説明

肺高血圧症処置用化合物

本発明は、小分子複素環医薬、さらに具体的には置換ピリジン類およびピリダジン類を所望により少なくとも1種のさらなる治療薬と組み合わせて含む、肺高血圧症を処置、予防または管理するための医薬組成物および組合せに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小分子複素環医薬を含む肺高血圧症の処置、予防または管理用の医薬組成物および組合せ、さらに具体的には所望により少なくとも1種の追加的治療剤と組合せてもよい置換ピリジンおよびピリダジン類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明で述べている置換ピリジンおよびピリダジン類は、癌に関連する異常な新脈管形成または透過性亢進状態の処置に関して国際公開第01/023375号に記載されている。
【0003】
肺高血圧症は、肺動脈圧の持続的上昇を特徴とする疾患をいう(L. J. Rubin、The New England Journal of Medicine、1997、336(2)、111)。肺高血圧症の現行処置は、病気の段階および機構により異なる。肺高血圧症についての典型的処置には、血液凝固阻止、酸素補給、慣用的血管拡張治療、移植および外科的治療がある。肺高血圧症の処置に現在使用される治療剤には、例えばカルシウムチャネル遮断薬および肺血管拡張剤がある。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、式(I)の化合物および所望による少なくとも1種のさらなる治療剤を含む肺高血圧症の処置、予防または管理用の医薬組成物を提供する。
【0005】
本発明は、例えば、式(I)の化合物および所望によるさらなる治療剤、その医薬上許容される塩類および誘導体などを投与することにより使用され得る。
【0006】
式(I)の構造をもつ化合物、その医薬上許容される塩類、多形、溶媒和物、水和物、代謝物およびプロドラッグを、ジアステレオマー形態(単離した立体異性体および立体異性体混合物の両方)も含め、本明細書ではまとめて「式(I)の化合物」と称す。
【0007】
その広範な態様において、本発明は、合計3組の化学的化合物、またはその医薬上許容される塩類またはプロドラッグに関するものであり、各組は他のものと範囲が部分的に重複している。化合物の3組のそれぞれにおける化合物に関する一般構造式は同じであるが、各組における一般構造を含む幾つかの基の定義は幾分異なることに注目するべきである。すなわち、特定された組の化学的化合物は、互いに異なるが、それらの範囲は部分的に重複している。
【0008】
第1組の化合物は、一般構造式
【化1】

[式中、
およびRは、一体となって2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化2】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CR、C(RまたはNRを表す)で示される二環を形成する]
を有する。
【0009】
上記基礎構造において、Gは、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、ハロゲン置換アルキル、アミノ置換アルキル、N−低級アルキルアミノ置換アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル、ハロゲン置換アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、シアノ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、アミジノ、グアニジノ、スルホ、−B(OH)、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある飽和ヘテロシクリルアルキル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリルアルキル、−OCO、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−CHO、−OCON(R、−NRCOおよび−NRCON(Rから成る群から独立して選択される置換基である。
【0010】
基RはHまたは低級アルキルである。Rは、H、アルキル、シクロアルキル、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるアリール低級アルキル、低級アルキル−N(Rおよび低級アルキル−OHから成る群から独立して選択される
【0011】
一般構造式(I)において、Rは、H、ハロゲンまたは低級アルキルである。下付き文字pは、0、1または2であり、Xは、O、SおよびNRから成る群から選択される。
【0012】
連結部分Yは、低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、−O−、−S−、−NH−、−O−CH−、−S(O)−、−S(O)−、−SCH−、−S(O)CH−、−S(O)CH−、−CHS(O)−、−CHS(O)−、−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−および−(CR−C(G)(R)−(CR−から成る群から選択される。最後の2つの連結基Yにおいて、nおよびsはそれぞれ独立して0または1〜2の整数である。置換基Gは、−CN、−CO、−CON(Rおよび−CHN(Rから成る群から選択される。
【0013】
ZはCRまたはNを表す。
A、B、D、EおよびLを含む環について、環上の可能な置換基Gの数は、下付き文字qにより示されており、0、1または2である。
【0014】
置換基部分Gは、低級アルキル、−NRCOR、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−OCOR、−COR、−CO、−CHOR、−CON(R、−S(O)N(R、−NO、−CN、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−OCON(R、−NRCO、−NRCON(Rおよび構造T=T−Tの二価ブリッジから成る群から選択される一価または二価部分である。この二価ブリッジにおいて、各Tは、独立してN、CHまたはCG3'を表し、Tは、S、O、CR3'、C(RまたはNRを表す。G3'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、ブリッジの末端TがLに結合し、TがDに結合することにより、5員縮合環を形成する。
【0015】
一般構造式(I)の左に示した環において、AおよびDは独立してNまたはCHを表し、BおよびEは独立してNまたはCHを表し、LはNまたはCHを表すが、ただし、a)A、B、D、EおよびLを含む環におけるN原子の総数は、0、1、2または3であり、b)LがCHを表し、いずれかのGが一価置換基であるとき、AおよびDのうち少なくとも1個はN原子であり、c)LがCHを表し、Gが構造T=T−Tの二価ブリッジであるとき、A、B、DおよびEもまたCHであるものとする。
【0016】
Jは、アリール、ピリジルおよびシクロアルキルから成る群から選択される環であり、下付き文字q'は、環Jにおける置換基Gの数を表し、0、1、2、3、4または5である。
【0017】
環J上の可能な置換基Gは、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、ハロゲン置換アルキル;アミノ置換アルキル、N−低級アルキルアミノ置換アルキル;N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル、ハロゲン置換アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、シアノ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、アミジノ、グアニジノ、スルホ、−B(OH)2、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、−OCO、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−CHO、−OCON(R、−NRCO、−NRCON(Rおよび環Jの隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジから成る群から選択される一価または二価部分であり、前記ブリッジは、以下の構造を有する:
a)
【化3】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、Tは、S、O、CR4'、C(RまたはNRを表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、環Jへの結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化4】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表すが、ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、環Jへの結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化5】

(式中、各T、TおよびTは、独立してO、S、CR4'、C(RまたはNRを表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、環Jへの結合は、末端原子TまたはTを介して行われるが、ただし、
i)一方のTがO、SまたはNRであるとき、他方のTはCR4'またはC(Rであり、
ii)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
iii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)。
【0018】
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は2、3または4である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2、3または4であり、その結果5、6または7員の窒素含有環が形成されるものとする。
【0019】
さらなる条件は、1)G、G、GおよびGにおいて、2個の基RまたはRがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜7環原子のN含有複素環を形成し得ること、および2)アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得ること、および3)アルキル基がO、SまたはNに結合され、ヒドロキシル置換基を含むとき、そのヒドロキシル置換基は、アルキル基が結合しているO、SまたはNから少なくとも2個の炭素原子により分離されていることである。
【0020】
第2組の化合物は、一般構造式(I):
【化6】

[式中、
およびRは、
i)独立してHまたは低級アルキルを表すか、
ii)一体となって、構造
【化7】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iii)一体となって、構造
【化8】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iv)一体となって、構造
【化9】

(式中、1個または2個の環構成員TはNであり、他はCHまたはCGであり、結合は末端原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、または
v)一体となって、2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化10】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CR、C(RまたはNRを表す)
で示される二環を形成する]
を有する。
【0021】
上記ブリッジ基礎構造中、下付き文字mは0または1〜4の整数であることから、形成される縮合環は、所望により4個までの置換基Gを含み得ることが分かる。
【0022】
は、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、ハロゲン置換アルキル、アミノ置換アルキル、N−低級アルキルアミノ置換アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル、ハロゲン置換アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、シアノ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、アミジノ、グアニジノ、スルホ、−B(OH)2、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある飽和ヘテロシクリルアルキル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリルアルキル、−OCO、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−CHO、−OCON(R、−NRCOおよび−NRCON(Rから成る群から独立して選択される置換基である。
【0023】
基Rは、Hまたは低級アルキルである。Rは、H、アルキル、シクロアルキル、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるアリール低級アルキル、低級アルキル−N(R、および低級アルキル−OHから成る群から独立して選択される。
【0024】
一般構造式(I)において、Rは、H、ハロゲンまたは低級アルキルであり、pは、0、1または2であり、Xは、O、SおよびNRから成る群から選択される。
【0025】
連結部分Yは、低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、−O−、−S−、−NH−、−O−CH−、−S(O)−、−S(O)−、−SCH−、−S(O)CH−、−S(O)CH−、−CHS(O)−、−CHS(O)−、−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−および−(CR−C(G)(R)−(CR−から成る群から選択される。最後の2つの連結基Yにおいて、下付き文字nおよびsは各々独立して0または1〜2の整数である。Gは、−CN、−CO、−CON(Rおよび−CHN(Rから成る群から選択される。
【0026】
Zは、NまたはCRである。
A、B、D、EおよびLを含む環について、環における可能な置換基Gの数は、下付き文字qにより示されており、1または2である。
【0027】
置換基Gは、低級アルキル、−NRCOR、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−OCOR、−COR、−CO、−CHOR、−CON(R、−S(O)N(R、−NO、−CN、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−OCON(R、−NRCO、−NRCON(Rおよび構造T=T−Tで示される二価ブリッジから成る群から選択される一価または二価部分である。この二価ブリッジにおいて、各Tは、独立してN、CHまたはCG3'を表し、Tは、S、O、CR3'、C(RまたはNRを表す。G3'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、末端TがLに結合し、TがDに結合することにより、5員縮合環を形成する。
【0028】
一般構造式(I)の左方に示した環において、AおよびDは独立してCHを表し、BおよびEは独立してCHを表し、LはCHであるが、ただし、形成されたフェニル環は、G置換基として構造T=T−Tの上記二価ブリッジを含むものとする。
【0029】
Jは、アリール、ピリジルおよびシクロアルキルから成る群から選択される環である。下付き文字q'は、環Jにおける置換基Gの数を表し、0、1、2、3、4または5である。
【0030】
は、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、ハロゲン置換アルキル、アミノ置換アルキル、N−低級アルキルアミノ置換アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル、ハロゲン置換アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、シアノ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、アミジノ、グアニジノ、スルホ、−B(OH)2、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、−OCO、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−CHO、−OCON(R、−NRCO、−NRCON(Rおよび環Jの隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジから成る群から選択される一価または二価部分であり、前記ブリッジは、構造:
a)
【化11】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、Tは、S、O、CR4'、C(RまたはNRを表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、環Jへの結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化12】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表すが、ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、環Jへの結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化13】

(式中、各T、TおよびTは、独立してO、S、CR4'、C(RまたはNRを表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、環Jへの結合は、末端原子TまたはTを介して行われるが、ただし、
i)一方のTがO、SまたはNRであるとき、他方のTはCR4'またはC(Rであり、
ii)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
iii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)
を有する。
【0031】
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は2、3または4である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2、3または4であり、その結果5、6または7員の窒素含有環が形成されるものとする。
【0032】
さらなる条件は、1)G、G、GおよびGにおいて、2個の基RまたはRがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜7環原子のN含有複素環を形成し得ること、2)アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得ること、および3)アルキル基がO、SまたはNに結合され、ヒドロキシル置換基を含むとき、そのヒドロキシル置換基は、アルキル基が結合しているO、SまたはNから少なくとも2個の炭素原子により分離されていることである。
【0033】
第3組の化合物は、一般構造式
【化14】

[式中、
およびRは、
i)独立してHまたは低級アルキルを表すか、
ii)一体となって、構造
【化15】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iii)一体となって、構造
【化16】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iv)一体となって、構造
【化17】

(式中、1個または2個の環構成員TはNであり、他はCHまたはCGであり、結合は末端原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、または
v)一体となって、2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化18】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CR、C(RまたはNRを表す)
で示される二環を形成する]
を有する。
【0034】
上記架橋構造中、下付き文字mは0または1〜4の整数であることから、形成される縮合環は所望により4個以下の置換基Gを含み得ることがわかる。
【0035】
は、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、ハロゲン置換アルキル、アミノ置換アルキル、N−低級アルキルアミノ置換アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル、ハロゲン置換アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、シアノ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、アミジノ、グアニジノ、スルホ、−B(OH)2、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある飽和ヘテロシクリルアルキル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリルアルキル、−OCO、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−CHO、−OCON(R、−NRCOおよび−NRCON(Rから成る群から独立して選択される置換基である。
【0036】
基Rは、Hまたは低級アルキルである。Rは、H、アルキル、シクロアルキル、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるアリール低級アルキル、低級アルキル−N(Rおよび低級アルキル−OHから成る群から独立して選択される。
【0037】
一般構造式(I)において、Rは、H、ハロゲンまたは低級アルキルであり、下付き文字pは、0、1または2であり、Xは、O、SおよびNRから成る群から選択される。
【0038】
連結部分Yは、低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、−O−、−S−、−NH−、−O−CH−、−S(O)−、−S(O)−、−SCH−、−S(O)CH−、−S(O)CH−、−CHS(O)−、−CHS(O)−、−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−および−(CR−C(G)(R)−(CR−から成る群から選択される。最後の2つの連結基Yにおいて、下付き文字nおよびsは、各々独立して0または1〜2の整数である。Gは、−CN、−CO、−CON(Rおよび−CHN(Rから成る群から選択される。
【0039】
ZはCRである。
A、B、D、EおよびLを含む環について、環における可能な置換基Gの数は下付き文字qにより示され、そのqは1または2である。
【0040】
置換基Gは、−NRCOR、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−OCOR、−COR、−CO、−CHOR、−CON(R、−S(O)N(R、−NO、−CN、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−OCON(R、−NRCO、−NRCON(Rおよび構造T=T−Tで示される二価ブリッジから成る群から選択される一価または二価部分である。この二価ブリッジにおいて、各Tは、独立してN、CHまたはCG3'を表し、Tは、S、O、CR3'、C(RまたはNRを表す。G3'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、末端TがLに結合し、TがDに結合していることにより、5員縮合環が形成される。
【0041】
一般構造式(I)の左に示した環において、AおよびDは、独立してNまたはCHを表し、BおよびEは、独立してNまたはCHを表し、LはNまたはCHを表すが、ただし、a)A、B、D、EおよびLを含む環におけるN原子の総数は、0、1、2または3であり、b)LがCHを表し、いずれかのGが一価置換基であるとき、AおよびDのうち少なくとも1個はN原子であり、c)LがCHを表し、Gが構造T=T−Tの二価ブリッジであるとき、A、B、DおよびEもまたCHであるものとする。
【0042】
Jは、アリール、ピリジルおよびシクロアルキルから成る群から選択される環である。下付き文字q'は、環Jにおける置換基Gの数を表し、0、1、2、3、4または5である。
【0043】
は、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、ハロゲン置換アルキル、アミノ置換アルキル、N−低級アルキルアミノ置換アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル、ハロゲン置換アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、シアノ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、アミジノ、グアニジノ、スルホ、−B(OH)2、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもある飽和ヘテロシクリル、置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル、−OCO、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、−CHO、−OCON(R、−NRCO、−NRCON(Rおよび環Jの隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジから成る群から選択される一価または二価部分であり、前記ブリッジは、構造:
a)
【化19】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、Tは、S、O、CR4'、C(RまたはNRを表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化20】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、G4'は、一価である上記部分G4のいずれかを表すが、ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、環Jへの結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化21】

(式中、各T、TおよびTは、独立してO、S、CR4'、C(RまたはNRを表し、G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、環Jへの結合は、末端原子TまたはTを介して行われるが、ただし、
i)一方のTがO、SまたはNRであるとき、他方のTはCR4'またはC(Rであり、
ii)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
iii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)
を有する。
【0044】
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は2、3または4である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2、3または4であり、その結果5、6または7員の窒素含有環が形成されるものとする。
【0045】
さらなる条件は、1)G、G、GおよびGにおいて、2個の基RまたはRがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜7環原子のN含有複素環を形成し得ること、および2)アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得ること、および3)アルキル基がO、SまたはNに結合され、ヒドロキシル置換基を含むとき、そのヒドロキシル置換基は、アルキル基が結合しているO、SまたはNから少なくとも2個の炭素原子により分離されていることである。
【0046】
これらの化合物の医薬上許容される塩類およびこれらの化合物の常用されるプロドラッグ、例えばヒドロキシ基を含む本発明化合物のO−アシル誘導体もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0047】
本発明はまた、本発明化合物、またはそれらの塩類またはプロドラッグの1種またはそれ以上を医薬上許容される担体中に含む医薬組成物に関するものである。
【0048】
定義:
接頭辞「低級」は、最大7個またはそれ以下の原子、特に最大5個またはそれ以下の炭素原子を有する基であることを示し、問題の基は線状または1本または多数の側鎖をもつ分枝状であり得る。
【0049】
「アルキル」は、最大12個までの炭素原子を有する炭化水素基をいい、線状または1本または多数の側鎖をもつ分枝状であり得る。アルキルは、特に低級アルキルである。
【0050】
複数形を化合物、塩などについて使用するとき、それは単一の化合物、塩なども包含するものとする。
【0051】
不斉炭素原子は、(R)−、(S)−または(R,S)立体配置、好ましくは(R)−または(S)−立体配置で存在し得る。二重結合または環での置換基は、シス(=Z−)またはトランス(=E−)形態で存在し得る。したがって、化合物は、異性体の混合物として、または純粋な異性体として、好ましくは鏡像体が純粋なジアステレオマーで、純粋なシスまたはトランス二重結合を有するものとして存在し得る。
【0052】
低級アルキレンYは、分枝状または線状であり得るが、好ましくは線状、特にメチレン(−CH)、エチレン(−CH−CH)、トリメチレン(−CH−CH−CH)またはテトラメチレン(−CH−CH−CH−CH)である。Yが低級アルキレンであるとき、それば最も好ましくはメチレンである。
【0053】
「アリール」は、6〜14個の炭素原子を有する芳香族基、例えばフェニル、ナフチル、フルオレニルまたはフェナントレニルをいう。
【0054】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいうが、特にフッ素、塩素または臭素である。
【0055】
「ピリジル」は、1−、2−または3−ピリジルをいうが、特に2−または3−ピリジルである。
【0056】
「シクロアルキル」は、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子を含む飽和炭素環である。
【0057】
「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子および3個以下の二重結合を含む非反応性および非芳香族不飽和炭素環をいう。単に1個の二重結合を欠くことにより芳香族とは異なるシクロアルケニル基、例えばシクロヘキサジエンの場合、相応な薬剤物質となるほど十分に非反応性というわけではないため、置換基としてのそれらの使用は本発明の範囲内には含まれないことは、当業者には周知のことである。
【0058】
シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、アルキルまたはアルケニル基により置換されるように分枝点を含み得る。上記の分枝状環状基の例は、3,4−ジメチルシクロペンチル、4−アリルシクロヘキシルまたは3−エチルシクロペンタ−3−エニルである。
【0059】
塩類は、特に式(I)の化合物の医薬上許容される塩類、例えば、塩基性窒素原子をもつ式(I)の化合物からの好ましくは有機または無機酸による酸付加塩である。適切な無機酸は、例えばハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸、またはリン酸である。適切な有機酸は、例えばカルボン酸、ホスホン酸、スルホンまたはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、−ヒドロキシ酪酸、グルコン酸、グルコースモノカルボン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルカリン酸、ガラクタル酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、N−メチルグリシン、アセチタミノ酢酸、N−アセチルアスパラギンまたはN−アセチルシステイン、ピルビン酸、アセト酢酸、ホスホセリン、2−または3−グリセロリン酸である。
【0060】
Yの定義において、ジラジカル「−(5員ヘテロアリール)−」は、O、SおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5員芳香族複素環を示し、N原子の数は0〜3個であり、OおよびS原子の数はそれぞれ0〜1個であり、炭素から硫黄およびCまたはN原子を通して−(CR−に結合されている。上記ジラジカルの例には下記のものがある。
【化22】

