説明

自動車用内装部品並びにその製造方法

【課題】発泡樹脂基材とその表裏面側にそれぞれ一体化されるトップ層及び樹脂リブとからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用した自動車用内装部品並びにその製造方法において、外観性能を高め、かつ製作コストを低減化する。
【解決手段】ドアトリム20は、ドアトリムアッパー(積層構造体)30と、ドアトリムロア(樹脂単体品)40とから構成されている。ドアトリムアッパー30は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材31と、その裏面に一体化される樹脂リブ32と、発泡樹脂基材31の表面側に射出成形されるトップ層33との積層構造体から構成され、射出成形によりトップ層33を成形することで、造形自由度を高めることができるとともに、かつ樹脂リブ32の収縮歪みが原因となる表面ヒケを防止でき、また、絞模様の転写も精度良く行なえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品並びにその製造方法に係り、特に、軽量でかつ所望の剛性を備えるとともに、外観性能に優れ、しかも廉価に製作できる自動車用内装部品並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、積層構造体を一部、あるいは全体に採用した自動車用ドアトリムの構成について、図15,図16を基に説明する。ドアトリム1は、保形性及び車体パネルへの取付剛性を備え、製品面のほぼ全体にいきわたっている樹脂芯材2の表面に、表面外観に優れた表皮3を積層一体化して構成されている。上記樹脂芯材2としては、タルクを混入したポリプロピレン系樹脂を素材としており、また、表皮3は、それ自体保形性を備えておらず、塩ビシート等の合成樹脂シートの裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が使用され、最近では、環境面やリサイクル面を考慮して、TPO(サーモプラスチックオレフィン)等のエラストマーシートの裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が多用される傾向にある。
【0003】
次に、上記ドアトリム1の成形方法における従来例について図17を基に説明する。まず、ドアトリム1を成形する成形金型4は、所定ストローク上下動可能な成形上型5と、成形上型5と対をなす固定側の成形下型6と、成形下型6に接続される射出機7とから大略構成されている。そして、成形上下型5,6を型締めした際、ドアトリム1の製品形状を形造るために成形上型5にはキャビティ部5aが形成され、成形下型6にはコア部6aが設けられている。上記成形上型5を所定ストローク上下動作させるために、昇降シリンダ5bが連結され、成形下型6には射出機7からの溶融樹脂の通路となるマニホールド6b、ゲート6cが設けられている。また、上下動作する成形上型5のプレス姿勢を適正に維持するために、成形下型6の4隅部にガイドポスト6dが設けられ、このガイドポスト6dに対応して成形上型5にはガイドブッシュ5cが設けられている。
【0004】
従って、成形上下型5,6が型開き状態にある時、表皮3を金型内にセットし、その後、成形上下型5,6を型締めした後、両金型間の製品キャビティ内に射出機7からマニホールド6b、ゲート6cを通じて溶融樹脂Mを射出充填することにより、樹脂芯材2を所要の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材2の表面に表皮3を一体成形している。尚、図17では、説明の便宜上、コア部6aの型面にオープン状態で溶融樹脂Mが供給されているが、溶融樹脂Mは成形上下型5,6の型締め後にキャビティ内に射出充填されても良い。この従来例については、特許文献1に示されている。
【0005】
しかしながら、このドアトリム1においては、樹脂芯材2の投影面積が大きいため、材料コストが高く、かつ製品が重量化するという問題点が指摘されている。また、樹脂芯材2の投影面積が大きいことから、成形時における射出圧を高く設定せざるを得ず、高い射出圧に耐え得る金型構造が必要となり、金型の作製費用も嵩み、しかも大量の溶融樹脂を冷却固化させるため、成形サイクルも長期化し、生産性を低下させる大きな要因となっている。
【0006】
そこで、出願人はこれらの問題点を解決するために、軽量でかつ廉価に製作できるドアトリムを先に出願している。図18,図19に示すように、先願例におけるドアトリム10は所望の曲面形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材11と、この発泡樹脂基材11の裏面に所定パターン形状、例えば、縦横方向の格子状に形成された樹脂リブ12と、発泡樹脂基材11の表面に積層一体化される加飾材13とから構成されている。そして、このドアトリム10の成形方法について、図20,図21を基に説明すると、図20に示すように、成形金型14は、相互に型締め、型開き可能な成形上下型15,16と、成形下型16に付設され、溶融樹脂の供給機構である射出機17とから構成されており、成形下型16には、射出機17から供給される溶融樹脂Mの通路となるマニホールド16a、ゲート16bが設けられている。更に、成形下型16の型面には、樹脂リブ12のパターン形状に合致する溝部16cが穿設されている。
【0007】
