表面検査方法および同装置
【課題】欠陥を深さを評価して、不良として扱う必要のない欠陥を判別し、収率の低下を防止することができる表面検査方法を提供する。
【解決手段】検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で表面欠陥の検出を行い、鋭い欠陥が検出されやすい検出態様である周囲より暗い黒欠陥としての検出回数や、なだらかな欠陥が検出されやすい検出態様である周囲より明るい白欠陥としての検出回数に基づいて欠陥深さを評価する。
【解決手段】検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で表面欠陥の検出を行い、鋭い欠陥が検出されやすい検出態様である周囲より暗い黒欠陥としての検出回数や、なだらかな欠陥が検出されやすい検出態様である周囲より明るい白欠陥としての検出回数に基づいて欠陥深さを評価する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面欠陥を検出する表面検査方法および同装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高い表面精度が求められる感光ドラム用基体等は、キズ、凹凸、異物付着および汚れ等の表面欠陥を検出するため、表面検査が行われている。
【0003】
このような表面検査方法として、たとえば下記特許文献1では、ストライプ状の明暗をもった照明を用いて正反射光量を減少させることにより、表面欠陥の検出精度の向上を図る方法が提案されている。
【0004】
また下記特許文献2では、微細チェッカーパターンを被検体に照明し、その反射光を撮影して得たチェッカーパターンのゆがみと、明部と暗部の明るさの変化の度合いによって表面欠陥を評価する方法が提案されている。
【0005】
また、下記特許文献3では、検査対象物を撮影して得た画像データから高周波成分画像データと低周波成分画像データを作成し、両者を用いて加工痕とそれ以外の傷や巣あるいは汚れ等とを区別する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平5−52766号公報
【特許文献2】特開2001−21332号公報
【特許文献3】特開2003−329605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、種々の原因によって発生する表面欠陥には、形状や大きさ等によって、光源やカメラの位置関係等の光学条件が極めて狭い範囲内に設定されていなければ検出されないことがある。このため、従来の各種の表面検査方法では、検査時の光学条件下では僅かな変化しか現れない欠陥を検出できずに流出されてしまうおそれがあった。
【0007】
また逆に、欠陥の種類、特に欠陥の深さによっては、たとえば検査後の工程で行われる表面処理等によって解消されるなど、不良として扱う必要のない場合もある。しかしながら、従来の表面検査方法では、欠陥の深さを判別できないために、欠陥が存在すればその種類によらず不良品とせざるを得ず、収率を低下させてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、欠陥を深さを評価することができる表面検査方法および同装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
[1]検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下における所定回数の表面欠陥の検出を行い、表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする表面検査方法。
【0010】
[2]周囲より暗い黒欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する前項1に記載の表面検査方法。
【0011】
[3]周囲より明るい白欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する前項1に記載の表面検査方法。
【0012】
[4]周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数との合計回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする前項1に記載の表面検査方法。
【0013】
[5]周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数と、前記黒欠陥および白欠陥としての検出回数の合計回数のうち、2種類以上の組合せに基づいて各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする前項1に記載の表面検査方法。
【0014】
[6]検査対象領域に照射される照明光を遮光体によって遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を形成する前項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【0015】
[7]複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、検査対象領域に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する前項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【0016】
[8]管体の外周面に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
管体の軸方向に沿ったカメラの検出領域に、照明光の入射角度が異なる領域を繰り返して形成し、
管体を軸回りに回転させながら、前記照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影することにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下での欠陥検出を行い、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする管体の表面検査方法。
【0017】
[9]複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、管体に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する前項8のいずれかに記載の表面検査方法。
【0018】
[10]前記照明光の入射角度が異なる領域とともに、前記カメラによる検出領域を前記管体の軸方向に移動させることを特徴とする前項8または9に記載の表面検査方法。
【0019】
[11]前記管体は、感光ドラム用基体であることを特徴とする前項8〜10のいずれかに記載の表面検査方法。
【0020】
[12]表面精度が求められる物品を成形する工程と、
前記物品を検査対象物として前項1〜11のいずれかに記載の表面検査方法を行う表面検査工程と、
前記表面検査工程において評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を判別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別工程と、
を備えたことを特徴とする物品の製造方法。
【0021】
[13]前項12に記載の物品の製造方法により製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
【0022】
[14]検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる領域を形成可能な照明系と、
前記照明系による照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を変化させながら、前記カメラにより検査対象領域の各部に対して照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【0023】
[15]表面精度が求められる物品を成形する成形手段と、
前記物品を検査対象とする前項14に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする製造システム。
【0024】
[16]管体の表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
管体の外周面に照明光を照射する照明と、
管体の軸方向に沿った検出領域における照明光の反射光を検出するカメラと、
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成され、照明光を管体の軸方向について断続的に遮ることにより、照明光の入射角度を制限して照明光の入射角度が異なる領域を繰り返し形成するスリット体と、
管体を軸回りに回転させながら、前記スリット体を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影させることにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする管体の表面検査装置。
【0025】
[17]表面精度が求められる管体を成形する成形手段と、
前記管体を検査対象物とする前項16に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
【発明の効果】
【0026】
上記発明[1]によると、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で表面欠陥の検出を行い、表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するため、検査対象領域内に存在する各種の欠陥をいずれかの光学条件下において発見することができるとともに、検出された回数から表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0027】
上記発明[2]によると、鋭い欠陥が検出されやすい検出態様である黒欠陥の検出回数に基づいて欠陥深さを評価するため、比較的浅い欠陥が多いなだらかな欠陥を排除して、比較的深い欠陥を好適に評価することができる。
【0028】
上記発明[3]によると、なだらかな欠陥が検出されやすい検出態様である白欠陥の検出回数に基づいて欠陥深さを評価するため、比較的浅い欠陥を好適に評価することができる。
【0029】
