説明

薄膜トランジスタ、その製造方法及びこれを含む有機発光ダイオード表示装置

【課題】薄膜トランジスタ、その製造方法及びこれを含む有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板上に位置し、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層からなり、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層と、前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極を含み、前記半導体層は前記半導体層の両端部に位置する第1ゲッタリングサイト及び前記第1ゲッタリングサイトと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ゲッタリングサイトを含むことを特徴とする薄膜トランジスタ、その製造方法及びこれを含む有機発光ダイオード表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、その製造方法及びこれを含む有機発光ダイオード表示装置に関し、より詳しくは、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層で形成された半導体層を含む薄膜トランジスタにおいて、チャネル領域に残存する前記結晶化誘起金属を効果的に除去してリーク電流が著しく減少した薄膜トランジスタ、その製造方法及びこれを用いる有機発光ダイオード表示装置関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多結晶シリコン層は、高い電界効果移動度を有し、高速動作回路または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路に適用できるため、薄膜トランジスタ用半導体層の用途として広く用いられる。このような多結晶シリコン層を用いた薄膜トランジスタは、主にアクティブマトリクス型液晶表示装置(AMLCD)の能動素子、またはアクティブマトリクス型有機発光ダイオード表示装置(AMOLED)のスイッチング素子もしくは駆動素子として用いられている。
【0003】
非晶質シリコン半導体層を多結晶シリコンに結晶化する方法は、固相結晶化法(Solid Phase Crystallization)、エキシマレーザ熱処理法(Excimer Laser Annealing)、金属誘起結晶化法(Metal Induced Crystallization)及び金属誘起ラテラル結晶化法(Metal Induced Lateral Crystallization)などがあり、固相結晶化法は表示装置用薄膜トランジスタ中で使用されているガラス基板の変形温度である約700℃以下の温度にて非晶質シリコン層を数時間ないし数十時間かけて熱処理する方法である。エキシマレーザ熱処理法は、エキシマレーザを非晶質シリコン層に照射して短時間で局所的に高い温度で加熱して非晶質シリコン層を結晶化する方法である。金属誘起結晶化法は、ニッケル、パラジウム、金、アルミニウムなどの金属を非晶質シリコン層と接触させたり注入したりして、前記金属により、非晶質シリコン層から多結晶シリコン層への相変化を誘導する方法である。また、金属誘起ラテラル結晶化法は、金属とシリコンが反応して生成したシリサイドが横方向に拡散しながら順に非晶質シリコン層を結晶化する方法である。
【0004】
しかし、前記の固相結晶化法は高温で長時間、基板を熱処理するため、基板が損傷しやすいという短所があり、エキシマレーザ熱処理法は高価なレーザ装置が必要であるということと、多結晶化された表面に突起(protrusion)が発生して半導体層とゲート絶縁膜との界面特性が悪くなるという短所がある。
【0005】
最近、金属を用いて非晶質シリコン層を結晶化する方法は、固相結晶化法よりも低い温度で短時間に結晶化することができるため、非常に多く研究されている。金属を用いた結晶化方法としては、金属誘起結晶化(MIC、Metal Induced Crystallization)方法と金属誘起ラテラル結晶化(MILC、Metal Induced Lateral Crystallization)方法、SGS結晶化方法(Super Grain Silicon Crystallization)などがある。しかし、結晶化誘起金属を用いた前記方法の場合は、結晶化誘起金属による汚染によって薄膜トランジスタの素子特性が低下するという問題点がある。したがって、結晶化誘起金属を用いて非晶質シリコン層を結晶化した後には前記結晶化誘起金属を除去するためのゲッタリング(gettering)工程が行われる。
【0006】
前記ゲッタリング工程のためには、半導体層内にゲッタリングサイトを形成する。通常は、半導体層のソース/ドレイン領域とソース/ドレイン電極とを連結するためのコンタクトホールを用いて、前記半導体層領域にゲッタリングのための物質を注入する方法で前記ゲッタリングサイトを形成する。しかし、チャネル領域と前記コンタクトホールとの距離が遠い場合、前記コンタクトホールで形成されたゲッタリングサイトだけを用いてゲッタリング工程を実施するとゲッタリング効率が落ちるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−100633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層からなる半導体層を有する薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層のチャネル領域に存在する前記結晶化誘起金属を効果的にゲッタリングすることができリーク電流などの電気的特性の優れた薄膜トランジスタを提供することを目的とする。また、本発明は、前記薄層トランジスタの製造方法及び前記薄層トランジスタを含む有機発光ダイオード表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために本発明は、基板と、前記基板上に位置し、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層からなり、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層と、前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極とを含み、前記半導体層は前記半導体層の両端部に位置する第1ゲッタリングサイト及び前記第1ゲッタリングサイトと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ゲッタリングサイトを含むことを特徴とする薄膜トランジスタを提供する。
【0010】