そして、発泡樹脂基材11の素材である発泡樹脂シートSを加熱軟化処理した後、型開き状態にある成形上下型15,16内にセットする。その後、図21に示すように、成形上下型15,16を型締めして、発泡樹脂基材11を所望の曲面形状に圧縮加工するとともに、射出機17から溶融樹脂Mをマニホールド16a、ゲート16bを通じて成形下型16の溝部16c内に射出充填することで、所定パターン形状の樹脂リブ12を発泡樹脂基材11の裏面に一体化している。また、加飾材13は、発泡樹脂基材11の発泡樹脂シートSの一方面に予めフレームラミ方法等によりラミネートされている。尚、先願例である軽量型のドアトリム10の構成並びに成形方法については、特許文献2に詳細に示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平10−138268号公報
【0009】
【特許文献2】特開2005−119404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、例えば従来のドアトリム1においては、樹脂芯材2の投影面積が大きいため、材料コストが高く、かつ製品が重量化するという問題点があり、それを解決するための先願例としての発泡樹脂基材11を使用した軽量型のドアトリム10においては、製品を軽量化でき、かつ所望の剛性が確保され、比較的廉価に製作できるという利点を有するが、外観性能の低下とコスト面での問題があった。すなわち、ドアトリム10の成形時、特に、樹脂リブ12の射出成形時に樹脂リブ12に収縮歪みが生じることから、製品表面にヒケが形成されるという外観上の不具合が度々発生するとともに、加飾材13は、シート状の原反シートを発泡樹脂シートSにラミネートしておき、成形上下型15,16の型締めにより圧縮加工を施すため、展開率に制限を受け、深い凹凸部の形成が困難である等、造形上に制約を受けるという問題点がある。
【0011】
また、加飾材13の原反シートをシート状に押出成形、あるいはカレンダー成形した後、定寸カット処理を施し、その後、発泡樹脂シートSにラミネートする必要があり、トータルな意味でのコスト高を招くとともに、加飾材13の表面に絞模様を付設するには、成形上型15にバキューム機構を付設する必要があり、金型コストの高騰化を招くという問題点があった。
【0012】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、発泡樹脂基材を使用して、製品の軽量化が図れ、かつ所望の剛性を備え、しかも廉価に製作できる自動車用内装部品並びにその製造方法であって、製品表面にヒケが生じることがなく、かつシャープな形状出しが可能になる等、外観見栄えを飛躍的に向上させることができるとともに、コスト面においても、廉価に製作でき、かつ金型構造も簡素化できるようにした自動車用内装部品並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究の結果、従来から表皮として使用していた発泡樹脂シートに保形性を付与することで、芯材としての機能を持たせ、より以上に剛性が必要な箇所、すなわち、製品の周縁部分やパネル、あるいは部品取付箇所、並びに荷重がかかる部位には剛性に優れた樹脂リブを配置することで、従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ、軽量でかつコストが廉価な自動車用内装部品を提供するとともに、特に、発泡樹脂基材及び樹脂リブを成形する成形金型に新たにトップ層を一体に形成するためのキャビティを設定して、このキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することにより、樹脂リブからの熱の悪影響を受けることなくシャープな形状出しを可能にすることで、製品の外観見栄えを高めるとともに、トップ層の成形工数を低減できることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブと、発泡樹脂基材の表面に積層されるトップ層とからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品において、前記積層構造体における発泡樹脂基材は、加熱軟化処理された発泡樹脂シートが成形上下型内にセットされ、この成形上下型を型締めすることにより所望の曲面形状に圧縮加工されているとともに、上記発泡樹脂基材の裏面側に剛性を強化する所定パターン形状の樹脂リブが、上記発泡樹脂基材の表面側に緩衝性、意匠性を向上させるトップ層がそれぞれ積層一体化されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、自動車用内装部品の用途としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等に適用できる。また、自動車用内装部品の全体構造に本発明構造を適用することもできるとともに、自動車用内装部品の一部、例えば、上下二分割体のドアトリムにおけるドアトリムアッパーにのみ本発明構造を適用することもできる。
【0016】
更に、保形性を有する発泡樹脂基材は、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型内で所望の曲面形状に成形することで、リブ等の補強材がなくても、成形後、型から脱型しても形状を保持する程度の剛性(保形性)を有している。また、製品形状が高展開率部分を含む場合には、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型に真空吸引機構を配設して成形金型の内面に沿って発泡樹脂シートに真空吸引力を作用させるようにしても良い。
【0017】
