説明

画像相関変位センサ

【課題】簡便な構成でターゲット面と垂直な成分を含む方向の変位量を測定することができる画像相関変位センサを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる画像相関変位センサは、照射光を出射する照射部130'と、ターゲット面300で生成したスペックルフィールドを複数回に亘って撮像するために用いられ、ターゲット面近傍においてターゲット面の法線方向から傾斜した光線路Aと、光線路B'と、光線路A,B'の少なくとも一方を偏向する素子110'と、を有する撮像部240と、光線路Aにおいて撮像することにより得られた複数画像と光線路B'において撮像することにより得られた複数画像とに基づいて、ターゲット面300の法線成分を含む方向の変位を計算する処理部200と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像相関変位センサに関し、特に詳しくは、スペックルフィールドを撮像して、試料の変位を求める画像相関変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のスペックルフィールド(スペックル画像)の相関を用いた画像相関変位センサが知られている(特許文献1乃至3)。画像相関変位センサには、一般に、レーザ光源などのコヒーレント光源が用いられる。コヒーレント光源で光学的に粗いターゲット面を照明すると、スペックルフィールドが生成される。すなわち、コヒーレント光でターゲット面を照明して、このターゲット面で散乱した散乱光をCCDカメラやCMOS画像センサなどの検出器で検出する。このようにすることで、1枚又は複数枚の画像中にスペックルフィールドを撮像することができる。
【0003】
まず、変位前のスペックルフィールドを撮像して、第1のスペックル画像としてメモリ等に格納する。次に、変位後のスペックルフィールドを撮像して、第2のスペックル画像としてメモリ等に格納する。そして、第1及び第2のスペックル画像の比較結果によって、ターゲット面を有する測定対象物の変位が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6642506号明細書
【特許文献2】米国特許第7295324号明細書
【特許文献3】米国特許第7515280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スペックルフィールドを撮像して変位を求める画像相関変位センサでは、測定する変位の方向が限られている。すなわち、スペックルフィールドは、一般的には、試料面と垂直なだけでなく検出器の受光面にも垂直な方向に沿って撮像されているため、ターゲット面に垂直な方向における変位量を測定することが困難であるという問題点がある。
試料面と垂直な成分を含む方向の変位量を正確に測定することができる安価な画像相関変位センサが望まれている。
【0006】
本発明は、コンパクトで安価な構成を用いて、ターゲット面と垂直な成分を含む方向の変位量を測定することができる画像相関変位センサを提供することを目的とする。ある形態では、コンパクトで安価な構成を用いて、ターゲット面とほぼ垂直な方向に沿った変位量が、ターゲット面とほぼ平行な方向に沿った変位量と組み合わせて測定されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る画像相関変位センサは、ターゲット面に対する相対的な位置変位を測定する画像相関変位センサであって、スペックルフィールドを生成するために前記ターゲット面に対して照射光を出射する照射部と、前記ターゲット面で生成した前記スペックルフィールドを複数回に亘って撮像するために用いられ、前記ターゲット面近傍において前記ターゲット面の法線方向から傾斜した第1の光線路と、前記ターゲット面で生成した前記スペックルフィールドを複数回に亘って撮像するために用いられ、前記ターゲット面近傍において前記第1の光線路から傾斜した第2の光線路と、前記第1及び第2の光線路の少なくとも一方を偏向する素子と、を有する撮像部と、前記第1の光線路において撮像することにより得られた複数画像と前記第2の光線路において撮像することにより得られた複数画像とに基づいて、前記ターゲット面の法線成分を含む方向の変位を計算する処理部とを備えたものである。これにより、簡便な構成でターゲット面と垂直な成分を含む方向の変位量を高精度に測定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡便な構成でターゲット面と垂直な成分を含む方向の変位量を正確に測定することができる画像相関変位センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る画像相関変位センサの構成を模式的に示す図である。
【図2】ターゲット面において撮像された領域の配置例を説明するための平面図である。
【図3】画像相関変位センサに用いられる処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】画像相関変位センサに用いられる偏向素子の一例を示す側面図である。
【図5】実施の形態2に係る画像相関変位センサの構成を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態3に係る画像相関変位センサの構成を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態4に係る画像相関変位センサの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0011】
本実施形態にかかる画像相関変位センサについて、図1を用いて説明する。図1は、画像相関変位センサ(以下、変位センサとする)の全体構成を模式的に示す図である。変位センサ100は、ターゲット面300を有する測定対象物の変位を測定するため、照射部130と、撮像部240と、処理部200とを備えている。変位センサ100は、例えば、測定ヘッド等に搭載される。
【0012】
説明の明確化のため、3次元直交座標系を用いて説明を行う。図1に示すように光学系250の入射光軸と平行な方向をZ方向とし(詳細については後述する)、X方向はZ方向と垂直で、検出器160の画素アレイの縦方向又は横方向と平行な方向とし、Y方向はX方向とZ方向と垂直な方向とする。好ましくは、変位センサ100及び/又はターゲット面300は、Y方向が検出器160の画素アレイの縦方向または横方向と平行になり、かつZ方向がターゲット面300とほぼ垂直になるように配置されている(なお、本明細書において、「A及び/又はB」とは、AとBの両方、あるいは一方を示し、「A、B及び/又はC」等の三つ以上の場合も同様に少なくとも一つ以上を含んでいることを示す。)。
なお、以下の説明において、特に言及がない限り、法線とは、ターゲット面300の法線を指し、通常は、光学系250の入射光軸に対応するものである。さらに、図1に示すように、ターゲット面300中の1点を原点Oと定義している。変位センサ100は、X方向、Y方向、Z方向、ヨー方向、ロール方向、及びピッチ方向の位置変位を測定することができる。変位センサ100は、安価でコンパクトな構成を用いて、微小な2自由度から6自由度までの変位を高精度で測定するための構成を有している。なお、ヨー方向の位置変位はZ軸周りの回転角に対応し、ロール方向の位置変位はX軸周りの回転角に対応し、ピッチ方向の位置変位はY軸周りの回転角に相当する。
【0013】
照射部130は、測定対象物のターゲット面300を照明するため、コヒーレント光を出射する。すなわち、照射部130から出射したコヒーレント光が、ターゲット面300を照明する照明光134となる。照射部130は、例えば、レーザ光源を有している。もちろん、照射部130は、コヒーレント光を出射するものであれば、どのような光源を有していてもよい。照射部130からの照明光134は、所望の設計方向に沿ってターゲット面300に入射する。図1に示す形態では、照明方向は、Z方向から傾斜しているが、これについては必須ではない。別の照明配置は、図5に示されている。照射部130からの照明光134が入射することで、ターゲット面300に照明スポット138が形成される。
【0014】
