記制御手段は、上記プロセス制御において、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内から外れる場合、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、上記比率が上記目標比率となるように基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内である場合には、上記比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内でない場合には、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、調整後の帯電バイアスと該目標帯電バイアスとの差を地肌ポテンシャルから差し引いた後の差引後地肌ポテンシャルと該現像ポテンシャルとに応じて基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するように上記プロセス制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記比率は、0.4以上0.8以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記比率は、0.4以上0.45以下であることを特徴とするものである。
【0011】
所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような最適な現像ポテンシャル(目標の現像ポテンシャル)は環境変動や経時変化により変化する。プロセス制御では、このように変化する目標の現像ポテンシャルに応じて帯電バイアス等を適宜調整することになる。この場合、帯電バイアス等を調整することにより帯電電位が変化し、上述したように細線の線幅が変化するという画質変化が生じ得る。
本発明者は、詳しくは後述するが、図8(b)及び図9(b)に示すように、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が一定であれば、帯電電位Vdが異なっていても細線の線幅が変化しないことを見いだした。
そこで、本発明では、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように帯電バイアス等を調整するプロセス制御を行うこととしている。これにより、環境変動や経時変化に応じて目標の現像ポテンシャルが変化しても、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率を目標比率に維持できるので、細線の線幅が変化するという画質変化を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、現像ポテンシャルを調整する際に帯電電位を大きく変化させるような画像形成装置でも、細線の線幅が変化する画質変化が起きるのを抑制することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部の概略構成を示した説明図である。
本プリンタは、図1に示すように、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト101に沿って画像形成部102Y(イエロー),102M(マゼンタ),102C(シアン),102K(黒)が設けられている。また、各画像形成部102Y,102M,102C,102Kにより形成されたトナー像は、一次転写装置106Y,106M,106C,106Kにより中間転写ベルト101上へ転写される。また、後述する中間転写ベルト上に転写されたトナー像のトナー付着量を検出するトナー付着量検知手段としての画像検出装置110が中間転写ベルト101に対向して設けられている。中間転写ベルト101上のトナー像は二次転写装置111により記録材としての転写紙112へ転写される。
【0014】
図2は、画像形成部102Y,102M,102C,102Kの概略構成を示した説明図である。なお、各画像形成部102Y,102M,102C,102Kの構成は同様のものであるので、以下互いに区別することなく説明する。
感光体202の周りには、感光体表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置201、書き込み光Lにより感光体表面に静電潜像を書き込む露光手段としての書込装置203、静電潜像をトナーによって現像する現像手段としての現像装置205、感光体上の転写残トナーなどをクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーナ206、及び、感光体表面を除電する除電手段としてのイレーズ(除電装置)207、電位検知手段としての電位センサ210が設けられている。
【0015】
本実施形態の感光体は、感光体表面層にフィラーを含有させた高硬度感光体である。この感光体は、感光体表面層にフィラーを含有しない一般的な感光体と同様に、図14(a)及び(b)に例示したような感光特性、すなわち、露光量の変化に対する露光部電位の変化割合が露光量の増大につれて徐々に小さくなる感光特性をもっている。また、本実施形態の感光体は、図15に例示したように、残留露光部電位Vrが経時的に徐々に高まる特性をもっている。したがって、本実施形態の感光体は、画像形成時に使用する露光パワーの範囲内における露光パワーと露光部電位VLとの対応関係が経時的に大きく変化するものである。
【0016】
本実施形態の帯電装置201は、スコロトロンチャージャからなる非接触式帯電器であり、スコロトロンチャージャのグリッド電圧(帯電バイアス)Vgを目標帯電電位(本実施形態ではマイナス電位)に設定することで、感光体表面の電位をその目標帯電電位にするものである。なお、帯電装置201は、これに限らず、他の非接触式帯電器や、接触式帯電器を用いることもできる。
【0017】
本実施形態の書込装置203は、光源としてレーザーダイオード(LD)を用い、断続的な書き込み光すなわち繰り返しパルス状の書き込み光Lを照射することで、感光体表面上に1ドットごとの静電潜像(1ドット静電潜像)を形成する。本実施形態では、1ドット静電潜像を形成する際の露光時間(単位露光時間)を変更することで、1ドット静電潜像に付着するトナー付着量を制御して階調制御を行うことが可能となっている。本実施形態では、最大単位露光時間を15分割(それぞれの単位露光時間を以下「露光デューティ」という。)して、16階調の階調制御が可能となっている。したがって、本実施形態では、露光デューティを、0(露光しない)〜15(最大単位露光時間)の16段階で調整可能となっている。
【0018】
本実施形態の現像装置205は、感光体表面に対向配置される現像剤担持体としての現像ローラを備えており、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を現像ローラ上に担持させて、感光体表面にトナーを供給する。現像ローラには、絶対値が露光部電位VLよりも十分に大きくかつ帯電電位Vdよりも十分に小さい現像バイアスVbを印加されている。これにより、感光体表面と現像ローラとが対向する現像領域において、感光体表面上の静電潜像(露光部)に向けてトナーを移動させ、かつ、感光体表面上の非静電潜像(非露光部)にはトナーが移動しないような電界を形成でき、静電潜像をトナーで現像することができる。
【0019】
画像形成を行うときには、まず、感光体202の表面が一様に目標帯電電位(マイナス電位)となるように、帯電装置201により感光体表面を帯電する。次に、帯電された感光体表面部分に対し、画像データに応じた書き込み光Lを書込装置203の光源(LD)から感光体202Yへ露光し、これにより感光体表面の露光部分の電位(絶対値)が下がることにより、感光体表面に静電潜像が形成される。この後、感光体202上に形成された静電潜像(本実施形態では露光部)は、現像装置205の現像剤担持体である現像ローラ上に担持されたトナーによってトナー像に現像される。具体的には、現像ローラに対し、絶対値が露光部電位VLよりも大きくかつ帯電電位Vdよりも小さい現像バイアスVbを印加して、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーを静電的に静電潜像に付着させることにより現像する。
【0020】
感光体202上に形成されたトナー像は、一次転写装置106により中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101に転写されずに感光体202上に残った転写残トナーは感光体クリーナ206で回収される。また、中間転写ベルト101上にトナー像を転写した後の感光体表面は、イレーズ207により一様に除電光が照射されることにより、非静電潜像部分が除電されて、一様に除電された状態になる。
【0021】
このようにして各画像形成部102Y,102M,102C,102Kで形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト101上に互いに重なり合うように一次転写される。その後、中間転写ベルト101上に転写された各色トナー像を二次転写装置111により中間転写ベルト101から転写紙112へ転写し、図示しない定着装置によってトナー像が転写紙112に定着され一連の印刷プロセスを終了する。
【0022】
次に、出力画像の安定化を図るために、規定の1ドット静電潜像に対するトナー付着量を安定させるためのプロセス制御にについて説明する。
また、ここでは、説明を簡略化するため、帯電バイアスVg、現像バイアスVb及び露光パワー(以下「LDパワー」という。)を調整する制御を中心に説明する。
なお、本実施形態では、このプロセス制御中に、書込装置203が画像形成時に用いる基準露光量を調整する露光量調整制御が含まれるが、露光量調整制御をプロセス制御とは別に行ってもよい。
【0023】
図3は、本実施形態におけるプロセス制御に関わる制御系を示すブロック図である。
本実施形態のプロセス制御では、まず、中間転写ベルト101に所定の条件によって通常の画像形成動作によりトナーパターン(トナー像)である濃度パッチ113を形成し、この濃度パッチ113のトナー付着量を光学式反射濃度センサである後述する光学センサ301,302で構成される画像検出装置110で検出する。制御部41は、画像検出装置110の検出結果に基づき、帯電装置201のグリッド電圧(帯電バイアス)Vg、現像装置205の現像バイアスVb及び書込装置203のLDパワーを調整する。
【0024】
図4(a)は、黒用の画像検出装置110を構成する光学センサ301の概略構成を示す説明図であり、図4(b)は、他色(カラー)用の画像検出装置110を構成する光学センサ302の概略構成を示す説明図である。
光学センサ301は、発光素子303と、濃度パッチ113や中間転写ベルト101の表面からの正反射光を受光する正反射光受光素子304とから構成されている。一方、光学センサ302は、発光素子303、濃度パッチ113や中間転写ベルト101の表面からの正反射光を受光する正反射光受光素子304のほか、さらに、濃度パッチ113や中間転写ベルト101の表面からの拡散反射光を受光する拡散反射光受光素子305から構成されている。光学センサ301及び光学センサ302は、図5に示すように、中間転写ベルト101上に形成した濃度パッチ113と対向し得る位置にそれぞれ配置されている。制御部41は、書き込み光Lの書き込み開始後、濃度パッチ113が光学センサ301及び光学センサ302との対向位置に到達するタイミングに合わせて、正反射光受光素子304や拡散反射光受光素子305からの出力電圧を検出し、その検出結果(センサ検知結果)に対して付着量変換処理を行うことにより、各濃度パッチ113のトナー付着量を導出する。具体的には、例えば、出力電圧とトナー付着量との対応関係を記述した変換テーブルを予めROM44に記憶しておき、この変換テーブルを用いてトナー付着量を導出する。または、例えば、出力電圧をトナー付着量に変換する変換式を演算させてトナー付着量を導出するようにしてもよい。
【0025】
図6は、本実施形態におけるプロセス制御の主要な処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態においては、転写紙112上に形成される低濃度から高濃度までの画像に対して適切に付着量変換処理を実行できるようにプロセス制御を行うときのトナー階調パターンの目標トナー付着量範囲が、0[mg/cm2]付近から0.5[mg/cm2]までの範囲内である場合について説明する。
【0026】
プロセス制御においては、画像検出装置110の校正や異常検査などの前処理工程を終えた後、まず、現在設定されている帯電バイアスVg0、現像バイアスVb0、露光パワーLDP等の画像形成条件(前回のプロセス制御で設定された画像形成条件)で、10階調の濃度パッチを感光体表面上に形成する(S1)。そして、このときの帯電電位(非露光部電位)Vd0を電位センサ210で検知する(S2)。また、これらの10階調の濃度パッチに付着したトナー付着量を、画像検出装置110で検知する(S3)。そして、上記S2で検知した帯電電位Vd0と、上記S3で検知した検知した10階調分のトナー付着量とから、現時点における現像γ(ガンマ)を算出する(S4)。
【0027】
図7は、高温高湿環境(32[℃]、54[%])と低温低湿環境(10[℃]、15[%])の環境下においてトナー階調パターンを形成したときの現像ポテンシャルに対するトナー付着量を実測した結果を示すグラフである。なお、このグラフは、横軸に現像ポテンシャルをとり、縦軸にトナー付着量をとっている。現像γとは、このグラフの傾きを示すパラメータであり、現像ポテンシャルとトナー付着量との対応関係を示すパラメータである。ここで、現像ポテンシャルとは、感光体上の露光部電位VLと現像バイアスVbとの電位差を示すものであり、現像ポテンシャルが大きければ1ドット静電潜像に付着するトナー量が多くなり、画像濃度が高まることになる。また、後述する地肌ポテンシャルとは、感光体上の非露光部電位すなわち帯電電位Vdと現像バイアスVbとの電位差を示すものであり、地肌ポテンシャルが小さすぎると非露光部にトナーが付着してしまう地汚れが発生し、地肌ポテンシャルが大きすぎると現像剤中の磁性キャリアが感光体表面に付着してしまうキャリア付着が発生する。
【0028】
高温高湿環境の場合、本実施形態における目標トナー付着量範囲の最大トナー付着量(目標最大トナー付着量)である0.5[mg/cm2]の濃度パッチを形成するためには、図7に示されるように現像ポテンシャルとして360[V]が必要となる。これに対し、低温低湿環境では0.5[mg/cm2]の濃度パッチを形成するためには、500[V]の現像ポテンシャルが必要となる。このように0.5[mg/cm2]という同じトナー付着量で濃度パッチを形成するのに必要な現像ポテンシャルは温度湿度環境によって異なる。温度湿度環境によって現像ポテンシャルが異なる理由は、温度湿度環境によりトナーの帯電量が変化することが挙げられる。一般的に高温高湿度環境ではトナーの帯電量が小さくなるため、同じ現像ポテンシャルでもトナー付着量が増加し、反対に低温低湿度環境ではトナーの帯電量が大きくなるためトナー付着量が減少する。
【0029】
このように、温度湿度環境の変動によって、目標の画像濃度(目標のトナー付着量)を得るための現像ポテンシャルが変わってくる。また、温度湿度環境以外の要因でも目標のトナー付着量を得るための現像ポテンシャルが変わってくる。したがって、適当なタイミングで現時点における現像γを確認し、その現像γから目標のトナー付着量を得るための現像ポテンシャルを求めて、各種画像形成条件(帯電バイアスVg、現像バイアスVb、基準露光量(基準露光パワー、基準露光デューティ))を決定する必要がある。
【0030】
