説明

表示装置および電子機器

【課題】封止性能を低減させることなく狭額縁化を実現することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1Aは、駆動側基板10および対向基板18間に設けられると共に、複数の画素を有する画素部10Aと、駆動側基板10上において、画素部10Aの周辺の額縁領域10Bに配設されたトランジスタTFT11と、額縁領域10Bにおいて、トランジスタTFT11を被覆して設けられた平坦化膜13(絶縁膜)と、画素部10Aを封止すると共に平坦化膜13の端縁部13eを覆って設けられたシール層19とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル基板間に表示素子や駆動素子がパッケージされてなる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や、有機EL(Electro luminescence:以下ELと称す)表示装置などの映像表示装置では、表示パネル内へ水分が介入すると、液晶層や有機EL層の特性が劣化したり、配線層などに腐食が発生したりする。このため、表示装置では、パネル周囲をシール材などにより接着封止した構造を有する。このような表示パネルの封止構造については、これまでにも様々な提案がなされている(特許文献1,2)。
【0003】
例えば、特許文献1,2には、周辺回路や画素を駆動する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が配設された基板上に、電極や発光層などが積層された構造を有する表示パネルの周囲をシール材によって封止した手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−78946号公報
【特許文献2】特開平1−239528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような表示装置では、表示領域(有効表示領域)およびその周辺領域(額縁領域)に、画素や周辺回路の駆動素子として、TFTが配設される。ところが、上記特許文献1の手法では、そのようなTFTを無機絶縁膜からなる平坦化膜上に設け、その更に外側を囲むようにシール材を設けた封止構造となっている。十分な封止性能を持たせるためには、シール材の幅をある程度確保する必要があるため、そのようなTFTの外側にシール材を設ける封止構造では、パネルの狭額縁化を実現しにくい。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、封止性能を低減させることなく狭額縁化を実現することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置は、一対の基板間に設けられると共に、複数の画素を有する画素部と、一対の基板のうちの一方の基板上において、画素部の周辺の額縁領域に配設された1または複数のアクティブ素子と、一方の基板上の額縁領域に、1または複数のアクティブ素子を被覆して設けられた絶縁膜と、額縁領域において、画素部を封止すると共に絶縁膜の端縁部を覆って設けられた封止層とを備えたものである。
【0008】
本開示の表示装置では、一対の基板間において、画素部の額縁領域に配設された1または複数のアクティブ素子を被覆して絶縁膜が設けられ、かつ封止層が、額縁領域において画素部を封止すると共にその絶縁膜の端縁部を覆って設けられる。これにより、額縁領域において省スペース化を図りつつ、アクティブ素子および画素部への水分等の介入が抑制される。
【0009】
本開示の電子機器は、上記本開示の表示装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示の表示装置によれば、一対の基板間において、画素部の額縁領域に配設された1または複数のアクティブ素子を被覆して絶縁膜を設け、かつ額縁領域において画素部を封止すると共にその絶縁膜の端縁部を覆うように封止層を設ける。これにより、封止性能を低減させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示における第1の実施の形態に係る液晶表示装置(液晶表示パネル)の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した液晶表示装置における周辺回路の一例を表す機能ブロック図である。
【図3】比較例1および実施例に係る液晶表示装置の額縁面積を説明するための断面図である。
【図4】本開示における第2の実施の形態に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図5】変形例1に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図6】本開示における第3の実施の形態に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図7】変形例2に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図8】変形例3に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図9】変形例4に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図10】変形例5に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図11】変形例6に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図12】変形例7に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図13】変形例8に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図14】変形例9に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図15】変形例10に係る液晶表示装置の画素部と額縁部との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図16】上記各実施の形態等の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図17】適用例1の外観を表す斜視図である。
【図18】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図19】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図20】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図21】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(シール層の端縁部が、TFT(低温ポリシリコンを用いたボトムゲート構造)を被覆する平坦化膜の端縁部よりも外側に設けられてなる封止構造を有する液晶表示装置の例)
