説明

表示装置

【課題】液晶表示装置の静電破壊強度を向上する。
【解決手段】第2の半導体層12の行方向(紙面上で左右方向)に沿ったエッジE2は、保持容量ライン122の行方向に沿ったエッジE3より外側に配置されている。この第2の半導体層12のエッジE2は、第1の半導体層10に近い側のエッジである。第2の半導体層12のエッジE2を被覆しているゲート絶縁膜12の部分は、保持容量ライン122によって被覆されていない。また、第2の半導体層12の右側のエッジE5はコンタクト形成領域12Aからまず直線的に列方向に延び、その途中で行方向に直角に屈曲し、さらに列方向に屈曲して保持容量ライン122と交点P2で交差するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタと保持容量を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、図3に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素を備え、各画素は、薄膜トランジスタ110(以下、TFT110という。)、液晶LC及び保持容量Cscを有している。なお、図3は図示の簡単のために、2行2列の画素だけを示している。
【0003】
TFT110のゲートには、行方向に延びたゲートライン120が接続され、そのドレインには、列方向に延びたデータライン121が接続されている。各行のゲートライン120には垂直駆動回路130からゲート走査信号が順次供給され、これに応じてTFT110がオンする。また、データライン121には水平駆動回路140からのドレイン走査信号に応じて、ビデオ信号が供給され、TFT110を通して液晶LCに印加される。保持容量CscはTFT110を通して供給されるビデオ信号を保持するために用いられる。保持容量Cscはゲートライン120と同じ方向に延びる保持容量ライン122に接続されている。
【0004】
図4はこの液晶表示装置を第1の基板100の裏面から見た平面図、図5は図4のX1−X1線に沿った断面図である。図6は図4のY1−Y1線に沿った断面図である。
【0005】
TFT110の第1の半導体層10(例えば、ポリシリコン層からなる)は、第1の基板100(例えば、ガラス基板)上に、屈曲したパターンを有して形成されており、行方向に直線的に延びるゲートライン120と2箇所で交差している。これら2つの交差部分の第1の半導体層10中にチャネル領域10cが形成される。
【0006】
第1の半導体層10を被覆してゲート絶縁膜20が形成され、第1の半導体層10のチャネル領域10c上にゲート絶縁膜20を介してゲートライン120が形成されている。また、ゲートライン120は層間絶縁膜21によって覆われている。第1の半導体層10のドレイン領域10dは、ゲート絶縁膜20及び層間絶縁膜21に開口されたコンタクトホールC0を通して列方向に延びる上層のデータライン121に接続されている。
【0007】
また、第1の半導体層10に隣接して第2の半導体層12(例えば、ポリシリコン層からなる)が形成されている。第2の半導体層12上には行方向に延びる保持容量Cscの保持容量ライン122が交差している。第2の半導体層12を被覆してゲート絶縁膜20が形成され、このゲート絶縁膜20を介して保持容量ライン122が形成されている。第2の半導体層12と保持容量ライン122の間に挟まれたゲート絶縁膜20の部分は保持容量Cscの容量絶縁膜に相当するものである。
【0008】
第1の半導体層10のソース領域10s上のゲート絶縁膜20及び層間絶縁膜21に、コンタクトホールC1が開口されている。また、第2の半導体層12から、列方向に引き出されたコンタクト形成領域12A(第2の半導体領域12の一部である)上のゲート絶縁膜20及び層間絶縁膜21にコンタクトホールC2が開口されている。そして、コンタクトホールC1,C2を通して第1の半導体層10と第2の半導体層12のコンタクト領域12Aとを接続するメタル配線14が形成されている。このメタル配線14は、メタル配線14を覆って形成された平坦化絶縁膜22に設けられたコンタクトホールC3を通して上層の画素電極15に接続されている。
【0009】
画素電極15が形成された第1の基板100と対向して、第2の基板23(例えば、ガラス基板)が配置され、この第1の基板100と第2の基板23の間に液晶24が封入されている。また、第2の基板23の画素電極15と対向する表面には共通電極25が形成されている。
【特許文献1】特開2004−165214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の液晶表示装置では、図4及び図6に示すように、第2の半導体層12のエッジE1は保持容量ライン122の下に配置されている。すなわち、保持容量ライン122は第2の半導体層12のエッジを、ゲート絶縁膜20を介して被覆することになる。TFTの製造工程や液晶パネル製造工程において、静電気が画素電極15から入ると、静電気は画素電極15、メタル配線14を通して第2の半導体層12に入る。すると、第2の半導体層12と保持容量ライン122との間に大きな電界が発生し、特に第2の半導体層12のエッジE1を覆うゲート絶縁膜20の部分(図6において、Xで示す)に電界が集中して静電破壊を生じやすい。また、図4に示すように、第2の半導体層12の右側のエッジE4が保持容量ライン122と直線的に交差すると、その交点P1においても静電気による電界集中によってゲート絶縁膜20の静電破壊を生じやすい。
【0011】
静電破壊されたゲート絶縁膜20の部分にはリーク電流が流れるため、保持容量Cscによるビデオ信号の保持特性が悪化したり、表示パネル上では輝点や滅点のような欠陥となり、表示品位が低下するという問題があった。なお、ゲート絶縁膜20は通常、プラズマCVD法によって形成されるが、その膜厚は第2の半導体層12のエッジ上では薄くなる性質がある。