説明

真空発生装置とそれを使用した医療用吸引システム

【課題】 電力の供給を受けずに駆動できると共に、運転時の異常振動を防止することで、より静粛性を必要とする病院等の医療施設においても好適に使用できるようにした真空発生装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】 真空発生装置Aは、真空ポンプ1と、真空ポンプ1を駆動するエンジン2と、上記真空ポンプ1と接続され、外部から吸気を取り入れる外部吸気口43を備えた真空タンク4と、真空タンク4内の圧力を検知する圧力センサ44a,44bと、圧力センサ44a,44bが検知した真空タンク4内の圧力に基づいて、エンジン2の回転数を予め設定された設定回転数に制御する手段を備えている。エンジン2の設定回転数は、真空発生装置Aが共振を起こすエンジン2の回転数を避けるように段階的に複数設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空発生装置とそれを使用した医療用吸引システム及び真空発生装置の運転方法に関する。更に詳しくは、電力の供給を受けずに駆動できると共に、運転時の異常振動を防止することで、より静粛性を必要とする病院等の医療施設においても好適に使用できるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より病院等においては、電動モータで駆動する真空ポンプを備えた真空発生装置が使用されている。真空発生装置で発生させた負圧は、例えば外科手術時の血液等の体液を吸引したり、人工心肺装置を駆動させたりするために使用される。通常、真空発生装置は手術室や診療室とは別の機械室内に配置されており、吸気経路を介して手術室等に設置された各種医療用機器と連結されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、従来の真空発生装置は電力駆動式であるため、停電や電動モータへの電力供給部に故障等が発生した場合には使用できず、人命に関わる。また、電力の供給を受けることができる場所でしか使用できないため、地震などの災害時に野外で応急的に使用するようなことはできない。
【0004】
そこで本発明者は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関で真空ポンプを駆動させることにより、電力の供給を受けずに駆動できる真空発生装置の開発に取り組んだところ、以下のような新たな課題に直面した。
【0005】
即ち、エンジンがある回転数に達すると、エンジンの振動数と真空ポンプや他の構成部品の固有振動数が一致して共振状態となり、その結果、振動が異常に増大する場合がある。異常な振動は騒音を招くことになり、より静粛性を必要とする病院等の医療施設には好ましくない。更に振動が連続的に起こると各構成部品に大きな応力が繰り返しかかることとなり、故障や破損の原因になる。
【0006】
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、電力の供給を受けずに駆動できると共に、運転時の異常振動を防止することで、より静粛性を必要とする病院等の医療施設においても好適に使用できるようにした真空発生装置とその運転方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記した目的に加え、運転開始時の信頼性を高め、また運転時の騒音や振動あるいは運転時の廃熱によって設置環境が悪化することを防止できるようにした真空発生装置を提供することにある。
【0008】
更に本発明の他の目的は、医療用機器に必要な負圧を発生させるための真空発生装置を備えた医療用吸引システムにおいて、電力駆動式の真空発生装置に内燃機関駆動式の真空発生装置を組み合わせて使用することにより、停電等の緊急時のバックアップ体制を整えると共に、医療用機器から吸引される吸気を濾過するフィルターを真空発生装置の運転を止めないで交換することができるようにすることにある。
その他の本発明の目的は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
真空ポンプと、
該真空ポンプを駆動する内燃機関と、
上記真空ポンプと接続され、外部から吸気を取り入れる吸気案内部を備えた真空タンクと、
該真空タンク内の圧力を検知する圧力検知手段と、
該圧力検知手段が検知した真空タンク内の圧力に基づいて、内燃機関の回転数を予め設定された設定回転数に制御する手段と、
を備えており、
上記内燃機関の設定回転数は、真空発生装置が共振を起こす内燃機関の回転数を避けるように段階的に複数設定されていることを特徴とする、
真空発生装置である。
【0010】
第2の発明にあっては、
真空タンク内の過剰負圧を防止するために、開閉操作により真空タンク内へ外気を導入するための電磁弁と、
圧力検知手段が検知した真空タンク内の圧力が予め設定された圧力以下に低下した場合に、上記電磁弁を開放するように制御する電磁弁制御手段と、
を備えていることを特徴とする、
請求項2記載の真空発生装置である。
【0011】
第3の発明にあっては、
真空ポンプの作動状態を検知する作動状態検知手段と、
手動または/及び自動により実施される内燃機関の始動動作を実施した後、上記作動状態検知手段が予め設定された時間を経過しても真空ポンプが作動していないことを検知すると、内燃機関の始動に失敗したと判定して上記内燃機関の始動を再度指令する制御を行う再始動指令手段と、
該再始動指令手段が内燃機関の再始動を予め設定された回数指令しても、上記作動状態検知手段が真空ポンプが作動していないことを検知した場合に、異常警報を報知する警報報知手段と、
を備えていることを特徴とする、
請求項2または3記載の真空発生装置である。
【0012】
第4の発明にあっては、
第1,2または第3の発明に係る真空発生装置と、
該真空発生装置を収容でき、該真空発生装置から発する騒音または/及び振動が外に漏れることを低減するための収容体と、
真空発生装置が配置された室内に配管可能であり、一端側が上記収容体に接続され、他端側が室外へ導出可能なダクトと、
上記収容体内の空気を上記ダクトを通して強制的に室外へ排出できる手段と、
を備えていることを特徴とする、
真空発生装置である。
【0013】
第5の発明にあっては、
医療用機器に必要な負圧を発生させるための真空発生装置を備えた医療用吸引システムであって、
上記真空発生装置は、第1,2,3または第4の発明に係る真空発生装置と、電力駆動によって負圧を発生できる電力駆動式の真空発生装置を備え、
該電力駆動式の真空発生装置が作動不能となった場合に、作動側を電力駆動式の真空発生装置から内燃機関駆動式の真空発生装置に自動的に切り替える切替手段と、
医療用機器から上記各真空発生装置までの吸気経路中に二以上設けてあり、医療用機器から吸引された吸気を濾過するフィルターが設けられた吸気濾過経路と、
上記フィルターによる濾過前の吸気と濾過後の吸気の圧力の差を検出する差圧検知手段と、
該差圧検知手段が検知した圧力が予め設定した圧力以上になった場合に、上記二以上の吸気濾過経路の何れか一方を通っていた吸気を他の吸気濾過経路を通るように切り替える経路切替制御手段を備えていることを特徴とする、
医療用吸引システムである。
【0014】
第6の発明にあっては、
内燃機関駆動式の真空ポンプを備えた真空発生装置の運転方法であって、
真空発生装置が共振を起こす内燃機関の回転数を予め検出し、この回転数以外の回転数で上記真空ポンプを駆動できる回転数を複数設定し、この複数設定した回転数で内燃機関を段階的に制御しながら真空発生装置の運転を行うことを特徴とする、