2.第2の実施の形態(シール層と平坦化膜との間に保護膜を設けた例)
3.変形例1(シール層と平坦化膜との間に保護膜を設けた場合の他の例)
4.第3の実施の形態(FFSモードにより表示駆動される液晶表示装置の例)
5.変形例2(FFSモードの液晶表示装置において、一対の電極間に設けられる絶縁膜と保護膜とを同一工程においてパターン形成した例)
6.変形例3(FFSモードの液晶表示装置において、一対の電極間に設けられる絶縁膜を額縁まで延在形成し、保護膜として利用した例)
7.変形例4(TFT(ボトムゲート構造)上に電極保護膜を設けた例)
8.変形例5(TFTとしてトップゲート構造のトランジスタを設けた例)
9.変形例6(TFT(トップゲート構造)上に電極保護膜を設けた例)
10.変形例7(TFTとして非晶質シリコンを用いた場合の例)
11.変形例8(額縁領域において、平坦化膜に凹部を設けた例)
12.変形例9(凹部を設けた場合の他の例)
13.変形例10(シール層が、対向基板側の平坦化膜の端縁部を被覆した例)
14.適用例(電子機器への適用例)
【0013】
<第1の実施の形態>
[液晶表示装置1の構成例]
図1は、本開示における第1の実施の形態に係る液晶表示装置1Aの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Aは、表示パネルにおいて、一対の基板(駆動側基板10および対向基板18)間に、画素部10Aを封止したものである。画素部10Aでは、例えばマトリクス状に複数の画素(例えばR(赤),G(緑),B(青)のサブピクセル)が配置されている。尚、図1には図示しないが、駆動側基板10の下方には、バックライトが配設され、駆動側基板10の光入射側および対向基板18の光出射側にはそれぞれ、偏光板が貼り合わせられている(以下の実施の形態も同様)。液晶表示装置1Aでは、画素部10Aが、その周辺の額縁領域10Bにおいて、シール層19(封止層)により接着封止された構造を有している。尚、本実施の形態では、いわゆる縦電界モードによって表示駆動される液晶表示装置について説明する。
【0014】
液晶表示装置1Aでは、駆動側基板10上に、画素部10Aから額縁領域10Bにわたって、複数のTFT11や配線層(信号線、走査線など)、保持容量素子(図示せず)などが配設されており、これらのTFT11等を被覆するように平坦化膜13が設けられている。画素部10Aでは、平坦化膜13上に、複数の画素電極14Aが配設されており、各画素電極14Aは、平坦化膜13に設けられたコンタクトホールを介して下層のTFT11に電気的に接続されている。対向基板18の一面側には、カラーフィルタ17Aおよび遮光層17Bが設けられ、これらが平坦化膜16によって覆われている。平坦化膜16上には、対向電極14Bが配設されている。これらの駆動側基板10と対向基板18との間に液晶層15が挟持され、画素電極14Aと対向電極14Bとを通じて液晶層15へ電圧が供給されるようになっている。尚、画素電極14Aおよび対向電極14Bの液晶層15側の面にはそれぞれ、図示しない配向膜が形成されている。
【0015】
駆動側基板10は、例えばガラス基板よりなる。この駆動側基板10上には、上記のような画素部10Aが設けられると共に、その周辺の額縁領域10Bに、画素部10Aを表示駆動するための周辺回路(例えば後述の信号線駆動回路61,走査線駆動回路62,バックライト駆動部63およびタイミング制御部64)が配設されたものである。
【0016】
TFT11は、例えばボトムゲート型(逆スタガ型)の薄膜トランジスタである。具体的には、TFT11では、駆動側基板10上にゲート電極121が配設され、このゲート電極121上には、層間絶縁膜123a(ゲート絶縁膜)を間にして、半導体層122が設けられている。半導体層122上には、層間絶縁膜123bが積層され、この層間絶縁膜123bに形成されたコンタクトホールを埋め込むようにソース・ドレイン電極124が配設されている。
【0017】
ゲート電極121は、トランジスタに印加されるゲート電圧(Vg)によって半導体層122中のキャリア密度を制御すると共に、電位を供給する配線としての機能を有するものである。このゲート電極121は、例えばモリブデン(Mo),チタン(Ti),アルミニウム(Al),銀(Ag)および銅(Cu)のうちの1種からなる単体もしくは合金、もしくはこれらのうちの2種以上からなる積層膜である。あるいはITO(酸化インジウム錫)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の透明導電膜から構成されていてもよい。
【0018】
層間絶縁膜123a,123bは、例えばシリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)およびシリコン窒化酸化膜(SiON)のうちの1種よりなる単層膜、または2種以上よりなる積層膜である。
【0019】
半導体層122は、ゲート電圧の印加によりチャネルを形成するものであり、例えば低温ポリシリコンにより構成されている。尚、この半導体層122には、低温ポリシリコンに限らず、非晶質シリコン(後述)または微結晶シリコンが用いられていてもよく、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO,InGaZnO)などの酸化物半導体が用いられていてもよい。
【0020】
ソース・ドレイン電極124は、TFT11のソースまたはドレインとして機能するものであり、半導体層122のソース領域またはドレイン領域と電気的に接続されている。例えばモリブデン,チタン,アルミニウム,銀および銅のうちの1種からなる単体もしくは合金、またはこれらのうちの2種以上からなる積層膜である。これらのソース・ドレイン電極124には、信号線(後述の信号線DTL)が電気的に接続されている(あるいは、ソース・ドレイン電極124が信号線として機能している)。本実施の形態では、このような信号線とTFT11とを覆って平坦化膜13が設けられている(信号線およびTFTが平坦化膜13よりも下層に配設されている)。
【0021】
平坦化膜13は、例えばポリイミド、ノボラック系樹脂またはアクリル系樹脂などの感光性を有する有機絶縁膜よりなる。この平坦化膜13は、駆動側基板10上において、画素部10Aから額縁領域10Bに渡って形成されており、画素部10Aおよび額縁領域10Bの双方に配設されたTFT11を被覆している。換言すると、額縁領域10Bにおいて、TFT11上に平坦化膜13が積層されている。本実施の形態では、この平坦化膜13の端縁部13eを覆うように、シール層19が設けられている。
【0022】
シール層19は、接着性を有すると共に水分透過率の低い樹脂材料、例えばUV硬化性や熱硬化性を有するエポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂などにより構成されている。このシール層19は、例えば上記樹脂材料を駆動側基板10上の額縁領域10Bに、例えば各種コート法を用いて塗布形成した後、硬化させることにより形成する。本実施の形態では、額縁領域10Bにおいて、このシール層19の端縁E2が、平坦化膜13の端縁E1よりも外側(画素部10Aと反対側)に設けられている。即ち、有機絶縁膜よりなる平坦化膜13の端縁部13eが外部に露出しないような封止構造となっている。