上記発泡樹脂シートとしては、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した素材を使用する。尚、熱可塑性樹脂は、1種類の熱可塑性樹脂でも2種類以上の熱可塑性樹脂からなっても良い。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用できる。また、発泡剤としては、アゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、アジド化合物等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤の使用が可能である。上記発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に成形して得た発泡樹脂基材は、製品の重量と強度とのバランスを考慮した場合、2〜10倍の発泡倍率が好ましい。その時の発泡樹脂基材のセル径は、0.1μm〜2.0mmの範囲であることが好ましく、厚みは0.5〜30mm、好ましくは1〜10mmのものが良い。
【0018】
一方、樹脂リブとして使用する熱可塑性樹脂材料は、広範な熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。通常好ましく使用できるものとして、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。また、これら熱可塑性樹脂中に各種充填剤を混入しても良い。使用できる充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子などがある。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、低収縮剤等の各種の添加剤が配合されても良い。
【0019】
そして、外観意匠性を高めるために、発泡樹脂基材の表面に積層一体化されるトップ層としては、シート状の素材を発泡樹脂シートと共にプレス一体化するのではなく、発泡樹脂基材をプレス成形した後、発泡樹脂基材の表面と成形金型との間に所定厚みのキャビティを形成し、このキャビティ内に熱可塑性樹脂材料を射出充填することで、発泡樹脂基材の表面にトップ層を一体成形する。トップ層の材料としては、サーモプラスチックエラストマー(例えば、サーモプラスチックオレフィン)、塩化ビニル樹脂、ゴム系材料等、軟質樹脂材料が好ましい。
【0020】
そして、本発明に係る自動車用内装部品によれば、保形性を有する発泡樹脂基材の裏面側に剛性を補強する意味で樹脂リブが積層一体化されるという構成であるため、従来の樹脂芯材を廃止することができる。従って、従来の投影面積の非常に広い樹脂芯材を廃止することで、製品の軽量化を図ることができ、しかも、樹脂材料を節約できることから、材料コストの低減化も同時に達成できる。尚、発泡樹脂基材の多孔質吸音機能により、吸音性能に優れた内装部品が得られるとともに、発泡樹脂基材及び樹脂リブの素材として、ポリオレフィン系樹脂を使用した場合、オールオレフィン系樹脂に統一されるため、分離工程が廃止でき、リサイクル作業を簡素化できる。更に、トップ層は、発泡樹脂基材の成形後、発泡樹脂基材の表面に射出成形により形成されるため、展開率の制約等、造形上の制約がないとともに、絞模様の転写も容易に行なえ、かつ樹脂リブの成形後の収縮歪みに影響されることもない。
【0021】
次いで、本発明に係る自動車用内装部品の製造方法は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブと、発泡樹脂基材の表面に積層されるトップ層とからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品の製造方法において、前記積層構造体の成形方法は、発泡樹脂基材の素材である発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、型開き状態にある成形上下型内にセットする際、発泡樹脂シートの孔部に成形下型に配置された可動ゲートを差し込んで発泡樹脂シートを適正位置にセットする発泡樹脂シートのセット工程と、成形上下型を型締めすることで発泡樹脂シートを所要形状に絞り成形して発泡樹脂基材を所要形状に成形するとともに、成形下型に付設されている第1の射出機から溶融樹脂を成形下型の溝部内に射出充填することで所定パターン形状の樹脂リブを発泡樹脂基材の裏面に一体化する発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程と、成形上型を型開方向に後退動作させて、発泡樹脂基材の表面と成形上型との間に所定クリアランスのトップ層形成用キャビティを確保し、成形下型に付設された第2の射出機から溶融樹脂を発泡樹脂基材の孔部を通して上記トップ層形成用キャビティ内に射出充填することで、トップ層を発泡樹脂基材の表面側に積層一体化するトップ層の成形工程と、
からなることを特徴とする。
【0022】
ここで、自動車用内装部品の製造方法に使用する成形金型は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブと、発泡樹脂基材の表面に積層されるトップ層とからなる積層構造体を成形する成形金型であって、前記成形金型は、型締め、型開き可能な成形上型並びに成形下型と、成形下型に接続され、樹脂リブの素材である溶融樹脂を供給する第1の射出機と、発泡樹脂基材の孔部を通して発泡樹脂基材の表面側に溶融樹脂を供給する第2の射出機と、第2の射出機から供給される溶融樹脂の供給口である上下動可能な可動ゲートと、この可動ゲートの駆動機構とから構成され、コールドプレス機能と二段階の射出機能とを融合させたことを特徴とする。
