説明

自律機械

自律機械(10)を作業区域の自由表面の実質的に全てを横切るように、作業区域の方々に自律機械をナビゲートするための制御システムを提供する。制御システムは、機械(10)に作業区域の境界を追従させ、複数の移動を実施させるよう構成されており、各移動は、機械(10)が作業区域の境界から境界に対してある角度で外側へ移動して、境界へ再び戻ることを含む。機械(10)は各移動の間に作業区域の境界に沿って移動し、かつ機械(10)が実質的に作業区域の全境界を追従しながらこれらの移動を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある区域の実質的に全てを横切ることが要求される作業を実施する自律機械に関する。本発明は、建物の部屋を掃除するための自律式真空掃除機などの、自律的な表面処理機械のために(但しこれに限られるものではない)特に適している。
【背景技術】
【0002】
床面を掃除したり磨いたり、または草を刈るなどの作業を実施するための、自律すなわちロボット機械を提供するというさまざまな提案がなされている。これらの最も簡単な形では、機械には訓練段階が必要で、この段階中は、機械は作業すべき区域の方々に手動で導かれる。この訓練段階に続いて、機械は、訓練段階中にメモリに記憶された経路をたどりながら必要な作業を実施することになる。またこれとは別に、作業区域の下に埋められたケーブルなどの手段によってマークされた所定のルートを単にたどる機械もある。この形式の機械は、監視または特別に準備された作業区域を必要とするという欠点を有する。
【0003】
別の自律機械では作業区域のマップが与えられ、機械はこのマップを使用して作業区域の周囲のルートを計画する。
【0004】
人間の監視なしに、かつ環境のレイアウトの予備知識(例えばマップ)なしに機械が置かれる環境を探査することのできる自律機械の提案もなされている。この機械は、学習段階中に環境を探査することもでき、次いで作業段階ではこの情報を使用することになり、またはこの機械は直ちにこの区域で作業を開始することもできる。特許文献1に開示される自律機械は、先ず区域の周辺の方々を移動し、これが区域の単一周を完了した時点を認識し、その後内向きに進み、らせん状パターンで区域をカバーするように次々に部屋をまわる。学習段階中に機械が得た情報を使用して作業区域のマップを作るための自律機械も知られている。この形式の自律機械は、最小限の人間の監視で機械に作業をさせておくことができるので、使用者には特に魅力的である。
【0005】
この種の自律機械は、簡単な作業区域、例えば規則的な形状を有する部屋には非常によく対処できるが、不規則な形状を有する区域、またはその中のさまざまな位置に障害物を有する区域などの、より現実的な作業区域では困難に遭遇する可能性がある。
【0006】
自律機械の電力を主電源から得ると共に、機械が区域を動き回るときに繰り出されるケーブルのリールを保持する自律機械を提供することも知られている。特許文献2は、複雑な一連の扇形カバレッジパターンによって作業区域をカバーする、この種の機械の一例を開示している。
【特許文献1】国際公開第00/38025号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,962,453号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一区域の実質的に全てを横切ることが要求される作業を実施する種類の、不規則な作業区域によりよく対処できる自律機械を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の第1態様は、特許請求の範囲の請求項1に記載の自律機械を提供する。
【0009】
本発明は、不規則な形状を有する作業区域および/または障害物が置かれた作業区域において、特に良好に機能することがわかっている。この機械は、ほとんどの場合、作業区域の全てまたはほぼ全てを横切り、使用者の満足度を向上させる。
【0010】
本発明は、ケーブルを介して外部電源から電力を得る自律機械の使用に特に適している。そのわけは、制御システムが、区域表面上に繰り出されるケーブルの量を常に最小限に抑え、かつ事前にケーブルが置かれている区域を機械が横断する必要のある回数を最小限に抑えるからである。本制御システムによって実施される方法が、バッテリ給電式機械などそれ自体の電源を有する機械と共に使用するのにも好適であることが理解されるであろう。
【0011】
境界は多くの形態を採ることができる。建物の部屋では、境界は部屋の壁であり、また備品などの部屋の内部に置かれた物品の境界である。戸外の区域では、境界はフェンスまたは壁などの既に存在する障壁であったり、または特に自律機械の使用のために置かれた任意の形の障壁であったりする。
【0012】
ナビゲーションシステムを、プロセッサにおけるハードウェア実行、ソフトウェア実行、またはこれらの組合せで完全に実施することができる。したがって、本発明のさらに別の態様は、上述の方法で掃除用機械を作動させるためのソフトウェアを提供する。このソフトウェアが、メモリデバイスなどの機械読取り可能な媒体に記憶されることが便利である。
【0013】
自律機械は多くの形態を採ることができる。これを、真空掃除機または床磨き機などの床処理用機械、芝刈り機、またはある別の機能を実施するロボット機械にすることができる。代替案として、これを、使用者によって選ばれた作業用具を所有または牽引する汎用ロボット車両にすることもできる。
【0014】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して単に例証として以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、ロボット真空掃除機10の形態をなすロボットすなわち自律床掃除機を示す。図2は、真空掃除機10の中に組み込まれた電気系統を示す。
【0016】
