説明

自動車用メンバマウント

【課題】急減速時等の不安定な車両挙動を抑えつつ、通常走行時における操縦安定性や乗り心地が向上され得る、新規な構造の自動車用メンバマウントを提供する。
【解決手段】第一のインナ軸部材18と第一のアウタ筒部材24がテーパ形状の第一の本体ゴム弾性体28で連結されたテーパ状マウント30と、第二のインナ軸部材20と第二のアウタ筒部材36が円筒形状の第二の本体ゴム弾性体46で連結された円筒状マウント48とを、含んで構成されており、テーパ状マウント30と円筒状マウント48が軸方向に重ね合わされて、第一及び第二のインナ軸部材18,20によって一体的なインナ側取付軸部材12が構成されていると共に、第一及び第二のアウタ筒部材24,36によって一体的なアウタ側取付筒部材14が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車両ボデーとサスペンションメンバ(サブフレーム)の間に介装されて、サスペンションメンバを車両ボデーに対して防振支持せしめる自動車用メンバマウントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のサスペンションアームやリンク等がサスペンションメンバ(サブフレーム)を介して車両ボデーに取り付けられるサブフレーム方式のサスペンション装置において、それらサスペンションメンバと車両ボデーの間に介装される防振支持体等の防振装置の一種として、自動車用メンバマウントが知られている。かかる自動車用メンバマウントでは、例えば特許文献1(特開平07−158676号公報)にも示されているように、径方向で互いに離隔配置された内側金具と外筒金具が、それらの間に介装された筒形のゴム弾性体で相互に弾性的に連結されている。内側金具と外筒金具の一方が車両ボデーに取り付けられると共に、他方がサスペンションメンバに取り付けられることによって、自動車用メンバマウントが自動車に装着されて、サスペンションメンバが自動車用メンバマウントを介して車両ボデーに支持され得る。かかる装着の際に、自動車用メンバマウントの軸方向や軸直角方向が自動車に対して設定されて、目的とする車両前後方向や左右方向、上下方向等のばね特性が得られるようになっている。
【0003】
ところで、上述の自動車用メンバマウントにおいては、軸方向および軸直角方向のばね特性が各別に要求される。そこにおいて、自動車の挙動安定性に関して、フルブレ−キング時や急加速時の安定性が問題となる場合がある。
【0004】
このような問題に対処するため、例えば特許文献2(特開平03−287405号公報)の図7に記載の如き自動車用メンバマウントにおいて、内側金具と外筒金具の間に配設されるゴム弾性体として軸方向両側から軸方向中央に向かってそれぞれ次第に小径化する一対のテーパ筒形ゴムを軸方向に組み付けた構造が提案されている。これにより、一対のテーパ面によるセンタリング作用に基づいて、大きな軸方向荷重が作用するフルブレーキング時や急加速時等における車両挙動安定性が向上されるものと考えられている。
【0005】
ここで、一般ユーザの評価においては、そのようなフルブレ−キング時や急加速時における挙動安定性が向上される等といった走行限界的な性能は、必ずしも最重要項目に挙げられるものでなく、それよりも、通常走行条件下における乗り心地や操縦安定性の向上効果が重要視されることが多い。
【0006】
しかしながら、上述の如き従来構造の自動車用メンバマウントでは、一対のテーパ筒形ゴムを軸方向に組み合わせた構造上、ばね特性のチューニング自由度が非常に小さい。それ故、例えば、車両左右方向ではコーナリング時の安定性が発現される程度のばね剛性が充分に確保されつつ、ハーシュネス対策等のために車両前後方向では充分に柔らかいばね特性が得られる等といった、通常走行時に要求される操縦安定性や乗り心地の向上と、上述の如き急加減速時の車両安定性の確保とが、両立して実現され難かったのである。
【0007】
【特許文献1】特開平07−158676号公報
【特許文献2】特開平03−287405号公報
【特許文献3】特開2004−239375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、フルブレ−キング時等における不安定な挙動を抑えつつ、通常走行時におけるコーナリング特性と乗り心地の向上を実現するために、充分なチューニング自由度が確保され得る、新規な構造の自動車用メンバマウントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
すなわち、本発明の特徴とするところは、自動車の車両ボデーに対してサスペンションメンバを防振支持せしめる自動車用メンバマウントであって、第一のインナ軸部材とその外周側に離隔配置された第一のアウタ筒部材との径方向対向面が、軸方向一方の側に向かって次第に小径化するテーパ形対向面とされていると共に、それらのテーパ形対向面がテーパ形状の第一の本体ゴム弾性体で連結されることによって構成されたテーパ状マウントと、第二のインナ軸部材とその外周側に離隔配置された第二のアウタ筒部材との径方向対向面が円筒形対向面とされていると共に、それらの円筒形対向面が円筒形状の第二の本体ゴム弾性体で連結されることによって構成されており、且つ第二の本体ゴム弾性体には、軸直角方向で対向位置する部分にそれぞれ軸方向に延びる肉抜部が形成されている円筒状マウントとを、含んで構成されており、テーパ状マウントにおけるテーパ形対向面の小径側の軸方向端面に対して円筒状マウントが軸方向に重ね合わされて、第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材によって一体的なインナ側取付軸部材が構成されていると共に、第一のアウタ筒部材と第二のアウタ筒部材によって一体的なアウタ側取付筒部材が構成されて、それらインナ側取付軸部材とアウタ側取付筒部材が第一の本体ゴム弾性体および第二の本体ゴム弾性体によって弾性的に連結されている自動車用メンバマウントにある。
【0011】
このような本発明に従う構造とされた自動車用メンバマウントにおいては、テーパ状マウントと円筒状マウントを含んで構成されており、それらテーパ状マウントと円筒状マウントとによる、機能分離に基づく作用効果が得られる。
【0012】
すなわち、テーパ状マウントにおいては、インナ側取付軸部材の一部を構成する第一のインナ軸部材とアウタ側取付軸部材の一部を構成する第一のアウタ筒部材との径方向対向面が、テーパ形対向面とされて、テーパ形状の第一の本体ゴム弾性体によって連結されていることから、テーパ形対向面によるインナ側取付軸部材とアウタ側取付筒部材のセンタリング作用が発揮される。これにより、フルブレーキング時や急加速時等において、テーパ形対向面によるセンタリング作用に基づいて車両挙動を安定せしめる効果が図られ得る。
【0013】
一方、円筒状マウントにおいては、インナ側取付軸部材の一部を構成する第二のインナ軸部材とアウタ側取付軸部材の一部を構成する第二のアウタ筒部材が円筒形対向面を備えていることから、自動車への装着下における軸方向の初期荷重の入力状態下でも、インナ側取付軸部材とアウタ側取付筒部材の軸直角方向(径方向)において安定したばね特性が得られる。特に、インナ軸部材とアウタ筒部材の対向面がテーパ形を有する筒形マウントで連結されることに起因して軸方向の初期荷重によって軸直角方向のばね特性が大きな影響を受けることもない。従って、軸直角方向のばね特性が大きなチューニング自由度をもって設定され得るのであり、それによって、例えば自動車の左右方向と前後方向のばね特性を大きく異ならせることも出来る。要するに、車両左右方向のばね剛性を大きくしてコーナリング時の走行安定性を高めると共に、車両前後方向のばね特性を柔らかくしてハーシュネス等の防振性能を高めることも可能となる。