【0061】
、G、GおよびGの定義において、2つの基RまたはRが単一のNに見出されるとき、それらは、一体となって5〜7原子の複素環に組み込まれ得るものとする。それらが結合しているNを含む上記複素環の例は、以下のとおりである:
【化23】

【0062】
「ヘテロシクリル」または「複素環」は、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を伴う5〜7員複素環系をいい、不飽和または完全または部分飽和であり得、非置換または特に低級アルキル、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピルまたはtert−ブチルにより置換されている。
【0063】
アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあると言われるとき、その環は、アミノ、モノもしくはジ低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、例えばトリフルオロメチルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得る。
【0064】
Yに結合した環において、環構成員A、B、D、EおよびLは、NまたはCHであり得、所望による置換基Gは必ず窒素ではなく炭素に結合されており、所与の炭素が置換基Gを伴うとき、そのG基は、G基が存在しない場合に炭素が担うH原子の代わりであることは言うまでもない。
【0065】
一体となって第2の縮合環を形成する2つの隣接G部分を随伴する環Jの例は、以下のとおりである:
【化24】

【0066】
「ヘテロアリール」は、合計5〜10個の原子を有し、そのうち1〜4個は窒素、酸素および硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子であり、残りは炭素である単環式または縮合二環式芳香族系をいう。ヘテロアリールは、好ましくは合計5または6個の原子を有し、そのうち1〜3個がヘテロ原子である単環系である。
【0067】
「アルケニル」は、最大12個までの炭素原子を有する不飽和基をいい、線状または分枝状であって、単一または多数の分枝をもち、3個以下の二重結合を含み得る。アルケニルは、特に2個以下の二重結合を有する低級アルケニルである。
【0068】
「アルカノイル」はアルキルカルボニルを意味し、特に低級アルキルカルボニルである。
【0069】
ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシおよびハロゲン化低級アルキルチオは、アルキル部分がハロゲンにより、好ましくは塩素および/またはフッ素により、最も好ましくはフッ素により部分的または完全に置換されている置換基である。上記置換基の例は、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、ジクロロメチル、フルオロメチルおよびジフルオロメチルである。
【0070】
置換基がフラグメントのストリングとして、例えば「フェニル−低級アルコキシカルボニル−置換アルキルアミノ」と命名されるとき、結合点は、そのストリングの最終部分(この場合アミノ)に対するものであり、そのストリングの他のフラグメントは、それらがストリングで列挙されている順序で互いに連結されているものとする。したがって、「フェニル−低級アルコキシカルボニル−置換アルキルアミノ」の一例は以下のものである:
【化25】

【0071】
置換基が出発点(典型的にはダッシュとして書かれている)に結合を伴うフラグメントのストリングとして、例えば「−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)」と命名されるとき、結合点は、そのストリングの最初の原子(この場合Sまたは硫黄)に対するものであり、そのストリングの他のフラグメントは、それらがストリングで列挙されている順序で互いに連結されているものとする。したがって、「−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)」の一例は以下のものである:
【化26】

【0072】
リンカーYの各変形の最も左側の部分は、A、B、D、EおよびLを含む環に結合されており、リンカーの最も右側の部分は一般式のピリダジンフラグメントに結合されていることは言うまでもない。したがって、リンカー「−CH−O−」またはリンカー「−O−CH−」の使用例を以下の本発明化合物において示す:
【化27】

【0073】
一般構造式(I)で、好ましい、および最も好ましい基は以下のとおりである:
およびRは、好ましくは:
i)一体となって、構造
【化28】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
ii)一体となって、構造
【化29】

(式中、環構成員Tの1つはNであり、他はCHであり、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、または
iii)一体となって、2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化30】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CHまたはNRを表すが、
ただし、TがOまたはSであるとき、少なくとも1個のTはCHまたはCGである)
で示される二環を形成する。
【0074】
最も好ましくは、基Gはブリッジの非末端原子に位置する。最も好ましくは、iii)でのブリッジにおいて、末端TはNまたはCHであり、非末端TはCHまたはCGであり、TはSまたはOである。
【0075】
下付き文字mは、好ましくは0または1〜2の整数であり、置換基Gは、好ましくは−N(R、−NRCOR、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−NO、−CN、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、および−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)から成る群から選択される。最も好ましくは、mは0であり、Gは、−N(R、−NRCOR、ハロゲン、−OR(式中、R6は低級アルキルを表す)、−NO、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、および置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシから成る群から独立して選択される置換基である。
【0076】
がアルキル基であるとき、それは好ましくは低級アルキルである。基Rは好ましくはHであり、pは好ましくは0または1であり、Xは好ましくはNRである。
【0077】
リンカー基Yにおいて、下付き文字nおよびsは、好ましくは0または1、最も好ましくは0である。好ましくは、Yは、低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、−S−、−NH−、−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−、−(CR−C(G)(R)−(CR−および−O−CH−から成る群から選択される。最も好ましくは、Yは、−CH−O−、−CH−NH−、−S−、−NH−、−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−および−O−CH−から成る群から選択される。
【0078】
構造(I)の左側にある環において、A、D、BおよびEは、好ましくはCHであり、LはNまたはCHであるが、ただし、LがNであるとき、置換基Gは好ましくは一価であり、LがCHであるとき、置換基Gは好ましくは二価である。
【0079】
置換基Gは、好ましくは一価部分低級アルキル、−NRCOR、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−CO、−CON(R、−S(O)N(R、−CN、置換されていることもあるアリール、置換されていることもあるヘテロアリール、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、および構造T=T−T(式中、T2はNまたはCHである)の二価ブリッジから成る群から選択される。Tは、好ましくはS、O、CRまたはNRである。
【0080】
最も好ましくは、Gは、一価部分低級アルキル、−NRCOR、−CO、−CON(R、−S(O)N(R、および構造T=T−T(式中、T2はNまたはCHである)の二価ブリッジから成る群から選択される。最も好ましくは、Tは、S、O、CHまたはNRである。
【0081】
最も好ましくは、置換基Gの数を表す下付き文字qは1である。
環Jは、好ましくはフェニル環であり、フェニル環上の置換基Gの数を表す下付き文字q'は、好ましくは0、1、2または3である。下付き文字q'は、最も好ましくは1または2である。
【0082】
部分は、好ましくは−N(R、−NRCOR、ハロゲン、アルキル、ハロゲン置換アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、カルボキシ置換アルキル、低級アルコキシカルボニル置換アルキル、アミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ、ヒドロキシ置換アルキルアミノ、カルボキシ置換アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルスルホニル、−OCOR、−COR、−CO、−CON(R、−CHOR、−NO、−CN、置換されていることもあるヘテロアリールアルキル、置換されていることもあるヘテロアリールオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール)、置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ、−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル)、および
フェニル環の隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジから成る群から選択され、前記ブリッジは、構造:
a)
【化31】

(式中、各Tは、独立してNまたはCHを表し、Tは、SまたはOを表し、フェニル環への結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化32】

(式中、各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表すが、ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、フェニル環への結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化33】

(式中、各TおよびTは、独立してO、SまたはCHを表し、環Jへの結合は、末端原子Tを介して行われるが、ただし、
i)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
ii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)
を有する。
【0083】
部分の全部または一部を構成するアルキル基は、好ましくは低級アルキルである。
【0084】
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は好ましくは2または3である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2または3であり、その結果5または6員の窒素含有環が形成されるものとする。最も好ましくは、pおよびp'の合計は2であり、その結果、5員環が形成される。
【0085】
最も好ましくは、G、G、GおよびGにおいて、2個の基Rがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜6環原子のN含有複素環を形成し得る。
【0086】
好ましくは、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、−CHOR、ニトロおよびシアノから成る群から独立して選択される2個以下の置換基を含み得る。
【0087】
本発明方法は、ヒトおよび他の哺乳類の両方におけるVEGF介在状態の処置についての使用を意図したものである。
【0088】
化合物は、経口、皮膚、非経口、注射、吸入または噴霧、または舌下、直腸または膣経路により単位用量製剤で投与され得る。「注射により投与される」の語は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下および非経口注射、並びに注入技術の使用を包含する。皮膚投与は、局所適用または経皮投与を含み得る。1種またはそれ以上の化合物が、1種またはそれ以上の非毒性で医薬上許容される担体および所望ならば他の有効成分と共に存在し得る。
【0089】
経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造に関して当業界で公知の適切な方法にしたがって製造され得る。上記組成物は、好ましい製剤となるように希釈剤、甘味料、調味料、着色剤および保存剤から成る群から選択される1種またはそれ以上の薬剤を含み得る。
【0090】
錠剤は、錠剤の製造に適切な非毒性の医薬上許容される賦形剤と混合した形で有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム、造粒および崩壊剤、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸および結合剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は非コーティング状態であり得るか、またはそれらは、消化管での崩壊および吸着を遅らせることにより長期間にわたって作用を持続させる公知技術によりコーティングされ得る。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような遅延性材料が使用され得る。これらの化合物は固体の急速放出形態でも製造され得る。
【0091】
経口用処方物はまた、有効成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合したハードゼラチンカプセルとして、または有効成分を水または油性媒質、例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合したソフトゼラチンカプセルとしても提供され得る。
【0092】
水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合した形で活性物質を含む水性懸濁液もまた使用され得る。上記賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムである。分散または湿潤剤は、天然リン脂質、例えばレシチン、または脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、または長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレノキシセタノール、または脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、または脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液はまた、1種またはそれ以上の保存剤、例えばエチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1種またはそれ以上の着色剤、1種またはそれ以上の調味料、および1種またはそれ以上の甘味料、例えばショ糖またはサッカリンを含み得る。
【0093】
水の添加による水性懸濁液の製造に適切な分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤および1種またはそれ以上の保存剤と混合した形で有効成分を提供する。適切な分散または湿潤剤および懸濁剤の具体例については既に上記で列挙している。追加的賦形剤、例えば甘味料、調味料および着色料もまた存在し得る。
【0094】
化合物はまた、非水性液体処方物の形態、例えば植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはピーナッツ油、または鉱油、例えば液体パラフィンに有効成分を懸濁することにより製剤化され得る油性懸濁液であり得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、ハードパラフィンまたはセチルアルコールを含み得る。甘味料、例えば上記で示したもの、および調味料を添加することにより、口当たりのよい経口用製剤が得られる。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸の添加により保存され得る。
【0095】
本発明医薬組成物はまた、水中油エマルジョン形態であり得る。油相は植物油、例えばオリーブ油または落花生油、または鉱油、例えば液体パラフィンまたはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然リン脂質、例えば大豆、レシチン、および脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルジョンはまた、甘味料および調味料を含み得る。
【0096】
シロップおよびエリキシルは、甘味料、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖により製剤化され得る。上記製剤はまた、粘滑剤、保存剤および調味料および着色料を含み得る。
【0097】
化合物はまた、薬剤の直腸または膣投与用坐薬形態で投与され得る。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸または膣温度では液体であるため、直腸または膣で溶解することにより薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより製造され得る。上記物質には、カカオバターおよびポリエチレングリコールがある。
【0098】
本発明化合物はまた、当業者に公知の方法を用いて経皮投与され得る(例えば、Chien、"Transdermal Controlled Systemic Medications"、Marcel Dekker,Inc.、1987、Lipp et al.,国際公開第94/04157号(94年3月3日)参照)。例えば、所望により浸透促進剤を含んでいてもよい適切な揮発性溶媒中の式(I)の化合物の溶液または懸濁液を、当業者に公知のさらなる添加物、例えばマトリックス材料および殺菌剤と組み合わせることも可能である。滅菌後、生成した混合物は公知手順に従って用量形態に製剤化され得る。さらに、乳化剤および水での処理時、式(I)の化合物の溶液または懸濁液をローションまたは軟膏に製剤化することも可能である。
【0099】
経皮送達系の製造に適切な溶媒は当業者には公知であり、例としては低級アルコール類、例えばエタノールまたはイソプロピルアルコール、低級ケトン類、例えばアセトン、低級カルボン酸エステル類、例えば酢酸エチル、極性エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、低級炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサンまたはベンゼン、またはハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロトリフルオロエタン、またはトリクロロフルオロエタンがある。適切な溶媒はまた、低級アルコール、低級ケトン、低級カルボン酸エステル、極性エーテル、低級炭化水素、ハロゲン化炭化水素から選択される1種またはそれ以上の物質の混合物を含み得る。
【0100】
経皮送達系に適切な浸透促進物質は当業者には公知であり、例としては、モノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール類、例えばエタノール、プロピレングリコールまたはベンジルアルコール、飽和または不飽和C−C18脂肪族アルコール類、例えばラウリルアルコールまたはセチルアルコール、飽和または不飽和C−C18脂肪酸、例えばステアリン酸、24個以下の炭素を有する飽和または不飽和脂肪酸エステル、例えば酢酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸またはパルミチン酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル・イソブチル・tert−ブチルまたはモノグリセリンエステル類、または合計24個までの炭素を有する飽和または不飽和ジカルボン酸のジエステル類、例えばジイソプロピルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ジイソプロピルマレエート、またはジイソプロピルフマレートがある。さらなる浸透促進物質には、ホスファチジル誘導体、例えばレシチンまたはセファリン、テルペン、アミド、ケトン、尿素およびそれらの誘導体、およびエーテル類、例えばジメチルイソソルビドおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルがある。適切な浸透促進製剤はまた、モノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール、飽和または不飽和C−C18脂肪族アルコール、飽和または不飽和C−C18脂肪酸、24個以下の炭素を有する飽和または不飽和脂肪酸エステル類、合計24個までの炭素を有する飽和または不飽和ジカルボン酸のジエステル類、ホスファチジル誘導体、テルペン、アミド、ケトン、尿素およびそれらの誘導体およびエーテル類から選択される1種またはそれ以上の物質の混合物を含み得る。
【0101】
経皮送達系に適切な結合物質は、当業者には公知であり、例としては、ポリアクリレート、シリコーン、ポリウレタン、ブロックポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、および天然および合成ゴムがある。セルロールエーテル、誘導体化ポリエチレンおよびシリケートもまたマトリックス成分として使用され得る。さらなる添加物、例えば粘稠性樹脂または油類もマトリックスの粘稠性を高めるために添加され得る。
【0102】
式(I)の化合物について本明細書で開示した全使用体制について、1日経口用量摂取範囲は、好ましくは総体重1Kg当たり0.01〜200mgである。静脈内、筋肉内、皮下および非経口注射を含む注射、および注入技術の使用による投与についての1日用量は、好ましくは総体重1Kg当たり0.01〜200mgである。1日直腸用量範囲は、好ましくは総体重1Kg当たり0.01〜200mgである。1日膣用量範囲は、好ましくは総体重1Kg当たり0.01〜200mgである。1日局所用量範囲は、好ましくは1日1〜4回0.1〜200mgの投与である。経皮濃度は、好ましくは0.01〜200mg/Kgの1日用量を維持するのに必要とされる濃度である。1日吸入用量範囲は、好ましくは総体重1Kg当たり0.01〜10mgである。
【0103】
具体的な投与方法は様々な因子によって異なるものであり、それらは全て治療薬の投与時に慣例的に考慮されることは当業者であれば容易に理解できることである。しかしながら、また所定の患者についての特定用量レベルは、限定するわけではないが、使用する特定化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の全般的健康状態、患者の性別、患者の食事療法、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤組み合わせ、および治療が施されている状態の重症度を含む様々な因子により異なることは言うまでもない。さらに、最適な治療経過、すなわち処置方式および特定日数の間に与えられる式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の1日投与数が当業者により慣用的治療検査を用いて確認され得ることは、当業者であれば容易に理解できることである。
【0104】
一般的製造方法
本発明化合物は、公知化学反応および手順の使用により製造され得る。それにもかかわらず、以下、KDR阻害剤の合成に際し読者の助けとなるように一般的製造方法を提示し、さらに詳細な具体例については実施例を記載している下記実験の項で示す。
【0105】
これらの方法の可変基は全て、下記で特に断らなければ包括的説明で記載されているとおりである。所与の記号をもつ可変基または置換基(すなわち、R、R、R、G、G、GまたはG)を所定の構造で複数回使用するとき、これらの基または置換基はそれぞれその記号についての定義の範囲内で独立して変えられ得ることは言うまでもない。上記で定義したところによると、本発明化合物は、それぞれが独立して0〜5個の置換基G、GまたはG(これらはHとして定義されることはない)を有し得る環単位を含む。対照的に、下記の一般的方法のスキームでは、G、GまたはG置換基が構造のどこに存在し得るかを示すため、そして図を平易にするため、上記G、GまたはG置換基をそれらの定義にHが含まれるかのごとく使用しているものとする。しかしながら、この非標準的使用法によりG、GまたはGの定義に変化は無いものとする。すなわち、下記の一般的方法スキームの目的を満たすためのみ、G、GまたはGは、G、GまたはGの定義で示した部分に加えてHでもあり得る。最終的化合物は、0〜5個の水素以外の基G、GまたはGを含む。
【0106】
これらの一般的方法の中で、可変基Mは、
【化34】

