説明

移動端末装置およびその制御プログラムならびにサーバ

【課題】ユーザが自身のいる場所やこれから訪れる場所の情報を入力するような煩雑な操作を行うことなく、ある場所における統計的なデータに基づいて、行き先候補に関連した適切な情報を提供する。
【解決手段】移動端末は、ある場所において所定の条件に合致した場合、その場所に対する他の各場所の関連の度合いに関する統計データを外部から取得し、この統計データに基づいて、関連性が高い場所に関する条件情報を生成し外部のサーバに送信する。移動端末は、当該サーバから前記条件情報に基づいて抽出された情報を受信して表示する。前記ある場所から移動した場合、さらに所定の条件に合致したとき、その移動先の場所に対する他の各場所の関連の度合いに関する統計データを外部から再取得し、この再取得した統計データに基づいて関連性が高い場所に関する条件情報を再生成して、外部のサーバに送信し、当該サーバから情報を受信して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末装置およびその制御プログラムならびにサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線通信技術、デバイス技術の発達はめざましく、携帯電話機のような小型の移動端末装置が、個人の携帯するコミュニケーションツールとして広く普及してきている。その機能は、通話、電子メール、ウェブ閲覧、カメラ撮影、音楽再生、位置検出(GPS)等、多岐にわたっている。
【0003】
このような移動端末装置のウェブ閲覧機能を利用すれば、ユーザは、積極的に、特定の目的地の名称やキーワードを入力して、必要な情報を検索して閲覧することができる。
【0004】
しかし、このようなユーザによる積極的な指示操作によらず、店舗や商業施設などでは、その地域に入ってきた移動端末に対して、自動的に情報を提供することによって、元々予定していない客を吸い寄せることができれば、好ましい。
【0005】
このような観点から、移動端末装置を利用して現在位置の周辺の店舗や施設に関する情報提供を行う各種の技術が提案されている。
【0006】
非特許文献1は、移動端末装置向けのサービスではないが、ウェブ閲覧の対象となるURLアドレスとして「○○駅.jp.」と駅名を指定することにより、その駅周辺の各種の店舗、施設等の広告・宣伝・利用情報を選択できるような選択肢情報を提供する技術を開示している。
【0007】
また、特許文献1は、携帯電話機から所定のポータルサイトにアクセスして、携帯電話機の位置情報、時刻等のユーザコンテキスト情報サーバに送り、これに対応した情報をサーバから受信して表示する技術を提案している。但し、位置情報とユーザコンテキスト情報のみに基づく情報検索ではヒットする項目が多岐にわたり、携帯電話機での閲覧には適さない。そこで、サーバが、当該ユーザによってスケジュール帳等に予め入力された情報からキーワードを抽出し、そのキーワードに基づいて、位置と関連づけられた情報(広告)のうち適切なものを抽出する。
【特許文献1】特開2001−236368号公報
【非特許文献1】インターネット<URL:http://新宿駅.jp/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に記載のようなウェブ閲覧を移動端末装置で行えるとしても、ユーザは個別の駅名を入力する必要があり、このような煩雑な操作に抵抗があるユーザはこのようなサービスを利用しない可能性が高い。また、このサービスにより提供される情報は、ある駅の周辺での種々雑多な情報であり、多くの不要な情報が含まれている。すなわち、ある場所にいるユーザの目的は様々であるため、提示された情報がユーザの目的や興味に合致する情報であるとは限らない。特に広告・宣伝情報については、ユーザの目的等に合致しない情報は効果がなく、ユーザにとっても迷惑な情報を提供することになる。このため、ユーザの積極的な要求によらずに情報を提供するようなサービスの場合、ユーザに拒否されれば、サービスとして成り立たない。
【0009】
特許文献1に記載の技術によれば、ユーザの状況に応じた情報の提供を行うことができるが、そのためには、端末内のユーザのスケジュール情報等をサーバへ送信して利用する必要があり、そのような情報を入力していないユーザについては利用ができない。また、スケジュール情報は個人情報であり、入力を行っているユーザであっても、外部での利用は躊躇される場合もある。
【0010】
本発明は、このような背景においてなされたものであり、その目的は、ユーザが自身のいる場所やこれから訪れる場所の情報を入力するような煩雑な操作を行うことなく、ある場所におけるユーザの行き先を統計的なデータに基づいて、行き先候補に関連した適切な情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による移動端末装置は、少なくともある地域内の複数の場所について、ある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた重み付けマップを、各場所について記憶した重み付けマップ記憶装置を備えたサーバと通信ネットワークで接続される移動端末装置である。この移動端末装置は、現在位置を検出する位置検出手段と、検出された現在位置がいずれかの場所の近傍エリア内に入ったとき、当該場所を基点とする前記重み付けマップを取得する重み付けマップ取得手段と、取得された重み付けマップの内容に基づいてウェブ情報の要求を通信ネットワーク経由でサーバに送信する送信手段と、前記サーバから前記要求に基づいて抽出または生成されたウェブ情報を受信する受信手段と、受信されたウェブ情報を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
前記重み付けマップは、検出された移動端末装置の位置、すなわち、これを携帯するユーザの位置に基づいて、取得される。重み付けマップはある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた情報なので、この情報に基づいてウェブ情報の要求が行われることにより、ユーザは自身のいる場所やこれから訪れる場所の情報を入力するような煩雑な操作を行うことなく、ユーザが訪れる可能性が高い場所に関連した情報が優先的に取得され、ユーザに提供されることになる。
【0013】
1つの場所を基点とする重み付けマップは時間帯毎に複数用意され、前記重み付けマップ取得手段は、現在時刻の属する時間帯に対応した重み付けマップを取得するようにしてもよい。これによって、同じ場所においても、時間帯に応じて重み付けマップの重みポイントを変え、時間帯によって異なる人々の流れに重み付けマップを対応させることができる。
【0014】
上記構成において、好ましくは、前記取得した重み付けマップに基づいて条件情報を生成する条件情報生成手段を備え、前記送信手段は、前記ウェブ情報の要求として前記生成された条件情報を通信ネットワーク経由でサーバに送信する。取得した重み付けマップの情報をそのまま利用するのではなく、ユーザの属性や現在の状況を反映させた条件情報によりウェブ要求を行うことが可能となる。
