説明

薬剤共結晶組成物および関連した使用方法

本発明は、APIと共結晶形成剤の共結晶を含んで成る薬剤組成物およびそれの製造および使用方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は2004年6月17日付けで出願した米国仮出願連続番号60/580,661、2004年7月6日付けで出願した米国仮出願連続番号60/585,808、2004年10月22日付けで出願した米国仮出願連続番号60/621,485、2004年11月17日付けで出願した米国仮出願連続番号60/628,701(これらの内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権の利点を請求するものである。
【0002】
本発明はAPI含有共結晶(co−crystal)組成物、前記APIを含有させた薬剤組成物およびそれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤組成物に入れる活性薬材料[APIまたはAPIs(複数)]の調製はいろいろな異なる形態で実施可能である。そのようなAPIsの調製はこれらが異なるいろいろな化学的形態を持つように実施可能であり、そのような形態には化学的誘導体または塩が含まれる。そのようなAPIsの調製をまたこれらがいろいろな物理的形態を持つように実施することも可能である。例えば、APIsは非晶質であり得るか、いろいろな結晶性同質異像を持ち得るか、或はいろいろな溶媒和または水和状態で存在し得る。APIの形態を変えることでそれの物性を変えることができる。例えば、結晶性同質異像は、典型的に、熱力学的に安定な方の同質異像の方が熱力学的に安定でない方の同質異像よりも溶解度が低いように、互いに異なる溶解度を示す。薬剤の同質異像もまた特性、例えば貯蔵寿命、生体利用度、形態、蒸気圧、密度、色および圧縮性などが異なる可能性がある。従って、APIの結晶状態を変えることがそれの物性を調節する数多くの方法の中の1つである。
【0004】
改善された特性、特に経口用製剤として改善された特性を有する新規な形態のAPIsが得られたならば、これは有利である。具体的には、有意に向上した特性を示すように改善された形態のAPIsを同定することができれば、これは望ましいことであり、そのような特性には水溶性および安定性の向上が含まれる。その上、薬製剤の加工性または調製を改良することができれば、これも望ましいことである。例えば、針様の結晶形態または晶癖のAPIsは、APIが他の物質と混ざり合っている組成物の中でさえ凝固する可能性があり、その結果として得られる混合物は不均一である。また、API含有薬剤組成物が水中で示す溶出速度を高くするか或は低くすることができ、経口投与された組成物の生体利用度を高くするか或は低くすることができ、そして治療効果開始を速めるか或は遅くすることができれば、これも望ましいことである。また、現在公知の形態のAPIを相当する量で用いた時に比べて被験体に投与された時にピーク血漿中濃度に到達するまでの時間が長いか或は短く、血漿中治療濃度持続時間が長くそして全体としての露出度が高いか或は低い形態のAPIが得られたならば、これも望ましいことである。この上で考察した改善された特性の改善を特定のAPIが示す特定の治療効果にとって最も有益な様式で実施することができるようにする。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
ここに、APIsの特性が共結晶ではない状態(遊離酸、遊離塩基、両性イオン、塩など)のAPIsに比べてしばしば改善されているAPIsの新規な共結晶形態を得ることができることを見いだした。
【0006】
従って、本発明は、1番目の面において、APIと共結晶形成剤(co−crystal former)が結晶化条件下で固体または溶液相から共結晶化し得るようにAPI化合物と共結晶形成剤を含んで成る共結晶薬剤組成物を提供する。
【0007】
別の面において、本発明は、室温で液体または固体であるAPIと室温で固体である共結晶形成剤を含んで成っていて前記APIと共結晶形成剤が互いに水素結合している薬剤共結晶組成物を提供する。
【0008】
本発明は、1番目の態様において、カルバマゼピンと4−アミノ安息香酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、カルバマゼピンと4−アミノ安息香酸と水を含んで成る共結晶を提供する。
【0009】
本発明は、別の態様において、グリブリドとTRISを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、マレイン酸フルコナゾールとマレイン酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、ピラセタムを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、ピラセタムとゲンチシン酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、ピラセタムと4−ヒドロキシ安息香酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、カルバマゼピンとアセチルサリチル酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、カルバマゼピンと桂皮酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、スタブジンを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、スタブジンとメラミンを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、スタブジンと2−アミノピリジンを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、更に、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)の蟻酸溶媒和物も包含する。
【0010】
別の態様では、共結晶の調製をAPIと共結晶形成剤と少量の溶媒を製粉または粉砕することで実施する。
【0011】
別の態様では、APIと共結晶形成剤を含んで成る薬剤共結晶組成物を製造する方法を提供し、この方法は、
(a)適切な溶媒およびAPIおよび室温で固体である共結晶形成剤を準備し、
(b)前記APIと共結晶形成剤と少量の適切な溶媒を粉砕することで、前記APIと共結晶形成剤が互いに水素結合している固相を生じさせ、そして
(c)そのようにして生じさせた共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0012】
別の態様では、前記方法に、更に、前記共結晶を薬剤組成物または薬剤の中に組み込むことも含める。
【0013】
本発明は、別の面において、APIと共結晶形成剤が結晶化条件下で固体または溶液相から共結晶化し得るようにAPI化合物と共結晶形成剤を含んで成る薬剤を提供する。
【0014】
別の面において、本発明は、室温で液体または固体であるAPIと室温で固体である共結晶形成剤を含んで成っていて前記APIと共結晶形成剤が互いに水素結合している薬剤を提供する。
【0015】
本発明のさらなる面では、てんかん、三叉神経痛、またはカルバマゼピンもしくはオクスカルバゼピンが有効な活性薬剤である他の病気にかかっている被験体、好適にはヒト被験体を治療する方法を提供する。この方法は、前記被験体にカルバマゼピンまたはオクスカルバゼピンの共結晶または溶媒和物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0016】
本発明のさらなる面では、APIが有効な活性薬剤であることでAPIで治療可能な病気にかかっている被験体、好適にはヒト被験体を治療する方法を提供する。この方法は、前記被験体にAPI、例えばグリブリド、フルコナゾール、ゲンチシン酸、スタブジンまたはピラセタムなどの共結晶を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書で用いる如き用語「共結晶」は、各々が独特な物性、例えば構造、融点および融解熱などを有する室温(22℃)でユニークな固体2種以上で構成されている結晶性材料を意味するが、APIが室温で液体であると具体的に記述する場合にはそれが室温で液体であってもよいことを除外する。本発明の共結晶はAPIとH結合している共結晶形成剤を含んで成る。その共結晶形成剤はAPIと直接H結合していてもよいか或はAPIと結合している追加的分子とH結合していてもよい。そのような追加的分子はAPIとH結合していてもよいか或はAPIとイオンまたは共有結合していてもよい。そのような追加的分子はまた異なるAPIであってもよい。API化合物の溶媒和物(共結晶形成剤を更に含有しない)は本発明に従う共結晶ではない。しかしながら、そのような共結晶は、結晶格子の中に1種以上の溶媒和分子を含有していても構わない。即ち、共結晶の溶媒和物または溶媒または室温で液体である化合物を更に含有して成る共結晶は本発明に従う共結晶であるが、1種類の固体と1種以上の液体(室温において)のみで構成されている結晶性材料は本発明の目的の共結晶ではないが、この上に記述したように具体的に記述する液状のAPIは除外する。そのような共結晶はまた共結晶形成剤とAPIの塩の間の共結晶であってもよいが、本発明のAPIと共結晶形成剤は水素結合を通して構成されているか或は一緒に結合している。また、分子を正しく評価する他の様式も存在し、それにはパイ−積層、ゲスト−ホスト複合およびファンデルワールス相互作用が含まれる。この上に挙げた相互作用の中で水素結合が共結晶形成における主要な相互作用であり(かつ本発明に従って要求する相互作用であり)、このように、その部分の中の一方の水素結合供与体ともう一方の水素結合受容体の間に非共有結合が形成される。水素結合が形成されると結果としていろいろな分子間配置がいくつかもたらされる可能性がある。例えば、水素結合の結果として二量体、直鎖または環状構造の形成がもたらされる可能性がある。そのような配置には更に延長(二次元)水素結合網状組織および孤立三連構造も含まれ得る。代替態様では、共結晶形成剤が2番目のAPIである共結晶を提供する。別の態様における共結晶形成剤はAPIではない。別の態様における共結晶は2種類の共結晶形成剤を含んで成る。
【0018】
本発明の目的で、共結晶形態のAPIが示す化学的および物理的特性は形態が異なる同じAPIである基準化合物のそれに匹敵する可能性がある。そのような基準化合物は、遊離形態、より具体的には、遊離酸、遊離塩基または両性イオン、塩、より具体的には、例えば無機塩基付加塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アルミニウム塩など、または有機塩基付加塩、または無機酸付加塩、例えばHBr、HCl、硫酸、硝酸または燐酸付加塩など、または有機酸付加塩、例えば酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、こはく酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ステアリン酸または乳酸付加塩など、遊離形態もしくは塩の無水物または水化物、より具体的には、例えば半水化物、一水化物、二水化物、三水化物、四水化物、五水化物、セスキ水化物、または遊離形態または塩の溶媒和物として特定可能である。共結晶形成剤と一緒に結晶化させる塩形態APIの基準化合物は例えばAPI塩形態であってもよい。同様に、共結晶形成剤と一緒に共結晶化させる遊離酸APIの基準化合物は遊離酸APIであってもよい。そのような基準化合物をまた結晶性または非晶性として特定することもあり得る。基準化合物をまたこの基準化合物が示す指定形態の中で最も安定であることが知られている同質異像として特定することもあり得る。
【0019】
本発明に従い、共結晶には、APIの酸付加塩または塩基付加塩も含まれ得る。酸付加塩には、これらに限定するものでないが、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸および燐酸など、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、こはく酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、樟脳スルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタル酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸およびムコン酸などの付加塩が含まれる。塩基付加塩には、これらに限定するものでないが、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩など、および有機塩基、例えば第一級、第二級および第三級アミン[例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリンおよびN−エチルピペリジンなど]などが含まれる。
【0020】
本発明に従い、APIと共結晶形成剤の比率は化学量論的または非化学量論的であってもよい。API:共結晶形成剤の比率は限定されず、例えば1:1、1.5:1、1:1.5、2:1および1:2などが受け入れられる。加うるに、結晶格子の中に空洞部を有する共結晶も本発明に包含させる。結晶格子の中の空洞部が例えば約0.01、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20パーセントまたはそれ以下の共結晶を本発明に包含させる。そのような空洞部は結晶格子からAPI分子が失われるか或は共結晶形成剤分子が失われるか或は両方によって生じ得る。
【0021】
驚くべきことに、APIと選択した共結晶形成剤を用いて共結晶を生じさせると結果としてもたらされる共結晶はしばしばAPIの特性、特に溶解性、溶出、生体利用性、安定性、Cmax、Tmax、加工性(圧縮性を包含)、血漿中治療濃度の長時間持続、吸湿性、非晶質化合物の結晶化、形態多様性(同質異像および晶癖を包含)の低下、形態または晶癖の変化などに関する特性が遊離形態(遊離酸、遊離塩基および両性イオン、水化物、溶媒和物などを包含)または酸もしくは塩基塩の形態のAPIのそれよりも向上していることを見いだした。例えば、APIの共結晶形態は、特に、元々のAPIが水中に溶解しないか或は難溶である場合に有利である。加うるに、共結晶がAPIに与える特性もまた有用である、と言うのは、APIの生体利用度が向上する可能性がありかつAPIの血漿中濃度および/または血清中濃度が向上する可能性があるからである。このことは特に経口投与可能な製剤の場合に有利である。その上、相当する投薬当たりの生物学的活性が向上することでAPIが達成し得る最大の反応が向上しそして/または効力が向上することなどでAPIの用量反応が改善される可能性もある。
【0022】
従って、本発明は、1番目の面において、APIと共結晶形成剤が結晶化条件下で溶液相から共結晶化するか或は固体状態から例えば粉砕、加熱または蒸気移動(例えば共昇華)などで共結晶し得るようにAPIと共結晶形成剤の共結晶を含んで成る薬剤組成物を提供する。別の面では、APIにエーテル、チオエーテル、アルコール、チオール、アルデヒド、ケトン、チオケトン、硝酸エステル、燐酸エステル、チオ燐酸エステル、エステル、チオエステル、硫酸エステル、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、アミド、第一級アミン、第二級アミン、アンモニア、第三級アミン、イミン、チオシアネート、シアナミド、オキシム、ニトリル、ジアゾ、有機ハライド、ニトロ、S複素環式環、チオフェン、N複素環式環、ピロール、O−複素環式環、フラン、エポキシド、パーオキサイド、ヒドロキサム酸、イミダゾールおよびピリジンから選択した少なくとも1種の官能基を持たせ、そして共結晶形成剤にエーテル、チオエーテル、アルコール、チオール、アルデヒド、ケトン、チオケトン、硝酸エステル、燐酸エステル、チオ燐酸エステル、エステル、チオエステル、硫酸エステル、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、アミド、第一級アミン、第二級アミン、アンモニア、第三級アミン、イミン、チオシアネート、シアナミド、オキシム、ニトリル、ジアゾ、有機ハライド、ニトロ、S複素環、複素環式環、チオフェン、N複素環式環、ピロール、O−複素環式環、フラン、エポキシド、パーオキサイド、ヒドロキサム酸、イミダゾールおよびピリジンから選択した少なくとも1種の官能基または本明細書の表に示す官能基を持たせることで、APIと共結晶形成剤が結晶化条件下で溶液相から一緒に結晶化し得るようにする。
【0023】
APIと共結晶形成剤が一緒に水素結合を通して結合する場合に本発明の共結晶が生じる。また、他の非共有相互作用が存在する可能性もあり、それらにはパイ−積層およびファンデルワールス相互作用が含まれる。
【0024】
1つの態様では、共結晶形成剤を表IおよびIIの共結晶形成剤から選択する。他の態様では、表Iの共結晶形成剤をクラス1、クラス2またはクラス3の共結晶形成剤として特定する(表Iの中の標識が「クラス」の縦列を参照)。別の態様では、共結晶形成剤が示すpK値とAPIが示すpK値の差を2未満にする。他の態様では、共結晶形成剤とAPIが示すpK値の差を3未満、4未満、5未満、2から3の範囲、3から4の範囲または4から5の範囲にする。表Iに、複数の官能性を有する共結晶形成剤が示した数多くのpK値を挙げる。個々の官能基が個々のpK値に相当することは本分野の技術者に容易に明らかであろう。
【0025】
別の態様では、APIと相互作用する共結晶形成剤の個々の官能基を特定する(例えば表Iの中の標識が「官能性」および「分子構造」の縦列および表IIの中の標識が「共結晶形成剤の官能基」の縦列を参照)。さらなる態様では、共結晶形成剤の官能基と相互作用するAPIの官能基を特定する(例えば表IIおよびIIIを参照)。
【0026】
別の態様では、共結晶に含める共結晶形成剤を2種以上にする。例えば、2種類、3種類、4種類、5種類またはそれ以上の種類の共結晶形成剤をAPIと一緒に共結晶の中に取り込ませることができる。2種以上の共結晶形成剤とAPIを含んで成る共結晶は水素結合を通して一緒に結合している。1つの態様では、その取り込ませた共結晶形成剤はAPI分子と水素結合している。別の態様では、共結晶形成剤はAPI分子または取り込ませた共結晶形成剤のいずれかと水素結合している。
【0027】
さらなる態様では、潜在的共結晶種に関してAPIを選別することを容易にする目的で、数種の共結晶形成剤を単一の区分室またはキットの中に入れることも可能である。その共結晶キットに含める表IおよびIIに示した共結晶形成剤の数は5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上であってもよい。そのような共結晶形成剤を固体形態または溶液の状態にしそして一団の個々の反応瓶の中に個々の共結晶形成剤に試験を1種以上のAPIを用いて1回以上の結晶化方法で受けさせることができるようにか或は複数の共結晶形成剤に1種以上の化合物に対して試験を1回以上の結晶化方法で容易に受けさせることができるように入れる。そのような結晶化方法には、これらに限定するものでないが、溶融状態の再結晶化、粉砕、製粉、放置、溶液を蒸発させることによる共結晶形成、溶液に熱をかけることで推進させる結晶化、溶液に抗溶媒を添加することによる共結晶形成、溶液に蒸気拡散を受けさせることによる共結晶形成、溶液を押し流すことによる共結晶形成、溶液に上述した技術の任意組み合わせを受けさせることによる共結晶形成、共昇華による共結晶形成、クヌーセンセル装置を用いた昇華による共結晶形成、共結晶の所望成分を溶媒蒸気の存在下で放置することによる共結晶形成、共結晶の所望成分を溶媒もしくは溶媒混合物に入れてスラリー変換を受けさせることによる共結晶形成、または前記技術の任意組み合わせを用いて添加剤、核形成剤、結晶化促進剤、沈澱剤、化学安定剤または抗酸化剤の存在下で起こさせる共結晶形成が含まれる。そのような共結晶化キットは単独で使用可能であるか或はより大きな結晶化実験の一部として使用可能である。例えば、1種類の共結晶形成剤が単一の穴に入っているキット、1種類の共結晶形成剤が複数の穴に入っているキット、複数種の共結晶形成剤が1個の穴に入っているキット、または複数種の共結晶形成剤が複数の穴に入っているキットなどとしてキットを構築してもよい。共結晶形成剤キットを構築しかつ注文に合わせる目的で高処理量の結晶化[例えばCrystalMax(商標)プラットフォーム]を用いることも可能である。一団の共結晶形成剤を貯蔵または使用する目的で例えば多穴プレート(例えば96穴、384穴、1536穴など)を用いることも可能である。
【0028】
本発明は、1つの面において、室温で液体または固体のAPIと室温で固体の共結晶形成剤を含んで成っていて前記APIと共結晶形成剤が互いに水素結合を形成している薬剤共結晶組成物を提供する。
【0029】
さらなる態様では、APIを2003年9月11日付けで出願した米国特許出願番号10/660,202の表IVまたは他の場所に示されているAPIから選択する。2003年9月11日付けで出願した米国出願番号10/660,202は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。前記表に挙げられている薬剤では、共結晶がそのようなAPIを遊離形態(即ち遊離酸、遊離塩基、両性イオン)、塩、溶媒和物、水化物などの形態で含んで成り得る。塩、溶媒和物、水化物などとして挙げられているAPIの場合、そのAPIはその挙げた形態またはそれの相当する遊離形態であるか或は挙げられていない別の形態のいずれかであり得る。さらなる態様では、共結晶形成剤と相互作用する個々のAPIの官能基を特定する。また、共結晶形成剤の特定の官能基、特定の共結晶形成剤、または個々のAPIと相互作用する特定の官能基もしくは特定の共結晶形成剤も特定可能である。表IIでは、共結晶形成剤および場合により特定の官能性および挙げる相当する相互作用基の各々を本発明の個々の種として含めることを特記する。このように、同じ列の中の共結晶形成剤と相互作用基の中の1つの個々の特定組み合わせを本発明の種として特定することができる。同じことが本表および本明細書の他の所で考察する如き他の組み合わせにも当てはまる。
