画像形成装置
【課題】 従来、主走査方向に領域分割して、副走査の補正量を決めていた。 しかしながら、特にローコスト機種においては画素単位の階調再現が弱く、副走査の位相によっては細線などが滲む問題が発生した。
【解決手段】 本発明は、ポリゴン面倒れを画像処理により補正するデジタル・レジ補正において、細線の滲みが少なく、かつ色ずれも最小限に抑えること特徴とする。
本発明は、色ずれの量に着目して、補間幅を可変する。
【解決手段】 本発明は、ポリゴン面倒れを画像処理により補正するデジタル・レジ補正において、細線の滲みが少なく、かつ色ずれも最小限に抑えること特徴とする。
本発明は、色ずれの量に着目して、補間幅を可変する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真システムなどにおいて複数の感光ドラム、及びビーム走査系を用いて色を重ね、カラー画像を得る画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディジタル複合複写機において、特にローエンド製品においては省スペースがより重視される傾向にある。省スペースを実現する光学系の手段として、斜入射方式がある。図4に示すように、潜像のための発光素子と、潜像を保持する感光ドラムと、ビーム走査のためのポリゴンミラーを高さ位置を変えて配置して、ビーム走査平面に対して斜入射する。この方式において、ポリゴン面の中央と端では、中心位置から異なる距離a,bを持つ。中心位置の差異に起因して、感光ドラムに照射される位置は高さ方向に変動する。
【0003】
図3の点線は理想的な走査の経路を示し、実線が高さ変動の影響を受けた走査の経路を示している。斜入射方式においては、この高さ変動をキャンセルするために、ビーム経路上に補正レンズを配置して、走査位置に応じて高さ方向に屈折する率を変えて変動分をキャンセルして高画質を実現している。しかしながら、補正レンズの加工、精度の確保や、光学系を所望の状態を実現するための調整工程に時間がかかり、すべて製造コストへ影響していた。また、斜入射以外のポリゴンの回転軸に垂直に入射する方式においても、高さ方向の変動が発生し得る。
【0004】
図7(a)は理想的な光学系で、回転軸から面までの距離によらず、感光面に対して、一定の高さに照射される。
【0005】
図7(b)は、わかりやすさのため、極端に示しているが、回転軸に取り付け誤差が含まれている様子を示す。
【0006】
この場合、斜入射と同様に、感光面上に走査位置により高さ変動が生じ、画質への影響がある。
【0007】
特にハイエンドの機種においては、こうした誤差も問題となる。
【0008】
以上の走査の湾曲に対応する技術として、ディジタル的な補正方法が考案されている。図5の感光ドラムにおいて、点線が理想的な走査軌道であり、(A)、(B)、(C)の実線が理想の走査軌道の±0.5ライン以内を通過する実際の走査の軌道を示す。両端はもっとも(A)に近く、中央部は(C)が近い。
【0009】
従って、走査の領域に応じて、(A)→(B)→(C)→(B)→(A)の順に乗り換えて、理想の走査線上に打つ画像データを出力する。
【0010】
過去の提案として、特許文献1〜特許文献3が挙げられる。
【0011】
また、±0.5ライン以内のずれは走査軌道に垂直な副走査の方向の補間を用いて、軌道を補正する。
【0012】
光学的な補正と、副走査方向の補正を組み合わせた提案として、特許文献4が挙げられる。
【0013】
しかしながら、副走査方向の補間を用いる方法では、補間により位相をシフトすることが電子写真の特性上、難易度の高い技術である。
【0014】
特にローコスト製品においては微小ドットの階調再現の乏しさから細線の太さの均一性が損なわれ易い傾向にある。
【0015】
図6は、その様子を示したもので、四角がPWM(Pulse Width Modulation)による1ドットを示し、(a)は理想的な1ドット幅の細線である。
【0016】
(b)は、補間処理をしない補正だが、ラインを乗り換えた部分の弊害として、ジャギーが目立つ細線となる。
【0017】
(c)は、走査の湾曲を補正したものであり、中央の補間による補正部分の太さが均一に再現しにくい。
【0018】
このため、(d)に示すように、補間による補正範囲を最小限の区間にすることで、ジャギーがなく、細線の均一性もある画質を達成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平02−050176号公報
【特許文献2】特開2005−304011号公報
【特許文献3】特開2003−276235号公報
【特許文献4】特開2003−182146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
背景となる技術の項で示した補正方式を、概念的にグラフで表すと、図8のようになる。
【0021】
(a)は補正すべき曲線と、ライン単位で補正した関係を示す。
【0022】
(b)は、ライン単位補正と補正曲線との差分であり、補間処理による対応が必要な誤差成分である。
【0023】
(c)は、ラインの乗換え近傍のみ部分補正の曲線を示す。
【0024】
部分補正により、細線の太さの不均一を防止する一方で、(d)に示す誤差が変化点から離れた部分で発生する。
【0025】
例えば、電子写真の色空間形成の基本的な色であるY(Yellow)、M(Magenda)C(Cyan)、及びK(Black)の再現においては弊害がなくとも、R(Red)、G(Green)、B(Blue)など重ね合わせによる色再現が必要な場合、色ずれの量が問題となる。
【0026】
仮に、(a)〜(d)をColorAを示すとして、ColorBが補正曲線(e)を持っているとする。
【0027】
グラフの前半は、ColorAとColorBが同じ傾きを持つが、後半は逆の傾きを持つ。
【0028】
このとき、部分補正による残りの位置ずれ量も(f)で示すように、前半は2色間で同じ量の色ずれを持つが、後半は逆向きに色ずれするため、前半は色ずれが発生せず、後半は色ずれが強調されて2倍分、発生する。
【0029】
