説明

素子構造体、慣性センサーおよび電子機器

【課題】 容量素子を含む素子構造体の製造を容易化すること。
【解決手段】 素子構造体は、第1支持層100と、該第1支持層の上方に一端部が支持され他端部の周囲に空隙部が形成された第1可動梁800aと、を有する第1基板BS1と、第2支持層200と、該第2支持層に形成された第1固定電極900aと、を有し、且つ、前記第1基板に対向して配置された第2基板BS2と、を含み、前記第1可動梁80aには、第1可動電極が形成され、前記第1固定電極と前記第1可動電極とが間隙を介して対向して配置されて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子構造体、慣性センサーおよび電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電気機械システム)技術を使用して、小型で高感度のMEMSセンサーを実現する技術が注目されている。例えば、特許文献1には、静電容量型MEMS加速度センサーの構造が示されている。
【0003】
特許文献1に記載される技術では、支持基板上にポリシリコンを成膜し、フォトリソグラフィーによってポリシリコン等を加工することによって、可動の梁構造体と、梁構造体と一体に動く可動電極と、梁構造体を支持するばね部と、第一の固定電極と、第二の固定電極とが形成される。これによって、可動電極と固定電極との間に絶縁膜が設けられている構造(絶縁構造)をもつ容量素子が形成される。このようなセンサー構造によって、基板垂直(Z軸)方向の加速度成分を静電容量変化として検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−286535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、構造体内で、基板と垂直な方向に3つの絶縁分離構造が必要となる。よって、製造工程が複雑となるのは否めない。
【0006】
また、構造が複雑であることから、センサーの感度の向上、あるいはセンサーサイズの縮小の点で、限界がある。つまり、電極(ポリシリコン)を成膜プロセスで形成しており、厚膜化がプロセス的に難しいことから、センサー性能の向上には限界がある。
【0007】
また、センサー素子の封止(パッケージング)を行なう場合には、追加工程が必要になり、製造工程がさらに複雑化する。
【0008】
本発明の少なくとも一つの態様によれば、例えば、容量素子を含む素子構造体の製造を容易化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の素子構造体の一態様は、第1支持層と、該第1支持層の上方に一端部が支持され他端部の周囲に空隙部が形成された第1可動梁と、を有する第1基板と、第2支持層と、該第2支持層に形成された第1固定電極と、を有し、且つ、前記第1基板に対向して配置された第2基板と、を含み、前記第1可動梁には、第1可動電極が形成され、
前記第1固定電極と前記第1可動電極とが間隙を介して対向して配置される。
【0010】
本態様によれば、少なくとも第1基板と第2基板の2つの部材により各基板に垂直な方向(例えばZ軸方向)の容量を検出することが可能となり、容量素子の構造を容易にすることができる。
【0011】
(2)本発明の素子構造体の他の態様では、前記第1支持層と前記第1可動梁との間、および、前記第2支持層と前記第1固定電極との間の少なくとも一方に絶縁層が形成される。
【0012】
本態様によれば、絶縁層により第1基板または第2基板の絶縁性は確保される。したがって、各基板に設けられる導体層間の絶縁分離のために、特別な構造を形成する必要がない。つまり、第1基板と第2基板を、所定距離を保って対向配置すると、これに伴って、各基板に垂直な方向(例えばZ軸方向)における、導体層(導電部材)間の絶縁分離は必然的に実現される。よって、容量素子を含む素子構造体の製造工程が簡素化される。
【0013】
また、例えば、厚い活性層を持つSOI基板等を使用し、その厚い活性層によって可動梁を構成すると、慣性力(加速度や角速度等の物理量)を精度良く検出するために必要な質量(可動錘の質量)を容易に確保することができる。よって、センサー感度の向上が容易である。
【0014】
(3)本発明の素子構造体の他の態様では、前記第1基板には、さらに、第2固定電極が設けられ、前記第2基板には、さらに、一端部が前記第2支持層の上に支持され、かつ他端部の周囲に空隙部が形成された第2可動梁が設けられ、前記第2可動梁には、第2可動電極が形成され、前記第2固定電極と前記第2可動電極とが間隙を介して対向して配置される。
【0015】
本態様によれば、2つの容量素子(第1容量素子と第2容量素子)を備える素子構造体を得ることができる。第1容量素子に関して、第1可動電極は第1基板側に設けられ、第1固定電極は第2基板側に設けられる。一方、第2容量素子に関して、第2可動電極は第2基板側に設けられ、第2固定電極は第1基板側に設けられる。つまり、第1容量素子と第2容量素子とでは、可動電極と固定電極の位置関係が逆になっている。よって、第1容量素子と第2容量素子は、差動容量として利用することができる。
【0016】
各基板に垂直な方向(例えばZ軸方向)に力(加速度やコリオリ力)が加わったとき、例えば、第1容量素子における、第1可動電極と第1固定電極との間の距離(コンデンサーのギャップ)が拡大して第1容量素子の容量値が減少したとする(第1容量素子の容量値の変動量を「−ΔC」とする)。この場合、第2容量素子における、第2可動電極と第2固定電極との間の距離(コンデンサーのギャップ)は縮小して第2容量素子の容量値が増大する(第2容量素子の容量値の変動量は「+ΔC」である)。
【0017】
第1容量素子および第2容量素子の各々の容量値の変動を電気信号として取り出すことによって、差動検出信号が得られる。検出信号を差動化することによって、同相ノイズを相殺することができる。また、2つの検出信号のうちのいずれの信号が増加しているかを検出することによって、力の方向(力が加わった向き)も検出することができる。また、複数の容量素子(つまり第1容量素子および第2容量素子)が設けられることによって、慣性力の検出用の容量の容量値が実質的に増大したことになり、電荷の移動量が増大することから、検出信号の信号振幅を増大させる効果も得られる。
【0018】
また、本態様の構造を採用すると、第1容量素子と第2容量素子との間のカップリングによるクロストーク(相互影響)を、実用上、問題ないレベルまで低減できるという効果が得られる。例えば、容量素子の固定電極を共通電位とし、可動電極から検出信号が得られる場合を想定する。一般に、素子構造体の小型化を推進すると、第1容量素子と第2容量素子との距離が短縮され、各容量素子の可動容量間で、寄生容量によるカップリングが生じやすくなる。
【0019】
しかし、本態様の素子構造体の構造によれば、上述のとおり、第1容量素子の第1可動電極は第1基板側に設けられ、一方、第2容量素子の第2可動電極は第2基板側に設けられている。各基板は、基板に垂直な方向(例えばZ軸方向)に所定距離だけ離間していることから、第1可変容量と第2可変容量とが隣接して配置されたとしても、第1可動電極と第2可動電極との間の距離は確保され、よって、第1容量素子と第2容量素子との間のカップリングによるクロストーク(相互影響)は十分に低減される。したがって、本態様によれば、素子構造体を小型化しつつ、検出感度の低下を抑制することができる。
【0020】
(4)本発明の素子構造体の他の態様では、前記第1基板は、平面視で、前記第1基板の中心を通る第1軸と、前記中心で前記第1軸に直交する第2軸と、によって第1〜第4の領域に区画され、前記中心に対し互いに点対称な位置にある第1の領域および第2の領域の少なくとも一部には、前記第1可動電極の形成領域が配置され、前記中心に対し互いに点対称な位置にある前記第3の領域および前記第4の領域の少なくとも一部には、前記第2固定電極の形成領域が配置され、前記2基板は、平面視で、前記第1の領域に対向する第5の領域と、前記第2の領域に対向する第6の領域と、前記第3の領域に対向する第7の領域と、前記第4の領域に対向する第8の領域に区画され、前記第5の領域および前記第6の領域の少なくとも一部には、前記第1固定電極の形成領域が配置され、前記第7の領域および前記第8の領域の少なくとも一部には、前記第2可動電極の形成領域が配置される。
【0021】
本態様では、電極形成領域に関して、点対称の配置(対称点を中心として180度回転させると、元の図形(元の領域を示す図形)に重なるような配置)を採用し、かつ、線対称の配置(対称軸を中心として折り返すと、元の図形(元の領域を示す図形)に重なるような配置)を採用する。これによって、例えば、第1基板および第2基板の各々の電極配置レイアウトを共通化することができる。よって、基板の製造が効率化される。
【0022】
例えば、共通の電極配置レイアウトが採用された基板を2枚用意し、各基板を、共通のマスクを使用して加工した後、各基板を対向させてフェースツーフェースで接続する。これによって、第1基板の第1可動梁(第1可動電極)の形成領域と、第2基板の第1固定部(第1固定電極)の形成領域とが対向する状態となり、よって、第1容量素子が形成され、同様に、第2基板の第2可動梁(第2可動電極)の形成領域と、第1基板の第2固定部(第2固定電極)の形成領域とが対向する状態となり、よって、第2容量素子が形成される。
【0023】
本態様の電極配置レイアウトが採用されない場合には、第1基板用の電極配置レイアウトと第2基板用の電極配置レイアウトとは、平面視で、左右(あるいは上下)が反転したレイアウトとする必要が生じ(そうしないと、フェースツーフェースで各基板を貼り合わせたときに、第1容量素子と第2容量素子を形成することができない)、よって、各基板に対応させて、電極配置レイアウトを変更する必要が生じ、基板の製造の効率性が低下する。
【0024】
(5)本発明の素子構造体の他の態様では、前記第1可動電極は、前記第1可動電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成され、前記第1固定電極は、前記第1固定電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成され、前記第2可動電極は、前記第2可動電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成され、前記第2固定電極は、前記第2固定電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成される。