【0030】
本発明の別の態様における共結晶は、APIがR(8)モチーフと一緒に水素結合を通して二量体第一級アミド構造を形成しているAPIを含んで成る。そのような構造では、NH部分もまた例えば共結晶形成剤または追加的(3番目の)分子などに由来する供与体または受容体部分との水素結合に参与している可能性があり、かつC=O部分も共結晶形成剤または追加的分子に由来する供与体部分との水素結合に参与している可能性がある。さらなる態様において、そのような二量体第一級アミド構造物は更に水素結合供与体を1、2、3または4個含んでいる。さらなる態様における二量体第一級アミド構造物は更に水素結合受容体も1または2個含んで成る。さらなる態様における二量体第一級アミド構造物は更に水素結合供与体と受容体の組み合わせも含んで成る。例えば、そのような二量体第一級アミド構造物は更に水素結合供与体を1個と水素結合受容体を1個、水素結合供与体を1個と水素結合受容体を2個、水素結合供与体を2個と水素結合受容体を1個、水素結合供与体を2個と水素結合受容体を2個、または水素結合供与体を3個と水素結合受容体を1個含んで成る可能性がある。二量体第一級アミド共結晶構造を形成するAPIの非限定的2例にはモダフィニルおよびカルバマゼピンが含まれる。第一級アミド官
能基を含有するAPIのいくつかの例には、これらに限定するものでないが、アロチノロール、アテノロール、カルピプラミン、セホテタン、セフスロジン、ドカプロミン、ダリフェナシン、エキサラミド、フィダレスタット、フロバトリプタン、シロドシン、レベチラセタム、MEN−10700、ミゾリビン、オクスカルバゼピン、オキシラセタム、ピラセタム、プロチレリン、TRH、リバビリン、バルレセミド、テモゾロミド、チアゾフリン、アンチPARP−2、レボビリン、N−ベンジルオキシカルボニルグリシナミドおよびUCB−34714が含まれる。
【0031】
本発明に従う方法の各々でAPIを共結晶形成剤と接触させる必要がある。これは2種類の固体を一緒に粉砕または製粉するか或は一方または両方の成分を溶融させた後にそれらを再結晶化させることを伴い得る。顆粒用液体を用いると共結晶の生成が向上するか或は邪魔される可能性がある。共結晶の生成に有用な道具の非限定例には、例えば押出し加工機または乳鉢と乳棒などが含まれ得る。その上、APIと共結晶形成剤の接触にまたAPIを溶解させて共結晶形成剤を添加するか或は共結晶形成剤を溶解させてAPIを添加することのいずれかを伴わせることも可能である。結晶化条件をAPIと共結晶形成剤に適用する。これに溶液の特性、例えばpHまたは温度などを変えることを伴わせてもよく、かつ溶質を濃縮、通常は溶媒の除去、典型的には溶液の乾燥で濃縮する必要もあり得る。溶媒を除去すると結果としてAPIと共結晶形成剤の両方の濃度が経時的に高くなることで結晶化が助長される。例えば蒸発、冷却、共昇華または抗溶媒添加などを用いて共結晶を結晶化させることができる。別の態様では、APIと共結晶形成剤が入っているスラリーを用いて共結晶を生じさせる。結晶がいくらか入っている固相が生じた後、それに試験を本明細書に記述する如く受けさせてもよい。
【0032】
共結晶を大規模および/または商業的規模で製造しようとする場合、本明細書に記述する方法および技術の中の1つ以上を用いることでそれを成功裏に達成することができる。例えば溶媒および粉砕または製粉を用いた共結晶の結晶化が考えられる非限定方法である。
【0033】
別の態様では、共結晶形成剤を過剰量(1:1の共結晶に相当する1モル規定よりも多い量)で用いると化学量論的共結晶の生成が推進されることが分かった。例えば共結晶形成剤を所定共結晶の化学量論的量よりも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100倍またはそれ以上多い量で添加することなどで、化学量が1:1、2:1または1:2の共結晶を製造することができる。そのように共結晶を生じさせる目的で共結晶形成剤を過剰量で用いることは溶液の状態の時にか或はAPIと共結晶形成剤を粉砕して共結晶の生成を推進しようとする時に利用可能である。
【0034】
別の態様において、本発明は、共結晶生成用媒体としてイオン性液体を用いることを提供し、それを用いて共結晶に加えてまた他の形態(例えば塩、溶媒和物、遊離酸、遊離塩基、両性イオンなど)を結晶化させることができる。そのような媒体は、例えば前記方法がうまく働かないか或は制御が困難または不可能な場合に有用である。共結晶生成に有用なイオン性液のいくつかの非限定例は、乳酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、乳酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウムおよびヘキサフルオロ燐酸1−ブチルピリジニウムである。この上に示した方法または技術の中の1つ以上を用いる結果として得た共結晶は容易に通常手段で薬剤組成物の中に組み込み可能である。薬剤組成物を以下に一般的に更に詳細に考察するが、それに更に薬学的に受け入れられる希釈剤、賦形剤または担体を含有させることも可能である。
【0035】
さらなる面において、本発明は、薬剤共結晶を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)エーテル、チオエーテル、アルコール、チオール、アルデヒド、ケトン、チオケトン、硝酸エステル、燐酸エステル、チオ燐酸エステル、エステル、チオエステル、硫酸エ
ステル、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、アミド、第一級アミン、第二級アミン、アンモニア、第三級アミン、イミン、チオシアネート、シアナミド、オキシム、ニトリル、ジアゾ、有機ハライド、ニトロ、S複素環式環、チオフェン、N複素環式環、ピロール、O−複素環式環、フラン、エポキシド、パーオキサイド、ヒドロキサム酸、イミダゾールおよびピリジンから選択または表IIまたはIIIに示す官能基を少なくとも1個持つAPIを準備し、
(2)エーテル、チオエーテル、アルコール、チオール、アルデヒド、ケトン、チオケトン、硝酸エステル、燐酸エステル、チオ燐酸エステル、エステル、チオエステル、硫酸エステル、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、アミド、第一級アミン、第二級アミン、アンモニア、第三級アミン、イミン、チオシアネート、シアナミド、オキシム、ニトリル、ジアゾ、有機ハライド、ニトロ、S複素環式環、チオフェン、N複素環式環、ピロール、O−複素環式環、フラン、エポキシド、パーオキサイド、ヒドロキサム酸、イミダゾールおよびピリジンから選択または表I、IIまたはIIIに示す官能基を少なくとも1個持つ共結晶形成剤を準備し、
(3)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱または溶液中で接触させ、そして
(4)それによって生じた共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0036】
特定態様では、APIをカルバマゼピン、オクスカルバゼピン、グリブリド、フルコナゾール、ピラセタム、スタブジンおよびゲンチシン酸から成る群から選択する。別の特定態様では、共結晶形成剤を4−アミノ安息香酸、TRIS、マレイン酸、ゲンチシン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、アセチルサリチル酸、メラミンおよび2−アミノピリジンから成る群から選択する。
【0037】
本発明は、さらなる面でも薬剤組成物を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)エーテル、チオエーテル、アルコール、チオール、アルデヒド、ケトン、チオケトン、硝酸エステル、燐酸エステル、チオ燐酸エステル、エステル、チオエステル、硫酸エステル、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、アミド、第一級アミン、第二級アミン、アンモニア、第三級アミン、イミン、チオシアネート、シアナミド、オキシム、ニトリル、ジアゾ、有機ハライド、ニトロ、S複素環式環、チオフェン、N複素環式環、ピロール、O−複素環式環、フラン、エポキシド、パーオキサイド、ヒドロキサム酸、イミダゾールおよびピリジンから選択または表IIまたはIIIに示す官能基を少なくとも1個持つAPIを準備し、
(2)エーテル、チオエーテル、アルコール、チオール、アルデヒド、ケトン、チオケトン、硝酸エステル、燐酸エステル、チオ燐酸エステル、エステル、チオエステル、硫酸エステル、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、アミド、第一級アミン、第二級アミン、アンモニア、第三級アミン、イミン、チオシアネート、シアナミド、オキシム、ニトリル、ジアゾ、有機ハライド、ニトロ、S複素環式環、チオフェン、N複素環式環、ピロール、O−複素環式環、フラン、エポキシド、パーオキサイド、ヒドロキサム酸、イミダゾールおよびピリジンから選択または表I、IIまたはIIIに示す官能基を少なくとも1個持つ共結晶形成剤を準備し、
(3)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱または溶液中で接触させ、(4)それによって生じた共結晶を単離し、そして
(5)前記共結晶を薬剤組成物の中に組み込む、
ことを含んで成る。
【0038】
本発明は、さらなる面でも薬剤組成物を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱または溶液中で接触させることで固相を生じさせ、
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離し、そして
(3)前記共結晶を薬剤組成物の中に組み込む、
ことを含んで成る。
【0039】
APIと共結晶形成剤の共結晶の存在に関する検定を固相に受けさせる場合、これは本技術分野で公知の通常方法で実施可能である。例えば、共結晶の存在の評価では粉末X線回折技術を用いるのが便利でありかつ常規である。これは、API、共結晶形成剤および推定共結晶の回折図を比較して真の共結晶が生じたか否かを確認することで実施可能である。類似した様式で用いられる他の技術には、示差走査熱量計(DSC)、熱重量分析(TGA)、固体状態NMR分光法およびラマン分光法が含まれる。特に、共結晶の構造を同定しようとする時には単結晶X線回折が有用である。
【0040】
本発明のAPIおよび共結晶形成剤の数種はキラル中心を1個以上持つことでいろいろな立体異性体配置で存在する可能性がある。本発明の数種のAPIおよび共結晶形成剤は、そのようなキラル中心が存在する結果として、ラセミ化合物、鏡像異性体の混合物および個々の鏡像異性体としてばかりでなくジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物として存在する。そのようなラセミ化合物、鏡像異性体およびジアステレオマーの全部が本発明の範囲内であり、それらには例えばシスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体、および(D)および(L)異性体などが含まれる。本発明の共結晶には、APIまたは共結晶形成剤のいずれか或は両方が異性体形態の共結晶が含まれ得る。APIsおよび共結晶形成剤の異性体形態には、これらに限定するものでないが、立体異性体、例えば鏡像異性体およびジアステレオマーなどが含まれる。1つの態様における共結晶はラセミ型のAPIおよび/または共結晶形成剤を含んで成り得る。別の態様における共結晶は鏡像異性体的に高純度のAPIおよび/または共結晶形成剤を含んで成り得る。別の態様における共結晶は鏡像異性体過剰度が約50パーセント、55パーセント、60パーセント、65パーセント、70パーセント、75パーセント、80パーセント、85パーセント、90パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、99パーセント以上または中間的値のいずれかのAPIもしくは共結晶形成剤を含んで成り得る。立体異性体APIsのいくつかの非限定例には、モダフィニル、シス−イトラコナゾール、イブプロフェンおよびフルビプロフェンが含まれる。立体異性体共結晶形成剤のいくつかの非限定例には酒石酸およびリンゴ酸が含まれる。
【0041】
鏡像異性体的に高純度の成分(例えばAPIまたは共結晶形成剤)を含んで成る共結晶は、ラセミ型成分を含んで成る相当する共結晶が示す化学的および/または物理的特性に関して調節された特性をもたらす可能性がある。鏡像異性体的に高純度の成分を含んで成る共結晶は、ラセミ成分を含んで成る相当する共結晶に比べて、例えば活性、生体利用性または溶解性などの調節をもたらす可能性がある。
【0042】
用語「ラセミ型共結晶」を本明細書で用いる場合、特に明記しない限り、これはAPI、共結晶形成剤または両方の2種類の鏡像異性体が等モルの混合物で構成されている共結晶を指す。例えば、立体異性体APIと立体異性体ではない共結晶形成剤を含んで成る共結晶は、API鏡像異性体の等モル混合物が存在する時、「ラセミ型共結晶」である。同様に、立体異性体ではないAPIと立体異性体共結晶形成剤を含んで成る共結晶は、共結晶形成剤鏡像異性体の等モル混合物が存在する時、「ラセミ型共結晶」である。加うるに、立体異性体APIと立体異性体共結晶形成剤を含んで成る共結晶は、API鏡像異性体の等モル混合物および共結晶形成剤鏡像異性体の等モル混合物が存在する時、「ラセミ型共結晶」である。
【0043】
用語「鏡像異性体的に高純度の共結晶」を本明細書で用いる場合、特に明記しない限り、これは立体異性体APIまたは立体異性体共結晶形成剤または両方で構成されていて立
体異性体種の鏡像異性体過剰度が約90パーセントeeに等しいか或はそれ以上である共結晶を指す。
【0044】
別の態様において、本発明は、鏡像異性体的に高純度のAPIまたは共結晶形成剤を有する共結晶を含んで成っていて生体利用度がラセミ型共結晶のそれに比べて調節されている薬剤組成物を包含する。別の態様において、本発明は、鏡像異性体的に高純度のAPIまたは共結晶形成剤を有する共結晶を含んで成っていて活性がラセミ型共結晶のそれに比べて調節されている薬剤組成物を包含する。別の態様において、本発明は、鏡像異性体的に高純度のAPIまたは共結晶形成剤を有する共結晶を含んで成っていて溶解度がラセミ型共結晶のそれに比べて調節されている薬剤組成物を包含する。
【0045】
本明細書で用いる如き用語「鏡像異性体的に高純度」は、鏡像異性体的に実質的に高純度である組成物を包含し、例えば鏡像異性体過剰度が約90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントに等しいか或はそれ以上の組成物を包含する。
【0046】
1つの態様において、本発明は、カルバマゼピンと4−アミノ安息香酸を含んで成る共結晶を提供する。別の態様において、本発明は、カルバマゼピンと4−アミノ安息香酸と水を含んで成る共結晶を提供する。
【0047】
別の態様において、本発明は、グリブリドとTRISを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、マレイン酸フルコナゾールとマレイン酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、ピラセタムを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、ピラセタムとゲンチシン酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、ピラセタムと4−ヒドロキシ安息香酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、カルバマゼピンとアセチルサリチル酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、カルバマゼピンと桂皮酸を含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、スタブジンを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、スタブジンとメラミンを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、スタブジンと2−アミノピリジンを含んで成る共結晶を提供する。本発明は、別の態様において、更に、オクスカルバゼピンの蟻酸溶媒和物も包含する。
【0048】
溶解度の調節
さらなる面において、本発明は、APIが示す溶解度を調節する方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0049】
1つの態様では、APIが示す溶解度を水溶性が向上するように調節する。APIが示す溶解度の測定は通常手段のいずれかで実施可能であり、例えばAPIの飽和溶液に入っているAPIの量をクロマトグラフィー(例えばHPLC)または分光法、例えば紫外分光法、赤外分光法、ラマン分光法、定量質量分析またはガスクロなどで測定することなどで実施可能である。
【0050】
本発明の別の面において、APIは低い水溶性を示す可能性がある。本出願における低い水溶性は、典型的に、37℃で測定した時の水中溶解度が0mg/mLに等しいか或はそれ以下、好適には5mg/mLまたは1mg/mLに等しいか或はそれ以下の化合物を
指す。低い水溶性は、更に、37℃で測定した時に900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20ミクログラム/mLに等しいか或はそれ以下、または更に10、5または1ミクログラム/mL、或は更に900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20または10ng/mLまたは10ng/mL以下であるとして具体的に定義可能である。また、水溶性が500、400、300、200、150、100、75、50または25mg/mL未満であるとしても特定可能である。本発明の態様として、基準形態(例えば結晶性もしくは非晶性遊離酸、遊離塩基または両性イオン、水化物または溶媒和物)またはこれらの塩の共結晶を製造することで溶解度を2、3、4、5、7、10、15、20、25、50、75、100、200、300、500、750、1000、5000または10,000倍高くすることができる。さらなる水溶性の測定は、水ではなく疑似胃液(SGF)または疑似腸液(SIF)中でも実施可能である。本発明のSGF(非希釈)の作成では、水にTriton X−100を1g/LおよびNaClを2g/L入れて一緒にした後に20mMのHClを用いてpHを調整して最終的pH=1.7の溶液を得ることで作成する(SIFは一塩基性燐酸カリウムが0.68%でパンクレアチンが1%で水酸化ナトリウムが最終溶液のpHが7.5になる量である)。使用する溶媒のpHもまた1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6.6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5または14または逐次的値と値の間のいずれかのpHであるとして特定可能である。
【0051】
態様の例には、37℃でpHが7.0の時の水溶解度が基準形態のそれに比べて少なくとも5倍高い共結晶組成物、SGF中の溶解度が基準形態のそれに比べて少なくとも5倍高い共結晶組成物、SIF中の溶解度が基準形態のそれに比べて少なくとも5倍高い共結晶組成物が含まれる。
【0052】
溶出の調節
本発明の別の面では、APIが示す溶出プロファイルを、水中溶出速度または疑似胃液もしくは疑似腸液中の溶出速度または溶媒もしくは複数の溶媒中の溶出速度が高くなるように調節する。溶出速度は、API固体が溶出用媒体に溶解する速度である。吸収速度の方が溶出速度よりも速いAPI(例えばステロイド)の場合、吸収過程における律速段階はしばしば溶出速度である。腸吸収部位から移動する前に溶解しないAPIは、吸収部位の所の滞留時間が限られていることが理由で有用でないと見なされる。従って、溶出速度は溶解性が劣るAPIsが示す性能に大きな影響を与える。このような要因から、固体状投薬形態のAPIsが示す溶出速度は、API製造工程で用いられる重要な常規品質管理パラメーターである。
【0053】
溶出速度=KS(C−C)
[式中、Kは溶出速度定数であり、Sは表面積であり、Cは見かけ溶解度であり、そしてCは溶出用媒体中のAPI濃度である]。APIが迅速に吸収される場合、C−CはほぼCに等しい。APIsが示す溶出速度の測定は本技術分野で公知の通常手段を用いて実施可能である。
【0054】
基準形態(例えば遊離形態または塩)と比較した時の共結晶が示す溶出速度の向上度は、例えば当該基準形態(例えば遊離形態または塩形態)が同じ溶液中で示すそれに比べて10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、1000、10,000または100,000倍大きいなどとして特定可能である。溶出速度を測定する条件はこの上で考察した条件と同じである。溶出の向上度は、更に、当該組成物が平衡状態の溶解度に到達する前に過飽和状態のままである時間でも特定可能である。
【0055】
