説明

自動変速機の制御装置

【課題】特別な構成要素を追加することなく、警告すべき内容に対応して適切な振動を運転者等の乗員に与えて警告することができる自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】自動変速機2を搭載した車両の乗員に警告すべき警告条件の発生を判定する警告条件判定手段11と、前記警告条件判定手段11により判定された前記警告条件に対応する警告の内容を判定する警告内容判定手段12と、前記警告内容判定手段12により判定された前記警告の内容に基づいて、複数の係合要素と変速要素との係合状態を、複数の所定の係合状態のうちの何れかに設定された係合状態から前記複数の所定の係合状態以外の係合状態に切換えて前記自動変速機2にトルク変動を発生させるトルク変動発生手段13とを備え、前記発生されたトルク変動により生ずる前記自動変速機2の振動に基づき前記乗員に警告を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される自動変速機の制御装置、特に、車両の運転者等の乗員に警告すべき条件が発生したときに、自動変速機に振動を発生させて警告を発生することができる自動変速機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の衝突の危険性がある場合に、車両のシートやフロアに埋設した振動体を振動させて運転者にその危険性を知らせるようにした車両用安全装置(例えば、特許文献1参照)や、車両が走行車線を逸脱した場合に、シートベルトの張力を周期的に増減させて運転者にそれを知らせるようにした車線逸脱警報装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
又、タイヤの空気圧が所定圧力以下に低下した場合に、自動変速機の変速比を増減させたり、エンジンと駆動系を切り離したり接続したりするクラッチ機構の圧着力を調節してエンジン回転数の増減を発生させ、車両のトルクを変化させることで運転者に体感型の警告を与えるようにした車両制御装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−341599号公報
【特許文献2】特開平09−175327号公報
【特許文献3】特開2005−344634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に示されるような従来の装置に於いては、警告となる振動を発生させる為に、振動体や駆動素子といった新たな要素を追加する必要が有り、製造コストの増加を招くという問題があった。又、発生する振動は運転者にしか伝わらない為、同乗者には警告が認識され難いという問題点もあった。
【0006】
又、上記文献3に示す従来の技術に於いて、有段自動変速機により振動を発生させる場合には、複数回の変速を必要とするため、変速時間が必要で、高周期の振動を発生させることができない。従って、高周期の振動を発生させる為には、クラッチ機構といった、自動変速機以外の要素によって振動を発生させる必要があり、トルクコンバータ装着車両のように、トルク伝達用のクラッチ機構を備えない車両に於いては、使用できないという問題があった。
【0007】
更に、変速によって振動を発生させる場合、変速による、回転速度の変動量は、例えば、同一の変速を行う場合、変速比の変化は一定で回転速度が異なる為、高回転になるほど回転速度の変動量は大きく、低回転になるほど回転速度の変動量は小さくなる。そのため、同一変速段からの変速に於いて、回転速度の変動量は、車速により安定しない為、決まった変速比で切換えて振動を発生させる従来の装置では、車速が変化した場合などには、強度の安定した振動とすることが困難であった。
【0008】
又、有段自動変速機で、同じ1速分の変速における変速比の差は、高速段では小さく、低速段では大きくなる為、変速時のトルク変動量も、例えば、3速から4速への変速時には小さく、1速から2速への変速時は大きくなる。そのため、変速比の差が大きい低速段に於いて、変速によるトルク変動を発生させる場合には、トルク変動が過大となる可能性があり、過剰な警告となって、走行中の運転者の冷静さを損なう可能性があるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に述べたような従来の装置の問題点に鑑みてなされたものであり、特別な構成要素を追加することなく、警告すべき内容に対応して適切な振動を運転者等の乗員に与えて警告することができる自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による自動変速機の制御装置は、自動変速機の複数の係合要素と変速要素との係合状態を、予め定められた複数の変速段に対応する複数の所定の係合状態のうちの何れかに設定し、その設定した所定の係合状態に対応する変速段を得るようにした自動変速機の制御装置であって、前記自動変速機を搭載した車両の乗員に警告すべき警告条件の発生を判定する警告条件判定手段と、前記警告条件判定手段により判定された前記警告条件に対応する警告の内容を判定する警告内容判定手段と、前記警告内容判定手段により判定された前記警告の内容に基づいて前記係合状態を前記所定の係合状態から前記複数の所定の係合状態以外の係合状態に切換えて前記自動変速機にトルク変動を発生させるトルク変動発生手段とを備え、前記発生されたトルク変動により生ずる前記自動変速機の振動に基づき前記乗員に警告を与えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明による自動変速機の制御装置によれば、自動変速機を搭載した車両の乗員に警告すべき警告条件の発生を判定する警告条件判定手段と、前記警告条件判定手段により判定された前記警告条件に対応する警告の内容を判定する警告内容判定手段と、前記警告内容判定手段により判定された前記警告の内容に基づいて、複数の係合要素と変速要素との係合状態を、複数の所定の係合状態のうちの何れかに設定された係合状態から前記複数の所定の係合状態以外の係合状態に切換えて前記自動変速機にトルク変動を発生させるトルク変動発生手段とを備え、前記発生されたトルク変動により生ずる前記自動変速機の振動に基づき前記乗員に警告を与えるようにしたので、特別な装置を付加することなく、警告すべき内容に対応して適切な警告を運転者等の乗員に与えことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による自動変速機の制御装置を示す構成図である。