【0025】
本態様では、各基板において、電極配置のみならず、電極形状についても、点対称性を確保する。本態様では、容量素子(第1容量素子および第2容量素子)の容量値を、より高精度に決定することができる。
【0026】
例えば、共通の電極配置レイアウトが採用された基板を2個製造し、各々を対向させてフェースツーフェースで接続する。一方の基板の製造時に、所定方向にマスクずれが生じたとすると、他方の基板の製造時にも、所定方向にマスクずれが生じる(共通のマスクを使用しているため)。そして、各基板における電極の形状に関しても点対称性と線対称性が確保されている場合には、第1基板と第2基板とをフェースツーフェースで貼り合わせたとき、各電極間の対向面積は、マスクずれが生じたか否かに関係なく、電極自体の面積で正確に決定される。よって、本態様では、容量素子(第1容量素子および第2容量素子)の容量値を、より高精度に決定することができる。
【0027】
第1容量素子および第2容量素子は差動容量を構成することから、各容量素子に生じる容量値の変化は、符号のみが異なり、絶対値は同じであることが好ましい。本態様によれば、第1容量素子および第2容量素子の各々の面積を、電極形状自体によって正確に決定することができることから、高精度な差動検出出力を得ることができる。
【0028】
(6)本発明の素子構造体の他の態様では、前記第1基板と前記第2基板との間にはスペーサー部材が設けられる。
【0029】
スペーサー部材によって、例えば、第2基板を、第1基板上において、所定距離だけ離間させて保持することができる。スペーサー部材としては、絶縁材料のみからなる絶縁性スペーサー部材を使用することができ、また、導電性材料を構成要素として含む導電性スペーサー部材を使用することもできる。また、絶縁性スペーサー部材と導電性スペーサー部材とを併用することもできる。
【0030】
(7)本発明の素子構造体の他の態様では、前記スペーサー部材は枠状であり、前記第1基板、前記第2基板、および前記スペーサー部材によって内部に空間が形成された封止体が形成される。
【0031】
例えば、第1基板を、第2基板を支持する支持基板として使用し、第2基板を、封止体の蓋部を構成する蓋基板として使用し、スペーサー部材を、気密封止用の側壁として使用することができる。第1基板および第2基板の少なくとも一方に、平面視で閉じた線形状をもつスペーサー部材を形成した後、第1基板と第2基板をフェースツーフェースで貼り合わせることによって、封止体(パッケージ)を備える素子構造体が形成される。本態様によれば、封止体(パッケージ)を構成するための追加の製造工程が不要であり、したがって、素子構造体の製造工程が簡素化される。
【0032】
(8)本発明の素子構造体の他の態様では、前記スペーサー部材は柱状であり、前記第1基板と前記第2基板とが重なっている領域の中央付近に設けられる。
【0033】
蓋基板としての第2基板の中央部は、撓み易い部分である。よって、スペーサー部材によって第2基板を支持することは、第2基板の撓み抑制に効果的である。
【0034】
(9)本発明の素子構造体の他の態様では、前記スペーサー部材は、樹脂コア部と、前記樹脂コア部の表面の少なくとも一部を覆うように形成された導電層と、を有する。
【0035】
本態様では、スペーサー部材として樹脂コア部(樹脂コア)と、樹脂コア部(樹脂コア)の表面の少なくとも一部を覆うように形成される導電層とを有する、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサー部材(導電材料を構成要素として含むスペーサー)を使用する。
【0036】
樹脂としては、例えばレジンのような熱硬化性樹脂を使用することができる。樹脂は硬く、剛性を有することから、第1基板上において、第2基板を安定的に支持する(所定距離を保って支持する)のに役立つ。また、樹脂コアの表面の少なくとも一部を覆うように(樹脂コアに少なくとも接するように)導体層が形成される。
【0037】
なお、導体層の厚みはごく薄く(また、第1基板と第2基板を貼り合わせると、樹脂コアの頂部はほぼ露出した状態となる場合もあり)、したがって、第1基板と第2基板との間の距離は、樹脂コアの高さで正確に決定することができる。
【0038】
また、樹脂コアの少なくとも一部を覆う導体層が設けられていることから、その導体層を経由して、例えば、第1基板側の導体と第2基板側の導体とを相互に接続することも可能である。なお、例えば、第1基板側の絶縁層と第2基板の絶縁層との間に、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサーを介在させた場合には、樹脂コアの少なくとも一部を覆う導体層の電気的な導通をとる機能は発揮されない。この場合は、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサーは、実質的には絶縁性スペーサーとして機能しているとみることができる。
【0039】
(10)本発明の慣性センサーの一態様は、上記いずれかの素子構造体と、前記素子構造体から出力された電気信号を処理する信号処理回路と、を有する。
【0040】
素子構造体は小型であり、かつ検出性能が高い。よって、小型、かつ高感度の慣性センサーを実現することができる。また、封止体(パッケージ)を備える、信頼性の高い(つまり耐湿性等に優れた)慣性センサーを得ることができる。慣性センサーの例としては、例えば、静電容量型加速度センサー、静電容量型ジャイロセンサー(角速度センサー)が挙げられる。
【0041】
(11)本発明の電子機器の一態様は、上記慣性センサーを有する。
【0042】
これによって、小型で、かつ、高性能(かつ信頼性の高い)な電子機器(例えば、ゲームコントローラーや携帯端末等)が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1(A)〜図1(C)は、容量素子を含む素子構造体の構造例を示す図
【図2】図2(A)〜図2(C)は、第1容量素子および第2容量素子を含む素子構造体の例、ならびに、その素子構造体を用いた慣性センサーの一例を示す図
【図3】慣性センサーの構成例を示す図
【図4】図4(A)〜図4(C)は、C/V変換回路の構成と動作について説明するための図
【図5】図5(A)および図5(B)は、SOI基板の構造の具体例と、そのSOI基板を用いた素子構造体の構造の具体例を示す図
【図6】図6(A)および図6(B)は、素子構造体を構成する一つのSOI基板における、好ましい電極配置および電極形状の一例を示す図
【図7】素子構造体における接続端子の配置例を示す図
【図8】第1基板と第2基板の貼り合わせの一例を示す図
【図9】図9(A)および図9(B)は、図8に示される、チップ貼り合わせ後の素子構造体のA−A’線に沿う断面図、ならびに、B−B’線に沿う断面図
【図10】図8に示される、チップ貼り合わせ後の素子構造体のC−C’線に沿う断面図
【図11】図11(A)および図11(B)は、好ましいスペーサー部材の配置の一例を示す図
【図12】配線の構造の一例を示す図
【図13】配線の構造の他の例を示す図
【図14】図14(A),図14(B)、素子構造体の具体的な構造例を示す図
【図15】図15(A)および図15(B)は、第1基板と第2基板とが貼り合わされた状態における、樹脂コア構造をもつスペーサー付近の断面構造を拡大して示す図
【図16】図16(A)および図16(B)は、素子構造体(図14(B)の構造をもつ)の製造方法における、第1工程に対応する素子構造体の断面図
【図17】図17(A)および図17(B)は、第2工程における素子構造体の断面図
【図18】図18(A)〜図18(C)は、第3工程における素子構造体の断面図
【図19】図19(A)〜図19(C)は、第4工程における素子構造体の断面図
【図20】図20(A),図20(B)は、第5工程における素子構造体の断面図
【図21】電子機器の構成の一例を示す図
【図22】電子機器の構成の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0045】
(第1実施形態)
図1(A)〜図1(C)は、容量素子を含む素子構造体の構造例を示す図である。図1(A)の例では、素子構造体は、所定距離d1だけ離間して、互いに対向して配置される第1基板BS1および第2基板BS2によって構成されている。第1基板BS1および第2基板BS2としては、例えば、SOI基板を使用することができる(但し、これに限定されるものではなく、絶縁性基板としてガラス基板等を使用することができる)。
【0046】
第1基板BS1は、第1支持層(例えばシリコン単結晶層)100と、第1支持層100上に形成される第1絶縁層(例えばシリコン酸化膜)110と、第1絶縁層110によって一端部が支持され、かつ他端部の周囲に空隙部102が形成されている第1可動梁800aと、を有する。第1可動梁800aは、絶縁層110上に形成される第1活性層(例えばシリコン単結晶層)120をパターニングすることによって構成される。
【0047】
また、第2基板BS2は、第2支持層(例えばシリコン単結晶層)200と、第2支持層200上に形成される第2絶縁層(例えばシリコン酸化膜)210と、第2絶縁層210上に固定されている第1固定部900aと、を有する。第1固定部900aは、絶縁層210上に形成される第2活性層(例えばシリコン単結晶層)220をパターニングすることによって構成される。
【0048】
第1可動梁800aと第1固定部900aとは、所定距離d1だけ離れて対向して配置されており、第1可動梁800aを第1可動電極とし、第1固定部900aを第1固定電極とする第1容量素子c1が形成されている。
【0049】
図1(A)の素子構造体は、静電容量型のMEMS加速度センサー、あるいは静電容量型のMEMSジャイロセンサー等の慣性センサーの構成部品として使用可能である。例えば、加速度によって、可動梁800aに、基板に垂直な方向(Z軸方向)の変位が生じると、第1容量素子c1の容量値が変化する。この容量値の変化を、C/V変換回路(容量/電圧変換回路)によって電気信号に変換することによって、加速度を検出することができる。同様に、回転によるコリオリ力によって、可動梁800aに、基板に垂直な方向(Z軸方向)の変位が生じると、第1容量素子c1の容量値が変化する。この容量値の変化を、C/V変換回路(容量/電圧変換回路:図1では不図示)によって電気信号に変換することによって、角速度を検出することができる。なお、ジャイロセンサーでは、素子構造体は、例えば、所定の回転数で回転する回転体(回転質量体:不図示)に取り付けられる。