【0023】
そして、本発明に係る自動車用内装部品の製造方法は、積層構造体を下記の各工程で製造することが特徴である。すなわち、発泡樹脂シートのセット工程、発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程、トップ層の成形工程の3工程から大略構成される。
【0024】
発泡樹脂シートのセット工程:成形上下型が型開き状態にある時、発泡樹脂シートを別途専用の加熱装置により所定温度に加熱軟化処理した後、成形上下型内に投入する。この時、発泡樹脂シートに開設した孔部をトップ層のゲートである可動ゲートの凸部に嵌め込むことで、発泡樹脂シートを適切位置に位置決めする。
【0025】
発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程:発泡樹脂シートのセットが完了すれば成形上型が所定ストローク下降動作し、成形上下型の型締めによりキャビティ形状に沿って発泡樹脂シートが絞り成形され、所望の曲面形状に発泡樹脂基材が成形される。この時、トップ層の樹脂の通路である可動ゲートの上端は成形上型に当接しているのが好ましい。そして、発泡樹脂基材の成形と同時に、第1の射出機から樹脂リブの素材である溶融樹脂が成形下型の溝部内に射出充填されて所定パターン形状の樹脂リブが発泡樹脂基材の裏面側に一体化される。
【0026】
トップ層の成形工程:発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程後、成形上型が型開方向に所定ストローク後退動作して、発泡樹脂基材の表面と成形上型の型面との間にトップ層の厚みに等しいトップ層形成用キャビティが全面に亘り形成され、このトップ層形成用キャビティ内に第2の射出機から可動ゲートを通じて軟質樹脂の溶融樹脂が射出充填されて、発泡樹脂基材の表面の全面に亘りトップ層が一体化される。この時、可動ゲートは下型の型面まで下降している。
【0027】
従って、本発明方法によれば、従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ、投影面積を低減化した樹脂リブ及び厚みが薄肉に設定されたトップ層だけを成形すれば良いため、射出圧力を従来に比べて低く設定でき成形上型の負荷も少なくて済み、樹脂量も少なく、材料費も節約でき、従来の樹脂芯材に比べ、冷却時間も低減化できる。
【0028】
更に、本発明方法によれば、発泡樹脂基材と樹脂リブを成形した後、新たに発泡樹脂基材の表面にトップ層を射出成形するという方法を採用しているため、樹脂リブに収縮歪みが生じても、トップ層は収縮歪みを拾うことがなく、外観上の悪影響を受けない。更に、トップ層は、シート材料を絞り成形するのではないため、展開率の制限がない等、造形自由度が飛躍的に向上するとともに、絞転写も良好に行なうことができる。
【0029】
また、成形金型で発泡樹脂基材及び樹脂リブを成形した後、連続工程でトップ層を射出成形するため、従来のようにトップ層をシート材料で供給し、定寸カット処理後、発泡樹脂シートとラミネートしてプレス成形する工法に比べ、トータルの工程数を短縮化できるとともに、造形自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明した通り、本発明に係る自動車用内装部品並びにその製造方法によれば、自動車用内装部品の全体、あるいは一部を構成する積層構造体は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される樹脂リブと、発泡樹脂基材の表面に積層一体化されるクッション性を有するトップ層とから構成されているため、従来の重量の嵩む樹脂芯材を廃止できることから、軽量で低コスト、しかも多孔質素材であるため、吸音性能にも優れた自動車用内装部品を提供できるという効果を有する。
【0031】
更に、本発明に係る自動車用内装部品並びにその製造方法によれば、成形上下型の型締めにより発泡樹脂シートを絞り成形するとともに、樹脂リブを射出成形した後、成形上型を型開方向に所定ストローク後退させて新たなキャビティを形成し、このキャビティ内に軟質樹脂材料を射出充填してトップ層を射出成形するというものであるから、樹脂リブの収縮歪みの悪影響を受けることがなく、製品外観にヒケが生じることがない。また、展開率の制限もないことから、シャープな形状出しが可能となり、造形自由度が飛躍的に向上するとともに、絞模様等の転写も容易に行なうことができる等、外観性能を飛躍的に向上させることができる。また、トップ層をシート材料から成形する従来方法に比べ、トータルの工数を低減でき、製作コストを抑えることができるとともに、真空吸引機構を廃止できるため、金型構造を簡素化できるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る自動車用内装部品並びにその製造方法の好適な実施例について、自動車用ドアトリム並びにその製造方法を例示して説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例】
【0033】