【0015】
また、第1の場所から第2の場所へ移動したとき、前記条件情報生成手段は、第1の場所で利用された重み付けマップと第2の場所に対応する重み付けマップとを所定の規則に従って合成して得られる合成重み付けマップに基づいて前記所定の条件情報を生成することもできる。これにより、同じ場所であってもどこからその場所に来たかという移動履歴をウェブ情報の要求に反映させることが可能となる。あるいは移動の方向に基づく重みポイントの補正することが可能となる。
【0016】
少なくともある地域において基点となりうる複数の場所について、その位置情報および識別情報を定めた基点分布マップを外部から取得して記憶する基点分布マップ記憶手段を備え、前記重み付けマップ取得手段は現在位置を前記基点分布マップに照らしていずれかの場所の近傍エリア内に入ったかを判断するようにしてもよい。基点分布マップを外部から取得することにより、現在位置の周辺の基点の存在の状況を認識し、かつ、現在位置が基点に属するかどうかを判断することが容易となる。
【0017】
移動端末装置は、さらに、前記複数の場所間のユーザの移動の履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、前記履歴情報を前記サーバへ送信する手段とを備えてもよい。これによって、サーバは現実のユーザの移動の履歴情報を取得して、当該地域の重み付けマップの更新に利用することができる。
【0018】
本発明は、また、移動端末装置の制御プログラムやこれを記憶した記録媒体としても把握することができる。
【0019】
本発明によるサーバは、通信ネットワークを介して移動端末装置へ情報を提供するサーバであって、少なくともある地域内の複数の場所の間で、ある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた重み付けマップを、各場所について記憶した重み付けマップ記憶手段と、前記移動端末装置から現在位置情報を受信し、当該現在位置に対応する重み付けマップを抽出し、当該移動端末装置へ送信する手段とを備える。これにより、上記のような移動端末装置とともに情報提供のためのシステムを構成する。
【0020】
本発明によるさらなる構成および作用は、以下の実施の形態により詳細に説明される。
【発明の効果】
【0021】
少なくともある地域内の複数の場所の間で、ある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた重み付けマップを利用することにより、ユーザにとっては、煩雑な入力操作を行う必要がなく、また、スケジュール情報などの提示をすることなく、統計データに基づいて、ユーザに提供する情報の適性度を高めることが可能となる。
【0022】
また、ユーザの実際の移動履歴に基づいて重み付けマップを逐次更新していくことにより、統計データの確度をさらに上昇させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る情報提供システムの概略の構成を示している。このシステムは、情報提供を受ける移動端末装置100(以下、端末装置を単に端末ともいう)と、この端末100と通信ネットワーク150を介して接続されるサーバ群とにより構成される。通信ネットワーク150は、携帯電話網、ゲートウェイ、インターネット等を含みうる。
【0025】
サーバ群は、基点分布マップサーバ200a(サーバA)と、重み付けマップ管理サーバ200b(サーバB)、および、ウェブ(Web)情報提供サーバ200c(サーバC)を含む。これらのサーバ200a〜200c(総称して200)は、同一のサイトにある異なるサーバであってもよいし、同一のサーバの異なる機能であってもよい。また、ウェブ情報提供サーバ200cは複数のサイトに分散した複数のサーバであってもよい。
【0026】
本明細書において「基点」とは、本実施の形態における情報提供サービスを開始するためのユーザのスタート位置であり、基本的には予め決められたランドマークの位置である。
【0027】
基点分布マップサーバ200aは、少なくともある地域において基点となりうる複数のランドマークについて、その位置情報および識別情報を定めた基点分布マップを記憶したサーバである。「基点分布マップ」とは、少なくともある地域において基点となりうる複数のランドマークについて、その位置情報および識別情報を定めたものであり、図6で後述する。また、「ランドマーク」とは、人々が訪れる行き先候補となる場所であり、商業施設や公共施設等を含む。商業施設としては、例えば、店舗(飲食店、デパート、ショッピングセンター)、映画館、遊技場、スポーツ施設(野球場、サッカー場等)、コンサート会場、等が含まれる。また、公共施設には、駅、役所、等が含まれる。
【0028】
重み付けマップ管理サーバ200b(サーバB)は、重み付けマップを記憶・管理している。「重み付けマップ」とは、少なくともある地域内の複数のランドマーク(場所)の間で、あるランドマークを基点としたときの当該基点に対する他の各ランドマークの関連の度合いを表す重みポイントを統計的な手法により定めた情報であり、各ランドマークについて用意される。後述するように、1つのランドマークについては異なる時間帯について異なる重み付けマップを用意することが可能である。当該基点に対する他の各ランドマークの関連の度合いとは、ある基点から他の各ランドマークへ移動する可能性の度合い、前記基点で他の各ランドマークに関する情報が参照された回数、前記基点で前記他の各ランドマークに関する情報の提供が希望された度合い、の少なくとも一つである。以下の例では、基点から他の各ランドマークへ移動する可能性の度合いを例として説明する。
【0029】
ウェブ情報提供サーバ200cは、少なくとも複数のランドマークの各々に関連したウェブ情報を提供する例えばインターネット上のサーバである。
【0030】
図2は、移動端末100の概略のハードウェア構成例を示す。この移動端末100は、CPU101、RAM102、ROM103、表示制御部104、表示部105、RTC(Real Time Clock)106、操作部107、フラッシュメモリ108、GPS受信部109、アンテナ110、通信部111、音声処理部113、マイク114、およびスピーカ115を有している。
【0031】
CPU101、RAM102、ROM103、表示制御部104、RTC106、操作部107、フラッシュメモリ108、GPS受信部109、通信部111、および音声処理部113はバス116に接続されており、このバス116を介して相互にデータの授受、コマンドの送受などが行われるようになっている。
【0032】
RAM102は、CPU101の演算結果や外部から取得したデータを一時的に保持格納するメモリである。ROM103は、オペレーティングシステム(OS)や各種プログラムおよび固定的なデータを保存する不揮発性のメモリである。CPU101はROM103からプログラムを読み取り、このプログラムに従って所定の処理を実行するコンピュータの中枢部を構成する。フラッシュメモリ108は、外部から取得したデータや、メールアドレス、URLなどの情報を後の処理のために保持しておく再書き込み可能な不揮発性のメモリである。RTC106は、日時情報を生成する部位である。
