説明

素子部品搭載装置

【課題】 素子部品の搭載を容易にする。
【解決手段】 素子部品が収納されたパレットから導電性接着剤が設けられた素子搭載部材ウェハに素子部品を搭載する素子部品搭載装置であって、パレットから移動された素子部品を仮置きするトレーと、パレットに収納された複数の素子部品を吸引する複数の吸着部を有し、吸着部で素子部品をトレーに仮置きし、仮置きした素子部品をトレーから素子搭載部材ウェハの所定の位置に搭載する吸引移動手段とを備え、トレーが素子部品を個別に仮置きさする複数の凹部を有し凹部の壁面が傾斜しつつ凹部の開口側に露出しており、吸引移動手段がトレーの凹部に素子部品を仮置きした場合に、素子部品が凹部の傾斜した壁面を滑り凹部の底面に位置したところで、再度、素子部品を吸引して素子搭載部材ウェハの搭載位置まで移動して吸引した素子部品を所定の位置に搭載することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素子部品を素子搭載部材ウェハに搭載する素子部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器には電子部品を搭載した電子基板が用いられている。この電子基板には、金属膜からなる導通パターンが形成されており、この導通パターンに半田等でコンデンサ等の素子部品を接合することで電子基板に電子部品を搭載している。
また、電子部品は、素子部品の他に、凹部を有する素子搭載部材に各種素子部品を搭載して凹部を封止した構造の電子部品が含まれる。この電子部品に用いられる素子搭載部材は、ウェハの状態で複数個設けられており、ウェハの状態(以下、「素子搭載部材ウェハ」という。)で素子搭載部材となる部分に設けられた各凹部にそれぞれ各種素子部品が搭載される。
【0003】
例えば、電子部品が水晶振動子の場合、セラミックスからなる素子搭載部材に水晶振動素子を搭載している。この素子搭載部材には金属膜からなる外部端子、搭載パッド、導通パターンが形成されている。この導通パターンが外部端子と搭載パッドとを電気的に接続して、外部端子と搭載パッドとを導通パターンの一部となるように構成されている。
この素子搭載部材に水晶振動素子を搭載する場合、搭載パッドに導電性接着剤を塗布した後に水晶振動素子をこの導電性接着剤につけて接合が行われる。なお、水晶振動素子が導電性接着剤に付いた後に加熱処理をして導電性接着剤を硬化させる。
この導電性接着剤は、ディスペンサーを用いて導通パターンの一部として形成されている搭載パッドに付着して行われる場合と(例えば、特許文献1参照)、転写にて行われる場合とがある(例えば、特許文献2参照)。
導電性接着剤には、エポキシ系とシリコン系が使われている。特に、シリコン系は硬化後も一定の弾性力があり、水晶振動素子が起こす振動に与える影響を少なくすることができる。これにより、特性の安定度が向上するので、携帯通信デバイスのリファレンス用振動子や発振器に用いられる。
【0004】
このような水晶振動子には、材質がセラミックスからなる素子搭載部材が用いられることが多い。セラミックスで素子搭載部材を製造する場合、シート状に形成したセラミックスを幾層に積層させながら複数の凹部を形成して素子搭載部材となる複数の部分が形成された素子搭載部材ウェハを設ける。ここで、各層のセラミックスには、導通パターンが形成されており、シート状に形成したセラミックスを積層することで、複雑な内部配線を可能にしつつ露出する表面に外部端子や搭載パッドを構成することができる。この状態で焼成することで、導通パターンを有した強固な素子搭載部材とすることができる。この素子搭載部材ウェハに設けられた搭載パッドに導電性接着剤を付着させ、その上に圧電振動素子をつけて搭載する。
【0005】
この素子搭載部材となる部分に設けられている凹部内に圧電振動素子を搭載する場合、実装装置が用いられている。この実装装置は、圧電振動素子を吸引した状態で移動する吸引移動手段と、圧電振動素子を搭載する位置を認識しつつ圧電振動素子の移動した位置を認識して正確に吸引移動手段を移動させる認識手段を主に備えている(例えば、特許文献3参照)。
そこで、凹部内に圧電振動素子を搭載する場合、吸引移動手段により複数の圧電振動素子が載置されたパレットから一枚づつ移動して、認識手段により位置を補正しながら凹部内の搭載パッドに付着させてある導電性接着剤の上に圧電振動素子を置いていく。これにより、圧電振動素子の素子搭載部材への搭載が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−026982号公報