で示される部分に等しく、式中の各可変基または置換基は、その記号について先に示した範囲内で独立して変えられ得る。
【0107】
これらの一般的方法の中で、可変基Qは、
【化35】

(式中、LはNであり、それぞれの他の可変基または置換基はその記号について先に示した範囲内で独立して変えられ得る)
で示される部分に等しい。
【0108】
これらの一般的方法の中で、可変基Qは、
【化36】

(式中、各可変基または置換基はその記号について先に示した範囲内で独立して変えられ得る)
で示される部分に等しい。
【0109】
主張された所望による各官能基をもつ本発明化合物は、下記に列挙した各方法では製造され得ないことが認められている。各方法の範囲内において、反応条件に対して安定している最適な置換基を使用するか、または反応に関与し得る官能基は必要な場合保護形態で存在し、上記保護基の除去を当業者に公知の方法により適切な段階で完了させる。
【0110】
一般的方法A−式(I−A)(式中、X、MおよびQは前記の意味であり、Yは、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、−O−、−S−または−NH−であり、RおよびRはそれらが結合している炭素と一体となって縮合5員環芳香族複素環を形成し、halはハロゲン(Cl、Br、FまたはI、好ましくはCl、BrまたはF)である)の化合物を、好都合には方法Aで示した反応順序にしたがって製造する。すなわち、式(II)(式中、Rは低級アルキルである)の複素環は、参考文献表の対応する公開手順に従って当業者により製造され得る。チオフェン−2,3−ジカルボン酸(表記載事項1)およびピラゾール−3,4−ジカルボン酸(表記載事項10)の場合、還流温度における対応するアルコールおよび触媒性無機酸(典型的には硫酸)での処理によりカルボン酸をメチルまたはエチルエステルに変換する。式(II)のジエステルをヒドラジン水和物で処理することにより、中間体IIIを得る(具体的反応条件については、Robba,M.;Le Guen,Y. Bull.Soc.Chem.Fr.、1970、12、4317参照)。化合物IIIをハロゲン化剤、例えばオキシ塩化リン、オキシ臭化リン、五臭化リンまたは五塩化リンで処理することにより、ジハロ中間体IVを得る。ジクロロまたはジブロモ中間体は、フッ化水素との反応により(所望ならば)ジフルオロ中間体に変換され得る。ヨード試薬、例えばヨウ化カリウムまたはテトラブチルアンモニウムヨージドを連続段階で用いることにより、ヨード中間体が、純粋な物質として単離されるのではなく反応混合物中に形成される。還流アルコールまたは他の適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等中式(V)の求核基でジハロ中間体IVを処理することにより、式(VI)の中間体を得る。上記縮合はまた、溶媒不含有の溶解物中で行われ得、酸、例えばHClまたは塩基、例えばトリエチルアミンまたは1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)により触媒され得る。式(VI)の化合物を、通常室温〜還流温度で多くの場合塩基性触媒、例えばDBUまたはCsCO、またはクラウンエーテル、例えば18−クラウン−6の存在下、適切な非プロトン溶媒、例えばDMSO、DMF中、または無溶媒状態で式(VII)の化合物と反応させることにより、式(I−A)の本発明化合物を得る。出発物質の性質により、当業者による適切な溶媒、触媒(使用するならば)および温度の選択が決定されることは言うまでもない。式(V)および(VII)の中間体は、多くの場合市販されており、または好都合には当業者に公知の方法により製造される。例えば、(VII)(式中、Yは−CH−O−であり、Qは2−アミノカルボニル基(2−CONH)により置換された4−ピリジルである)の製造については、Martin,I., et al. Acta.Chem.Scand.、1995、49、230参照。
方法A
【化37】

【0111】
出発物質IIの製造に関する参考文献表
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
一般的方法B−式(I−B)(式中、M、XおよびQは前記の意味であり、Yは、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、−O−、−S−または−NH−である)の化合物を、好都合には方法Bで示した要領で製造する。文献に記載された手順(Tomisawa および Wang、Chem.Pharm.Bull.、21、1973、2607、2612)に従って、イソカルボスチリルVIIIを、溶解物中でPBrと反応させることにより、1,4−ジブロモイソキノリンIXを形成する。還流アルコール中の式(V)の求核基で中間体IXを処理することにより、式(X)の中間体を得る。上記縮合はまた、溶媒不含有の溶解物中で行われ得、酸、例えばHClまたは塩基、例えばトリエチルアミンまたは1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)により触媒され得る。式(X)の化合物を、高温で多くの場合塩基性触媒、例えばDBUまたはCsCOの存在下、適切な非プロトン溶媒、例えばDMSO、DMF中、または無溶媒状態で式(VII)の化合物と反応させることにより、式(I−B)の本発明化合物を得る。この方法は、Yが−CH−S−または−S−であるとき最も有用である。
方法B
【化38】

【0114】
一般的方法C−式(I−C)(式中、M、X、R、R、mおよびQは前記の意味である)の化合物を、好都合には方法Cで示した反応順序により製造する。この方法では、mは好ましくは0であり、RおよびRはそれらが結合している炭素と一体となって縮合ベンゼンまたは縮合5員環芳香族複素環を形成する。出発材料XIは、市販のものであるか、または下記参考文献表に示した要領で当業者により製造される。出発材料XIを通常高温および高圧(アンモニアの場合)で尿素またはアンモニアと反応させることにより、イミドXIIを形成する。イミドを、還流温度の酢酸およびピペリジン中でアルデヒドXIIIと反応させることにより、中間体XIVを生成する。I.W.Elliott および Y.Takekoshi(J.Heterocyclic Chem. 1976、13、597)により報告された一般的手順にしたがって、メタノールまたは他の適切な溶媒中でXIVと水素化ホウ素ナトリウムを反応させることにより、中間体XVを生成する。XVを適切なハロゲン化剤、例えばPOCl、POBr、PCl、PBrまたは塩化チオニルで処理することにより、ハロ中間体XVIを得、これを還流アルコール中で式(V)の求核基と反応させることにより、式(I−C)の本発明化合物を生成する。上記縮合はまた、溶媒不含有の溶解物中で行われ得、酸、例えばHClまたは塩基、例えばトリエチルアミンまたは1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)により触媒され得る。別法として、試薬Vを溶解状態でPと共に中間体XVと加熱することによりこれら2成分は縮合され、構造(I−C)の本発明化合物を生成し得る。この最後の方法は、Xがアミンリンカーであるときに特に有効である。
方法C
【化39】

【0115】
出発材料の製造に関する参考文献表
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
一般的方法D−式(I−D−1)(式中、R、R、R、M、X、Y、GおよびZは前記の意味であり、qは0または1である)の化合物を、好都合には方法Dで示した反応順序により製造する。すなわち、文献(Minisci et al.、Tetrahedron、1985、41、4157)に記載された手順にしたがって、ピリジン置換ピリダジンまたはピリジン(I−D−1)を、過酸化水素および鉄塩の存在下、ホルムアミド(XVII)の使用により式(I−D−2)の置換2−アミノカルボニルピリジンに官能基化する。この方法は、RおよびRが一体となって縮合芳香族複素環または縮合芳香族炭素環を構成するときに最も有効である。ZがCHであり、RおよびRが縮合芳香族環を形成しない場合には、ZがCCONHRである異性体副産物が形成され得るが、かくして形成された場合、それをクロマトグラフィーにより目的生成物から除去する。
方法D
【化40】

【0118】
一般的方法E−式(I−E−1)および(I−E−2)(式中、R、R、R、M、X、Y、GおよびZは前記の意味であり、qは0または1であり、Rは低級アルキルである)の化合物を、好都合には方法Eで示した反応順序により製造する。すなわち、文献(Coppa F. et al.、Tetrahedron Letters、1992、33(21)、3057)に記載された手順にしたがって、ピリジン置換ピリダジンまたはピリジン(I−D−1)を、S−2、酸および触媒量のAgNOの存在下、モノアルキルオキサレート(XVIII)の使用により式(I−E−1)の置換2−アルコキシカルボニルピリジンに官能基化する。次いで、式(I−E−1)(式中、RはHである)の化合物を、メタノール/水中の塩基、例えば水酸化ナトリウムによるエステルの加水分解により形成させる。式(I−E−2)(式中、R基は独立して前記の意味を示す)の化合物は、ただし特にいずれのRもHではない化合物を含め、好都合にはカップリング剤、例えばDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在下、アミンXIXでの処理により酸(I−E−1、R=H)から製造される。この方法は、RおよびRが一体となって縮合芳香族複素環または縮合芳香族炭素環を構成するときに最も有効である。ZがCHであり、RおよびRが縮合芳香族環を形成しない場合には、ZがCCOである異性体副産物が第1段階で形成され得るが、かくして形成された場合、それをクロマトグラフィーにより目的生成物から除去する。
方法E
【化41】

【0119】
一般的方法F−式(I−F)(式中、M、QおよびXは前記の意味であり、mは1〜5の整数であり、RおよびRは、それらが結合している炭素と一体となって縮合5員環芳香族複素環を形成する)の化合物は、好都合には方法Fで示した反応順序により製造され得る。容易に入手可能なヘテロシクリルカルボン酸出発物質XXを、ブチルリチウム、次いでジメチルホルムアミドと反応させることにより、構造XXIを有するアルデヒドを生成する。XXIをヒドラジンと反応させることにより、ピリダジノンXXIIを得る。XXIIを適切なハロゲン化剤、例えばPOCl、POBr、PCl、PBrまたは塩化チオニルで処理することにより、ハロ中間体を得、これを還流アルコール中で式(V)の求核基と反応させることにより、式(XXIII)の中間体化合物を生成する。上記縮合はまた、溶媒不含有の溶解物中で行われ得、酸、例えばHClまたは塩基、例えばトリエチルアミンまたは1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)により触媒され得る。別法として、試薬Vを溶解状態でPと共に中間体XXIIと加熱することによりこれら2成分は縮合され、XXIIを生成し得る。後の方法は、Xがアミンリンカーであるときに特に有効である。F.D.Popp、Heterocycles、1980、14、1033の一般的方法により報告された要領で、ハライドXXIVによるReissert化合物XXIIIの形成およびアルキル化を行うことにより、構造XXVの中間体を得る。次いで、XXVを塩基で処理することにより、本発明化合物I−Fが生成される。
方法F
【化42】

【0120】
一般的方法G−式(I−G)(式中、M、QおよびXは前記の意味であり、mは1〜4の整数であり、RおよびRは、それらが結合している炭素と一体となって縮合5員環芳香族複素環を形成する)の化合物は、方法Gで示した反応順序により製造され得る。方法FからのアルデヒドXXIを水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより、ヒドロキシ酸(hyroxyacid)を得、これを当業者に公知の方法を用いて例えばトルエンスルホニルクロリドでラクトン化することにより、ラクトンXXVIを得る。通常還流下、溶媒、例えばメタノール中において塩基、例えばナトリウムメトキシドの存在下で、中間体XXVIとアルデヒドXIIIを縮合することにより、構造XXVIIの中間体を得る。100〜150℃の温度でのXXVIIとヒドラジンまたは好ましくはヒドラジン水和物の反応により、構造XXVIIIの中間体が誘導される。中間体XXVIIIから構造I−Gの本発明化合物への変換は、XVではなくXXVIIIを用いることにより方法Cで記載した方法により行われる。
方法G
【化43】

【0121】
一般的方法H−式(I−H)(式中、R、R、M、X、R、qおよびGは前記の意味である)の化合物を、好都合には方法Hで示した反応順序により製造する。すなわち、Martin,I;Anvelt,J.;Vares,L.;Kuehn,I;Claesson,A. Acta Chem.Scand.1995、49、230−232記載の方法またはI−D−1の代わりに容易に入手可能なピリジン−4−カルボン酸エステルXXXを用いることによる上記方法DまたはEの方法を用いて、XXXをXXXIに変換する。次に、上記 Martin,et al.により報告されたエステルの還元を、アミド置換基が未変化のままであるように弱い還元剤、例えばNaBHにより行い、アルコールXXXIIを得る。次いで、このアルコールを、無水条件下、方法Aからのハロピリダジンと共に塩基、例えばDBUまたはCsCOと加熱することにより、式(I−H)を有する本発明化合物を得る。
方法H
【化44】

【0122】
一般的方法I−式(I−1)(式中、R、R、M、X、R、qおよびGは前記の意味であり、Wは結合または−CH−である)を有する本発明化合物を、好都合には方法Iに示した反応順序により製造する。この方法は、qが1であり、XXXIIIが4−クロロピリジンであるときには特に有用である。別法として、他の4−ハロピリジン、例えば4−フルオロピリジンまたは4−ブロモピリジンもこの工程で使用され得る。すなわち、上記方法DまたはEの一般手順を用いてI−D−1の代わりに4−ハロピリジンを用いることにより、容易に入手可能な4−ハロピリジンを、式XXXIVの中間体に変換する。XXXIVと硫化水素カリウムまたはナトリウムとの反応により、式(XXXV)を有するチオールが生成する。別法として、方法Hからの中間体XXXIIのアルコール官能基を、ポリマー物質形成を最小限に抑えるように冷却した中でメタンスルホニルクロリドおよび適切な塩基、例えばトリエチルアミンと反応させることにより脱離基に変換し、生成した中間体を硫化水素カリウムまたはナトリウムと反応させると、式(XXXVI)を有するチオールが生成する。式(XXXV)または式(XXXVI)を有するチオールを、DMFまたは他の適切な溶媒中または溶媒の非存在下で方法Aからの中間体VIおよび適切な塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはCsCOと反応させることにより、I−D−9を生成する。
方法I
【化45】

【0123】
一般的方法J−例えば式(I−J−1)または(I−J−2)(式中、R、R、M、X、W、およびGは前記の意味である)を有し、構造内にスルホキシドまたはスルホンを有する本発明化合物は、好都合には方法Jに示した反応順序により製造される。方法Iからの代表的構造I−1で示されている置換基G、GまたはGの一部として、またはYの一部としてチオエーテル基を含む本発明化合物の反応については、メチレンクロリドまたはクロロホルム中1当量のm−クロロ過安息香酸での処理により(MCPBA、Synth. Commun.、26、10、1913−1920、1996)または0℃〜室温でメタノール/水中における過ヨウ素酸ナトリウムでの処理により(J.Org.Chem.、58、25、6996−7000、1993)スルホキシド部分をもつ本発明化合物、例えばI−J-1に変換され得る。様々なN酸化物およびスルホンI−J-2の混合物から成る予測される副産物は、クロマトグラフィーにより除去され得る。スルホンI−J−2は、追加当量のMCPBAの使用により、または好ましくは酢酸/水中の過マンガン酸カリウムの使用により(Eur.J.Med.Chem.Ther.、21、1、5−8、1986)または酢酸中の過酸化水素の使用により(Chem.Heterocycl.Compd.、15、1085−1088、1979)得られる。望ましくないN酸化物が主要産物になる場合、パラジウム・炭素触媒によるエタノール/酢酸中での水素化によりそれらを望ましいスルホキシドまたはスルホンに再び変換させ得る(Yakugaku Zasshi、69、545−548、1949、Chem.Abstr.1950、4474)。
方法J
【化46】

【0124】
一般的方法K−式(I−K)(式中、R、R、M、XおよびQは前記の意味である)を有する本発明化合物は、好都合には方法Kに示した反応順序により製造される。当業者であれば、文献で公知の方法により構造XXXVIIの出発物質を製造できるはずである。例えば、XXXVII(式中、RおよびRは、それらが結合している炭素と一体となって2,3−置換チオフェン、フラン、ピロール、シクロペンタジエニル、オキサゾールまたはチアゾールを形成する)は、J.Org.Chem.、1981、46、211記載の一般的化学作用を用い、最初に形成されたtert−ブチルエステルをトリフルオロ酢酸で加水分解することにより製造される。ピラゾール出発物質は、2−オキソ−3−ペンチン−1,5−ジオン酸(J.Chem.Phys.、1974、60、1597)とジアゾメタンを反応させることにより製造され得る。RおよびRが、それらが結合している炭素と一体となってフェニルを形成する出発物質は、Cymerman-Craig et al.、Aust.J.Chem.、1956、9、222、225の方法により製造される。式(XXXVII)(式中、RおよびRは低級アルキルである)の化合物は、好都合には特許CH482415(Chem.Abstr.120261u、1970)で開示された手順にしたがって製造される。それに続いて、式XXXVIIの粗二酸をヒドラジンで処理することにより、ピリダジノンXXXVIIIを得る(具体的反応条件については、Vaughn,W.R.;Baird,S.L.、J.Am.Chem.Soc.1946、68、1314参照)。ピリダジノンXXXVIIIを、塩素化剤、例えばオキシ塩化リンで処理することにより、中間体ジクロロ化学種を得、これを水で後処理時に加水分解させることにより、クロロピリダジンXXXIXを得る。クロロ酸XXXIXを、溶媒、例えばDMF中または溶媒の非存在下、塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下において式(V)の求核基で処理する。生成した酸XXXXを、Tilley,J.W.;Coffen D.L.Schaer,B.H.;Lind,J.、J.Org.Chem.、1987、52、2469の手順にしたがって還元剤、例えばBH・THFで還元する。生成物のアルコールXXXXIを、塩基および置換されていることもある4−ハロ−ピリジル、置換されていることもある4−ハロ−ピリミジルまたは置換されていることもある4−ハロ−ピリダジル(XXXXII)と反応させることにより、式(I−K)の本発明化合物を得る(具体的反応条件については、Barlow,J.J.;Block,M.H.;Hudson,J.A.;Leach,A.;Longridge,J.L.;Main,B.g.;Nicholson,S.、J.Org.Chem.、1992、57、5158参照)。
方法K
【化47】