ターゲット面300は、典型的には、光学的に粗い拡散面となっている。従って、ターゲット面300をコヒーレント光で照明すると、スペックルフィールドが生成される。換言すると、ターゲット面300で反射された拡散光がスペックルフィールドを生成する。照明スポット138を所望の大きさ及び形状にするために、必要に応じて照射部130中にレンズ等が含まれていてもよい。例えば、照射部130に、シリンドリカルレンズを設けて、照明スポット138を楕円状にしてもよい。
【0015】
ターゲット面300で様々な方向に拡散した光線は、互いに干渉し合って、スペックルフィールドを生成する。本実施の形態にかかる変位センサ100では、このスペックルフィールドが撮像されている。スペックルフィールドは、拡散した光線の干渉によって生成されるため、3次元的に生成される。換言すると、スペックルフィールドは、ターゲット面300上の体積を満たし、ターゲット面300に対応して移動するスペックルパターンを有している。従って、変位センサ100に対するターゲット面300の位置や撮像方向によって、スペックルフィールドの画像が異なる。図1において模式的に示されたターゲット面300は、実用上、どのような大きさであってもよい。
【0016】
撮像部240は、素子110、レンズ140、アパーチャ板150、及び検出器160を備えている。素子110は、少なくとも、拡散光を偏向するための光学素子を有している(例えば、後述する光学偏向素子DefA,DefB及び/又はDefE)。素子110の光学偏向素子は、光線路がターゲット面300の近傍においてターゲット面と垂直方向に関して"三角測量角度"で傾斜するように、ターゲット面300によって生成されたスペックルフィールドの画像を取得するために使用される該光線路に対して偏向角を与える。偏向された光線路に沿っての撮像動作の簡潔な概略説明において、この傾斜した三角測量角度でターゲット面300から生成されたスペックルパターンを撮像することによって、Z方向に沿ったターゲット面300の動きは、ターゲット面300に対して撮像された視野のY方向の動きをもたらすと言うこともできる。これは、後に詳述するように、対応するZ方向の変位がY方向の変位に基づいて決定されるよう、Z方向の動きに応じた、検出器160上の対応するスペックルイメージのY方向に沿った変位をもたらす。
図1に示された形態において、偏向角はXZ面において光線路を偏向する。素子110によって偏向したスペックルイメージ光は、レンズ140に入射する。レンズ140は、例えば、凸レンズであり、スペックルイメージ光を屈折及び/又は集光する。レンズ140で屈折及び/又は集光されたスペックルイメージ光は、アパーチャ板150に到達する。アパーチャ板150の中央には、開口したアパーチャ152が配置されている。
【0017】
好適な形態において、撮像部240、レンズ140、アパーチャ板150は、テレセントリック光学系である光学系250として設けられる。すなわち、レンズ140とアパーチャ152がレンズ140のほぼ後側焦点距離だけ互いに離れて配置されている。ターゲット面300に隣接するスペックルフィールドの像を取得するように、ある形態において、レンズ140は、ターゲット面300からほぼその前側焦点距離だけ離れて配置されていてもよい。アパーチャ152は、レンズ140のほぼ光軸上に配置されている。アパーチャ152の外側に入射した光ビームは、アパーチャ板150によって遮られる。従って、アパーチャ152を通過する特定の光線路からの特定の光ビーム142が伝播して、ある特定の場所(例えば、後述するように、複数の検出器、あるいは検出部DA,DB及び/又はDEに対応する場所)で検出器160に到達し、該特定の場所は、スペックルフィールドの特定の部分及び/又はターゲット面300に隣接する部分に対応している。光学系250がテレセントリックである場合、レンズ140の光軸に略平行なスペックルイメージの光ビームだけが、検出される光154となるために、アパーチャ152を通過する光ビーム142となる。従って、光学系250の入射側に配置された素子110の特定の光学偏向素子(例えばDefA,DefB等)は、ターゲット面300近傍においてターゲット面300の法線に対して傾斜した第1の光線路の一部に沿った入射ビームを受光し、そして入射ビームがアパーチャ152を通過して、特定の検出器又は検出部(例えば、DA、DB等)に到達するようにレンズ140の光軸と平行になるように入射ビームを偏向するために働く。もちろん、ターゲット面300とほぼ垂直な第2の光線路は、ある特定の検出器又は検出部(例えばDC,DD等)に到達するためレンズ140の光軸と平行のままでアパーチャ152を通過するように、素子110の光学偏向素子を含まない部分を通過する(図1においては光学偏向素子がない点線で示された部分で図示されている。)
検出器160は、ターゲット面300で生成されたスペックルフィールドを撮像する。図1に示す形態においては、検出器160は、単一の2次元画素アレイの光検出器であり、例えば、CCD(Charged Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)画像センサ等である。
【0018】
さらに、検出器160は、検出部DA、検出部DB、検出部DC、検出部DD、及び検出部DEを有している。ここでは、検出部DAが単一の検出器160の一部の箇所を備えている。同様に、検出部DB、検出部DC、検出部DD、及び検出部DEのそれぞれは検出器160の一部の箇所を備えている。検出部DA〜検出部DEは、それぞれ2次元の画素列を含んでいる。検出部DA〜検出部DEは、検出器160の受光面において異なる箇所に配置されている。好ましくは、検出部DA〜検出部DEは、互いに重ならないに、検出器160の受光面上の異なる場所に配置されている。検出部DAは、ターゲット面300上における領域TAからのスペックルイメージ光を受光して、スペックル画像を撮像する。同様に、検出部DB、検出部DC、検出部DD、検出部DEは、ターゲット面300上における領域TB、領域TC、領域TD、及び領域TE(図2も合わせて参照)からのスペックルイメージ光をそれぞれ受光して、スペックル画像を撮像する。これにより、複数の点及び/又は撮像角度でターゲット面300の動きが検出され、その結果の画像がその動きを決定するために使用される。特に、コンパクトかつ安価な構成で、ターゲット面300と垂直な動きが高分解能かつ高精度で検出される。
【0019】
図1のターゲット面300上に示された、撮像される領域TA〜TEの配置例が図2により明確に示されている。図2は、ターゲット面300が変位センサ100に対して微小な動作間隔である場合に、設計によって固定された領域TA〜TEの間の配置関係をXY平面と垂直な方向から見た図である。ターゲット面300の相対移動によって、光線路に沿って撮像されたスペックルフィールドの領域TA〜領域TEを含む部分が変化する。よって、ターゲット面300の相対移動量、すなわち位置変位は、光線路に沿って観測された領域TA〜領域TEに対応するスペックルイメージの変位量に基づいて算出することができる。
【0020】
領域TAと領域TBは、Y軸上に配置され、X軸を挟んで対称に配置される。領域TAは原点Oよりも+Y側に配置され、領域TBは原点Oよりも−Y側に配置される。領域TAと領域TBの間隔をdrollとする。領域TCと領域TDもまた、X軸を挟んで対称に配置される。領域TCは原点Oよりも+Y側に配置され、領域TDは原点Oよりも−Y側に配置される。領域TCと領域TDのX座標は同じになっており、領域TC、及び領域TDのX座標をdyawcorrectionとする。換言すると、X方向において、領域TC、及び領域TDは、領域TA、領域TBからdyawcorrectionだけ離間している。領域TCと領域TDの間隔は、dyawである。領域TEは、領域TAからdpitchだけ+X方向に離間している。よって、領域TEのX座標をdpitchとすることもできる。Y方向における、領域TAと領域TEの位置は同じである。なお、上記の説明において、微小な動作間隔で動作する場合、各領域の位置は、その領域の中心位置、又は検出位置に対応している。図2では、領域TA〜領域TEを、正方形としているが、撮像された領域TA〜領域TEの使用可能な形状は、光学系の設計及び/又は検出器の信号処理の選択によって定義されても良く、特に限定されるものではない。また、領域TA〜領域TEは、異なる大きさであってもよく、同じ大きさであってもよい。照射部130は、領域TA〜領域TEを含む領域に比べて十分に広い領域を照明している。
【0021】