【特許文献2】特開2006−334804号公報
【特許文献3】特開2003−249523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、水晶振動素子などの電子部品を素子搭載部材ウェハの素子搭載部材となる部分に搭載する場合、吸引移動手段による電子部品の吸引位置が素子部品の中心からずれることがあり、認識手段により吸引移動手段の位置を補正しても正確な搭載ができない場合があった。
また、素子部品を1つ単位で搭載する場合、全ての凹部に圧電振動素子が搭載されるまでに導電性接着剤が変質する恐れがある。
また、位置の正確な補正のために認識手段を増やすことも考えられるが、装置が高価となり、製造コストを増加させる要因となる。
【0008】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、素子部品の搭載を容易にする簡易な素子部品搭載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の凹部を有しこれら凹部内に通電のための金属膜が設けられた素子部品が収納されたパレットから、前記素子部品が搭載される位置に硬化する前の導電性接着剤が設けられた素子搭載部材ウェハに前記素子部品を搭載する素子部品搭載装置であって、前記パレットから移動された素子部品の仮置きに用いるトレーと、前記パレットに収納された複数の素子部品のそれぞれを吸引する複数の吸着部を有し、前記吸着部で前記素子部品を吸引して前記トレーに仮置きし、仮置きした素子部品を吸引して前記トレーから前記素子搭載部材ウェハの所定の位置に前記素子部品を搭載する吸引移動手段とを備え、前記トレーが、前記素子部品を個別に仮置きさする複数の凹部を有し、かつ、前記凹部の壁面が深さ方向に傾斜しつつ前記凹部の開口側に露出しており、前記吸引移動手段が、前記トレーの凹部に前記素子部品を仮置きした場合に、素子部品が前記凹部の傾斜した壁面を滑り凹部の底面に位置したところで、再度、素子部品を吸引して前記素子搭載部材ウェハの搭載位置まで移動して吸引した素子部品を所定の位置に搭載することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような素子部品搭載装置によれば、素子部品を仮置きするトレーに設けられる凹部が、深さ方向に傾斜しつつ前記凹部の開口側に露出する壁面を有しており、吸引移動手段が、トレーの凹部に前記素子部品を仮置きした場合に、素子部品が凹部の傾斜した壁面を滑ることで素子部品を凹部の底面に位置させることができる。吸引移動手段は、凹部の底面の中心と対向しているため、認識手段を用いなくても素子部品の中心を容易に吸引することができる。素子部品の中心を吸引した吸引移動手段は、素子搭載部材ウェハの所定の素子搭載部材となる部分まで移動して、素子部品を前記所定の素子搭載部材となる部分に搭載することができる。
また、吸引移動手段は、複数の吸着部を備えているため、各吸着部で素子部品を吸引することができ、導電性接着剤が変質する前に素子部品の搭載を完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置の一例を概念的に示す斜視図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】(a)はトレーの一例を示す概念図であり、(b)は吸着部で吸引した素子部品をトレーの凹部の上に位置させた状態の一例を示す概念図であり、(c)は素子部品をトレーに仮置きする前の状態の一例を示す概念図であり、(d)は素子部品をトレーに仮置きした直後の状態の一例を示す概念図であり、(e)は素子部品がトレーの凹部の底面に位置した状態の一例を示す概念図である。
