説明

相対測定ジャッキを使用して、ターボ機械の可変ジオメトリ装置を位置決めするための機器および方法

ターボ機械の可変ジオメトリ装置(1)の要素の位置決めを制御する機器にして、コンピュータ(2)とコンピュータ(2)によって駆動される前記可変ジオメトリ装置を作動させるアクチュエータ(5)と駆動系(7)とを備え、前記アクチュエータ(5)は伸びを測定するためのセンサ(8)が設置された可動部品(6)を備え、前記駆動系(7)はその一端が前記可動部品(6)の取付点(12)に接続され、他端が装置(1)の要素の取付点(13)に接続され、取付点(13)はアクチュエータ(5)の作用を受けてエンドストップ(11)によって制限される行程に沿って移動し、駆動系(7)は取付点(13)がエンドストップ(11)に接触している時にアクチュエータ(5)の作用を受けて弾性変形可能であるような制御機器であって、コンピュータ(2)によって前記可動部品(6)に提供される伸び命令は、取付点(13)とエンドストップ(11)との接点に対応する可動部品(6)の伸び値に対する差として規定されることを特徴とする機器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、可変ジオメトリ装置の要素およびその位置決めの制御の分野に関し、特に、ターボ機械に取り付けられる可変ジオメトリ装置の要素の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械の装置の複数の要素は、例えば、高圧圧縮機の空気流の方向にほぼ配向される可変設定ステータブレードであろうと、必要に応じて圧縮機のサージマージンを増加するように開閉される排気弁であろうと、圧縮機または可変ピッチプロペラの可動ブレードであろうと、回転または並進運動可能になるように取り付けられる。
【0003】
可変ジオメトリ装置のこれらの要素は、本出願人による欧州特許第1724472号明細書で示されるように、ジャッキまたは任意の他のアクチュエータによって作動される運動系によって動作され、これらの要素の位置は、ジャッキのストロークと当該装置の要素の所望の位置との関係を確立する法則によって規定される。また、欧州特許第1988258号明細書に記載されているように、可変ジオメトリ装置の要素の位置を制御する機器が知られており、装置の要素の位置はストローク終端のセンサによって検出される。
【0004】
位置は、所望の位置でなされる閉ループ制御によって駆動されることが非常に多い。ジャッキのロッドの位置は、ジャッキのロッドの運動に追随してその運動を運動系の位置を制御する機器に伝達する、LVDT(線形可変変位変換器)式のセンサによって明らかになる。これらのセンサは、通常、絶対位置決めタイプのセンサである、つまり、センサは、ジャッキ本体または装置の要素自体に関連付けられる固定基準に対するジャッキのロッドの位置を示す。
【0005】
この閉ループ制御がなされるのは、通常、ジャッキのロッドの位置であって、当該装置の要素の位置ではない。例えば、機械の寿命の間の摩耗によって隙間が生じた場合、または破損などの大きな損傷がジャッキの下流側に位置する運動系に生じた場合には、ジャッキのストロークは完全に制御されるが、そのストロークは装置要素の不正確な位置に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1724472号明細書
【特許文献2】欧州特許第1988258号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一例として、摩耗は、可変設定ステータブレード(または可変ステータ翼−VSV)の保持ブッシュで頻繁に見られ、その結果、その位置決めの際にかなりの隙間が生じ、装置要素の制御が不正確になる。
【0008】
現行のシステムの位置決めが不正確であるために、ターボ機械の設計者は可変ジオメトリ装置の要素を制御する法則の寸法決めの際にマージンを設けることになる。具体的には、設計者は、実位置と制御システムがとるのが望ましい位置との間で装置要素の寿命の間に生じる可能性のある差を考慮しなければならない。圧縮機装置の要素の特殊な例では、将来の摩耗と、そのために生じるブレードの設定時の不正確さに関連する許容偏差とを考慮に入れるために、使用時にサージ現象から保護されなければならず、対応マージンにより最適でない圧縮機が調整され、動作点があるべきところよりサージラインからさらに遠くに選択される。
