説明

立寄施設判別装置

【課題】車両を利用するユーザーが立ち寄った施設を判別することが可能な立寄施設判別装置を提供すること。
【解決手段】ECU11は、車両が停止状態になると、車両の現在位置周辺に位置する施設を識別する。そして、車両が停止状態となっている場合における燃料残量の変化、乗員人数の変化、電子マネー残高の変化に基づいて、ユーザーが立ち寄った施設を判別する。これにより、ユーザーが携帯情報端末等を所持せずに車両を利用して行動する場合でも、本装置はユーザーが車両から降車して立ち寄った施設を判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を利用して行動するユーザーが立ち寄った施設を判別する立寄施設判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーが行動する時間帯や場所に応じて、ユーザーの嗜好を学習する装置が公知である。例えば特許文献1の装置では、ユーザーが携帯情報端末を利用してセンターへアクセスすると、センターは携帯情報端末から送信される情報に基づいてユーザーID、測定時刻、ユーザー位置、ユーザーの行動名、コンテンツIDからなる検出データを取得する。そして、取得した検出データからユーザーの嗜好を分析した嗜好分析データを生成し、当該データに基づいてユーザーの嗜好情報を管理するユーザー嗜好情報データベースを更新し、ユーザーの行動を学習する。
【特許文献1】特開2002−108918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年では、例えばカーナビゲーション装置等の車載機器に対して、車両を利用するユーザーの行動を学習させる機能が付加されるようになってきている。前述の車載機器に対してユーザーの行動を効果的に学習させるためには、ユーザーが立ち寄った施設を判別することが重要となる。従来装置は、ユーザーの所持する携帯情報端末を利用してユーザーの立ち寄った施設を判別するものであり、車両を利用するユーザーに対して適用するのは難しい。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、車両を利用するユーザーが立ち寄った施設を判別することが可能な立寄施設判別装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の立寄施設判別装置では、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、施設情報を含む地図データを記憶する記憶手段と、位置検出手段の検出結果および記憶手段に記憶された地図データに含まれる施設情報から、車両の現在位置周辺に位置する施設を識別する識別手段と、車両が停止状態であることを検出する停止検出手段と、停止検出手段によって車両の停止状態が検出されている場合に、車両の車両状態の変化に関する情報および車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方を取得する取得手段と、取得手段が取得した、車両の車両状態の変化に関する情報および車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方に基づいて、識別手段が識別した施設の中から、ユーザーが立ち寄った施設を判別する判別手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
このように、本発明の立寄施設判別装置では、識別手段は、位置検出手段が検出した車両の現在位置と、記憶手段に記憶された地図データに含まれる施設情報とから、車両の現在位置周辺に位置する施設を識別する。識別手段によって識別された施設は、ユーザーが立ち寄った可能性がある施設であることを意味する。取得手段は、停止検出手段によって車両の停止状態が検出されている場合に、車両の車両状態の変化に関する情報および車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方を取得する。取得手段が取得するこれらの情報は、識別手段が識別した施設のうち、ユーザーが立ち寄った施設を判別するための判別要素となる。そして、判別手段は、取得手段が取得した、車両の車両状態の変化に関する情報および車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方に基づいて、識別手段が識別した施設の中から、ユーザーが立ち寄った施設を判別する。これにより、ユーザーが携帯情報端末等を所持せずに車両を利用して行動する場合でも、本装置はユーザーが車両から降車して立ち寄った施設を判別することができる。
【0007】