【0023】
画素電極14Aは、各画素へ各色の映像信号に対応する映像電位を印加するためのものであり、画素毎に配設されている。この画素電極14Aは、例えばITOなどの透明導電膜により構成されている。対向電極14Bは、各画素に共通の電極として、これらの複数の画素電極14Aに対向して設けられ、例えばコモン電位が印加されるようになっている。
【0024】
液晶層15は、上記画素電極14Aおよび対向電極14Bを通じて供給される駆動電圧に応じて、そこを透過する光の透過率を制御する素子である。この液晶層15には、例えばVA(Vertical Alignment:垂直配向)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはECB(Electrically controlled birefringence)モードなどの縦電界モードにより表示駆動される液晶を含むものである。尚、配向膜としては、例えば液晶層15としてVAモードの液晶を用いた場合には、例えばポリイミドよりなる垂直配向膜が用いられる。
【0025】
平坦化膜16は、例えば有機絶縁膜よりなり、平坦化機能と共に、カラーフィルタ17Aおよび遮光層17Bの保護膜としての機能も有している。但し、このような有機絶縁膜に限らず、無機絶縁膜により構成されていてもよい。
【0026】
カラーフィルタ17Aおよび遮光層17Bは、例えば感光性樹脂と、顔料や染料などの着色材料とを含むものである。カラーフィルタ17Aは、例えば画素毎に赤色、緑色または青色のいずれかの色のフィルタが設けられている。対向基板18は、例えばガラスやプラスチックなどの透明基板よりなる。
【0027】
尚、図示しない一対の偏光板(偏光子,検光子)は、例えば互いにクロスニコルの状態で配置されており、バックライト(後述のバックライト36)からの光を電圧無印加状態(オフ状態)では遮断、電圧印加状態(オン状態)では透過させるようになっている。
【0028】
(周辺回路)
図2は、液晶表示素子を含む画素(PXL)を含む画素部10Aと、その周辺回路の構成を表したものである。このように、駆動側基板10上の画素部10A内には、複数の画素(PXL)が例えばマトリクス状に2次元配置されており、この画素部10Aの周辺の額縁領域10Bには、例えば走査線駆動回路62および信号線駆動回路61が配設されている。また、この他にも、例えばタイミング制御部64、バックライト駆動部63および、例えば映像信号に対して所定の補正処理を施す映像信号処理回路等が設けられている。各画素(PXL)は、走査線WSLおよび信号線DTLに接続されている。
【0029】
タイミング制御部64は、走査線駆動回路62および信号線駆動回路61の駆動タイミングを制御すると共に、入力される映像信号Dinを信号線駆動回路61へ供給するものである。走査線駆動回路62は、タイミング制御部64によるタイミング制御に従って、各画素を線順次駆動するものである。信号線駆動回路61は、各画素へそれぞれ、タイミング制御部64から供給される映像信号Dinに基づく映像電圧を供給するものである。具体的には、映像信号Dinに対してD/A(デジタル/アナログ)変換を施すことにより、アナログ信号である映像信号を生成し、各画素へ出力する。
【0030】
バックライト36は、液晶層15へ向けて光を照射する光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)やCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等を複数含むものである。このバックライト36は、バックライト駆動部63によって駆動され、点灯状態および消灯状態が制御されるようになっている。
【0031】
(作用・効果)
液晶表示装置1Aでは、図2に示したように、タイミング制御部64へ外部入力信号(Din)が入力されると、走査線駆動回路62および信号線駆動回路61が、画素部10Aの各画素(PXL)を表示駆動する。具体的には、タイミング制御部61の制御に応じて、走査線駆動回路62が、各画素に接続された走査線WSLに走査信号を順次供給すると共に、信号線駆動回路61が、外部入力信号(Din)に基づく映像信号を、所定の信号線DTLに供給する。これにより、映像信号が供給された信号線DTLと走査信号が供給された走査線WSLとの交差点に位置する画素が選択され、その画素に駆動電圧が印加される。
【0032】
上記のようにして選択された画素では、画素電極14Aおよび対向電極14Bを通じて駆動電圧が供給され、これにより、液晶層15における液晶分子の配向状態が、その駆動電圧の大きさに応じて変化する。その結果、液晶層15における光学的特性が変化し、バックライト36から液晶層15へ入射した光は、画素毎に変調されて、対向基板18上へ出射する。液晶表示装置1では、このようにして映像が表示される。
【0033】
この液晶表示装置1では、額縁領域10Bにおいて、画素部10Aが周辺封止された構造を有する。本実施の形態では、額縁領域10Bにおいて、シール層19によって画素部10Aが封止されるが、この額縁領域10Bには、TFT11が配設され、かつそのTFT11を被覆して平坦化膜13が形成されている。このような構成において、平坦化膜13の端縁部13eがシール層19によって覆われている(シール層19の端縁E2が平坦化膜13の端縁E1よりも外側に設けられている)。これにより、封止性能を低減することなく、額縁領域10Bの省スペース化を図ることができる。以下、その理由について説明する。
【0034】
図3(A)〜(D)は、額縁領域における配線層(信号線)およびシール層のレイアウトによる封止性能および額縁面積の違いについて説明するための断面模式図である。図3(A)は、本実施の形態のレイアウト構成を簡略化して表したものであり、図3(B),(C)は比較例1に係る液晶表示装置について示したものである。図3(D)は比較例2に係る液晶表示装置について示したものである。
【0035】
図3(B)に示したように、比較例1の液晶表示装置では、基板101上に、無機絶縁膜よりなる平坦化膜102が設けられている。この平坦化膜102には、複数のTFT(図示せず)が埋設されている(あるいは、平坦化膜102よりも下層に複数のTFTが設けられている)。これら複数のTFTは、それぞれが信号線103に電気的に接続されているが、比較例1では、信号線103が平坦化膜102上に配設されている。この比較例1では、額縁領域100Bには設けられたTFT103の更に外側を囲うように、シール層106が形成されている(シール層106下にTFTおよび信号線103を含む周辺回路を形成できない)。このような場合、額縁領域100Bに形成可能なシール層106の幅(以下、シール幅という)D3が比較的小さくなり、十分な封止性能が得られない可能性がある。
【0036】
一方、図3(C)に示したように、上記比較例1の構造において、十分な封止性能を得るために、シール層106のシール幅を大きくすると、それに伴って、額縁領域100Bの面積(幅)も拡大してしまう。
【0037】