そこで、本実施形態では、上記S4で算出した現像γから、目標最大トナー付着量である0.5[mg/cm2]のトナー付着量を得るための現像ポテンシャルVbLを算出する(S5)。そして、目標最大トナー付着量を得るべく画像形成するときの現像ポテンシャルが、上記S5で算出した現像ポテンシャルVbLとなるように、各種画像形成条件を調整する。以下、この調整方法について、具体的に説明する。
【0031】
本実施形態においては、現在設定されている帯電バイアスVg0及び現像バイアスVb0を印加した状態で、基本露光パワーLDP0の1.5倍(150%)の露光パワーLDP’で、かつ、露光デューティを最大値(15)にして、感光体表面を露光する。そして、これにより形成された静電潜像(露光部)の電位を、残留露光部電位Vr’として、電位センサ210により検知する(S6)。この残留露光部電位Vr’は、最終的な残留露光部電位Vrを検知する際に用いる現像バイアスVb’と目標帯電電位Vd’とを求めるためのものである。
【0032】
次に、本実施形態においては、上記S6で検知した残留露光部電位Vr’から、下記の数式(1)により、このときの暫定的な基準露光部電位VL0’を算出する(S7)。なお、基準露光部電位とは、基準露光量(基準露光パワーLDP、基準露光デューティ)で露光したときの露光部電位である。
VL0’= Vr’−50 ・・・(1)
ここで、残留露光部電位Vr’に−50[V]を加算した値を基準露光部電位VL0’と設定しているのは、一般に、基準露光部電位は、残留露光部電位Vr’に−50[V]を加算した値付近に存在することが経験的に認められるからである。なお、この暫定の基準露光部電位VL0’と実際の基準露光部電位VL0との誤差は、後述する補正処理により補正される。
【0033】
次に、このようにして求めた暫定の基準露光部電位VL0’から、まず、最終的な残留露光部電位Vrを検知する際に用いるVr検知用の現像バイアスVb’を、下記の数式(2)により算出する。
Vb’= VbL+VL0’ ・・・(2)
続いて、上記数式(2)により算出したVr検知用の現像バイアスVb’から、Vr検知用の目標帯電電位Vd’を、下記の数式(3)により算出する。
Vd’= Vb’+Vbg ・・・(3)
【0034】
ここで、上記数式(3)中の地肌ポテンシャルVbgは、従来は一定値(例えば200[V])が使用されていたが、後述する理由により、本実施形態では現像ポテンシャルVbLに応じて変更される可変値とする。具体的には、地肌ポテンシャルVbgは下記の数式(4)から算出される(S8)。
Vbg = VbL×α ・・・(4)
上記数式(4)中のαは、現像ポテンシャルVbLに対する地肌ポテンシャルVbgの好適な比率を示すパラメータであり、以下、地肌ポテンシャル決定係数という。この地肌ポテンシャル決定係数αは、以下の観点から、実験的に求まる値である。
【0035】
下記の表1は、地肌ポテンシャル決定係数αを求めるための実験条件及び実験結果を示す表である。
【表1】
【0036】
本実験では、前提として、トナー補給を行わないようにし、各種画像形成条件は実験中に変更しないようにする。そして、まず、帯電電位Vdが約900[V]となるようにそれぞれ調整する。また、上記表1に示した実験条件のように地肌ポテンシャルを異ならせた状態で、現像バイアスVb及び露光パワーを上記表1に示した実験条件に合わせて設定する。その後、印刷しながら、ベタ画像の画像濃度IDが1.6となるまで強制的にトナー補給を行い、画像濃度IDが1.6となった条件で、1ドット細線の線幅測定用の画像を1枚印刷する。また、1ドット細線の線幅測定用の画像についての感光体表面上におけるトナー像を採取し、トナー付着量を測定する。また、ハーフトーン画像を印刷し、そのハーフトーン濃度を測定する。この実験は、帯電電位Vdが約700[V]、約500[V]の場合についても同様に行う。
【0037】
図8(a)及び(b)は、帯電電位Vdが900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の縦線(感光体表面移動方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。なお、図8(a)は、横軸に地肌ポテンシャルをとったものであり、図8(b)は横軸に現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率をとったものである。
図9(a)及び(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の横線(感光体表面移動方向に対して直交する方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。なお、図9(a)は、横軸に地肌ポテンシャルをとったものであり、図9(b)は横軸に現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率をとったものである。
これらのグラフは、トナー付着量(画像濃度)がすべて目標最大付着量である0.5[mg/cm2]となるように現像γや現像ポテンシャルを調整した状態で、地肌ポテンシャルを変更したものである。
【0038】
図8(a)及び図9(a)からわかるように、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整しても、地肌ポテンシャルの違いにより、帯電電位Vdの違いにかかわらず、細線の線幅が異なってくるという画質変化が起きる。これは、地肌ポテンシャルの違いに応じて、露光部における非露光部との境界部分に付着するトナーに対する、非露光部と現像ローラとの間の電界(以下、「地肌部電界」という。)の影響が異なってくるからだと推測される。より詳しくは、トナーを現像ローラ側へ移動させる地肌部電界が強くなると、露光部における非露光部との境界部分からトナーを取り除く又はその境界部分にトナーを付着させない作用が高まり、その結果、露光部の面積に対するトナー付着面積が小さくなる。この結果が、細線の線幅が狭くなるという画質劣化として顕在化したものと推測される。逆に、トナーを現像ローラ側へ移動させる地肌部電界が弱くなると、露光部の面積に対するトナー付着面積が大きくなって、細線の線幅が広くなるという画質劣化として顕在化する。
【0039】
ここで、図8(a)及び図9(a)は、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整したものであるが、このような調整を行う場合に地肌ポテンシャルが従来のように固定値(例えば200[V])であると、帯電電位Vdの違いにより細線の線幅が異なってしまうことがわかる。本実施形態のプロセス制御でも、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルの調整を行うので、地肌ポテンシャルが固定値であると、細線の線幅が変化する画質変化が生じてしまう。特に、本実施形態では、上述したように残留露光部電位Vrが経時的に徐々に高まる特性をもった感光体を使用している。そのため、経時的に同じトナー付着量を確保するためには、適切な現像ポテンシャルを確保するために現像バイアスを経時的に徐々に高める必要が生じる。そして、現像バイアスの上昇に伴い、固定値である地肌ポテンシャルを維持すべく、帯電電位Vdが経時的に徐々に高まるように調整される。そのため、地肌ポテンシャルが固定値(例えば200[V])であると、経時的に細線の線幅が太くなるという画質劣化が生じる。
【0040】
一方で、図8(b)及び図9(b)を見ると、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整する場合でも、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が一定であれば、帯電電位Vdが異なっていても細線の線幅が変化しないことが理解できる。これは、この比率が一定であれば、露光部における非露光部との境界部分に付着するトナーに対する、露光部と現像ローラとの間の現像電界による影響と、非露光部と現像ローラとの間の地肌部電界による影響とが安定し、その結果、現像ポテンシャルや地肌ポテンシャルが変化しても、露光部の面積に対するトナー付着面積はほとんど変化しないためだと推測される。
【0041】
以上より、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを確保しつつ、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率(地肌ポテンシャル決定係数)が一定になるように地肌ポテンシャルを調整することで、一定の画像濃度を維持しつつ細線の線幅が変化するという画質変化を抑制できる。
【0042】
また、図10(a)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の地肌ポテンシャルとハーフトーン濃度との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。図10(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率とハーフトーン濃度との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。
図10(a)は、ベタ画像のトナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整した場合において、地肌ポテンシャルが従来のように固定値(例えば200[V])であると、帯電電位Vdの違いによりハーフトーン濃度が異なってしまうことを示している。本実施形態のプロセス制御でも、ベタ画像のトナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルの調整を行うので、地肌ポテンシャルが固定値であると、ハーフトーン濃度が変化する画質変化が生じてしまう。特に、本実施形態では、残留露光部電位Vrが経時的に徐々に高まる特性をもった感光体を使用しているため、上述したように帯電電位Vdが経時的に徐々に高まるように調整される。そのため、地肌ポテンシャルが固定値(例えば200[V])であると、経時的にハーフトーン濃度が低下するという画質劣化が生じる。
【0043】
一方で、図10(b)を見ると、ベタ画像のトナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整する場合、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が一定であれば、帯電電位Vdが異なっていてもハーフトーン濃度が変化しないことが理解できる。これは、上述した細線の線幅の場合と同様の理由によるものと考えられる。
【0044】
以上より、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを確保しつつ、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率(地肌ポテンシャル決定係数)が一定になるように地肌ポテンシャルを調整することで、一定の画像濃度を維持しつつハーフトーン濃度が変化するという画質変化も抑制できる。
【0045】
そして、上述した実験結果からすれば、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率すなわち地肌ポテンシャル決定係数αは、0.40〜0.80の範囲内、好ましくは0.40〜0.45の範囲内であれば、上述した画質変化を良好に抑制できる。なお、本実施形態では、地肌ポテンシャル決定係数αを0.4に設定するものとする。
【0046】
このようにして、地肌ポテンシャルVbgは、上記数式(4)により、上記S5で算出した現像ポテンシャルVbLに地肌ポテンシャル決定係数αを乗じて算出される。しかし、上述したように、地肌ポテンシャルVbgが小さすぎると地汚れが発生し、地肌ポテンシャルVbgが大きすぎるとキャリア付着が発生する。したがって、地汚れやキャリア付着が発生しない範囲から外れた地肌ポテンシャルVbgを設定すると、上述した細線の線幅変化やハーフトーン濃度変化よりも深刻な不具合が生じてしまう。
【0047】
よって、本実施形態では、地汚れやキャリア付着が発生しない規定範囲から外れた地肌ポテンシャルVbgが設定されないように、次のような処理を行っている。すなわち、上記数式(4)により算出した地肌ポテンシャルVbgが規定範囲の上限値(VbgMAX)よりも高い値である場合には、その上限値VbgMAXを地肌ポテンシャルVbgとして算出し、以後の処理に使用する。また、上記数式(4)により算出した地肌ポテンシャルVbgが規定範囲の下限値(VbgMIN)よりも低い値である場合には、その下限値VbgMINを地肌ポテンシャルVbgとして算出し、以後の処理に使用する。
【0048】
次に、上記S7で算出した暫定の基準露光部電位VL0’から、最終的な残留露光部電位Vrを検知する際に用いるVr検知用の現像バイアスVb’を上記数式(2)により算出する(S9)。また、上記数式(2)により算出したVr検知用の現像バイアスVb’と、上記S8で算出した地肌ポテンシャルVbgとを用いて、上記数式(3)により、Vr検知用の目標帯電電位Vd’を算出する(S9)。
【0049】
そして、帯電電位がVr検知用の目標帯電電位Vd’となるように、Vr検知用の帯電バイアスVg’を設定する(S10)。
具体的には、まず、帯電バイアスを予め決められた固定値(本実施形態では−550[V])に設定し、また、現像バイアスも予め決められた固定値(本実施形態では−350[V])に設定した条件下で、感光体表面を帯電させ、このときの帯電電位を電位センサ210で検知する。この検知結果が上記S9で算出した目標帯電電位Vd’を中心とした目標範囲内(本実施形態ではVd’±5[V])であれば、この測定に用いた上記固定値(−550[V])をVr検知用の帯電バイアスVg’に設定する。
一方、この検知結果が目標範囲内から外れている場合には、帯電バイアスの固定値(−550[V])及びその検知結果(帯電電位)と、プロセス制御の前処理時に用いた帯電バイアス(本実施形態では−700[V])及びそのときに電位センサ210で検知した帯電電位とを用いて、現時点における帯電バイアスと帯電電位との関係を最小二乗法により1次近似して概略関係式(1次近似式)を求める。そして、この1次近似式から、Vr検知用の目標帯電電位Vd’に対応するVr検知用の帯電バイアスを特定する。その後、ここで特定したVr検知用の帯電バイアスを用いて再び感光体表面を帯電させ、このときの帯電電位を電位センサ210で検知する。この検知結果が目標範囲内であれば、上記で特定したVr検知用の帯電バイアスをVr検知用の帯電バイアスVg’に決定する。この検知結果が目標範囲内から外れている場合には、さらに、このときの測定結果も加えて、さらに帯電バイアスと帯電電位との関係を示す1次近似式を求め、検知結果が目標範囲内に入るまで同様の処理を繰り返す。
【0050】
ここで、使用する帯電装置201の仕様等により、設定できる帯電バイアスの範囲に制限がある場合が多い。本実施形態では、帯電バイアスの設定可能範囲は、−450[V]以上−900[V]以下の範囲に制限される。よって、本実施形態では、上記のように決定したVr検知用の帯電バイアスVg’が帯電バイアスの設定可能範囲の上限値(VgMAX=−900[V])を越える場合には、その上限値VgMAXを帯電バイアスVg’として設定する。一方、上記のように決定したVr検知用の帯電バイアスVg’が帯電バイアスの設定可能範囲の下限値(VgMIN=−450[V])を下回る場合には、その下限値VgMINを帯電バイアスVg’として設定する。
【0051】
