説明

粘性マスダンパーとバネ付き粘性マスダンパー

【課題】簡易な構造により動特性または振動特性を調整できる粘性マスダンパーとバネ付き粘性マスダンパーを提供する。
【解決手段】直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸110と、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体120と、前記回転体120を回転自在に支持するフレーム130と、前記フレーム130の内面と前記回転体120との隙間に封入された粘性流体140と、を備え、前記フレーム130の内面と前記回転体120との前記隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーとさらに粘性マスダンパーと弾性体とを直列接続したバネ付き粘性マスダンパーとに係る。特に、それらの動特性を容易に調整できる粘性マスダンパーとバネ付き粘性マスダンパーとに関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生すると、建物、構造物等の対象構造物が水平、垂直に揺すられる。
地震等による加速度レベルが大きいと、対象構造物が損傷をうけたり、対象構造物の中にあるものが予想を越えて加速度を受けたり、予想を超える変位をうけたりする。
そこで、基礎から対象構造物へ伝達する振動エネルギーを減少させて振動を免震する免震装置、または対象構造物が振動した際に振動エネルギーを吸収し振動レベルを小さくして振動を制振する制振装置として各種の構造の装置が試されている。
構造とその構造を構成する要素の諸元を適正に設定することにより、所望の免震性能や制振性能を発揮できる。
【0003】
例えば、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と回転体を回転自在に支持するフレームとフレームの内面と回転体との隙間に封入された粘性流体とで構成される粘性マスダンパーを用いる。
粘性マスダンパーは、直動軸を所定の相対加速度で直動変位させたさいに作用する反力を直動変位の相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrと直動軸を一定の相対速度で直動変位させた際に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
【0004】
また、その粘性マスダンパーに弾性体を直列接続されたバネ付き粘性マスダンパーを用いる。
バネ付き粘性マスダンパーは、バネ要素を直動方向に相対距離だけ変位させた際に発生する反力を相対距離で割った値である弾性係数kbと粘性マスダンパーの直動軸を直動方向に所定の相対加速度で直動させたさいに直動方向に作用する反力を相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrとに対応するダンパー固有振動数ωrと粘性マスダンパーの直動軸を一定の相対速度で直動させた際に直動方向に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
【0005】
直動軸が直動変位すると回転体が回転する。
回転体の回転慣性能率に対応した回転反力が発生する。回転反力は雄ねじと雌ねじの作用で直動変位する方向の反力に変換される。
回転体が回転すると回転体とフレームとの隙間に封入した粘性流体に剪断力が生じ、その剪断力に対応した回転反力が発生する。回転反力は、雄ねじと雌ねじの作用で直動変位する方向の反力に変換される。
この慣性力と剪断力による反力は回転体の質量と粘性流体の量に比較してみかけ上の大きな質量と大きなダンパーにより組み合わされた質量系としての動特性をもつ。
粘性マスダンパーと弾性体が直列接続されるので、見掛け上の大きな質量と大きなダンパーにより組み合わされたバネマス系としての振動特性をもつ。
【0006】
これらの粘性マスダンパーとバネ付き粘性マスダンパーの動特性または振動特性を簡易に調整できると、より好ましい免震性能、制振性能を発揮できる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−100945号
【特許文献2】特開平10−184757号
【特許文献3】特開2000−017885号
【特許文献4】特開2003−138784号
【特許文献5】特開2004−239411号
【特許文献6】特開2005−180492号
【特許文献7】特開2005−207547号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構造により動特性または振動特性を調整できる粘性マスダンパーとバネ付き粘性マスダンパーを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、前記回転体を回転自在に支持するフレームと、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、を備え、前記フレームの内面と前記回転体との前記隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様になった、ものとした。
【0010】
上記本発明の構成により、直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。前記フレームの内面と前記回転体との前記隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様になった。
その結果、前記フレームの内面と前記回転体との前記隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられるのに対応して、減衰係数cが変化する。
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る粘性マスダンパーを説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0012】
また、本発明の実施形態に係る粘性マスダンパーは、前記回転体が前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材を有し、前記フレームが前記回転部材の円板状の両側面を両側から挟む1対の円板状の側板部材を有し、前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動する。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記回転体の円盤状の回転部材が、前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。前記フレームの1対の円板状の側板部材が前記回転部材の円板状の両側面を両側から挟む。前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動する。
その結果、前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動するのに対応して、減衰係数cが変化する。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係る粘性マスダンパーは、前記フレームが前記回転部材を両側から挟む1対の円板状の側板部材と前記1対の側板部材をねじ構造により連結するねじ式結合部材とを有し、前記ねじ式結合部材を捩じると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる、
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記フレームが1対の円板状の側板部材とねじ式結合部材とを有する。1対の円板状の側板部材が前記回転部材を両側から挟む。ねじ式結合部材が前記1対の側板部材をねじ構造により連結する。前記ねじ式結合部材を捩じると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる。
その結果、前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動するのに対応して、前記減衰係数cが変化する。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係る粘性マスダンパーは、前記フレームが前記回転部材を両側から挟む1対の円板状の側板部材を有し、前記1対の側板部材が互いの縁部でねじ結合し、前記1対の側板部材の少なくとも一方を回転させると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記フレームの1対の円板状の側板部材が前記回転部材を両側から挟む。前記1対の側板部材が互いの縁部でねじ結合する。前記1対の側板部材の少なくとも一方を回転させると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる。
その結果、前記1対の側板部材の少なくとも一方を回転させるのに対応して、前記減衰係数cが変化する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、前記回転体を回転自在に支持するフレームと、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、を備え、前記粘性流体を前記フレームの中に出し入れし封入された量を調整可能になった、ものとした。
【0016】
上記本発明の構成により、直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。前記粘性流体を前記フレームの中に出し入れし封入された量を調整可能になった。
その結果、フレームに封入される粘性流体の量に対応して、減衰係数cが変化する。
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係る粘性マスダンパーを説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0018】
また、本発明の実施形態に係る粘性マスダンパーは、前記回転体が前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材を有し、前記回転部材の一部が前記粘性流体に浸かっている。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記回転体の円盤状の回転部材が、前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。前記回転部材の一部が前記粘性流体に浸かっている。
その結果、回転部材の前記粘性流体に浸かっている部分の面積の変化に対応して、前記減衰係数cが変化する。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、前記回転体を回転自在に支持するフレームと、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、を備え、前記回転体が前記雌ねじをら儲けられた部材に連結された回転部材と取付けまたは取外し可能な付加部材とを有する、ものとした。
【0020】
上記本発明の構成により、直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。前記回転体が回転部材と付加部材とを有する、回転部材が、前記雌ねじを設けられた部材に連結される。付加部材が、取付けまたは取外し可能である。