図1乃至図14は本発明の一実施例を示すもので、図1はツートンタイプの自動車用ドアトリムを示す正面図、図2は同自動車用ドアトリムの構成を示す断面図、図3は同ドアトリムにおけるドアトリムアッパーを示す説明図、図4は同ドアトリムアッパーの構成を示す断面図、図5,図6は同自動車用ドアトリムの製造方法に使用する成形金型を示すもので、図5は成形金型の全体図、図6は同成形金型における部分断面図を示す。また、図7乃至図14は同自動車用ドアトリムの製造方法における各工程を示し、図7は発泡樹脂シートの予熱工程を示す説明図、図8は発泡樹脂シートの成形金型内へのセット工程を示す説明図、図9は発泡樹脂シートのセット工程における発泡樹脂シートと可動ゲートとの関係を示す説明図、図10は発泡樹脂基材のプレス成形工程を示す説明図、図11は樹脂リブの射出成形工程を示す説明図、図12はキャビバック工程を示す説明図、図13はキャビバック工程における可動ゲートの状態を示す説明図、図14はトップ層の成形工程を示す説明図である。
【0034】
まず、図1乃至図4に基づいて、本発明に係る自動車用内装部品の構成を適用したツートンタイプの自動車用ドアトリム20の構成について説明する。ツートンタイプの自動車用ドアトリム20は、積層構造体からなるドアトリムアッパー30と、樹脂単体品からなるドアトリムロア40との上下二分割体から構成されている。そして、ドアトリム20に装着される機能部品としては、ドアトリムアッパー30にインサイドハンドルエスカッション21、パワーウインドウスイッチエスカッション22が取り付けられている。ドアトリムロア40には、ドアポケット用開口23が開設され、その背面側には、図2に示すように、ポケットバックカバー(樹脂成形体から構成されている)24が取り付けられており、ドアトリムロア40のフロント側にスピーカグリル25がドアトリムロア40と一体、あるいは別体に設けられている。
【0035】
ところで、本発明に係る自動車用ドアトリム20は、積層構造体からなるドアトリムアッパー30の構造に特徴があり、製品の軽量化が図られているとともに、良好な表面外観と強固な製品剛性が確保されている。すなわち、ドアトリムアッパー30は、図2に示すように、所望の曲面形状に成形され、保形性を有する発泡樹脂基材31と、この発泡樹脂基材31の裏面側に一体化される樹脂リブ32と、発泡樹脂基材31の表面側に積層一体化される加飾機能を持つトップ層33とから大略構成されている。
【0036】
上記発泡樹脂基材31は、保形性を備えるように、発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に熱成形、例えば、所望の型面を有する成形金型でコールドプレス成形して、形状が付与される。上記発泡樹脂シートは、汎用の熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した構成であり、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用でき、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤や重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。この実施形態では、ポリプロピレン系樹脂に発泡剤として重炭酸ナトリウムを適宜添加した発泡樹脂シートを使用している。また、この発泡樹脂基材31の発泡倍率は、2〜10倍に設定され、厚みは0.5〜30mm、特に好ましくは1〜10mmの範囲に設定されている。
【0037】
次いで、樹脂リブ32は、図3に示すように、縦横方向、あるいは斜め方向等に延びる格子状パターンに設定されている。そして、この樹脂リブ32は、ガラス繊維、天然繊維等の強化繊維を添加した汎用の合成樹脂成形体からなり、通常好ましく使用できる合成樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択されて良く、本実施形態では、環境面、リサイクル面を考慮してポリプロピレン系樹脂が使用されている。
【0038】
このように、図1乃至図3に示すドアトリム20は、積層構造体からなるドアトリムアッパー30と、合成樹脂単体品であるドアトリムロア40とから構成され、外観上のアクセント効果により、優れた外観意匠性を備えている。更にドアトリムアッパー30は、保形性を有する発泡樹脂基材31と、発泡樹脂基材31の裏面に積層一体化される樹脂リブ32とから構成されているため、従来のように製品の全面に亘り占有していた樹脂芯材を廃止でき、かつ軽量な発泡樹脂基材31を使用する一方、樹脂リブ32は骨状であり、荷重が加わる部位、例えば、クリップ取付座、ウエストフランジ、アームレスト部上面等を除いた部位は、肉抜き構造となっている関係で、製品の重量について、従来例に比し40%以上の軽量化を図ることができるとともに、樹脂材料も大幅に節約でき、コストダウンにも貢献できる。
【0039】
また、トップ層33は、発泡樹脂基材31の表面全面に亘り射出成形により積層一体化されており、その厚みは、0.3〜1.0mmに設定されている。更に、素材としては、軟質樹脂材料が好ましく、TPO(サーモプラスチックオレフィン)等のサーモプラスチックエラストマーや軟質塩化ビニル樹脂、EPDM等の合成ゴム系材料等が適している。
【0040】
次に、図4はドアトリムアッパー30の要部構成を示す断面図であり、ドアトリムアッパー30は、軽量でかつ保形性を備え、所要形状に成形された発泡樹脂基材31の裏面に所定パターン形状で投影面積が低減化された樹脂リブ32が一体化され、発泡樹脂基材31の表面には、加飾機能を持つトップ層33が一体化されている。そして、本発明に係るドアトリム20においては、発泡樹脂基材31の表面にトップ層33を射出成形により形成するため、従来、シート状の加飾材を絞り成形するのに比べ、展開率等の制限がなく、造形自由度を飛躍的に向上させることができるとともに、絞模様の転写も真空吸引機構を付設することなく簡単に付与でき、また、樹脂リブ32を成形した際、成形後の収縮歪みが原因となる製品表面にヒケが生じることを確実に防止でき、外観性能を高めるとともに、後述するように工数的にも有利であり、大幅なコストダウンを招来する。