撮像部240は、領域TA、領域TB、領域TC、領域TD、及び領域TEを含む光線路に沿って結像されたスペックルフィールドをそれぞれ撮像する。光線路に沿って結像されたスペックルフィールドは、上記の通り、単一の検出器160の異なる場所に投影される。ここで、領域TAの近傍で生成されたスペックルフィールドを撮像するための光線路を光線路Aとする。領域TAからのスペックルイメージ光は、光線路Aに沿って伝搬していき、検出部DAに入射する。同様に、領域TB、領域TC、領域TD、領域TEの近傍で生成されたスペックルフィールドを撮像するための光線路をそれぞれ光線路B、光線路C、光線路D、光線路Eとする(図1参照)。ここで、光線路Aとは、領域TAの近傍で発生したスペックルフィールドからアパーチャ152を通過して検出部DAに入射する光束の主光線である。同様に、光線路B〜光線路Eも、それぞれ、ターゲット面300に隣接するスペックルフィールドからアパーチャ152を通過して検出部DB〜検出部DEに入射するスペックルイメージ光の主光線となる。例えば、領域TCの中心からアパーチャ152の中心を介して、検出部DCの中心を結ぶ線が光線路Cとなる。なお、種々の光線路A〜光線路Eは、後述するように、素子110によって偏向されてもよい。
【0022】
図1に示すように、ターゲット面300の近傍において、法線と光線路Aが成す角度を角度AngAとする。ターゲット面300の近傍において、法線と光線路B、光線路Eが成す角度をそれぞれ角度AngB、角度AngEとする。なお、ターゲット面300の近傍とは、ターゲット面300から、素子110までの間の空間を意味する。
ターゲット面300の近傍において、光線路C、及び光線路Dは、Z方向と平行になっている。よって、対応する角度AngC、及び角度AngDは0°となる。図1に示す形態において、光線路Aと光線路Bは、同一のYZ平面上において、法線から同じ角度だけ傾斜しており、傾斜方向が反対になっている。換言すると、X方向における、光線路A及び光線路Bと領域TA及び領域TBと、の位置はターゲット面300近傍において実質的に同一になっている。光線路Aとターゲット面300の交点から延びる法線と、光線路Aとを含む平面PAと、光線路Bとターゲット面300の交点から延びる法線と、光線路Bとを含む平面PBとは、同一平面上に配置されている。ターゲット面300の近傍において、光線路Aと光線路Eとは平行になっている。光線路Eとターゲット面300の交点から延びる法線と、光線路Eとを含む平面PEは、平面PAと平行になっている。従って、この特定の形態において、角度AngA、角度AngB、及び角度AngEとは互いに同じ角度になっており、この角度をθODAとする。最も一般的には、θODAは0°から90°までの角度範囲に入っている。しかしながら、様々な形態において、45°以下の角度範囲とすることが好ましい。
【0023】
素子110は、光線路A、光線路B、及び光線路Eに沿って光線を偏向するために設けられており、所望の手法によって、それらがレンズ140の光軸と平行になり、アパーチャ152を通過して検出器160に入射するようにそれらの方向を変える。逆にいえば、素子110は、素子110での偏向後、所望の手法によって、それらがレンズ140の光軸と平行になり、アパーチャ152を通過して検出器160に入射するように光線路A,B及びEの方向を選択するために設けられているということができる。ここで、素子110のうち、光線路Aを偏向する部分を光学偏向素子DefAとする。同様に、素子110のうち、光線路B、及び光線路Eを偏向する部分をそれぞれ光学偏向素子DefB、光学偏向素子DefEとする。光学偏向素子DefA、光学偏向素子DefB、及び光学偏向素子DefEは、それぞれくさび形状となっている。光線路A、光線路B、及び光線路Eは、光学偏向素子DefA、光学偏向素子DefB、及び光学偏向素子DefEで偏向されて、Z方向と平行になる。光学偏向素子DefA、光学偏向素子DefB、及び光学偏向素子DefEは、同じ形状となっていてもよい。また、互いに平行な光線路Aと光線路Eの偏向角が同じになるよう、光学偏向素子DefAと光学偏向素子DefEは同じ向きで配置されていてもよい。例えば、光学偏向素子DefEは、光学偏向素子DefAから離れ、かつX方向に平行移動した配置となっていてもよい。互いに近づいている光線路Aと光線路Bが同一平面上となるように、光学偏向素子DefAと光学偏向素子DefBは向かい合って配置されていてもよい。すなわち、光学偏向素子DefAと光学偏向素子DefBはZ軸又はXZ平面に対して鏡面対称に配置されていてもよい。
【0024】
また、素子110は、Z方向と平行な光線路C及び光線路Dを偏向せずに伝播させる。よって、光線路C、及び光線路DはZ方向と平行のままとなっている。従って、素子110からレンズ140までの間で、光線路A〜光線路EがそれぞれZ方向に平行となる。換言すると、素子110は、Z方向から傾斜していた光線路A、光線路B、及び光線路EがZ方向と平行になるような偏向角度を与える。なお、光学偏向素子DefA、光学偏向素子DefB、及び光学偏向素子DefEは、一体的に作成されていても良く、別個に作成されていてもよい。
【0025】
光線路A〜光線路Eは、素子110を通過した後、レンズ140に入射する。従って、光線路A〜光線路Eはレンズ140によって屈折されて、アパーチャ152に向かう。レンズ140において、光線路A〜光線路Eは、それぞれ140A〜140Eで指定される異なる部分に入射する(なお、図1においては、140Eの符号のみ図示し、その他に付いては点線で示す)。例えば、光線路Eを含む領域TEからの光束は、レンズ140の一部であるレンズ部140E又はレンズ140を通過する主光線を持つ。光線路(例えば、光線路A)は、主として、検出器(例えば、検出器DA)とアパーチャ152の配置によって定義することが好適である。特定の光線路(例えば、光線路A)と関連するレンズ部(例えば、レンズ部140A)の場所は、それらの素子に対して調整されたレンズ140の部分である。そして、テレセントリック光学系について、その光線路(例えば、光線路A)と関連する素子110の部分は、レンズ140の光軸に平行な方向に沿ってそのレンズ部と調整された部分である。特定の形態において望ましくは、素子110のその部分が光学偏向素子(例えば、光学偏向素子DefA)を含んでいる。そして、光学偏向素子は素子110とターゲット面300間の光線路の部分の傾斜方向を決定する。このとき、光線路A〜光線路Eから大きく異なる方向に伝搬する光ビーム、すなわち、主光線から大きく外れた光ビームは、アパーチャ板150で遮光される。当業者であれば、その設計原理に応じて、上記の構成に加えて、様々な形態を構成することができる。
【0026】
アパーチャ板150を通過した光線路A〜光線路Eは、それぞれ検出部DA〜検出部DEに到達する。検出部DAは、光線路Aに沿って、スペックルフィールドイメージを撮像する。ここで、光線路Aは、ターゲット面300の近傍において角度AngAだけ傾斜しており、ターゲット面300の法線方向から角度AngAだけ傾斜した方向から、スペックルフィールドを撮像するために用いられる。同様に、検出部DB〜検出部DEは、それぞれ光線路B〜光線路Eに沿って、スペックルフィールドを撮像する。光線路B、光線路Eは、ターゲット面300の近傍において、それぞれ角度AngB、角度AngEだけ傾斜しており、ターゲット面300の法線方向から角度AngB、角度AngE傾斜した方向から、スペックルフィールドを撮像するために用いられる。光線路C、光線路Dは、ターゲット面300の近傍において、ターゲット面300の法線と平行になっている。よって、光線路C、光線路Dは、それぞれターゲット面300の近傍においてターゲット面300の法線方向から、スペックルフィールドを撮像するために用いられる。
【0027】
ここでは、単一の検出器160によって、光線路A〜E(例えば、領域TA〜TEにおける)に沿って生成されたスペックルフィールドの画像を撮像している。そして、検出器160で取得されたスペックルフィールドの画像データは、信号線164を伝送し、処理部200に入力される。撮像部240は、光線路A〜Eのそれぞれに対して、スペックルフィールドを複数回撮像する。そして、複数のスペックルフィールドの画像データが、処理部200に記憶される。すなわち、検出部DAは、光線路Aに沿って発生したスペックルフィールドを複数回に亘って撮像する。そして、処理部200は、複数回に亘って撮像したスペックルフィールドの画像データを記憶する。同様に、処理部200は、光線路B〜Eのそれぞれに沿って発生したスペックルフィールドの画像データ(スペックル画像データ)を複数記憶する。処理部200は、スペックル画像データに基づいて、相関処理を行う。具体的には、移動前に取得したスペックル画像データと、移動後に取得したスペックル画像データに対して相関を求めることで、変位を算出する。そして、図1で示す配置において、処理部200は、後述するように、6自由度の変位を算出してもよい。また、処理部200は、信号線132を介して、照射部130の照明光134を制御してもよい。