請求項2に記載のように、判別手段は、識別手段が複数の施設を識別した場合に、取得手段が取得した、車両の車両状態の変化に関する情報および車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方に基づいて、識別手段が識別した施設の中から、ユーザーが立ち寄った施設を判別することが望ましい。識別手段が複数の施設を識別した場合、ユーザーがどの施設に立ち寄ったかを判別することが重要となるためである。
【0008】
請求項3に記載のように、ユーザーの指示操作に基づき、施設の種類に応じて優先度合いを設定する設定手段を設け、判別手段は、ユーザーが立ち寄った施設として複数の施設を判別した場合には、設定手段によって設定された優先度合いが最も高い種類の施設を、ユーザーが立ち寄った施設として最終的に判別することが望ましい。ユーザーが立ち寄った施設として複数の施設を判別した場合、ユーザーは設定手段によって設定された優先度合いが最も高い種類の施設に立ち寄った可能性が高いためである。
【0009】
請求項4に記載のように、取得手段は、車両状態の変化に関する情報として、車両の燃料残量の変化を示す燃料残量変化情報を取得するものであり、判別手段は、識別手段が識別した施設の中に給油所があり、かつ、取得手段が取得した燃料残量変化情報から車両の燃料残量が増加したと判断される場合、ユーザーが給油所に立ち寄ったと判別することが望ましい。識別手段が識別した複数の施設の中に給油所があり、かつ、取得手段が取得した燃料残量変化情報から車両の燃料残量が増加したと判断される場合、ユーザーは給油所に立ち寄った可能性が高いためである。
【0010】
請求項5に記載のように、取得手段は、車両状態の変化に関する情報として、車両の乗員人数の変化を示す乗員人数変化情報を取得するものであり、判別手段は、識別手段が識別した施設の中に、車両へ搭乗する乗員を送迎する施設があり、かつ、取得手段が取得した乗員人数変化情報から車両の乗員人数が増減したと判断される場合、ユーザーが車両へ搭乗する乗員を送迎する施設に立ち寄ったと判別することが望ましい。識別手段が識別した施設の中に車両へ搭乗する乗員を送迎する施設があり、かつ、取得手段が取得した乗員人数変化情報から車両の乗員人数が増減したと判断される場合、ユーザーは当該施設に立ち寄った可能性が高いためである。
【0011】
請求項6に記載のように、車両へ搭乗する乗員を送迎する施設は、駅、塾、保育園のいずれかであることが望ましい。車両へ搭乗する乗員を送迎する施設として、ユーザーは駅、塾、保育園に立ち寄ることが多いためである。
【0012】
請求項7に記載のように、判別手段は、識別手段が識別した施設の中に金融端末の設置された施設があり、かつ、取得手段が取得した電子マネー残高の変化に関する情報からユーザーの所有する電子マネー残高が増減したと判断される場合、ユーザーが金融端末の設置された施設に立ち寄ったと判別することが望ましい。識別手段が識別した施設の中に金融端末の設置された施設があり、かつ、取得手段が取得した電子マネー残高の変化に関する情報からユーザーの所有する電子マネー残高が増減したと判断される場合、ユーザーが当該金融端末の設置された施設に立ち寄った可能性が高いためである。
【0013】
請求項8に記載のように、金融端末の設置された施設は、銀行、食堂、売店のいずれかであることが望ましい。前述の金融端末は、銀行はもとより、食堂や売店にも設置されることが多いためである。
【0014】
請求項9に記載の車載機器は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の立寄施設判別装置を有し、立寄施設判別装置からユーザーが立ち寄った施設を取得して、ユーザーの行動を学習する機能を備える。例えば車両用ナビゲーション装置等、ユーザーの行動を学習させる機能が付加された車載機器に対して、本装置がユーザーの立ち寄った施設を判別して提供することで、前述の車載機器はユーザーの行動を効果的に学習することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における立寄施設判別装置の全体構成を示すブロック図である。本立寄施設判別装置は、車両用ナビゲーション装置に組み込まれて動作する。
【0016】
図1において、位置検出器1は、地磁気センサ1A、ジャイロスコープ1B、距離センサ1C、GPS受信機1Dから構成され、車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0017】
地磁気センサ1Aは、方位センサであり、例えばパーマロイ等の環状の強磁性体に、これを励磁するための励磁巻線と、方向検出用の直交する2つの検出巻線とが巻かれた構成を持つ。そして、励磁巻線に交流電圧を印加することによって2つの検出巻線に発生する電圧を計測し、これに基づいて車両の進行方向を絶対方位として検出する。
【0018】
ジャイロスコープ1Bは、車両の進行方向を相対方位として検出する方位センサであり、例えば水晶振動子を備え、当該振動子を振動させた際に発生する、コリオリ力に基づく振動から、車両のヨー角速度(ヨーレート)を検出する。
【0019】