この機械は、本体すなわち支持シャシー12、二つの被駆動輪15、クリーナヘッド40、ボタン60と表示ランプ65とを有するユーザインタフェース、および機械周囲の物体の存在を検知するためのさまざまなセンサ20〜26,30を含む。シャシー12の上には、流入する空気流から汚物、ダスト、および屑を分離するためおよび分離された物質を収集するための装置14と、一定長の電力ケーブルを格納するためのリールと、電力ケーブルを繰り出し巻き取るためのシステムも取り付けられている。機械10は、二つの被駆動輪15と機械の後部にあるキャスタ車輪(図示せず)の上に支持されている。被駆動輪15はシャシー12の直径の両端部に配置され、この直径は掃除機10の縦軸に垂直に位置する。被駆動輪15は支持ベアリング(図示せず)を介して互いに独立して取り付けられ、各被駆動輪15は牽引モータ16に直接連結され、牽引モータ16は、前方方向または反対方向のいずれかに、それぞれの車輪15を駆動することができる。牽引モータ16の各々を独立して制御することによって、全範囲の行動が可能になる。
【0017】
シャシー12の下側にはクリーナヘッド40が取り付けられており、クリーナヘッド40は吸引開口部を含み、この開口部は掃除機10がその上で支えられる表面に面している。吸引開口部の中にはブラシバー45が回転可能に取り付けられ、ブラシバー45を駆動するためにクリーナヘッド40の上にモータ48が取り付けられている。所望の場合には、クリーナヘッド40が吸引開口部のみを有して吸引のみに頼ることによって掃除するように、ブラシバー45を省略することもできることが理解されるであろう。他の形式の表面処理機械については、クリーナヘッド40を磨きパッド、ワックスディスペンサ、スキージなどによって置き換えることもできる。
【0018】
機械10のシャシー12は、このシャシー12の上に置かれた複数のセンサ20〜26,30を有し、したがって機械のナビゲーションシステムは、機械の経路にある障害物、および壁または備品などの他の境界に対する機械の接近を検知することができる。ここに示すセンサは、壁および物体のセンサからの距離および角位置を検知することができるいくつかの超音波センサ20〜26と、人間、動物、および火などの熱源の存在を検知することができるいくつかの受動赤外線(PIR)センサ30とを含む。また前方対向センサ22,23、側方対向センサ20,21および24,25、後方対向センサ(図示せず)、およびハイレベルセンサ26がある。センサの数、センサの形式、および機械10におけるセンサの位置決めは多くのさまざまな形を取ることができることは理解されるであろう。例えば、PSDとしても知られる赤外線測距デバイスを、超音波センサ20〜26の代わりに、またはこれに加えて使用してもよい。一代替実施形態では、機械は、作業区域の境界および区域内に置かれた障害物の境界を機械的に検知することによってナビゲートすることもある。この形式の機械で使用することができる機械的センサの一例は、機械が障害物に遭遇したときに可動バンパまたは弾性バンパの移動を検出する「バンプ」センサである。「バンプ」センサを、上記の超音波センサおよびPIRセンサと組み合わせて使用することができる。
【0019】
車両の片側または両側に距離測定車輪18を設けることができる。これは、機械が表面に沿って移動するときに回転する駆動されない車輪である。各距離測定車輪18は、距離測定車輪18の回転を監視するためにこれに付属するエンコーダを有している。各距離測定車輪18から受け取った情報を検討することによって、ナビゲーションシステムは、機械が移動した距離と機械の角方向のあらゆる変化との両方を決定することができる。距離測定車輪18が駆動されない車輪であることは好ましい。そのわけは、これが車輪から得られた情報の精度を向上させるからである。しかし、もっと簡単な一実施形態では、機械は、車輪15の上または車輪15を駆動するモータ16に配置されたエンコーダによって、被駆動車輪15から直接距離測定情報を得ることができる。
【0020】
機械10はまた、クリーナヘッド40における吸引開口部を介して機械の中に汚い空気を引き込むために、シャシー12の上に支えられたモータ52とファン50のユニットを含む。
【0021】
図2に詳細に示す機械のための電気系統を以下に説明する。ナビゲーションシステムは、ROMまたはFLASH ROMなどの、不揮発性メモリ82に記憶された制御ソフトウェアに従って作動するマイクロプロセッサ80を含む。もう一つのメモリ84が機械の正規の動作中に使用されて、距離測定情報、(望む場合には)作業区域のマップ、およびその他の動作パラメータなどのデータを記憶する。ナビゲーションシステムは、機械を取り囲む環境についてのセンサアレイ20〜26,30(超音波、PIR、およびバンプセンサを含む)からの入力と、機械の動きについての距離測定車輪移動センサ18からの入力を受ける。ナビゲーションシステムはまた、開始、休止、停止、または要求される動作速度または清潔さの基準の選択など、ユーザインタフェース上のスイッチ60からの入力も受ける。ナビゲーションシステムは、車輪15の牽引モータ16を駆動するための信号、吸引ファン50を駆動する吸引モータ52を作動させるための信号、およびブラシバー45を駆動するモータ48を作動させるための信号を含む、複数の出力制御信号を提供する。これはまた、ユーザインタフェース上の発光表示ランプ65から出力を提供する。電力は電力ケーブルを介して主電源から得られる。掃除機は、機械が使用される一般的な部屋を機械が動き回ることを可能にする十分なケーブル長(例えば20m)を有するケーブルリール95を備えている。
【0022】
