表示装置及び表示装置の作製方法
【課題】より画質及び信頼性の高い表示装置、また大画面を有する大型な表示装置であっても、低コストで生産性よく提供することを目的の一とする。
【解決手段】表示装置に用いられる機能層(着色層や画素電極層など)を、主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する第1の有機化合物を含む層を底面に、第2の有機化合物を含む層を隔壁にして形成された開口に、液状の機能層形成材料を吐出することで形成する。有機化合物を含む層表面に付着する、液状の機能層形成材料に対して撥液性を示すフッ素密度を制御することによって、撥液領域及び親液領域を選択的に形成することができる。
【解決手段】表示装置に用いられる機能層(着色層や画素電極層など)を、主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する第1の有機化合物を含む層を底面に、第2の有機化合物を含む層を隔壁にして形成された開口に、液状の機能層形成材料を吐出することで形成する。有機化合物を含む層表面に付着する、液状の機能層形成材料に対して撥液性を示すフッ素密度を制御することによって、撥液領域及び親液領域を選択的に形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子を有する表示装置及び表示装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられるカラーフィルタなどの機能層をインクジェット法によって形成する際に、薄膜を高繊細な微細パターンとするために、薄膜の被形成領域において、薄膜材料液に対して改質処理した撥液領域及び親液領域を利用することが行われている。
【0003】
例えば、薄膜の仕切部材であるバンクを無機材料からなるバンクと有機材料からなるバンクの積層とし、フッ素系ガスを用いたプラズマ処理により有機材料からなるバンク表面のみを撥液化することによって、薄膜材料液に対する撥液領域及び親液領域を形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−353594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような方法で撥液処理を行うためには大型で高価な真空装置が必要となる。また、無機材料からなるバンクを用いて親液領域を形成する場合、形成する薄膜の膜厚に合わせて、バンクを形成するための無機膜を成膜しなければならない。しかしカラーフィルタのように数μmの膜厚の薄膜を形成する場合、無機膜の成膜及びエッチング工程に長い時間を要してしまい、実用的でないという問題があった。
【0005】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に改質領域を形成し、所望の形状の親液領域及び撥液領域を形成し、様々な機能性を有する薄膜を形成することを目的の一とする。
【0006】
また、より画質及び信頼性の高い表示装置、また大画面を有する大型な表示装置であっても、低コストで生産性よく提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
表示装置に用いられる、着色層や画素電極層などの様々な特定の機能を有する薄膜(機能層という)を、液状の機能層形成材料を含む組成物を用いて湿式法で形成する。液状の機能層形成材料を含む組成物は流動性を有するため、被形成領域を囲むように設けられた隔壁(バンクともいう)内に充填されるように吐出され、乾燥や焼成によって固化されて機能層として形成される。
【0008】
機能層形成材料を含む組成物を吐出する領域は、開口の底面領域と開口を囲む隔壁領域とを含み、隔壁領域の方が開口の底面領域より機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性を高まるように撥液処理を行う。この撥液処理は機能層形成材料が隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されることなく、開口内の所望の領域に機能層が形成できるようにするために行う。
【0009】
本発明では、開口の底面と開口を囲む隔壁を、少なくとも機能層形成材料に対して撥液性の強度(高さ低さ)を異ならせることができる2種類の有機物化合物を含む層によって形成する。機能層形成材料に対する撥液性の制御は、有機化合物層表面に付着する、液状の機能層形成材料に対して撥液性を示すフッ素密度を制御することによって行うことができる。
【0010】
フッ素密度は、フッ化炭素層形成後の酸化層の有機溶剤に対する溶解性により制御することができる。酸化層の溶解性が高いほど酸化層はフッ化炭素層ごと除去されやすくなり、酸化層が薄膜化するとともにフッ素密度も低下する。
【0011】
本発明の撥液処理では、有機化合物を含む層に対し、酸化雰囲気下における紫外線照射工程、フッ化炭素層形成工程、有機溶剤による洗浄工程を行う。
【0012】
有機化合物を含む層に撥液性を示すフッ素を含むフッ化炭素層を形成する際、有機化合物を含む層表面を酸化して形成された酸化層上にフッ化炭素層を設ける。
【0013】
酸化層は、有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線照射を行い、有機化合物を含む層表面を酸化して形成する。主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物においては、紫外線照射によりC−N結合や、C−O結合において結合が分断し、分子量100〜10000程度の低分子の酸化層が形成され、フッ化炭素層は、有機化合物を含む層表面に形成された低分子の酸化層上に形成されることになる。
【0014】
主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物表面の酸化層は低分子のために、有機溶剤による洗浄工程においてフッ化炭素層ごと除去することが可能であり、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層表面のフッ素密度を低くし親液化することができる。
【0015】
従って、本発明の撥液処理のように、有機溶剤に対する有機化合物表面の酸化層の溶解性が異なる有機化合物を含む層を用いることで、撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【0016】
従って、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む第1の有機化合物を含む層を開口の底面に用い、第2の有機化合物を含む層を隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0017】
なお、本明細書において、2種類以上の領域を比較する場合、より低い撥液性を示す領域を、より高い撥液性を示す撥液領域に対して親液領域ともいう。本明細書において、開口とは開口の底面及び隔壁による側面を含む。
【0018】
酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射して形成される酸化層において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む第1の有機化合物を含む層表面の酸化層は、第2の有機化合物を含む層表面の酸化層より、有機溶剤に対する溶解性が高い。
【0019】
また、撥液処理後の酸化層の膜厚において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を有する第1の有機化合物を含む層表面に設けられる酸化層の膜厚は、第2の有機化合物を含む層表面に設けられる酸化層の膜厚より薄い。
【0020】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0021】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0022】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0023】
本発明の表示装置の一形態は、第1の有機化合物を含む層と、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、開口に機能層とを有する。機能層と第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0024】
本発明の表示装置の一形態は、第1の有機化合物を含む層と、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、開口に機能層とを有する。機能層と第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。フッ化炭素層において、第1の有機化合物層上に設けられた領域のフッ素密度は第2の有機化合物を含む層上に設けられた領域より低い。
【0025】
本発明の表示装置の一形態は、上記構成において、第1の有機化合物を含む層及びフッ化炭素層の間に第1の酸化層と、第2の有機化合物を含む層及びフッ化炭素層の間に第2の酸化層とを有する。
【0026】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射する。紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成する。第1の有機化合物を含む層上のフッ化炭素層を有機溶剤により除去する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0027】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成する。酸化層上にフッ化炭素層を形成する。第1の有機化合物を含む層上の酸化層及びフッ化炭素層を有機溶剤により除去する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0028】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射する。紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成する。フッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、開口において第2の有機化合物を含む層表面を第1の有機化合物を含む層表面より撥液化する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0029】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成する。酸化層上にフッ化炭素層を形成する。酸化層及びフッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、開口において第2の有機化合物を含む層表面を第1の有機化合物を含む層表面より撥液化する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0030】
上記有機溶剤としては、アルコールなどを用いることができる。
【0031】
上記のように機能層形成材料は溶媒に溶解させ液状の組成物として、湿式法によって機能性を有する薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。本明細書において、固化させるとは、流動性を失わせ一定の形状を保つ状態とすることをいう。
【0032】
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明における液状の組成物を用いることができる。
【0033】
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応できるので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
【0034】
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、被形成領域に対する被覆性もよい。
【0035】
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
【発明の効果】
【0036】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する薄膜を制御性よく形成することができる。
【0037】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置における機能層の一例について説明する。
【0040】
図1及び図2に、本発明を用いた機能層の例を示す。図1(A)は有機化合物(第1の有機化合物)を含む層301及び有機化合物(第2の有機化合物)を含む層302a、302bに形成された開口に、有機化合物を含む層302a、302b表面に形成された酸化層303a、303bを間に介して開口を充填するように、機能層304が形成されている例である。開口底面の有機化合物を含む層301は、酸化処理より表面に形成された酸化層が有機溶剤によるエッチングによって除去されているため、膜厚が薄い領域となっており凹部が形成されている。以下、図3を用いて作製方法を説明する。
【0041】
本実施の形態では、表示装置に用いられる、着色層や画素電極層などの様々な特定の機能層を、液状の機能層形成材料を含む組成物を用いて湿式法で形成する。液状の機能層形成材料を含む組成物は流動性を有するため、被形成領域を囲むように設けられた隔壁(バンクともいう)内に充填されるように吐出され、乾燥や焼成によって固化されて機能層として形成される。
【0042】
機能層形成材料を含む組成物を吐出する領域は、開口の底面領域と開口を囲む隔壁領域とを含み、隔壁領域の方が開口の底面領域より機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性が高まるように撥液処理を行う。この撥液処理は機能層形成材料が隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されることなく、開口内の所望の領域に機能層が形成できるようにするために行う。
【0043】
本発明の本実施の形態では、開口の底面と開口を囲む隔壁を、少なくとも機能層形成材料に対して撥液性の強度(高さ低さ)を異ならせることができる2種類の有機物化合物を含む層によって形成する。機能層形成材料に対する撥液性の制御は、有機化合物層表面に付着する、液状の機能層形成材料に対して撥液性を示すフッ素密度を制御することによって行うことができる。
【0044】
フッ素密度は、フッ化炭素層形成後の酸化層の有機溶剤に対する溶解性により制御することができる。酸化層の溶解性が高いほど酸化層はフッ化炭素層ごと除去されやすくなり、酸化層が薄膜化するとともにフッ素密度も低下する。
【0045】
本実施の形態では、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層301を形成し、有機化合物を含む層301上に、開口を有する有機化合物を含む層302a、302bを形成する(図3(A)参照。)。開口は有機化合物を含む層301に達しており、開口の底面には有機化合物を含む層301が露出する。開口に露出する有機化合物を含む層301及び有機化合物を含む層302a、302b表面に酸化層343、303a、303bをそれぞれ形成し、酸化層343、303a、303b上にフッ化炭素層347、307a、307bを形成する(図3(B)参照。)。
【0046】
本発明における本実施の形態の撥液処理では、有機化合物を含む層に対し、酸化雰囲気下における紫外線照射工程、フッ化炭素層形成工程、有機溶剤による洗浄工程を行う。
【0047】
有機化合物を含む層に撥液性を示すフッ素を含むフッ化炭素層を形成する際、有機化合物を含む層表面を酸化して形成された酸化層上にフッ化炭素層を設ける。
【0048】
酸化層は、有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線照射を行い、有機化合物を含む層表面を酸化して形成する。主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物においては、紫外線照射によりC−N結合や、C−O結合において結合が分断し、分子量100〜10000程度の低分子の酸化層が形成され、フッ化炭素層は、有機化合物を含む層表面に形成された低分子の酸化層上に形成されることになる。
【0049】
主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物表面の酸化層は低分子のために、有機溶剤による洗浄工程においてフッ化炭素層ごと除去することが可能であり、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層表面のフッ素密度を低くし親液化することができる。
【0050】
有機化合物を含む層301表面に形成された酸化層343、303a、303b及びフッ化炭素層347、307a、307bを有機溶剤によって選択的に除去する。本実施の形態では、有機溶剤としてアルコールを用いて洗浄する。酸化層343、303a、303b及びフッ化炭素層347、307a、307bは、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層301上ほど除去されやすいので、有機化合物を含む層301表面の酸化層343及びフッ化炭素層347をより多く選択的に除去することができる。
【0051】
従って、開口底面の有機化合物を含む層301表面は酸化層343及び酸化層上に形成されていたフッ化炭素層347がエッチングによって除去され、ざぐれたように凹部が形成される(図3(C)参照。)。図3(C)においては、模式図的に酸化層343全てが除去される図を示したが、酸化層343は必ずしも全てが除去されなくてもよく、酸化層343表面に形成されたフッ化炭素層中のフッ素密度が低減されるようにエッチングされればよい。よって、エッチング後に残存する酸化層343は、酸化層303a、303bと比較して膜厚が薄くなりうる。
【0052】
よって、フッ化炭素層中に含まれるフッ化炭素の密度を比較すると、有機化合物を含む層301表面より、有機化合物を含む層302a、302b表面の方がフッ化炭素の密度が高くなり、有機化合物を含む層302a、302b表面を撥液領域(高撥液領域)、有機化合物を含む層301表面をより親液領域(低撥液領域)とすることができる。
【0053】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を液滴吐出装置308より吐出すると、開口底面の親液領域に組成物309は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない(図3(D)参照。)。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層304を形成することができる(図3(E)参照。)。
【0054】
このように、本発明の撥液処理のように、有機溶剤に対する有機化合物表面の酸化層の溶解性が異なる有機化合物を含む層を用いることで、撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【0055】
従って、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層301を開口の底面に用い、有機化合物を含む層302a、302bを隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0056】
酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射して形成される酸化層において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層301表面の酸化層343は、有機化合物を含む層302a、302b表面の酸化層303a、303bより、有機溶剤に対する溶解性が高い。
【0057】
また、撥液処理後の酸化層の膜厚において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物を含む層301表面に設けられる酸化層の膜厚は、有機化合物を含む層302a、302b表面に設けられる酸化層の膜厚より薄い。
【0058】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0059】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0060】
機能層の形状は、撥液性の強度や、機能層形成材料を含む組成物の粘度や固化条件、吐出量などによって様々に制御することができる。機能層の形状の例を図1(A)乃至(D)で説明する。図1(A)は、開口の隔壁である有機化合物を含む層302a、302bの高さと同程度に機能層304が充填する様に形成される例であるが、図1(B)のように隔壁である有機化合物を含む層302a、302bの高さより低く充填するような機能層305であってもよく、一部が開口より隔壁である有機化合物を含む層302a、302b上にかかるような図1(C)の機能層306のような形状でもよい。また、図1(D)に示す様に凸部を有する形状に機能層310を形成してもよい。
【0061】
また、開口の隔壁となる有機化合物を含む層を積層構造としてもよく、第1の有機化合物を含む層に選択的に凹部を形成し、その凹部に機能層を充填するように形成してもよい。図2(A)は、有機化合物を含む層311上に、隔壁となる端部が連続的な開口を有する有機化合物を含む層317a、317b、312a、312bを形成し、有機化合物を含む層311及び有機化合物を含む層317a、317bで形成される開口に機能層314を形成する例である。有機化合物を含む層311及び有機化合物を含む層317a、317bは同材料を用いており、有機化合物を含む層312a、312bより撥液性が弱いため、機能層は撥液性の高い酸化層313a、313b表面には形成されにくい。図2(B)は、有機化合物を含む層327a、327b及び有機化合物を含む層322a、322bの端部が不連続な例である。機能層324は撥液性の高い酸化層323a、323b表面には形成されにくい。図2(A)(B)のように機能層を形成すると、機能層の膜厚の制御をより確かに行うことができる。図2(C)は、有機化合物を含む層331に選択的に凹部を形成し、その凹部に機能層334を充填する例である。撥液性の高い有機化合物を含む層332a、332b、及び酸化層333a、333b表面には機能層は形成されにくく、有機化合物を含む層331の凹部に制御性よく形成することができる。
【0062】
有機化合物を含む層301、311、317a、317b、321、327a、327b、331としては、主鎖にC−N結合、又はC−O結合を含む有機化合物を用いることができ、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、芳香族ポリアミドなどを用いることができる。
【0063】
有機化合物を含む層302a、302b、312a、312b、322a、322b、332a、332bとしては、有機化合物を用いることができ、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などを用いることができる。
【0064】
撥液性、親液性が異なるとは、ぬれ性が異なることであり、このぬれ性の違いは両領域の相対的な関係であるので、開口の底面と隔壁において、機能層形成材料を含む組成物に対するぬれ性の程度に差を有していればよい。また、ぬれ性の異なる領域とは、機能層形成材料を含む組成物の接触角が異なることであり、機能層形成材料を含む組成物の接触角が大きい領域はよりぬれ性が低い(撥液性が高く親液性が低い領域)となり、接触角が小さい領域はぬれ性の高い領域(撥液性が低く親液性が高い領域)となる。接触角が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、組成物をはじくので、表面をぬらさないが、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は広がり、よく表面をぬらすからである。よって、ぬれ性が異なる領域は、表面エネルギーも異なる。ぬれ性が低い領域における表面の、表面エネルギーは小さく、ぬれ性の高い領域表面における表面エネルギーは大きい。
【0065】
フッ化炭素層は、加水分解基を有する有機シランを用いて形成することができる。加水分解基を有する有機シランは、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)、又はR3−Si−NR−Si−R3の化学式で表される。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
【0066】
また、加水分解基を有する有機シランの代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系加水分解基を有する有機シラン(フルオロアルキルシラン((以下、FASともいう。))を用いることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシランが挙げられる。
【0067】
加水分解基を有する有機シランの溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いることができる。
【0068】
なお、上記材料を用いてフッ化炭素層を形成する場合、上記材料を気相法により酸化層表面に化学吸着させて形成するとよい。化学吸着させることで、単分子層を形成することができる。また、上記材料を、液滴吐出法、塗布法等を用いて形成してもよい。
【0069】
単分子層の形成方法としては、有機シランを有する密閉容器内に基板を設置することで酸化層表面に有機シランを化学吸着させた後、アルコールで洗浄することで単分子膜となり、単分子層のフッ化炭素層を形成することが可能である。また、有機シランを有する溶液中に、基板を浸漬することで、酸化層表面に有機シランが化学吸着して単分子膜となり、単分子層のフッ化炭素層を形成することが可能である。
【0070】
加水分解基を有する有機シラン膜は、その形成条件によっては膜厚が極薄であり、膜として形態を保っていなくてもよい。
【0071】
撥液処理として形成した加水分解基を有する有機シランは残してもよいし、機能層形成後に、不必要な部分は除去してしまってもよい。除去は、機能層をマスクとして用いることができ、酸素等によるアッシング、エッチング、プラズマ処理などにより除去すればよい。
【0072】
上記のように機能層形成材料は溶媒に溶解させ液状の組成物として、湿式法によって機能性を有する薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。また、固化処理として、機能層形成材料中に光硬化性樹脂が含まれる場合は、光照射を行えばよく、熱硬化性樹脂が含まれる場合は加熱処理を行えばよい。
【0073】
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明における液状の組成物を用いることができる。
【0074】
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応できるので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
【0075】
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、被形成領域に対する被覆性もよい。
【0076】
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
【0077】
湿式法の例として、液滴吐出手段を図7を用いて説明する。液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。
【0078】
液滴吐出法に用いる液滴吐出装置の一態様を図7に示す。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することができる。描画する位置は、例えば、撮像手段1404、画像処理手段1409、コンピュータ1410を用いて基板1400上に形成されたマーカー1411を認識し、基準点を確定して決定すればよい。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。
【0079】
撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化物半導体(CMOS)を利用したイメージセンサなどを用いることができる。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
【0080】
ヘッド1405内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサイズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで、複数種の材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、広領域に描画する場合は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。被処理物として、特に大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412と被処理物を有するステージとを、矢印の方向に相対的に走査し、描画する領域を自由に設定し、例えば同じパターンを一枚の基板に複数描画することもできる。
【0081】