【0033】
GPS受信部109は、アンテナ110で複数の衛星からの信号を受信して端末の現在位置を検出し、位置情報(緯度、経度)を生成する部位である。
【0034】
通信部111は、アンテナ112を介した無線通信により通信ネットワーク150との接続を確立し、通信ネットワーク150との間でデータの送受信を行う機能を有する。操作部107は、テンキーや各種指示キーを有し、ユーザの入力インタフェースを提供する。
【0035】
表示制御部104は、CPU101からテキストや画像等の表示情報を受け取り、これに基づいて表示部105を駆動する機能を有する。表示部105は、液晶デバイス、有機ELデバイス等の任意の表示デバイスを含み、表示制御部104からの駆動信号に従って画像を光学的に表示する機能を有する。
【0036】
音声処理部113は、スピーカ115から音声を出力させたり、マイク114からの入力音声を所定の信号に変換する処理を行う。
【0037】
図3は、サーバ200のハードウェア構成例を示している。このサーバ200は、CPU201と、これにバス209で接続された、メモリ202、操作部203、表示部204、大容量記憶装置206、通信部207、RTC208を備えている。
【0038】
メモリ202はプログラムやデータを記憶し、CPU201の作業領域、一時記憶領域として利用される記憶部である。操作部203はキーボード、マウス等のユーザの入力インタフェースを提供する部位である。表示部204は表示画面上に情報を表示する出力インタフェースを提供する部位である。大容量記憶装置206は、プログラムやデータを格納する、HDD等の大容量の不揮発性記憶装置である。通信部207は、通信ネットワーク150に接続され、データの送受信を行う部位である。RTC208は、日時情報を生成する部位である。
【0039】
図4は、本実施の形態における移動端末100とサーバ200の備える機能および情報の授受を示している。ここでは、便宜上、上記サーバ200a〜200cを一括してサーバ200として図示している。
【0040】
移動端末100は、位置情報取得部121、基点分布マップ取得要否判断部122、基点分布マップ蓄積部123、基点・副基点設定部124、重み付けマップ要求部125、重み付けマップ蓄積部126、重み付けマップ合成部127、条件情報生成部128、Web情報蓄積部129、Web情報加工部130、Web情報表示部131、基点リセット判断部132、移動履歴情報蓄積部133を有する。これらの機能部は、図2に示したハードウェア各部および/またはCPUのソフトウェア処理により実現される。
【0041】
位置情報取得部121は、GPS受信部109の機能により移動端末100の現在位置の情報を取得する。基点分布マップ取得要否判断部122は、現在位置の変化情報等に基づいて基点分布マップの取得の要否を判断し、必要な場合に所定地域の基点分布マップをサーバ200に要求する。基点分布マップ蓄積部123は、取得した基点分布マップをRAM102やフラッシュメモリ108などの記憶装置に記憶する部位である。基点・副基点設定部124は、現在位置を基点分布マップに照らして、現在位置が基点に属するか否か、基点をスタートした後に達した基点(すなわち副基点)か否かの判断を行う。
【0042】
重み付けマップ要求部125は、基点(副基点を含む)の情報および時刻情報に基づいてサーバ200に該当する重み付けマップを要求する。重み付けマップ蓄積部126は受信した重み付けマップをRAM102やフラッシュメモリ108などの記憶装置に記憶する部位である。但し、時刻情報は端末からサーバへ送らず、サーバ側で現在時刻を確認して用いるようにしてもよい。
【0043】
重み付けマップ合成部127は、副基点において重み付けマップの合成を行う。この合成の例については後述する。条件情報生成部128は、重み付けマップ(合成重み付けマップを含む)を分析して条件情報を生成する部位である。「条件情報」とは、ウェブ情報提供サーバ200cにおいて適切なウェブ情報を抽出するための条件として用いられる情報である。この詳細についても後述する。サーバ200には条件情報とともにWeb情報要求が送信される。
【0044】
Web情報蓄積部129は、サーバ200から受信されたWeb情報をRAM102やフラッシュメモリ108などの記憶装置に蓄積する。Web情報加工部130は、受信したWeb情報を加工して所定のウェブページを生成する。これは、例えば、受信した複数の項目のWeb情報の選択肢を含みメニューページの生成である。Web情報表示部131は、加工されたWeb情報等を、表示制御部104を介して表示部105に表示する。このようなWeb情報の加工は、サーバ200側で行ってもよい。
【0045】
基点リセット判断部132は、後述するような所定の条件下で副基点の更新を停止するか否かを判断する。移動履歴情報蓄積部133は、基点からスタートし、1以上の副基点へ達した移動履歴を表す情報をRAM102やフラッシュメモリ108などの記憶装置に記憶する部位である。
【0046】
サーバ200は、基点分布マップ提供部221、基点分布マップデータベース(DB)222、重み付けマップ提供部223、重み付けマップDB224、Web情報抽出・提供部225およびWeb情報DB226を備える。基点分布マップ提供部221は、移動端末100からの要求に応じて基点分布マップDB222を検索し、当該地域の最新の基点分布マップを移動端末100に提供する。重み付けマップ提供部223は、重み付けマップDB224を検索し、当該基点および時刻(の属する時間帯)に対応する重み付けマップを抽出し、移動端末100へ送信する。Web情報抽出・提供部225は、移動端末100からの条件情報に基づいてWeb情報DB226から該当するWeb情報を抽出し、移動端末100へ送信する。
【0047】
次に図5により、図1の情報提供システムの基本的な動作の概略を説明する。
(1)移動端末100のユーザが電車でS駅に到着した状況を例とする。本情報提供サービスの前提として、移動端末100は、基点分布マップサーバ200aから基点分布マップ21を取得する。
(2)S駅に到着した時点で、基点分布マップ21に基づいて、自動的にまたはユーザによる指示により、S駅が基点として設定される。
(3)移動端末100は、重み付けマップ管理サーバ200bにアクセスし、この基点の重み付けマップ23を取得する。
(4)移動端末100は、この重み付けマップ23および他の必要な情報に基づいて条件情報を生成し、Web情報提供サーバ200cに送信する。条件情報の生成の方法については後述する。
(5)Web情報提供サーバ200cは受信した条件情報に基づいて適切なウェブ情報25を抽出し、移動端末100へ送信する。このウェブ情報25は、典型的には、画面250に示すように、特定のURLへのリンクが設定された複数の項目を含むウェブページとして表示される。Web情報には複数のURLに加えて各項目の概要データを含んでもよい。ユーザはいずれかの項目を選択指示することにより、その項目のさらなる詳細情報をインターネット等から取得し閲覧することができる。