本発明の課題は、部分補正の影響で、2色間の補正曲線の関係により色ずれ量が大きくなり、色ムラや2次色の発生を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明によれば、1方向に走査して少なくとも1ライン以上の像を形成する第1の走査手段と、2次元画像形成のため、第1の走査手段と垂直方向の走査効果を得る第2の走査手段と、第1の走査手段の理想的な走査との少なくとも垂直方向の誤差特性を保存する特性記憶手段と、複数ラインの画像を記憶する画像記憶手段と、1走査期間内に画像記憶手段から読み出すラインを切替えるライン選択手段と、ライン選択手段の出力を補間する補間手段とを有し、特性記憶手段に従い、ライン選択手段と、補間手段のパラメータを制御して、第1の走査手段の理想的な走査との誤差を減少する画像形成装置において、複数の色の重ね合わせてカラー画像を得ると共に、誤差補正による色ズレ情報を保存する色ずれ特性記憶手段を有し、色ずれ特性記憶手段に従い補正処理の補正幅を可変することで色ずれ量を減少する。
【0031】
また、補正方法が線形補間などの演算による補間をする。
【0032】
また、第1の走査手段はポリゴンミラーを用いたものであって、走査の誤差は、ポリゴン回転軸の傾きによる誤差を含めて補正する。
【0033】
また、第2の走査手段は、電子写真システムにおける感光ドラムの回転により走査の効果を得る。
【0034】
以上の方法の全て、またはどれかの組合せにより高画質を実現する。
【発明の効果】
【0035】
請求項1記載の発明によれば、色ズレ量を考慮して部分補正の範囲を可変して走査の湾曲補正を実施するため、補正範囲を必要十分な範囲の処理をするため、色ずれが低減して良好な画質が得られる。
【0036】
また、請求項2記載の発明によれば、副走査の補間処理を線形補間するため、より簡易的なハードで補間処理が実現できる。
【0037】
また、請求項3記載の発明によれば、ポリゴンミラーを用いたシステムに適用することで、ポリゴンの取り付けの傾き調整などのコストを低減、あるいは0にできる。
【0038】
また、請求項4記載の発明によれば、本発明を電子写真システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施例のブロック図
【図2】本発明の実施例のシステム構成
【図3】感光体上の主走査の軌道を示す図
【図4】レーザーの光路を示す図
【図5】感光体と走査軌道の補正の関係を示す図
【図6】補間処理による1画素以内の精度の補正を示す図
【図7】ポリゴンの回転軸の誤差による光路を示す図
【図8】補正曲線と誤差の関係を示すグラフ
【図9】本発明の実施例のディジタル回路システムのブロック図
【図10】本発明の補間係数と色ズレの関係を示す図
【図11】本発明の実施例のレーザー走査系の構成
【図12】本発明の第2の実施例のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施例を4つの感光体をタンデムに配した4ドラム系のカラー複写機に適用した実施例1について説明する。
【0041】
図2は実施例1に係るカラー複写装置全体の概略構成図である。
【0042】
まず、図2を用いて、このカラー複写装置を構成するカラー画像読み取り装置(以下「カラースキャナー」という。)1及びカラー画像記録装置(以下「カラープリンター」という。)2の概略について説明する。
【0043】
上記カラースキャナー1は、原稿13の画像を照明ランプ14、ミラー群15A、B、C、及びレンズ16を介してカラーセンサー17に結像して、原稿のカラー画像情報を、例えばブルー(Blue、以下Bという)、グリーン(Green、以下Gという)、レッド(Red、以下Rという)の色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。そして、このカラースキャナー1で得たB、G、Rの色分解画像信号強度レベルをもとにして、画像処理部(図示なし)で色変換処理を行ない、ブラック(以下、Bkという)、シアン(Cyan、以下Cという)、マゼンタ(Magenta、以下Mという)、イエロー(Yellow、以下Yという)のカラー画像データを得る。
【0044】
次に、図2のカラー画像記録装置2の概略について説明する。上記カラープリンター2では、各色のトナーに対し1つずつ設けられた書き込み光学ユニット28M(マゼンタ用)、28Y(イエロー用)、28C(シアン用)、28K(ブラック用)で、カラースキャナー1からのカラー画像データを光信号に変換して、原稿画像に対応した光書き込みを行ない、各色に設けられた感光体21M(マゼンタ用)、21Y(イエロー用)、21C(シアン用)、21K(ブラック用)に静電潜像を形成する。これら感光体21M、21Y、21C、21Kは、矢印の如く反時計回転し、その回りには各々に、各色に設けられた帯電器27M(マゼンタ用)、27Y(イエロー用)、27C(シアン用)、27K(ブラック用)、また、各色の感光体21M、21Y、21C、21Kの周囲にはそれぞれM現像器213M、C現像器213C、Y現像器213Y、Bk現像器213Kが感光体21M、21Y、21C、21Kへ現像器が接するよう配置される。また、中間転写体としての中間転写ベルト22及び各色に対する第1の転写手段としての第1転写バイアスブレード217M(マゼンタ用)、217Y(イエロー用)、217C(シアン用)、217K(ブラック用)、図示していない駆動モータにより中間転写ベルト22を駆動する駆動ローラ220と、従動ローラ群219、237に張架されている。
【0045】
上記それぞれの作像系における各現像器は、静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体の表面に接触させて回転する現像スリーブと、現像剤を汲み上げ・撹拌するために回転する現像パドルなどで構成されている。
【0046】
また、第2転写バイアスローラ221は、中間転写ベルト22の従動ローラ219に対向する位置に配置され、中間転写ベルト22に対して離接可能に駆動する離接機構が設けられている。
【0047】
また、中間転写ベルト22の表面で従動ローラ237に対向する所定位置に、ベルトクリーニングユニット222が設けられている。このベルトクリーニングユニット222の接離動作タイミングは、プリントスタートから最終色の画像後端部のベルト転写が終了するまではベルト面から離間させておき、そして、その後の所定のタイミングに、接離機構(図示しない)によってベルト面に接触させてクリーニングを行う。
【0048】