また、上記のように設定したVr検知用の帯電バイアスVg’に応じ、地肌ポテンシャルが上記S8で算出した地肌ポテンシャルVbgとなるように、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正して設定する(S10)。
図11は、帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
図12は、帯電バイアスVg’が帯電バイアス下限値VgMINに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
図13は、帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXと帯電バイアス下限値VgMINとの間に設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXに設定された場合、図11に示すように、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXに設定されていれば(S21のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(5)により求まる値に修正する(S22)。
Vbg=Vbg1=VbgMAX−(Vd’[算出値]−VgMAX)×β1 ・・・(5)
上記数式(5)中のVd’[算出値]とは、上記S9で算出したVr検知用の目標帯電電位Vd’であり、上記S10で検出した帯電電位Vd’[検出値]と区別したものである。また、上記数式(5)中のβ1は、帯電バイアスの設定可能範囲内で現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率を一定にするための係数であり、通常は地肌ポテンシャル決定係数αと同様の値に設定される。
一方、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMINに設定されていれば(S23のYes)、地肌ポテンシャルVbgの修正は行わず(S24)、そのまま下限値VbgMINとする。
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとのに設定されていれば(S23のNo)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(6)により求まる値に修正する(S25)。
Vbg=Vbg2=Vbg−(Vd’[算出値]−VgMAX)×β1 ・・・(6)
【0053】
続いて、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMIN以下である場合(S26のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下限値VbgMINに再修正した後(S27)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(7)により求まる値に設定する(S28)。
Vb’= VgMAX−VbgMIN ・・・(7)
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとの間である場合(S26のNo)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(8)により求まる値に設定する(S29)。
Vb’= VgMAX−Vbg ・・・(8)
【0054】
また、帯電バイアスVg’が帯電バイアス下限値VgMINに設定された場合、図12に示すように、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXに設定されていれば(S31のYes)、地肌ポテンシャルVbgの修正は行わず(S32)、そのまま上限値VbgMAXとする。
一方、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMINに設定されていれば(S33のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(9)により求まる値に修正する(S34)。
Vbg=Vbg3=VbgMIN−(Vd’[算出値]−VgMIN)×β2 ・・・(9)
上記数式(5)中のβ2は、上記β1と同様、帯電バイアスの設定可能範囲内で現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率を一定にするための係数であり、通常は地肌ポテンシャル決定係数αと同様の値に設定される。
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとのに設定されていれば(S33のNo)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(10)により求まる値に修正する(S35)。
Vbg=Vbg4=Vbg−(Vd’[算出値]−VgMIN)×β2 ・・・(10)
【0055】
続いて、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAX以上である場合(S36のYes)、地肌ポテンシャルVbgを上限値VbgMAXに再修正した後(S37)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(11)により求まる値に設定する(S38)。
Vb’= VgMIN−VbgMAX ・・・(11)
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとの間である場合(S36のNo)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(12)により求まる値に設定する(S39)。
Vb’= VgMIN−Vbg ・・・(12)
【0056】
また、帯電バイアスVg’が帯電バイアスの上限値VgMAXと下限値VgMINとの間に設定された場合、図13に示すように、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXに設定されていれば(S41のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(13)により求まる値に修正する(S42)。
Vbg=Vbg5=VbgMAX−(Vd’[算出値]−Vd’[検出値]) ・・・(13)
一方、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMINに設定されていれば(S43のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(14)により求まる値に修正する(S44)。
Vbg=Vbg6=VbgMIN−(Vd’[算出値]−Vd’[検出値]) ・・・(14)
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとのに設定されていれば(S43のNo)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(15)により求まる値に修正する(S45)。
Vbg=Vbg7=Vbg−(Vd’[算出値]−Vd’[検出値]) ・・・(15)
その後、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(16)により求まる値に設定する(S47)。
Vb’= Vd’[検出値]−Vbg ・・・(16)
【0057】
次に、以上のように設定したVr検知用の暫定の帯電バイアスVg’及び現像バイアスVb’を用い、上記S6の場合と同様の方法、具体的には、基本露光パワーLDP0の1.5倍(150%)の露光パワーLDP’で、かつ、露光デューティを最大値(15)にして、感光体表面を露光する。そして、これにより形成された静電潜像(露光部)の電位を、最終的な残留露光部電位(検知残留電位)Vrとして、電位センサ210により検知する(S11)。
【0058】
その後、本実施形態では、目標帯電電位Vd’と残留露光部電位Vrとから、露光量の変化に対する感光体表面の露光部電位の変化割合が大きい低露光量領域、図14(a)及び(b)に示したグラフで言えばおおよそグラフ中央からその左側にわたる領域、に属する調整用露光部電位Vplを、下記の数式(17)により算出する(S12)。
Vpl = (Vd’−Vr)÷3+Vr ・・・(17)
そして、ここで新たに検出した残留露光部電位Vrを用いて上記S7〜S10までの処理と同様の処理を行うことにより、暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"を再設定する(13)。
【0059】
次に、調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワー(プレ基準露光量)を特定する(S14)。ただし、本実施形態の調整用露光部電位Vplは、おおよそ、基準露光部電位の1/3に相当する付近をとる。そのため、この付近で最適なVpl用露光パワーを探すために、このときの露光デューティは、基準露光量(露光デューティ=15/15)の1/3である5/15の露光デューティを用いる。
調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワーを特定するにあたり、露光デューティを5/15に固定したまま、露光パワーを基本露光パワーLDP0の60%、80%、100%、120%、150%と順次切り替えて、静電潜像(露光部)を作成する。なお、このときの帯電バイアス及び現像バイアスは、上記S13で設定した暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"である。そして、各露光部の電位を電位センサ210で検知するとともに、このときの帯電電位Vdも電位センサ210で検知する。そして、各露光部に対応する露光パワーと、そのときの帯電電位Vd及び残留露光部電位Vrとから上記数式(17)により求まる各調整用露光部電位Vplとの対応関係を示す5つのデータ組を算出する。そして、各データ組により、露光パワーと調整用露光部電位Vplとの関係を最小二乗法により1次近似して概略関係式(1次近似式)を求め、この1次近似式から、上記S12で算出した調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワーを特定する。
【0060】
その後、ここで特定したVpl用露光パワー(露光デューティ=5/15)を用いて感光体表面を露光し、このときの露光部電位を電位センサ210で検知する。この検知結果が目標範囲内(上記S12で算出した調整用露光部電位Vplの±3[V]以内)であれば、上記で特定した特定したVpl用露光パワーをそのまま用いる。一方、この検知結果が目標範囲内から外れている場合には、さらに、上記で特定した特定したVpl用露光パワーを所定の調整値で調整し、この調整したVpl用露光パワーを用いて感光体表面を再び露光し、このときの露光部電位を電位センサ210で検知する処理を、その検知結果が目標範囲内に入るまで繰り返し行う。
【0061】
このようにして、調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワーを特定したら、次に、このVpl用露光パワーを、基準露光量の露光デューティである15/15露光デューティの露光パワーに換算する(S15)。本実施形態では、Vpl用露光パワーを特定するために用いた露光デューティが基準露光量の露光デューティ(15/15)の1/3であったので、上記S14で特定したVpl用露光パワーを3倍して15/15露光デューティの露光パワーに換算する。
【0062】
次に、このようにして換算して得た換算露光パワーから基準露光パワーを決定する(S16)。ここで、本実施形態の条件では、換算露光パワーと基準露光パワーとの関係は、約2/3になることが予め実験等により把握されている。したがって、本実施形態では、換算露光パワーに2/3を乗じて得られる値を基準露光パワーとして決定する。なお、この換算値(本実施形態では2/3)は、実験等により適宜設定される。
【0063】
以上のようにして基準露光パワーを求めたら、最後に、上記S7におおいて暫定的に決めた基準露光部電位VL0’と実際の基準露光部電位VL0との誤差を補正するための補正処理を行う。具体的には、まず、基準露光量(上記S16で決定した基準露光パワー、15/15露光デューティ)で静電潜像(露光部)を作成し、その露光部の電位(基準露光部電位VL0)を電位センサ210で検知する(S17)。なお、このときの帯電バイアス及び現像バイアスは、上記S13で設定した暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"である。このようにして検知した基準露光部電位VL0と、上記S7におおいて暫定的に決めた基準露光部電位VL0’との差分ΔVLを算出する(S18)。そして、この差分ΔVLを補正値とし、上記S13で設定した暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"を補正して、最終的な帯電バイアスVg及び現像バイアスVbを決定する(S19)。したがって、最終的な帯電バイアスVgは下記の数式(18)となり、最終的な現像バイアスVbは下記の数式(19)となる。ただし、補正後の帯電バイアスVg及び現像バイアスVbが予め設定されているそれぞれ上下限値を越える場合には、補正前の帯電バイアスVg及び現像バイアスVbを最終的な値として用いる。
Vg = Vg"−ΔVL ・・・(18)
Vb = Vb"−ΔVL ・・・(19)
【0064】
本実施形態では、帯電バイアスVgが上限値VgMAXを越えて設定されることがないように、現像ポテンシャルと地肌ポテンシャルの両方を調整している。具体的には、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が地肌ポテンシャル決定係数αに維持されるように調整している。このような調整により、帯電バイアスVgが上限値VgMAXを越えて設定されることを防止しつつ、細線の線幅変化やハーフトーン濃度の変化などの画質変化を抑制することができる。ただし、この場合には、現像ポテンシャルが若干低めに設定されることになるため、画像濃度がわずかに低下し、多少の画質変化が起きるおそれがある。よって、画像濃度の維持を優先する場合には、帯電バイアスVgが上限値VgMAXを越えた分については地肌ポテンシャルだけ調整してもよい。この場合、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が若干変化するため、細線の線幅変化やハーフトーン濃度の変化などの画質変化がわずかに発生するおそれがあるが、画像濃度の変化は防止できる。
【0065】