真空発生装置の運転方法である。
【0015】
本明細書にいう「手動または/及び自動」には、手動または自動のいずれか一方を含む場合もあるし、あるいは手動及び自動の両方を含む場合もある。
【0016】
(作 用)
本発明に係る真空発生装置は以下のように作用する。
内燃機関が真空ポンプを駆動し、真空タンク内に負圧(真空圧)が発生する。真空ポンプの吸気案内部により外部から吸気が取り入れられる。このように、電力の供給を受けずに負圧を発生させることができる。
【0017】
真空タンク内の圧力を圧力検知手段が検知し、この検知した圧力に基づいて内燃機関の回転数が予め設定された設定回転数に制御される。内燃機関の設定回転数は、真空発生装置が共振を起こす内燃機関の回転数を避けるように段階的に複数設定されている。これにより、運転時に発する異常振動を防止できる。
【0018】
開閉操作により真空タンク内へ外気を導入するための電磁弁が設けてあるものは、圧力検知手段が検知した真空タンク内の圧力が予め設定された圧力以下に低下した場合に、電磁弁制御手段が電磁弁を開放するように制御する。これにより、真空タンク内の過剰負圧を防止される。
【0019】
真空ポンプの作動状態を検知する作動状態検知手段を有するものは、手動または/及び自動により実施される内燃機関の始動動作を実施した後、作動状態検知手段が予め設定された時間を経過しても真空ポンプが作動していないことを検知すると、内燃機関の始動に失敗したと判定して再始動指令手段が上記内燃機関の始動を再度指令する制御を行う。更に、再始動指令手段が内燃機関の再始動を予め設定された回数指令しても、上記作動状態検知手段が真空ポンプが作動していないことを検知した場合に、警報報知手段がオペレーター等に異常警報を報知する。
【0020】
真空発生装置を収容できる収容体を備えたものは、収容体によって真空発生装置から発する騒音または/及び振動が外に漏れることが低減する。更に、収容体内の空気はダクトを通して強制的に室外へ排出される。これにより、内燃機関の廃熱による室内の温度上昇も防止できる。
【0021】
本発明に係る医療用吸引システムは、上記した内燃機関駆動式の真空発生装置と、電力駆動によって負圧を発生できる電力駆動式の真空発生装置を備えている。そして、通常は電力駆動式の真空発生装置で真空圧を発生させるが、停電や電力モータ等の故障時などにより電力駆動式の真空発生装置を作動不能となった場合には、切替手段によって作動側が電力駆動式の真空発生装置から内燃機関駆動式の真空発生装置へ自動的に切り替わる。
【0022】
更に、医療用機器から上記各真空発生装置までの吸気経路中には、吸気濾過経路が二以上設けてある。吸気濾過経路には、医療用機器から吸引された吸気を濾過するフィルターがそれぞれ設けてある。通常、上記した二以上の吸気濾過経路の何れか一方を吸気が通るようになっている。吸気が通ることにより、吸気濾過経路に設けられたフィルターが吸気中に含まれる微粒子等を濾過する。これにより、フィルターの目詰まりが発生してくるため、フィルターを交換する必要がある。フィルターが目詰まりをし始めると、フィルターによる濾過前の吸気と濾過後の吸気の圧力との差が大きくなるので、その圧力の差を差圧センサが検知する。検知された圧力が予め設定した圧力以上になると、経路切替制御手段が吸気濾過経路を通っていた吸気が他の吸気濾過経路を通るように切り替える。これにより、目詰まりしたフィルターを各真空発生装置の運転を止めないで新しいものに交換できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明に係る真空発生装置によれば、真空ポンプを内燃機関で駆動させるようにしているので、電力の供給を受けずに負圧(真空圧)を発生させることができる。よって、停電時でも駆動できるので、人命に関わる医療行為を行う病院等の重要施設で好適に使用できる。また地震などの災害時では被災地に仮設診療所が設置されることがあるが、そのような緊急時でも電力の供給を受けないで使用することができる。
【0024】
(b)本発明に係る真空発生装置及びその運転方法によれば、内燃機関の設定回転数が真空発生装置が共振を起こす内燃機関の回転数を避けるように段階的に複数設定されているので、運転時に発する異常振動を防止できる。よって、より静粛性を必要とする病院等の医療施設においても好適に使用できる。
【0025】
(c)また本発明に係る真空発生装置によれば、真空タンク内の圧力が予め設定した圧力以下に異常に低下した場合には、電磁弁制御手段による制御により電磁弁が開放されて真空タンク内へ外気が導入されるので、各種構成部品の故障や破損を防止できる。
【0026】
(d)更に本発明に係る真空発生装置によれば、手動または/及び自動により実施される内燃機関の始動動作を実施した後、作動状態検知手段が予め設定された時間を経過しても真空ポンプが作動していないことを検知すると、再始動指令手段が内燃機関の始動に失敗したと判定して内燃機関の始動を再度指令する制御を行う。更に、再始動指令手段が内燃機関の再始動を予め設定された回数指令しても、作動状態検知手段が真空ポンプが作動していないことを検知した場合に、警報報知手段が警報を報知するように構成されている。これにより、例えば停電等の緊急時に内燃機関の始動動作を実施した後、真空発生装置が駆動しないまま放置されることを防止できるので、運転開始時の信頼性が高い。
【0027】
(e)また更に本発明に係る真空発生装置によれば、騒音または/及び振動が外に漏れることを低減するための収容体に収容すると共に、収容体内の空気をダクトを通して強制的に室外へ排出するように構成されているため、運転時の騒音や振動の低減及び内燃機関の廃熱による室内の温度上昇を防止できる。
【0028】
(f)本発明に係る医療用吸引システムによれば、電力駆動式の真空発生装置に内燃機関駆動式の真空発生装置を組み合わせて使用することにより、停電等の緊急時のバックアップ体制を整えると共に、医療用機器から吸引される吸気を濾過するフィルターを真空発生装置の運転を止めないで交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を図面に示した実施例に基づき更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明に係る真空発生装置の一実施例を示す側面視概略説明図である。
【0031】
真空発生装置Aは、真空ポンプ1と、真空ポンプ1を駆動する内燃機関であるガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン2と、真空ポンプ1に配管3を介して接続され、真空タンク4とを備えている。
【0032】
真空タンク4の下部側には、自由に方向を変えることができ車輪41が所要数取り付けてある。本実施例では、車輪41は真空タンク4を挟んで左右両側に二箇所ずつ、合計四箇所に設けてある。これにより、屋内や野外などでの真空発生装置Aの移動が容易にできる。なお、床面への振動を緩和するため、車輪41として空気注入式のタイヤを採用している。
【0033】
エンジン2、真空ポンプ1及び後述する蓄電池52や制御ボックス53等は、真空タンク4の上部に設けてある台座42,42aにそれぞれ固定されている。真空タンク4には、真空発生装置Aの外部から吸気を取り入れる吸気案内部である外部吸気口43(図1で右端側)が設けてある。エンジン2で真空ポンプ1を駆動することによって、外部吸気口43から真空タンク4内へ吸引された吸気は、配管3を通って真空ポンプ1の排出口11から外へ排出される。
【0034】
