薄膜半導体材料を用いる薄膜トランジスタ
【課題】 アクティブチャンネルとして、酸素と、窒素と、亜鉛、錫、ガリウム、カドミウム、及びインジウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有するTFTを提供する。
【解決手段】 半導体材料は、底部ゲートのTFT、最上部ゲートのTFT、他のタイプのTFTに用いることができる。TFTは、エッチングによってパターン形成されて、チャンネルと金属電極の双方を作成させることができる。次に、エッチング停止層として半導体材料を用いたドライエッチングによってソース・ドレイン電極を画成することができる。アクティブ層のキャリヤ濃度、移動度、TFTの他の層との接合部は、あらかじめ決められた値に調整可能である。この調整は、窒素含有ガスと酸素含有ガスの流量比を変えること、堆積された半導体膜をアニーリングし更に/又はプラズマ処理すること、或いはアルミニウムのドーピング濃度を変えることによって達成することができる。
【解決手段】 半導体材料は、底部ゲートのTFT、最上部ゲートのTFT、他のタイプのTFTに用いることができる。TFTは、エッチングによってパターン形成されて、チャンネルと金属電極の双方を作成させることができる。次に、エッチング停止層として半導体材料を用いたドライエッチングによってソース・ドレイン電極を画成することができる。アクティブ層のキャリヤ濃度、移動度、TFTの他の層との接合部は、あらかじめ決められた値に調整可能である。この調整は、窒素含有ガスと酸素含有ガスの流量比を変えること、堆積された半導体膜をアニーリングし更に/又はプラズマ処理すること、或いはアルミニウムのドーピング濃度を変えることによって達成することができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的には、酸素と、窒素と、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、及び錫からなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有する電界効果トランジスタ(FET)及び薄膜トランジスタ(TFT)に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]TFTアレイにおける目下の関心は、これらのデバイスがコンピュータやテレビのフラットパネルにしばしば使われる種類の液晶アクティブマトリクスディスプレイ(LCD)に用いることができることから特に高いものがある。LCDは、また、バックライト用の光発光ダイオード(LED)を含む場合がある。更に、有機光発光ダイオード(OLED)は、アクティブマトリクスディスプレイに用いられてきており、これらのOLEDは、ディスプレイの効果を示すためにTFTを必要とする。
【0003】
[0003]アモルファスシリコンで作られるTFTは、フラットパネルディスプレイ産業の重要な構成要素となってきた。残念ながら、アモルファスシリコンは、低移動度のような制約を有する。OLEDに必要とされる移動度は、アモルファスシリコンで達成されるものより少なくとも10倍高い。アモルファスシリコンの堆積温度は高い場合があり、これがVthシフトを生じさせる。高電流がアモルファスシリコンには必要である場合があり、これはOLEDにおける安定度の問題に帰着する。他方、ポリシリコンは、アモルファスシリコンより高い移動度を有する。ポリシリコンは結晶性であり、これが均一でない堆積に帰着する。アモルファスシリコンの制約により、OLEDの発展は難しかった。
【0004】
[0004]近年、酸化亜鉛がアクティブチャンネル層として用いられる透明TFTが作り出されてきた。酸化亜鉛は、ガラスやプラスチックのような様々な基板上で相対的に低い堆積温度で結晶材料として成長し得る化合物半導体である。酸化亜鉛ベースのTFTは、可視光にさらしても劣化しないことがある。それ故、シリコンベースのTFTに必要なシールド層が存在しない。シールド層がなくてもTFTは透明のままである。酸化亜鉛は、アモルファスシリコンより大きい移動度を持つが、それでも低移動度である。
【0005】
[0005]それ故、当該技術において移動度が大きい透明アクティブチャンネルを有するTFTが求められている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明は、一般的には、酸素と、窒素と、アクティブチャンネルとして亜鉛、錫、ガリウム、カドミウム、及びインジウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有するTFTに関する。半導体材料は、底部ゲートのTFT、最上部ゲートのTFT、他のタイプのTFTに用いることができる。TFTは、エッチングによってパターン形成されて、チャンネルと金属電極の双方を作成させることができる。次に、エッチング停止層として半導体材料を用いたドライエッチングによってソース・ドレイン電極を画成することができる。アクティブ層のキャリヤ濃度、移動度、TFTの他の層との接合部は、あらかじめ決められた値に調整可能である。この調整は、窒素含有ガスと酸素含有ガスの流量比を変えること、堆積された半導体膜をアニーリングし更に/又はプラズマ処理すること、或いはアルミニウムのドーピング濃度を変えることによって達成することができる。
【0007】
[0007]一実施形態において、TFTが開示される。トランジスタは、酸素と、窒素と、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、ガリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体層を備えている。他の実施形態において、TFT製造法が開示される。この方法は、基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、半導体層が、酸素と、窒素と、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、ガリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップを含む。
【0008】
[0008]他の実施形態において、TFT製造法が開示される。この方法は、基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、該半導体層が、酸素と、窒素と、充填s軌道と充填d軌道を有する元素、充填f軌道を有する元素、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップを含む。この方法は、また、アクティブチャンネル層の上にソース・ドレイン電極層を堆積させるステップと、ソース・ドレイン電極層とアクティブチャンネル層を第一エッチングして、アクティブチャンネルを作成するステップと、ソース・ドレイン電極層を第二エッチングして、ソース・ドレイン電極を画成するステップとを含む。
【0009】
[0009]本発明の上記特徴が詳細に理解され得るように、上で簡単にまとめた、本発明のより具体的な説明が、実施形態によって参照することができ、その一部は添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているので、本発明の範囲を制限するものと考えられるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を加えてもよいことは留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるPVDチャンバの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、酸素ガスフローの関数として亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2B】図2Bは、酸素ガスフローの関数として亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2C】図2Cは、酸素ガスフローの関数として亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2D】図2Dは、酸素ガスフローの関数として酸化亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2E】図2Eは、酸素ガスフローの関数として酸化亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3D】図3Dは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3E】図3Eは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3F】図3Fは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4C】図4Cは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4D】図4Dは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4E】図4Eは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4F】図4Fは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4G】図4Gは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態によるエッチング停止TFTの概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による最上部ゲートTFTの概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態によるアクティブマトリクスLCDの概略図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態によるアクティブマトリクスOLEDの概略図である。
【図9A】図9Aは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に関するVthを示す図である。
【図9B】図9Bは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に関するVthを示す図である。
【図9C】図9Cは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に関するVthを示す図である。
【図10A】図10Aは、共通の長さと幅を持つアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す図である。
【図10B】図10Bは、共通の長さと幅を持つアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す図である。
【図10C】図10Cは、共通の長さと幅を持つアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す図である。
【0011】
[0020]理解を容易にするために、図面に共通な同じ要素を示すのに可能なところでは同じ符号が用いられている。一実施形態において開示される要素は、個々に引用することなく他の実施形態においても便宜的に用いられてもよいことが意図されている。
【詳細な説明】
【0012】
[0021]本発明は、一般的には、酸素と、窒素と、アクティブチャンネルとして亜鉛、錫、ガリウム、カドミウム、及びインジウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有するTFTに関する。半導体材料は、底部ゲートのTFT、最上部ゲートのTFT、他のタイプのTFTに用いることができる。TFTは、エッチングによってパターン形成されて、チャンネルと金属電極の双方を作成させることができる。次に、エッチング停止層として半導体材料を用いたドライエッチングによってソース・ドレイン電極を画成することができる。アクティブ層のキャリヤ濃度、移動度、TFTの他の層との接合部は、あらかじめ決められた値に調整可能である。この調整は、窒素含有ガスと酸素含有ガスの流量比を変えること、堆積された半導体膜をアニーリングし更に/又はプラズマ処理すること、或いはアルミニウムのドーピング濃度を変えることによって達成することができる。
【0013】
[0022]窒素と、酸素と、亜鉛、インジウム、ガリウム、カドミウム、及び錫より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体膜は、反応性スパッタリングによって堆積させることができる。反応性スパッタリング法は、例示的に説明され、カリフォルニア州、サンタクララのAppliedMterials社傘下のAKT America社から入手可能な4300PVDチャンバのような大面積基板を処理するためのPVDチャンバにおいて実施することができる。しかしながら、この方法に従って製造される半導体膜が膜構造と組成によって決定することができることから、反応性スパッタリング法が、大面積円形基板を処理するように構成されたシステムや、ロール・ツー・ロールプロセスプラットフォームを含む、他の製造業者によって製造されるシステムを含む、他のシステム構成で用いられてもよいことは理解されるべきである。本発明がPVDによって堆積されるように以下に例示的に説明されるが、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、或いはスピン・オンプロセスが本発明の膜を堆積させるのに用いられてもよいことは理解されるべきである。
【0014】
[0023]図1は、本発明の一実施形態によるPVDチャンバ100の断面概略図である。チャンバ100は、真空ポンプ114で排気されてもよい。チャンバ100内の基板102は、ターゲット104の反対に配置されてもよい。基板は、チャンバ100内のサセプタ上に配置されてもよい。サセプタ106は、アクチュエータ112によって矢印“A”で示されるように上下させることができる。サセプタ106は、処理位置に基板102を持ち上げるように上昇させることができ、基板102をチャンバ100から取り出すことができるように降下させることができる。リフトピン108は、サセプタ106が降下した位置にある時にサセプタ106の上に基板102を上昇させる。接地用ストラップ110は、処理中サセプタを接地することができる。処理中、サセプタ106を上昇させて、均一な堆積を援助してもよい。
【0015】
[0024]ターゲット104は、一つ以上のターゲット104を含むことができる。一実施形態において、ターゲット104は、大面積をスパッタリングターゲット104を含むことができる。他の実施形態において、ターゲット104は複数のタイルを含むことができる。また他の実施形態において、ターゲット104は、複数のターゲットストリップを含むことができる。なお他の実施形態において、ターゲット104は、一つ以上の円筒状回転するターゲットを含むことができる。ターゲット104は、結合層(図示せず)によってバッキングプレート116に結合することができる。一つ以上のマグネトロン118がバッキングプレート116の後ろに配置することができる。マグネトロン118は、直線的移動或いは2次元通路においてバッキングプレート全体に走査することができる。チャンバの壁は、暗い空間シールド120とチャンバシールド122で堆積からシールドすることができる。
【0016】
[0025]基板102の全体に均一なスパッタリング堆積を援助するために、アノード124は、ターゲット104と基板102の間に置くことができる。一実施形態において、アノード124は、アーク噴射されたアルミニウムで被覆されるビードをブラストされたステンレス鋼であってもよい。一実施形態において、アノード124の一端は、ブラケット130によってチャンバ壁に取り付けることができる。アノード124は、ターゲット104に相対して電荷を与えるので、荷電されたイオンは、典型的には接地電位にあるチャンバ壁にというよりはむしろそこに引きつけられる。ターゲット104と基板102の間にアノード124を設けることによって、プラズマはより均一となり、堆積を援助することができる。剥離を低減するために、冷却液を一つ以上のアノード124を通して与えることができる。アノード124の拡張或いは収縮の量を低減することによって、アノード124から材料の剥離を低減することができる。より小さな基板、つまりより小さな処理チャンバに対しては、処理空間に広がるアノード124は、チャンバ壁が接地への通路と均一なプラズマ分配を与えるのに充分であり得るので必要ない。