この上に示した態様の例には、37℃でpHが7.0の水溶液中で示す溶出速度が基準形態のそれに比べて少なくとも5倍高い共結晶組成物、SGF中で示す溶出速度が基準形態のそれに比べて少なくとも5倍高い共結晶組成物、SIF中で示す溶出速度が基準形態のそれに比べて少なくとも5倍高い共結晶組成物が含まれる。
【0056】
生体利用率の調節
本発明の方法を用いて、溶解度、溶出および生体利用率がより高い薬剤API製剤を製造する。生体利用度の改善は、AUCの向上、Tmaxに至る時間(血清中濃度がピークに到達するまでの時間)の短縮またはCmaxの向上を通して実施可能である。本発明の結果としてAPIの血漿中濃度が中性形態または塩単独(基準形態)のそれに比べて高くなり得る。
【0057】
AUCは、API投与後の時間と対比させたAPIの血漿中濃度のプロット下の面積(濃度の対数ではない)である。前記面積を便利には「台形法則」で測定する。データ点を直線分でつなぎ、横座標から各データ点に至る垂線を引き、そしてそのようにして作られた三角形および台形の総面積を計算する。最後の測定濃度(時間Tの時のC)がゼロではない時、Tから無限時間までのAUCをC/kelで推定する。
【0058】
AUCは、特に、APIsが示す生体利用率を推定しようとする時およびAPIsの総クリアランス(Cl)を推定しようとする時に用いられる。静脈内投与を1回行った後、一次排泄動態に従う単一コンパートメントシステム(single compartment systems)の場合にはAUC=D/Cl[ここで、Dは用量である]であり、別法として、AUC=C/kel[ここで、kelはAPI排泄速度定数である]である。静脈内経路以外の経路を用いる時のそのようなシステムでは、AUC=F・D/Cl[ここで、FはAPIが示す絶対的生体利用率である]である。
【0059】
従って、本発明は、さらなる面において、APIを共結晶として通常の有効用量範囲で投与した時に基準形態に比べてAUCが向上するか、Tmaxに至る時間が短縮されるか或はCmaxが向上するようにAPIが示す生体利用率を調節する方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0060】
この上に示した態様の例には、Tmaxに至る時間が基準形態のそれに比べて少なくとも10%短縮されている共結晶組成物、Tmaxに至る時間が基準形態のそれに比べて少なくとも20%短縮されている共結晶組成物、Tmaxに至る時間が基準形態のそれに比べて少なくとも40%短縮されている共結晶組成物、Tmaxに至る時間が基準形態のそれに比べて少なくとも50%短縮されている共結晶組成物、Tmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも60%短縮されている共結晶組成物、Tmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも70%短縮されている共結晶組成物、Tmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも80%短縮されている共結晶組成物、Tmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも90%短縮されている共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも10%向上している共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも30%向上している共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも40%向上し
ている共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも50%向上している共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも60%向上している共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも70%向上している共結晶組成物、Cmaxが基準形態のそれに比べて少なくとも80%向上している共結晶組成物、Cmaxが少なくとも2倍、3倍、5倍、7.5倍、10倍、25倍、50倍または100倍向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも10%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも20%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも30%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも40%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも50%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも60%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも70%向上している共結晶組成物、AUCが基準形態のそれに比べて少なくとも80%向上している共結晶組成物、またはAUCが基準形態のそれに比べて少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍向上している共結晶組成物が含まれる。他の例には、基準形態が結晶性である場合、基準形態が非晶性である場合、基準形態が無水結晶性ナトリウム塩である場合、または基準形態が無水結晶性HCl塩である場合が含まれる。
【0061】
用量反応の調節
本発明は、さらなる面において、APIが示す用量反応を向上させる方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0062】
用量反応は、反応の大きさとこの反応を誘発する用量の間の量的関係であり、これの測定は本技術分野で公知の通常手段を用いて実施可能である。API−細胞系では、用量(独立変数として)に対する効果(依存変数として)に関する曲線が「用量反応曲線」である。この用量反応曲線は、典型的に、APIに対する反応を測定してそれを投与したAPIの用量(mg/kg)と対比させてプロットした曲線である。この用量反応曲線はまた投与したAPIの用量と対比させたAUCの曲線であってもよい。
【0063】
本発明の1つの態様において、本発明の共結晶が示す用量反応曲線は相当する基準化合物が示すそれに比べて向上しているか或は用量反応曲線がより直線的である。
【0064】
安定性の向上
本発明は、さらなる面において、APIが示す安定性を向上させる(基準形態、例えば遊離形態または塩などに比べて)方法を提供し、この方法は、
(1)薬剤の塩と共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0065】
好適な態様において、API、即ち活性薬材料(API)を含有する本発明の組成物およびAPIを含んで成る製剤は、薬学的使用で適切に安定である。本発明のAPIまたはこれの製剤は、好適には、これを30℃で2年間貯蔵した時にいくらか生じるある種の分解生成物の量が0.2%未満であるように安定である。本明細書における用語「分解生成物」は単一種の化学反応の生成物1種または2種以上を指す。例えば、ある分子が2種類の生成物に開裂する加水分解が起こる場合、本発明の目的で、それは単一の分解生成物で
あると見なすことができるであろう。より好適には、貯蔵を40℃で2年間行った後にいくらか生じるある種の分解生成物の量は0.2%未満である。別法として、貯蔵を30℃で3カ月間行った後にいくらか生じるある種の分解生成物の量は0.2%未満または0.15%未満または0.1%未満であるか、或は貯蔵を40℃で3カ月間行った後にいくらか生じるある種の分解生成物の量は0.2%未満または0.15%未満または0.1%未満である。さらなる別法として、貯蔵を60℃で4週間行った後にいくらか生じるある種の分解生成物の量は0.2%未満または0.15%未満または0.1%未満である。相対湿度(RH)は周囲(RH)、75%(RH)または1から99%の範囲のいずれか1つの整数として特定可能である。
【0066】
塩にするのが困難であるか或は塩にならない化合物
本発明は、さらなる面において、塩にならないか或は塩にするのが困難であるAPIsの共結晶を生じさせる方法を提供し、この方法は、
(1)APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0067】
塩にするのが困難な化合物には、pKaが3未満の塩基またはpKaが10を超える酸が含まれる。本発明に従い、また、両性イオンも塩にするのが困難であるか或は塩にならない化合物である。
【0068】
吸湿性の低下
本発明は、さらなる面において、APIの吸湿性を低下させる方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0069】
本発明の1つの面では、吸湿性が非晶質もしくは結晶性の遊離形態もしくは塩(金属塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩を包含)または別の基準化合物に比べて低いAPI共結晶を含んで成る薬剤組成物を提供する。吸湿性の評価は動的蒸気吸収分析で実施可能であり、この評価では、Cahn微量天秤を用いて5−50mgの化合物をそれから吊るす。その分析を受けさせる化合物を非吸湿性天秤皿に入れるべきであり、そして同じ材料で構成されておりかつほぼ同じ大きさ、形状および重量を有する空の天秤皿を基準にして重量を測定すべきである。理想的には白金製天秤皿を用いるべきである。その天秤皿をチャンバの中に吊るすべきであり、そのチャンバの中に気体、例えば空気または窒素などを相対湿パーセント(RH%)を制御して既知湿度で平衡基準に合致するまで流し込む。典型的な平衡基準には、湿度および温度を一定にした時に3分間の重量変化が0.01%未満であることが含まれる。40℃の乾燥窒素下で一定重量(3分間の変化が<0.01%)になるまで乾燥させておいたサンプルに関して相対湿度を測定すべきである、と言うのは、そのようにしないと、当該材料の溶媒が出て行くか或はそれが非晶質化合物に変化する可能性があるからである。1つの面において、乾燥した化合物が示す吸湿性の評価は、RHを5%RHの増分で5から95%まで高くした後にRHを5%の増分で95から5%にまで低くすることで水分吸収等温線を生じさせることを通して実施可能である。サンプルの重量がRH%を変える毎にそれらの間で平衡状態になるようにすべきである。当該化合物がRHが75%以上からRHが95%未満の時に潮解を起こすことも非晶質になることもない場合、新鮮なサンプルを用いて実験を繰り返すべきであり、そしてその繰り返した時の相対湿度範囲が5−95%RHではなく5−75%RHまたは10−75%RHにまで狭まるようにすべきである。形態安定性が不足していることが理由で試験前のサンプルを乾燥させることができない場合には、そのサンプルに10−75%RHまたは5−95%RHのいずれかを用いた2回で完成する湿度サイクルを利用した試験を受けさせるべきであり、そして1回目のサイクルが終了した時の重量損失が有意な場合には2回目のサイクルの結果を用いるべきである。
【0070】
吸湿性はいろいろなパラメーターを用いて定義可能である。本発明の目的で、非吸湿性の分子は、これを25℃で10%RHと75%RH(25℃の時の相対湿度)の間で循環させた時の重量上昇も損失も1.0重量%以下、より好適には0.5重量%以下であるべきである。非吸湿性の分子は、より好適には、これを25℃で5%RHと95%RHの間で循環させた時の重量上昇も損失もその重量の1.0重量%以下、より好適には0.5重量%以下であるべきであるか、或は10%RHと75%RHの間で循環させた時の重量上昇も損失も0.25重量%以下であるべきである。非吸湿性の分子は、最も好適には、これを5%RHと95%RHの間で循環させた時の重量上昇も損失もそれの重量の0.25%以下であろう。
【0071】
別法として、本発明の目的で、吸湿性をApiDev.Ind.Pharm.の8巻の335−369頁(1982)の中のCallaghan他、「Equilibrium
moisture content ofpharmaceutical excipients」のパラメーターを用いて定義することも可能である。Callaghan他は吸湿度を下記の4クラスに分類分けした:
クラス1:非吸湿性 90%を下回る相対湿度下で水分の上昇が本質的に全く起こらない。
クラス2:若干吸湿性 80%を下回る相対湿度下で水分の上昇が本質的に全く起こらない。
クラス3:ある程度吸湿性 60%を下回る相対湿度下で1週間貯蔵した後の水分含有量上昇度は5%以下である。
クラス4:非常に吸湿性 40から50%の如き低い相対湿度下で水分含有量の上昇が起こり得る。
【0072】
別法として、本発明の目的で、吸湿性をEuropean Pharmacopoeia Technical Guide(1999、86頁)のパラメーターを用いて定義することも可能であり、そこでは、80%RH下25℃で24時間貯蔵した後の吸湿性を静止方法を基にして下記の如く定義している:
若干吸湿性: 質量上昇度が0.2パーセント質量/質量に等しいか或はそれ以上から2パーセント質量/質量未満。
吸湿性: 質量上昇度が0.2パーセント質量/質量に等しいか或はそれ以上から15パーセント質量/質量未満。
非常に吸湿性: 質量上昇度が15パーセント質量/質量に等しいか或はそれ以上。
潮解性: 水を液体が生じるに充分なほど吸収すること
【0073】
本発明の共結晶はクラス1、クラス2またはクラス3であるか、或は若干吸湿性、吸湿性または非常に吸湿性であるとして説明可能である。また、本発明の共結晶は吸湿性が低くなり得ることを基にしても説明可能である。このように、本発明の好適な共結晶が示す吸湿性は基準化合物が示すそれよりも低い。そのような基準化合物は遊離形態(遊離酸、遊離塩基、水化物、溶媒和物など)または塩(例えば特に金属塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムまたはマグネシウムなどの塩)形態のAPIとして特定可能である。更に、25℃で10%RHと75%RHの間を循環させた時の重量上昇も損失も1.0重量%以下である(基準化合物が同じ条件下で起こす重量上昇または損失は1.0%を超える)共結晶も本発明に包含させる。更に、25℃で10%RHと75%RHの間を循環させた時の重量上昇も損失も0.5重量%以下である(基準化合物が同じ条件下で起こす重量上昇または損失は0.5%以上または1.0%以上である)共結晶も本発明に包含させる。更に、25℃で5%RHと95%RHの間を循環させた時の重量上昇も損失も1.0重量%以下である(基準化合物が同じ条件下で起こす重量上昇または損失は1.0%以上である)共結晶も本発明に包含させる。更に、25℃で5%RHと95%RHの間を循環させた時の重量上昇も損失も0.5重量%以下である(基準化合物が同じ条件下で起こす重量上昇または損失は0.5%以上または1.0%以上である)共結晶も本発明に包含させる。更に、25℃で5%RHと95%RHの間を循環させた時の重量上昇も損失も0.25重量%以下である(基準化合物が同じ条件下で起こす重量上昇または損失は0.5%以上または1.0%以上である)共結晶も本発明に包含させる。
【0074】
更に、吸湿性(Callaghan他に従う)が基準化合物に比べて少なくとも1クラス低いか或は基準化合物に比べて少なくとも2クラス低い共結晶も本発明に包含させる。クラス2の基準化合物のクラス1の共結晶、クラス3の基準化合物のクラス2の共結晶、クラス4の基準化合物のクラス3の共結晶、クラス3の基準化合物のクラス1の共結晶、クラス4の基準化合物のクラス1の共結晶、またはクラス4の基準化合物のクラス2の共結晶も包含させる。
【0075】
更に、吸湿性(European Pharmacopoeia Technical
Guideに従う)が基準化合物に比べて少なくとも1クラス低いか或は基準化合物に比べて少なくとも2クラス低い共結晶も本発明に包含させる。非限定例には、吸湿性基準化合物の若干吸湿性共結晶、非常に吸湿性の基準化合物の吸湿性共結晶、潮解性基準化合物の非常に吸湿性の共結晶、非常に吸湿性の基準化合物の若干吸湿性共結晶、潮解性基準化合物の若干吸湿性共結晶、および潮解基準化合物の吸湿性共結晶が含まれる。
【0076】
非晶質化合物の結晶化
本発明は、さらなる面において、非晶質化合物を結晶化させる方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0077】
非晶質化合物には、本技術分野で常規の方法を用いたのでは結晶化しない化合物が含まれる。
【0078】
形態多様性の低下
本発明は、さらなる態様の面において、APIが示す形態多様性を低下させる方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0079】
本発明の目的で、共結晶が示す形態の数を本技術分野で常規の方法を用いて製造可能な基準化合物(例えばAPIの遊離形態または塩)が示す形態の数と比較する。例えば、API(例えばピラセタム)は2種類以上の既知同質異像を示すが、ピラセタムを含んで成る共結晶が存在する形態の数は親APIが示す形態の数よりも少なくとも1小さい。
【0080】
形態の調節
本発明は、さらなる面において、APIが示す形態を修飾する方法を提供し、この方法は、
(1)前記APIと共結晶形成剤を結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で接触させることでAPIと共結晶形成剤の共結晶を生じさせ、そして
(2)前記APIと共結晶形成剤を含んで成る共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0081】
1つの態様における共結晶は、共結晶形成剤とAPIを含んで成るか或はそれらで構成されていて前記二者の間に相互作用、例えばAPIの表IIIの官能基と表IIIの相当する相互作用基の間にH結合が存在する共結晶である。さらなる態様における共結晶は、表IまたはIIの共結晶形成剤と表IIIの相当する相互作用基を有するAPIを含んで成る。さらなる態様における共結晶は、APIと表IIIの官能基を有する共結晶形成剤を含んで成る。さらなる態様における共結晶は表IまたはIIに由来する共結晶である。本発明の1つの面において、1番目の分子上にH結合受容体を有しかつ2番目の分子上にH結合供与体を有していて前記1番目および2番目の分子のいずれかがそれぞれ共結晶形成剤とAPIであるか或はそれぞれAPIと共結晶形成剤である共結晶のみを本発明に包含させる。
【0082】
別の態様では、共結晶形成剤とAPIの各々が1種類のみのH結合供与体/受容体を有する。別の面において、APIの分子量は2000、1500、1000、750、500、350、200または150ダルトン未満である。別の態様において、APIの分子量は100−200、200−300、300−400、400−500、500−600、600−700、700−800、800−900、900−1000、1000−1200、1200−1400、1400−1600、1600−1800、または1800−2000の範囲である。具体的には、また、この上に示した分子量を有するAPIも本発明に含まれない可能性もある。
【0083】
本明細書で用いる如き用語「超分子シントン」は、多成分(各成分は化学官能性である)が非共有相互作用していて前記非共有相互作用が個々の超分子実体または高分子構造の形成に貢献している成分全体を指す。超分子シントンは、例えば二量体、三量体、カテマー(catemer)またはn−merなどであり得る。同様、同じまたは異なる分子の中の同じ基もしくは化学官能性(例えば酸−酸)の間の超分子シントンは「ホモシントン」と呼ばれる。同様、同じまたは異なる分子の中の異なる基もしくは化学官能性(例えば酸−アミド)の間の超分子シントンは「ヘテロシントン」と呼ばれる。
【0084】
共結晶の水素結合供与体部分には、これらに限定するものでないが、下記の中のいずれか1種、いずれか2種、いずれか3種、いずれか4種またはそれ以上が含まれ得る:アミノ−ピリジン、第一級アミン、第二級アミン、スルホンアミド、第一級アミド、第二級アミド、アルコールおよびカルボン酸。共結晶の水素結合受容体部分には、これらに限定するものでないが、下記の中のいずれか1種、いずれか2種、いずれか3種、いずれか4種またはそれ以上が含まれ得る:アミノ−ピリジン、第一級アミン、第二級アミン、スルホンアミド、第一級アミド、第二級アミド、アルコール、カルボン酸、カルボニル、シアノ、ジメトキシフェニル、スルホニル、芳香窒素(6員環)、エーテル、塩化物、有機塩化物、臭化物、有機臭化物および有機ヨウ化物。いろいろな超分子構造が水素結合で形成されていることが知られており、それらには、これらに限定するものでないが、カテマー、二量体、三量体、四量体または高級構造物が含まれる。表IV−XXに、特定の水素結合供与体および受容体部分そして電磁供与体原子から水素原子を通して電磁受容体原子に至るおおよその相互作用距離を挙げる。例えば、表IVに、アミノ−ピリジンと水素結合を形成することが知られている官能基を挙げる。アミノ−ピリジンは個別の水素結合供与/受容部位を2つ含有する。芳香窒素原子(Npy)とアミン基(NH)の両方が水素結合に参与し得る。本分野の技術者は閲覧することである所定官能基が供与体または受容体または両方として水素結合に参与し得るか否かを決定することができるであろう。
【0085】
表IV−XXに含めるデータはCambridge Structural Database(CSD)に報告されている如き固体状態の構造物の分析から得たものである。これらのデータに、いろいろな官能基と官能基間の数多くの水素結合相互作用およびそれらに伴う相互作用距離を含める。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
【表9】