また、本発明は、基板を提供する工程と、前記基板上に結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層をパターニングしてソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層を形成する工程と、前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をパターニングして前記半導体層の所定領域を露出させる第1ホール及び前記第1ホールと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ホールを形成する工程と、前記第1ホール及び前記第2ホールによって露出された前記半導体層の所定領域にゲッタリングサイトを形成する工程と、前記ゲッタリングサイトを用いて前記半導体層のチャネル領域に存在する前記結晶化誘起金属をゲッタリングする工程と、前記第1ホールを介して前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、基板と、前記基板上に位置し、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層からなり、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層と、前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極と、前記ソース/ドレイン電極に電気的に接続される第1電極と、前記第1電極上に位置し、発光層を含む有機膜層と、前記有機膜層上に位置する第2電極と、を含み、前記半導体層は前記半導体層の両端部に位置する第1ゲッタリングサイト及び前記第1ゲッタリングサイトと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ゲッタリングサイトを含むことを特徴とする有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層を用いて形成された半導体層を含む薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層のチャネル領域に存在する結晶化誘起金属を効果的にゲッタリングすることができ、それによって前記結晶化誘起金属が効果的に除去され、リーク電流などの電気的特性の優れた薄膜トランジスタが提供され、その製造方法及びこれを含む有機発光ダイオード表示装置も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の一実施例に係る結晶化工程の断面図である。
【図1B】本発明の一実施例に係る結晶化工程の断面図である。
【図1C】本発明の一実施例に係る結晶化工程の断面図である。
【図1D】本発明の一実施例に係る結晶化工程の断面図である。
【図2A】本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図2B】本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図2C】本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図2Bの断面図である。
【図2D】本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図2E】本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図3A】本発明の第2実施例に係るデュアルゲート薄膜トランジスタを製造する工程を示す平面図である。
【図3B】本発明の第2実施例に係るデュアルゲート薄膜トランジスタを製造する工程を示す平面図である。
【図3C】本発明の第2実施例に係るデュアルゲート薄膜トランジスタを製造する工程を示す平面図である。
【図3D】本発明の第2実施例に係るデュアルゲート薄膜トランジスタを製造する工程を示す平面図である。
【図4A】図3Aの断面図である。
【図4B】図3Bの断面図である。
【図4C】図3Cの断面図である。
【図4D】図3Dの断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明する実施例に限定されるわけではなく、他の形態で具体化することができる。なお、説明の都合上、図面において、層及び領域の厚みは誇張されており、図示する形態が実際とは異なる場合がある。明細書の全体において同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0015】
図1Aないし図1Dは、本発明の一実施例に係る結晶化工程の断面図である。
【0016】
まず、図1Aに示すように、ガラスまたはプラスチックのような基板100上にバッファ層110を形成する。前記バッファ層110は化学的蒸着(Chemical Vapor Deposition)法または物理的蒸着(Physical Vapor Deposition)法を用いて、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜のような絶縁膜からなる単層またはこれらの多重層で形成される。この場合、前記バッファ層110は前記基板100から発生する水分または不純物の拡散を防止したり、結晶化時に熱の伝達速度を調節したりすることによって、非晶質シリコン層の結晶化を促進する。
【0017】
続いて、前記バッファ層110上に非晶質シリコン層120を形成する。この場合、前記非晶質シリコン層120の形成には化学的蒸着法または物理的蒸着法を用いることができる。また、前記非晶質シリコン層120を形成する際、あるいは、形成した後に、脱水素処理して水素濃度を低くする工程を行うことができる。
【0018】
次いで、前記非晶質シリコン層120を多結晶シリコン層に結晶化する。本発明では金属誘起結晶化(MIC、Metal Induced Crystallization)法、金属誘起ラテラル結晶化(MILC、Metal Induced Lateral Crystallization)法、またはSGS(Super Grain Silicon)結晶化法などのような結晶化誘起金属を利用した結晶化方法を用いて前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する。
【0019】
前記SGS結晶化法は、非晶質シリコン層に拡散する結晶化誘起金属を低濃度に制御して、結晶粒サイズを数μmないし数百μmに制御することができる結晶化方法である。SGS結晶化法は、非晶質シリコン層上に結晶化誘起金属の拡散を制御するキャッピング層を形成し、前記キャッピング層上に結晶化誘起金属層を形成した後、熱処理して結晶化誘起金属を前記非晶質シリコン層へ拡散し、多結晶シリコンへと結晶化することができる。また、キャッピング層を形成しない場合においても、結晶化誘起金属層を低濃度で形成することによって、非晶質シリコン層へ拡散する結晶化誘起金属を低減することもできる。
【0020】
金属誘起結晶化法または金属誘起ラテラル結晶化法に比べて、キャッピング層を用いたSGS結晶化法は非晶質シリコン層へ拡散する結晶化誘起金属の濃度がより効果的に制御できることから、結晶化はSGS結晶化法によるものであることが好ましい。以下に実施例を説明する。
【0021】
図1Bは、前記非晶質シリコン層上にキャッピング層及び結晶化誘起金属層を形成する工程の断面図である。
【0022】