上記発明[4]によると、黒欠陥と白欠陥の合計検出回数に基づいて欠陥深さを評価するため、黒欠陥として検出される特性と有する欠陥と白欠陥として検出される特性を有する欠陥を評価することができる。
【0030】
上記発明[5]によると、黒欠陥の検出回数と白欠陥の検出回数と黒欠陥および白欠陥の合計検出回数との2種類以上の組合せに基づいて欠陥深さを評価するため、黒欠陥および白欠陥という各検出態様の特性を互いに補完してより正確に欠陥深さを評価することができる。
【0031】
上記発明[6]によると、検査対象領域に照射される照明光を遮光体によって遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を形成するため、容易に入射角度が種々に異なる光学条件を得ることができる。
【0032】
上記発明[7]によると、複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、検査対象領域に照射される照明光を断続的に遮るため、検査対象領域上に複数の光学条件の領域を容易に形成することができる。
【0033】
上記発明[8]によると、管体を軸回りに回転させながら、照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影するため、管体の外周面の各部に対して複数の光学条件を連続的に形成することができるとともに、照明光の入射角度の異なる複数の光学条件下での欠陥検出回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するため、外周面に存在する欠陥をいずれかの光学条件下において確実に発見し、発見した各表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0034】
上記発明[9]によると、複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、管体に照射される照明光を断続的に遮るため、照明光の入射角度が制限された複数の領域を容易に形成することができる。
【0035】
上記発明[10]によると、照明光の入射角度が異なる領域とともに、カメラによる検出領域を前記管体の軸方向に移動させるため、カメラの視野内における各光学条件の形成位置が変化せず、より正確に表面欠陥を検出してその深さを評価することができる。
【0036】
上記発明[11]によると、感光ドラム用基体に求められる表面状態を正確に評価して、好適な感光ドラム用基体の生産に寄与することができる。
【0037】
上記発明[12]によると、成形した物品を上記いずれかの表面検査方法で評価された欠陥の深さにより判別するため、不良品の流出を防止しながら、不良として扱う必要のない深さの欠陥を有する物品を不良品として収率を低下させてしまう事態を防止することができる。
【0038】
上記発明[13]によると、表面欠陥について所定の基準を満たす感光ドラム用基体を確保することができる。
【0039】
上記発明[14]によると、複数種類の光学条件下で表面欠陥の検出を行い、欠陥検出の検出回数に基づいて、検出された表面欠陥の深さを評価するため、検査対象領域内に存在する各種の欠陥をいずれかの光学条件下において発見することができるとともに、発見された各表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0040】
上記発明[15]によると、成形した物品を上記いずれかの表面検査方法で評価された欠陥の深さにより判別するため、不良品の流出を防止しながら、不良として扱う必要のない深さの欠陥を有する物品を不良品として収率を低下させてしまう事態を防止することができる。
【0041】
上記発明[16]によると、管体を軸回りに回転させながら、照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影するため、管体の外周面の各部に対して複数の光学条件を連続的に形成することができるとともに、照明光の入射角度の異なる複数の光学条件下での欠陥検出回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するため、外周面に存在する欠陥をいずれかの光学条件下において確実に発見し、発見した各表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0042】
上記発明[17]によると、成形した管体を上記いずれかの表面検査方法で評価された欠陥の深さにより判別するため、不良品の流出を防止しながら、不良として扱う必要のない深さの欠陥を有する管体を不良品として収率を低下させてしまう事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、模式的な説明図を参照しながら説明する。
【0044】
図1は、この第1実施形態にかかる表面検査装置(円筒体検査装置)の検査対象物とされる円筒体(管体)の斜視図である。
【0045】
<検査対象物>
この図1に示すように、円筒体(管体)90は、たとえば電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、FAX装置、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、現像ローラ、その他各部に利用されるものであり、その外周面91が表面検査の検査対象領域とされる。
【0046】
このような円筒体90としては、具体的には、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム用の素管や基体を挙げることができる。なお、感光ドラム用の基体とは、切削加工や引抜き加工等が行われた後の円筒体であって、感光層の形成前の円筒体をいう。また、感光ドラム用基体に感光層を形成した後の円筒体も、本発明の検査を行う対象たる円筒体とできる。感光ドラム用基体外周面の検査対象領域91は、金属光沢を有し、入射した光のほとんどを正反射する鏡面となっている。
【0047】
この表面検査装置の検査対象物とされる感光ドラム用基体は、たとえば直径が10〜60mm、長さ200〜500mm程度のものである。
【0048】
このような円筒体90の製造方法としては、後述するように、押出成形および引き抜き成形の組み合わせを挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、押出成形、引き抜き成形、鋳造、鍛造、射出成形、切削加工またはこれらの組み合わせなど、円筒体を製管できる方法であればよい。
【0049】
また、対象とする円筒体90の材質は特に限定されるものでなく、各種の金属材料の他、合成樹脂等を適用することができる。たとえば、アルミニウムおよびアルミニウム合金(1000〜7000系)、銅および銅合金、鋼材、マグネシウムおよびマグネシウム合金を挙げることができる。
【0050】
特に好ましい材質の例として、アルミニウム合金の3003合金、6061合金、6051合金および7075合金を挙げることができる。たとえば3003合金は好ましくは感光ドラム用基体として用いることができ、6061合金は好ましくは自動車部品であるプロペラシャフトとして用いることができ、6051合金は好ましくは一般機械部品として用いることができ、7075合金は好ましくはバット用素管として用いることができる。なお、本明細書中の「アルミニウム」はアルミニウム合金を含むものである。
【0051】
<全体構成>
図2は、本発明の第1実施形態にかかる表面検査装置の正面図である。図3は、同装置の平面図である。図4は、同装置の側面図である。
【0052】
この表面検査装置1は、図2に示すように、照明(光源)10、遮光体20、カメラ30、検査位置の円筒体(検査対象物)90を支持するチャック部70、各部を統括制御する管理コンピュータ80等を備えた検査装置本体2と、検査装置本体2に円筒体90を供給する円筒体供給コンベア51と、検査装置本体2から円筒体90を順次搬出する合格品搬出コンベア52および不合格品搬出コンベア53とを備えている。
【0053】
管理コンピュータ80は、CPU、RAMおよびROM等のメモリ、ハードディスク記憶装置、入出力手段、各部とのインタフェース等を備えたパーソナルコンピュータ等から構成され、機能的には、カメラ30によって撮像された画像を処理する画像処理手段、各部の駆動を制御する制御手段、さらに後述するように、表面欠陥の深さを評価する評価手段、および検査した管体(円筒体)を合否判別する判別手段とを備えている。
【0054】
円筒体供給コンベア51は、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台59…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台59…を図示しない駆動チェーンで移動させることにより、検査前の円筒体90を検査装置本体2に移送する。
【0055】
検査装置本体2の円筒体供給側(図2,図3の左側)には、円筒体90を両側端部から挟んで持ち上げて移送するコンベア間移載装置54が設けられており、円筒体供給コンベア51によって搬送されてきた円筒体90を、コンベア間移載装置54によって検査装置本体2内の搬送コンベア61に移載するようになっている。
【0056】
合格品搬出コンベア52および不合格品搬出コンベア53は、ともに、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台59…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台59…を図示しない駆動チェーンで移動させることにより、検査後の円筒体90を検査装置本体2から搬出する。また、合格品搬出コンベア52と不合格品搬出コンベア53をまたぐ位置には、不合格品払出ロボット56が設けられており、検査装置本体2における検査で不合格品と判定された円筒体90を、合格品搬出コンベア52上から不合格品搬出コンベア53上に送り出すようになっている。
【0057】
検査装置本体2の円筒体搬出側(図2,図3の右側)には、円筒体90を両側端部から挟んで持ち上げて移送するコンベア間移載装置55が設けられており、検査装置本体2内の搬送コンベア62上の円筒体90を、コンベア間移載装置55によって合格品搬出コンベア52に移載するようになっている。
【0058】
検査装置本体2内の搬送コンベア61,62は、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台63…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台63…を駆動チェーンで移動させることにより、検査直前および直後の円筒体90を移送する。
【0059】