【0050】
図1(B)の例では、第1基板BS1および第2基板BS2として、SOI基板が使用される。第1基板BS1と第2基板BS2との間には、スペーサー部材300(ここでは、絶縁性のスペーサー部材とする)が設けられている。スペーサー部材300としては、例えば、レジスト膜やレジン等の樹脂膜を使用することができる。図1(B)の例では、スペーサー部材300によって、例えば、第2基板BS2を、第1基板BS1上において、所定距離d1だけ離間させて保持することができる。
【0051】
図1(B)の例に示される第1基板BS1では、第1支持層100上の第1絶縁層110がパターニングされ、この結果、パターニングされた第1絶縁層110−1,110−2が残存し、一方、第1絶縁層110が除去された部分には、第1空洞部102が形成されている。また、第1絶縁層110上の第1活性層120がパターニングされており、この結果、パターニングされた第1活性層120−1,120−2,120−3が残存している。パターニングされた第1活性層120−2が第1可動梁800aとなる。第1可動梁800aの一端部は、第1絶縁層110によって支持されており、かつ、第1可動梁800aの他端部の周囲には、第1空隙部102が形成されている。
【0052】
また、図1(B)に示される第2基板BS2では、第2活性層220がパターニングされ、その結果、パターニングされた第2活性層220−1,220−2,220−3が残存している。パターニングされた第2活性層220−2が、第1固定部900aとして機能する。
【0053】
図1(A)および図1(B)の例に示される素子構造体では、第1基板BS1と第2基板BS2の各々は、所定距離d1だけ離間されて、互いに対向した状態で配置され、よって、第1基板BS1と第2基板BS2との絶縁性は確保される。したがって、各基板(BS1,BS2)に設けられる導体層(活性層120,220等)間の絶縁分離のために、特別な構造を形成する必要がない。
【0054】
つまり、第1基板BS1と第2基板BS2を、所定距離d1を保って対向配置すると、これに伴って、各基板(BS1,BS2)に垂直な方向(例えばZ軸方向)における、導体層(導電部材)間の絶縁分離は必然的に実現される。よって、容量素子を含む素子構造体の製造工程が簡素化される。
【0055】
また、例えば、第1基板BSとして、第1活性層120の厚みを増大させたSOI基板を使用し、その厚い第1活性層120によって第1可動梁800aを構成すると、慣性力(加速度や角速度等の物理量)を精度良く検出するために必要な質量(可動錘の質量:可動マス)を容易に確保することができる。よって、センサー感度の向上が容易である。
【0056】
また、例えば活性層の厚みを増大させたSOI基板を使用しその厚い第1活性層120によって第1可動梁800aを構成すると、慣性力(加速度や角速度等の物理量)を精度良く検出するために必要な質量(可動錘の質量:可動マス)を容易に確保することができる。単位面積あたりの質量を大きくとれるため、センサー感度を確保しつつセンサーの小型設計が容易である。
【0057】
また、図1(B)の例では、封止体を構成することも容易である。つまり、図1(B)の例において、第1基板BS1を、第2基板BS2を支持する「支持基板」として使用し、第2基板BS2を、封止体の蓋部を構成する「蓋基板」として使用し、スペーサー部材300を、例えば「気密封止用の側壁(封止材)」として使用することができる。
【0058】
例えば、第1基板BS1および第2基板BS2の少なくとも一方に、平面視で閉じた線形状をもつスペーサー部材300を形成した後、第1基板BS1と第2基板BS2をフェースツーフェースで貼り合わせることによって、内部に空間ARを有する封止体(気密封止パッケージ)を備える素子構造体を形成することができる。この構造を採用した場合、封止体(パッケージ)を構成するための追加の製造工程が不要である。よって、素子構造体の製造工程が簡素化されるという効果が得られる。
【0059】
図1(A),図1(B)の素子構造体は、各基板(BS1,BS2)に垂直な方向(Z軸方向)に加わる力による容量素子(可変容量)c1の容量値の変化を検出するZ軸センサー構造体である。このZ軸センサー構造体に、さらに、X軸方向の力を検出するX軸センサー構造およびY軸方向の力を検出するためのY軸センサー構造の少なくとも一方を追加することも可能である。この場合、多軸感度をもつセンサー構造体が実現される。
【0060】
また、図1(C)の例では、スペーサー部材として、導電材料を構成要素に含むスペーサー部材400(400−1,400−2)を使用する。スペーサー部材400(400−1,400−2)は、平面視で第1基板BS1と第2基板BS2とが重なっている領域の周辺部に設けることができ、また、中央部(あるいは周辺部よりも内側の領域)に設けることも可能である。
【0061】
なお、図1(C)の例では、第1基板BS1の活性層120−3上に、絶縁層130が設けられている。また、第2基板BS2の活性層220−3上に、絶縁層230が設けられ、また、絶縁層230上に、導体層240が設けられている。また、第1基板BS1と第2基板BS2は、接着層(例えば非導電性の接着フィルム(NCF)等)414によって、相互に接続(固着)されている。図1(C)において、接着層(例えば非導電性の接着フィルム(NCF)等)414は、黒く塗りつぶして描かれている(この点は、以降の図面でも同様である)。
【0062】
図1(C)に示されるスペーサー部材400(400−1,400−2)は、具体的には、樹脂をパターニングして形成される樹脂コア部(樹脂コア)410と、樹脂コア部410の表面の少なくとも一部を覆うように形成される導電層412と、を有する。すなわち、図1(C)に示されるスペーサー部材400(400−1,400−2)は、樹脂コアと、樹脂コア上に設けられた導体層(金属層等)とを含んで構成される導電性スペーサー部材である。
【0063】
樹脂コア部410を構成する樹脂としては、例えばレジンのような熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を使用することができる。樹脂は硬く、剛性を有することから、第1基板BS1上において、第2基板BS2を安定的に支持する(所定距離d1を保って支持する)のに役立つ。また、樹脂コア部410の表面の少なくとも一部を覆うように(樹脂コアに少なくとも接するように)導体層412が形成される。
【0064】
なお、導体層412の厚みは薄く(また、第1基板BS1と第2基板BS2を貼り合わせると、樹脂コアの頂部はほぼ露出した状態となる場合もあり)、したがって、第1基板BS1と第2基板BS2との間の距離d1は、樹脂コア部410の高さで正確に決定することができる。
【0065】
また、樹脂コア部410の少なくとも一部を覆う導体層412が設けられていることから、その導体層412を経由して、第1基板BS側の導体と第2基板側の導体とを相互に接続することができる。
【0066】
なお、例えば、第1基板BS1側の絶縁層130と第2基板BS2の絶縁層230との間に、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサーを介在させた場合には、樹脂コアの少なくとも一部を覆う導体層412の電気的な導通をとる機能は発揮されない。この場合は、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサーは、実質的には絶縁性スペーサーとして機能しているとみることができる。つまり、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサーにおける、パターニングされた導体層412の機能を発揮させるか、発揮させないかは、その導体層412によって、第1基板BS1と第2基板BS2との間で電気的導通がとられるか否かによって決定される。
【0067】
このように、図1(C)に示される、樹脂コア構造をもつ導電性スペーサー部材400(400−1,400−2)は、保持部材としての機能と、導電部材としての機能とを併せ持つ。よって、導電性スペーサー部材400(400−1,400−2)の使用によって、蓋基板としての第2基板BS2の撓み防止と、支持基板としての第1基板BS1の、例えば周辺部に設けられる配線等の導電体(図1(C)では不図示)と、第2基板BS2の周辺部等に設けられる配線等の導電体(図1(C)の参照符号240)との相互接続と、を同時に実現することができる。この技術によれば、例えば、第2基板BS2からの電気信号を取り出すための信号経路の構築が容易化される。
【0068】
なお、図1(B)に示されるスペーサー部材300と、図1(C)に示されるスペーサー部材400(400−1,400−2)とを併用することができ、また、スペーサー部材400(400−1,400−2)だけを使用することもできる(いずれの場合でも、第1基板BS1と第2基板BS2との間の所定距離d1は確保することが可能である)。
【0069】
次に、図2(A)〜図2(C)を参照、差動容量を形成した例、ならびに慣性センサーの構造等について説明する。図2(A)〜図2(C)は、第1容量素子および第2容量素子を含む素子構造体の例、ならびに、その素子構造体を用いた慣性センサーの一例を示す図である。図2(A)〜図2(C)において、図1と共通する部分には同じ参照符号を付してある。
【0070】
図2(A)の例では、第1基板BSには、さらに、第1絶縁層110−1上に固定されている第2固定部900bが設けられている。また、第2基板BS2には、さらに、第2絶縁層210−2によって一端部が支持され、かつ他端部の周囲に第2空隙部104が形成されている第2可動梁800bが設けられ、かつ、第2固定部900bと第2可動梁800bとが所定距離d1だけ離れて対向して配置され、第2固定部900bを第2固定電極とし、第2可動梁800bを第2可動電極とする第2容量素子c2が形成されている。したがって、2つの容量素子(第1容量素子c1と第2容量素子c2)を備える素子構造体が実現される。
【0071】
第1容量素子c1では、第1可動電極は第1基板BS1側に設けられ、第1固定電極は第2基板BS2側に設けられる。一方、第2容量素子c2では、第2可動電極は第2基板BS2側に設けられ、第2固定電極は第1基板BS1側に設けられる。つまり、第1容量素子c1と第2容量素子c2とでは、可動電極と固定電極の位置関係が逆になっている。よって、第1容量素子c1と第2容量素子c2は、差動容量として、利用することができる。