他方、図3(D)に示したように、比較例2の液晶表示装置では、基板101上に、複数のTFT(図示せず)とそれぞれに接続された信号線103が設けられ、これらの複数のTFTおよび信号線103を覆って、有機絶縁膜よりなる平坦化膜107が形成されている。この平坦化膜107上にシール層106が形成されている。このような構造を有する比較例2では、平坦化膜107の端部から水分が介入し易いことから、平坦化膜107の端部に腐食防止のために一定以上の幅Xを確保する必要が生じる。このため、額縁領域が大きくなり易い。
【0038】
これに対し、本実施の形態では、図3(A)に示したように、駆動側基板10上に配設された複数のTFT(ここでは図示せず)およびこれらに電気的に接続された信号線11hを被覆して平坦化膜13が設けられ、この平坦化膜13の端縁部13eを覆うようにシール層19が形成されている。即ち、平坦化膜13よりも下層にTFTおよび信号線11hを設けると共に、この平坦化膜13が更に、封止性能が高い(水分透過率が低い)シール層19によって覆われている。ここで、平坦化膜13は無機絶縁膜よりも水分を透過し易い有機絶縁膜により構成されるが、パネルの最も外側の全面がシール層19によって封止されることにより、TFTおよび信号線11hがパネルの外側に近い領域に設けられた場合であっても、その電極や配線部分が水分によって腐食しにくい。また、シール幅についても十分に確保されるため、液晶層15における液晶保持特性の劣化も抑制される。即ち、例えば画素部10Aの周辺領域において、TFT11および配線層(走査線,信号線など)を含む駆動回路(上述した走査線駆動回路62,信号線駆動回路61など)を、よりパネルの外縁よりに設け(シール層19下のスペースを有効活用し)、額縁領域10Bの幅を狭くできる。このように、液晶表示装置1Aでは、水分の介入を防ぎつつも、額縁領域10Bの省スペース化が図られる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態では、駆動側基板10および対向基板18間において、額縁領域10Bに配設されたTFT11を被覆して平坦化膜13を設け、かつ画素部10Aを封止するシール層19を、その平坦化膜13の端縁部13eを覆うように設ける。これにより、液晶表示装置1Aでは、水分の介入に起因する配線層の腐食や液晶保持特性の劣化を抑制しつつ、額縁領域10Bの省スペース化を図ることができる。よって、封止性能を低減させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【0040】
次に、本開示における第2の実施の形態に係る液晶表示装置(液晶表示装置1B)について説明する。以下では、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0041】
<第2の実施の形態>
図4は、液晶表示装置1Bの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Bは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、表示パネルにおいて、駆動側基板10および対向基板18間に、画素部10Aを封止したものである。液晶表示装置1Bにおいても、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、封止層20により接着封止された構造を有している。また、駆動側基板10上において、画素部10Aから額縁領域10Bにわたって、複数のTFT11が配設され、これらのTFT11を被覆するように平坦化膜13が設けられている。但し、本実施の形態では、封止層20が、シール層20aと保護膜20bとの積層構造を有している。尚、画素部10Aを駆動する周辺回路の構成については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0042】
シール層20aは、上記第1の実施の形態におけるシール層19と同様、接着性を有すると共に水分透過率の低い樹脂材料、例えばUV硬化性あるいは熱硬化性を有するエポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂などにより構成されている。ここでは、シール層20aが、少なくともその一部において、保護膜20bと重畳して設けられている。
【0043】
保護膜20bは、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などの無機絶縁膜から構成されている。この保護膜20bは、平坦化膜13の端縁部13eを覆って設けられている。この保護膜20bは、少なくとも平坦化膜13の端縁部13eを覆っていればよく、平坦化膜13上の全面を被覆していなくともよい。
【0044】
上記第1の実施の形態では、シール層19の端縁E2を平坦化膜13の端縁E1よりも外側に設けたが、本実施の形態では、シール層20aの端縁E2が平坦膜13の端縁E1よりも内側に設けられている。但し、シール層20aの端縁E2は、保護膜20bの内側(画素部10Aの側)の端縁部E3よりも外側に設けられていることが望ましい。即ち、平坦化膜13がシール層20aおよび保護膜20bのうちのどちらか、または両方により覆われていることが望ましい。
【0045】
本実施の形態においても、駆動側基板10上の額縁領域10Aに配設されたTFT11を被覆して平坦化膜13が設けられ、この平坦化膜13の端縁部13eを覆って封止層20が設けられている。このように、パネルの最も外側の全面が封止層20によって封止されることにより、TFT11がパネルの外側に近い領域に設けられた場合であっても、その電極や配線部分が水分によって腐食しにくい。また、封止層20(シール層20a)におけるシール幅を十分に確保可能であるため、液晶層15における液晶保持特性の劣化も抑制される。従って、本実施の形態の液晶表示装置1Bにおいても、上記第1の実施の形態と同様、封止性能を低減させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【0046】
また、本実施の形態では、封止層20がシール層20aと、保護膜20bの積層構造を有しており、保護膜20bが平坦化膜13の端縁部13eを覆っている。無機絶縁膜よりなる保護膜20bがシール層20aの下層に設けられることにより、シール層20aの設置面積にばらつきがあった場合にも、平坦化膜13への水分の介入が抑制される。シール層20aは、上述のように塗布形成されるため、シール幅にばらつきが生じ易いが、そのようなばらつきが生じた場合であっても、平坦化膜13の端縁部13eを露出しないようにすることができ、略一定の封止性能を保持することができる。
【0047】
即ち、本実施の形態のように、シール層20aの端縁E2が平坦膜13の端縁E1よりも内側に設けられていた場合であっても(シール層20aが平坦化膜13の端縁部13eを覆っていなくとも)、平坦膜13への水分の介入を抑制することができる。
【0048】
<変形例1>
あるいは、図5に示したように、保護膜20bを有する構造において、シール層20aの端縁E2が平坦膜13の端縁E1よりも外側に設けられていてもよい。シール層20aと保護膜20bとの積層構造により、より封止性能が向上する。尚、上記第2の実施の形態および変形例1では、額縁領域10Bにおいて、保護膜20bが平坦化膜13上の一部のみを覆って設けられているが、この保護膜20bが、平坦化膜13上の額縁領域10Bにおける全域を覆っていてもよい。