<回転移送装置>
検査前後の搬送コンベア61,62の間には、円筒体90を検査位置Bに移送する回転移送装置64が配置されている。この回転移送装置64は、円筒体90を支持するチャック部70を複数(ここでは4個)備えている。
【0060】
各チャック部70…は、回転駆動モータ65の回転軸66に接続された回転フレーム67に取り付けられており、搬送コンベア61から円筒体90を取り出すの取出位置Aと、光源10、遮光体20およびカメラ30等の検査光学系による検査を実行する検査位置Bと、搬送コンベア62に円筒体90を送り出す送出位置Cとに同時に位置するチャック部70…が存在するように配置されている。
【0061】
そして、取出位置Aに位置するチャック部70は搬送コンベア61から検査前の円筒体90をチャックして取り出し、検査位置Bに位置するチャック部70は円筒体90を回転支持して表面検査を実行し、送出位置Cに位置するチャック部70は検査後の円筒体90のチャックを解除して搬送コンベア62に送り出す作業を、同時並行して行うことができるようになっている。また、取出位置Aから検査位置Bに移動するチャック部70は、検査位置Bに搬送するまでに円筒体90の回転が安定するように、予め円筒体90の回転駆動を開始するようになっており、これにより検査位置Cに到着すれば即座に表面検査を実行して、サイクルタイムの短縮を図ることができるようになっている。
【0062】
<チャック部>
図5は、第1実施形態におけるチャック部70の正面図である。図6は、同チャック部70の側面図である。
【0063】
これらの図に示すように、各チャック部70は、1つの基準ローラ71と、2つの支持ローラ72,72とを備えており、円筒体90の両側に配置された一対のチャック部70,70が協働して、1本の円筒体90をチャックするようになっている。
【0064】
各チャック部70における基準ローラ71は、検査位置Bにおける姿勢では、円筒体90の内周面の上側に接触してその高さ位置を規定する。基準ローラ71は、チャック部本体76に対して回転可能に取り付けられ、検査実行時に円筒体90とともに回転する。また、協働して1本の円筒体90をチャックする一対のチャック部70の一方には、基準ローラ回転駆動モータ73が設けられ、検査実行時に基準ローラ71を回転駆動することにより、円筒体90を回転させることができるようになっている。
【0065】
支持ローラ72,72は、検査位置Bにおける姿勢では、円筒体90の内周面の下側左右にそれぞれ接触し、エア駆動圧によって円筒体90を下方に付勢することにより、円筒体90の内周面の上側を確実に基準ローラ71に接触させて、その高さ位置を安定させる。また、支持ローラ72、72は、チャック部本体76に対して回転可能に取り付けられ、検査実行時には円筒体90とともに回転する。また、支持ローラ72,72は、図5,図6に破線と実線とで示すように、検査位置Bにおける姿勢では、上下方向に移動することにより基準ローラ71との距離を円筒体90の内径よりも小さくして、円筒体90をチャックする前後には基準ローラ71とともに円筒体90の内側に挿入することができるようになっている。これらの動作のため、各チャック部70…には、支持ローラ72,72をエア駆動圧によって上下に移動動作させる支持ローラ駆動部74が設けられている。
【0066】
基準ローラ71および支持ローラ72,72が取り付けられたチャック部本体76は、回転移送装置64の回転フレーム67に取り付けられたチャック部ベース77に対し、スライド駆動部75によって円筒体90の軸方向にスライド動作可能となっており、円筒体90を両外側から挟み込んでチャックすることができるようになっている。
【0067】
回転移送装置64およびチャック部70は、円筒体90を所定の検査位置Bで回転可能に支持する支持部を構成している。
【0068】
<照明(光源)>
照明(光源)10は、検査位置Bに搬送されてきた円筒体90の外表面に対して検査のための照明光を照射する。この照明10は、高輝度が得られる蛍光灯等のライン状光源から構成され、円筒体90の長手方向に沿った広がりを有している。この照明10は、図2に示すように、光源支持フレーム13によって、検査位置Bにある円筒体90のほぼ真上に配置され、照射する光を効率的に円筒体90側に向けるため、光源フード12によって下方以外が覆われている。
【0069】
この照明10は、所定の広がりを有し、拡散光を照射する光源を備えている。
【0070】
拡散光とは、光源から様々な方向に拡散して照射される光をいう。なお、拡散光でない光としては、平行光が挙げられる。平行光とは、光源から発せられた光を、例えばレンズまたはファイバーを用いて集光させ、方向性を持った光の束として照射されるようにしたものである。
【0071】
照明10の光源が所定の広がりを有するとは、光源が実質的に点光源でなく、拡散光を発する部位が一定の面積を有することをいう。
【0072】
このような所定の広がりを有し、拡散光を照射する照明10を用いれば、円筒体90の表面の各部位には、この照明10の各部から種々の方向の光が入射することとなる。
【0073】
<遮光体>
遮光体20は、光源10から照射される光の一部を遮光して、円筒体90の外周面91に明暗縞を形成することで種々の異なる光学条件を構成する。この遮光体20は照明10とともに照明系として機能している。
【0074】
図7は、第1実施形態における遮光体20の斜視図である。図7に示すように、第1実施形態の遮光体20は、複数のスリット孔状の透光部23…と、遮光部24…とが交互に繰り返すように形成されたスリット体から構成されている。
【0075】
透光部23および遮光部24の大きさは、適宜設定することができるが、たとえば、透光部23の幅(開口幅)aは1〜6mm程度、遮光部24の幅は3〜6mm程度が好ましい。
【0076】
この遮光体20は、図2〜図4に示すように、遮光体支持台25に取り付けられ、照明10と検査位置Bの円筒体90との間に常設配置されている。
【0077】
このような透光部23…および遮光部24…が形成された遮光体(スリット体)20を介し、所定の広がりを有し、拡散光を照射する照明10によって円筒体90を照明すると、円筒体90の表面では、部位によって遮光部24…により遮光される光量が異なることとなるため、到達光量が連続的に変化した明暗縞が形成されることになる。
【0078】
<カメラ>
カメラ30は、多数の光量検出要素が一次元的に配列されてなるラインセンサ32と、円筒体90の軸方向に延びる所定の検出領域31をラインセンサ32上に結像するレンズ等を備えたラインセンサカメラとして構成されており、検出領域31の各部から入射する光量を検出する。
【0079】
一般にラインセンサは、光を受光する感光部が一列だけに配置されたセンサで、エリア(2次元)センサと比べて、1ラインの画素数を多くできる点が大きな特長となる。エリアセンサでは、水平方向の画素数が高品位TV用でも例えば約1000画素程度であるが、ラインセンサでは、1000〜7500画素の画素数が容易に実現でき、近年では、画素数が10000画素を越えるセンサも登場しており、高い解像度を容易かつ安価に得ることができる。また、ラインセンサを用いることにより、エリアセンサに比べて画像を逐次処理することが可能であり、より高速の検査を実現できる利点もある。
【0080】
なお、ラインセンサ32は、一次元的な光量情報を検出できるものであればよく、一列の白黒ラインセンサでも、たとえばRGB等の各色用のセンサが合計3列に並べられたカラーラインセンサ、あるいは各色用のセンサを交互に配列してなるカラーラインセンサでもよい。さらに、ラインセンサの主たる配列方向とは垂直方向に複数列のセンサを配列したTDIラインセンサでもよい。あるいは、2次元的に配列されたセンサの特定の1または複数列のみを選択的に用いることで実質的にラインセンサとして利用されるパーシャルスキャンカメラ等であってもよい。
【0081】
このカメラ30は、その位置および角度を微調整可能なカメラ支持台34に取り付けられ、検査位置Bの円筒体90の外周面91のうち、軸方向に延びる所定の領域を検出領域31として狙っている。
【0082】
<スライドテーブル>
遮光体20が取り付けられる遮光体支持台25およびカメラ30が取り付けられるカメラ支持台34は、ともにスライドテーブル40上に取り付けられ、検査位置Bの円筒体90の軸方向についてスライド移動動作可能となっている。すなわち、スライドテーブル40は、本体フレームに固定されたスライドテーブル支持台42上をスライドコロ41によってスライド移動動作可能に支持され、スライド駆動モータ43によってスライド駆動されるようになっている。
【0083】
このスライド駆動動作のストロークは、遮光体20の透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和よりも大きく設定されている。具体的には、たとえば、透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和の1.1倍以上程度が好ましい。これにより、円筒体90の外周面の検査対象領域91の軸方向位置の全域が、遮光体20の透光部23および遮光部24の直下に位置する場合が実現されるようになっている。
【0084】
<表面検査の原理>
図8は、第1実施形態にかかる円筒体90の表面検査装置の要部の概略を表した側面図である。図9は、同斜視図である。
【0085】
図8に示すように、カメラ30は、円筒体90の曲率に応じて、遮光体20が存在しなければ常に光源10から円筒体90外周面の検査対象領域91に入射する光の正反射光を受光する位置に配置されている。
【0086】
また、カメラ30による検出領域31は、円筒体90の内周面側が基準ローラ71によって支持されている部分に対向する外周面91側部分となっている。この部分は、円筒体90の各部のうちで、基準ローラ71によって支持されているために最も位置および角度が安定する部分である。したがって、円筒体90の曲がり等の形状精度により、表面検査の結果に影響が及ぶことを低減することができる。
【0087】
また、カメラ30による検出領域31は基準ローラ71に対向する部分となっているため、サイズ(直径)が異なる円筒体90であっても、ほぼ同一の光学条件を構成することができる。とくに、円筒体90の厚みが同一であれば、検出領域31については実質的に同一の光学条件を構成することができる。したがって、種々のサイズの円筒体90の表面検査を行う場合であっても、段取り替えに要する手間および時間を最小限に抑え、効率的に表面検査を実行することができる。
【0088】
また、円筒体90は、その内周面側から支持されているため、基準ローラ71等が円筒体90の外周面91に影を生じるなどの表面検査への悪影響を低減することができる。
【0089】