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。吐出時に基板を加熱しておいてもよい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は80〜100度(℃)で3分間、焼成は200〜550度(℃)で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミング、加熱処理の回数は特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うための温度及び時間などの条件は、基板の材質及び組成物の性質に依存する。
【0082】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどがある。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
【0083】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0084】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0085】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0086】
本発明は表示機能を有する装置である表示装置に用いることができ、本発明を用いる表示装置には、エレクトロルミネセンス(以下「EL」ともいう。)と呼ばれる発光を発現する有機物、無機物、若しくは有機物と無機物の混合物を含む層を、電極間に介在させた発光素子とTFTとが接続された発光表示装置や、液晶材料を有する液晶素子を表示素子として用いる液晶表示装置などがある。本発明において、表示装置とは、表示素子(液晶素子や発光素子など)を有する装置のことを言う。なお、基板上に液晶素子やEL素子などの表示素子を含む複数の画素やそれらの画素を駆動させる周辺駆動回路が形成された表示パネル本体のことでもよい。さらに、フレキシブルプリントサーキット(FPC)やプリント配線基盤(PWB)が取り付けられたもの(ICや抵抗素子や容量素子やインダクタやトランジスタなど)も含んでもよい。さらに、偏光板や位相差板などの光学シートを含んでいても良い。さらに、バックライト(導光板やプリズムシートや拡散シートや反射シートや光源(LEDや冷陰極管など)を含んでいても良い)を含んでいても良い。
【0087】
なお、表示素子や表示装置は、様々な形態を用い、様々な素子を有することができる。例えば、EL素子(有機EL素子、無機EL素子又は有機物及び無機物を含むEL素子)、液晶素子、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体を適用することができる。なお、EL素子を用いた表示装置としてはELディスプレイ、液晶素子を用いた表示装置としては液晶ディスプレイ、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、電子インクを用いた表示装置としては電子ペーパーがある。
【0088】
(実施の形態2)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。より具体的には、表示装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
【0089】
図4(A)(B)は、本発明を適用したパッシブマトリクス型の液晶表示装置を示し、図4(A)は反射型液晶表示装置であり、図4(B)は透過型液晶表示装置である。図4(A)(B)において、画素電極層ともいわれる表示素子1713に用いる電極層1701a、1701b、1701c、配向膜として機能する絶縁層1712、カラーフィルタとして機能する着色層1706a、1706b、1706c、有機化合物を含む層1720、有機化合物を含む層1723、偏光板1714(1714a、1714b)が設けられた基板1700と、配向膜として機能する絶縁層1704、対向電極層ともいわれる表示素子に用いる電極層1705が設けられた基板1710とが液晶層1703を挟持して対向している。
【0090】
有機化合物を含む層1723は透光性であるが、有機化合物を含む層1720は遮光層としても機能するため、遮光性を有する。
【0091】
本実施の形態の表示装置は、機能層である電極層1701a、1701b、1701c、及び着色層1706a、1706b、1706cを、有機化合物を含む層1720及び有機化合物を含む層1723によって形成された開口に各機能層形成材料を含む組成物を吐出することによって形成する。
【0092】
開口において、有機化合物を含む層1720は隔壁であり、有機化合物を含む層1723は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層1720を、有機化合物を含む層1723より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層1723に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0093】
有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層1723を開口の底面に用い、有機化合物を含む層1720を隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0094】
有機化合物を含む層1723及び有機化合物を含む層1720により開口を形成し、開口に酸化処理及び紫外線照射処理を行う。本実施の形態では酸化処理は酸素を含む雰囲気下における紫外線照射によって行う。酸化処理により形成された有機化合物を含む層1720及び1723表面の酸化層に、フッ化炭素層を形成する。本実施の形態ではフッ化炭素層としてFAS膜を用いる。フッ化炭素層を有機溶剤であるアルコールで洗浄すると、溶解性の高い有機化合物を含む層1723表面の低分子の酸化層はフッ化炭素層ごと溶解してしまい、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1723表面の酸化層及びフッ化炭素層が選択的に除去される。従って、撥液性を示すフッ素密度がより高い有機化合物を含む層1720表面がより高撥液性となり、有機溶剤でフッ化炭素層が除去され、フッ素密度が低い有機化合物を含む層1723表面はより低撥液性(親液性)となる。
【0095】
よって液状の機能層形成材料を含む組成物に対して、底面は親液領域であり、隔壁は撥液領域である開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、撥液領域である隔壁を乗り越えて組成物が流出することなく、所定の領域に所望の形状で機能層を形成することができる。図4(A)の表示装置においては、有機化合物を含む層1723及び有機化合物を含む層1720により形成された開口に、機能層である着色層と電極層とを順に積層した構成である。まず、開口に着色層形成材料を含む組成物を吐出し、着色層1706a、1706b、1706cを形成し、着色層1706a、1706b、1706c上に導電性材料(導電層形成材料)を含む組成物を吐出し、電極層1701a、1701b、1701cを形成する。
【0096】
図4(B)の表示装置は、着色層と電極層とを同じ開口に直接積層せずに、それぞれ有機化合物を含む層によって形成された開口に形成する例である。着色層1706a、1706b、1706cは、図4(A)同様に、有機化合物を含む層1720及び主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1723によって形成された開口に形成される。着色層1706a、1706b、1706c、及び有機化合物を含む層1720上に、有機化合物を含む層1721を形成し、有機化合物を含む層1721上に開口を有する有機化合物を含む層1722を形成する。開口において有機化合物を含む層1721は底面であり、有機化合物を含む層1722は隔壁となるため、有機化合物を含む層1721として、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0097】
従って、フッ素密度の差により、隔壁の有機化合物を含む層1722がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層1721がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、電極層1701a、1701b、1701cを制御性よく形成することができる。
【0098】
図4(A)は反射型液晶表示装置であるため、電極層1705は反射性を有する必要がある。この場合、反射性を有する金属薄膜を用いるか、該金属薄膜と透光性を有する電極層との積層構造を用いてもよい。
【0099】
図4(B)は透過型液晶表示装置であるため、一対の電極層1701a、1701b、1701c、及び電極層1705は透光性を有する電極層を用い、偏光板1714a、1714bを用いる。
【0100】
図5(A)(B)に、本発明を適用したパッシブマトリクス型の発光素子を有する表示装置(発光表示装置ともいう)を示す。図5(A)は表示装置の平面図であり、図5(B)は、図5(A)における線A−Bの断面図である。
【0101】
表示装置は、基板769上に設けられた有機化合物を含む層760上に第1の方向に延びた表示素子に用いる電極層である第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761c、第1の電極層761a、第1の電極層761b及び第1の電極層761cを覆って設けられた電界発光層762a、762b、762cと、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた表示素子に用いる電極層である第2の電極層763a、第2の電極層763b、第2の電極層763cとを有している。第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761cと第2の電極層763a、第2の電極層763b、第2の電極層763cとの間に、隔壁として機能する有機化合物を含む層765によって分離されて電界発光層762a、762b、762cが設けられている。また、第2の電極層763a、第2の電極層763b、第2の電極層763cを覆うように、保護膜として機能する絶縁層764を設けている(図5(A)(B)参照。)。なお、図5(A)においては、絶縁層764、封止材として機能する絶縁層768は省略してある。絶縁層768で封止する代わりに表示素子785上に充填材を設け、基板により封止してもよい。
【0102】
本実施の形態の表示装置は、機能層である第1の電極層761a、761b、761c、及び電界発光層762a、762b、762cを、有機化合物を含む層760及び有機化合物を含む層765によって形成された開口に各機能層形成材料を含む組成物を吐出することによって形成する。
【0103】
開口において、有機化合物を含む層765は隔壁であり、有機化合物を含む層760は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層765を、有機化合物を含む層760より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層760に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層760を開口の底面に用い、有機化合物を含む層765を隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0104】
有機化合物を含む層760及び有機化合物を含む層765により開口に酸化処理及び紫外線照射処理を行う。本実施の形態では酸化処理は酸素を含む雰囲気下における紫外線照射によって行う。酸化処理により形成された有機化合物を含む層760及び765表面の酸化層に、フッ化炭素層を形成する。本実施の形態ではフッ化炭素層としてFAS膜を用いる。フッ化炭素層を有機溶剤であるアルコールで洗浄すると、溶解性の高い有機化合物を含む層760表面の低分子の酸化層はフッ化炭素層ごと溶解してしまい、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層760表面の酸化層及びフッ化炭素層が選択的に除去される。従って、撥液性を示すフッ素密度がより高い有機化合物を含む層765表面がより高撥液性となり、有機溶剤でフッ化炭素層が除去され、フッ素密度が低い有機化合物を含む層760表面はより低撥液性(親液性)となる。
【0105】
よって液状の機能層形成材料を含む組成物に対して、底面は親液領域であり、隔壁は撥液領域である開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、撥液領域である隔壁を乗り越えて組成物が流出することなく、所定の領域に所望の形状で機能層を形成することができる。図5(A)(B)の表示装置においては、有機化合物を含む層760及び有機化合物を含む層765により形成された開口に、機能層である第1の電極層と電界発光層とを順に積層した構成である。まず、開口に導電性材料を含む組成物を吐出し、第1の電極層761a、761b、761cを形成し、第1の電極層761a、761b、761c上に電界発光層形成材料を含む組成物を吐出し、電界発光層762a、762b、762cを形成する。
【0106】
電界発光層は、蒸着法などの乾式法を用いてマスクにより所望の形状に作製してもよい。
【0107】
隔壁として機能する有機化合物を含む層は、端部が曲率を有さない形状であってもよいが、有機化合物を含む層765のように曲率を有し、その曲率半径が連続的に変化する形状であると、積層する絶縁層や導電層のカバレッジがよい。
【0108】
上記のように機能層形成材料は溶媒に溶解させ液状の組成物として、湿式法によって機能性を有する薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。また、固化処理として、機能層形成材料中に光硬化性樹脂が含まれる場合は、光照射を行えばよく、熱硬化性樹脂が含まれる場合は加熱処理を行えばよい。
【0109】
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明における液状の組成物を用いることができる。
【0110】
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応できるので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
【0111】
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、被形成領域に対する被覆性もよい。
【0112】
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
【0113】
基板769、1700、1710としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる、プラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工ができ、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0114】
有機化合物を含む層760、1720、1722としては、主鎖にC−N結合、又はC−O結合を含む有機化合物を用いることができ、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、芳香族ポリアミドなどを用いることができる。
【0115】
有機化合物を含む層765、1721、1723としては、有機化合物を用いることができ、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などを用いることができる。
【0116】
有機化合物を含む層は、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、塗布法などの湿式法によって形成することができる。
【0117】
本実施の形態のように機能層として表示素子に用いる電極層(画素電極層、第1、第2の電極層)に導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いることができる。導電性組成物は、電極層として薄膜を形成する場合、薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0118】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0119】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0120】
導電性高分子を含む電極層には、有機樹脂やドーパントを含ませてもよい。有機樹脂を加えることで膜の形状や膜強度等の膜特性を調整し、形状の良好な膜とする効果があり、一方ドーパントを加えることで電機伝導度を調整し導電性を向上させる効果を得ることができる。
【0121】
導電性高分子を含む電極層に加える有機樹脂としては、導電性高分子と相溶または混合分散可能であれば熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよく、光硬化性樹脂であってもよい。
【0122】
導電性高分子を含む電極層に加えるド−パントにおいて、特にアクセプタ性ド−パントとしては、ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等を使用することができる。
【0123】
導電性組成物を、水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、液状の組成物とすることができる。
【0124】
導電性組成物の成膜は上述のように溶媒に溶解した後、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)等の湿式法を用いて成膜することができる。
【0125】
本実施の形態のように機能層として表示素子に用いる電極層(画素電極層、第1、第2の電極層)に用いられる透光性を有する導電性材料として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。また、光に対して反射性を有する導電性材料として、金、銀、銅などの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができ、例えば低抵抗な銀を用いるとよい。
【0126】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0127】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0128】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0129】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0130】
(実施の形態3)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に液晶表示素子を用いる液晶表示装置について説明する。なお、本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なり、液晶表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0131】
図8(A)は、本発明の一形態である液晶表示装置の上面図であり、図8(B)は図8(A)線C−Dにおける断面図である。
【0132】
図8(A)で示すように、画素領域606、走査線駆動回路である駆動回路領域608a、走査線駆動領域である駆動回路領域608bが、シール材692によって、基板600と対向基板695との間に封止され、基板600上にICドライバによって形成された信号線駆動回路である駆動回路領域607が設けられている。画素領域606にはトランジスタ622及び容量素子623が設けられ、駆動回路領域608bにはトランジスタ620及びトランジスタ621を有する駆動回路が設けられている。基板600には、上記実施の形態と同様の絶縁基板を適用することができる。また一般的に合成樹脂からなる基板は、他の基板と比較して耐熱温度が低いことが懸念されるが、耐熱性の高い基板を用いた作製工程の後、転置することによっても採用することが可能となる。
【0133】
画素領域606には、下地膜604a、下地膜604bを介してスイッチング素子となるトランジスタ622が設けられている。本実施の形態では、トランジスタ622にマルチゲート型薄膜トランジスタ(TFT)を用い、ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、2層の積層構造であるゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層を有し、ソース電極層又はドレイン電極層は、半導体層の不純物領域と画素電極層ともいわれる表示素子に用いる電極層630に接して電気的に接続している。
【0134】
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。また、有機半導体材料を用いてもよい。なお、単結晶半導体基板、SOI基板などを用いて、単結晶半導体としてもよい。
【0135】
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0136】
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。
【0137】
半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0138】
ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタリング法などを用いて形成する。ゲート絶縁層としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素に代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。
【0139】
ゲート電極層、ソース電極層又はドレイン電極層は、スパッタリング法、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は金属などの導電性材料を用いることができ、具体的にはAg、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Cr、Nd、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba、Si、Geなどの材料、又は上記材料の合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0140】
半導体層中の不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。このように低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。その後、ゲート電極等を覆う絶縁膜611及び絶縁膜612を形成する。絶縁膜611(及び絶縁膜612)に混入された水素元素により、結晶性半導体膜のダングリングボンドを終端することができる。
【0141】
絶縁膜611、絶縁膜612には、有機材料、又は無機材料、若しくはそれらの積層構造を用いることができる。例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ポリシラザン、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
る。
【0142】
また結晶性半導体膜を用いることにより、画素領域と駆動回路領域を同一基板上に一体形成することができる。その場合、画素部のトランジスタと、駆動回路領域608bのトランジスタとは同時に形成される。駆動回路領域608bに用いるトランジスタは、CMOS回路を構成する。CMOS回路を構成する薄膜トランジスタは、GOLD構造であるが、トランジスタ622のようなLDD構造を用いることもできる。
【0143】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。なお、トップゲート型(例えば順スタガ型、プラーナ型)、ボトムゲート型(例えば逆スタガ型、逆コプラナ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【0144】
表示素子に用いる電極層630、有機化合物を含む層616、及びスペーサ637を覆うように、印刷法や液滴吐出法により、配向膜と呼ばれる絶縁層631を形成する。なお、絶縁層631は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビング処理を行う。このラビング処理は液晶のモード、例えばVAモードのときには処理を行わないときがある。配向膜として機能する絶縁層633も絶縁層631と同様である。続いて、シール材692を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域である封止領域603に形成する。
【0145】
その後、配向膜として機能する絶縁層633、対向電極層ともいわれる表示素子に用いる電極層634、カラーフィルタとして機能する着色層635、及び偏光子641(偏光板ともいう)が設けられた対向基板695と、TFT基板である基板600とをスペーサ637を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層632を設ける。本実施の形態の液晶表示装置は透過型であるため、基板600の素子を有する面と反対側にも偏光子(偏光板)643を設ける。偏光子と着色層の積層構造も図8に限定されず、偏光子及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。偏光子は、接着層によって基板に設けることができる。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板695には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、カラーフィルタ等は、液晶表示装置をフルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を呈する材料から形成すればよく、モノカラー表示とする場合、着色層を無くす、もしくは少なくとも一つの色を呈する材料から形成すればよい。また、表示装置の視認側、反射防止機能を有する反射防止膜を設けてもよい。
【0146】
なお、バックライトにRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)を採用するときには、カラーフィルタを設けない場合がある。ブラックマトリクスは、トランジスタやCMOS回路の配線による外光の反射を低減するため、トランジスタやCMOS回路と重なるように設けるとよい。なお、ブラックマトリクスは、容量素子に重なるように形成してもよい。容量素子を構成する金属膜による反射を防止することができるからである。
【0147】
液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、素子を有する基板600と対向基板695とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。滴下法は、注入法を適用しづらい大型基板を扱うときに適用するとよい。
【0148】
スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、本実施の形態では基板全面に樹脂膜を形成した後これをエッチング加工して形成する方法を採用する。このようなスペーサの材料を、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、スペーサの形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。スペーサの形状は円錐状、角錐状なども用いることができ、特別な限定はない。
【0149】
続いて、外部端子接続領域602において、画素領域と電気的に接続されている端子電極層678に、異方性導電体層696を介して、接続用の配線基板であるFPC694を設ける。FPC694は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
【0150】
偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0151】
平坦性を高めるための層間絶縁膜をかねて有機化合物を含む層を形成し、トランジスタ622のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールを有する有機化合物を含む層615を形成する。有機化合物を含む層615上に開口を有する有機化合物を含む層616を形成する。
【0152】
図8の表示装置は、機能層である電極層630及び着色層635を、それぞれ有機化合物を含む層によって形成された開口に形成する例である。電極層630は、有機化合物を含む層616、及びトランジスタ622のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールを有する主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層615によって形成された開口に形成される。
【0153】