距離センサ1Cは、例えば車両に搭載された図示しない車輪や車軸の回転信号に基づいて、車両の移動距離を検出する。
【0020】
GPS受信機1Dは、人工衛星である図示しないGPS衛星から送信される位置測定用のGPS信号を受信し、車両が現在走行している地点の緯度や経度、高度を検出する。
【0021】
位置検出器1は、前述した4つの機器の検出結果を相互に補間することによって、車両の現在位置および進行方向を高い精度で検出する。もちろん、要求される検出精度によっては、前述の4つの機器を全て備える必要はない。なお、車両の現在位置および進行方向に関しては、例えば三次元ジャイロによって、車両の左右方向および高さ方向における加速度を検出し、当該検出結果にも基づいて検出することとしても良い。また、ステアリングセンサ等、他のセンサによる検出信号にも基づいて行うこととしてもよい。この位置検出器1は、位置検出手段として機能するものである。
【0022】
地図データ記憶器2は、例えば記憶媒体としてハードディスクを有し、道路情報、施設情報、各地域の住所情報や郵便番号情報等を含む地図データと、地図画像を表示するための地図画像データとを記憶する。前述の地図データおよび地図画像データに関しては、CD−ROMやDVD−ROM等に記憶することとしても良い。この地図データ記憶器2は、記憶手段として機能するものである。
【0023】
ディスプレイ3は、車載用の小型ディスプレイであり、地図画像の表示を含む各種ナビゲーション表示を行う。前述の各種ナビゲーション表示に関しては、車載用のヘッドアップディスプレイ等を用いることとしても良い。
【0024】
操作スイッチ4は、複数のメカニカルなスイッチから構成され、各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。前述の各種指示に関しては、操作キーを表示する表示パネルと、当該表示パネルに表示された操作キーを押したことを検出するタッチパネルを備えたタッチスイッチによって構成しても良い。
【0025】
リモコン5は、例えば各種機能スイッチを備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ6を介して、前述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0026】
通信機7は、車載用の小型通信機であり、図示しないVICS情報センターから送信される渋滞情報や交通規制情報等の道路交通情報を受信する。また、通信機7は、車外の情報センターと通信を行い、ユーザーが所有する電子マネーの残高情報を受信することも行う。この電子マネーは、ユーザーがインターネットバンキングによって任意の金額を預託することにより残高を増やすことができ、決済時には携帯電話を用いるものである。もちろんこれ以外にも、ユーザーの銀行口座の残高を電子マネーとして利用できるデビットシステム等を用いても良い。また、前述した道路交通情報および残高情報に関しては、例えばインターネット等の公衆回線を利用して受信することとしても良い。
【0027】
燃料残量計測器8は、車両の図示しない燃料タンクに設けられた機械的なフロート(浮き子)を備え、燃料タンクに貯蔵されている燃料残量を計測するとともに、計測した燃料残量を示す燃料残量データを出力する。
【0028】
乗員数計測器9は、車両の各シートに加わる圧力を計測するシートセンサを備え、当該シートセンサが計測した車両の各シートに加わる圧力から、車両の各シートに着席している乗員の人数を計測し、車両の乗員人数を示す乗員人数データを出力する。
【0029】
なお、通信機7、燃料残量計測器8、乗員数計測器9は、取得手段として機能するものである。
【0030】
車速算出器10は、車両の図示しないタイヤの回転数を計測するセンサを備え、計測した車両のタイヤの回転数から、車両の走行速度を示す車速データを出力する。この車速度検出機10は、停止検出手段として機能するものである。
【0031】
ECU11は、公知のコンピュータから構成され、操作スイッチ4またはリモコン5からの指示に従って、地図画像表示を含む各種ナビゲーション動作を実行する。具体的には、ECU11は、位置検出器1が検出した車両の現在位置および進行方向と、通信機7が受信した道路交通情報とに基づいて、地図データ記憶器2から車両の現在位置周辺の地図画像データを読み出し、車両の現在位置を示すマーク、渋滞情報、交通規制情報を重畳した地図画像をディスプレイ3に表示させる。また、スピーカ12から各種音声案内を行わせる。
【0032】
さらに、ECU11は、図示しない内部メモリを有しており、車両が停止状態である場合における燃料残量の変化、乗員人数の変化、電子マネー残高の変化に基づいて、車両を利用するユーザーが立ち寄った施設を判別する。車両が停止状態である場合における燃料残量の変化、乗員人数の変化、電子マネー残高の変化を検出する方法は多数あるが、本実施形態では、車両が走行状態から停止状態となった場合における燃料残量、乗員人数、電子マネー残高と、車両が停止状態から走行状態となった場合における燃料残量、乗員人数、電子マネー残高とを比較することによって行う。