(6)ユーザの移動に伴って、ユーザがS駅から別のランドマーク(例えばデパートA)に到達し、ここを通過して他のランドマーク(例えばアリーナC)の方面へ向かったとする。このような事実は移動端末100の現在位置の変化を基点分布マップ21と照合することにより、判明する。このとき、S駅の次に到達したランドマークであるデパートAを副基点として設定し、重み付けマップ管理サーバ200bからデパートAの重み付けマップ23を取得する。
(7)移動端末100は、条件情報を更新し、これをWeb情報提供サーバ200cに送信する。
(8)移動端末100は、Web情報提供サーバ200cからWeb情報を再取得し、表示を更新する。これにより、ユーザの移動に伴って、表示画面250に提供される情報が自動的に変わっていく。
【0048】
図6により基点分布マップの具体例について説明する。図6(a)はある地域(例えば渋谷周辺、新宿周辺等)における基点分布マップ21を二次元平面上に模式的に表したものである。図6(a)中の小さい黒丸は基点31を表している。基点の周囲にはある距離範囲で基点設定エリア32が定義される。基点設定エリア32は、所定の範囲を持って基点の位置を把握するためのものである。各基点31には重み付けマップ23が用意される。ある地域内でいずれの基点設定エリア32にも属さない位置に対して共通に重み付けマップ23を用意することも可能である。
【0049】
図6(b)は、基点分布マップ21をテーブル形式のデータとして表したものである。基点分布マップ21が保持する情報としては、個々のランドマークを一意に識別するための情報である「ランドマークID」、そのランドマークの「名称」、および経度および緯度で表される位置を含む。その他、必要であれば、基点分布マップ21に他の項目を保持してもよい。
【0050】
図7は、重み付けマップの説明図である。図7(a)は、基点周辺の主要なランドマークの位置関係を示す基点周辺ランドマーク配置を示している。図7(b)(c)は、それぞれ、図7(a)に対応する時間帯1(例えば昼間)および時間帯n(例えば夜間)の重み付けマップ23を例示している。図7(b)(c)中の図形○や□等の位置は地図上での位置に対応し、そのサイズは重みポイントを反映している。すなわち、重みポイントが大きいほど、サイズは大きく示されている。形状は当該ランドマークのジャンルに対応している。図7(b)(c)から分かるように、同じ基点周辺の重み付けマップであっても、時間帯によってその内容は異なりうる。
【0051】
なお、図7(b)(c)に示した重み付けマップ23は、便宜上わかりやすいように、視覚的に重み付けマップの内容を示したものであり、実際には所定のデータ形式のデータとして表される。図8(a)は重み付けマップのデータフォーマット例を示しており、図8(b)はその具体例を示している。重み付けマップ23は、ある基点について、複数の時間帯毎に、その周辺の主要な「ランドマーク」とその「メタデータ」が規定される。「メタデータ」としては、「重みポイント」、そのランドマークの属する「ジャンル」、ランドマークの「名前」、ランドマークの休業日・営業時間帯等の「営業時間」、ランドマークの主要客の性別や年齢層などの「対象」を含んでいる。重みポイントとは、基点からそのランドマークへ移動する統計的な確率データ(すなわち基点から他の各ランドマークへ移動する可能性の度合い)である。
【0052】
前記条件情報は、取得した重み付けマップに含まれるランドマークの識別情報、および、メタデータに基づいて、生成される。例えば、次のような情報を条件情報とすることができる。
(1)重みポイントの大きい方から上位n件(nは複数)抽出したランドマークID
(2)重みポイントの大きい方から上位n件抽出したジャンル
(3)ジャンル毎に重みポイントを集計した場合の、重みポイントの大きい方から上位n件のジャンル
【0053】
また、条件情報の生成時に、端末に予め設定された情報を重み付けマップの情報と照合して該当するランドマークを選択し、条件情報を生成するようにしてもよい。例えば、予め設定された情報とは、ランドマークのジャンル(飲食店、デパートなど)、嗜好、個人情報(性別や年齢等)等の属性情報であり、これらに該当するメタデータを有するランドマークを優先的に抽出して条件情報を生成することが可能である。また、時間帯によって重み付けマップが用意されているので、基本的に現在時刻が営業時間外のランドマークは重み付けマップに含まれていないと考えられるが、当日が休業日に該当するようなランドマークは条件情報の生成時に除外することができる。
【0054】
図9は、重み付けマップの幾つかの決定スキームを示している。
【0055】
図9(a)は、重み付けマップの決定スキーム#1を表している。これは、現在位置が基点であろうが副基点であろうが、重み付けマップとして、現基点(副基点を含む)と現在時刻とに基づいて得られた重み付けマップをそのまま用いる場合である。
【0056】
図9(b)は、重み付けマップの決定スキーム#2を表している。これは、直前基点(副基点を含む)で得られた重み付けマップ(後述する合成重み付けマップを含む)と、現在の副基点および現在時刻に基づいて得られた現重み付けマップとを所定の条件で合成して得られた合成重み付けマップを用いる場合である。ユーザの移動経路において直前に利用された重み付けマップの内容を現時点の重み付けマップに反映させる(重みポイントを補正する)ことにより、移動履歴を反映した重み付けマップを生成することができる。すなわち、同じランドマーク位置であっても、どこから来たかによって合成重み付けマップの内容が異なることになる。例えば、S駅にいる移動端末ユーザに画一的に、S駅周辺のレストラン情報を配信しても、これからでかける人にとっては有益であるが、帰ろうと思ってS駅に到着したユーザにとっては却って迷惑になる。本実施の形態では、移動履歴を反映した合成重み付けマップの利用により、このような問題に対処することが可能となる。
【0057】
図9(c)は、重み付けマップの決定スキーム#3を表している。これは、図9(b)と類似しているが、図9(b)の場合に加えて、進行方向情報(個々のランドマークが進行方向との関係で所定の位置にあるか?)を考慮して、合成重み付けマップを生成している。この場合、例えば、「所定の位置」として進行方向の後ろ側にあるランドマークについてそれ以外のランドマークよりも重みポイントを相対的に低下させる補正を行う。この構成により同じランドマーク位置であっても、どこからそこへ来たかによって、かつ、どの方向へ向かっているかによって、合成重み付けマップの内容が異なってくる。
【0058】
図10は、図9(b)(c)の重み付けマップの決定スキーム#2において、ユーザの移動に伴って重み付けマップ(合成重み付けマップ)がどのような変化していくかを示したものである。最初の基点での重み付けマップ0はそのまま用いられる。次の副基点1では、この位置および時刻で求められる重み付けマップ1と重み付けマップ0とを合成して重み付けマップ1aが生成される。次の副基点2では、この位置および時刻で求められる重み付けマップ2と先の合成重み付けマップ1aとを合成して重み付けマップ2aが生成される。次の副基点3では、この位置および時刻で求められる重み付けマップ3と先の合成重み付けマップ2aとを合成して重み付けマップ3aが生成される。基点リセットまでこのような処理が継続される。