【0041】
ここで、ドアトリムアッパー30とドアトリムロア40との接合構造について簡単に説明すると、図2に示すように、ドアトリムロア40の上縁裏面に適宜ピッチ間隔で取付用ボス41が立設され、この取付用ボス41に対応するように、ドアトリムアッパー30の下縁に取付孔34が開設され、取付用ボス41を取付孔34内に挿入した後、取付用ボス41の先端を超音波カシメ、熱カシメ等によりカシメ加工することでドアトリムアッパー30とドアトリムロア40とを簡単に一体化することができる。尚、本実施例では、超音波溶着加工による取付用ボス41のカシメ加工により、ドアトリムアッパー30とドアトリムロア40とを一体化したが、両者をビス止め固定やクリップ止め固定して一体化するか、あるいは成形金型で同時成形することもできる。
【0042】
次に、図5,図6に基づいて、成形金型50の構成について説明する。この成形金型50は、ドアトリムアッパー30の成形に使用される。この成形金型50は、所定ストローク上下動可能な成形上型60と、成形上型60と対をなす固定側の成形下型70と、成形下型70に接続される2基の射出機80,81(第1の射出機80、第2の射出機81とする)とから大略構成されている。
【0043】
更に詳しくは、成形上型60は、製品形状に合致したキャビティ部61が設定されており、成形上型60の上面に連結された昇降シリンダ62により所定ストローク上下駆動される。また、成形上型60の4隅部には、ガイドブッシュ63が設けられている。一方、成形下型70には、成形上型60のキャビティ部61に対応するコア部71が設けられている。また、成形下型70には、樹脂リブ32成形用の樹脂通路であるホットランナ72、ゲート73が形成されているとともに、トップ層33を成形するための樹脂材料の通路であるホットランナ74(固定側ランナ74aと可動側ランナ74bからなる)と可動ゲート75が設けられている。
【0044】
更に、可動側ランナ74b、可動ゲート75を上下動作させるシリンダ76が成形下型70内に配置されている。上記可動ゲート75は、発泡樹脂基材31及び樹脂リブ32の成形時には、上方に位置しており、成形上型60の型面と当接状態にあるのが好ましく、トップ層33の成形時には、下方位置、すなわち、成形下型70の型面位置まで下降している。そして、上方位置と下方位置との間で、可動ゲート75はシリンダ76により昇降動作される。尚、第1の射出機80から供給される樹脂リブ32用の溶融樹脂M1は、ホットランナ72、ゲート73を通じて成形下型70の型面に所定パターン形状に沿って穿設された溝部77内に射出充填されて、溝部77形状に合致する樹脂リブ32が成形される。
【0045】
一方、第2の射出機81から供給されるトップ層33用の溶融樹脂M2は、固定側ランナ74a、可動側ランナ74bの各ランナ通路がシリンダ76の駆動により連通した後、上記ランナ74a,74b及び可動ゲート75を通じてトップ層形成用キャビティC内に射出充填されて、トップ層33が発泡樹脂基材31の表面側に一体成形される。また、成形下型70の4隅部には、ガイド機構となるガイドポスト78が突設され、このガイドポスト78は、成形上下型60,70の型締め時、成形上型60のガイドブッシュ63内に案内されることで、成形上型60のプレス姿勢を適正に維持できる。尚、本実施例では要部ではないため、ガイドポスト78に装着するシム機構を省略しているが、成形上下型60,70の型クリアランスを変動させて型クリアランスを精度良く維持するためには、シム機構を配置するのが良い。
【0046】
以上のように、成形金型50が構成されており、この成形金型50を使用して、図3,図4に示すドアトリムアッパー30を成形する成形方法について説明する。まず、図7に示すように、ヒーター装置90を使用して発泡樹脂基材31の素材である発泡樹脂シートSを所定温度に加熱軟化処理する。この実施例では、発泡樹脂シートSとして、ポリプロピレン製発泡シート(住化プラステック製、商品名:スミセラー発泡PPシート、発泡倍率=3倍、厚み3mm)が使用されている。尚、先願例に比べ、発泡樹脂シートSの単体シートを加熱軟化処理するとともに、金型にセット処理すれば良いため、取扱性に優れ、作業性が向上する。
【0047】
次いで、加熱軟化処理した発泡樹脂シートSを成形金型50内にセットする作業手順について、図8,図9を基に説明する。図8に示すように、成形上型60が上方位置にある時、成形上下型60,70の型内に予熱工程で所定温度まで加熱軟化処理した発泡樹脂シートSを位置決めセットするが、図9に示すように、成形下型70に配設されている可動ゲート75がキャビティ内に臨んでおり、発泡樹脂シートSに孔部aが開設され、この孔部aを通して可動ゲート75をキャビティ内に臨ませる形で発泡樹脂シートSをセットする。言い換えれば、発泡樹脂シートSの孔部a内に可動ゲート75を嵌め込むことで、簡単かつ正確に発泡樹脂シートSの位置決めが行なえることから、可動ゲート75を利用して精度の良い位置決め作業が期待できる。この時、可動ゲート75は、シリンダ76の伸長動作により上方に突出している。
【0048】