【0014】
また、本構造では、軸直角方向のばね特性の調節に有効な軸方向に延びる肉抜部が、円筒状マウントにおける円筒形状の第二の本体ゴム弾性体に形成されている。これにより、かかる肉抜部がテーパ形状のゴム弾性体に形成される場合に比して、ゴム弾性体の型抜き構造を簡単にしつつ、ばね特性のチューニング自由度が向上され得る。
【0015】
それ故、本構造の自動車用メンバマウントによれば、通常走行時に要求されるコーナリング特性や乗り心地の向上と、フルブレ−キング時等の車両挙動安定性の確保とが、両立して効果的に実現され得るのである。
【0016】
また、本発明に係る自動車用メンバマウントでは、テーパ状マウントにおける第一の本体ゴム弾性体には、軸直角方向で対向位置する部分にそれぞれ軸方向に延びるすぐり部が形成されていると共に、かかるすぐり部が対向位置する軸直角方向が円筒状マウントにおける肉抜部が対向位置する軸直角方向に合わせられている構造が、採用されても良い。このような構造によれば、すぐり部と肉抜部が位置合わせされた一軸直角方向のばね定数が、それらすぐり部や肉抜部が形成されていない該一軸直角方向に直交する一軸直角方向のばね定数に比して充分に小さくされる。これにより、自動車への装着状態下、すぐり部や肉抜部が互いに位置合わせされた一軸直角方向を車両前後方向とし、且つすぐり部や肉抜部が形成されていない一軸直角方向を車両左右方向とすることで、柔らかいばね特性による優れた乗り心地と大きなばね剛性に基づく走行安定性とが、一層効果的に得られる。
【0017】
また、本発明に係る自動車用メンバマウントでは、テーパ状マウントの第一の本体ゴム弾性体と円筒状マウントの第二の本体ゴム弾性体において、テーパ状マウントの第一のインナ軸部材と円筒状マウントの第二のインナ軸部材とが相互に軸方向で接近せしめられる方向の予圧縮が及ぼされるようになっている構造が、採用されても良い。このような構造によれば、第一の本体ゴム弾性体と第二の本体ゴム弾性体の耐久性が向上されて、目的とするばね特性に基づく車両の挙動安定性や操縦安定性、乗り心地等の各種効果が一層安定して得られる。特に、予圧縮力が第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材が軸方向で相互に接近する方向に及ぼされることから、例えば、第一及び第二のインナ軸部材を軸方向で相互に接近せしめて連結固定する作業と同時に、第一及び第二の本体ゴム弾性体に予圧縮作業を施すことも可能となり、それによって、製造に際しての作業効率が向上され得る。
【0018】
また、本発明に係る自動車用メンバマウントでは、テーパ状マウントにおける第一のインナ軸部材と円筒状マウントにおける第二のインナ軸部材とが何れも円筒形状とされて軸方向で相互に重ね合わされていると共に、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の一方にナット部材が挿し入れられると共に、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の他方にボルト部材が挿し入れられて、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の中心孔に挿通されてボルト固定されることにより、第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材が軸方向で相互に当接状態で連結固定される一方、第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の少なくとも一方に対してナット部材又はボルト部材が内挿嵌着されて軸直角方向で位置決めされると共に、第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の軸方向の重ね合わせ部分では、重ね合わせ部分に挿通位置せしめられたナット部材又はボルト部材の外周面と第一のインナ軸部材および第二のインナ軸部材の内周面との間における全周に亘って隙間が設けられた構造が、採用されても良い。
【0019】
このような構造によれば、ナット部材又はボルト部材が第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の少なくとも一方に内挿嵌着されて軸直角方向に位置決めされることから、これらナット部材又はボルト部材が車両ボデー乃至はサスペンションメンバに配設されることによって、インナ側取付軸部材における車両ボデー乃至はサスペンションメンバへの取付位置の位置決めが有利に実現され得る。また、第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の軸方向の重ね合わせ部分において、第一及び第二のインナ軸部材とナット部材又はボルト部材との径方向間には、全周に亘って隙間が設けられていることにより、例えば、部品寸法誤差等に起因して第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材に軸直角方向の位置ずれがあった場合でも、かかる隙間の形状や大きさに基づいて、ナット部材又はボルト部材における第一及び第二のインナ軸部材の重ね合わせ部分の挿通領域が確保され得る。これにより、ナット部材およびボルト部材を用いて第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材を連結固定する作業を容易に行うことが出来ることに加え、当該重ね合わせ部分においてナット部材乃至はボルト部材が第一乃至は第二のインナ軸部材に対して軸直角方向に大きな力で当接することが回避されて、ナット部材やボルト部材、それらに固定されるインナ側取付軸部材の耐久性が確保され得ることから、インナ側取付軸部材が車両ボデー乃至はサスペンションメンバに一層安定して取り付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の自動車用メンバマウントに係る第一の実施形態としての自動車用メンバマウント10が示されている。自動車用メンバマウント10では、インナ側取付軸部材としての内筒金具12とアウタ側取付筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて配設されて、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0021】
このような自動車用メンバマウント10は、例えば、特許文献2(特開平03−287405号公報)の図1にも示されているように、サスペンションアームやリンク等がサスペンションメンバ(サブフレーム)を介して車両ボデーに取り付けられる公知のサブフレーム方式のサスペンション装置に対して採用され得る。内筒金具12が車両ボデー側の取付部材に取り付けられると共に、外筒金具14がサスペンションメンバに取り付けられることにより、サスペンションメンバが自動車用メンバマウント10を介して車両ボデーに防振支持されるようになっている。以下の説明において、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
【0022】