図1Bに示すように、前記非晶質シリコン120上にキャッピング層130を形成する。この場合、前記キャッピング層130は、後工程で形成される結晶化誘起金属層に含まれる金属が熱処理工程を介して拡散できるシリコン窒化膜で形成するのが好ましく、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との二重層を用いることができる。前記キャッピング層130は化学的蒸着法または物理的蒸着法などの方法で形成する。この場合、前記キャッピング層130の厚さは、1ないし2000Åで形成する。前記キャッピング層130の厚さが1Å未満の場合は、前記非晶質シリコン層120へ拡散する結晶化誘起金属の量を制御することが困難である。また、2000Åを超えた場合は、前記非晶質シリコン層120に拡散する結晶化誘起金属の量が少なく、非晶質シリコン層120が多結晶シリコン層に結晶化することが困難である。
【0023】
続いて、前記キャッピング層130上に、結晶化誘起金属を蒸着して結晶化誘起金属層140を形成する。ここで、結晶化誘起金属としては、Ni、Pd、Ag、Au、Al、Sn、Sb、Cu、Tr、及びCdからなる群から選択されたいずれか一つを用いることができるが、好ましくはニッケル(Ni)が用いられる。また、前記結晶化誘起金属層140は、前記キャッピング層130上に1011ないし1015atoms/cmの面密度で形成することが好ましい。前記結晶化誘起金属層の面密度が1011atoms/cmより低い場合、結晶化の核となるシード量が少なく、前記非晶質シリコン層120が多結晶シリコン層に結晶化することが困難となる場合がある。前記結晶化誘起金属の面密度が1015atoms/cmより高い場合、非晶質シリコン層120に拡散する結晶化誘起金属の量が多く、多結晶シリコン層の結晶粒が小さくなる場合がある。それとともに、半導体層内に残存する結晶化誘起金属の量が多くなり、前記多結晶シリコン層をパターニングして形成される半導体層の特性が低下する場合がある。
【0024】
図1Cは、前記基板を熱処理して、キャッピング層を介して結晶化誘起金属層に含まれる結晶化誘起金属を非晶質シリコン層の界面に拡散させる工程の断面図である。
【0025】
図1Cに示すように、前記バッファ層110、非晶質シリコン層120、キャッピング層130及び結晶化誘起金属層140が形成された前記基板100を熱処理して(これを150とする)、前記結晶化誘起金属層140の結晶化誘起金属のうちの一部を前記非晶質シリコン層120の表面に移動させる。すなわち、前記熱処理工程150の間、前記キャッピング層130を介して拡散する結晶化誘起金属140a及び140bのうち微量の結晶化誘起金属140bだけが前記非晶質シリコン層120の表面に拡散されることになり、大部分の結晶化誘起金属140aは前記非晶質シリコン層120に到達することも前記キャッピング層130を通過することもできない。
【0026】
したがって、前記キャッピング層130の拡散阻止能力によって前記非晶質シリコン層120の表面に到達する結晶化誘起金属の量が決定されるが、これは前記キャッピング層130の厚さまたは密度と密接な関係がある。すなわち、前記キャッピング層130の厚さまたは密度が大きいほど拡散する量は少なく結晶粒サイズは大きくなる。そして、厚さまたは密度が小さいほど拡散する量は多くなって結晶粒サイズは小さくなる。
【0027】
この場合、前記結晶化誘起金属を拡散するため前記熱処理工程150を200ないし900℃の温度範囲で数秒ないし数時間行う。前記熱処理工程150を前記温度と時間により行う場合に過度の熱処理による基板の変形などを防止することができ、製造コスト及び収率の観点からも好ましい。前記熱処理工程150には、炉内(furnace)工程、RTA(Rapid Thermal Annealing)工程、UV工程またはレーザ(Laser)工程のうちのいずれか一つの工程を用いることができる。
【0028】
図1Dは拡散された結晶化誘起金属により非晶質シリコン層が多結晶シリコン層に結晶化する工程の断面図である。
【0029】
図1Dに示すように、前記キャッピング層130を通過して前記非晶質シリコン層120の表面に拡散した結晶化誘起金属140bによって前記非晶質シリコン層120が多結晶シリコン層160に結晶化される。すなわち、拡散した結晶化誘起金属140bが非晶質シリコン層のシリコンと結合して金属シリサイドを形成し、前記金属シリサイドが結晶化の核となるシード(seed)を形成し、非晶質シリコン層120が多結晶シリコン層160に結晶化する。
【0030】
図1Dで示したように、前記熱処理工程は、前記キャッピング層130と結晶化誘起金属層140を除去せずに行ったが、結晶化誘起金属を前記非晶質シリコン層120上に拡散させて結晶化の核となる金属シリサイドを形成した後、前記多結晶シリコン層を形成するための熱処理工程の前に、前記キャッピング層130と結晶化誘起金属層140を除去してもよい。
【0031】
(第1実施例)
図2A、図2B、図2D及び図2Eは、本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタを製造する工程の断面図である。図2Cは、図2Bの平面図である。
【0032】
図2Aに示すように、前記キャッピング層130及び前記結晶化誘起金属層140を除去し、前記バッファ層110が形成された前記基板100上に、図1A〜図1Dに示す実施例のようにSGS結晶化法で結晶化した多結晶シリコン層(図1Dの160)をパターニングして半導体層210を形成する。本実施例と異なるが、前記多結晶シリコン層をパターニングすることは、後続する工程で行うこともできる。
【0033】
続いて、前記半導体層210が形成された基板100上にゲート絶縁膜220を形成する。ここで、前記ゲート絶縁膜220はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはこれらの二重層とすることができる。
【0034】
続いて、前記ゲート絶縁膜220上に、アルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金の単一層や、クロム(Cr)またはモリブデン(Mo)合金の上にアルミニウム合金が積層した多重層のゲート電極用金属層(図示せず)を形成する。ゲート電極用金属層は、フォトリソグラフィ及びエッチング工程によるエッチングを行い、ゲート電極230を形成する。
【0035】
続いて、前記ゲート電極230をマスクとして用いて半導体層210に導電性イオン(conductive ion)240を所定量注入してソース/ドレイン領域211、213及びチャネル領域212を形成する。このとき、前記導電性イオンとしては、p型イオンまたはn型イオンを用いることができるが、前記p型イオンとしては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)からなる群からいずれかひとつ以上を選択することができ、前記n型イオンとしては、リン(P)、ヒ素(As)及びアンチモン(Sb)からなる群からいずれかひとつ以上を選択することができる。一方、前記ゲート電極230を形成する前にフォトレジストパターンを形成し、前記フォトレジストパターンをマスクとして用いて、導電性イオン240を前記半導体層210に注入することもできる。
【0036】