【0125】
一般的方法L−式(I−L)(式中、R、R、M、XおよびQは前記の意味である)を有する本発明化合物は、好都合には方法Lに示した反応順序により製造される。すなわち、方法Kからの式XXXXIのアルコールを、適切な塩基の存在下でメタンスルホニルクロリドと、次いで硫化水素カリウムまたはナトリウムと反応させることにより、チオールXXXXIIIを得る。次いで、このチオールを、適切な塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で方法Kからの4−ハロピリジンXXXXIIと反応させることにより、本発明化合物I−Kを得る。別法として、XXXXIを、当業者に公知の方法により式(XXXXIV)のハロ中間体に変換させ、ハライドをチオールXXXXVと反応させてI−Kを得る。中間体XXXXIVはまた、KHSまたはNaHSでの処理により中間体XXXXIIIに変換され得る。試薬XXXXVは、市販の例えば4−メルカプトピリジンであるか、または当業者によって例えば上記方法Iにより製造され得る。
方法L
【化48】

【0126】
さらなる治療薬
本発明による式(I)の化合物と、肺高血圧症を処置、予防または管理するのに現在使用されているさらなる治療薬、例えば、限定するわけではないが、抗凝固薬、利尿剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張剤、プロスタサイクリン類似体、内皮拮抗薬(endothelium antagonist)、ホスホジエステラーゼ阻害剤、エンドペプチダーゼ阻害剤、脂質低下薬、トロンボキサン阻害剤および肺動脈圧を降下させることが知られている他の治療薬を組み合わせることも可能である。
【0127】
抗凝固薬の例には、例えば、血栓症および血栓塞栓症の危険が高い肺高血圧症の患者の処置に有用なワルファリンがあるが、これに限定されるわけではない。
【0128】
カルシウムチャネル遮断薬の例には、ジルチアゼム、フェロジピン、アムロジピンおよびニフェジピン(右心カテーテル挿入での血管反応性患者について特に有用)があるが、これらに限定されるわけではない。
【0129】
血管拡張剤の例には、例えばプロスタサイクリン、エポプロステノール、トレプロスチニルおよび一酸化窒素(NO)があるが、これらに限定されるわけではない。
【0130】
ホスホジエステラーゼ阻害剤の例には、特にホスホジエステラーゼV阻害剤、例えばタダラフィル、シルデナフィルおよびバルデナフィルがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0131】
エンドセリン拮抗薬の例には、例えばボセンタンおよびシタキセンタン、好ましくはボセンタンがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0132】
プロスタサイクリン類似体の例には、例えばイロメジン(ilomedin)、トレプロスチニルおよびエポプロステノールがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0133】
脂質低下薬の例には、例えばHMG CoAレダクターゼ阻害剤、例えばシムバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、イタバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、ZD−4522およびセリバスタチンがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0134】
利尿剤の例には、例えばクロルタリドン、インダパミド、ベンドロフルメチアジド、メトラゾン、シクロペンチアジド、ポリチアジド、メフルシド、キシマピド、クロロチアジドおよびヒドロクロロチアジド(末梢血浮腫の管理に特に有用)があるが、これらに限定されるわけではない。
【0135】
肺動脈圧を低下させることが知られている他の治療薬の例には、例えばACE阻害剤、例えばエナラプリル、ラミプリル、カプトプリル、シラザプリル、トランドラプリル、フォシノプリル、キナプリル、モエキシプリル、リシノプリルおよびペリンドプリル、またはATII阻害剤、例えばロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、エンブサルタン、バルサルタンおよびテルミサルタン、またはイロプロスト、ベタプロスト、L−アルギニン、オマパトリラット、休止または運動誘発性低酸素血症の患者において特に有用な酸素または右心室不全患者における右心室機能の改善に特に有用なジゴキシンがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0136】
さらに、本発明化合物および組合せは、キナーゼ阻害剤および/またはエラスターゼ阻害剤と併用され得る。
【0137】
キナーゼ阻害剤の例には、例えば、BMS−354825、カネルチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ロナファルニブ、ペガプタニブ、ペリチニブ、セマキサニブ、タンヅチニブ、チピファルニブ、バタラニブ、ロニダミン、ファスジル、レフルノミド、ボルテゾミブ、イマチニブ、エルロチニブおよびグリベックがあるが、これらに限定されるわけではない。好ましいのはグリベックである。
【0138】
さらに、本発明化合物および組合せは、NO−非依存性およびヘム依存性グアニリルシクラーゼ刺激剤および/またはNO−およびヘム非依存性グアニリルシクラーゼ活性化剤と併用され得る。
【0139】
NO−非依存性およびヘム依存性グアニリルシクラーゼ刺激剤の例には、例えば国際公開第00/06568号、国際公開第00/06569号、国際公開第02/42301号および国際公開第03/095451号に記載された化合物があるが、これらに限定されるわけではない。好ましいのは、4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−ピリミジニル(メチル)カルバミン酸メチルおよび4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−ピリミジニルカルバメートである。
【0140】
NO−およびヘム−非依存性グアニリルシクラーゼ活性化剤の例には、例えば国際公開第01/19355号、国際公開第01/19776号、国際公開第01/19778号、国際公開第01/19780号、国際公開第02/070462号、国際公開第02/042301号および国際公開第02/070510号に記載された化合物があるが、これらに限定されるわけではない。好ましいのは、4−[((4−カルボキシブチル)−{2−[(4−フェネチルベンジル)オキシ]フェネチル}アミノ)−メチル]安息香酸である。
【0141】
適応症
本発明による化合物および組合せは、肺高血圧症を処置、予防および管理する医薬の製造に使用され得る。また本発明は、肺高血圧症を処置、予防および管理する方法であって、式(I)で示される少なくとも1種の化合物および本発明による所望による少なくとも1種のさらなる治療薬の有効量を投与することを含む方法を提供する。「有効量」は、所望の結果を達成する、例えば病気または状態を処置、予防または管理するのに有用である化合物の量である。
【0142】
本発明によると、用語「肺高血圧」には、原発性肺高血圧、二次性肺高血圧、家族性肺高血圧、孤発性肺高血圧、前毛細血管性肺高血圧、肺動脈性、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、血栓性肺動脈症、叢生成性(plexogenic)肺動脈症、および、左室機能不全、僧帽弁膜症、収縮性心膜炎、大動脈狭窄、心筋症、縦隔線維症、肺静脈還流異常、肺静脈閉塞症、膠原血管病、先天性心疾患、肺静脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、肺胞性過換気症(alveolarhyperventilation disorder)、高地への長期曝露、新生児肺疾患、肺胞−毛細血管異形性、鎌状赤血球症、他の凝固障害、慢性血栓塞栓、結合組織病、狼瘡、住血吸虫症、サルコイドーシスまたは肺毛細血管腫症に付随または関連する肺高血圧が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
限定するわけではないが、例えば安静時に約20〜30mmHgの平均血圧の増加を伴う軽度、例えば安静時に30〜39mmHgの増加を伴う中等度、および例えば安静時に40mmHgまたはそれ以上の増加を伴う重度の場合を含め、いかなる形態の肺高血圧症でも本発明により処置され得る。
【0144】
肺高血圧症は、肺動脈高血圧症(PAH)を含み、さらに原発性肺高血圧症(PPH)、特発性PAH(IPAH)、家族性PAH(FPAH)を含む。Evian Nomenclature and Classification of pulmonary hypertension(PH)(1998)および Revised Nomenclature and Classification of PH(2003)を含む、肺高血圧症に関する幾つかの分類システムが公表されている。Lewis et al.,Chest,2004、126、73−10参照、これについては出典明示により援用する。これらの分類スキームで列挙されているいかなるPH疾患でも、本発明にしたがって処置、管理または予防され得る。PHに関する危険因子および診断基準は、McGoon et al.、Chest、126、14−34、2004(出典明示により援用する)に記載されている。
【0145】
以下のリストは、the Third World Conference on Pulmonary Hypertension で提唱された2003年の分類である:PAH、IPAH、FPAH、膠原血管病、先天性全身−肺シャント(systemic to pulmonary shunt)(大きい、小さい、修復された、または修復されていない)、門脈圧亢進症、薬物および毒物、その他(糖原貯蔵障害、ゴーシェ病、遺伝性出血性末梢血管拡張症、異常ヘモグロビン症、骨髄増殖性疾患、脾摘出)、重大な静脈または毛細血管の併発を伴うもの、肺静脈高血圧、肺毛細血管腫症、肺静脈高血圧、左側心房心室疾患、左側心臓弁膜症、低酸素血症を伴う肺高血圧、COPD、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、肺胞性低換気症、高地への長期曝露、慢性血栓性および/または塞栓性疾患に起因するPH、近位肺動脈の血栓塞栓性閉塞、遠位肺動脈の血栓塞栓性閉塞、肺塞栓症(腫瘍、寄生生物、外来物質)、サルコイドーシス、組織球症X、リンパ管血管腫症、肺血管の圧迫症(アデノパシー、腫瘍、線維化縦隔炎)。
【0146】
上述の障害のいずれも、肺高血圧のリスクの上昇を伴い得、例えば、先天性心疾患(例えば、アイゼンメンゲル症候群);左心疾患;肺静脈疾患(例えば、肺静脈および細静脈を狭窄または閉塞する繊維組織);肺動脈疾患;肺胞性低酸素症を引き起こす疾患;線維性肺疾患;ウィリアムズ症候群;静脈内薬物乱用傷害を有する対象;肺血管炎(ウェゲナー、グッドパスチャーおよびチャーグ・ストラウス症候群など);肺気腫;慢性気管支炎;脊柱後側弯症;嚢胞性線維症;肥満−過換気および睡眠時無呼吸症;肺線維症;サルコイドーシス;珪肺症;CREST(皮膚の石灰沈着、レイノー現象;食道運動障害;強指症および末梢血管拡張症)および他の結合組織疾患を有する対象を含む。例えば、BMPR2突然変異(骨形成タンパク質受容体II)を有する対象は、FPAHを得る生涯リスク10−20%を有する。遺伝性出血性末梢血管拡張症を有する対象、特にALK1に突然変異を保有する者は、IPAHのリスクにあるとも明らかにされた。McGoon et al.、Chest、2004、126、14−34参照。
【0147】
本発明によると、「処置する」の語は、肺高血圧症の症状が発現した後に医薬組成物を投与することをいい、「予防する」は、特に肺高血圧症の危険がある患者に症状発現前に投与することをいう。「管理する」の語は、肺高血圧症に罹患した患者における肺高血圧症の再発の阻止を包含する。
【0148】
投与
本発明の化合物または薬剤組み合わせは、例えば経口、腸管外、経腸、静脈内、腹腔内、局所、経皮(例、標準的パッチを用いる)、目、鼻、局部、非経口、例えばエーロゾル、吸入、皮下、筋肉内、頬側、舌下、直腸、膣、動脈内、および鞘内などを含む任意の有効な経路により任意の形態で投与され得る。それらは、単独または活性または不活性の成分と組み合わせて投与され得る。
【0149】
好ましいのは経口投与である。
本発明の化合物または薬剤組合せは、公知方法で通常の処方物に変換され得、それらは液体または固体製剤、例えば、限定するわけではないが、通常および腸溶コーティング錠剤、カプセル剤、丸薬、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ、溶液、懸濁液、シロップ、固体および液体エーロゾルおよびエマルジョンであり得る。
【0150】
経口投与用固体製剤の例は、米国仮出願第60/605752号に記載されている。
【0151】
本発明の組合せは、任意の時間および任意の有効形態で投与され得る。例えば、化合物は、例えば単一組成物または用量単位(例、両組成物を含む丸薬または液体)として同時に投与され得るか、またはそれらは同時ではあるが(例、一方の薬剤を静脈内投与し、他方を経口または筋肉内投与する)、別々の組成物として投与され得る。薬剤はまた、異なる時点で連続的に投与され得る。作用物質は、長期間、例えば12時間、24時間にわたって所望の放出速度を達成するように慣用方法で製剤化され得る。これは、適切な代謝半減期を有する作用物質および/またはそれらの誘導体を用いることにより、および/または放出制御型製剤を用いることにより達成され得る。
【0152】
薬剤組み合わせは相乗的であり得、例えば薬剤の共同作用の結果、合わせた効果がそれらの個々の効果の代数的合計よりも大きくなる。すなわち、低用量の薬剤が投与され得、例えば毒性または他の有害または望ましくない作用が低減化され、および/または作用物質を単独投与するときと同量を使用するが、大きな効力が達成され得る。
【0153】
本発明の化合物または薬剤組み合わせを、さらに他の適切な添加剤または医薬上許容される担体と組み合わせることも可能である。上記添加剤には、既に挙げた物質のいずれか、および慣用的に使用されるもののいずれか、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy(GennaroおよびGennaro編、第20版、Lippincott Williams & Wilkins,2000);Theory and Practice of Industrial Pharmacy(Lachman et al.編、第3版、Lippincott Williams & Wilkins、1986);Encyclopedia of Pharmaceutical Technology(SwarbrickおよびBoylan編、第2版、Marcel Dekker、2002)に記載されたものが含まれる。これらを、本明細書ではそれらが活性薬剤と組み合わされ、治療目的で対象に安全に投与され得ることを示すために「医薬上許容される担体」と称し得る。
【0154】
さらに、本発明の化合物または薬剤組み合わせは、上記疾患および/または状態のいずれかを処置するのに使用される他の活性作用物質または他の治療薬と共に投与され得る。
【0155】
本発明はまた、式(I)で示される少なくとも1種の化合物および疾患または障害の処置に有用な上記の少なくとも1種の他の治療薬の組み合わせを提供する。本発明の目的に関する「組み合わせ」は以下のものを含む:
−式(I)の少なくとも1種の化合物および上記の少なくとも1種の他の治療薬を含む単一組成物または用量形態;
−同時または連続的に投与される式(I)の少なくとも1種の化合物および上記の少なくとも1種の他の治療薬を含む組合せパック;
−単位用量として互いに別々に、または独立単位用量としてパッケージされた式(I)の少なくとも1種の化合物および上記の少なくとも1種の他の治療薬を含み、それらを同時または連続的に投与することを指示する説明書を伴うかまたは伴わないキット、および
−同時または連続的に投与したとき協同して一定の治療効果、例えば同じ疾患の治療を達成する式(I)の少なくとも1種の化合物および上記の少なくとも1種の他の治療薬の個別の独立用量形態。
【0156】
組合せの各作用物質の用量は、望ましい治療活性を提供するために他方の作用物質および/または病気のタイプおよび/または病気の状態を参考にして選択され得る。例えば、組合せ中の活性作用物質は、一定の組合せで存在し、投与され得る。本明細書において「一定の組合せ」とは、所望の効力を与える一定割合で成分が存在する医薬形態をいうものとする。これらの量は特定の患者について常用手順で決定され得、その際様々なパラメーター(例、病気のタイプ、患者の年齢、病状、患者の健康状態、体重など)を用いて適切な投与量を選択するか、または上記の量は比較的標準的なものであり得る。
【0157】
投与される有効成分の量は、使用される特定化合物および用量単位、投与方法および時間、処置期間、処置される患者の年齢、性別および全般的状態、処置される状態の性質および程度、薬剤代謝および排泄速度、潜在的な薬剤組み合わせおよび薬剤対薬剤相互作用などといった考慮すべき事項によって広範に変動し得る。
【0158】
本発明の別の態様では、式(I)の化合物を、当業者がその専門的判断により決定し得る量で少なくとも1種のさらなる治療剤と組み合わせて投与する。
【0159】
本発明による医薬組成物は、1日1回またはそれ以上、好ましくは3回以下、さらに好ましくは2回以下の回数で投与される。好ましいのは経口経路による投与である。各投与に際し、同時に摂取される錠剤またはカプセル剤の数は2個を超えるべきではない。
【0160】
それにもかかわらず、場合によっては、体重、有効成分に対する個々の反応、製品のタイプおよび投与を実施する時間または間隔によって特定された量から逸脱した方が有利なこともあり得る。例えば、上記の最少量より少なくても十分な場合もあれば、特定された上限を超えなければならない場合もあり得る。比較的大量の投与の場合、これらを1日の間に幾つかの個別用量に分割することが勧められる。
【0161】
組み合わせは、式(I)の少なくとも1種の化合物および上記の少なくとも1種の他の治療薬の有効量を含有し得、その結果、いずれかの化合物を単独で使用したときよりも大きな治療効力が達成される。この組合せは、作用物質の単独使用時には治療効果が観察されないか、または組合せを投与すると高い効果が観察される肺高血圧症を処置、予防または管理するのに有用であり得る。
【0162】
また上記組合せにおける各化合物の相対割合は、それらの各作用機構および疾患生物学に基づいて選択され得る。各化合物の相対割合は広く変動し得、本発明は、どちらかの物質が高用量で存在するように式(I)の化合物および他の治療剤の量が常用手順で調節され得る肺高血圧症の処置、予防または管理を目的とする組み合わせも包含する。
【0163】
また、上記組合せの1種またはそれ以上の作用物質の放出を適宜制御することにより、単一用量形態、組合せパック、キットの場合または別々の独立用量形態の場合に所望の治療活性を達成し得る。
【0164】
好ましいのは、式(I)の化合物およびホスホジエステラーゼV阻害剤、エンドセリン拮抗薬、プロスタサイクリン類似体、キナーゼ阻害剤およびエラスターゼ阻害剤から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含む組合せである。さらに好ましくは、4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−アミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンおよびタダラフィル、シルデナフィル、バルデナフィル、ボセンタン、シタキセンタン、イロメジン、トレプロスチニルおよびエポプロステノールから成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含む組合せを使用する。最も好ましくは、4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−アミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンおよびボセンタンまたはバルデナフィルを含む組み合わせを使用する。
【0165】
実施例:
実施例1:1−(4−クロロフェニルアミノ)−4−(4−ピリジルチオ)イソキノリンの製造
【化49】