【0033】
具体的には、ECU11は、車速算出器10から出力される車速データを常時取得するとともに、取得した車速データの示す車両の走行速度を常時監視している。取得した車速データの示す車両の走行速度から、車両が走行状態から停止状態となったと判断された場合、ECU11は、位置検出器1が検出した車両の現在位置(停止位置)と、地図データ記憶器2に記憶されている地図データに含まれる施設情報より、車両の現在位置から所定範囲内に位置する施設を識別する。ここでは、ECU11は識別手段として機能する。その際、ECU11は、燃料残量計測器8から燃料残量データを取得し、当該データの示す燃料残量を図示しない内部メモリに記憶するとともに、乗員数計測器9から乗員人数データを取得し、当該データの示す車両の乗員人数を内部メモリに記憶する。また、通信機7に情報センターとの通信を行わせ、ユーザーの所有する電子マネーの残高情報を取得して内部メモリに記憶することも行う。
【0034】
その後、車速算出器10から取得した車速データの示す車両の走行速度から、車両が停止状態から走行状態となった、すなわち車両が走行を開始したと判断された場合、ECU11は、燃料残量計測器8から燃料残量データを再び取得するとともに、乗員数計測器9から乗員人数データを再び取得する。また、通信機7に情報センターとの通信を再び行わせ、ユーザーの所有する電子マネーの残高情報を再び取得する。
【0035】
そして、(1)車両走行開始後に取得した燃料残量データの示す燃料残量が内部メモリに記憶された燃料残量よりも多く、かつ、車両の現在位置から所定範囲内に位置するものとして識別された施設の中にガソリンスタンド(給油所)がある場合、ECU11は、ユーザーがガソリンスタンドに立ち寄ったと判別する。
【0036】
(1)の条件に該当しない場合で、(2)車両走行開始後に取得した乗員人数データの示す車両の乗員人数が内部メモリに記憶された車両の乗員人数よりも増減しており、かつ、車両の現在位置から所定範囲内に位置するものとして識別された施設の中に、駅または塾若しくは保育園(車両に搭乗する乗員を送迎する施設)がある場合、ECU11は、ユーザーが駅または塾若しくは保育園に立ち寄ったものと判別する。
【0037】
(1)と(2)の条件にも該当しない場合で、(3)車両走行開始後に取得した残高情報の示す電子マネーの残高が内部メモリに記憶された残高情報の示す電子マネーの残高よりも減少しており、かつ、車両の現在位置から所定範囲内に位置するものとして識別された施設の中に銀行または食堂若しくはコンビニ(金融端末の設置された施設)がある場合、ECU11は、ユーザーが銀行または食堂若しくはコンビニ(売店)に立ち寄ったと判別する。
【0038】
上述した(1)〜(3)のいずれの条件にも該当しない場合、ECU11は、ユーザーがいずれの施設にも立ち寄らなかったものと判別する。ここで、ECU11は判別手段として機能する。
【0039】
こうして、ECU11は、車両が停止状態となった後、車両が走行を開始するまでの間にユーザーが立ち寄った施設の判別を行う。例えば、図6に示すように、車両の駐車位置から所定範囲内にガソリンスタンドとコンビニがある場合でも、ECU11は上述した条件に該当するか否かより、ユーザーがガソリンスタンドとコンビニのどちらに立ち寄ったかを判別できるのである。なお、この判別結果は、ECU11の内部メモリに順次記憶され、ECU11が公知のニューロ等を利用してユーザーの行動を効果的に学習するために利用される。この学習の結果を利用して、ECU11は、例えばユーザーの嗜好を反映した施設案内等を行うこととなる。
【0040】
メモリ13は、ECU11が各種動作を行う際の一時的な記憶領域として利用される。メモリ13としては、例えばメモリカード等を利用する。
【0041】
図2および図3は、本実施形態の立寄施設判別装置が、ユーザーの立ち寄った施設を判別する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、ECU11によって車両が停止状態となったと判断されると実行が開始される。
【0042】
ステップ201では、ECU11は、位置検出器1が検出した車両の現在位置と、地図データ記憶器2に記憶されている地図データに含まれる施設情報より、車両の現在位置から所定範囲内に位置する施設を識別する。
【0043】
ステップ202では、燃料残量計測器8から燃料残量データを取得し、当該データの示す燃料残量を内部メモリに記憶する。ステップ203では、乗員数計測器9から乗員人数データを取得し、当該データの示す車両の乗員人数を内部メモリに記憶する。ステップ204では、通信機7に情報センターとの通信を行わせ、ユーザーの所有する電子マネーの残高情報を取得して内部メモリに記憶する。
【0044】