【0009】
また、設置時に、操作者は、動作時の位置決めの際の不正確さがさらに増すことのないように、装置要素の正確な位置決めを確実に行わなければならない。このような動作は、多大な時間を必要とし、誤操作を引き起こす可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、可変ジオメトリ装置の要素および関連する制御システムを位置決めする機器で、既存の機器の欠陥のいくつかを同じようにもたらすことなく、特に、これらの装置要素の不正確な位置決めに影響を受けない位置決め機器を提案することで、上述の欠点を克服することである。さらに、本発明は、関連機器の位置決めをする方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の対象は、ターボ機械の可変ジオメトリ装置の要素の位置決めを制御する機器にして、コンピュータとコンピュータによって駆動される前記可変ジオメトリ装置を作動させるアクチュエータと運動系とを備え、前記アクチュエータは伸びを測定するためのセンサが設置された可動アセンブリを備え、前記運動系はその一端が前記可動アセンブリの連結点に接続され、他端が装置要素の取付点に接続され、取付点はアクチュエータの作用を受けて当接部によって制限されるストロークに沿って移動し、運動系は取付点が当接部にある時にアクチュエータの作用を受けて弾性変形可能であるような制御機器であって、コンピュータによって前記可動アセンブリに提供される伸び設定値は、取付点の当接部との接点に対応する可動アセンブリの伸び値に対する差として規定されることを特徴とする機器である。
【0012】
当接部に対応する伸び値を基準として使用することで、運動系内に存在しうる隙間をなくして、運動系内で起こり得る破損を検出することができる。したがって、ターボ機械の正確な動作を確保することができるマージンを低減することができる。
【0013】
好ましくは、コンピュータは、アクチュエータに、取付点の当接配置に対応する位置を越えた可動アセンブリの移動の少なくとも1つの設定値を送信することによって、取付点の当接部との接点に対応する可動アセンブリの伸び値を検出する。
【0014】
アクチュエータを当接部を越えたところに送信することで、この当接部を通過する際のジャッキの動作特性の少なくとも1つが変化し、そのことで、可変ジオメトリ装置の取付点の当接部に実際に達したことを検出することができる。当接部の接点に対応する伸びの実値を知ることで、また制御ロジックに見られる知識に基づいて、制御ロジックをリセットすることができ、ひいては、この制御ロジックの設計時のマージンを低減することができる。
【0015】
有利には、機器はさらに、アクチュエータによって伝えられる力を測定する手段を備え、前記コンピュータは、取付点の当接配置に対応する位置を越えた前記可動アセンブリから送信された設定値に応答して、可動アセンブリの移動時のトルク(可動アセンブリの伸び−アクチュエータによって伝えられる力)の経時的変化を収集するように適合される。
【0016】
特定の実施形態では、前記コンピュータは、経時的にアクチュエータによって伝えられる力の変化をもたらす曲線上の変曲点を検出するように適合される。
【0017】
さらに好ましくは、前記コンピュータは、運動系の位置決めを制御する制御ロジックにおいて、アクチュエータによって伝えられる力に対応して当接部との取付点の接点に対応する可動アセンブリの伸びを前記変曲点にリセットするように適合される。
【0018】
したがって、定期的に、例えば、使用の都度、装置要素の制御ロジックをリセットすることができ、運動系の摩耗または劣化による許容偏差があればすぐに反応することができる。
【0019】
本発明はさらに、運動系を使用して、アクチュエータの可動アセンブリに伸びが加えられることで、ターボ機械の可変ジオメトリ装置の要素の位置決めを制御する方法であって、前記アクチュエータは前記伸びを測定するためのセンサとアクチュエータによって伝えられる力を測定するための手段とが設置され、前記運動系はその一端が前記可動アセンブリの連結点に接続され、他端が装置要素の取付点に接続され、取付点はアクチュエータの作用を受けて当接部によって制限されるストロークに沿って移動し、運動系は取付点が当接部にある時にアクチュエータの作用を受けて弾性変形可能であり、