【0028】
処理部200は、パーソナルコンピュータやDSPなどの情報処理装置であり、画像データに対して所定の演算処理を行う。すなわち、処理部200は、CPUやメモリ等の記憶領域を備えるコンピュータである。例えば、処理部200は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)、記憶領域であるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、通信用のインターフェースなどを有し、変位を測定するために必要な処理を実行する。例えば、ROMには、演算処理するための演算処理プログラムや、各種の設定データ等が記憶されている。そして、CPUは、このROMに記憶されている演算処理プログラムを読み出し、RAMに展開する。そして、設定データや、検出器160等からの出力に応じてプログラムを実行する。さらに、処理部200は、演算処理結果を表示させるためのモニター等を有してもよい。
【0029】
処理部200での処理の一例に付いて図3を用いて説明する、図3は、処理部200の一部の要素を示すブロック図である。処理部200は、画像データ記憶部201、相関処理部202、画像変位算出部203、位置変位算出部204を備えている。
【0030】
画像データ記憶部201は、ターゲット面300の移動前後で取得されたスペックル画像を画像データとして記憶する。例えば、ターゲット面300の相対移動前に取得したスペックル画像を基準スペックル画像とし、移動後に取得した画像を測定スペックル画像とする。ここで、光線路i(ここで、iはA,B,C,D,又はEである)において撮像されたスペックル画像をスペックル画像DSとする。さらに、移動前に取得されたスペックル画像DSを基準スペックル画像DSiRとし、移動後に取得されたスペックル画像DSを測定スペックル画像DSiCとする。
【0031】
相関処理部202は、基準スペックル画像DSiRと測定スペックル画像DSiCとを比較して、相関処理を行う。具体的には、測定スペックル画像の一方に対して、変位方向に沿ったオフセットを与える。そして、基準スペックル画像と測定スペックル画像の相関値を求める。ここでは、検出器160の受光画素アレイの配列方向であるX方向、及びY方向にオフセットを与える。すなわち、測定スペックル画像には、X方向、及びY方向のオフセットが独立に与えられる。なお、オフセットを与える方向は、X方向、及びY方向に限られるものではない。相関処理部202は、オフセット毎に、相関値を算出する。なお、相関処理については、例えば、特許文献1〜3、あるいは、それらに引用された文献に記載されている方法を用いることができる。
【0032】
画像変位算出部203は、相関処理の結果に基づいて、画像変位を算出する。画像変位とは基準スペックル画像に対する測定スペックル画像の位置ずれに相当する値である。例えば、相関値が最も高くなったオフセットの値が、画像変位となる。画像変位を、検出器160の受光画素に対応するピクセル変位としてもよい。例えば、受光面において、スペックル画像が移動したピクセル数を画像変位としてもよい。あるいは、ピクセル変位を画像変位として用いられるターゲット面300上の変位に変換するため、既知の設計定数を用いるようにしてもよい。画像変位をターゲット面300における実距離としてもよい。例えば、撮像倍率などを用いてピクセル変位を実変位に変換することができる。このようにして、画像変位を算出する。
【0033】
相関処理部202、及び画像変位算出部203は、光線路A〜Eで取得されたスペックル画像のそれぞれに対して同様の処理を行う。例えば、相関処理部202は、光線路Aにおける基準スペックル画像DSARと、測定スペックル画像DSACに対して相関処理を行う。そして、画像変位算出部203は、この相関処理の結果に基づいて画像変位を算出する。このようにして、光線路Aにおいて撮像した基準スペックル画像DSARと、測定スペックル画像DSACとの変位を求める。これにより、後述するように、領域TA近傍のターゲット面300のX方向、及びY方向における移動量を求めることができる。ここでは、光線路Aにおけるスペックル画像の画像変位を、(X,Y)とする。ここで、画像変位(X,Y)は、領域TAの近傍のターゲット面300の移動量に相当する。
【0034】
同様に、相関処理部202は、光線路B,光線路C,光線路D,及び光線路Eにおける基準スペックル画像DSBR、DSCR、DSDR、DSERと、測定スペックル画像DSBC、DSCC、DSDC、DSECに対してそれぞれ相関処理を行う。そして、画像変位算出部203は、光線路B、光線路C,光線路D、及び光線路Eにおけるスペックル画像の画像変位(X,Y)、(X,Y)、(X,Y)、(X,Y)を算出する。なお、X,X,X,X,XはX方向における画像変位であり、Y,Y,Y,Y,YはY方向における画像変位である。
【0035】
位置変位算出部204は、画像変位に基づいて、位置変位を算出する。この位置変位は、変位センサ100に対するターゲット面300の相対的な移動量になる。換言すると、位置変位は、ターゲット面300を有する測定対象物が、変位センサ100に対して、どれだけ相対移動したかを示す量となる。
【0036】
例えば、図1及び図2に示す形態において、X方向における位置変位Xは、以下の式(1)に示すように、画像変位X、X、X、Xを用いて求めることができる
X=K×MEAN(X,X,X,X) ・・・(1)
【0037】
なお、関数MEANは、X方向変位についての平均値を表す関数であり、個々の画像変位のヨー方向の影響を排除している。KはX方向における画像変位と位置変位との間のスケール係数である。従って、X方向の位置変位Xは、各光線路における画像変位X、X、X、Xの平均値に基づいて求めることができる。そして、Z軸周りの回転位置変位θyawは以下の式(2)に示すように、既知の距離dyawと画像変位X、Xを用いて求めることができる。
【0038】
θyaw=atan(K×(X−X)/dyaw) ・・・(2)
【0039】
ターゲット面300がZ軸周りに回転すると、図2に示す領域TCと領域TDはX方向に移動する。さらに、領域TCと領域TDは、それらの中点に対して反対方向に移動する。よって、回転位置変位θyawは、画像変位Xと画像変位Xの差に基づいて算出されている。小さい回転角については、式(2)で十分な精度を得るようにすることが好ましい。ある特定の用途及び/又は大きい回転角については、より高い精度を当たるために、簡素化する近似がより少ない数式を用いるようにしてもよい。
【0040】
Y方向の位置変位Yは、以下の(3)式に示すように、Y方向の画像変位Y、Yを用いて求めることができる。
【0041】
Y=K×MEAN(Y,Y)−ΔYyaw ・・・(3)
【0042】
はY方向における画像変位と位置変位との間のスケール係数である。なお、ΔYyawは後述するようにZ軸周りの回転位置変位θyawに起因するY方向に沿った画像変位を表している。例えば、図2に示したように、領域TC、及び領域TDは、Y軸からX方向の距離dyawcorrectionだけ離れている。従って、Z軸周りの回転に伴って、領域TC、及び領域TDは同じ方向に移動する。ターゲット面300が全体としてY方向に平行移動していないとしても、領域TC、TDがZ軸周りの回転について同じ方向に回転する。従って、画像変位Y、Yについて、ΔYyaw分を補正して、Y方向の位置変位Yを算出している。なお、ターゲット面300において、光線路Cと光線路DをX軸に付いて対称に配置しているので、Y変位に関する数式全体を簡素化することができる。式(3)のΔYyawは、以下の式(4)によって求めることができる。
【0043】
ΔYyaw=θyawcos[atan(dyaw/2dyawcorrection)]・(dyawcorrection+dyaw/4)1/2 ・・・(4)
【0044】
さらに、Z方向の位置変位Zは以下の式(5)に示すように、画像変位Y、Yを用いて求めることができる。