ステップ205では、車速算出器10から車速データを取得するとともに、取得した車速データの示す車両の走行速度から、車両が走行を開始したか否かを判定する。車両が走行を開始したと判定された場合は、ステップ206へ進む。未だ車両が停止状態にある場合は、車両が走行を開始したと判定されるまで、上述の判定を繰り返す。
【0045】
ステップ206では、燃料残量計測器8から燃料残量データを取得する。ステップ207では、乗員数計測器9から乗員人数データを取得する。ステップ208では、通信機7に情報センターとの通信を行わせ、ユーザーの所有する電子マネーの残高情報を取得する。
【0046】
ステップ209では、ステップ201で識別された施設の中にガソリンスタンドがあり、かつ、ステップ206で取得した燃料残量データの示す燃料残量がステップ202で内部メモリに記憶した燃料残量よりも多いか否かを判定する。上述の条件を満たす場合には、ステップ210へ進み、ユーザーがガソリンスタンドへ立ち寄ったと判別して、処理を終了する。このような場合には、ユーザーがガソリンスタンドに立ち寄った可能性が高いためである。上述の条件を満たさない場合は、ステップ211へ進む。
【0047】
ステップ211では、ステップ201で識別された施設の中に駅または塾若しくは保育園があり、かつ、ステップ207で取得した乗員人数データの示す車両の乗員人数がステップ203で内部メモリに記憶した車両の乗員人数よりも増減しているか否かを判定する。上述の条件を満たす場合には、ステップ212へ進み、ユーザーが駅または塾若しくは保育園へ立ち寄ったと判別して、処理を終了する。このような場合には、ユーザーが駅または塾若しくは保育園へ立ち寄った可能性が高いためである。上述の条件を満たさない場合は、ステップ213へ進む。
【0048】
ステップ213では、ステップ201で識別された施設の中に銀行または食堂若しくはコンビニがあり、かつ、ステップ208で取得した残高情報の示す電子マネーの残高がステップ204で内部メモリに記憶した残高情報の示す電子マネーの残高よりも減少しているか否かを判定する。上述の条件を満たす場合には、ステップ214へ進み、ユーザーが銀行または食堂若しくはコンビニへ立ち寄ったと判別して、処理を終了する。このような場合には、ユーザーが銀行または食堂若しくはコンビニへ立ち寄った可能性が高いためである。上述の条件を満たさない場合は、ステップ215へ進み、ユーザーはいずれの施設にも立ち寄らなかったものと判別して、処理を終了する。
【0049】
なお、本フローチャートでは、車両の現在位置から所定範囲内に複数の施設が識別される場合について説明したが、単一の施設しか識別されなかった場合には、上述した判定処理を行わず、当該施設にユーザーが立ち寄ったものと即座に判別しても良い。
【0050】
このように、本実施形態の立寄施設判別装置では、ECU11は、車両が停止状態になると、車両の現在位置周辺に位置する施設を識別する。そして、車両が停止状態となっている場合における燃料残量の変化、乗員人数の変化、電子マネー残高の変化に基づいて、ユーザーが立ち寄った施設を判別する。これにより、ユーザーが携帯情報端末等を所持せずに車両を利用して行動する場合でも、本装置はユーザーが車両から降車して立ち寄った施設を判別することができる。その結果として、例えば車両用ナビゲーション装置等、ユーザーの行動を学習させる機能が付加された車載機器に対して、ユーザーの行動を効果的に学習させることができる。
【0051】
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例の立寄施設判別装置では、施設の種類に応じた優先度をユーザーが設定することができるとともに、設定された優先度が最も高い施設にユーザーが立ち寄ったと最終的に判別する。上述した点が、本変形例のポイントである。
【0052】
本変形例の操作スイッチ4は、前述の実施形態の機能に加え、ガソリンスタンド、駅、塾、保育園、銀行、食堂、コンビニの各々の種類の施設に対して優先度(優先度合い)を設定することができる。この優先度は、1から7までのいずれかの数値によって設定するものであり、数値が小さいほど優先度が高いことを意味する。前述の優先度は、リモコン5によっても設定することができる。ここでは、操作スイッチ4およびリモコン5は設定手段として機能する。
【0053】
本変形例のECU11は、前述した実施形態における(1)〜(3)の各々の条件に該当するか否かを調べるとともに、(1)〜(3)の各々の条件に該当する場合には、該当する条件と対応する施設にユーザーが立ち寄った可能性があると判断し、それらの施設を立寄候補施設として判別する。そして、判別した全ての立寄候補施設のうち、設定された優先度が最も高い立寄候補施設を、ユーザーが立ち寄った施設として最終的に判別する。具体的には、ECU11は、まず、前述の実施形態における(1)の条件を調べ、当該条件に該当する場合にはガソリンスタンドを立寄候補施設として判別する。次に(2)の条件を調べ、当該条件に該当する場合には駅または塾若しくは保育園を立寄候補施設として判別する。次に(3)の条件を調べ、当該条件に該当する場合には銀行または食堂若しくはコンビニを立寄候補施設として判別する。最後に、判別した全ての立寄候補施設のうち、設定された優先度が最も高い立寄候補施設を、ユーザーが立ち寄った施設として最終的に判別する。