カラープリンター部において、まずマゼンタから画像形成が開始される。その後、中間転写ベルト22の回転速度に対し、感光体21Mと感光体21Cの位置のズレ分だけ遅れたタイミングでシアンの画像形成が開始され、次に中間転写ベルト22の回転速度に対し、感光体21Cと感光体21CYの位置のズレ分だけ遅れたタイミングでイエローの画像形成が開始され、次に中間転写ベルト22の回転速度に対し、感光体21Yと感光体21Kの位置のズレ分だけ遅れたタイミングでブラックの画像形成が開始される。
【0049】
各色は、画像処理部で処理され、記録手段に格納されてある画像を読みだし、所定のタイミングからこの画像データに基づき、装置の各色の帯電器27M、27Y、27C、27Kで順次一様に帯電された各色の感光体21M、21Y、21C、21Kに対してレーザ光による光書き込みが各色のレーザスキャナユニット28M、28Y、28C、28Kより行なわれ、順次潜像形成が始まる。以下、4ドラムの代表例としてマゼンタの画像形成について説明をおこなう。感光体21Mへのレーザの露光開始されるとM潜像の先端部から現像可能とすべく、M現像器213Mの現像スリーブが回転し、現像バイアスが印加される。そして以後、M潜像の現像動作を続け、潜像後端部がMの現像位置を通過した時点で、現像不作動状態にする。感光体21上に形成されたマゼンタの第1画像のトナー像は中間転写ベルト22へと第1転写バイアスブレード217Mにより、転写され、中間転写ベルト上に保持される。
【0050】
これら一連の動作を他のイエロー、シアン、ブラックの各ユニットで順次行われ、各色の第1画像で形成されたフルカラーのトナー像が中間転写ベルト22上に形成される。
【0051】
ここで実施例1におけるレーザスキャナユニット28の構成図、図11と共に説明する。
【0052】
発光素子アレー281は、4つの発光素子を持と、同時に4ラインを照射する。(M=N=4)発光素子アレー281をレンズ282を介してポリゴンモーター283に結合して回転する6面ポリゴンミラーの面に照射する。
【0053】
ポリゴンモーター283により、発光素子アレー281のレーザー光を1回転に6回走査するよう偏光する。
【0054】
偏光したレーザー光は、走査の始めでBeamDetect(以下BDと表記)検知素子286により検知され、各主走査ごとの露光開始のトリガーとなるBD信号を生成する。
【0055】
一方、中間転写体に設けた図示せぬHPセンサの信号を受け、その信号の立ち上がりエッジもしくは立下りエッジにポリゴンモーター283がBD信号に同期するように位相制御し、HPセンサの信号の立ち上がりエッジもしくは立下りエッジにより副走査方向の露光開始タイミングを得る。また、fθレンズ284により、端部の走査速度の補正をして、平面ミラー285により偏光して下部に配置された感光ドラム21に照射する。
【0056】
中間転写ベルト22上にフルカラーのトナー画像が形成されると、第2転写バイアスローラ221は中間転写ベルトに接する位置に離接機構により移動する。また、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト22上に形成される以前に出力する記録媒体は、カセット223から給紙ローラ224、搬送ローラ226、227,228を経由し、レジローラ225にて待機させておく。第2転写バイアスローラ221が中間転写ベルト22に接すると、中間転写ベルト22上のトナー像が記録媒体の所定の位置に転写されるように、レジローラ225がONし、記録媒体を第2転写バイアスローラ221へと送りこむ。第2転写バイアスローラでは、中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体へ転写するために、所定の転写バイアスが印加されており、これにより記録媒体へとトナー像が一括転写される。
【0057】
以上のように転写された記録媒体は定着装置25に搬送され、所定温度にコントロールされた上下の定着ローラでトナー像を融解定着して、高解像度のフルカラーコピーを得る。
【0058】
なお、記録媒体へ転写後の中間転写ベルト22はクリーニングユニット222で表面をクリーニングされ、コピー動作を終了する。
【0059】
次に、本発明のシステムの構成を図9を用いて説明する。カラースキャナー1から読み取られた画像信号は、読取系画像処理部91が読取デバイスに依存するシェーディング補正などの画像処理をして、中央画像処理部95に渡す。中央画像処理部95は、画像メモリ94に画像を格納して、ドラム間の距離を反映した適切なタイミングで出力系画像処理96〜99に画像信号を渡す。中央画像処理部95は、外部インターフェース93を介して、電話回線、ネットワークなどの外部入力データを送受信する。
【0060】
受信したデータがPDL(PageDescriptionLanguage)の場合、PDL処理部92が画像情報に展開する。出力系画像処理96〜99は、それぞれ、Y、M、C、Kの色を画像処理して、レーザー出力に最適な処理、及び補正処理をする。
【0061】
図1は、96〜99の内部ブロック図を示す。本実施例における、ラインのずれ幅は製造バラツキも含め、最大で20ラインに及び、ラインバッファ101は想定される最大ズレ幅分のライン数と後段の補間処理演算に使用するためのライン分を保持する。ラインバッファ101は、1ライン転送されるごとに、一番最初に転送されたライン・データと入れ替えて最新の20+1ライン分を保持する。ライン・セレクタ102は、ライン・バッファの保持する全てのライン・データを受けて、補正量演算104に従い、選択して出力する。
【0062】
本実施例において、補間演算103は線形補間のため、ライン・セレクタ102は、補間位置近傍の2ラインを出力する。また、補正量演算104は、曲り特性メモリ106から次の補正位置と補正量を予め読み出す。また、色ズレ量メモリ107から次の補正位置近傍の色ずれ量を予め、読み出す。そして、主走査カウンタ105の出力でライン内の位置を把握して、補正位置からの距離、補正量、色ズレ量で決定される補正範囲から、各画素位置の補正量を出力する。補正量の単位はラインであり、残り誤差が0〜1ライン未満の範囲になるように補正量を決定して、ラインセレクタ101に渡す。また、残り誤差を線形補間の系数値として、補間演算103に渡す。
【0063】
補正量演算104の動作をさらに詳細に、図10を用いて示す。
【0064】
図10は、動作をシミュレートしたタイミングチャートであり、(a)(b)(c)共に、1ラインの初めから画素ID 1、2、3、...とカウントする。