このことからも、第2の半導体層12のエッジを覆うゲート絶縁膜20の部分が静電破壊を生じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の液晶表示装置は、第1の基板上に形成された第1の半導体層と、前記第1の基板上に形成された第2の半導体層と、前記第1及び第2の半導体層を被覆する絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成され前記第1の半導体層と交差して第1の方向に延びるゲートラインと、前記絶縁膜上に形成され前記第2の半導体層と交差して前記第1の方向に延びる保持容量ラインと、前記第1の半導体層上に形成された第1のコンタクトホールと、前記第2の半導体層から第2の方向に引き出されたコンタクト形成領域に形成された第2のコンタクトホールと、前記第1及び第2のコンタクトホールを通して前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とを接続するメタル配線と、前記メタル配線に接続された画素電極と、前記第1の基板と対向する第2の基板との間に封入された液晶とを備え、前記第2の半導体層の前記第1の方向に沿ったエッジは前記保持容量ラインの第1の方向に沿ったエッジより外側に配置され、かつ前記第2の半導体層のエッジは前記第1の方向から前記第2の方向に屈曲して前記保持容量ラインと交差することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液晶表示装置によれば、第2の半導体層と保持容量ラインとの間の絶縁膜の静電破壊が防止されるので、この絶縁膜のリークによるビデオ信号の保持特性の悪化や表示品位の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態に係る液晶表示装置について図1を参照しながら説明する。図1はこの液晶表示装置の一画素の平面図である。図2は図1のY2−Y2線に沿った断面図である。また、図1のX2−X2線に沿った断面図は図5と同様である。
【0015】
本実施形態によれば、第2の半導体層12の行方向(紙面上で左右方向)に沿ったエッジE2は、保持容量ライン122の行方向に沿ったエッジE3より外側に配置されている。この第2の半導体層12のエッジE2は、第1の半導体層10に近い側のエッジである。図2の断面図を見ると、第2の半導体層12のエッジE2を被覆しているゲート絶縁膜12の部分は、保持容量ライン122によって被覆されていない。
【0016】
したがって、TFTの製造工程や液晶パネル製造工程において、静電気が画素電極15から入り、静電気が画素電極15、メタル配線14を通して第2の半導体層12に入ったとしても、第2の半導体層12のエッジE2を覆うゲート絶縁膜20の部分(図2において、Xで示す)には従来例と比較して、電界が集中することがなく、このゲート絶縁膜20の部分における静電破壊を防止することができる。
【0017】
また、図4の液晶表示装置では、第2の半導体層12の右側のエッジE4はコンタクト形成領域12Aから直線的に列方向(紙面上で上下方向)へ延びて保持容量ライン122と交点P1で交差している。静電気が画素電極15からメタル配線14を通してコンタクト領域12Aに入ると、静電気により交点P1の電位が高くなり、この部分のゲート絶縁膜20が破壊されやすい。
【0018】
そこで、本実施形態では、第2の半導体層12の右側のエッジE5はコンタクト形成領域12Aからまず直線的に列方向に延び、その途中で行方向に直角に屈曲し、さらに列方向に屈曲して保持容量ライン122と交点P2で交差するようにしている。これにより、コンタクト形成領域12Aから交点P2までの距離は図4のコンタクト形成領域12Aから交点P1よりも大きくなり、交点P2の電位は比較的低く抑えられる。このため、この部分でのゲート絶縁膜20に印加される電圧も小さくなり、その静電破壊が防止される。
【0019】
ここで、図1に示すように、第2の半導体層12の列方向に沿ったエッジE6(第2の半導体層12の右側のエッジ)とコンタクト領域12Aの引き出し部のエッジE5との距離bは、第2の半導体層の行方向に沿ったエッジE2と保持容量ライン122の行方向に沿ったエッジE3との距離aより大きいことが交点P2でのゲート絶縁膜20の静電破壊の防止効果を高める上で好ましい。すなわち、b>aと設定することが好ましい。このように設定することにより、交点P2の電位を保持容量ライン122の行方向に沿ったエッジE3の電位より低く抑えることができるからである。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置は、第2の半導体層12と保持容量ライン122とのパターンレイアウト上の関係に特徴を有しており、その他の構成については、図4及び図3に示した従来例の液晶表示装置の構成と全く同じである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の画素の平面図である。
【図2】図1のY2−Y2線に沿った断面図である。
【図3】従来例の液晶表示装置の回路図である。
【図4】従来例の液晶表示装置の画素の平面図である。
【図5】図4のX1−X1線に沿った断面図である。
【図6】図4のY1−Y1線に沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に形成された第1の半導体層と、前記第1の基板上に形成された第2の半導体層と、前記第1及び第2の半導体層を被覆する絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成され前記第1の半導体層と交差して第1の方向に延びるゲートラインと、前記絶縁膜上に形成され前記第2の半導体層と交差して前記第1の方向に延びる保持容量ラインと、前記第1の半導体層上に形成された第1のコンタクトホールと、前記第2の半導体層から第2の方向に引き出されたコンタクト形成領域に形成された第2のコンタクトホールと、前記第1及び第2のコンタクトホールを通して前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とを接続するメタル配線と、前記メタル配線に接続された画素電極と、を備え、
前記第2の半導体層の前記第1の方向に沿ったエッジは前記保持容量ラインの第1の方向に沿ったエッジより外側に配置され、かつ前記第2の半導体層のエッジは前記第1の方向から前記第2の方向に屈曲して前記保持容量ラインと交差することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の半導体層の前記第2の方向に沿ったエッジと前記コンタクト領域の引き出し部のエッジとの距離は、前記第2の半導体層の前記第1の方向に沿ったエッジと前記保持容量ラインの第1の方向に沿ったエッジとの距離より大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記絶縁膜はゲート絶縁膜であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の基板と対向する第2の基板との間に封入された液晶を備えることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−17688(P2007−17688A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198869(P2005−198869)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】