開口において、有機化合物を含む層616は隔壁であり、有機化合物を含む層615は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層616を、有機化合物を含む層615より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層615に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0154】
従って、撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層616がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層615がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、電極層630を制御性よく形成することができる。なお、電極層630はトランジスタ622のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層が撥液性を有さないような導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層はFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0155】
着色層635も同様に、まず対向基板695上に設けられた有機化合物を含む層646上に開口を有する有機化合物を含む層647を形成する。着色層635は、有機化合物を含む層647、及び主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層646によって形成された開口に形成される。開口において、有機化合物を含む層647は隔壁であり、有機化合物を含む層646は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層647を、有機化合物を含む層646より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層646に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0156】
従って、撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層647がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層646がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に着色層形成材料を含む組成物を吐出することによって、着色層635を制御性よく形成することができる。なお、有機化合物を含む層647は遮光層としても機能する。有機化合物を含む層647と着色層635上には絶縁膜645が形成されている。
【0157】
本発明を用いた電極層630及び着色層635は、実施の形態1と同様な材料、工程で作製すればよく、実施の形態1を適用することができる。
【0158】
図8の表示装置を用いて液晶表示モジュールを作製することができる。図13(A)、図13(B)は、本発明を適用して作製されるTFT基板2600を用いて表示装置(液晶表示モジュール)を構成する一例を示している。
【0159】
図13(A)は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層を含む表示素子2604、着色層2605、偏光板2606が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の内側には偏光板2606、対向基板2601の外側には偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0160】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0161】
図13(B)は図13(A)の液晶表示モジュールにOCBモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルタを並べ、各色の表示領域を限定する必要がなく、どの領域でも3色全ての表示を行うことができる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の表示装置に、FS方式を用いたFLCモード、及びOCBモードを適用し、高性能で高画質な表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
【0162】
OCBモードの液晶層は、いわゆるπセル構造を有している。πセル構造とは、液晶分子のプレチルト角がアクティブマトリクス基板と対向基板との基板間の中心面に対して面対称の関係で配向された構造である。πセル構造の配向状態は、基板間に電圧が印加されていない時はスプレイ配向となり、電圧を印加するとベンド配向に移行する。このベンド配向が白表示となる。さらに電圧を印加するとベンド配向の液晶分子が両基板と垂直に配向し、光が透過しない状態となる。なお、OCBモードにすると、従来のTNモードより約10倍速い高速応答性を実現できる。
【0163】
また、FS方式に対応するモードとして、高速動作が可能な強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)を用いたHV(Half V)−FLC、SS(Surface Stabilized)−FLCなども用いることができる。OCBモードは粘度の比較的低いネマチック液晶を用い、HV−FLC、SS−FLCには、強誘電相を有するスメクチック液晶を用いることができる。
【0164】
また、液晶表示モジュールの高速光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。また、印加電圧を一瞬だけ高く(または低く)するオーバードライブ法により、より高速化が可能である。
【0165】
図13(B)の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cのそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
【0166】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0167】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0168】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0169】
本実施の形態は、上記の実施の形態1及び実施の形態2と適宜組み合わせることができる。
【0170】
(実施の形態4)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に発光素子を用いる発光表示装置について説明する。なお、本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なり、発光表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0171】
本発明を適用して発光素子を有する表示装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。本実施の形態では、図9を用いて下面放射型、図10を用いて上面放射型、図11を用いて両面放射型の例をそれぞれ説明する。
【0172】
図9に示す表示装置は、素子基板100、薄膜トランジスタ255、薄膜トランジスタ265、薄膜トランジスタ275、薄膜トランジスタ285、第1の電極層185、電界発光層188、第2の電極層189、充填材193、シール材192、絶縁膜101a、絶縁膜101b、ゲート絶縁層107、絶縁膜167、絶縁膜168、有機化合物を含む層181、有機化合物を含む層186、封止基板195、配線層179、端子電極層178、異方性導電層196、FPC194によって構成されている。表示装置は、外部端子接続領域202、封止領域203、周辺駆動回路領域204、画素領域206を有している。また表示装置の上面図である図9(A)で示すように、表示装置は信号線駆動回路を有する周辺駆動回路領域204、周辺駆動回路領域209のほかに、走査線駆動回路を有する周辺駆動回路領域207、周辺駆動回路領域208が設けられている。
【0173】
図9の表示装置は、下面放射型であり、矢印の方向に素子基板100側から光を放射する構造である。よって、素子基板100、絶縁膜101a、101b、ゲート絶縁層107、絶縁膜167、絶縁膜168、有機化合物を含む層181、第1の電極層185は透光性を有する。一方第2の電極層189は、発光素子190より放射される光を反射するため、反射性を有する。
【0174】
図9の表示装置は、機能層である第1の電極層185及び電界発光層188を、有機化合物を含む層によって形成された開口に積層して形成する例である。第1の電極層185は、有機化合物を含む層186及び、薄膜トランジスタ255のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールが設けられ、かつ有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層181によって形成された開口に形成される。開口において有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層181は底面であり、有機化合物を含む層186は隔壁となる。従って、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射、フッ化炭素層形成、有機溶剤によるエッチング工程を経る撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層186がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層181がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、第1の電極層185を制御性よく形成することができる。なお、第1の電極層185は薄膜トランジスタ255のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層に撥液処理後に撥液性を示さない導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層をFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0175】
図10及び図11は、図9の表示装置において、発光素子より光を取り出す構造が異なる例である。
【0176】
図10の上面放射型表示装置は、素子基板1300、薄膜トランジスタ1355、薄膜トランジスタ1365、薄膜トランジスタ1375、薄膜トランジスタ1385、第1の電極層1317、電界発光層1319、第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、シール材1332、絶縁膜1301a、絶縁膜1301b、ゲート絶縁層1310、絶縁膜1311、絶縁膜1312、有機化合物を含む層1313、有機化合物を含む層1314、封止基板1325、配線層1333、端子電極層1381、異方性導電層1382、FPC1383によって構成されている。表示装置は、外部端子接続領域222、封止領域223、周辺駆動回路領域224、画素領域226を有している。
【0177】
図10に示す表示装置は上面放射型であり、矢印の方向に封止基板1325側から光を放射する構造である。従って、発光素子1305からの光を透過する第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、封止基板1325は透光性を有する材料を用いる。一方、第1の電極層1317は発光素子より放射される光を反射するため、反射性を有する。
【0178】
図10の表示装置は、機能層である第1の電極層1317及び電界発光層1319を、有機化合物を含む層によって形成された開口に積層して形成する例である。第1の電極層1317は、有機化合物を含む層1314及び、薄膜トランジスタ1355のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールが設けられ、かつ有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1313によって形成された開口に形成される。開口において有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1313は底面であり、有機化合物を含む層1314は隔壁となる。従って、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射、フッ化炭素層形成、有機溶剤によるエッチング工程を経る撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層1314がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層1313がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、第1の電極層1317を制御性よく形成することができる。なお、第1の電極層1317は薄膜トランジスタ1355のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層に撥液処理後に撥液性を示さない導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層をFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0179】
図11に示す両面放射型表示装置は、素子基板1600、薄膜トランジスタ1655、薄膜トランジスタ1665、薄膜トランジスタ1675、薄膜トランジスタ1685、第1の電極層1617、電界発光層1619、第2の電極層1620、保護膜1621、充填材1622、シール材1632、絶縁膜1601a、絶縁膜1601b、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1611、絶縁膜1612、有機化合物を含む層1613、有機化合物を含む層1614、封止基板1625、配線層1633、端子電極層1681、異方性導電層1682、FPC1683によって構成されている。表示装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。
【0180】
図11の表示装置は、両面放射型であり、矢印の方向に素子基板1600側からも、封止基板1625側からも光を放射する構造である。よって、第1の電極層1617及び第2の電極層1620として透光性電極層を用いる。さらに、発光素子1605からの光を透過する有機化合物を含む層1613、絶縁膜1612、絶縁膜1611、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1601a、1601b、素子基板1600、保護膜1621、充填材1622、封止基板1625も透光性を有する材料を用いる。
【0181】
図11の表示装置は、機能層である第1の電極層1617及び電界発光層1619を、有機化合物を含む層によって形成された開口に積層して形成する例である。第1の電極層1617は、有機化合物を含む層1614及び、薄膜トランジスタ1655のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールが設けられ、かつ有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1613によって形成された開口に形成される。開口において有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1613は底面であり、有機化合物を含む層1614は隔壁となる。従って、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射、フッ化炭素層形成、有機溶剤によるエッチング工程を経る撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層1614がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層1613がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、第1の電極層1617を制御性よく形成することができる。なお、第1の電極層1617は薄膜トランジスタ1655のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層に撥液処理後に撥液性を示さない導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層をFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0182】
発光素子の第1の電極層及び第2の電極層に用いることのできる透光性を有する導電性材料として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0183】
発光素子の第1の電極層及び第2の電極層に用いることのできる反射性を有する導電性材料としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電材料などを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよい。
【0184】
また、発光素子上にパッシベーション膜(保護膜)として絶縁層を設けてもよい。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。又はシロキサン樹脂を用いてもよい。
【0185】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。
【0186】
充填材の代わりに、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。充填材を通して光を表示装置外に取り出す場合、充填材も透光性を有する必要がある。充填材は、例えば可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。充填材は、液状の状態で滴下し、表示装置内に充填することもできる。充填材として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いる、または充填材中に吸湿物質を添加すると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防ぐことができる。
【0187】
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。
【0188】
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法により形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順に素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板(λ/4、λ/2)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
【0189】
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
【0190】
また、本発明の表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0191】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0192】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0193】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0194】
本実施の形態は、上記の実施の形態1、及び実施の形態2と適宜組み合わせることができる。
【0195】
(実施の形態5)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に発光素子を用いる発光表示装置について説明する。本実施の形態では、本発明の表示装置の表示素子として適用することのできる発光素子の構成を、図16を用いて説明する。
【0196】
図16は発光素子の素子構造であり、第1の電極層870と第2の電極層850との間に、EL層860が挟持されている発光素子である。EL層860は、図示した通り、第1の層804、第2の層803、第3の層802から構成されている。図16において第2の層803は発光層であり、第1の層804及び第3の層802は機能層である。
【0197】
第1の層804は、第2の層803に正孔(ホール)を輸送する機能を担う層である。図16では第1の層804に含まれる正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層804を形成することができる。
【0198】
また、正孔注入層として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
【0199】
また、正孔注入層として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、電極層とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず電極層を形成する材料を選ぶことができる。
【0200】
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0201】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0202】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0203】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0204】
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0205】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0206】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0207】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0208】
図16では第1の層804に含まれる正孔輸送層を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
【0209】
第3の層802は、第2の層803に電子を輸送、注入する機能を担う層である。図16では第3の層802に含まれる電子輸送層について説明する。電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0210】
図16では第3の層802に含まれる電子注入層について説明する。電子注入層は、電子注入性の高い物質を用いることができる。電子注入層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、電極層からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0211】
次に、発光層である第2の層803について説明する。発光層は発光機能を担う層であり、発光性の有機化合物を含む。また、無機化合物を含む構成であってもよい。発光層は、種々の発光性の有機化合物、無機化合物を用いて形成することができる。ただし、発光層は、膜厚は10nm〜100nm程度が好ましい。
【0212】
発光層に用いられる有機化合物としては、発光性の有機化合物であれば特に限定されることはなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(ピコリナート)(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(ピコリナート)(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(pq)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(btp)2(acac))などの燐光を放出できる化合物用いることもできる。
【0213】
発光層を一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
【0214】
また、発光層においては、上述した発光を示す有機化合物だけでなく、さらに他の有機化合物が添加されていてもよい。添加できる有機化合物としては、例えば、先に述べたTDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、TCTA、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、BPhen、BCP、PBD、OXD−7、TPBI、TAZ、p−EtTAZ、DNA、t−BuDNA、DPVBiなどの他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。なお、このように有機化合物以外に添加する有機化合物は、有機化合物を効率良く発光させるため、有機化合物の励起エネルギーよりも大きい励起エネルギーを有し、かつ有機化合物よりも多く添加されていることが好ましい(それにより、有機化合物の濃度消光を防ぐことができる)。あるいはまた、他の機能として、有機化合物と共に発光を示してもよい(それにより、白色発光なども可能となる)。
【0215】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素領域の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素領域(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0216】
発光層で用いることのできる材料は低分子系有機発光材料でも高分子系有機発光材料でもよい。高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。
【0217】
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
【0218】
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン)[PPV]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)[RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
【0219】
発光層で用いられる無機化合物としては、有機化合物の発光を消光しにくい無機化合物であれば何であってもよく、種々の金属酸化物や金属窒化物を用いることができる。特に、周期表第13族または第14族の金属酸化物は、第2の有機化合物の発光を消光しにくいため好ましく、具体的には酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムが好適である。ただし、これらに限定されることはない。
【0220】
なお、発光層は、上述した有機化合物と無機化合物の組み合わせを適用した層を、複数積層して形成していてもよい。また、他の有機化合物あるいは他の無機化合物をさらに含んでいてもよい。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、電子注入用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
【0221】
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
【0222】
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
【0223】
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば封止基板に形成し、素子基板へ張り合わせればよい。
【0224】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0225】
第1の電極層870及び第2の電極層850は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極層870及び第2の電極層850は、画素構成によりいずれも陽極(電位が高い電極層)、又は陰極(電位が低い電極層)となりうる。駆動用薄膜トランジスタの極性がpチャネル型である場合、図16(A)のように第1の電極層870を陽極、第2の電極層850を陰極とするとよい。また、駆動用薄膜トランジスタの極性がnチャネル型である場合、図16(B)のように、第1の電極層870を陰極、第2の電極層850を陽極とすると好ましい。第1の電極層870および第2の電極層850に用いることのできる材料について述べる。第1の電極層870、第2の電極層850が陽極として機能する場合は仕事関数の大きい材料(具体的には4.5eV以上の材料)が好ましく、第1の電極層870、第2の電極層850が陰極として機能する場合は仕事関数の小さい材料(具体的には3.5eV以下の材料)が好ましい。しかしながら、第1の層804の正孔注入、正孔輸送特性や、第3の層802の電子注入性、電子輸送特性が優れているため、第1の電極層870、第2の電極層850共に、ほとんど仕事関数の制限を受けることなく、種々の材料を用いることができる。