続いて、図2B及び図2Cに示すように、前記ゲート電極230を含む前記基板100全面にかけて層間絶縁膜250を形成する。ここで、前記層間絶縁膜250は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはこれらの二重層とすることができる。
【0037】
続いて、前記層間絶縁膜250及び前記ゲート絶縁膜220の所定領域をエッチングして、前記半導体層210のソース/ドレイン領域211及び213の所定領域を露出させる第1ホール261及び前記第1ホール261と離隔されて位置する第2ホール262を形成する。前記第1ホール261は、前記ソース/ドレイン領域211及び213と後続するソース/ドレイン電極を電気的に接続するためのコンタクトホールである。そのため、前記第1ホール261は前記半導体層210の端部、すなわち前記ソース/ドレイン領域211及び213の端部に位置するように形成される。前記第2ホール262は、ゲッタリング効率を向上させるために追加的に形成したホールである。
【0038】
続いて、前記第1ホール261及び前記第2ホール262を用いて前記第1ホール261及び前記第2ホール262により露出された前記半導体層210の所定領域に、前記チャネル領域212に残存する結晶化誘起金属をゲッタリングするためのゲッタリングサイト271及び272を形成する。前記第1ホール261により形成されるのは第1ゲッタリングサイト271であり、前記第2ホール262により形成されるのは第2ゲッタリングサイト272である。前記第1ゲッタリングサイト271及び前記第2ゲッタリングサイト272により前記チャネル領域212に残存する結晶化誘起金属がゲッタリングされることから、前記第1ゲッタリングサイト271及び前記第2ゲッタリングサイト272内の前記結晶化誘起金属の濃度は、前記チャネル領域212内の前記結晶化誘起金属の濃度よりも高いことがわかる。
【0039】
前記第2ゲッタリングサイト272は、前記ドレイン領域213に位置するのが好ましい。前記ソース領域211に前記第2ゲッタリングサイト272を形成する場合は、前記ソース領域211と前記チャネル領域212との界面から前記第2ゲッタリングサイト272の距離が増加してもリーク電流に大きな変化はない。しかし、前記ドレイン領域213に前記第2ゲッタリングサイト272を形成する場合は、前記ドレイン領域213と前記チャネル領域212との界面から前記第2ゲッタリングサイト272の距離が増加するにつれて、リーク電流は次第に増加する。したがって、リーク電流は、前記ソース領域211に位置するゲッタリングサイトに比べ、前記ドレイン領域213に位置するゲッタリングサイトにより影響を受けるため、前記第2ゲッタリングサイト272は前記ドレイン領域213に位置することが好ましい。
【0040】
また、前記第2ゲッタリングサイト272は、前記チャネル領域212とドレイン領域213との界面から0.5ないし10μmの距離に位置することが好ましい。前記第2ゲッタリングサイト272が前記チャネル領域212とドレイン領域213との界面から0.5μmまたはそれ以上離れた距離に位置すると、前記第2ゲッタリングサイト272を形成するために前記第2ホール262を形成する際、前記ゲート電極230の損傷を防止することができる。そして、前記第2ゲッタリングサイト272が前記チャネル領域212とドレイン領域213との界面から10μmまたはそれ以下だけ離れた距離に位置した場合は、ゲッタリング効率をさらに向上させることができる。
【0041】
前記第2ゲッタリングサイト272は2つまたはそれ以上形成することが好ましい。2つ以上の場合、高い効果を得ることができる。
【0042】
前記ゲッタリングサイト271及び272は、前記第1ホール261及び前記第2ホール262を用いて前記半導体層210にゲッタリングのための不純物を注入したり、プラズマを用いて格子損傷領域を形成したり、または前記結晶化誘起金属と異なる金属またはこれらの金属の金属シリサイドを含む領域を形成するなどの方法を用いて形成することができる。
【0043】
前記結晶化誘起金属と異なる金属またはこれらの金属の金属シリサイドを含む領域を形成する方法はゲッタリング効率が優れるので、本実施例ではこれについて説明する。
【0044】
図2Dに示すように、前記第1ホール261及び前記第2ホール262が形成された前記層間絶縁膜250上に、ゲッタリングのための金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280を形成する。前記ゲッタリングのための金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280は、前記半導体層210内において拡散係数が前記結晶化誘起金属よりも小さい金属またはこれらの金属の合金からなる金属層、前記金属または合金の金属シリサイドからなる金属シリサイド層、または前記金属層と前記金属シリサイド層の二重層であることが好ましい。前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280を形成する金属または金属シリサイドの拡散係数は、前記半導体層210内における前記結晶化誘起金属の拡散係数の1/100またはそれ以下であることがさらに好ましい。前記金属または金属シリサイドの拡散係数が前記結晶化誘起金属の1/100またはそれ以下である場合、前記ゲッタリング用金属または金属シリサイドは、前記半導体層210内で前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280と接する領域である前記ゲッタリングサイト271、272から脱して前記半導体層210内の他の領域に拡散することを防止することができる。
【0045】
半導体層の結晶化に利用する結晶化誘起金属としては、ニッケルが広く用いられる。このニッケルの場合、半導体層内における拡散係数は約10−5cm/sまたはそれ以下であるため、ニッケルを結晶化誘起金属として用いる場合には、前記ゲッタリング用として使用する金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280は、前記半導体層210内における拡散係数はニッケルの1/100またはそれ以下の値、すなわち、0超ないし10−7cm/s以下の値を有することが好ましい。前記金属層、金属シリサイド層、またはそれらの二重層280を形成する前記金属または金属シリサイドは、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pt、Y、La、Ce、Pr、Nd、Dy、Ho、TiN、TaN、これらの合金、及びこれらの金属シリサイドからなる群から選択されたいずれかひとつとすることができる。
【0046】
また、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280は、30Åないし2000Åの厚さで形成することが好ましい。30Å未満の厚さで形成する場合は、前記ゲッタリングサイト271及び272により前記結晶化誘起金属がゲッタリングされる効率が低下されることもある。2000Åを超えた厚さで形成する場合は後続するゲッタリングのための熱処理時、基板200の全面に形成された前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280の熱膨脹により前記基板200の変形をもたらす場合がある。