次いで、図10に示すように、成形上型60が昇降シリンダ62の駆動により所定ストローク下降して、成形上下型60,70が型締めされ、発泡樹脂シートSがキャビティ形状に沿って追従することで、所望の曲面形状に発泡樹脂基材31が成形される。そして、図11に示すように、第1の射出機80から溶融樹脂M1、例えば、溶融樹脂M1として、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=65g/10分)を使用しており、ホットランナ72、ゲート73を通じて成形下型70の溝部77内にこの溶融樹脂M1を射出充填することで、図11に示すように、発泡樹脂基材31の裏面に所定パターン形状の樹脂リブ32を一体化する。尚、溶融樹脂M1の射出充填のタイミングとしては、成形上下型60,70の型締めと同時に行なっても良く、また、成形上下型60,70の型締め後、タイムラグを設定して行なっても良い。更に、発泡樹脂基材31のプレス成形時の型クリアランスに対して、樹脂リブ32の射出充填時における型クリアランスを狭く設定して、シール性を向上させた溶融樹脂M1の射出充填を行なうのが好ましい。
【0049】
そして、発泡樹脂基材31と樹脂リブ32の成形が完了すれば、図12に示すように、成形上型60を型開方向に後退動作させて、図13に示すように、発泡樹脂基材31の表面と成形上型60の型面との間にトップ層33を成形するための厚み0.3〜1.0mmのトップ層形成用キャビティCを確保する。この時、シリンダ76の駆動により、トップ層33用の樹脂材料の通路である可動側ランナ74b、可動ゲート75が共にシリンダ76の収縮動作により下降し、可動ゲート75の上端が成形下型70の型面と面一となる。
【0050】
従って、図14に示すように、第2の射出機81から軟質の溶融樹脂M2がホットランナ74、可動ゲート75を通じて発泡樹脂基材31の孔部31aを通じてトップ層形成用キャビティC内に射出充填され、発泡樹脂基材31、樹脂リブ32の成形工程と連続する工程でトップ層33が発泡樹脂基材31の表面全面に亘って射出成形される。
【0051】
そして、このトップ層33は、発泡樹脂基材31の表面と成形上型60の型面との間のスペース内に軟質の溶融樹脂M2が射出充填されることで形成されるため、シート材料を絞り成形する従来工法に比べ、ハイライト線等、シャープな形状出しが可能となり、展開率の制限がなく、造形自由度を飛躍的に向上させることができるとともに、真空成形機構を付設することなく、簡単に絞模様を成形上型60から射出成形時に転写することができる。しかも、樹脂リブ32の収縮歪みが製品表面にヒケとなって現れるという従来不具合がなく、外観性能を飛躍的に向上させることができる。更に、従来のように、加飾シート材料を押出成形、カレンダー成形等によりシート原反を成形した後、定寸カット処理を施し、更に、発泡樹脂シートをラミネート処理して成形材料を形成するという手間が省け、成形コストを大幅に低減できるという利点がある。
【0052】
本実施例においては、成形金型50を使用して成形したドアトリムアッパー30と別途射出成形金型で成形したドアトリムロア40とを超音波加工により一体接合して、ドアトリム20を製造したが、成形金型に3基の射出機を装備して、同一の成形金型でドアトリムアッパー30とドアトリムロア40とを一体化するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明した実施例は、ツートンタイプの自動車用ドアトリム20におけるドアトリムアッパー30に本発明構造を適用し、ドアトリムアッパー30の製造方法に本発明方法を適用したが、一体型のドアトリム、あるいはドアトリム以外の内装部品、例えば、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等、内装トリム全般に本発明構造及び本発明方法を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る自動車用内装部品をツートンタイプの自動車用ドアトリムに適用した実施例を示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】図1に示すドアトリムにおけるドアトリムアッパーの発泡樹脂基材を取り除いた状態を示す正面図である。
【図4】図3に示すドアトリムアッパーの構成を示す断面図である。
【図5】図3に示すドアトリムアッパーの成形に使用する成形金型の一実施例を示す全体図である。
【図6】図5に示す成形金型における可動ゲートとシリンダとの関係を示す説明図である。
【図7】図3に示すドアトリムアッパーの製造方法における発泡樹脂シートの予熱工程を示す説明図である。
【図8】図3に示すドアトリムアッパーの製造方法における発泡樹脂シートの成形金型内へのセット工程を示す説明図である。
【図9】図8に示す発泡樹脂シートのセット工程における可動ゲートと発泡樹脂シートのロケート関係を示す説明図である。
【図10】図3に示すドアトリムアッパーの製造方法における発泡樹脂基材の成形工程を示す説明図である。
【図11】図3に示すドアトリムアッパーの製造方法における樹脂リブの射出成形工程を示す説明図である。
【図12】図3に示すドアトリムアッパーの製造方法における成形上型のキャビバック工程を示す説明図である。
【図13】図12に示すキャビバック工程における可動側ゲートとトップ層形成用キャビティとの関係を示す説明図である。
【図14】図3に示すドアトリムアッパーの製造方法におけるトップ層の射出成形工程を示す説明図である。
【図15】従来の自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図16】図15中XVI −XVI 線断面図である。
【図17】従来のドアトリムを成形する際に使用する成形金型の説明図である。
【図18】先願例である軽量型ドアトリムを示す正面図である。