工程1:中間体Aの製造:イソカルボスチリル2.90g、19.07mMolおよび五臭化リン14.40g、33.68mMolの混合物を、140℃で一緒に溶解させた。溶解物は赤色液体に変化し、約10分後固化した反応混合物を冷却した。反応混合物を粉砕し、氷水中に投下した。生成した固体を濾過し、風乾した。重量5.50g、収率96%、mp=94〜96°。R=0.66、ヘキサン中40%酢酸エチル。
【化50】

【0166】
工程2:工程1からの1,4−ジブロモイソキノリン(中間体A)1.00g、3.49mMolおよび4−クロロアニリンを、140°で一緒に溶かした。反応混合物は濃赤色液体に変わり、約10分後反応混合物は固化した。反応混合物を破壊し、50/50メタノール/THF混合物と磨砕し、次いで濾過し、それ以上精製せずに風乾した。重量0.75g、64.4%、mp=260〜263°。R=0.58、ヘキサン中40%酢酸エチル。
【化51】

【0167】
工程3:1−(4−クロロアニリン)−4−ブロモイソキニリン0.05g、0.1498mMolおよび4−メルカプトピリジン0.02g、0.18mMolを合わせ、140°で約10分間一緒に溶かした。溶媒としてヘキサン中5%のメタノールを用いて、生成した反応混合物を1000ミクロンプレッププレートで精製した。重量0.0103g、収率19%、mp=192〜195°。R=0.50、ヘキサン中40%酢酸エチル。
【0168】
実施例2:1−(インダン−5−イルアミノ)−4−(4−ピリジルチオ)イソキノリンの製造
【化52】

実施例1の製造に使用した手順を用いて、工程2における4−クロロアニリンの代わりに5−アミノインダンを用いることにより標記化合物を製造した。Mp.100〜103°、TLC R0.40(ヘキサン中40%酢酸エチル)。
【0169】
実施例3:1−(ベンゾチアゾール−6−イルアミノ)−4−(4−ピリジルチオ)イソキノリンの製造
【化53】

実施例1の製造に使用した手順を用いて、工程2における4−クロロアニリンの代わりに6−アミノベンゾチアゾールを用いることにより標記化合物を製造した。
TLC R0.36(5%メタノール/メチレンクロリド)、MS=387。
【0170】
実施例4:1−(4−クロロフェニルアミノ)−4−(4−ピリジルメチル)イソキノリンの製造
【化54】

工程1:酢酸(25mL)中のホモフタルイミド(770mg、4.78mmol)、4−ピリジンカルボキシアルデヒド(0.469mL、4.78mmol)およびピペリジン(0.5mL)の混合物を、1時間還流加熱した。生成した溶液を室温に冷却した。固体生成物を濾過により除去し、水(4×10mL)で洗浄し、真空乾燥することにより、上記化合物のZおよびE異性体の混合物920mg(3.67mmol、収率77%)を得た。H-NMR(DMSO−d)EおよびZ両異性体の存在ゆえに芳香族領域で複雑なプロトンシグナルが示された。MS ES251(M+H)、252(M+2H)
【化55】

【0171】
工程2:0℃でメタノール(250mL)中の出発物質(1.70g、6.8mmol)の懸濁液に、水素化ホウ素ナトリウム(3.0g、79mmol)をゆっくりと加えた。混合物をそのまま室温に温め、撹拌を1時間続行した。反応を水(10mL)でクエンチングし、10分間撹拌した。生成した混合物を濃縮し、溶媒を除去した。残渣に氷水(100mL)を加え、2NのHCl溶液によりpH=2に調節した。10分間撹拌し、溶液のpHが約11になるまで2NのNaOHを加えた。生成した溶液をCHCl(4×100mL)により抽出した。有機層を合わせ、集め、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(1:10v/vメタノール−ジクロロメタン)により精製し、固体として標記化合物400mgを得た(1.70mmol、収率25%)。1H−NMR(MeOH−d4) 8.33 〜 8.39 (m, 4H), 7.50 〜 7.68 (m, 3H), 7.30-7.31 (m, 2H), 7.14 (s, 1H), 4.15 (s, 2H); MS ES 237 (M+H)+, 238 (M+2H);TLC (1:10 v/v メタノール−ジクロロメタン)Rf=0.40。
【化56】

【0172】
工程3:4−クロロアニリン(178mg、1.40mmol)、五酸化リン(396mg、1.40mmol)およびトリエチルアミン塩酸塩(193mg、1.40mmol)の混合物を、加熱し、200℃のアルゴン下で1.5時間または均一な溶解物が形成されるまで撹拌した。この溶解物に、出発物質(82mg、0.35mmol)を加えた。反応混合物を200℃で2時間撹拌した。生成した固体の黒い塊を100℃に冷却した。メタノール(5mL)および水(10mL)を加え、黒い塊が可溶性になるまで反応混合物を超音波処理した。ジクロロメタン(40mL)を加え、濃アンモニア(〜2mL)を加えて混合物をpH=10に調節した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。分取TLCプレート(1:10v/vメタノール−ジクロロメタン)により精製し、黄色固体として標記化合物26mg(0.08mmol、収率22%)を得た。1H−NMR(MeOH−d4) 8.37 (d, J = 7.8 Hz, 3H), 7.86 (s, 1H), 7.55 〜 7.77 (m, 5H), 7.27 〜 7.33 (m, 4H), 4.31 (s, 2H); MS ES 346 (M+H)+; TLC (1:10 v/v メタノール−ジクロロメタン) Rf = 0.45。
【0173】
実施例5:1−(ベンゾチアゾール−6−イルアミノ)−4−(4−ピリジルメチル)イソキノリンの製造
【化57】

実施例4の製造に使用した手順を用いて、工程3における4−クロロアニリンの代わりに6−アミノベンゾチアゾールを用いることにより、標記化合物を製造した。1H−NMR (MeOH−d4) 9.08 (s, 1H), 8.37 〜 8.59 (m, 4H), 7.79 〜 8.01 (m, 2H), 7.60 〜 7.78 (m, 4H), 7.30 (d, 2H), 4.34 (s, 2H); MS ES 369 (M+H)+; TLC(1:4 v/v ヘキサン−酢酸エチル) Rf = 0.20。
【0174】
実施例6:1−(インダン−5−イルアミノ)−4−(4−ピリジルメチル)イソキノリンの製造
【化58】

実施例4の製造に使用した手順を用いて、工程3における4−クロロアニリンの代わりに5−アミノインダンを用いることにより、標記化合物を製造した。1H−NMR(MeOH-d4) 8.35 (m, 3H), 7.46 〜 7.77 (m, 5H), 7.15 〜 7.27 (m, 4H), 4.26 (s, 2H), 2.87 〜 2.90(m, 4H), 2.05 〜 2.10 (m, 2H); MS ES 352 (M+H)+;TLC(1:4 v/v ヘキサン-酢酸エチル)Rf = 0.25。
【0175】
実施例7:1−(3−フルオロ−4−メチルフェニルアミノ)−4−(4−ピリジルメチル)イソキノリンの製造
【化59】

実施例4の製造に使用した手順を用いて、工程3における4−クロロアニリンの代わりに3−フルオロ−4−メチルアニリンを用いることにより、標記化合物を製造した。1H-NMR (MeOH-d4) 8.34 (d, 3H), 7.87 (s, 1H), 7.54 〜 7.69 (m, 4H), 7.10 〜 7.31 (m, 4H), 2.22 (s, 3H); MS ES 344 (M+2H)+; TLC (1:4 v/v ヘキサン−酢酸エチル) Rf = 0.20。
【0176】
実施例8:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(4−ピリジルメトキシ)チエノ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化60】

工程1:乾燥した2Lの3口丸底フラスコにメカニカルスターラーおよび滴下漏斗を備えつけた。このフラスコに、アルゴン下無水THF(500mL)中の2−チオフェンカルボン酸(25g、195mmol)を加えた。混合物をドライアイス−イソプロパノール浴により−78℃に冷却し、30分間撹拌した。ヘキサン中のn−ブチルリチウム(2.5M、172mL)を30分間にわたって滴下した。反応物をさらに1時間撹拌しながら−78℃に保ち、次いで乾燥二酸化炭素雰囲気下に置いた。二酸化炭素が加わると、反応物は粘稠性になった。反応物をさらに1時間−78℃に保った後、−10℃に温めた。反応を2NのHCl(213mL)によりクエンチングし、室温に到達させた。層を分離し、水層をEtOAc(3×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。褐色固体を熱イソプロパノールから結晶化し、一晩真空下で乾燥した。所望のチオフェン−2,3−ジカルボン酸を得た(27.3g、159mmol、収率82%)。1H NMR(DMSO-d6) 7.69 (d, J = 1.5, 1), 7.38 (d, J = 4.8, 1); ES MS (M+H)+= 173; TLC(クロロホルム-MeOH-水, 6:4:1); Rf= 0.74。
【0177】
工程1A:別法として、2−チオフェンカルボン酸ではなく3−チオフェンカルボン酸を工程1で使用することにより、同じ生成物を得た。
【化61】

【0178】
工程2:1Lの丸底フラスコに撹拌棒および還流冷却器を備えつけた。このフラスコに、触媒量のHSO(〜5mL)と共にMeOH(500mL)中の工程1の生成物(62g、360mmol)を加えた。反応物を還流温度に加熱し、24時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。褐色混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc80:20勾配〜60:40)により精製した。所望のジメチルチオフェン−2,3−ジカルボキシレートを得た(21.2g、106mmol、収率31%)。1H NMR (DMSO−d6) 7.93 (d, J = 4.8, 1), 7.35 (d, J = 4.8, 1), 3.8 (d, J = 1, 6); ES MS (M+H)+= 201; TLC (ヘキサン−EtOAc, 70:30); Rf= 0.48。
【化62】

【0179】
工程3:250mLの丸底フラスコに撹拌棒および還流冷却器を備えつけた。このフラスコに、工程2の生成物(16g、80mmol)、ヒドラジン水和物(6.6mL、213mmol)およびEtOH(77mL)を加え、2.5時間還流させた。反応物を室温に冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。水(50mL)を加え、濾液を不溶性固体から分離した。水層をロータリーエバポレーターで濃縮することにより、淡黄色固体を得た。固体を50℃の真空オーブンで一晩乾燥した。所望のチエノ[2,3−d]ピリダジン−4,7−ジオンを得た(12g、71mmol、収率89%)。1H NMR (DMSO−d6) 7.85 (d, J = 5.1, 1), 7.42 (d, J = 5.1, 1); ES MS (M+H)+= 169; TLC (ジクロロメタン−MeOH, 60:40); Rf = 0.58。
【化63】

【0180】
工程4:中間体Bの製造:250mLの丸底フラスコに撹拌棒および還流冷却器を備えつけた。このフラスコに、工程3の生成物(2.5g、14.8mmol)、オキシ塩化リン(45mL、481mmol)およびピリジン(4.57mL、55mmol)を加え、2.5時間還流させた。反応物を室温に冷却し、氷上に注いだ。混合物を分離し、水層をクロロホルム(4×75mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、ロータリーエバポレーターで濃縮することにより、暗黄色固体を得た。所望の4,7−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリダジン(中間体B;1.5g、7.3mmol、収率49%);mp = 260-263 ℃; 1H NMR (DMSO−d6) 8.55 (d, J = 5.7, 1), 7.80 (d, J = 5.7, 1); ES MS (M+H)+= 206; TLC (ヘキサン- EtOAc, 70:30); Rf = 0.56。またRobba, M.; Bull. Soc. Chim. Fr.; 1967, 4220-4235参照。
【化64】

【0181】
工程5:250mLの丸底フラスコに撹拌棒および還流冷却器を備えつけた。このフラスコに、EtOH(75mL)中の工程4の生成物(7.65g、37.3mmol)、4−クロロアニリン(4.76、37.3mmol)を加えた。混合物を3時間還流させた。オレンジ色固体が3時間後に反応物から沈殿した。反応物を室温に冷却し、固体を濾過により集め、ヘキサンで洗浄した。所望の7−クロロ−4−(4−クロロフェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリダジンを得た(6.5g、21.9mmol、収率60%)mp= 139-142℃; ES MS(M+H)+= 297;TLC(ヘキサン−EtOAc, 60:40);Rf = 0.48。
【化65】

【0182】
工程6:150mLの丸底フラスコに撹拌棒および還流冷却器を備えつけた。このフラスコに、DBU(2.5mL、16.7mmol)中の工程5の生成物(0.33g、1.1mmol)、4−ピリジルカルビノール(1.2g、11.2mmol)を加え、混合物を24時間125℃に加熱した。EtOAc(10mL)を熱しながら反応物に加え、次いで反応物を水(10mL)中に注いだ。層を分離し、水層をEtOAc(3×10mL)により抽出した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO)し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。生成した混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール−アセトン、90:5:5)により精製して、淡黄色固体を得た。所望の標記化合物を得た(0.03g、0.08mmol、収率7.3%);mp= 203-205℃ 分解;ES MS(M+H)+= 369; TLC(ジクロロメタン−メタノール−アセトン、95:2.5:2.5);Rf = 0.56。
【0183】
実施例9:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(4−ピリジルメトキシ)フロ[2,3−d]ピリダジンの製造
【化66】

工程1:n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、196mL、491mmol)を、滴下漏斗、アルゴン引入れ口およびメカニカルスターラーを備えつけた乾燥した3L3口フラスコに導入した。混合物を乾燥THF(500mL)で希釈し、−78℃に冷却した。3−フロン酸(25g、223mmol)をTHF(500mL)中の溶液として滴下した。混合物を1.5時間撹拌し、その時点で乾燥二酸化炭素を1時間反応混合物中に吹き込んだ。徐々に−10℃に温めた後、生成した粘稠性白色スラリーをHCl水溶液(2N、446mL)で処理した。2層を分離し、水層をEtOAc(3×300mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(NaSO)し、濾過し、濃縮することにより、粗フラン−2,3−ジカルボン酸をオレンジ色固体(44g)として得、これをそれ以上精製せずに使用した。1H NMR(300 MHz, d6-アセトン) δ 7.06 (d, J = 1.7, 1), 7.97 (d, J = 1.7, 1), 10.7 (bs, 2H);TLC(CHCl3/MeOH/H2O 6:4:1)Rf = 0.56。
【化67】

【0184】
工程2:乾燥した500mL丸底フラスコに撹拌棒およびアルゴン引入れ口を備えつけた。MeOH(250mL)に溶かした工程1で製造した粗二酸(44g)をフラスコに充填した。反応混合物に、クロロトリメチルシラン(80mL、630mmol)を分割して加えた。室温で15.5時間撹拌した後、溶液を油状物に濃縮し、シリカ(5g)を加えた。混合物をMeOH(100mL)に懸濁し、揮発性物質を除去した。MeOH(100mL)での懸濁および揮発性物質の除去をさらに2回反復した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーカラムの上部に直接適用し、ヘキサン/EtOAc60:40で溶離することにより、オレンジ色油状物としてフラン−2,3−ジカルボン酸ジメチルを得た(38g、工程1および工程2を合わせたものについて93%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.81 (s, 3), 3.86 (s, 3), 6.71 (d, J = 2.8, 1), 7.46 (d, J = 2.8, 1); TLC (ヘキサン/EtOAc 60:40) Rf = 0.46。
【化68】

【0185】
工程3:アルゴン引入れ口、還流冷却器および撹拌棒を備えつけた500mLの丸底フラスコに、EtOH(250mL)に溶かしたフラン−2,3−ジカルボン酸ジメチル(44g、236mmol)を充填した。ヒドラジン水和物(55%N、40mL、3.0mmol)を溶液に加え、反応混合物を還流温度に温めた。黄色固体が5.5時間の経過にわたってゆっくりと沈殿した時点で、混合物を室温に冷却した。揮発性物質を減圧下で除去することにより、黄色ペーストを得、これを水に懸濁し、濾過した。黄色固体を水で洗浄し、アルゴン引入れ口、還流冷却器および撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに移した。固体をHCl水溶液(2N、200mL)に懸濁し、混合物を還流温度に温めた。4時間加熱後、オレンジ色スラリーを室温に冷却し、濾過した。固体を水で十分に洗浄し、真空下で乾燥することにより、オレンジ色固体として4,7−ジオキソ[2,3−d]フロピリダジンを得た(21.5g、60%)。1H NMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 7.00 (d, J = 2.1, 1), 8.19 (d, J = 2.1, 1H), 11.7 (bs, 2H)。
【化69】

【0186】
工程4:中間体Cの製造:1Lの丸底フラスコに、還流冷却器、撹拌棒およびアルゴン引入れ口を備えつけた。工程3からのフラン(15.5g、102mmol)を、オキシ塩化リン(300mL)およびピリジン(30mL)の混合物に加え、生成したオレンジ色懸濁液を還流温度に温めた。反応混合物を4時間加熱した後、揮発性物質をロータリーエバポレーターで除去した。残渣を氷に注ぎ、水性混合物をCHCl(4×250mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮することにより、4,7−ジクロロ[2,3−d]フロピリダジン(中間体C、11.3g、59%)をオレンジ色−赤色固体として得、それ以上精製せずに使用した。TLC(ヘキサン/EtOAc) Rf = 0.352; 1H NMR(300 MHz, d6-DMSO) δ 7.40 (d, J = 2.0, 1), 8.63 (d, J = 2.0, 1)。
【化70】