図1に於いて、エンジン1には、遊星歯車機構を有する自動変速機2が装着され、自動変速機2は車輪3に接続される。自動変速機2は、トルクコンバータ4と、図示していない複数の遊星歯車からなる変速部5を有する。変速部5は、自動変速機2の変速比を制御するための係合要素としての変速用係合要素6により、変速部5の変速要素としての歯車の組み合わせを変えることにより、車両の走行状態に応じた変速比で、入力軸7の回転を出力軸8に伝達する。尚、変速用係合要素6は、後述するように四つの係合要素としての変速用係合要素6a〜6dにより構成されている。以下の説明では、これらの変速用係合要素6a〜6dを総称するときは、符号6で表示する。
【0013】
又、自動変速機2は、入力軸7と出力軸8の回転速度を検出する為の回転速度検出手段9を有する。変速部5に設けられた変速用係合要素6は、制御部10に接続されている。制御部10は、警告条件としての警告タイミングを判定する警告条件判定手段11と、警告条件判定手段11により判定された警告タイミングに対応する警告の内容としての警告の種類を判定する警告内容判定手段12と、警告内容判定手段12により判定された警告内容に基づいて変速用係合要素6を制御し、振動の元となるトルク変動を発生させる為のトルク変動発生手段13を有する。
【0014】
図2は、自動変速機2の変速部5が有する変速要素としての遊星歯車機構の基本的な構造を示す説明図で、(a)は構成概念を示し、(b)はその構成を記号で示している。図2に於いて、サンギヤ14とリングギヤ15との間に、一対のプラネタリギヤ16が設けられている。これらのプラネタリギヤ16は、プラネットキャリア17により支持されている。このように構成された遊星歯車機構は、サンギヤ14、リングギヤ15、プラネットキャリア17の締結、開放の組み合わせによって複数の変速比を実現し、変速を行う。
【0015】
図3は、四速の遊星歯車式の自動変速機2を構成する変速部5の構成図である。図3に於いて、変速部5は、二つの遊星歯車機構Pa、Pbと、四つの変速用係合要素6a〜6dを備えている。一方の遊星歯車機構Paは、サンギヤ14aと、リングギヤ15aと、プラネタリギヤ16aと、プラネットキャリア17aとを備え、同様に他方の遊星歯車機構Pbは、サンギヤ14bと、リングギヤ15bと、プラネタリギヤ16bと、プラネットキャリア17bとを備えている。
【0016】
変速用係合要素6aは入力軸7に固定されており、遊星歯車機構Paの変速要素としてのプラネットキャリア17aに係合可能に対応している。変速用係合要素6bは変速部5の外壁に固定されており、遊星歯車機構Paの変速要素としてのサンギヤ14aに係合可能に対応している。変速用係合要素6cは変速部5の外壁に固定されており、遊星歯車機構Pbの変速要素としてのリングギヤ15bに係合可能に対応している。変速用係合要素6dは入力軸7に固定されており、遊星歯車機構Pbの変速要素としてのサンギヤ14bに係合可能に対応している。
【0017】
このように構成された変速部5は、変速用係合要素6a〜6dが対応する変速要素としてのギヤ若しくはキャリアとの締結、又は開放を行うよう駆動されることにより、遊星歯車機構Pa、Pbの歯車の組み合わせを切換えて、入力軸7に対する出力軸8の予め定められた四段の変速を行う。
【0018】
図4は、図3に示す変速部5の変速の仕組みを示す説明図で、(a)は変速段Aを示し、(b)は変速段Bを示す。先ず、図4の(a)に示す変速段Aでは、変速用係合要素6aがプラネットキャリア17aと締結され、変速用結合要素6bがサンギヤ14aと締結され、変速用係合要素6cと6dは、開放されている。このとき、入力軸7は変速用係合要素6aを介してプラネットキャリア17aと締結され、入力軸7とプラネットキャリア17aの回転速度は同期する。又、サンギヤ14aは、変速用係合要素6bとの締結により変速部5の外壁に締結されて固定される。このため、固定されたサンギヤ14aの周りを、プラネタリギヤ16aが、入力軸7と同じ回転速度で回転し、サンギヤ14aとリングギヤ15aの歯数比から定まる変速比により、入力軸7の回転速度は出力軸8へ伝達される。
【0019】
次に、図4の(b)に示す変速段Bでは、変速用係合要素6aと6bが開放され、変速用係合要素6cがリングギヤ15bと締結され、変速用係合要素6dがサンギヤ14bと締結される。このとき、入力軸7は変速用係合要素6dを介してサンギヤ14bと締結され、入力軸7とサンギヤ14bの回転速度は同期する。又、リングギヤ15bは、変速用係合要素6cとの締結により変速部5の外壁に締結されて固定される。このため、固定されたリングギヤ15bの中を、サンギヤ14bが入力軸7と同じ回転速度で回転し、サンギヤ14bとリングギヤ15bの歯数比から定まる変速比で、入力軸7の回転速度は出力軸8へ伝達される。
【0020】
このように、遊星歯車式の自動変速機2では、変速用係合要素6a〜6dと変速要素との締結又は開放による係合状態の組み合わせにより、歯車の組み合わせを切換えて、複数の所定の変速比を実現している。ここで、本実施例における、変速用係合要素6a〜6dは、油圧により締結力を変化させることで、締結、開放による係合状態の切換えを行う。