【0095】
【表10】

【0096】
【表11】

【0097】
【表12】

【0098】
【表13】

【0099】
【表14】

【0100】
【表15】

【0101】
【表16】

【0102】
【表17】

【0103】
別の態様では、ペプチド、蛋白質、核酸または他の生物学的APIは本発明に含まれない。別の態様では、薬学的に受け入れられない共結晶形成剤は全部本発明に含まれない。別の態様では、有機金属APIは本発明に含まれない。別の態様では、特に、表IIIに示した官能基の中のいずれか1つ以上を含有する共結晶形成剤は本発明に含まれない。別の態様では、特に、表IまたはIIに示した共結晶形成剤は本発明に含まれない。また、特に、本技術分野で現在公知の如何なるAPIも本発明に含まれない可能性がある。例えば、特に、カルバマゼピン、イタラコナゾール、ナブメトン、フルオキセチン、アセトアミノフェンおよびテオフィリンは各々本発明に含まれない可能性がある。別の態様におけるAPIは塩でもなく、非金属塩でもなく、金属塩でもない、例えばナトリウム塩でもカリウム塩でもリチウム塩でもカルシウム塩でもマグネシウム塩でもない。別の態様におけるAPIは塩、非金属塩または金属塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムまたはマグネシウム塩である。1つの態様におけるAPIはハロゲンを含有しない。1つの態様におけるAPIはハロゲンを含有する。
【0104】
別の態様では、特に、いずれかのAPI1種または2種以上は本発明に含まれない可能性がある。
【0105】
別の態様では、共結晶形態のAPIをミクロンもしくはナノの大きさの粒子として含有する薬剤組成物を調製することができる。より具体的には、別の態様では高純度のAPIを処理して共結晶形態にすることと操作して薬製剤形態にするに適した制御された粒径にする方法を一緒に実施する。このような態様では、これらに限定するものでないが、粉砕、合金または焼結(即ち粉末混合物の加熱)などの如き技術を用いて2つの工程段階を組み合わせて単一の段階にする。そのような工程を一緒にすると、ある場合には調製する必要がある単離が困難であり得る多量の薬剤(例えば非晶質、化学的または物理的に不安定)を単離および貯蔵する必要がある重大な制限が克服される。
【0106】
本発明の薬剤組成物で用いる賦形剤は、固体、半固体、液体またはこれらの組み合わせであり得る。好適には、賦形剤は固体である。賦形剤を含有させた本発明の組成物の調製は如何なる公知の医薬技術を用いて実施されてもよく、そのような技術は、賦形剤とAPIまたは治療薬を混合することを包含する。本発明の薬剤組成物に含有させるAPIの量は投薬単位当たりに望まれる量であり、経口投与を意図する場合、それを例えば錠剤、カプレット、ピル、硬質もしくは軟質カプセル、ロゼンジ、カプセル、分散性粉末、顆粒、懸濁液、エリキシル、分散液、またはそのような投与に妥当に適する他のいずれかの形態の如き形態にしてもよい。非経口投与を意図する場合、それを例えば懸濁液または経皮パッチなどの形態にしてもよい。直腸投与を意図する場合、それを例えば座薬などの形態にしてもよい。現在のところ好適な形態物は、各々にAPIが前以て決めた量で入っている個別の投薬単位である経口投薬形態物、例えば錠剤またはカプセルなどである。
【0107】
別の態様では、経皮パッチに適切ではないpHを示すAPIsを適切な共結晶形成剤と一緒に共結晶化させることでそれのpHを経皮パッチとして用いるに適したレベルに調整することも可能である。別の態様では、適切な共結晶形成剤と一緒に共結晶化させることを通してAPIsのpHレベルを経皮パッチで用いるに適するように最適にすることができる。
【0108】
本発明の薬剤組成物を調製する時に使用可能な賦形剤の非限定例は下記である。
【0109】
本発明の薬剤組成物に場合により1種以上の薬学的に受け入れられる担体もしくは希釈剤を賦形剤として含有させてもよい。適切な担体もしくは希釈剤には、説明的に、これらに限定するものでないが、ラクトース(無水ラクトースおよび一水化ラクトースを包含)、澱粉[直接圧縮可能な澱粉および澱粉加水分解物[例えばCelutab(商標)およびEmdex(商標)を包含]、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストロース[例えばCerelose(商標)2000]および一水化デキストロース、二塩基性燐酸カルシウム二水化物、スクロースが基になった希釈剤、粉砂糖、一塩基性硫酸カルシウム一水化物、硫酸カルシウム二水化物、顆粒状乳酸カルシウム三水化物、デキストレート、イノシトール、穀類加水分解物固体、アミロース、セルロース[微結晶性セルロース、食品等級源のアルファ−および非晶質セルロース(例えばRexcelJ)、粉末状セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を包含]、炭酸カルシウム、グリシン、ベントナイト、ブロック共重合体、ポリビニルピロリドンなどの個別または組み合わせのいずれも含まれる。そのような担体もしくは希釈剤を存在させる場合、それが全体で当該組成物の総重量の約5%から約99%、好適には約10%から約85%、より好適には約20%から約80%を構成するようにする。その選択した担体1種または2種以上または希釈剤1種または2種以上は好適には適切な流動特性を示し、そして錠剤が望まれる場合には圧縮性も示す。
【0110】
ラクトース、マンニトール、二塩基性燐酸カルシウムおよび微結晶性セルロース(特にAvicel PH微結晶性セルロース、例えばAvicel PH 101など)の個別または組み合わせのいずれも好適な希釈剤である。そのような希釈剤は本明細書に記述するいろいろな共結晶と化学的に適合し得る。超顆粒(extragranular)微結晶性セルロース(即ち顆粒組成物に添加される微結晶性セルロース)を用いて硬度(錠剤の場合)および/または崩壊時間を改良することができる。ラクトース、特にラクトースの一水化物が特に好適である。ラクトースは、典型的に、適切な共結晶放出速度を示し、安定性を示し、圧縮前の流動性を示しそして/または乾燥特性を示す組成物を比較的低い希釈剤コストでもたらす。それによって、顆粒化(湿式顆粒を用いる場合)中の圧密化を補助、従って混合物の流動特性および錠剤の特性を改善する高密度の基質をもたらす。
【0111】
本発明の薬剤組成物に場合により1種以上の薬学的に受け入れられる崩壊剤を賦形剤として含有させてもよく、特に錠剤製剤の場合に含有させてもよい。適切な崩壊剤には、これらに限定するものでないが、澱粉[澱粉グリコール酸ナトリウム(例えばPenWestのExplotab(商標))および前以てゼラチン状にしておいたトウモロコシ澱粉(例えばNational Starch and Chemical CompanyのNational(商標)1551、National(商標)1550およびColorcon(商標)1500など)を包含]、粘土[例えばR.T.VanderbiltのVeegum(商標)HV]、セルロース、例えば精製セルロース、微結晶性セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースなど、クロスカルメロースナトリウム[例えばFMCのAc−Di−Sol(商標)など]、アルギン酸塩、クロスポビドン、およびゴム、例えばアガー、グアー、ロカストビーン、カラヤ、ペクチンおよびトラガカントゴムなどの個別または組み合わせのいずれも含まれる。
【0112】
崩壊剤を添加する時期は当該組成物調製中の適切な如何なる段階であってもよいが、特に顆粒前または圧縮前の滑剤添加段階中に添加する。そのような崩壊剤を存在させる場合、これが全体で当該組成物の総重量の約0.2%から約30%、好適には約0.2%から約10%、より好適には約0.2%から約5%を構成するようにする。
【0113】
錠剤またはカプセルを崩壊させる場合にはクロスカルメロースナトリウムが好適な崩壊剤であり、それを存在させる場合、それが当該組成物の総重量の好適には約0.2%から約10%、より好適には約0.2%から約7%、更に好適には約0.2%から約5%を構成するようにする。クロスカルメロースナトリウムは本発明の顆粒状薬剤組成物に優れた顆粒内崩壊性を与える。
【0114】
本発明の薬剤組成物に場合により1種以上の薬学的に受け入れられる結合剤または接着剤を賦形剤として含有させることも可能であり、特に錠剤製剤の場合に可能である。そのような結合剤および接着剤は、好適には、錠剤にすべき粉末に通常の加工操作、例えば大きさ合わせ、滑剤添加、圧縮および包装などの実施を可能にするに充分な合着性を与えるが、それでもその錠剤は崩壊可能でありかつその組成物は消化時に吸収され得る。そのような結合剤は、また、塩が溶液に溶解した時点で本発明の共結晶が起こす結晶化または再結晶化を防止または抑制し得る。適切な結合剤および接着剤には、これらに限定するものでないが、アカシア、トラガカント、スクロース、ゼラチン、グルコース、澱粉、例えばこれらに限定するものでないが、前以てゼラチン状にしておいた澱粉[例えばNational(商標)1511およびNational(商標)1500]など、セルロース、例えばこれらに限定するものでないが、メチルセルロースおよびカルメロースナトリウム[例えばTylose(商標)]など、アルギン酸およびアルギン酸塩、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、PEG、グアーゴム、多糖酸、ベントナイト、ポビドン、例えばポビドンK−15、K−30およびK−29/32など、ポリメタアクリレート、HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース[例えばAqualonのKlucel(商標)]およびエチルセルロース[例えばDow Chemical CompanyのEthocel(商標)]の個別または組み合わせのいずれも含まれる。そのような結合剤および/または接着剤を存在させる場合、それが全体で当該薬剤組成物の総重量の約0.5%から約25%、好適には約0.75%から約15%、より好適には約1%から約10%を構成するようにする。
【0115】
そのような結合剤の多くは、アミド、エステル、エーテル、アルコールまたはケトン基を含有する重合体であり、このように、それを好適には本発明の薬剤組成物に含有させる。ポリビニルピロリドン、例えばポビドンK−30などが特に好適である。高分子量の結合剤はいろいろな分子量、架橋度および重合体グレードを示し得る。高分子量結合剤はまた共重合体、例えばエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド単位の混合物を含有するブロック共重合体などであってもよい。所定重合体の中のそのような単位の比率が変わると特性および性能が影響を受ける。ブロック単位がいろいろな組成を有するブロック共重合体の例はPoloxamer 188およびPoloxamer 237(BASF Corporation)である。
【0116】
本発明の薬剤組成物に場合により1種以上の薬学的に受け入れられる湿潤剤を賦形剤として含有させることも可能である。そのような湿潤剤の選択では、好適には、本共結晶をこれが水と密に結合した状態、即ち本組成物の生体利用性が向上すると思われる状態に維持するようにそれを選択する。そのような湿潤剤はまた共結晶の溶解または溶解性の向上にも有用である。
【0117】
本発明の薬剤組成物に入れる湿潤剤として使用可能な界面活性剤の非限定例には、第四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよび塩化セチルピリジニウムなど、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えばノノキシノール9、ノノキシノール10およびデグリー(degrees)Ctoxynol 9など、ポロキサマー(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび油、例えばポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプリン酸モノ−およびジグリセリド[例えばGattefosseのLabrasol(商標)]、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油およびポリオキシエチレン(40)水添ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテルなど、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(40)ステアレートなど、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリソルベート20およびポリソルベート80[例えばICIのTween(商標)80]など、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えばプロピレングリコールラウレート[例えばGattefosseのLauroglycol(商標)]など、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸およびこれらの塩、例えばオレイン酸、オレイン酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンなど、グリセリル脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸グリセリルなど、ソルビタンエステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテートおよびステアリン酸モノステアレートなど、チロキサポールおよびこれらの混合物が含まれる。そのような湿潤剤を存在させる場合、それが全体で当該薬剤組成物の総重量の約0.25%から約15%、好適には約0.4%から約10%、より好適には約0.5%から約5%を構成するようにする。
【0118】
アニオン性界面活性剤である湿潤剤が好適である。ラウリル硫酸ナトリウムが特に好適な湿潤剤である。ラウリル硫酸ナトリウムを存在させる場合、それが当該薬剤組成物の総重量の約0.25%から約75%、より好適には約0.4%から約4%、更により好適には約0.5%から約2%を構成するようにする。
【0119】
本発明の薬剤組成物に場合により1種以上の薬学的に受け入れられる滑剤(抗粘着剤および/または流動促進剤を包含)を賦形剤として含有させることも可能である。適切な滑剤には、これらに限定するものでないが、グリセリルベハペート[例えばGattefosseのCompritol(商標)888]、ステアリン酸およびこれの塩(ステアリン酸マグネシウム、カルシウムおよびナトリウムを包含)、水添植物油[例えばAbitecのSterotex(商標)]、コロイド状シリカ、タルク、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL−ロイシン、PEG[Dow Chemical ComapnyのCarbowax(商標)4000およびCarbowax(商標)6000]、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウムの個別または組み合わせのいずれも含まれる。そのような滑剤を存在させる場合、それが全体で当該薬剤組成物の総重量の約0.1%から約10%、好適には約0.2%から約8%、より好適には約0.25%から約5%を構成するようにする。
【0120】
例えば、錠剤製剤を圧縮している時に装置と顆粒混合物の間の摩擦を軽減しようとする時に用いるに好適な滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0121】
適切な抗粘着剤には、これらに限定するものでないが、タルク、コーンスターチ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウムおよび金属のステアリン酸塩が含まれる。例えば、製剤と装置表面の粘着を軽減しようとする場合およびまた混合物の中に生じる静電気を軽減しようとする場合に用いる好適な抗粘着剤または流動促進剤はタルクである。タルクを存在させる場合、それが当該薬剤組成物の総重量の約0.1%から約10%、より好適に
は約0.25%から約5%、更により好適には約0.5%から約2%を構成するようにする。
【0122】
固体状製剤の粉末流れを助長しようとする時に流動促進剤を用いることができる。適切な流動促進剤には、これらに限定するものでないが、コロイド状二酸化ケイ素、澱粉、タルク、三塩基性燐酸カルシウム、粉末状セルロースおよびマグネシウムトリシリケートが含まれる。コロイド状二酸化ケイ素が特に好適である。
【0123】
他の賦形剤、例えば着色剤、風味剤および甘味剤なども薬剤技術で公知であり、これらも本発明の薬剤組成物で使用可能である。錠剤に例えば腸溶性被膜による被覆を受けさせてもよいか或は未被覆のままにしてもよい。本発明の組成物に更に例えば緩衝剤などを含有させることも可能である。場合により、1種以上の発泡剤を崩壊剤としてそして/または本発明の薬剤組成物の官能特性を向上させる目的で使用することも可能である。投薬形態物の崩壊を助長する目的で1種以上の発泡剤を本発明の薬剤組成物に存在させる場合、それを全体で当該薬剤組成物の好適には約30から約75重量%、好適には約45から約70重量%、例えば約60重量%などの量で存在させる。
【0124】
本発明の特に好適な態様に従い、発泡剤を固体状投薬形態物に存在させる量を前記投薬形態物の崩壊を助長するに有効な量未満であるがAPIが水性媒体中で示す分散性を向上させる量にする。理論で範囲を限定するものでないが、そのような発泡剤はAPIが胃腸管の中で投薬形態物から分散するのを促進することで吸収を更に向上させかつ治療効果開始を速めるに有効であると考えている。発泡剤を本発明の薬剤組成物に胃腸内分散を助長するが崩壊は助長しない量で存在させる場合、それを当該薬剤組成物の好適には約1から約20重量%、より好適には約2.5から約15重量%、更により好適には約5から約10重量%の量で存在させる。
【0125】
本明細書における「発泡剤」は、水と接触した時に一緒または個別に作用して気体を発生する1種以上の化合物を含んで成る作用剤である。その発生する気体は一般に酸素または最も一般的には二酸化炭素である。好適な発泡剤は、水の存在下で反応を起こして二酸化炭素ガスを発生する酸と塩基を含んで成る。好適には、そのような塩基にはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩が含まれ、そして前記酸には脂肪カルボン酸が含まれる。
【0126】
本発明で用いるに有用な発泡剤の成分として適切な塩基の非限定例には、炭酸塩(例えば炭酸カルシウム)、重炭酸塩(例えば重炭酸ナトリウム)、セスキ炭酸塩、およびこれらの混合物が含まれる。炭酸カルシウムが好適な塩基である。
【0127】
本発明で用いるに有用な発泡剤の成分として適切な酸および/または固体状有機酸の非限定例には、クエン酸、酒石酸(D−、L−またはD/L酒石酸として)、リンゴ酸(D−、L−またはD/Lリンゴ酸として)、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、こはく酸、このような酸の酸無水物、このような酸の酸塩、およびこれらの混合物が含まれる。クエン酸が好適な酸である。
【0128】
そのような発泡剤が酸と塩基を含んで成る場合の本発明の好適な態様では、酸と塩基の重量比を約1:100から約100:1、より好適には約1:50から約50:1、更により好適には約1:10から約10:1にする。そのような発泡剤が酸と塩基を含んで成る場合の本発明の更に好適な態様では、酸と塩基の比率をほぼ化学量論的比率にする。
【0129】
APIsを溶解させる賦形剤は、典型的に、親水性領域と疎水性領域の両方を有するか、好適には両親媒性であるか、或は両親媒性領域を有する。ある種の両親媒性もしくは部分両親媒性賦形剤は両親媒性重合体を含んで成るか或は両親媒性重合体である。具体的両親媒性重合体はポリアルキレングリコールであり、これは一般にエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールサブ単位で構成されている。そのようなポリアルキレングリコールの末端部にカルボン酸、エステル、酸無水物または他の適切な部分によるエステル化を受けさせてもよい。そのような賦形剤の例には、ポロキサマー(エチレングリコールとプロピレングリコールの対称的ブロック共重合体、例えばポロキサマー237)、トコフェロールのポリアルキレングリコール化エステル(二官能もしくは多官能カルボン酸から生じさせたエステル、例えばd−アルファ−トコフェロールポリエチレングリコール−1000スクシネートを包含)およびマクロゴールグリセリド(油のアルコール分解およびポリアルキレングリコールのエステル化でモノ−、ジ−およびトリグリセリドとモノ−およびジ−エステルの混合物を生じさせることで生成、例えばステアロイルマクロゴール−32グリセリド)が含まれる。そのような薬剤組成物を有利には経口投与する。