その結果、付加部材を取付けまたは取外すのに対応して、慣性質量mrが変化する。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、前記回転体を回転自在に支持するフレームと、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、を備え、前記回転体が前記雌ねじを設けられた部材に連結され前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材と前記回転部材の回転軸に同軸上に取付けまたは取外し可能な付加部材とを有する、ものとした。
【0022】
上記本発明の構成により、直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。前記回転体の円盤状の回転部材が、前記雌ねじを設けられた部材に連結され前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。前記回転体の付加部材が、前記回転部材の回転軸と同軸上に脱着可能に取り付けられる。
その結果、付加部材を前記回転部材に取付けまたは取外すのに対応して、慣性質量mrが変化する。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、前記回転体を回転自在に支持するフレームと、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、を備え、前記回転体が前記雌ねじを設けられた部材に連結され前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材と前記回転部材の半径方向に移動可能に取り付けられる移動部材とを有する、ものとした。
【0024】
上記本発明の構成により、直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。前記回転体の円盤状の回転部材が、前記雌ねじを設けられた部材に連結され前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。前記回転体の移動部材が、前記回転部材の半径方向に移動可能に取り付けられる。
その結果、移動部材が回転部材の径方向に移動するのに対応して、慣性質量mrが変化する。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性マスダンパーと、直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、を備え、前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性マスダンパーに連結される弾性梁をもち、
前記弾性梁と前記粘性マスダンパーとの連結位置を前記弾性梁の長手方向に沿って変更可能になった、ものとした。
【0026】
上記本発明の構成により、粘性マスダンパーが、直動軸と回転体とフレームと粘性流体とを有する。直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。弾性部材が、直動変位に対応して弾性反力を発生する。前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続される。前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性マスダンパーに連結される弾性梁を持つ。前記弾性梁と前記粘性マスダンパーとの連結位置を前記弾性梁の長手方向に沿って変更可能である。
その結果、弾性梁と前記粘性マスダンパーとの連結位置を前記弾性梁の長手方向に沿って変更するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
【0027】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性マスダンパーと、直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、を備え、前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性マスダンパーに連結される弾性梁をもち、前記弾性梁が前記粘性マスダンパーに連結された板バネである固定板バネと前記固定板バネに取付けまたは取外し可能になった板バネである付加板バネとを持つ、ものとした。
【0028】
上記本発明の構成により、粘性マスダンパーが、直動軸と回転体とフレームと粘性流体とを有する。直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。弾性部材が、直動変位に対応して弾性反力を発生する。前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続される。前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性マスダンパーに連結される弾性梁をもつ。前記弾性梁が前記粘性マスダンパーに連結された板バネである固定板バネと前記固定板バネに取付けまたは取外し可能になった板バネである付加板バネとを持つ。
その結果、付加板バネを前記固定板バネに取付けまたは取外しするのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
【0029】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性マスダンパーと、直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、を備え、前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもち、前記複数の積層弾性板の積層数を変更可能になった、ものとした。
【0030】
上記本発明の構成により、粘性マスダンパーが、直動軸と回転体とフレームと粘性流体とを有する。直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。弾性部材が、直動変位に対応して弾性反力を発生する。前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続される。前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもつ。前記複数の積層弾性板の積層数を変更可能である。
その結果、前記複数の積層弾性板の積層数を変更するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
【0031】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、を備え、前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった積層弾性板をもち、前記積層弾性板が板厚方向に貫通した貫通穴を形成された積層弾性板本体と前記貫通穴に差し込みまたは抜き取り可能な積層弾性板断片とを含む、ものとした。
【0032】
上記本発明の構成により、粘性マスダンパーが、直動軸と回転体とフレームと粘性流体とを有する。直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。弾性部材が、直動変位に対応して弾性反力を発生する。前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続される。前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもつ。前記積層弾性板が板厚方向に貫通した貫通穴を形成された積層弾性板本体と前記貫通穴に差し込みまたは抜き取り可能な積層弾性板断片とを含む。
その結果、積層弾性板断片を積層弾性板本体の貫通穴に差し込みまたは抜き取るのにのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明に係る直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーを、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、を備え、前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった積層弾性板をもち、前記積層弾性板が板面に沿った方向に重なる積層弾性板部材を含み、前記積層弾性板部材の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能になった、ものとした。
【0034】
上記本発明の構成により、粘性マスダンパーが、直動軸と回転体とフレームと粘性流体とを有する。直動軸が、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられる。回転体が、前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられる。フレームが、前記回転体を回転自在に支持する。粘性流体が、前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入される。弾性部材が、直動変位に対応して弾性反力を発生する。前記粘性マスダンパーと前記弾性部材とを直列接続される。前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもつ。前記積層弾性板が板面に沿った方向に重なる積層弾性板部材を含む。前記積層弾性板部材の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能になった。
その結果、積層弾性板部材の少なくとも一部が除去しまたは取り付けするのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明に係る粘性マスダンパーは、その構成により、以下の効果を有する。
雄ねじを持った直動軸と雄ねじに嵌めあう雌ねじをもちフレームに回転自在に支持された回転体と回転体とフレームの隙間に封入された粘性流体で構成された粘性マスダンパーは、直動軸を所定の相対加速度で直動変位させたさいに作用する反力を直動変位の相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrと直動軸を一定の相対速度で直動変位させた際に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
その前記フレームの内面と前記回転体との前記隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様にしたので、離間距離の変化に対応して、前記減衰係数cが変化する。
また、1対の円板状の側板部材が前記回転部材の円板状の両側面を両側から挟み、前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動する様にしたので、相対移動するのに対応して、前記減衰係数cが変化する。
また、1対の円板状の側板部材が前記回転部材を両側から挟み、ねじ式結合部材が前記1対の側板部材を連結し、前記ねじ式結合部材を捩じると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる様にしたので、相対移動するのに対応して、前記減衰係数cが変化する。
また、前記フレームの1対の円板状の側板部材が前記回転部材を両側から挟み、前記1対の側板部材が互いの縁部でねじ結合し、前記1対の側板部材の少なくとも一方を回転させると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材の少なくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる様にしたので、前記1対の側板部材の少なくとも一方を回転させるのに対応して、前記減衰係数cが変化する。
また、前記粘性流体を前記フレームの中に出し入れし封入された量を調整可能になる様にしたので、フレームに封入される粘性流体の量に対応して、前記減衰係数cが変化する。