【0049】
次に、本開示における第3の実施の形態に係る液晶表示装置(液晶表示装置1C)について説明する。以下では、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0050】
<第3の実施の形態>
図6は、液晶表示装置1Cの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Cは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、表示パネルにおいて、駆動側基板10および対向基板18間に、画素部10Aを封止したものである。液晶表示装置1Cにおいても、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、シール層19により接着封止された構造を有している。また、駆動側基板10上において、画素部10Aから額縁領域10Bにわたって、複数のTFT11が配設され、これらのTFT11を被覆するように平坦化膜13が設けられている。但し、本実施の形態の液晶表示装置1Cは、横電界モード(ここでは、FFS(Fringe Field Switching)モードを例に挙げる)により表示駆動がなされるようになっている。尚、画素部10Aを駆動する周辺回路の構成については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0051】
このような液晶表示装置1Cは、例えば平坦化膜13上に、共通電極21Aが配設され、この共通電極21A上には絶縁膜22(層間絶縁膜)を介して画素電極21Bが配設されている。この画素電極21B上には液晶層15Aが形成され、対向基板18によって封止されている。対向基板18の液晶層15A側の面には、上記第1の実施の形態と同様、カラーフィルタ17Aおよび遮光層17Bと、平坦化膜16が積層されている。
【0052】
液晶層15Aは、駆動電圧に応じて、そこを透過する光の透過率を制御する素子であり、上述のようにFFSモードにより駆動されるものである。尚、このFFSモード以外にも、例えばIPS(In Plane Switching)モード等の他の横電界モードの液晶を用いるようにしてもよい。但し、IPSモードの場合には、絶縁膜22を有さない構造であってもよい。
【0053】
画素電極21Bは、画素毎に設けられると共に、TFT11のソース・ドレインに電気的に接続されており、映像信号に対応する電位が供給されるようになっている。この画素電極21Bは、例えばITO,IZOなどの透明導電膜により構成され、櫛歯状にパターニングされて(複数のスリットを有して)いる。この画素電極21Bのスリットを介して液晶層15Aへ横電界が印加されるようになっている。共通電極21Aは、例えばITO,IZOなどの透明導電膜により構成され、各画素に共通の電極として設けられている。
【0054】
絶縁膜22は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはシリコン酸窒化膜により構成されている。
【0055】
本実施の形態においても、駆動側基板10上の額縁領域10Aに配設されたTFT11を被覆して平坦化膜13が設けられ、この平坦化膜13の端縁部13eを覆ってシール層19が設けられている。これにより、TFT11がパネルの外側に近い領域に設けられた場合であっても、その電極や配線部分が水分によって腐食しにくい。また、シール幅を十分に確保可能であるため、液晶層15Aにおける液晶保持特性の劣化も抑制される。従って、本実施の形態のようにFFSモードにより表示駆動される液晶表示装置1Cにおいても、上記第1の実施の形態と同様、封止性能を低減させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【0056】
<変形例2>
上記第3の実施の形態では、横電界モード(FFSモード)により表示駆動される液晶表示装置について説明したが、このような液晶表示装置においても、上記第2の実施の形態で説明したような保護膜(無機絶縁膜)を設けた構造としてもよい。その一例を図7に示す。このように、平坦化膜13の端縁部13eを覆って、保護膜22aを設け、この保護膜22aに重畳するように、シール層20aが設けられている。また、ここでは、シール層20aの端縁E2が、平坦化膜13の端縁E1よりも内側に配置されている。但し、上述のように、シール層20aの端縁E2が、平坦化膜13の端縁E1よりも外側に設けられていてもよい。
【0057】
FFSモードの液晶表示装置では、画素部10Aにおいて、上述のように、共通電極21Aと画素電極21Bとの間に、無機絶縁膜よりなる絶縁膜22が設けられている。そのため、絶縁膜22を形成する工程において、保護膜22aを形成することが可能である。即ち、平坦化膜13上の全面に渡って、上述した無機絶縁膜を例えばCVD法により成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、画素部10Aには絶縁膜22、額縁領域10Bには、保護膜22aをそれぞれ、一括してパターン形成する。
【0058】
本変形例においても、シール層20aおよび保護膜22aの積層構造により、上記第1,2の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、保護膜22aを、画素部10Aの形成プロセスの一部と同工程において、形成することができる。よって、保護膜22aの形成のために新たに製造プロセスを追加することなく(フォトマスクのパターンを変更するだけで)、保護膜22aを形成できる。
【0059】
<変形例3>
上記変形例2では、FFSモードの液晶表示装置において、保護膜22aと絶縁膜22とを分離して設け、それらの形成時においてパターニングする場合について説明したが、保護膜と絶縁膜とが分離されていなくともよい。即ち、図8に示したように、画素部10Aに設けられる絶縁膜22bを、額縁領域10Bまで延在して設け(詳細には平坦化膜13の端縁部13eを覆うように設け)、この額縁領域10Bに対応する部分を、上記第2の実施の形態および変形例2における保護膜として機能させるようにしてもよい。尚、絶縁膜22bは、上記絶縁膜22と同様、シリコン酸化物などの無機絶縁膜により構成されている。
【0060】
上記変形例2では、絶縁膜22を形成する工程において、保護膜22aを同時にパターン形成したが、本変形例では、平坦化膜13上の全面に渡って絶縁膜22bを成膜すればよく、画素部10Aおよび額縁領域10B毎に分離する必要がない。よって、製造プロセスをより簡易化(フォトマスクパターンの簡易化)することができる。
【0061】
次に、上記第1〜第3の実施の形態および変形例1〜3において説明した液晶表示装置の他の変形例(変形例4〜10)について説明する。本開示に係る表示装置は、以下に説明するように、上述した液晶表示装置に限定されず、様々な構成を取ることができる。また、いずれの場合においても、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。尚、以下では、上記第1の実施の形態において説明した縦電界モードの液晶表示装置を例に挙げて説明を行うが、上記第3の実施の形態等において説明したFFSモードあるいはIPSモードの液晶表示装置にも同様に適用可能である。