【0130】
本発明の薬剤組成物に共結晶を約10から約50重量%、約25から約50重量%、約30から約45重量%または約30から約35重量%含有させ、これが水溶液、疑似胃液または疑似腸液中で起こす結晶化を抑制する賦形剤を約10から約50重量%、約25から約50重量%、約30から約45重量%または約30から約35重量%含有させ、かつ結合剤を約5から約50重量%、約10から約40重量%、約15から約35重量%または約30から約35重量%含有させてもよい。一例として、共結晶と結晶化を抑制する賦形剤と結合剤の重量比を約1:1:1にする。
【0131】
本発明の固体状投薬形態物の調製は適切な如何なる方法で実施されてもよく、そのような方法を本明細書に記述する方法に限定するものでない。
【0132】
具体的方法は、(a)本発明のAPIと1種以上の賦形剤を混合して混合物を生じさせる段階、そして(b)前記混合物を錠剤にするか或はカプセルに封じ込めることでそれぞれ錠剤またはカプセルを生じさせる段階を包含する。
【0133】
好適な方法では、固体状投薬形態物の調製を、(a)本発明の共結晶と1種以上の賦形剤を混合して混合物を生じさせる段階、(b)前記混合物を顆粒状にして顆粒を生じさせる段階、そして(c)前記混合物を錠剤にするか或はカプセルに封じ込めることでそれぞれ錠剤またはカプセルを生じさせる段階を包含する方法を用いて実施する。段階(b)は本技術分野で公知の乾式もしくは湿式顆粒技術のいずれかを用いて達成可能であるが、好適には、乾式顆粒段階である。本発明の塩を有利には顆粒にすることで約1ミクロメートルから約100ミクロメートル、約5ミクロメートルから約50ミクロメートルまたは約10ミクロメートルから約25ミクロメートルの粒子を生じさせる。好適には、1種以上の希釈剤、1種以上の崩壊剤および1種以上の結合剤を例えば混合段階中に添加し、場合により湿潤剤を例えば顆粒段階中に添加してもよく、そして好適には、1種以上の崩壊剤を顆粒後ではあるが錠剤またはカプセルを生じさせる前に添加する。滑剤を好適には製錠前に添加する。混合および顆粒は低もしくは高せん断下で独立して実施可能である。好適には、API含有量の点で均一であり、容易に崩壊し、カプセル充填または製錠中の重量変動を容易に制御することができるに充分なほど容易に流れかつかさの点でバッチを選択した装置で加工することができかつ個々の用量が特定のカプセルまたは錠剤用ダイスの中に合致するに充分なほど密な顆粒をもたらす方法を選択する。
【0134】
代替態様では、固体状の投薬形態物の調製を、APIを1種以上の賦形剤と一緒に1種以上の噴霧可能液、好適には非プロトン性(例えば非水性もしくは非アルコール性)の噴霧可能液に入れて懸濁させた後に温風流で迅速に噴霧乾燥させる噴霧乾燥段階を包含する工程で実施する。
【0135】
この上に例示した方法のいずれかを用いる結果としてもたらされる顆粒または噴霧乾燥粉末を圧縮または成形して錠剤を生じさせるか或はカプセルに封じ込めることでカプセルを生じさせることができる。本技術分野で公知の通常の製錠およびカプセル封じ技術を用いることができる。被覆錠剤が望まれる場合、通常の被覆技術が適切である。本発明の錠剤組成物用の賦形剤を好適には標準的崩壊検定における崩壊時間が約30分以内、好適には約25分以内、より好適には約20分以内、更により好適には約15分以内になるように選択する。
【0136】
薬学的に受け入れられる共結晶を制御、持続または遅延放出手段で投与してもよい。制御放出薬品は、対照物が制御されないで放出されることで達成される薬剤治療に比べて薬剤治療を向上させようとする共通の目標を有する。理想的には、最適にデザインされた制御放出製剤を医学治療で用いることは、そのような病気を治療または制御する目的で用いられる薬剤物質の量を最低限の時間で最低限にしようとすることで特徴づけられる。制御放出製剤の利点には、1)当該薬剤が活性を示す時間が長いこと、2)投薬頻度が少ないこと、3)患者による受け入れが向上すること、4)薬剤総使用量が少なくなること、5)局所もしくは全身の副作用が低下すること、6)薬剤蓄積量が最低限になること、7)血中濃度変動が低下すること、8)治療効果が改善すること、9)薬剤活性の増強もしくは損失の度合が低下すること、および10)病気または状態を制御する速度が向上することが含まれる(Kim,Cherng−ju、Controlled Release Dosage Form Design、2 Technomic Publishing、Lancaster、Pa.:2000)。
【0137】
通常の投薬形態物では、一般に、その製剤から薬剤が急速または即座に放出される。通常の投薬形態物を用いると、薬剤の薬理学および薬物動態に応じて、患者の血液または他の組織中の薬剤濃度が幅広く変動する可能性がある。そのような変動はいろいろなパラメーター、例えば投薬頻度、作用の開始、効力持続期間、血中治療レベルの維持、毒性、副作用などに影響を与える可能性がある。有利には、制御放出製剤を用いて薬剤が作用を示し始める時点、作用の持続期間、治療範囲内の血漿中濃度およびピーク血中濃度を調節することができる。特に、制御もしくは長期放出投薬形態物または製剤を用いると、起こり得る副作用および安全性[両方とも薬剤投与下で起こり得る(即ち最小限の治療レベル未満になる)]の懸念を最小限にしながら薬剤の最大の効果を達成することを確保することができるばかりでなく薬剤が毒性を示す濃度を超えないようにすることを確保することができる。
【0138】
大部分の制御放出製剤は、最初に薬剤(活性材料)を所望の治療効果を迅速にもたらす量で放出しそしてその治療レベルまたは予防効果が長時間に渡って維持されるような他の量で薬剤を徐々に継続して放出するように考案されている。そのように体の中の薬剤を一定濃度に維持するには、代謝を受けて体から排出される量の薬剤を元の量に戻す速度で薬剤が投薬形態物から放出されるようにすべきである。活性材料の制御放出はいろいろな条件によって刺激される可能性があり、そのような条件には、これらに限定するものでないが、pH、イオン濃度、浸透圧、温度、酵素、水および他の生理学的条件および化合物が含まれる。
【0139】
いろいろな公知の制御もしくは長期放出投薬形態、製剤およびデバイスが本発明の共結晶および組成物で用いるに適合し得る。その例には、これらに限定するものでないが、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;4,008,719;5,674,533;5,059,595;5,591,767;5,120,548;5,073,543;5,639,476;5,354,556;5,733,566、および6,365,185B1(これは各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。そのような投
薬形態物は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリクス、ゲル、透過性膜、浸透圧系[例えばOROS(商標)(Alza Corporation、Mountain View、Calif.USA)]、多層被膜、微細粒子、リポソーム、微小球またはこれらの組み合わせを用いて1種以上の活性材料をゆっくりまたは制御して放出させることでいろいろな比率の所望放出プロファイルをもたらす目的で使用可能である。加うるに、イオン交換材料を用いて吸着された不動態共結晶を調製すること用いて可能であり、このようにして薬剤の制御送達を実施することができる。具体的なアニオン交換体の例には、これらに限定するものでないが、Duolite(商標)A568およびDuolite(商標)AP143(Rohm & Haas、Spring House、PA、USA)が含まれる。
【0140】
本発明の1つの態様は、薬学的に受け入れられる共結晶またはこれの溶媒和物、水化物、脱水物、無水物または非晶質形態と1種以上の薬学的に受け入れられる賦形剤または希釈剤を含んで成る単位投薬形態物も包含し、ここでは、そのような薬剤組成物または投薬形態物を制御放出に適するように調製する。特定の投薬形態物では浸透圧性薬剤送達系を用いる。
【0141】
良く知られている特別な浸透圧性薬剤送達系はOROS(商標)(Alza Corporation、Mountain View、Calif.USA)]と呼ばれる送達系である。このような技術を本発明の化合物および組成物の送達に容易に適合させることができる。そのような技術のいろいろな面が米国特許第6,375,978B1;6,368,626B1;6,342,249B1;6,333,050B2;6,287,295B1;6,283,953B1;6,270,787B1;6,245,357B1;および6,132,420(これらは各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。本発明の化合物および組成物を投与する目的で使用可能な具体的なOROS(商標)適用には、これらに限定するものでないが、OROS(R) Push−PullTM、Delayed Push−PullTM、Multi−Layer Push−PullTM、およびPush−StickTM Systems(これらは全部良く知られている)が含まれる。例えばhttp://www.alza.com.を参照のこと。本発明の化合物および組成物を制御して経口送達する目的で使用可能な追加的OROS(商標)系にはOROS(商標)−CTおよびL−OROS(商標).Id.が含まれ、またDelivery Times、II巻、発行物II(Alza Corporation)も参照のこと。
【0142】
通常のOROS(商標)経口投薬形態の製造は、薬剤粉末(例えば共結晶)を圧縮して硬質錠剤を生じさせ、前記錠剤をセルロース誘導体で被覆することで半透膜を生じさせそして次に前記被膜に開口部を開ける(例えばレーザーで)ことで実施される。Kim,Cherng−ju,Controlled Release Dosage Form Design,231−238(Technomic Publishing,Lancaster,Pa.:2000)。そのような投薬形態の利点は、薬剤の送達速度が生理学的条件の影響も実験条件の影響も受けない点にある。溶解性がpHに依存する薬剤であっても送達用媒体のpHに関係なく一定速度で送達可能である。しかしながら、そのような利点は投与後に投薬形態物の中に浸透圧が構築されることによって与えられることから、通常のOROS(商標)薬剤送達系を用いて水溶解度が低い薬剤を有効に送達するのは不可能である(234の所のId.)。本発明の共結晶が示す水溶解度はAPI自身が示すそれよりもずっと高い可能性があることから、それらは浸透圧を基にして患者に送達しようとする場合に良好に適する。しかしながら、本発明は、通常の結晶性API(例えば共結晶形成剤を伴わない純粋なAPI)および塩ではない異性体およびこれらの異性体混合物をOROS(商標)投薬形態物に組み込むことを包含する。
【0143】
本発明の具体的な投薬形態物は、空洞部を限定している壁(この壁に出口開口部を生じさせておくか或は出口開口部が生じるようにすることで壁の少なくとも一部が半透性になるようにする)、前記空洞部の中に前記出口開口部から離れた場所に位置していて前記壁の半透性部分と流体伝達状態にある膨張性層、前記空洞部の中に位置していて前記出口開口部の近くに存在しかつ前記膨張性層と直接または間接的に接触した関係にある乾燥または実質的に乾燥した状態の薬剤層、および前記壁の内側表面と前記空洞部の中に位置する薬剤層の外側表面の間に挟まれている流動助長層を含んで成り、ここでは、前記薬剤層に共結晶、またはこれの溶媒和物、水化物、脱水物、無水物または非晶質形態を含有させる。米国特許第6,368,626号(これは全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0144】
本発明の別の具体的な投薬形態物は、空洞部を限定している壁(この壁に出口開口部を生じさせておくか或は出口開口部が生じるようにすることで壁の少なくとも一部が半透性になるようにする)、前記空洞部の中に前記出口開口部から離れた場所に位置していて前記壁の半透性部分と流体伝達状態にある膨張性層、前記空洞部の中に位置していて前記出口開口部の近くに存在しかつ前記膨張性層と直接または間接的に接触した関係にある薬剤層[この薬剤層は多孔質粒子の中に吸収されている液状の活性薬剤配合物を含んで成り、前記多孔質粒子は、前記液状の活性薬剤製剤の有意な染み出しなしに圧縮された薬剤層を生じさせるほどの圧縮力に耐えるに適合している]を含んで成るが、場合により、この投薬形態物の前記出口開口部と前記薬剤層の間にプラセボ層を存在させてもよく、ここでは、前記活性薬剤配合物に共結晶またはこれの溶媒和物、水化物、脱水物、無水物または非晶質形態を含有させる。米国特許第6,342,249号(これは全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0145】
また時間制御放出投薬形態物としても機能する遅延放出投薬形態物の例が米国特許第5,366,738号(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている。米国特許第5,366,738号に記述されている制御放出薬剤送達デバイスはゲル押出しモジュール(GEM)送達デバイスとして知られる。そのようなGEMデバイスはAPIが入っている分散液をインシトゥで制御して生じさせかつ放出させるに適した薬剤送達デバイスであり、これは、
(A)(i)治療的に有効な量のAPI、および
(ii)水和時にゼラチン状の顕微的粒子を生じる重合体、
を含んで成る混合物から作られた圧縮された中心部、
(B)重合体と可塑剤を含んで成っていて前記中心部を取り巻きかつこれと接着している水に不溶で水を透過しない重合体被膜(この被膜は前記中心部の表面の約1から約75%を露出させるように形成された複数の開口部を有する)、
を含んで成り、そしてここで、前記有益な薬剤が前記デバイスから放出される速度は前記開口部の数および大きさの関数である。
【0146】
そのようなGEMデバイスでは、前記圧縮された中心部の中の重合体をポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシポリメチレンおよびこれらの薬学的に受け入れられる塩、例えばナトリウム塩などの如き材料から選択するが、前記カルボキシポリメチレンは、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルでアクリル酸を架橋させることで作られており、それを例えばスクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルでアクリル酸を架橋させることで生じさせたカルボキシポリメチレンおよびこれらの薬学的に受け入れられる塩などから選択する。しばしば、CARBOPOL(商標)974Pおよびこれの薬学的に受け入れられる塩、特にナトリウム塩を前記圧縮された中心部の中に入れる重合体として用いる。加うるに、前記圧縮された中心部にまた1種以上の高分子水和調節剤、抗酸化剤、滑剤、充填材および賦形剤などを含有させることも可能である。水に不溶な被膜を付着させる前に任意の副次的被膜を前記圧縮された中心部に製造工程の補助とし
て付着させておくことも可能である。そのような副次的被膜を例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどで構成させてもよい。追加的被膜を美的または機能目的で付着させることも可能である。
【0147】
そのような水に不溶で水を透過しない重合体被膜を、例えば(1)ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロースおよびこのような重合体の組み合わせから選択した重合体、および(2)フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチルおよびクエン酸トリエチルから選択した可塑剤などで構成させる。例えば、そのような重合体被膜を酢酸酪酸セルロースとクエン酸トリエチルで構成させる。そのようなGEMデバイスは浸透圧性薬剤送達デバイスとしては機能せず、従って、そのようなデバイスの放出機能は流体が体の外側環境からそれに生じさせておいた開口部を通して圧縮された中心部の内部環境の中に入り込むことに依存している。重合体被膜を記述する目的で用いる用語「水に不溶で水を透過しない」は本質的に水に不溶で水を透過しない被膜を定義することを意図し、このことは、APIが体の中でGEMデバイスから放出されている時間の間に流体が穴開き開口部を通して入り込むことが起こる以外は水が体の外側環境から圧縮された中心部の内部環境に向かって被膜を通り抜けることを重合体被膜が許さないか或は許す度合が最小限であることを意味する。その水に不溶で水を透過しない重合体被膜をいくらか通り抜ける水の量が最低限であることは実体のないことであり、これはGEMデバイスが果たす機能、即ち薬剤が開口部を通って放出される速度に有意には貢献しない。むしろ、GEMデバイスから放出されるAPIの速度は主に当該デバイスの開口部の数および大きさの関数である。
【0148】
最終製品をエレガントで美的に感じ良くする目的で、最終的に、着色剤、ワックスなどが入っている外側仕上げ用被膜をGEM送達デバイスに付着させてもよい。また、GEMデバイスに腸溶性被膜を追加的最終被膜を付着させる前または後に付着させてもよい。腸溶性被膜を用いなくても、重合体の押出し(これによってAPIがGEMデバイスの圧縮された中心部の内側から運び出される)は胃の酸性pHで実質的な度合で起こることはなく、従って、APIの実質的な放出が胃の中で起こることはないはずである。そのようなGEM送達デバイスのさらなる詳細および例が米国特許第5,366,738号に記述されている。
【0149】
本発明に従い、薬剤組成物の包装は、ある容器に本薬剤組成物を入れることで達成可能であり、そのような容器には、また、分割されている容器、例えば分割されているボトルまたは分割されているホイルパケットなども含まれ得る。そのような容器は本技術分野で公知の通常の如何なる形状または形態のものであってもよく、これを薬学的に受け入れられる材料、例えば紙または厚紙製箱、ガラスまたはプラスチック製ボトルもしくはジャー、再密封可能バッグ(例えばいろいろな容器に入れる「詰め替え」の錠剤を保持する目的)、またはブリスターパック(治療計画に従って個々の投薬剤をパックから押し出す)などで作成する。用いる容器は、関係する正確な投薬形態物に依存し得る、例えば通常の厚紙箱は一般に液状懸濁液を保持する目的では使用されないであろう。2個以上の容器を一緒に用いてそれを単一の包装の中に入れることで単一の投薬形態物を市場に出すことも可能である。例えば、錠剤を瓶の中に入れた後にそれを箱の中に収納してもよい。
【0150】
そのような容器の一例はいわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは包装産業で良く知られておりかつ薬剤単位投薬形態物(錠剤、カプセルなど)を包装する目的で幅広く用いられている。ブリスターパックは一般にホイル(好適には透明なプラスチック材料で作られている)で覆われている比較的堅い材料のシートで構成されている。包装過程中、プラスチックホイルの中に凹部を生じさせる。その凹部に持たせる大きさおよび形状は包装すべき個々の錠剤またはカプセルのそれらであるか、或はそれに包装すべき複数の錠剤および/またはカプセルが入る大きさおよび形状を持たせることも可能である。次
に、錠剤またはカプセルをそれに応じた凹部の中に入れそして比較的堅い材料のシートを前記プラスチックホイルの面(前記凹部を生じさせた方向とは逆の方向の)の上に置いて前記ホイルに対して押し付けるように密封する。その結果として、前記錠剤またはカプセルは前記プラスチックホイルとシートの間の凹部の中に所望に応じて個別に密封されるか或は集合的に密封される。前記シートの強度を好適には手で前記凹部に圧力をかけると前記凹部の所のシートに開口部が生じることによって錠剤またはカプセルをブリスターパックから取り出すことができるような強度にする。その後、前記錠剤またはカプセルを前記開口部に通して取り出すことができる。