【0017】
[0026]反応性スパッタリングに対して、チャンバ100に反応性ガスを供給することは有益である。一つ以上のガス導入管126もまたターゲット104と基板102の間でチャンバ100全体の距離に広がっている。より小さい基板、つまりより小さなチャンバに対して、処理空間にわたるガス導入管126は、均一なガス分配が従来のガス導入手段によって可能なので不要の場合がある。ガス導入管126は、ガスパネル132からスパッタリングガスを導入することができる。ガス導入管126は、一つ以上の連結によりアノード124と連結することができる。連結部128は、ガス導入管126に伝導的に冷却させるように熱伝導材料でできていてもよい。更に、連結部128は、同様に導電性があってもよいので、ガス導入管126は接地され、アノードとして機能する。
【0018】
[0027]反応性スパッタリングプロセスは、スパッタリングチャンバ内で基板に対して金属のスパッタリングターゲットを配置するステップを含む場合がある。金属のスパッタリングターゲットは、実質的に、亜鉛、ガリウム、インジウム、錫、及びカドミウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素を含んでもよい。一実施形態において、スパッタリングターゲットは、充填s軌道と充填d軌道を有する一つ以上の元素を含んでいてもよい。他の実施形態において、スパッタリングターゲットは充填f軌道を有する一つ以上の元素を含んでいてもよい。他の実施形態において、スパッタリングターゲットは、一つ以上の二価の元素を含んでいてもよい。他の実施形態において、スパッタリングターゲットは、一つ以上の三価の元素を含んでいてもよい。なお他の実施形態において、スパッタリングターゲットは、一つ以上の四価の元素を含んでいてもよい。
【0019】
[0028]スパッタリングターゲットは、また、ドーパントを含んでいてもよい。用いることができる適切なドーパントとしては、Al、Sn、Ga、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、In、Ni、Mn、Cr、V、Mg、SixNy、AlxOy、及びSiCが挙げられる。一実施形態において、ドーパントはアルミニウムを含む。他の実施形態において、ドーパントは錫を含む。他方、基板は、プラスチック、紙、ポリマー、ガラス、ステンレス鋼、及びこれらの組み合わせを含んでいてもよい。基板がプラスチックの場合、反応性スパッタリングは、摂氏約180度未満の温度で行うことができる。堆積させることができる半導体膜の例としては、ZnOxNy:Al、ZnOxNy:Sn、SnOxNy:Al、InOxNy:Al、InOxNy:Sn、CdOxNy:Al、CdOxNy:Sn、GaOxNy:Al、GaOxNy:Sn、ZnSnOxNy:Al、ZnInOxNy:Al、ZnInOxNy:Sn、ZnCdOxNy:Al、ZnCdOxNy:Sn、ZnGaOxNy:Al、ZnGaOxNy:Sn、SnInOxNy:Al、SnCdOxNy:Al、SnGaOxNy:Al、InCdOxNy:Al、InCdOxNy:Sn、InGaOxNy:Al、InGaOxNy:Sn、CdGaOxNy:Al、CdGaOxNy:Sn、ZnSnInOxNy:Al、ZnSnCdOxNy:Al、ZnSnGaOxNy:Al、ZnInCdOxNy:Al、ZnInCdOxNy:Sn、ZnInGaOxNy:Al、ZnInGaOxNy:Sn、ZnCdGaOxNy:Al、ZnCdGaOxNy:Sn、SnInCdOxNy:Al、SnInGaOxNy:Al、SnCdGaOxNy:Al、InCdGaOxNy:Al、InCdGaOxNy:Sn、ZnSnInCdOxNy:Al、ZnSnInGaOxNy:Al、ZnInCdGaOxNy:Al、ZnInCdGaOxNy:Sn、及びSnInCdGaOxNy:Alが挙げられる。
【0020】
[0029]スパッタリングプロセス中、金属ターゲットを反応性スパッタするためのチャンバにアルゴン、窒素含有ガス、酸素含有ガスを供給してもよい。B2H6、CO2、CO、CH4、又はこれらの組み合わせのような追加の添加剤もまたスパッタリング中にチャンバに供給してもよい。一実施形態において、窒素含有ガスはN2を含む。他の実施形態において、窒素含有ガスは、N2O、NH3、又はこれらの組み合わせを含む。一実施形態において、酸素含有ガスは、O2を含む。他の実施形態において、酸素含有ガスは、N2Oを含む。窒素含有ガスの窒素と酸素含有ガスの酸素は、スパッタリングターゲットからの金属と反応して、基板上に金属、酸素、窒素を含み、場合によりドーパントを含んでもよい半導体材料を形成する。一実施形態において、窒素含有ガスと酸素含有ガスは、別々のガスである。他の実施形態において、窒素含有ガスと酸素含有ガスは、同一のガスからなる。
【0021】
[0030]堆積される膜は半導体膜である。堆積させることができる半導体膜の例としては、ZnOxNy、SnOxNy、InOxNy、CdOxNy、GaOxNy、ZnSnOxNy、ZnInOxNy、ZnCdOxNy、ZnGaOxNy、SnInOxNy、SnCdOxNy、SnGaOxNy、InCdOxNy、InGaOxNy、CdGaOxNy、ZnSnInOxNy、ZnSnCdOxNy、ZnSnGaOxNy、ZnInCdOxNy、ZnInGaOxNy、ZnCdGaOxNy、SnInCdOxNy、SnInGaOxNy、SnCdGaOxNy、InCdGaOxNy、ZnSnInCdOxNy、ZnSnInGaOxNy、ZnInCdGaOxNy、及びSnInCdGaOxNyが挙げられる。上に述べた半導体膜の各々はドーパントによってドープされていてもよい。
【0022】
[0031]半導体膜は、酸窒化物化合物を含んでいてもよい。一実施形態において、半導体膜は、金属酸窒化物化合物だけでなく、金属窒化物化合物のいずれをも含む。他の実施形態において、半導体膜は、金属酸窒化物化合物と、金属窒化物化合物と、金属酸化物化合物を含んでいてもよい。なお他の実施形態において、半導体膜は、金属酸窒化物化合物と金属酸化物化合物を含んでもよい。他の実施形態において、半導体膜は、金属窒化物化合物と金属酸化物化合物を含んでいてもよい。
【0023】
[0032]窒素含有ガスと酸素含有ガスとの比は、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に影響することになる。表Iは、アルゴンと窒素ガスの雰囲気中でスパッタされる錫のターゲットに対する移動度、抵抗率、キャリヤ濃度に関する窒素流量の影響を示すものである。一般に、表Iは、窒素の流量が増加すると移動度も増加することを示している。アルゴンと酸素の流量は同じままでもよい。表Iにおいて、アルゴンの流量が60sccmで、酸素の流量が5sccmである。より高い基板温度もまた移動度を増加させる。キャリヤ濃度は、移動度と弱い相関がある。堆積膜は、電子のキャリヤとして機能することができるn型半導体材料であり、つまりキャリヤ濃度が負の数値として示される。
【0024】
【表1】
【0025】
[0033]酸素含有ガスは、また、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に影響する。表IIは、アルゴン、窒素ガス、酸素ガスの雰囲気中でスパッタされる錫のターゲットに対する移動度、抵抗率、キャリヤ濃度に関する酸素流量の影響を示している。アルゴン流量は同一のままであってもよい。表IIにおいて、アルゴン流量は60sccmである。一般に、表IIは、高窒素ガスと酸素ガスの比に対して、移動度はアモルファスシリコン対する移動度より高くなることを示している。更に、窒素と酸素との比が高いほど、キャリヤ濃度は低い。200sccmの窒素流量で、移動度は酸素流量が増加するにつれて増加するが、より高い酸素流量では減少する。一実施形態において、移動度は、摂氏150度の温度で約4cm2/V-sと約10cm2/V-sの間である場合がある。移動度の増加は、キャリヤの濃度と相関しない。従って、移動度の改善は、キャリヤの分散が少ない結果かもしれない。移動度は、窒素の添加が用いられない場合には、非常に低いことがあり得る。このようなシナリオで、キャリヤ濃度は、酸素ガス流が増加するにつれて著しく低下する。錫ターゲットに対する基板温度が高いほど移動度が良好になる。一実施形態において、圧力は約5ミリトールと約20ミリトールの間であってもよい。
【0026】
【表2】
【0027】
[0034]ドーパントの量もまた、堆積膜の移動度に影響する場合がある。しかしながら、移動度は、ターゲットがドープされているか否かで窒素ガスフローの増加によってなお通常は増加する。表IIIは、移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に対するドーパントの影響を示すものである。ドーパントは、重量パーセントで示される。アルゴンの流量は、各堆積膜に対して同一であってもよい。表IIIにおいて、アルゴンの流量は120sccmである。ドーパントを用いる時のキャリヤ濃度は、ドーパントが用いられないシナリオにおけるより低くなる。従って、ドーパントは、キャリヤ濃度を調整するのに用いることができる。
【0028】
【表3】
【0029】
[0035]表IVは、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に関する酸素ガスフローの影響を示すものである。一般に、一定の窒素ガスフロー下に膜の移動度は酸素フローが増加するにつれて増加するが、更に酸素流量の増加で低下する。アルゴン流量は、各堆積膜に対して同一であってもよい。表IVにおいて、アルゴン流量は120sccmである。一実施形態において、窒素含有ガスと酸素含有ガスとの比が約10:1未満であると膜の移動度が低下する。移動度の増加は、酸素の流量が増加するのにつれてキャリヤ濃度の増加に関係しない。ドーパントが用いられる場合、移動度とキャリヤ濃度は低下する場合がある。従って、キャリヤ濃度と移動度は、存在するドーパントの量で調整することができる。
【0030】
【表4】
【0031】
[0036]表Vは、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に関して加えられる電力密度の影響を示すものである。一般に、電力密度は移動度に大きく影響しないが、電力密度が高いほどキャリヤ濃度と抵抗率は高くなる。一実施形態において、スパッタリングターゲットに加えられる電力密度は、約0.3W/cm2と約1.0W/cm2の間にあってもよい。
【0032】
【表5】
【0033】
[0037]表VIは、半導体膜を堆積させるのに酸素含有ガスとしてN2Oを用いることの影響を示すものである。N2Oガスは、半導体膜の移動度を上昇させ且つかなり低いキャリヤ濃度を得るのに酸素含有ガスとして有効である。
【0034】
【表6】
【0035】
[0038]表VIIは、錫と、酸素と、窒素を含む半導体膜の化学分析を示し、X線光電子分光計(XPS)を用いて膜に対する酸素含有ガスの影響を示すものである。膜1は、錫ターゲットを360秒間スパッタすることによって堆積させ、400WのDCバイアスをスパッタリングターゲットに加えた。アルゴンを60sccmの流量で処理チャンバに導入し、窒素を200sccmの流量で導入し、酸素を5sccmの流量で導入した。堆積は、摂氏250度の温度で行った。膜1は、膜1の炭素含量が22.5原子パーセント、窒素含量が19.4原子パーセント、酸素含量が29.4原子パーセント、フッ素含量が0.7原子パーセント、錫含量が28.1原子パーセントを有した。全部ではないが炭素のほとんどが外来の炭素(即ち、大気にさらされるいかなる試料の表面でも吸着される炭素化合物)から生じることができた。膜2は、錫ターゲットを360秒間スパッタすることによって堆積され、400WのDCバイアスをスパッタリングターゲットに加えた。アルゴンを60sccmの流量で処理チャンバに導入し、窒素を200sccmの流量で導入し、酸素を20sccmの流量で導入した。堆積は摂氏50度の温度で行った。膜2は、17.3原子パーセントの炭素含量、4.5原子パーセントの窒素含量、49.9原子パーセントの酸素含量、0.6パーセントのフッ素含量、27.7原子パーセントの錫含量を有した。全部ではないが炭素のほとんどが外来の炭素(即ち、大気にさらされるいかなる試料の表面でも吸着される炭素化合物)から生じることができた。表VIIに示されるように、酸素流量(つまり、酸素と窒素との比)が増加するのにつれて、酸窒化物含量が増加するだけでなく、酸化錫の含量も増加する。しかしながら、窒化錫含量と酸窒化シリコン含量が低減される。表VIIにおいて、Rは酸素或いは窒素に等しい。
【0036】
【表7】
【0037】
[0039]表VIIIは、スパッタリングによって堆積させたいくつかの半導体膜に対する結果を示している。半導体膜は、亜鉛と、錫と、酸素と、窒素を含んだ。半導体膜は、70原子パーセントの亜鉛含量と30原子パーセントの錫含量を有するスパッタリングターゲットからスパッタ堆積させた。堆積は、摂氏250度の温度で行い、スパッタリングターゲットに400Wの電力を加えた。堆積は、60sccmのアルゴン流量と20sccmの酸素流量下で360秒間行った。データは、窒素流量(つまり、窒素ガスと酸素ガスとの比)が増加するのにつれて半導体膜の移動度も増加することを示している。
【0038】
【表8】
【0039】
亜鉛、酸素、窒素の化合物
[0040]亜鉛と、酸素と、窒素を含む半導体膜を形成するための所要の酸素流量を決定するために、酸素の量は、酸素の量が亜鉛を完全に酸化して酸化亜鉛を形成するのに充分でないように選ばれることになる。供給される酸素含有ガスの量が高すぎる場合には、膜が酸化されすぎることになることから膜の移動度は充分にならない場合がある。亜鉛の酸化量は、透過率に影響することがある。例えば、完全に酸化された亜鉛は、約80パーセントより大きい透過率を有する場合がある。所要の酸素フローを決定する一つのやり方は、窒素ガスを用いることなくアルゴンと酸素ガスを用いて反応性スパッタリングプロセスを行うことである。実験は、異なる酸素流量で行うことができ、可視波長における光透過率を測定することができる。所要の酸素流は、膜が達成することができる最大透過率を持つ直前であってもよい。表IXは、種々の酸素流量で反応的にスパッタ堆積された酸化亜鉛に対する光透過率を示している。一実施形態において、最大の好ましい透過率は、80パーセントである。他の実施形態において、最大の透過率は、ガラスの吸収或いは光の干渉が含まれる場合には、80パーセントにならないことがある。実験は、異なるDCターゲット電力、異なる基板温度、或いはN2Oのような異なる酸素含有ガスを用いる場合さえも有効である。
【0040】
【表9】
【0041】
[0041]所要の酸素ガスフローを決定する他の方法は、上で述べたように窒素をまったく含まないか或いは少量の窒素を与える条件下で酸化亜鉛を形成するように反応性スパッタリングを行い、次にシート抵抗を測定することである。約100オーム/平方と1.0×107オーム/平方の間のシート抵抗を生じる酸素流量が所要の酸素流量であってもよい。
【0042】
[0042]所要の酸素流量を決定するなお他のやり方は、XRD膜構造測定を用いることである。図2A-図2Eは、酸素ガスフローの関数として亜鉛と酸化亜鉛のピークの形成を示す膜のXRDグラフである。図2A-図2Eに示される膜の各々は、600sccm/m3と1,000Wのアルゴン流量と種々の酸素流量において堆積させた。
【0043】
[0043]図2Aは、酸素ガスがスパッタリング中に供給されない場合に形成される膜のXRDグラフを示す図である。種々の強度を持ついくつかの亜鉛のピークが得られた。亜鉛(002)のピークは、約625カウントの強度で約35.5と37の間の2シータ(即ち、入射X線と回折計の検出器の間の角度)に対して示されている。亜鉛(100)のピークは、約450カウントの強度で約38と40の間で示されている。亜鉛(101)のピークは、約1050カウントの強度で約42.5と44の間で示されている。亜鉛(102)のピークは、約325カウントの強度で約53と55の間で示されている。亜鉛(103)のピークは、約300の強度で約69.5と70の間で示されている。亜鉛(110)のピークは、約275カウントの強度で約70と71の間で示されている。亜鉛(002):亜鉛(100):亜鉛(101):亜鉛(102):亜鉛(103):亜鉛(110)に対するピークの高さの比は、約2.27:1.64:3.82:1.182:1.091:1である。すべてのピークは、相同定に対する回折データ(ICDD)PDF2データベース(2004改)に関する国際センターを用いてマークされる。