【0062】
<変形例4>
図9は、変形例4に係る液晶表示装置1Dの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Dは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、駆動側基板10および対向基板18間に画素部10Aを封止したものであり、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、シール層19により接着封止されている。また、駆動側基板10上において、額縁領域10BにTFT11が配設されており、これらのTFT11を被覆するように平坦化膜13が設けられ、この平坦化膜13の端縁部13eを覆ってシール層19が形成されている。
【0063】
但し、本実施の形態の液晶表示装置1Dでは、TFT11上、具体的には、層間絶縁膜123b上の全面にわたって、ソース・ドレイン電極124を被覆するように電極保護膜23が設けられている。電極保護膜23は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはシリコン酸窒化膜により構成されている。この電極保護膜23上に平坦化膜13が設けられている。このような電極保護膜23を設けることにより、TFT11や配線層への水分の介入を効果的に抑制することができる。
【0064】
<変形例5>
図10は、変形例5に係る液晶表示装置1Eの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Eは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、駆動側基板10および対向基板18間に画素部10Aを封止したものであり、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、シール層19により接着封止されている。また、駆動側基板10上において、額縁領域10BにTFT11Aが配設されており、これらのTFT11Aを被覆するように平坦化膜13が設けられ、この平坦化膜13の端縁部13eを覆ってシール層19が形成されている。
【0065】
但し、本実施の形態の液晶表示装置1Eでは、TFT11Aとして、いわゆるトップゲート型(スタガ型)の薄膜トランジスタである。例えば、駆動側基板10上に、半導体層122が設けられており、この半導体層122上に層間絶縁膜123aを介してゲート電極121が配設されている。これらの層間絶縁膜123aおよびゲート電極121を覆うように層間絶縁膜123bが設けられている。層間絶縁膜123b上には、層間絶縁膜123aおよび層間絶縁膜123bに設けられたコンタクトホールを埋め込むようにソース・ドレイン電極124が配設され、半導体層122と電気的に接続されている。
【0066】
<変形例6>
尚、上記のようなトップゲート型のTFT11Aを用いた液晶表示装置1Eにおいても、図11に示したように、TFT11A上に電極保護膜23を設けてもよい。
【0067】
<変形例7>
図12は、変形例7に係る液晶表示装置1Fの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Fは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、駆動側基板10および対向基板18間に画素部10Aを封止したものであり、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、シール層19により接着封止されている。また、駆動側基板10上において、額縁領域10BにTFT11Bが配設されており、これらのTFT11Bを被覆するように平坦化膜13が設けられ、この平坦化膜13の端縁部13eを覆ってシール層19が形成されている。
【0068】
但し、本実施の形態の液晶表示装置1Fでは、TFT11Bが、非晶質シリコンを用いた薄膜トランジスタとなっている。このTFT11Bでは、例えば、駆動側基板10上に、ゲート電極121が設けられており、このゲート電極121上に層間絶縁膜123aを介して半導体層125が形成されている。この半導体層125上に、一対のソース・ドレイン電極124が互いに分離して配設されている。このようなTFT11Bを覆って平坦化膜13が形成されている。
【0069】
<変形例8>
図13は、変形例8に係る液晶表示装置1Gの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1Gは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、駆動側基板10および対向基板18間に画素部10Aを封止したものであり、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、シール層19により接着封止されている。また、駆動側基板10上の額縁領域10Bにおいて、TFT11を被覆する平坦化膜13の端縁部13eを覆ってシール層19が形成されている。
【0070】
但し、本実施の形態の液晶表示装置1Gでは、額縁領域10Bにおいて、平坦化膜13の更に外側に、平坦化膜13の端縁部13eの側面に沿って(端縁部13eの周囲を囲むように)、壁部13Aが、端縁E1から所定の間隔をあけて設けられている。この壁部13Aは、例えば、平坦化膜13と同一材料により同一の厚み(高さ)で設けられている。このような壁部13Aは、平坦化膜13の形成工程において、上述したような有機絶縁膜(感光性樹脂)を基板全面にわたって例えばコート法により成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターン露光することにより、一括して形成可能である。このような壁部13Aを設けることにより、壁部13Aと端縁部13eとの間にシール材料が充填され、シール幅がばらついた場合であっても、平坦化膜13の端縁部13eを被覆し易くなる。
【0071】
<変形例9>
尚、上記変形例8では、シール層19の端縁E2が、壁部13Aよりも内側に配置された構成を例示したが、シール層19の端縁E2は、図14に示したように、上記壁部13Aよりも外側に設けられていてもよい。尚、上記変形例8,9の壁部13Aは、平坦化膜13と同一材料より構成されていてもよいが、他の材料により構成されていてもよい。また、平坦化膜13と必ずしも同一の厚み(高さ)となっていなくともよい。
【0072】
<変形例10>
図15は、変形例10に係る液晶表示装置1Hの断面構造(画素部10Aと額縁領域10Bとの境界付近の断面構造)を表したものである。液晶表示装置1HGは、上記第1の実施の形態の液晶表示装置1Aと同様、駆動側基板10および対向基板18間に画素部10Aを封止したものであり、画素部10Aが、額縁領域10Bにおいて、シール層19により接着封止されている。また、駆動側基板10上の額縁領域10Bにおいて、TFT11を被覆する平坦化膜13の端縁部13eを覆ってシール層19が形成されている。