機械のケーブル格納を管理するさまざまな方法がある。図3は好ましい一つの概要を示す。電力ケーブル95はケーブルリール71に格納される。ケーブルリール71は、巻き締め状態に向かって、ばねによって恒久的に付勢されている。ケーブル95は、一対のピンチローラ70によってリール71から引っ張られ、ピンチローラ70の一つは、ナビゲーションシステムの制御のもとでモータ72によって駆動され、機械が作業区域を動き回るときリール71からケーブルを給送するか、またはケーブル95がリール71に巻き取られるようにする。ケーブル95はピンチローラ70を通過した後に、振子74の自由端にある開口部75を通過する。振子74はシャフト73の周りに旋回可能であり、振子74は垂直平面において移動可能である。シャフト73は、振子74の移動に比例する出力信号を提供することができる、電位差計などの、回転式符号化デバイスの一部を形成する。図3B〜図3Dに示すように、振子74はケーブルリール71に対するケーブル95の位置をたどる。これによって機械は、ケーブル95が機械に対して位置する角度を検出することができる。これは、ケーブル95が置かれた経路に沿って機械が反転しているときに特に有用である。制御システムはケーブルの位置を検出することができ、機械は制御されてケーブル95の経路を追従することができる。この技術は以下、「ケーブル追従モード」と呼ぶ。
【0023】
機械がバッテリ給電式である場合には、シャシー12は機械に電力を供給するための一つまたは複数のバッテリパックを備え、ケーブルリール71とケーブル管理システムを必要としない。
【0024】
以下、図4〜図9を参照して機械の動作を説明する。図4は、作業区域の周りに機械をナビゲートするための全体的な過程の流れ図である。
【0025】
図5〜図9は、家屋の部屋において作業中の機械10を示す。機械のための作業区域の境界は、部屋の壁301〜304と、家具品目(例えば、ソファ、テーブル、椅子)などの部屋の中に置かれた物体305〜308の縁部とによって画定される。これらの図はまた機械によって横切られる経路320の組も示している。
【0026】
下記の説明は、機械を主ソケット310に接続するために電力ケーブル95を必要とする主給電式機械に基づく。自己給電式機械については電力ケーブルの設置と収容に関する言及をすべて無視することができることは理解されるであろう。
【0027】
機械10は使用者によって部屋の中に置かれる。理想的には、この機械は部屋内の電力ソケット310の近くに置かれ、プラグはソケット310に挿入され、短い電力ケーブルがソケットと機械10との間で床の上に横たわっている。いったん機械がオンに切り替えられると、機械は短いルーチンを始めて、部屋の中における開始すなわち「ホーム」位置を見つけ出す(ステップ110)。電力ソケット310は、主給電式機械のための便利なホーム位置である。「ホーム」位置は、とりわけ、機械が部屋全体を動き回ってしまった時点を特定する有用な基準点としての働きをする。機械は、ケーブル95が反転するときにケーブル95をその内部ケーブルリール71に巻き取ることによって電力ソケット310の位置を特定する。機械は、ケーブルが完全に巻き戻されたことを機械的に検知することによって、またはプラグ近くのケーブル95の上にあるマーカ98を検出することによって、ソケット310を見つけ出すことができる。次に機械はその左側を区域の境界と整列させ、吸引モータ52とブラシバーモータ48とを始動する。機械は、モータ48,52が動作速度に達するまで待って、それから出発する。掃除機が前方に移動するにつれて(ステップ115)、掃除機はケーブルリールから電力ケーブル95を繰り出し、こうしてケーブルは実質的に機械10によって採られた経路に沿って置かれる。距離測定誤差の可能性があるために、ケーブル95を、機械10の移動速度より僅かに高い速度で繰り出してもよい。
【0028】
次に機械は、組み合わせて「スパイク」と呼ぶことにする一連の行動を始める。基本的なスパイクを図7に示す。機械は、作業区域の中に内側に向いて境界(壁)から離れてゆくように曲る。機械は、境界に対して実質的に直角な経路の上を前進する(ステップ120)。機械は、距離測定車輪センサ18から移動の距離と方向に関する情報を引き出す。掃除機が経路331に沿って前進するにつれて、機械は、電力ケーブル95が経路331に沿ってゆるく置かれるように、十分な電力ケーブル95をケーブルリール71から繰り出す。この移動の間に、機械は継続的にセンサアレイ20〜26,30からの入力を監視し、その経路におけるあらゆる障害物の存在を検知する。機械は、多くの条件の一つが合うまで前進し続ける。機械が障害物の存在(ステップ125)または表面がないこと(例えば階段)を検知した場合、もしくは電力ケーブル95の全てをリール71から出してしまったことを検知した場合、もしくは何か別の支障条件を検知した場合には、機械は直ちに停止することになる。これらの条件のどれも合わない場合には、機械は、境界から所定の距離を移動した後に停止する。この距離は、この運航体が作業している作業区域の形式に依存する。家庭環境では、2〜3mの最大距離でうまくゆくことがわかっている。
【0029】
上述の条件の一つ以上が合って、いったん機械が停止すると、機械は同様な経路332をたどって境界に向かって反転後退する(図4、ステップ135)。機械はその後退行動中にケーブル95を巻き取る。掃除性能を最良にするために、吸引モータ52とブラシバーモータ48が、床の同じ区域を2回処理するように、後退行動中に操作される。これは、人が真空掃除機を使用して実施する「言ったり来たりする」掃除動作様式を模する。代替案として、この後退行動中に吸引モータ52とブラシバーモータ48をオフに切り替えることができる。これは、バッテリ給電式機械のためにはバッテリ寿命を伸ばす有用な方策となるはずである。後退行動中に、機械は距離測定情報を使用することによって境界に向かってナビゲートすることができ、または機械は外向き移動中に床上にあったケーブル95をたどることができ、この過程は「ケーブル追従モード」として先に述べた。作業区域へのこの外向き移動と境界への再度後退は、前述の「スパイク」を構成する。
【0030】
スパイクの外向き部分の長さが増すと、意図する経路からの機械のずれも増加する。距離測定の誤差、車輪の滑り、表面材料の変化、およびカーペットパイルの方向が、意図する経路からの機械のずれを生じさせ得るいくつかの要素である。スパイクの外向き経路と戻り経路が離れて物体がこれらの経路の間にあるという、起こりそうのない状況では、電力ケーブルが物体の周りに巻きつく恐れがある。この状況では、ケーブル追従モードで境界にナビゲートして戻すことが機械にとって好ましい(ステップ137,138)。