エンジン2の出力軸21と真空ポンプ1の駆動軸12は、動力伝達機構によって連結されている。詳しくは、エンジン2の出力軸21に遠心クラッチ22を介して駆動プーリ23が取り付けてある。真空ポンプ1の駆動軸12には従動プーリ13が取り付けてある。駆動プーリ23及び従動プーリ13にはベルト用の溝がそれぞれ設けてあり、駆動プーリ23及び従動プーリ13の間にベルト24が捲き掛けてある。このような構造より、エンジン2の出力軸21の回転が真空ポンプ1の駆動軸12に伝達する。
【0035】
また、エンジン2の出力軸21が設定回転数以下の時には遠心クラッチ22が切れて駆動プーリ23が回転せず、設定回転数以上となると遠心クラッチ22が接して駆動プーリ23が回転する。これにより、エンジン2の始動時には真空ポンプ1が回転負荷とならないので、エンジン2の始動性が向上する。
【0036】
符号51は、エンジン2の運転によってベルト24の動力から電力を発生させる発電機を示している。符号52は、発電機51による電力を貯えるための蓄電池を示している。また、真空発生装置Aを電力の供給を受けることができる場所で使用する場合は、制御ボックス53内に設けてある整流装置54に受電して蓄電池52に充電できるようになっている。蓄電池52に貯えられた電力は、エンジン2の始動や制御装置55等を作動させるために消費される。
【0037】
制御ボックス53には、制御装置55が格納されている。制御装置55は、エンジン2の始動制御、後述する圧力センサ44a,44bの信号に基づくエンジン2の回転数の制御、真空ポンプ4に設けてある電磁弁45の開閉制御、エンジン2の始動を再度指令する制御等の各種制御を行う。なお、図示はしていないが、真空発生装置Aには、エンジン2を手動で始動できる始動スイッチが所要の位置に設けてある。
【0038】
図2は、エンジンの回転数を制御する制御機構部を説明するための平面視概略説明図である。
図2に示すソレノイド63a,63b,64を用いた制御機構部20により、本実施例ではエンジン2の回転数を「高速(H)」、「中速(M)」、「低速(L)」の三段階で制御することができる。符号201は、制御機構部20を真空タンク4上に取り付けるための取付板(図1も参照)を示している。取付板201は、図1に示す脚部202を介して台座42上に取り付けてある。このソレノイド63a,63b,64を用いた制御機構部20は、図1に示すようにエンジン2の近傍(図1で上部右横)に配置されている。
【0039】
図2に示すように、エンジン2には、エンジン2の回転数を上記した三段階で調整するアクセルレバー25が設けてある。アクセルレバー25には、連結ロッド61の先端部が軸ピン611を介して回動自在に軸支されている。連結ロッド61の基端部には、制御ロッド62の先端部が軸ピン621を介して軸支されている。
【0040】
各ソレノイド63a,63b,64が作動することによって制御ロッド62が進退し、その進退動作が連結ロッド61を介してアクセルレバー25に伝達される。そして、アクセルレバー25は基端部を支点として正逆方向に回動する。軸ピン611,621を介して連結された連結ロッド61の回動動作により、制御ロッド62の進退動作がアクセルレバー25の回動動作に変換される。
【0041】
制御ロッド62の進退動作は、プッシュ型の電磁ソレノイド63a,63bとプル型の電磁ソレノイド64(以下それぞれ単に「プッシュソレノイド63a,63b」、「プルソレノイド64」という。)の二種類のソレノイドを組み合わせて行っている。
【0042】
更に、制御ロッド62の先部側にはコイルバネ623が縮ませた状態で嵌め込まれ、コイルバネ623の先端部は制御ロッド62先端側の掛止部624に当接し、コイルバネ623の基端部は取付板201上に立設した状態で固定された掛止部203に当接している。掛止部203は制御ロッド62が挿通する孔(符号省略)を有している。そして、コイルバネ623が伸長しようする付勢力によって、制御ロッド62は先端側へ、つまりアクセルレバー25を「高速(H)」側へ回動させる方向に常に付勢されている。
【0043】
そして、各ソレノイド63a,63b,64の作動により、制御ロッド62が各ソレノイド63a,63b,64側へ引っ張られることで、コイルバネ623に抗してアクセルレバー25が「中速(M)」や「低速(L)」の位置へ回動する。図2では、アクセルレバー25がコイルバネ623の付勢に抗して「中速(M)」の位置にある状態を示している。
【0044】
制御ロッド62の基端部は、プルソレノイド64のプランジャ641に連結されている。プルソレノイド64は、取付板201に止めネジ等の固定具で固定されている。プルソレノイド64は、通電によるプランジャ641の引き動作により、制御ロッド62を介してアクセルレバー25を「低速(L)」側へ引っ張ることができる向きで固定されている。
【0045】
制御ロッド62の基端部よりもやや先部寄りには、長板状の当接部である当接板65が制御ロッド62に対し直交させて取り付けてある。当接板65は、制御ロッド62に螺合されたロックナット(止めナット)66,66aにより両側から締め付けられている。よって、ロックナット66,66aの締め付け位置を変えることで、制御ロッド62に対する当接板65の位置を前後に調整できる。
【0046】
制御ロッド62の両側には、制御機構部20の取付板201に止めネジ等の固定具で固定されたプッシュソレノイド63a,63bが配置されている。各プッシュソレノイド63a,63bは、通電によるプランジャ631a,631bの押し動作により当接板65を押圧し、それによって制御ロッド62を介してアクセルレバー25をプッシュソレノイド63a,63b側に引っ張ることができる向きで固定されている。プッシュソレノイド63a,63bの押し限界に達したときに、図2に示すようにアクセルレバー25が「中速(M)」に位置するように調整されている。
【0047】
そうして、制御装置55により、エンジン2の回転数を「高速(H)」にする指令が出されると、プッシュソレノイド63a,63b及びプルソレノイド64が通電していないOFFの状態になる。つまり、この状態では、プッシュソレノイド63a,63bのプランジャ631a,631bは引っ込んで当接板65を押圧しておらず、またプルソレノイド64のプランジャ641は引っ込まないで突出した状態となっている。その結果、縮んだコイルバネ623が伸長しようとする付勢力によって、制御ロッド62はエンジン2側に押され、アクセルレバー25は「高速(H)」の位置に移動した状態となっている。
【0048】
また、制御装置55によりエンジン2の回転数を「中速(M)」にする指令が出されると、プッシュソレノイド63a,63bのみが通電したONの状態になる。これより、プッシュソレノイド63a,63bのプランジャ631a,631bが突出し、当接板65を押圧する。その結果、コイルバネ623の付勢力に抗して、制御ロッド62がソレノイド63a,63b,64側に移動し、アクセルレバー25が「中速(M)」の位置へ移動する。
【0049】
更に、制御装置55によりエンジン2の回転数を「低速(L)」にする指令が出されると、プッシュソレノイド63a,63bに加えて、プルソレノイド64も共に通電したONの状態になる。これより、コイルバネ623の付勢力に抗して、プルソレノイド64のプランジャ641が引っ込んで制御ロッド62を各ソレノイド63a,63b,64側に引っ張り、アクセルレバー25が「低速(L)」の位置へ移動する。なお、プルソレノイド64が引き限界に達する直前が吸引力が最大となるため、プルソレノイド64の引き限界に達したときに、アクセルレバー25が「低速(L)」に位置するように調整されている。
【0050】