また、図9に示すように、光源10は、円筒体90の軸方向に広がりを有し、下向きに種々の角度の光を照射するため、円筒体90外周面91の検査対象領域の各部位には遮光体20の透光部23を通過した種々の角度の光が入射するが、遮光体20の遮光部24…により入射する光の角度が制限されている。
【0090】
図10は、カメラから見た検査対象領域の各部位の光学条件の説明図である。図11は、カメラによって撮影された画像における各種光学条件の説明図である。図10に示すように、カメラ30から見ると、カメラ30の検出領域31には、表面欠陥がなければカメラ30に入射する正反射光が存在する明領域(正反射光領域)28と、正反射光が存在しない暗領域(正反射光制限領域)29とが形成されている。また、検出領域31には、明領域28と暗領域29の境界には、境界領域(際領域)27が含まれている。
【0091】
明領域28では、表面欠陥がなければカメラ30に正反射光が入射するが、表面欠陥があると反射角度が変化してカメラ30に捉えられなくなる。このため、表面欠陥が明領域28にあるとき、周囲より暗い欠陥(黒欠陥)として検出される場合が多い。このような黒欠陥として検出される表面欠陥は、反射角度を大きく変化させる鋭い欠陥である場合が多い。
【0092】
また、明領域28内であってもその部位によって照明光の入射角度(遮光部24により制限される方向)が異なる様々な光学条件が構成されているため、鋭い欠陥が明領域28内にあってもその深さをはじめとする種々の要因によって黒欠陥として検出される場合やされない場合がある。
【0093】
なお、明領域28であっても正常部の検出階調が飽和していなければ、正常部よりさらに明るい欠陥(白欠陥)が検出される場合もある。
【0094】
暗領域29では、表面欠陥がなければカメラ30に正反射光は入射しない。図12は、暗領域29内に表面欠陥が存在しない場合の説明図である。
【0095】
同図(a)に示すように、暗領域29内の特定の着目部位29aに着目すると、この着目部位29で反射してカメラ30に正反射光として入射するはずの光12aは遮光部24によって遮光されている。この着目部位29aには光源10から光12b、12cが入射しているが、着目部位29aに表面欠陥がなく正常であれば、これらの光12b、12cの正反射光13b、13cは斜め方向に向かい、カメラに正反射光として入射しない。したがって、カメラから見てこの着目部位29aは暗い。
【0096】
具体的には、図12(b)の受光量分布図に示すように、暗領域29では、カメラ30の受光量が少なくなっており、明領域28は正反射光が入射するので受光量が多く明るくなっている。明領域28と暗領域29の境界領域27は、光の回折等により明領域28から暗領域29へと受光量が連続的に変化している。なお、図12(b)において二点鎖線は、遮光部24がなかった場合の受光量を示している。
【0097】
図13は、暗領域29内に表面欠陥が存在する場合の説明図である。
【0098】
同図(a)に示すように、着目部位29aに表面欠陥があれば、その形状によっては光源10からの光12b、12cの正反射光がカメラに検出される真上に向く場合がある。ここでは着目部位29aに入射角度αで入射した光12bが真上に反射方向を変えている。このとき、カメラから見て当該着目部位29aが明るくなる。この部位29aはもともと暗領域29内にあるため、周辺の正常部からは正反射光が存在しないため、表面欠陥による正反射光は際立った光量として捉えられることになる。
【0099】
具体的には、図13(b)の受光量分布図に示すように、着目部位29aを含む暗領域29では表面欠陥がなければカメラによって検出される受光量が少なく、ここに表面欠陥によってカメラに入射する正反射光が生じれば、受光量分布図ではその周囲に対して際立った光量変化として確実に捉えられることになる。すなわち、明領域28のような周囲の正常部の正反射光に埋もれさせてしまうことなく、高いコントラストをもって表面欠陥を検出することができる。
【0100】
このように、表面欠陥が暗領域29にあるとき、周囲より明るい欠陥(白欠陥)として検出される場合が多い。このような白欠陥として検出される表面欠陥は、反射角度を僅かにしか変化させないなだらかな欠陥や比較的浅い欠陥である場合が多い。
【0101】
また、暗領域29内であってもその部位によって照明光の入射角度(遮光部24により制限される方向)が異なる様々な光学条件が構成されているため、なだらかな欠陥が暗領域29内にあってもその深さをはじめとする種々の要因によって白欠陥として検出される場合やされない場合がある。
【0102】
なお、暗領域29であっても正常部の検出階調が飽和していなければ、正常部よりさらに暗い欠陥(黒欠陥)が検出される場合もある。
【0103】
境界領域27は、明領域28と暗領域29の境界に位置するため、上述した明領域28および暗領域29の両方の性質があり、黒欠陥および白欠陥のいずれも検出される。
【0104】
以上のように、照明光の入射角度の異なる種々の光学条件下で欠陥検出を行うと、各種の表面欠陥はそのサイズ、深さ、鋭いあるいはなだらかといった形状等によって、欠陥として検出される光学条件や、検出されない光学条件がある。また、その種類によって黒欠陥として検出される場合や、白欠陥として検出される場合がある。
【0105】
そこで、この実施形態では、明領域28、暗領域29および境界領域27内に形成される複数の光学条件下で所定回数の欠陥検出を行ったとき、表面欠陥が検出された回数に基づいて、さらに黒欠陥として検出された回数や白欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するようになっている。具体的な判定方法については後述する。
【0106】
具体的な表面検査の実行は、検査位置Bに送り込まれ、基準ローラ70によって軸回りに回転駆動される円筒体90に対して、カメラ30により連続的にその外周面91を撮像することによって行われる。したがって、円筒体90の外周面91の各周方向位置が順次カメラ30の検出領域31となり、その全域を検査することができる。
【0107】
この円筒体90の回転速度は、検出したい欠陥サイズとカメラ30のラインセンサ取込速度に応じて設定される。すなわち、カメラ30によって撮影される検出領域31の実質的な幅は、円筒体90が回転している場合、ラインセンサ取込速度と円筒体90の回転速度に応じて決定されることになるが、この検出領域31の実質的な幅が、検出したい欠陥サイズより小さくなるように設定されている。
【0108】
具体的に検出される表面欠陥は、カメラの解像度30等にもよるが、たとえばミリオーダー、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダー等の種々の大きさや深さの欠陥、さらに凹み角度等の形状の異なる多様な欠陥を検出することができる。
【0109】
また、こうして円筒体90を回転させながら、遮光体20は円筒体90の軸方向について、遮光体20の透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和よりも大きなストロークでスライド移動動作する。このため、円筒体90の外周面91全域を明領域28および暗領域29、さらにこれらの境界領域27としてカメラ30の検出領域31に含れることとなり、外周面91の全域について微細な表面欠陥をも検出できる表面検査を行うことができる。
【0110】
図14は、円筒体を回転させながらカメラによって連続的に撮影して得られる画像の説明図である。この図において、横軸方向の各ラインが各瞬間にカメラ(ラインセンサ)30によって検出された検出領域31の明るさを示しており、管体90を回転させながら順次連続的に撮像を繰り返して得られた画像を縦軸方向に並べている。
【0111】
カメラ30は遮光体20とともにスライド移動動作するため、カメラ30から見ると常に同じ位置に同じ光学条件が形成されている。このため、後述するように、表面欠陥の検出を、単純な画像処理によって確実に行うことができる。
【0112】
また、このカメラ30による欠陥検出は、円筒体を複数回転(ここでは6回転)させる間、連続して行われている。このため、円筒体の外周面91上の各部は、円筒体90が複数回転して複数回、カメラ30の検出領域31に至る間に、明領域28,暗領域29および境界領域27という異なる光学条件下での欠陥検出が行われるようになっている。さらに、ここでは6回転させているため、明領域28であっても照明光の入射角度の制限が異なる光学条件や、境界領域27であっても暗領域29の右側と左側のように、制限される照明光の向きが異なる光学条件が構成されている。
【0113】
また、円筒体90を回転させながら遮光体20およびカメラ30が円筒体90の軸方向に移動するため、円筒体90の外周面91上の明領域28や暗領域29、さらにカメラ30の検出領域31は、円筒体90の外周面91上を螺旋状に移動することとなる。これをカメラ30側から見ると、円筒体90の各部は、各周回毎に、カメラ30の検出領域31内を移動することになる。具体的には、図14に示すように、円筒体90のある部位が、カメラ30の撮像画像では、1周目に位置A1に現れていたとすると、2周目では1周当たりのカメラ30のスライド量だけ横方向にずれた位置A2に現れ、以下各周毎に同じく横方向にずれた位置A3〜A6に現れることになる。これにより、円筒体90の外周面91上の各部位は、遮光体20およびカメラ30の移動により、円筒体90の一回転毎に異なる光学条件の下で表面検査されていることが分かる。
【0114】
以上のようなカメラ30により複数の光学条件下で円筒体を撮影する一連の動作は、管理コンピュータ80の制御手段によって制御され、実行されるようになっている。
【0115】
図15は、カメラによって撮像された画像から表面欠陥を検出するため、管理コンピュータ80の画像処理手段によって行われる画像処理工程の例を示す説明図である。
【0116】
図15(a)は、円筒体90を回転させながらカメラ30によって撮影された画像の例である。
【0117】
こうして得られる画像に対しては、まず欠陥検出を容易にするため、微分処理、積分処理、膨張処理、収縮処理などの画像処理を駆使して、暗領域29や境界領域27の微弱信号を強調する加工を行う。
【0118】
そして、明領域28や暗領域29がなす縞模様の中から表面欠陥を浮き立たせるため、差分処理を行う。図15(b)は差分処理を行った画像の例である。この差分処理は、各ラインのデータについて、以前の1または複数のラインの同位置のデータとの差分を算出し、その差分の大きさを濃淡で表現したものである。
【0119】