a)アクチュエータに、取付点の当接配置に対応する位置を越えた可動アセンブリの移動の設定値を送信するステップと、
b)前記可動アセンブリの移動時に、少なくとも1つのトルク(可動アセンブリの伸び−アクチュエータによって伝えられる力)の値を測定するステップと、
c)アクチュエータによって伝えられる力の測定値および少なくとも1つの測定トルクに基づいて、取付点の当接部との接点に対応する可動アセンブリの伸びの値を計算するステップと、
d)上述の計算値に対する差によって、使用時に可動アセンブリに加えられる伸びを規定するステップとを含む方法に関する。
【0020】
好ましくは、ステップb)は、取付点の当接配置に対応する位置を越えた可動アセンブリからの送信設定値に従って、前記可動アセンブリの移動時のトルク(可動アセンブリの伸び−アクチュエータによって伝えられる力)の経時的変化を収集するステップを含み、ステップc)は、経時的にアクチュエータによって伝えられる力の変化をもたらす曲線上の変曲点を検出するステップを含む。
【0021】
最後に、本発明は、上述の機器によって位置決めが制御される可変ジオメトリ装置の要素が取り付けられたターボ機械および上述した方法の1つを実装するコンピューティングモジュールが搭載されたターボ機械のコンピュータに関する。
【0022】
単なる一例の非限定的な例として、添付の概略図を参照して考察された本発明の一実施形態の以下の詳細な説明の中で、本発明はより良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴、利点がより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の可変ジオメトリ装置の要素の制御システムの概略図である。
【図2】可変ジオメトリ装置の要素のストロークとそれを作動させるジャッキの可動アセンブリのストロークとの比較概略図である。
【図3】一方は、可変ジオメトリ装置の要素に向けられる本発明の移動コマンド、他方はこのコマンドに応答して装置要素によって実際に行われる移動を示す図である。
【図4】図3のコマンドによる移動時に、本発明の可変ジオメトリ装置の要素を制御するためにジャッキによって加えられる力の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、図1は、可変ジオメトリ装置1の要素を制御するシステムを示し、システムは、設定値通信線3経由で装置1の要素の所望の位置の設定値を受信し、ジャッキタイプのアクチュエータ5に電力線4によって供給される電力に作用するコンピュータ2を備える。コンピュータ2の出力時に、電力線4は、ジャッキ5およびそのジャッキロッドタイプの可動アセンブリ6を作動させて、運動系7を使用して可変ジオメトリ装置1の要素の位置を変更する。ジャッキロッド6は、連結点12で運動系に接続され、運動系が取付点13を介して装置1の要素を移動させる。センサ8は、ジャッキロッド6の位置を常に測定して、それをループバック線9を使用してコンピュータ2に送信する。コンピュータは絶えず、センサ8によって明らかになった位置と、運動系7の公称動作に対して所望の位置に対応する位置との差を計算し、その結果、電力線4に作用してこの差を低減し、その差を徐々に0にする。
【0025】
制御システムは、この場合、ジャッキロッドの位置の閉ループ制御に関して記載されているが、本発明は閉ループ応答を含まない直接システムで完全に製造されてもよいことに留意されたい。
【0026】
経時的に生じる摩耗のために、または起こり得る破損のために、運動系7に隙間10が生じ、その隙間が一方向または他方向に、装置1の要素の実位置とジャッキロッド6によって要求される位置との差を生みだす。
【0027】
図1はさらに、可変ジオメトリ装置1の要素のストローク終端位置の1つに対応する当接部11を示す。このタイプの当接部は、例えば、VSV運動系リングの高圧ハウジング上の当接部、圧縮機の排気弁ゲートの中間ハウジング上の当接部、またはエアフォイルまたはプロペラのピッチの最大当接部および最小当接部としてもよい。装置の要素の取付点のストローク上に少なくとも1つの当接部があることが、本発明の実施形態の不可欠な要素である。