【0044】
[0044]酸素ガスが50sccm/m3の流量で供給される場合、亜鉛のピークは、図2Bに示されるように強度が低下する。亜鉛(002)のピークは、約500カウントに低下する。亜鉛(100)のピークは、約375カウントに低下する。亜鉛(101)のピークは、約750カウントに低下する。亜鉛(102)のピークは、約250カウントに低下する。亜鉛(110)のピークは、約225カウントに低下し、亜鉛(103)のピークは存在しない。亜鉛(002):亜鉛(100):亜鉛(101):亜鉛(102):亜鉛(110)に対するピークの高さの比は、約2.22:1.67:3.33:1.11:1である。
【0045】
[0045]酸素ガスが100sccm/m3の流量で供給される場合、図2Cに示されるように約375カウントに低下した亜鉛(101)を除いて亜鉛のピークのすべてが消えている。酸素ガスが150sccm/m3の流量で供給される場合、亜鉛のピークは、完全になくなるが、酸化亜鉛(002)のピークが図2Dに示されるように約950カウントの強度で約33.5と35の間に現れる。酸素流量が200sccm/m3に増加される場合、酸化亜鉛(002)のピークは、図2Eに示されるように強度が約1,000カウントに増加する。
【0046】
[0046]XRDデータによれば、供給される酸素の量は、強い酸化亜鉛のピークが150sccm/m3に現れることから、約150sccm/m3未満であるべきである。酸素の流量がチャンバの大きさに比例することは理解されるべきである。従って、チャンバの大きさが大きくなるにつれて、酸素の流量もまた増加することになる。同様に、チャンバの大きさが小さくなるにつれて、酸素流量が減少することになる。
【0047】
[0047]所要の窒素の流量を決定するために、XRDの膜構造測定が用いることができる。図3A-図3Fは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量に従って半導体膜の形成を示すXRDグラフである。図3A-図3Fに示される膜の各々は、600sccm/m3のアルゴン流量、2000W、100sccm/m3の酸素流量、種々の窒素流量で堆積させた。
【0048】
[0048]図3Aは、窒素無しで堆積させた薄膜のXRDグラフを示す図である。グラフは、約575カウントの強度を有する酸化亜鉛(101)と亜鉛(002)の約35と約37の間のピーク、380カウントの強度を有する亜鉛(100)の約38と40の間のピーク、約700カウントの強度を有する亜鉛(101)の約42.5と44の間のピークを含むいくつかの強いピークを表している。約390カウントの強度を有する約35.5と約37の間の亜鉛(002)、275カウントの強度を有する約53と55の間の亜鉛(102)、約225カウントの強度を有する約69.5と70の間の亜鉛(103)、約225カウントの強度を有する約70と71の間の亜鉛(110)のより小さなピークも存在している。酸化亜鉛(101):亜鉛(002):亜鉛(100):亜鉛(101):酸化亜鉛(002):亜鉛(102):亜鉛(103):亜鉛(110)に対するピークの高さの比は、約2.55:2.55:1.24:3.11:1.73:1.22:1:1である。
【0049】
[0049]窒素が300sccm/m3の流量で反応性スパッタリング中に供給される場合、亜鉛と酸化亜鉛のピークは、酸化亜鉛が図3Bに示されるようにもはや存在しない点で著しく低下している。窒素の流量が500sccm/m3に増加される場合、すべての亜鉛と酸化亜鉛のピークは低下し、膜は図3Cに示されるようにアモルファス構造を持っている。
【0050】
[0050]窒素の流量が1000sccm/m3に増加される場合、図3Dに示されるように二つのピークが現れる。Zn3N2(222)の第一のピークは、約2050カウントの強度で約31と33の間で形成された。Zn3N2(411)の第二のピークは、約1850カウントの強度で約35と42の間で形成された。Zn3N2(222):Zn3N2(411)に対するピークの高さの比は、約1.11:1である。窒素ガスの流量が1,250sccm/m3に増加される場合、図3Eに示されるようにZn3N2(222)のピークは、約2500カウントに増大し、Zn3N2(411)のピークは、約2600カウントに増大する。Zn3N2(222):Zn3N2(411)に対するピークの高さの比は、約0.96:1である。窒素の流量が2,500sccm/m3に増加される場合、Zn3N2(222)のピークとZn3N2(411)は、約2350と2050にそれぞれ弱まるが、Zn3N2(400)の新しいピークが図3Fに示されるように約1700の強度で約36と37.5の間に展開する。Zn3N2(222):Zn3N2(411):Zn3N2(400)に対するピークの高さの比は、約1.38:1.21:1である。
【0051】
[0051]XRDデータによれば、供給される窒素の量は、膜に本質的に酸化亜鉛が存在しないほど、300sccm/m3において酸化亜鉛のピークが著しく低下することから、約300sccm/m3を超えるべきである。窒素の流量がチャンバの大きさに比例することは理解されるべきである。従って、チャンバの大きさが増加すると、窒素の流量もまた増加する。同様に、チャンバの大きさが小さくなるのにつれて、窒素の流量も低減する。
【0052】
[0052]それ故、上記の酸素流量と上記の窒素流量を合わせると、本明細書に述べられる新しい半導体膜が約2:1を超える窒素と酸素の流量によって堆積させることができる。一実施形態において、窒素と酸素の流量比は、10:1〜約50:1であってもよい。なお他の実施形態において、窒素と酸素の流量比は、20:1であってもよい。
【0053】
[0053]半導体材料を製造するために、窒素含有ガスの流量は、上で述べたように酸素含有ガスの流量より非常に大きくてもよい。堆積された半導体材料は、アモルファスシリコンより大きい移動度を有する場合がある。表Xは、本発明の一実施形態に従って窒素ガスの流量の関数として移動度を示すものである。
【0054】
【表10】
【0055】
[0054]0sccmの酸素の条件下で堆積された膜は、窒素ガスのすべての流量に対して5cm2/V-s未満の移動度を有した。25sccm/m3の酸素の条件下で堆積された膜は、1,500sccm/m3の窒素流量に対して約8cm2/V-sと2500sccm/m3の窒素流量に対して約15cm2/V-sの移動度を有した。200sccm/m3の酸素の条件下で堆積された膜は、1500sccm/m3の窒素流量に対して約1cm2/V-sと2500sccm/m3の窒素流量に対して約10cm2/V-sの移動度を有した。250sccm/m3の酸素の条件下で堆積された膜は、500sccm/m3の窒素流量に対して約5cm2/V-s、1500sccm/m3の窒素流量に対して約2cm2/V-sと2500sccm/m3の窒素流量に対して約12cm2/V-sの移動度を有した。
【0056】
[0055]50sccm/m3と150sccm/m3の間の酸素流量で堆積された膜に対して、膜の移動度は、25sccm/m3以下の酸素流量で堆積された膜と200sccm/m3以上の酸素流量で堆積された膜にわたって著しく増加した。更に、50sccm/m3と150sccm/m3の間の酸素流量で堆積された薄膜は、アモルファスシリコンよりはるかに大きい移動度を有している。1000sccm/m3と2500sccm/m3の間の窒素流量で、膜の移動度は、たいていの場合、22cm2/V-sより高かった。約1cm2/V-sの移動度を有するアモルファスシリコンと比べた場合、亜鉛、酸素、及び窒素を含有する半導体膜は、移動度が著しく改善される。つまり、約10:1〜約50:1の窒素と酸素とのガス流量比は、アモルファスシリコンの移動度の20倍を超え、ポリシリコンの移動度の2倍を超える移動度を有する半導体膜を製造することができる。表は窒素ガスと酸素ガスの個々の流量を示しているが、酸素ガスと窒素ガスの流量がチャンバの大きさに相対しているので、異なるチャンバの大きさを考慮するのに大きさが変えられることは理解されるべきである。
【0057】
[0056]表XIは、本発明の一実施形態に従って窒素ガス流量の関数としてシート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率を示すものである。約10:1と約50:1の間の窒素ガスと酸素ガスの流量比に対して、亜鉛と、酸素と、窒素を含む半導体層のシート抵抗は、約100オーム/平方と約10000オーム/平方の間であり得る。窒素の流量と酸素の流量の双方の増加において、電子のキャリヤ濃度は低下する。結果として、抵抗率が増加する。
【0058】
【表11】
【0059】
[0057]アニーリングもまた、亜鉛と、酸素と、窒素を含有する半導体膜の移動度を著しく上昇させる。表XIIは、本発明の一実施形態に従うアニーリング後の窒素ガス流量の関数として移動度を示すものである。アニーリング後、移動度は、50cm2/V-sを超えることになる。一実施形態において、移動度は、アニーリングによって90cm2/V-sを超えるまで増加させることができる。アニーリングは摂氏400度の温度で窒素雰囲気中で約5分間行うことができる。
【0060】
【表12】
【0061】
[0058]ドーパントの量もまた、亜鉛と、酸素と、窒素を含有する半導体膜の移動度に影響する場合がある。表XIIIと表XIVは、アルミニウムでドープされる亜鉛のスパッタリングターゲットを反応的にスパッタリングした時の種々の窒素と酸素の流量に対する移動度、シート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率を示すものである。従って、スパッタリングターゲットにおけるドーパントの量は、所定の移動度、シート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率が達成されることを確実にするように調整することができる。
【0062】
【表13】
【0063】
【表14】
【0064】
[0059]サセプタの温度もまた、半導体膜の移動度に影響することがある。表XVは、摂氏30度、摂氏50度、摂氏95度の温度で亜鉛のスパッタリングターゲットをスパッタする際の種々の窒素流量に対する移動度、シート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率を示すものである。表XVから見られるように、反応性スパッタリングは、室温に近づく温度を含む摂氏400度より著しく低い温度でアモルファスシリコンとポリシリコンより高い移動度を有する半導体膜を効果的に形成することができる。従って、アニーリングがなくても、半導体膜は、アモルファスシリコンより高い移動度を有することになる。
【0065】
【表15】
【0066】
[0060]電力が個々の値として本明細書に記載されてもよいが、スパッタリングターゲットに加えられる電力がターゲットの面積に比例することは理解されるべきである。つまり、約10W/cm2と約100W/cm2の間の電力値が、一般的には、所要の結果を達成するであろう。表XVIは、1500sccm/m3と2500sccm/m3の窒素ガスフローに対する移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に関する加えられたDC電力の影響を示すものである。約1000Wと2000Wの間の電力レベルによって、移動度がアモルファスシリコンより著しく大きい半導体膜が得られる。
【0067】
【表16】
【0068】
[0061]上で述べた堆積技術に従って堆積された薄膜は、ZnNxOyのような亜鉛と、窒素と、酸素を有する三元化合物半導体材料を含むことができる。一実施形態において、三元化合物半導体材料は、ZnNxOy:Alのようにドープされてもよい。三元半導体化合物は、高い電子移動度と高い電子キャリヤ密度を有する酸化亜鉛と対照的に、室温で堆積された場合に高い移動度と低い電子キャリヤ密度を有する場合がある。一実施形態において、三元化合物は、30cm2/V-sより高い移動度と1.0e+19#/ccより低い電子キャリヤ密度を有する。膜が摂氏約400度でアニールされる場合、膜の結晶方向と組成を変えることなく移動度を100cm2/V-cmを超えるまで増加させることができ、電子キャリヤ密度は1.0e+18#/cc未満である。高い移動度と低い電子密度は、膜がアモルファス化合物或いは不充分な方向性の結晶化合物である場合でさえ三元化合物に対して達成することができる。
【0069】
[0062]三元化合物の光学バンドギャップは、また、酸化亜鉛に比べて改善することができる。酸化亜鉛は、典型的には、約3.2eVのバンドギャップを有する。他方、亜鉛と、窒素と、酸素を含む三元化合物は、約3.1eVから約1.2eVまでのバンドギャップを有する場合がある。バンドギャップは、窒素と酸素の流量比、電力密度、圧力、アニーリング、堆積温度のような堆積パラメータを変えることによって調節することができる。低いバンドギャップにより、三元化合物は、光電池デバイスや他の電子デバイスに有益である。摂氏600度のような非常に高い処理温度で、三元膜は、p型或いはn型の半導体材料に変換することができる。アニーリング或いはプラズマ処理は、化合物構造と化学成分を基本的に変えることなく微調整することができる。微調整により、化合物の特性が調整されて、化合物を用いることができるデバイスの性能要求を満たすことを可能にする。
【0070】
[0063]三元化合物は、TFTデバイスにおける透明な半導体層、光電池デバイス或いはソーラーパネルにおける化合物層、或いはセンサデバイスにおける化合物層として有益である。図4A-図4Gは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFT400を形成するためのプロセス順序を示すものである。TFTは、基板402を含んでもよい。一実施形態において、基板402はガラスを含んでもよい。他の実施形態において、基板402は、ポリマーを含んでもよい。他の実施形態において、基板は、プラスチックを含んでもよい。なお他の実施形態において、基板は、金属を含んでもよい。
【0071】
[0064]基板の上に、ゲート電極404が形成されてもよい。ゲート電極404は、TFT内の電荷キャリヤの移動を制御する導電層を備えていてもよい。ゲート電極404は、アルミニウム、タングステン、クロム、タンタル、又はこれらの組み合わせのような金属を備えていてもよい。ゲート電極404は、スパッタリング、リトグラフィ、エッチングを含む従来の堆積技術を用いて形成することができる。ゲート電極404の上に、ゲート誘電層406が堆積されてもよい。ゲート誘電層406は、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、又はこれらの組み合わせを含むことができる。ゲート誘電層406は、プラズマ増強型化学気相堆積(PECVD)を含む周知の堆積技術によって堆積させることができる。
【0072】
[0065]ゲート誘電層406の上に、アクティブチャンネル408(即ち、半導体層)が図4Bに示されるように形成されてもよい。一実施形態において、アクティブチャンネル408はアニールされる。他の実施形態において、アクティブチャンネル408は、プラズマ処理にさらされる。アニーリング及び/又はプラズマ処理は、アクティブチャンネル408の移動度を増加させることができる。アクティブチャンネル408は、上で述べたように亜鉛と、酸素と、窒素を有する三元化合物を含むことができる。一実施形態において三元化合物はアルミニウムでドープされる。アクティブチャンネル408が一旦堆積されると、ソース・ドレイン層410は、図4Cに示されるようにアクティブチャンネル408の上に堆積されてもよい。一実施形態において、ソース・ドレイン層410は、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、及びこれらの組み合わせのような金属を含むことができる。アクティブチャンネル408とソース・ドレイン電極を画成するために、ソース・ドレイン層とアクティブチャンネル408のいずれもがエッチングされてもよい。
【0073】
[0066]図4Dに示されるように、マスク412がソース・ドレイン層410の上に配置されてもよい。マスク412は、所定のパターンを有し得る。パターン現像がその後に続くフォトレジスト堆積を含む従来の技術によってソース・ドレイン層410の上にマスク412が配置されてもよい。
【0074】