【0054】
その他の構成・動作に関しては、前述の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。次に、本変形例の立寄施設判別装置がユーザーの立ち寄った施設を判別する処理について説明する。
【0055】
図4および図5は、本変形例の立寄施設判別装置がユーザーの立ち寄った施設を判別する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述の図2のフローチャートにおける、ガソリンスタンドに立ち寄ったと判別するステップ210の処理に代えて、ガソリンスタンドを立寄候補施設として判別するステップ310の処理を設ける。さらに、前述の図3のフローチャートにおける、駅または塾若しくは保育園に立ち寄ったと判別するステップ212の処理に代えて、駅または塾若しくは保育園を立寄候補施設として判別するステップ312の処理を設ける。また、銀行または食堂若しくはコンビニに立ち寄ったと判別するステップ214の処理に代えて、銀行または食堂若しくはコンビニを立寄候補施設として判別するステップ314の処理を設ける。これらに加え、立寄候補施設が判別されたか否かを判定するステップ315、立寄候補施設が2つ以上判別されたか否かを判定するステップ316、設定された優先度が最大となる立寄候補施設をユーザーが立ち寄った施設であると最終的に判別するステップ317、判別された単一の立寄候補施設をユーザーが立ち寄った施設であると最終的に判別するステップ318を設ける。言い換えれば、ステップ301〜309、311、313、319の処理は、前述した図2および図3のフローチャートの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
ステップ310では、ECU11は、ガソリンスタンドを立寄候補施設として判別し、ステップ311へ進む。ステップ312では、駅または塾若しくは保育園を立寄候補施設として判別し、ステップ313へ進む。ステップ314では、銀行または食堂若しくはコンビニを立寄候補施設として判別し、ステップ315へ進む。
【0057】
ステップ315では、ステップ310、312、314において立寄候補施設が判別されたか否かを判定する。立寄候補施設が判別された場合は、ステップ316へ進む。立寄候補施設が判別されなかった場合は、ステップ319へ進む。
【0058】
ステップ316では、ステップ310、312、314において立寄候補施設が2つ以上判別されたか否かを判定する。2つ以上の立寄候補施設が判別された場合は、ステップ317へ進み、判別された全ての立寄候補施設のうち、設定された優先度が最も高い立寄候補施設をユーザーが立ち寄った施設として最終的に判別して、処理を終了する。単一の立寄候補施設しか認識されなかった場合は、ステップ318へ進み、当該立寄候補施設をユーザーが立ち寄った施設として最終的に判別して、処理を終了する。
【0059】
このように、本変形例の立寄施設判別装置では、ガソリンスタンド、駅、塾、保育園、銀行、食堂、コンビニの各々の種類の施設に対して優先度を設定することができ、2つ以上の立寄候補施設が判別された場合には、設定された優先度が最も高い種類の立寄候補施設にユーザーが立ち寄ったと最終的に判別する。ユーザーが設定した優先度が最も高い種類の施設は、ユーザーが立ち寄る可能性の高い施設であることを意味するからである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態における立寄施設判別装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の立寄施設判別装置が、ユーザーの立ち寄った施設を判別する処理に関するフローチャートである。(その1)
【図3】本実施形態の立寄施設判別装置が、ユーザーの立ち寄った施設を判別する処理に関するフローチャートである。(その2)
【図4】本実施形態の変形例における立寄施設判別装置が、ユーザーの立ち寄った施設を判別する処理に関するフローチャートである。(その1)
【図5】本実施形態の変形例における立寄施設判別装置が、ユーザーの立ち寄った施設を判別する処理に関するフローチャートである。(その2)
【図6】ユーザーがガソリンスタンドとコンビニに挟まれた駐車スペースに車両を駐車させた場合の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…位置検出器、 1A…地磁気センサ、 1B…ジャイロスコープ、 1C…距離センサ、 1D…GPS受信機、 2…地図データ記憶器、 3…ディスプレイ、 4…操作スイッチ、 5…リモコン 6…リモコンセンサ、 7…通信機、 8…燃料残量計測器、 9…乗員数計測器、 10…車速算出器、 11…ECU、 12…スピーカ、 13…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