【0072】
各基板(BS1,BS2)に垂直な方向(Z軸方向)に力(加速度やコリオリ力)が加わったとき、例えば、第1容量素子c1における、第1可動電極と第1固定電極との間の距離(コンデンサーのギャップ)が拡大して第1容量素子c1の容量値が減少したとする(第1容量素子c1の容量値の変動量を「−ΔC」とする)。このとき、第2容量素子c2における、第2可動電極と第2固定電極との間の距離(コンデンサーのギャップ)は縮小して第2容量素子の容量値が増大する(第2容量素子の容量値の変動量は「+ΔC」である)。
【0073】
よって、第1容量素子c1および第2容量素子c2の各々の容量値の変動を電気信号として取り出すことによって、差動検出信号が得られる。検出信号を差動化することによって、同相ノイズを相殺することができる。また、2つの検出信号のうちのいずれの信号が増加しているかを検出することによって、力の方向(力が加わった向き)も検出することができる。また、複数の容量素子(少なくとも第1容量素子c1および第2容量素子c2)が設けられることによって、慣性力の検出用の容量の容量値が実質的に増大したことになり、電荷の移動量が増大することから、検出信号の信号振幅を増大させる効果も得られる。
【0074】
また、図2(A)の構造を採用すると、第1容量素子c1と第2容量素子c2との間のカップリングによるクロストーク(相互影響)を、実用上、問題ないレベルまで低減できるという効果が得られる。例えば、容量素子の固定電極を共通電位とし、可動電極から検出信号が得られる場合を想定する。一般に、素子構造体の小型化を推進すると、第1容量素子c1と第2容量素子c2との距離が短縮され、各容量素子の可動容量間で、寄生容量(図2(A)において説明の便宜上、示されている寄生容量c0)によるカップリングが生じやすくなる。
【0075】
しかし、図2(A)に示される素子構造体の構造によれば、上述のとおり、第1容量素子c1の第1可動電極120−3は第1基板BS1側に設けられ、一方、第2容量素子c2の第2可動電極220−2は第2基板BS2側に設けられている。各基板(BS1,BS2)は、基板に垂直な方向(例えばZ軸方向)に所定距離d1だけ離間していることから、第1可変容量c1と第2可変容量c2とが隣接して配置されたとしても、第1可動電極120−3と第2可動電極220−2との間の距離は確保され、よって、第1容量素子c1と第2容量素子c2との間のカップリングによるクロストーク(相互影響)は十分に低減される。したがって、素子構造体を小型化しつつ、検出感度の低下を抑制することができる。
【0076】
図2(B)の例では、樹脂コア構造をもつスペーサー部材400(400−1〜400−3)を、平面視で第1基板BS1と第2基板BS2とが重なっている領域の周辺部のみならず、中央部にも設けている。スペーサー部材400−1,400−2は、周辺部に設けられるスペーサー部材である。スペーサー部材400−3は、中央部に設けられるスペーサー部材である。
【0077】
蓋基板としての第2基板BS2の中央部は、撓み易い部分である。よって、スペーサー部材によって第2基板BS2を支持することは、第2基板の撓み抑制に効果的である。また、図2(B)に示されるように、中央部に配置される樹脂コア構造をもつ導電性スペーサー部材400−3によって、例えば、第1基板BS1側の第2固定部900bと、第2基板側の第1固定部900aとを相互に電気的に接続することができる。これによって、例えば、第2固定部900bと第1固定部900aとを共通電位(例えば接地電位)に保持することが容易となる。
【0078】
図2(C)は、慣性センサーの全体構成の一例を示す斜視図である。図2(C)に示すように、支持基板としての第1基板BS1上に、蓋基板としての第2基板BS2が固定されて、封止体(ここでは気密封止パッケージ)を備える慣性センサー250が形成されている。第1基板BS1の表面にはパッド(外部接続端子)PAが設けられている。
【0079】
封止体内部に設けられる可変容量(c1,c2等)と検出回路13は配線ILを介して接続される。検出回路13とパッドPAは、配線ELによって接続される。また、封止体内部に、複数のセンサーが搭載される場合には、各センサーの出力信号が、配線ILを経由して検出回路13に導出される。また、図2(C)の例では、第1基板BS1上に、検出回路(信号処理回路を含む)13が搭載されている(但し、これは一例であり、この例に限定されるものではない)。第1基板BS1上に検出回路13を搭載することによって、信号処理機能を備えた、高機能な慣性センサー(MEMS慣性センサー)を実現することができる。
【0080】
次に、図3を用いて、慣性センサーの構成例について説明する。図3は、慣性センサーの構成例を示す図である。慣性センサー250(例えば、静電容量型MEMS加速度センサー)は、第1可変容量c1および第2可変容量c2と、検出回路13と、を有している。検出回路13は、図2(C)に示したように、例えば第1基板BS1上の空きスペースに設けられ、かつ、信号処理回路10を内蔵する。
【0081】
図3に示される検出回路13は、信号処理回路10と、CPU28と、インターフェース回路30と、を有する。信号処理回路10は、C/V変換回路(容量値/電圧変換回路)24と、アナログ校正&A/D変換回路26と、を有する。但し、この例は一例であり、信号処理回路10は、さらに、CPU28やインターフェース回路(I/F)30を含むことも可能である。
【0082】
次に、図4(A)〜図4(C)を用いて、C/V変換回路(C/V変換アンプ)の構成と動作の一例について説明する。図4(A)〜図4(C)は、C/V変換回路の構成と動作について説明するための図である。
【0083】
図4(A)は、スイッチトキャパシタを用いたC/V変換アンプ(チャージアンプ)の基本構成を示す図であり、図4(B)は、図4(A)に示されるC/V変換アンプの各部の電圧波形を示す図である。
【0084】
図4(A)に示すように、基本的なC/V変換回路24は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2(可変容量c1(またはc2)と共に入力部のスイッチトキャパシタを構成する)と、オペアンプ(OPA)1と、帰還容量(積分容量)Ccと、帰還容量Ccをリセットするための第3スイッチSW3と、オペアンプ(OPA)1の出力電圧Vcをサンプリングするための第4スイッチSW4と、ホールディング容量Chと、を有している。
【0085】
また、図4(B)に示すように、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3は同相の第1クロックでオン/オフが制御され、第2スイッチSW2は、第1クロックとは逆相の第2クロックでオン/オフが制御される。第4スイッチSW4は、第2スイッチSW2がオンしている期間の最後において短くオンする。第1スイッチSW1がオンすると、可変容量c1(c2)の両端には、所定の電圧Vdが印加されて、可変容量c1(c2)に電荷が蓄積される。このとき、帰還容量Ccは、第3スイッチがオン状態であることから、リセット状態(両端がショートされた状態)である。次に、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3がオフし、第2スイッチSW2がオンすると、可変容量c1(c2)の両端は共に接地電位となるため、可変容量c1(c2)に蓄積されていた電荷が、オペアンプ(OPA)1に向けて移動する。
【0086】
このとき、電荷量が保存されるため、Vd・C1(C2)=Vc・Ccが成立し、よって、オペアンプ(OPA)1の出力電圧Vcは、(C1/Cc)・Vdとなる。すなわち、チャージアンプのゲインは、可変容量c1(あるいはc2)の容量値(C1またはC2)と、帰還容量Ccの容量値との比によって決定される。次に、第4スイッチ(サンプリングスイッチ)SW4がオンすると、オペアンプ(OPA)1の出力電圧Vcが、ホールディング容量Chによって保持される。保持された電圧がVoであり、このVoがチャージアンプの出力電圧となる。
【0087】
先に説明したように、C/V変換回路24は、実際は、2つの可変容量(第1可変容量c1,第2可変容量c2)の各々からの差動信号を受ける。この場合には、C/V変換回路24として、例えば、図4(C)に示されるような、差動構成のチャージアンプを使用することができる。図4(C)に示されるチャージアンプでは、入力段において、第1可変容量c1からの信号を増幅するための第1のスイッチトキャパシタアンプ(SW1a,SW2a,OPA1a,Cca,SW3a)と、第2可変容量c2からの信号を増幅するための第2のスイッチトキャパシタアンプ(SW1b,SW2b,OPA1b,Ccb,SW3b)と、が設けられる。そして、オペアンプ(OPA)1aおよび1bの各出力信号(差動信号)は、出力段に設けられた差動アンプ(OPA2,抵抗R1〜R4)に入力される。
【0088】
この結果、増幅された出力信号Voが、オペアンプ(OPA)2から出力される。差動アンプを用いることによりベースノイズ(同相ノイズ)を除去できるという効果が得られる。なお、以上説明したC/V変換回路24の構成例は一例であり、この構成に限定されるものではない。
【0089】
(第2実施形態)
本実施形態では、好ましい電極の配置や電極の形状等について、具体的に説明する。
【0090】
図5(A)および図5(B)は、SOI基板の構造の具体例と、そのSOI基板を用いた素子構造体の構造の具体例を示す図である。図5(A)に示すように、第1基板BS1としての第1SOI基板は、第1支持層100と、第1絶縁層110と、パターニングされた第1活性層120a,120b,120cと、第1活性層のパターニングによる開口部に埋め込まれた絶縁膜135a,135bと、を有する。絶縁膜135a,135bは、第1絶縁層110を選択的にエッチング除去する工程において、エッチングが必要でない部分がエッチングされてしまうのを防止するために設けられている。
【0091】
先に説明したように、第1可動梁800a(第1活性層120cを含む)は、第1容量素子c1の可動電極を構成し、第2固定部900b(第1活性層120bを含む)は、第2容量素子c2の固定電極を構成する。第1可動梁800aの周囲には第1空洞部102が形成されている。
【0092】