【図4】(a)はトレーの凹部の底面に位置した素子部品を吸引した状態の一例を示す概念図であり、(b)は、素子部品をトレーから移動させる状態の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。また、素子部品を圧電振動素子として説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100は、ウェハWの状態(以下、「素子搭載部材ウェハ」という。)で搬送されてくる素子搭載部材ST(図2参照)となる部分の各搭載パッドTに導電性接着剤を付着させ、その導電性接着剤に圧電振動素子Qを接触させることで搭載する装置である。なお、素子搭載部材とは、チップ状に形成された素子部品を搭載して用いる部材をいう。
【0014】
ここで、素子搭載部材ウェハWは、ガラス、シリコン(Si)、焼成が完了したセラミックのいずれかからなり、一方の主面に複数の凹部Sが設けられている。凹部Sは、例えば、ガラスやシリコンが用いられる場合、従来周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により形成される。なお、凹部S内の所定の位置に貫通穴を設けても良い。この凹部S内に圧電振動素子Qを搭載するための搭載パッドTが設けられている。
【0015】
また、図示しないが、この搭載パッドTは貫通穴を介して素子搭載部材ウェハWの他方の主面に設けられている外部端子と電気的に接続している。この搭載パッドTと外部端子とこれらを結ぶ接続形状を導通パターンとする。この導通パターンは、例えば、従来周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により形成される。
この素子搭載部材ウェハWは、例えば、後述する吸引移動手段で吸引されている圧電振動素子Qの個数と吸引されているそれぞれの位置と対応した位置に凹部Sが設けられている。
【0016】
なお、圧電振動素子Qは、水晶片の両主面に励振電極を設けた構造となっている。この圧電振動素子Qは、励振電極に通電するための金属膜として引き回しパターンが設けられている。また、この圧電振動素子Qは、複数の凹部が形成されたパレットPに載置されている。このパレットPのそれぞれの凹部に圧電振動素子Qが載置されることとなる。
なお、パレットPは、後述する吸引移動手段で吸引される圧電振動素子Qの個数と吸引されているそれぞれの位置と対応した位置に凹部が設けられ、これら凹部のそれぞれに圧電振動素子Qが配置されている。
【0017】
この本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100は、素子搭載部材ウェハWが載置された第一の搬送手段10と、接着材付着手段20と、パレット供給手段30と、パレットPが載置された第二の搬送手段40と、吸引移動手段50と、トレー60と、から主に構成されている。
【0018】
また、この素子部品搭載装置100は、素子搭載部材ウェハWが載置された第一の搬送手段10とパレットPが載置された第二の搬送手段40とが平行となるように備えられ、第一の搬送手段10と第二の搬送手段40との間にトレー60が備えられ、また、第一の搬送手段10と第二の搬送手段40とを跨ぐようにガイドレールRが設けられ、このガイドレールRに接着材付着手段20と吸引移動手段50とが備えられている。また、第二の搬送手段40の一方の端部側にパレット供給手段30が備えられている。
【0019】
なお、この素子部品搭載装置100において、素子搭載部材ウェハWの移動方向、つまり、第一の搬送手段10の搬送方向をY方向、平行となる第一の搬送手段10と第二の搬送手段40とに直交する方向をX方向、このX方向とY方向の両方に直行する方向をZ方向とする。
【0020】
第一の搬送手段10は、素子搭載部材ウェハWを所定の位置に移動させる役割を果たす。この第一の搬送手段10上に素子搭載部材ウェハWが載置され、後述する接着材付着手段20と吸引移動手段50とが移動してくる位置の下に凹部Sの所定の列が位置するように、素子搭載部材ウェハWを移動させる。つまり、Y方向に素子搭載部材ウェハWを搬送することができる。
ここで、列とは、第一の搬送手段10の移動方向に対して直行する方向に並んだ状態の複数の凹部Sの集合をいう。
【0021】
なお、図示しないが、この第一の搬送手段10の移動経路の上方にアライメント位置認識手段を設けても良い。このアライメント位置認識手段は、素子搭載部材ウェハWにアライメントが設けられている場合、所定の位置にアライメントが設けられてないことを検知すると、素子搭載部材ウェハWを所定の位置に停止させずにそのまま通過させて、圧電振動素子Qを搭載させないようにする役割を果たす。
【0022】