【0021】
図5は、図3に示す変速部5の予め定められた1速から4速に於ける、変速用係合要素6a〜6dとこれに対応する変速要素との締結と開放による係合状態の組み合わせの一例を示す表である。変速用係合要素6a〜6dの組み合わせの切換えは、図1に示す制御部10により、変速用係合要素6a〜6dの油圧による締結力を制御することで行う。
【0022】
以上のように構成された本発明の実施の形態1による自動変速機の制御装置は、警告条件判定手段11により警告すべきタイミングであると判定された場合には、警告内容判定手段12により警告の種類に対応した警告内容を判定し、トルク変動発生手段13により、警告の種類に対応して変速用係合要素6を制御することで、入力軸7の回転数変動を発生させる。このとき、入力軸7の回転速度の変動によって生じるトルク変動により、自動変速機1に振動を発生させ、運転者等乗員への警告とするものである。
【0023】
図6は、本発明の実施の形態1における、制御部10の動作の詳細を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、任意のタイミングで定期的に行われる。次に図6に示すフローチャートに基づいて、この発明の実施の形態1に係る自動変速機の制御装置の動作について説明する。制御部10が動作を開始し、先ず、ステップS100に於いて、警告条件判定手段11により、トルク変動によって生じる振動(以下、警告振動と称する)の発生タイミングである警告条件の発生を判定すると共に、警告内容判定手段12により警告の種類を判定する。警告条件判定手段11による警告振動発生のタイミングの判定、及び警告内容判定手段12による警告の種類の判定は、例えば、速度超過を示すセンサーからの出力信号、車両の修理、車両の点検等を行う時期の到来を示す制御装置等からの出力信号に基づいて行う。
【0024】
ステップS100により、警告条件判定手段11による警告振動発生のタイミング、及び警告内容判定手段12による警告の種類の判定から、警告発生の条件が成立したと判断したときは、ステップS101に進み、警告振動を発生させるための処理を行う。警告振動発生の条件が成立していないと判定した場合には、処理を終了する。
【0025】
トルク変動発生手段13には、警告の種類毎に、警告振動の回数(以下、警告振動設定回数と称する)Wn、警告振動の間隔(以下、警告振動間隔と称する)Wi、及び、警告振動のレベル(以下、警告振動レベルと称する)Wfの値が予め設定されている。又、トルク変動発生手段13には、予め数種類の警告パターンが設定されている。例えば、警告パターン1は、警告振動設定回数Wn=5回、警告振動間隔Wi=500mS、警告振動レベルWf=小、警告パターン2は、警告振動設定回数Wn=3回、振動間隔Wi=1000mS、振動レベルWf=大、警告パターン3は、警告振動設定回数Wn=10回、警告振動間隔Wi=1500mS、振動レベルWf=中、というように設定されている。
【0026】
ステップS101に進むと、ステップS100に於いて判定された警告の種類に対応して、警告出力条件を設定する。警告出力条件は、例えば、速度超過などの注意を促す警告はパターン1、車両の修理を促す為の警告はパターン2、車両の点検を促す警告はパターン3、というように、その警告条件毎に警告パターンが設定されており、その警告内容に応じて警告パターンを選択し、その警告パターンに対応して決められた警告振動設定回数Wn、警告振動間隔Wi、警告振動レベルWfの値を、予め設定された値の中から選定して設定する。
【0027】
次に、ステップS102に進み、ステップS100に於いて警告振動発生の条件が成立してから現在までの警告振動の出力回数Wc(以下、警告振動出力回数と称する)と、ステップS101に於いて設定された警告振動設定回数Wnとを比較し、警告振動出力回数Wcが警告振動設定回数Wn未満、つまり、警告振動発生条件が成立してからの警告振動出力回数が、警告振動設定回数未満の場合はステップS103に進み、警告振動出力回数Wcが警告振動設定回数Wn以上、つまり、警告振動発生条件が成立してからの警告振動出力回数が、警告振動設定回数以上の場合には警告振動発生終了と判断し、処理を終了する。
【0028】
ステップS103では、入力軸7と出力軸8との間のトルクの伝達方向と、現変速段(n)とによって決まる制御すべき変速用係合要素6を選択する。今、図5の表に示す変速用係合要素6の組み合わせで変速を行う場合に、現変速段(n)が3速であるとすると、図5に於いて、3速時には、変速用係合要素6aと6dが締結状態にあり、変速用結合要素6bと6cが開放状態である。
【0029】
このとき、例えば、加速時のように入力軸7から出力軸8へトルクが伝達されている場合(以下、駆動状態と称する)には、現変速段(n速)から1段だけ低速段(n−1速)となる場合に、締結状態から開放状態に切換えられる変速用係合要素を一つ選択する。即ち、現変速段(n)が3速であれば、3速から2速に変速する場合に締結状態から開放状態に切換えられる変速用係合要素6aを選択する。但し、現変速段(n速)が最低速段である場合には、(n+1)速へ変速する場合に締結から開放に切換える変速用係合要素6を一つ選択する。
【0030】
逆に、例えばエンジンブレーキ時のように、出力軸8から入力軸7へトルクが伝達される場合(以下、制動状態と称する)には、現変速段(n速)から1段だけ高速段(n+1速)へ変速する場合に締結状態と開放状態を切換える変速用係合要素6を二つ選択する。例えば、現変速段(n速)が3速であれば、締結状態から開放状態に切換えられる変速用係合要素6dと、開放状態から締結状態に切換えられる変速用係合要素6bを選択する。但し、現変速段(n速)が最高速段の4速である場合には、1段だけ低速段(n−1速)である3速へ変速する場合に切換える変速用係合要素6を二つ選択する。