図5(B)に示すように、第1基板(支持基板)BS1と第2基板(蓋基板)BS2とを対向させて貼り合わせることによって、第1容量素子c1および第2容量素子c2を含む素子構造体(容量素子MEMS構造体)が形成される。第2基板BS2の構成は、第1基板BS1と同様であるため、説明を省略する。第1基板BS1と第2基板BS2との間には、絶縁性スペーサー部材300(300a,300b)が介在している。
【0093】
図5(B)に示される素子構造体に、両基板に垂直な方向で、かつ上向きの加速度が加わると、慣性力によって、第1可動梁800aと、第2可動梁800bは、両基板に垂直な方向であって、かつ下向きの方向に変位する。これによって、第1容量素子c1には−ΔCの容量値の変動が生じ、第2容量素子c2には+ΔCの容量値の変動が生じる。よって、加速度に対応して変化する差動信号(差動検出出力)が得られる。
【0094】
次に、図6(A)および図6(B)を参照して、好ましい電極の配置や電極の形状等について説明する。図6(A)および図6(B)は、素子構造体を構成する一つのSOI基板における、好ましい電極配置および電極形状の一例を示す図である。
【0095】
図6(A)に示されるように、SOI基板における平面視での可動梁(可動電極)の形成領域は、一対の領域(つまり、対をなす第1領域ZA(1)と第2領域ZA(2))に2分割されている。同様に、SOI基板における平面視での固定部(固定電極)の形成領域は、一対の領域(つまり、対をなす第1領域ZB(1)と第2領域ZB(2))に2分割されている。
【0096】
電極の形成領域を2分割しているのは、電極形成領域を、SOI基板の中心OP(チップ中心)に対して、点対称に配置するためである。すなわち、SOI基板における平面視での可動梁(可動電極)の形成領域である第1領域ZA(1)と第2領域ZA(2)は、SOI基板の中心OP(チップ中心)に対して、点対称に配置されている(つまり、各領域を180度回転すると元の位置に重なる)。
【0097】
同様に、SOI基板における平面視での固定部(固定電極)の形成領域である第1領域ZB(1)と第2領域ZB(2)は、SOI基板の中心OP(チップ中心)に対して、点対称に配置されている(つまり、各領域を180度回転すると元の位置に重なる)。
【0098】
また、平面視での可動梁(可動電極)の形成領域ZA(1),ZA(2)と、平面視での固定部(固定電極)の形成領域ZB(1),ZB(2)とは、平面視でのSOI基板の中心OPを通過する平面視での対称軸AXS1に対して線対称に配置されている(対称軸AXS2についても同様である)。
【0099】
なお、上記の説明では、点対称と線対称の組み合わせを使用しているが、点対称だけで説明することもできる。この場合は、「可動電極形成領域(ZA(1),ZA(2))と、固定電極形成領域(ZB(1),ZB(2))の双方を含む電極形成領域ZP(図6(A)では点線の円で描かれている)の外周を示す図形が、基板の中心OPに対して点対称の図形である」、ということができる。
【0100】
このように、本実施形態では、電極形成領域に関して、点対称の配置(対称点を中心として180度回転させると、元の図形(元の領域を示す図形)に重なるような配置)を採用し、かつ、線対称の配置(対称軸を中心として折り返すと、元の図形(元の領域を示す図形)に重なるような配置)を採用する。これによって、例えば、第1基板BS1および第2基板BS2の各々の電極配置レイアウトを共通化することができるという効果が得られる。よって、基板の製造が効率化される。
【0101】
例えば、共通の電極配置レイアウトが採用されたSOI基板を2枚用意し、各SOI基板を、共通のマスクを使用して加工した後、各SOI基板を対向させてフェースツーフェースで接続する。これによって、第1基板の第1可動梁(第1可動電極)の形成領域と、第2基板の第1固定部(第1固定電極)の形成領域とが対向する状態となり、よって、第1容量素子c1が形成され、同様に、第2基板BS2の第2可動梁(第2可動電極)の形成領域と、第1基板の第2固定部(第2固定電極)の形成領域とが対向する状態となり、よって、第2容量素子c2が形成される(例えば、図8参照)。
【0102】
以下、図8を参照して、第1容量素子c1の形成を例にとって説明する。図8において、第1基板BS1に設けられる第1可動梁(第1可動電極)は、800a−1と800a−2に2分割されている。第1可動梁(第1可動電極)800a−1の形成領域をZA(1)−1とし、800a−2の形成領域をZA(2)−1とする。例えば、「ZA(1)−1」という表記は、「2分割された固定電極形成領域ZAのうちの第(1)番目の電極形成領域であって、かつ第1の基板に設けられる電極形成領域である」という意味である。この点は、他の表記についても同様である。
【0103】
また、図8において、第2基板BS2の第1固定部(第1固定電極)900a−1の形成領域をZB(1)−2とし、900a−2の形成領域をZB(2)−2とする。第1基板BS1と第2基板BS2とが対向配置されると、ZA(1)−1とZB(1)−2とが対向し、ZA(2)−1とZB(2)−2とが対向し、これによって、第1容量素子c1が形成される。
【0104】
第2容量素子c2に関しても同様である。つまり、第1基板BS1と第2基板BS2とが対向配置されると、ZB(1)−1とZA(1)−2とが対向し、ZB(2)−1とZA(2)−2とが対向し、これによって、第2容量素子c2が形成される。
【0105】
ここで、図6に戻って説明を続ける。図6(A)のような電極配置が採用されない場合には、第1基板用の電極配置レイアウトと第2基板用の電極配置レイアウトとは、平面視で、左右(あるいは上下)が反転したレイアウトとする必要が生じ(そうしないと、フェースツーフェースで各基板を貼り合わせたときに、第1容量素子c1と第2容量素子c2を形成することができない)、よって、各基板に対応させて、電極配置レイアウトを変更する必要が生じ、基板の製造の効率性が低下する。
【0106】
図6(B)は、好ましい電極形状の例を示している。図6(B)の例では、第1絶縁層(第1基板の場合は参照符号110,第2基板の場合は参照符号210)上に、可動電極A−1,A−2と、固定電極B−1,B−2とが設けられている。
【0107】
また、可動電極A−1,A−2および固定電極B−1,B−2の各々の平面視での形状は、円を4分割して得られる形状にパターニングされている。固定電極B−1とB−2は共通接続されている。
【0108】
実際には、可動電極A−1とA−2も、電気的に共通接続される。例えば、可動電極A−1,A−2の各々から信号を取り出すための配線の各々(不図示)を共通接続することによって、可動電極A−1とA−2を、相互に電気的に接続することができる(回路を利用した接続例である)。
【0109】
図6(B)の例では、可動電極(可動梁)は、電極形状に関しても、平面視でのSOI基板の中心OPに対する点対称性があり、固定電極(第2固定部)も、電極形状に関しても、平面視でのSOI基板の中心OPに対する点対称性があり、かつ、可動電極(可動梁)と固定電極(固定部)とは、電極形状に関しても、平面視でのSOI基板の中心OPを通過する平面視での対称軸(AXS1あるいはAXS2)に対して線対称性がある。
【0110】
SOI基板(つまり、第1基板BS1,第2基板BS2の各々)において、電極配置のみならず、電極形状についても、点対称性および線対称性を確保することによって、第1容量素子c1および第2容量素子c2の容量値を、より高精度に決定することができる。
【0111】
先に説明したように、第1容量素子c1および第2容量素子c2は差動容量を構成することから、各容量素子(c1,c2)に生じる容量値(C1,C2)の変化は、符号のみが異なり、絶対値は同じであることが好ましい。図6(B)のような電極配置および電極形状を採用すると、第1容量素子c1および第2容量素子c2の各々の面積を、電極形状自体によって正確に決定することができることから、高精度な差動検出出力を得ることができる。
【0112】
(第3実施形態)
本実施形態では、素子構造体における接続端子の配置等についについて説明する。図7は、素子構造体における接続端子の配置例を示す図である。図7の例では、図6(B)の例と同様に、可動電極A−1,A−2、固定電極B−1,B−2の各々の形状として、平面視で円を4分割して得られる形状が採用されている。但し、素子構造体を実際に製造する場合には、電子回路を構成するための接続端子が必要である。よって、電極部の形状(容量電極として機能しない部分も含めた全体形状)は、実際には、接続端子の配置を考慮して決定される必要がある。
【0113】
図7において、可動電極A−1は、接続端子BIP1と、弾性バネ部QAと、可動錘部(兼容量電極部)QBと、を有している。弾性バネ部(弾性変形部)QAは、可動錘部(兼容量電極部)QBを、空隙部(あるいは空洞部)102(あるいは104)上において変位可能に支持する。可動錘部(兼容量電極部)QBは、基板に垂直な方向(+Z軸方向および−Z軸方向)に変位することが可能である。同様に、可動電極A−2は、接続端子BIP3と、弾性バネ部QA’と、可動錘部(兼容量電極部)QB’と、を有している。
【0114】
また、接続端子BIP2および接続端子BIP3は、対向配置される他方の基板に対して、電気的な接続を可能とするための、平面視での孤立パターンをもつ接続端子(他基板への接続端子)である。また、中央に配置される接続端子BIP5は、対向配置される一方の基板における固定電極B−1,B−2、ならびに、対向配置される他方の基板における固定電極B−1,B−2を共通電位に保持するために使用される、固定電極用の接続端子である。
【0115】
図8は、第1基板と第2基板の貼り合わせの一例を示す図である。図8の左側には、第1基板(支持基板)BS1が示されている。図8の右側には、第1基板(蓋基板)BS2が示されている。図8において、左側の図と右側の図を結ぶ双方向の矢印は、チップ同士が貼り合わされた場合に、平面視で、互いに重なる位置関係であることを示している。
【0116】
図8において、第1基板(支持基板)BS1のサイズの方が大きいのは、チップの周辺部に、外部接続端子EP1〜EP5が形成されているからである。
【0117】
また、図8において、各チップの周囲において描かれている太い点線は、スペーサー部材300を示している。スペーサー部材300は、平面視で、閉じた線形状を有しており、チップ同士が貼り合わされた場合には、スペーサー部材は、封止体の構成要素である側壁(封止部材(シール部材))としても機能する。