【0031】
機械がそのセンサアレイおよび距離測定情報から検知することができる境界に、いったん機械が戻ると、機械は、その左側を境界に整列させて、時計回り方向に再度向くように方向を変える。機械は、今処理した床の細長片の次に機械を移動させるのに十分な短い距離だけ前進する。次に掃除機は、作業区域の中に内向きに境界から離れる方向に向きを変える。次に機械は、前と同じように境界に実質的に直角に前進する。機械は前述のように、既に処理された区域に隣接するかまたは重なり合う床表面の細長片を横断し続ける。
【0032】
機械は、図5および図6に見ることができるように、境界から作業区域の中に延びる複数の経路を横切るように、上記のステップシーケンスを繰り返す。機械が境界の周りを進行するので、境界のさまざまな部分から出発するスパイクが互いに重なり合う可能性があることがわかる。これは、作業区域のできるだけ多くを機械10によって確実に処理するための助けとなる。
【0033】
各スパイクを完了した後、機械は作業区域全体をカバーしたか否かを調査する(ステップ140)。この調査をさまざまな方法で実施することができる。その最も簡単な形では、機械は、機械が境界上の出発位置に戻ったか否かを検知するための搭載センサを使用することができる。電力ケーブル95上のプラグ近くの位置にマーカ98を設けて、機械がこの位置に戻ったことを機械が検知できることが好ましい。マーカ98を磁気マーカにすることができ、機械は、マーカを検知するためにホール効果センサなどの磁界センサを備えることができる。さらに進歩した機械では、機械は、それが通る床の区域を記録するために、作業区域のマップを作成してこのマップを更新する。したがって、このマップを使用することによって、機械は作業区域を完全にカバーしてしまった時点を特定することができる。各スパイクの後に、機械はまた、境界の周りの移動を継続するためにケーブルリールに十分なケーブル95を有することを確証するための検査も行う(ステップ145)。
【0034】
ステップ145は、機械がケーブルリール71上の残りケーブル95の量を検出する能力を有することが要求される。これは、残りケーブル95の量を示すようにケーブル95にマーキングを行い、このマーキングを検出することができるセンサを制御システムに備えることによって実現することができる。代替案として、ピンチローラ70上のエンコーダが、リール71から繰り出されるケーブル量の目安を制御システムに送出することができる。これは、ケーブル95のつかえを検出するために同じ機構を使用することができるので有利である。もっと簡単な機械では、このステップを全部省略することができ、機械は、部屋のどこにあっても、ケーブル95が全てリール71から出てしまったときに単に停止することができる。
【0035】
機械が作業区域を完全にカバーしてしまったと判定した場合には、機械は移動して作業区域における出発位置に戻る。機械は作業区域の境界を追従することができ、境界の周りを移動するときにケーブル95を巻き取る。代替案として、機械はケーブル追従モードで動作することができ、ケーブル95を巻き取り、作業区域表面上のケーブル95によって形成された経路を追従する。これによって機械が障害物の近くに達した場合には、機械は、ケーブル95が障害物から離れてゆくことが判定されるまで、境界追従モードの動作に逆戻りすることができ、これに応じて、機械は再度ケーブル追従モードで動作することができる。結局、機械は電力ソケット310の近くの出発点に戻ることになる。
【0036】
基本的な方法に対するいくつかの可能な変形例を以下に説明する。
【0037】
先ず、境界から各スパイク間の間隔を変えることができる。ごく僅かな重ね合わせを伴ってまたは重ね合わせなしでスパイクを互いに次々に持ち込む間隔によって、明らかに機械はできるだけ短い時間で全作業区域をカバーすることができるが、隣接するスパイクがこれらの全長にわたって互いに平行にならない場合には、いくつかの区域が全くカバーされないこともあるという欠点がある。距離測定の誤差、車輪の滑り、表面材料の変化、およびカーペットパイルの方向は、真の経路からの機械のずれを生じさせ得るいくつかの要素である。0〜50%だけ隣接スパイクを重ね合わせることが好ましい。隣接スパイクの重なり合いは、より完全な表面の処理が可能であるという利点がある。これはまた、表面のいくつかの部分が全く処理されないという可能性を減らす。
【0038】
基本的方法の第2改善形態では、機械が実施するスパイク移動は、境界からの簡単な外向き戻り移動が外向きの段渡り戻り移動に変更されるように、変更される。これは図8に示されている。この移動は、2回の代わりに1回だけスパイクによってカバーされる表面の各区域を処理するという欠点が付随するが、より急速に作業区域をカバーするという利点を有する。まず、機械は境界から境界に直角に外側になるように曲る。次いで、機械は前進し、経路341に沿って前進するにつれてケーブル95を繰り出す。この移動中に、機械はセンサアレイ20〜26,30からの入力を継続的に監視し、その経路における障害物の存在を検知する。機械は、機械が障害物の存在を検知するかもしくは所定の距離を移動するまで、前進移動を継続する。それから機械は停止する。外向き移動の終わりに、機械は90°だけ反時計回りに曲り(図8A)、次いで経路342に沿って短い距離だけ前進する(図8B)。次に機械は90°だけ時計回りに曲り(図8C)、外向き経路341に実質的に平行な経路343に沿って逆進する(図8D)。機械が段渡りする距離は、所望の重なり合いを達成するためにも十分なものである。最後に、機械は反時計回りに曲って境界を再度追従する。
【0039】
障害物の存在が検知されるかもしくは所定の距離を移動する前に、外向き移動中に電力ケーブル95を使い尽くすことは、機械にとってはあり得ることである。この場合には、機械は、段渡りを試みることなく図7に示すのと同様の方式で、外向き移動の経路に沿って単に逆進する。これはケーブル95に張力が掛からないようにするためである。