【0047】
続いて、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280上に熱酸化防止膜290を形成することができる。前記熱酸化防止膜290はゲッタリングのために後続する熱処理時に熱処理条件によって前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280が酸化したり、窒素などのガスと反応したりすることを防止するための層であって、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層の変性を抑制することができる。前記熱酸化防止膜290は、シリコン酸化膜、またはシリコン窒化膜で形成することができる。また、後続する熱処理工程を不活性雰囲気で実施する場合は、前記熱酸化防止膜290を形成しない場合もある。
【0048】
続いて、前記半導体層210に残留する、特に前記半導体層210のチャネル領域212に残留している前記結晶化誘起金属を除去するために熱処理工程を行う。前記熱処理工程を行うことにより、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280と接する前記半導体層210の表面から前記金属層の金属が前記半導体層210内の領域に拡散したり、または前記半導体層210のシリコンと結合して金属シリサイドを形成する。また、前記金属シリサイド層の金属シリサイドは前記半導体層210内の領域に拡散する。その結果、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280と接する領域271及び272では、前記半導体層210の表面から所定深さまで前記結晶化誘起金属と異なる金属または前記金属の金属シリサイドが存在する領域が形成され、前記領域271及び272はゲッタリングサイトとなる。前記結晶化誘起金属と異なる金属または前記金属の金属シリサイドが存在する領域は、熱処理温度及び時間によって異なるが、前記半導体層210の表面から2ないし400Åの深さまで形成することができる。
【0049】
前記熱処理工程により前記半導体層210のチャネル領域212に残存する前記結晶化誘起金属が前記ゲッタリングサイト271及び272に拡散すると、前記結晶化誘起金属は前記ゲッタリングサイト271及び272に沈澱してそれ以上拡散しない。これは前記結晶化誘起金属がシリコンで形成された半導体層210内部よりも、他の金属または金属シリサイドが存在する前記ゲッタリングサイト271及び272にあった方が熱力学的に安定するためである。したがって、このような原理によって前記半導体層210の前記チャネル領域212に残存する前記結晶化誘起金属を除去することができる。
【0050】
ここで、前記熱処理は500ないし993℃の温度範囲で行い、10秒から10時間の間で加熱した方がよい。前記熱処理温度を500℃未満とした場合は、前記半導体層210内で前記結晶化誘起金属の拡散が起こらず、前記結晶化誘起金属が前記ゲッタリングサイト271及び272に移動することが困難となり、また、半導体層210内の結晶化誘起金属であるニッケルの共融点(eutectic point)が993℃であるため、前記熱処理温度は993℃またはそれ以下で行うほうがよい。
【0051】
また、前記熱処理時間を10秒未満とした場合は、前記半導体層210のチャネル領域212に残存する前記結晶化誘起金属を充分に除去することができない場合がある。そして、前記熱処理時間が10時間を超えた場合は長期間の熱処理により基板が変形し、生産コスト及び収率の問題が発生する場合がある。その反面、比較的高温で行う場合は、比較的短時間の加熱で結晶化誘起金属を除去することができる。
【0052】
続いて、図2Eに示すように、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280及び前記熱酸化防止膜290を除去する。この際、前記熱酸化防止膜290を除去し、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280をパターニングして前記第2ホール262に位置する導電性パターン(conductive pattern)291を形成することができる。前記導電性パターン291は低抵抗器として機能する。あるいは前記導電性パターン291は形成しなくてもよい。
【0053】
続いて、前記第1ホール261を介して前記ソース/ドレイン領域211及び213と接続されるソース/ドレイン電極292及び293を形成する。ここで、前記ソース/ドレイン電極292及び293は、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−ネオジム(Al−Nd)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)、モリブデン合金(Mo alloy)、アルミニウム合金(Al alloy)、及び銅合金(Cu alloy)からなる群から選択されたいずれかひとつ以上により形成することができる。
【0054】
以上のように、前記熱酸化防止膜290を除去し、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層280をパターニングして前記ソース/ドレイン電極292及び293及び前記導電性パターン291を形成する。これによって、本発明の第1実施例に係る薄膜トランジスタが完成する。
【0055】
表1は、本発明の第1実施例により第2ゲッタリングサイトが一つ形成された薄膜トランジスタと第2ゲッタリングサイトを形成しない従来の薄膜トランジスタのリーク電流を示す表である。本発明及び従来の前記薄膜トランジスタにおいて半導体層のチャネル領域の幅/長さは25μm/20μmであって、前記チャネル領域の界面から第1ゲッタリングサイトまでの距離は50μmである。また、本発明の薄膜トランジスタにおいて、チャネル領域の界面から第2ゲッタリングサイトまでの距離は4μmである。
【0056】
【表1】

【0057】
表1に示すように、本発明の第1実施例により第2ゲッタリングサイトを形成した場合、従来に比較してリーク電流は著しく減少していることを確認することができる。
【0058】
表2は、本発明における前記第2ゲッタリングサイトの個数による薄膜トランジスタのリーク電流と前記第2ゲッタリングサイトを持たない従来の薄膜トランジスタのリーク電流を示す表である。本発明及び従来の薄膜トランジスタにおいて半導体層のチャネル領域の幅/長さは25μm/20μmであって、前記チャネル領域の界面から第1ゲッタリングサイトまでの距離は50μmである。また、本発明の薄膜トランジスタにおいて、チャネル領域の界面から第2ゲッタリングサイトまでの距離は4μmである。
【0059】
【表2】

【0060】
表2に示すように、前記第2ゲッタリングサイトが2個またはそれ以上形成された場合は、前記第2ゲッタリングサイトが1個形成された場合に比べてリーク電流がさらに減少したことを確認することができる。
【0061】