【0151】
本発明をここに例として添付図を参照して更に詳細に記述する。
【0152】
例示
共結晶の一般的製造方法
a)CrystalMax(商標)プラットフォームを用いた高処理量の結晶化
CrystalMax(商標)は、APIsおよびAPI候補品の同質異像、塩および共結晶の迅速な生成、同定および特徴付けを可能にする一連の自動化された一体式高処理量ロボットステーションを含んで成る。専用デザインのソフトウエアArchitect(商標)を用いてワークシート作成および組み合わせ混合物デザインを実施する。典型的には、APIまたはAPI候補品を有機溶媒を用いて管の中に分注した後、窒素流下で乾燥させる。また、塩および/または共結晶形成剤も分注した後、同じ様式で乾燥させる。多通路分注装置を用いて水および有機溶媒を一緒に管の中に分注することも可能である。次に、溶媒の蒸発を回避する目的で96管アレイの中の各管を組み合わせ分注の15秒以内に密封する。次に、その混合物を70℃に2時間加熱した後に1℃/分の冷却速度で5℃にすることでそれを過飽和状態にする。次に、結晶および/または固体材料を検出する目的で光学的検査を実施する。管の中に固体が識別された時点でそれを吸引で単離した後、乾燥させる。次に、その固体が示すラマンスペクトルを得た後、個々のスペクトルの集団分類分けを専用のソフトウエア[Inquire(商標)]を用いて実施する。
b)溶液からの結晶化
個々の成分を溶媒に溶解させた後、一方をもう一方に添加することを通して共結晶を得ることができる。次に、その溶媒混合物をゆっくり蒸発させると共結晶が沈澱または結晶化し得る。また、2種類の成分を同じ溶媒もしくは溶媒混合物に溶解させることを通して共結晶を得ることも可能である。
c)溶融状態からの結晶化(共溶融)
2種類の成分を一緒に溶融(即ち共溶融)させた後に再結晶化を起こさせることで共結晶を得ることができる。ある場合には、結晶化を助長する目的で抗溶媒を添加することも可能である。
d)熱顕微鏡
融点が高い方の成分をガラススライド上で溶融させた後に再結晶化させることを通して共結晶を得ることができる。次に、2番目の成分を溶融させた後、それもまた再結晶化させる。この2種類の元々の成分が示す共晶帯と共晶帯の間に位置する個別の相/帯として共結晶が生じ得る。
e)混合および/または粉砕
2種類の成分を固体状態で一緒に混合または粉砕することで共結晶を得ることができる。粉砕を結果としてAPIと共結晶形成剤の穏やかか、中程度か或は強力な混合がもたらされるように調節してもよい。また、そのような混合された材料を加熱することを利用して共結晶を生じさせることも可能である。また、APIと共結晶形成剤を少量の適切な溶媒と一緒に粉砕することで共結晶を生じさせることも可能である。
【0153】
別の態様では、共結晶の調製を溶媒の添加、溶媒の添加無しまたは両方で実施する。そのような共結晶化工程で用いる溶媒は、例えばこれらに限定するものでないが、アセトン
、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ニトロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルエーテル(エーテル)、蟻酸エチル、ヘキサン、アセトニトリル、またはアルコールを含有する別の有機溶媒であってもよい。
【0154】
そのような技術を用いて共結晶を生じさせようとする時にいくつかのAPIsを用いることができる。例えば、2003年9月11日付けで出願した米国出願番号10/660,202の表IVに挙げられているAPIsのいずれも少量の適切な溶媒を用いた粉砕で共結晶として調製可能である。
【0155】
「少量」の溶媒は約40重量パーセント(重量/重量)以下であるとして定義可能である。例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40または中間的量に等しいか或はそれ未満の重量パーセントは少量の溶媒であると見なすことができる。溶媒の重量パーセントは溶媒とAPIと共結晶形成剤を一緒にした重量を基準にした添加溶媒重量で決定可能である。
【0156】
「少量」の溶媒は、また、ある溶媒が溶かすAPIと共結晶形成剤の全体量が約1、2、3、4または5重量パーセント未満の時の量であるとしても定義可能である。
【0157】
別の態様において、APIと共結晶形成剤を湿式粉砕している時に用いる溶媒が固体を溶かす量は約5重量パーセント以下である。別の態様において、APIと共結晶形成剤を湿式粉砕している時に用いる溶媒が固体を溶かす量は約4重量パーセント以下である。別の態様において、APIと共結晶形成剤を湿式粉砕している時に用いる溶媒が固体を溶かす量は約3重量パーセント以下である。別の態様において、APIと共結晶形成剤を湿式粉砕している時に用いる溶媒が固体を溶かす量は約2重量パーセント以下である。別の態様において、APIと共結晶形成剤を湿式粉砕している時に用いる溶媒が固体を溶かす量は約1重量パーセント以下である。
【0158】
別の態様では、APIと共結晶形成剤と少量の溶媒を製粉または粉砕することで共結晶を生じさせる。
【0159】
別の態様では、APIと共結晶形成剤を含んで成る薬剤共結晶組成物を製造する方法を提供し、この方法は、
(a)適切な溶媒およびAPIおよび室温で固体である共結晶形成剤を準備し、
(b)前記APIと共結晶形成剤と少量の適切な溶媒を粉砕することで、前記APIと共結晶形成剤が互いに水素結合している固相を生じさせ、そして
(c)そのようにして生じさせた共結晶を単離する、
ことを含んで成る。
【0160】
別の態様では、前記方法に更に前記共結晶を薬剤組成物または薬剤の中に組み込むことも含める。
【0161】
f)共昇華
APIと共結晶形成剤の混合物を同じサンプル用セルの中で加熱するか、混合するか、或は前記混合物を真空下に置くことで密な混合物として共昇華させることで共結晶を得ることができる。また、Kneudsen装置を用いた共昇華で共結晶を得ることも可能であり、そのような装置では、APIと共結晶形成剤を個別のサンプル用セルの中に入れ、前記セルを単一の冷フィンガー(finger)に連結し、前記サンプル用セルの各々を真空雰囲気下で同じまたは異なる温度に維持して前記2成分を前記冷フィンガー上に共昇
華させることで所望の共結晶を生じさせる。
【0162】
別の態様では、APIと共結晶形成剤が入っている溶液に共結晶の種晶を添加することで共結晶を生じさせることができる。次に、本分野の技術者に公知のいろいろな技術の中の1つを用いて所望の共結晶を単離することができる。
【0163】
また、この上に示した技術の組み合わせおよび変形を用いて共結晶を生じさせることも可能である。
【0164】
分析方法
DSC分析の手順
サンプルのDSC分析をAdvantage for QW−Series、バージョン1.0.0.78、Thermal Advantage Release 2.0(2001 TA Instruments−Water LLC)が用いられているQ1000 Differential Scanning Calorimeter(TA Instruments、New Castle、DE、U.S.A.)を用いて実施した。加うるに、使用した分析ソフトウエアはWindows 95/95/2000/NT用のUniversal Analysis 2000のバージョン3.1E;Build 3.1.0.40(2001 TA Instruments−Water LLC)であった。
【0165】
DSC分析で用いたパージガスは乾燥した窒素であり、基準材料は空のひだ付きアルミニウム製天秤皿であり、そしてサンプルのパージ洗浄率を50mL/分にした。
【0166】
ひだ付き天秤皿クロージャーが備わっているアルミニウム製天秤皿にサンプルを≦2mg入れることを通してサンプルのDSC分析を実施した。開始温度は典型的に20℃であり、加熱速度を10℃/分にしそして最終温度を300℃にした。特に明記しない限り、報告する転移は全部記述する如く±1.0℃である。
【0167】
TGA分析の手順
サンプルのTGA分析をAdvantage for QW−Series、バージョン1.0.0.78、Thermal Advantage Release 2.0(2001 TA Instruments−Water LLC)が用いられているQ500 Thermogravimetric Analyzer(TA Instruments、New Castle、DE、U.S.A.)を用いて実施した。加うるに、使用した分析ソフトウエアはWindows 95/95/2000/NT用のUniversal Analysis 2000のバージョン3.1E;Build 3.1.0.40(2001 TA Instruments−Water LLC)であった。
【0168】
TGA実験の全部で用いたパージガスは乾燥した窒素であり、天秤のパージを40mL/分のNにしそしてサンプルのパージを60mL/分のNにした。
【0169】
アルミニウム製天秤皿にサンプルを≦2mg入れることを通してサンプルのTGAを実施した。開始温度は典型的に20℃であり、加熱速度を10℃/分にしそして最終温度を300℃にした。
【0170】
PXRD分析の手順
RINT Rapid Control Software、Rigaku Rapid/XRD、バージョン1.0.0(1999 Rigaku Co.)がコントロールソフトウエアとして用いられているD/Max Rapid、Contact(Riga
ku/MSC、The Woodlands、TX,U.S.A.)を用いてサンプルが示す粉末X線回折(PXRD)パターンを得た。加うるに、使用した分析用ソフトウエアはRINT Rapidディスプレーソフトウエア、バージョン1.18(Rigaku/MSC)およびJADE XRD Pattern Processing、バージョン5.0および6.0(1995−2002、Materials Data,Inc.)であった。
【0171】
PXRD分析取得用パラメーターは下記の通りであった:源はK線が1.5406Åの所のCuであり、x−y段階は手動であり、コリメータの大きさは0.3mmであり、毛細管(Charles Supper Company、Natick、MA、U.S.A.)のIDは0.3mmであり、反射モードを用い、X線管への電力は46kVであり、X線管への電流は40mAであり、オメガ軸を0−5度の範囲内で1度/分の速度で振動させ、ファイ軸を360度の角度で2度/秒の速度で走査し、0.3mmのコリメータ、集積時間は60分間であり、温度は室温であり、そしてヒーターを用いなかった。ホウ素が豊富に存在するガラス製毛細管の中のX線源にサンプルを提示した。
【0172】
加うるに、分析用パラメーターは下記の通りであった:積分2シータ範囲は2−60度であり、積分カイ範囲は0−360度であり、カイセグメントの数は1であり、使用したステップサイズは0.02であり、積分単位はシリント(cylint)であり、正規化を用い、ダークカウント(dark counts)は8であり、オメガオフセットは180であり、そしてカイおよびファイオフセットは0であった。
【0173】
PXRD回折図をまたBruker AXS D8 Discover X−ray Diffractometerを用いることでも取得した。この装置にはGADDS(商標)(General Area Diffraction Detection System)、Bruker AXS HI−STAR Area Detector(装置の較正に従って15.05cmの距離の所)、銅源(Cu/Kα1.54056オングストローム)、自動化x−y−zステージおよび0.5mmのコリメータが備わっていた。サンプルをペレット形態に圧縮した後、前記x−y−zステージの上に置いた。回折図の取得を周囲条件(25℃)下で電力を40kVおよび40mAに設定してサンプルを静止状態のまま反射様式で実施した。暴露時間を各サンプル毎に変えかつ特定した。面積検出器の幾何学的ピンクッション(pincushion)変形を説明する目的で、その得た回折図に空間的再配置手順を受けさせた後、正規化を二進法正規化に設定して積分を−118.8から−61.8度のカイおよび2シータ2.1−37度に沿って0.02度のステップサイズで実施した。
【0174】
回折図の中のピークの相対強度は必ずしもPXRDパターンの限界ではない、と言うのは、ピーク強度はサンプルとサンプルで変動する可能性があり、例えば結晶の不純物などが原因で変動する可能性があるからである。その上、各ピークの角度は約±0.1度または±0.05度変動する可能性もある。また、パターン全体またはパターンピークの大部分も較正の差、設定およびその他、装置と装置の変動およびオペレーターとオペレーターの変動が原因で約±0.1度から約±0.2度シフトする可能性もある。本図、実施例および本明細書の他の場所に報告するPXRDピークは全部約±0.1度2シータの誤差を伴わせて報告する。
【0175】
特に明記しない限り、Nicolet Avatar 320 FTIRを用いてあらゆる赤外(IR)スペクトルを取得した。
【0176】
単結晶X線回折の手順
KRYO−FLEX低温デバイスに連結している単色化Mo Kα放射線(λ=0.7
1073オングストローム)が備わっているBruker SMART−APEX CCD回折装置(M.J.Zaworotko、Department of Chemistry、University of South Florida)を用いて単結晶X線データを集めた。格子パラメーターの測定を最小二乗分析で実施した。プログラムSAINT.Lorentzを用いて反射データを積分しそして回折した反射に偏光補正を加えた。加うるに、SADABSを用いて吸収に関するデータを補正した。構造を直接方法で解像しそしてプログラムSHELXTL(Sheldrick,G.M.SHELXTL、Release 5.03;Siemans Analytical X−ray Instruments Inc.:Madison、WI)を用いたフルマトリクス最小二乗で微調整した。水素以外の原子全部に異方性変移パラメーターを用いた微調整を受けさせた。メチル基以外の炭素と結合しているH原子の全部を幾何学的に配置しそしてそれらにそれらが結合している原子に関して1.2倍のUに固定した等方性変移パラメーターによる微調整を受けさせた。メチル基のH原子ばかりでなくNもしくはOと結合しているプロトンをフーリエ差分布図から局在化させそしてそれらに相当するNもしくはO原子が基になった等方性熱パラメーターによる微調整を受けさせた[U(H)=1.2U(N,O)]。
【0177】
本発明の共結晶に特徴付けを例えばTGAまたはDSCデータを用いてか或は本明細書に挙げるか或は図に開示するPXRD2シータ角ピークまたはIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つ、いずれか9つ、いずれか10、またはいずれか単一の整数の数で用いてか或は単結晶x線回折データを用いて受けさせることができる。
【実施例1】
【0178】
カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸の共結晶
約3mLのメタノールに40mg(0.1693ミリモル)のカルバマゼピンと30mg(0.1421ミリモル)の4−アミノ安息香酸を溶解させた。溶媒をゆっくり蒸発させることでカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸(2:1)の共結晶の透明な板を得た。この共結晶にIR分光法および単結晶x線回折を用いた分析を受けさせた。
【0179】
赤外分光方法:(Nicolet Avatar 320 FTIR):3460cm−1、(N−H伸縮、1゜アミン、カルバマゼピン);3162cm−1、(C−H伸縮、アルケン);1673cm−1、(C=O);1603cm−1、(C=C).
MEL−TEMPを用いて前記カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸共結晶の融点を測定した。測定融点は185−187℃であった。
【0180】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):(C1512O):CNO、M=609.67、単斜C2/c、a=31.013(3)オングストローム、b=12.1319(9)オングストローム、c=13.599(1)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=99.173(1)度、ガンマ=90度、V=6028.4(8)立方オングストローム、T=100K、Z=8、D=1.343g/cm、λ=0.71073オングストローム。415パラメーターの最終的残余はR[I>シグマ(I)=0.0415およびwR=0.106であった。
【0181】
このカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸共結晶は酸−アミドの2点超分子ヘテロシントンと第一級アミド二量体の両方を含有する。2個の酸−アミド超分子ヘテロシントンが四量体モチーフを形成していて、これの各側がアミノN−H...O水素結合を通して第一級アミド二量体と結合している。そのような四量体モチーフがCSDに示されている酸−アミド超分子ヘテロシントン含有構造物の中の13パーセントに存在する。酸−アミド超分子ヘテロシントンのO−H...OおよびN−H...O水素結合相互作用距離は2
.540および2.98オングストロームであり、これはそれぞれ2.56および2.96オングストロームの平均値に匹敵する。
【実施例2】
【0182】
カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水の共結晶
カルバマゼピン(0.030g、0.127ミリモル)と4−アミノ安息香酸(0.0087g、0.063ミリモル)を1mlの熱エタノールに溶解させることで生じさせた溶液に蒸発をゆっくり受けさせることで2日後にカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水(2:1:1)の共結晶の黄色結晶を得た。この共結晶にTGAおよび単結晶x線回折を用いた分析を受けさせた。
【0183】
MEL−TEMPを用いて前記カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水共結晶の融点を測定した。測定融点は約143℃であった。
【0184】
前記カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水共結晶にTGA分析を受けさせた結果、135℃の所に3パーセントの重量損失、174℃の所に68パーセントの重量損失および306℃の所に12パーセントの重量損失が起こったことが分かった。
【0185】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):(C1512O):CNO:HO、M=627.68、単斜P2/n、a=13.760(1)オングストローム、b=17.457(1)オングストローム、c=14.624(1)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=115.876(1)度、ガンマ=90度、V=3160.8(4)立方オングストローム、T=100K、Z=4、D=1.319g/cm、λ=0.71073オングストローム。424パラメーターの最終的残余はR[I>シグマ(I)=0.0431およびwR=0.1112であった。
【0186】
エタノールを用いる以外は実施例1と同じ成分に共結晶化を受けさせることでカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水が2:1:1の共結晶がもたらされた。この結晶の詰め込みは前記カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸共結晶の結晶構造とは顕著に異なる。これはO−H...OおよびN−H...O水素結合を通して8分子の個別単位を形成しており、これは4個のカルバマゼピン分子と2個の4−アミノ安息香酸分子と2個の水分子を含有する。水分子が第一級アミドのカルボニルと酸のOHの間に挿入していることで1点N−H...O酸−アミド超分子ヘテロシントンを維持している。(アミド)N−H...O(酸)の相互作用距離は2.878オングストロームであるのに対比して平均は2.96オングストロームである。注目すべきは、アミド抗配向NHが水素結合に関与していない。
【0187】
【表18】