[0067]アクティブチャンネル408とソース・ドレイン層410は、図4Eに示されるように同時にエッチされてもよい。図4Fは、図4Eの平面図である。図4Eと図4Fに見られるように、アクティブチャンネル408は、エッチングによってさらされてもよい。一実施形態において、アクティブチャンネル408は、ソース・ドレイン層410とアクティブチャンネル408の一部の双方をウェットエッチングによってさらされてもよい。他の実施形態において、ソース・ドレイン層410は、ドライエッチングに続いてアクティブチャンネル408の一部をウェットエッチングされてもよい。他の実施形態において、ソース・ドレイン層410は、アクティブチャンネル408をエッチングすることなくエッチングされてもよい。一実施形態において、ドライエッチングは、塩素、酸素、フッ素、或いはこれらの組み合わせより選ばれる元素を含有するガスで行われてもよい。
【0075】
[0068]アクティブチャンネル408をさらした後、エッチング停止層としてアクティブチャンネル408を用いてソース・ドレイン層410をドライエッチングすることによってソース・ドレイン電極を画成することができる。図4Gは、さらされたアクティブチャンネル408と画成されたソース電極414とドレイン電極416を示す平面図である。アクティブチャンネル408は、亜鉛と、酸素と、窒素(ある実施形態においては、アルミニウム)を含む三元化合物がプラズマで効果的にエッチングされないことがあることから、ドライプラズマエッチング中にエッチング停止層として機能することができる。
【0076】
[0069]図5は、本発明の一実施形態によるエッチング停止TFT500の概略断面図である。エッチング停止TFTは、基板502と、ゲート電極504と、ゲート誘電体層506を備えていてもよい。エッチング停止TFT500は、図4A-図4Gにおいて上で示される底部ゲートTFTに同じであるが、エッチング停止510は、ソース電極512とドレイン電極514の間のアクティブチャンネル508の上に存在してもよい。基板502、ゲート電極504、ゲート誘電体506、アクティブチャンネル508、ソース電極512、ドレイン電極514のための材料は、底部ゲートのTFTに関連して上で記載した通りであってもよい。エッチング停止510は、シリコンと、酸素と窒素の一つ以上を含む誘電材料であってもよい。
【0077】
[0070]図6は、本発明の一実施形態による最上部ゲートTFT600の概略断面図である。最上部ゲートTFT600は、その上に堆積された光シールディング層604を有する基板602を含んでもよい。誘電体層606は、光シールディング層604の上に堆積されてもよい。ソース電極608とドレイン電極610は、誘電体層606の上に堆積されてもよい。アクティブチャンネル層612は、ソース電極608とドレイン電極610の上に堆積されてもよい。ゲート誘電体層614は、アクティブチャンネル層612の上に堆積されてもよく、ゲート電極616は、ゲート誘電体層614の上に堆積されてもよい。基板602、ゲート電極616、ゲート誘電体層614、アクティブチャンネル612、ソース電極608、ドレイン電極610のための材料は、底部ゲートTFTに関連して上で記載された通りであってもよい。最上部ゲートTFT600の形成において、チャンネルと電極の接触領域が、ウェットエッチング或いはドライエッチングに続いてウェットエッチングによって形成されてもよい。次に、接触領域が、エッチング停止層としてアクティブチャンネルを用いるドライエッチングによって画成されてもよい。
【0078】
[0071]図7は、本発明の一実施形態によるアクティブ・マトリクスLCD700の概略図である。図7は、液晶材料がその間に挟まれたTFT基板と色フィルタ基板を示す。TFTは、電界を作るピクセル電極への電流を制御して、液晶材料の方向、従って、色フィルタを通して透過される光の量を制御する。TFTは、ガラス基板上にマトリクスで配置される。具体的なピクセルを指定するために、適当な列のスイッチオンされ、次に、電荷が正しい行に送られる。行が交わるその他の列のすべてがターンオフされるので、指定されたピクセルにおけるコンデンサだけが電荷を受ける。コンデンサは、次のリフレッシュサイクルまで電荷を保持することができる。結晶に供給される電圧の量が制御される場合には、結晶は何らかの光を通すに十分なだけよりを解くことになる。
【0079】
[0072]図7に示されるアクティブマトリクスLCD700は、TFT714によって制御することができる。TFT714は、ピクセルをオンしたりオフしたりすることができる。LCD700は、結合パッド706、ピクセル電極708、ストレージコンデンサ728、ポラライザ702、基板704、アライメント層710、スペーサ712、ショート716、シール718、ブラックマトリクス720、色フィルタ724、共通の電極724を備えていてもよい。
【0080】
[0073]図8は、本発明の一実施形態によるアクティブ・マトリクスOLED800の概略図である。図8は、OLEDの放出有機層に加えられる電流の量を制御するTFTを示す。アクティブ・マトリクスOLEDは、カソード、有機分子、アノードの全層を有するが、アノード層は、マトリクスを形成するTFTアレイに重なる。TFTアレイ自体は、どのピクセルがオンされて画像を形成するかを決定する回路である。アクティブ・マトリクスOLEDは、TFTアレイが外部回路より少ない電力を必要とすることから、パッシブ・マトリクスOLEDより少ない電力消費であるので、これらは大型ディスプレイに効率的である。アクティブ・マトリクスOLEDは、また、ビデオに適したより速いリフレッシュ速度を有する。アクティブ・マトリクスOLEDは、コンピュータモニタ、大型スクリーンのTV、電子署名、電子掲示板に用いられてもよい。
【0081】
[0074]OLED800は、ピクセルをオンしたりオフしたりするTFT802によって制御することができる。OLED800は、TFT802、アノード804、ホール注入層806、イオン化層808、バッファ層810、透明カソード812、放出層814、封入層816を備えている。
【0082】
[0075]図9A-図9Cは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に対するVthを示す図である。図9Aは、40μmの長さと10μmの幅に対するVthを示す図である。図9Bは、80μmの長さと10μmの幅に対するVthを示す図である。図9Cは、80μmの長さと20μmの幅に対するVthを示す図である。図9A-図9Cの各々において、三元化合物アクティブ層が高いオン・オフ比と高い電流を有するということが示されている。
【0083】
[0076]図10A-図10Cは、共通の長さと幅を有するアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す。アクティブチャンネルの長さは、40μmで、幅は10μmである。図10Aは、アモルファスシリコンに対するVthである。図10Bは、アニーリング無しの三元化合物である。図10Cは、アニーリング後の三元化合物である。図10Bの三元化合物TFTは、10Vにおけるアモルファスシリコンに対するドレイン・ソース電流より高いVg=1におけるドレイン・ソース電流を有している。それ故、アニーされていない膜は、アモルファスシリコンより約10倍良好である。
【0084】
[0077]図10Cにおいてアニールされた膜は更に良好である。アニールされた膜は、アニールされていない膜に比べて高い飽和電流を有している。Vd=0.1Vにおけるアニールされた膜に対するソース・ドレイン電流は、Vd=10VにおけるアモルファスシリコンTFTの電流に近い。従って、アニールされた膜は、アモルファスシリコンより約100倍良好である。
【0085】
[0078]上記TFTの性能は、アクティブ層キャリヤ濃度、アクティブ層移動度、他の層との接合部におけるアクティブ層の特性を変えることによって調節或いは調整することができる。TFTは、膜堆積中に窒素含有ガス流量を変えることによって調整されてもよい。上述したように、アクティブ層のスパッタ堆積に用いられる窒素含有ガスと酸素含有ガスとの比が、移動度、キャリヤ濃度、又は他の要素に影響する場合がある。使用者は、キャリヤ濃度、移動度、又は他の特性に対するあらかじめ決められた値を設定し、次に、窒素と酸素との流量を調節して、それに応じて所要の膜特性を得ることができる。調節は、堆積プロセスの実時間制御を可能にするインサイチュ測定に応じて行われる。
【0086】
[0079]TFTは、また、アルミニウムのドーピングの量で調整することができる。アルミニウムのドーピングの量は、あらかじめ決められている場合があるので、適当な組成のスパッタリングターゲットを処理チャンバ内に配置することができる。更に、TFTは、堆積後或いは他の膜との一体化中にアクティブ層をアニーリング及び/又はプラズマ処理ことによって調整されてもよい。上述したように、三元化合物を熱処理することにより、膜の移動度を増加させることができる。
【0087】
[0080]酸素と、窒素と、亜鉛、錫、ガリウム、インジウム、及びカドミウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含むTFTは、アモルファスシリコンで作られるTFTより増加した移動度を有している。TFTの増加した移動度は、TFTをLCDに用いられることを可能にするだけでなく、また次世代のディスプレイ、OLEDにも使われることを可能にする。
【0088】
[0081]これまでの内容は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の多くの実施形態が本発明の基本範囲から逸脱することなく構成されてもよく、本発明の範囲は、以下の特許請求範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0089】
100…チャンバ、102…基板、104…ターゲット、106…サセプタ、108…リフトピン、110…接地ストラップ、112…アクチュエータ、114…真空ポンプ、116…バッキングプレート、118…マグネトロン、120…空間シールド、122…チャンバシールド、124…アノード、126…ガス導入管、130…ブラケット、400…底部ゲートTFT、402…基板、404…ゲート電極、406…ゲート誘電体層、408…アクティブチャンネル、410…ソース・ドレイン層、412…マスク、500…エッチング停止TFT、502…基板、504…ゲート基板、506…ゲート誘電体層、508…アクティブチャンネル、510…エッチング停止、512…ソース電極、514…ドレイン電極、600…最上部ゲートTFT、602…基板、604…光シールディング層、606…誘電体層、608…ソース電極、610…ドレイン電極、612…アクティブチャンネル層、614…ゲート誘電体層、616…ゲート電極、700…アクティブマトリクスLCD、702…ポラライザ、704…基板、706…結合パッド、708…ピクセル電極、710…アラインメント層、712…スペーサ、714…TFT、716…ショート、718…シール、720…ブラックマトリクス、724…色フィルタ、724…共通の電極、728…ストレージコンデンサ、800…OLED、802…TFT、804…アノード、806…ホール注入層、808…イオン化層、810…バッファ層、812…透明カソード、814…放出層、816…封入層。
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的には、酸素と、窒素と、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、及び錫からなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有する電界効果トランジスタ(FET)及び薄膜トランジスタ(TFT)に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]TFTアレイにおける目下の関心は、これらのデバイスがコンピュータやテレビのフラットパネルにしばしば使われる種類の液晶アクティブマトリクスディスプレイ(LCD)に用いることができることから特に高いものがある。LCDは、また、バックライト用の光発光ダイオード(LED)を含む場合がある。更に、有機光発光ダイオード(OLED)は、アクティブマトリクスディスプレイに用いられてきており、これらのOLEDは、ディスプレイの効果を示すためにTFTを必要とする。
【0003】
[0003]アモルファスシリコンで作られるTFTは、フラットパネルディスプレイ産業の重要な構成要素となってきた。残念ながら、アモルファスシリコンは、低移動度のような制約を有する。OLEDに必要とされる移動度は、アモルファスシリコンで達成されるものより少なくとも10倍高い。アモルファスシリコンの堆積温度は高い場合があり、これがVthシフトを生じさせる。高電流がアモルファスシリコンには必要である場合があり、これはOLEDにおける安定度の問題に帰着する。他方、ポリシリコンは、アモルファスシリコンより高い移動度を有する。ポリシリコンは結晶性であり、これが均一でない堆積に帰着する。アモルファスシリコンの制約により、OLEDの発展は難しかった。
【0004】
[0004]近年、酸化亜鉛がアクティブチャンネル層として用いられる透明TFTが作り出されてきた。酸化亜鉛は、ガラスやプラスチックのような様々な基板上で相対的に低い堆積温度で結晶材料として成長し得る化合物半導体である。酸化亜鉛ベースのTFTは、可視光にさらしても劣化しないことがある。それ故、シリコンベースのTFTに必要なシールド層が存在しない。シールド層がなくてもTFTは透明のままである。酸化亜鉛は、アモルファスシリコンより大きい移動度を持つが、それでも低移動度である。
【0005】
[0005]それ故、当該技術において移動度が大きい透明アクティブチャンネルを有するTFTが求められている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明は、一般的には、酸素と、窒素と、アクティブチャンネルとして亜鉛、錫、ガリウム、カドミウム、及びインジウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有するTFTに関する。半導体材料は、底部ゲートのTFT、最上部ゲートのTFT、他のタイプのTFTに用いることができる。TFTは、エッチングによってパターン形成されて、チャンネルと金属電極の双方を作成させることができる。次に、エッチング停止層として半導体材料を用いたドライエッチングによってソース・ドレイン電極を画成することができる。アクティブ層のキャリヤ濃度、移動度、TFTの他の層との接合部は、あらかじめ決められた値に調整可能である。この調整は、窒素含有ガスと酸素含有ガスの流量比を変えること、堆積された半導体膜をアニーリングし更に/又はプラズマ処理すること、或いはアルミニウムのドーピング濃度を変えることによって達成することができる。
【0007】
[0007]一実施形態において、TFTが開示される。トランジスタは、酸素と、窒素と、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、ガリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体層を備えている。他の実施形態において、TFT製造法が開示される。この方法は、基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、半導体層が、酸素と、窒素と、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、ガリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップを含む。
【0008】
[0008]他の実施形態において、TFT製造法が開示される。この方法は、基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、該半導体層が、酸素と、窒素と、充填s軌道と充填d軌道を有する元素、充填f軌道を有する元素、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップを含む。この方法は、また、アクティブチャンネル層の上にソース・ドレイン電極層を堆積させるステップと、ソース・ドレイン電極層とアクティブチャンネル層を第一エッチングして、アクティブチャンネルを作成するステップと、ソース・ドレイン電極層を第二エッチングして、ソース・ドレイン電極を画成するステップとを含む。
【0009】