より詳細には、内筒金具12は、第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20を含んで構成されている。第一のインナ軸部材としての第一の内側筒金具18は、図2〜4にも示されているように、厚肉且つ小径の略円筒形状を有している。第一の内側筒金具18における外周面の軸方向略中央部分が軸方向両端部分よりも軸直角方向外方に位置せしめられていると共に、かかる軸方向略中央部分から下端の外周縁部に至る外周面が、下方に向かって次第に小径化するテーパ形対向面としてのテーパ外周面22とされている。このテーパ外周面22を備えた第一の内側筒金具18の径方向外方に所定距離を隔てて、第一のアウタ筒部材としての第一の外側筒金具24が配されている。
【0023】
第一の外側筒金具24は、厚肉の略円筒形状を有しており、その外径寸法が第一の内側筒金具18の外径寸法よりも充分に大きくされていると共に、その軸方向寸法が第一の内側筒金具18の軸方向寸法に比して小さくされている。また、第一の外側筒金具24の外周面が、軸方向に円筒状に延びている一方、第一の外側筒金具24の内周面が、下方に向かって次第に小径化するテーパ形対向面としてのテーパ内周面26とされている。なお、第一の外側筒金具24の下端縁部から上方に所定の長さで延びる領域の外周面が、下方に向かって小径化するテーパ形状とされており、それによって、第一の外側筒金具24における下端の外周縁部が、径方向内方に傾斜した角取り構造とされている。
【0024】
この第一の外側筒金具24が、第一の内側筒金具18の外周側に離隔配置され且つ第一の内側筒金具18と同心状に位置せしめられていると共に、第一の内側筒金具18のテーパ外周面22と第一の外側筒金具24のテーパ内周面26が、径方向で対向位置せしめられている。それによって、第一の内側筒金具18においてテーパ外周面22が形成されていない軸方向上部が、第一の外側筒金具24よりも上方に位置せしめられている。
【0025】
本実施形態では、第一の内側及び外側筒金具18,24の中心軸に対してテーパ面の母線が傾斜する角度で表される、テーパ外周面22のテーパ角度とテーパ内周面26のテーパ角度が、略同じとされている。また、テーパ外周面22の軸方向寸法とテーパ内周面26の軸方向寸法が略同じとされている。これらテーパ外周面22とテーパ内周面26の径方向対向面間には、第一の本体ゴム弾性体28が設けられている。
【0026】
第一の本体ゴム弾性体28は、その内外周面が第一の内側筒金具18のテーパ外周面22と第一の外側筒金具24のテーパ内周面26に沿って延びる厚肉の略テーパ筒状を有しており、その内周面がテーパ外周面22に加硫接着されていると共に、その外周面がテーパ内周面26に加硫接着されている。即ち、第一の本体ゴム弾性体28は、第一の内側及び外側筒金具18,24を備えた一体加硫成形品として形成されている。これにより、テーパ外周面22とテーパ内周面26が第一の本体ゴム弾性体28で連結されてなるテーパ状マウント30が構成されている。
【0027】
特に、第一の本体ゴム弾性体28におけるテーパ状マウント30の中心軸を挟んだ径方向一方向(図3,4中、上下)で対向位置せしめられる部分には、すぐり部32,32が形成されている。各すぐり部32は、第一の内側筒金具18のテーパ外周面22および第一の外側筒金具24のテーパ内周面26に沿って軸方向に延びて第一の本体ゴム弾性体28の上下端面を貫通する軸方向断面で、第一の本体ゴム弾性体28の周方向に半周よりも短い長さで延びている。また、すぐり部32は、テーパ外周面22とテーパ内周面26の対向面間に第一の本体ゴム弾性体28が介在されないことで出来る隙間により形成されている。即ち、テーパ筒状を有する第一の本体ゴム弾性体28にかくの如き一対のすぐり部32,32が周方向に離隔して形成されていることにより、第一の本体ゴム弾性体28が、実質的に周方向で分割された一対の略円弧形ブロック形状とされている。
【0028】
なお、本実施形態では、すぐり部32が、第一の本体ゴム弾性体28を軸方向に貫通する孔状とされているが、例えば、第一の本体ゴム弾性体の上端面と下端面の少なくとも一方から軸方向に所定の深さ寸法で延びる穴状とされても良い。また、すぐり部を第一の本体ゴム弾性体の径方向中間部分に形成したり、第一の本体ゴム弾性体の径方向中間部分から第一の内側筒金具のテーパ外周面と第一の外側筒金具のテーパ内周面の少なくとも一方に開口する凹所の内面とテーパ外周面乃至はテーパ内周面の間に形成される隙間等で構成したりすることも可能である。
【0029】
一方、第二のインナ軸部材としての第二の内側筒金具20は、図5,6にも示されているように、厚肉且つ小径の略円筒形状を有している。第二の内側筒金具20の軸方向略中央部分の内周面には、軸直角方向に広がる円環形状の段差面が形成されており、かかる段差面を挟んだ上方の内周面が、下方の内周面よりも大径とされている。また、第二の内側筒金具20の下端部寄りの軸方向中間部分が、下方に向かって小径化するテーパ筒状を有していると共に、第二の内側筒金具20の上端部から軸方向中間部分にかけての外周面が、軸方向に円筒状に延びる円筒形対向面としての円筒外周面34とされている。なお、第二の内側筒金具20における上端縁部の内径寸法および外径寸法と第一の内側筒金具18における下端縁部の内径寸法および外径寸法が略同じとされていることで、第一の内側筒金具18の下端面と第二の内側筒金具20の上端面が、互いに略同じ大きさの円環形状とされている。また、本実施形態では、第二の内側筒金具20の軸方向断面が周方向の全体に亘って略一定とされているが、例えば、第二の内側筒金具20の適当な箇所に周方向の位置決めに用いられる突起や凹所等を形成しても良い。このような円筒外周面34を備えた第二の内側筒金具20の径方向外方に所定距離を隔てて、第二のアウタ筒部材としての第二の外側筒金具36が配されている。
【0030】
第二の外側筒金具36は、薄肉且つ大径の略円筒形状を有しており、その内径寸法が第二の内側筒金具20の外径寸法よりも大きくされていると共に、その軸方向寸法が第二の内側筒金具20の軸方向寸法よりも大きくされている。また、第二の外側筒金具36の内径寸法が、テーパ状マウント30における第一の外側筒金具24の外径寸法と略同じとされている。また、第二の外側筒金具36の軸方向下端部には、外フランジ状部38が一体形成されている。即ち、第二の外側筒金具36において外フランジ状部38を除く内外周面の略全体が、軸方向に円筒状に延びている。特に、第二の外側筒金具36における第一の外側筒金具24との組み付け前の単品状態(図5参照。)では、第二の外側筒金具36の上端部分も軸方向にストレートに延びているが、第一の内側筒金具24と第二の内側筒金具36の組み付けに際して、該上端部分にかしめ加工が施されて、上方に向かって小径化するテーパ筒状のかしめ部40が形成されている。また、外フランジ状部38において、第二の外側筒金具36の中心軸を挟んだ径方向一方向(図6中、左右)で対向位置せしめられる周上の二箇所には、それぞれ径方向中間部分から外周面に凹状に開口する位置決め用の切欠き部42が形成されている。
【0031】
かかる第二の外側筒金具36が、第二の内側筒金具20の外周側に離隔配置されて且つ第二の内側筒金具20と同心状に位置せしめられていると共に、第二の外側筒金具36の軸方向略中央部分から下端部に至る内周面が、第二の内側筒金具20の円筒外周面34と径方向で対向位置せしめられている。この第二の外側筒金具36において第二の内側筒金具20の円筒外周面34と径方向で対向位置せしめられる、軸方向略中央部分から下端部に至る円筒状の内周面が、円筒形対向面としての円筒内周面44とされている。このことからも明らかなように、第二の外側筒金具36において円筒内周面44が形成されていない軸方向略中央部分よりも上側の部分が、第二の内側筒金具20よりも上方に位置せしめられている。これら円筒外周面34と円筒内周面42の径方向対向面間には、第二の本体ゴム弾性体46が設けられている。