【0031】
次にステップS104に進み、ステップS101で設定された警告振動レベルWfの振動を発生させるために必要となる、入力軸7の回転速度の変動量の判定閾値△Ntを設定する。このとき、判定閾値△Ntが定数であったとすると、同一量の回転速度の変動を発生させたとしても、回転速度の変動が一定の場合には、変速比の関係から、低速段ではトルク変動は大きく、高速段ではトルク変動が小さくなる為、一定強度の振動とならない。そのため、走行状態に左右されず、振動レベルWfの振動が得られるように、変速段と車速によって、判定閾値△Ntを増減させる。例えば、変速段と車速から△Ntを求めるテーブルを、振動レベルWfの段階毎に持ち、要求された警告振動レベルWfと、現在の変速段と車速により、テーブルから判定閾値△Ntを決定する。
【0032】
例えば、変速段が低速段になるほど回転速度変動量に対するトルクの変動量は大きくなるので、予め設定したパラメータから、低速段の場合には判定閾値△Ntを小さく、高速段の場合には判定閾値△Ntを大きくなるように設定する。又、同一変速段に於いても、車速により、同程度の振動となるように、例えば、高車速となるほど判定閾値△Ntの値を大きくするというように、判定閾値△Ntを増減させる。但し、このとき、判定閾値△Ntの設定値は、変速により生じる入力軸7の回転速度の変動量よりも小さい値とする。
【0033】
次にステップS105に進み、警告振動設定回数Wnが複数回である場合には、二回目以降の振動出力の際、前回の警告振動出力から、振動間隔Wiが経過したかどうかを判定し、警告振動間隔Wiが経過している場合には、ステップS106に進む。警告振動間隔Wiが経過していない場合には、警告振動間隔Wiとなるまで待つ。又、警告振動出力回数Wcが0の場合は、初回の警告振動発生処理であるため、警告振動間隔Wiには関係なく直ちにステップS106に進む。
【0034】
ステップS106では、ステップS103で選択された変速用係合要素6の締結と開放の切換えを行ない、ステップS107に進む。ステップS107では、回転速度検出手段9で得られる入力軸7の回転速度から、変速用係合要素6を切換えてからの入力軸7の回転速度の変動量を、ステップS104で設定した判定閾値△Ntと比較し、入力軸7の回転速度が判定閾値△Nt以上変動した場合には、ステップS108に進み、そうでなければステップS107を繰り返す。
【0035】
ステップS108に進むと、変速用係合要素6の組み合わせを、ステップS106で切換える前の、現変速段(n+1速)相当の組み合わせに戻し、ステップS109に進む。このとき、ステップS106での切換えにより変動した入力軸7の回転速度は、切換え前の値に戻るように変動する。
【0036】
次に、ステップS109では、現在までの警告振動出力回数Wcをカウントアップし、以下、ステップS102からステップS109までの処理を警告振動出力回数Wcが警告振動設定回数Wnとなるまで繰り返す。但し、警告振動の出力回数を制限せず、条件成立の間、警告振動の出力を続ける場合は警告振動出力回数Wcはカウントアップしない。
【0037】
以上述べたステップS101からステップS109の動作は、制御部10に於けるトルク変動発生手段13により行われる。
【0038】
図7は、図3に示す変速部5を、図5に示す係合要素6の組み合わせにより制御して変速段を実現する自動変速機2の動作を、3速で駆動状態にあるときを例として示すタイミングチャートであり、(a)は入力軸回転速度、(b)は変速用係合要素6aの係合力、(c)は警告発生条件、(d)は警告振動出力回数Wcを示す。次に、図6のフローチャートと、図7のタイミングチャートに基づいて、自動変速機1が3速で駆動状態にあるときの動作を説明する。
【0039】
先ず、図7の(c)に示すように、A点で図6のステップS100の警告の発生条件が成立した場合、前述のステップS100からS106迄の処理を行い、変速用係合要素6aは、図7の(b)に実線で示すように、締結状態から、開放状態に切換えるように制御指示される。しかし、このとき、変速用係合要素6aは油圧により制御されるため、制御指令値に対する、若干の応答遅れを持ち、その係合力は破線のように変化する。
【0040】
このとき、変速用係合要素6aの係合力の低下とともに、変速部5の回転負荷は軽くなり、エンジン1からの駆動力により、入力軸7の回転速度は増加する。図7のB点で、(a)に示す入力軸回転速度の変動量がステップS104で設定された判定閾値△Ntを超えた場合、変速用係合要素6aを元の締結状態に戻し、ステップS109で警告振動出力回数Wcをカウントし、図7の(d)に示すようにカウント値を1とする。
【0041】
このとき、制御部5の回転負荷が再度増加する為に入力軸7の回転速度は減少し、入力軸回転速度はA点での切換え前の回転速度まで戻るように変動する。このように、変速用係合要素6aの切換えによって、入力軸回転速度には変動が生じ、その結果、警告用の振動となる。警告振動設定回数Wnが複数回に設定されている場合、ステップS108の終了後、警告振動間隔Wiの後、C点に於いてA点と同様の制御を行い、且つD点でB点と同様の制御を行い、以降、その制御を繰り返し、カウントした警告振動出力回数Wcが設定された警告振動設定回数Wnに達すれば、処理を終了する。
【0042】
図8は、図3に示す変速部5を、図5に示す係合要素6の組み合わせで制御して変速段を実現する自動変速機2の動作を、3速で制動状態にあるときを例として示すタイミングチャートであり、(a)は入力軸回転速度、(b1)は変速用係合要素6dの係合力、(b2)は変速用係合要素6bの係合力、(c)は警告発生条件、(d)は警告振動出力回数Wcを示す。
【0043】