[0009]本発明の上記特徴が詳細に理解され得るように、上で簡単にまとめた、本発明のより具体的な説明が、実施形態によって参照することができ、その一部は添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているので、本発明の範囲を制限するものと考えられるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を加えてもよいことは留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるPVDチャンバの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、酸素ガスフローの関数として亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2B】図2Bは、酸素ガスフローの関数として亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2C】図2Cは、酸素ガスフローの関数として亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2D】図2Dは、酸素ガスフローの関数として酸化亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図2E】図2Eは、酸素ガスフローの関数として酸化亜鉛のピークの形成を示す膜に関するXRDグラフである。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3D】図3Dは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3E】図3Eは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図3F】図3Fは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量での半導体膜の形成を示すXRDグラフである。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4C】図4Cは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4D】図4Dは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4E】図4Eは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4F】図4Fは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図4G】図4Gは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFTを形成するためのプロセス順序を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態によるエッチング停止TFTの概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による最上部ゲートTFTの概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態によるアクティブマトリクスLCDの概略図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態によるアクティブマトリクスOLEDの概略図である。
【図9A】図9Aは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に関するVthを示す図である。
【図9B】図9Bは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に関するVthを示す図である。
【図9C】図9Cは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に関するVthを示す図である。
【図10A】図10Aは、共通の長さと幅を持つアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す図である。
【図10B】図10Bは、共通の長さと幅を持つアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す図である。
【図10C】図10Cは、共通の長さと幅を持つアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す図である。
【0011】
[0020]理解を容易にするために、図面に共通な同じ要素を示すのに可能なところでは同じ符号が用いられている。一実施形態において開示される要素は、個々に引用することなく他の実施形態においても便宜的に用いられてもよいことが意図されている。
【詳細な説明】
【0012】
[0021]本発明は、一般的には、酸素と、窒素と、アクティブチャンネルとして亜鉛、錫、ガリウム、カドミウム、及びインジウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体材料を有するTFTに関する。半導体材料は、底部ゲートのTFT、最上部ゲートのTFT、他のタイプのTFTに用いることができる。TFTは、エッチングによってパターン形成されて、チャンネルと金属電極の双方を作成させることができる。次に、エッチング停止層として半導体材料を用いたドライエッチングによってソース・ドレイン電極を画成することができる。アクティブ層のキャリヤ濃度、移動度、TFTの他の層との接合部は、あらかじめ決められた値に調整可能である。この調整は、窒素含有ガスと酸素含有ガスの流量比を変えること、堆積された半導体膜をアニーリングし更に/又はプラズマ処理すること、或いはアルミニウムのドーピング濃度を変えることによって達成することができる。
【0013】
[0022]窒素と、酸素と、亜鉛、インジウム、ガリウム、カドミウム、及び錫より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体膜は、反応性スパッタリングによって堆積させることができる。反応性スパッタリング法は、例示的に説明され、カリフォルニア州、サンタクララのAppliedMterials社傘下のAKT America社から入手可能な4300PVDチャンバのような大面積基板を処理するためのPVDチャンバにおいて実施することができる。しかしながら、この方法に従って製造される半導体膜が膜構造と組成によって決定することができることから、反応性スパッタリング法が、大面積円形基板を処理するように構成されたシステムや、ロール・ツー・ロールプロセスプラットフォームを含む、他の製造業者によって製造されるシステムを含む、他のシステム構成で用いられてもよいことは理解されるべきである。本発明がPVDによって堆積されるように以下に例示的に説明されるが、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、或いはスピン・オンプロセスが本発明の膜を堆積させるのに用いられてもよいことは理解されるべきである。
【0014】
[0023]図1は、本発明の一実施形態によるPVDチャンバ100の断面概略図である。チャンバ100は、真空ポンプ114で排気されてもよい。チャンバ100内の基板102は、ターゲット104の反対に配置されてもよい。基板は、チャンバ100内のサセプタ上に配置されてもよい。サセプタ106は、アクチュエータ112によって矢印“A”で示されるように上下させることができる。サセプタ106は、処理位置に基板102を持ち上げるように上昇させることができ、基板102をチャンバ100から取り出すことができるように降下させることができる。リフトピン108は、サセプタ106が降下した位置にある時にサセプタ106の上に基板102を上昇させる。接地用ストラップ110は、処理中サセプタを接地することができる。処理中、サセプタ106を上昇させて、均一な堆積を援助してもよい。
【0015】
[0024]ターゲット104は、一つ以上のターゲット104を含むことができる。一実施形態において、ターゲット104は、大面積をスパッタリングターゲット104を含むことができる。他の実施形態において、ターゲット104は複数のタイルを含むことができる。また他の実施形態において、ターゲット104は、複数のターゲットストリップを含むことができる。なお他の実施形態において、ターゲット104は、一つ以上の円筒状回転するターゲットを含むことができる。ターゲット104は、結合層(図示せず)によってバッキングプレート116に結合することができる。一つ以上のマグネトロン118がバッキングプレート116の後ろに配置することができる。マグネトロン118は、直線的移動或いは2次元通路においてバッキングプレート全体に走査することができる。チャンバの壁は、暗い空間シールド120とチャンバシールド122で堆積からシールドすることができる。
【0016】
[0025]基板102の全体に均一なスパッタリング堆積を援助するために、アノード124は、ターゲット104と基板102の間に置くことができる。一実施形態において、アノード124は、アーク噴射されたアルミニウムで被覆されるビードをブラストされたステンレス鋼であってもよい。一実施形態において、アノード124の一端は、ブラケット130によってチャンバ壁に取り付けることができる。アノード124は、ターゲット104に相対して電荷を与えるので、荷電されたイオンは、典型的には接地電位にあるチャンバ壁にというよりはむしろそこに引きつけられる。ターゲット104と基板102の間にアノード124を設けることによって、プラズマはより均一となり、堆積を援助することができる。剥離を低減するために、冷却液を一つ以上のアノード124を通して与えることができる。アノード124の拡張或いは収縮の量を低減することによって、アノード124から材料の剥離を低減することができる。より小さな基板、つまりより小さな処理チャンバに対しては、処理空間に広がるアノード124は、チャンバ壁が接地への通路と均一なプラズマ分配を与えるのに充分であり得るので必要ない。
【0017】
[0026]反応性スパッタリングに対して、チャンバ100に反応性ガスを供給することは有益である。一つ以上のガス導入管126もまたターゲット104と基板102の間でチャンバ100全体の距離に広がっている。より小さい基板、つまりより小さなチャンバに対して、処理空間にわたるガス導入管126は、均一なガス分配が従来のガス導入手段によって可能なので不要の場合がある。ガス導入管126は、ガスパネル132からスパッタリングガスを導入することができる。ガス導入管126は、一つ以上の連結によりアノード124と連結することができる。連結部128は、ガス導入管126に伝導的に冷却させるように熱伝導材料でできていてもよい。更に、連結部128は、同様に導電性があってもよいので、ガス導入管126は接地され、アノードとして機能する。
【0018】
[0027]反応性スパッタリングプロセスは、スパッタリングチャンバ内で基板に対して金属のスパッタリングターゲットを配置するステップを含む場合がある。金属のスパッタリングターゲットは、実質的に、亜鉛、ガリウム、インジウム、錫、及びカドミウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素を含んでもよい。一実施形態において、スパッタリングターゲットは、充填s軌道と充填d軌道を有する一つ以上の元素を含んでいてもよい。他の実施形態において、スパッタリングターゲットは充填f軌道を有する一つ以上の元素を含んでいてもよい。他の実施形態において、スパッタリングターゲットは、一つ以上の二価の元素を含んでいてもよい。他の実施形態において、スパッタリングターゲットは、一つ以上の三価の元素を含んでいてもよい。なお他の実施形態において、スパッタリングターゲットは、一つ以上の四価の元素を含んでいてもよい。
【0019】
[0028]スパッタリングターゲットは、また、ドーパントを含んでいてもよい。用いることができる適切なドーパントとしては、Al、Sn、Ga、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、In、Ni、Mn、Cr、V、Mg、SixNy、AlxOy、及びSiCが挙げられる。一実施形態において、ドーパントはアルミニウムを含む。他の実施形態において、ドーパントは錫を含む。他方、基板は、プラスチック、紙、ポリマー、ガラス、ステンレス鋼、及びこれらの組み合わせを含んでいてもよい。基板がプラスチックの場合、反応性スパッタリングは、摂氏約180度未満の温度で行うことができる。堆積させることができる半導体膜の例としては、ZnOxNy:Al、ZnOxNy:Sn、SnOxNy:Al、InOxNy:Al、InOxNy:Sn、CdOxNy:Al、CdOxNy:Sn、GaOxNy:Al、GaOxNy:Sn、ZnSnOxNy:Al、ZnInOxNy:Al、ZnInOxNy:Sn、ZnCdOxNy:Al、ZnCdOxNy:Sn、ZnGaOxNy:Al、ZnGaOxNy:Sn、SnInOxNy:Al、SnCdOxNy:Al、SnGaOxNy:Al、InCdOxNy:Al、InCdOxNy:Sn、InGaOxNy:Al、InGaOxNy:Sn、CdGaOxNy:Al、CdGaOxNy:Sn、ZnSnInOxNy:Al、ZnSnCdOxNy:Al、ZnSnGaOxNy:Al、ZnInCdOxNy:Al、ZnInCdOxNy:Sn、ZnInGaOxNy:Al、ZnInGaOxNy:Sn、ZnCdGaOxNy:Al、ZnCdGaOxNy:Sn、SnInCdOxNy:Al、SnInGaOxNy:Al、SnCdGaOxNy:Al、InCdGaOxNy:Al、InCdGaOxNy:Sn、ZnSnInCdOxNy:Al、ZnSnInGaOxNy:Al、ZnInCdGaOxNy:Al、ZnInCdGaOxNy:Sn、及びSnInCdGaOxNy:Alが挙げられる。
【0020】
[0029]スパッタリングプロセス中、金属ターゲットを反応性スパッタするためのチャンバにアルゴン、窒素含有ガス、酸素含有ガスを供給してもよい。B2H6、CO2、CO、CH4、又はこれらの組み合わせのような追加の添加剤もまたスパッタリング中にチャンバに供給してもよい。一実施形態において、窒素含有ガスはN2を含む。他の実施形態において、窒素含有ガスは、N2O、NH3、又はこれらの組み合わせを含む。一実施形態において、酸素含有ガスは、O2を含む。他の実施形態において、酸素含有ガスは、N2Oを含む。窒素含有ガスの窒素と酸素含有ガスの酸素は、スパッタリングターゲットからの金属と反応して、基板上に金属、酸素、窒素を含み、場合によりドーパントを含んでもよい半導体材料を形成する。一実施形態において、窒素含有ガスと酸素含有ガスは、別々のガスである。他の実施形態において、窒素含有ガスと酸素含有ガスは、同一のガスからなる。
【0021】
[0030]堆積される膜は半導体膜である。堆積させることができる半導体膜の例としては、ZnOxNy、SnOxNy、InOxNy、CdOxNy、GaOxNy、ZnSnOxNy、ZnInOxNy、ZnCdOxNy、ZnGaOxNy、SnInOxNy、SnCdOxNy、SnGaOxNy、InCdOxNy、InGaOxNy、CdGaOxNy、ZnSnInOxNy、ZnSnCdOxNy、ZnSnGaOxNy、ZnInCdOxNy、ZnInGaOxNy、ZnCdGaOxNy、SnInCdOxNy、SnInGaOxNy、SnCdGaOxNy、InCdGaOxNy、ZnSnInCdOxNy、ZnSnInGaOxNy、ZnInCdGaOxNy、及びSnInCdGaOxNyが挙げられる。上に述べた半導体膜の各々はドーパントによってドープされていてもよい。
【0022】
[0031]半導体膜は、酸窒化物化合物を含んでいてもよい。一実施形態において、半導体膜は、金属酸窒化物化合物だけでなく、金属窒化物化合物のいずれをも含む。他の実施形態において、半導体膜は、金属酸窒化物化合物と、金属窒化物化合物と、金属酸化物化合物を含んでいてもよい。なお他の実施形態において、半導体膜は、金属酸窒化物化合物と金属酸化物化合物を含んでもよい。他の実施形態において、半導体膜は、金属窒化物化合物と金属酸化物化合物を含んでいてもよい。
【0023】
[0032]窒素含有ガスと酸素含有ガスとの比は、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に影響することになる。表Iは、アルゴンと窒素ガスの雰囲気中でスパッタされる錫のターゲットに対する移動度、抵抗率、キャリヤ濃度に関する窒素流量の影響を示すものである。一般に、表Iは、窒素の流量が増加すると移動度も増加することを示している。アルゴンと酸素の流量は同じままでもよい。表Iにおいて、アルゴンの流量が60sccmで、酸素の流量が5sccmである。より高い基板温度もまた移動度を増加させる。キャリヤ濃度は、移動度と弱い相関がある。堆積膜は、電子のキャリヤとして機能することができるn型半導体材料であり、つまりキャリヤ濃度が負の数値として示される。