【0040】
スパイク中に機械が段渡りする結果として、機械は新たな経路に沿って移動することになるので、境界への戻り移動中に一つまたは複数の障害物に遭遇する可能性がある。このシナリオを、図9を構成する一連の図面に示す。機械がたどる図9Aと図9Bに示す経路は、図8A〜図8Cおよび図8Dの一部に示す経路を模している。しかし戻り移動中に機械は、これと境界との間に障害物350が存在することを検知する。機械は、反時計回りに90°回転し、ケーブルが障害物からうまく外れる位置に達するまで障害物の周りを反転する(図9Cおよび図9D)。次に機械は、これが以前の外向き経路を追従して壁に達するまで、ケーブル追従モードに入るかまたは距離測定情報を使用する(図9E)。次に機械は反時計回りに曲って、その左側を境界と整列させ(図9F)、基準段(ステップ)距離だけ境界に沿って移動し(図9G)、障害物350まで外側に移動してから境界に向かって戻ることによって、簡単なスパイクを実施する(図9H、図9I)。これがいったん完了すると、機械は反時計回りに曲ってその左側を境界に再び整列させ、(図9K)、段渡りして新たなスパイクを開始する(図9L)。
【0041】
図8および図9に示す方法では、機械は、作業区域の境界に実質的に平行な経路に沿って「段渡り(steps across)」する(例えば図8における経路342)。しかし、理想的なシナリオでは、機械は、作業区域の境界に対してある角度をなす縁部を有する障害物に遭遇する可能性がある。図10A〜図10Gは、機械がこのような障害物にどのように対処するかを示すものである。図10A〜図10Dは境界に向かうように傾斜した障害物を示し、図10E〜図10Gは境界から離れるように傾斜した障害物を示す。図10Aでは、機械は作業区域の境界から外側に向けてスパイクし、障害物360に到達して停止する。次に機械は反時計回りに曲って、それ自体は、作業区域の境界に面する障害物360の縁部と整列する(図10B)。次に制御システムは、機械がX方向に、すなわち作業区域の境界に平行な方向に必要な段渡り距離を達成するために新しい斜めの経路363に沿って移動する必要がある距離を決定する。これは簡単な三角法の計算である。いったんこの距離を移動すると(図10C)、機械は時計回り方向に曲り(図10D)、境界に向かって反転し、外側経路に実質的に平行な経路をたどる。図10E〜図10Gでは、機械は非常によく似た方法で動作し、相違は、段渡りの行動が作業区域の境界から対角方向に離れるように延びる経路365に沿っていることである。
【0042】
大きな作業区域では、機械は、作業区域を完全にカバーしてしまう前にケーブルを使い尽くすこともある。この場合には、機械は、すでに説明したのと同じ技法を出発点から反対方向に実施するために進行する(図4のステップ170)。こうして、掃除機は反時計回り方向に境界を追従し、機械の右側を区域の境界と整列させ、作業区域の境界から外側に向けて一連のスパイクを実施する。図11は、図5に既に示したものと同じ区域を示す。区域をまわる最初の時計回り移動中に、点Xにおいてケーブルが完全に出尽くしたと仮定する。機械はソケット310における出発位置に戻っており、境界の周りを反時計回りに移動し始めている。機械は、出発位置に戻るとすぐに「スパイク」を開始する。境界の周りを反時計回りに移動するときの機械によって実施されるスパイク動作は、図7〜図10に図示するスパイク動作の鏡像であることが理解されよう。機械は、ケーブル95が再び完全に出尽くしてしまうか、またはナビゲーションシステムが点Xへ到着または点Xの通過を検知するまで、この方法を継続する。
【0043】
図12は、機械がいったんソケット310における出発点に戻ると境界のまわりを反時計回りに移動し始める、代替計画を示す。しかし、直ちに区域の中へのスパイクを開始する代わりに、機械は、ナビゲーションシステムが点Xへ到着または点Xの通過を検知するまで、ケーブルを繰り出しながら単に境界のまわりを移動する。この相違の理由は、累積距離測定誤差はより小さくなるので、機械が直接点Xに移動する場合には、機械が点Xに到達する時点を検出することが機械にとっては容易になり得るからである。
【0044】
機械が、(図11における点Xなどの)以前に掃除が完了した点に機械が戻った時点を正確に検出するためには、ある形式のマッピング機能を必要とする。機械は、作業区域のマップを作って作業区域における通過した個所を記録する能力を有することが必要である。マップは、距離測定車輪18から得られる距離測定情報、および/または当技術分野では周知の方法で物体検出センサ20〜26,30から得られる作業区域の特徴に関する情報を使用して構成することができる。次に機械はマップを使用して、境界のまわりを反対方向に移動することによって以前に到達した境界における点に到達した時点を特定することができる。累積距離測定誤差は機械の実際の位置とマップによって決定した機械の位置との間のある誤差を生じさせる可能性があるので、うまく重なり合い領域ができるようにすることが好ましい。
【0045】
機械がどのようなマップ作成機能も有しない場合には、ケーブルがすべて出尽くしてしまうまで、作業区域を反対方向に回って作業を簡単に続けることができる。この結果、かなりの領域の表面が2回処理される。
【0046】
上述の方法は、区域の方々で反時計方向経路を追従して回る機械を説明した。機械は同様に、区域の境界の最初の1巻きの間に区域の方々で時計方向経路を採ることもできる。
【0047】
機械に電力を供給するための電力ケーブルに依存しない機械に、ナビゲーション法を適用することができる。非ケーブル式機械のためには、ナビゲーション法を多少簡略化することができる。先ず、機械はケーブルを巻き取る必要がないので、機械は作業区域の全境界のまわりを一方向に一回だけ移動する必要があり、繰り出されるケーブルの最大長さに制限されることはない。機械の片側(作業区域の方々で反時計動作では左側のみ)のみが境界からの距離を検出するためのセンサを必要とするので、機械のセンサアレイの要件を簡略化することができる。機械はケーブル追従モードで動作することができなくなるので、機械は、スパイク動作の戻り経路中および出発位置への戻り中に、距離測定情報およびセンサアレイにより多く依存する必要がある。