【0118】
また、図8の左側に示される第1基板BS1では、先に図5(B)を用いて説明したように、第1活性層120をパターニングすることによって、可動電極や固定電極が形成されている。図中、例えば、可動電極120c(2)という表記は、パターニングされた第1活性層120cで形成され、かつ、2分割された可動電極のうちの2番目の可動電極であることを示している。他の電極に付されている参照符号の意味も同様である。
【0119】
また、図8の左側の図において、斜線が施されている領域は、第1絶縁層110の表面が露出している領域であり、また、白抜きで描かれている領域は、第1空隙部(第1空洞部)102(102(1),102(2))である。
【0120】
また、図8の左側の図において、LA1〜LA5は、接続端子間を結ぶ配線である。なお、中央の接続端子BIP5上には、実際には、導電性のスペーサー部材が接続される(図8では、導電性スペーサー部材は不図示である)。
【0121】
また、図8の左側の図において、外部接続端子EP1,EP3からは、第1容量素子c1の検出信号(半分相当)が得られる。外部接続端子EP2,EP5からは、第1容量素子c2の検出信号(半分相当)が得られる。また、外部接続端子EP4は、例えば接地さされる。接地電位は、容量素子を構成する固定電極の共通電位である。
【0122】
また、図8の右側に示される第2基板BS2では、先に図5(B)を用いて説明したように、第2活性層220をパターニングすることによって、可動電極や固定電極が形成されている。図中、例えば、可動電極220c(2)という表記は、パターニングされた第2活性層220cで形成され、かつ、2分割された可動電極のうちの2番目の可動電極であることを示している。他の電極に付されている参照符号の意味も同様である。また、図8の右側の図において、斜線が施されている領域は、第2絶縁層210の表面が露出している領域であり、また、白抜きで描かれている領域は、第2空隙部(第2空洞部)104(104(1),104(2))である。
【0123】
図9(A)および図9(B)は、図8に示される、チップ貼り合わせ後の素子構造体のA−A’線に沿う断面図、ならびに、B−B’線に沿う断面図である。図9において、前掲の図面と共通する部分には同じ参照符号を付している。
【0124】
図9(A)および図9(B)に示されるとおり、第1基板BS1、第2基板BS2ならびにスペーサー部材300によって、内部に密閉された空間を有する気密封止体が形成されている。
【0125】
また、図9(B)に示されるように、第1基板BS1側の接続端子BIP5と、第2基板BS2側の接続端子CIP5との間には、導電性スペーサー部材400が設けられている。先に図8(B)に示したように、第1基板BS1側の接続端子BIP5は、外部接続端子EP4と配線LA5によって接続されている。よって、外部接続端子EP4、配線LA5、導電性スペーサー部材400(具体的には、図1(C)等で説明した樹脂コア構造をもつ導電性スペーサー部材400を使用することができる)が電気的に接続されることになる。この経路を利用して、第1基板BS1側の固定電極ならびに第2基板BS2側の固定電極の各々を、共通電位(GND等)に維持することができる。
【0126】
図10は、図8に示される、チップ貼り合わせ後の素子構造体のC−C’線に沿う断面図である。図10では、第1基板BS1側の接続端子BIP3と第2基板BS2側の接続端子CIP4との間、ならびに、第1基板BS1側の接続端子BIP4と第2基板BS2側の接続端子CIP3との間に、導電性スペーサー部材400が設けられている。
【0127】
接続端子BIP3と接続端子CIP4との間の接続は形式的なものであり、電子回路の形成には寄与しない。一方、接続端子BIP4と接続端子CIP3との間の接続によって、第2基板BS2における可動電極(図8の右側に示される図における、パターニングされた第2活性層220c(1)に相当する)から、検出信号を取り出すことができる。
【0128】
(第4実施形態)
本実施形態では、好ましいスペーサー部材の配置例について説明する。図11(A)および図11(B)は、好ましいスペーサー部材の配置の一例を示す図である。
【0129】
図11(A)において、平面視で閉じた線形状をもつ、枠状のスペーサー部材300が、平面視で第1基板BS1と第2基板BS2とが重なっている領域の周辺部(外周部)において、容量素子形成領域(各基板における、固定電極ならびに可動電極の形成領域)を取り囲むように配置されている。ここでは、このスペーサー部材300を第1スペーサー部材とする。このスペーサー部材300としては、例えば、レジスト膜や絶縁膜(酸化膜や樹脂膜等、多層膜を含む)等からなる絶縁性スペーサーを使用することができる。また、図1(C)や図2(A),図2(B)で示した樹脂コア構造をもつ導電材料を含むスペーサー部材(導電性スペーサー部材)を使用することもできる。第1スペーサー部材300が存在することによって、内部に空間が形成された封止体(気密封止体)が形成される。
【0130】
すなわち、第1基板BS1を、第2基板BS1を支持する支持基板として使用し、第2基板BS2を、封止体の蓋部を構成する蓋基板として使用し、第1スペーサー部材300を、気密封止用の側壁として使用することができる。
【0131】
第1基板BS1および第2基板BS2の少なくとも一方に、平面視で閉じた線形状をもつ第1スペーサー部材300を形成した後、第1基板BS1と第2基板BS2をフェースツーフェースで貼り合わせることによって、封止体(パッケージ)を備える素子構造体が形成される。この場合、封止体(パッケージ)を構成するための追加の製造工程が不要であり、したがって、素子構造体の製造工程が簡素化される。
【0132】
また、図11(A)において、さらに、平面視で孤立パターンをもち、かつ、平面視で第1基板BS1と第2基板BS2とが重なっている領域の周辺部(第1スペーサー部材300が形成されている位置よりも内側の位置)に、柱状のスペーサー部材400a〜400dが設けられている。図11(A)の例では、柱状のスペーサー400a〜400dは、第1基板BS1の電極形成領域(能動層120が設けられている部分)の四隅に設けられている接続端子BIP1〜BIP4の各々上に設けられている。
【0133】
これによって、電極形成領域の周囲に設けられている複数の接続端子BIP1〜BIP4の各々を経由して、第1基板BS1と第2基板BS2との接続をとることができる。ここでは、柱状のスペーサー400a〜400dを第2スペーサー部材とする。
【0134】
上述のとおり、複数の第2スペーサー部材400a〜400bは、平面視で第1基板BS1と第2基板BS2とが重なりを有している領域の周辺部に配置することができる。例えば、第1基板BS1と第2基板BS2との重複領域の形状が、平面視で四角形(図11(A)では略正方形)であるならば、例えば4個の第2スペーサー400a〜400dの各々を四隅(4つの角部の近傍)に配置することができる。
【0135】
力学的なバランスを考慮して、第2スペーサー部材(400a〜400d等)の配置位置ならびに使用する第2スペーサー部材の個数は、適宜、調整することができる。これによって、蓋基板である第2基板BS2の撓みを効果的に防止することができる。また、第1基板BS1と第2基板BS2との間の電気的接続をとることもできる。
【0136】
第2スペーサー部材400a〜400dは、図1(C)や図2(A),図2(B)で示したような、導電性材料を構成要素として含む導電性スペーサー部材とすることができる。導電性スペーサー部材は、保持部材としての機能と、導電部材としての機能とを併せ持つ。よって、導電性スペーサー部材の使用によって、蓋基板としての第2基板BS2の撓み防止と、第1基板BS1の周辺部等に設けられる導電体と、第2基板の周辺部に設けられる導電体との相互接続と、を同時に実現することができる。この技術によれば、例えば、第2基板BS2からの電気信号を取り出すための信号経路の構築が容易化される。
【0137】
なお、図11(A)の例では、第2スペーサー部材400a〜400dと、第1スペーサー部材300とを併用しているが、例えば、第2スペーサー部材400a〜400dだけを使用することもできる(いずれの場合でも、第1基板BS1と第2基板BS2との間の所定距離は確保することが可能である)。
【0138】
また、図11(B)の例においては、中央部(中央付近)において、スペーサー部材400eが設けられている。このスペーサー部材400eは、平面視で孤立パターンをもち、かつ、平面視で第1基板BS1と第2基板BS2とが重なっている領域の中央部に設けられている。また、スペーサー部材400eは、図1(C)や図2(A),図2(B)で示したような、導電性材料を構成要素として含む導電性スペーサー部材とすることができる。ここでは、このスペーサー部材400eを第3スペーサー部材とする。
【0139】
蓋基板としての第2基板BS2の中央部は、撓み易い部分である。よって、第3スペーサー部材によって第2基板を支持することは、第2基板の撓み抑制に効果的である。
【0140】
また、第3スペーサー部材を導電性スペーサー部材とすることによって、蓋基板としての第2基板BS2の撓み抑制効果に加えて、その中央部において、第1基板BS1側の導体と第2基板BS2側の導体とを電気的に接続することができる。
【0141】
図11(B)の例では、各基板の固定電極同士を接続することができる。例えば、第1基板BS1に設けられる第2固定電極と、第2基板BS2に設けられる第1固定電極とを共通電位(接地電位等)とする場合を想定する。この場合、第1基板BS1側の第2固定電極と第2基板BS2側の第1固定電極とを、中央部に設けられる第3スペーサー部材400e(の構成要素である導電材料部分)を経由して相互に電気的に接続し、そして、第2固定電極と第1固定電極との共通接続点に接地配線(図8の配線LA5)を接続することによって、各固定電極を、均等にかつ効率的に共通電位とすることができる。このように、中央部に設けられる第3スペーサー部材に導電性を付与することは、回路の効率的な構築に役立つ。
【0142】
また、図11(B)の例では、図11(A)に示されるスペーサー部材に加えて、スペーサー部材301a〜301dが、中央の導電性スペーサー部材400eの周囲に設けられている。ここでは、スペーサー部材301a〜301dを第4スペーサー部材とする。この第4スペーサー部材としては、例えば、図1(C)や図2(A),図2(B)で示したような、導電性材料を構成要素として含む導電性スペーサー部材を使用することができる。