【0024】
【表1】
【0025】
[0033]酸素含有ガスは、また、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に影響する。表IIは、アルゴン、窒素ガス、酸素ガスの雰囲気中でスパッタされる錫のターゲットに対する移動度、抵抗率、キャリヤ濃度に関する酸素流量の影響を示している。アルゴン流量は同一のままであってもよい。表IIにおいて、アルゴン流量は60sccmである。一般に、表IIは、高窒素ガスと酸素ガスの比に対して、移動度はアモルファスシリコン対する移動度より高くなることを示している。更に、窒素と酸素との比が高いほど、キャリヤ濃度は低い。200sccmの窒素流量で、移動度は酸素流量が増加するにつれて増加するが、より高い酸素流量では減少する。一実施形態において、移動度は、摂氏150度の温度で約4cm2/V-sと約10cm2/V-sの間である場合がある。移動度の増加は、キャリヤの濃度と相関しない。従って、移動度の改善は、キャリヤの分散が少ない結果かもしれない。移動度は、窒素の添加が用いられない場合には、非常に低いことがあり得る。このようなシナリオで、キャリヤ濃度は、酸素ガス流が増加するにつれて著しく低下する。錫ターゲットに対する基板温度が高いほど移動度が良好になる。一実施形態において、圧力は約5ミリトールと約20ミリトールの間であってもよい。
【0026】
【表2】
【0027】
[0034]ドーパントの量もまた、堆積膜の移動度に影響する場合がある。しかしながら、移動度は、ターゲットがドープされているか否かで窒素ガスフローの増加によってなお通常は増加する。表IIIは、移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に対するドーパントの影響を示すものである。ドーパントは、重量パーセントで示される。アルゴンの流量は、各堆積膜に対して同一であってもよい。表IIIにおいて、アルゴンの流量は120sccmである。ドーパントを用いる時のキャリヤ濃度は、ドーパントが用いられないシナリオにおけるより低くなる。従って、ドーパントは、キャリヤ濃度を調整するのに用いることができる。
【0028】
【表3】
【0029】
[0035]表IVは、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に関する酸素ガスフローの影響を示すものである。一般に、一定の窒素ガスフロー下に膜の移動度は酸素フローが増加するにつれて増加するが、更に酸素流量の増加で低下する。アルゴン流量は、各堆積膜に対して同一であってもよい。表IVにおいて、アルゴン流量は120sccmである。一実施形態において、窒素含有ガスと酸素含有ガスとの比が約10:1未満であると膜の移動度が低下する。移動度の増加は、酸素の流量が増加するのにつれてキャリヤ濃度の増加に関係しない。ドーパントが用いられる場合、移動度とキャリヤ濃度は低下する場合がある。従って、キャリヤ濃度と移動度は、存在するドーパントの量で調整することができる。
【0030】
【表4】
【0031】
[0036]表Vは、半導体膜の移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に関して加えられる電力密度の影響を示すものである。一般に、電力密度は移動度に大きく影響しないが、電力密度が高いほどキャリヤ濃度と抵抗率は高くなる。一実施形態において、スパッタリングターゲットに加えられる電力密度は、約0.3W/cm2と約1.0W/cm2の間にあってもよい。
【0032】
【表5】
【0033】
[0037]表VIは、半導体膜を堆積させるのに酸素含有ガスとしてN2Oを用いることの影響を示すものである。N2Oガスは、半導体膜の移動度を上昇させ且つかなり低いキャリヤ濃度を得るのに酸素含有ガスとして有効である。
【0034】
【表6】
【0035】
[0038]表VIIは、錫と、酸素と、窒素を含む半導体膜の化学分析を示し、X線光電子分光計(XPS)を用いて膜に対する酸素含有ガスの影響を示すものである。膜1は、錫ターゲットを360秒間スパッタすることによって堆積させ、400WのDCバイアスをスパッタリングターゲットに加えた。アルゴンを60sccmの流量で処理チャンバに導入し、窒素を200sccmの流量で導入し、酸素を5sccmの流量で導入した。堆積は、摂氏250度の温度で行った。膜1は、膜1の炭素含量が22.5原子パーセント、窒素含量が19.4原子パーセント、酸素含量が29.4原子パーセント、フッ素含量が0.7原子パーセント、錫含量が28.1原子パーセントを有した。全部ではないが炭素のほとんどが外来の炭素(即ち、大気にさらされるいかなる試料の表面でも吸着される炭素化合物)から生じることができた。膜2は、錫ターゲットを360秒間スパッタすることによって堆積され、400WのDCバイアスをスパッタリングターゲットに加えた。アルゴンを60sccmの流量で処理チャンバに導入し、窒素を200sccmの流量で導入し、酸素を20sccmの流量で導入した。堆積は摂氏50度の温度で行った。膜2は、17.3原子パーセントの炭素含量、4.5原子パーセントの窒素含量、49.9原子パーセントの酸素含量、0.6パーセントのフッ素含量、27.7原子パーセントの錫含量を有した。全部ではないが炭素のほとんどが外来の炭素(即ち、大気にさらされるいかなる試料の表面でも吸着される炭素化合物)から生じることができた。表VIIに示されるように、酸素流量(つまり、酸素と窒素との比)が増加するのにつれて、酸窒化物含量が増加するだけでなく、酸化錫の含量も増加する。しかしながら、窒化錫含量と酸窒化シリコン含量が低減される。表VIIにおいて、Rは酸素或いは窒素に等しい。
【0036】
【表7】
【0037】
[0039]表VIIIは、スパッタリングによって堆積させたいくつかの半導体膜に対する結果を示している。半導体膜は、亜鉛と、錫と、酸素と、窒素を含んだ。半導体膜は、70原子パーセントの亜鉛含量と30原子パーセントの錫含量を有するスパッタリングターゲットからスパッタ堆積させた。堆積は、摂氏250度の温度で行い、スパッタリングターゲットに400Wの電力を加えた。堆積は、60sccmのアルゴン流量と20sccmの酸素流量下で360秒間行った。データは、窒素流量(つまり、窒素ガスと酸素ガスとの比)が増加するのにつれて半導体膜の移動度も増加することを示している。
【0038】
【表8】
【0039】
亜鉛、酸素、窒素の化合物
[0040]亜鉛と、酸素と、窒素を含む半導体膜を形成するための所要の酸素流量を決定するために、酸素の量は、酸素の量が亜鉛を完全に酸化して酸化亜鉛を形成するのに充分でないように選ばれることになる。供給される酸素含有ガスの量が高すぎる場合には、膜が酸化されすぎることになることから膜の移動度は充分にならない場合がある。亜鉛の酸化量は、透過率に影響することがある。例えば、完全に酸化された亜鉛は、約80パーセントより大きい透過率を有する場合がある。所要の酸素フローを決定する一つのやり方は、窒素ガスを用いることなくアルゴンと酸素ガスを用いて反応性スパッタリングプロセスを行うことである。実験は、異なる酸素流量で行うことができ、可視波長における光透過率を測定することができる。所要の酸素流は、膜が達成することができる最大透過率を持つ直前であってもよい。表IXは、種々の酸素流量で反応的にスパッタ堆積された酸化亜鉛に対する光透過率を示している。一実施形態において、最大の好ましい透過率は、80パーセントである。他の実施形態において、最大の透過率は、ガラスの吸収或いは光の干渉が含まれる場合には、80パーセントにならないことがある。実験は、異なるDCターゲット電力、異なる基板温度、或いはN2Oのような異なる酸素含有ガスを用いる場合さえも有効である。
【0040】
【表9】
【0041】
[0041]所要の酸素ガスフローを決定する他の方法は、上で述べたように窒素をまったく含まないか或いは少量の窒素を与える条件下で酸化亜鉛を形成するように反応性スパッタリングを行い、次にシート抵抗を測定することである。約100オーム/平方と1.0×107オーム/平方の間のシート抵抗を生じる酸素流量が所要の酸素流量であってもよい。
【0042】
[0042]所要の酸素流量を決定するなお他のやり方は、XRD膜構造測定を用いることである。図2A-図2Eは、酸素ガスフローの関数として亜鉛と酸化亜鉛のピークの形成を示す膜のXRDグラフである。図2A-図2Eに示される膜の各々は、600sccm/m3と1,000Wのアルゴン流量と種々の酸素流量において堆積させた。
【0043】
[0043]図2Aは、酸素ガスがスパッタリング中に供給されない場合に形成される膜のXRDグラフを示す図である。種々の強度を持ついくつかの亜鉛のピークが得られた。亜鉛(002)のピークは、約625カウントの強度で約35.5と37の間の2シータ(即ち、入射X線と回折計の検出器の間の角度)に対して示されている。亜鉛(100)のピークは、約450カウントの強度で約38と40の間で示されている。亜鉛(101)のピークは、約1050カウントの強度で約42.5と44の間で示されている。亜鉛(102)のピークは、約325カウントの強度で約53と55の間で示されている。亜鉛(103)のピークは、約300の強度で約69.5と70の間で示されている。亜鉛(110)のピークは、約275カウントの強度で約70と71の間で示されている。亜鉛(002):亜鉛(100):亜鉛(101):亜鉛(102):亜鉛(103):亜鉛(110)に対するピークの高さの比は、約2.27:1.64:3.82:1.182:1.091:1である。すべてのピークは、相同定に対する回折データ(ICDD)PDF2データベース(2004改)に関する国際センターを用いてマークされる。
【0044】
[0044]酸素ガスが50sccm/m3の流量で供給される場合、亜鉛のピークは、図2Bに示されるように強度が低下する。亜鉛(002)のピークは、約500カウントに低下する。亜鉛(100)のピークは、約375カウントに低下する。亜鉛(101)のピークは、約750カウントに低下する。亜鉛(102)のピークは、約250カウントに低下する。亜鉛(110)のピークは、約225カウントに低下し、亜鉛(103)のピークは存在しない。亜鉛(002):亜鉛(100):亜鉛(101):亜鉛(102):亜鉛(110)に対するピークの高さの比は、約2.22:1.67:3.33:1.11:1である。
【0045】
[0045]酸素ガスが100sccm/m3の流量で供給される場合、図2Cに示されるように約375カウントに低下した亜鉛(101)を除いて亜鉛のピークのすべてが消えている。酸素ガスが150sccm/m3の流量で供給される場合、亜鉛のピークは、完全になくなるが、酸化亜鉛(002)のピークが図2Dに示されるように約950カウントの強度で約33.5と35の間に現れる。酸素流量が200sccm/m3に増加される場合、酸化亜鉛(002)のピークは、図2Eに示されるように強度が約1,000カウントに増加する。
【0046】
[0046]XRDデータによれば、供給される酸素の量は、強い酸化亜鉛のピークが150sccm/m3に現れることから、約150sccm/m3未満であるべきである。酸素の流量がチャンバの大きさに比例することは理解されるべきである。従って、チャンバの大きさが大きくなるにつれて、酸素の流量もまた増加することになる。同様に、チャンバの大きさが小さくなるにつれて、酸素流量が減少することになる。
【0047】
[0047]所要の窒素の流量を決定するために、XRDの膜構造測定が用いることができる。図3A-図3Fは、本発明の一実施形態による種々の窒素ガス流量に従って半導体膜の形成を示すXRDグラフである。図3A-図3Fに示される膜の各々は、600sccm/m3のアルゴン流量、2000W、100sccm/m3の酸素流量、種々の窒素流量で堆積させた。
【0048】
[0048]図3Aは、窒素無しで堆積させた薄膜のXRDグラフを示す図である。グラフは、約575カウントの強度を有する酸化亜鉛(101)と亜鉛(002)の約35と約37の間のピーク、380カウントの強度を有する亜鉛(100)の約38と40の間のピーク、約700カウントの強度を有する亜鉛(101)の約42.5と44の間のピークを含むいくつかの強いピークを表している。約390カウントの強度を有する約35.5と約37の間の亜鉛(002)、275カウントの強度を有する約53と55の間の亜鉛(102)、約225カウントの強度を有する約69.5と70の間の亜鉛(103)、約225カウントの強度を有する約70と71の間の亜鉛(110)のより小さなピークも存在している。酸化亜鉛(101):亜鉛(002):亜鉛(100):亜鉛(101):酸化亜鉛(002):亜鉛(102):亜鉛(103):亜鉛(110)に対するピークの高さの比は、約2.55:2.55:1.24:3.11:1.73:1.22:1:1である。
【0049】
[0049]窒素が300sccm/m3の流量で反応性スパッタリング中に供給される場合、亜鉛と酸化亜鉛のピークは、酸化亜鉛が図3Bに示されるようにもはや存在しない点で著しく低下している。窒素の流量が500sccm/m3に増加される場合、すべての亜鉛と酸化亜鉛のピークは低下し、膜は図3Cに示されるようにアモルファス構造を持っている。
【0050】
[0050]窒素の流量が1000sccm/m3に増加される場合、図3Dに示されるように二つのピークが現れる。Zn3N2(222)の第一のピークは、約2050カウントの強度で約31と33の間で形成された。Zn3N2(411)の第二のピークは、約1850カウントの強度で約35と42の間で形成された。Zn3N2(222):Zn3N2(411)に対するピークの高さの比は、約1.11:1である。窒素ガスの流量が1,250sccm/m3に増加される場合、図3Eに示されるようにZn3N2(222)のピークは、約2500カウントに増大し、Zn3N2(411)のピークは、約2600カウントに増大する。Zn3N2(222):Zn3N2(411)に対するピークの高さの比は、約0.96:1である。窒素の流量が2,500sccm/m3に増加される場合、Zn3N2(222)のピークとZn3N2(411)は、約2350と2050にそれぞれ弱まるが、Zn3N2(400)の新しいピークが図3Fに示されるように約1700の強度で約36と37.5の間に展開する。Zn3N2(222):Zn3N2(411):Zn3N2(400)に対するピークの高さの比は、約1.38:1.21:1である。
【0051】
[0051]XRDデータによれば、供給される窒素の量は、膜に本質的に酸化亜鉛が存在しないほど、300sccm/m3において酸化亜鉛のピークが著しく低下することから、約300sccm/m3を超えるべきである。窒素の流量がチャンバの大きさに比例することは理解されるべきである。従って、チャンバの大きさが増加すると、窒素の流量もまた増加する。同様に、チャンバの大きさが小さくなるのにつれて、窒素の流量も低減する。
【0052】
[0052]それ故、上記の酸素流量と上記の窒素流量を合わせると、本明細書に述べられる新しい半導体膜が約2:1を超える窒素と酸素の流量によって堆積させることができる。一実施形態において、窒素と酸素の流量比は、10:1〜約50:1であってもよい。なお他の実施形態において、窒素と酸素の流量比は、20:1であってもよい。
【0053】
[0053]半導体材料を製造するために、窒素含有ガスの流量は、上で述べたように酸素含有ガスの流量より非常に大きくてもよい。堆積された半導体材料は、アモルファスシリコンより大きい移動度を有する場合がある。表Xは、本発明の一実施形態に従って窒素ガスの流量の関数として移動度を示すものである。
【0054】
【表10】
【0055】
[0054]0sccmの酸素の条件下で堆積された膜は、窒素ガスのすべての流量に対して5cm2/V-s未満の移動度を有した。25sccm/m3の酸素の条件下で堆積された膜は、1,500sccm/m3の窒素流量に対して約8cm2/V-sと2500sccm/m3の窒素流量に対して約15cm2/V-sの移動度を有した。200sccm/m3の酸素の条件下で堆積された膜は、1500sccm/m3の窒素流量に対して約1cm2/V-sと2500sccm/m3の窒素流量に対して約10cm2/V-sの移動度を有した。250sccm/m3の酸素の条件下で堆積された膜は、500sccm/m3の窒素流量に対して約5cm2/V-s、1500sccm/m3の窒素流量に対して約2cm2/V-sと2500sccm/m3の窒素流量に対して約12cm2/V-sの移動度を有した。
【0056】