また反対に、制御装置55により「低速(L)」から「中速(M)」にする指令が出されると、プルソレノイド64のみが通電していないOFFの状態になる。これにより、コイルバネ623が収縮しようする付勢力によって、制御ロッド62は先端側へ、つまりアクセルレバー25を「中速(H)」の位置に移動する。そして、プッシュソレノイド63a,63bのプランジャ631a,631bから離れていた当接板65がプランジャ631a,631bに当接する。
【0051】
更に、制御装置55により「中速(M)」から「高速(H)」からにする指令が出されると、プルソレノイド64に加え、プッシュソレノイド63a,63bも通電していないOFFの状態になる。これにより、コイルバネ623が収縮しようする付勢力によって、制御ロッド62は更に先端側へ、つまりアクセルレバー25を「高速(H)」の位置に移動する。
【0052】
上記したエンジン2の回転数は、真空発生装置Aが共振を起こすエンジン2の回転数を避けて「低速(L)」、「中速(M)」、「高速(H)」と予め三段階に設定されている。例えば、真空発生装置Aの試運転の段階でエンジンの回転数が約850rpmのときに真空発生装置Aが共振を起こす場合には、約850rpmの回転数を避けて設定されている。例えばエンジン2の回転数を「低速(L)」時に700rpm、「中速(M)」時に1100rpm、「高速(H)」時に1450rpm等である。
【0053】
そして、制御装置55が真空タンク4内の圧力に基づいて、予め設定された設定回転数にエンジン2を制御する。例えば真空タンク4内の圧力が−100〜−80キロパスカルのときに「低速(L)」、−80〜−60キロパスカルのときに「中速(M)」、−60〜0キロパスカルのときに「高速(H)」等である。
【0054】
真空タンク4内の圧力を検知する手段である圧力センサ44a,44bは、図1に示すように、真空タンク4の側面側に合計で二箇所設けてある。このように二つの圧力センサ44a,44bによって同時に真空タンク4内の圧力を検出し、その検出値を制御装置55が並列処理しており、一方の圧力センサ44aが故障した場合でも、他方の圧力センサ44bで圧力を検知してエンジン2の回転制御に支障が生じないようにして運転時の信頼性を高めている。
【0055】
また図1に示すように、真空タンク4の側面側には、開閉操作により真空タンク4内へ外気を導入するための電磁弁45が設けてある。そして、真空タンク4内の圧力が予め設定した圧力以下(例えば−86キロパスカル以下)に異常に低下すると、制御装置55が真空タンク4内の過剰負圧を防止するために電磁弁45を開放するように制御する。
【0056】
図2で符号26はチョークレバーを示している。チョークレバー26を操作することによって、チョーク弁(図示省略)が開放してエンジン2内に供給される燃料が多くなり寒冷時のエンジン始動が容易になる。チョークレバー26は、基端側の軸ピン261によって回動自在に軸支されている。チョークレバー26の先端側には長孔262が設けてある。そして、操作ロッド27の先端部に立設されたピン271にその長孔262をスライド可能に嵌め入れた構造となっている。操作ロッド27の基端部は、プル型の電磁ソレノイド28のプランジャ281に連結されている。プルソレノイド64は、制御機構部20の取付板201に止めネジ等の固定具で固定されている。
【0057】
符号272は、操作ロッド27が進退方向から横にずれたり、操作ロッド27が下に落ち込んだりすることを防止するための案内部材を示している。案内部材272は操作ロッド27を挿通するための挿通孔を備えており、止めネジ等の固定具で取付板201に固定されている。
【0058】
そして、エンジン2の始動開始時において、通電によるプランジャ281の引き動作により、操作ロッド27を介してチョークレバー26が回動してチョーク弁が開放する。エンジン2の始動が完了したら、プルソレノイド64が通電していないOFFの状態になり、プランジャ281が突出して基の位置に戻る。これにより、操作ロッド27を介してチョークレバー26が基の位置に回動しチョーク弁が閉じる。このプルソレノイド64の一連の操作は、制御装置55により自動的に行われる。
【0059】
図3は、真空ポンプの作動状態を検知する作動状態検知手段である近接センサの取り付け位置を示す部分拡大概略説明図である。
図3に示すように、真空ポンプ1には、従動プーリ13が回転しているか否かを検知して、真空ポンプ1の作動状態を検知する近接センサ10が取り付けてある。近接センサ10は、従動プーリ13の周面部に設けられた凸部131が近接センサ10の前を通過すると信号を出力するように設定されている。
【0060】
そして、手動または/及び自動により実施されるエンジン2の始動動作を実施した後、
近接センサ10が予め設定された時間を経過しても真空ポンプ1が作動していないことを検知すると、制御装置55がエンジン2の始動に失敗したと判定してエンジンの始動を再度指令する制御を行う。
【0061】
更に、制御装置55がエンジン2の再始動を予め設定された回数指令しても、近接センサ10が真空ポンプ1が作動していないことを検知した場合に、警報報知装置(図示省略)がオペレーターに警報を報知する。
【0062】
(作 用)
図1に示す真空発生装置Aの作用を、病院内において使用した場合を例に挙げて説明する。なお、以下に示す使用方法はあくまでも一つの例を示しており、特にこれに限定するものではない。
【0063】
例えば病院内の機械室等に、図1に示すエンジン駆動式の真空発生装置Aを設置する。
真空発生装置Aの外部吸気口43は、手術室等に設けてある各種医療用機器から導出された吸気経路である配管等に接続する。そして、既存の電力駆動式の真空発生装置と組み合わせて使用し、停電等の緊急時に、作動側を電力駆動式の真空発生装置からエンジン駆動式の真空発生装置Aに自動的に切り替わるように吸引システムを構築する。
【0064】
そして、例えば停電により電力駆動式の真空発生装置が作動不能になった場合には、上記したように、作動側が電力駆動式の真空発生装置からエンジン駆動式の真空発生装置Aに自動的に切り替わると共に、自動的にエンジン2の始動指令が出される。
【0065】
通常、エンジン2の始動によって、真空ポンプ1は円滑に駆動する。ただし、近接センサ10が予め設定された時間(例えば三秒)を経過しても真空ポンプ1が作動していないことを検知すると、エンジン2の始動に失敗したと判定して、制御装置55がエンジンの始動を再度指令する。更に、制御装置55がエンジン2の再始動を予め設定された回数指令しても、近接センサ10が真空ポンプ1が作動していないことを検知すると、警報報知装置(図示省略)がオペレーターに警報を報知する。これにより、例えば停電等の緊急時にエンジン2の始動動作を実施した後、真空発生装置Aが駆動しないまま放置されることを防止できるので、運転開始時の信頼性が高い。
【0066】
真空発生装置Aの運転中は、真空タンク4内の圧力を圧力センサ44a,44bが検知し、その検知された圧力に基づいてエンジン2の回転数が制御される。上記したように、エンジン2の回転数は、真空発生装置Aが共振を起こすエンジン2の回転数を避けて段階的に設定されているので、運転時に異常振動が発生することを防止できる。
【0067】
更に、真空タンク4内の圧力が予め設定した圧力以下に異常に低下した場合には、電磁弁45が開放されて真空タンク4内へ外気が導入されるので、各種構成部品の故障や破損を防止できる。
【0068】
なお、停電が復旧した場合に、作動側をエンジン駆動式の真空発生装置Aから電力駆動式の真空発生装置へ自動的に切り替わるように構成することもできる。作動側が完全に切り替わった場合には、真空発生装置Aのエンジン2が自動的に停止するように構成しても良い。