【0045】
Z=K×(Y−Y)/(2tanθODA) ・・・(5)
【0046】
は、Y方向の画像変位とZ方向の位置変位の間のスケール係数であり、一般的には、設計配置と倍率だけでなく、個々のユニットによって示される製造偏差に依存している。Kは、解析及び実験に基づく較正によって設定されていてもよい。式(5)は、以下のように理解される。傾斜した角度AngAと角度AngB(例えば、角度θODA)によって、光線路Aと光線路Bとの間隔は、ターゲット面300から素子110に向かうにつれて、減少する。ターゲット面300と変位センサ100間の距離が変化すると、光線路A、光線路Bとターゲット面300との交点の位置、並びにターゲット面300の近傍のスペックルフィールドが変化するため、光線路A,Bに沿ったスペックルイメージがY方向に換算されるように思われる。例えば、ターゲット面300と変位センサ100間の距離が大きくなると、YZ平面に平行な平面上でターゲット面300の法線に対して傾斜している光線路A、光線路Bが長くなる。従って、領域TAと領域TBの近傍のスペックルフィールドの撮像される部分間のY方向の間隔が大きくなる。これは、光線路Aに沿った画像が+Y方向に、光線路Bに沿った画像が−Y方向に移動してことを意味する。Z方向の位置変位Zは、YとYの差で表すことができる。例えば、YとYの差が大きくなると、Z方向の位置変位Zが大きくなる。微小変位に関して、光線路Aに沿ったZ方向の変位とY方向の変位の比の合理的な近似は、tanθODAである。
【0047】
図示された形態において、光線路Aと光線路Bは同一平面上にあり、角度AngAと角度AngBは等しくなっている。ターゲット面300から素子110の間において、光線路Aと光線路Bは、Z軸に対して対称に配置されている。このような対称構成とすることで、式(5)のような簡単な式で、Z方向の位置変位Zを測定することができる。異なる方向の光線路A、及び光線路Bにおいて撮像したスペックル画像から、Z方向の位置変位Zを求めることができる。
【0048】
Y方向周りの回転位置変位θpitchは、式(6)に示すように、画像変位Y、Yを用いて求めることができる。
【0049】
θpitch=atan[(K×(Y−Y)/tanθODA)/dpitch]・・・(6)
【0050】
光線路Aと光線路Eは、互いに平行で、領域TAと領域TEのY座標は同じである。回転位置変位θpitchによって、ターゲット面300がY軸周りに回転する。この変位によって、領域TAと領域TEを生成するスペックルの位置は、Z方向に変化する。さらに、撮像に用いられる傾斜角度AngA,AngE(例えば、角度θODA)によって、Z変位は、領域TEのY方向に沿って撮像された位置に反映される。これにより、ピッチ方向の回転位置変位θpitchは式(6)で示されるように、YとYの差及びX方向の距離間隔に基づいて示される。微小角度に対しては、式(6)は十分な精度であることが好ましい。ある特定の用途及び/又は大きい回転角については、より高い精度を得るために、簡素化する近似がより少ない数式を用いるようにしてもよい。
【0051】
このように、Z方向の位置変位Zを求めるために用いた画像変位Y、Yに対応する光線路A、光線路Bと異なる光線路Eを用いる。すなわち、Z方向の位置変位Zを求めるために用いられる2つの光線路A,光線路Bに対して、さらに1つの光線路Eを追加する構成とする。そして、領域TEと領域TAとをX方向において異なる位置としている。このような構成とすることで、Y方向周りの回転位置変位θpitchを求めることができる。さらに、ターゲット面300の近傍において、光線路Aと光線路Eを平行にすることで、簡便な式でピッチ方向の回転位置変位θpitchを求めることができる。
【0052】
ロール方向の回転位置変位θrollは以下の式(9)に示すように、Y方向の位置変位Yと、画像変位Y、Yを用いて求めることができる。
【0053】
θroll=atan[(KZR[KROLL×(Y+Y)−2Y]/tanθODA)/(droll―2ZtanθODA)] ・・・(7)
【0054】
ROLLは、YとYの項が、傾斜した光線路から得られるとともに、式(3)に基づく2Yの項と異なる光学素子を通して得られたという事実に関する補正係数である。KZRはロールによる画像変位とロール方向の位置変位との間のスケール係数であり、一般的には、設計配置と倍率だけでなく、個々のユニットによって示される製造偏差に依存している。KROLLとKZRは、実験に基づく解析及び較正によって設定されていてもよい。光線路Aと光線路Bは反対方向に傾斜しており、領域TAと領域TBのY座標は同じである。光線路Aと光線路Bの配置は、上記の通り単純な式でのロール方向に沿った回転位置変位θrollの測定を可能とする。
回転位置変位θrollによって、ターゲット面300がX軸周りに回転する。この変位によって、領域TA、領域TBを生成するスペックルの位置がZ方向に変化する。さらに、撮像に使用される傾斜角度AngAと角度AngB(例えば、角度θODA)によって、Z変位は、Y方向に沿って領域TA、領域TBの撮像された部分に反映される。よって、ロール方向の回転位置変位θrollは、式(7)に示されるように、YとYの和及びY方向に沿ったそれらの距離間隔を用いて表すことができる。微小な回転角については、式(7)で十分な精度を得るようにすることが好ましい。ある特定の用途及び又は大きい回転角については、より高い精度を得るために、簡素化する近似がより少ない数式を用いるようにしてもよい。
【0055】
上記のような構成によれば、6自由度(DOF)の変位測定が可能となる。原理的には、光線路A、B、C、Eの4つのみからの画像は、6自由度の変位を推定するために使用することができる。しかしながら、これは、計算時間を長くし、非最適な測定角度及び/又はミスアライメントによる精度劣化の影響をより受けるおそれがある。光線路Dを加えることで、これらの問題を克服することができるため、ある形態では利点があるかもしれない。使用する光線路を少なくすると、ある用途では少ない自由度の変位を決定し、法線方向の撮像の光線路を傾斜方向の撮像の光線路と組み合わせることで、ある形態では利点を持つかもしれない。素子110を用いて、0ではない角度(例えば角度AngA、AngB等)の光線路を生成している。素子110は、入射する光線路に応じて、所定の偏向角度となるよう、光を偏向している。こうすることで、簡便な構成で、Z成分を含む方向の位置変位を算出することができる。なお、素子110の一例について、図4を用いて説明する。図4は素子110の一例を模式的に示す側面図である。
【0056】
素子110は、ガラスや樹脂などの透明材質を有していてもよい。そして、光学偏向素子DefA、DefBは光線路A、光線路Bが入射する位置に配置されている。様々な形態では、光学偏向素子DefAと光学偏向素子DefBとが、くさび形状をしている。ある実施形態では、くさび形状の光入射面Lipと光出射面Lepは、組み合わせが対応する光の経路に対して所望の偏向角を与えるような量だけ、XY平面から反対方向に傾斜している(なお、図4では、光学偏向素子DefAの光入射面、光出射面をそれぞれLipA、LepAとし、光学偏向素子DefBの光入射面、光出射面をそれぞれLipB、LepBとしている。)。さらに、このくさびのくさび角の先端側が互いに向かい合うように、光学偏向素子DefAと光学偏向素子DefBとが対称配置されている。それぞれのくさび角の端部が他方のくさび角の端部と隣接する特定の配置は、様々な利点を有する。くさびの幅広の端部が他方の幅広の端部と隣接する構成と対照的に、くさび角の端部が他方のくさび角の端部と隣接する構成は、偏向された光線路が異なる光線路の偏向素子と交差するのを防ぐことができ、より小型な設計で、動作間隔を柔軟に設定することができる。図示された形態において、光学偏向素子DefEは、光学偏向素子DefAと同じ構成、配置とすればよいが、この構成は例示であり、特に限定されるものではない。素子110は、必要に応じて、プリズムと基板を組み合わせることで実現することができる。なお、法線と平行な光線路C,光線路Dが入射する箇所では、素子110は単に両面が平行な基板や開口を有していても良く、あるいは、光入射面と光出射面が平行な(例えば、ある形態ではXY平面に平行な面)素子を追加することで形成されていてもよい。
【0057】