【0032】
第二の本体ゴム弾性体46は、その内外周面が第二の内側筒金具20の円筒外周面34と第二の外側筒金具36の円筒内周面44に沿って延びる厚肉の略円筒形状を有しており、その内周面が円筒外周面34に加硫接着されていると共に、その外周面が円筒内周面44に加硫接着されている。即ち、第二の本体ゴム弾性体46は、第二の内側及び外側筒金具20,36を備えた一体加硫成形品として形成されており、それによって、円筒外周面34と円筒内周面44が第二の本体ゴム弾性体46で連結されてなる円筒状マウント48が構成されている。
【0033】
また、第二の外側筒金具36の外周面には、第二の本体ゴム弾性体46と一体形成された薄肉の外周ゴム層50が被着形成されている。特に、第二の外側筒金具36の外フランジ状部38を除く円筒状の外周面に被着される外周ゴム層50は、上方に向かって径方向の突出寸法が小さくなる先細り状の軸方向断面で周方向に延びる上端部分を備えた環状のゴム体が軸方向に所定距離を隔てて複数条設けられた形態を有している。また、切欠き部42を備えた外フランジ状部38の外周面に被着される外周ゴム層50は、全体に亘って略一定の厚さ寸法とされている。
【0034】
さらに、第二の外側筒金具36の外フランジ状部38の下端面には、第二の本体ゴム弾性体46や外周ゴム層50と一体形成された略円環ブロック形状のバウンド緩衝ゴム52が被着されている。バウンド緩衝ゴム52は、周方向に略一定の厚さ寸法(軸方向寸法)で延びていても良いが、本実施形態では、緩衝ゴム52の厚さ寸法が周方向で異ならされており、厚さ寸法の大きな厚肉部が周方向で等間隔に4つ形成されている。
【0035】
また、第二の本体ゴム弾性体46の径方向の略中央部分には、軸方向に長手状の略矩形断面で周方向に所定の長さで延びるばね調節金具54が加硫接着されていることに基づき、第二の内側及び外側筒金具20,36の軸直角方向のばね定数が大きくされている。
【0036】
さらに、第二の本体ゴム弾性体46における円筒状マウント48の中心軸を挟んだ径方向一方向(図6中、上下)で対向位置せしめられる部分には、肉抜部56,56がそれぞれ形成されている。肉抜部56は、第二の本体ゴム弾性体46の径方向中間部分から第二の外側筒金具36の円筒内周面44に開口し且つ第二の本体ゴム弾性体46の軸方向両端面を貫通する軸方向断面で、第二の本体ゴム弾性体46の周方向に半周よりも短い長さで延びている。即ち、肉抜部56は、第二の本体ゴム弾性体46における内周面から径方向外方に所定距離を隔てた径方向中間部分から円筒内周面44に開口する凹所の内面と円筒内周面44の間に形成される隙間で構成されている。また、第二の本体ゴム弾性体46の肉抜部56,56が形成された部分には、ばね調節金具54が配設されていない。要するに、第二の本体ゴム弾性体46における肉抜部56,56の形成部分では、実質的に第二の内側筒金具20と第二の外側筒金具36を相互に連結しておらず、第二の本体ゴム弾性体46における一対の肉抜部56,56の対向方向に直交する径方向一方向(図6中、左右)の一対の略円弧状部分によって、第二の内側及び外側筒金具20,36が相互に連結されている。なお、肉抜部56は、必ずしも軸方向に貫通している必要はなく、例えば、第二の本体ゴム弾性体の上端面と下端面の少なくとも一方から軸方向に所定の深さ寸法で延びる穴状とされても良い。
【0037】
更にまた、第二の外側筒金具36の円筒内周面44において各肉抜部56の径方向外周面を構成する部位の周方向略中央部分には、第二の本体ゴム弾性体46や外周ゴム層50と一体形成されたブロック状の前後緩衝ゴム58が径方向内方に向かって突設されている。前後緩衝ゴム58の径方向外周面が、円筒内周面44に沿って加硫接着されていると共に、前後緩衝ゴム58の径方向内周面が、肉抜部56の径方向内周面を構成する第二の内側筒金具36の径方向中間部分の外周面と径方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。要するに、円筒状マウント48における各肉抜部56の径方向外周側から内側に向かって前後緩衝ゴム58が突設されていることによって、前後緩衝ゴム58が円筒状マウント48における円筒外周面34と円筒内周面44の対向面間に一対設けられて、それら一対の前後緩衝ゴム58,58が、円筒状マウント48の中心軸を挟んだ径方向一方向(図6中、上下)で対向位置せしめられている。なお、第二の内側筒金具36の内側に設けられる第二の本体ゴム弾性体46や前後緩衝ゴム58等と第二の内側筒金具36の外側に設けられる外周ゴム層50は、第二の内側筒金具36に貫設された複数の孔を通じて、一体加硫成形されている。
【0038】
本実施形態では、テーパ状マウント30におけるテーパ外周面22の軸方向寸法とテーパ内周面26の軸方向寸法や、円筒状マウント48における円筒外周面34の軸方向寸法と円筒内周面44の軸方向寸法が、それぞれ略同じとされていると共に、これらテーパ内外周面22,26の軸方向寸法が、円筒内外周面34,44の軸方向寸法に比して小さくされている。また、第二の本体ゴム弾性体46の外径寸法や軸方向寸法が、第一の本体ゴム弾性体28の外径寸法や軸方向寸法に比して、何れも大きくされている。
【0039】
このようなテーパ状マウント30が円筒状マウント48の第二の外側筒金具36の上方から該金具36の内側に差し入れられて、テーパ状マウント30の第一の外側筒金具24が第二の外側筒金具36に圧入固定されている。特に本実施形態では、第一の外側筒金具24の上端面が第二の外側筒金具36の上端面よりも下方に位置するまで圧入されていると共に、第二の外側筒金具36における第一の外側筒金具24よりも上方の部分にかしめ加工が施されて、第一の外側筒金具24の外周面よりも径方向内方に傾斜して延びるかしめ部40が形成されている。それによって、第一の外側筒金具24の第二の外側筒金具36からの抜け出し防止が図られ得る。内筒金具12と外筒金具14が自動車に取り付けられる前の第一の外側筒金具24と第二の外側筒金具36の圧入固定状態では、第二の外側筒金具36の内側の軸方向中間部分において、テーパ状マウント30における第一の外側筒金具24および第一の本体ゴム弾性体28と円筒状マウント48における第二の本体ゴム弾性体46が、軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、第一の内側筒金具18の下端面と第二の内側筒金具20の上端面が、軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。更に、第一の本体ゴム弾性体28の一対のすぐり部32,32が、第二の本体ゴム弾性体46の各肉抜部56と軸方向でそれぞれ投影する位置に位置せしめられている。換言すると、一対のすぐり部32,32が対向位置する径方向一方向が、一対の肉抜部56,56が対向位置する径方向一方向に位置合わせされている。
【0040】
これにより、図7にも示されているように、第一の外側筒金具24と第二の外側筒金具36が相互に固定されて、一体的な外筒金具14が構成されている一方、第一及び第二の内側筒金具18,20が互いに非固定状態とされており、自動車に装着される前の単品部材である組付け体60が構成されている。
【0041】