【0069】
また、例えば地震などの災害時に真空発生装置Aを野外で使用する場合には、トラックの荷台等に載せて真空発生装置Aを運び出す。真空発生装置Aには車輪41が設けてあるので、野外への持ち出しも容易である。そして、例えば被災地の仮設診療所等に真空発生装置Aを設置すると共に、フレキシブルパイプやホース等で負圧が必要な医療用機器に接続する。始動スイッチ(図示省略)を手動で押し、エンジン2を駆動させて真空圧を発生させる。
【実施例2】
【0070】
図4は、図1に示す真空発生装置を収容カバー内に設置した状態を示す一部断面説明図である。
真空発生装置Aを屋内で使用する場合には、図4に示す収容部である収容カバー7を使用することができる。収容カバー7は、真空発生装置Aを内部に配置する大きさであり、真空発生装置Aから発する騒音や振動が外に漏れることを低減できる材質と厚さを有している。
【0071】
収容カバー7には、真空発生装置Aが配置された室内に配管されたダクト71の一端側が接続されており、ダクト71の他端側(図示省略)は室外へ導出されている。ダクト71の吸気口711側には、収容カバー7内の空気を上記ダクト71を通して強制的に室外へ排出できる換気装置72が設けてある。吸気口711は、エンジン2の近傍に位置するように配置されている。換気装置72により、エンジン2から発生した排気ガスや熱をダクト71を通じて室外に強制的に排出できる。これにより、室内の温度上昇を防止できる。符号73は、収容カバー7内に空気を取り入れるための空気取込口を示している。
【0072】
収容カバー7は、床面との間に隙間が生じないように、ゴム等の弾性体74を介して床面と接触している。これにより、収容カバー7に発生する振動を緩和すると共に、排気ガスが収容カバー7から漏れることを防止している。符号75は、空気取込口73から取り込まれた外の空気がエンジン2や真空ポンプ1に直接的に接触するように空気の流れ方向を制御する制御板を示している。
【0073】
以上説明したような収容カバー7を用いれば、真空発生装置Aの運転時の騒音や振動あるいは運転時の廃熱によって設置環境が悪化することを防止できる。
【実施例3】
【0074】
図5は、図1に示す真空発生装置を使用した医療用吸引システムの説明図である。
【0075】
医療用吸引システムSは、負圧(真空圧)を必要とする医療用機器81と、負圧を発生させる真空発生装置A,A1を備えている。医療用機器81としては、例えば外科手術時に血液などの体液を吸引するための吸引装置や、真空圧を動力源として人工心肺等を駆動させる装置を挙げることができる。真空発生装置A,A1は、電力モータで駆動する真空ポンプを備えた電力駆動式の真空発生装置A1と、図1に示すエンジン駆動式の真空発生装置Aからなる。
【0076】
各真空発生装置A,A1で発生した負圧は、吸気経路82を通して医療用機器81に伝達される。つまり、発生した負圧により医療用機器81で吸引された吸気は、吸気経路82を通って各真空発生装置A,A1へ送られる。各真空発生装置A,A1側において、吸気経路82は、電力駆動式の真空発生装置A1に接続される吸気経路82aと、エンジン駆動式の真空発生装置Aに接続される吸気経路82bに分岐している。
【0077】
各吸気経路82a,82bには、制御装置(図示省略)によって開閉制御される電磁弁83a,83bがそれぞれに設けてある。そして、通常は電力駆動式の真空発生装置A1で真空圧を発生させるが、停電や電力モータ等の故障時などにより電力駆動式の真空発生装置A1を作動不能となった場合に、制御装置によって電磁弁83a,83bが開閉制御され、作動側が電力駆動式の真空発生装置A1からエンジン駆動式の真空発生装置Aへ自動的に切り替わるようになっている。符号84a,84bは、各吸引経路82a,82b中に溜まった水滴を自動的に除去するドレーントラップをそれぞれ示している。
【0078】
また医療用機器81から導出された吸気経路82は途中で二股に分かれ、吸気を濾過するフィルター85aを備えた吸気濾過経路821aと、同じく吸気を濾過するフィルター85bを備えた吸気濾過経路821bを構成する。各フィルター85a,85bにより、医療用機器81から吸引される吸気中に含まれる血液等の体液や微粒子等が濾過される。またフィルター85a,85bにより殺菌処理も行われる。二股に分かれた各吸気濾過経路821a,821bはその後合流して共通した吸気経路82となっている。符号86は吸気濾過経路821a,821bと共通の吸気経路82の分岐点にそれぞれ設けてある三方切替弁を示している。なお、本実施例では、吸気経路82中に吸気濾過経路が二箇所設けられた場合を例に挙げて説明しているが、二箇所以上設けられた構成としても良い。
【0079】
更に、吸気濾過経路821a,821bを間に挟んだ吸気経路82中は、上記したフィルター85a,85bによる濾過前の吸気と濾過後の吸気の圧力の差を検出する差圧検知手段である差圧センサ87が設けてある。フィルター85a,85b内を吸気が通る際、フィルター85a,85bの抵抗により圧力負荷が生じるため、この圧力を差圧センサ87で検出すれば、空気抵抗の度合いに比例したフィルター85の目詰まり具合が検出できる。符号88は、差圧センサ87の感度を変えるための調整弁を示している。
【0080】
以上のような構成により、通常は上記した二つの吸気濾過経路821a,821bの何れか一方を吸気が通るように制御されている。そして、例えば吸気濾過経路821aを吸気が通っていると仮定した場合、次第にフィルター85aの目詰まりが発生してくるため、フィルター85aを交換する必要がある。
【0081】
フィルター85aが目詰まりをし始めると、上記したように、フィルター85aによる濾過前の吸気と濾過後の吸気の圧力との差が大きくなる。この圧力の差を差圧センサ87が検知し、検知された圧力が予め設定した圧力以上になると、制御装置(図示省略)によって三方切替弁86,87の開閉制御を自動的に行い、上記した吸気濾過経路821aを通っていた吸気を他の経路である吸気濾過経路821bを通るように切り替える。これにより、目詰まりしたフィルター85aを各真空発生装置A,A1の運転を止めないで新しいものに交換できる。
【0082】
また同様に、吸気濾過経路821b側のフィルター85bの目詰まりが発生したら、自動的に吸気濾過経路821bを通っていた吸気が他の経路である吸気濾過経路821aを通るように切り替わる。そして、今度はフィルター85bを新しいものと交換する。その後は、順次、吸気濾過経路821a,821bが交互に切り替わっていく。
【0083】
なお、差圧センサ87の圧力差が予め設定した値を超えたとき、警報を鳴らすことでオペレーターに注意を発するように構成することもできる。また、上記したフィルターの切り替え構造は、電力駆動式の真空発生装置A1やエンジン駆動式の真空発生装置Aのみで構成することもできる。
【実施例4】
【0084】
図6は、エンジンの回転数を制御する制御機構部の他の実施例を説明するための平面視概略説明図である。
なお、実施例1と同一または同等箇所には同一の符号を付して示している。また、実施例1で説明した箇所については、説明を省略し、主に相異点を説明する。
【0085】
実施例1で説明した制御機構部20(図2参照)では、エンジン2の回転数を「高速(H)」、「中速(M)」、「低速(L)」の三段階で制御するために、プッシュ型とプル型の二種類の電磁ソレノイド63a,63b,64を組み合わせて用いている。
【0086】