【0226】
図16(A)、(B)における発光素子は、第1の電極層870より光を取り出す構造のため、第2の電極層850は、必ずしも光透光性を有する必要はない。第2の電極層850としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)またはモリブデン(Mo)から選ばれた元素、または窒化チタン、TiSiXNY、WSiX、窒化タングステン、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
【0227】
また、第2の電極層850に第1の電極層870で用いる材料のような透光性を有する導電性材料を用いると、第2の電極層850からも光を取り出す構造となり、発光素子から放射される光は、第1の電極層870と第2の電極層850との両方より放射される両面放射構造とすることができる。
【0228】
なお、第1の電極層870や第2の電極層850の種類を変えることで、本発明の発光素子は様々なバリエーションを有する。
【0229】
図16(B)は、EL層860が、第1の電極層870側から第3の層802、第2の層803、第1の層804の順で構成されているケースである。
【0230】
図16(C)は、図16(A)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。同様に図16(D)は、図16(B)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。
【0231】
なお、EL層860に有機化合物と無機化合物が混合させて設ける場合、その形成方法としては種々の手法を用いることができる。例えば、有機化合物と無機化合物の両方を抵抗加熱により蒸発させ、共蒸着する手法が挙げられる。その他、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させる一方で、無機化合物をエレクトロンビーム(EB)により蒸発させ、共蒸着してもよい。また、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させると同時に、無機化合物をスパッタリングし、両方を同時に堆積する手法も挙げられる。その他、湿式法により成膜してもよい。
【0232】
本実施の形態は、上記の発光素子を有する表示装置についての他の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【0233】
(実施の形態6)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に発光素子を用いる発光表示装置について説明する。本実施の形態では、本発明の表示装置の表示素子として適用することのできる発光素子の構成を、図14及び図15を用いて説明する。
【0234】
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0235】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた電界発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる電界発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0236】
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。
【0237】
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0238】
局在型発光の発光中心として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。ハロゲン元素は電荷補償として機能することもできる。
【0239】
一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0240】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10atom%であればよく、好ましくは0.05〜5atom%の範囲である。
【0241】
薄膜型無機ELの場合、電界発光層は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
【0242】
図14(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる薄膜型無機EL素子の一例を示す。図14(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層50、電界発光層52、第2の電極層53を含む。
【0243】
図14(B)及び図14(C)に示す発光素子は、図14(A)の発光素子において、電極層と電界発光層間に絶縁層を設ける構造である。図14(B)に示す発光素子は、第1の電極層50と電界発光層52との間に絶縁層54を有し、図14(C)に示す発光素子は、第1の電極層50と電界発光層52との間に絶縁層54a、第2の電極層53と電界発光層52との間に絶縁層54bとを有している。このように絶縁層は電界発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0244】
また、図14(B)では第1の電極層50に接するように絶縁層54が設けられているが、絶縁層と電界発光層の順番を逆にして、第2の電極層53に接するように絶縁層54を設けてもよい。
【0245】
分散型無機EL素子の場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の電界発光層を形成する。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、電界発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって電界発光層中に均一に分散し固定される。
【0246】
分散型無機EL素子の場合、電界発光層の形成方法は、選択的に電界発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む電界発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
【0247】
図15(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる分散型無機EL素子の一例を示す。図15(A)における発光素子は、第1の電極層60、電界発光層62、第2の電極層63の積層構造を有し、電界発光層62中にバインダによって保持された発光材料61を含む。
【0248】
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができ、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
【0249】
バインダに含まれる無機材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、その他の無機材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる電界発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。バインダに無機材料と有機材料との混合層を用い、高い誘電率とすると、発光材料により大きい電荷を誘起することができる。
【0250】
図15(B)及び図15(C)に示す発光素子は、図15(A)の発光素子において、電極層と電界発光層間に絶縁層を設ける構造である。図15(B)に示す発光素子は、第1の電極層60と電界発光層62との間に絶縁層64を有し、図15(C)に示す発光素子は、第1の電極層60と電界発光層62との間に絶縁層64a、第2の電極層63と電界発光層62との間に絶縁層64bとを有している。このように絶縁層は電界発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0251】
また、図15(B)では第1の電極層60に接するように絶縁層64が設けられているが、絶縁層と電界発光層の順番を逆にして、第2の電極層63に接するように絶縁層64を設けてもよい。
【0252】
図14における絶縁層54、図15における絶縁層64のような絶縁層は、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。バインダ材料は、電界発光層に含まれるバインダと同様な材料、方法を用いて形成すればよい。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0253】
本実施の形態で示す発光素子は、電界発光層を挟持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0254】
本実施の形態は、上記の実施の形態1、2、4と適宜組み合わせることができる。
【0255】
(実施の形態7)
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)を完成させることができる。図19はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。
【0256】
図17(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0257】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素部2701の画素それぞれには、スイッチング素子とそれに接続する表示素子に用いる電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
【0258】
図17(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図18(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図18(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図18において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed Circuit)2750と接続している。図18において、保護回路2713が基板2700上に形成されている。
【0259】
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図17(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図17(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図17(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図17(C)に示すように、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0260】
表示パネルには、図17(A)で示すような構成として、図19において、画素部901のみが形成されて走査線側駆動回路903と信号線側駆動回路902とが、図18(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図18(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図17(B)に示すようにTFTを形成し、画素部901と走査線側駆動回路903を基板上に形成し信号線側駆動回路902を別途ドライバICとして実装する場合、また図17(C)で示すように画素部901と信号線側駆動回路902と走査線側駆動回路903を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0261】
図19において、その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などからなっている。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0262】
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカー913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
【0263】
これらの表示モジュールを、図6(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとして液晶表示モジュールを用いれば液晶テレビジョン装置、ELモジュールを用いればELテレビジョン装置を作製することができる。図6(A)において、表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0264】
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0265】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003及びサブ画面2008を本発明の液晶表示用パネルで形成することができ、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0266】
図6(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図6(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。本発明における表示素子に用いる電極層は湿式法により形成することができるため、図6(A)(B)のような大型な表示部を有するテレビジョン装置であっても低コストで生産性よく作製することができる。
【0267】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0268】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至6と適宜組み合わせることができる。
【0269】
(実施の形態8)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。また、パチンコ機、スロットマシン、ピンボール機、大型ゲーム機など表示装置を有するあらゆる遊技機に適用することができる。その具体例について、図12を参照して説明する。
【0270】
図12(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯情報端末機器を提供することができる。
【0271】
図12(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性なデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0272】
図12(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯電話機を提供することができる。
【0273】
図12(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の表示装置を適用することができる。
【0274】
図12(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0275】
図12(F)に示すスロットマシンは、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性なスロットマシンを提供することができる。
【0276】
また、本発明において自発光型の発光素子を表示素子として用いた表示装置(発光表示装置)は、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した表示装置は、小型の電気スタンドや室内の大型な照明装置として用いることもできる。さらに、本発明の発光表示装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることもできる。本発明の発光表示装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、液晶表示装置の高信頼性化を達成することができる。また、本発明の発光表示装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光表示装置は薄型であるため、液晶表示装置の薄型化も可能となる。
【0277】
このように、本発明の表示装置により、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な電子機器を提供することができる。
【0278】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至7と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0279】
本実施例では、撥液処理による有機化合物層を含む層表面の撥液性の変化を評価した結果を示す。評価は純水接触角測定によって行った。
【0280】
有機化合物としてポリイミドとアクリル樹脂を用い、ポリイミド膜及びアクリル樹脂膜をそれぞれ形成した。ポリイミド膜はスピンコート法により塗布した後、90℃2分間の乾燥、200℃30分の焼成を行って形成し、アクリル樹脂膜はスピンコート法により塗布した後、90℃2分間の乾燥を行って成膜した。
【0281】
成膜後のポリイミド膜及びアクリル樹脂膜に、酸素雰囲気下での紫外線照射を行い、FAS膜を成膜し(成膜条件は気相法で温度120℃、30分、窒素雰囲気下)、ハイドロフルオロエーテルに浸漬し、エタノールに浸漬した後、表面の純水接触角を測定した。接触角測定は、First Ten Ångstroms社製、FTÅ125動的接触角測定解析装置によって行った。酸素を含む雰囲気下での紫外線照射時間の条件を3分間、5分間、10分間、20分間とし、各条件でそれぞれ3点ずつ行った。なお、本実施例では、酸素を含む雰囲気としてオゾン雰囲気下で紫外線照射を行った。撥液処理を行ったポリイミド膜及びアクリル樹脂膜の紫外線照射時間と接触角の関係を図20に示す。
【0282】
図20において、ポリイミド膜表面における接触角がばつ印のドット、アクリル樹脂膜表面における接触角が四角形印のドットで示している。酸素を含む雰囲気下での紫外線照射を行わない、紫外線照射時間0分ではポリイミド膜とアクリル樹脂膜表面の接触角はほぼ同じであるが、紫外線照射時間を3分間、5分間、10分間、20分間とすると、アクリル樹脂膜は紫外線照射により接触角が大きくなり撥液化しているが、一方、ポリイミド膜は紫外線照射により接触角が小さくなり親液化している。結果、紫外線照射工程を含む撥液処理によってアクリル樹脂膜とポリイミド膜表面の接触角には40度程度の差が生じることがわかる。
【0283】
この結果より以下のように考察できる。酸素を含む雰囲気下における紫外線照射により、表面に酸化層が形成される。主鎖にC−N結合及びC−O結合を有するポリイミドにおいては、紫外線照射によりC−N結合や、C−O結合において結合が分断して分子量100〜10000程度の低分子の酸化層となる。フッ化炭素層はポリイミド膜表面の低分子の酸化層上に形成される。低分子の酸化層のために、有機溶剤による洗浄工程においてフッ化炭素層ごと除去されてしまい、結果ポリイミド膜表面のフッ素密度は低くなり親液化してしまう。アクリル樹脂膜表面には有機溶剤による洗浄工程において溶解する酸化層が少ないために、フッ素密度は高くなり、より撥液化することができる。従って、本実施例の撥液処理により、アクリル樹脂膜とポリイミド膜の撥液性に差を生じさせることができる。
【0284】
本実施例の結果より、本発明の撥液処理を行うことによって、アクリル樹脂は、主鎖にC−N結合及びC−O結合を有するポリイミドと比較し、より高い撥液性を示すことがわかった。このように本発明の撥液処理を行うことによって、有機化合物を含む層を用いて撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【実施例2】
【0285】
本実施例では、有機化合物を含む層に撥液処理を行う各工程における、有機化合物を含む層の表面状態の評価を行った結果を示す。評価はX線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて測定し行った。
【0286】
有機化合物としてポリイミド(試料A1乃至A4)とアクリル樹脂(試料B1乃至B4)を用いた。作製条件は条件1乃4とし、それぞれの工程後XPS分析法により表面における元素の定量分析を行った。なお、分析深さは5nm程度であった。条件1(A1、B1)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜した後の試料表面状態である。条件2(A2、B2)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜した後、酸素を含む雰囲気下で紫外線を10分照射した後の試料表面状態である。条件3(A3、B3)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜し、酸素を含む雰囲気下で紫外線を10分照射し、FAS膜を成膜し(成膜条件は気相法で温度120℃、30分、窒素雰囲気下)、ハイドロフルオロエーテルに浸漬し、エタノールに浸漬した後の試料表面状態である。条件4(A4、B4)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜し、酸素を含む雰囲気下で紫外線を10分照射し、エタノールに浸漬した後の試料表面状態である。本実施例では、酸素を含む雰囲気下としてオゾン雰囲気下で紫外線照射を行った。試料(試料A1乃至A4、試料B1乃至B4)の表面における元素の定量分析の結果を表1に示す。
【0287】
【表1】
【0288】
表1より以下のことがわかる。A1及びB1と、A2及びB2とを比較すると、ポリイミド(A2)、アクリル樹脂(B2)ともに酸素を含む雰囲気下での紫外線照射により酸素量が増加しており表面が酸化され、酸化層が形成されている。A2及びB2と、A4及びB4とを比較すると、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射後のエタノール洗浄により、ポリイミド(A4)の酸化層は溶解し、アクリル樹脂(B4)の酸化層は溶解しない。A1及びB1と、A3及びB3とを比較すると、フッ素量から、ポリイミド(B3)へのFAS吸着量と比較して、アクリル樹脂(A3)へのFAS吸着量が多い。
【0289】
以上の結果より、以下のように考察できる。アクリル樹脂、ポリイミドともに酸素を含む雰囲気下での紫外線照射により表面が酸化され、酸化層上にフッ化炭素を含むFASが吸着する。ただしポリイミドにおいては、酸化層がエタノール洗浄により溶解するため、酸化層上に形成されたFASは除去される。
【0290】
従って、アクリル樹脂は表面に多くの撥液性を示すフッ化炭素を含むFASが残存するために、主鎖にC−N結合及びC−O結合を有するポリイミドと比較し、より高い撥液性を示すことがわかった。
【0291】
このように、本発明の撥液処理を行うことによって、有機化合物を含む層を用いて撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0292】
【図1】本発明の表示装置における機能層を示した断面図である。
【図2】本発明の表示装置における機能層を示した断面図である。
【図3】本発明の表示装置における機能層の作製方法を示した図である。
【図4】本発明の表示装置を示した断面図である。
【図5】本発明の表示装置を示した平面図及び断面図である。
【図6】本発明の電子機器を示した図である。
【図7】本発明の表示装置の作製工程において適用できる液滴吐出装置を示した図である。
【図8】本発明の表示装置を示した平面図及び断面図である。
【図9】本発明の表示装置を示した平面図及び断面図である。
【図10】本発明の表示装置を示した断面図である。
【図11】本発明の表示装置を示した断面図である。
【図12】本発明の電子機器を示した図である。
【図13】本発明の表示モジュールを示した断面図である。
【図14】本発明に適用できる発光素子の構成を示した断面図である。
【図15】本発明に適用できる発光素子の構成を示した断面図である。
【図16】本発明に適用できる発光素子の構成を示した断面図である。
【図17】本発明の表示装置を示した平面図である。
【図18】本発明の表示装置を示した平面図である。
【図19】本発明が適用される電子機器の主要な構成を示すブロック図である。
【図20】実施例1における接触角測定結果を示すグラフ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子を有する表示装置及び表示装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられるカラーフィルタなどの機能層をインクジェット法によって形成する際に、薄膜を高繊細な微細パターンとするために、薄膜の被形成領域において、薄膜材料液に対して改質処理した撥液領域及び親液領域を利用することが行われている。
【0003】
例えば、薄膜の仕切部材であるバンクを無機材料からなるバンクと有機材料からなるバンクの積層とし、フッ素系ガスを用いたプラズマ処理により有機材料からなるバンク表面のみを撥液化することによって、薄膜材料液に対する撥液領域及び親液領域を形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−353594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような方法で撥液処理を行うためには大型で高価な真空装置が必要となる。また、無機材料からなるバンクを用いて親液領域を形成する場合、形成する薄膜の膜厚に合わせて、バンクを形成するための無機膜を成膜しなければならない。しかしカラーフィルタのように数μmの膜厚の薄膜を形成する場合、無機膜の成膜及びエッチング工程に長い時間を要してしまい、実用的でないという問題があった。
【0005】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に改質領域を形成し、所望の形状の親液領域及び撥液領域を形成し、様々な機能性を有する薄膜を形成することを目的の一とする。
【0006】
また、より画質及び信頼性の高い表示装置、また大画面を有する大型な表示装置であっても、低コストで生産性よく提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
表示装置に用いられる、着色層や画素電極層などの様々な特定の機能を有する薄膜(機能層という)を、液状の機能層形成材料を含む組成物を用いて湿式法で形成する。液状の機能層形成材料を含む組成物は流動性を有するため、被形成領域を囲むように設けられた隔壁(バンクともいう)内に充填されるように吐出され、乾燥や焼成によって固化されて機能層として形成される。
【0008】
機能層形成材料を含む組成物を吐出する領域は、開口の底面領域と開口を囲む隔壁領域とを含み、隔壁領域の方が開口の底面領域より機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性を高まるように撥液処理を行う。この撥液処理は機能層形成材料が隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されることなく、開口内の所望の領域に機能層が形成できるようにするために行う。
【0009】
本発明では、開口の底面と開口を囲む隔壁を、少なくとも機能層形成材料に対して撥液性の強度(高さ低さ)を異ならせることができる2種類の有機物化合物を含む層によって形成する。機能層形成材料に対する撥液性の制御は、有機化合物層表面に付着する、液状の機能層形成材料に対して撥液性を示すフッ素密度を制御することによって行うことができる。
【0010】
フッ素密度は、フッ化炭素層形成後の酸化層の有機溶剤に対する溶解性により制御することができる。酸化層の溶解性が高いほど酸化層はフッ化炭素層ごと除去されやすくなり、酸化層が薄膜化するとともにフッ素密度も低下する。
【0011】
本発明の撥液処理では、有機化合物を含む層に対し、酸化雰囲気下における紫外線照射工程、フッ化炭素層形成工程、有機溶剤による洗浄工程を行う。
【0012】
有機化合物を含む層に撥液性を示すフッ素を含むフッ化炭素層を形成する際、有機化合物を含む層表面を酸化して形成された酸化層上にフッ化炭素層を設ける。
【0013】
酸化層は、有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線照射を行い、有機化合物を含む層表面を酸化して形成する。主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物においては、紫外線照射によりC−N結合や、C−O結合において結合が分断し、分子量100〜10000程度の低分子の酸化層が形成され、フッ化炭素層は、有機化合物を含む層表面に形成された低分子の酸化層上に形成されることになる。
【0014】
主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物表面の酸化層は低分子のために、有機溶剤による洗浄工程においてフッ化炭素層ごと除去することが可能であり、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層表面のフッ素密度を低くし親液化することができる。
【0015】