また、前記回転部材の一部が前記粘性流体に浸かっている様にしたので、回転部材の前記粘性流体に浸かっている一部の面積の変化に対応して、前記減衰係数cが変化する。
また、前記回転体が回転部材と付加部材とを有し、回転部材が前記雌ねじに連結され、付加部材を取付けまたは取外し可能である様にしたので、付加部材を取付けまたは取外すのに対応して、慣性質量mrが変化する。
また、前記回転体が円板状の回転部材と付加部材とを有し、前記回転部材が前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動し、回転部材が前記雌ねじを設けられた部材に連結され、付加部材が前記回転部材の同軸上に取付けまたは取外し可能である様にしたので、付加部材を前記回転部材に取付けまたは取外すのに対応して、慣性質量mrが変化する。
また、回転体が円板状の回転部材と移動部材とを有し、前記回転部材が前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動し、前記回転部材が前記雌ねじを設けられた部材に連結され、前記移動部材が前記回転部材の半径方向に移動可能に取り付けられる様にしたので、移動部材が回転部材の半径方向に移動するのに対応して、慣性質量mrが変化する。
【0036】
以上説明したように、本発明に係るバネ付き粘性マスダンパーは、その構成により、以下の効果を有する。
前記バネ付き粘性マスダンパーが前記バネ要素を直動方向に相対距離だけ変位させた際に発生する反力を前記相対距離で割った値である弾性係数kbと前記粘性マスダンパーの前記直動軸を直動方向に所定の相対加速度で直動させたさいに前記直動方向に作用する反力を前記相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrとに対応するダンパー固有振動数ωrと前記粘性マスダンパーの前記直動軸を一定の相対速度で直動させた際に前記直動方向に作用する反力を前記相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性マスダンパーに連結される弾性梁を持ち、前記弾性梁と前記粘性マスダンパーとの連結位置を前記弾性梁の長手方向に沿って変更可能である様にしたので、弾性梁と前記粘性マスダンパーとの連結位置を前記弾性梁の長手方向に沿って変更するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性マスダンパーに連結される弾性梁をもち、前記弾性梁が前記粘性マスダンパーに連結された板バネである固定板バネと前記固定板バネに取付けまたは取外し可能になった板バネである付加板バネとを持つ様にしたので、付加板バネを前記固定板バネに取付けまたは取外しするのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもち、前記複数の積層弾性板の積層数を変更可能である様にしたので、前記複数の積層弾性板の積層数を変更するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、前記積層弾性板が板厚方向に貫通した貫通穴を形成された積層弾性板本体と前記貫通穴に差し込みまたは抜き取り可能な積層弾性板断片とを含む様にしたので、積層弾性板断片を積層弾性板本体の貫通穴に差し込みまたは抜き取るのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、前記積層弾性板が板面に沿った方向に重なる積層弾性板部材を含み、前記積層弾性板部材の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能になる様にしたので、積層弾性板部材の少なくとも一部が除去しまたは取り付けられるのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
従って、簡易な構造により動特性または振動特性を調整できる粘性マスダンパーとバネ付き粘性マスダンパーとを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
説明の便宜のため、バネ付き粘性マスダンパーを対象構造体に取り付ける場合を例に説明する。
【0038】
最初に、本発明の第一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図1は、本発明の実施形態に係る振動系のモデル図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0039】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
本願にかかる粘性ンスダンパーは、回転体120の回転慣性能率または粘性流体140に起因する粘性係数のすくなくともひとつを変更して振動現象にかかわる物理特性を変化させるものである。
本願にかかるバネ付き粘性マスダンパーは、回転体120の回転慣性能率または弾性部材200に起因する弾性係数の少なくとも一つを変化させて固有振動数を変化させるものである。
例えば、バネ付き粘性マスダンパーは、連結部材150を用いて対象構造物30に連結される。
対象構造物30は、バネ付き粘性マスダンパーにより免震または制振をされる構造物である。
免震のためには、対象構造物30はバネ付き粘性マスダンパーを基礎部分に設置される。
制振のためには、対象構造物30はバネ付き粘性マスダンパーを構造体の主要構造部材の間に設置される。
【0040】
直動軸110は、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた部材である。
例えば、直動軸110は、雄ねじ部材111と長手部材112とで構成される。
図2には、雄ねじを外周に形成された雄ねじ部材111と雄ねじ部材に一体につながった長手部材とが示される。
【0041】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられ円盤状の回転部材122を備える。
例えば、回転体120は、雌ねじ部材121と円盤状の回転部材122と回転軸126とを備える。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
円盤状の回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とが同軸上に配置される。
回転軸126は、雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とを連結する部材である。
図2には、雌ねじを設けられた雌ねじ部材121と回転部材122と回転軸126とで構成され、回転軸126が回転部材122を支持する構造の回転体120が示される。
雄ねじ部材111の雄ねじと雌ねじ部材121の雌ねじとは、複数のボールを介してねじ状に組み合わされてもよい。
直動軸110が回転を拘束されて直動運動すると、ボールを介して雌ねじ部材121が回転され、雌ねじ部材121に同軸上に固定される回転部材122と回転軸126とが回転する。
【0042】
フレーム130は、回転体120を回転自在に支持する構造体である。
フレーム130は、フレームの内面と回転体との隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様になっていてもよい。
例えば、フレーム130は、1対の側板部材131、132とねじ式結合部材133と軸受135とで構成される。
1対の側板部材131、132は、回転部材122を両側から挟む1対の円板状の部材である。
ねじ式結合部材133は、1対の側板部材131、132をねじ構造により連結するねじ機械要素である。
ねじ式結合部材133を捩じると1対の側板部材131、132が互いに接近しまたは離間して1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる。
例えば、複数のねじ式結合部材133が1対の側板部材131、132の外周に配される。
1対の側板部材131、132は、第一側板部材131と第二側板部材132とである。
例えば、ねじ式結合部材133が、第一側板部材131に順ねじで結合し、第二側板部材132に逆ねじで結合する。この様にすると、複数のねじ式結合部材133を一斉に一方の回転方向に回転させると第一側板部材131と第二側板部材132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近する。複数のねじ式結合部材133を一斉に他方の回転方向に回転させると第一側板部材131と第二側板部材132のすくなくとも一方が回転部材122に対して離間する。
軸受135は、回転体120を回転自在に支持する機械要素である。
【0043】
粘性流体140は、フレームの内面と回転体との隙間に封入された液体である。
回転体120がフレーム130に対して相対的に回転すると、粘性流体140は回転体に回転方向と逆方向の粘性力を作用させる。
フレーム130と回転体120の離間距離に対応して、粘性力が変化する。
例えば、1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近すると、粘性力が大きくなる。1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して離間すると、粘性力が小さくなる。
粘性力は、回転体140に回転トルク反力を与える。
回転トルク反力は雄ねじと雌ねじとの作用により直動変位の方向に作用する反力に変換される。
この反力は、直動軸の直動変位の速度に略比例する。
【0044】
連結部材150は、バネ付き粘性マスダンパーを対象構造体に連結するための部材である。
連結部材150は、第一連結部材151と第二連結部材152とで構成される。
第一連結部材151は、直動変位の方向に交差するひとつの可動軸を中心に揺動可能になった連結部材である。
第一連結部材151は、対象構造体30とフレーム130とを連結する。
第二連結部材152は、直動変位の方向に交差するひとつの可動軸を中心に揺動可能になった連結部材である。
第二連結部材152は、直動軸110と弾性部材200とを連結する。
【0045】
弾性部材200は、直動変位に対応して弾性反力を発生する部材である。
弾性部材200は、弾性板211と第一フランジ212と第二フランジ213とで構成される。
弾性板211は、弾性素材製の板材である。
弾性板211は、板面を直動変位の方向に沿わせて第一フランジ212と第二フランジ213とに挟まれる。
第一フランジ212と第二フランジ213とが直動変位の方向の接近離間すると、弾性板211に剪断力が生じ、第一フランジ212と第二フランジ213との相対的な反力が発生する。この反力は第一フランジ212と第二フランジ213との相対変位に略比例する。
第一フランジ212は、第二連結部材152に結合される。
第二フランジ213は、対象構造体30に結合される。
【0046】
以下に、バネ付き粘性マスダンパーの運動特性、振動特性を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る振動系のモデル図である。
図1は、慣性接続要素11とダンパー要素12とが並列接続した系(「粘性マスダンパー」に相当する。)とバネ要素20とを直接接続した系(「バネ付き粘性マスダンパー」に相当する。)が対象構造体に接続されたモデルを示している。
対象構造体30は、主質量31と主弾性要素32とでモデル化される。
【0047】
粘性マスダンパー系10は、慣性接続要素11により、直動軸を所定の相対加速度で直動変位させたさいに作用する反力を直動変位の相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrを持つ。