これと相違して、図6に示す本実施例では、プッシュ型は用いず、プル型の電磁ソレノイド67,68a,68b(以下それぞれ単に「プルソレノイド67,68a,68b」という。)を使用して制御機構部20aを構成している。なお、本実施例では、プルソレノイド67,68a,68bを三つ使用しているが、特にその数を限定するものではない。
【0087】
プルソレノイド67,68a,68bは所要の間隔で並設され、止めネジ等の固定具でによって制御機構部20aの取付板201に固定されている。プルソレノイド67,68a,68bは、通電による各プランジャ671,681a,681bの引き動作により、後述する制御ロッド62aを介してアクセルレバー25を「高速(L)」側から「低速(L)」側へ引っ張ることができる向きで固定されている。なお、図6ではアクセルレバー25が「中速(M)」の位置にある状態を示している。
【0088】
プルソレノイド67,68a,68bのうち、引きストロークが長いプルソレノイド67が中央に位置し、その両側に同じ引きストロークを有するプルソレノイド68a,68bが配置されている。以下、説明の都合上、両側に位置するプルソレノイド68a,68bを「第一プルソレノイド68a,68b」といい、中央のプルソレノイド67を「第二プルソレノイド67」という。
【0089】
第二プルソレノイド67のプランジャ671の先端部には、上下二枚の平面視長方形の金属板で構成される連結部材である第二連結プレート91が固定ピン672によって固定されている。第二連結プレート91の先端側には、エンジン2のアクセルレバー25を操作する制御ロッド62aの基端部が固定されている。制御ロッド62aは断面平板状に形成されており、第二連結プレート91を構成する二枚の金属板によって上下方向から挟まれた状態で固定ピン911で固定されている。
【0090】
第二連結プレート91の長手方向の中間部分には、第二連結プレート91に直交するようにして制御部材であるスライド部材92が設けてある。スライド部材92は薄い長板状であり、第二連結プレート91を構成する二枚の金属板で上下方向から挟まれた状態で、軸ピン912により回動自在に軸支されている。
【0091】
エンジン2のアクセルレバー25は、制御ロッド62aの略中間部分に交差するように配置され、その交差位置に長孔612を有している。そして、制御ロッド62aに立設されたピン611にその長孔612をスライド可能に嵌め入れた構造となっている。制御機構部20の取付板201は、その長手方向がエンジン2の駆動プーリ23のベルト24方向、つまり図1に示す真空タンク4の長手方向と本質的に平行になるように配置されている。
【0092】
制御ロッド62aの先端側には、引張コイルバネ623aの一端部が固定ピン625を介して取り付けてある。引張コイルバネ623aの他端部は取付板201上に固定された固定ピン626を介して取り付けてある。引張コイルバネ623aはその軸心方向が制御ロッド62aの進退方向と同一方向になるように取り付けてある。
【0093】
引張コイルバネ623aは伸長させた状態で取り付けてあり、引張コイルバネ623aが収縮しようする付勢力によって、制御ロッド62aは先端側へ、つまりアクセルレバー25を「高速(H)」側へ回動させる方向に常に付勢されている。
【0094】
符号627は、制御ロッド62aが進退方向から横にずれたり、制御ロッド62aの先部側が下に落ち込んだりすることを防止するための案内部材を示している。案内部材627は制御ロッド62aを挿通するための挿通孔を備えており、止めネジ等の固定具で取付板201に固定されている。
【0095】
図7は中央の第二プルソレノイドの両側に位置する第一プルソレノイドのプランジャの動きを説明するための側面視概略説明図である。
図7では、図6で左側に位置する第一プルソレノイド68aを図示しており、隣接する第二プルソレノイド67や第二連結プレート91等は省略している。なお、図6で右端に位置する第一プルソレノイド68bも、図7に示す第一プルソレノイド68aと同じ動きをする。
【0096】
図6に示すように、第一プルソレノイド68a,68bのプランジャ681a,681bの先端側には、連結部材である平面視長方形の第一連結プレート93a,93bが固定ピン682,682を介して固定されている。図7(a)に示すように、各第一連結プレート93a,93bは、薄い長板状の金属板を略中央で折り曲げて形成されている。これにより、その折り返し側である各第一連結プレート93a,93bの先部側に、上記したスライド部材92の両端部をそれぞれ挿設するガイド長孔931が形成されている。ガイド長孔931の長手方向の孔の長さは、各第一連結プレート93a,93bの横幅よりも長い。これにより、図7(c)に示すように、ガイド長孔931内を各第一連結プレート93a,93bが前後に摺動可能となっている。
【0097】
図6に示すように、スライド部材92の両端部には、各第一連結プレート93a,93bを左右両側から挟む込むようにストッパーピン921,921がそれぞれ取り付けてある。ストッパーピン921,921により、各第一連結プレート93a,93bはスライド部材92から抜けないようになっている。
【0098】
エンジン2の回転数は、真空発生装置Aが共振を起こすエンジン2の回転数を避けて「低速(L)」、「中速(M)」、「高速(H)」の三段階に設定されている。
【0099】
(作 用)
制御機構部20aは次のように作用する。
制御装置55(図1参照)により、エンジン2の回転数を「高速(H)」にする指令が出されると、第一プルソレノイド68a,68b及び第二プルソレノイド67が通電していないOFFの状態になる。この状態では、第一プルソレノイド68a,68b及び第二プルソレノイド67の各プランジャ681a,681b,671は、引っ込まないで突出している。
【0100】
その結果、引張コイルバネ623aが収縮しようとする付勢力によって、制御ロッド62aは先端側(エンジン2側)へ引っ張られ、アクセルレバー25は「高速(H)」の位置にある。またスライド部材92も第二連結プレート91を介して引っ張られ、図6の一点鎖線で示す「高速(H)」の位置にある。なお、スライド部材92は図7(a)では第一連結プレート93aに設けてあるガイド長孔931の先端側に位置している。
【0101】
また、制御装置55によりエンジン2の回転数を「中速(M)」にする指令が出されると、両側に位置する第一プルソレノイド68a,68bのみが通電したONの状態になる。これより、第一プルソレノイド68a,68bのプランジャ681a,681bが引っ込む。
【0102】
その結果、引張コイルバネ623aの付勢力に抗して、制御ロッド62aがプルソレノイド67,68a,68b側へ移動し、アクセルレバー25が「高速(H)」から「中速(M)」の位置へ回動する。この状態では、スライド部材92は図6の二点鎖線で示す「中速(M)」の位置にあり、図7(b)では同じく第一連結プレート93aに設けてあるガイド長孔931の先端側に位置している。なお、第一プルソレノイド68a,68bの引き限界に達したときに、アクセルレバー25が「中速(M)」に位置するように調整されている。
【0103】
なお、この状態では、第二プルソレノイド67は通電状態とはなっていないため、そのプランジャ671は完全には引っ込んでいない。しかし、第一プルソレノイド68a,68bのプランジャ681a,681bが引っ込むことで、スライド部材92が移動した距離の分、第二プルソレノイド67のプランジャ671が引っ込んだ状態となっている。
【0104】