【図19】図18中XIX −XIX 線断面図である。
【図20】先願例である軽量型ドアトリムの製造方法における素材のセット工程を示す説明図である。
【図21】先願例である軽量型ドアトリムの製造方法における発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
20 ツートンタイプの自動車用ドアトリム
30 ドアトリムアッパー
31 発泡樹脂基材
31a 孔部
32 樹脂リブ
33 トップ層
40 ドアトリムロア(樹脂単体品)
50 成形金型
60 成形上型
61 キャビティ部
62 シリンダ
63 ガイドブッシュ
70 成形下型
71 コア部
72 ホットランナ
73 ゲート
74 ホットランナ
74a 固定側ランナ
74b 可動側ランナ
75 可動ゲート
76 シリンダ
77 溝部
78 ガイドポスト
80 第1の射出機
81 第2の射出機
90 ヒーター装置
S 発泡樹脂シート
M1 溶融樹脂(樹脂リブ形成用)
M2 溶融樹脂(トップ層形成用)
C トップ層形成用キャビティ
a 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(31)と、この発泡樹脂基材(31)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(32)と、発泡樹脂基材(31)の表面に積層されるトップ層(33)とからなる積層構造体(30)を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品(20)において、
前記積層構造体(30)における発泡樹脂基材(31)は、加熱軟化処理された発泡樹脂シート(S)が成形上下型(60,70)内にセットされ、この成形上下型(60,70)を型締めすることにより所望の曲面形状に圧縮加工されているとともに、上記発泡樹脂基材(31)の裏面側に剛性を強化する所定パターン形状の樹脂リブ(32)が、上記発泡樹脂基材(31)の表面側に緩衝性、意匠性を向上させるトップ層(33)がそれぞれ積層一体化されていることを特徴とする自動車用内装部品。
【請求項2】
所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(31)と、この発泡樹脂基材(31)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(32)と、発泡樹脂基材(31)の表面に積層されるトップ層(33)とからなる積層構造体(30)を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品(20)の製造方法において、
前記積層構造体(30)の成形方法は、発泡樹脂基材(31)の素材である発泡樹脂シート(S)を加熱軟化処理後、型開き状態にある成形上下型(60,70)内にセットする際、発泡樹脂シート(S)の孔部(a)に成形下型(70)に配置された可動ゲート(75)を差し込んで発泡樹脂シート(S)を適正位置にセットする発泡樹脂シート(S)のセット工程と、
成形上下型(60,70)を型締めすることで発泡樹脂シート(S)を所要形状に絞り成形して発泡樹脂基材(31)を所要形状に成形するとともに、成形下型(70)に付設されている第1の射出機(80)から溶融樹脂(M1)を成形下型(70)の溝部(77)内に射出充填することで所定パターン形状の樹脂リブ(32)を発泡樹脂基材(31)の裏面に一体化する発泡樹脂基材(31)及び樹脂リブ(32)の成形工程と、
成形上型(60)を型開方向に後退動作させて、発泡樹脂基材(31)の表面と成形上型(60)との間に所定クリアランスのトップ層形成用キャビティ(C)を確保し、成形下型(70)に付設された第2の射出機(81)から溶融樹脂(M2)を発泡樹脂基材(31)の孔部(31a)を通して上記トップ層形成用キャビティ(C)内に射出充填することで、トップ層(33)を発泡樹脂基材(31)の表面側に積層一体化するトップ層(33)の成形工程と、
からなることを特徴とする自動車用内装部品の製造方法。
【請求項3】
所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(31)と、この発泡樹脂基材(31)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(32)と、発泡樹脂基材(31)の表面に積層されるトップ層(33)とからなる積層構造体(30)を成形する成形金型(50)であって、
前記成形金型(50)は、型締め、型開き可能な成形上型(60)並びに成形下型(70)と、成形下型(70)に接続され、樹脂リブ(32)の素材である溶融樹脂(M1)を供給する第1の射出機(80)と、発泡樹脂基材(31)の孔部(31a)を通して発泡樹脂基材(31)の表面側に溶融樹脂(M2)を供給する第2の射出機(81)と、第2の射出機(81)から供給される溶融樹脂(M2)の供給口である上下動可能な可動ゲート(75)と、この可動ゲート(75)の駆動機構(76)とから構成され、コールドプレス機能と二段階の射出機能とを融合させたことを特徴とする積層構造体の成形金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−173896(P2008−173896A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10699(P2007−10699)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】