【0048】
上述のように、作業区域の予備知識を全く持たない自律機械による問題の一つは、機械が区域の周辺全体を移動して出発点に戻った時点を、機械がいかに判断するかである。上述のケーブルベースの機械が出発点として電力ソケットを使用できることは好都合である。
【0049】
非ケーブルベースの機械は、機械が作業区域の以前に通った位置に戻ったときを認識する別の方法を必要とする。本出願人の係属中の英国特許出願第0126499.3号はこのような方法を開示している。機械は通過した経路の記録を記憶し、経路の既に記憶された部分の全てに経路の最新部分を合致させることを、合致が見つかるまで繰り返し試みる。機械が出発点に戻ったことを判定するその他の方法には、境界にビーコンまたはマーカを設置して、ビーコンまたはマーカを認識することができるセンサを機械に備えるという方法がある。ビーコンを能動式または受動式にすることができる。すなわち、機械が連続的または周期的に信号を発信するか、または機械が伝送した質問信号に応答できるように電源を含むことができる。適当なビーコンは国際公開第00/38029号パンプレットに記載されている。
【0050】
上に説明した方法は、作業区域をうまくカバーすることを保証するものである。その最も簡単な形では、機械はスパイクが開始される境界の部分の角度に対して実質的に90°の角度で、作業区域の中に「スパイク」を実施する。図13〜図15を参照して以下に説明するさらに能力を高めた形態は、機械の性能をさらに向上させることができる。この向上させられた形態では、機械は、スパイクを形成するベースとして使用すべき方向の記録を維持する。このベースを以下「スパイクベースライン」と呼ぶことにする。これは絶対角度として測定される。スパイク自体はスパイクベースラインに対して90°で形成される。通常、スパイクベースラインは境界と整列させられる。機械は境界の新しい部分をたどるので、機械は新たな方向に向かうために曲る。この方向を「壁追従方向」と呼ぶことにする。機械が曲ると、機械は、現在のスパイクベースライン方向と新しい壁追従方向との間の角度差(θ)を監視する。この差が所定のしきい値、たとえば45°より小さい場合には、機械はスパイクベースライン方向からスパイクを形成し続ける。壁追従角度がしきい角度を超過するとすぐに、機械はスパイクベースライン方向を新しい壁追従方向にリセットして、この新しいベースラインから作業を開始する。これは図13および図14に示されており、この方法の流れ図は図15に示されている。
【0051】
図13Aでは、機械10は、境界部分501の方向と整列されたスパイクベースライン方向に作業している。スパイクベースラインの絶対方向は、部屋の線図に続く方位として示されている。図13Bでは、機械10は曲ってそれ自体が境界部分502と整列する。スパイクベースライン方向と壁追従方向との間の角度差は約30°であり、これは45°のしきい値よりも小さく、したがって機械は、境界部分502に沿って移動するので、スパイクベースライン方向からスパイクを形成し続ける。図13Cでは、機械は再び曲ってそれ自体が境界部分503と整列する。スパイクベースライン方向と新しい壁追従方向との間の角度差は約70°であり、したがって機械は、スパイクベースライン方向を境界部分503の方向にリセットし、この新しいベースラインからスパイクを形成する。
【0052】
図14は、機械が作業区域の境界における一般的に90°である隅部にいかに対処するかを示す。図14Aでは、機械は境界部分511の方向と整列したスパイクベースラインによって作業している。
【0053】
この改善によって、機械は、境界が不規則な形状を有するときでも、実質的に互いに平行な一組のスパイク状経路を形成することができる。
【0054】
さらに進歩した機械では、隣接経路間の段(ステップ)距離を使用者が選択することができる。使用者が段距離を選択できるさまざまな方法があり、段距離を指定する複数のボタンまたは制御装置、もしくは「通常掃除」、「完全掃除」などの、段距離で動作する掃除機の効果を示す記号または記述を有する制御装置を、使用者に提供することができる。ボタンは、ユーザパネル(図1の60)、遠隔制御装置、またはこれらの両方の中に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】真空掃除機の形態を採る自律機械を示す図である。
【図2】図1の機械の電気系統を示す図である。
【図3A】図1および図2の機械の電力ケーブル管理システムを示す図である。
【図3B】図1および図2の機械の電力ケーブル管理システムを示す図である。
【図3C】図1および図2の機械の電力ケーブル管理システムを示す図である。
【図3D】図1および図2の機械の電力ケーブル管理システムを示す図である。
【図4】本機械によって使用されるナビゲーション方法の流れ図である。
【図5】図4のナビゲーション方法にしたがって、作業区域で作業している機械を示す図である。
【図6】図4のナビゲーション方法にしたがって、作業区域で作業している機械を示す図である。
【図7A】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される移動を示す図である。
【図7B】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される移動を示す図である。
【図7C】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される移動を示す図である。
【図8A】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される別の移動を示す図である。
【図8B】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される別の移動を示す図である。