【0187】
工程5:撹拌棒、アルゴン引入れ口および還流冷却器を備えつけた100mLの丸底フラスコに、エタノール(40mL)に溶かした工程4の生成物(1.50g、7.98mmol)を充填した。クロロアニリンをこの混合物に加え(1.02g、7.98mmol)、生成した懸濁液を還流温度に温めた。4時間加熱後、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。粗オレンジ色固体をフラッシュカラムの上部に適用し、CHCl/MeOH97:3で溶離することにより、4−クロロ−7−[N−(4−クロロフェニル)アミノ][2,3−d]フロピリダジンおよび7−クロロ−4−[N−(4−クロロフェニル)アミノ][2,3−d]フロピリダジンの混合物を黄色粉末(1.2g、55%)として得た。TLC (CH2Cl2/MeOH 97:3); Rf = 0.7; 1H NMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 主要異性体 (A) 7.40 (d, J = 8.9, 2), 7.45 (d, J = 2.0, 1), 7.87 (d, J = 9.2, 2), 8.34 (d, J = 2.0, 1) 9.62 (s, 1);少数の異性体 (B) 7.28 (d, J = 2.0, 1), 7.40 (d, J = 8.9, 2), 7.87 (d, J = 9.2, 2), 8.48 (d, J = 2.1, 1), 9.88 (s, 1)。
【化71】

【0188】
工程6:25mLの丸底フラスコに、アルゴン引入れ口、撹拌棒および還流冷却器を備えつけた。工程5の生成物(400mg、1.4mmol)を、4−ピリジルカルビノール(782mg、7.17mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(2.5mL、16.7mmol)と合わせ、スラリーを125℃に温めた。24時間撹拌後、反応物を冷却し、フラッシュカラムの上部に直接適用し、CHCl/MeOH95:5で溶離した。生成した黄色油状物を同じ条件下で再びクロマトグラフィーにかけることにより、3成分の混合物の一部として標記化合物を得た。HPLC分離(C18カラムCHCN/HO 10:90勾配〜100:0)により、オフホワイト固体として標記化合物を得た(13.7mg、3%)。TLC(CH2Cl2/MeOH 95:5) = 0.19; MP 198℃; 1H NMR(300 MHz, CDCl3) δ 5.60 (s, 2), 6.6 (d, J =2.1, 1), 7.18 - 7.20 (m, 2), 7.35 - 7.43 (m, 6), 7.66 (d, J = 2.1, 1) 8.54 (d, J = 5.6, 2)。
【0189】
工程5Aおよび6A:別法として、4,7−ジブロモ[2,3−d]フロピリダジン(下記中間体G)を用い、ジクロロ中間体の代わりにジブロモ中間体を用いて工程5に従うことにより標記化合物を製造した。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンではなくCsCOの存在下で2成分を溶かすことにより工程6Aを実施する。粗生成物を上記要領で精製する。
【0190】
中間体D〜G:他の二環式4,5−縮合−3,6−ジハロピリダジンの製造
【化72】

実施例9、工程2〜4の一般的手順を用いて、ただしフラン−2,3−ジカルボン酸の代わりに適切な複素環ジカルボン酸を用いることにより、下表に示した置換ジクロロピリダジンD〜Gを得る。実施例9からの工程2〜3を用い、次いで工程4'を以下の要領で実施することによりジブロモフロピリダジンGを製造した:工程3の生成物0.50g(3.287mmol)に五臭化リン2.83g(6.57mmol)を加えた。これを125℃に加熱した。約115℃で、反応混合物は溶解し、次いでそれが125℃に達する前に固化した。反応物を冷却し、固体残渣を粉砕し、氷水に投下した。次いで、生成した固体を濾過し、真空乾燥した。重量=0.75g(収率82%)。幾つかの場合において、ジクロロピリダジンは、所定の参考文献で示されているとおり公知物質である。これらのジハロ複素環は全て、主張されている本発明化合物の製造に使用され得る。
【0191】

【表5】

【0192】
中間体H:(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジル)メタノールの製造
【化73】

工程1:N−メチルホルムアミド(2.0L)中のイソニコチン酸エチル(250mL、1.64モル)および濃硫酸(92mL、1.64モル)の撹拌溶液を、氷浴で6℃に冷却した。硫酸鉄(II)7水和物(22.8g、0.0812モル、乳鉢および乳棒で粉砕)を加え、次いで30%過酸化水素水溶液(56mL、0.492モル)を滴下した。反応温度を22℃未満に保ちながら、硫酸鉄(II)および過酸化水素の滴下をさらに4回反復した。反応混合物を30分間撹拌した後、クエン酸ナトリウム溶液(2L、1M)を加えた(生成した混合物のpHは約5であった)。混合物をジクロロメタン(1L、2×500mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、水(2×500mL)、5%重炭酸ナトリウム水溶液(3×100mL)およびブライン(500mL)で洗浄した。次いで、生成した有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮することにより固体を得た。粗固体をヘキサンと磨砕し、濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥することにより、270.35g(79.2%)の淡黄色固体を得た。1H NMR(DMSO-d6,300 MHz): δ 8.9 (d, 1H), 8.3 (m, 1H), 8.0 (dd, 1H), 4.4 (q, 2H), 2.8 (d, 3H), 1.3 (t, 3H)。
【化74】

【0193】
工程2:EtOH(1.3L)中の工程1の生成物(51.60g、0.248モル)の機械的に撹拌したスラリーに、水素化ホウ素ナトリウム(18.7g、0.495モル)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌した。生成した溶液を、飽和塩酸アンモニウム水溶液(2L)で注意深くクエンチングした。クエンチング中、気体の蒸発が観察された。生成した混合物を濃水酸化アンモニウム溶液(200ml)でpH=9に塩基性化した。次いで、それをEtOAc(8×400mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO)し、濾過し、真空下で濃縮することにより、中間体Hを透明明黄色油状物として得た(36.6g、収率89%)。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 8.74 (q, 1H), 8.53 (dd, 1H), 7.99 (m, 1H), 7.48 (m, 1H), 5.53 (t, 1H), 4.60 (d, 2H), 2.81 (d, 3H); MS m/z 167 [M+H]+
【0194】
中間体I〜N:[2−(N−置換)アミノカルボニル−4−ピリジル]メタノール中間体の一般的製造方法
【化75】

ベンゼン中のアミン2(3当量)の0℃溶液に、トリメチルアルミニウム(3当量)を加えた。気体の蒸発が観察され、次いで反応物をそのまま室温に温め、1時間撹拌する。(Lipton,M.F.et al.、Org.Synth.Coll.第6巻、1988、492またはLevin,J.I. et al.、Synth.Comm.、1982、12、989)。公知カルビノール1(1当量、Hadri,A.E.;Leclerc,G.、Heterocyclic Chem.、1993、30、631)をアルミニウム試薬に加え、混合物を1時間還流加熱する。反応物を水でクエンチングし、濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20/1 EtOAc/MeOH)により普通に精製して、標記化合物3を得る。最終生成物をLC/MSおよびNMR分光法により全般的に確認する。
【0195】
【表6】

*溶媒としてベンゼンではなくCHClを使用する。
【0196】
実施例10:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−アミノカルボニル)−4−ピリジルメトキシ)チエノ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化76】

25mLの3口丸底フラスコに撹拌棒および温度計を備えつけた。フラスコに、実施例8の生成物(0.475g、1.29mmol)、硫酸鉄7水和物(0.179g、0.64mmol)、ホルムアミド(11.15mL、281mmol)および濃HSO(0.14mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した時点で、混合物にH(0.2mL、6.44mmol)を滴下した。反応物を室温でさらに1時間撹拌し、次いで30分間にわたって55℃に加熱した。反応物をこの温度で3時間保ち、次いで室温に冷却した。クエン酸ナトリウム水溶液(0.27M、1mL)を反応物に加え、それに続いて層を分離し、水層をEtOAc(4×5mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO)し、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。生成した固体を熱アセトン中に取り、濾過により残存固体から分離した。次いで、濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮し、生成した残渣を熱MeOH中に取り、白色固体を濾過により集めた。目的化合物(.014g、0.034mmol;収率2.7%);mp=233℃;ES MS(M+H)=412;TLC(ジクロロメタン−メタノール−アセトン、95:2.5:2.5);R=0.20。
【0197】
実施例11:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル)−4−ピリジルメトキシ)チエノ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化77】

実施例10の製造に使用した手順を用いて、ホルムアミドの代わりにメチルホルムアミドを用いることにより標記化合物を製造した。1H NMR (DMSO-d6) 8.80 (d, 1), 8.62 (d,1), 8.31 (d, 1), 8.09 (d, 2), 7.86 (d, 2), 7.65 (d, 1), 7.35 (d, 2), 5.74 (s, 2), 2.84 (d, 3); ES MS (M+H)+= 426 (ES); Rf (95/2.5/2.5 DCM/MeOH/アセトン)= 0.469。
【0198】
実施例12:1−(4−クロロフェニルアミノ)−4−(2−アミノカルボニル)−4−ピリジルメチル)イソキノリンの製造
【化78】

実施例10の製造に使用した手順を用いて、実施例8の生成物の代わりに実施例4の生成物を用いることにより標記化合物を製造した。粗生成物を分取TLCプレート(1:4v/vヘキサン−酢酸エチル、収率19%)により精製し、黄色固体として標記化合物を得た。1H-NMR (MeOH-d4) 8.42 (d, 1H), 8.34 (d, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.55 〜 7.76 (m, 5H), 7.26 〜 7.36 (m, 3H), 4.34 (s, 2H); MS ES 389 (M+H)+; TLC(1:4 v/v ヘキサン-酢酸エチル) Rf = 0.44。
【0199】
実施例13:1−(4−クロロフェニルアミノ)−4−(2−メチルアミノカルボニル)−4−ピリジルメチル)イソキノリンの製造
【化79】

実施例11の製造に使用した手順を用いて、実施例8の生成物の代わりに実施例4の生成物を用いることにより標記化合物を製造した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(2:3v/vヘキサン−酢酸エチル、収率20%)により精製し、黄色固体として標記化合物を得た。1H-NMR (MeOH-d4) 8.42 (d, 1H), 8.33 (d, 1H), 7.88 (d, 2H), 7.55 〜 7.77 (m, 5H), 7.28 〜 7.36 (m, 3H), 4.34 (s, 2H), 2.89 (s, 3H); MS ES 403 (M+H); TLC (2:3 v/v ヘキサン-酢酸エチル) Rf = 0.30。
【0200】
実施例14および15:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル)−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンおよび4−(4−クロロフェニルアミノ)−2−メチルアミノカルボニル−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化80】

室温でN−メチルホルムアミド(200mL)および蒸留水(20mL)中の実施例9からの最終生成物(19.20g、54.4mmol)の懸濁液に、濃HSO(2.9mL、54.4mmol)を滴下した。混合物を透明な溶液になるまで撹拌した。この溶液に、FeSO・7HO(1.51g、5.43mmol)を1回で加え、次いでヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(HOSA、1.84g、16.3mmol)を加えた。FeSO・7HOおよびHOSAの添加を10分間隔で11回反復した。HPLC検定法は、ほとんどの出発物質の消費を示した。反応混合物を氷浴中で冷却した。クエン酸ナトリウム溶液(600mL、1M、600mmol)を激しく撹拌しながら加えた。生成した懸濁液をさらに10分間激しく撹拌した。固体を濾過により集め、水(3×100mL)で洗浄し、50℃で16時間、真空下で乾燥した。5%CHOH/CHClで溶離するシリカゲルパッドによる濾過により粗生成物(21g)を精製した。生成した3.7gの生成物を、CHCN(125mL、1.5時間沸騰)中で再結晶化した。固体を濾過により集め、CHCN(2×15mL)で洗浄し、50℃で16時間、真空下で乾燥した。最終生成物(4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジン)は、明黄色固体(3.38g、15.2%)である。mp=223−224℃。
【0201】
上記シリカゲルパッド濾過により主要副産物を単離した。副産物(4−(4−クロロフェニルアミノ)−2−メチルアミノカルボニル−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジン)の構造をH NMR、2D NMR、元素分析およびMSにより特性確認した。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 9.32 (br s, 1H), 8.93 (q, 1H), 8.79 (q, 1H), 8.63 (dd, 1H), 8.12 (m, 1H), 7.91 (m, 3H), 7.70 (dd, 1H), 7.35 (m, 2H), 5.76 (br s, 2H), 2.81 (d, 6H). MS m/z 467 [M+H]+
【0202】
実施例14A:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンの製造−プロセス2
【化81】

トルエン(100mL)中の実施例9、工程5からの中間体(10.0g、35.7mmol)、中間体H(12.4g、74.6mmol)および18−クラウン−6(0.42g、1.59mmol)の混合物に、室温でKOH粉末(4.4g、85%、66.7mmol)を一度に加えた。次いで、反応混合物を激しく撹拌しながら85±2℃に加熱した。反応混合物をこの温度で一晩激しく撹拌した。それを室温に冷却後、トルエン溶液を傾しゃし、水(100mL)をゴム質残渣に加えた。生成した混合物を、自由に流動する懸濁液になるまで激しく撹拌した。固体を濾過により集め、水(2×10mL)で洗浄し、45℃で16時間、真空下で乾燥した。黄色/褐色固体をアセトニトリル(70mL)に懸濁し、懸濁液を2時間還流温度で撹拌した。それを室温に冷却した後、固体を濾過により集め、少量のアセトニトリルで洗浄し、45℃で一晩、真空下で乾燥した。標記生成物は、明黄色固体として収率46%(6.73g)で単離された。
【0203】
実施例16:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−アミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化82】

実施例14の製造に使用した手順を用いて、N−メチルホルムアミドの代わりにホルムアミドを用いることにより標記化合物を製造した。実施例9からの最終生成物500mgおよび比例する量の溶媒および試薬により反応を実施した。粗生成物を、75×30mmC18カラムで、10分間にわたって10ml/分で0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中10〜100%アセトニトリルの直線勾配で溶離するHPLCにより精製し、黄色固体として標記化合物18mgを得た:HPLC(50×4.6mmYMC CombiScreen(登録商標)C18カラム、5分間にわたって3ml/分で0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中0〜100%アセトニトリルの直線勾配、254nmでUV検出)2.35分。ピーク;MS ES396(M+H)
【0204】
実施例17:4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(ベンゾチアゾール−6−イルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリダジンの製造
【化83】

実施例8、工程4からのジクロリド(1.00g、4.90mmol)に、p−クロロアニリン(622mg、4.90mmol)および無水エチルアルコール(10.0mL)を加えた。混合物を95℃で2時間還流させ、次いで室温に冷却した。形成する黄色沈殿物(2)を濾過し、イソプロピルアルコール、4.0NのKOH、HO、次いでヘキサンにより洗浄した。次いで、濾液(2)を、n−ブタノール10ml中の6−アミノベンゾチアゾール(883mg、5.88mmol)と混合し、一晩150℃で加熱した。反応物を室温に放冷した後、溶媒をロータリーエバポレーターにより除去した。残渣を、4.0NのKOH水溶液で連続的に処理し、ジクロロメタン(50mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、溶離剤として95%ジクロロメタン/メタノールを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。純粋な標記化合物の構造をLC/MSおよびNMRにより確認した:TLC (30% EtOAc/ヘキサン) Rf(3)= 0.20; 1H NMR (DMSO) δ 7.2 (dd, 3H), 7.38 (dd, 3H), 7.65 (d, 1H), 8.0 (d, 1H), 8.45 (d, 1H), 8.8 (s, 1H); LC/MS m/z 410 rt = 4.21分。
【0205】
実施例18:4−(インダン−5−イルアミノ)−7−(ベンゾチアゾール−6−イルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリダジンの製造
【化84】

実施例17の製造に用いた手順を用いて、4−クロロアニリンの代わりに5−アミノインダンを用いることにより標記化合物を製造した。粗生成物を、溶離剤として30%酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。純粋な標記化合物の構造をLC/MSおよびNMRにより確認した:TLC (30% EtOAc/ヘキサン) Rf (3) = 0.20; (3) 1H NMR (DMSO) δ 2.0 (m, 2H), 2.85 (m, 4H), 7.18 (d, 1H), 7.8 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 8.7 (d, 2H), 9.1 (d, 2H), LC/MS m/z 414 rt = 4.43 分。
【0206】
実施例19:4−(5−ブロモインドリン−1−イル)−7−(4−ピリジルメトキシ)フロ[2,3−d]ピリダジンの製造
【化85】

実施例9の工程4からの4,7−ジクロロ[2,3−d]フロピリダジン(95mg、0.50mmol)および5−ブロモインドリン(100mg、0.50mmol)を、95℃で2時間、60mLの無水エタノール中で還流させた。反応混合物を室温に放冷し、形成した沈殿物を濾過し、イソプロピルアルコール、4.0NのKOH、HOおよびヘキサンで洗浄し、次いで乾燥した。純度約95%の中間体(rt=4.72、(M+H)350)をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。4−ピリジルカルビノール(28mg、0.26mmol)および水素化ナトリウム(60%、50mg、1.25mmol)を、アルゴン下で20分、0℃の無水テトラヒドロフラン20mL中で撹拌し、次いで上記中間体(0.13mmol)44mgを加えた。反応物を0℃で2時間撹拌し、温度を室温に上昇させた。混合物をさらに12時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた固体をジクロロメタン50mLに溶解し、KCO溶液およびHOで洗浄した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いるシリカゲルでの分取TLC(R=0.3)により精製した。純粋な標記化合物の構造をLC/MSおよびNMRにより確認した:1H NMR (CDCl3) δ 3.20 (m, 2H), 4.30〜4.50 (m, 2H), 5.60 (s, 2H), 6.9 〜 8.0 (m, 7 H), 8.60 (m, 2H); LC/MS(M+H)+ 423 rt = 4.49 分。
【0207】
実施例20:4−(4−メトキシフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化86】