従って、本発明の撥液処理のように、有機溶剤に対する有機化合物表面の酸化層の溶解性が異なる有機化合物を含む層を用いることで、撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【0016】
従って、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む第1の有機化合物を含む層を開口の底面に用い、第2の有機化合物を含む層を隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0017】
なお、本明細書において、2種類以上の領域を比較する場合、より低い撥液性を示す領域を、より高い撥液性を示す撥液領域に対して親液領域ともいう。本明細書において、開口とは開口の底面及び隔壁による側面を含む。
【0018】
酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射して形成される酸化層において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む第1の有機化合物を含む層表面の酸化層は、第2の有機化合物を含む層表面の酸化層より、有機溶剤に対する溶解性が高い。
【0019】
また、撥液処理後の酸化層の膜厚において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を有する第1の有機化合物を含む層表面に設けられる酸化層の膜厚は、第2の有機化合物を含む層表面に設けられる酸化層の膜厚より薄い。
【0020】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0021】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0022】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0023】
本発明の表示装置の一形態は、第1の有機化合物を含む層と、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、開口に機能層とを有する。機能層と第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0024】
本発明の表示装置の一形態は、第1の有機化合物を含む層と、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、開口に機能層とを有する。機能層と第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。フッ化炭素層において、第1の有機化合物層上に設けられた領域のフッ素密度は第2の有機化合物を含む層上に設けられた領域より低い。
【0025】
本発明の表示装置の一形態は、上記構成において、第1の有機化合物を含む層及びフッ化炭素層の間に第1の酸化層と、第2の有機化合物を含む層及びフッ化炭素層の間に第2の酸化層とを有する。
【0026】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射する。紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成する。第1の有機化合物を含む層上のフッ化炭素層を有機溶剤により除去する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0027】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成する。酸化層上にフッ化炭素層を形成する。第1の有機化合物を含む層上の酸化層及びフッ化炭素層を有機溶剤により除去する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0028】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射する。紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成する。フッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、開口において第2の有機化合物を含む層表面を第1の有機化合物を含む層表面より撥液化する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0029】
本発明の表示装置の作製方法の一形態は、第1の有機化合物を含む層を形成し、第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成する。第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成する。酸化層上にフッ化炭素層を形成する。酸化層及びフッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、開口において第2の有機化合物を含む層表面を第1の有機化合物を含む層表面より撥液化する。開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成する。第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含む。
【0030】
上記有機溶剤としては、アルコールなどを用いることができる。
【0031】
上記のように機能層形成材料は溶媒に溶解させ液状の組成物として、湿式法によって機能性を有する薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。本明細書において、固化させるとは、流動性を失わせ一定の形状を保つ状態とすることをいう。
【0032】
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明における液状の組成物を用いることができる。
【0033】
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応できるので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
【0034】
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、被形成領域に対する被覆性もよい。
【0035】
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
【発明の効果】
【0036】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する薄膜を制御性よく形成することができる。
【0037】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置における機能層の一例について説明する。
【0040】
図1及び図2に、本発明を用いた機能層の例を示す。図1(A)は有機化合物(第1の有機化合物)を含む層301及び有機化合物(第2の有機化合物)を含む層302a、302bに形成された開口に、有機化合物を含む層302a、302b表面に形成された酸化層303a、303bを間に介して開口を充填するように、機能層304が形成されている例である。開口底面の有機化合物を含む層301は、酸化処理より表面に形成された酸化層が有機溶剤によるエッチングによって除去されているため、膜厚が薄い領域となっており凹部が形成されている。以下、図3を用いて作製方法を説明する。
【0041】
本実施の形態では、表示装置に用いられる、着色層や画素電極層などの様々な特定の機能層を、液状の機能層形成材料を含む組成物を用いて湿式法で形成する。液状の機能層形成材料を含む組成物は流動性を有するため、被形成領域を囲むように設けられた隔壁(バンクともいう)内に充填されるように吐出され、乾燥や焼成によって固化されて機能層として形成される。
【0042】
機能層形成材料を含む組成物を吐出する領域は、開口の底面領域と開口を囲む隔壁領域とを含み、隔壁領域の方が開口の底面領域より機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性が高まるように撥液処理を行う。この撥液処理は機能層形成材料が隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されることなく、開口内の所望の領域に機能層が形成できるようにするために行う。
【0043】
本発明の本実施の形態では、開口の底面と開口を囲む隔壁を、少なくとも機能層形成材料に対して撥液性の強度(高さ低さ)を異ならせることができる2種類の有機物化合物を含む層によって形成する。機能層形成材料に対する撥液性の制御は、有機化合物層表面に付着する、液状の機能層形成材料に対して撥液性を示すフッ素密度を制御することによって行うことができる。
【0044】
フッ素密度は、フッ化炭素層形成後の酸化層の有機溶剤に対する溶解性により制御することができる。酸化層の溶解性が高いほど酸化層はフッ化炭素層ごと除去されやすくなり、酸化層が薄膜化するとともにフッ素密度も低下する。
【0045】
本実施の形態では、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層301を形成し、有機化合物を含む層301上に、開口を有する有機化合物を含む層302a、302bを形成する(図3(A)参照。)。開口は有機化合物を含む層301に達しており、開口の底面には有機化合物を含む層301が露出する。開口に露出する有機化合物を含む層301及び有機化合物を含む層302a、302b表面に酸化層343、303a、303bをそれぞれ形成し、酸化層343、303a、303b上にフッ化炭素層347、307a、307bを形成する(図3(B)参照。)。
【0046】
本発明における本実施の形態の撥液処理では、有機化合物を含む層に対し、酸化雰囲気下における紫外線照射工程、フッ化炭素層形成工程、有機溶剤による洗浄工程を行う。
【0047】
有機化合物を含む層に撥液性を示すフッ素を含むフッ化炭素層を形成する際、有機化合物を含む層表面を酸化して形成された酸化層上にフッ化炭素層を設ける。
【0048】
酸化層は、有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線照射を行い、有機化合物を含む層表面を酸化して形成する。主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物においては、紫外線照射によりC−N結合や、C−O結合において結合が分断し、分子量100〜10000程度の低分子の酸化層が形成され、フッ化炭素層は、有機化合物を含む層表面に形成された低分子の酸化層上に形成されることになる。
【0049】
主鎖に炭素―窒素(C−N)結合又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物表面の酸化層は低分子のために、有機溶剤による洗浄工程においてフッ化炭素層ごと除去することが可能であり、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層表面のフッ素密度を低くし親液化することができる。
【0050】
有機化合物を含む層301表面に形成された酸化層343、303a、303b及びフッ化炭素層347、307a、307bを有機溶剤によって選択的に除去する。本実施の形態では、有機溶剤としてアルコールを用いて洗浄する。酸化層343、303a、303b及びフッ化炭素層347、307a、307bは、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層301上ほど除去されやすいので、有機化合物を含む層301表面の酸化層343及びフッ化炭素層347をより多く選択的に除去することができる。
【0051】
従って、開口底面の有機化合物を含む層301表面は酸化層343及び酸化層上に形成されていたフッ化炭素層347がエッチングによって除去され、ざぐれたように凹部が形成される(図3(C)参照。)。図3(C)においては、模式図的に酸化層343全てが除去される図を示したが、酸化層343は必ずしも全てが除去されなくてもよく、酸化層343表面に形成されたフッ化炭素層中のフッ素密度が低減されるようにエッチングされればよい。よって、エッチング後に残存する酸化層343は、酸化層303a、303bと比較して膜厚が薄くなりうる。
【0052】
よって、フッ化炭素層中に含まれるフッ化炭素の密度を比較すると、有機化合物を含む層301表面より、有機化合物を含む層302a、302b表面の方がフッ化炭素の密度が高くなり、有機化合物を含む層302a、302b表面を撥液領域(高撥液領域)、有機化合物を含む層301表面をより親液領域(低撥液領域)とすることができる。
【0053】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を液滴吐出装置308より吐出すると、開口底面の親液領域に組成物309は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない(図3(D)参照。)。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層304を形成することができる(図3(E)参照。)。
【0054】
このように、本発明の撥液処理のように、有機溶剤に対する有機化合物表面の酸化層の溶解性が異なる有機化合物を含む層を用いることで、撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【0055】
従って、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層301を開口の底面に用い、有機化合物を含む層302a、302bを隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0056】
酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射して形成される酸化層において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層301表面の酸化層343は、有機化合物を含む層302a、302b表面の酸化層303a、303bより、有機溶剤に対する溶解性が高い。
【0057】
また、撥液処理後の酸化層の膜厚において、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を有する有機化合物を含む層301表面に設けられる酸化層の膜厚は、有機化合物を含む層302a、302b表面に設けられる酸化層の膜厚より薄い。
【0058】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0059】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0060】
機能層の形状は、撥液性の強度や、機能層形成材料を含む組成物の粘度や固化条件、吐出量などによって様々に制御することができる。機能層の形状の例を図1(A)乃至(D)で説明する。図1(A)は、開口の隔壁である有機化合物を含む層302a、302bの高さと同程度に機能層304が充填する様に形成される例であるが、図1(B)のように隔壁である有機化合物を含む層302a、302bの高さより低く充填するような機能層305であってもよく、一部が開口より隔壁である有機化合物を含む層302a、302b上にかかるような図1(C)の機能層306のような形状でもよい。また、図1(D)に示す様に凸部を有する形状に機能層310を形成してもよい。
【0061】
また、開口の隔壁となる有機化合物を含む層を積層構造としてもよく、第1の有機化合物を含む層に選択的に凹部を形成し、その凹部に機能層を充填するように形成してもよい。図2(A)は、有機化合物を含む層311上に、隔壁となる端部が連続的な開口を有する有機化合物を含む層317a、317b、312a、312bを形成し、有機化合物を含む層311及び有機化合物を含む層317a、317bで形成される開口に機能層314を形成する例である。有機化合物を含む層311及び有機化合物を含む層317a、317bは同材料を用いており、有機化合物を含む層312a、312bより撥液性が弱いため、機能層は撥液性の高い酸化層313a、313b表面には形成されにくい。図2(B)は、有機化合物を含む層327a、327b及び有機化合物を含む層322a、322bの端部が不連続な例である。機能層324は撥液性の高い酸化層323a、323b表面には形成されにくい。図2(A)(B)のように機能層を形成すると、機能層の膜厚の制御をより確かに行うことができる。図2(C)は、有機化合物を含む層331に選択的に凹部を形成し、その凹部に機能層334を充填する例である。撥液性の高い有機化合物を含む層332a、332b、及び酸化層333a、333b表面には機能層は形成されにくく、有機化合物を含む層331の凹部に制御性よく形成することができる。
【0062】
有機化合物を含む層301、311、317a、317b、321、327a、327b、331としては、主鎖にC−N結合、又はC−O結合を含む有機化合物を用いることができ、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、芳香族ポリアミドなどを用いることができる。
【0063】
有機化合物を含む層302a、302b、312a、312b、322a、322b、332a、332bとしては、有機化合物を用いることができ、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などを用いることができる。
【0064】
撥液性、親液性が異なるとは、ぬれ性が異なることであり、このぬれ性の違いは両領域の相対的な関係であるので、開口の底面と隔壁において、機能層形成材料を含む組成物に対するぬれ性の程度に差を有していればよい。また、ぬれ性の異なる領域とは、機能層形成材料を含む組成物の接触角が異なることであり、機能層形成材料を含む組成物の接触角が大きい領域はよりぬれ性が低い(撥液性が高く親液性が低い領域)となり、接触角が小さい領域はぬれ性の高い領域(撥液性が低く親液性が高い領域)となる。接触角が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、組成物をはじくので、表面をぬらさないが、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は広がり、よく表面をぬらすからである。よって、ぬれ性が異なる領域は、表面エネルギーも異なる。ぬれ性が低い領域における表面の、表面エネルギーは小さく、ぬれ性の高い領域表面における表面エネルギーは大きい。
【0065】
フッ化炭素層は、加水分解基を有する有機シランを用いて形成することができる。加水分解基を有する有機シランは、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)、又はR3−Si−NR−Si−R3の化学式で表される。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
【0066】
また、加水分解基を有する有機シランの代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系加水分解基を有する有機シラン(フルオロアルキルシラン((以下、FASともいう。))を用いることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシランが挙げられる。
【0067】
加水分解基を有する有機シランの溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いることができる。
【0068】
なお、上記材料を用いてフッ化炭素層を形成する場合、上記材料を気相法により酸化層表面に化学吸着させて形成するとよい。化学吸着させることで、単分子層を形成することができる。また、上記材料を、液滴吐出法、塗布法等を用いて形成してもよい。
【0069】
単分子層の形成方法としては、有機シランを有する密閉容器内に基板を設置することで酸化層表面に有機シランを化学吸着させた後、アルコールで洗浄することで単分子膜となり、単分子層のフッ化炭素層を形成することが可能である。また、有機シランを有する溶液中に、基板を浸漬することで、酸化層表面に有機シランが化学吸着して単分子膜となり、単分子層のフッ化炭素層を形成することが可能である。
【0070】
加水分解基を有する有機シラン膜は、その形成条件によっては膜厚が極薄であり、膜として形態を保っていなくてもよい。
【0071】
撥液処理として形成した加水分解基を有する有機シランは残してもよいし、機能層形成後に、不必要な部分は除去してしまってもよい。除去は、機能層をマスクとして用いることができ、酸素等によるアッシング、エッチング、プラズマ処理などにより除去すればよい。
【0072】
上記のように機能層形成材料は溶媒に溶解させ液状の組成物として、湿式法によって機能性を有する薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。また、固化処理として、機能層形成材料中に光硬化性樹脂が含まれる場合は、光照射を行えばよく、熱硬化性樹脂が含まれる場合は加熱処理を行えばよい。
【0073】
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明における液状の組成物を用いることができる。
【0074】
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応できるので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
【0075】
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、被形成領域に対する被覆性もよい。
【0076】
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
【0077】
湿式法の例として、液滴吐出手段を図7を用いて説明する。液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。
【0078】
液滴吐出法に用いる液滴吐出装置の一態様を図7に示す。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することができる。描画する位置は、例えば、撮像手段1404、画像処理手段1409、コンピュータ1410を用いて基板1400上に形成されたマーカー1411を認識し、基準点を確定して決定すればよい。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。
【0079】
撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化物半導体(CMOS)を利用したイメージセンサなどを用いることができる。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
【0080】
ヘッド1405内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサイズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで、複数種の材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、広領域に描画する場合は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。被処理物として、特に大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412と被処理物を有するステージとを、矢印の方向に相対的に走査し、描画する領域を自由に設定し、例えば同じパターンを一枚の基板に複数描画することもできる。
【0081】
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。吐出時に基板を加熱しておいてもよい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は80〜100度(℃)で3分間、焼成は200〜550度(℃)で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミング、加熱処理の回数は特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うための温度及び時間などの条件は、基板の材質及び組成物の性質に依存する。
【0082】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどがある。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
【0083】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0084】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0085】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0086】
本発明は表示機能を有する装置である表示装置に用いることができ、本発明を用いる表示装置には、エレクトロルミネセンス(以下「EL」ともいう。)と呼ばれる発光を発現する有機物、無機物、若しくは有機物と無機物の混合物を含む層を、電極間に介在させた発光素子とTFTとが接続された発光表示装置や、液晶材料を有する液晶素子を表示素子として用いる液晶表示装置などがある。本発明において、表示装置とは、表示素子(液晶素子や発光素子など)を有する装置のことを言う。なお、基板上に液晶素子やEL素子などの表示素子を含む複数の画素やそれらの画素を駆動させる周辺駆動回路が形成された表示パネル本体のことでもよい。さらに、フレキシブルプリントサーキット(FPC)やプリント配線基盤(PWB)が取り付けられたもの(ICや抵抗素子や容量素子やインダクタやトランジスタなど)も含んでもよい。さらに、偏光板や位相差板などの光学シートを含んでいても良い。さらに、バックライト(導光板やプリズムシートや拡散シートや反射シートや光源(LEDや冷陰極管など)を含んでいても良い)を含んでいても良い。
【0087】
なお、表示素子や表示装置は、様々な形態を用い、様々な素子を有することができる。例えば、EL素子(有機EL素子、無機EL素子又は有機物及び無機物を含むEL素子)、液晶素子、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体を適用することができる。なお、EL素子を用いた表示装置としてはELディスプレイ、液晶素子を用いた表示装置としては液晶ディスプレイ、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、電子インクを用いた表示装置としては電子ペーパーがある。
【0088】
(実施の形態2)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。より具体的には、表示装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
【0089】
図4(A)(B)は、本発明を適用したパッシブマトリクス型の液晶表示装置を示し、図4(A)は反射型液晶表示装置であり、図4(B)は透過型液晶表示装置である。図4(A)(B)において、画素電極層ともいわれる表示素子1713に用いる電極層1701a、1701b、1701c、配向膜として機能する絶縁層1712、カラーフィルタとして機能する着色層1706a、1706b、1706c、有機化合物を含む層1720、有機化合物を含む層1723、偏光板1714(1714a、1714b)が設けられた基板1700と、配向膜として機能する絶縁層1704、対向電極層ともいわれる表示素子に用いる電極層1705が設けられた基板1710とが液晶層1703を挟持して対向している。
【0090】
有機化合物を含む層1723は透光性であるが、有機化合物を含む層1720は遮光層としても機能するため、遮光性を有する。
【0091】
本実施の形態の表示装置は、機能層である電極層1701a、1701b、1701c、及び着色層1706a、1706b、1706cを、有機化合物を含む層1720及び有機化合物を含む層1723によって形成された開口に各機能層形成材料を含む組成物を吐出することによって形成する。
【0092】
開口において、有機化合物を含む層1720は隔壁であり、有機化合物を含む層1723は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層1720を、有機化合物を含む層1723より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層1723に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0093】
有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層1723を開口の底面に用い、有機化合物を含む層1720を隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0094】