施設情報を含む地図データを記憶する記憶手段と、
前記位置検出手段の検出結果および前記記憶手段に記憶された地図データに含まれる施設情報から、前記車両の現在位置周辺に位置する施設を識別する識別手段と、
前記車両が停止状態であることを検出する停止検出手段と、
前記停止検出手段によって前記車両の停止状態が検出されている場合に、前記車両の車両状態の変化に関する情報および前記車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した、前記車両の車両状態の変化に関する情報および前記車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方に基づいて、前記識別手段が識別した施設の中から、前記ユーザーが立ち寄った施設を判別する判別手段とを備えることを特徴とする立寄施設判別装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記識別手段が複数の施設を識別した場合に、前記取得手段が取得した、前記車両の車両状態の変化に関する情報および前記車両のユーザーが所有する電子マネー残高の変化に関する情報の少なくとも一方に基づいて、前記識別手段が識別した施設の中から、前記ユーザーが立ち寄った施設を判別することを特徴とする請求項1記載の立寄施設判別装置。
【請求項3】
前記ユーザーの指示操作に基づき、施設の種類に応じて優先度合いを設定する設定手段を設け、
前記判別手段は、前記ユーザーが立ち寄った施設として複数の施設を判別した場合には、前記設定手段によって設定された優先度合いが最も高い種類の施設を、前記ユーザーが立ち寄った施設として最終的に判別することを特徴とする請求項2記載の立寄施設判別装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記車両状態の変化に関する情報として、前記車両の燃料残量の変化を示す燃料残量変化情報を取得するものであり、
前記判別手段は、前記識別手段が識別した施設の中に給油所があり、かつ、前記取得手段が取得した前記燃料残量変化情報から前記車両の燃料残量が増加したと判断される場合、前記ユーザーが前記給油所に立ち寄ったと判別することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の立寄施設判別装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記車両状態の変化に関する情報として、前記車両の乗員人数の変化を示す乗員人数変化情報を取得するものであり、
前記判別手段は、前記識別手段が識別した施設の中に、車両へ搭乗する乗員を送迎する施設があり、かつ、前記取得手段が取得した前記乗員人数変化情報から前記車両の乗員人数が増減したと判断される場合、前記ユーザーが前記車両へ搭乗する乗員を送迎する施設に立ち寄ったと判別することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の立寄施設判別装置。
【請求項6】
前記車両へ搭乗する乗員を送迎する施設は、駅、塾、保育園のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の立寄施設判別装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記識別手段が識別した施設の中に金融端末の設置された施設があり、かつ、前記取得手段が取得した前記電子マネー残高の変化に関する情報から前記ユーザーの所有する電子マネー残高が増減したと判断される場合、前記ユーザーが前記金融端末の設置された施設に立ち寄ったと判別することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の立寄施設判別装置。
【請求項8】
前記金融端末の設置された施設は、銀行、食堂、売店のいずれかであることを特徴とする請求項7記載の立寄施設判別装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の前記立寄施設判別装置を有し、前記立寄施設判別装置から前記ユーザーが立ち寄った施設を取得して、ユーザーの行動を学習する機能を備えた車載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−122201(P2008−122201A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305639(P2006−305639)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】