【0059】
図11は、重み付けマップの合成の様子を二次元的表現で示したものである。重み付けマップが現在位置を中心として周囲のランドマークを含むものであるが、図11では便宜上、現在位置(図中黒丸)を中心とする第1象限部分のみを示している。
【0060】
図11(a)はS駅基点の重み付けマップ、図11(b)は次の副基点であるデパートAでの重み付けマップ、図11(c)は図11(a)(b)の両重み付けマップを合成して得られる合成重み付けマップ、をそれぞれ表している。図から分かるように、ユーザの現在位置(小さい黒丸)には重みポイントはないので(すなわち0なので)、図中のその位置にサイズ変化図形は存在しない。図中の各ランドマークの名称に付随した括弧内の英文字はその重みポイントを示している。図11(c)の合成重み付けマップにおける重みポイントの表記(b3=b1|b2)は、重みポイントb3が重みポイントb1とb2の合成により得られることを示している。合成の方法の代表例は平均値をとることであるが、これに限る訳ではない。また、進行方向を加味する場合の合成としては、進行方向と逆側にあるランドマークの重みポイントを減少させるようにしてもよい。その計算式は例えばx3=(x1+x2)/3である。同時に進行方向にあるランドマークの重みポイントを増加させるようにしてもよい。その計算式は例えばx3=x1+x2である。
【0061】
このような移動軌跡を考慮して重み付けマップの合成を行うことにより、直前に訪問または通過したランドマークの重みポイントを低減させたり、進行方向の例えば後方のランドマークの重みポイントを低減させたりして、静的な重み付けマップの重みポイントをユーザの移動状況に応じて補償することが可能となる。
【0062】
次に、本実施の形態における情報提供システムの動作をフローチャートにより説明する。
【0063】
図12は、本実施の形態の動作に関する移動端末100における初期的な処理を表している。移動端末100は、その電源が投入された後は、常時、本情報提供サービスを受けられる状態になるものとするか、ユーザが所定の指示操作を行った後、本情報提供サービスを受けられる状態とするかは任意である。
【0064】
また、移動端末100の移動に関する変化を常に監視しておき、移動に関する変化があったとき、本情報提供サービスを受けられる状態にし、移動に関する変化が停止したとき、本情報提供サービスを受けられない状態にするよう、移動端末100の各種機能を自動制御してもよい。すなわち、移動端末の移動の変化を監視し、当該移動の変化に応じて、重み付けマップ取得手段、送信手段、受信手段、表示手段の少なくとも一つの駆動と停止を制御することができる。ここに「移動に関する変化」とは、現在位置の変化の他、移動速度、移動速度の変化を含みうる。端末の移動速度の変化はGPSによる周期的な位置の監視結果に基づいて計算することができるが、別途、既知の加速度センサ(図示せず)を備えて直接的に加速度を測定するようにしてもよい。
【0065】
図12の処理において、移動端末100は、所定の頻度で(例えば1分毎に)処理を行うために位置情報取得タイミングを監視する(S11)。位置情報取得タイミングになったら、現在位置を検出する(S12)。そこで、基点分布マップの取得が必要かどうかを確認する(S13)。この確認では、移動端末が情報提供受信モードに入ったとき、または、所定距離以上移動したときであって、同位置の属する基点分布マップが端末内に存在していない場合に、「取得要」と判断する。このとき、基点分布マップサーバ200aにアクセスして当該基点分布マップを取得する(S14)。
【0066】
基点分布マップはある地域について一度取得すれば、バージョンアップされない限り、それを継続して利用することができる。したがって、現在位置の基点分布マップが必要になったときに、移動端末内に既に保存されていれば、そのバージョンをサーバに送り、バージョンアップの有無を確認して必要時のみ基点分布マップをダウンロードするようにしてもよい。
【0067】
ここでは、基点分布マップは移動端末が所定の条件に従って自動的に取得する例を示したが、ユーザの指示操作にしたがってその地域の基点分布マップを取得するようにしてもよい。この場合も新たな基点分布マップの取得は、バージョンアップの確認後に行うことが好ましい。
【0068】
図13に、本実施の形態における移動端末100の主要な処理を表すフローチャートを示す。この処理は図12の処理を前提として、図12の処理とは独立に実行される。
【0069】
移動端末の現在位置を監視し、現在位置が予め定められた基点設定条件に合致したかどうかを確認する(S21,Yes)。基点設定条件とは、現在位置を基点としてよいかどうかを判断するための条件であり、例えば、GPS受信機が位置検出不能状態から可能状態に変化したとき(例えば衛星電波の受信感度が低いビル内から外に出たときなど)、高速移動が低速移動に変化して所定時間が経過したとき(例えば電車から降りたとき)、静止状態から移動開始したとき、等の時点で基点分布マップに照らして現在位置をチェックし、現在位置がいずれかのランドマークの基点設定エリア内に入っているかを確認する。いずれかの基点設定エリア内に入っていれば、そのランドマークの位置を基点として設定する(S22)。
【0070】
また、この基点情報は移動履歴情報として記憶装置内に記録する。ユーザによる明示の指示操作があった場合にも基点設定を行うようにしてもよい。
【0071】
さらには、基点の設定の契機として、非接触ICカード機能を備えた移動端末の場合、その機能を利用した乗物の降車情報に基づいて、例えば、改札外に出た時点で移動を始めたと判断して基点の設定を行うことが可能である。
【0072】
ついで、この基点と現在の時刻の情報をサーバに送信し、該当する重み付けマップをダウンロードする(S23)。前述したように、時刻はサーバで判断してもよい。さらに、重み付けマップ等に基づいてWeb情報提供サーバに送信するための条件情報を上述したように生成する(S24)。この生成した条件情報をWeb情報提供サーバに送り、Web情報提供サーバからWeb情報を取得して必要に応じて加工した後、表示部に表示する(S25)。
【0073】
その後、基点リセット処理が必要になるまで(S26)、ステップS27〜S32の処理を繰り返す。基点リセット処理とは副基点の更新を停止する処理であり、その停止条件は具体的には、例えば、低速移動から高速移動に変化したとき(例えば電車やバスに乗ったとき等)、ユーザが明示の停止指示操作を行ったとき等である。さらには、現在位置が一定時間以上移動しなくなったとき、GPS機能が一定時間以上働かなくなったとき、等も停止条件に加えてもよい。停止条件を増やせば、副基点の連鎖が中断される可能性が高まるが、この場合には、最後の副基点が新たな基点として作用しうる。
【0074】