有機化合物を含む層1723及び有機化合物を含む層1720により開口を形成し、開口に酸化処理及び紫外線照射処理を行う。本実施の形態では酸化処理は酸素を含む雰囲気下における紫外線照射によって行う。酸化処理により形成された有機化合物を含む層1720及び1723表面の酸化層に、フッ化炭素層を形成する。本実施の形態ではフッ化炭素層としてFAS膜を用いる。フッ化炭素層を有機溶剤であるアルコールで洗浄すると、溶解性の高い有機化合物を含む層1723表面の低分子の酸化層はフッ化炭素層ごと溶解してしまい、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1723表面の酸化層及びフッ化炭素層が選択的に除去される。従って、撥液性を示すフッ素密度がより高い有機化合物を含む層1720表面がより高撥液性となり、有機溶剤でフッ化炭素層が除去され、フッ素密度が低い有機化合物を含む層1723表面はより低撥液性(親液性)となる。
【0095】
よって液状の機能層形成材料を含む組成物に対して、底面は親液領域であり、隔壁は撥液領域である開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、撥液領域である隔壁を乗り越えて組成物が流出することなく、所定の領域に所望の形状で機能層を形成することができる。図4(A)の表示装置においては、有機化合物を含む層1723及び有機化合物を含む層1720により形成された開口に、機能層である着色層と電極層とを順に積層した構成である。まず、開口に着色層形成材料を含む組成物を吐出し、着色層1706a、1706b、1706cを形成し、着色層1706a、1706b、1706c上に導電性材料(導電層形成材料)を含む組成物を吐出し、電極層1701a、1701b、1701cを形成する。
【0096】
図4(B)の表示装置は、着色層と電極層とを同じ開口に直接積層せずに、それぞれ有機化合物を含む層によって形成された開口に形成する例である。着色層1706a、1706b、1706cは、図4(A)同様に、有機化合物を含む層1720及び主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1723によって形成された開口に形成される。着色層1706a、1706b、1706c、及び有機化合物を含む層1720上に、有機化合物を含む層1721を形成し、有機化合物を含む層1721上に開口を有する有機化合物を含む層1722を形成する。開口において有機化合物を含む層1721は底面であり、有機化合物を含む層1722は隔壁となるため、有機化合物を含む層1721として、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0097】
従って、フッ素密度の差により、隔壁の有機化合物を含む層1722がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層1721がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、電極層1701a、1701b、1701cを制御性よく形成することができる。
【0098】
図4(A)は反射型液晶表示装置であるため、電極層1705は反射性を有する必要がある。この場合、反射性を有する金属薄膜を用いるか、該金属薄膜と透光性を有する電極層との積層構造を用いてもよい。
【0099】
図4(B)は透過型液晶表示装置であるため、一対の電極層1701a、1701b、1701c、及び電極層1705は透光性を有する電極層を用い、偏光板1714a、1714bを用いる。
【0100】
図5(A)(B)に、本発明を適用したパッシブマトリクス型の発光素子を有する表示装置(発光表示装置ともいう)を示す。図5(A)は表示装置の平面図であり、図5(B)は、図5(A)における線A−Bの断面図である。
【0101】
表示装置は、基板769上に設けられた有機化合物を含む層760上に第1の方向に延びた表示素子に用いる電極層である第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761c、第1の電極層761a、第1の電極層761b及び第1の電極層761cを覆って設けられた電界発光層762a、762b、762cと、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた表示素子に用いる電極層である第2の電極層763a、第2の電極層763b、第2の電極層763cとを有している。第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761cと第2の電極層763a、第2の電極層763b、第2の電極層763cとの間に、隔壁として機能する有機化合物を含む層765によって分離されて電界発光層762a、762b、762cが設けられている。また、第2の電極層763a、第2の電極層763b、第2の電極層763cを覆うように、保護膜として機能する絶縁層764を設けている(図5(A)(B)参照。)。なお、図5(A)においては、絶縁層764、封止材として機能する絶縁層768は省略してある。絶縁層768で封止する代わりに表示素子785上に充填材を設け、基板により封止してもよい。
【0102】
本実施の形態の表示装置は、機能層である第1の電極層761a、761b、761c、及び電界発光層762a、762b、762cを、有機化合物を含む層760及び有機化合物を含む層765によって形成された開口に各機能層形成材料を含む組成物を吐出することによって形成する。
【0103】
開口において、有機化合物を含む層765は隔壁であり、有機化合物を含む層760は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層765を、有機化合物を含む層760より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層760に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層760を開口の底面に用い、有機化合物を含む層765を隔壁として用いて撥液処理を行うと、機能層形成材料を含む組成物に対して撥液性の強度が異なる領域を選択的に形成することができる。
【0104】
有機化合物を含む層760及び有機化合物を含む層765により開口に酸化処理及び紫外線照射処理を行う。本実施の形態では酸化処理は酸素を含む雰囲気下における紫外線照射によって行う。酸化処理により形成された有機化合物を含む層760及び765表面の酸化層に、フッ化炭素層を形成する。本実施の形態ではフッ化炭素層としてFAS膜を用いる。フッ化炭素層を有機溶剤であるアルコールで洗浄すると、溶解性の高い有機化合物を含む層760表面の低分子の酸化層はフッ化炭素層ごと溶解してしまい、主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層760表面の酸化層及びフッ化炭素層が選択的に除去される。従って、撥液性を示すフッ素密度がより高い有機化合物を含む層765表面がより高撥液性となり、有機溶剤でフッ化炭素層が除去され、フッ素密度が低い有機化合物を含む層760表面はより低撥液性(親液性)となる。
【0105】
よって液状の機能層形成材料を含む組成物に対して、底面は親液領域であり、隔壁は撥液領域である開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、撥液領域である隔壁を乗り越えて組成物が流出することなく、所定の領域に所望の形状で機能層を形成することができる。図5(A)(B)の表示装置においては、有機化合物を含む層760及び有機化合物を含む層765により形成された開口に、機能層である第1の電極層と電界発光層とを順に積層した構成である。まず、開口に導電性材料を含む組成物を吐出し、第1の電極層761a、761b、761cを形成し、第1の電極層761a、761b、761c上に電界発光層形成材料を含む組成物を吐出し、電界発光層762a、762b、762cを形成する。
【0106】
電界発光層は、蒸着法などの乾式法を用いてマスクにより所望の形状に作製してもよい。
【0107】
隔壁として機能する有機化合物を含む層は、端部が曲率を有さない形状であってもよいが、有機化合物を含む層765のように曲率を有し、その曲率半径が連続的に変化する形状であると、積層する絶縁層や導電層のカバレッジがよい。
【0108】
上記のように機能層形成材料は溶媒に溶解させ液状の組成物として、湿式法によって機能性を有する薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。また、固化処理として、機能層形成材料中に光硬化性樹脂が含まれる場合は、光照射を行えばよく、熱硬化性樹脂が含まれる場合は加熱処理を行えばよい。
【0109】
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明における液状の組成物を用いることができる。
【0110】
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応できるので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
【0111】
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、被形成領域に対する被覆性もよい。
【0112】
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
【0113】
基板769、1700、1710としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる、プラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工ができ、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0114】
有機化合物を含む層760、1720、1722としては、主鎖にC−N結合、又はC−O結合を含む有機化合物を用いることができ、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、芳香族ポリアミドなどを用いることができる。
【0115】
有機化合物を含む層765、1721、1723としては、有機化合物を用いることができ、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などを用いることができる。
【0116】
有機化合物を含む層は、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、塗布法などの湿式法によって形成することができる。
【0117】
本実施の形態のように機能層として表示素子に用いる電極層(画素電極層、第1、第2の電極層)に導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いることができる。導電性組成物は、電極層として薄膜を形成する場合、薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0118】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0119】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0120】
導電性高分子を含む電極層には、有機樹脂やドーパントを含ませてもよい。有機樹脂を加えることで膜の形状や膜強度等の膜特性を調整し、形状の良好な膜とする効果があり、一方ドーパントを加えることで電機伝導度を調整し導電性を向上させる効果を得ることができる。
【0121】
導電性高分子を含む電極層に加える有機樹脂としては、導電性高分子と相溶または混合分散可能であれば熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよく、光硬化性樹脂であってもよい。
【0122】
導電性高分子を含む電極層に加えるド−パントにおいて、特にアクセプタ性ド−パントとしては、ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等を使用することができる。
【0123】
導電性組成物を、水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、液状の組成物とすることができる。
【0124】
導電性組成物の成膜は上述のように溶媒に溶解した後、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)等の湿式法を用いて成膜することができる。
【0125】
本実施の形態のように機能層として表示素子に用いる電極層(画素電極層、第1、第2の電極層)に用いられる透光性を有する導電性材料として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。また、光に対して反射性を有する導電性材料として、金、銀、銅などの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができ、例えば低抵抗な銀を用いるとよい。
【0126】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0127】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0128】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0129】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0130】
(実施の形態3)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に液晶表示素子を用いる液晶表示装置について説明する。なお、本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なり、液晶表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0131】
図8(A)は、本発明の一形態である液晶表示装置の上面図であり、図8(B)は図8(A)線C−Dにおける断面図である。
【0132】
図8(A)で示すように、画素領域606、走査線駆動回路である駆動回路領域608a、走査線駆動領域である駆動回路領域608bが、シール材692によって、基板600と対向基板695との間に封止され、基板600上にICドライバによって形成された信号線駆動回路である駆動回路領域607が設けられている。画素領域606にはトランジスタ622及び容量素子623が設けられ、駆動回路領域608bにはトランジスタ620及びトランジスタ621を有する駆動回路が設けられている。基板600には、上記実施の形態と同様の絶縁基板を適用することができる。また一般的に合成樹脂からなる基板は、他の基板と比較して耐熱温度が低いことが懸念されるが、耐熱性の高い基板を用いた作製工程の後、転置することによっても採用することが可能となる。
【0133】
画素領域606には、下地膜604a、下地膜604bを介してスイッチング素子となるトランジスタ622が設けられている。本実施の形態では、トランジスタ622にマルチゲート型薄膜トランジスタ(TFT)を用い、ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、2層の積層構造であるゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層を有し、ソース電極層又はドレイン電極層は、半導体層の不純物領域と画素電極層ともいわれる表示素子に用いる電極層630に接して電気的に接続している。
【0134】
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。また、有機半導体材料を用いてもよい。なお、単結晶半導体基板、SOI基板などを用いて、単結晶半導体としてもよい。
【0135】
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0136】
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。
【0137】
半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0138】
ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタリング法などを用いて形成する。ゲート絶縁層としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素に代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。
【0139】
ゲート電極層、ソース電極層又はドレイン電極層は、スパッタリング法、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は金属などの導電性材料を用いることができ、具体的にはAg、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Cr、Nd、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba、Si、Geなどの材料、又は上記材料の合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0140】
半導体層中の不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。このように低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。その後、ゲート電極等を覆う絶縁膜611及び絶縁膜612を形成する。絶縁膜611(及び絶縁膜612)に混入された水素元素により、結晶性半導体膜のダングリングボンドを終端することができる。
【0141】
絶縁膜611、絶縁膜612には、有機材料、又は無機材料、若しくはそれらの積層構造を用いることができる。例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ポリシラザン、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
る。
【0142】
また結晶性半導体膜を用いることにより、画素領域と駆動回路領域を同一基板上に一体形成することができる。その場合、画素部のトランジスタと、駆動回路領域608bのトランジスタとは同時に形成される。駆動回路領域608bに用いるトランジスタは、CMOS回路を構成する。CMOS回路を構成する薄膜トランジスタは、GOLD構造であるが、トランジスタ622のようなLDD構造を用いることもできる。
【0143】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。なお、トップゲート型(例えば順スタガ型、プラーナ型)、ボトムゲート型(例えば逆スタガ型、逆コプラナ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【0144】
表示素子に用いる電極層630、有機化合物を含む層616、及びスペーサ637を覆うように、印刷法や液滴吐出法により、配向膜と呼ばれる絶縁層631を形成する。なお、絶縁層631は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビング処理を行う。このラビング処理は液晶のモード、例えばVAモードのときには処理を行わないときがある。配向膜として機能する絶縁層633も絶縁層631と同様である。続いて、シール材692を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域である封止領域603に形成する。
【0145】
その後、配向膜として機能する絶縁層633、対向電極層ともいわれる表示素子に用いる電極層634、カラーフィルタとして機能する着色層635、及び偏光子641(偏光板ともいう)が設けられた対向基板695と、TFT基板である基板600とをスペーサ637を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層632を設ける。本実施の形態の液晶表示装置は透過型であるため、基板600の素子を有する面と反対側にも偏光子(偏光板)643を設ける。偏光子と着色層の積層構造も図8に限定されず、偏光子及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。偏光子は、接着層によって基板に設けることができる。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板695には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、カラーフィルタ等は、液晶表示装置をフルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を呈する材料から形成すればよく、モノカラー表示とする場合、着色層を無くす、もしくは少なくとも一つの色を呈する材料から形成すればよい。また、表示装置の視認側、反射防止機能を有する反射防止膜を設けてもよい。
【0146】
なお、バックライトにRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)を採用するときには、カラーフィルタを設けない場合がある。ブラックマトリクスは、トランジスタやCMOS回路の配線による外光の反射を低減するため、トランジスタやCMOS回路と重なるように設けるとよい。なお、ブラックマトリクスは、容量素子に重なるように形成してもよい。容量素子を構成する金属膜による反射を防止することができるからである。
【0147】
液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、素子を有する基板600と対向基板695とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。滴下法は、注入法を適用しづらい大型基板を扱うときに適用するとよい。
【0148】
スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、本実施の形態では基板全面に樹脂膜を形成した後これをエッチング加工して形成する方法を採用する。このようなスペーサの材料を、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、スペーサの形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。スペーサの形状は円錐状、角錐状なども用いることができ、特別な限定はない。
【0149】
続いて、外部端子接続領域602において、画素領域と電気的に接続されている端子電極層678に、異方性導電体層696を介して、接続用の配線基板であるFPC694を設ける。FPC694は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
【0150】
偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0151】
平坦性を高めるための層間絶縁膜をかねて有機化合物を含む層を形成し、トランジスタ622のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールを有する有機化合物を含む層615を形成する。有機化合物を含む層615上に開口を有する有機化合物を含む層616を形成する。
【0152】
図8の表示装置は、機能層である電極層630及び着色層635を、それぞれ有機化合物を含む層によって形成された開口に形成する例である。電極層630は、有機化合物を含む層616、及びトランジスタ622のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールを有する主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層615によって形成された開口に形成される。
【0153】
開口において、有機化合物を含む層616は隔壁であり、有機化合物を含む層615は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層616を、有機化合物を含む層615より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層615に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0154】
従って、撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層616がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層615がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、電極層630を制御性よく形成することができる。なお、電極層630はトランジスタ622のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層が撥液性を有さないような導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層はFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0155】
着色層635も同様に、まず対向基板695上に設けられた有機化合物を含む層646上に開口を有する有機化合物を含む層647を形成する。着色層635は、有機化合物を含む層647、及び主鎖にC−N結合又はC−O結合を有する有機化合物を含む層646によって形成された開口に形成される。開口において、有機化合物を含む層647は隔壁であり、有機化合物を含む層646は開口の底面領域である。撥液処理によって、隔壁となる有機化合物を含む層647を、有機化合物を含む層646より高い撥液性とするので、有機化合物を含む層646に、有機化合物表面の酸化層が有機溶剤に対して高い溶解性を示す、主鎖に炭素―窒素(C−N)結合、又は炭素―酸素(C−O)結合を含む有機化合物を含む層を用いる。
【0156】
従って、撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層647がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層646がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に着色層形成材料を含む組成物を吐出することによって、着色層635を制御性よく形成することができる。なお、有機化合物を含む層647は遮光層としても機能する。有機化合物を含む層647と着色層635上には絶縁膜645が形成されている。
【0157】
本発明を用いた電極層630及び着色層635は、実施の形態1と同様な材料、工程で作製すればよく、実施の形態1を適用することができる。
【0158】
図8の表示装置を用いて液晶表示モジュールを作製することができる。図13(A)、図13(B)は、本発明を適用して作製されるTFT基板2600を用いて表示装置(液晶表示モジュール)を構成する一例を示している。
【0159】
図13(A)は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層を含む表示素子2604、着色層2605、偏光板2606が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の内側には偏光板2606、対向基板2601の外側には偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0160】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0161】
図13(B)は図13(A)の液晶表示モジュールにOCBモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルタを並べ、各色の表示領域を限定する必要がなく、どの領域でも3色全ての表示を行うことができる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の表示装置に、FS方式を用いたFLCモード、及びOCBモードを適用し、高性能で高画質な表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
【0162】
OCBモードの液晶層は、いわゆるπセル構造を有している。πセル構造とは、液晶分子のプレチルト角がアクティブマトリクス基板と対向基板との基板間の中心面に対して面対称の関係で配向された構造である。πセル構造の配向状態は、基板間に電圧が印加されていない時はスプレイ配向となり、電圧を印加するとベンド配向に移行する。このベンド配向が白表示となる。さらに電圧を印加するとベンド配向の液晶分子が両基板と垂直に配向し、光が透過しない状態となる。なお、OCBモードにすると、従来のTNモードより約10倍速い高速応答性を実現できる。
【0163】
また、FS方式に対応するモードとして、高速動作が可能な強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)を用いたHV(Half V)−FLC、SS(Surface Stabilized)−FLCなども用いることができる。OCBモードは粘度の比較的低いネマチック液晶を用い、HV−FLC、SS−FLCには、強誘電相を有するスメクチック液晶を用いることができる。
【0164】
また、液晶表示モジュールの高速光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。また、印加電圧を一瞬だけ高く(または低く)するオーバードライブ法により、より高速化が可能である。
【0165】