また、粘性マスダンパーは、ダンパー要素12により、直動軸を一定の相対速度で直動変位させた際に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
【0048】
バネ付き粘性マスダンパーはバネ要素20を直動方向に相対距離だけ変位させた際に発生する反力を相対距離で割った値である弾性係数kbと粘性マスダンパーの直動軸を直動方向に所定の相対加速度で直動させたさいに直動方向に作用する反力を相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrとに対応するダンパー固有振動数ωrを持つ。
また、バネ付き粘性マスダンパーは粘性マスダンパーの直動軸を一定の相対速度で直動させた際に直動方向に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cを持つ。
【0049】
フレームの内面と回転体との隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられるのに対応して、減衰係数cが変化する。
【0050】
次に、本発明の第二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図3は、本発明の第二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0051】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0052】
直動軸110と回転体120と粘性流体140の構造は、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0053】
フレーム130は、回転体120を回転自在に支持する構造体である。
フレーム130は、フレームの内面と回転体との隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様になっていてもよい。
例えば、フレーム130は、1対の側板部材131、132と軸受135とで構成される。
1対の側板部材131、132は、回転部材122を両側から挟む1対の円板状の部材である。
1対の側板部材131、132が互いの縁部に配されたねじ部134でねじ結合し、1対の側板部材131、132の少なくとも一方を回転させると1対の側板部材131、132が互いに接近しまたは離間して1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる。
例えば、第二側板部材132を一方の回転方向に回転させると、1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近する。第二側板部材132を他方の回転方向に回転させると1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して離間する。
軸受135は、回転体120を回転自在に支持する機械要素である。
【0054】
フレームの内面と回転体との隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられるのに対応して、減衰係数cが変化する。
【0055】
次に、本発明の第三の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図4は、本発明の第三の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0056】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0057】
直動軸110と回転体120と粘性流体140の構造は、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0058】
フレーム130は、回転体120を回転自在に支持する構造体である。
フレーム130は、粘性流体をフレームの中に出し入れし封入された量を調整可能になってもよい。
また、
回転部材の一部が封入された粘性流体に浸かっていてもよい。
この様にすると、粘性流体の封入された量が変化すると、回転部材の粘性流体に浸かっている箇所の面積が変化し、回転部材120が回転運動をした際の回転部材の受ける粘性抵抗力は変化する。
例えば、フレーム130は、1対の側板部材131、132と軸受135とフレーム蓋136と粘性流体投入管137と粘性流体排出管138とで構成される。
1対の側板部材131、132は、回転部材122を両側から挟む1対の円板状の部材である。
1対の側板部材131、132は互いに継ぎ目無くつながり、粘性流体を封入できる様になっている。
軸受135は、回転体120を回転自在に支持する機械要素である。
フレーム蓋136は、フレームに取付られ開閉可能になった蓋である。
粘性流体投入管137は、粘性流体140をフレーム130に投入できる配管である。
粘性流体排出管138は、粘性流体140をフレーム130から排出できる配管である。
粘性流体140を粘性流体投入管137からフレーム130に投入し粘性流体排出管138から排出し、フレーム130に封入された粘性流体140の量を調整できる。
封入された粘性流体の量を調整するに対応して、粘性力が変化する。
【0059】
連結部材150は、バネ付き粘性マスダンパーを対象構造体に連結するための部材である。
連結部材150は、第三連結部材153と第二連結部材152とで構成される。
第三連結部材153は、フランジ形状の連結部材である。
第三連結部材153は、対象構造体30とフレーム130とを連結する。
第二連結部材152は、直動変位の方向に交差するひとつの可動軸を中心に揺動可能になった連結部材である。
第二連結部材152は、直動軸110と弾性部材200とを連結する。
【0060】
フレーム130に封入された粘性流体140の量を変化させられるのに対応して、減衰係数cが変化する。
【0061】
次に、本発明の第四の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図5は、本発明の第四の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0062】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第三の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0063】
直動軸110とフレーム130と粘性流体140の構造は、第三の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0064】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられ、円盤状の回転部材122を備えていてもよい。
例えば、回転体120は、雌ねじ部材121と円盤状の回転部材122と付加部材123と回転軸126とを備える。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
円盤状の回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
回転軸126は、円盤状の回転部材122と雌ねじ部材121とを連結する部材である。
付加部材123は、取付けまたは取外し可能な部材である。
例えば、付加部材123は、回転部材122に取付けまたは取外し可能な部材である。
付加部材123は、回転部材の回転軸と同軸上に脱着可能に取り付けられる部材であってもよい。
例えば、付加部材123は、回転部材の回転軸と同軸上に脱着可能に取り付けられる円盤上の部材である。
付加部材123を回転体に取り付けると、回転部材122のみであった場合に比べて回転体120の回転慣性モーメントが増加する。
その結果、回転体を粘性流体の粘性抵抗力に抗して回転運動させるのにより大きな回転トルクを要する。
その回転トルクが雄ねじと雌ねじとの作用により直動変位の方向への反力に変換される。
【0065】
付加部材を取り付けまたは取り外すにの対応して、みかけの慣性質量mrとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0066】
次に、本発明の第五の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図6は、本発明の第五の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0067】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第三の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0068】
直動軸110とフレーム130と粘性流体140の構造は、第三の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0069】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられ、円盤状の回転部材122を備えていてもよい。
例えば、回転体120は、雌ねじ部材121と円盤状の回転部材122と移動部材124と案内部材125と回転軸126とを備える。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
円盤状の回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
回転軸126は、円盤状の回転部材122はと雌ねじ部材121とを連結する部材である。
移動部材124は、回転部材122の半径方向に移動可能に取り付けられる部材である。
移動部材124は、回転部材122の半径方向に移動可能に回転部材122に取り付けられる部材である。
案内部材125は、回転部材122の半径方向に移動部材124を案内する部材である。
例えば、案内部材125は、回転部材122の側面に半径方向に延びた直線レールである。
例えば、移動部材124は、案内部材125に案内され、所定の箇所に固定可能である。
移動部材124を半径方向に移動すると回転体120の回転慣性モーメントが変化するする。
回転慣性モーメントが大きくなると、回転体を回転運動させるのにより大きな回転トルクを要する。
その回転トルクが雄ねじと雌ねじとの作用により直動変位の方向への反力に変換される。
【0070】
移動部材124を半径方向に移動するのに対応して、みかけの慣性質量mrとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0071】
次に、本発明の第六の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図7は、本発明の第六の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0072】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0073】
直動軸110とフレーム130と粘性流体140の構造は、第三の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0074】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雌ねじ部材121と円盤状の回転部材122と付加部材123と回転軸126とを備えていてもよい。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
円盤状の回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
回転軸126は、円盤状の回転部材122と雌ねじ部材121とを連結する部材である。
付加部材123は、取付けまたは取外し可能な部材である。