上述した非接触ICカード機能を備えた移動端末の場合、その機能を利用した乗物の乗車情報に基づいて、例えば、改札内に入った時点で移動が止まったと判断して基点リセットを行うことが可能である。
【0075】
基点リセット処理が必要と判断されたとき、基点リセット処理を行い、リセット位置(終点)を移動履歴に追加し(S33)、基点から終点までの移動履歴情報を重み付けマップ管理サーバ200bに送信する(S34)。その後、ユーザによる明示の終了指示等により本処理が終了するまでは(S35)、ステップS21へ戻って、上記の処理を繰り返す。
【0076】
ステップS27では、監視されている現在位置を、基点分布マップに照らし、副基点の設定が必要か否かを判断する(S27)。なお、現在位置がいずれの基点設定エリアに属さない場合には、図6(a)に示した「その他」の基点エリアに属するものとしてもよい。副基点の設定が必要であると判断されれば、移動履歴にこの副基点の情報を追加する(S28)。さらに、この副基点と現在の時刻に対応する重み付けマップをダウンロードする(S29)。そこで、上述したように必要に応じて合成による新重み付けマップを構築する(S30)。この新重み付けマップに基づいて、上述したように条件情報を生成し、Web情報提供サーバへ送信する(S31)。ついで、Web情報提供サーバからWeb情報を取得して、必要に応じて加工した後、表示する(S32)。その後、ステップS26へ戻る。
【0077】
図14は、移動端末100のユーザが本情報提供サービスを利用する具体的な時系列の状況での情報提供の例を示している。但し、この例は本実施の形態のよりよき理解のためのものであり、本発明をこのような具体的な動作に限定するものではない。
【0078】
図14(a)は、ユーザが移動端末を携帯した状態で電車に乗り、時刻12:00にS駅に到着し、デパートAの方向に移動を開始した状況41を示している。このとき、基点はS駅に設定され、この基点および現在時刻に対応する重み付けマップ23aが移動端末にダウンロードされる。また、この重み付けマップ23aに応じて生成された条件情報に基づいて画面51のような項目のWeb情報の提供を受ける。このようなページデータを構成するマークアップ言語文書は端末またはサーバのいずれでも生成することができる。この例では、重み付けマップ23aの主要なランドマークに対応する項目からなる選択肢リストが提示されている。画面51上、選択肢の一つがカーソル(または反転・ハイライト等)で強調表示されている。複数の選択肢の表示は、この例では、下から重要度が高いものとして表示され、初期的には最下段の選択肢にカーソルが設定されている。カーソルは、操作部に対する107に対するユーザの指示操作により他の選択肢に移動させることができるようになっている。ユーザの所定の指示により、現在のカーソルのある選択肢が選択され、その詳細情報が表示される。詳細情報の保存場所は端末内または外部のサーバである。
【0079】
図14(b)は状況41に続いて、時刻12:10に、ユーザがデパートAを通過し、アリーナF方面へ移動して行った状況42を示している。このとき、デパートAが副基点として設定され、デパートAおよび現在時刻に対応する重み付けマップ23bがダウンロードされる。また、S駅の重み付けマップ23aとデパートAの重み付けマップ23bに基づいて合成重み付けマップが生成され、この合成重み付けマップに応じた条件情報に基づいてWeb情報の提供を受ける。このWeb情報は例えば画面52のように表示される。画面51で表示されていたデパートAに関する情報「デパートAinfo」はこの時点の画面52では消滅している。これは、デパートAが通過されたことにより、ユーザにとってデパートAへの関心がないと推察され、このことが重み付けマップに反映されたためである。
【0080】
図14(c)は状況42に続いて、時刻12:20に、ユーザが、現在位置の所定距離範囲内に基点が存在しない「その他のエリア」へ移動し、アリーナF方面へ向かっている状況43を示している。このとき、「その他のエリア」が副基点に設定され、副基点に対応する重み付けマップ23cがダウンロードされる。また、S駅とデパートAの合成重み付けマップと「その他のエリア」の重み付けマップ23cに基づいて合成重み付けマップが生成され、この合成重み付けマップに応じた条件情報に基づいてWeb情報の提供を受ける。このWeb情報は例えば画面53のように表示される。
【0081】
図14(d)は状況43に続いて、時刻12:25に、ユーザがその他のエリア内のレストラン(基点として登録されていない)に到着した状況44を示している。このとき、レストランにとどまることにより、現在位置が変化しない状態が所定時間以上続く。これにより、図13のステップS13の条件が満足され、基点リセット処理が行われる。すなわち、現在位置が「終点」となる。基点であるS駅から、副基点であるデパートAおよびその他のエリア、さらに終点の位置情報が移動履歴情報として重み付けマップ管理サーバ200bへ送信(アップロード)される。
【0082】
重み付けマップ管理サーバ200bはこの移動履歴情報を基に同地域での重み付けマップの更新を行う。このようにして、多くのユーザの移動履歴が集積されていけば、重み付けマップに反映される統計データの信頼性が向上していく。
【0083】
なお、この例では、重み付けマップの決定スキームとして図9(b)のものを利用する場合を示したが、他の決定スキームを用いてもよい。
【0084】
図15は、移動端末100のユーザが本情報提供サービスを利用する情報提供の別の例を示している。
【0085】
この状況45は、別の例として、ユーザが時刻23:00に飲食エリアI内の店で飲食を終え、店を出てS駅へ向かって移動を開始した状況である。このとき、基点として「飲食エリアI」が設定され、時刻23:00に対応する重み付けマップ23dがダウンロードされる。この図の重み付けマップ23dは便宜上現在位置を中心とした第1象限部分のみを示している。
【0086】
さらに、この重み付けマップ23dに応じた条件情報に基づく情報提供を受ける。この例では、重み付けマップ23dには、基点が駅以外であり、かつ、時刻が23時なので、S駅、宿泊エリアH、クラブK、映画館Jなどが重みポイントの大きい主要なランドマークとして現れている。この現在位置および時間帯に応じたWeb情報が例えば画面54のように表示される。
【0087】
以上説明した実施の形態では、図4に明示したように、基点や副基点の設定要否の判断、重み付けマップの合成、条件情報の生成、等を移動端末において行ったが、これらの処理をサーバ200側で実行することも可能である。この場合のシステムの機能の分担構成を図16に示す。
【0088】
この構成では、サーバ200側に、図4の構成に加え、基点分布マップ取得要否判断部232、基点分布マップ蓄積部233、基点・副基点設定部234、重み付けマップ確認部235、重み付けマップ蓄積部236、重み付けマップ合成部237、条件情報生成部238、基点リセット判断部242、移動履歴情報蓄積部243を設けている。これらの機能部260は、本情報提供サービスを利用している移動端末100毎に(すなわちユーザ毎に)確保する必要がある。したがって、サービス利用中の移動端末の個数によって機能部260の個数は動的に変化する。この構成では、移動端末100が周期的に現在位置を検出してサーバ200へ通知し、これに応じて、サーバが当該移動端末についての状況を判断して、移動端末に対して上記と同様にWeb情報の提供を行う。移動端末100の処理負荷は軽減される代わりにサーバ200の処理負荷が増大する。上述した「端末に予め設定された情報」は、本情報提供サービスが登録ユーザに提供される場合、ユーザ登録時に入力される情報を利用することができる。