表3は、チャネル領域とドレイン領域との界面からドレイン領域に形成されたゲッタリングサイトまでの距離を4μm、10μm、30μm、及び50μmに変更して測定したリーク電流を示す表である。使用した薄膜トランジスタにおいて、半導体層のチャネル領域の幅/長さは25μm/20μmであって、前記チャネル領域とソース領域の界面からソース領域に形成されるゲッタリングサイトまでの距離は約4μmである。一方、表4は、チャネル領域とソース領域との界面からソース領域に形成されたゲッタリングサイトまでの距離を4μm、10μm、30μm、及び50μmに変更して測定したリーク電流を示す表である。使用した薄膜トランジスタにおいて、半導体層のチャネル領域の幅/長さは25μm/20μmであって、前記チャネル領域とドレイン領域の界面からドレイン領域に形成されるゲッタリングサイトまでの距離は約4μmである。
【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
表3及び表4に示すように、チャネル領域とソース領域との界面からソース領域に形成されたゲッタリングサイトまでの距離が増加してもリーク電流には大きな変化が見られなかった。一方、チャネル領域とドレイン領域の界面からドレイン領域に形成されたゲッタリングサイトまでの距離が増加した場合はリーク電流が増加していることを分かる。したがって、リーク電流は、ソース領域に位置するゲッタリングサイトに比べて、前記ドレイン領域に位置するゲッタリングサイトによって影響を受けるため、追加的に形成される第2ゲッタリングサイトは前記ドレイン領域に形成した方がよいことがわかる。
【0065】
表5は、チャネル領域の界面からソース及びドレイン領域にそれぞれ形成されたゲッタリングサイトまでの距離を4μm、10μm、30μm、及び50μmに変更して測定したリーク電流を示す表である。使用した薄膜トランジスタにおいて、半導体層のチャネル領域の幅/長さは25μm/20μmである。
【0066】
【表5】

【0067】
表5に示すように、チャネル領域の界面からゲッタリングサイトまでの距離が10μmを超えた場合は10−12A/μmまたはそれ以上のリーク電流値を有し好ましくない。したがって、追加的に形成される第2ゲッタリングサイトは、チャネル領域の界面から10μmまたはそれ以下の距離に位置した方がよい。
【0068】
(第2実施例)
図3Aないし図3Dは、本発明の第2実施例に係るデュアルゲート薄膜トランジスタを形成する工程を示す平面図であり、図4Aないし図4Dは、図3Aないし図3Dの切断線1A−1A’による断面構造を示す断面図である。以下の実施例で特別に言及したこと以外については、上述した実施例(図2Aないし図2E)を参照する。
【0069】
図3A及び図4Aに示すように、バッファ層310が形成された基板300上に、図1Aないし図1Dの実施例と同様にSGS結晶化法に結晶化された多結晶シリコン層(図1Dの160)をパターニングして、半導体層320を形成する。この際、ボディ部320a及び320cと前記ボディ部320a及び320cを連結するための連結部320bを備えた「コ」状の構造を有するように半導体層320を形成する。図面では「コ」状の構造で示した(図3A)が、これに限らず「E」または「己」状の構造及びこれらの組み合わせからなるボディ部を備えることもできる。
【0070】
続いて、図3B及び図4Bに示すように、前記半導体層320上にゲート絶縁膜330を形成する。続いて、前記ゲート絶縁膜330上にゲート電極340を形成する。この際、前記ゲート電極340は前記半導体層320のボディ部320a及び320cと交差するように形成される。前記ゲート電極340が第1ボディ部320aとオーバーラップした部分321が第1ゲートとして作用し、第2ボディ部320cとオーバーラップした部分322が第2ゲートとして作用してデュアルゲートが得られる。
【0071】
また、前記半導体層320が「コ」形状ではない多数のボディ部を備えたジグザグ形状を有する場合には、それぞれのボディ部とオーバーラップした部分がゲートとして作用するため、マルチゲート薄膜トランジスタを形成することができる。
【0072】
続いて、前記ゲート電極340をマスクとして用いて前記半導体層320に導電性イオンを所定量注入する。前記ゲート電極340とオーバーラップした部分321及び322が複数個のチャネル領域となり、前記ボディ部320a及び320cの外側の領域、すなわち連結部320bと連結していない領域がソース/ドレイン領域323及び324となる。
【0073】
続いて、前記ゲート電極340を含む前記基板300全面にかけて層間絶縁膜350を形成する。
【0074】
続いて、図3C及び図4Cに示すように、前記層間絶縁膜350及び前記ゲート絶縁膜330をエッチングして前記半導体層320のソース/ドレイン領域323及び324の一部を露出させる第1ホール361及び前記第1ホール361と離隔されて位置し、前記チャネル領域321及び322との間の領域の一部を露出させる第2ホール362を形成する。前記第1ホール361は前記ソース/ドレイン領域323及び324と後続するソース/ドレイン電極を電気的に接続するためのコンタクトホールであり、前記第2ホール362はゲッタリング効率を向上させるために追加的に形成するホールである。
【0075】
続いて、前記第1ホール361及び前記第2ホール362を用いて、前記第1ホール361及び前記第2ホール362により露出された前記半導体層320の所定領域に、前記チャネル領域321及び322に残存する結晶化誘起金属をゲッタリングするためのゲッタリングサイト371及び372を形成する。前記第1ホール361により形成されるのは第1ゲッタリングサイト371であり、前記第2ホール362により形成されるのは第2ゲッタリングサイト372である。
【0076】
前記第2ゲッタリングサイト372は、前記ソース領域323よりも前記ドレイン領域324により近く位置することが好ましい。前記第2ゲッタリングサイト372を前記ソース領域323の近くに形成する場合、前記チャネル領域321及び322の界面から前記第2ゲッタリングサイト372の距離が増加してもリーク電流に大きな変化は見られない。しかし、前記第2ゲッタリングサイト372をドレイン領域324の近くに形成する場合、前記チャネル領域321及び322の界面から前記第2ゲッタリングサイト372の距離が増加するとリーク電流はますます増加する。したがって、リーク電流は前記ドレイン領域324に近く位置するゲッタリングサイトによって大きく影響を受けるので、前記第2ゲッタリングサイト372は前記ソース領域323よりも前記ドレイン領域324により近く位置した方がよい。
【0077】
また前記第2ゲッタリングサイト372は、前記チャネル領域321及び322の界面から0.5ないし10μmの距離に位置した方がよい。前記第2ゲッタリングサイト372が前記チャネル領域321及び322の界面から0.5μmまたはそれ以上離隔した距離に位置すると、前記第2ゲッタリングサイト372を形成するための前記第2ホール362形成時に前記ゲート電極340が損傷することを防止することができ、前記第2ゲッタリングサイト372が前記チャネル領域321及び322の界面から10μmまたはそれ以下に離隔された距離に位置すると、ゲッタリング効率をさらに向上させるため好ましい。