DME(5mL)中の実施例9の工程4からの4,7−ジクロロ[2,3−d]フロピリダジン(400mg、2.12mmol、1当量)およびp−アニシジン(p−MeOCNH)(260mg、2.12mmol、1当量)の懸濁液に、水(1mL)を加えた。生成した溶液を50℃で48時間加熱した。室温に冷却後、褐色沈殿物を濾過により除去し、濾液を真空中で濃縮することにより、褐色固体として粗生成物を得た。褐色固体をCHClと磨砕することにより、中間体4−(4−メトキシフェニルアミノ)−7クロロフロ−[2,3−d]ピリダジン292mg(50%)を得、これをLC/MSおよびNMRにより確認した。トルエン(4mL)中のこの中間体(292mg、1.06mmol、1当量)、(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジル)メタノール(中間体H、529mg、3.18mmol、3当量)および18−クラウン−6(42mg、0.16mmol、15モル%)の懸濁液を、室温で20分間撹拌した。次いで、KOH(178mg、3.18mmol、3当量)を加え、反応混合物を36時間80℃に加熱した。室温に冷却後、水(10mL)を加え、微細な白色懸濁液が形成されるまで混合物を激しく撹拌した。懸濁液を濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄することにより、目的生成物125mg(29%)を明黄色固体として得た:(M+H)406;R=0.50(100%EtOAc)。
【0208】
実施例21:4−(4−メトキシフェニルアミノ)−7−(4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化87】

実施例20の製造に使用した手順を用いて、(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジル)メタノールの代わりに4−ピリジルメタノールを用いることにより標記化合物を製造した。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより純粋な生成物を単離した:(M+H)+ 349; Rf = 0.3 (95:5 CH2Cl2/CH3OH)。
【0209】
実施例22:4−(4−メトキシフェニルアミノ)−7−(2−アミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンの製造
【化88】

実施例16の製造に使用した手順を用いて、実施例9からの生成物の代わりに実施例21の生成物を用いることにより標記化合物を製造した。出発物質250mgおよび比例する量の溶媒および試薬により反応を実施した。粗生成物を、75×30mmC18カラムで、10分間にわたって10ml/分で0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中10〜100%アセトニトリルの直線勾配で溶離するHPLCにより精製し、黄色固体として標記化合物16mgを得た:HPLC(50×4.6mmYMC CombiScreen(登録商標)C18カラム、5分間にわたって3ml/分で0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中0〜100%アセトニトリルの直線勾配、254nmでUV検出)1.98分。ピーク;MS ES392(M+H)
【0210】
実施例23〜80:方法A−1、A−2およびA−3による本発明化合物の製造
【化89】

方法A−1:等しい当量のジクロリド(1)およびM−NHを、95℃で2時間、適量の無水エタノール中で還流する。反応混合物を室温に放冷し、形成する沈殿物(2)を濾過し、イソプロピルアルコール、4.0NのKOH、HOおよびヘキサンで連続的に洗浄し、次いで乾燥する。次いで、濾液(2)を、150℃で10時間、適量のn−ブチルアルコール中1.2当量のQ−NHと反応させる。反応物を室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を4.0NのKOH水溶液で処理し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を乾燥(MgSO)し、蒸発させる。粗生成物(3)を、溶離剤としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いる分取薄層クロマトグラフィー(TLC)またはシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。最終生成物をLC/MSおよび/またはNMRにより確認する。下表に示した実施例23〜25、48および76〜80の本発明化合物を方法A−1により製造した。
【化90】

【0211】
方法A−2:1当量のジクロリド(1)および2.2当量のM−NHを、150℃で10時間、適量のn−ブタノール中で還流する。反応混合物を室温に放冷し、形成する沈殿物(4)を濾過し、イソプロピルアルコール、4.0NのKOH、HOおよびヘキサンで連続的に洗浄し、次いで乾燥する。粗生成物(4)を、溶離剤としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いる分取TLCまたはシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。最終生成物をLC/MSおよび/またはNMRにより確認する。下表に示した実施例26〜33および75の本発明化合物を方法A−2により製造した。
【化91】

【0212】
方法A−3:1当量のジクロリド(1)および1当量のM−NHを、DME(0.3M)に懸濁し、溶液が形成されるまで水を加える。反応混合物を48時間65℃に加熱する。室温に冷却後、生成した沈殿物を濾過し、DMEで洗浄することにより、中間体生成物(2)を得、これをLC/MSおよびNMRにより確認する。場合によっては、中間体(2)をさらに分取TLCにより精製するか、または他の溶媒で洗浄する。トルエン(0.3M)中の(2)(1当量)、カルビノール(3)(3当量)および18−クラウン−6(10モル%)の懸濁液を、室温で10分間撹拌する。次いで、KOH(3当量)を加え、反応混合物を24時間80℃に加熱する。室温に冷却後、水を加え、懸濁液が形成されるまで混合物を激しく撹拌する。懸濁液を濾過し、水で洗浄することにより、目的生成物(4)を得る。実施例によっては、分取TLCおよび/または他の溶媒による洗浄を用いて、最終生成物をさらに精製する。最終生成物をLC/MSおよびNMR分光法により割り当てる。最終生成物をLC/MSおよびNMRにより確認する。下表に示した実施例34〜47、49〜74および81〜82Dの本発明化合物を方法A−3により製造した。
【0213】
並行方法A−1、A−2またはA−3により製造された化合物
【化92】

【表7】

【0214】
【表8】

【0215】
【表9】

【0216】
【表10】

【0217】
【表11】

【0218】
【表12】

【0219】
【表13】

【0220】
*この表の化合物は全て、HPLC−陽イオンエレクトロスプレー質量分析法(HPLCES−MS、条件は下記のとおり)により特性確認され得る。さらに、化合物の幾つかをシリカゲルプレートでのTLCにより特性確認し、R値および溶媒を示す。HPLC保持時間は、この表における他の実施例について与えられている。HPLC−エレクトロスプレーマススペクトル(HPLC ES−MS)は、4液ポンプ、可変波長検出器、YMC Pro C18 2.0mm×23mmカラム、およびエレクトロスプレーイオン化を伴う Finnigan LCQイオントラップ質量分析計を備えたHewlett-Packard 1100HPLCを用いて得られた。4分間にわたる90%Aから95%Bへの勾配溶離をHPLCで用いた。バファーAは、98%水、2%アセトニトリルおよび0.02%TFAであった。バファーBは、98%アセトニトリル、2%水および0.018%TFAであった。スペクトルを、ソースにおけるイオン数により変化し得るイオン時間を用いて140〜1200amuの範囲で走査した。UVピーク検出を伴うHPLC検定法を、HPLC ES−MS実験に加えて実施した。条件は以下のとおりである:50×4.6mmYMC CombiScreen(登録商標)C18カラム、5分間にわたって3ml/分で0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中0〜100%アセトニトリルの直線勾配、254nmでUV検出。トリフルオロ酢酸塩が純粋生成物の蒸発により単離されるようにトリフルオロ酢酸を加えた水/アセトニトリル勾配を用いるC18カラムでのRP−HPLCにより生成物を精製した。示したとおり、アミンではなく4−ピリジルメタノールを方法A−1の工程2で使用した。5−アミノ−2,3−ジヒドロベンゾフランの製造については、Mitchell,H.;Leblanc,Y. J.Org.Chem. 1994、59、682−687参照。既知TBS保護アルコール中間体の製造については、Parsons,A.F.;Pettifer,R.M.、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、1998、651参照。
【0221】
【化93】

の脱保護を以下の方法で実施した:THF中のTBAFの1.0モル溶液3当量を、室温でTHF(0.05モル)中の保護アルコールの溶液に加えた。反応混合物をそのまま室温で1時間撹拌し、水でクエンチングし、次いでEtOAcで抽出した。
【0222】
実施例83〜92:方法B−1によるイソキノリン類の製造
【化94】

方法B−1:8mLバイアル中のジブロモイソキノリン(5,29mg、0.1mmol)実施例1、工程1、およびM−NH(0.2mmol)を、90℃で36時間、n−ブタノール1mL中で加熱した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。4−メルカプトピリジン(23mg、0.2mmol)および炭酸セシウム(67mg、0.2mmol)をバイアルに加えた。混合物を180℃で1時間加熱し、室温に放冷した。メタノール(2mL)をバイアルに加え、混合物を10分間超音波処理し、濾過した。反応混合物のメタノール溶液を集め、減圧下で蒸発させた。生成物の形成をLC/MSにより確認した。下表に示した実施例83〜92の本発明化合物を方法B−1により製造した。
【0223】
方法B−1により製造された化合物
【表14】

【0224】
【表15】

【0225】
HPLC−エレクトロスプレーマススペクトル(HPLC ES−MS)は、4液ポンプ、可変波長検出器、YMC Pro C18 2.0mm×23mmカラム、およびエレクトロスプレーイオン化を伴う Finnigan LCQイオントラップ質量分析計を備えたHewlett-Packard 1100HPLCを用いて得られた。4分間にわたる90%Aから95%Bへの勾配溶離をHPLCで用いた。バファーAは、98%水、2%アセトニトリルおよび0.02%TFAであった。バファーBは、98%アセトニトリル、2%水および0.018%TFAであった。スペクトルを、ソースにおけるイオン数により変化し得るイオン時間を用いて140〜1200amuの範囲で走査した。
【0226】
実施例93〜105:並行合成による新規フタラジン本発明化合物の製造
示した通り、方法A−1またはA−2を用いて、適切な二環式および置換アニリンと一緒にジクロロヘテロシクロピリダジンではなく1,4−ジクロロフタラジン(製法については、Novartis 特許国際公開第98/35958号(11.02.98)参照)から新規フタルイミド本発明化合物93〜105を製造した。
【化95】

【0227】
方法A−1またはA−2により製造された新規フタラジン類
【化96】

【表16】

【0228】
【表17】

【0229】
*HPLC−エレクトロスプレーマススペクトル(HPLC ES−MS)は、4液ポンプ、可変波長検出器、YMC Pro C18 2.0mm×23mmカラム、およびエレクトロスプレーイオン化を伴う Finnigan LCQイオントラップ質量分析計を備えたHewlett-Packard 1100HPLCを用いて得られた。4分間にわたる90%Aから95%Bへの勾配溶離をHPLCで用いた。バファーAは、98%水、2%アセトニトリルおよび0.02%TFAであった。バファーBは、98%アセトニトリル、2%水および0.018%TFAであった。スペクトルを、ソースにおけるイオン数により変化し得るイオン時間を用いて140〜1200amuの範囲で走査した。
【0230】
実施例106〜114:実施例14の塩類の製造
メタノール(5ml+5ml洗浄液)中のトルエンスルホン酸水和物(0.701g、3.67mmol)の溶液を迅速に滴下しながら、実施例14の生成物(1.50g、3.66mmol)をメタノール中のスラリーとして撹拌した。5分間かけて全物質を溶解させることにより、黄色溶液を得た。無水エーテル(30ml)を加え、固体が沈殿し始めるまで撹拌を5分間続行した。生成した混合物を45分間氷/水浴中で撹拌しながら冷却し、次いで固体の標記化合物(実施例14)を濾過により集め、エーテルで洗浄し、NMR分析が溶媒の欠如を示すまで(1.5時間)真空オーブン中55℃で乾燥した。同じ方法で、トルエンスルホン酸以外の様々な酸を用いることにより、他の化合物を製造した。第1工程で規模を拡大し、メタノールの使用を減らすと、一般的に塩の沈殿は迅速になり、示したとおり、エーテル以外の様々な溶媒を使用することにより、個々の塩の結晶化が促進された。場合によっては、メタノールを最初に真空中で蒸発させることにより除去することもあった。最後の乾燥は、物質の量および使用する特定の酸によって、1.5時間〜数日間かかった。
【0231】
製造された実施例14の塩類
【表18】

1:1塩ではなくHClによる二塩が単離された。2当量未満の酸を使用する場合、これが起こった。
【0232】
生物学的プロトコルおよびインビトロ試験データ
本発明による化合物および薬剤組み合わせの効果を、摘出ラット肺動脈においてインビトロで、および肺高血圧症のモノクロタリン処理ラットにおいてインビボで試験する。
【0233】
摘出小肺動脈
雄のウィスターラット(250〜300g)にエーテルで麻酔をかけ、肺を摘出した。左肺動脈を切開し、以下の組成(mmol/lで)の氷冷クレブス-ヘンゼライト(KH)緩衝液中に入れた:NaCl 112、KCl 5.9、CaCl 2.0 MgCl 1.2、NaHPO 1.2、NaHCO 25、グルコース11.5および所望による試験される化合物/組み合わせ、濃度10−10〜10−4モル/l。
【0234】
等尺性張力を測定するため、長さ2mmの環状切片を、小脈管チャンバーミオグラフ(筋運動記録器)に載せる。Mulvany および Halpern(Circulation Research、1977、41:19−26)により報告された方法にしたがって、2本のワイヤー(直径40μm)を、切片の管腔に導入して載せる。37℃およびpH=7.4で酸素添加KH溶液中において30分の平衡期間後、脈管が30mmHgの経壁圧により生じる張力と等しい静止張力に暴露された場合にそれらが有する状態の90%に内部環状面を設定することにより切片の内部環状面−壁張力比に基づいて測定される活動張力発生に最適な管腔直径に切片を引き伸ばす。
【0235】
そのあと、切片を3回KH溶液で洗浄し、30分間平衡状態にしておく。次いで、高K溶液(120mmol/l K−KH溶液、NaClが等モルに基づいてKClにより置き換えられる以外はKH溶液と同一である)への初回暴露により切片収縮性を試験する。
【0236】
次いで、K(50mmol/l)KH溶液を用いて脈管を前収縮させる。収縮が安定したとき、試験化合物/組合せの累積用量応答曲線を構築する。K(50mmol/l)KH溶液により誘導される安定した収縮を、100%張力として定義する。弛緩を張力パーセンテージとして表す。
【0237】
モノクロタリン処理ラットにおける肺動脈圧
雄のスプラーグ・ドーリーラット(250〜300g)を、モノクロタリン60mg/kgにより皮下処理する(=0日目)。モノクロタリン注射処理後14日目、試験化合物/組み合わせを投与する。28日目、血行動態パラメーター、すなわち右心室圧、全身血圧、心拍数、動脈および静脈酸素飽和度を測定し、未処理対照動物と比較する。
【0238】
結果:
上記モノクロタリン(MCT)処理ラットに対し、中等度の肺動脈高血圧の発症後MCTの注射後14日目から開始して28日目の最終血行動態測定まで実施例14[4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジン]10mg/kgまたは賦形剤を胃管栄養法により1日1回無作為に与える。MCT誘発肺動脈高血圧動物では、実施例14での処置により、賦形剤処置ラットと比べて、右心室収縮期圧が著しく減少する(対照:25±0.56mmHg;実施例14:42.04±3.21mmHg対プラセボ:71.02±5.38mmHg)(平均±SEM)。実施例14のこの効果は、右心室肥大の阻害と対応している(右心室/左心室+比対照:0.26±0.01;実施例14:0.32±0.02対プラセボ:0.54±0.04)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺高血圧症の処置、予防または管理用の医薬の製造を目的とする、式(I):
【化1】

[式中、
およびRは、一体となって2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化2】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CR、C(RまたはNRを表し、
前式中、Gは、
・−N(R
・−NRCOR
・ハロゲン;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・低級アルケニル;
・低級シクロアルケニル;
・ハロゲン置換アルキル;
・アミノ置換アルキル;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル;
・ヒドロキシ置換アルキル;
・シアノ置換アルキル;
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・ハロゲン置換アルキルアミノ;
・アミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ;
・ヒドロキシ置換アルキルアミノ;
・シアノ置換アルキルアミノ;
・カルボキシ置換アルキルアミノ;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・ハロゲン化低級アルコキシ;
・ハロゲン化低級アルキルチオ;
・ハロゲン化低級アルキルスルホニル;
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CON(R
・−CHOR
・−NO
・−CN;
・アミジノ;
・グアニジノ;
・スルホ;
・−B(OH)2;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリルアルキル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリルアルキル;
・−OCO
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−CHO;
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R
から成る群から独立して選択される置換基であり、
は、Hまたは低級アルキルであり、
は、
・H;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・置換されていることもあるアリール;および
・置換されていることもあるアリール低級アルキル;
・低級アルキル−N(R;および
・低級アルキル−OH
から成る群から独立して選択される)
で示される二環を形成し、
は、H、ハロゲンまたは低級アルキルであり、
pは、0、1または2であり、
Xは、O、SおよびNRから成る群から選択され、
Yは、
・低級アルキレン;
・−CH−O−;
・−CH−S−;
・−CH−NH−;
・−O−;
・−S−;
・−NH−;
・−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−;
・−(CR−C(G)(R)−(CR−;
(式中、nおよびsは各々独立して0または1〜2の整数であり、Gは、−CN、−CO、−CON(Rおよび−CHN(Rから成る群から選択される)
・−O−CH−;
・−S(O)−;
・−S(O)
・−SCH−;
・−S(O)CH−;
・−S(O)CH−;
・−CHS(O)−;および
・−CHS(O)
から成る群から選択され、
Zは、CRまたはNであり、
qは、0、1または2であり、
は、
・低級アルキル;
・−NRCOR
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CHOR
・−CON(R
・−S(O)N(R
・−NO
・−CN;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R;および
・構造T=T−T
(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG3'を表し、
は、S、O、CR3'、C(RまたはNRを表し、
3'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
末端TはLに結合し、TはDに結合し、5員縮合環を形成する)
で示される二価ブリッジ
から成る群から選択される一価または二価部分であり、
AおよびDは、独立してNまたはCHを表し、
BおよびEは、独立してNまたはCHを表し、
LはNまたはCHを表すが、ただし、
a)A、B、D、EおよびLを含む環におけるN原子の総数は、0、1、2または3であり、
b)LがCHを表し、いずれかのGが一価置換基であるとき、AおよびDのうち少なくとも1個はN原子であり、
c)LがCHを表し、Gが構造T=T−Tの二価ブリッジであるとき、A、B、DおよびEもまたCHであるものとし、
Jは、
・アリール;
・ピリジルおよび
・シクロアルキル
から成る群から選択される環であり、
q'は、環Jにおける置換基Gの数を表し、0、1、2、3、4または5であり、
は、
・−N(R
・−NRCOR
・ハロゲン;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・低級アルケニル;
・低級シクロアルケニル;
・ハロゲン置換アルキル;
・アミノ置換アルキル;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル;
・ヒドロキシ置換アルキル;
・シアノ置換アルキル;
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・ハロゲン置換アルキルアミノ;
・アミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ;
・ヒドロキシ置換アルキルアミノ;
・シアノ置換アルキルアミノ;
・カルボキシ置換アルキルアミノ;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・ハロゲン化低級アルコキシ;
・ハロゲン化低級アルキルチオ;
・ハロゲン化低級アルキルスルホニル;
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CON(R
・−CHOR
・−NO
・−CN;
・アミジノ;
・グアニジノ;
・スルホ;
・−B(OH)2;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・−OCO
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−CHO;
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R;および
・環Jの隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジ
[前記ブリッジは、構造:
a)
【化3】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、
は、S、O、CR4'、C(RまたはNRを表し、
G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化4】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、
G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表すが、
ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、
環Jへの結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化5】