[0055]50sccm/m3と150sccm/m3の間の酸素流量で堆積された膜に対して、膜の移動度は、25sccm/m3以下の酸素流量で堆積された膜と200sccm/m3以上の酸素流量で堆積された膜にわたって著しく増加した。更に、50sccm/m3と150sccm/m3の間の酸素流量で堆積された薄膜は、アモルファスシリコンよりはるかに大きい移動度を有している。1000sccm/m3と2500sccm/m3の間の窒素流量で、膜の移動度は、たいていの場合、22cm2/V-sより高かった。約1cm2/V-sの移動度を有するアモルファスシリコンと比べた場合、亜鉛、酸素、及び窒素を含有する半導体膜は、移動度が著しく改善される。つまり、約10:1〜約50:1の窒素と酸素とのガス流量比は、アモルファスシリコンの移動度の20倍を超え、ポリシリコンの移動度の2倍を超える移動度を有する半導体膜を製造することができる。表は窒素ガスと酸素ガスの個々の流量を示しているが、酸素ガスと窒素ガスの流量がチャンバの大きさに相対しているので、異なるチャンバの大きさを考慮するのに大きさが変えられることは理解されるべきである。
【0057】
[0056]表XIは、本発明の一実施形態に従って窒素ガス流量の関数としてシート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率を示すものである。約10:1と約50:1の間の窒素ガスと酸素ガスの流量比に対して、亜鉛と、酸素と、窒素を含む半導体層のシート抵抗は、約100オーム/平方と約10000オーム/平方の間であり得る。窒素の流量と酸素の流量の双方の増加において、電子のキャリヤ濃度は低下する。結果として、抵抗率が増加する。
【0058】
【表11】
【0059】
[0057]アニーリングもまた、亜鉛と、酸素と、窒素を含有する半導体膜の移動度を著しく上昇させる。表XIIは、本発明の一実施形態に従うアニーリング後の窒素ガス流量の関数として移動度を示すものである。アニーリング後、移動度は、50cm2/V-sを超えることになる。一実施形態において、移動度は、アニーリングによって90cm2/V-sを超えるまで増加させることができる。アニーリングは摂氏400度の温度で窒素雰囲気中で約5分間行うことができる。
【0060】
【表12】
【0061】
[0058]ドーパントの量もまた、亜鉛と、酸素と、窒素を含有する半導体膜の移動度に影響する場合がある。表XIIIと表XIVは、アルミニウムでドープされる亜鉛のスパッタリングターゲットを反応的にスパッタリングした時の種々の窒素と酸素の流量に対する移動度、シート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率を示すものである。従って、スパッタリングターゲットにおけるドーパントの量は、所定の移動度、シート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率が達成されることを確実にするように調整することができる。
【0062】
【表13】
【0063】
【表14】
【0064】
[0059]サセプタの温度もまた、半導体膜の移動度に影響することがある。表XVは、摂氏30度、摂氏50度、摂氏95度の温度で亜鉛のスパッタリングターゲットをスパッタする際の種々の窒素流量に対する移動度、シート抵抗、キャリヤ濃度、抵抗率を示すものである。表XVから見られるように、反応性スパッタリングは、室温に近づく温度を含む摂氏400度より著しく低い温度でアモルファスシリコンとポリシリコンより高い移動度を有する半導体膜を効果的に形成することができる。従って、アニーリングがなくても、半導体膜は、アモルファスシリコンより高い移動度を有することになる。
【0065】
【表15】
【0066】
[0060]電力が個々の値として本明細書に記載されてもよいが、スパッタリングターゲットに加えられる電力がターゲットの面積に比例することは理解されるべきである。つまり、約10W/cm2と約100W/cm2の間の電力値が、一般的には、所要の結果を達成するであろう。表XVIは、1500sccm/m3と2500sccm/m3の窒素ガスフローに対する移動度、キャリヤ濃度、抵抗率に関する加えられたDC電力の影響を示すものである。約1000Wと2000Wの間の電力レベルによって、移動度がアモルファスシリコンより著しく大きい半導体膜が得られる。
【0067】
【表16】
【0068】
[0061]上で述べた堆積技術に従って堆積された薄膜は、ZnNxOyのような亜鉛と、窒素と、酸素を有する三元化合物半導体材料を含むことができる。一実施形態において、三元化合物半導体材料は、ZnNxOy:Alのようにドープされてもよい。三元半導体化合物は、高い電子移動度と高い電子キャリヤ密度を有する酸化亜鉛と対照的に、室温で堆積された場合に高い移動度と低い電子キャリヤ密度を有する場合がある。一実施形態において、三元化合物は、30cm2/V-sより高い移動度と1.0e+19#/ccより低い電子キャリヤ密度を有する。膜が摂氏約400度でアニールされる場合、膜の結晶方向と組成を変えることなく移動度を100cm2/V-cmを超えるまで増加させることができ、電子キャリヤ密度は1.0e+18#/cc未満である。高い移動度と低い電子密度は、膜がアモルファス化合物或いは不充分な方向性の結晶化合物である場合でさえ三元化合物に対して達成することができる。
【0069】
[0062]三元化合物の光学バンドギャップは、また、酸化亜鉛に比べて改善することができる。酸化亜鉛は、典型的には、約3.2eVのバンドギャップを有する。他方、亜鉛と、窒素と、酸素を含む三元化合物は、約3.1eVから約1.2eVまでのバンドギャップを有する場合がある。バンドギャップは、窒素と酸素の流量比、電力密度、圧力、アニーリング、堆積温度のような堆積パラメータを変えることによって調節することができる。低いバンドギャップにより、三元化合物は、光電池デバイスや他の電子デバイスに有益である。摂氏600度のような非常に高い処理温度で、三元膜は、p型或いはn型の半導体材料に変換することができる。アニーリング或いはプラズマ処理は、化合物構造と化学成分を基本的に変えることなく微調整することができる。微調整により、化合物の特性が調整されて、化合物を用いることができるデバイスの性能要求を満たすことを可能にする。
【0070】
[0063]三元化合物は、TFTデバイスにおける透明な半導体層、光電池デバイス或いはソーラーパネルにおける化合物層、或いはセンサデバイスにおける化合物層として有益である。図4A-図4Gは、本発明の一実施形態による底部ゲートTFT400を形成するためのプロセス順序を示すものである。TFTは、基板402を含んでもよい。一実施形態において、基板402はガラスを含んでもよい。他の実施形態において、基板402は、ポリマーを含んでもよい。他の実施形態において、基板は、プラスチックを含んでもよい。なお他の実施形態において、基板は、金属を含んでもよい。
【0071】
[0064]基板の上に、ゲート電極404が形成されてもよい。ゲート電極404は、TFT内の電荷キャリヤの移動を制御する導電層を備えていてもよい。ゲート電極404は、アルミニウム、タングステン、クロム、タンタル、又はこれらの組み合わせのような金属を備えていてもよい。ゲート電極404は、スパッタリング、リトグラフィ、エッチングを含む従来の堆積技術を用いて形成することができる。ゲート電極404の上に、ゲート誘電層406が堆積されてもよい。ゲート誘電層406は、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、又はこれらの組み合わせを含むことができる。ゲート誘電層406は、プラズマ増強型化学気相堆積(PECVD)を含む周知の堆積技術によって堆積させることができる。
【0072】
[0065]ゲート誘電層406の上に、アクティブチャンネル408(即ち、半導体層)が図4Bに示されるように形成されてもよい。一実施形態において、アクティブチャンネル408はアニールされる。他の実施形態において、アクティブチャンネル408は、プラズマ処理にさらされる。アニーリング及び/又はプラズマ処理は、アクティブチャンネル408の移動度を増加させることができる。アクティブチャンネル408は、上で述べたように亜鉛と、酸素と、窒素を有する三元化合物を含むことができる。一実施形態において三元化合物はアルミニウムでドープされる。アクティブチャンネル408が一旦堆積されると、ソース・ドレイン層410は、図4Cに示されるようにアクティブチャンネル408の上に堆積されてもよい。一実施形態において、ソース・ドレイン層410は、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、及びこれらの組み合わせのような金属を含むことができる。アクティブチャンネル408とソース・ドレイン電極を画成するために、ソース・ドレイン層とアクティブチャンネル408のいずれもがエッチングされてもよい。
【0073】
[0066]図4Dに示されるように、マスク412がソース・ドレイン層410の上に配置されてもよい。マスク412は、所定のパターンを有し得る。パターン現像がその後に続くフォトレジスト堆積を含む従来の技術によってソース・ドレイン層410の上にマスク412が配置されてもよい。
【0074】
[0067]アクティブチャンネル408とソース・ドレイン層410は、図4Eに示されるように同時にエッチされてもよい。図4Fは、図4Eの平面図である。図4Eと図4Fに見られるように、アクティブチャンネル408は、エッチングによってさらされてもよい。一実施形態において、アクティブチャンネル408は、ソース・ドレイン層410とアクティブチャンネル408の一部の双方をウェットエッチングによってさらされてもよい。他の実施形態において、ソース・ドレイン層410は、ドライエッチングに続いてアクティブチャンネル408の一部をウェットエッチングされてもよい。他の実施形態において、ソース・ドレイン層410は、アクティブチャンネル408をエッチングすることなくエッチングされてもよい。一実施形態において、ドライエッチングは、塩素、酸素、フッ素、或いはこれらの組み合わせより選ばれる元素を含有するガスで行われてもよい。
【0075】
[0068]アクティブチャンネル408をさらした後、エッチング停止層としてアクティブチャンネル408を用いてソース・ドレイン層410をドライエッチングすることによってソース・ドレイン電極を画成することができる。図4Gは、さらされたアクティブチャンネル408と画成されたソース電極414とドレイン電極416を示す平面図である。アクティブチャンネル408は、亜鉛と、酸素と、窒素(ある実施形態においては、アルミニウム)を含む三元化合物がプラズマで効果的にエッチングされないことがあることから、ドライプラズマエッチング中にエッチング停止層として機能することができる。
【0076】
[0069]図5は、本発明の一実施形態によるエッチング停止TFT500の概略断面図である。エッチング停止TFTは、基板502と、ゲート電極504と、ゲート誘電体層506を備えていてもよい。エッチング停止TFT500は、図4A-図4Gにおいて上で示される底部ゲートTFTに同じであるが、エッチング停止510は、ソース電極512とドレイン電極514の間のアクティブチャンネル508の上に存在してもよい。基板502、ゲート電極504、ゲート誘電体506、アクティブチャンネル508、ソース電極512、ドレイン電極514のための材料は、底部ゲートのTFTに関連して上で記載した通りであってもよい。エッチング停止510は、シリコンと、酸素と窒素の一つ以上を含む誘電材料であってもよい。
【0077】
[0070]図6は、本発明の一実施形態による最上部ゲートTFT600の概略断面図である。最上部ゲートTFT600は、その上に堆積された光シールディング層604を有する基板602を含んでもよい。誘電体層606は、光シールディング層604の上に堆積されてもよい。ソース電極608とドレイン電極610は、誘電体層606の上に堆積されてもよい。アクティブチャンネル層612は、ソース電極608とドレイン電極610の上に堆積されてもよい。ゲート誘電体層614は、アクティブチャンネル層612の上に堆積されてもよく、ゲート電極616は、ゲート誘電体層614の上に堆積されてもよい。基板602、ゲート電極616、ゲート誘電体層614、アクティブチャンネル612、ソース電極608、ドレイン電極610のための材料は、底部ゲートTFTに関連して上で記載された通りであってもよい。最上部ゲートTFT600の形成において、チャンネルと電極の接触領域が、ウェットエッチング或いはドライエッチングに続いてウェットエッチングによって形成されてもよい。次に、接触領域が、エッチング停止層としてアクティブチャンネルを用いるドライエッチングによって画成されてもよい。
【0078】
[0071]図7は、本発明の一実施形態によるアクティブ・マトリクスLCD700の概略図である。図7は、液晶材料がその間に挟まれたTFT基板と色フィルタ基板を示す。TFTは、電界を作るピクセル電極への電流を制御して、液晶材料の方向、従って、色フィルタを通して透過される光の量を制御する。TFTは、ガラス基板上にマトリクスで配置される。具体的なピクセルを指定するために、適当な列のスイッチオンされ、次に、電荷が正しい行に送られる。行が交わるその他の列のすべてがターンオフされるので、指定されたピクセルにおけるコンデンサだけが電荷を受ける。コンデンサは、次のリフレッシュサイクルまで電荷を保持することができる。結晶に供給される電圧の量が制御される場合には、結晶は何らかの光を通すに十分なだけよりを解くことになる。
【0079】
[0072]図7に示されるアクティブマトリクスLCD700は、TFT714によって制御することができる。TFT714は、ピクセルをオンしたりオフしたりすることができる。LCD700は、結合パッド706、ピクセル電極708、ストレージコンデンサ728、ポラライザ702、基板704、アライメント層710、スペーサ712、ショート716、シール718、ブラックマトリクス720、色フィルタ724、共通の電極724を備えていてもよい。
【0080】
[0073]図8は、本発明の一実施形態によるアクティブ・マトリクスOLED800の概略図である。図8は、OLEDの放出有機層に加えられる電流の量を制御するTFTを示す。アクティブ・マトリクスOLEDは、カソード、有機分子、アノードの全層を有するが、アノード層は、マトリクスを形成するTFTアレイに重なる。TFTアレイ自体は、どのピクセルがオンされて画像を形成するかを決定する回路である。アクティブ・マトリクスOLEDは、TFTアレイが外部回路より少ない電力を必要とすることから、パッシブ・マトリクスOLEDより少ない電力消費であるので、これらは大型ディスプレイに効率的である。アクティブ・マトリクスOLEDは、また、ビデオに適したより速いリフレッシュ速度を有する。アクティブ・マトリクスOLEDは、コンピュータモニタ、大型スクリーンのTV、電子署名、電子掲示板に用いられてもよい。
【0081】
[0074]OLED800は、ピクセルをオンしたりオフしたりするTFT802によって制御することができる。OLED800は、TFT802、アノード804、ホール注入層806、イオン化層808、バッファ層810、透明カソード812、放出層814、封入層816を備えている。
【0082】
[0075]図9A-図9Cは、種々のアクティブチャンネルの長さと幅に対するVthを示す図である。図9Aは、40μmの長さと10μmの幅に対するVthを示す図である。図9Bは、80μmの長さと10μmの幅に対するVthを示す図である。図9Cは、80μmの長さと20μmの幅に対するVthを示す図である。図9A-図9Cの各々において、三元化合物アクティブ層が高いオン・オフ比と高い電流を有するということが示されている。
【0083】
[0076]図10A-図10Cは、共通の長さと幅を有するアクティブチャンネルに対するVthの比較を示す。アクティブチャンネルの長さは、40μmで、幅は10μmである。図10Aは、アモルファスシリコンに対するVthである。図10Bは、アニーリング無しの三元化合物である。図10Cは、アニーリング後の三元化合物である。図10Bの三元化合物TFTは、10Vにおけるアモルファスシリコンに対するドレイン・ソース電流より高いVg=1におけるドレイン・ソース電流を有している。それ故、アニーされていない膜は、アモルファスシリコンより約10倍良好である。
【0084】
[0077]図10Cにおいてアニールされた膜は更に良好である。アニールされた膜は、アニールされていない膜に比べて高い飽和電流を有している。Vd=0.1Vにおけるアニールされた膜に対するソース・ドレイン電流は、Vd=10VにおけるアモルファスシリコンTFTの電流に近い。従って、アニールされた膜は、アモルファスシリコンより約100倍良好である。
【0085】