【0073】
但し、本実施の形態の液晶表示装置1Hでは、額縁領域10Bにおいて、対向基板18側に設けられた平坦化膜16の端縁部16eをも覆って形成されている。具体的には、平坦化膜16の端縁E4が、対向基板18の端縁E5よりも内側に設けられており、シール層19の端縁E2が、平坦化膜16の端縁E4よりも外側に配置されている。これにより、対向基板18側から液晶層15への水分の介入を抑制することができる。
【0074】
<適用例>
次に、図16〜図21を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置(液晶表示装置)の適用例(モジュールおよび適用例1〜5)について説明する。上記実施の形態等の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0075】
(モジュール)
上記表示装置は、例えば図16に示したようなモジュールとして、後述の適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆動側基板10の一辺に、対向基板18から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路61および走査線駆動回路62の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0076】
(適用例1)
図17は、適用例1に係るテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510が、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0077】
(適用例2)
図18は、適用例2に係るデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522が、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0078】
(適用例3)
図19は、適用例3に係るノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531,文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0079】
(適用例4)
図20は、適用例4に係るビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541,この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542,撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0080】
(適用例5)
図21は、適用例5に係る携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る表示装置に相当する。
【0081】
以上、いくつかの実施の形態、変形例および適用例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本開示における絶縁膜として、有機絶縁膜よりなる平坦化膜を例示したが、このような有機絶縁膜に限らず、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコン酸窒化物などよりなる無機絶縁膜が用いられていてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態等では、本開示のアクティブ素子として薄膜トランジスタを例に挙げて説明したが、これに限定されず、周辺回路に配設されるアクティブ素子であればよく、例えばダイオードや他のスイッチング素子等にも同様に適用可能である。
【0083】
また、上記実施の形態等では、液晶表示装置を例に挙げたが、本開示における表示装置はこのような液晶表示装置に限らず、有機EL表示装置にも適用可能である。この場合にも、上述したように、画素部10Aの額縁領域10Bには、画素駆動回路(例えば、走査線駆動回路、信号線駆動回路および電源線駆動回路)が設けられ、TFTや配線層(走査線、信号線、電源線)が配設される。有機EL表示装置では、駆動側基板上に、それらのTFT等を覆うように平坦化膜が形成され、この平坦化膜上に、TFTのソース・ドレインに電気的に接続されたアノード電極、有機EL層およびカソード電極がこの順に積層される。
【0084】
尚、本開示の表示装置および電子機器は、以下の(1)〜(17)に記載したような構成であってもよい。
(1)一対の基板間に設けられると共に、複数の画素を有する画素部と、前記一対の基板のうちの一方の基板上において、前記画素部の周辺の額縁領域に配設された1または複数のアクティブ素子と、前記一方の基板上の前記額縁領域に、前記1または複数のアクティブ素子を被覆して設けられた絶縁膜と、前記額縁領域において、前記画素部を封止すると共に前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた封止層とを備えた表示装置。
(2)前記アクティブ素子は薄膜トランジスタである、上記(1)に記載の表示装置。
(3)前記薄膜トランジスタと前記薄膜トランジスタに電気的に接続された配線層とが、前記絶縁膜により被覆されている、上記(2)に記載の表示装置。
(4)前記絶縁膜は有機絶縁膜よりなる平坦化膜である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表示装置。
(5)前記封止層は、前記画素部を前記一対の基板間に接着封止するシール材よりなり、前記封止層の端縁が、前記絶縁膜の端縁よりも外側に設けられている、上記(4)に記載の表示装置。
(6)前記封止層は、前記画素部を前記一対の基板間に接着封止するシール層と、前記絶縁膜と前記シール層との間に設けられ、少なくとも前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた保護膜とを有する、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の表示装置。
(7)前記保護膜は無機絶縁膜よりなる、上記(6)に記載の表示装置。
(8)前記画素部の前記複数の画素はそれぞれ、縦電界モードにより駆動される液晶層と、前記液晶層を挟んで対向配置された一対の電極とを有する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示装置。
(9)前記画素部の前記複数の画素はそれぞれ、横電界モードにより表示駆動される液晶層と、前記液晶層の前記一方の基板側に設けられた一対の電極とを有する、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の表示装置。
(10)前記一対の電極間に層間絶縁膜を有する、上記(9)に記載の表示装置。
(11)前記封止層は、前記画素部を前記一対の基板間に接着封止するシール層と、前記絶縁膜と前記シール層との間に設けられ、少なくとも前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた保護膜とを有し、前記保護膜が、前記層間絶縁膜と同一材料により構成されている、上記(10)に記載の表示装置。