回転軸126は、フレーム20から突出する。
付加部材123は、回転軸126の突出した端部に脱着可能に取り付けられる。
例えば、付加部材123は、回転部材122に取付けまたは取外し可能な部材である。
付加部材123は、回転部材の回転軸に同軸上に脱着可能に取り付けられる部材であってもよい。
例えば、付加部材123は、回転部材の回転軸と同軸上に脱着可能に取り付けられる円盤上の部材である。
付加部材123は、複数の部材が重なったものであって、部材の数を調整可能になったものであもよい。
付加部材123は、半径方向に移動自在に固定される部材を備えていても良い。
付加部材123を回転体に取り付けると、回転部材122のみであった場合に比べて回転体120の回転慣性モーメントが増加する。
その結果、回転体を回転運動させるのにより大きな回転トルクを要する。
その回転トルクが雄ねじと雌ねじとの作用により直動変位の方向への反力に変換される。
【0075】
付加部材を取り付けまたは取り外すにの対応して、みかけの慣性質量mrとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0076】
次に、本発明の第七の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図8は、本発明の第七の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
図10は、本発明の第七、八、九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの構造図である。
【0077】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
例えば、バネ付き粘性マスダンパーは、連結部材150を用いて対象構造物30に連結される。
対象構造物30は、バネ付き粘性マスダンパーにより免震または制振をされる構造物である。
免震のためには、対象構造物30はバネ付き粘性マスダンパーを基礎部分に設置される。
制振のためには、対象構造物30はバネ付き粘性マスダンパーを構造体の内部に設置される。
【0078】
直動軸110は、直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた部材である。
例えば、直動軸110は、雄ねじ部材111と長手部材112とで構成される。
図10には、雄ねじを外周に形成された雄ねじ部材111と雄ねじ部材に一体につながった長手部材112とが示される。
【0079】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雌ねじ部材121と円筒状の回転部材122とを備えていてもよい。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
円筒状の回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
雌ねじ部材121と円筒状の回転部材127とが同軸上に配置され、互いに固定される。
図10には、雌ねじを設けられた雌ねじ部材121と円筒状の回転部材127とで構成される回転体120が示される。
雄ねじ部材111の雄ねじと雌ねじ部材121の雌ねじとは、複数のボールを介してねじ状に組み合わされてもよい。
直動軸110が回転を拘束されて直動運動すると、ボールを介して雌ねじ部材121が回転され、雌ねじ部材121に同軸上に固定される回転部材127が回転する。
【0080】
フレーム130は、回転体120を回転自在に支持する構造体である。
例えば、フレーム130は、回転体を覆う円筒状の構造体である。
軸受135は、回転体120を回転自在に支持する機械要素である。
【0081】
粘性流体140は、フレームの内面と回転体との隙間に封入された液体である。
回転体120がフレーム130に対して相対的に回転すると、粘性流体140は回転体に回転方向と逆方向の粘性力を作用させる。
粘性力は、回転体に回転トルクを与える。
回転トルクは雄ねじと雌ねじとの作用により直動変位の方向の反力になる。
この反力は、直動軸の直動変位の速度に略比例する。
【0082】
連結部材150は、バネ付き粘性マスダンパーを対象構造体に連結するための部材である。
連結部材150は、第一連結部材151と第二連結部材152と第四連結部材154とで構成される。
第一連結部材151は、直動変位の方向に交差するひとつの可動軸を中心に揺動可能になった連結部材である。
第一連結部材151は、第四連結部材154とフレーム130とを連結する。
第二連結部材152は、直動変位の方向に交差するひとつの可動軸を中心に揺動可能になった連結部材である。
第二連結部材152は、直動軸110と弾性部材200とを連結する。
【0083】
弾性部材200は、直動変位に対応して弾性反力を発生する部材である。
弾性部材200が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を粘性マスダンパーに連結される弾性梁220をもつ。
弾性梁220と粘性マスダンパーとの連結位置を弾性梁の長手方向に沿って変更可能になってもよい。
例えば、弾性部材200は、弾性梁220と第一案内部材222と第二案内部材223とで構成される。
例えば、第一案内部材222は、弾性梁220に長手方向に沿って設けられたリニアガイドである。
例えば、第一案内部材222は、弾性梁220に固定され、長手方向に沿って長い長穴が設けられた部材である。
第二案内部材223は、第一案内部材222に案内されて弾性梁220の長手方向に移動可能に固定される部材である。
第一案内部材222を第二案内部材223沿って移動させると、弾性梁220と粘性マスダンパーとの連結位置を弾性梁の長手方向に沿って変更可能である。
【0084】
第四連結部材154は、第一連結部材151と対象構造体30とを結合する部材である。
第四連結部材154は、第一案内部材222と第二案内部材223と同様の構造をもつ。
従って、弾性梁と粘性マスダンパーとの連結位置を弾性梁の長手方向に沿って平行に変更可能になる。
【0085】
以下に、バネ付き粘性マスダンパーの運動特性、振動特性を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る振動系のモデル図である。
【0086】
粘性マスダンパー10は、直動軸を所定の相対加速度で直動変位させたさいに作用する反力を直動変位の相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrを持つ。
また、粘性マスダンパーは、直動軸を一定の相対速度で直動変位させた際に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
【0087】
バネ付き粘性マスダンパーはバネ要素を直動方向に相対距離だけ変位させた際に発生する反力を相対距離で割った値である弾性係数kbと粘性マスダンパーの直動軸を直動方向に所定の相対加速度で直動させたさいに直動方向に作用する反力を相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrとに対応するダンパー固有振動数ωrを持つ。
また、バネ付き粘性マスダンパーは粘性マスダンパーの直動軸を一定の相対速度で直動させた際に直動方向に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
【0088】
弾性梁と粘性マスダンパーとの連結位置を弾性梁の長手方向に沿って変更するのに対応して、弾性係数kbとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0089】
次に、本発明の第八の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図9は、本発明の第八の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
図10は、本発明の第七、八、九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの構造図である。
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第七の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0090】
粘性マスダンパーの構造は、第七の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0091】
弾性部材200は、直動変位に対応して弾性反力を発生する部材である。
弾性部材200が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を粘性マスダンパーに連結される弾性梁220をもつ。
弾性梁220が固定板バネ221と付加板バネ224とを持ってもよい。
固定板バネ221は、粘性マスダンパーに連結された板バネである。
付加板バネ224は、固定板バネ221に取付けまたは取外し可能になった板バネである。
例えば、複数の付加板バネ224が固定板バネ221にねじ結合される。
複数の付加板バネ224の幾つかを取り外しまた取り外すと、弾性梁220の弾性力を変化させることをできる。
付加板バネ224を厚さの異なる付加板バネ224に交換すると、弾性梁220の弾性力を変化させることをできる。
【0092】
付加板バネ224を取り付け、取り外すのに対応して、弾性係数kbとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0093】
次に、本発明の第九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図11は、本発明の第九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの部分概念図である。
図10は、本発明の第七、八、九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの構造図である。
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第七の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0094】
粘性マスダンパーの構造は、第七の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0095】
弾性部材200は、直動変位に対応して弾性反力を発生する部材である。
弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもち、
複数の積層弾性板の積層数を変更可能になってもよい。
弾性部材200は、積層弾性板214と第一フランジ212と第二フランジ213とで構成される。
積層弾性板214は、複数の積層された弾性素材製の板材である。
積層弾性板214は、板面を直動変位の方向に沿わせて第一フランジ212と第二フランジ213とに挟まれる。
第一フランジ212と第二フランジ213とが直動変位の方向の接近離間すると、弾性板211に剪断力が生じ、第一フランジ212と第二フランジ213との相対的な反力が発生する。この反力は第一フランジ212と第二フランジ213との相対変位に略比例する。
第一フランジ212は、第二連結部材152に結合される。
第二フランジ213は、対象構造体30に結合される。

積層された弾性素材製の枚数を変更すると、弾性部材200の弾性係数を変化させることをできる。
弾性素材製の厚みを変更すると、弾性部材200の弾性係数を変化させることをできる。
【0096】
積層された弾性素材製の枚数を変更し、または弾性素材製の厚みを変更するのに対応して、弾性係数kbとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0097】