かかる組付け体60が自動車に装着される際に、外筒金具14がブラケット金具62に固定される。ブラケット金具62は、図1にも示されているように、大径の円筒形状を有しており、内周面が軸方向に円筒状に延びる装着孔64とされている。また、ブラケット金具62の上端部には、内フランジ状部66が一体形成されていると共に、ブラケット金具62の下端部には、外フランジ状部68が一体形成されている。ブラケット金具62の装着孔64に対して軸方向下方から外筒金具14における第二の外側筒金具36の外周面が圧入されて、外周ゴム層50を介してブラケット金具62に固定されている。特に、外周ゴム層50が軸方向に所定距離を隔てて配設される複数条の環状ゴム体によって構成されていることで、第二の外側筒金具36の外周面における装着孔64に対する圧入時の当接面積が小さくされると共に、各環状ゴム体の上端部分の径方向寸法が上方に向かって小さくされていることから、圧入に要する荷重が低減されて、外筒金具14の装着孔64への圧入作業が容易になる。なお、外周ゴム層50の径方向の突出先端部分は、外筒金具14とブラケット金具62の間で圧縮変形されることに伴い、押し潰されても良い。また、外筒金具14のブラケット金具62への圧入端は、第二の外側筒金具36の外フランジ状部42がブラケット金具62の外フランジ状部68に重ね合わされることにより、規定される。このブラケット金具62がサスペンションメンバに装着乃至は形成されていることによって、外筒金具14がサスペンションメンバに取り付けられる。
【0042】
また、組付け体60の自動車への装着に際しては、第一の内側筒金具18の中心孔に対して上方からナット部材としての長軸状のナット金具70が内挿されている。ナット金具70の軸直角方向中央部分には、内挿方向の先端面(軸方向下端面)に開口する螺子穴72が設けられていると共に、ナット金具70の外周面には軸直角方向に広がる鍔状部74が突設されている。このナット金具70の鍔状部74から下端部に至る部分の外径寸法が第一の内側筒金具18の内径寸法に比して僅かに小さくされており、当該部分の略全体が第一の内側筒金具18に内挿、嵌着されることによって、ナット金具70と第一の内側筒金具18が軸直角方向に位置決めされている。なお、ナット金具70の下端縁部から軸方向上方に所定の長さで延びる外周面が、下方に向かって小径化するテーパ形状とされていることによって、ナット金具70の内挿方向の先端部分と第一の内側筒金具18の内周部分との当接が抑えられて、ナット金具70における第一の内側筒金具18への内挿がスムーズに実現され得る。
【0043】
さらに、ナット金具70の鍔状部74が第一の内側筒金具18の上方に位置せしめられて、鍔状部74と第一の内側筒金具18の間において、車両ボデー76の一部または車両ボデー76に取り付けられる取付部材が挟み込まれている。このことから、第一の内側筒金具18、延いては内筒金具12の車両ボデー76に対する取付位置が、該第一の内側筒金具18に内挿嵌着されるナット金具70を利用して位置決めされ得る。
【0044】
また、ボルト部材としての長軸状のボルト金具78が、第二の内側筒金具20の中心孔の下方から内挿されて、ボルト金具78の内挿方向の先端部分の螺子部が、ナット金具70の螺子穴72に螺着固定されている。ボルト金具78のナット金具70に対する螺じ込みに伴う軸方向力(螺着固定力)に基づき、組付け体60における第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20が軸方向で互いに接近する方向に変位せしめられ、第一の内側筒金具18におけるテーパ外周面22の小径側の軸方向下端面と第二の内側筒金具20の上端面が、外筒金具14の軸方向中間部分において軸方向で重ね合わされている。なお、第一の内側筒金具18に内挿されるナット金具70の下端部は、第一及び第二の内側筒金具18,20の軸方向の重ね合わせ部分よりも上方に位置せしめられている。また、ボルト金具78のヘッド部80の外径寸法が第二の内側筒金具20の下端の内径寸法に比して大きくされている。
【0045】
ボルト金具78において第一及び第二の内側筒金具18,20に内挿する部分の外径寸法が、第一及び第二の内側筒金具18,20において当該ボルト金具78が内挿される部分の内径寸法に比して小さくされており、かかるボルト金具78の第一及び第二の内側筒金具18,20への内挿部分の外周面と第一及び第二の内側筒金具18,20における軸方向の重ね合わせ部分を含むボルト金具78の被内挿部分の内周面との間には、軸方向の全長に亘って隙間82が形成されている。特に、第一及び第二の内側筒金具18,20における軸方向の重ね合わせ部分の内径寸法とボルト金具78の外径寸法の差が大きくされていることに基づき、当該重ね合わせ部分とボルト金具78の間に形成される隙間82が、充分に大きくされている。
【0046】
これら第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20が相互にボルト固定されていることで、一体的な内筒金具12が構成されていると共に、ナット金具70を介して内筒金具12の車両ボデー76に対する取付位置が定められつつ、内筒金具12が車両ボデー76に固定されている。
【0047】
また、組付け体60において軸方向で互いに離隔状態にあった第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20が軸方向で相互に接近せしめられて当接状態で連結固定されることに伴い、第一の内側筒金具18のテーパ外周面22と第一の外側筒金具24のテーパ内周面26との対向面間における第一の本体ゴム弾性体28や、第二の内側筒金具20の円筒外周面34と第二の外側筒金具36の円筒内周面44との対向面間における第二の本体ゴム弾性体46に対して主として剪断変形に基づく予圧縮が及ぼされる。即ち、第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46には、第一及び第二の内側筒金具18,20が軸方向で接近せしめられる方向の予圧縮が及ぼされることとなる。
【0048】
その結果、内筒金具12が構成されると共に、所期の予圧縮力が及ぼされた第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46からなる本体ゴム弾性体16によって内筒金具12と外筒金具14が相互に弾性連結せしめられて、本実施形態の自動車用メンバマウント10が構成される。また、かかる自動車用メンバマウント10の構成と同時に、自動車用メンバマウント10が車両ボデー76とサスペンションメンバの間に介装されて、サスペンションメンバが車両ボデー76に対して防振支持せしめられている。
【0049】
なお、本実施形態の組付け体60では、第一の内側筒金具18の下端面と第二の内側筒金具20の上端面が、第一及び第二の内側筒金具18,20や第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46における形状や大きさ、ばね特性等に基づいて、軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられているが、予め当接されていても良い。そして、組付け体60が自動車の所定の取付位置に取り付けられる際に、互いに当接した第一及び第二の内側筒金具18,20が外筒金具14と相対的に変位せしめられることに伴い、第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46に予圧縮を及ぼすことも可能である。
【0050】