この実施形態では、上述したようにカメラ30は遮光体20とともに管体90の軸方向に移動するため、撮像画像では、明領域28、暗領域29および境界領域27の横方向位置が変化していない。これにより、撮影画像の上下の差を求めることで容易に差分処理を行うことができる。ちなみに、遮光体20とカメラ30を連動させない場合には、明領域28等は、図中で斜め方向に延びることになるため、両者の相対速度に応じて撮影画像では斜め方向に差分を求めればよい。
【0120】
差分処理を行った撮影画像からは、周囲に対して明るさの異なる欠陥(欠陥候補)を見出すことができ、見つかった欠陥の撮影画像を検討すれば、各欠陥が周囲に対して明るい白欠陥か周囲に対して暗い黒欠陥かを判別することができる。
【0121】
管理コンピュータ80の評価手段は、この検出された表面欠陥(候補)の欠陥深さを評価するようになっている。
【0122】
<欠陥検出の流れ>
図16は、欠陥検出の流れの一例を示すフローチャートである。
【0123】
検査対象とする円筒体90がセットされれば、まず黒欠陥を数える黒欠陥カウンタと白欠陥を数える白欠陥カウントをリセットし(ステップS10)、検査(欠陥探索)を開始する(ステップS12)。
【0124】
この実施形態では、上述したように円筒体90を6回転させる間連続してカメラで撮影して欠陥検出を行うが、欠陥が発見されなければ(ステップS16でNO)、この全域について完了するまで(ステップS14でYES)検査を続ける。
【0125】
そして欠陥が発見されると(ステップS16でYES)、その欠陥が現在の検査対象ととしている円筒体90において初めて見つかった欠陥であれば(ステップS18でYES)、着目する欠陥として着目アドレスを付与する(ステップS20)。着目アドレスとは、欠陥が発見された位置を示す座標値である。初めて見つかった欠陥でなければ(ステップS18でNO)既に着目アドレスが付与されているため、見つかった欠陥が既に付与された着目アドレスを当該周回数に応じてずらした位置にあることを確認することで、既に見つかっている欠陥が当該周回においても検出されたものであることが分かる。なお、着目アドレス毎(欠陥毎)に、上記黒欠陥カウンタおよび白欠陥カウンタは設定される。
【0126】
次に見つかった欠陥が黒欠陥であるか、白欠陥であるかを判断する(ステップS22)。具体的には上述したように、たとえば差分処理前の画像により、見つかった欠陥が周囲より明るいか暗いかによって判断できる。
【0127】
そして黒欠陥であれば当該着目アドレスの黒欠陥カウンタをインクリメントし(ステップS24)、白欠陥であれば白欠陥カウンタをインクリメントして(ステップS26)、検査(欠陥探索)に戻る。
【0128】
このようにすると、検査対象である円筒体全域の検査(欠陥検出)が完了すれば、見つかった欠陥はそれぞれ着目アドレスが付与されることで区別され、それぞれが黒欠陥として検出された回数と白欠陥として検出された回数が分かる。
【0129】
<深さ評価>
次に、この欠陥検出により、1つ以上の欠陥が見つかった円筒体(検査対象物)に対して、見つかった欠陥の深さを評価することにより、各円筒体の合否判定を行う場合について説明する。なお、欠陥が見つからなかった円筒体は以下の深さ評価を行うまでもなく表面欠陥の有無と言う観点からは合格評価となる。
【0130】
ここでは、所定の深さ以上の欠陥を有する円筒体を不合格とするものとする。そして、所定の深さ以上の欠陥を有する円筒体を合格としてしまう流出を確実に防止する一方、所定の深さ以下の欠陥のみを有する円筒体を不合格としてしてしまい、収率の低下を招くことを可及的に低減することを目標とする。
【0131】
各円筒体の合否判定は、最終的には管理コンピュータ80の判別手段によって行われるが、ここでは評価手段による欠陥の深さが所定深さ以上であるか否かの判断結果が、当該円筒体の合否判定となるため、この実施形態では判別手段は形骸化している。
【0132】
図17は、欠陥の深さ評価の流れの一例を示すフローチャートである。
【0133】
この深さ評価では、まず評価対象の円筒体において見つかった欠陥候補から1つを選定して(ステップS30)、その欠陥候補に対し、1次評価として黒欠陥の検出回数を評価する(ステップS32)。
【0134】
上述したように黒欠陥は周囲より暗く検出される欠陥であり、反射角度を大きく変化させる鋭い欠陥が検出されやすい検出態様である。そして比較的深い欠陥ほど多く光学条件下で黒欠陥として検出される傾向がある。このため、黒欠陥としての検出回数が多い欠陥は、浅い欠陥ではなく、深い欠陥である可能性が高い。
【0135】
図18は、種々の深さの欠陥が黒欠陥として検出された回数を示す例である。同図において各黒丸で示すマークは実際の各欠陥について検出実験を行った結果に対応しており、横軸は各欠陥の深さを表し、縦軸は、各欠陥を上述したように照明光の入射角度が異なる光学条件下で合計6回の欠陥検出を行った場合に、黒欠陥として検出された回数を示している。
【0136】
ここで、6μm以上の深さを有する欠陥を不合格とする場合を想定すると、深さ6μm以上の欠陥は、深さ7.5μmの唯一の例外Xを除けば黒欠陥として3回以上検出されている。また、黒欠陥として1回以下しか検出されない欠陥はすべて欠陥深さが6μm以下である。
【0137】
そこでこの実施形態では、1次評価(ステップS32)において、黒欠陥としての検出回数3回以上をしきい値として設定し、黒欠陥として3回以上検出されれば6μm以上の深い欠陥である可能性が高いとして、不合格評価とする(ステップS36)。なおここで不合格とされた円筒体には深さ6μm以下の欠陥しか有さないものも含まれているが、安全側に立ってのしきい値を設定したものである。
【0138】
また、1次評価(ステップS32)では、黒欠陥としての検出回数1回以下を合格数として設定し、黒欠陥として1回以下しか検出されなければ6μm以下の問題とならない欠陥であると評価する。そして、この円筒体について検出された欠陥候補のうち未評価の欠陥が残っていれば(ステップS34でYES)、次の欠陥候補を選出して深さ評価を繰り返す(ステップS30)。全ての欠陥候補について評価が完了していれば(ステップS34でNO)、当該円筒体を合格評価する(ステップS40)。
【0139】
さらに、1次評価では、黒欠陥としての検出回数2回を再評価数として設定し、稀に混じる不合格とすべき深い欠陥を見出すため、2次評価を行う(ステップS38)。
【0140】
2次評価(ステップS38)では、上述した黒欠陥に加え、白欠陥として検出された検出回数を加えて、黒欠陥および白欠陥としての合計検出回数によって評価する。
【0141】
上述したように白欠陥は周囲より明るく検出される欠陥であり、反射角度を僅かにしか変化させないなだらかな欠陥が検出されやすく、その多くは浅い欠陥であるが、なだらかな深い欠陥も検出される。このため、深い欠陥であれば、黒欠陥としての検出回数が少ない場合(2回)には、白欠陥としてある程度の回数は検出されると考えられる。
【0142】
図19は、種々の深さの欠陥が白欠陥および黒欠陥として検出された合計検出回数を示す例である。同図においても各黒丸で示すマークが実際の各欠陥に対応しており、縦軸は、黒欠陥および白欠陥として検出された合計回数を示している。なお、この図19では、上述した1次評価で再評価の対象となったものだけでなく、図18と同じ欠陥群についての結果を示している。
【0143】
深さ6μm以上の欠陥に着目すると、再評価の対象となった深さ7.5μmの欠陥を含め、全て白欠陥および黒欠陥の合計検出回数は4回以上となっている。
【0144】
そこでこの実施形態では、2次評価(ステップS38)において、白欠陥および黒欠陥としての合計検出回数4回以上をしきい値として設定し、1次評価において再評価対象とされた円筒体のうち、黒欠陥または白欠陥として合計4回以上検出されれば6μm以上の深い欠陥である可能性が高いとして、不合格評価とする(ステップS36)。なおここでも不合格とされた円筒体には深さ6μm以下の欠陥しか有さないものも含まれているが、安全側に立ってのしきい値を設定したものである。
【0145】
ところで、白欠陥および黒欠陥の合計検出回数のみに基づいて合否評価を行っても、深さ6μm以上の深い欠陥を有する円筒体を不合格として判別できるが、図19に示すように、深さ1μm程度の浅い欠陥が白欠陥として検出され易いために、不合格とする必要のない浅い欠陥のみを有する円筒体を多数不合格として収率を低下させるおそれがある。そこで上述のように、黒欠陥の検出回数によってかかる浅い欠陥を合格評価することにより、かかる事態を未然に防止している。
【0146】
以上のようにすれば、所望のたとえば6μm以上の深い欠陥を有する円筒体を確実に不合格として流出を防止しながら、浅い欠陥のみを有する円筒体を不合格として収率の低下を防止する事態を可及的に防止することができる。
【0147】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0148】
この第2実施形態は、上述した第1実施形態にかかる表面検査装置1を備えた円筒体90の製造システムである。
【0149】
図20は、第2実施形態にかかる円筒体の製造システム700の構成を示す機能ブロック図である。
【0150】
この製造システム700は、円筒体90を製管する製管装置710と、上述した円筒体の表面検査装置1と、表面検査装置1の検査結果を製管装置710にフィードバックするフィードバック部720とを備えている。
【0151】
製管装置710は、たとえば、アルミニウム合金の引抜き加工によって感光ドラム基体を製管する場合であれば、原料を溶解させて押出加工材料を製造する工程、押出工程、引抜工程、曲がり矯正工程、所定長さへの切断工程、粗洗浄工程、仕上げ洗浄工程等を実行する各機械装置の集合として構成されている。なお、製管装置710は、これらの全ての工程を行うものでなくてもよい。この製管装置710は、表面精度が求められる物品である円筒体を成形する成形手段として機能している。
【0152】
押出工程は、たとえばアルミニウム製のビレットを押出してアルミニウム押出素管を得る工程である。
【0153】
図21は、この押出工程を行う押出機の概略平面図である。押出機本体730から押し出されたアルミニウム押出素管740は、複数対配置された支持ローラ750…によって押出方向前方に搬送され、切断機760により所定長さRに切断される。
【0154】
図22は、押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。この押出ダイス770は、ポートホールダイスであり、771はダイス雌型、772はダイス雄型である。ダイス雌型771には中央部に貫通上の押出孔773が形成されるとともに、押出孔773の入口側の周面が円形のベアリング部774となされている。なお、775はレリーフ部である。一方、ダイス雄型772は、その中央部に断面円形の成型凸部776を有するとともに、成形凸部776の先端周面に円形のベアリング部777が形成されている。なお778は、アルミニウムビレットを通過させる通過孔である。そして、前記ダイス雌型771と前記ダイス雄型772とが組み合わされ、雄型772の成形凸部776先端が雌型771の押出孔773に望んで雌雄両型のベアリング部774,777が環状の成形間隙779を介して対向状の配置されている。