制動状態の場合、出力軸8が入力軸7を駆動して回転させる状態である為、図7に示すように変速用係合要素6aのみの開放では、入力軸7に十分な駆動力が無く、急激な回転速度変動は得られない。そこで、開放状態から締結状態に動作する変速用係合要素も同時に動作させ、変速比を変化させることで、開放側のみを切換えた場合に得られる回転速度変動よりも急激な回転速度の変動を得る。
【0044】
即ち、制動状態の時、ステップS103で選択される変速用係合要素は、1段高速段(n+1速)側への変速時に切換えられる変速用係合要素であるため、現変速段(n速)が3速であるとすれば、締結状態から開放状態へ切換える変速用係合要素は6d、開放状態から締結状態へ切換える係合要素は6bとなり、図8のA点で夫々の変速用係合要素6bと6dに対しその係合状態を切換えるように制御指示が出される。
【0045】
このとき、油圧の応答遅れにより変速比はすぐには4速相当とはならず、変速用係合要素6bと6dの係合力が図8の(b1)と(b2)に夫々示すように変化し、その変化と共に、変速部5の変速比は4速相当に向かって減少する。従って出力軸8に対して、入力軸7の回転速度は減少する。但し、判定閾値△Ntは、変速による入力軸回転速度よりも小さい値に設定しているので、係合力が完全に切り変る前に、入力軸回転速度の変動量は、判定閾値△Ntを超え、B点で変速係合要素6bと6dは3速相当に戻される。
【0046】
つまり、完全に変速して4速となる前に3速相当の係合状態の組み合わせに戻されて、減少した入力軸回転速度は3速相当まで増加する。このように、変速用係合要素6bと6dの切換えによって、入力軸回転速度には変動が生じ、その結果、警告用の振動となる。但し、現変速段が最高速段の場合は、1つ低速段側への切換えとなる為、入力軸回転速度は、切換えにより増加後、減少することとなる。
【0047】
B点でステップS109による警告振動出力回数Wcのカウントを行い、図8の(d)に示すようにカウント値を1とする。警告振動設定回数Wnが複数回に設定されている場合、ステップS108の終了後、警告振動間隔Wiの後、C点に於いてA点と同様の制御を行い、D点でB点と同様の制御を行い、以降、その制御を繰り返し、カウントした警告振動出力回数Wcが設定された警告振動設定回数Wnに達すれば、処理を終了する。
【0048】
以上述べた本発明の実施の形態1による自動変速機の制御装置によれば、自動変速機が完全に変速することなく警告振動を発生するようにしているので、変速によるトルク変動よりも小さい変動を実現できるため、何ら他の装置等を付加することなく自動変速機のみで、トルク変動の大きい低速段に於いても過剰な振動を発生することなく高周期の警告振動を発生することが出来る。又、自動変速機のみで警告振動を発生させることが可能であることから、トルコン付き車両のような、クラッチ機構をもたない車両に於いても、高周期のトルク変動を実現することが出来る。
【0049】
又、車両の走行状態が変化しても、判定閾値△Ntを増減させることで、一定強度の振動を発生させることができ、変速部5の入力軸7と出力軸8のトルクの伝達方向と、現変速段により、制御する変速用係合要素6を選択することで、トルク方向を考慮しない場合に比べ、急速な回転速度の変動が得られる方法を選択することが出来る。このようにして得られた、急激な回転速度の変動は、緩やかな変動に比べて、明確なトルク変動を発生させることができ、乗員に明確な警告を与えることが出来る。
【0050】
尚、自動変速機2は、遊星歯車式の有段自動変速機に限定されるものではなく、変速用係合要素6を持ち、その締結、開放を切換えることで、複数の変速段を実現するものであればよいことは勿論である。
【0051】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。図9に於いて、カーナビゲーションシステムにより構成された道路形状判定手段18が設けられ、この道路状態判定手段18は、制御部10の警告条件判定手段11に接続される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。図10は、実施の形態2に於いて、図6に示すフローチャートのステップS100での警告発生条件の判定動作を示すフローチャートである。
【0052】
図10に於いて、ステップS200では、道路形状判定手段18を構成するカーナビゲーションシステムの持つGPS情報と地図情報から、自車両の走行位置を検出する。次に、ステップS201では、地図情報の中にあらかじめ記憶した、例えばカーブといったような、走行注意路線の情報と、自車走行位置を照合し、現在、走行注意路線を走行中であるかを判定する。その結果、自車が走行注意路線を走行中であると判定された場合には、ステップS202へ進み、制御部10の警告条件判定手段11に対して警告出力を許可する信号を与える。走行注意路線で無いと判定された場合はステップS203へ進み、警告条件判定手段11に対して警告出力を禁止する。
【0053】
ステップS202に於いて警告出力を許可する信号が与えられると、制御部10に於ける警告条件判定手段11は警告条件としての警告タイミングであると判定し、図6に示すフローチャートに基づいて、実施の形態1の場合と同様の制御を行う。但し、このとき、図6に示すステップS101に於いて、警告振動設定回数Wnは1とし、図10のフローチャートのステップS203により警告出力禁止となるまで、図10と図6のフローチャートに示す動作を繰り返し行う。又、警告振動間隔Wiは、高速走行時には短く、低速走行時には長くなるように、予め車速に応じて定められたパラメータ値の基づいて設定する。
【0054】
このように構成された実施の形態2による自動変速機の制御装置によれば、車両の速度により警告振動の発生周期を変化させて、走行注意路線に設置されているような、一定間隔で設置された警告用の路面の凹凸を走行した場合に得られる、速度により周期が異なるような警告振動を模した振動を、凹凸路面を走行することなく得ることができ、走行注意路線を運転者に認識させることが出来る。