素子110の構成は、図4に示すような構成に限られるものではない。素子110としては、入射位置に応じて偏向角度が異なるような光学素子を用いることができる。例えば、プリズム、回折格子、レンズ、ミラー等を基本要素である光学偏向素子として、素子110を形成することができる。さらには、異なるタイプの光学偏向素子を組み合わせて、素子110を形成することも可能である。このような素子110を配置することで装置構成を小型化することができる。
【0058】
本実施形態では、全ての自由度において高精度の6自由度測定を行うことができる小型の測定ヘッドに内蔵されたテレセントリック光学系を介して、スペックルフィールドを撮像してもよい。様々な形態において、ターゲット面300とテレセントリック光学系の間に、素子110が配置されている。
【0059】
さらに、単一の検出器160で、光線路A〜光線路Eでのスペックル画像を取得している。換言すると、光線路A〜光線路Eが検出器160の異なる部分に入射する。これにより、検出器160として複数の分離した素子が不要となるため、装置を簡素化することができる。また、ターゲット面300の近傍において、光線路C,光線路Dをターゲット面300と垂直にしている。これにより、XY平面と平行な位置変位の測定の精度及び/又はロバスト性を向上することができる。
【0060】
また、角度AngA,AngB、及びAngEの少なくとも1つを10度以上とすることが好ましく、全てを10度以上とすることがより好ましい。さらに、角度AngA,AngB、及びAngEの少なくとも1つを30度以上、55度以下とすることが好ましい。角度AngA,AngB、及びAngEをこのような範囲にすることで、全ての自由度において、精度よく測定することができる。角度AngA,AngB、及びAngEの全てを30度以上、55度以下とすることがより好ましい。このようにすることで、より測定精度を向上することができる。また、ある形態において、角度AngA,AngB、及びAngEは異なる角度であってもよい。
【0061】
本実施の形態では、撮像部240において、テレセントリック光学系の入射側に、素子110が配置されている。そして、この素子110が、それぞれの光線路又は撮像される領域からのイメージ光を例えば、光線路A〜Eが平行になるような所望の角度に偏向する。これにより、実施の形態1において、イメージ光が共通の光学系によって伝搬する。すなわち、イメージ光が、単一のレンズ140とアパーチャ152を通過して、検出器160に入射する。これにより、光学系を小型化することができる。
【0062】
また、テレセントリック光学系において、光線路A〜光線路Eが共通のアパーチャ152を通過するようにしている。これにより、レンズ140を共通にすることができるため、部品点数を多くなるのを防ぐことができる。
【0063】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる変位センサについて、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係る変位センサ100の構成を示す図である。実施の形態2に係る変位センサ100は、以下に説明する照射部130の第2形態を含んでいる。別の方法として、本実施の形態2では、実施の形態1で示した変位センサ100を簡略化して、並進方向の自由度である3自由度の測定を行うために、より少ない光線路を用いる構成としている。ヨー変位の自由度(4番目の自由度)は、以下に説明されるように、ある用途において決定されていてもよい。3自由度の測定を行うために、2つの光線路A、B'のみを使用している。このため、素子110'が単一の光学偏向素子DefAを有している。また、検出器160は、検出部DA,検出部DB'を有している。照射部130'の第2形態は、素子110'とレンズ140の間に配置されたビームスプリッタ130B(例えば、半透過面)、及び光源130A(例えば、レーザ)を備えている。ビームスプリッタ130Bは、照明光が素子110'を通してターゲット面に放射されるよう、光源130Aからの照明光を受光し、偏向するために配置されている。照明光は素子110'を通過するので、これにより、動作間隔に関わらずターゲット面の所望の領域を照明するため、照明光は様々な光線路とほぼ平行に偏向されてもよい。照射部130'が、ここに開示される形態のいくつかの組み合わせで使用される配置となっていることが望ましい。あるスペックルイメージ光は、ビームスプリッタ130Bで失われるが、光線路に沿って伝播したイメージ光のかなりの部分は、所望のスペックルイメージを提供するため、ビームスプリッタ130Bを通過する。また、本実施形態にかかる変位センサ100の基本的構成は、実施の形態1と同様であり、同様の符号及び/又は配置された素子は、同様に理解される。
【0064】
本実施の形態では、X方向、Y方向、Z方向、ヨー方向の変位を測定することができる。具体的には、2つの光線路A、B'に沿って、スペックル画像を撮像する。そして、スペックル画像を複数回に亘って撮像する。こうすることで、スペックル画像の画像変位(X,Y)と(XB',YB')を求めることができる。
【0065】
ターゲット面300の法線に対して、光線路Aは傾斜しており、光線路B'は、平行となっている。従って、光線路B'はZ変位に対して応答しないため、ロール又はピッチ測定を決定することができない。ロール、ピッチ又はヨー変位が全くないと仮定する。便宜上、原点Oに領域TB'近傍の光線路B'の基準位置を取る。変位情報を決定する一例として、既述した式と同様に、式(8)、(9)、及び(10)を用いることができる。
X=K×XB' 又は X=K×MEAN(XB',X) ・・・(8)
Y=K×YB' ・・・(9)
Z≒K×(YB'−KNI)/(tanθODA) ・・・(10)
【0066】
式(8)〜(9)において、K、K、Kは既述した式の同じ記号と同様に理解することもできる。KNIは、YAの項が、傾斜した光線路から得られるとともに、真っ直ぐで法線方向の光線路から求められたYB'の項と異なる光学素子を通して得られたという事実に関する補正係数である。種々の係数Kが、解析及び実験に基づく較正によって設定されていてもよい。
ヨー回転位置変位θyawは、Z軸に関して許されているとすると、微小なヨー回転位置変位θyawに付いて式(11)を用いることが可能である。
θyaw≒asin(K×(XB'−X)/(dyaw−ZtanθODA) ・・・(11)
Z軸測定の高い感度を提供するため、素子110を用いることで、2つの光線路A、B'のうち少なくとも1つが法線方向から傾いた方向に向かっている。図5では、ターゲット面300近傍において、光線路B'が法線方向と平行になっているが、必要に応じて光線路B'を偏向して、光線路B'を光線路Aのそれと異なる撮像方向に向かわせてもよい。光線路A及びB'の両方が偏向された場合、XY面に沿った変位の決定に、より複雑な式が要求される。そのような式はこの開示の技術に基づいて、当業者によって決定されてもよい。2つの光線路A、及び光線路B'においてスペックル画像を複数回に亘って撮像する。こうすることで、上記のように、X方向、Y方向、Z方向及びヨー方向(必要に応じて)の変位を測定することができる。
【0067】
次に、光線路の数に対して、測定可能な方向の数、すなわち、測定可能な次元数(自由度)について説明する。図5に示す構成では、4自由度の変位測定をすることができる。さらに、図5に示す構成に対して、1つの光線路を追加することで、5自由度の変位測定が可能になる。例えば、実施の形態1で示した光線路Eを追加して、式(6)を用いることで、ピッチ方向の回転位置変位を測定することができる。また、実施の形態1で示した複数の光線路を追加することで、6自由度の位置変位測定を行うことができる。しかしながら、その形態は、計算式の単純化及び/又は測定ロバストネスの増加のため、余分の光線路を含む。より一般的には、平面は3点で定義される。従って、いくつかの計算の複雑性を増せば、回転原点が設計によって定義あるいは知られている場合、撮像部240が3つ以上の光線路を有しており、その3の光線路がターゲット面近傍において、互いに傾斜し、かつ法線方向に対して適切に傾斜した方向となることで、6自由度の変位測定を行うことができる。加えて、法線方向から傾斜した2つの光線路が、ターゲット面300上においてX方向とY方向に異なる位置になるようにする。こうすることで、6自由度の変位測定が可能になる。すなわち、X方向、Y方向、Z方向、ヨー方向の位置変位に加えて、ロール方向、又はピッチ方向の変位測定を行うことができるようになる。
【0068】
実施の形態3.