次に、本発明の第十の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図12は、本発明の第十の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
図15は、本発明の第十の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーのA−A矢視図である。
【0098】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0099】
直動軸110と粘性流体140の構造は、第一の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0100】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられ円盤状の回転部材122を備える。
例えば、回転体120は、雌ねじ部材121と円盤状の回転部材122と回転軸126と移動部材128とを備える。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
円盤状の回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とが同軸上に配置される。
回転軸126は、雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とを連結する部材である。
移動部材128は、回転部材122の半径方向に移動可能に取り付けられる部材である。
図12には、雌ねじを設けられた雌ねじ部材121と回転部材122と回転軸126と移動部材128とで構成され、回転軸126が回転部材122を支持する構造の回転体120が示される。
図15には、回転部材122が円周に複数の扇状の溝をもうけられ、複数の扇状の面をもった移動部材128が溝に各々に嵌り込まれる様子を示される。
移動部材128は、回転部材122の溝のなかで回転部材122の半径方向に移動可能であり、取り付けボルトにより固定される。
雄ねじ部材111の雄ねじと雌ねじ部材121の雌ねじとは、複数のボールを介してねじ状に組み合わされてもよい。
直動軸110が回転を拘束されて直動運動すると、ボールを介して雌ねじ部材121が回転され、雌ねじ部材121に同軸上に固定される回転部材122と回転軸126とが回転する。
【0101】
フレーム130は、回転体120を回転自在に支持する構造体である。
フレーム130は、フレームの内面と回転体との間に隙間を設けられる。
回転部材122の外周部がフレーム130の外側へ露出する。
例えば、フレーム130は、1対の側板部材131、132と軸受135とシール部材139とで構成される。
1対の側板部材131、132は、回転部材122を両側から挟む1対の円板状の部材である。
軸受135は、回転体120を回転自在に支持する機械要素である。
シール部材139は、1対の側板部材131、132の縁部と回転部材122の外周部との間を液密にシールする部材である。
【0102】
複数の移動部材128が溝に案内され回転部材122の半径方向に移動して固定されるのに対応して、回転体120の回転慣性能率が変化し、みかけの慣性質量mrが変化する。
【0103】
次に、本発明の第十一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図13は、本発明の第十一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。図16は、本発明の第十一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーのA−A矢視図である。
【0104】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第十の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0105】
直動軸110とフレーム130と粘性流体140との構造は、第十の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0106】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられ円盤状の回転部材122を備える。
例えば、回転体120は、雌ねじ部材121と回転部材122と回転軸126と付加部材129とを備える。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とが同軸上に配置される。
回転軸126は、雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とを連結する部材である。
付加部材129は、取付けまたは取外し可能な部材である。
例えば、付加部材129は、回転部材122に取付けまたは取外し可能な部材である。
図13には、雌ねじを設けられた雌ねじ部材121と回転部材122と回転軸126と付加部材129とで構成され、回転軸126が回転部材122を支持する構造の回転体120が示される。
図16には、複数の付加部材129が回転部材122の縁にボルトにより固定される様子を示される。
雄ねじ部材111の雄ねじと雌ねじ部材121の雌ねじとは、複数のボールを介してねじ状に組み合わされてもよい。
直動軸110が回転を拘束されて直動運動すると、ボールを介して雌ねじ部材121が回転され、雌ねじ部材121に同軸上に固定される回転部材122と回転軸126とが回転する。
【0107】
複数の付加部材129が回転部材122の縁に取り付けまたは取り外されるのに対応して、回転体120の回転慣性能率が変化し、みかけの慣性質量mrが変化する。
【0108】
次に、本発明の第十二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図14は、本発明の第十二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【0109】
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第十の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0110】
直動軸110の構造は、第10の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0111】
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた部材である。
回転体120は、雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられ円盤状の回転部材122を備える。
例えば、回転体120は、雌ねじ部材121と回転部材122と回転軸126と移動部材128とを備える。
雌ねじ部材121は、雌ねじが設けられた部材である。
回転部材122は、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する。
雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とが同軸上に配置される。
回転軸126は、雌ねじ部材121と円板状の回転部材122とを連結する部材である。
移動部材128は、回転部材の半径方向に移動可能に取り付けられる部材である。
例えば、移動部材128は、回転部材122に半径方向に移動可能に取り付けられる部材である。
図14には、第十の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの回転体と同様の構造をした回転体が示される。
雄ねじ部材111の雄ねじと雌ねじ部材121の雌ねじとは、複数のボールを介してねじ状に組み合わされてもよい。
直動軸110が回転を拘束されて直動運動すると、ボールを介して雌ねじ部材121が回転され、雌ねじ部材121に同軸上に固定される回転部材122と回転軸126とが回転する。
回転部材122は、第10の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーの回転体と異なり、フレーム130の外側へ露出する。
【0112】
フレーム130は、回転体を回転自在に支持する構造体である。
フレーム130は、雌ねじ部材121を覆う部材と軸受135とで構成される。
雌ねじ部材121を覆う部材と雌ねじ部材121との間に隙間が設けられる。
軸受135は、回転体120を回転自在に支持する機械要素である。
【0113】
粘性流体140は、フレームの内面と回転体との隙間に封入された液体である。
粘性流体140は、雌ねじ部材121を覆う部材の内面と回転体との隙間に封入される。
【0114】
複数の移動部材128が溝に案内され回転部材122の半径方向に移動するのに対応して、回転体120の回転慣性能率が変化し、みかけの慣性質量mrが変化する。
【0115】
次に、本発明の第十三の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図17は、本発明の第九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの部分概念図である。
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第九の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0116】
粘性マスダンパーの構造は、第九の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0117】
弾性部材200は、直動変位に対応して弾性反力を発生する部材である。
弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった積層弾性板214をもつ。
積層弾性板214は、板厚方向に貫通した貫通穴を形成された積層弾性板本体215と貫通穴に差し込みまたは抜き取り可能な積層弾性板断片216とで構成される。
積層弾性板214は、板厚方向に貫通した複数の貫通穴を形成された積層弾性板本体215と貫通穴に各々に差し込みまたは抜き取り可能な複数の積層弾性板断片216とで構成される。
積層弾性板断片216を貫通穴から抜き取ると、積層弾性板214の剪断抵抗力が低くなり、弾性部材200の弾性係数が小さくなる。
積層弾性板断片216を貫通穴に差し込むと、積層弾性板214の剪断抵抗力が高くなり、弾性部材200の弾性係数が大きくなる。
【0118】
積層弾性板断片216を貫通穴に嵌め愛、または抜くことに対応して、弾性係数kbとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0119】
次に、本発明の第十四の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーを、図を基に、説明する
図18は、本発明の第九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの部分概念図である。
バネ付き粘性マスダンパーは、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、 粘性マスダンパー100と弾性部材200とを直列接続されたものである。
粘性マスダンパー100は、直動変位に対応して反力を発生する機械要素であって、直動軸110と回転体120とフレーム130と粘性流体140とで構成される。
以下、第九の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーと同じ構成の説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0120】