【0155】
なお、押出方式は特に限定されることはなく、ポートホールダイスを用いたものでもマンドレル押出でもよい。
【0156】
引抜き工程は、押出加工によって得られた所定長さのアルミニウム押出素管を引抜き加工してアルミニウム引抜管を得る工程である。
【0157】
図23は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。この引抜き機780は、たとえば、アルミニウム押出素管781を引抜きダイス782と引抜きプラグ783との間に通し、押出素管781先端に形成された口付け部784をキャリッジ部のチャック部785で掴んで該キャリッジ部を前方に移動させることにより、アルミニウム引抜き管786を得るようになっている。引抜きプラグ783は、ロッド787によって支持されている。このロッド787には1個または複数個の中子788がその略全長に亘って装着されており、この中子788は、押出素管781の内周面に当接して自重により押出素管781がたわむことを防止して、引抜きの初めから終わりまで押出素管781の軸線をダイス782の軸線に一致した状態に保持できるようになっている。また、引抜き加工中には、引抜きダイス782と押出素管781との間に潤滑油が供給されるようになっている。
【0158】
なお、この引抜き工程は、プラグを固定しない浮きプラグ引き方式によって引抜きを行うようにしてもよい。また、引抜きは、1回だけ行ってアルミニウム引抜き管を得るようにしてもよいが、引抜きを複数回繰り返し行って順次的に縮径し、もってアルミニウム引抜き管を得るようにするのが好ましい。とくに、引抜きを2回行ってアルミニウム引抜き管を得るのが好ましい。
【0159】
曲がり矯正工程は、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管の曲がりを矯正する工程である。具体的には、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管は、まず、その口付け部がプレス切断法により除去され、その後、ロール矯正機に投入され、内部の矯正ロールの作用で真っ直ぐに矯正される。
【0160】
図24は、口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。この切断機790は、アルミニウム引抜き管791の口付け部792側の端部を金型793,793の内方に挿入し、切断刃794を下降させることにより、該口付け部792を切断除去する。この切断は突切り刃によって行われるから切粉の発生はなく、切粉等がロール矯正機内に持ち込まれ、アルミニウム引抜き管791にキズがつくことがないようになっている。
【0161】
図25は、曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。このロール矯正機810は、その内部の矯正ローラ812の作用によって、口付け部が切除されたアルミニウム引抜き管811を真っ直ぐに矯正するようになっている。
【0162】
粗洗浄工程は、上記引抜き工程等においてアルミニウム引抜き管に付着した潤滑油等を除去する工程である。この粗洗浄工程は、たとえば脱脂力を有する溶剤を用いて行われる。具体的手法としては、特に限定されないが、たとえば浸漬法、シャワー法等が挙げられる。
【0163】
仕上げ洗浄工程は、好適には、たとえば超音波洗浄によって行われる。
【0164】
図26は、超音波洗浄機の一例を示す概念図である。この超音波洗浄機830は、洗浄増831に貯められた洗浄液832に被洗浄物である複数個のアルミニウム引抜き管833を浸漬しておき、振動子834によって洗浄液832中に超音波を送ることにより、被洗浄物であるアルミニウム引抜き管833を洗浄するものである。
【0165】
超音波の照射方式は特に限定されることはなく、上記投げ込み型のほか、接着型、振動伝達子型その他各種の洗浄機を用いることができる。また、洗浄液としては、一般には白灯油、軽油、アルカリ、界面活性剤あるいはトリクロロエチレンなどが用いられるが、これらに限定されることはなく、水系、炭化水素系、塩素系有機溶媒などを適宜用いればよい。
【0166】
上記のような押出工程、切断工程、引抜き工程、曲がり矯正工程、洗浄工程、仕上げ洗浄工程を経て得られた円筒体(アルミニウム引抜き管)90は、表面品質精度に優れ、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラム基体として好適である。
【0167】
こうして製管された円筒体(アルミニウム引抜き管)90は、上述した表面検査装置1においてその表面状態が所定の許容範囲内にあるか否かが検査され、この検査結果が所定の許容範囲内にあるのであれば、その円筒体90を完成品と判定する。
【0168】
また、表面検査装置1において、円筒体90に発生している不良の種類や特徴等が判別された場合には、この検査結果をフィードバック部720が製管装置710にフィードバックし、これにより不良管の発生を未然に防止するようになっている。
【0169】
こうして検査結果がフィードバックされた製管装置710においては、検査結果の内容に応じて、製管条件の設定に供される。具体的には、押出ダイスの取付状態や押出速度等の押出条件の設定、素管の選別、引抜きダイスの取付状態の確認や引抜き速度等の引抜き条件の設定、ロール矯正機におけるロール高さ調整や搬送速度等のロール矯正機条件が制御される。これにより、より確実に必要十分な表面精度を持った円筒体を得ることができるとともに、仮に不良管が発生した場合でも、速やかにこれに対応し、不良管の発生数を抑えることができる。
【0170】
このような製造システム700によれば、所定の形状精度を有する円筒体、および円筒体の集合を確実に得ることができる。
【0171】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、照明光の正反射光がカメラに入射する明領域や入射しない暗領域を形成したが、照明光の入射角度の異なる複数の光学条件が含まれていれば、明領域のみ、あるいは暗領域のみで複数の光学条件を設定してもよい。
【0172】
(2)上記実施形態では、検査対象領域の各部位を光学条件を変えながら6回検出するようにしたが、複数回であればよい。ただし、検出された欠陥の深さ評価の精度を確保する観点からは3回以上であることが好ましい。さらに、
検出された欠陥に対してたとえば浅い欠陥であるから不良品としない判断等を行う場合には、4回以上であることが好ましい。
【0173】
(3)上記実施形態では、1次評価と2次評価との2段階の評価の組合せによって合否判定をしたが、1回だけの評価でもよい。この場合、黒欠陥の検出回数のみ、白欠陥としての検出回数のみ、あるいは黒欠陥または白欠陥として検出された合計回数のみを評価対象とすることができる。
【0174】
また、2段階の評価の組合せとする場合であっても、1次評価で最終合否判定をせず、全ての欠陥候補について2次評価をするようにしてもよい。その場合、両評価の結果を総合的に判定して最終合否判定をすることができる。また、1次評価で合格判定のものについてのみ2次評価をしても、逆に1次評価で不合格判定のものについてのみ2次評価をしてもよい。
【0175】
またこのように2段階の評価を行う場合、1次評価および2次評価は、黒欠陥の検出回数、白欠陥の検出回数、黒欠陥または白欠陥の合計検出回数のいずれを組み合わせても、あるいは他の評価基準を採用して組み合わせてもよい。
【0176】
また、3段階以上の評価の組合せによって合否判定をしてもよい。
【0177】
(4)上記実施形態では、カメラをラインセンサカメラから構成したが、二次元的な広がりを有する撮像領域をもつエリアセンサや、特定の一点の光量を検出する光センサから構成されるカメラ等を採用してもよい。
【0178】
(5)上記実施形態では、遮光体を用いて暗領域および境界領域を形成したが、照明とカメラの角度関係により、反射光がカメラに直接検出されない暗領域を構成するようにしてもよい。
【0179】
(6)上記実施形態では、透光部および遮光部の光学特性が変化しないスリット体により明暗縞を形成したが、減光フィルター(NDフィルター)を用いたスリット体により、明部や暗部の光量を調整できるようにしてもよい。また、液晶パネルを用いたスリット体により、明部や暗部の光量を調整したり、遮光形態を連続的にまた自由に可変できるようにしてもよい。
【0180】
(7)上記実施形態では、1つの長尺の光源を用いたが、複数の光源を用いてもよい。
【0181】
(8)上記実施形態では、円筒体を回転させながら表面検査を行ったが、長尺平板材等を連続移動させながらその表面検査を行うようにしても良い。
【0182】
図27は、長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う例である。この例では、連続的に繰り出されるシート状の長尺平板材93に対し、平板材93の移動方向に対して斜めに形成された透光部623…および遮光部624…を有するスリット体62を介して光源61からの照明が平板材93上に照射されている。
【0183】
これにより、平板材93の各部位は繰り出し方向に移動するにつれて、明領域625…、暗領域626…およびそれらの境界領域を通過するようになっている。そして、ラインセンサを有する複数個のカメラ63…が、平板材の移動方向について異なる領域を検出領域631…となるように配置されていることにより、平板材93の各部位は、各カメラ63…の撮像により、明領域625…、暗領域626…および境界領域を含む種々の異なる光学条件下での検出が行われるようになっている。
【0184】
図28は、長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う別の例である。この例では、複数組の光源64およびスリット体65が平板材93の繰り出し方向に直交する幅方向について、異なる位置に明暗縞を形成するように配置されており、複数のカメラ66が各明暗縞ごとに検出領域661を受け持つように配置されることにより、平板材93の各部位が明領域655…、暗領域656…および境界領域を含む種々の異なる光学条件下での検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】第1実施形態にかかる表面検査装置の検査対象物たる円筒体の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる表面検査装置の正面図である。