特に、外筒金具14とブラケット金具62が外周ゴム層50を介して圧入固定されていることによって、自動車用メンバマウント10とサスペンションメンバにおける寸法誤差や組み付け誤差等が外周ゴム層50の弾性変形に基づいて吸収されて、自動車用メンバマウント10と装着孔64が略同心状に配される。なお、外筒金具14がブラケット金具62に装着された状態下、それらの間で圧縮変形される外周ゴム層50の軸直角方向のばね定数は、本体ゴム弾性体16の軸直角方向のばね定数(第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46の軸直角方向の合成ばね定数)に比して十分に大きくされている。これにより、自動車用メンバマウント10の軸直角方向のばね特性のチューニングに関して、外周ゴム層50の軸直角方向のばね定数が実質的に除外視され得て、ばね特性が本体ゴム弾性体16の軸直角方向のばね定数に基づいてチューニング設定され得ることから、複雑なチューニングが回避され得る。
【0051】
また、自動車用メンバマウント10では、マウント中心軸を挟んで一対のすぐり部32,32が対向位置せしめられる軸直角方向一方向と一対の肉抜部56,56が対向位置せしめられる軸直角方向一方向が略同一となるように互いに位置合わせされていることによって、マウント中心軸を挟んだ一方の側のすぐり部32および肉抜部56と他方の側のすぐり部32および肉抜部56が、それぞれ軸方向で対向位置せしめられている。これら軸方向で対向位置せしめられるすぐり部32と肉抜部56は、第一の本体ゴム弾性体28および第一の外側筒金具24と第二の本体ゴム弾性体46の軸方向対向面間に形成された隙間を通じて相互に連通せしめられている。要するに、本実施形態の自動車用メンバマウント10においては、すぐり部32や肉抜部56、当該隙間が協働して、本体ゴム弾性体16を軸方向に貫通する肉抜凹所84が形成されており、かかる肉抜凹所84の一対が、マウント中心軸を挟んだ径方向一方向で対向位置せしめられている。その結果、一対の肉抜凹所84,84が形成された径方向一方向のばね定数が、かかる径方向一方向に直交する方向のばね定数に比して十分に小さくされている。
【0052】
かくの如き自動車用メンバマウント10の自動車への装着状態下、マウント10の軸方向が車両上下方向(図1中、上下)とされ、また一対の肉抜凹所84,84が対向位置せしめられた径方向一方向が車両前後方向とされていると共に、該径方向一方向に直交する方向が車両左右方向とされている。従って、車両前後方向に振動が入力されて、内筒金具12と外筒金具14が相対的に変位する際に、内筒金具12における第二の内側筒金具20と外筒金具14における第二の外側筒金具36が前後緩衝ゴム58を介して打ち当たることによって、内筒金具12と外筒金具14における車両前後方向の相対的な変位が、緩衝的に制限されるようになっている。
【0053】
また、車両ボデー76とブラケット金具62の内フランジ状部66が車両上下方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、それらの対向面間にリバウンド緩衝ゴム86が配設されている。更に、ボルト金具78のヘッド部80と第二の内側筒金具20の間には、略円環板形状を有する鍔状金具88の内周縁部が挟持固定されて、鍔状金具88の外周部分が、外筒金具14における第二の外側筒金具36の外フランジ状部38に被着されたバウンド緩衝ゴム52を挟んで外フランジ状部38と車両上下方向で対向位置せしめられている。従って、車両上下方向に振動が入力されて、内筒金具12と外筒金具14が相対的に変位する際に、車両ボデー76とブラケット金具62の内フランジ状部66がリバウンド緩衝ゴム86を介して打ち当たったり、または外筒金具14の外フランジ状部38と鍔状金具84がバウンド緩衝ゴム52を介して重ね合わされたりすることによって、内筒金具12と外筒金具14におけるリバウンド方向またはバウンド方向の相対的な変位が、緩衝的に制限されるようになっている。
【0054】
そこにおいて、本実施形態の自動車用メンバマウント10では、例えば、FR(フロントエンジン・リアドライブ)式の自動車においてデファレンシャルギアを支持するクロスメンバを車両ボデーに対して支持せしめるリアサスペンションメンバ用のマウントや、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)式の自動車においてパワーユニットを支持するフロントメンバを車両ボデーに対して支持せしめるフロントサスペンションメンバ用のマウント等として、好適に採用され得る。これらクロスメンバやフロントメンバ等を含むリア乃至はフロントサスペンションメンバは、自動車の前後左右の4隅部分でそれぞれメンバマウントを介して車両ボデーに防振支持されている。特に、本実施形態の自動車用メンバマウント10は、かかるサスペンションメンバにおいてフルブレ−キング時に大きな車両上下方向荷重が及ぼされる箇所に配設され、且つマウント中心軸を車両上下方向に向けて装着されるメンバマウントに対して好適に適用され得る。
【0055】
具体的には、サスペンション機構の構造や配置等によって異なるが、例えばFR式のリアサスペンションメンバでは、フルブレ−キング時に及ぼされる車両上下方向荷重が、主として、車両後方でサスペンションメンバと車両ボデー76が相互に接近する方向に大きくなる一方、車両前方でサスペンションメンバと車両ボデー72が相互に離隔する方向に大きくなる。従って、本実施形態の自動車用メンバマウント10が、かかるFR式のリアサスペンションメンバの車両後方の左右両側に配設される場合には、図1に示されるように、テーパ状マウント30が上方に位置せしめられると共に、円筒状マウント48が下方に位置せしめられる状態で装着される。それと反対に、自動車用メンバマウント10が、FR式のリアサスペンションメンバの車両前方の左右両側に配設される場合には、図示していないが、テーパ状マウント30が下方に位置せしめられると共に、円筒状マウント46が上方に位置せしめられる状態で装着される。要するに、自動者用メンバマウント10は、フルブレ−キング時に及ぼされる荷重がマウント軸方向で且つテーパ状マウント30の第一の本体ゴム弾性体28に対して圧縮荷重として及ぼされるように装着されることとなる。
【0056】
また、例えば、自動車用メンバマウント10がFF式のフロントサスペンションメンバ用マウントに適用される場合にも、前述のFR式のリアサスペンションメンバ用マウントに適用される場合と同様な考え方で、自動者用メンバマウント10は、フルブレ−キング時に及ぼされる荷重がマウント軸方向で且つテーパ状マウント30の第一の本体ゴム弾性体28に対して圧縮荷重として及ぼされるように装着されることとなる。なお、FR式のフロントサスペンションメンバやFF式のリアサスペンションメンバ、4WD(四輪駆動)式のフロント乃至はリアサスペンションメンバにおいても、それらがフルブレ−キング時に大きな車両上下方向荷重が及ぼされるメンバマウントを介して車両ボデーに支持せしめられる場合には、かかるメンバマウントとして本実施形態の自動車用メンバマウント10を採用し、前述のFR式のリアサスペンションメンバ用マウントやFF式のフロントサスペンションメンバ用マウントと同様に、フルブレ−キング時に及ぼされる荷重がマウント軸方向で且つテーパ状マウント30の第一の本体ゴム弾性体28に対して圧縮荷重として及ぼされるように装着することが可能である。
【0057】