【0055】
尚、道路形状判定手段18は、例えばカメラを備え、車両の進行方向のカーブの画像解析により道路形状を判定する構成としても良く、或いは、走行注意路線に設置されたビーコン等から送信される情報に基づいて道路形状を判定する構成等、走行注意路線を判定できる構成であれば、他の構成であっても良いことは勿論である。
【0056】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。図11に於いて、車両の経年等の時間を監視し6ヶ月、或いは12ヶ月等の所定の時間が経過したときに出力を生じる時間監視手段19と、車両の走行距離を監視し、所定の走行距離に達したときに出力を生じる走行距離監視手段20とが設けられている。時間監視手段19と走行距離監視手段20とは、制御部10の警告条件判定手段11に接続される。時間監視手段19は、例えばカーナビゲーションシステムから、GPS情報に含まれる時間情報を取得するよう構成され、走行距離監視手段20は、例えばオド(ODO)メータの情報から、走行距離を取得するよう構成される。その他の構成は、実施の形態1の構成と同様である。
【0057】
図12は、実施の形態3に於いて、図6に示すフローチャートのステップS100での警告発生条件の判定動作を示すフローチャートである。図12に於いて、ステップS300では、オドメータから得られた車両の現在の走行距離から、前回の定期点検時に記憶させた点検時の走行距離を減算し、定期点検後の走行距離を演算する。
【0058】
ステップS301では、ステップS300で演算した点検後の走行距離と、予め設定された走行距離による点検時期判定値Diとを比較し、点検後の走行距離が所定の判定値を超えていれば、ステップS302に進み警告出力を許可し、点検後の走行距離が所定の判定値以下の場合は、ステップS303へ進み警告出力を禁止する。
【0059】
次に、ステップS304に於いて警告出力の許可の有無を判定し、警告出力が許可の場合は、以下の経過時間による点検時期の許可判定を行わず処理を抜けて終了する。この場合、警告条件判定手段11は、ステップS302による警告出力の許可を受けて警告条件としての警告タイミングであると判定し、図6に示すフローチャートに基づいて動作し、走行距離に基づく点検実施の警告を発生する。
【0060】
ステップS304に於いて警告出力の禁止を判定した場合は、ステップS305に進む。ステップS305では、カーナビゲーションシステムからのGPS情報に含まれる現在の時間から、前回の定期点検時に記憶させた点検時の時間を減算し、点検後の経過時間を演算する。次にステップS306では、ステップS305で演算した点検後の経過時間と、予め設定された経過時間による点検時期判定値Tjとを比較し、点検後の経過時間が所定の判定値を超えていれば、ステップS307に進んで警告出力を許可し、点検後の経過時間が所定の判定値以下の場合は、ステップS308へ進み警告出力を禁止として、処理を終了する。ステップS307に於いて警告出力を許可する信号が与えられると、制御部10は図6に示すフローチャートに基づいて動作し、経過時間に基づく点検実施のための警告を発生する。
【0061】
このように構成された実施の形態3による自動変速機の制御装置によれば、例えば、定期点検や、オイル交換時期を運転者に認識させ、車両の適切な点検整備を促すことが出来る。
【0062】
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。図13に於いて、自動変速機2のマニュアルモードに於けるシフトレバー操作の内容を判定する操作内容検出手段21が設けられ、この操作内容検出手段21は、制御部10の警告条件判定手段11に接続される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。図14は、実施の形態4に於いて、図6に示すフローチャートのステップS100での警告発生条件の判定動作を示すフローチャートである。
【0063】
図14に於いて、先ず、ステップS400では、操作内容検出手段21から得られるマニュアルモード中のシフトレバー信号から操作有無を判定し、シフト操作が検出された場合には、ステップS401に進む。シフト操作なしと判定した場合は、処理を終了する。ステップS401では現在の変速段を検出し、ステップS402に進む。
【0064】
ステップS402では、現在の変速段と、シフトレバーでの変速要求から、例えば、高速走行中に1速などの低速段への要求を行った場合や、現変速段が最高速段であるのに、シフトアップ要求がされた場合など、無理な変速要求を行っていると判断し、ステップS403へ進み、警告出力を許可とする。ステップS402に於いて変速可能であると判断された場合は、ステップS404に進み、警告出力を禁止とし、処理を終了する。ステップS403で警告出力を許可された場合は、警告条件判定手段11により警告条件である警告タイミング発生が判定され、図6に示すフローチャートに基づいて、実施の形態1の場合と同様の制御を行う。
【0065】
このように構成された実施の形態4による自動変速機の制御装置によれば、乗員のシフト操作が有効であるか、無効であるかを知らせるための、車両からの応答を乗員に認識させることができ、例えば高速走行時の無意味なシフト操作を乗員に認識させることで、無駄な操作を減らし、乗員への負荷を軽減することが出来る。
【0066】
尚、操作内容検出手段21を、トンネル通過後の前照灯のスイッチのオン、オフ状態を判定する構成とし、前照灯が点灯している場合に警告振動を発することで消灯忘れ警告等に利用することもできる。
【0067】
実施の形態5.