この第一の搬送手段10は、所定の位置に素子搭載部材ウェハWを移動させた後、素子搭載部材ウェハWに設けられた複数の凹部Sで構成される列の間隔ごとに素子搭載部材ウェハWを移動させる役割も果たす。
この第一の搬送手段10は、例えば、素子搭載部材ウェハWに設けられた全ての搭載パッドTに接着材付着手段20により導電性接着剤が塗布されるよう、列ごとにY方向へ移動した後、この素子搭載部材ウェハWに最初に導電性接着剤を塗布した位置にこの素子搭載部材ウェハWを移動させた方向とは反対方向に移動させる。これは、後述する吸引移動手段50により圧電振動素子Qを一括して素子搭載部材ウェハWの素子搭載部材となる部分に搭載するためである。
【0023】
接着材付着手段20は、第一の搬送手段10により搬送されて所定の位置で停止した素子搭載部材ウェハWの前記導通パターンである搭載パッドTに導電性接着材を付着させる役割を果たす。この接着材付着手段20には、第一の搬送手段10側に導電性接着剤を出すための複数のディスペンサーDが、列をなす凹部S内のそれぞれの搭載パッドTと対向するように設けられている。つまり、X方向に複数のディスペンサーDが設けられている。これらディスペンサーDは、Z方向に往復して移動可能であり、素子搭載部材ウェハWに導電性接着剤を付着させるとき、及び付着させ終わったときにZ方向に移動する。
【0024】
なお、素子搭載部材ウェハWに導電性接着剤の付着が完了すると、X方向に移動することとなる。
この接着材付着手段20には、搭載パッドTの位置を画像認識により認識して位置を補正する位置補正装置が付いていない。しかしながら、素子搭載部材ウェハWがガラス、シリコン、焼成が完了したセラミックスのいずれかからなるため収縮することがないため、搭載パッドTの座標を記憶させておくだけで、導電性接着剤の付着を行うことができる。
【0025】
なお、付着とは、搭載パッドTに導電性接着剤を付けることをいい、ディスペンサーで導電性接着剤を搭載パッドTに塗布することを含む。従って、接着材付着手段20の第一の搬送手段10側に転写ヘッドが設けられている場合は、導電性接着剤が搭載パッドTに転写される場合も含む。
【0026】
パレット供給手段30は、複数の圧電振動素子Qが載置されたパレットPを保持する役割を果たす。
このパレット供給手段30は、複数の圧電振動素子Qが搭載されたパレットPを複数保持するようになっている。なお、このパレット供給手段30は、他の工程により構成された複数のパレットPを自動又は手動で保持しても良い。
【0027】
第二の搬送手段40は、パレットPをパレット供給手段30から移動させ所定の位置で停止させる役割を果たす。
この第二の搬送手段40は、例えば、第一の搬送手段10と同一方向にパレットPを移動させることができるようになっている。つまり、Y方向にパレットPを搬送することができる。この第二の搬送手段40上にパレットPが載置され、後述する吸引移動手段50が移動してくる位置の下に圧電振動素子Qの所定の行と列が位置するように、パレットPを移動させる。
【0028】
ここで、行とは、第二の搬送手段40の移動方向に対して平行な方向に並んだ状態の複数の圧電振動素子の集合をいい、列とは、第二の搬送手段40の移動方向に対して直行する方向に並んだ状態の複数の圧電振動素子の集合をいう。
【0029】
また、この第二の搬送手段40は、所定の位置にパレットPを移動させた後、パレットPに設けられた複数の圧電振動素子Qで構成される所定の列の間隔ごとにパレットPを移動させる役割も果たす。この列ごとの移動は、パレットPに載置された列をなす複数の圧電振動素子Qがなくなったときに移動することができる。
【0030】
トレー60は、後述する吸引移動手段50により移動された複数の圧電振動素子Qを仮置きしつつ圧電振動素子Qの位置ズレを修正する役割を果たす。
このトレー60は、台の構造となる載置テーブルに固定されて用いられ、圧電振動素子Qを個別に仮置きする複数の凹部61を有し、かつ、前記凹部61の壁面62が深さ方向に傾斜しつつ前記凹部61の開口側に露出して構成されている。
【0031】
なお、前記載置テーブルは、載置されているトレー60を振動させるための振動手段63が設けられている。この振動手段63は、例えば超音波モータが用いられ、この超音波モータの微振動が載置テーブルに載置されているトレー60に伝播して、トレー60に仮置きされた圧電振動素子Qを凹部61の底面へ滑りやすくさせる役割を果たす。