【0028】
図2は、装置の要素を当接部の一方の位置から他方の当接部の位置まで移動させるために、装置1の要素の作動時に、運動系7上のジャッキロッド6の連結点12の移動と、装置1の要素上の運動系の取付点13の実移動とを比較して示している。ジャッキロッド6はストロークZ上を移動するが、取付点13は最初は移動せず、このストロークJ分は隙間10の補償分に相当する。運動系の隙間10が補償されると、装置要素は有効ストロークZGV、すなわち、1つの当接部から他方の当接部までのストロークを動く。図2は、有効ストロークより長い、すなわち、運動系の公称条件において当接部間の装置1の要素の移動Zに相当するストロークより長いジャッキのストロークZを示す。ジャッキロッド6に必要なストロークはストローク終端の当接部の側の有効ストロークより長いので、ジャッキ5は運動系7のストロークの終わりで止まるが、運動系7は当接部11があるためにそれ以上進まず、その後、ジャッキ5がこの運動系を機械的に変形させる。そうすることで、ジャッキの連結点12は、運動系7を形成する部品の弾性に相当する長さDだけ進み続ける。
【0029】
図3および図4を参照すると、これらの図は、装置1の要素を所与の始動位置から装置要素がジャッキ5によって押圧される第1のストローク終端当接部11Aまで移動させるコマンドの間のジャッキロッド6の連結点12の移動L(図3)とジャッキ5によって生じる力F(図4)とを示し、この第1の移動の後に、この第1の当接部Aから第2の当接部Bまでの第2の移動が続き、この時点でジャッキ5は前の方向とは逆の方向に動作する。
【0030】
図3は、2つの曲線を示し、1つ(破線)はコンピュータ2によって求められる位置を示し、他方(実線)はジャッキの連結点12が上述のように移動する時の実位置を示す。最初は、コマンドは0であり、すなわち、ジャッキの動作は必要とされないので、ジャッキは取付点13を前の位置の状態を保つ。設定値通信線3経由でコンピュータによって受信された装置1の要素の位置変更の要求後、コンピュータは、ジャッキ5に対して、tの時点で、取付点13を第1の当接部Aまで移動して、所与の時間t‐tの間その位置にとどまる命令を送信する。時間tの後、コンピュータ2は、取付点13を第1の当接部Aから第2の当接部Bまで移動させる命令を送信する。
【0031】
の時点で、連結点12は、ジャッキ5のジャッキロッド6の移動速度に一致する速度で最初の位置から当接部11に向かって移動する。取付点13は、可能性のある隙間10が吸収されると、同じだけ移動する。取付点13が第1の当接部Aに達すると、ジャッキ5は時間tまでそのストロークを継続し、運動系7が弾性により変形するために、ジャッキロッドの連結点12は距離Dにわたって進み続ける。
【0032】
の時点で、ジャッキ5での圧力は反対向きになり、取付点13は今度は第2の当接部Bにくるように命令される。取付点13は最初はまだ当接部Aと接触しているので、ロッドの連結点12は、運動系7の弾性の結果生じる後退距離Dを解消することで、この当接部における支持応力を緩和する位置まで戻る。ジャッキのロッド6は、後退を続けると同時に、最初に運動系のこの方向に存在する可能性のある隙間Jを補償し、次に、取付点13を第2の当接部Bの方向に移動させる。上述したように、取付点13が第2の当接部Bに達すると、ジャッキ5のロッド6は、運動系7の弾性により距離Dにわたってそのストロークを継続する。
【0033】
同時に、図4に示されるように、ジャッキによって加えられる力は、tの時点から、最初は比較的弱く、運動系7の移動および可変ジオメトリ装置1の要素の移動に必要な値に等しい力を維持しながら変化する。取付点13が第1の当接部Aに達すると、コンピュータ2によって送信される設定値は、当接部を越えた位置に達するようにジャッキの動作を継続する設定値である。その後、ジャッキによって加えられる力は、当接部によって加えられる反力を受けて急上昇する。したがって、図4の曲線は、tの時点の顕著な変曲点を示している。
【0034】
時間tから、ジャッキによって加えられる力は急激に低下し、その後、第2の当接部Bに向かって反対方向に加えられる。
【0035】