図15は、本発明の実施の形態5による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。図15に於いて、車両の故障を検出する為の故障検出手段22と、故障検出手段22によって検出された故障の種類によって警告の重要度を判定する警告重要度判定手段23とが設けられている。故障検出手段22と警告重要度判定手段23とは、制御部10の警告条件判定手段11に接続される。故障検出手段22は、例えばODB装置(On Boad Diagnosis;排出ガス関連機器故障診断装置)のように、車両の故障の種類に対応する故障コードを出力するよう構成されている。警告重要度判定手段23には、故障が走行性能に影響するような故障である場合には重要度を高く、走行性能に影響しないような故障である場合には重要度を低くするよう、故障検出手段22からの故障コードに対応した警告重要度が予め設定されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0068】
図16は、警告重要度判定手段23に於ける動作のフローチャートを示す。図16に於いて、故障検出手段22により故障が検出されると、その故障コードが警告重要度判定手段23に入力される。ステップS500では、故障検出手段22からの故障コードを取得しステップS501に進む。ステップS501では、取得した故障コードから、車両に故障が発生しているか否かを判定する。ステップS501で車両に故障が発生していると判定した場合、ステップS502に進み、ステップS500で取得した故障コードの種類に対応して予め設定されている警告重要度を設定する。ステップS501で故障が発生していないと判定された場合は、処理を終了する。
【0069】
ステップS502で設定された警告重要度は、図6のステップS101により、警告の重要度が高い場合には、警告振動間隔Wiを短く設定し、若しくはステップS104に於いて判定閾値△Ntを大きく設定する。或いは、警告振動間隔Wiを短く設定すると共にステップS104に於いて判定閾値△Ntを大きく設定する。逆に重要度が低い場合には、ステップS101で設定する警告振動間隔Wiを長く設定し、若しくはステップS104に於いて判定閾値△Ntを小さく設定する。又は、ステップS101で設定する警告振動間隔Wiを長く設定すると共に、ステップS104に於いて判定閾値△Ntを小さく設定する。以降、図6のステップS105以下の動作を行い、警告振動を発生する。
【0070】
このように構成された実施の形態5による自動変速機の制御装置によれば、警告振動間隔Wiと判定閾値△Ntのうち少なくともいずれか一方を変化させることで、故障の重要度を振動の違いにより表現することが出来る。又、エンジン始動から一定距離走行した場合に短時間のトルク変動を発生させる等、トルク変動発生の時期を制限すれば、重要度の低い故障の場合は、トルク変動発生のタイミングを除いては、通常走行が可能な警告振動を発生させることができる。
【0071】
実施の形態6.
図17は、本発明の実施の形態6による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。この実施の形態6では、障害物監視手段24と衝突可能性判定手段25を備えている。障害物監視手段24は、例えば、送信電波と受信電波の位相から、車両周辺の障害までの距離を求めるようにしたマイクロ波レーダーにより構成される。衝突可能性判定手段25は、障害物監視手段24からの出力に基づき車両の衝突の可能性を判定する。
【0072】
図18は、衝突可能性判定手段25の動作を示すフローチャートである。図18に於いて、ステップS600では、障害物監視手段24を構成するマイクロ波レーダーからの出力から障害物までの距離を取得し、ステップS601に進む。ステップS601では、前回処理時に取得した距離と、今回取得した距離との差分と処理周期とから、障害物との相対速度を演算し、ステップS602に進む。
【0073】
ステップS602では、予め設定した障害物との相対速度と制動距離との関係から、障害物への衝突の可能性を設定する。例えば、相対速度が速く、距離が近くなると障害物への衝突の可能性を高いと判定して警告重要度は大きく設定され、相対速度が速くても距離が十分にあれば、障害物への衝突の可能性が低いと判定して警告重要度は低く設定される。
【0074】
図18のフローで判定した、衝突可能性判定手段24による衝突の可能性は、図6のステップS100に於ける判定に於いて、衝突可能性が、予め設定した度合いを超える場合には、警告発生条件の成立と判断し、ステップS101以下の処理に従う。又、衝突の可能性の度合いによって、実施の形態5に説明したように、警告振動間隔Wi、判定閾値△NTの少なくとも一方を変化させる。
【0075】
このように構成された実施の形態6による自動変速機の制御装置によれば、運転者に衝突の可能性の度合いを認識させることが出来る。尚、実施の形態6では、障害物監視手段24をマイクロ波レーダーにより構成したが、カメラの画像処理によるもの等、車両周辺の障害物までの距離が求められるものであれば他の構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1による自動変速機の制御装置を示す構成図である。
【図2】遊星歯車の基本構造を示す説明図である。
【図3】遊星歯車式自動変速機を構成する変速部の構成図である。
【図4】変速部の変速の仕組みを示す説明図である。
【図5】変速部の変速用係合要素の締結と開放の組み合わせを示す表である。