以上、本実施形態に係るプリンタは、感光体202と、感光体202の表面が目標帯電電位となるような帯電バイアスで感光体202の表面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電装置201と、帯電装置201によって帯電した感光体202の表面を基準露光量に応じた露光量で露光することにより静電潜像を形成する露光手段としての書込装置203と、感光体202の表面に形成された静電潜像に対して現像バイアスが印加された現像剤担持体としての現像ローラ上のトナーを付着させて感光体202の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置205とを備え、感光体202の表面に形成されたトナー像を最終的に記録材としての転写紙112上へ転移させることにより転写紙112上に画像を形成する画像形成装置である。本プリンタは、トナー付着量を検知するトナー付着量検知手段としての画像検出装置110と、所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンとしての濃度パッチ113を感光体202の表面に形成して、濃度パッチ113のトナー付着量を画像検出装置110により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルVbLを得るべく、帯電バイアス並びに基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するプロセス制御を行う制御手段としての制御部41とを有している。そして、制御部41は、現像ポテンシャルVbLに対する地肌ポテンシャルVbgの比率である地肌ポテンシャル決定係数αが予め決められた目標比率(本実施形態では0.4)となるように、プロセス制御を行う。これにより、上述したように、環境変動や経時変化に応じて目標の現像ポテンシャルVbLが変化しても、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルVbgの比率(地肌ポテンシャル決定係数α)を目標比率(0.4)に維持できるので、細線の線幅が変化するという画質変化を抑制できる。
また、本実施形態において、制御部41は、目標の現像ポテンシャルVbLに上記比率(地肌ポテンシャル決定係数α)を乗じて得られる地肌ポテンシャルVbgが予め決められた規定範囲内である場合には、現像ポテンシャルVbLに対する地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるようにプロセス制御を行い、その地肌ポテンシャルVbgが規定範囲内から外れる場合には、地肌ポテンシャルを規定範囲内の値(上限値VbgMAX又は下限値VbgMIN)に決定し、かつ、現像ポテンシャルVbLに対する決定後の地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるようにプロセス制御を行う。これにより、細線の線幅が変化する画質変化を抑制するために地肌ポテンシャルが規定範囲から外れて、地肌ポテンシャルが高すぎることによって生じる不具合(キャリア付着、ハーフトーン部の端部カスレ等)や、地肌ポテンシャルが低すぎることによって生じる不具合(地汚れ等)が生じるという、より深刻な事態が発生するのを防止できる。
また、本実施形態において、制御部41は、プロセス制御において、目標の現像ポテンシャルVbLと、これに地肌ポテンシャル決定係数αを乗じて得られる地肌ポテンシャルVbgとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内から外れる場合、帯電バイアスを規定範囲内の値(上限値VgMAX又は下限値VgMIN)に調整し、かつ、現像ポテンシャルVbLに対する決定後の地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるように基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整する。これにより、帯電バイアスの設定可能範囲内で、細線の線幅が変化する画質変化を抑制することができる。
なお、上述したように、目標の現像ポテンシャルVbLとこれに地肌ポテンシャル決定係数αを乗じて得られる地肌ポテンシャルVbgとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内である場合には、現像ポテンシャルVbLに対する決定後の地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるようにプロセス制御を行い、その目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内でない場合には、帯電バイアスを規定範囲内の値に調整し、かつ、調整後の帯電バイアスと目標帯電バイアスとの差を地肌ポテンシャルから差し引いた後の差引後地肌ポテンシャルと上記現像ポテンシャルとに応じて基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するようにプロセス制御を行うようにしてもよい。この場合、帯電バイアスの設定可能範囲内で、細線の線幅が変化する画質変化の抑制よりも、画像濃度を維持することを優先した調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部の概略構成を示した説明図である。
【図2】同プリンタの画像形成部の概略構成を示した説明図である。
【図3】実施形態におけるプロセス制御に関わる制御系を示すブロック図である。
【図4】(a)は、黒用の画像検出装置を構成する光学センサの概略構成を示す説明図であり、(b)は、他色(カラー)用の画像検出装置を構成する光学センサの概略構成を示す説明図である。
【図5】光学センサ301及び光学センサ302の配置例を示す説明図である。
【図6】実施形態におけるプロセス制御の主要な処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】高温高湿環境と低温低湿環境の環境下においてトナー階調パターンを形成したときの現像ポテンシャルに対するトナー付着量を実測した結果を示すグラフである。
【図8】(a)及び(b)は、帯電電位Vdが900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の縦線(感光体202表面移動方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す実験結果のグラフである。
【図9】(a)及び(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の横線(感光体202表面移動方向に対して直交する方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す実験結果のグラフである。
【図10】(a)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の地肌ポテンシャルとハーフトーン濃度との対応関係を示す実験結果のグラフであり、(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率とハーフトーン濃度との対応関係を示す実験結果のグラフである。
【図11】帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】帯電バイアスVg’が帯電バイアス下限値VgMINに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXと帯電バイアス下限値VgMINとの間に設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】(a)は、高温高湿環境下において、所定回数の作像後におけるレーザダイオード(LD)の露光パワーと各露光部電位VLとの関係を示すグラフであり、(b)は、低温低湿環境下において、同じ回数の作像後におけるLDの露光パワーと各露光部電位VLとの関係を示すグラフである。
【図15】特定の感光体202を用いた画像形成装置における通紙枚数と残留露光部電位Vrとの関係を示すグラフである。
【図16】(a)〜(c)は、3環境(通常環境、低温低湿環境、高温高湿環境)において初期感光体202に対する初期時の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフであり、(d)〜(f)は、3環境において初期感光体202に対する5000枚印刷後の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフであり、(g)〜(i)は、3環境において2000k印刷後の感光体202に対する初期時の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフであり、(j)〜(l)は、3環境において2000k印刷後の感光体202に対する5000枚印刷後の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
41 制御部
101 中間転写ベルト
102Y,102M,102C,102K 画像形成部
110 画像検出装置
113 濃度パッチ
201 帯電装置
202 感光体202
203 書込装置
205 現像装置
210 電位センサ
301,302 光学センサ
Vbg 地肌ポテンシャル
VbL 現像ポテンシャル
Vpl 調整用露光部電位
Vr 残留露光部電位
α 地肌ポテンシャル決定係数
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に係り、詳しくは、露光手段が画像形成時に用いる基準露光量を調整する機能を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プロセス制御において、所定のトナーパターン形成条件の下、通常の画像形成時と同様の動作で感光体上にトナーパターンを形成し、このトナーパターンに対するトナー付着量をセンサで検知し、そのセンサ検知結果に基づいて、帯電バイアス、現像バイアス、基準露光量など(以下、「帯電バイアス等」という。)を現状に沿うように調整する画像形成装置が広く知られている(特許文献1等)。この種の画像形成装置では、上記センサ検知結果から現像ポテンシャルを求め、求めた現像ポテンシャルに対応する好適な帯電バイアス等を特定し、帯電バイアス等を調整する。これにより、環境変動や経時変化が生じて現像γ(ガンマ)等が変動しても、画像濃度を一定に維持することが可能となる。
【0003】
プロセス制御を行う従来の画像形成装置は、一般に、地肌ポテンシャルを固定値とし、目標の現像ポテンシャルが得られるように帯電バイアス等を調整する。このように地肌ポテンシャルを固定値とすることができたのは、従来の画像形成装置で使用する一般的な感光体が、露光手段による最大露光量で露光してもそれ以上低下させることができずに残留してしまう感光体表面の電位(残留露光部電位)があまり変化しないものであったことが理由の1つである。このような感光体であれば、予め好適な地肌ポテンシャルに設定しておくことで、その後に地肌ポテンシャルを調整しなくても、上述したハーフトーン部の端部カスレや地汚れなどの画質劣化があまり生じないのである。
【0004】
また、特許文献2には、ハーフトーンのトナーパターンを形成してこれを画像撮像装置で撮像し、その撮像結果からハーフトーン部の端部カスレや地汚れを検知し、その検知結果に応じて地肌ポテンシャルを調整する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、地肌ポテンシャルが高すぎることによって生じるハーフトーン部の端部カスレや、地肌ポテンシャルが低すぎることによって生じる地汚れの発生を、画像撮像手段を用いて直接的に把握するので、ハーフトーン部の端部カスレや地汚れが発生しない最適な地肌ポテンシャルを安定して設定することができる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−14729号公報
【特許文献2】特開2005−308833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、本発明者は、地肌ポテンシャルが高すぎることによって生じる不具合(ハーフトーン部の端部カスレ等)や、地肌ポテンシャルが低すぎることによって生じる不具合(地汚れ等)が発生しない好適な地肌ポテンシャルが設定されている場合であっても、次のような不具合が生じることを確認した。
すなわち、詳しくは後述するが、図8(a)及び図9(a)からわかるように、所望のトナー付着量が得られるように現像ポテンシャルが調整されていて、かつ、地肌ポテンシャルも上述した不具合が生じない好適な範囲内(例えば200[V])に設定されている場合でも、帯電電位Vdが異なると、細線の線幅が異なってしまうという画質変化が起きる不具合を確認した。
【0007】
従来の画像形成装置で使用される一般的な感光体は、上述したように残留露光部電位があまり変化しないため、現像ポテンシャルを調整するにあたって帯電電位Vdを大きく変化させる必要はほとんどない。しかし、近年、感光体の表面層にフィラー等を含有させることにより感光体表面硬度を高めて摩耗に対する耐性を向上させた感光体(高硬度感光体)が提案されているが、このような高硬度感光体の中には、残留露光部電位が経時的に徐々に高まる特性をもったものも存在する。高硬度感光体に限らないが、残留露光部電位が経時的に徐々に高まるような感光体では、経時的に同じトナー付着量(一定の画像濃度)を確保するために、適切な現像ポテンシャルを確保すべく現像バイアスを経時的に徐々に高める必要が生じる。この場合、現像バイアスの上昇に伴い、好適な地肌ポテンシャルを維持すべく、帯電電位Vdが経時的に徐々に高まるように調整される。そのため、残留露光部電位が経時的に徐々に高まるような感光体を用いる場合には、帯電電位Vdが経時的に徐々に高まる結果、一定の画像濃度を確保しようとすると、経時的に細線の線幅が太くなるという画質劣化が生じ得る。
【0008】
なお、細線の線幅が変化する画質変化が起きる不具合は、上記の例に限らず、現像ポテンシャルを調整する際に帯電電位を大きく変化させるような画像形成装置であれば、同様に生じ得るものである。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像ポテンシャルを調整する際に帯電電位を大きく変化させるような画像形成装置でも、細線の線幅が変化する画質変化が起きるのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、感光体と、該感光体の表面が目標帯電電位となるような帯電バイアスで該感光体の表面を一様に帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電した感光体の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、感光体の表面に形成された静電潜像に対して現像バイアスが印加された現像剤担持体上のトナーを付着させて該感光体の表面にトナー像を形成する現像手段とを備え、感光体の表面に形成されたトナー像を最終的に記録材上へ転移させることにより該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、トナー付着量を検知するトナー付着量検知手段と、所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンを上記感光体の表面に形成して、該トナーパターンのトナー付着量を該トナー付着量検知手段により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である現像ポテンシャルを得るべく、帯電バイアスと露光量及び現像バイアスの少なくとも一方とを調整するプロセス制御を行う制御手段を有し、上記制御手段は、現像ポテンシャルに対する非静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように、上記プロセス制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルが予め決められた規定範囲内である場合には、該現像ポテンシャルに対する該地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該地肌ポテンシャルが該規定範囲内から外れる場合には、地肌ポテンシャルを該規定範囲内の値に決定し、かつ、該現像ポテンシャルに対する決定後の地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記制御手段は、上記プロセス制御において、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内から外れる場合、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、上記比率が上記目標比率となるように基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内である場合には、上記比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内でない場合には、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、調整後の帯電バイアスと該目標帯電バイアスとの差を地肌ポテンシャルから差し引いた後の差引後地肌ポテンシャルと該現像ポテンシャルとに応じて基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するように上記プロセス制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記比率は、0.4以上0.8以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記比率は、0.4以上0.45以下であることを特徴とするものである。