更に、制御装置55によりエンジン2の回転数を「低速(L)」にする指令が出されると、第一プルソレノイド68a,68bに加えて、第二プルソレノイド67も共に通電したONの状態になる。これより、第二プルソレノイド67のプランジャ671も引っ込んで制御ロッド62aを引っ張り、アクセルレバー25が「中速(M)」から「低速(L)」の位置へ回動する。なお、第二プルソレノイド67の引き限界に達したときに、アクセルレバー25が「低速(L)」に位置するように調整されている。
【0105】
この状態では、スライド部材92は図6の二点鎖線で示す「低速(L)」の位置に移動している。即ち、図7(c)に示すように、第一プルソレノイド68aのプランジャ681aはそれ以上引っ込むことがないため位置は変わらないが、スライド部材92は第二プルソレノイド67のプランジャ671が移動した距離の分だけ、ガイド長孔931内を摺動して第二プルソレノイド67側へ移動する。
【0106】
なお、プルソレノイド67が引き限界に達する直前が吸引力が最大となるため、プルソレノイド67の引き限界に達したときに、アクセルレバー25が「低速(L)」に位置するように調整されている。
【0107】
また反対に、制御装置55によりエンジン2の回転数を「低速(L)」から「中速(M)」にする指令が出されると、第二プルソレノイド67のみが通電していないOFFの状態になる。これにより、第二プルソレノイド67のプランジャ671が突出可能となる。
【0108】
そうして、引張コイルバネ623aが収縮しようする付勢力によって、制御ロッド62aが先端側へ引っ張られると共に、第二プルソレノイド67のプランジャ671及びスライド部材92がエンジン2側へ引っ張られる。しかし、図7(b)に示すように、第一プルソレノイド68aのプランジャ681aは未だ引っ込んだ状態となっているため、スライド部材92は図7(b)でガイド長孔931の右端部までしか移動できない。よって、制御ロッド62aは、アクセルレバー25が「中速(M)」の位置まで回動した時点で止まるようになっている。
【0109】
更に、制御装置55によりエンジン2の回転数を「中速(M)」から「低速(L)」にする指令が出されると、第二プルソレノイド67に加えて第一プルソレノイド68a,68bも通電していないOFFの状態になる。これにより、第二プルソレノイド67のプランジャ671が図7(a)に示すように突出し、スライド部材92も引張コイルバネ623aが収縮しようする付勢力によってエンジン2側へ移動する。その結果、アクセルレバー25が「低速(L)」の位置まで回動できるように制御ロッド62aが移動する。
【0110】
本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0111】
更に、特許請求の範囲には請求項記載の内容の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、特許請求の範囲を図面記載のものに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る真空発生装置の一実施例を示す側面視概略説明図。
【図2】エンジンの回転数を制御する制御機構を説明するための平面視概略説明図。
【図3】真空ポンプの作動状態を検知する作動状態検知手段である近接センサの取り付け位置を示す部分拡大概略説明図。
【図4】図1に示す真空発生装置を収容カバー内に設置した状態を示す一部断面説明図。
【図5】図1に示す真空発生装置Aを使用した医療用吸引システムの説明図。
【図6】エンジンの回転数を制御する制御機構部の他の実施例を説明するための平面視概略説明図。
【図7】中央の第二プルソレノイドの両側に位置する第一プルソレノイドのプランジャの動きを説明するための側面視概略説明図。
【符号の説明】
【0113】
A エンジン駆動式の真空発生装置
A1 電力駆動式の真空発生装置
S 医療用吸引システム
1 真空ポンプ
10 近接センサ
11 排出口
12 駆動軸
13 従動プーリ
131 凸部
2 エンジン
20,20a 制御機構部
201 取付板
21 出力軸
22 遠心クラッチ
23 駆動プーリ
24 ベルト
25 アクセルレバー
26 チョークレバー
261 軸ピン
262 長孔
27 操作ロッド
271 ピン
28 電磁ソレノイド
3 配管
4 真空タンク
41 車輪
42,42a 台座
43 外部吸気口
44a,44b 圧力センサ
45 電磁弁
51 発電機
52 充電池
53 制御ボックス
54 整流装置
55 制御装置
61 連結ロッド
611,621 軸ピン
612 長孔
62,62a 制御ロッド
623 コイルバネ
623a 引張コイルバネ
624 掛止部
625 固定ピン
626 固定ピン
627 案内部材
631a,631b,641 プランジャ
63a,63b プッシュソレノイド
64 プルソレノイド
65 当接板
66,66a ロックナット
67 第二プルソレノイド
671 プランジャ
68a,68b 第一プルソレノイド
681a,681b プランジャ
682 固定ピン
7 収容カバー
71 ダクト
711 吸気口
72 換気装置
73 空気取込口
74 弾性体
75 制御板
81 医療用機器
82,82a 吸気経路
821a,821b 吸気濾過経路
83a,83b 電磁弁
84a,84b ドレーントラップ
85a,85b フィルター
86 三方切替弁
87 差圧センサ
88 調整弁
91 第二連結プレート
911 固定ピン
912 軸ピン
92 スライド部材
921 ストッパーピン
93a,93b 第一連結プレート
931 ガイド長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(1)と、
該真空ポンプ(1)を駆動する内燃機関(2)と、
上記真空ポンプ(1)と接続され、外部から吸気を取り入れる吸気案内部(43)を備えた真空タンク(4)と、
該真空タンク(4)内の圧力を検知する圧力検知手段(44a,44b)と、
該圧力検知手段(44a,44b)が検知した真空タンク(4)内の圧力に基づいて、内燃機関(2)の回転数を予め設定された設定回転数に制御する手段と、
を備えており、
上記内燃機関(2)の設定回転数は、真空発生装置(A)が共振を起こす内燃機関(2)の回転数を避けるように段階的に複数設定されていることを特徴とする、
真空発生装置。
【請求項2】
真空タンク(4)内の過剰負圧を防止するために、開閉操作により真空タンク(4)内へ外気を導入するための電磁弁(45)と、
圧力検知手段(44a,44b)が検知した真空タンク(4)内の圧力が予め設定された圧力以下に低下した場合に、上記電磁弁(45)を開放するように制御する電磁弁制御手段と、
を備えていることを特徴とする、
請求項2記載の真空発生装置。
【請求項3】
真空ポンプ(1)の作動状態を検知する作動状態検知手段(10)と、
手動または/及び自動により実施される内燃機関(2)の始動動作を実施した後、上記作動状態検知手段(10)が予め設定された時間を経過しても真空ポンプ(1)が作動していないことを検知すると、内燃機関(2)の始動に失敗したと判定して上記内燃機関(2)の始動を再度指令する制御を行う再始動指令手段と、
該再始動指令手段が内燃機関(2)の再始動を予め設定された回数指令しても、上記作動状態検知手段(10)が真空ポンプ(1)が作動していないことを検知した場合に、異常警報を報知する警報報知手段と、
を備えていることを特徴とする、
請求項2または3記載の真空発生装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の真空発生装置(A)と、
該真空発生装置(A)を収容でき、該真空発生装置(A)から発する騒音または/及び振動が外に漏れることを低減するための収容体(7)と、
真空発生装置(A)が配置された室内に配管可能であり、一端側が上記収容体(7)に接続され、他端側が室外へ導出可能なダクト(71)と、