(式中、
各T、TおよびTは、独立してO、S、CR4'、C(RまたはNRを表し、
G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TまたはTを介して行われるが、ただし、
i)一方のTがO、SまたはNRであるとき、他方のTはCR4'またはC(Rであり、
ii)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
iii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)
を有する]
から成る群から選択される一価または二価部分であり、
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は2、3または4である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2、3または4であり、その結果5、6または7員の窒素含有環が形成されるものとし、さらに、
−G、G、GおよびGにおいて、2個の基RまたはRがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜7環原子のN含有複素環を形成し得、
−アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得、
−アルキル基がO、SまたはNに結合され、ヒドロキシル置換基を含むとき、そのヒドロキシル置換基は、アルキル基が結合しているO、SまたはNから少なくとも2個の炭素原子により分離されているものとする]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグまたはジアステレオマー形態の使用。
【請求項2】
およびRが、一体となって2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジが、それが結合している環と一体となって、構造
【化6】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、Tは、S、O、CHまたはNRを表すが、ただしTがOまたはSであるとき、少なくとも1個のTはCHまたはCGであるものとする)
で示される二環を形成する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
肺高血圧症の処置、予防または管理用の医薬の製造を目的とする、式(I):
【化7】

[式中、
およびRは、
i)独立してHまたは低級アルキルを表すか、
ii)一体となって、構造
【化8】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iii)一体となって、構造
【化9】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iv)一体となって、構造
【化10】

(式中、1個または2個の環構成員TはNであり、他はCHまたはCGであり、結合は末端原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、または
v)一体となって、2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化11】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CR、C(RまたはNRを表す)
で示される二環を形成し、
さらに上式中、
mは0または1〜4の整数であり、
は、
・−N(R
・−NRCOR
・ハロゲン;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・低級アルケニル;
・低級シクロアルケニル;
・ハロゲン置換アルキル;
・アミノ置換アルキル;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル;
・ヒドロキシ置換アルキル;
・シアノ置換アルキル;
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・ハロゲン置換アルキルアミノ;
・アミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ;
・ヒドロキシ置換アルキルアミノ;
・シアノ置換アルキルアミノ;
・カルボキシ置換アルキルアミノ;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・ハロゲン化低級アルコキシ;
・ハロゲン化低級アルキルチオ;
・ハロゲン化低級アルキルスルホニル;
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CON(R
・−CHOR
・−NO
・−CN;
・アミジノ;
・グアニジノ;
・スルホ;
・−B(OH)2;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリルアルキル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリルアルキル;
・−OCO
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−CHO;
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R
から成る群から独立して選択される置換基であり、
は、Hまたは低級アルキルであり、
は、
・H;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・置換されていることもあるアリール;および
・置換されていることもあるアリール低級アルキル;
・低級アルキル−N(R;および
・低級アルキル−OH
から成る群から独立して選択されるものとし、
は、H、ハロゲンまたは低級アルキルであり、
pは、0、1または2であり、
Xは、O、SおよびNRから成る群から選択され、
Yは、
・低級アルキレン;
・−CH−O−;
・−CH−S−;
・−CH−NH−;
・−O−;
・−S−;
・−NH−;
・−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−;
・−(CR−C(G)(R)−(CR−;
(式中、nおよびsは各々独立して0または1〜2の整数であり、Gは、−CN、−CO、−CON(Rおよび−CHN(Rから成る群から選択される)
・−O−CH−;
・−S(O)−;
・−S(O)
・−SCH−;
・−S(O)CH−;
・−S(O)CH−;
・−CHS(O)−;および
・−CHS(O)
から成る群から選択され、
Zは、NまたはCRであり、
qは1または2であり、
は、
・低級アルキル;
・−NRCOR
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CHOR
・−CON(R
・−S(O)N(R
・−NO
・−CN;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R;および
・構造T=T−T
(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG3'を表し、
は、S、O、CR3'、C(RまたはNRを表し、
3'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
末端TはLに結合し、TはDに結合し、5員縮合環を形成する)
で示される二価ブリッジ
から成る群から選択される一価または二価部分であり、
AおよびDはCHであり、
BおよびEはCHであり、
LはCHであるが、ただし、形成されたフェニル環は、G置換基として構造T=T−Tの二価ブリッジを有し、
Jは、
・アリール;
・ピリジルおよび
・シクロアルキル
から成る群から選択される環であり、
q'は、環Jにおける置換基Gの数を表し、0、1、2、3、4または5であり、
は、
・−N(R
・−NRCOR
・ハロゲン;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・低級アルケニル;
・低級シクロアルケニル;
・ハロゲン置換アルキル;
・アミノ置換アルキル;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル;
・ヒドロキシ置換アルキル;
・シアノ置換アルキル;
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・ハロゲン置換アルキルアミノ;
・アミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ;
・ヒドロキシ置換アルキルアミノ;
・シアノ置換アルキルアミノ;
・カルボキシ置換アルキルアミノ;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・ハロゲン化低級アルコキシ;
・ハロゲン化低級アルキルチオ;
・ハロゲン化低級アルキルスルホニル;
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CON(R
・−CHOR
・−NO
・−CN;
・アミジノ;
・グアニジノ;
・スルホ;
・−B(OH)2;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・−OCO
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−CHO;
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R;および
・環Jの隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジ
[前記ブリッジは、構造:
a)
【化12】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、
は、S、O、CR4'、C(RまたはNRを表し、
4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化13】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、
G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表すが、
ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、
環Jへの結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化14】

(式中、
各T、TおよびTは、独立してO、S、CR4'、C(RまたはNRを表し、
G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TまたはTを介して行われるが、ただし、
i)一方のTがO、SまたはNRであるとき、他方のTはCR4'またはC(Rであり、
ii)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
iii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)
を有する]
から成る群から選択される一価または二価部分であり、
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は2、3または4である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2、3または4であり、その結果5、6または7員の窒素含有環が形成されるものとし、さらに、
−G、G、GおよびGにおいて、2個の基RまたはRがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜7環原子のN含有複素環を形成し得、
−アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得、
−アルキル基がO、SまたはNに結合され、ヒドロキシル置換基を含むとき、そのヒドロキシル置換基は、アルキル基が結合しているO、SまたはNから少なくとも2個の炭素原子により分離されているものとする]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグまたはジアステレオマー形態の使用。
【請求項4】
A、B、D、EおよびLおよび構造T=T−Tの二価ブリッジを含む環において、末端TがNを表し、ブリッジのTユニットがS、O、CRまたはNRを表す、請求項3記載の使用。
【請求項5】
肺高血圧症の処置、予防または管理用の医薬の製造を目的とする、式(I):
【化15】

[式中、
およびRは、
i)独立してHまたは低級アルキルを表すか、
ii)一体となって、構造
【化16】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iii)一体となって、構造
【化17】

(式中、結合は末端炭素原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、
iv)一体となって、構造
【化18】

(式中、1個または2個の環構成員TはNであり、他はCHまたはCGであり、結合は末端原子を介して行われる)
で示されるブリッジを形成するか、または
v)一体となって、2個のT部分および1個のT部分を含むブリッジを形成し、前記ブリッジは、それが結合している環と一体となって、構造
【化19】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCGを表し、
は、S、O、CR、C(RまたはNRを表す)
で示される二環を形成し、
さらに上式中、
mは0または1〜4の整数であり、
は、
・−N(R
・−NRCOR
・ハロゲン;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・低級アルケニル;
・低級シクロアルケニル;
・ハロゲン置換アルキル;
・アミノ置換アルキル;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル;
・ヒドロキシ置換アルキル;
・シアノ置換アルキル;
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・ハロゲン置換アルキルアミノ;
・アミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ;
・ヒドロキシ置換アルキルアミノ;
・シアノ置換アルキルアミノ;
・カルボキシ置換アルキルアミノ;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・ハロゲン化低級アルコキシ;
・ハロゲン化低級アルキルチオ;
・ハロゲン化低級アルキルスルホニル;
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CON(R
・−CHOR
・−NO
・−CN;
・アミジノ;
・グアニジノ;
・スルホ;
・−B(OH)2;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリルアルキル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリルアルキル;
・−OCO
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−CHO;
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R
から成る群から独立して選択される置換基であり、
は、Hまたは低級アルキルであり、
は、
・H;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・置換されていることもあるアリール;および
・置換されていることもあるアリール低級アルキル;
・低級アルキル−N(R;および
・低級アルキル−OH
から成る群から独立して選択されるものとし、
は、H、ハロゲンまたは低級アルキルであり、
pは、0、1または2であり、
Xは、O、SおよびNRから成る群から選択され、
Yは、
・低級アルキレン;
・−CH−O−;
・−CH−S−;
・−CH−NH−;
・−O−;
・−S−;
・−NH−;
・−(CR−S(O)−(5員ヘテロアリール)−(CR−;
・−(CR−C(G)(R)−(CR−;
(式中、nおよびsは各々独立して0または1〜2の整数であり、Gは、−CN、−CO、−CON(Rおよび−CHN(Rから成る群から選択される)
・−O−CH−;
・−S(O)−;
・−S(O)
・−SCH−;
・−S(O)CH−;
・−S(O)CH−;
・−CHS(O)−;および
・−CHS(O)
から成る群から選択され、
ZはCRであり、
qは1または2であり、
は、
・−NRCOR
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CHOR
・−CON(R
・−S(O)N(R
・−NO
・−CN;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R;および
・構造T=T−T
(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG3'を表し、
は、S、O、CR3'、C(RまたはNRを表し、
3'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
末端TはLに結合し、TはDに結合し、5員縮合環を形成する)
で示される二価ブリッジ
から成る群から選択される一価または二価部分であり、
AおよびDは、独立してNまたはCHであり、
BおよびEは、独立してNまたはCHであり、
LはNまたはCHであるが、ただし、
a)A、B、D、EおよびLを含む環におけるN原子の総数は、0、1、2または3であり、
b)LがCHを表し、いずれかのGが一価置換基であるとき、AおよびDのうち少なくとも1個はN原子であり、
c)LがCHを表し、Gが構造T=T−Tの二価ブリッジであるとき、A、B、DおよびEもまたCHであるものとし、
Jは、
・アリール;
・ピリジルおよび
・シクロアルキル
から成る群から選択される環であり、
q'は、環Jにおける置換基Gの数を表し、0、1、2、3、4または5であり、
は、
・−N(R
・−NRCOR
・ハロゲン;
・アルキル;
・シクロアルキル;
・低級アルケニル;
・低級シクロアルケニル;
・ハロゲン置換アルキル;
・アミノ置換アルキル;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキル;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキル;
・ヒドロキシ置換アルキル;
・シアノ置換アルキル;
・カルボキシ置換アルキル;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキル;
・ハロゲン置換アルキルアミノ;
・アミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N,N−ジ−低級アルキルアミノ置換アルキルアミノ;
・N−低級アルカノイルアミノ置換アルキルアミノ;
・ヒドロキシ置換アルキルアミノ;
・シアノ置換アルキルアミノ;
・カルボキシ置換アルキルアミノ;
・低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・フェニル低級アルコキシカルボニル置換アルキルアミノ;
・−OR
・−SR
・−S(O)R
・−S(O)
・ハロゲン化低級アルコキシ;
・ハロゲン化低級アルキルチオ;
・ハロゲン化低級アルキルスルホニル;
・−OCOR
・−COR
・−CO
・−CON(R
・−CHOR
・−NO
・−CN;
・アミジノ;
・グアニジノ;
・スルホ;
・−B(OH)2;
・置換されていることもあるアリール;
・置換されていることもあるヘテロアリール;
・置換されていることもある飽和ヘテロシクリル;
・置換されていることもある部分不飽和ヘテロシクリル;
・−OCO
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキル;
・置換されていることもあるヘテロアリールオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリール);
・置換されていることもあるヘテロアリールアルキルオキシ;
・−S(O)(置換されていることもあるヘテロアリールアルキル);
・−CHO;
・−OCON(R
・−NRCO
・−NRCON(R;および
・環Jの隣接位置に結合され連結している縮合環形成二価ブリッジ
[前記ブリッジは、構造:
a)
【化20】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、
は、S、O、CR4'、C(RまたはNRを表し、
4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TおよびTを介して行われる);
b)
【化21】

(式中、
各Tは、独立してN、CHまたはCG4'を表し、
G4'は、一価である上記部分G4のいずれかを表すが、
ただし、最大2個のブリッジ原子TはNであり得るものとし、
環Jへの結合は末端原子Tを介して行われる);および
c)
【化22】

(式中、
各T、TおよびTは、独立してO、S、CR4'、C(RまたはNRを表し、
G4'は、一価である上記部分Gのいずれかを表し、
環Jへの結合は、末端原子TまたはTを介して行われるが、ただし、
i)一方のTがO、SまたはNRであるとき、他方のTはCR4'またはC(Rであり、
ii)TおよびT原子を含むブリッジは最大2個のヘテロ原子O、SまたはNを含み得、
iii) TおよびT原子を含むブリッジにおいて、1個のT基および1個のT基がO原子であるか、または2個のT基がO原子であるとき、O原子は少なくとも1個の炭素原子により分離されているものとする)
を有する]
から成る群から選択される一価または二価部分であり、
が−(CR−結合に隣接した環Jに位置するアルキル基であり、XがNR(式中、Rはアルキル置換基である)であるとき、GおよびX上のアルキル置換基Rは、連結されて構造−(CHp'−(式中、p'は2、3または4である)で示されるブリッジを形成し得るが、ただし、pおよびp'の合計は2、3または4であり、その結果5、6または7員の窒素含有環が形成されるものとし、さらに、
−G、G、GおよびGにおいて、2個の基RまたはRがそれぞれアルキルであって、同じN原子に位置するとき、それらは結合、O、SまたはNRにより結合されて、5〜7環原子のN含有複素環を形成し得、
−アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が置換されていることもあるとき、その環は、アミノ、モノ低級アルキル置換アミノ、ジ−低級アルキル置換アミノ、低級アルカノイルアミノ、ハロゲノ、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、低級アルカノイルオキシ、−CO、−CHO、−CHOR、−OCO、−CON(R、−OCON(R、−NRCON(R、ニトロ、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホおよびシアノから成る群から独立して選択される5個以下の置換基を含み得、
−アルキル基がO、SまたはNに結合され、ヒドロキシル置換基を含むとき、そのヒドロキシル置換基は、アルキル基が結合しているO、SまたはNから少なくとも2個の炭素原子により分離されているものとする]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグまたはジアステレオマー形態の使用。
【請求項6】
がHである、請求項5記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物が、4−(4−クロロフェニルアミノ)−7−(2−メチルアミノカルボニル−4−ピリジルメトキシ)フロ−[2,3−d]ピリダジンまたはその医薬上許容される塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグまたはジアステレオマー形態である、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)で示される少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のエラスターゼ阻害剤および/または1種のキナーゼ阻害剤を含む組合せ。
【請求項9】
キナーゼ阻害剤がグリベックである、請求項8記載の組合せ。
【請求項10】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)で示される化合物または請求項8ないし請求項9のいずれかに記載の組合せ、並びに、抗凝固薬、利尿剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張剤、プロスタサイクリン類似体、内皮拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、エンドペプチダーゼ阻害剤、脂質低下薬、トロンボキサン阻害剤および肺動脈圧を降下させることが知られている他の治療薬から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤を含む組合せ。
【請求項11】
さらなる治療剤がホスホジエステラーゼV阻害剤、エンドセリン拮抗薬またはプロスタサイクリン類似体である、請求項10記載の組合せ。
【請求項12】
さらなる治療剤が、タダラフィル、シルデナフィル、バルデナフィル、ボセンタン、シタキセンタン、イロメジン、トレプロスチニルまたはエポプロステノールである、請求項10記載の組合せ。
【請求項13】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)で示される少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のNO非依存的およびヘム依存的グアニリルシクラーゼ刺激剤または活性化剤を含む組合せ。
【請求項14】
NO非依存的かつヘム依存的グアニリルシクラーゼ刺激剤が、4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−ピリミジニル(メチル)カルバミン酸メチルまたは4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−ピリミジニルカルバメートである、請求項13記載の組合せ。
【請求項15】
NO非依存的かつヘム依存的グアニリルシクラーゼ活性化剤が、4−[((4−カルボキシブチル)−{2−[(4−フェネチルベンジル)オキシ]フェネチル}アミノ)−メチル]安息香酸である、請求項13記載の組合せ。
【請求項16】
肺高血圧症の処置、予防または管理用医薬の製造を目的とする、請求項8ないし請求項15のいずれかに記載の組合せの使用。
【請求項17】
請求項8ないし請求項15のいずれかに記載の組合せを含む医薬組成物。
【請求項18】
肺高血圧症処置用の請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
肺高血圧症の処置、予防または管理方法であって、それを必要とする対象において、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグまたはジアステレオマー形態の有効量を投与することを含む方法。
【請求項20】
式(I)の化合物を、少なくとも1種のエラスターゼ阻害剤および/または1種のキナーゼ阻害剤と組み合わせる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
式(I)の化合物を、さらに抗凝固薬、利尿剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張剤、プロスタサイクリン類似体、内皮拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、エンドペプチダーゼ阻害剤、脂質低下薬、トロンボキサン阻害剤および肺動脈圧を降下させることが知られている他の治療薬から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と組み合わせる、請求項19ないし請求項20のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−533479(P2009−533479A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505742(P2009−505742)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002985
【国際公開番号】WO2007/118602
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】