なお、本実施形態の自動車用メンバマウント10は、自動車に装着されると同時に構成されるようになっている。即ち、自動車への非装着状態下、第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20が相互に離隔せしめられた分割構造とされて内筒金具12が構成されておらず、且つ第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46に予圧縮が及ぼされていない単品状態の組付け体60が構成される。そして、かかる組付け体60が自動車に組み付けられることに伴い、第一及び第二の内側筒金具18,20が相互に当接状態で連結固定されて一体的な内筒金具12が構成されると共に、第一及び第二の本体ゴム弾性体28,46に所期の予圧縮が及ぼされることで、本実施形態の自動車用メンバマウント10が構成されると同時に、自動車に装着されるようになっている。しかしながら、本実施形態は、これに限定されるものでなく、例えば、第一の内側筒金具と第二の内側筒金具が相互に連結固定される固定手段が設けられて、組付け体が自動車に組み付けられる前に、第一の内側筒金具と第二の内側筒金具が軸方向で接近せしめられて固定手段により相互に連結固定されて内筒金具が構成されると共に、当該接近方向の予圧縮が第一及び第二の本体ゴム弾性体に及ぼされることによって、自動車への装着前に自動車用メンバマウントが構成されても良い。また、第一及び第二の本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼす作業は、マウントが構成されると同時に完了しても良いが、自動車用メンバマウントが自動車の所定の取付位置に装着される際に、内筒金具と外筒金具が相対的に変位せしめられることに伴い、第一及び第二の本体ゴム弾性体に更に予圧縮を及ぼすことも可能である。なお、第一の内側筒金具と第二の内側筒金具の固定手段としては、例えば、本実施形態の外筒金具14を構成する第一の外側筒金具24と第二の外側筒金具36の固定構造と同様に、第一の内側筒金具と第二の内側筒金具の何れか一方を軸方向に延び出させて、その延び出した部分を第一の内側筒金具と第二の内側筒金具の他方に圧入固定したり、或いは第一の内側筒金具と第二の内側筒金具の何れか一方にかしめ部を設けて、第一の内側筒金具と第二の内側筒金具を相互に接近せしめると共に、かしめ部にかしめ加工を施して、第一及び第二の内側筒金具を相互にかしめ固定したりすること等で、実現され得る。このように自動車用メンバマウントが自動車に装着される前の単品状態下でも、第一及び第二の本体ゴム弾性体に軸方向の予圧縮が及ぼされて、第一及び第二の内側筒金具が固定保持されていることにより、取り扱いが容易となって、装着に際しての作業も容易となる利点がある。
【0058】
本実施形態の自動車用メンバマウント10においては、テーパ状マウント30と円筒状マウント48が軸方向に組み合わされた構造とされていることから、例示の如き自動車への装着に際して、フルブレ−キング時に及ぼされる荷重がマウント軸方向で且つテーパ状マウント30の第一の本体ゴム弾性体28に対して圧縮荷重として及ぼされるように装着することが可能となる。これにより、特に自動車の急加減速でドライバの心理安定上、高い車両挙動安定性が求められる場合が多い急減速(フルブレ−キング)時において、テーパ状マウント30におけるテーパ外周面22及びテーパ内周面26による内筒金具12と外筒金具14のセンタリング作用が機能的に発揮され得る。その結果、フルブレーキング時に、サスペンション装置が車両ボデーに対して予想し難い方向に乃至は過大に変位せしめられることが抑えられて、車両挙動を安定せしめる向上効果が図られ得るのであり、ドライバ心理の安定性向上に適する。
【0059】
また、テーパ状マウント30と円筒状マウント48が軸方向に組み合わされた構造とされていることから、例えば、サスペンション機構の構造や配置等によって、フルブレ−キング時の荷重の主たる入力方向が車両上下方向で反対になったり、或いは車両挙動安定性がフルブレ−キング時よりも急加速時に高く要求される場合等には、図1に示される如きテーパ状マウント30と円筒状マウント48の上下の組み合わせ方向を反対にして、即ち円筒状マウントが上方に位置せしめられ、テーパ状マウントが下方に位置せしめられる状態で装着することも、柔軟に対応され得る。
【0060】
一方、テーパ状マウント30の軸方向反対側には円筒状マウント48が設けられていることによって、車両上下方向の初期荷重による軸直角方向のばね特性の影響が、従来構造の一対のテーパ状の筒形ゴムを配したメンバマウントほどに大きくならない。しかも、円筒状マウント48が一対の円筒状の内外周面34,44の間に円筒形状の第二の本体ゴム弾性体46が加硫成形されてなる構造とされていることから、一対のテーパ状の内外周面の間にテーパ筒状のゴム弾性体を加硫成形する場合に比して、型抜き構造が簡単とされ得る。それによって、第二の本体ゴム弾性体46の設計自由度が大きく確保されて、例示の如き円弧形状のばね調節金具54を第二の本体ゴム弾性体46の径方向中間部分に設けたり、第二の本体ゴム弾性体46に軸方向に貫通して延びる肉抜部56,56を設けたり、更にバウンド緩衝ゴム58を外筒金具14から肉抜部56の内側に突設したりする構造が、比較的に容易に採用され得る。従って、車両左右方向のばね特性と車両前後方向のばね特性を大きく異ならせつつ、それぞれ安定して得ることが出来、車両左右方向ではコーナリング時の安定性が発現される程度のばね剛性が充分に得られて、操縦安定性が確保され得ると共に、ハーシュネス対策等のために車両前後方向では充分に柔らかいばね特性が得られて、乗り心地が向上され得る。
【0061】
それ故、本実施形態の自動車用メンバマウント10によれば、通常走行時に要求される操縦安定性や乗り心地の向上と、フルブレ−キング時の車両挙動安定性の確保とが、両立して実現され得るのである。
【0062】
また、本実施形態では、第一の外側筒金具24が第二の外側筒金具36に圧入されることで外筒金具14が構成されて、外筒金具14における第二の外側筒金具36が、サスペンションメンバの円筒状の装着孔64の下方開口部から圧入されることによって、外筒金具14がサスペンションメンバに装着されている。これにより、装着孔64にはテーパ状の筒形マウントを装着するためにテーパ形状等の特別な形状を採用する必要がなくなって、装着孔64を備えたブラケット金具62の構造簡単化が図られ得ることに加えて、装着孔64の軸方向両側からテーパ状マウント30と円筒状マウント48を各別に組み付ける等の手間が省かれることから、自動車への装着作業が容易となる。
【0063】
さらに、本実施形態では、ナット金具70が第一の内側筒金具18にだけ内挿嵌着されて軸直角方向に位置決めされていることから、第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20の軸直角方向の位置ずれによる第二の内側筒金具20のナット金具70への干渉作用が回避されて、ナット金具70と第一の内側筒金具18の固定位置、延いては内筒金具12における車両ボデー76の取付位置が安定して定められる。また、第一及び第二の内側筒金具18,20とそれら第一及び第二の内側筒金具18,20に内挿されるボルト金具78との間には、全体に亘って隙間82が形成されていることから、第一の内側筒金具18と第二の内側筒金具20に軸直角方向の位置ずれがあった場合でも、隙間82の形状や大きさに基づいて、ボルト金具78と第二の内側筒金具20との軸直角方向の相対的な位置ずれが許容され得る。即ち、第二の内側筒金具20のボルト金具78への干渉作用が抑えられて、ボルト金具78の挿通作業を容易に行うことが出来ると共に、第二の内側筒金具20がボルト金具78に軸直角方向で大きな力で当接することに起因するボルト金具78の軸直角方向の応力集中が抑えられて、ボルト金具78およびナット金具70の耐久性が確保され得る。それ故、内筒金具12が車両ボデー76の所定の位置に確実に取り付けられて、所期のばね特性が安定して得られるのである。
【0064】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0065】