【0078】
ゲッタリング効率をさらに高めるため、前記第2ゲッタリングサイト372は、2つまたはそれ以上形成した方が好ましい。
【0079】
前記ゲッタリングサイト271及び272は、前記第1ホール361及び前記第2ホール362を用いて前記半導体層320に不純物を注入したり、プラズマを用いて格子損傷領域を形成したり、または前記結晶化誘起金属とは異なる金属またはこれらの金属の金属シリサイドを含む領域を形成するなどの方法を用いて形成することができる。
【0080】
続いて熱処理工程を行って前記チャネル領域321及び322に残留している前記結晶化誘起金属を前記第1ゲッタリングサイト371及び前記第2ゲッタリングサイト372へゲッタリングする。
【0081】
続いて、図3D及び図4Dに示すように、前記第1ホール361を介して前記ソース/ドレイン領域323及び324と接続されるソース/ドレイン電極381及び382を形成する。この際、前記ソース/ドレイン電極381及び382の形成時において、前記第2ホール362を介して前記半導体層320と接続する導電性パターン383を形成することができる。また、前記導電性パターン383は低抵抗器(resistance reducer)としても機能できる。
【0082】
表6は、第2ゲッタリングサイトが一つ形成された本発明のデュアルゲート薄膜トランジスタと第2ゲッタリングサイトを形成しない従来のデュアルゲート薄膜トランジスタのリーク電流を示す表である。本発明及び従来の前記デュアルゲート薄膜トランジスタで半導体層のチャネル領域の幅/長さは7μm/14μmである。また、本発明のデュアルゲート薄膜トランジスタにおいて、前記チャネル領域の界面から第2ゲッタリングサイトまでの距離は4μmである。
【0083】
【表6】

【0084】
表6に示すように、デュアルゲート薄膜トランジスタにおいても、第2ゲッタリングサイトが追加された場合、リーク電流が減少することを確認することができる。
【0085】
図5は、本発明の1実施例に係る薄膜トランジスタを含む有機発光ダイオード表示装置の断面図である。
【0086】
図5に示すように、図2Aないし図2Eで説明した方法に従って製造された薄膜トランジスタを含む前記基板100全面に絶縁膜510を形成する。前記絶縁膜510は無機膜、有機膜、あるいはそれらの積層膜で形成される。無機膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはシリコンオンガラス(SOG)からなる群から選択されたいずれか一つ以上から形成され、有機膜はポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン系樹脂(benzocyclobutane series resin)またはアクリレート(acrylate)からなる群から選択されたいずれか一つで形成することができる。
【0087】
前記絶縁膜510をエッチングして前記ソースまたはドレイン電極292及び293を露出するビアホールを形成する。前記ビアホールを介して、前記ソースまたはドレイン電極292及び293のいずれか一つと接続される第1電極520を形成する。前記第1電極520はアノードまたはカソードで形成することができる。前記第1電極520がアノードの場合、前記アノードはインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、またはインジウムスズ亜鉛酸化物(ITZO)からなる群から選択されるいずれか一つからなる透明導電膜で形成することができ、カソードの場合、前記カソードはMg、Ca、Al、Ag、Baまたはこれらの合金からなる群から選択されるいずれか一つを用いて形成することができる。
【0088】
続いて、前記第1電極520上に、前記第1電極520の表面一部を露出する開口部を有する画素定義膜530を形成し、露出された第1電極520上に発光層(EML)を含む有機膜層540を形成する。前記有機膜層540には正孔注入層(HIL;Hole Injection Layer)、正孔輸送層(HTL;Hole Transport Layer)、正孔障壁層(HBL;Hole Blocking Layer)、電子障壁層(EBL;Electron Blocking Layer)、電子注入層(EIL;Electron Injection Layer)及び電子輸送層(ETL;Electron Transport Layer)からなる群から選択された一つまたはそれ以上の層をさらに含むことができる。続いて、前記有機膜層540上に第2電極550を形成する。これにより、本発明の実施例に係る薄膜トランジスタを含む有機発光ダイオード表示装置が完成する。
【0089】
したがって、本発明では前記ソース/ドレイン電極と半導体層のソース/ドレイン領域を連結するための第1ホールを用いて形成される第1ゲッタリングサイト以外に、前記第1ゲッタリングサイトと離隔されて位置する第2ゲッタリングサイトをさらに形成し、前記第1ゲッタリングサイト及び前記第2ゲッタリングサイトを用いて半導体層のチャネル領域に残存する結晶化誘起金属を除去することができる。また、チャネル領域とゲッタリングサイトとの距離を減少させることで、ゲゲッタリング効果を増大させることができ、さらに、ゲッタリング時の熱処理時間も短縮でき、高温熱処理による基板の損傷も最小化することができる。
【0090】
本発明は、結晶化誘起金属から結晶化された多結晶シリコン層からなる半導体を含む薄膜トランジスタ、また前記薄膜トランジスタの製造法、及び前記薄膜トランジスタを有する有機発光ダイオード表示装置に関する。前記薄膜トランジスタにおいては、結晶化誘起金属は半導体層のチャネル領域から効率的にゲッタリングでき、リーク電流特性を含む電気的特性を改善することができる。
【0091】
本発明は、本明細書にいくつかの実施例を用いて記載したが、後述する請求項、及びその等価なものに定義された本発明の概念または背景により、種々の変更及び修飾が可能であることは、当業者に理解されうるものである。
【符号の説明】
【0092】
100 基板、
110 バッファ層、
120 非晶質シリコン層、
130 キャッピング層、
140 結晶化誘起金属層、
140a、140b 結晶化誘起金属、
150 熱処理工程、
160 多結晶シリコン層(半導体層)、
210 半導体層、
211 ソース領域、
212 チャネル領域、
213 ドレイン領域、
220 ゲート絶縁膜、
230 ゲート電極、
240 導電性イオン、
250 層間絶縁膜、
261 第1ホール、
262 第2ホール、
271 第1ゲッタリングサイト、
272 第2ゲッタリングサイト、
280 金属層、
290 熱酸化防止膜、
291 導電性パターン、
292 ソース電極、
293 ドレイン電極、
300 基板、
310 バッファ層、
320 半導体層、
320a、320c 半導体のボディ部、
320b 320a及び320cの半導体ボディ部の連結部、
321 第1ゲート、
322 第2ゲート、
323 ソース領域、
324 ドレイン領域、
330 ゲート絶縁膜、
340 ゲート電極、
350 層間絶縁膜、
361 第1ホール、
362 第2ホール、
371 第1ゲッタリングサイト、
372 第2ゲッタリングサイト、
381 ソース電極、