【0188】
表XXIに、水素結合相互作用距離の重要な幾何学的パラメーターを含める。例えば、縦列「距離(H...A)オングストローム」に供与体H原子と受容体原子の間の距離(オングストローム)を含める。縦列「距離(D...A)オングストローム」に供与体水素原子が共有結合している電磁原子と別の分子の受容体原子の間の距離(オングストローム)を含める。縦列「シータ(度)」に、水素結合の結合角を含める。これは具体的には供与体から水素原子を通って受容体に至る角度である。
【実施例3】
【0189】
グリブリド:TRISの共結晶
グリブリド(20.39mg)とTRIS(トロメタミン、5mg)を1:1のモル比で5mLのメタノールに入れて混合した。その溶液を5℃に一晩保持し、傾斜法で取り出した後、蒸発乾固させた。グリブリド:TRISの共結晶に関するDSC、TGAおよびPXRD分析を実施した。
【0190】
DSCサーモグラムは約140℃の所に吸熱転移が存在することを示している(図1)。TGAサーモグラムは約150と約200℃の間に約20パーセントの重量損失が起こったことを示している(図2)。
【0191】
このグリブリド:TRISの共結晶は図3に示したピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、5.29、8.19、12.23、13.99、15.43、15.91、17.31、19.07、22.01、23.21、23.87、25.61および26.41度2シータの所のピークが含まれる(集めたままのデータ)。図3に、前記グリブリド:TRISの共結晶が示したPXRD回折図を背景減算無しに示す。
【実施例4】
【0192】
マレイン酸フルコナゾール:マレイン酸の共結晶
フルコナゾールとマレイン酸を酢酸エチルに加熱を伴わせて溶解させた後、ゆっくり蒸発させた。その共結晶はマレイン酸フルコナゾール:マレイン酸水化物であると特徴づけられた。
【0193】
結晶データ:(Bruker SMART−APEX CCD回折装置)、単斜C2;a=36.557(6)オングストローム、b=5.695(6)オングストローム、c=12.771(7)オングストローム、ベータ=94.530度、Z=4。
【0194】
IR分光方法(Nicolet Avatar 320 FTIR)は3121、3055、1702、1562、1430、1257、1217、915、857、および787cm−1の所にピークを示していた。
【0195】
MEL−TEMPはマレイン酸フルコナゾール:マレイン酸の共結晶が示す融点は約84℃であることを示していた。
【実施例5】
【0196】
オクスカルバゼピンの蟻酸溶媒和物
加熱を用いてオクスカルバゼピンを蟻酸に溶解させた。蟻酸をゆっくり蒸発させることでオクスカルバゼピンの蟻酸溶媒和物を回収した。
【0197】
結晶データ:(Bruker SMART−APEX CCD回折装置)、三斜P−1;a=9.334(2)オングストローム、b=10.757(2)オングストローム、c=14.113(3)オングストローム、アルファ=97.020(4)度、ベータ=107.988(4)度、ガンマ=94.617(4)度、Z=2。
【0198】
IR分光方法(Nicolet Avatar 320 FTIR)は3419、3187、1717、1658、1595、1397、1147、および767cm−1の所にピークを示していた。
【0199】
MEL−TEMPは前記オクスカルバゼピンの蟻酸溶媒和物が示す融点は約223−225℃であることを示していた。
【実施例6】
【0200】
ピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶
ピラセタム(16mg、0.11モル)にゲンチシン酸(17mg、0.11モル)を加えた。この固体状混合物にアセトニトリル(1mL)を加えた後、その溶液を70℃に2分間加熱した。次に、その均一な溶液を室温(22℃)に冷却した後、溶媒をゆっくり蒸発させた。室温で24時間後に沈澱物を観察した。この沈澱物を集めた後、乾燥させることでピラセタム:ゲンチシン酸が1:1の共結晶を無色の小型板として得た。この結晶にDSC、融点(Mel−temp)、IR、PXRDおよび単結晶x線分析による特徴づけを受けさせた。
【0201】
このピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶にDSC分析を受けさせた結果、図4に示すように、約126℃の所に吸熱転移が存在することが分かった。
【0202】
MEL−TEMPを用いて前記ピラセタム:ゲンチシン酸共結晶の融点を測定した。測定融点は約124℃であった。
【0203】
このピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶にIR分光法を用いた特徴づけを受けさせた。このピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶は図5に示したピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、1651、1596、1467、1294、1221、1034、831、762、および681cm−1の所のピークが含まれる。
【0204】
このピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶にまたPXRDによる特徴づけも受けさせた。このピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶は図6に示したピークの中のいずれか1つ、いず
れか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、12.70、14.08、16.96、24.79、27.94および32.46度2シータの所のピークが含まれる。
【0205】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):単斜C2/c、a=27.896(3)オングストローム、b=5.1762(5)オングストローム、c=19.7879(18)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=101.090(2)度、ガンマ=90度、V=2803.9(4)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=8。
【0206】
それぞれが遊離形態のピラセタムおよびゲンチシン酸は両方ともが同質異像であることが知られている。ピラセタムが示す3種類の同質異像をCambridge Structural Database(CSD)に見ることができる。加うるに、ゲンチシン酸は「同質二像」であるとしてMerck Indexに記述されている。前記調製の結果としてもたらされたピラセタム:ゲンチシン酸共結晶は同質異像ではあり得ない。乾式粉砕および異なる数種の溶媒を用いた湿式粉砕を含めた複数の実験を実施した結果、ピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶の同質異像は1種類のみであることを観察した。
【実施例7】
【0207】
ピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶
ピラセタム(10mg、0.07モル)に4−ヒドロキシ安息香酸(10mg、0.07モル)を加えた。この固体状混合物にアセトニトリル(1mL)を加えた後、その溶液を70℃に5分間加熱した。次に、その均一な溶液を室温に冷却した後、溶媒をゆっくり蒸発させた。室温(22℃)で24時間後に沈澱物を観察した。この沈澱物を集めた後、乾燥させることでピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸が1:1の共結晶を無色の小型板として得た。この結晶にDSC、融点(Mel−temp)、IR、PXRDおよび単結晶x線分析を用いた特徴づけを受けさせた。
【0208】
このピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶にDSC分析を受けさせた結果、図7に示すように、約143℃の所に吸熱転移が存在することが分かった。
【0209】
MEL−TEMPを用いて前記ピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶の融点を測定した。測定融点は141−142℃であった。
【0210】
このピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶にIR分光法を用いた特徴づけを受けさせた。このピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶は図8に示したピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、1658、1596、1471、1405、1265、1243、1166、1125、945、923、857、および769cm−1の所のピークが含まれる。
【0211】
このピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶にまたPXRDによる特徴づけも受けさせた。このピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶は図9に示したピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、6.63、13.48および20.42度2シータの所のピークが含まれる。
【0212】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):単斜P2(1)/n、a=14.780(3)オングストローム、b=5.5029(12)オングストローム、c=17.068(4)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=109.557(4)度、ガンマ=90度、V=1308.0(5)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=4。
【実施例8】
【0213】
カルバマゼピン:桂皮酸の共結晶
カルバマゼピン(12mg、0.05モル)に桂皮酸(8mg、0.05モル)を加えた。この固体状混合物に酢酸エチル(1mL)を加えた後、その溶液を70℃に5分間加熱した。次に、その均一な溶液を室温(約22℃)に冷却した後、溶媒をゆっくり蒸発させた。室温で24時間後に沈澱物を観察し、集めた後、乾燥させることでカルバマゼピン:桂皮酸が1:1の共結晶を無色の大型棒として得た。この結晶にDSC、MEL−TEMP、PXRD、IRおよび単結晶x線分析による特徴づけを受けさせた。
【0214】
DSCサーモグラムは約144℃の所に吸熱転移が存在することを示している(図10)。このカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶は図11に示したIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、1703、1658、1633、1574、1489、1449、1434、1276、1173、978、872、769、706および673cm−1の所のピークが含まれる。MEL−TEMPを用いて前記カルバマゼピン:桂皮酸共結晶の融点を測定した。測定融点は約142−143℃であった。このカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶は図12に示したPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、5.78、9.91、16.70、21.82および27.24度2シータの所のピークが含まれる。
【0215】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):単斜P2(1)/c、a=15.2187(15)オングストローム、b=5.4243(5)オングストローム、c=23.435(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=95.346(2)度、ガンマ=90度、V=1926.1(3)立方オングストローム、T=100K、Z=4。
【実施例9】
【0216】
カルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶
カルバマゼピン(18mg、0.08モル)にアセチルサリチル酸(14mg、0.08モル)を加えた。この固体状混合物に酢酸エチル(1mL)を加えた後、その溶液を70℃に5分間加熱した。次に、その均一な溶液を室温(約22℃)に冷却した後、溶媒をゆっくり蒸発させた。室温で24時間後に沈澱物を観察し、集めた後、乾燥させることでカルバマゼピン:アセチルサリチル酸が1:1の共結晶を無色の小型板として得た。この結晶にDSC、MEL−TEMP、PXRD、IRおよび単結晶x線分析を用いた特徴づけを受けさせた。
【0217】
DSCサーモグラムは約128℃の所に吸熱転移が存在することを示している(図13)。このカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶は図14に示したIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、1750、1691、1640、1607、1555、1493、1416、1364、1302、1280、1258、1203、1085、986、927、806、および773cm−1の所のピークが含まれる。MEL−TEMPを用いて前記カルバマゼピン:アセチルサリチル酸共結晶の融点を測定した。測定融点は約125−126℃であった。このカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶は図15に示したPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、12.7、15.1、17.68、20.72、24.84、25.86および33.08度2シータの所のピークが含まれる。
【0218】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):三斜P−1、a=9.0317(18)オングストローム、b=11.364(2)オングストローム、c=11.424(2)オングストローム、アルファ=60.350(4)度、ベータ=85.599(4)度、ガンマ=84.724(4)度、V=1014.0(3)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=2。
【実施例10】
【0219】
スタブジン:メラミンの共結晶
スタブジン(132mg、0.58モル)にメラミン(34mg、0.27ミリモル)を加えた。この固体状混合物に1:1のエタノール:水(2mL)を加えた後、その溶液を約40℃に5分間加熱した。次に、その均一な溶液を室温(約22℃)に冷却した後、修正無しの大気中でゆっくり蒸発を起こさせた。4日後に沈澱物を観察し、集めた後、乾燥させることでスタブジン:メラミンが3:1の共結晶を無色の小型板として得た。この結晶にDSC、IR、PXRD、MEL−TEMPおよび単結晶x線分析を用いた特徴づけを受けさせた。
【0220】
DSCサーモグラムは約212℃の所に吸熱転移が存在することを示している(図16)。このスタブジン:メラミンの共結晶は図17Bに示したIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、1688、1655、1542、1446、1268、1113、1091、1044、799、690、および614cm−1の所のピークが含まれる。(図17Aに、前記スタブジン:メラミン共結晶のIRスペクトルを示し、図17Bに指紋領域を拡大した同じスペクトルを示す)。MEL−TEMPを用いて前記スタブジン:メラミン共結晶の融点を測定した。測定融点は約186−190℃であった。このスタブジン:メラミンの共結晶は図18に示したPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、11.06、18.32、20.24、22.4、24.64、28.08および33.92度2シータの所のピークが含まれる。
【0221】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):単斜C2、a=28.720(4)オングストローム、b=16.622(3)オングストローム、c=15.900(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=102.909(3)度、ガンマ=90度、V=7398.3(19)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=8。
【実施例11】
【0222】
スタブジン:2−アミノピリジンの共結晶
スタブジン(40mg、0.18モル)に2−アミノピリジン(17mg、0.18ミリモル)を加えた。この固体状混合物に1:1のエタノール:水(2mL)を加えた後、その溶液を溶解が起こるまで加熱した。次に、その均一な溶液を室温(約22℃)に冷却
した後、修正無しの大気中でゆっくり蒸発を起こさせた。数日後に沈澱物を観察し、集めた後、乾燥させることでスタブジン:2−アミノピリジンが1:1の共結晶を無色の塊として得た。この結晶にDSC、IR、MEL−TEMPおよび単結晶x線分析を用いた特徴づけを受けさせた。
【0223】
DSCサーモグラムは約156℃の所に吸熱転移が存在することを示している(図19)。このスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶は図20Bに示したIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、1698、1666、1629、1490、1471、1433、1284、1248、1221、1107、1089、1075、1039、974、817、774、738、692、651、および576cm−1の所のピークが含まれる。(図20Aに、前記スタブジン:2−アミノピリジン共結晶のIRスペクトルを示し、図20Bに指紋領域を拡大した同じスペクトルを示す)。MEL−TEMPを用いて前記スタブジン:2−アミノピリジン共結晶の融点を測定した。測定融点は約120−122℃であった。
【0224】
単結晶x線データ(Bruker SMART−APEX CCD):斜方P2、a=7.1242(6)オングストローム、b=13.7996(12)オングストローム、c=15.0613(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=90度、ガンマ=90度、V=1476.3(2)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=4。
【0225】
【表19】