【0089】
このほか、図示しないが、図4と図16の構成の折衷として、図4の移動端末の機能から条件情報生成部のみをサーバ200側に移動させる構成も考えられる。
【0090】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0091】
例えば、重み付けマップの二次元表示は説明用の図として示したが、Web表示画面と切り換え可能にまたはWeb表示画面の代わりに、重み付けマップの二次元表示を表示部に行うようにしてもよい。Web表示画面の代わりに重み付けマップの二次元表示を行う場合には、各ランドマークの図形を該当するURLに対応づけておくようにしてもよい。
【0092】
重み付けマップは、基点設定後の移動方向に応じて、複数の方向毎に用意されていてもよい。具体的には、基点をS駅とした場合、その駅の異なる出口(例えば南口と北口等)のそれぞれに対応する重み付けマップが用意されてもよい。そのためには、例えば、基点が設定された後、所定時間内の移動位置に基づいて、このような方向に関する重み付けマップを選択的に取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報提供システムの概略の構成を示す図である。
【図2】図1に示したシステムに用いられる移動端末の概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】図1に示したシステムに用いられるサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における移動端末とサーバの備える機能および情報の授受を示す図である。
【図5】図1の情報提供システムの基本的な動作の概略を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態における基点分布マップの具体例についての説明図である。
【図7】本発明の実施の形態における重み付けマップの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における重み付けマップのフォーマット例およびその具体例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における重み付けマップの幾つかの決定スキームを示す図である。
【図10】図9(b)(c)の重み付けマップの決定スキーム#2において、ユーザの移動に伴って重み付けマップ(合成重み付けマップ)がどのような変化していくかを示した図である。
【図11】本発明の実施の形態における重み付けマップの合成の様子を二次元的表現で示した図である。
【図12】本発明の実施の形態の動作に関する移動端末における初期的な処理を表わすフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態における移動端末の主要な処理を表すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態における移動端末のユーザが本情報提供サービスを利用する具体的な時系列の状況での情報提供の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態における移動端末のユーザが本情報提供サービスを利用する情報提供の別の例を示す図である。
【図16】図4の構成に代わる本発明の別の実施の形態に係るシステムの機能の分担構成を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
21…基点分布マップ、23…重み付けマップ、25…ウェブ情報、31…基点、32…基点設定エリア、100…移動端末装置、121…位置情報取得部、122…基点分布マップ取得要否判断部、123…基点分布マップ蓄積部、124…基点・副基点設定部、125…マップ要求部、126…マップ蓄積部、127…マップ合成部、128…条件情報生成部、129…情報蓄積部、130…情報加工部、131…情報表示部、132…基点リセット判断部、133…移動履歴情報蓄積部、150…通信ネットワーク、200…サーバ、200a…基点分布マップサーバ(サーバA)、200b…重み付けマップ管理サーバ(サーバB)、200c…ウェブ(Web)情報提供サーバ(サーバC)、202…メモリ、203…操作部、204…表示部、206…大容量記憶装置、207…通信部、209…バス、221…基点分布マップ提供部、222…基点分布マップDB、223…重み付けマップ提供部、224…重み付けマップDB、225…Web情報抽出・提供部、226…Web情報データベース(DB)、232…基点分布マップ取得要否判断部、233…基点分布マップ蓄積部、234…基点・副基点設定部、235…重み付けマップ確認部、236…重み付けマップ蓄積部、237…重み付けマップ合成部、238…条件情報生成部、242…基点リセット判断部、243…移動履歴情報蓄積部、250…表示画面、260…ユーザ単位機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともある地域内の複数の場所について、ある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた重み付けマップを、各場所について記憶した重み付けマップ記憶装置を備えたサーバと通信ネットワークで接続される移動端末装置であって、
現在位置を検出する位置検出手段と、
検出された現在位置がいずれかの場所の近傍エリア内に入ったとき、当該場所を基点とする前記重み付けマップを取得する重み付けマップ取得手段と、
取得された重み付けマップの内容に基づいてウェブ情報の要求を通信ネットワーク経由でサーバに送信する送信手段と、
前記サーバから前記要求に基づいて抽出または生成されたウェブ情報を受信する受信手段と、
受信されたウェブ情報を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする移動端末装置。
【請求項2】
1つの場所を基点とする重み付けマップは時間帯毎に複数用意され、前記重み付けマップ取得手段は、現在時刻の属する時間帯に対応した重み付けマップを取得することを特徴とする請求項1記載の移動端末装置。
【請求項3】
前記取得した重み付けマップに基づいて条件情報を生成する条件情報生成手段を備え、前記送信手段は、前記ウェブ情報の要求として前記生成された条件情報を通信ネットワーク経由でサーバに送信することを特徴とする請求項1記載の移動端末装置。
【請求項4】