【図6】本発明の実施の形態1に於ける自動変速機の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に於ける自動変速機の制御装置の駆動状態に於ける動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に於ける自動変速機の制御装置の制動状態に於ける動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2による自動変速機の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態3による自動変速機の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態4による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態4による自動変速機の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態5による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態5による自動変速機の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態6による自動変速機の制御装置を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態6による自動変速機の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 エンジン
2 自動変速機
3 車輪
4 トルクコンバータ
5 変速部
6、6a、6b、6c、6d 変速用係合要素
7 入力軸
8 出力軸
9 回転速度検出手段
10 制御部
11 警告条件判定手段
12 警告内容判定手段
13 トルク変動発生手段
14、14a、14b サンギヤ
15、15a、15b リングギヤ
16、16a、16b プラネタリギヤ
17、17a、17b プラネットキャリア
18 道路形状検出手段
19 時間監視手段
20 走行距離監視手段
21 操作内容検出手段
22 故障検出手段
23 警告重要度判定手段
24 障害物監視手段
25 衝突可能性判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機の複数の係合要素と変速要素との係合状態を、予め定められた複数の変速段に対応する複数の所定の係合状態のうちの何れかに設定し、その設定した所定の係合状態に対応する変速段を得るようにした自動変速機の制御装置であって、前記自動変速機を搭載した車両の乗員に警告すべき警告条件の発生を判定する警告条件判定手段と、前記警告条件判定手段により判定された前記警告条件に対応する警告の内容を判定する警告内容判定手段と、前記警告内容判定手段により判定された前記警告の内容に基づいて前記係合状態を前記所定の係合状態から前記複数の所定の係合状態以外の係合状態に切換えて前記自動変速機にトルク変動を発生させるトルク変動発生手段とを備え、前記発生されたトルク変動により生ずる前記自動変速機の振動に基づき前記乗員に警告を与えるようにしたことを特徴する自動変速機の制御装置。
【請求項2】
前記トルク変動発生手段は、前記係合状態の切換えによる前記自動変速機の入力軸の回転速度の変動量が所定の閾値に達したとき、前記切換えを終了して前記切換え前の所定の係合状態に戻すよう前記係合要素と変速部との係合状態を制御することを特徴とする請求項1に自動変速機の制御装置。
【請求項3】
前記トルク変動発生手段は、前記自動変速機の入力軸と出力軸との間のトルクの伝達方向と前記切換え前の変速段とに基づいて前記切換えを行う係合要素の選択を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項4】
前記車両が走行する道路の形状を検出する道路形状検出手段を備え、前記警告条件判定手段は、前記道路形状検出手段により検出された前記道路の形状が前記乗員に注意を促す必要があると判断したとき前記警告条件が発生したと判定し、前記トルク変動発生手段は、前記警告内容判定手段により判定された警告の内容に基づいて前記車両の走行速度に応じて前記トルク変動の間隔を設定し、前記車両が警告用の凹凸路面を走行したときに発生する振動に模した振動を生ずるトルク変動を発生させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の自動変速機の制御装置。
【請求項5】
前記車両の経過時間を監視して出力を生じる経過時間監視手段と、前記車両の走行距離を監視して出力を生じる走行距離監視手段とを備え、前記警告条件判定手段は、前記経過時間監視手段と前記走行距離監視手段との出力に基づいて前記警告条件の発生を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の自動変速機の制御装置。
【請求項6】
前記自動変速機に設けられたマニュアル操作レバー又は前記車両に設けられた機器に対する乗員の操作内容を判定して出力を生じる操作内容検出手段を備え、前記警告条件判定手段は、前記操作内容検出手段の出力に基づいて前記警告条件の発生を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の自動変速機の制御装置。
【請求項7】
前記車両若しくは車両に搭載された機器の故障を判定して出力を生じる故障検出手段と、前記故障検出手段により検出された故障の種類と警告の重要度を判定して出力を生ずる警告重要度判定手段とを備え、前記警告条件判定手段は、前記故障検出手段と前記警告重要度判定手段との出力に基づいて前記警告条件の発生を判定し、前記警告内容判定手段は、前記警告重要度判定手段による判定に基づいて前記故障の種類に対応する警告の重要度を含む警告の内容を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の自動変速機の制御装置。
【請求項8】
障害物に対する前記車両の衝突の可能性を判定して出力を生じる衝突可能性判定手段を備え、前記警告条件判定手段は、前記衝突可能性判定手段の出力の基づいて前記警告条件の発生を判定し、前記警告内容判定手段は、前記警告条件判定手段により判定された前記衝突の可能性の度合いに基づいて前記警告の内容を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の自動変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−69827(P2008−69827A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248045(P2006−248045)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】