【図8C】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される別の移動を示す図である。
【図8D】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される別の移動を示す図である。
【図8E】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施される別の移動を示す図である。
【図9A】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9B】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9C】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9D】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9E】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9F】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9G】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9H】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9I】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9J】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9K】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図9L】図4のナビゲーション方法を使用して図1の機械によって実施されるが、実施中に障害物に遭遇した別の移動を示す図である。
【図10A】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図10B】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図10C】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図10D】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図10E】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図10F】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図10G】作業区域の境界にある角度をなして置かれた障害物に遭遇したときの、図1の機械の移動を示す図である。
【図11】機械が大きな作業区域に対処する方法を示す図である。
【図12】機械が大きな作業区域に対処する方法を示す図である。
【図13A】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【図13B】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【図13C】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【図14A】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【図14B】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【図14C】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【図15】ナビゲーション方法の一変更例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 自律機械(ロボット真空掃除機)
12 本体(支持シャシー)
14 分離物質収集装置
15 被駆動輪
16 牽引モータ
18 距離測定車輪
20〜26 センサ
30 センサ
40 クリーナヘッド
45 ブラシバー
48 モータ
50 吸引ファン
52 吸引モータ
60 ボタン、スイッチ
65 表示ランプ
70 ピンチローラ
71 ケーブルリール
72 モータ
73 シャフト
74 振子
75 開口部
80 マイクロプロセッサ
82 不揮発性メモリ
84 メモリ
95 電力ケーブル
98 マーカ
301〜304 部屋の壁
305〜308 部屋の中に置かれた物体
310 主電力ソケット
320 機械によって横切られる経路
331,332 経路
342,343 経路
350,360 障害物
365 経路
501,502,503,511 境界部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律機械を作業区域の自由表面の実質的に全てを横切るようにする方式で、作業区域の方々に自律機械をナビゲートするための制御システムであって、機械に作業区域の境界を追従させ、複数の移動を実施させるように構成されており、前記移動の各々は、機械が作業区域の境界から境界に対してある角度で外側へ移動して、境界へ再び戻ることを含み、機械は各移動の間に作業区域の境界に沿って移動し、かつ機械が実質的に作業区域の全境界を追従しながらこれらの移動を繰り返すことを含む制御システム。
【請求項2】
移動中に外側への行程および戻り行程が、実質的に同じである経路に沿っている請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記機械を戻り行程中に逆転させる請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