【図3】同装置の平面図である。
【図4】同装置の側面図である。
【図5】第1実施形態におけるチャック部の正面図である。
【図6】同チャック部の側面図である。
【図7】第1実施形態における遮光体の斜視図である。
【図8】第1実施形態にかかる円筒体の表面検査装置の要部の概略を表した側面図である。
【図9】同斜視図である。
【図10】カメラから見た検査対象領域の各部位の光学条件の説明図である。
【図11】カメラによって撮影された画像における各種光学条件の説明図である。
【図12】暗領域内に表面欠陥が存在しない場合の説明図である。
【図13】暗領域内に表面欠陥が存在する場合の説明図である。
【図14】円筒体を回転させながらカメラによって連続的に撮影して得られる画像の説明図である。
【図15】画像処理装置によって行われる画像処理工程の例を示す説明図である。
【図16】欠陥検出の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】欠陥の深さ評価の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】種々の深さの欠陥が黒欠陥として検出された回数を示す例である。
【図19】種々の深さの欠陥が白欠陥および黒欠陥として検出された合計検出回数を示す例である。
【図20】第2実施形態にかかる円筒体の製造システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図21】押出工程を行う押出機の概略平面図である。
【図22】押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。
【図23】は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。
【図24】口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。
【図25】曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。
【図26】超音波洗浄機の一例を示す概念図である。
【図27】長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う例である。
【図28】長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う別の例である。
【符号の説明】
【0186】
10 照明
20 遮光体(スリット体)
23 透光部
24 遮光部
27 境界領域
28 明領域
29 暗領域
30 カメラ
31 検出領域
80 管理コンピュータ
90 円筒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面欠陥を検出する表面検査方法および同装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高い表面精度が求められる感光ドラム用基体等は、キズ、凹凸、異物付着および汚れ等の表面欠陥を検出するため、表面検査が行われている。
【0003】
このような表面検査方法として、たとえば下記特許文献1では、ストライプ状の明暗をもった照明を用いて正反射光量を減少させることにより、表面欠陥の検出精度の向上を図る方法が提案されている。
【0004】
また下記特許文献2では、微細チェッカーパターンを被検体に照明し、その反射光を撮影して得たチェッカーパターンのゆがみと、明部と暗部の明るさの変化の度合いによって表面欠陥を評価する方法が提案されている。
【0005】
また、下記特許文献3では、検査対象物を撮影して得た画像データから高周波成分画像データと低周波成分画像データを作成し、両者を用いて加工痕とそれ以外の傷や巣あるいは汚れ等とを区別する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平5−52766号公報
【特許文献2】特開2001−21332号公報
【特許文献3】特開2003−329605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、種々の原因によって発生する表面欠陥には、形状や大きさ等によって、光源やカメラの位置関係等の光学条件が極めて狭い範囲内に設定されていなければ検出されないことがある。このため、従来の各種の表面検査方法では、検査時の光学条件下では僅かな変化しか現れない欠陥を検出できずに流出されてしまうおそれがあった。
【0007】
また逆に、欠陥の種類、特に欠陥の深さによっては、たとえば検査後の工程で行われる表面処理等によって解消されるなど、不良として扱う必要のない場合もある。しかしながら、従来の表面検査方法では、欠陥の深さを判別できないために、欠陥が存在すればその種類によらず不良品とせざるを得ず、収率を低下させてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、欠陥を深さを評価することができる表面検査方法および同装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
[1]検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下における所定回数の表面欠陥の検出を行い、表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする表面検査方法。
【0010】
[2]周囲より暗い黒欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する前項1に記載の表面検査方法。
【0011】
[3]周囲より明るい白欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する前項1に記載の表面検査方法。
【0012】
[4]周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数との合計回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする前項1に記載の表面検査方法。
【0013】
[5]周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数と、前記黒欠陥および白欠陥としての検出回数の合計回数のうち、2種類以上の組合せに基づいて各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする前項1に記載の表面検査方法。
【0014】
[6]検査対象領域に照射される照明光を遮光体によって遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を形成する前項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【0015】
[7]複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、検査対象領域に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する前項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【0016】
[8]管体の外周面に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
管体の軸方向に沿ったカメラの検出領域に、照明光の入射角度が異なる領域を繰り返して形成し、
管体を軸回りに回転させながら、前記照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影することにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下での欠陥検出を行い、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする管体の表面検査方法。
【0017】
[9]複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、管体に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する前項8のいずれかに記載の表面検査方法。
【0018】
[10]前記照明光の入射角度が異なる領域とともに、前記カメラによる検出領域を前記管体の軸方向に移動させることを特徴とする前項8または9に記載の表面検査方法。
【0019】
[11]前記管体は、感光ドラム用基体であることを特徴とする前項8〜10のいずれかに記載の表面検査方法。
【0020】
[12]表面精度が求められる物品を成形する工程と、
前記物品を検査対象物として前項1〜11のいずれかに記載の表面検査方法を行う表面検査工程と、
前記表面検査工程において評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を判別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別工程と、
を備えたことを特徴とする物品の製造方法。
【0021】
[13]前項12に記載の物品の製造方法により製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
【0022】
[14]検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる領域を形成可能な照明系と、
前記照明系による照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を変化させながら、前記カメラにより検査対象領域の各部に対して照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【0023】
[15]表面精度が求められる物品を成形する成形手段と、
前記物品を検査対象とする前項14に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする製造システム。
【0024】
[16]管体の表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
管体の外周面に照明光を照射する照明と、
管体の軸方向に沿った検出領域における照明光の反射光を検出するカメラと、