第1の場所から第2の場所へ移動したとき、前記条件情報生成手段は、第1の場所で利用された重み付けマップと第2の場所に対応する重み付けマップとを所定の規則に従って合成して得られる合成重み付けマップに基づいて前記所定の条件情報を生成することを特徴とする請求項3記載の移動端末装置。
【請求項5】
前記所定の規則は、第1の場所で利用された重み付けマップにおける各場所の重みポイントと第2の場所に対応する重み付けマップにおける当該各場所の重みポイントとを合成した値を当該各場所の重みポイントとするものである請求項4記載の移動端末装置。
【請求項6】
前記所定の規則は、第1の場所で利用された重み付けマップにおける各場所の重みポイントと第2の場所に対応する重み付けマップにおける当該各場所の重みポイントとを、前記移動の方向と当該各場所との関係および時間帯のうちの少なくとも一方を加味して合成した値を当該各場所の重みポイントとするものである請求項4記載の移動端末装置。
【請求項7】
前記所定の規則は、特定の状況において、第2の場所に対応する重み付けマップにおける各場所の重みポイントとをそのまま用いるものである請求項4、5または6記載の移動端末装置。
【請求項8】
前記特定の状況とは、所定の時間帯における少なくとも所定の場所について、前記第2の場所に対応する重み付けマップにおける当該所定の場所の重みポイントをそのまま用いるものである請求項7記載の移動端末装置。
【請求項9】
少なくともある地域において基点となりうる複数の場所について、その位置情報および識別情報を定めた基点分布マップを外部から取得して記憶する基点分布マップ記憶手段を備え、前記重み付けマップ取得手段は現在位置を前記基点分布マップに照らしていずれかの場所の近傍エリア内に入ったかを判断する請求項1記載の移動端末装置。
【請求項10】
前記重み付けマップは、現在位置が前記地域内でかついずれの場所にも属さない位置に対しても用意されたことを特徴とする請求項1記載の移動端末装置。
【請求項11】
前記条件情報生成手段は、取得した重み付けマップの場所の少なくとも前記重みポイントに基づいて、前記所定の条件情報を生成することを特徴とする請求項3記載の移動端末装置。
【請求項12】
前記重み付けマップは、各場所に対して、前記重みポイントに加えて、少なくともそのジャンル情報を記憶しており、前記条件情報生成手段は前記ジャンル情報に基づいて前記所定の条件情報を生成することを特徴とする請求項3または11記載の移動端末装置。
【請求項13】
前記ウェブ情報は複数の場所に関連した情報の選択肢リストであり、選択肢の選択によりさらなるウェブ情報が取得される請求項1記載の移動端末装置。
【請求項14】
前記複数の場所間のユーザの移動の履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報を前記サーバへ送信する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の移動端末装置。
【請求項15】
移動端末の移動の変化を監視する手段と、
当該移動の変化に応じて、前記重み付けマップ取得手段、前記送信手段、前記受信手段、前記表示手段の少なくとも一つの駆動と停止を制御する制御手段とを備えた請求項1記載の移動端末装置。
【請求項16】
前記基点に対する他の各場所の関連の度合いとは、前記基点から前記他の各場所へ移動する可能性の度合い、前記基点で他の各場所に関する情報が参照された回数、前記基点で前記他の各場所に関する情報の提供が希望された度合い、の少なくとも一つである請求項1記載の移動端末装置。
【請求項17】
位置検出手段を備えた移動端末装置の制御プログラムであって、
ある場所において所定の条件に合致した場合、その場所に対する他の場所の関連の度合いに関する統計データを外部から取得するステップと、
前記統計データに基づいて、関連性が高い場所に関する条件情報を生成するステップと、
生成された条件情報を外部のサーバに送信し、当該サーバから前記条件情報に基づいて抽出された情報を受信して表示するステップと
をコンピュータに実行させる移動端末装置の制御プログラム。
【請求項18】
前記ある場所から移動してさらに所定の条件に合致した場合に、移動先の場所に対する他の場所の関連の度合いに関する統計データを外部から再取得するステップと、
当該再取得した統計データに基づいて関連性が高い場所に関する条件情報を再生成するステップと、
前記条件情報を外部のサーバに送信し、当該サーバから前記条件情報に基づいて抽出された情報を受信して表示するステップとをさらにコンピュータに実行させ、
前記再生成するステップでは、前記再取得した統計データを直前に取得した統計データと合成して得た合成統計データに基づいて前記関連性が高い場所に関する条件情報を再生成することを特徴とする請求項17記載の移動端末装置の制御プログラム。
【請求項19】
通信ネットワークを介して移動端末装置へ情報を提供するサーバであって、
少なくともある地域内の複数の場所の間で、ある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた重み付けマップを、各場所について記憶した重み付けマップ記憶手段と、
前記移動端末装置から現在位置情報を受信し、当該現在位置に対応する重み付けマップを抽出し、当該移動端末装置へ送信する手段と
を備えたサーバ。
【請求項20】
少なくともある地域において基点となりうる複数の場所について、その場所情報および識別情報を定めた基点分布マップを記憶した基点分布マップ記憶手段を備え、前記移動端末装置からの要求に応じて指定された位置を含む地域の基点分布マップを前記移動端末装置へ提供することを特徴とする請求項19記載のサーバ。
【請求項21】
前記移動端末装置から移動履歴情報を受信する手段と、受信した移動履歴情報に基づいて前記重み付けマップを更新する手段とを備えたことを特徴とする請求項19記載のサーバ。
【請求項22】
通信ネットワークを介して移動端末装置へ情報を提供するサーバであって、
少なくともある地域内の複数の場所の間で、ある場所を基点としたときの当該基点に対する他の各場所の関連の度合いを表す重みポイントを定めた重み付けマップを、各場所について記憶した重み付けマップ記憶手段と、
前記移動端末装置から周期的に送信される現在位置情報を受信する手段と、
受信された現在位置がいずれかの場所の近傍エリア内に入ったとき、当該場所を基点とする前記重み付けマップを確認する重み付けマップ確認手段と、
確認した重み付けマップに基づいて条件情報を生成する条件情報生成手段と、
生成された条件情報に基づいてウェブ情報を抽出または生成する手段と、
当該ウェブ情報を前記移動端末装置へ送信する手段と
を備えたサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−336486(P2007−336486A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169413(P2006−169413)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(591112522)株式会社ACCESS (91)
【Fターム(参考)】