【0011】
所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような最適な現像ポテンシャル(目標の現像ポテンシャル)は環境変動や経時変化により変化する。プロセス制御では、このように変化する目標の現像ポテンシャルに応じて帯電バイアス等を適宜調整することになる。この場合、帯電バイアス等を調整することにより帯電電位が変化し、上述したように細線の線幅が変化するという画質変化が生じ得る。
本発明者は、詳しくは後述するが、図8(b)及び図9(b)に示すように、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が一定であれば、帯電電位Vdが異なっていても細線の線幅が変化しないことを見いだした。
そこで、本発明では、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように帯電バイアス等を調整するプロセス制御を行うこととしている。これにより、環境変動や経時変化に応じて目標の現像ポテンシャルが変化しても、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率を目標比率に維持できるので、細線の線幅が変化するという画質変化を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、現像ポテンシャルを調整する際に帯電電位を大きく変化させるような画像形成装置でも、細線の線幅が変化する画質変化が起きるのを抑制することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部の概略構成を示した説明図である。
本プリンタは、図1に示すように、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト101に沿って画像形成部102Y(イエロー),102M(マゼンタ),102C(シアン),102K(黒)が設けられている。また、各画像形成部102Y,102M,102C,102Kにより形成されたトナー像は、一次転写装置106Y,106M,106C,106Kにより中間転写ベルト101上へ転写される。また、後述する中間転写ベルト上に転写されたトナー像のトナー付着量を検出するトナー付着量検知手段としての画像検出装置110が中間転写ベルト101に対向して設けられている。中間転写ベルト101上のトナー像は二次転写装置111により記録材としての転写紙112へ転写される。
【0014】
図2は、画像形成部102Y,102M,102C,102Kの概略構成を示した説明図である。なお、各画像形成部102Y,102M,102C,102Kの構成は同様のものであるので、以下互いに区別することなく説明する。
感光体202の周りには、感光体表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置201、書き込み光Lにより感光体表面に静電潜像を書き込む露光手段としての書込装置203、静電潜像をトナーによって現像する現像手段としての現像装置205、感光体上の転写残トナーなどをクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーナ206、及び、感光体表面を除電する除電手段としてのイレーズ(除電装置)207、電位検知手段としての電位センサ210が設けられている。
【0015】
本実施形態の感光体は、感光体表面層にフィラーを含有させた高硬度感光体である。この感光体は、感光体表面層にフィラーを含有しない一般的な感光体と同様に、図14(a)及び(b)に例示したような感光特性、すなわち、露光量の変化に対する露光部電位の変化割合が露光量の増大につれて徐々に小さくなる感光特性をもっている。また、本実施形態の感光体は、図15に例示したように、残留露光部電位Vrが経時的に徐々に高まる特性をもっている。したがって、本実施形態の感光体は、画像形成時に使用する露光パワーの範囲内における露光パワーと露光部電位VLとの対応関係が経時的に大きく変化するものである。
【0016】
本実施形態の帯電装置201は、スコロトロンチャージャからなる非接触式帯電器であり、スコロトロンチャージャのグリッド電圧(帯電バイアス)Vgを目標帯電電位(本実施形態ではマイナス電位)に設定することで、感光体表面の電位をその目標帯電電位にするものである。なお、帯電装置201は、これに限らず、他の非接触式帯電器や、接触式帯電器を用いることもできる。
【0017】
本実施形態の書込装置203は、光源としてレーザーダイオード(LD)を用い、断続的な書き込み光すなわち繰り返しパルス状の書き込み光Lを照射することで、感光体表面上に1ドットごとの静電潜像(1ドット静電潜像)を形成する。本実施形態では、1ドット静電潜像を形成する際の露光時間(単位露光時間)を変更することで、1ドット静電潜像に付着するトナー付着量を制御して階調制御を行うことが可能となっている。本実施形態では、最大単位露光時間を15分割(それぞれの単位露光時間を以下「露光デューティ」という。)して、16階調の階調制御が可能となっている。したがって、本実施形態では、露光デューティを、0(露光しない)〜15(最大単位露光時間)の16段階で調整可能となっている。
【0018】
本実施形態の現像装置205は、感光体表面に対向配置される現像剤担持体としての現像ローラを備えており、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を現像ローラ上に担持させて、感光体表面にトナーを供給する。現像ローラには、絶対値が露光部電位VLよりも十分に大きくかつ帯電電位Vdよりも十分に小さい現像バイアスVbを印加されている。これにより、感光体表面と現像ローラとが対向する現像領域において、感光体表面上の静電潜像(露光部)に向けてトナーを移動させ、かつ、感光体表面上の非静電潜像(非露光部)にはトナーが移動しないような電界を形成でき、静電潜像をトナーで現像することができる。
【0019】
画像形成を行うときには、まず、感光体202の表面が一様に目標帯電電位(マイナス電位)となるように、帯電装置201により感光体表面を帯電する。次に、帯電された感光体表面部分に対し、画像データに応じた書き込み光Lを書込装置203の光源(LD)から感光体202Yへ露光し、これにより感光体表面の露光部分の電位(絶対値)が下がることにより、感光体表面に静電潜像が形成される。この後、感光体202上に形成された静電潜像(本実施形態では露光部)は、現像装置205の現像剤担持体である現像ローラ上に担持されたトナーによってトナー像に現像される。具体的には、現像ローラに対し、絶対値が露光部電位VLよりも大きくかつ帯電電位Vdよりも小さい現像バイアスVbを印加して、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーを静電的に静電潜像に付着させることにより現像する。
【0020】
感光体202上に形成されたトナー像は、一次転写装置106により中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101に転写されずに感光体202上に残った転写残トナーは感光体クリーナ206で回収される。また、中間転写ベルト101上にトナー像を転写した後の感光体表面は、イレーズ207により一様に除電光が照射されることにより、非静電潜像部分が除電されて、一様に除電された状態になる。
【0021】
このようにして各画像形成部102Y,102M,102C,102Kで形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト101上に互いに重なり合うように一次転写される。その後、中間転写ベルト101上に転写された各色トナー像を二次転写装置111により中間転写ベルト101から転写紙112へ転写し、図示しない定着装置によってトナー像が転写紙112に定着され一連の印刷プロセスを終了する。
【0022】
次に、出力画像の安定化を図るために、規定の1ドット静電潜像に対するトナー付着量を安定させるためのプロセス制御にについて説明する。
また、ここでは、説明を簡略化するため、帯電バイアスVg、現像バイアスVb及び露光パワー(以下「LDパワー」という。)を調整する制御を中心に説明する。
なお、本実施形態では、このプロセス制御中に、書込装置203が画像形成時に用いる基準露光量を調整する露光量調整制御が含まれるが、露光量調整制御をプロセス制御とは別に行ってもよい。
【0023】
図3は、本実施形態におけるプロセス制御に関わる制御系を示すブロック図である。
本実施形態のプロセス制御では、まず、中間転写ベルト101に所定の条件によって通常の画像形成動作によりトナーパターン(トナー像)である濃度パッチ113を形成し、この濃度パッチ113のトナー付着量を光学式反射濃度センサである後述する光学センサ301,302で構成される画像検出装置110で検出する。制御部41は、画像検出装置110の検出結果に基づき、帯電装置201のグリッド電圧(帯電バイアス)Vg、現像装置205の現像バイアスVb及び書込装置203のLDパワーを調整する。
【0024】
図4(a)は、黒用の画像検出装置110を構成する光学センサ301の概略構成を示す説明図であり、図4(b)は、他色(カラー)用の画像検出装置110を構成する光学センサ302の概略構成を示す説明図である。
光学センサ301は、発光素子303と、濃度パッチ113や中間転写ベルト101の表面からの正反射光を受光する正反射光受光素子304とから構成されている。一方、光学センサ302は、発光素子303、濃度パッチ113や中間転写ベルト101の表面からの正反射光を受光する正反射光受光素子304のほか、さらに、濃度パッチ113や中間転写ベルト101の表面からの拡散反射光を受光する拡散反射光受光素子305から構成されている。光学センサ301及び光学センサ302は、図5に示すように、中間転写ベルト101上に形成した濃度パッチ113と対向し得る位置にそれぞれ配置されている。制御部41は、書き込み光Lの書き込み開始後、濃度パッチ113が光学センサ301及び光学センサ302との対向位置に到達するタイミングに合わせて、正反射光受光素子304や拡散反射光受光素子305からの出力電圧を検出し、その検出結果(センサ検知結果)に対して付着量変換処理を行うことにより、各濃度パッチ113のトナー付着量を導出する。具体的には、例えば、出力電圧とトナー付着量との対応関係を記述した変換テーブルを予めROM44に記憶しておき、この変換テーブルを用いてトナー付着量を導出する。または、例えば、出力電圧をトナー付着量に変換する変換式を演算させてトナー付着量を導出するようにしてもよい。
【0025】
図6は、本実施形態におけるプロセス制御の主要な処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態においては、転写紙112上に形成される低濃度から高濃度までの画像に対して適切に付着量変換処理を実行できるようにプロセス制御を行うときのトナー階調パターンの目標トナー付着量範囲が、0[mg/cm2]付近から0.5[mg/cm2]までの範囲内である場合について説明する。
【0026】
プロセス制御においては、画像検出装置110の校正や異常検査などの前処理工程を終えた後、まず、現在設定されている帯電バイアスVg0、現像バイアスVb0、露光パワーLDP等の画像形成条件(前回のプロセス制御で設定された画像形成条件)で、10階調の濃度パッチを感光体表面上に形成する(S1)。そして、このときの帯電電位(非露光部電位)Vd0を電位センサ210で検知する(S2)。また、これらの10階調の濃度パッチに付着したトナー付着量を、画像検出装置110で検知する(S3)。そして、上記S2で検知した帯電電位Vd0と、上記S3で検知した検知した10階調分のトナー付着量とから、現時点における現像γ(ガンマ)を算出する(S4)。
【0027】
図7は、高温高湿環境(32[℃]、54[%])と低温低湿環境(10[℃]、15[%])の環境下においてトナー階調パターンを形成したときの現像ポテンシャルに対するトナー付着量を実測した結果を示すグラフである。なお、このグラフは、横軸に現像ポテンシャルをとり、縦軸にトナー付着量をとっている。現像γとは、このグラフの傾きを示すパラメータであり、現像ポテンシャルとトナー付着量との対応関係を示すパラメータである。ここで、現像ポテンシャルとは、感光体上の露光部電位VLと現像バイアスVbとの電位差を示すものであり、現像ポテンシャルが大きければ1ドット静電潜像に付着するトナー量が多くなり、画像濃度が高まることになる。また、後述する地肌ポテンシャルとは、感光体上の非露光部電位すなわち帯電電位Vdと現像バイアスVbとの電位差を示すものであり、地肌ポテンシャルが小さすぎると非露光部にトナーが付着してしまう地汚れが発生し、地肌ポテンシャルが大きすぎると現像剤中の磁性キャリアが感光体表面に付着してしまうキャリア付着が発生する。
【0028】
高温高湿環境の場合、本実施形態における目標トナー付着量範囲の最大トナー付着量(目標最大トナー付着量)である0.5[mg/cm2]の濃度パッチを形成するためには、図7に示されるように現像ポテンシャルとして360[V]が必要となる。これに対し、低温低湿環境では0.5[mg/cm2]の濃度パッチを形成するためには、500[V]の現像ポテンシャルが必要となる。このように0.5[mg/cm2]という同じトナー付着量で濃度パッチを形成するのに必要な現像ポテンシャルは温度湿度環境によって異なる。温度湿度環境によって現像ポテンシャルが異なる理由は、温度湿度環境によりトナーの帯電量が変化することが挙げられる。一般的に高温高湿度環境ではトナーの帯電量が小さくなるため、同じ現像ポテンシャルでもトナー付着量が増加し、反対に低温低湿度環境ではトナーの帯電量が大きくなるためトナー付着量が減少する。
【0029】
このように、温度湿度環境の変動によって、目標の画像濃度(目標のトナー付着量)を得るための現像ポテンシャルが変わってくる。また、温度湿度環境以外の要因でも目標のトナー付着量を得るための現像ポテンシャルが変わってくる。したがって、適当なタイミングで現時点における現像γを確認し、その現像γから目標のトナー付着量を得るための現像ポテンシャルを求めて、各種画像形成条件(帯電バイアスVg、現像バイアスVb、基準露光量(基準露光パワー、基準露光デューティ))を決定する必要がある。
【0030】