粘性マスダンパーの構造は、第九の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーのものと同じである。
【0121】
弾性部材200は、直動変位に対応して弾性反力を発生する部材である。
弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった積層弾性板214をもつ。
積層弾性板214が板面に沿った方向に重なる積層弾性板部材を含み、積層弾性板部材217の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能になる。
例えば、積層弾性板が複数の板面に沿った方向に同心円状に重なる複数の積層弾性板部材で構成され、積層弾性板部材217の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能である。
例えば、積層弾性板が複数の板面に沿った方向に渦巻き状に重なる積層弾性板部材で構成され、積層弾性板部材217の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能可能である。
積層弾性板部材217の少なくとも一部が除去すると、積層弾性板214の剪断抵抗力が低くなり、弾性部材200の弾性係数が小さくなる。
積層弾性板部材217の少なくとも一部を取り付けると、積層弾性板214の剪断抵抗力が高くなり、弾性部材200の弾性係数が大きくなる。
【0122】
積層弾性板部材217の少なくとも一部を追加しまたは除去するのに対応して、弾性係数kbとダンパー固有振動数ωrとが変化する。
【0123】
以下に、本発明の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーの使用方法を、図を基に、説明する。
図19は、本発明の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの作用図である。
【0124】
図19は、対象構造体を免震するために、基礎と対象構造体の間にバネ付き粘性マスダンパーを設けるのが示される。
支持構造40が対象構造体の重量を支持する。
バネ付き粘性マスダンパーが、直動変位の方向を水平にし、一方の連結部材を基礎に固定し、他方の連結部材を対象構造物に固定される。
【0125】
図19は、対象構造物を制振するために、対象構造物の階層の間にバネ付き粘性マスダンパーを設けるのが示される。
バネ付き粘性マスダンパーが、一方の連結部材を下の階層に固定し、他方の連結部材を上の階層に固定される。
例えば、バネ付き粘性マスダンパーが、直動変位の方向を水平方向に沿わせて設けられる。
例えば、バネ付き粘性マスダンパーが、直動変位の方向を斜め方向に沿わせて設けられる。
例えば、バネ付き粘性マスダンパーが、直動変位の方向を垂直方向に沿わせて設けられる。
本発明の実施形態にかかるバネ付き粘性マスダンパーを用い、固有振動数、減衰係数等を最適化し、免震性能、制振性能を発揮させることをできる。
【0126】
また、以上説明したように、本発明に係るバネ付き粘性マスダンパーは、その構成により、以下の効果を有する。
雄ねじを持った直動軸110と雄ねじに嵌めあう雌ねじをもちフレーム130に回転自在に支持された回転体120と回転体120とフレーム130の隙間に封入された粘性流体140で構成された粘性マスダンパーは、直動軸110を所定の相対加速度で直動変位させたさいに作用する反力を直動変位の相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrと直動軸を一定の相対速度で直動変位させた際に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
また、そのフレーム130の内面と回転体120との隙間の少なくとも一部の離間距離D1、D2を変化させられる様にしたので、離間距離の変化に対応して、減衰係数cが変化する。
また、1対の円板状の側板部材131、132が回転部材122の円板状の両側面を両側から挟み、1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近しまたは離間する様に相対移動する様にしたので、相対移動するのに対応して、減衰係数cが変化する。
また、1対の円板状の側板部材131、132が回転部材122を両側から挟み、ねじ式結合部材133が1対の側板部材を連結し、ねじ式結合部材133を捩じると1対の側板部材131、132が互いに接近しまたは離間して1対の側板部材131、132のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる様にしたので、相対移動するのに対応して、減衰係数cが変化する。
また、フレーム130の1対の円板状の側板部材131、132が回転部材122を両側から挟み、1対の側板部材131、132が互いの縁部でねじ結合し、1対の側板部材131、132の少なくとも一方を回転させると1対の側板部材131、132が互いに接近しまたは離間して1対の側板部材のすくなくとも一方が回転部材122に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる様にしたので、1対の側板部材の少なくとも一方を回転させるのに対応して、減衰係数cが変化する。
また、粘性流体140をフレーム130の中に出し入れし封入された量を調整可能になる様にしたので、フレーム130に封入される粘性流体140の量に対応して、減衰係数cが変化する。
また、回転体120の円盤状の回転部材122が、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動し、回転部材122の一部が粘性流体140に浸かっている様にしたので、回転部材122の粘性流体140に浸かっている一部の変化に対応して、減衰係数cが変化する。
また、回転体120が回転部材122と付加部材123とを有し、回転部材122が雌ねじを設けられた部材に連結され、付加部材123が回転部材122に取付けまたは取外し可能である様にしたので、付加部材123を回転部材122に取付けまたは取外すのに対応して、慣性質量mrが変化変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、回転体120の円盤状の回転部材122が、直動軸110の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動し、回転体120が回転部材122と付加部材123とを有し、回転部材122が雌ねじ部材121に連結され、付加部材123が回転部材122に同軸上に取付けまたは取外し可能である様にしたので、付加部材123を回転部材122に取付けまたは取外すのに対応して、慣性質量mrが変化変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、回転体120の円盤状の回転部材122が、直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動し、回転体120が回転部材122と移動部材124とを持ち、回転部材122が雌ねじ部材121に連結され、移動部材124が案内部材125に案内され回転部材122の半径方向に移動して固定できる様にしたので、移動部材124が回転部材122の半径方向に移動するのに対応して、慣性質量mrが変化変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、バネ付き粘性マスダンパーがバネ要素を直動方向に相対距離だけ変位させた際に発生する反力を相対距離で割った値である弾性係数kbと粘性マスダンパーの直動軸を直動方向に所定の相対加速度で直動させたさいに直動方向に作用する反力を相対加速度で割った値であるみかけの慣性質量mrとに対応するダンパー固有振動数ωrと粘性マスダンパーの直動軸を一定の相対速度で直動させた際に直動方向に作用する反力を相対速度で割った値に対応する減衰係数cとを持つ。
また、弾性部材200が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を粘性マスダンパー100に連結される弾性梁220を持ち、弾性梁220と粘性マスダンパー100との連結位置を弾性梁の長手方向に沿って変更可能である様にしたので、弾性梁220と粘性マスダンパー100との連結位置を弾性梁220の長手方向に沿って変更するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、弾性部材200が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を粘性マスダンパーに連結される弾性梁220をもち、弾性梁220が粘性マスダンパーに連結された板バネである固定板バネ221と固定板バネ221に取付けまたは取外し可能になった板バネである付加板バネ224とを持つ様にしたので、付加板バネ224を固定板バネ221に取付けまたは取外しするのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、弾性部材200が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板214をもち、複数の積層弾性板214の積層数を変更可能である様にしたので、複数の積層弾性板の積層数を変更するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、積層弾性板214が板厚方向に貫通した貫通穴を形成された積層弾性板本体215と貫通穴に嵌合可能な積層弾性板断片216とを含む様にしたので、積層弾性板断片を積層弾性板本体の貫通穴に差し込みまたは抜き取るのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
また、積層弾性板214が板面に沿った方向に重なる積層弾性板部材217を含み、積層弾性板部材217の少なくとも一部が除去可能になる様にしたので、積層弾性板部材217の少なくとも一部を取り付けしまたは除去するのに対応して、弾性係数kbが変化し、ダンパー固有振動数ωrが変化する。
【0127】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない歯非で各種の変更が可能である。
ねじ式結合部材133を第一側板部材131に順ねじで結合し、第二側板部材132に逆ねじに結合するとして説明したがこれに限定されず、例えば、1対のねじ式結合部材133を備え、一方のねじ式結合部材133が第一側板部材131にねじ結合し第二側板部材132を押していて、他方のねじ式結合部材133が第二側板部材132にねじ結合し第一側板部材131を押していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の実施形態に係る振動系のモデル図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図4】本発明の第三の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図5】本発明の第四の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図6】本発明の第五の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図7】本発明の第六の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図8】本発明の第七の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図9】本発明の第八の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図10】本発明の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図11】本発明の第九の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの部分概念図である。