図13(B)の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cのそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
【0166】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0167】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0168】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0169】
本実施の形態は、上記の実施の形態1及び実施の形態2と適宜組み合わせることができる。
【0170】
(実施の形態4)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に発光素子を用いる発光表示装置について説明する。なお、本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なり、発光表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0171】
本発明を適用して発光素子を有する表示装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。本実施の形態では、図9を用いて下面放射型、図10を用いて上面放射型、図11を用いて両面放射型の例をそれぞれ説明する。
【0172】
図9に示す表示装置は、素子基板100、薄膜トランジスタ255、薄膜トランジスタ265、薄膜トランジスタ275、薄膜トランジスタ285、第1の電極層185、電界発光層188、第2の電極層189、充填材193、シール材192、絶縁膜101a、絶縁膜101b、ゲート絶縁層107、絶縁膜167、絶縁膜168、有機化合物を含む層181、有機化合物を含む層186、封止基板195、配線層179、端子電極層178、異方性導電層196、FPC194によって構成されている。表示装置は、外部端子接続領域202、封止領域203、周辺駆動回路領域204、画素領域206を有している。また表示装置の上面図である図9(A)で示すように、表示装置は信号線駆動回路を有する周辺駆動回路領域204、周辺駆動回路領域209のほかに、走査線駆動回路を有する周辺駆動回路領域207、周辺駆動回路領域208が設けられている。
【0173】
図9の表示装置は、下面放射型であり、矢印の方向に素子基板100側から光を放射する構造である。よって、素子基板100、絶縁膜101a、101b、ゲート絶縁層107、絶縁膜167、絶縁膜168、有機化合物を含む層181、第1の電極層185は透光性を有する。一方第2の電極層189は、発光素子190より放射される光を反射するため、反射性を有する。
【0174】
図9の表示装置は、機能層である第1の電極層185及び電界発光層188を、有機化合物を含む層によって形成された開口に積層して形成する例である。第1の電極層185は、有機化合物を含む層186及び、薄膜トランジスタ255のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールが設けられ、かつ有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層181によって形成された開口に形成される。開口において有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層181は底面であり、有機化合物を含む層186は隔壁となる。従って、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射、フッ化炭素層形成、有機溶剤によるエッチング工程を経る撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層186がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層181がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、第1の電極層185を制御性よく形成することができる。なお、第1の電極層185は薄膜トランジスタ255のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層に撥液処理後に撥液性を示さない導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層をFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0175】
図10及び図11は、図9の表示装置において、発光素子より光を取り出す構造が異なる例である。
【0176】
図10の上面放射型表示装置は、素子基板1300、薄膜トランジスタ1355、薄膜トランジスタ1365、薄膜トランジスタ1375、薄膜トランジスタ1385、第1の電極層1317、電界発光層1319、第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、シール材1332、絶縁膜1301a、絶縁膜1301b、ゲート絶縁層1310、絶縁膜1311、絶縁膜1312、有機化合物を含む層1313、有機化合物を含む層1314、封止基板1325、配線層1333、端子電極層1381、異方性導電層1382、FPC1383によって構成されている。表示装置は、外部端子接続領域222、封止領域223、周辺駆動回路領域224、画素領域226を有している。
【0177】
図10に示す表示装置は上面放射型であり、矢印の方向に封止基板1325側から光を放射する構造である。従って、発光素子1305からの光を透過する第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、封止基板1325は透光性を有する材料を用いる。一方、第1の電極層1317は発光素子より放射される光を反射するため、反射性を有する。
【0178】
図10の表示装置は、機能層である第1の電極層1317及び電界発光層1319を、有機化合物を含む層によって形成された開口に積層して形成する例である。第1の電極層1317は、有機化合物を含む層1314及び、薄膜トランジスタ1355のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールが設けられ、かつ有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1313によって形成された開口に形成される。開口において有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1313は底面であり、有機化合物を含む層1314は隔壁となる。従って、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射、フッ化炭素層形成、有機溶剤によるエッチング工程を経る撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層1314がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層1313がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、第1の電極層1317を制御性よく形成することができる。なお、第1の電極層1317は薄膜トランジスタ1355のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層に撥液処理後に撥液性を示さない導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層をFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0179】
図11に示す両面放射型表示装置は、素子基板1600、薄膜トランジスタ1655、薄膜トランジスタ1665、薄膜トランジスタ1675、薄膜トランジスタ1685、第1の電極層1617、電界発光層1619、第2の電極層1620、保護膜1621、充填材1622、シール材1632、絶縁膜1601a、絶縁膜1601b、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1611、絶縁膜1612、有機化合物を含む層1613、有機化合物を含む層1614、封止基板1625、配線層1633、端子電極層1681、異方性導電層1682、FPC1683によって構成されている。表示装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。
【0180】
図11の表示装置は、両面放射型であり、矢印の方向に素子基板1600側からも、封止基板1625側からも光を放射する構造である。よって、第1の電極層1617及び第2の電極層1620として透光性電極層を用いる。さらに、発光素子1605からの光を透過する有機化合物を含む層1613、絶縁膜1612、絶縁膜1611、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1601a、1601b、素子基板1600、保護膜1621、充填材1622、封止基板1625も透光性を有する材料を用いる。
【0181】
図11の表示装置は、機能層である第1の電極層1617及び電界発光層1619を、有機化合物を含む層によって形成された開口に積層して形成する例である。第1の電極層1617は、有機化合物を含む層1614及び、薄膜トランジスタ1655のソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールが設けられ、かつ有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1613によって形成された開口に形成される。開口において有機溶剤に対する有機化合物を含む層表面の酸化層の溶解性が高い主鎖にC−N結合、又はC−O結合を有する有機化合物を含む層1613は底面であり、有機化合物を含む層1614は隔壁となる。従って、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射、フッ化炭素層形成、有機溶剤によるエッチング工程を経る撥液処理により、隔壁の有機化合物を含む層1614がより高撥液領域となり、底面の有機化合物を含む層1613がより低撥液領域(親液領域)となる。撥液性を制御された開口に導電性材料を含む組成物を吐出することによって、第1の電極層1617を制御性よく形成することができる。なお、第1の電極層1617は薄膜トランジスタ1655のソース電極層又はドレイン電極層とも接して電気的接続を行うため、ソース電極層又はドレイン電極層に撥液処理後に撥液性を示さない導電性材料を用いて形成する。本実施の形態は、フッ化炭素層をFASによって形成するために、ソース電極層又はドレイン電極層をFASが結合しにくいモリブデンを用いて形成する。
【0182】
発光素子の第1の電極層及び第2の電極層に用いることのできる透光性を有する導電性材料として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0183】
発光素子の第1の電極層及び第2の電極層に用いることのできる反射性を有する導電性材料としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電材料などを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよい。
【0184】
また、発光素子上にパッシベーション膜(保護膜)として絶縁層を設けてもよい。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。又はシロキサン樹脂を用いてもよい。
【0185】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。
【0186】
充填材の代わりに、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。充填材を通して光を表示装置外に取り出す場合、充填材も透光性を有する必要がある。充填材は、例えば可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。充填材は、液状の状態で滴下し、表示装置内に充填することもできる。充填材として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いる、または充填材中に吸湿物質を添加すると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防ぐことができる。
【0187】
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。
【0188】
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法により形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順に素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板(λ/4、λ/2)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
【0189】
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
【0190】
また、本発明の表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0191】
このように選択的に撥液処理を行った開口に、液状の機能層形成材料を含む組成物を吐出すると、開口底面の親液領域に組成物は充填され、撥液領域である隔壁を乗り越えて被形成領域外に流出されない。よって、開口内の所望の被形成領域に機能層を形成することができる。
【0192】
従って、高価な真空装置を用いることなく、選択的に撥液領域を形成することができる。撥液領域及び親液領域、両方を有機材料を用いて形成することができるため、厚膜化が容易であり、加工性も高い。よって、撥液領域及び親液領域の形状の選択性が広がるため、様々な機能性を有する機能層を制御性よく形成することができる。
【0193】
大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、また湿式法を用いて表示素子に用いる機能性を有する機能層を作製できるため、材料の利用効率がよく、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の表示装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
【0194】
本実施の形態は、上記の実施の形態1、及び実施の形態2と適宜組み合わせることができる。
【0195】
(実施の形態5)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に発光素子を用いる発光表示装置について説明する。本実施の形態では、本発明の表示装置の表示素子として適用することのできる発光素子の構成を、図16を用いて説明する。
【0196】
図16は発光素子の素子構造であり、第1の電極層870と第2の電極層850との間に、EL層860が挟持されている発光素子である。EL層860は、図示した通り、第1の層804、第2の層803、第3の層802から構成されている。図16において第2の層803は発光層であり、第1の層804及び第3の層802は機能層である。
【0197】
第1の層804は、第2の層803に正孔(ホール)を輸送する機能を担う層である。図16では第1の層804に含まれる正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層804を形成することができる。
【0198】
また、正孔注入層として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
【0199】
また、正孔注入層として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、電極層とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず電極層を形成する材料を選ぶことができる。
【0200】
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0201】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0202】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0203】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0204】
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0205】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0206】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0207】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0208】
図16では第1の層804に含まれる正孔輸送層を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
【0209】
第3の層802は、第2の層803に電子を輸送、注入する機能を担う層である。図16では第3の層802に含まれる電子輸送層について説明する。電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0210】
図16では第3の層802に含まれる電子注入層について説明する。電子注入層は、電子注入性の高い物質を用いることができる。電子注入層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、電極層からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0211】
次に、発光層である第2の層803について説明する。発光層は発光機能を担う層であり、発光性の有機化合物を含む。また、無機化合物を含む構成であってもよい。発光層は、種々の発光性の有機化合物、無機化合物を用いて形成することができる。ただし、発光層は、膜厚は10nm〜100nm程度が好ましい。
【0212】
発光層に用いられる有機化合物としては、発光性の有機化合物であれば特に限定されることはなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(ピコリナート)(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(ピコリナート)(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(pq)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(btp)2(acac))などの燐光を放出できる化合物用いることもできる。
【0213】
発光層を一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
【0214】
また、発光層においては、上述した発光を示す有機化合物だけでなく、さらに他の有機化合物が添加されていてもよい。添加できる有機化合物としては、例えば、先に述べたTDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、TCTA、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、BPhen、BCP、PBD、OXD−7、TPBI、TAZ、p−EtTAZ、DNA、t−BuDNA、DPVBiなどの他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。なお、このように有機化合物以外に添加する有機化合物は、有機化合物を効率良く発光させるため、有機化合物の励起エネルギーよりも大きい励起エネルギーを有し、かつ有機化合物よりも多く添加されていることが好ましい(それにより、有機化合物の濃度消光を防ぐことができる)。あるいはまた、他の機能として、有機化合物と共に発光を示してもよい(それにより、白色発光なども可能となる)。
【0215】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素領域の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素領域(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0216】
発光層で用いることのできる材料は低分子系有機発光材料でも高分子系有機発光材料でもよい。高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。
【0217】
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
【0218】
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン)[PPV]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)[RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
【0219】
発光層で用いられる無機化合物としては、有機化合物の発光を消光しにくい無機化合物であれば何であってもよく、種々の金属酸化物や金属窒化物を用いることができる。特に、周期表第13族または第14族の金属酸化物は、第2の有機化合物の発光を消光しにくいため好ましく、具体的には酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムが好適である。ただし、これらに限定されることはない。
【0220】
なお、発光層は、上述した有機化合物と無機化合物の組み合わせを適用した層を、複数積層して形成していてもよい。また、他の有機化合物あるいは他の無機化合物をさらに含んでいてもよい。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、電子注入用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
【0221】
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
【0222】
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
【0223】
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば封止基板に形成し、素子基板へ張り合わせればよい。
【0224】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0225】
第1の電極層870及び第2の電極層850は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極層870及び第2の電極層850は、画素構成によりいずれも陽極(電位が高い電極層)、又は陰極(電位が低い電極層)となりうる。駆動用薄膜トランジスタの極性がpチャネル型である場合、図16(A)のように第1の電極層870を陽極、第2の電極層850を陰極とするとよい。また、駆動用薄膜トランジスタの極性がnチャネル型である場合、図16(B)のように、第1の電極層870を陰極、第2の電極層850を陽極とすると好ましい。第1の電極層870および第2の電極層850に用いることのできる材料について述べる。第1の電極層870、第2の電極層850が陽極として機能する場合は仕事関数の大きい材料(具体的には4.5eV以上の材料)が好ましく、第1の電極層870、第2の電極層850が陰極として機能する場合は仕事関数の小さい材料(具体的には3.5eV以下の材料)が好ましい。しかしながら、第1の層804の正孔注入、正孔輸送特性や、第3の層802の電子注入性、電子輸送特性が優れているため、第1の電極層870、第2の電極層850共に、ほとんど仕事関数の制限を受けることなく、種々の材料を用いることができる。
【0226】
図16(A)、(B)における発光素子は、第1の電極層870より光を取り出す構造のため、第2の電極層850は、必ずしも光透光性を有する必要はない。第2の電極層850としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)またはモリブデン(Mo)から選ばれた元素、または窒化チタン、TiSiXNY、WSiX、窒化タングステン、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
【0227】
また、第2の電極層850に第1の電極層870で用いる材料のような透光性を有する導電性材料を用いると、第2の電極層850からも光を取り出す構造となり、発光素子から放射される光は、第1の電極層870と第2の電極層850との両方より放射される両面放射構造とすることができる。
【0228】
なお、第1の電極層870や第2の電極層850の種類を変えることで、本発明の発光素子は様々なバリエーションを有する。
【0229】
図16(B)は、EL層860が、第1の電極層870側から第3の層802、第2の層803、第1の層804の順で構成されているケースである。
【0230】
図16(C)は、図16(A)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。同様に図16(D)は、図16(B)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。
【0231】
なお、EL層860に有機化合物と無機化合物が混合させて設ける場合、その形成方法としては種々の手法を用いることができる。例えば、有機化合物と無機化合物の両方を抵抗加熱により蒸発させ、共蒸着する手法が挙げられる。その他、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させる一方で、無機化合物をエレクトロンビーム(EB)により蒸発させ、共蒸着してもよい。また、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させると同時に、無機化合物をスパッタリングし、両方を同時に堆積する手法も挙げられる。その他、湿式法により成膜してもよい。
【0232】
本実施の形態は、上記の発光素子を有する表示装置についての他の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【0233】
(実施の形態6)
本実施の形態では、より高画質及び高信頼性を付与され、かつ低コストで生産性よく作製することのできることを目的とした表示装置の一例について説明する。詳しくは表示素子に発光素子を用いる発光表示装置について説明する。本実施の形態では、本発明の表示装置の表示素子として適用することのできる発光素子の構成を、図14及び図15を用いて説明する。
【0234】
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0235】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた電界発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる電界発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0236】
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。
【0237】
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0238】
局在型発光の発光中心として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。ハロゲン元素は電荷補償として機能することもできる。
【0239】
一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0240】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10atom%であればよく、好ましくは0.05〜5atom%の範囲である。
【0241】
薄膜型無機ELの場合、電界発光層は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
【0242】
図14(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる薄膜型無機EL素子の一例を示す。図14(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層50、電界発光層52、第2の電極層53を含む。
【0243】
図14(B)及び図14(C)に示す発光素子は、図14(A)の発光素子において、電極層と電界発光層間に絶縁層を設ける構造である。図14(B)に示す発光素子は、第1の電極層50と電界発光層52との間に絶縁層54を有し、図14(C)に示す発光素子は、第1の電極層50と電界発光層52との間に絶縁層54a、第2の電極層53と電界発光層52との間に絶縁層54bとを有している。このように絶縁層は電界発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0244】