(12)前記絶縁膜の前記端縁部の周囲に壁部を有する、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の表示装置。
(13)前記一方の基板のうちの他方の基板の前記画素部側に、カラーフィルタ層と、前記カラーフィルタ層を被覆する他の絶縁膜とを有し、前記封止層は、前記他の絶縁膜の端縁部を覆って設けられている、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の表示装置。
(14)前記薄膜トランジスタ上に電極保護膜を備えた、上記(2)〜(13)のいずれかに記載の表示装置。
(15)前記薄膜トランジスタは、ボトムゲート型薄膜トランジスタである、上記(2)〜(14)のいずれかに記載の表示装置。
(16)前記薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタである、上記(2)〜(15)のいずれかに記載の表示装置。
(17)前記薄膜トランジスタは、低温ポリシリコン、微結晶シリコンまたは非晶質シリコンからなる半導体層を有する、上記(2)〜(16)のいずれかに記載の表示装置。
【符号の説明】
【0085】
1A〜1H…液晶表示装置、10…駆動側基板、11,11A,11B…TFT、13…平坦化膜、121…ゲート電極、122,125…半導体層、123a,123b…層間絶縁膜、124…ソース・ドレイン電極、14A,21B…画素電極、14B…対向電極、15,15A…液晶層、16…平坦化膜、17A…カラーフィルタ、17B…遮光層、18…対向基板、19,20a…シール層、20…封止層、20b,22b…保護膜、21B…共通電極、22…絶縁膜、61…信号線駆動回路、62…走査線駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に設けられると共に、複数の画素を有する画素部と、
前記一対の基板のうちの一方の基板上において、前記画素部の周辺の額縁領域に配設された1または複数のアクティブ素子と、
前記一方の基板上の前記額縁領域に、前記1または複数のアクティブ素子を被覆して設けられた絶縁膜と、
前記額縁領域において、前記画素部を封止すると共に前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた封止層と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記アクティブ素子は薄膜トランジスタである
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記薄膜トランジスタと前記薄膜トランジスタに電気的に接続された配線層とが、前記絶縁膜により被覆されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記絶縁膜は有機絶縁膜よりなる平坦化膜である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記封止層は、前記画素部を前記一対の基板間に接着封止するシール材よりなり、
前記封止層の端縁が、前記絶縁膜の端縁よりも外側に設けられている
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記封止層は、
前記画素部を前記一対の基板間に接着封止するシール層と、
前記絶縁膜と前記シール層との間に設けられ、少なくとも前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた保護膜とを有する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記保護膜は無機絶縁膜よりなる
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画素部の前記複数の画素はそれぞれ、
縦電界モードにより駆動される液晶層と、
前記液晶層を挟んで対向配置された一対の電極とを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記画素部の前記複数の画素はそれぞれ、
横電界モードにより表示駆動される液晶層と、
前記液晶層の前記一方の基板側に設けられた一対の電極と
を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記一対の電極間に層間絶縁膜を有する
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記封止層は、
前記画素部を前記一対の基板間に接着封止するシール層と、
前記絶縁膜と前記シール層との間に設けられ、少なくとも前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた保護膜とを有し、
前記保護膜が、前記層間絶縁膜と同一材料により構成されている
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記絶縁膜の前記端縁部の周囲に壁部を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記一方の基板のうちの他方の基板の前記画素部側に、
カラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層を被覆する他の絶縁膜とを有し、
前記封止層は、前記他の絶縁膜の端縁部を覆って設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記薄膜トランジスタ上に電極保護膜を備えた
請求項2に記載の表示装置。
【請求項15】
前記薄膜トランジスタは、ボトムゲート型薄膜トランジスタである
請求項2に記載の表示装置。
【請求項16】
前記薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタである
請求項2に記載の表示装置。
【請求項17】
前記薄膜トランジスタは、低温ポリシリコン、微結晶シリコンまたは非晶質シリコンからなる半導体層を有する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項18】
一対の基板間に設けられると共に、複数の画素を有する画素部と、
前記一対の基板のうちの一方の基板上において、前記画素部の周辺の額縁領域に配設された1または複数のアクティブ素子と、
前記一方の基板上の前記額縁領域に、前記1または複数のアクティブ素子を被覆して設けられた絶縁膜と、
前記額縁領域において、前記画素部を封止すると共に前記絶縁膜の端縁部を覆って設けられた封止層と
を備えた表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−255840(P2012−255840A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127599(P2011−127599)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】