【0032】
また、トレー60は、凹部61が素子搭載部材ウェハWの凹部と対応した位置が再現され、かつ、素子搭載部材ウェハWの列となる凹部に設けられている搭載パッドTの位置に対応した位置が再現されており、これら各位置に圧電振動素子Qを載置することで整列させることができるようになっている。
【0033】
前記のとおり、トレー60には、吸引移動手段50により、所定の間隔で凹部Sの行と列とに対応するように、圧電振動素子Qが載置されることとなる。
このとき、圧電振動素子Qは、トレー60の傾斜した壁面62を滑り、凹部61の底面まで移動する。この移動を位置ずれの修正とする。なお、凹部61の底面は、圧電振動素子Qの平面と同じ形状及び面積で形成されている。
【0034】
トレー60に載置された圧電振動素子Qは、位置が修正された後に後述する吸引移動手段50により第一の搬送手段10上にある素子搭載部材ウェハWの各凹部S内に移動されることとなる。
【0035】
吸引移動手段50は、第二の搬送手段40により搬送されたパレットPに収納されている複数の圧電振動素子Qをトレー60の所定の位置に仮置きし、トレー60から素子搭載部材ウェハWの所定の位置まで移動して圧電振動素子Qを素子搭載部材ウェハWの所定の位置に搭載する役割を果たす。言い換えると、吸引移動手段50は、圧電振動素子Qを吸引した状態でトレー60へ移動し仮置きする役割と、トレー60に仮置きされている複数の圧電振動素子Qを素子搭載部材ウェハWに実装する役割を果たす。
【0036】
この吸引移動手段50は、ガイドレールRに備えられている。また、この吸引移動手段50には、圧電振動素子Qを吸着するための吸着部Vが、行と列とをなす圧電振動素子Qと対向するように設けられている。つまり、吸着部Vは、筒状に形成されており、この筒の軸方向の中心線とトレーの凹部の底面における平面中心とが一致した直線CL上に位置している。これら吸着部Vは、X方向及びY方向に複数設けられている。これら吸着部Vを備えた吸引移動手段50は、Z方向に往復して移動可能であり、パレットPから圧電振動素子Qを吸着するとき、トレー60に仮置きするとき、トレー60から圧電振動素子Qを吸着するとき、素子搭載部材ウェハWに搭載するときにZ方向に移動する。また、素子搭載部材ウェハWに移動するとき、トレー60に移動するとき、及び新に圧電振動素子Qを吸着するときにX方向に移動する。
【0037】
ここで、図3及び図4に示すように、吸引移動手段50は、パレットPにX方向及びY方向に整列された複数の圧電振動素子Q(図1参照)を同時に吸着し、トレー60の各凹部61に仮置きする(図3(b)及び(c)参照)。
この状態で載置テーブルに設けられた振動手段63は、微振動を発生させ、載置テーブルに載置されているトレー60に微振動を伝播させる。
また、このトレー60の各凹部61は、壁面62が傾斜している(図3(a)参照)。したがって、吸引移動手段50は、凹部61の壁面62上に圧電振動素子Qを置いたとしても(図3(d)参照)、トレー60が微振動した状態であり、圧電振動素子Qが傾斜した壁面62を滑り、凹部61の底面に位置させることができる(図3(e)参照)。圧電振動素子Qが凹部61の底面に位置した際に、振動手段60を停止させる。
【0038】
また、吸引移動手段50は、トレー60にX方向に整列された複数の圧電振動素子Qを再度、吸着し(図4(a)及び(b)参照)、素子搭載部材ウェハWの搭載位置まで移動して各凹部に設けられた搭載パッドTに搭載する。
この搭載パッドTには、接着材付着手段20により導電性接着剤が付着されている。したがって、吸引移動手段50は、搭載パッドT上の導電性接着剤に圧電振動素子Qを載せることとなる。これにより、素子搭載部材ウェハWの所定の位置に圧電振動素子Qを搭載することができる。
【0039】
この吸引移動手段50には、搭載パッドTの位置を画像認識により認識して位置を補正する位置補正装置が付いていない。しかしながら、素子搭載部材ウェハWがガラス、シリコン(Si)、焼成が完了したセラミックのいずれかからなるため収縮することがないことにより、圧電振動素子Qの座標と搭載パッドTの座標を記憶させておくだけで、導電性接着剤が付着された搭載パッドTに圧電振動素子Qを置くことができる。
【0040】