[0078]上記TFTの性能は、アクティブ層キャリヤ濃度、アクティブ層移動度、他の層との接合部におけるアクティブ層の特性を変えることによって調節或いは調整することができる。TFTは、膜堆積中に窒素含有ガス流量を変えることによって調整されてもよい。上述したように、アクティブ層のスパッタ堆積に用いられる窒素含有ガスと酸素含有ガスとの比が、移動度、キャリヤ濃度、又は他の要素に影響する場合がある。使用者は、キャリヤ濃度、移動度、又は他の特性に対するあらかじめ決められた値を設定し、次に、窒素と酸素との流量を調節して、それに応じて所要の膜特性を得ることができる。調節は、堆積プロセスの実時間制御を可能にするインサイチュ測定に応じて行われる。
【0086】
[0079]TFTは、また、アルミニウムのドーピングの量で調整することができる。アルミニウムのドーピングの量は、あらかじめ決められている場合があるので、適当な組成のスパッタリングターゲットを処理チャンバ内に配置することができる。更に、TFTは、堆積後或いは他の膜との一体化中にアクティブ層をアニーリング及び/又はプラズマ処理ことによって調整されてもよい。上述したように、三元化合物を熱処理することにより、膜の移動度を増加させることができる。
【0087】
[0080]酸素と、窒素と、亜鉛、錫、ガリウム、インジウム、及びカドミウムからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含むTFTは、アモルファスシリコンで作られるTFTより増加した移動度を有している。TFTの増加した移動度は、TFTをLCDに用いられることを可能にするだけでなく、また次世代のディスプレイ、OLEDにも使われることを可能にする。
【0088】
[0081]これまでの内容は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の多くの実施形態が本発明の基本範囲から逸脱することなく構成されてもよく、本発明の範囲は、以下の特許請求範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0089】
100…チャンバ、102…基板、104…ターゲット、106…サセプタ、108…リフトピン、110…接地ストラップ、112…アクチュエータ、114…真空ポンプ、116…バッキングプレート、118…マグネトロン、120…空間シールド、122…チャンバシールド、124…アノード、126…ガス導入管、130…ブラケット、400…底部ゲートTFT、402…基板、404…ゲート電極、406…ゲート誘電体層、408…アクティブチャンネル、410…ソース・ドレイン層、412…マスク、500…エッチング停止TFT、502…基板、504…ゲート基板、506…ゲート誘電体層、508…アクティブチャンネル、510…エッチング停止、512…ソース電極、514…ドレイン電極、600…最上部ゲートTFT、602…基板、604…光シールディング層、606…誘電体層、608…ソース電極、610…ドレイン電極、612…アクティブチャンネル層、614…ゲート誘電体層、616…ゲート電極、700…アクティブマトリクスLCD、702…ポラライザ、704…基板、706…結合パッド、708…ピクセル電極、710…アラインメント層、712…スペーサ、714…TFT、716…ショート、718…シール、720…ブラックマトリクス、724…色フィルタ、724…共通の電極、728…ストレージコンデンサ、800…OLED、802…TFT、804…アノード、806…ホール注入層、808…イオン化層、810…バッファ層、812…透明カソード、814…放出層、816…封入層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタであって、
酸素と、窒素と、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、ガリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体層
を含む、前記トランジスタ。
【請求項2】
該トランジスタが、最上部ゲート薄膜トランジスタである、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項3】
基板、
該基板の上に配置されたゲート電極、
該ゲート電極の上に配置されたゲート誘電体層、
該ゲート誘電体層の上に配置された半導体層、及び
該半導体層の上に配置され、アクティブチャンネルを画成するように離れて隔置されたたソース・ドレイン電極、
を更に備える、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項4】
該アクティブチャンネルにおける該半導体層の上に配置されたエッチング停止層を更に備える、請求項3に記載のトランジスタ。
【請求項5】
該半導体層が、約50cm2/V-sを超える移動度を有する、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項6】
該半導体層が、更に、Al、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、Ni、Mn、Cr、V、Mg、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるドーパントを含む、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項7】
薄膜トランジスタの製造方法であって、
基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、そのアクティブチャンネル層が酸素と、窒素と、亜鉛、錫、インジウム、ガリウム、カドミウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップ、
を含む、前記方法。
【請求項8】
基板とゲート電極の上にゲート誘電体層を堆積させるステップと、
該ゲート誘電体層の上に半導体層を堆積させるステップと、
該半導体層の上に導電層を堆積させるステップと、
該導電層をエッチングして、ソース・ドレイン電極とアクティブチャンネルを画成するステップと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該導電層を堆積させる前に該半導体層の上にエッチング停止層を堆積させるステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該半導体層が、更に、Al、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、Ni、Mn、Cr、V、Mg、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるドーパントを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
該半導体層が、約50cm2/V-sを超える移動度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
該半導体層をアニールすることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
該堆積させるステップが、窒素含有ガスと酸素含有ガスをチャンバに供給する工程と、亜鉛、錫、インジウム、ガリウム、カドミウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素を含むターゲットをスパッタする工程とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
該堆積中に供給される該窒素含有ガスの量を変えるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薄膜トランジスタ製造方法であって、
基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、該半導体層が、酸素と、窒素と、充填s軌道と充填d軌道を有する元素、充填f軌道を有する元素、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップと、
該半導体層の上にソース・ドレイン電極層を堆積させるステップと、
該ソース・ドレイン電極層と該半導体層を第一エッチングして、該アクティブチャンネルを作成するステップと、
該ソース・ドレイン電極層を第二エッチングして、ソース・ドレイン電極を画成するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項16】
該半導体層が、約50cm2/V-sを超える移動度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該堆積中に供給される該窒素含有ガスの量を変えるステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
該半導体層が、更に、Al、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、Ni、Mn、Cr、V、Mg、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるドーパントを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
該半導体層をアニールするステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
該ソース・ドレイン電極層を堆積させる前に該半導体層の少なくとも一部の上にエッチング停止層を堆積させるステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項1】
薄膜トランジスタであって、
酸素と、窒素と、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、ガリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む半導体層
を含む、前記トランジスタ。
【請求項2】
該トランジスタが、最上部ゲート薄膜トランジスタである、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項3】
基板、
該基板の上に配置されたゲート電極、
該ゲート電極の上に配置されたゲート誘電体層、
該ゲート誘電体層の上に配置された半導体層、及び
該半導体層の上に配置され、アクティブチャンネルを画成するように離れて隔置されたたソース・ドレイン電極、
を更に備える、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項4】
該アクティブチャンネルにおける該半導体層の上に配置されたエッチング停止層を更に備える、請求項3に記載のトランジスタ。
【請求項5】
該半導体層が、約50cm2/V-sを超える移動度を有する、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項6】
該半導体層が、更に、Al、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、Ni、Mn、Cr、V、Mg、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるドーパントを含む、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項7】
薄膜トランジスタの製造方法であって、
基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、そのアクティブチャンネル層が酸素と、窒素と、亜鉛、錫、インジウム、ガリウム、カドミウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップ、
を含む、前記方法。
【請求項8】
基板とゲート電極の上にゲート誘電体層を堆積させるステップと、
該ゲート誘電体層の上に半導体層を堆積させるステップと、
該半導体層の上に導電層を堆積させるステップと、
該導電層をエッチングして、ソース・ドレイン電極とアクティブチャンネルを画成するステップと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該導電層を堆積させる前に該半導体層の上にエッチング停止層を堆積させるステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該半導体層が、更に、Al、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、Ni、Mn、Cr、V、Mg、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるドーパントを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
該半導体層が、約50cm2/V-sを超える移動度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
該半導体層をアニールすることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
該堆積させるステップが、窒素含有ガスと酸素含有ガスをチャンバに供給する工程と、亜鉛、錫、インジウム、ガリウム、カドミウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素を含むターゲットをスパッタする工程とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
該堆積中に供給される該窒素含有ガスの量を変えるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薄膜トランジスタ製造方法であって、
基板の上に半導体層を堆積させるステップであって、該半導体層が、酸素と、窒素と、充填s軌道と充填d軌道を有する元素、充填f軌道を有する元素、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる一つ以上の元素とを含む、前記ステップと、
該半導体層の上にソース・ドレイン電極層を堆積させるステップと、
該ソース・ドレイン電極層と該半導体層を第一エッチングして、該アクティブチャンネルを作成するステップと、
該ソース・ドレイン電極層を第二エッチングして、ソース・ドレイン電極を画成するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項16】
該半導体層が、約50cm2/V-sを超える移動度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該堆積中に供給される該窒素含有ガスの量を変えるステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
該半導体層が、更に、Al、Ca、Si、Ti、Cu、Ge、Ni、Mn、Cr、V、Mg、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるドーパントを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
該半導体層をアニールするステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
該ソース・ドレイン電極層を堆積させる前に該半導体層の少なくとも一部の上にエッチング停止層を堆積させるステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2010−535431(P2010−535431A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520218(P2010−520218)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/071890
【国際公開番号】WO2009/018509
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/071890
【国際公開番号】WO2009/018509
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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