本実施形態に係る変位センサ400について、図6を用いて説明する。本実施の形態では、実施の形態1の構成に対して、テレセントリック光学系の構成が異なっている。なお、変位センサ400の基本的構成については、実施の形態1と同様であるため説明を適宜省略する。以下、撮像部440の構成を中心に説明する。
【0069】
本実施の形態では、別個のレンズ140A〜140Eが光線路A〜光線路Eに対して設けられている。従って、素子110の後側には、光線路A〜光線路Eに対応する5つのレンズが配置される。説明の簡略化のため、光線路Bに対応するレンズをレンズ140Bとし、他の光線路についても同様にする(但し、符号については図示を一部省略する)。レンズ140Bは光線路Bのみに影響する。同様に、光線路Aに対応するレンズはレンズ140Aであり、光線路Aにのみ影響し、その他についても同様とする。例えば、レンズ140A〜レンズ140Eは実質的に同じ特性の集光レンズとしてもよく、同一のXY面上に配置される。ある実施形態において、実施の形態1でレンズ140が配置されていたXY面には、5つのレンズ140A〜レンズ140Eからなるレンズアレイ(モジュール化されたレンズアレイ)が配置される。レンズ140A〜レンズ140Eの光軸はZ方向と平行になっている。
【0070】
レンズ140Bは、光学偏向素子DefBの真上に配置されている。すなわちレンズ140Bの光軸は、光学偏向素子DefBを通過する。同様に、レンズ140A、レンズ140C、レンズ140D、レンズ140Eは、それぞれ光学偏向素子DefA、光学偏向素子DefC、光学偏向素子DefD、光学偏向素子DefEの真上に配置されている。
【0071】
さらに、アパーチャ板150には、開口部が光線路A〜光線路Eに対して別個に設けられている。従って、アパーチャ板150には、5つの開口部が設けられている。説明の簡略化のため、光線路Bに対応する開口部をアパーチャ152Bとし、その他の光線路についても同様とする(但し、符号については図示を一部省略する)。アパーチャ152Bは、レンズ140Bの光軸上に配置されており、その他の光線路に付いても同様である。
【0072】
光線路Bは、光学偏向素子DefBによってZ方向と平行になり、レンズ140Bに入射する。光線路Bを主光線とする光束はレンズ140Bで集光され、アパーチャ152Bを通過する。ここで、レンズ140Bとアパーチャ板150の距離は、レンズ140Bの焦点距離とほぼ一致している。よって、レンズ140Bとアパーチャ板150のアパーチャ152Bはテレセントリック光学系450Bを構成しており、他の光線路A、C−Eに付いても同様である。光線路Bはテレセントリック光学系450Bを通過して、検出部DBに入射し、他の光線路A、C−Eについても同様になっている。従って、撮像部440は、5つのテレセントリック光学系を有している。換言すると、それぞれの光線路毎に、テレセントリック光学系が独立して設けられている。このようにすることで、光線路の調整をより厳密に行うことができる。
【0073】
実施の形態4.
本実施形態に係る変位センサ500について、図7を用いて説明する。本実施の形態では、アパーチャの形状とその効果という点のみにおいて、テレセントリック光学系の構成が実施の形態3で示した構成と異なっている。なお、変位センサ500の基本的構成については、実施の形態3と同様であるため、共通の説明を適宜省略する。以下、撮像部540の構成を中心に説明する。
【0074】
本実施の形態では、アパーチャ板150に設けられた開口部の形状がスリット形状になっている。すなわち、実施の形態1〜3では、開口部が円形状であったのに対して、本実施の形態4では直線状又は細長い形状になっている。なお、本実施の形態でも、実施の形態3と同様に、開口部が光線路毎に設けられている。ここで、光線路Bに対応する開口部をスリットアパーチャ552Bとし、光線路A、C〜Eに付いても同様とする(但し、符号については図示を一部省略する)。同様に、光線路A〜C、Eに対応する開口部もスリットアパーチャとなっている。
【0075】
さらに、アパーチャ板150と素子110の間において、それぞれの光線路に設けられたレンズが、シリンドリカルレンズであってもよく、それぞれが対応するスリットアパーチャに平行な円柱軸を有している。例えば、光学偏向素子DefBを通過した光線路Bは、シリンドリカルレンズであるレンズ140Bに入射する。そして、光線路Bに沿って伝搬する光ビーム142がレンズ140Bで屈折されて、アパーチャ板150に入射する。アパーチャ板150のスリットアパーチャ552Bを通過した光ビーム142が、検出部DBに入射する光154であり、その他の光線路A、C〜Eについても同様とする。アパーチャ板150のスリットアパーチャ552Bの外側に入射した光は、遮光される。
【0076】
シリンドリカルレンズは、X方向とY方向のうち、一方の方向のみに光をわずかに屈折する。このため、アパーチャ板150上において、光線路Bに沿って伝搬する光は、一方向において、画像(例えば、画像中のスペックル)の線状拡がりを有する。スリットアパーチャは、線状拡がりと平行になっている。これにより、線状拡がりを持つ光を効率よく通過させることができる。
【0077】
さらに、本実施の形態では、検出部DA〜DEのそれぞれが1次元のラインセンサとなっていてもよい。すなわち、検出部DA〜DEは検出しようとする画像の動きの軸に沿って配列され、各画素がその軸(例えば、スリットアパーチャの長手方向に平行な方向)を横切る方向に細長い複数の画素を有している。この1列の画素は、スリット開口部の長手方向と平行に配置される。そして、一次元画像に基づいて、相関処理を行う。一次元画像による相関処理については、例えば、米国特許明細書6256016号、又は米国特許6642506号明細書に開示されている手法を用いることができる。例えば、米国特許第6642506号明細書のコラム18の式(2)において、M=1とすることで、1次元の画像相関値を求めることができる。そして、実施の形態1で示したように、処理部200が6自由度の変位を算出する。
本実施の形態4では、シリンドリカルレンズと、スリット開口部を用いて、1次元のスペックル画像を取得している。1次元のスペックル画像に基づいて、相関処理を行うことで、計算時間を短縮することができる。
【0078】
その他の実施の形態.