ターボ機械の可変ジオメトリ装置の要素の制御機器の摩耗およびそのために生じる測定値の許容偏差の問題に対処し、さらに装置のこれらの要素を制御するシステムの起こり得る破損を検出することができる機器および方法について説明する。
【0036】
通常、先行技術では、センサ8は、固定基準からジャッキロッド6の伸びを評価する絶対測定センサであることに留意されたい。この基準は、例えば、ジャッキ本体とすることができ、この場合、伸びの測定値は前記本体から突出するロッドの長さに関連する。一方、本発明では、ジャッキロッドの使用時の伸びの測定は、事前にはわからないが装置1の要素が当接配置される時に規定される位置に対して行われる。
【0037】
まず、本発明は、1つ好ましくは2つの機械的当接部を可変ジオメトリ装置のできるだけ近くに配置して、使用時に習慣的にまたはモータの寿命にわたって定期的に、装置1の要素をこれらの当接部のうちの1つに向けることでジャッキロッド6の位置を進ませ、リセットすることを提案する。
【0038】
本発明の方法は、可変ジオメトリ装置1の要素の取付点13が当接する当接部11の位置に対応するジャッキロッド6の伸びを決定して、この値をコンピュータ2によってジャッキ5に求められる伸びの基準として、そこからこの基準値に対する差によってジャッキロッド6の位置設定値を規定するステップを含む。
【0039】
この基準値が決定されると、ジャッキロッド6がとる位置は運動系に存在する隙間とは無関係になる。このことで、装置1の要素の位置は完全に制御される。したがって、先行技術の場合のように摩耗を補償するマージンを利用する必要がなくなる。また、この場合、装置1の要素が当接部に達せず、ジャッキロッドに装置1の要素が当接部11にある位置に対応する伸びがないので、駆動システムに破損が生じた否かを検出することができる。
【0040】
ジャッキロッド6の位置が装置1の要素が当接部11に接触する位置に確実に対応するように、操作者は、設定値通信線3を使用して、選択された当接部11を越えた意図的な位置にある位置L1に配置するための設定値を送信する。
【0041】
コンピュータ2は、ジャッキの移動の間、ジャッキ5が電力線4に送る値に基づいてジャッキ5によって伝えられる力F1と、センサ8によるジャッキロッド6の位置L1との両方を認識する。そうすることで、図4に見られる曲線を再現することができる。
【0042】
この曲線を分析することで、装置1の要素が当接部11上にあるジャッキの伸びLに対応する変曲点Fを決定することができる。ジャッキロッドの次の位置決めの基準とされるのがこの値である。
【0043】
このことで、運動系7に生じる摩耗に対処し、運動系の起こり得る破損を検出することができる機器および方法が得られる。
【0044】
本発明は、特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明の範囲内にあれば記載されている技術的に等価な全ての手段およびそれらの組み合わせを含むことは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械の可変ジオメトリ装置(1)の要素の位置決めを制御する機器にして、コンピュータ(2)と、コンピュータ(2)によって駆動される前記可変ジオメトリ装置を作動させるアクチュエータ(5)と運動系(7)とを備え、前記アクチュエータ(5)が伸びを測定するためのセンサ(8)が設置された可動アセンブリ(6)を備え、前記運動系(7)がその一端が前記可動アセンブリ(6)の連結点(12)に接続され、他端が装置(1)の要素の取付点(13)に接続され、取付点(13)がアクチュエータ(5)の作用を受けて当接部(11)によって制限されるストロークに沿って移動し、運動系(7)が取付点(13)が当接部(11)にある時にアクチュエータ(5)の作用を受けて弾性変形可能であるような制御機器であって、コンピュータ(2)によって前記可動アセンブリ(6)に提供される伸び設定値が、取付点(13)の当接部(11)との接点に対応する可動アセンブリ(6)の伸び値に対する差として規定されることを特徴とする、機器。
【請求項2】
コンピュータ(2)が、アクチュエータ(5)に、取付点(13)の当接配置に対応する位置を越えた可動アセンブリ(6)の移動の少なくとも1つの設定値を送信することによって、取付点(13)の当接部(11)との接点に対応する可動アセンブリ(6)の伸び値を検出する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