【0226】
【表20】

【0227】
【表21】

【0228】
【表22】

【0229】
【表23】

【0230】
【表24】

【0231】
【表25】

【0232】
【表26】

【0233】
【表27】

【0234】
【表28】

【0235】
【表29】

【0236】
【表30】

【0237】
【表31】

【0238】
【表32】

【0239】
【表33】

【0240】
【表34】

【0241】
【表35】

【0242】
【表36】

【0243】
【表37】

【0244】
【表38】

【0245】
【表39】

【0246】
【表40】

【0247】
【表41】

【0248】
【表42】

【0249】
【表43】

【0250】
【表44】

【0251】
【表45】

【0252】
【表46】

【0253】
【表47】

【0254】
【表48】

【0255】
【表49】

【0256】
【表50】

【0257】
【表51】

【0258】
【表52】

【0259】
【表53】

【0260】
【表54】

【0261】
【表55】

【0262】
【表56】

【0263】
【表57】

【0264】
【表58】

【0265】
【表59】

【0266】
【表60】

【0267】
【表61】

【0268】
【表62】

【0269】
【表63】

【0270】
【表64】

【0271】
【表65】

【0272】
【表66】

【0273】
【表67】

【0274】
【表68】

【0275】
【表69】

【0276】
【表70】

【0277】
【表71】

【0278】
【表72】

【0279】
【表73】

【0280】
【表74】

【0281】
【表75】

【0282】
【表76】

【0283】
【表77】

【図面の簡単な説明】
【0284】
【図1】グリブリド:TRIS共結晶のDSCサーモグラム
【図2】グリブリド:TRIS共結晶のTGAサーモグラム
【図3】グリブリド:TRIS共結晶のPXRD回折図
【図4】ピラセタム:ゲンチシン酸共結晶のDSCサーモグラム
【図5】ピラセタム:ゲンチシン酸共結晶のIRスペクトル
【図6】ピラセタム:ゲンチシン酸共結晶のPXRD回折図
【図7】ピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のDSCサーモグラム
【図8】ピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のIRスペクトル
【図9】ピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のPXRD回折図
【図10】カルバマゼピン:桂皮酸共結晶のDSCサーモグラム
【図11】カルバマゼピン:桂皮酸共結晶のIRスペクトル
【図12】カルバマゼピン:桂皮酸共結晶のPXRD回折図
【図13】カルバマゼピン:アセチルサリチル酸共結晶のDSCサーモグラム
【図14】カルバマゼピン:アセチルサリチル酸共結晶のIRスペクトル
【図15】カルバマゼピン:アセチルサリチル酸共結晶のPXRD回折図
【図16】スタブジン:メラミン共結晶のDSCサーモグラム
【図17A−17B】スタブジン:メラミン共結晶のIRスペクトル
【図18】スタブジン:メラミン共結晶のPXRD回折図
【図19】スタブジン:2−アミノピリジン共結晶のDSCサーモグラム
【図20A−20B】スタブジン:2−アミノピリジン共結晶のIRスペクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
APIと共結晶形成剤を含んでなる薬剤共結晶であって、APIがカルバマゼピン、グリブリド、フルコナゾール、オクスカルバゼピン、ピラセタムおよびスタブジンから成る群から選択され、そして共結晶形成剤が4−アミノ安息香酸、TRIS、マレイン酸、ゲンチシン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、桂皮酸、メラミンおよび2−アミノピリジンから成る群から選択される、上記薬剤共結晶。
【請求項2】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、(a)該共結晶がカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸の共結晶であり、かつ、単結晶x線データが
(i)M=609.67、単斜C2/c、a=31.013(3)オングストローム、b=12.1319(9)オングストローム、c=13.599(1)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=99.173(1)度、ガンマ=90度、V=6028.4(8)立方オングストローム、T=100K、Z=8およびD=1.343g/cm
(ii)a=31.013(3)オングストローム、b=12.1319(9)オングストローム、c=13.599(1)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=99.173(1)度およびガンマ=90度、または
(iii)V=6028.4(8)立方オングストロームおよびD=1.343g/cm
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸の共結晶でありかつ融点が約185−187℃であることで特徴づけられるか、
(c)カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸の共結晶の中のO−H...Oのカルボン酸−アミド水素結合に関するO原子とO原子の間の相互作用距離が約2.54オングストロームであるか、或は
(d)カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸の共結晶の中のN−H...Oのカルボン酸−アミド水素結合に関するN原子とO原子の間の相互作用距離が約2.98オングストロームである、
上記薬剤共結晶。
【請求項3】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水の共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)M=627.68、単斜P2/n、a=13.760(1)オングストローム、b=17.457(1)オングストローム、c=14.624(1)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=115.876(1)度、ガンマ=90度、V=3160.8(4)立方オングストローム、T=100K、Z=4およびD=1.319g/cm
(ii)a=13.760(1)オングストローム、b=17.457(1)オングストローム、c=14.624(1)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=115.876(1)度およびガンマ=90度、または
(iii)V=3160.8(4)立方オングストロームおよびD=1.319g/cm
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がカルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水の共結晶でありかつ融点が約143℃であることで特徴づけられるか、或は
(c)カルバマゼピン:4−アミノ安息香酸:水の共結晶の中のN−H...Oのカルボン酸−アミド水素結合に関するN原子とO原子の間の相互作用距離が約2.88オングストロームである、上記薬剤共結晶。
【請求項4】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がマレイン酸フルコナゾール:マレイン酸の共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)単斜C2、a=36.557(6)オングストローム、b=5.695(6)オングストローム、c=12.771(7)オングストローム、ベータ=94.530度、Z=4、または
(ii)a=36.557(6)オングストローム、b=5.695(6)オングストローム、c=12.771(7)オングストローム、ベータ=94.530度、
を包含することで特徴づけられるか、或は
(b)該共結晶がマレイン酸フルコナゾール:マレイン酸の共結晶でありかつ融点が約84℃であることで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項5】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつ粉末X線回折パターンが2−シータ角で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが8.19、15.43および19.07度の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが13.99、22.01および26.41度の所にピークを包含するか、
(iii)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが5.29、8.19、12.23、13.99、15.43、19.07および22.01度の所にピークを包含するか、
(iv)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが8.19および19.07度の所にピークを包含するか、
(v)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが8.19および15.43度の所にピークを包含するか、
(vi)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが5.29および23.21度の所にピークを包含するか、
(vii)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが8.19度の所にピークを包含するか、
(viii)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが5.29度の所にピークを包含するか、
(ix)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが19.07度の所にピークを包含するか、
(x)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが22.01度の所にピークを包含するか、或は
(xi)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつX線回折パターンが実質的に図3に示す通りである、
ことで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつDSCサーモグラムが約140℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(c)該共結晶がグリブリド:TRISの共結晶でありかつTGAサーモグラムが約150℃から約200℃の間に約20%の重量損失を包含することで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項6】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)単斜C2/c、a=27.896(3)オングストローム、b=5.1762
(5)オングストローム、c=19.7879(18)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=101.090(2)度、ガンマ=90度、V=2803.9(4)立方オングストローム、T=100(2)KおよびZ=8、
(ii)a=27.896(3)オングストローム、b=5.1762(5)オングストローム、c=19.7879(18)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=101.090(2)度、ガンマ=90度、または
(iii)単斜C2/cおよびV=2803.9(4)立方オングストローム、
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつ融点が約124℃であることで特徴づけられるか、
(c)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつ粉末X線回折パターンが2−シータ角で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.70、14.08および16.96度の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.70、24.79および27.94度の所にピークを包含するか、
(iii)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが16.96、27.94および32.46度の所にピークを包含するか、
(iv)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.70、14.08、16.96、24.79、27.94および32.46度の所にピークを包含するか、
(v)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.70、14.08、16.96および27.94度の所にピークを包含するか、
(vi)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.70および16.96度の所にピークを包含するか、
(vii)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが16.96および24.79度の所にピークを包含するか、
(viii)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.70度の所にピークを包含するか、
(ix)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが14.08度の所にピークを包含するか、
(x)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが16.96度の所にピークを包含するか、或は
(xi)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつX線回折パターンが実質的に図6に示す通りである、
ことで特徴づけられるか、
(d)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつDSCサーモグラムが約126℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(e)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつIRスペクトルがcm−1で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1651、1467および1221cm−1の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1467、1294および1033cm−1の所にピークを包含するか、或は
(iii)該共結晶がピラセタム:ゲンチシン酸の共結晶でありかつIRスペクトルが831、762および681cm−1の所にピークを包含する、
ことで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項7】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)単斜P2(1)/n、a=14.780(3)オングストローム、b=5.5029(12)オングストローム、c=17.068(4)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=109.557(4)度、ガンマ=90度、V=1308.0(5)立方オングストローム、T=100(2)KおよびZ=4、
(ii)a=14.780(3)オングストローム、b=5.5029(12)オングストローム、c=17.068(4)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=109.557(4)度、ガンマ=90度、または
(iii)単斜P2(1)/nおよびV=1308.0(5)立方オングストローム、
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつ融点が約141−142℃であることで特徴づけられるか、
(c)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつ粉末X線回折パターンが2−シータ角で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつX線回折パターンが6.63、13.48および20.42度の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつX線回折パターンが6.63および13.48度の所にピークを包含するか、
(iii)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつX線回折パターンが13.48および20.42度の所にピークを包含するか、
(iv)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつX線回折パターンが13.48度の所にピークを包含するか、
(v)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつX線回折パターンが6.63度の所にピークを包含するか、或は
(vi)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつX線回折パターンが実質的に図9に示す通りである、
ことで特徴づけられるか、
(d)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつDSCサーモグラムが約143℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(e)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつIRスペクトルがcm−1で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1658、1596および1243cm−1の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1265、1165および769cm−1の所にピークを包含するか、或は
(iii)該共結晶がピラセタム:4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1658、1243および769−1の所にピークを包含する、
ことで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項8】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)単斜P2(1)/c、a=15.2187(15)オングストローム、b=5.4243(5)オングストローム、c=23.435(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=95.346(2)度、ガンマ=90度、V=1926.1(3)立方オングストローム、T=100K、Z=4、
(ii)a=15.2187(15)オングストローム、b=5.4243(5)オングストローム、c=23.435(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ
=95.346(2)度、ガンマ=90度、または
(iii)単斜P2(1)/cおよびV=1926.1(3)立方オングストローム、
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつ融点が約142−143℃であることで特徴づけられるか、
(c)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつ粉末X線回折パターンが2−シータ角で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつX線回折パターンが5.78、9.91および16.70度の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつX線回折パターンが16.70、21.82および27.24度の所にピークを包含するか、
(iii)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつX線回折パターンが5.78および9.91度の所にピークを包含するか、
(iv)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつX線回折パターンが5.78度の所にピークを包含するか、
(v)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつX線回折パターンが16.70度の所にピークを包含するか、或は
(vi)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつX線回折パターンが実質的に図12に示す通りである、
ことで特徴づけられるか、
(d)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつDSCサーモグラムが約144℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(e)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつIRスペクトルがcm−1で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1703、1434および1173cm−1の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1574、978および769cm−1の所にピークを包含するか、或は
(iii)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1703、1276および978−1の所にピークを包含する、
ことで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項9】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)三斜P−1、a=9.0317(18)オングストローム、b=11.364(2)オングストローム、c=11.424(2)オングストローム、アルファ=60.350(4)度、ベータ=85.599(4)度、ガンマ=84.724(4)度、V=1014.0(3)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=2、
(ii)a=9.0317(18)オングストローム、b=11.364(2)オングストローム、c=11.424(2)オングストローム、アルファ=60.350(4)度、ベータ=85.599(4)度、ガンマ=84.724(4)度、または
(iii)三斜P−1およびV=1014.0(3)立方オングストローム、
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつ融点が約125−126℃であることで特徴づけられるか、
(c)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつ粉末X線回折パターンが2−シータ角で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.7、15.1および17.68度の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつX線回折パターンが17.68、20.72および24.84度の所にピークを包含するか、
(iii)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつX線回折パターンが12.7および15.1度の所にピークを包含するか、
(iv)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつX線回折パターンが15.1度の所にピークを包含するか、
(v)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつX線回折パターンが17.68度の所にピークを包含するか、或は
(vi)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつX線回折パターンが実質的に図15に示す通りである、
ことで特徴づけられるか、
(d)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつDSCサーモグラムが約128℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(e)該共結晶がカルバマゼピン:桂皮酸の共結晶でありかつIRスペクトルがcm−1で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1691、1416および1203cm−1の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1750、1085および773cm−1の所にピークを包含するか、或は
(iii)該共結晶がカルバマゼピン:アセチルサリチル酸の共結晶でありかつIRスペクトルが1555、1302および927cm−1の所にピークを包含する、
ことで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項10】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)単斜C2、a=28.720(4)オングストローム、b=16.622(3)オングストローム、c=15.900(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=102.909(3)度、ガンマ=90度、V=7398.3(19)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=8、
(ii)a=28.720(4)オングストローム、b=16.622(3)オングストローム、c=15.900(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=102.909(3)度、ガンマ=90度、または
(iii)単斜C2およびV=7398.3(19)立方オングストローム、
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつ融点が約186−190℃であることで特徴づけられるか、
(c)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつ粉末X線回折パターンが2−シータ角で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつX線回折パターンが11.06、22.4および24.64度の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつX線回折パターンが11.06、18.32および20.24度の所にピークを包含するか、
(iii)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつX線回折パターンが22.4および28.08度の所にピークを包含するか、
(iv)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつX線回折パターンが11.06度の所にピークを包含するか、
(v)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつX線回折パターンが22
.4度の所にピークを包含するか、或は
(vi)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつX線回折パターンが実質的に図18に示す通りである、
ことで特徴づけられるか、
(d)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつDSCサーモグラムが約212℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(e)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつIRスペクトルがcm−1で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつIRスペクトルが1655、1446および799cm−1の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつIRスペクトルが1542、1268および1091cm−1の所にピークを包含するか、或は
(iii)該共結晶がスタブジン:メラミンの共結晶でありかつIRスペクトルが1688、1113および690cm−1の所にピークを包含する、
ことで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項11】
請求項1記載の薬剤共結晶であって、
(a)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつ単結晶x線データが
(i)斜方P2、a=7.1242(6)オングストローム、b=13.7996(12)オングストローム、c=15.0613(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=90度、ガンマ=90度、V=1476.3(2)立方オングストローム、T=100(2)K、Z=4、
(ii)a=7.1242(6)オングストローム、b=13.7996(12)オングストローム、c=15.0613(2)オングストローム、アルファ=90度、ベータ=90度、ガンマ=90度、または
(iii)斜方P2およびV=1476.3(2)立方オングストローム、
を包含することで特徴づけられるか、
(b)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつ融点が約120−122℃であることで特徴づけられるか、
(c)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつDSCサーモグラムが約156℃の所に吸熱転移を包含することで特徴づけられるか、或は
(d)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつIRスペクトルがcm−1で表して下記のピークを包含する:
(i)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつIRスペクトルが1698、1433および1075cm−1の所にピークを包含するか、
(ii)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつIRスペクトルが1666、1221および974cm−1の所にピークを包含するか、或は
(iii)該共結晶がスタブジン:2−アミノピリジンの共結晶でありかつIRスペクトルが1698、1666および1629cm−1の所にピークを包含する、
ことで特徴づけられる、
上記薬剤共結晶。
【請求項12】
請求項1記載の薬剤共結晶を含んで成る薬剤組成物。
【請求項13】
更に希釈剤、賦形剤または担体も含んで成る請求項12記載の薬剤組成物。
【請求項14】
てんかん、三叉神経痛、記憶喪失、炎症、またはカルバマゼピン、オクスカルバゼピン
、グリブリド、ピラセタム、スタブジンまたはゲンチシン酸が有効な活性薬剤である他の病気にかかっている被験体を治療する方法であって、前記被験体にカルバマゼピン、オクスカルバゼピン、グリブリド、ピラセタム、スタブジンまたはゲンチシン酸の共結晶を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項15】
前記被験体がヒト被験体である請求項14記載の方法。
【請求項16】
APIと共結晶形成剤を含んで成る薬剤共結晶を製造する方法であって、
(a)適切な溶媒およびAPIおよび室温で固体である共結晶形成剤を準備し、
(b)前記APIと共結晶形成剤と少量の適切な溶媒を粉砕することで、前記APIと共結晶形成剤が互いに水素結合している固相を生じさせ、そして
(c)そのようにして生じさせた共結晶を単離する、
ことを含んで成る方法。
【請求項17】
更に前記共結晶を薬剤組成物の中に組み込むことも含んで成る請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2008−503495(P2008−503495A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516812(P2007−516812)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/021662
【国際公開番号】WO2006/007448
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(506289974)トランスフオーム・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド (9)
【出願人】(307026536)ユニバーシテイ・オブ・サウス・フロリダ (1)
【Fターム(参考)】