【図12】本発明の第十の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図13】本発明の第十一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図14】本発明の第十二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの概念図である。
【図15】本発明の第十一の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーのA−A矢視図である。
【図16】本発明の第十二の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーのB−B矢視図である。
【図17】本発明の第十三の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの部分概念図である。
【図18】本発明の第十四の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの部分概念図である。
【図19】本発明の実施形態に係るバネ付き粘性マスダンパーの作用図である。
【符号の説明】
【0129】
10 粘性マスダンパー系
11 慣性接続要素
12 ダンパー要素
20 バネ要素
30 対象構造物
31 主質量
32 主弾性要素
33 取付部
40 支持構造
100 粘性マスダンパー
110 直動軸
111 雄ねじ部材
120 回転体
121 雌ねじ部材
122 回転部材
123 付加部材
124 移動部材
125 案内部材
126 回転軸
127 回転部材
128 移動部材
129 付加部材
130 フレーム
131 第一側板部材
132 第二側板部材
133 ねじ式結合部材
134 ねじ部
135 軸受
136 フレーム蓋
137 粘性流体投入管
138 粘性流体排出管
140 粘性流体
150 連結部材
151 第一連結部材
152 第二連結部材
153 第三連結部材
154 第四連結部材
200 弾性部材
211 弾性板
212 第一フランジ
213 第二フランジ
214 積層弾性板
215 積層弾性板本体
216 積層弾性板断片
217 積層弾性板部材
220 弾性梁
221 固定板バネ
222 第一案内部材
223 第二案内部材
224 付加板バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、
前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、
前記回転体を回転自在に支持するフレームと、
前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、
を備え、
前記フレームの内面と前記回転体との前記隙間の少なくとも一部の離間距離を変化させられる様になった、
ことを特徴とする粘性マスダンパー。
【請求項2】
前記回転体が前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材を有し、
前記フレームが前記回転部材の円板状の両側面を両側から挟む1対の円板状の側板部材を有し、
前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘性マスダンパー。
【請求項3】
前記フレームが前記回転部材を両側から挟む1対の円板状の側板部材と前記1対の側板部材をねじ構造により連結するねじ式結合部材とを有し、
前記ねじ式結合部材を捩じると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる、
ことを特徴とする請求項2に記載の粘性マスダンパー。
【請求項4】
前記フレームが前記回転部材を両側から挟む1対の円板状の側板部材を有し、
前記1対の側板部材が互いの縁部でねじ結合し、
前記1対の側板部材の少なくとも一方を回転させると前記1対の側板部材が互いに接近しまたは離間して前記1対の側板部材のすくなくとも一方が前記回転部材に対して接近しまたは離間する様に相対移動できる、
ことを特徴とする請求項2に記載の粘性マスダンパー。
【請求項5】
直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、
前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、
前記回転体を回転自在に支持するフレームと、
前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、
を備え、
前記粘性流体を前記フレームの中に出し入れし封入された量を調整可能になった、
ことを特徴とする粘性マスダンパー。
【請求項6】
前記回転体が前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材を有し、
前記回転部材の一部が前記粘性流体に浸かっている、
ことを特徴とする請求項5に記載の粘性マスダンパー。
【請求項7】
直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、
前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、
前記回転体を回転自在に支持するフレームと、
前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、
を備え、
前記回転体が前記雌ねじを設けられた部材に連結された回転部材と取付けまたは取外し可能な付加部材とを有する、
ことを特徴とする粘性マスダンパー。
【請求項8】
直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、
前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、
前記回転体を回転自在に支持するフレームと、
前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、
を備え、
前記回転体が前記雌ねじを設けられた部材に連結され前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材と前記回転部材の回転軸と同軸上に脱着可能に取り付けられる付加部材とを有する、
ことを特徴とする粘性マスダンパー。
【請求項9】
直動変位に対応して反力を発生する粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と、
前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と、
前記回転体を回転自在に支持するフレームと、
前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体と、
を備え、
前記回転体が前記雌ねじを設けられた部材に連結され前記直動軸の直動運動に対応して中心軸まわりに回転運動する円盤状の回転部材と前記回転部材の半径方向に移動可能に取り付けられる移動部材とを有する、
ことを特徴とする粘性マスダンパー。
【請求項10】
直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、
直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、
を備え、
前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、
前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性ダンパーに連結される弾性梁をもち、
前記弾性梁と前記粘性ダンパーとの連結位置を前記弾性梁の長手方向に沿って変更可能になった、
ことを特徴とするバネ付き粘性マスダンパー。
【請求項11】
直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、
直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、
を備え、
前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、
前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差して伸び一方の側を固定され他方の側を前記粘性ダンパーに連結される弾性梁をもち、
前記弾性梁が前記粘性ダンパーに連結された板ばねである固定板ばねと前記固定板ばねに取付けまたは取外し可能になった板ばねである付加板ばねとを持つ、
ことを特徴とするバネ付き粘性マスダンパー。
【請求項12】
直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、
直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、
を備え、
前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、
前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった複数の積層弾性板をもち、
前記複数の積層弾性板の積層数を変更可能になった、
ことを特徴とするバネ付き粘性マスダンパー。
【請求項13】
直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、
直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、
を備え、
前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、
前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった積層弾性板をもち、
前記積層弾性板が板厚方向に貫通した貫通穴を形成された積層弾性板本体と前記貫通穴に差し込みまたは抜き取り可能な積層弾性板断片とを含む、
ことを特徴とするバネ付き粘性マスダンパー。
【請求項14】
直動変位に対応して反力を発生するバネ付き粘性マスダンパーであって、
直動変位の変位方向に沿ってねじ送り方向を向けた雄ねじを設けられた直動軸と前記雄ねじに嵌めあう雌ねじを設けられた回転体と前記回転体を回転自在に支持するフレームと前記フレームの内面と前記回転体との隙間に封入された粘性流体とを有する粘性ダンパーと、
直動変位に対応して弾性反力を発生する弾性部材と、
を備え、
前記粘性ダンパーと前記弾性部材とを直列接続され、
前記弾性部材が直動変位の変位方向に交差した方向に重なった積層弾性板をもち、
前記積層弾性板が板面に沿った方向に重なる積層弾性板部材を含み、
前記積層弾性板部材の少なくとも一部が除去しまたは取り付け可能になった、
ことを特徴とするバネ付き粘性マスダンパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−90926(P2010−90926A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259131(P2008−259131)
【出願日】平成20年10月4日(2008.10.4)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(504242342)株式会社免制震ディバイス (16)
【Fターム(参考)】