【0143】
先に説明したように、蓋基板としての第2基板BS2の中央部は、撓み易い部分である。このことを考慮して、図11(B)の例では、中央部付近に複数のスペーサーを集中的に配置することによって、第2基板の撓みを効果的に抑制することができる。
【0144】
(第5実施形態)
本実施形態では、回路の構成に必要な配線の構造例について説明する。図12は、配線の構造の一例を示す図である。図12の左上の図は平面図であり、下側の図は、平面図のA−A線に沿う断面図であり、右側の図は、平面図のB−B線に沿う断面図である。なお、図12では、第1基板BSにおける配線の構造例が示されている(図12の配線の構造は、第2基板BS2でも使用可能である)。
【0145】
図12の例では、第1基板BS1の活性層120をドッグボーン形状に加工して、配線体Rを形成している。配線体Rは、両端に設けられる2つの端子(PAD1,PAD2)を有している。
【0146】
図13は、配線の構造の他の例を示す図である。図13の左上の図は平面図であり、下側の図は、平面図のA−A線に沿う断面図であり、右側の図は、平面図のB−B線に沿う断面図である。なお、図13では、第1基板BSにおける配線の構造例が示されている(図12の配線の構造は、第2基板BS2でも使用可能である)。
【0147】
図13の例では、第1基板BS1の活性層120上に、絶縁層130が形成される。この絶縁層130をパターニングして、一部に開口部を形成した後、絶縁層30上に導体層(ここでは金属層とする)METが形成される。この金属層METをパターニングすることによって、配線体Rが形成される。金属層METの両端には、2つの端子(PAD1,PAD2)が設けられる。金属層METは、2つの端子PAD1,PAD2の形成領域において、活性層120に接続される。
【0148】
なお、図12に記載される構造は、容量素子の構造としても使用することができる。つまり、容量素子の構造として、活性層をパターニングして構成される可動梁、固定部上に、さらに、開口部を有する絶縁層と、導体層とを設け、導体層を、絶縁層の開口部を経由して、可動梁もしくは固定部に接続する構造を採用することもできる。
【0149】
(第6実施形態)
本実施形態では、素子構造体の具体的な構造例と、その製造方法について説明する。図14(A),図14(B)、素子構造体の具体的な構造例を示す図である。図14(A),図14(B)において、前掲の図面と共通する部分には、共通の参照符号を付している。
【0150】
図14(A)は、貼り合わされる2つの基板の各々のレイアウトと、各基板間の対応関係を示している。図14(A)の左側には、支持基板(支持体)としての第1基板BS1が示され、右側には、蓋基板(蓋体)としての第2基板BS2が示されている。蓋基板(蓋体)としての第2基板BS2のレイアウトは、透視図で描かれている(チップ同士を貼り合わせた場合の、第1基板と第2基板との対応関係を視覚的に把握し易いようにするためである)。また、図14(B)は、図14(A)に示される素子構造体のA−A線に沿う断面構造を示す。
【0151】
図14(A)に示されるように、第1基板BS1(および第2基板BS2)では、先に、図11を用いて説明した第1スペーサー部材300と、第2スペーサー部材400a〜400dと、第3スペーサー部材400eと、が設けられる。また、図14(A)に示される各基板のレイアウトは、先に図7および図8を用いて説明したものと同じである。すなわち、電極形成領域ならびに電極形状の各々に関して、点対称性および線対称性があるレイアウトが採用されている。よって、両基板は、共通のマスクを用いて製造することができる。
【0152】
図14(A)に示すように、第1基板BS1と第2基板BS2とを重ね合わせて貼り合わせることによって、図14(B)に示される断面構造をもつ素子構造体が構成される。
【0153】
図14(B)において、第1基板BS1は、第1支持層100と、第1絶縁層110と、第1活性層120と、第1活性層上に設けられた絶縁層130と、電極形成領域の中央部(あるいはチップの中央部)に設けられる中央接続用導体層(アルミやタングステン等の金属層)137と、を有する。
【0154】
また、第2基板BS2は、第2支持層200と、第2絶縁層210と、第2活性層220と、第2活性層上に設けられた絶縁層230と、絶縁層230上にて選択的に形成されている導体層(ここでは金属層とする)235と、中央部に設けられる中央接続用導体層(アルミやタングステン等の金属層)237と、を有する。
【0155】
また、図14(B)に示される素子構造体では、第1スペーサー部材300、第2スペーサー部材400a〜400dおよび第3スペーサー部材400eの各々は、先に図1(C)や図2(A),図2(B)を用いて説明した樹脂コア構造を有し、導電性材料(導体層235)を含む導電性のスペーサー部材が使用されている。
【0156】
また、図14において、点線で囲まれて示される領域Z1は、第1基板BS1の固定電極形成領域である。第1基板BS1の固定電極形成領域Z1では、固定電極形成のためのパターニングによって活性層120および絶縁層130が選択的に除去された結果として、空洞部103が形成される。
【0157】
点線で囲まれて示される領域Z2は、第1基板BS1の可動電極形成領域である。第1基板BS1の可動電極形成領域Z2では、可動電極形成のためのパターニングによって活性層120および絶縁層130が選択的に除去された結果として、空洞部102’が形成される。また、図7を参照して先に説明したように、可動電極部における弾性バネ部QAや可動錘部QBとして機能する部分を、第1絶縁層110からリリースするために、第1絶縁層110が選択的に除去された結果として、第1空洞部102が形成される。
【0158】
また、点線で囲まれて示される領域Z1’は、第2基板BS2の固定電極形成領域である。空洞部105は、上述した空洞部103に対応する。
【0159】
また、点線で囲まれて示される領域Z2’は、第2基板BS2の可動電極形成領域である。第2空洞部104は、上述した第1空洞部102に対応する。また、空洞部104’は、上述した空洞部102’に対応する。
【0160】
図15(A)および図15(B)は、第1基板と第2基板とが貼り合わされた状態における、樹脂コア構造をもつスペーサー付近の断面構造を拡大して示す図である。ここで、図15(A)は、第1スペーサー部材300(周辺に設けられ、例えば封止材を兼ねるスペーサー部材)や、第2スペーサー部材400a〜400d(例えば、孤立パターンをもち、四隅の端子位置に設けられるスペーサー部材)に関する断面構造を示している。
【0161】
図15(A)に示される樹脂コア構造をもつスペーサーは、第1基板BS1における絶縁層130上に設けられる。このスペーサーは、樹脂コア410と、例えばアルミやタングステン、金等からなる導電層(導電膜)412と、有する。
【0162】
導電層(導電膜)412は、第2基板BS2における絶縁層230上に設けられている導体層235と接触しており、これによって、導電層(導電膜)412と導体層235との間の電気的な導通が確保されている。
【0163】
また、第1基板BS12基板BS2は、接着層(例えば非導電性の接着フィルム(NCF)等)414によって、相互に接続(固着)される。図15(A)において、接着層(例えば、非導電性の接着フィルム(NCF)等)414は、黒く塗りつぶして描かれている。
【0164】
図15(B)は、第3スペーサー部材400e(孤立パターンをもち、電極形成領域の中央部に設けられるスペーサー部材)に関する断面構造を示している。第1基板BS1の
活性層120は、第1基板BS1側の中央接続用導体層(アルミやタングステン等の金属層)137に接触する。第1基板BS1側の中央接続用導体層(アルミやタングステン等の金属層)137は、樹脂コア410の少なくとも一部を覆うように形成されている導電層(導電膜)412と接触する。
【0165】
第1基板BS1と第2基板BS2をフェイスツーフェイスで圧着することで接着フィルムが変形し、導電層(導電膜)412は、第2基板BS2側の導体層235と接触する。導体層235は、第2基板BS2側の中央接続用導体層(アルミやタングステン等の金属層)237に接触する。導体層237は、第2基板BS2の活性層220に接触する。よって、第1基板BS1の活性層120と、第2基板BS2の活性層220とが電気的に接続される。
【0166】
第1基板BS1の活性層120および第2基板BS2の活性層220が、容量素子の固定電極として機能するのであれば、導電性スペーサー部材である第3スペーサー部材400eを経由して、各基板の固定電極間が接続されたことになる。
【0167】
次に、素子構造体(図14(B)の構造をもつ素子構造体)の製造方法の一例について説明する。なお、以下の図16〜20は図14のA−A間の断面図を示している。
【0168】
(第1工程)
図16(A)および図16(B)は、素子構造体(図14(B)の構造をもつ)の製造方法における、第1工程に対応する素子構造体の断面図である。素子構造体の製造のために、2枚のSOI基板(第1SOI基板および第2SOI基板)が用意される。第1SOI基板は、支持基板としての第1基板BS1に対応し、第2SOI基板は、蓋基板としての第2基板BS2に対応する。
【0169】
図16(A)および図16(B)は、各基板に共通の工程である。図16(A)では、活性層120,220がパターニングされる。図16(B)では、絶縁層130,230が形成される。
【0170】
(第2工程)
図17(A)および図17(B)は、第2工程における素子構造体の断面図である。図17(A)および図17(B)は、各基板に共通の工程である。 図17(A)では、絶縁層130,230の中央部に、開口部OPAが形成される。図17(B)では、中央接続用導体層137,237が形成される。
【0171】
(第3工程)
図18(A)〜図18(C)は、第3工程における素子構造体の断面図である。図18(A),図18(B)は、第1基板BS1の断面図を示し、図18(C)は、第2基板BS2の断面図を示す。
【0172】
図18(A)では、基板上に形成された樹脂層をパターニング後、熱硬化させることによって、樹脂コア部(樹脂コア)410が形成される。図18(B)では、導電膜412を全面に形成した後、この導電膜をパターニングする。これによって、樹脂コア部410の少なくとも一部を覆う、パターニングされた導体層412が形成される。
【0173】