アクチュエータ(5)によって伝えられる力を測定する手段をさらに備え、前記コンピュータが、取付点(13)の当接配置に対応する位置を越えた前記可動アセンブリ(6)から送信された設定値に応答して、前記可動アセンブリ(6)の移動時の可動アセンブリ(6)の伸びとアクチュエータ(5)によって伝えられる力とによって生成されるトルク経時的変化を収集するように適合される、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記コンピュータが、経時的にアクチュエータ(5)によって伝えられる力の変化をもたらす曲線上の変曲点を検出するように適合される、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記コンピュータが、運動系(7)の位置決めを制御する制御ロジックにおいて、アクチュエータ(5)によって伝えられる力に対応して取付点(13)の当接部(11)とのの接点に対応する可動アセンブリ(6)の伸びを前記変曲点にリセットするように適合される、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
運動系(7)を使用して、アクチュエータ(5)の可動アセンブリ(6)に伸びが加えられることで、ターボ機械の可変ジオメトリ装置(1)の要素の位置決めを制御する方法であって、前記アクチュエータが前記伸びを測定するためのセンサ(8)とアクチュエータ(5)によって伝えられる力を測定するための手段とが設置され、前記運動系がその一端が前記可動アセンブリ(6)の連結点(12)に接続され、他端が装置(1)の前記要素の取付点(13)に接続され、取付点(13)がアクチュエータ(5)の作用を受けて当接部(11)によって制限されるストロークに沿って移動し、運動系(7)は取付点(13)が当接部(11)にある時にアクチュエータ(5)の作用を受けて弾性変形可能であり、
a)アクチュエータ(5)に、取付点(13)の当接配置に対応する位置を越えた可動アセンブリ(6)の移動の設定値を送信するステップと、
b)前記可動アセンブリの移動時に、可動アセンブリ(6)の伸びとアクチュエータ(5)によって伝えられる力とによって生成される少なくとも1つのトルクの値を測定するステップと、
c)アクチュエータ(5)によって伝えられる力の測定値および少なくとも1つの測定トルクに基づいて、取付点(13)の当接部(11)との接点に対応する可動アセンブリ(6)の伸びの値を計算するステップと、
d)上述の計算値に対する差によって、使用時に可動アセンブリ(6)に加えられる伸びを規定するステップとを含む、方法。
【請求項7】
ステップb)が、取付点(13)の当接配置に対応する位置を越えた前記可動アセンブリ(6)からの送信設定値に従って、前記可動アセンブリ(6)の移動時の可動アセンブリ(6)の伸びとアクチュエータ(5)によって伝えられる力とによって生成されるトルクの経時的変化を収集するステップを含み、ステップc)が、経時的にアクチュエータ(5)によって伝えられる力の変化をもたらす曲線上の変曲点を検出するステップを含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5の一項に記載の機器によって位置決めが制御される可変ジオメトリ装置(1)の要素が取り付けられたターボ機械。
【請求項9】
請求項6または請求項7の一項に記載の方法を実装するコンピューティングモジュールが搭載されたターボ機械のコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−530874(P2012−530874A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516730(P2012−516730)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058953
【国際公開番号】WO2010/149724
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】