そこで、本実施形態では、上記S4で算出した現像γから、目標最大トナー付着量である0.5[mg/cm2]のトナー付着量を得るための現像ポテンシャルVbLを算出する(S5)。そして、目標最大トナー付着量を得るべく画像形成するときの現像ポテンシャルが、上記S5で算出した現像ポテンシャルVbLとなるように、各種画像形成条件を調整する。以下、この調整方法について、具体的に説明する。
【0031】
本実施形態においては、現在設定されている帯電バイアスVg0及び現像バイアスVb0を印加した状態で、基本露光パワーLDP0の1.5倍(150%)の露光パワーLDP’で、かつ、露光デューティを最大値(15)にして、感光体表面を露光する。そして、これにより形成された静電潜像(露光部)の電位を、残留露光部電位Vr’として、電位センサ210により検知する(S6)。この残留露光部電位Vr’は、最終的な残留露光部電位Vrを検知する際に用いる現像バイアスVb’と目標帯電電位Vd’とを求めるためのものである。
【0032】
次に、本実施形態においては、上記S6で検知した残留露光部電位Vr’から、下記の数式(1)により、このときの暫定的な基準露光部電位VL0’を算出する(S7)。なお、基準露光部電位とは、基準露光量(基準露光パワーLDP、基準露光デューティ)で露光したときの露光部電位である。
VL0’= Vr’−50 ・・・(1)
ここで、残留露光部電位Vr’に−50[V]を加算した値を基準露光部電位VL0’と設定しているのは、一般に、基準露光部電位は、残留露光部電位Vr’に−50[V]を加算した値付近に存在することが経験的に認められるからである。なお、この暫定の基準露光部電位VL0’と実際の基準露光部電位VL0との誤差は、後述する補正処理により補正される。
【0033】
次に、このようにして求めた暫定の基準露光部電位VL0’から、まず、最終的な残留露光部電位Vrを検知する際に用いるVr検知用の現像バイアスVb’を、下記の数式(2)により算出する。
Vb’= VbL+VL0’ ・・・(2)
続いて、上記数式(2)により算出したVr検知用の現像バイアスVb’から、Vr検知用の目標帯電電位Vd’を、下記の数式(3)により算出する。
Vd’= Vb’+Vbg ・・・(3)
【0034】
ここで、上記数式(3)中の地肌ポテンシャルVbgは、従来は一定値(例えば200[V])が使用されていたが、後述する理由により、本実施形態では現像ポテンシャルVbLに応じて変更される可変値とする。具体的には、地肌ポテンシャルVbgは下記の数式(4)から算出される(S8)。
Vbg = VbL×α ・・・(4)
上記数式(4)中のαは、現像ポテンシャルVbLに対する地肌ポテンシャルVbgの好適な比率を示すパラメータであり、以下、地肌ポテンシャル決定係数という。この地肌ポテンシャル決定係数αは、以下の観点から、実験的に求まる値である。
【0035】
下記の表1は、地肌ポテンシャル決定係数αを求めるための実験条件及び実験結果を示す表である。
【表1】
【0036】
本実験では、前提として、トナー補給を行わないようにし、各種画像形成条件は実験中に変更しないようにする。そして、まず、帯電電位Vdが約900[V]となるようにそれぞれ調整する。また、上記表1に示した実験条件のように地肌ポテンシャルを異ならせた状態で、現像バイアスVb及び露光パワーを上記表1に示した実験条件に合わせて設定する。その後、印刷しながら、ベタ画像の画像濃度IDが1.6となるまで強制的にトナー補給を行い、画像濃度IDが1.6となった条件で、1ドット細線の線幅測定用の画像を1枚印刷する。また、1ドット細線の線幅測定用の画像についての感光体表面上におけるトナー像を採取し、トナー付着量を測定する。また、ハーフトーン画像を印刷し、そのハーフトーン濃度を測定する。この実験は、帯電電位Vdが約700[V]、約500[V]の場合についても同様に行う。
【0037】
図8(a)及び(b)は、帯電電位Vdが900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の縦線(感光体表面移動方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。なお、図8(a)は、横軸に地肌ポテンシャルをとったものであり、図8(b)は横軸に現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率をとったものである。
図9(a)及び(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の横線(感光体表面移動方向に対して直交する方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。なお、図9(a)は、横軸に地肌ポテンシャルをとったものであり、図9(b)は横軸に現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率をとったものである。
これらのグラフは、トナー付着量(画像濃度)がすべて目標最大付着量である0.5[mg/cm2]となるように現像γや現像ポテンシャルを調整した状態で、地肌ポテンシャルを変更したものである。
【0038】
図8(a)及び図9(a)からわかるように、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整しても、地肌ポテンシャルの違いにより、帯電電位Vdの違いにかかわらず、細線の線幅が異なってくるという画質変化が起きる。これは、地肌ポテンシャルの違いに応じて、露光部における非露光部との境界部分に付着するトナーに対する、非露光部と現像ローラとの間の電界(以下、「地肌部電界」という。)の影響が異なってくるからだと推測される。より詳しくは、トナーを現像ローラ側へ移動させる地肌部電界が強くなると、露光部における非露光部との境界部分からトナーを取り除く又はその境界部分にトナーを付着させない作用が高まり、その結果、露光部の面積に対するトナー付着面積が小さくなる。この結果が、細線の線幅が狭くなるという画質劣化として顕在化したものと推測される。逆に、トナーを現像ローラ側へ移動させる地肌部電界が弱くなると、露光部の面積に対するトナー付着面積が大きくなって、細線の線幅が広くなるという画質劣化として顕在化する。
【0039】
ここで、図8(a)及び図9(a)は、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整したものであるが、このような調整を行う場合に地肌ポテンシャルが従来のように固定値(例えば200[V])であると、帯電電位Vdの違いにより細線の線幅が異なってしまうことがわかる。本実施形態のプロセス制御でも、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルの調整を行うので、地肌ポテンシャルが固定値であると、細線の線幅が変化する画質変化が生じてしまう。特に、本実施形態では、上述したように残留露光部電位Vrが経時的に徐々に高まる特性をもった感光体を使用している。そのため、経時的に同じトナー付着量を確保するためには、適切な現像ポテンシャルを確保するために現像バイアスを経時的に徐々に高める必要が生じる。そして、現像バイアスの上昇に伴い、固定値である地肌ポテンシャルを維持すべく、帯電電位Vdが経時的に徐々に高まるように調整される。そのため、地肌ポテンシャルが固定値(例えば200[V])であると、経時的に細線の線幅が太くなるという画質劣化が生じる。
【0040】
一方で、図8(b)及び図9(b)を見ると、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整する場合でも、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が一定であれば、帯電電位Vdが異なっていても細線の線幅が変化しないことが理解できる。これは、この比率が一定であれば、露光部における非露光部との境界部分に付着するトナーに対する、露光部と現像ローラとの間の現像電界による影響と、非露光部と現像ローラとの間の地肌部電界による影響とが安定し、その結果、現像ポテンシャルや地肌ポテンシャルが変化しても、露光部の面積に対するトナー付着面積はほとんど変化しないためだと推測される。
【0041】
以上より、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを確保しつつ、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率(地肌ポテンシャル決定係数)が一定になるように地肌ポテンシャルを調整することで、一定の画像濃度を維持しつつ細線の線幅が変化するという画質変化を抑制できる。
【0042】
また、図10(a)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の地肌ポテンシャルとハーフトーン濃度との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。図10(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率とハーフトーン濃度との対応関係を示す上記実験結果のグラフである。
図10(a)は、ベタ画像のトナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整した場合において、地肌ポテンシャルが従来のように固定値(例えば200[V])であると、帯電電位Vdの違いによりハーフトーン濃度が異なってしまうことを示している。本実施形態のプロセス制御でも、ベタ画像のトナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルの調整を行うので、地肌ポテンシャルが固定値であると、ハーフトーン濃度が変化する画質変化が生じてしまう。特に、本実施形態では、残留露光部電位Vrが経時的に徐々に高まる特性をもった感光体を使用しているため、上述したように帯電電位Vdが経時的に徐々に高まるように調整される。そのため、地肌ポテンシャルが固定値(例えば200[V])であると、経時的にハーフトーン濃度が低下するという画質劣化が生じる。
【0043】
一方で、図10(b)を見ると、ベタ画像のトナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを調整する場合、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が一定であれば、帯電電位Vdが異なっていてもハーフトーン濃度が変化しないことが理解できる。これは、上述した細線の線幅の場合と同様の理由によるものと考えられる。
【0044】
以上より、トナー付着量が一定となるように現像ポテンシャルを確保しつつ、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率(地肌ポテンシャル決定係数)が一定になるように地肌ポテンシャルを調整することで、一定の画像濃度を維持しつつハーフトーン濃度が変化するという画質変化も抑制できる。
【0045】
そして、上述した実験結果からすれば、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率すなわち地肌ポテンシャル決定係数αは、0.40〜0.80の範囲内、好ましくは0.40〜0.45の範囲内であれば、上述した画質変化を良好に抑制できる。なお、本実施形態では、地肌ポテンシャル決定係数αを0.4に設定するものとする。
【0046】
このようにして、地肌ポテンシャルVbgは、上記数式(4)により、上記S5で算出した現像ポテンシャルVbLに地肌ポテンシャル決定係数αを乗じて算出される。しかし、上述したように、地肌ポテンシャルVbgが小さすぎると地汚れが発生し、地肌ポテンシャルVbgが大きすぎるとキャリア付着が発生する。したがって、地汚れやキャリア付着が発生しない範囲から外れた地肌ポテンシャルVbgを設定すると、上述した細線の線幅変化やハーフトーン濃度変化よりも深刻な不具合が生じてしまう。
【0047】
よって、本実施形態では、地汚れやキャリア付着が発生しない規定範囲から外れた地肌ポテンシャルVbgが設定されないように、次のような処理を行っている。すなわち、上記数式(4)により算出した地肌ポテンシャルVbgが規定範囲の上限値(VbgMAX)よりも高い値である場合には、その上限値VbgMAXを地肌ポテンシャルVbgとして算出し、以後の処理に使用する。また、上記数式(4)により算出した地肌ポテンシャルVbgが規定範囲の下限値(VbgMIN)よりも低い値である場合には、その下限値VbgMINを地肌ポテンシャルVbgとして算出し、以後の処理に使用する。
【0048】
次に、上記S7で算出した暫定の基準露光部電位VL0’から、最終的な残留露光部電位Vrを検知する際に用いるVr検知用の現像バイアスVb’を上記数式(2)により算出する(S9)。また、上記数式(2)により算出したVr検知用の現像バイアスVb’と、上記S8で算出した地肌ポテンシャルVbgとを用いて、上記数式(3)により、Vr検知用の目標帯電電位Vd’を算出する(S9)。
【0049】
そして、帯電電位がVr検知用の目標帯電電位Vd’となるように、Vr検知用の帯電バイアスVg’を設定する(S10)。
具体的には、まず、帯電バイアスを予め決められた固定値(本実施形態では−550[V])に設定し、また、現像バイアスも予め決められた固定値(本実施形態では−350[V])に設定した条件下で、感光体表面を帯電させ、このときの帯電電位を電位センサ210で検知する。この検知結果が上記S9で算出した目標帯電電位Vd’を中心とした目標範囲内(本実施形態ではVd’±5[V])であれば、この測定に用いた上記固定値(−550[V])をVr検知用の帯電バイアスVg’に設定する。
一方、この検知結果が目標範囲内から外れている場合には、帯電バイアスの固定値(−550[V])及びその検知結果(帯電電位)と、プロセス制御の前処理時に用いた帯電バイアス(本実施形態では−700[V])及びそのときに電位センサ210で検知した帯電電位とを用いて、現時点における帯電バイアスと帯電電位との関係を最小二乗法により1次近似して概略関係式(1次近似式)を求める。そして、この1次近似式から、Vr検知用の目標帯電電位Vd’に対応するVr検知用の帯電バイアスを特定する。その後、ここで特定したVr検知用の帯電バイアスを用いて再び感光体表面を帯電させ、このときの帯電電位を電位センサ210で検知する。この検知結果が目標範囲内であれば、上記で特定したVr検知用の帯電バイアスをVr検知用の帯電バイアスVg’に決定する。この検知結果が目標範囲内から外れている場合には、さらに、このときの測定結果も加えて、さらに帯電バイアスと帯電電位との関係を示す1次近似式を求め、検知結果が目標範囲内に入るまで同様の処理を繰り返す。
【0050】
ここで、使用する帯電装置201の仕様等により、設定できる帯電バイアスの範囲に制限がある場合が多い。本実施形態では、帯電バイアスの設定可能範囲は、−450[V]以上−900[V]以下の範囲に制限される。よって、本実施形態では、上記のように決定したVr検知用の帯電バイアスVg’が帯電バイアスの設定可能範囲の上限値(VgMAX=−900[V])を越える場合には、その上限値VgMAXを帯電バイアスVg’として設定する。一方、上記のように決定したVr検知用の帯電バイアスVg’が帯電バイアスの設定可能範囲の下限値(VgMIN=−450[V])を下回る場合には、その下限値VgMINを帯電バイアスVg’として設定する。
【0051】
また、上記のように設定したVr検知用の帯電バイアスVg’に応じ、地肌ポテンシャルが上記S8で算出した地肌ポテンシャルVbgとなるように、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正して設定する(S10)。