例えば、テーパ状マウント30や円筒状マウント48における第一及び第二の内側筒金具18,20や外側筒金具24,36、本体ゴム弾性体28,46等の各種部材における形状や大きさ、構造、配置等の形態は、例示の如きものに限定されない。具体的に、前記実施形態において、第一の本体ゴム弾性体28に設けられていたすぐり部32や第二の本体ゴム弾性体46に設けられていたばね調節金具54等は、要求されるばね特性や製作性等に応じて設けられるものであり、必須の構成要件でない。
【0066】
また、内筒金具12と外筒金具14の軸方向一方(図1中、上)の側においてブラケット金具62の内フランジ状部66やリバウンド緩衝ゴム86等で構成されるリバウンドストッパ機構や軸方向他方(図1中、下)の側においてブラケット金具62の外フランジ状部68やバウンド緩衝ゴム52、鍔状金具88等で構成されるバウンドストッパ機構、内筒金具12と外筒金具14の間において径方向一方向で対向位置せしめられる一対の前後緩衝ゴム58,58を含んで構成される車両前後方向のストッパ機構は、必須の構成要件でない。
【0067】
また、前記実施形態では、第一の本体ゴム弾性体28の内外周面と第一の内側及び外側筒金具18,24における外内周面(テーパ外内周面22,26)との接着部分が、それぞれ全体に亘ってテーパ状とされていたが、それぞれ少なくとも一部だけテーパ状とされても良く、例えば、第一の本体ゴム弾性体における第一の内側乃至は外側筒金具への接着面積を有効に確保するために、接着部分の一部が周方向に所定幅で広がる平坦形状とされていても良い。
【0068】
また、前記実施形態では、自動車用メンバマウント10が構成され且つ自動車に装着される際に、予めテーパ状マウント30の第一の内側筒金具18が円筒状マウント48の第二の内側筒金具20に圧入されて外筒金具14が構成されることによって、テーパ状マウント30と円筒状マウント48が一部連結固定されてなる組付け体60が構成され、かかる組付け体60の外筒金具14が装着孔64の下方開口部から圧入されるようになっていたが、これに限定されるものでなく、例えば、自動車に未装着の状態では、テーパ状マウントと円筒状マウントをそれぞれ各別に独立した分割構造とすると共に、サスペンションメンバには、軸方向一方の側で第一の外側筒金具の外面形状に対応した内面形状とされ、且つ軸方向他方の側で第二の外側筒金具の外面形状に対応した内面形状の装着孔を形成し、かかる装着孔の軸方向両側から第一の外側筒金具と第二の外側筒金具を嵌め入れることによって、自動車用メンバマウントが構成され且つ自動車に装着されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用メンバマウントの縦断面図。
【図2】同自動車用メンバマウントの一構成部材であるテーパ状マウントの縦断面図であって図3のII−II断面図。
【図3】同テーパ状マウントの平面図。
【図4】同テーパ状マウントの底面図。
【図5】同自動車用メンバマウントの一構成部材である円筒状マウントの縦断面図。
【図6】同円筒状マウントの底面図。
【図7】同自動車用メンバマウントの一構成部材である組付け体の縦断面図。
【符号の説明】
【0070】
10:自動車用メンバマウント、12:内筒金具、14:外筒金具、18:第一の内側筒金具、20:第二の内側筒金具、22:テーパ外周面、24:第一の外側筒金具、26:テーパ内周面、28:第一の本体ゴム弾性体、30:テーパ状マウント、34:円筒外周面、36:第二の外側筒金具、44:円筒内周面、46:第二の本体ゴム弾性体、48:円筒状マウント、56:肉抜部、76:車両ボデー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車両ボデーに対してサスペンションメンバを防振支持せしめる自動車用メンバマウントであって、
第一のインナ軸部材とその外周側に離隔配置された第一のアウタ筒部材との径方向対向面が、軸方向一方の側に向かって次第に小径化するテーパ形対向面とされていると共に、それらのテーパ形対向面がテーパ形状の第一の本体ゴム弾性体で連結されることによって構成されたテーパ状マウントと、
第二のインナ軸部材とその外周側に離隔配置された第二のアウタ筒部材との径方向対向面が円筒形対向面とされていると共に、それらの円筒形対向面が円筒形状の第二の本体ゴム弾性体で連結されることによって構成されており、且つ該第二の本体ゴム弾性体には、軸直角方向で対向位置する部分にそれぞれ軸方向に延びる肉抜部が形成されている円筒状マウントと
を、含んで構成されており、該テーパ状マウントにおける該テーパ形対向面の小径側の軸方向端面に対して該円筒状マウントが軸方向に重ね合わされて、該第一のインナ軸部材と該第二のインナ軸部材によって一体的なインナ側取付軸部材が構成されていると共に、該第一のアウタ筒部材と該第二のアウタ筒部材によって一体的なアウタ側取付筒部材が構成されて、それらインナ側取付軸部材とアウタ側取付筒部材が該第一の本体ゴム弾性体および該第二の本体ゴム弾性体によって弾性的に連結されていることを特徴とする自動車用メンバマウント。
【請求項2】
前記テーパ状マウントにおける前記第一の本体ゴム弾性体には、軸直角方向で対向位置する部分にそれぞれ軸方向に延びるすぐり部が形成されていると共に、かかるすぐり部が対向位置する軸直角方向が前記円筒状マウントにおける前記肉抜部が対向位置する軸直角方向に合わせられている請求項1に記載の自動車用メンバマウント。
【請求項3】
前記テーパ状マウントの前記第一の本体ゴム弾性体と前記円筒状マウントの前記第二の本体ゴム弾性体において、該テーパ状マウントの前記第一のインナ軸部材と該円筒状マウントの前記第二のインナ軸部材とが相互に軸方向で接近せしめられる方向の予圧縮が及ぼされるようになっている請求項1又は2に記載の自動車用メンバマウント。
【請求項4】
前記テーパ状マウントにおける前記第一のインナ軸部材と前記円筒状マウントにおける前記第二のインナ軸部材とが何れも円筒形状とされて軸方向で相互に重ね合わされていると共に、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の一方にナット部材が挿し入れられると共に、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の他方にボルト部材が挿し入れられて、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材の中心孔に挿通されてボルト固定されることにより、該第一のインナ軸部材と該第二のインナ軸部材が軸方向で相互に当接状態で連結固定される一方、
該第一のインナ軸部材と該第二のインナ軸部材の少なくとも一方に対して該ナット部材又は該ボルト部材が内挿嵌着されて軸直角方向で位置決めされると共に、該第一のインナ軸部材と該第二のインナ軸部材の軸方向の重ね合わせ部分では、該重ね合わせ部分に挿通位置せしめられた該ナット部材又は該ボルト部材の外周面と該第一のインナ軸部材および該第二のインナ軸部材の内周面との間における全周に亘って隙間が設けられた請求項1乃至3の何れか一項に記載の自動車用メンバマウント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−216136(P2009−216136A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58300(P2008−58300)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】