上記収容体(7)内の空気を上記ダクト(71)を通して強制的に室外へ排出できる手段(72)と、
を備えていることを特徴とする、
真空発生装置。
【請求項5】
医療用機器(81)に必要な負圧を発生させるための真空発生装置を備えた医療用吸引システムであって、
上記真空発生装置は、請求項1,2,3または4記載の真空発生装置(A)と、電力駆動によって負圧を発生できる電力駆動式の真空発生装置(A1)を備え、
該電力駆動式の真空発生装置(A1)が作動不能となった場合に、作動側を電力駆動式の真空発生装置(A1)から内燃機関駆動式の真空発生装置(A)に自動的に切り替える切替手段と、
医療用機器(81)から上記各真空発生装置(A)(A1)までの吸気経路中(82)に二以上設けてあり、医療用機器(81)から吸引された吸気を濾過するフィルター(85)が設けられた吸気濾過経路(821)と、
上記フィルター(85)による濾過前の吸気と濾過後の吸気の圧力の差を検出する差圧検知手段(87)と、
該差圧検知手段(87)が検知した圧力が予め設定した圧力以上になった場合に、上記二以上の吸気濾過経路(821)の何れか一方を通っていた吸気を他の吸気濾過経路を通るように切り替える経路切替制御手段を備えていることを特徴とする、
医療用吸引システム。
【請求項6】
内燃機関駆動式の真空ポンプ(1)を備えた真空発生装置の運転方法であって、
真空発生装置(A)が共振を起こす内燃機関(2)の回転数を予め検出し、この回転数以外の回転数で上記真空ポンプ(1)を駆動できる回転数を複数設定し、この複数設定した回転数で内燃機関(2)を段階的に制御しながら真空発生装置(A)の運転を行うことを特徴とする、
真空発生装置の運転方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(1)と、
該真空ポンプ(1)を駆動する内燃機関(2)と、
上記真空ポンプ(1)と接続され、外部から吸気を取り入れる吸気案内部(43)を備えた真空タンク(4)と、
該真空タンク(4)内の圧力を検知する圧力検知手段(44a,44b)と、
該圧力検知手段(44a,44b)が検知した真空タンク(4)内の圧力に基づいて、内燃機関(2)の回転数を予め設定された設定回転数に制御する手段と、
を備えており、
上記内燃機関(2)の設定回転数は、真空発生装置(A)が共振を起こす内燃機関(2)の回転数を避けるように段階的に複数設定されており、
上記真空タンク(4)内の過剰負圧を防止するために、開閉操作により真空タンク(4)内へ外気を導入するための電磁弁(45)と、
上記圧力検知手段(44a,44b)が検知した真空タンク(4)内の圧力が予め設定された圧力以下に低下した場合に、上記電磁弁(45)を開放するように制御する電磁弁制御手段と、
を備えていることを特徴とする、
真空発生装置。
【請求項2】
真空ポンプ(1)の作動状態を検知する作動状態検知手段(10)と、
手動または/及び自動により実施される内燃機関(2)の始動動作を実施した後、上記作動状態検知手段(10)が予め設定された時間を経過しても真空ポンプ(1)が作動していないことを検知すると、内燃機関(2)の始動に失敗したと判定して上記内燃機関(2)の始動を再度指令する制御を行う再始動指令手段と、
該再始動指令手段が内燃機関(2)の再始動を予め設定された回数指令しても、上記作動状態検知手段(10)が真空ポンプ(1)が作動していないことを検知した場合に、異常警報を報知する警報報知手段と、
を備えていることを特徴とする、
請求項記載の真空発生装置。
【請求項3】
真空ポンプ(1)と、
該真空ポンプ(1)を駆動する内燃機関(2)と、
上記真空ポンプ(1)と接続され、外部から吸気を取り入れる吸気案内部(43)を備えた真空タンク(4)と、
該真空タンク(4)内の圧力を検知する圧力検知手段(44a,44b)と、
該圧力検知手段(44a,44b)が検知した真空タンク(4)内の圧力に基づいて、内燃機関(2)の回転数を予め設定された設定回転数に制御する手段と、
を備えており、
上記内燃機関(2)の設定回転数は、真空発生装置(A)が共振を起こす内燃機関(2)の回転数を避けるように段階的に複数設定されており、
上記真空ポンプ(1)の作動状態を検知する作動状態検知手段(10)と、
手動または/及び自動により実施される内燃機関(2)の始動動作を実施した後、上記作動状態検知手段(10)が予め設定された時間を経過しても真空ポンプ(1)が作動していないことを検知すると、内燃機関(2)の始動に失敗したと判定して上記内燃機関(2)の始動を再度指令する制御を行う再始動指令手段と、
該再始動指令手段が内燃機関(2)の再始動を予め設定された回数指令しても、上記作動状態検知手段(10)が真空ポンプ(1)が作動していないことを検知した場合に、異常警報を報知する警報報知手段と、
を備えていることを特徴とする、
真空発生装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の真空発生装置(A)と、
該真空発生装置(A)を収容でき、該真空発生装置(A)から発する騒音または/及び振動が外に漏れることを低減するための収容体(7)と、
真空発生装置(A)が配置された室内に配管可能であり、一端側が上記収容体(7)に接続され、他端側が室外へ導出可能なダクト(71)と、
上記収容体(7)内の空気を上記ダクト(71)を通して強制的に室外へ排出できる手段(72)と、
を備えていることを特徴とする、
真空発生装置。
【請求項5】
医療用機器(81)に必要な負圧を発生させるための真空発生装置を備えた医療用吸引システムであって、
上記真空発生装置は、請求項1,2,3または4記載の真空発生装置(A)と、電力駆動によって負圧を発生できる電力駆動式の真空発生装置(A1)を備え、
該電力駆動式の真空発生装置(A1)が作動不能となった場合に、作動側を電力駆動式の真空発生装置(A1)から内燃機関駆動式の真空発生装置(A)に自動的に切り替える切替手段と、
医療用機器(81)から上記各真空発生装置(A)(A1)までの吸気経路中(82)に二以上設けてあり、医療用機器(81)から吸引された吸気を濾過するフィルター(85a)(85b)が設けられた吸気濾過経路(821a)(821b)と、
上記フィルター(85a)(85b)による濾過前の吸気と濾過後の吸気の圧力の差を検出する差圧検知手段(87)と、
該差圧検知手段(87)が検知した圧力が予め設定した圧力以上になった場合に、上記二以上の吸気濾過経路(821a)(821b)の何れか一方を通っていた吸気を他の吸気濾過経路を通るように切り替える経路切替制御手段を備えていることを特徴とする、
医療用吸引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−132482(P2006−132482A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324180(P2004−324180)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【特許番号】特許第3706626号(P3706626)
【特許公報発行日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(599045903)学校法人 久留米大学 (72)
【出願人】(397061677)三和システム株式会社 (6)
【出願人】(000132666)株式会社セントラルユニ (10)
【出願人】(504413768)株式会社エフエスユニ西日本 (2)
【Fターム(参考)】