なお、このとき、素子搭載部材ウェハWに形成される凹部Sの行と列と、トレー60に整列される圧電振動素子Qの行と列と、パレットPに形成される圧電振動素子Qの行と列とは、同一直線状に位置している。
これにより、接着材付着手段20、吸引移動手段50のそれぞれがX方向及びZ方向の移動となるため、簡易な構成でそれぞれの役割が果たせるようになる。
【0041】
また、第一の搬送手段10と接着材付着手段20と吸引移動手段50とが制御手段により制御されることにより、素子搭載部材ウェハWを列の間隔ごとに移動させる時期と、導電性接着剤を搭載パッドTに付着させる時期と、圧電振動素子Qを素子搭載部材ウェハWに搭載する時期とをそれぞれずらして行わせることができる。例えば、この制御手段に、搭載パッドの位置、圧電振動素子Qの位置、素子搭載部材ウェハWの列の間隔をデータとして記憶させておき、そのデータに基づいて、第一の搬送手段10と接着材付着手段20と吸引移動手段50とを移動するように構成すれば、認識手段を用いることなく素子搭載部材ウェハWに圧電振動素子Qを搭載することができる。
【0042】
また、第二の搬送手段40と吸引移動手段50とが別途又は同一の制御手段により制御されることで、パレットPの列の間隔ごとの移動と、圧電振動素子Qを吸着する時期とをずらして行うことができる。
また、素子移載手段50と吸引移動手段50とのX方向の移動の時期をずらす制御を行うことで、互いが衝突するのを防ぐことができる。
【0043】
このように、本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100によれば、設けられる凹部や導通パターン、つまり搭載パッドの位置に変化が起こらないガラス、シリコン、焼成が完了したセラミックのいずれかからなる素子搭載部材ウェハWを用い、第一の搬送手段10により所定の位置まで素子搭載部材ウェハWを移動させた状態にしておき、複数の圧電振動素子Qを吸引移動手段50によって並べた状態で、その複数の圧電振動素子Qを素子搭載部材ウェハWの各凹部Sにそれぞれ一括して吸引移動手段50により搭載するので、圧電振動素子Qの搭載を容易かつ従来よりも早く実装することができる。
また、素子搭載部材ウェハWが収縮しないために凹部Sや搭載パッドTの位置は固定されたとみなされるので、従来から用いられていた認識手段が不要となり、安価で簡易な構成にすることができる。
【符号の説明】
【0044】
100 素子部品搭載装置
10 第一の搬送手段
20 接着材付着手段
30 パレット供給手段
40 第二の搬送手段
50 吸引移動手段
60 トレー
61 凹部
62 壁面
63 振動手段
P パレット
Q 圧電振動素子
R ガイドレール
S 凹部
T 搭載パッド
V 吸着部
W 素子搭載部材ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部を有しこれら凹部内に通電のための金属膜が設けられた素子部品が収納されたパレットから、前記素子部品が搭載される位置に硬化する前の導電性接着剤が設けられた素子搭載部材ウェハに前記素子部品を搭載する素子部品搭載装置であって、
前記パレットから移動された素子部品の仮置きに用いるトレーと、
前記パレットに収納された複数の素子部品のそれぞれを吸引する複数の吸着部を有し、前記吸着部で前記素子部品を吸引して前記トレーに仮置きし、仮置きした素子部品を吸引して前記トレーから前記素子搭載部材ウェハの所定の位置に前記素子部品を搭載する吸引移動手段とを備え、
前記トレーが、前記素子部品を個別に仮置きする複数の凹部を有し、かつ、前記凹部の壁面が深さ方向に傾斜しつつ前記凹部の開口側に露出しており、
前記吸引移動手段が、前記トレーの凹部に前記素子部品を仮置きした場合に、素子部品が前記凹部の傾斜した壁面を滑り凹部の底面に位置したところで、再度、素子部品を吸引して前記素子搭載部材ウェハの搭載位置まで移動して吸引した素子部品を所定の位置に搭載することを特徴とする素子部品搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−99560(P2012−99560A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244087(P2010−244087)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】