移動中、外側への行程および戻り行程が、互いに隣接または部分的に重なり合った経路に沿っている請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
重なり合いの量を使用者が制御することができる請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
移動中、外側への行程が最大所定距離にわたる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
外側への行程が、(a)障害物に到達した場合および(b)所定の距離だけ移動した場合の最短距離にわたる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
各移動が、この移動が開始される境界の部分に実質的に直角をなす請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
各移動がベースライン方向に実質的に直角をなしており、ベースライン方向は通常境界と整列しており、ベースライン方向は、現在のベースライン方向と境界の次に続く部分の方向との間の角度差が所定の量より大きいときには変更される請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
移動の外側への行程が、以前の移動の戻り行程に隣接するかまたは部分的にこれと重なり合っている経路を追従する請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項11】
機械が境界上の出発点に戻るまで、機械を区域の境界に追従させるように構成された請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の制御システムを含む自律機械。
【請求項13】
出発点に位置決めされるべき位置マーカと、この位置マーカを検出するための検出器とをさらに含み、前記制御システムは位置マーカを検出することによって出発点を認識するよう構成されている請求項12に記載の自律機械。
【請求項14】
機械には電力ケーブルを介して電力が供給され、位置マーカを電力ケーブルの上に位置付けることができる請求項13に記載の自律機械。
【請求項15】
前記位置マーカが磁性体であり、機械の上の検出器が磁気位置マーカに対して応答する請求項13または請求項14に記載の自律機械。
【請求項16】
機械が外部電源によって電力を供給され、機械は、この機械を外部電源に接続するための一定長の電力ケーブルを格納している請求項12ないし請求項15のいずれか一項に記載の自律機械。
【請求項17】
各移動中に、機械は、境界から外側への行程時には電力ケーブルを繰り出し、戻り行程時には電力ケーブルを巻き取るように構成された請求項16に記載の自律機械。
【請求項18】
戻り行程時には、機械は外側への行程時に置かれたケーブルをたどる請求項16または請求項17に記載の自律機械。
【請求項19】
戻り行程時に、機械は距離測定情報を使用して境界へ向かう請求項16または請求項17に記載の自律機械。
【請求項20】
前記制御システムは、機械が電力ケーブルをすべて使い尽くした場合に、機械が作業区域の境界を追従することを停止させるよう構成されている請求項16ないし請求項19のいずれか一項に記載の自律機械。
【請求項21】
電力ケーブルの全てが機械から繰り出され、機械はまだ作業区域を完了していない場合には、制御システムは作業区域の出発位置に戻って、出発位置から反対方向に境界のまわりを移動し始めるよう構成された請求項20に記載の自律機械。
【請求項22】
機械が出発位置から反対方向に境界のまわりを移動するとき、制御システムは機械が境界全体のまわりを移動してしまった時点を検出するよう構成された請求項21に記載の自律機械。
【請求項23】
制御システムが、作業区域における通った位置のマップを構築して、機械が前記マップを使用して境界全体のまわりを移動してしまったことを認識する請求項22に記載の自律機械。
【請求項24】
自律機械を作業区域の自由表面の実質的に全てを横切るように、作業区域の方々で自律機械を作動させるための方法であって、機械に作業区域の境界を追従させて複数の移動を実施させることを含み、各移動は、機械が作業区域の境界から境界に対してある角度で外側へ移動すること、および境界へ再び戻ることを含み、機械は各移動の間に作業区域の境界に沿って移動し、機械が実質的に作業区域の全境界を追従しながらこれらの移動を繰り返すようにした自律機械を作動させるための方法。
【請求項25】
自律機械を作業区域の自由表面の実質的に全てを横切るように、作業区域の方々における自律機械の移動を制御するためのソフトウェアであって、機械に作業区域の境界を追従させて複数の移動を実施させるよう構築されており、各移動は、機械が作業区域の境界から境界に対してある角度で外側へ移動すること、および境界へ再び戻ることを含み、機械は各移動の間に作業区域の境界に沿って移動し、機械が実質的に作業区域の全境界を追従しながらこれらの移動を繰り返すようにしたソフトウェア。
【請求項26】
添付図面に示された実施形態のいずれか一つを参照して本明細書に説明されたような、自律機械、自律機械を作動させるための方法、自律機械のための制御システム、または自律機械を実質的に制御するためのソフトウェア。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−517312(P2006−517312A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518363(P2005−518363)
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000604
【国際公開番号】WO2004/072752
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(500024469)ダイソン・テクノロジー・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】