上記の実施形態では、測定する変位の方向を、3次元直交座標系に基づいて決定したが、測定する変位の方向は、上記に限られるものではない。すなわち、X方向、Y方向、Z方向、ヨー方向、ピッチ方向、ロール方向以外の方向の変位を測定するようにしてもよい。例えば、厳密にZ方向における変位を測定するのではなく、Z成分を含む方向における変位を測定するようにしてもよい。Z成分を含む方向における変位も、異なる角度を有する2つの光線路によって、測定することができる。また、上記の説明において、変位とは、測定対象と測定ヘッドの相対移動に基づくものに限らず、測定対象の変形によるものも含む。
【0079】
処理部200における任意の処理を、ハードウェアによって実現することも可能であり、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0080】
上記の実施形態で示した変位センサは、種々のアプリケーションに利用することができる。以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、実施の形態1〜4を適宜組み合わせてもよい。
【0081】
この出願は、2000年6月1日に出願された米国特許第6642506号明細書、2004年7月13日に出願された米国特許第7295324号明細書、2004年5月12日に出願された米国特許第7515280号明細書の開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0082】
100 変位センサ
110 素子
130 照射部
132 信号線
134 照明光
138 照明スポット
140 レンズ
142 光
144 偏向素子
150 アパーチャ板
152 アパーチャ
154 光
160 検出器
164 信号線
200 処理部
240 撮像部
250 光学系
300 ターゲット面
400 変位センサ
440 撮像部
450B テレセントリック光学系
500 画像相関変位センサ
540 撮像部
550B テレセントリック光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット面に対する相対的な位置変位を測定する画像相関変位センサであって、
スペックルフィールドを生成するために前記ターゲット面に対して照射光を出射する照射部と、
前記ターゲット面で生成した前記スペックルフィールドを複数回に亘って撮像するために用いられ、前記ターゲット面近傍において前記ターゲット面の法線方向から傾斜した第1の光線路と、前記ターゲット面で生成した前記スペックルフィールドを複数回に亘って撮像するために用いられ、前記ターゲット面近傍において前記第1の光線路から傾斜した第2の光線路と、前記第1及び第2の光線路の少なくとも一方を偏向する素子と、を有する撮像部と、
前記第1の光線路において撮像することにより得られた複数画像と前記第2の光線路において撮像することにより得られた複数画像とに基づいて、前記ターゲット面の法線成分を含む方向の変位を測定する処理部とを備えた画像相関変位センサ。
【請求項2】
前記処理部は、ターゲット面の法線方向の変位を計算することを特徴とする請求項1記載の画像相関変位センサ。
【請求項3】
前記撮像部は、さらに、前記スペックルフィールドの前記第1の光線路において撮像した部分とは異なる部分を複数回に亘って撮像するために用いられ、前記ターゲット面の近傍において前記ターゲット面の法線方向から傾斜した第3の光線路を有し、
前記処理部は、前記第1の光線路において撮像することにより得られた複数画像と、前記第2の光線路において撮像することにより得られた複数画像と、前記第3の光線路において撮像することにより得られた複数画像に基づいて、前記ターゲット面と平行な軸回りの回転変位を計算することを特徴とする請求項1、又は2に記載の画像相関変位センサ。
【請求項4】
前記第1の光線路と前記ターゲット面の法線との間の第1の角度が前記第3の光線路と前記ターゲット面の法線との間の第3の角度と等しくなっている請求項3に記載の画像相関変位センサ。
【請求項5】
前記撮像部は、さらに、前記スペックルフィールドの前記第1の光線路において撮像した部分とは異なり、かつ前記第3の光線路において撮像した部分とは異なる部分を複数回に亘って撮像するために用いられ、前記ターゲット面の近傍において前記ターゲット面の法線から傾斜した第4の光線路を有し、
前記処理部は、前記第1の光線路において撮像することにより得られた複数画像と、前記第2の光線路において撮像することにより得られた複数画像と、前記第3の光線路において撮像することにより得られた複数画像と、前記第4の光線路において撮像することにより得られた複数画像に基づいて、前記ターゲット面と水平なロール軸回りの回転変位と、前記ターゲット面と水平なピッチ軸回りの回転変位を計算することを特徴とする請求項3、又は4に記載の画像相関変位センサ。
【請求項6】
前記第1及び第2の光線路がテレセントリック光学系を備え、
前記素子が前記ターゲット面と前記テレセントリック光学系の入射側との間に配置されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像相関変位センサ。
【請求項7】
前記テレセントリック光学系において、前記第1及び第2の光線路が実質的に平行である請求項6に記載の画像相関変位センサ。
【請求項8】
前記テレセントリック光学系がレンズとアパーチャと、を備え、
前記第1及び前記第2の光線路が前記レンズの異なる部分と、前記アパーチャの開口部を通過する請求項6に記載の画像相関変位センサ。
【請求項9】
前記撮像部が、第1のレンズ、第2のレンズ、及びアパーチャ、を備え、
前記第1の光線路が前記第1のレンズ、及び前記アパーチャの第1の開口部を通過し、
前記第2の光線路が前記第2のレンズ、及び前記アパーチャの第2の開口部を通過する請求項6、又は7に記載の画像相関変位センサ。
【請求項10】
前記第1及び第2のレンズのそれぞれがシリンドリカルレンズである請求項9に記載の画像相関変位センサ。
【請求項11】
前記第1及び第2の開口部のそれぞれがスリット開口部である請求項9、又は10に記載の画像相関変位センサ。
【請求項12】
前記撮像部が1次元ディテクタを用いて前記スペックルフィールドを撮像する請求項9、10、又は11に記載の画像相関変位センサ。
【請求項13】
前記撮像部が画素アレイを有する単一ディテクタを備え、
前記第1及び前記第2の光線路が前記単一ディテクタの異なる部分に入射する請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の画像相関変位センサ。
【請求項14】
前記ターゲット面近傍において、前記第2の光線路が前記ターゲット面に対して実質的に垂直である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の画像相関変位センサ。
【請求項15】
前記第1及び前記第2の光線路が実質的に第1の平面中に配置されている請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の画像相関変位センサ。
【請求項16】
前記第1の平面が実質的に前記ターゲット面に垂直である請求項15に記載の画像相関変位センサ。
【請求項17】
前記第1の光線路が前記素子の第1の光学偏向素子を通過し、
前記第2の光線路が前記素子の第2の光学偏向素子を通過する請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の画像相関変位センサ。
【請求項18】
前記ターゲット面近傍における前記第1の光線路と前記ターゲット面の法線との間の第1の角度が、前記ターゲット面近傍における前記第2の光線路と前記ターゲット面の法線との間の第2の角度と、実質的に等しくなっている請求項17に記載の画像相関変位センサ。
【請求項19】
前記第1及び第2の光線路が前記ターゲット面に向かって集束している請求項17、又は18に記載の画像相関変位センサ。
【請求項20】
前記第1及び第2の光線路が前記ターゲット面に向かって発散している請求項17、又は18に記載の画像相関変位センサ。
【請求項21】
前記撮像部が前記第1及び第2の光線路が通過するレンズを少なくとも1つ備え、
前記素子が前記ターゲット面と前記レンズの入射側との間に配置され、
前記照射部が光源とビームスプリッタとを備え、
前記ビームスプリッタが前記素子と前記レンズの入射側の間に配置され、
前記照明光が前記素子を介して前記ターゲット面に入射するように、前記ビームスプリッタが前記光源からの照明光を受光して、偏向する請求項1〜請求項20のいずれか1項に記載の画像相関変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78342(P2012−78342A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136507(P2011−136507)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】