【0065】
(a)、(b)はそれぞれ、ColorA、ColorBのデータを示し、それぞれ、理想補正量の数値は、各色ごとの曲り特性メモリから読み出した走査の曲がりに対応した数値であって、理想的な補正値と一致する。理想補正量の数値の整数部がラインセレクタ102の出力の一方のセレクトライン1から読み出されるラインの画像の中の副走査の位置を示す。また、セレクトライン2から読み出されるラインの画像の位置は、セレクトライン1の値に1を加算した値である。理想補正量の数値の小数部は、補間係数を示す。
【0066】
本実施例において、補間係数のパターンを複数から選択できる。補間係数(全域)は、理想的な補間係数で補間処理をする。また、補間係数(−n〜+n)は、2n+1画素の範囲でライン間の乗換えの補間処理をする。
【0067】
(a)(b)の図には、n=1、2、3のそれぞれの補間係数を示している。
【0068】
また、理想的な補間とのズレ量を補間係数の下の段に示している。
【0069】
(c)は、(a)(b)のズレ量の差から色ズレを求めている。全域の補間同士、及び補間範囲が等しい補間係数のズレ量との間で色ズレを求めたもので、さらにその下段には、絶対値をとって色ズレの程度を示す値としている。
【0070】
また、補間の中心位置は、補間係数が0.5に近い画素を中心として、ラインの切替え位置までを色ズレの度合いを測る対象画素としている。さらに、下段で、このようにして部分的な色ズレ量の累計を得ている。左半分は、色間で補正の傾きが同じため、色ズレが発生しない。また、右半分は色間で補正の傾きが異なるため、補正範囲が広いほど、累計の色ズレ量が小さい結果になっているのが分かる。
【0071】
例えば、色ズレ量の部分累計を1.5以内に設定すると、画素ID6ではn=1、画素ID16ではn=3が選択される。各補間位置でどの範囲で補間処理をするか、予め、決定して色ズレ量メモリ107に保存する。
【0072】
補間演算104において、補間係数をαとしたとき、次の式で演算を実施する。
【0073】
出力=ライン1×(1−α)+ライン2×α
以上、本発明の実施例により、細線の太さの均一性を保ちながら、色ズレの量を小さく抑えることができ、良好な画質が得られる。
【0074】
本発明の第2の実施例は、基本的な処理は、第1の実施例と同様であるが、PDL処理部92や、画像メモリ94の動作と、出力系画像処理の構成が異なる。
【0075】
PDL処理部92や、画像メモリ94の読み出し動作は、第1の実施例のラインバッファ101、ライン・セレクタ102の動作をソフト的にエミュレートして2次元画像に展開している。
【0076】
従って、図10(a)(b)のセレクトライン1のように、1ライン中に継ぎ接ぎのラインが組み合わされて、出力系画像処理96〜99に転送される。出力系画像処理96〜99は、図12のブロック図で示される入力のラインバッファ121において、1ライン分を保持して2ライン同時出力することで、第1の実施例の補間演算103と同じデータ、タイミングで画像データが受け渡される。
【0077】
以上、本発明の第2の実施例により、ラインの選択をソフトウェアの展開時に実施するため、大量のラインバッファを持たなくて済み、ローコストなシステムの実現を可能とするものである。
【0078】
本発明の実施例において、補正範囲の決定のアルゴリズムは、2色間で1度に決定する方法を示したが、例えば、1つの色を基準に色ズレ量を演算して、同じ色に補間処理の幅の更新を反映し、これを他の色、及び他の部分について、更新して、それを繰り返すことで、適切な補間係数を設定することも可能である。
【0079】
本発明の実施例において、線形補間で補間処理したが、ハードウェア規模が許容される範囲でバイキュービックやその他の良好なフィルタ特性をもつ補間処理を選択しても良い。
【0080】
本実施例において、光学系の走査手段としてポリゴンミラーを用いたが、ガルバノ・ミラー、EO(電気光学素子)など、他の走査手段を用いても、同様の現象は発生することは、容易に想像がつく。
【0081】
従って、他の走査系に本発明を適用しても良い。
【0082】
また、本発明において、色ズレ量の情報と、曲り特性の情報を別々にメモリに保管しているが、同一のメモリでも良いし、部分ごとの補正範囲、補正係数として、色ズレ情報を盛り込んだ形でメモリに格納しても概念的に同じであれば良い。
【0083】
また、本発明の実施例に不揮発性のメモリを用いて出荷時の情報を保存しているが、ハードディスクと揮発性メモリの組合せなどでも実現可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 カラースキャナー
2 カラープリンター
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真システムなどにおいて複数の感光ドラム、及びビーム走査系を用いて色を重ね、カラー画像を得る画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディジタル複合複写機において、特にローエンド製品においては省スペースがより重視される傾向にある。省スペースを実現する光学系の手段として、斜入射方式がある。図4に示すように、潜像のための発光素子と、潜像を保持する感光ドラムと、ビーム走査のためのポリゴンミラーを高さ位置を変えて配置して、ビーム走査平面に対して斜入射する。この方式において、ポリゴン面の中央と端では、中心位置から異なる距離a,bを持つ。中心位置の差異に起因して、感光ドラムに照射される位置は高さ方向に変動する。
【0003】
図3の点線は理想的な走査の経路を示し、実線が高さ変動の影響を受けた走査の経路を示している。斜入射方式においては、この高さ変動をキャンセルするために、ビーム経路上に補正レンズを配置して、走査位置に応じて高さ方向に屈折する率を変えて変動分をキャンセルして高画質を実現している。しかしながら、補正レンズの加工、精度の確保や、光学系を所望の状態を実現するための調整工程に時間がかかり、すべて製造コストへ影響していた。また、斜入射以外のポリゴンの回転軸に垂直に入射する方式においても、高さ方向の変動が発生し得る。
【0004】
図7(a)は理想的な光学系で、回転軸から面までの距離によらず、感光面に対して、一定の高さに照射される。
【0005】
図7(b)は、わかりやすさのため、極端に示しているが、回転軸に取り付け誤差が含まれている様子を示す。