また、図18(C)では、第2基板BS2において、パターニングされた導体層235が形成される。
【0174】
(第4工程)
図19(A)〜図19(C)は、第4工程における素子構造体の断面図である。図19(A)は、第1基板BS1の断面図を示し、図19(B)および図19(C)は、第2基板BS2の断面図を示す。
【0175】
図19(A)では、第1基板BS1の固定電極形成領域Z1ならびに第2基板BS2の可動電極形成領域Z2が形成される。
【0176】
また、図19(B)では、第2基板BS2上に、接着フィルムNCFが形成した後、接着フィルムNCFをパターニングする。図19(C)では、第2基板BS2の固定電極形成領域Z1’ならびに第2基板BS2の可動電極形成領域Z2’が形成される。
【0177】
(第5工程)
図20(A),図20(B)は、第5工程における素子構造体の断面図である。図20(A)では、第1基板BS1と第2基板BS2とを対向させて、貼り合わせる。図20(B)では、第2基板BS2をダイシングして、外周部を切断除去する。図中、除去された部分OPA1,OPA2は、点線で囲まれて示されている。これによって、図14(B)に示した素子構造体が完成する。
【0178】
この素子構造体は、封止構造(パッケージ構造)を備えているため、信頼性が高い。また、封止構造を形成するために、追加の製造工程を設ける必要がなく、製造工程の簡略化が可能である。また、貼り合わされる2枚の基板のレイアウトは共通(同一のみならず相似を含む)とすることができるため、この点でも製造工程が簡略化される。
【0179】
(第7実施形態)
図21は、電子機器の構成の一例を示す図である。図21の電子機器には、上記いずれかの実施形態にかかる慣性センサー(静電容量型MEMS加速度センサー等)が含まれる。電子機器は、例えば、ゲームコントローラーやモーションセンサー等である。
【0180】
図21に示されるように、電子機器は、センサーデバイス(静電容量型MEMS加速度センサー等)4100と、画像処理部4200と、処理部4300と、記憶部4400と、操作部4500と、表示部4600とを含む。なお、電子機器の構成は、図21の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば操作部、表示部等)を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
【0181】
図22は、電子機器の構成の他の例を示す図である。図22に示される電子機器510は、上記いずれかの実施形態にかかる慣性センサー(ここでは静電容量型MEMS加速度センサーとする)470と、加速度とは異なる物理量を検出する検出素子(ここでは、角速度を検出する静電容量型MEMSジャイロセンサーとする)480と、を含むセンサーユニット490と、センサーユニット490から出力される検出信号に基づいて、所定の信号処理を実行するCPU500と、を有する。なお、CPU500に、検出回路としての機能を設けることもできる。センサーユニット490は、それ自体が一個の電子機器とみなすことができる。
【0182】
すなわち、組み立て性に優れ、かつ、小型かつ高性能な静電容量型MEMS加速度センサー470と、異なる種類の物理量を検出する他のセンサー(例えば、MEMS構造を利用したジャイロセンサー)480を併用することによって、小型で高性能な電子機器を実現することができる。つまり、複数のセンサーを含む、電子機器としてのセンサーユニット470や、そのセンサーユニット470を搭載する、より上位の電子機器(例えばFA機器等)510を実現することができる。
【0183】
このように、本発明の素子構造体を使用することによって、小型で、かつ、高性能(かつ信頼性の高い)な電子機器(例えば、ゲームコントローラーや携帯端末等)を実現することができる。また、小型で、かつ、高性能(かつ信頼性の高い)なセンサーモジュール(例えば、人の姿勢等の変化を検出するモーションセンサー:電子機器の一種)を実現することもできる。
【0184】
このように、本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、例えば、容量素子を含む素子構造体の製造を容易化することができる。また、小型で高性能な電子機器を実現することができる。
【0185】
以上、いくつかの実施形態について説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【0186】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。本発明は、慣性センサーに適用可能である。例えば、静電容量型加速度センサー、静電容量型ジャイロセンサーとして使用可能である。
【符号の説明】
【0187】
100 第1支持層、102 第1空隙部、104 第2空隙部、
110 第1絶縁層、120 第1活性層、130,230 活性層上の絶縁層、
200 第2支持層、250 慣性センサー 210 第2絶縁層、
220 第2活性層、240 第2基板側の導体、
300 スペーサー部材(絶縁性スペーサー部材)、
400(400−1,400−2) 導電性スペーサー部材(樹脂コア構造をもつ導電性スペーサー部材)、410 樹脂コア部、412 導体層(導電層)、
414 接着層(接着フィルム等)、
800a 第1可動梁(第1可動部,第1可動電極)、
800b 第2可動梁(第2可動部,第2可動電極)、
900a 第1固定部(第1固定電極)、900b 第2固定部(第2固定電極)、
c1 第1容量素子、c2 第2容量素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持層と、該第1支持層の上方に一端部が支持され他端部の周囲に空隙部が形成された第1可動梁と、を有する第1基板と、
第2支持層と、該第2支持層に形成された第1固定電極と、を有し、且つ、前記第1基板に対向して配置された第2基板と、を含み、
前記第1可動梁には、第1可動電極が形成され、
前記第1固定電極と前記第1可動電極とが間隙を介して対向して配置されたことを特徴とする素子構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の素子構造体であって、
前記第1支持層と前記第1可動梁との間、および、前記第2支持層と前記第1固定電極との間の少なくとも一方に絶縁層が形成されたことを特徴とする素子構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の素子構造体であって、
前記第1基板には、さらに、第2固定電極が設けられ、
前記第2基板には、さらに、一端部が前記第2支持層の上に支持され、かつ他端部の周囲に空隙部が形成された第2可動梁が設けられ、
前記第2可動梁には、第2可動電極が形成され、
前記第2固定電極と前記第2可動電極とが間隙を介して対向して配置されたことを特徴とする素子構造体。
【請求項4】
請求項3に記載の素子構造体であって、
前記第1基板は、平面視で、前記第1基板の中心を通る第1軸と、前記中心で前記第1軸に直交する第2軸と、によって第1〜第4の領域に区画され、
前記中心に対し互いに点対称な位置にある第1の領域および第2の領域の少なくとも一部には、前記第1可動電極の形成領域が配置され、
前記中心に対し互いに点対称な位置にある前記第3の領域および前記第4の領域の少なくとも一部には、前記第2固定電極の形成領域が配置され、
前記2基板は、平面視で、前記第1の領域に対向する第5の領域と、前記第2の領域に対向する第6の領域と、前記第3の領域に対向する第7の領域と、前記第4の領域に対向する第8の領域に区画され、
前記第5の領域および前記第6の領域の少なくとも一部には、前記第1固定電極の形成領域が配置され、
前記第7の領域および前記第8の領域の少なくとも一部には、前記第2可動電極の形成領域が配置されたことを特徴とする素子構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の素子構造体であって、
前記第1可動電極は、前記第1可動電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成され、
前記第1固定電極は、前記第1固定電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成され、
前記第2可動電極は、前記第2可動電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成され、
前記第2固定電極は、前記第2固定電極の形成領域に前記中心に対し点対称に形成されたことを特徴とする素子構造体。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の素子構造体であって、
前記第1基板と前記第2基板との間にはスペーサー部材が設けられたことを特徴とする素子構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の素子構造体であって、
前記スペーサー部材は枠状であり、
前記第1基板、前記第2基板、および前記スペーサー部材によって内部に空間が形成された封止体が形成されたことを特徴とする素子構造体。
【請求項8】
請求項6に記載の素子構造体であって、
前記スペーサー部材は柱状であり、
前記第1基板と前記第2基板とが重なっている領域の中央付近に設けられたことを特徴とする素子構造体。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれかに記載の素子構造体であって、
前記スペーサー部材は、
樹脂コア部と、
前記樹脂コア部の表面の少なくとも一部を覆うように形成された導電層と、
を有することを特徴とする素子構造体。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の素子構造体と、
前記素子構造体から出力された電気信号を処理する信号処理回路と、
を有することを特徴とする慣性センサー。
【請求項11】
請求項10記載の慣性センサーを有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−247768(P2011−247768A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121727(P2010−121727)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】