図11は、帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
図12は、帯電バイアスVg’が帯電バイアス下限値VgMINに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
図13は、帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXと帯電バイアス下限値VgMINとの間に設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXに設定された場合、図11に示すように、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXに設定されていれば(S21のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(5)により求まる値に修正する(S22)。
Vbg=Vbg1=VbgMAX−(Vd’[算出値]−VgMAX)×β1 ・・・(5)
上記数式(5)中のVd’[算出値]とは、上記S9で算出したVr検知用の目標帯電電位Vd’であり、上記S10で検出した帯電電位Vd’[検出値]と区別したものである。また、上記数式(5)中のβ1は、帯電バイアスの設定可能範囲内で現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率を一定にするための係数であり、通常は地肌ポテンシャル決定係数αと同様の値に設定される。
一方、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMINに設定されていれば(S23のYes)、地肌ポテンシャルVbgの修正は行わず(S24)、そのまま下限値VbgMINとする。
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとのに設定されていれば(S23のNo)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(6)により求まる値に修正する(S25)。
Vbg=Vbg2=Vbg−(Vd’[算出値]−VgMAX)×β1 ・・・(6)
【0053】
続いて、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMIN以下である場合(S26のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下限値VbgMINに再修正した後(S27)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(7)により求まる値に設定する(S28)。
Vb’= VgMAX−VbgMIN ・・・(7)
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとの間である場合(S26のNo)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(8)により求まる値に設定する(S29)。
Vb’= VgMAX−Vbg ・・・(8)
【0054】
また、帯電バイアスVg’が帯電バイアス下限値VgMINに設定された場合、図12に示すように、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXに設定されていれば(S31のYes)、地肌ポテンシャルVbgの修正は行わず(S32)、そのまま上限値VbgMAXとする。
一方、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMINに設定されていれば(S33のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(9)により求まる値に修正する(S34)。
Vbg=Vbg3=VbgMIN−(Vd’[算出値]−VgMIN)×β2 ・・・(9)
上記数式(5)中のβ2は、上記β1と同様、帯電バイアスの設定可能範囲内で現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率を一定にするための係数であり、通常は地肌ポテンシャル決定係数αと同様の値に設定される。
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとのに設定されていれば(S33のNo)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(10)により求まる値に修正する(S35)。
Vbg=Vbg4=Vbg−(Vd’[算出値]−VgMIN)×β2 ・・・(10)
【0055】
続いて、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAX以上である場合(S36のYes)、地肌ポテンシャルVbgを上限値VbgMAXに再修正した後(S37)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(11)により求まる値に設定する(S38)。
Vb’= VgMIN−VbgMAX ・・・(11)
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとの間である場合(S36のNo)、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(12)により求まる値に設定する(S39)。
Vb’= VgMIN−Vbg ・・・(12)
【0056】
また、帯電バイアスVg’が帯電バイアスの上限値VgMAXと下限値VgMINとの間に設定された場合、図13に示すように、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXに設定されていれば(S41のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(13)により求まる値に修正する(S42)。
Vbg=Vbg5=VbgMAX−(Vd’[算出値]−Vd’[検出値]) ・・・(13)
一方、地肌ポテンシャルVbgが下限値VbgMINに設定されていれば(S43のYes)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(14)により求まる値に修正する(S44)。
Vbg=Vbg6=VbgMIN−(Vd’[算出値]−Vd’[検出値]) ・・・(14)
他方、地肌ポテンシャルVbgが上限値VbgMAXと下限値VbgMINとのに設定されていれば(S43のNo)、地肌ポテンシャルVbgを下記の数式(15)により求まる値に修正する(S45)。
Vbg=Vbg7=Vbg−(Vd’[算出値]−Vd’[検出値]) ・・・(15)
その後、Vr検知用の現像バイアスVb’を下記の数式(16)により求まる値に設定する(S47)。
Vb’= Vd’[検出値]−Vbg ・・・(16)
【0057】
次に、以上のように設定したVr検知用の暫定の帯電バイアスVg’及び現像バイアスVb’を用い、上記S6の場合と同様の方法、具体的には、基本露光パワーLDP0の1.5倍(150%)の露光パワーLDP’で、かつ、露光デューティを最大値(15)にして、感光体表面を露光する。そして、これにより形成された静電潜像(露光部)の電位を、最終的な残留露光部電位(検知残留電位)Vrとして、電位センサ210により検知する(S11)。
【0058】
その後、本実施形態では、目標帯電電位Vd’と残留露光部電位Vrとから、露光量の変化に対する感光体表面の露光部電位の変化割合が大きい低露光量領域、図14(a)及び(b)に示したグラフで言えばおおよそグラフ中央からその左側にわたる領域、に属する調整用露光部電位Vplを、下記の数式(17)により算出する(S12)。
Vpl = (Vd’−Vr)÷3+Vr ・・・(17)
そして、ここで新たに検出した残留露光部電位Vrを用いて上記S7〜S10までの処理と同様の処理を行うことにより、暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"を再設定する(13)。
【0059】
次に、調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワー(プレ基準露光量)を特定する(S14)。ただし、本実施形態の調整用露光部電位Vplは、おおよそ、基準露光部電位の1/3に相当する付近をとる。そのため、この付近で最適なVpl用露光パワーを探すために、このときの露光デューティは、基準露光量(露光デューティ=15/15)の1/3である5/15の露光デューティを用いる。
調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワーを特定するにあたり、露光デューティを5/15に固定したまま、露光パワーを基本露光パワーLDP0の60%、80%、100%、120%、150%と順次切り替えて、静電潜像(露光部)を作成する。なお、このときの帯電バイアス及び現像バイアスは、上記S13で設定した暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"である。そして、各露光部の電位を電位センサ210で検知するとともに、このときの帯電電位Vdも電位センサ210で検知する。そして、各露光部に対応する露光パワーと、そのときの帯電電位Vd及び残留露光部電位Vrとから上記数式(17)により求まる各調整用露光部電位Vplとの対応関係を示す5つのデータ組を算出する。そして、各データ組により、露光パワーと調整用露光部電位Vplとの関係を最小二乗法により1次近似して概略関係式(1次近似式)を求め、この1次近似式から、上記S12で算出した調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワーを特定する。
【0060】
その後、ここで特定したVpl用露光パワー(露光デューティ=5/15)を用いて感光体表面を露光し、このときの露光部電位を電位センサ210で検知する。この検知結果が目標範囲内(上記S12で算出した調整用露光部電位Vplの±3[V]以内)であれば、上記で特定した特定したVpl用露光パワーをそのまま用いる。一方、この検知結果が目標範囲内から外れている場合には、さらに、上記で特定した特定したVpl用露光パワーを所定の調整値で調整し、この調整したVpl用露光パワーを用いて感光体表面を再び露光し、このときの露光部電位を電位センサ210で検知する処理を、その検知結果が目標範囲内に入るまで繰り返し行う。
【0061】
このようにして、調整用露光部電位Vplを得るためのVpl用露光パワーを特定したら、次に、このVpl用露光パワーを、基準露光量の露光デューティである15/15露光デューティの露光パワーに換算する(S15)。本実施形態では、Vpl用露光パワーを特定するために用いた露光デューティが基準露光量の露光デューティ(15/15)の1/3であったので、上記S14で特定したVpl用露光パワーを3倍して15/15露光デューティの露光パワーに換算する。
【0062】
次に、このようにして換算して得た換算露光パワーから基準露光パワーを決定する(S16)。ここで、本実施形態の条件では、換算露光パワーと基準露光パワーとの関係は、約2/3になることが予め実験等により把握されている。したがって、本実施形態では、換算露光パワーに2/3を乗じて得られる値を基準露光パワーとして決定する。なお、この換算値(本実施形態では2/3)は、実験等により適宜設定される。
【0063】
以上のようにして基準露光パワーを求めたら、最後に、上記S7におおいて暫定的に決めた基準露光部電位VL0’と実際の基準露光部電位VL0との誤差を補正するための補正処理を行う。具体的には、まず、基準露光量(上記S16で決定した基準露光パワー、15/15露光デューティ)で静電潜像(露光部)を作成し、その露光部の電位(基準露光部電位VL0)を電位センサ210で検知する(S17)。なお、このときの帯電バイアス及び現像バイアスは、上記S13で設定した暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"である。このようにして検知した基準露光部電位VL0と、上記S7におおいて暫定的に決めた基準露光部電位VL0’との差分ΔVLを算出する(S18)。そして、この差分ΔVLを補正値とし、上記S13で設定した暫定の帯電バイアスVg"及び現像バイアスVb"を補正して、最終的な帯電バイアスVg及び現像バイアスVbを決定する(S19)。したがって、最終的な帯電バイアスVgは下記の数式(18)となり、最終的な現像バイアスVbは下記の数式(19)となる。ただし、補正後の帯電バイアスVg及び現像バイアスVbが予め設定されているそれぞれ上下限値を越える場合には、補正前の帯電バイアスVg及び現像バイアスVbを最終的な値として用いる。
Vg = Vg"−ΔVL ・・・(18)
Vb = Vb"−ΔVL ・・・(19)
【0064】
本実施形態では、帯電バイアスVgが上限値VgMAXを越えて設定されることがないように、現像ポテンシャルと地肌ポテンシャルの両方を調整している。具体的には、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が地肌ポテンシャル決定係数αに維持されるように調整している。このような調整により、帯電バイアスVgが上限値VgMAXを越えて設定されることを防止しつつ、細線の線幅変化やハーフトーン濃度の変化などの画質変化を抑制することができる。ただし、この場合には、現像ポテンシャルが若干低めに設定されることになるため、画像濃度がわずかに低下し、多少の画質変化が起きるおそれがある。よって、画像濃度の維持を優先する場合には、帯電バイアスVgが上限値VgMAXを越えた分については地肌ポテンシャルだけ調整してもよい。この場合、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率が若干変化するため、細線の線幅変化やハーフトーン濃度の変化などの画質変化がわずかに発生するおそれがあるが、画像濃度の変化は防止できる。
【0065】
以上、本実施形態に係るプリンタは、感光体202と、感光体202の表面が目標帯電電位となるような帯電バイアスで感光体202の表面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電装置201と、帯電装置201によって帯電した感光体202の表面を基準露光量に応じた露光量で露光することにより静電潜像を形成する露光手段としての書込装置203と、感光体202の表面に形成された静電潜像に対して現像バイアスが印加された現像剤担持体としての現像ローラ上のトナーを付着させて感光体202の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置205とを備え、感光体202の表面に形成されたトナー像を最終的に記録材としての転写紙112上へ転移させることにより転写紙112上に画像を形成する画像形成装置である。本プリンタは、トナー付着量を検知するトナー付着量検知手段としての画像検出装置110と、所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンとしての濃度パッチ113を感光体202の表面に形成して、濃度パッチ113のトナー付着量を画像検出装置110により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルVbLを得るべく、帯電バイアス並びに基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するプロセス制御を行う制御手段としての制御部41とを有している。そして、制御部41は、現像ポテンシャルVbLに対する地肌ポテンシャルVbgの比率である地肌ポテンシャル決定係数αが予め決められた目標比率(本実施形態では0.4)となるように、プロセス制御を行う。これにより、上述したように、環境変動や経時変化に応じて目標の現像ポテンシャルVbLが変化しても、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルVbgの比率(地肌ポテンシャル決定係数α)を目標比率(0.4)に維持できるので、細線の線幅が変化するという画質変化を抑制できる。