【0006】
この場合、斜入射と同様に、感光面上に走査位置により高さ変動が生じ、画質への影響がある。
【0007】
特にハイエンドの機種においては、こうした誤差も問題となる。
【0008】
以上の走査の湾曲に対応する技術として、ディジタル的な補正方法が考案されている。図5の感光ドラムにおいて、点線が理想的な走査軌道であり、(A)、(B)、(C)の実線が理想の走査軌道の±0.5ライン以内を通過する実際の走査の軌道を示す。両端はもっとも(A)に近く、中央部は(C)が近い。
【0009】
従って、走査の領域に応じて、(A)→(B)→(C)→(B)→(A)の順に乗り換えて、理想の走査線上に打つ画像データを出力する。
【0010】
過去の提案として、特許文献1〜特許文献3が挙げられる。
【0011】
また、±0.5ライン以内のずれは走査軌道に垂直な副走査の方向の補間を用いて、軌道を補正する。
【0012】
光学的な補正と、副走査方向の補正を組み合わせた提案として、特許文献4が挙げられる。
【0013】
しかしながら、副走査方向の補間を用いる方法では、補間により位相をシフトすることが電子写真の特性上、難易度の高い技術である。
【0014】
特にローコスト製品においては微小ドットの階調再現の乏しさから細線の太さの均一性が損なわれ易い傾向にある。
【0015】
図6は、その様子を示したもので、四角がPWM(Pulse Width Modulation)による1ドットを示し、(a)は理想的な1ドット幅の細線である。
【0016】
(b)は、補間処理をしない補正だが、ラインを乗り換えた部分の弊害として、ジャギーが目立つ細線となる。
【0017】
(c)は、走査の湾曲を補正したものであり、中央の補間による補正部分の太さが均一に再現しにくい。
【0018】
このため、(d)に示すように、補間による補正範囲を最小限の区間にすることで、ジャギーがなく、細線の均一性もある画質を達成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平02−050176号公報
【特許文献2】特開2005−304011号公報
【特許文献3】特開2003−276235号公報
【特許文献4】特開2003−182146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
背景となる技術の項で示した補正方式を、概念的にグラフで表すと、図8のようになる。
【0021】
(a)は補正すべき曲線と、ライン単位で補正した関係を示す。
【0022】
(b)は、ライン単位補正と補正曲線との差分であり、補間処理による対応が必要な誤差成分である。
【0023】
(c)は、ラインの乗換え近傍のみ部分補正の曲線を示す。
【0024】
部分補正により、細線の太さの不均一を防止する一方で、(d)に示す誤差が変化点から離れた部分で発生する。
【0025】
例えば、電子写真の色空間形成の基本的な色であるY(Yellow)、M(Magenda)C(Cyan)、及びK(Black)の再現においては弊害がなくとも、R(Red)、G(Green)、B(Blue)など重ね合わせによる色再現が必要な場合、色ずれの量が問題となる。
【0026】
仮に、(a)〜(d)をColorAを示すとして、ColorBが補正曲線(e)を持っているとする。
【0027】
グラフの前半は、ColorAとColorBが同じ傾きを持つが、後半は逆の傾きを持つ。
【0028】
このとき、部分補正による残りの位置ずれ量も(f)で示すように、前半は2色間で同じ量の色ずれを持つが、後半は逆向きに色ずれするため、前半は色ずれが発生せず、後半は色ずれが強調されて2倍分、発生する。
【0029】
本発明の課題は、部分補正の影響で、2色間の補正曲線の関係により色ずれ量が大きくなり、色ムラや2次色の発生を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明によれば、1方向に走査して少なくとも1ライン以上の像を形成する第1の走査手段と、2次元画像形成のため、第1の走査手段と垂直方向の走査効果を得る第2の走査手段と、第1の走査手段の理想的な走査との少なくとも垂直方向の誤差特性を保存する特性記憶手段と、複数ラインの画像を記憶する画像記憶手段と、1走査期間内に画像記憶手段から読み出すラインを切替えるライン選択手段と、ライン選択手段の出力を補間する補間手段とを有し、特性記憶手段に従い、ライン選択手段と、補間手段のパラメータを制御して、第1の走査手段の理想的な走査との誤差を減少する画像形成装置において、複数の色の重ね合わせてカラー画像を得ると共に、誤差補正による色ズレ情報を保存する色ずれ特性記憶手段を有し、色ずれ特性記憶手段に従い補正処理の補正幅を可変することで色ずれ量を減少する。
【0031】
また、補正方法が線形補間などの演算による補間をする。
【0032】
また、第1の走査手段はポリゴンミラーを用いたものであって、走査の誤差は、ポリゴン回転軸の傾きによる誤差を含めて補正する。
【0033】
また、第2の走査手段は、電子写真システムにおける感光ドラムの回転により走査の効果を得る。
【0034】
以上の方法の全て、またはどれかの組合せにより高画質を実現する。
【発明の効果】
【0035】
請求項1記載の発明によれば、色ズレ量を考慮して部分補正の範囲を可変して走査の湾曲補正を実施するため、補正範囲を必要十分な範囲の処理をするため、色ずれが低減して良好な画質が得られる。
【0036】
また、請求項2記載の発明によれば、副走査の補間処理を線形補間するため、より簡易的なハードで補間処理が実現できる。
【0037】
また、請求項3記載の発明によれば、ポリゴンミラーを用いたシステムに適用することで、ポリゴンの取り付けの傾き調整などのコストを低減、あるいは0にできる。
【0038】
また、請求項4記載の発明によれば、本発明を電子写真システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施例のブロック図
【図2】本発明の実施例のシステム構成
【図3】感光体上の主走査の軌道を示す図
【図4】レーザーの光路を示す図
【図5】感光体と走査軌道の補正の関係を示す図
【図6】補間処理による1画素以内の精度の補正を示す図
【図7】ポリゴンの回転軸の誤差による光路を示す図
【図8】補正曲線と誤差の関係を示すグラフ
【図9】本発明の実施例のディジタル回路システムのブロック図