382 ドレイン電極、
383 導電性パターン、
510 絶縁膜、
520 第1電極、
530 画素定義膜、
540 有機膜層、
550 第2電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置し、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層からなり、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層と、
前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極と、を含み、
前記半導体層は前記半導体層の両端部に位置する第1ゲッタリングサイト及び前記第1ゲッタリングサイトと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ゲッタリングサイトを含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記第2ゲッタリングサイトは、前記チャネル領域と前記ドレイン領域との界面から0.5ないし10μmの距離に位置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記第2ゲッタリングサイトは、二つ以上存在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜内には、前記第1ゲッタリングサイトを露出する第1ホール及び前記第2ゲッタリングサイトを露出する第2ホールが位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記ソース/ドレイン電極は、前記第1ホールを介して前記半導体層のソース/ドレイン領域と接続されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記第1ゲッタリングサイト及び前記第2ゲッタリングサイトは、ゲッタリングのための不純物または格子損傷の領域を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記金属または前記金属シリサイドは、前記半導体層内における拡散係数が前記結晶化誘起金属の拡散係数の1/100以下であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記金属または前記金属シリサイドは、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pt、Y、La、Ce、Pr、Nd、Dy、Ho、これらの合金、またはこれらの金属シリサイドからなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
基板を提供する工程と、
前記基板上に結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層をパターニングしてソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をパターニングして前記半導体層の所定領域を露出させる第1ホール及び前記第1ホールと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ホールを形成する工程と、
前記第1ホール及び前記第2ホールによって露出された前記半導体層の所定領域にゲッタリングサイトを形成する工程と、
前記ゲッタリングサイトを用いて前記半導体層のチャネル領域に存在する前記結晶化誘起金属をゲッタリングする工程と、
前記第1ホールを介して前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記第2ホールを形成する工程において、前記第2ホールを、前記チャネル領域と前記ドレイン領域との界面から0.5ないし10μmの距離に形成することを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記第1ホール及び前記第2ホールにより露出された前記半導体層の所定領域にゲッタリングサイトを形成し、前記ゲッタリングサイトを用いて前記半導体層のチャネル領域に存在する前記結晶化誘起金属をゲッタリングする際に、
前記第1ホール及び前記第2ホールが形成された前記層間絶縁膜上に前記半導体層内における拡散係数が前記結晶化誘起金属よりも小さい金属または金属シリサイドを含む金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層を形成して熱処理することを特徴とする請求項9または請求項10のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層は、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pt、Y、La、Ce、Pr、Nd、Dy、Ho、これらの合金、及びこれらの金属シリサイドからなる群から選択された一つであることを特徴とする請求項11に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層を形成した後に、前記金属層、金属シリサイド層、またはこれらの二重層上に熱酸化防止膜を形成することを特徴とする請求項11または12に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記多結晶シリコン層は、SGS結晶化法を用いて結晶化されることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
基板と、
前記基板上に位置し、結晶化誘起金属を用いて結晶化された多結晶シリコン層からなり、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域を含む半導体層と、
前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層のソース/ドレイン領域と電気的に接続されるソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極のひとつと電気的に接続される第1電極と、
前記第1電極上に位置し、発光層を含む有機膜層と、
前記有機膜層上に位置する第2電極と、を含み、
前記半導体層は前記半導体層の両端部に位置する第1ゲッタリングサイト及び前記第1ゲッタリングサイトと離隔されて前記半導体層のドレイン領域のみに位置する第2ゲッタリングサイトを含むことを特徴とする有機発光ダイオード表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48267(P2013−48267A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227929(P2012−227929)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2009−166023(P2009−166023)の分割
【原出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】