また、本実施形態において、制御部41は、目標の現像ポテンシャルVbLに上記比率(地肌ポテンシャル決定係数α)を乗じて得られる地肌ポテンシャルVbgが予め決められた規定範囲内である場合には、現像ポテンシャルVbLに対する地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるようにプロセス制御を行い、その地肌ポテンシャルVbgが規定範囲内から外れる場合には、地肌ポテンシャルを規定範囲内の値(上限値VbgMAX又は下限値VbgMIN)に決定し、かつ、現像ポテンシャルVbLに対する決定後の地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるようにプロセス制御を行う。これにより、細線の線幅が変化する画質変化を抑制するために地肌ポテンシャルが規定範囲から外れて、地肌ポテンシャルが高すぎることによって生じる不具合(キャリア付着、ハーフトーン部の端部カスレ等)や、地肌ポテンシャルが低すぎることによって生じる不具合(地汚れ等)が生じるという、より深刻な事態が発生するのを防止できる。
また、本実施形態において、制御部41は、プロセス制御において、目標の現像ポテンシャルVbLと、これに地肌ポテンシャル決定係数αを乗じて得られる地肌ポテンシャルVbgとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内から外れる場合、帯電バイアスを規定範囲内の値(上限値VgMAX又は下限値VgMIN)に調整し、かつ、現像ポテンシャルVbLに対する決定後の地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるように基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整する。これにより、帯電バイアスの設定可能範囲内で、細線の線幅が変化する画質変化を抑制することができる。
なお、上述したように、目標の現像ポテンシャルVbLとこれに地肌ポテンシャル決定係数αを乗じて得られる地肌ポテンシャルVbgとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内である場合には、現像ポテンシャルVbLに対する決定後の地肌ポテンシャルVbgの比率が目標比率となるようにプロセス制御を行い、その目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内でない場合には、帯電バイアスを規定範囲内の値に調整し、かつ、調整後の帯電バイアスと目標帯電バイアスとの差を地肌ポテンシャルから差し引いた後の差引後地肌ポテンシャルと上記現像ポテンシャルとに応じて基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するようにプロセス制御を行うようにしてもよい。この場合、帯電バイアスの設定可能範囲内で、細線の線幅が変化する画質変化の抑制よりも、画像濃度を維持することを優先した調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部の概略構成を示した説明図である。
【図2】同プリンタの画像形成部の概略構成を示した説明図である。
【図3】実施形態におけるプロセス制御に関わる制御系を示すブロック図である。
【図4】(a)は、黒用の画像検出装置を構成する光学センサの概略構成を示す説明図であり、(b)は、他色(カラー)用の画像検出装置を構成する光学センサの概略構成を示す説明図である。
【図5】光学センサ301及び光学センサ302の配置例を示す説明図である。
【図6】実施形態におけるプロセス制御の主要な処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】高温高湿環境と低温低湿環境の環境下においてトナー階調パターンを形成したときの現像ポテンシャルに対するトナー付着量を実測した結果を示すグラフである。
【図8】(a)及び(b)は、帯電電位Vdが900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の縦線(感光体202表面移動方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す実験結果のグラフである。
【図9】(a)及び(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合に、地肌ポテンシャルを変更して1ドット幅の横線(感光体202表面移動方向に対して直交する方向に対応する方向に延びる線)を画像形成したときの地肌ポテンシャルと線幅との対応関係を示す実験結果のグラフである。
【図10】(a)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の地肌ポテンシャルとハーフトーン濃度との対応関係を示す実験結果のグラフであり、(b)は、帯電電位Vdを900[V]、700[V]、500[V]である場合の、現像ポテンシャルに対する地肌ポテンシャルの比率とハーフトーン濃度との対応関係を示す実験結果のグラフである。
【図11】帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】帯電バイアスVg’が帯電バイアス下限値VgMINに設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】帯電バイアスVg’が帯電バイアス上限値VgMAXと帯電バイアス下限値VgMINとの間に設定された場合に、Vr検知用の現像バイアスVb’を修正するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】(a)は、高温高湿環境下において、所定回数の作像後におけるレーザダイオード(LD)の露光パワーと各露光部電位VLとの関係を示すグラフであり、(b)は、低温低湿環境下において、同じ回数の作像後におけるLDの露光パワーと各露光部電位VLとの関係を示すグラフである。
【図15】特定の感光体202を用いた画像形成装置における通紙枚数と残留露光部電位Vrとの関係を示すグラフである。
【図16】(a)〜(c)は、3環境(通常環境、低温低湿環境、高温高湿環境)において初期感光体202に対する初期時の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフであり、(d)〜(f)は、3環境において初期感光体202に対する5000枚印刷後の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフであり、(g)〜(i)は、3環境において2000k印刷後の感光体202に対する初期時の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフであり、(j)〜(l)は、3環境において2000k印刷後の感光体202に対する5000枚印刷後の露光量と露光部電位との対応関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
41 制御部
101 中間転写ベルト
102Y,102M,102C,102K 画像形成部
110 画像検出装置
113 濃度パッチ
201 帯電装置
202 感光体202
203 書込装置
205 現像装置
210 電位センサ
301,302 光学センサ
Vbg 地肌ポテンシャル
VbL 現像ポテンシャル
Vpl 調整用露光部電位
Vr 残留露光部電位
α 地肌ポテンシャル決定係数
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
該感光体の表面が目標帯電電位となるような帯電バイアスで該感光体の表面を一様に帯電させる帯電手段と、
該帯電手段によって帯電した感光体の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、
感光体の表面に形成された静電潜像に対して現像バイアスが印加された現像剤担持体上のトナーを付着させて該感光体の表面にトナー像を形成する現像手段とを備え、
感光体の表面に形成されたトナー像を最終的に記録材上へ転移させることにより該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
トナー付着量を検知するトナー付着量検知手段と、
所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンを上記感光体の表面に形成して、該トナーパターンのトナー付着量を該トナー付着量検知手段により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である現像ポテンシャルを得るべく、帯電バイアスと露光量及び現像バイアスの少なくとも一方とを調整するプロセス制御を行う制御手段を有し、
上記制御手段は、現像ポテンシャルに対する非静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように、上記プロセス制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルが予め決められた規定範囲内である場合には、該現像ポテンシャルに対する該地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該地肌ポテンシャルが該規定範囲内から外れる場合には、地肌ポテンシャルを該規定範囲内の値に決定し、かつ、該現像ポテンシャルに対する決定後の地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記プロセス制御において、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内から外れる場合、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、上記比率が上記目標比率となるように基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内である場合には、上記比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内でない場合には、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、調整後の帯電バイアスと該目標帯電バイアスとの差を地肌ポテンシャルから差し引いた後の差引後地肌ポテンシャルと該現像ポテンシャルとに応じて基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するように上記プロセス制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記比率は、0.4以上0.8以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記比率は、0.4以上0.45以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
感光体と、
該感光体の表面が目標帯電電位となるような帯電バイアスで該感光体の表面を一様に帯電させる帯電手段と、
該帯電手段によって帯電した感光体の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、
感光体の表面に形成された静電潜像に対して現像バイアスが印加された現像剤担持体上のトナーを付着させて該感光体の表面にトナー像を形成する現像手段とを備え、
感光体の表面に形成されたトナー像を最終的に記録材上へ転移させることにより該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
トナー付着量を検知するトナー付着量検知手段と、
所定のタイミングで、通常の画像形成動作により所定のトナーパターンを上記感光体の表面に形成して、該トナーパターンのトナー付着量を該トナー付着量検知手段により検知し、その検知結果に基づいて、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である現像ポテンシャルを得るべく、帯電バイアスと露光量及び現像バイアスの少なくとも一方とを調整するプロセス制御を行う制御手段を有し、
上記制御手段は、現像ポテンシャルに対する非静電潜像部の電位と現像バイアスとの差である地肌ポテンシャルの比率が予め決められた目標比率となるように、上記プロセス制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルが予め決められた規定範囲内である場合には、該現像ポテンシャルに対する該地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該地肌ポテンシャルが該規定範囲内から外れる場合には、地肌ポテンシャルを該規定範囲内の値に決定し、かつ、該現像ポテンシャルに対する決定後の地肌ポテンシャルの比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記プロセス制御において、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内から外れる場合、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、上記比率が上記目標比率となるように基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記制御手段は、所定の静電潜像に対するトナー付着量が目標のトナー付着量となるような現像ポテンシャルと該現像ポテンシャルに上記比率を乗じて得られる地肌ポテンシャルとから決定される目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内である場合には、上記比率が上記目標比率となるように上記プロセス制御を行い、該目標帯電バイアスが予め決められた規定範囲内でない場合には、帯電バイアスを該規定範囲内の値に調整し、かつ、調整後の帯電バイアスと該目標帯電バイアスとの差を地肌ポテンシャルから差し引いた後の差引後地肌ポテンシャルと該現像ポテンシャルとに応じて基準露光量及び現像バイアスの少なくとも一方を調整するように上記プロセス制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記比率は、0.4以上0.8以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記比率は、0.4以上0.45以下であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−44218(P2010−44218A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208259(P2008−208259)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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