【図10】本発明の補間係数と色ズレの関係を示す図
【図11】本発明の実施例のレーザー走査系の構成
【図12】本発明の第2の実施例のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施例を4つの感光体をタンデムに配した4ドラム系のカラー複写機に適用した実施例1について説明する。
【0041】
図2は実施例1に係るカラー複写装置全体の概略構成図である。
【0042】
まず、図2を用いて、このカラー複写装置を構成するカラー画像読み取り装置(以下「カラースキャナー」という。)1及びカラー画像記録装置(以下「カラープリンター」という。)2の概略について説明する。
【0043】
上記カラースキャナー1は、原稿13の画像を照明ランプ14、ミラー群15A、B、C、及びレンズ16を介してカラーセンサー17に結像して、原稿のカラー画像情報を、例えばブルー(Blue、以下Bという)、グリーン(Green、以下Gという)、レッド(Red、以下Rという)の色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。そして、このカラースキャナー1で得たB、G、Rの色分解画像信号強度レベルをもとにして、画像処理部(図示なし)で色変換処理を行ない、ブラック(以下、Bkという)、シアン(Cyan、以下Cという)、マゼンタ(Magenta、以下Mという)、イエロー(Yellow、以下Yという)のカラー画像データを得る。
【0044】
次に、図2のカラー画像記録装置2の概略について説明する。上記カラープリンター2では、各色のトナーに対し1つずつ設けられた書き込み光学ユニット28M(マゼンタ用)、28Y(イエロー用)、28C(シアン用)、28K(ブラック用)で、カラースキャナー1からのカラー画像データを光信号に変換して、原稿画像に対応した光書き込みを行ない、各色に設けられた感光体21M(マゼンタ用)、21Y(イエロー用)、21C(シアン用)、21K(ブラック用)に静電潜像を形成する。これら感光体21M、21Y、21C、21Kは、矢印の如く反時計回転し、その回りには各々に、各色に設けられた帯電器27M(マゼンタ用)、27Y(イエロー用)、27C(シアン用)、27K(ブラック用)、また、各色の感光体21M、21Y、21C、21Kの周囲にはそれぞれM現像器213M、C現像器213C、Y現像器213Y、Bk現像器213Kが感光体21M、21Y、21C、21Kへ現像器が接するよう配置される。また、中間転写体としての中間転写ベルト22及び各色に対する第1の転写手段としての第1転写バイアスブレード217M(マゼンタ用)、217Y(イエロー用)、217C(シアン用)、217K(ブラック用)、図示していない駆動モータにより中間転写ベルト22を駆動する駆動ローラ220と、従動ローラ群219、237に張架されている。
【0045】
上記それぞれの作像系における各現像器は、静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体の表面に接触させて回転する現像スリーブと、現像剤を汲み上げ・撹拌するために回転する現像パドルなどで構成されている。
【0046】
また、第2転写バイアスローラ221は、中間転写ベルト22の従動ローラ219に対向する位置に配置され、中間転写ベルト22に対して離接可能に駆動する離接機構が設けられている。
【0047】
また、中間転写ベルト22の表面で従動ローラ237に対向する所定位置に、ベルトクリーニングユニット222が設けられている。このベルトクリーニングユニット222の接離動作タイミングは、プリントスタートから最終色の画像後端部のベルト転写が終了するまではベルト面から離間させておき、そして、その後の所定のタイミングに、接離機構(図示しない)によってベルト面に接触させてクリーニングを行う。
【0048】
カラープリンター部において、まずマゼンタから画像形成が開始される。その後、中間転写ベルト22の回転速度に対し、感光体21Mと感光体21Cの位置のズレ分だけ遅れたタイミングでシアンの画像形成が開始され、次に中間転写ベルト22の回転速度に対し、感光体21Cと感光体21CYの位置のズレ分だけ遅れたタイミングでイエローの画像形成が開始され、次に中間転写ベルト22の回転速度に対し、感光体21Yと感光体21Kの位置のズレ分だけ遅れたタイミングでブラックの画像形成が開始される。
【0049】
各色は、画像処理部で処理され、記録手段に格納されてある画像を読みだし、所定のタイミングからこの画像データに基づき、装置の各色の帯電器27M、27Y、27C、27Kで順次一様に帯電された各色の感光体21M、21Y、21C、21Kに対してレーザ光による光書き込みが各色のレーザスキャナユニット28M、28Y、28C、28Kより行なわれ、順次潜像形成が始まる。以下、4ドラムの代表例としてマゼンタの画像形成について説明をおこなう。感光体21Mへのレーザの露光開始されるとM潜像の先端部から現像可能とすべく、M現像器213Mの現像スリーブが回転し、現像バイアスが印加される。そして以後、M潜像の現像動作を続け、潜像後端部がMの現像位置を通過した時点で、現像不作動状態にする。感光体21上に形成されたマゼンタの第1画像のトナー像は中間転写ベルト22へと第1転写バイアスブレード217Mにより、転写され、中間転写ベルト上に保持される。
【0050】
これら一連の動作を他のイエロー、シアン、ブラックの各ユニットで順次行われ、各色の第1画像で形成されたフルカラーのトナー像が中間転写ベルト22上に形成される。
【0051】
ここで実施例1におけるレーザスキャナユニット28の構成図、図11と共に説明する。
【0052】
発光素子アレー281は、4つの発光素子を持と、同時に4ラインを照射する。(M=N=4)発光素子アレー281をレンズ282を介してポリゴンモーター283に結合して回転する6面ポリゴンミラーの面に照射する。
【0053】
ポリゴンモーター283により、発光素子アレー281のレーザー光を1回転に6回走査するよう偏光する。
【0054】
偏光したレーザー光は、走査の始めでBeamDetect(以下BDと表記)検知素子286により検知され、各主走査ごとの露光開始のトリガーとなるBD信号を生成する。
【0055】