また、図14(B)では第1の電極層50に接するように絶縁層54が設けられているが、絶縁層と電界発光層の順番を逆にして、第2の電極層53に接するように絶縁層54を設けてもよい。
【0245】
分散型無機EL素子の場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の電界発光層を形成する。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、電界発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって電界発光層中に均一に分散し固定される。
【0246】
分散型無機EL素子の場合、電界発光層の形成方法は、選択的に電界発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む電界発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
【0247】
図15(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる分散型無機EL素子の一例を示す。図15(A)における発光素子は、第1の電極層60、電界発光層62、第2の電極層63の積層構造を有し、電界発光層62中にバインダによって保持された発光材料61を含む。
【0248】
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができ、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
【0249】
バインダに含まれる無機材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、その他の無機材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる電界発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。バインダに無機材料と有機材料との混合層を用い、高い誘電率とすると、発光材料により大きい電荷を誘起することができる。
【0250】
図15(B)及び図15(C)に示す発光素子は、図15(A)の発光素子において、電極層と電界発光層間に絶縁層を設ける構造である。図15(B)に示す発光素子は、第1の電極層60と電界発光層62との間に絶縁層64を有し、図15(C)に示す発光素子は、第1の電極層60と電界発光層62との間に絶縁層64a、第2の電極層63と電界発光層62との間に絶縁層64bとを有している。このように絶縁層は電界発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0251】
また、図15(B)では第1の電極層60に接するように絶縁層64が設けられているが、絶縁層と電界発光層の順番を逆にして、第2の電極層63に接するように絶縁層64を設けてもよい。
【0252】
図14における絶縁層54、図15における絶縁層64のような絶縁層は、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。バインダ材料は、電界発光層に含まれるバインダと同様な材料、方法を用いて形成すればよい。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0253】
本実施の形態で示す発光素子は、電界発光層を挟持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0254】
本実施の形態は、上記の実施の形態1、2、4と適宜組み合わせることができる。
【0255】
(実施の形態7)
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)を完成させることができる。図19はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。
【0256】
図17(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0257】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素部2701の画素それぞれには、スイッチング素子とそれに接続する表示素子に用いる電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
【0258】
図17(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図18(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図18(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図18において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed Circuit)2750と接続している。図18において、保護回路2713が基板2700上に形成されている。
【0259】
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図17(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図17(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図17(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図17(C)に示すように、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0260】
表示パネルには、図17(A)で示すような構成として、図19において、画素部901のみが形成されて走査線側駆動回路903と信号線側駆動回路902とが、図18(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図18(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図17(B)に示すようにTFTを形成し、画素部901と走査線側駆動回路903を基板上に形成し信号線側駆動回路902を別途ドライバICとして実装する場合、また図17(C)で示すように画素部901と信号線側駆動回路902と走査線側駆動回路903を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0261】
図19において、その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などからなっている。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0262】
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカー913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
【0263】
これらの表示モジュールを、図6(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとして液晶表示モジュールを用いれば液晶テレビジョン装置、ELモジュールを用いればELテレビジョン装置を作製することができる。図6(A)において、表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0264】
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0265】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003及びサブ画面2008を本発明の液晶表示用パネルで形成することができ、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0266】
図6(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図6(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。本発明における表示素子に用いる電極層は湿式法により形成することができるため、図6(A)(B)のような大型な表示部を有するテレビジョン装置であっても低コストで生産性よく作製することができる。
【0267】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0268】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至6と適宜組み合わせることができる。
【0269】
(実施の形態8)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。また、パチンコ機、スロットマシン、ピンボール機、大型ゲーム機など表示装置を有するあらゆる遊技機に適用することができる。その具体例について、図12を参照して説明する。
【0270】
図12(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯情報端末機器を提供することができる。
【0271】
図12(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性なデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0272】
図12(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯電話機を提供することができる。
【0273】
図12(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の表示装置を適用することができる。
【0274】
図12(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0275】
図12(F)に示すスロットマシンは、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性なスロットマシンを提供することができる。
【0276】
また、本発明において自発光型の発光素子を表示素子として用いた表示装置(発光表示装置)は、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した表示装置は、小型の電気スタンドや室内の大型な照明装置として用いることもできる。さらに、本発明の発光表示装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることもできる。本発明の発光表示装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、液晶表示装置の高信頼性化を達成することができる。また、本発明の発光表示装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光表示装置は薄型であるため、液晶表示装置の薄型化も可能となる。
【0277】
このように、本発明の表示装置により、高画質な画像を表示することができる高性能かつ高信頼性な電子機器を提供することができる。
【0278】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至7と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0279】
本実施例では、撥液処理による有機化合物層を含む層表面の撥液性の変化を評価した結果を示す。評価は純水接触角測定によって行った。
【0280】
有機化合物としてポリイミドとアクリル樹脂を用い、ポリイミド膜及びアクリル樹脂膜をそれぞれ形成した。ポリイミド膜はスピンコート法により塗布した後、90℃2分間の乾燥、200℃30分の焼成を行って形成し、アクリル樹脂膜はスピンコート法により塗布した後、90℃2分間の乾燥を行って成膜した。
【0281】
成膜後のポリイミド膜及びアクリル樹脂膜に、酸素雰囲気下での紫外線照射を行い、FAS膜を成膜し(成膜条件は気相法で温度120℃、30分、窒素雰囲気下)、ハイドロフルオロエーテルに浸漬し、エタノールに浸漬した後、表面の純水接触角を測定した。接触角測定は、First Ten Ångstroms社製、FTÅ125動的接触角測定解析装置によって行った。酸素を含む雰囲気下での紫外線照射時間の条件を3分間、5分間、10分間、20分間とし、各条件でそれぞれ3点ずつ行った。なお、本実施例では、酸素を含む雰囲気としてオゾン雰囲気下で紫外線照射を行った。撥液処理を行ったポリイミド膜及びアクリル樹脂膜の紫外線照射時間と接触角の関係を図20に示す。
【0282】
図20において、ポリイミド膜表面における接触角がばつ印のドット、アクリル樹脂膜表面における接触角が四角形印のドットで示している。酸素を含む雰囲気下での紫外線照射を行わない、紫外線照射時間0分ではポリイミド膜とアクリル樹脂膜表面の接触角はほぼ同じであるが、紫外線照射時間を3分間、5分間、10分間、20分間とすると、アクリル樹脂膜は紫外線照射により接触角が大きくなり撥液化しているが、一方、ポリイミド膜は紫外線照射により接触角が小さくなり親液化している。結果、紫外線照射工程を含む撥液処理によってアクリル樹脂膜とポリイミド膜表面の接触角には40度程度の差が生じることがわかる。
【0283】
この結果より以下のように考察できる。酸素を含む雰囲気下における紫外線照射により、表面に酸化層が形成される。主鎖にC−N結合及びC−O結合を有するポリイミドにおいては、紫外線照射によりC−N結合や、C−O結合において結合が分断して分子量100〜10000程度の低分子の酸化層となる。フッ化炭素層はポリイミド膜表面の低分子の酸化層上に形成される。低分子の酸化層のために、有機溶剤による洗浄工程においてフッ化炭素層ごと除去されてしまい、結果ポリイミド膜表面のフッ素密度は低くなり親液化してしまう。アクリル樹脂膜表面には有機溶剤による洗浄工程において溶解する酸化層が少ないために、フッ素密度は高くなり、より撥液化することができる。従って、本実施例の撥液処理により、アクリル樹脂膜とポリイミド膜の撥液性に差を生じさせることができる。
【0284】
本実施例の結果より、本発明の撥液処理を行うことによって、アクリル樹脂は、主鎖にC−N結合及びC−O結合を有するポリイミドと比較し、より高い撥液性を示すことがわかった。このように本発明の撥液処理を行うことによって、有機化合物を含む層を用いて撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【実施例2】
【0285】
本実施例では、有機化合物を含む層に撥液処理を行う各工程における、有機化合物を含む層の表面状態の評価を行った結果を示す。評価はX線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて測定し行った。
【0286】
有機化合物としてポリイミド(試料A1乃至A4)とアクリル樹脂(試料B1乃至B4)を用いた。作製条件は条件1乃4とし、それぞれの工程後XPS分析法により表面における元素の定量分析を行った。なお、分析深さは5nm程度であった。条件1(A1、B1)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜した後の試料表面状態である。条件2(A2、B2)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜した後、酸素を含む雰囲気下で紫外線を10分照射した後の試料表面状態である。条件3(A3、B3)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜し、酸素を含む雰囲気下で紫外線を10分照射し、FAS膜を成膜し(成膜条件は気相法で温度120℃、30分、窒素雰囲気下)、ハイドロフルオロエーテルに浸漬し、エタノールに浸漬した後の試料表面状態である。条件4(A4、B4)は、各樹脂材料をスピンコート法により塗布、乾燥させて成膜し、酸素を含む雰囲気下で紫外線を10分照射し、エタノールに浸漬した後の試料表面状態である。本実施例では、酸素を含む雰囲気下としてオゾン雰囲気下で紫外線照射を行った。試料(試料A1乃至A4、試料B1乃至B4)の表面における元素の定量分析の結果を表1に示す。
【0287】
【表1】
【0288】
表1より以下のことがわかる。A1及びB1と、A2及びB2とを比較すると、ポリイミド(A2)、アクリル樹脂(B2)ともに酸素を含む雰囲気下での紫外線照射により酸素量が増加しており表面が酸化され、酸化層が形成されている。A2及びB2と、A4及びB4とを比較すると、酸素を含む雰囲気下での紫外線照射後のエタノール洗浄により、ポリイミド(A4)の酸化層は溶解し、アクリル樹脂(B4)の酸化層は溶解しない。A1及びB1と、A3及びB3とを比較すると、フッ素量から、ポリイミド(B3)へのFAS吸着量と比較して、アクリル樹脂(A3)へのFAS吸着量が多い。
【0289】
以上の結果より、以下のように考察できる。アクリル樹脂、ポリイミドともに酸素を含む雰囲気下での紫外線照射により表面が酸化され、酸化層上にフッ化炭素を含むFASが吸着する。ただしポリイミドにおいては、酸化層がエタノール洗浄により溶解するため、酸化層上に形成されたFASは除去される。
【0290】
従って、アクリル樹脂は表面に多くの撥液性を示すフッ化炭素を含むFASが残存するために、主鎖にC−N結合及びC−O結合を有するポリイミドと比較し、より高い撥液性を示すことがわかった。
【0291】
このように、本発明の撥液処理を行うことによって、有機化合物を含む層を用いて撥液性の異なる領域を形成することができ、撥液性の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0292】
【図1】本発明の表示装置における機能層を示した断面図である。
【図2】本発明の表示装置における機能層を示した断面図である。
【図3】本発明の表示装置における機能層の作製方法を示した図である。
【図4】本発明の表示装置を示した断面図である。
【図5】本発明の表示装置を示した平面図及び断面図である。
【図6】本発明の電子機器を示した図である。
【図7】本発明の表示装置の作製工程において適用できる液滴吐出装置を示した図である。
【図8】本発明の表示装置を示した平面図及び断面図である。
【図9】本発明の表示装置を示した平面図及び断面図である。
【図10】本発明の表示装置を示した断面図である。
【図11】本発明の表示装置を示した断面図である。
【図12】本発明の電子機器を示した図である。
【図13】本発明の表示モジュールを示した断面図である。
【図14】本発明に適用できる発光素子の構成を示した断面図である。
【図15】本発明に適用できる発光素子の構成を示した断面図である。
【図16】本発明に適用できる発光素子の構成を示した断面図である。
【図17】本発明の表示装置を示した平面図である。
【図18】本発明の表示装置を示した平面図である。
【図19】本発明が適用される電子機器の主要な構成を示すブロック図である。
【図20】実施例1における接触角測定結果を示すグラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の有機化合物を含む層と、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、
前記開口に機能層とを有し、
前記機能層と前記第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接しており、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第2の有機化合物を含む層と前記フッ化炭素層の間に酸化層を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
第1の有機化合物を含む層と、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、
前記開口に機能層とを有し、
前記機能層と前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接しており、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含み、
前記フッ化炭素層において、前記第1の有機化合物層上に設けられた領域のフッ素密度は前記第2の有機化合物を含む層上に設けられた領域より低いことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3において、前記第1の有機化合物を含む層及び前記フッ化炭素層の間に第1の酸化層と、前記第2の有機化合物を含む層及び前記フッ化炭素層の間に第2の酸化層とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1の酸化層の膜厚は前記第2の酸化層の膜厚より薄いことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記機能層は着色層であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記機能層は導電層であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記第1の有機化合物はポリイミド、又はポリアミック酸であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、
前記紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上の前記フッ化炭素層を有機溶剤により除去し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項10】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成し、
前記酸化層上にフッ化炭素層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上の前記酸化層及び前記フッ化炭素層を有機溶剤により除去し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項11】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、
前記紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成し、
前記フッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、前記開口において前記第2の有機化合物を含む層表面を前記第1の有機化合物を含む層表面より撥液化し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項12】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成し、
前記酸化層上にフッ化炭素層を形成し、
前記酸化層及び前記フッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、前記開口において前記第2の有機化合物を含む層表面を前記第1の有機化合物を含む層表面より撥液化し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれか一項において、前記機能層形成材料は着色層形成材料であることを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項14】
請求項9乃至12のいずれか一項において、前記機能層形成材料は導電性材料であることを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項1】
第1の有機化合物を含む層と、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、
前記開口に機能層とを有し、
前記機能層と前記第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接しており、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第2の有機化合物を含む層と前記フッ化炭素層の間に酸化層を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
第1の有機化合物を含む層と、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層と、
前記開口に機能層とを有し、
前記機能層と前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層とはフッ化炭素層を間に介して接しており、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含み、
前記フッ化炭素層において、前記第1の有機化合物層上に設けられた領域のフッ素密度は前記第2の有機化合物を含む層上に設けられた領域より低いことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3において、前記第1の有機化合物を含む層及び前記フッ化炭素層の間に第1の酸化層と、前記第2の有機化合物を含む層及び前記フッ化炭素層の間に第2の酸化層とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1の酸化層の膜厚は前記第2の酸化層の膜厚より薄いことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記機能層は着色層であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記機能層は導電層であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記第1の有機化合物はポリイミド、又はポリアミック酸であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、
前記紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上の前記フッ化炭素層を有機溶剤により除去し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項10】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成し、
前記酸化層上にフッ化炭素層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上の前記酸化層及び前記フッ化炭素層を有機溶剤により除去し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項11】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、
前記紫外線を照射された第1の有機化合物を含む層及び第2の有機化合物を含む層上にフッ化炭素層を形成し、
前記フッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、前記開口において前記第2の有機化合物を含む層表面を前記第1の有機化合物を含む層表面より撥液化し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項12】
第1の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層上に開口を有する第2の有機化合物を含む層を形成し、
前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層に酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射し、前記第1の有機化合物を含む層及び前記第2の有機化合物を含む層上に酸化層を形成し、
前記酸化層上にフッ化炭素層を形成し、
前記酸化層及び前記フッ化炭素層を有機溶剤により選択的に除去することにより、前記開口において前記第2の有機化合物を含む層表面を前記第1の有機化合物を含む層表面より撥液化し、
前記開口に機能層形成材料を含む組成物を吐出し機能層を形成し、
前記第1の有機化合物の主鎖に炭素−窒素結合、又は炭素−酸素結合を含むことを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれか一項において、前記機能層形成材料は着色層形成材料であることを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項14】
請求項9乃至12のいずれか一項において、前記機能層形成材料は導電性材料であることを特徴とする表示装置の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−110945(P2009−110945A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261277(P2008−261277)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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