一方、中間転写体に設けた図示せぬHPセンサの信号を受け、その信号の立ち上がりエッジもしくは立下りエッジにポリゴンモーター283がBD信号に同期するように位相制御し、HPセンサの信号の立ち上がりエッジもしくは立下りエッジにより副走査方向の露光開始タイミングを得る。また、fθレンズ284により、端部の走査速度の補正をして、平面ミラー285により偏光して下部に配置された感光ドラム21に照射する。
【0056】
中間転写ベルト22上にフルカラーのトナー画像が形成されると、第2転写バイアスローラ221は中間転写ベルトに接する位置に離接機構により移動する。また、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト22上に形成される以前に出力する記録媒体は、カセット223から給紙ローラ224、搬送ローラ226、227,228を経由し、レジローラ225にて待機させておく。第2転写バイアスローラ221が中間転写ベルト22に接すると、中間転写ベルト22上のトナー像が記録媒体の所定の位置に転写されるように、レジローラ225がONし、記録媒体を第2転写バイアスローラ221へと送りこむ。第2転写バイアスローラでは、中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体へ転写するために、所定の転写バイアスが印加されており、これにより記録媒体へとトナー像が一括転写される。
【0057】
以上のように転写された記録媒体は定着装置25に搬送され、所定温度にコントロールされた上下の定着ローラでトナー像を融解定着して、高解像度のフルカラーコピーを得る。
【0058】
なお、記録媒体へ転写後の中間転写ベルト22はクリーニングユニット222で表面をクリーニングされ、コピー動作を終了する。
【0059】
次に、本発明のシステムの構成を図9を用いて説明する。カラースキャナー1から読み取られた画像信号は、読取系画像処理部91が読取デバイスに依存するシェーディング補正などの画像処理をして、中央画像処理部95に渡す。中央画像処理部95は、画像メモリ94に画像を格納して、ドラム間の距離を反映した適切なタイミングで出力系画像処理96〜99に画像信号を渡す。中央画像処理部95は、外部インターフェース93を介して、電話回線、ネットワークなどの外部入力データを送受信する。
【0060】
受信したデータがPDL(PageDescriptionLanguage)の場合、PDL処理部92が画像情報に展開する。出力系画像処理96〜99は、それぞれ、Y、M、C、Kの色を画像処理して、レーザー出力に最適な処理、及び補正処理をする。
【0061】
図1は、96〜99の内部ブロック図を示す。本実施例における、ラインのずれ幅は製造バラツキも含め、最大で20ラインに及び、ラインバッファ101は想定される最大ズレ幅分のライン数と後段の補間処理演算に使用するためのライン分を保持する。ラインバッファ101は、1ライン転送されるごとに、一番最初に転送されたライン・データと入れ替えて最新の20+1ライン分を保持する。ライン・セレクタ102は、ライン・バッファの保持する全てのライン・データを受けて、補正量演算104に従い、選択して出力する。
【0062】
本実施例において、補間演算103は線形補間のため、ライン・セレクタ102は、補間位置近傍の2ラインを出力する。また、補正量演算104は、曲り特性メモリ106から次の補正位置と補正量を予め読み出す。また、色ズレ量メモリ107から次の補正位置近傍の色ずれ量を予め、読み出す。そして、主走査カウンタ105の出力でライン内の位置を把握して、補正位置からの距離、補正量、色ズレ量で決定される補正範囲から、各画素位置の補正量を出力する。補正量の単位はラインであり、残り誤差が0〜1ライン未満の範囲になるように補正量を決定して、ラインセレクタ101に渡す。また、残り誤差を線形補間の系数値として、補間演算103に渡す。
【0063】
補正量演算104の動作をさらに詳細に、図10を用いて示す。
【0064】
図10は、動作をシミュレートしたタイミングチャートであり、(a)(b)(c)共に、1ラインの初めから画素ID 1、2、3、...とカウントする。
【0065】
(a)、(b)はそれぞれ、ColorA、ColorBのデータを示し、それぞれ、理想補正量の数値は、各色ごとの曲り特性メモリから読み出した走査の曲がりに対応した数値であって、理想的な補正値と一致する。理想補正量の数値の整数部がラインセレクタ102の出力の一方のセレクトライン1から読み出されるラインの画像の中の副走査の位置を示す。また、セレクトライン2から読み出されるラインの画像の位置は、セレクトライン1の値に1を加算した値である。理想補正量の数値の小数部は、補間係数を示す。
【0066】
本実施例において、補間係数のパターンを複数から選択できる。補間係数(全域)は、理想的な補間係数で補間処理をする。また、補間係数(−n〜+n)は、2n+1画素の範囲でライン間の乗換えの補間処理をする。
【0067】
(a)(b)の図には、n=1、2、3のそれぞれの補間係数を示している。
【0068】
また、理想的な補間とのズレ量を補間係数の下の段に示している。
【0069】
(c)は、(a)(b)のズレ量の差から色ズレを求めている。全域の補間同士、及び補間範囲が等しい補間係数のズレ量との間で色ズレを求めたもので、さらにその下段には、絶対値をとって色ズレの程度を示す値としている。
【0070】
また、補間の中心位置は、補間係数が0.5に近い画素を中心として、ラインの切替え位置までを色ズレの度合いを測る対象画素としている。さらに、下段で、このようにして部分的な色ズレ量の累計を得ている。左半分は、色間で補正の傾きが同じため、色ズレが発生しない。また、右半分は色間で補正の傾きが異なるため、補正範囲が広いほど、累計の色ズレ量が小さい結果になっているのが分かる。
【0071】
例えば、色ズレ量の部分累計を1.5以内に設定すると、画素ID6ではn=1、画素ID16ではn=3が選択される。各補間位置でどの範囲で補間処理をするか、予め、決定して色ズレ量メモリ107に保存する。
【0072】
補間演算104において、補間係数をαとしたとき、次の式で演算を実施する。
【0073】
出力=ライン1×(1−α)+ライン2×α
以上、本発明の実施例により、細線の太さの均一性を保ちながら、色ズレの量を小さく抑えることができ、良好な画質が得られる。
【0074】
本発明の第2の実施例は、基本的な処理は、第1の実施例と同様であるが、PDL処理部92や、画像メモリ94の動作と、出力系画像処理の構成が異なる。
【0075】
PDL処理部92や、画像メモリ94の読み出し動作は、第1の実施例のラインバッファ101、ライン・セレクタ102の動作をソフト的にエミュレートして2次元画像に展開している。
【0076】
従って、図10(a)(b)のセレクトライン1のように、1ライン中に継ぎ接ぎのラインが組み合わされて、出力系画像処理96〜99に転送される。出力系画像処理96〜99は、図12のブロック図で示される入力のラインバッファ121において、1ライン分を保持して2ライン同時出力することで、第1の実施例の補間演算103と同じデータ、タイミングで画像データが受け渡される。
【0077】
以上、本発明の第2の実施例により、ラインの選択をソフトウェアの展開時に実施するため、大量のラインバッファを持たなくて済み、ローコストなシステムの実現を可能とするものである。
【0078】
本発明の実施例において、補正範囲の決定のアルゴリズムは、2色間で1度に決定する方法を示したが、例えば、1つの色を基準に色ズレ量を演算して、同じ色に補間処理の幅の更新を反映し、これを他の色、及び他の部分について、更新して、それを繰り返すことで、適切な補間係数を設定することも可能である。
【0079】
本発明の実施例において、線形補間で補間処理したが、ハードウェア規模が許容される範囲でバイキュービックやその他の良好なフィルタ特性をもつ補間処理を選択しても良い。
【0080】
本実施例において、光学系の走査手段としてポリゴンミラーを用いたが、ガルバノ・ミラー、EO(電気光学素子)など、他の走査手段を用いても、同様の現象は発生することは、容易に想像がつく。
【0081】
従って、他の走査系に本発明を適用しても良い。
【0082】
また、本発明において、色ズレ量の情報と、曲り特性の情報を別々にメモリに保管しているが、同一のメモリでも良いし、部分ごとの補正範囲、補正係数として、色ズレ情報を盛り込んだ形でメモリに格納しても概念的に同じであれば良い。
【0083】
また、本発明の実施例に不揮発性のメモリを用いて出荷時の情報を保存しているが、ハードディスクと揮発性メモリの組合せなどでも実現可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 カラースキャナー
2 カラープリンター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1方向に走査して少なくとも1ライン以上の像を形成する第1の走査手段と、
2次元画像形成のため、第1の走査手段と垂直方向の走査効果を得る第2の走査手段と、
第1の走査手段の理想的な走査との少なくとも垂直方向の誤差特性を保存する特性記憶手段と、
複数ラインの画像を記憶する画像記憶手段と、
1走査期間内に画像記憶手段から読み出すラインを切替えるライン選択手段と、
ライン選択手段の出力を補間する補間手段とを有し、
特性記憶手段に従い、ライン選択手段と、補間手段のパラメータを制御して、
第1の走査手段の理想的な走査との誤差を減少する画像形成装置において、
複数の色の重ね合わせてカラー画像を得ると共に、
誤差補正による色ズレ情報を保存する色ずれ特性記憶手段を有し、
色ずれ特性記憶手段に従い補正処理の補正幅を可変することで色ずれ量を減少することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、補正方法が線形補間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
第1の走査手段はポリゴンミラーを用いたものであって、
走査の誤差は、ポリゴン回転軸の傾きによる誤差を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
第2の走査手段は、電子写真システムにおける感光ドラムの回転であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
走査の特性記憶手段と色ずれ特性記憶手段は1ラインの複数箇所の補間の補正範囲の情報として少なくとも1つの記憶手段にまとめられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
1方向に走査して少なくとも1ライン以上の像を形成する第1の走査手段と、
2次元画像形成のため、第1の走査手段と垂直方向の走査効果を得る第2の走査手段と、
第1の走査手段の理想的な走査との少なくとも垂直方向の誤差特性を保存する特性記憶手段と、
複数ラインの画像を記憶する画像記憶手段と、
1走査期間内に画像記憶手段から読み出すラインを切替えるライン選択手段と、
ライン選択手段の出力を補間する補間手段とを有し、
特性記憶手段に従い、ライン選択手段と、補間手段のパラメータを制御して、
第1の走査手段の理想的な走査との誤差を減少する画像形成装置において、
複数の色の重ね合わせてカラー画像を得ると共に、
誤差補正による色ズレ情報を保存する色ずれ特性記憶手段を有し、
色ずれ特性記憶手段に従い補正処理の補正幅を可変することで色ずれ量を減少することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、補正方法が線形補間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
第1の走査手段はポリゴンミラーを用いたものであって、
走査の誤差は、ポリゴン回転軸の傾きによる誤差を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
第2の走査手段は、電子写真システムにおける感光ドラムの回転であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
走査の特性記憶手段と色ずれ特性記憶手段は1ラインの複数箇所の補間の補正範囲の情報として少なくとも1つの記憶手段にまとめられていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−7980(P2011−7980A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150566(P2009−150566)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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