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成され、照明光を管体の軸方向について断続的に遮ることにより、照明光の入射角度を制限して照明光の入射角度が異なる領域を繰り返し形成するスリット体と、
管体を軸回りに回転させながら、前記スリット体を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影させることにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする管体の表面検査装置。
【0025】
[17]表面精度が求められる管体を成形する成形手段と、
前記管体を検査対象物とする前項16に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
【発明の効果】
【0026】
上記発明[1]によると、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で表面欠陥の検出を行い、表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するため、検査対象領域内に存在する各種の欠陥をいずれかの光学条件下において発見することができるとともに、検出された回数から表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0027】
上記発明[2]によると、鋭い欠陥が検出されやすい検出態様である黒欠陥の検出回数に基づいて欠陥深さを評価するため、比較的浅い欠陥が多いなだらかな欠陥を排除して、比較的深い欠陥を好適に評価することができる。
【0028】
上記発明[3]によると、なだらかな欠陥が検出されやすい検出態様である白欠陥の検出回数に基づいて欠陥深さを評価するため、比較的浅い欠陥を好適に評価することができる。
【0029】
上記発明[4]によると、黒欠陥と白欠陥の合計検出回数に基づいて欠陥深さを評価するため、黒欠陥として検出される特性と有する欠陥と白欠陥として検出される特性を有する欠陥を評価することができる。
【0030】
上記発明[5]によると、黒欠陥の検出回数と白欠陥の検出回数と黒欠陥および白欠陥の合計検出回数との2種類以上の組合せに基づいて欠陥深さを評価するため、黒欠陥および白欠陥という各検出態様の特性を互いに補完してより正確に欠陥深さを評価することができる。
【0031】
上記発明[6]によると、検査対象領域に照射される照明光を遮光体によって遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を形成するため、容易に入射角度が種々に異なる光学条件を得ることができる。
【0032】
上記発明[7]によると、複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、検査対象領域に照射される照明光を断続的に遮るため、検査対象領域上に複数の光学条件の領域を容易に形成することができる。
【0033】
上記発明[8]によると、管体を軸回りに回転させながら、照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影するため、管体の外周面の各部に対して複数の光学条件を連続的に形成することができるとともに、照明光の入射角度の異なる複数の光学条件下での欠陥検出回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するため、外周面に存在する欠陥をいずれかの光学条件下において確実に発見し、発見した各表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0034】
上記発明[9]によると、複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、管体に照射される照明光を断続的に遮るため、照明光の入射角度が制限された複数の領域を容易に形成することができる。
【0035】
上記発明[10]によると、照明光の入射角度が異なる領域とともに、カメラによる検出領域を前記管体の軸方向に移動させるため、カメラの視野内における各光学条件の形成位置が変化せず、より正確に表面欠陥を検出してその深さを評価することができる。
【0036】
上記発明[11]によると、感光ドラム用基体に求められる表面状態を正確に評価して、好適な感光ドラム用基体の生産に寄与することができる。
【0037】
上記発明[12]によると、成形した物品を上記いずれかの表面検査方法で評価された欠陥の深さにより判別するため、不良品の流出を防止しながら、不良として扱う必要のない深さの欠陥を有する物品を不良品として収率を低下させてしまう事態を防止することができる。
【0038】
上記発明[13]によると、表面欠陥について所定の基準を満たす感光ドラム用基体を確保することができる。
【0039】
上記発明[14]によると、複数種類の光学条件下で表面欠陥の検出を行い、欠陥検出の検出回数に基づいて、検出された表面欠陥の深さを評価するため、検査対象領域内に存在する各種の欠陥をいずれかの光学条件下において発見することができるとともに、発見された各表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0040】
上記発明[15]によると、成形した物品を上記いずれかの表面検査方法で評価された欠陥の深さにより判別するため、不良品の流出を防止しながら、不良として扱う必要のない深さの欠陥を有する物品を不良品として収率を低下させてしまう事態を防止することができる。
【0041】
上記発明[16]によると、管体を軸回りに回転させながら、照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影するため、管体の外周面の各部に対して複数の光学条件を連続的に形成することができるとともに、照明光の入射角度の異なる複数の光学条件下での欠陥検出回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するため、外周面に存在する欠陥をいずれかの光学条件下において確実に発見し、発見した各表面欠陥の深さを容易に評価することができる。
【0042】
上記発明[17]によると、成形した管体を上記いずれかの表面検査方法で評価された欠陥の深さにより判別するため、不良品の流出を防止しながら、不良として扱う必要のない深さの欠陥を有する管体を不良品として収率を低下させてしまう事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、模式的な説明図を参照しながら説明する。
【0044】
図1は、この第1実施形態にかかる表面検査装置(円筒体検査装置)の検査対象物とされる円筒体(管体)の斜視図である。
【0045】
<検査対象物>
この図1に示すように、円筒体(管体)90は、たとえば電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、FAX装置、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、現像ローラ、その他各部に利用されるものであり、その外周面91が表面検査の検査対象領域とされる。
【0046】
このような円筒体90としては、具体的には、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム用の素管や基体を挙げることができる。なお、感光ドラム用の基体とは、切削加工や引抜き加工等が行われた後の円筒体であって、感光層の形成前の円筒体をいう。また、感光ドラム用基体に感光層を形成した後の円筒体も、本発明の検査を行う対象たる円筒体とできる。感光ドラム用基体外周面の検査対象領域91は、金属光沢を有し、入射した光のほとんどを正反射する鏡面となっている。
【0047】
この表面検査装置の検査対象物とされる感光ドラム用基体は、たとえば直径が10〜60mm、長さ200〜500mm程度のものである。
【0048】
このような円筒体90の製造方法としては、後述するように、押出成形および引き抜き成形の組み合わせを挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、押出成形、引き抜き成形、鋳造、鍛造、射出成形、切削加工またはこれらの組み合わせなど、円筒体を製管できる方法であればよい。
【0049】
また、対象とする円筒体90の材質は特に限定されるものでなく、各種の金属材料の他、合成樹脂等を適用することができる。たとえば、アルミニウムおよびアルミニウム合金(1000〜7000系)、銅および銅合金、鋼材、マグネシウムおよびマグネシウム合金を挙げることができる。
【0050】
特に好ましい材質の例として、アルミニウム合金の3003合金、6061合金、6051合金および7075合金を挙げることができる。たとえば3003合金は好ましくは感光ドラム用基体として用いることができ、6061合金は好ましくは自動車部品であるプロペラシャフトとして用いることができ、6051合金は好ましくは一般機械部品として用いることができ、7075合金は好ましくはバット用素管として用いることができる。なお、本明細書中の「アルミニウム」はアルミニウム合金を含むものである。
【0051】
<全体構成>
図2は、本発明の第1実施形態にかかる表面検査装置の正面図である。図3は、同装置の平面図である。図4は、同装置の側面図である。
【0052】
この表面検査装置1は、図2に示すように、照明(光源)10、遮光体20、カメラ30、検査位置の円筒体(検査対象物)90を支持するチャック部70、各部を統括制御する管理コンピュータ80等を備えた検査装置本体2と、検査装置本体2に円筒体90を供給する円筒体供給コンベア51と、検査装置本体2から円筒体90を順次搬出する合格品搬出コンベア52および不合格品搬出コンベア53とを備えている。
【0053】
管理コンピュータ80は、CPU、RAMおよびROM等のメモリ、ハードディスク記憶装置、入出力手段、各部とのインタフェース等を備えたパーソナルコンピュータ等から構成され、機能的には、カメラ30によって撮像された画像を処理する画像処理手段、各部の駆動を制御する制御手段、さらに後述するように、表面欠陥の深さを評価する評価手段、および検査した管体(円筒体)を合否判別する判別手段とを備えている。
【0054】
円筒体供給コンベア51は、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台59…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台59…を図示しない駆動チェーンで移動させることにより、検査前の円筒体90を検査装置本体2に移送する。
【0055】
検査装置本体2の円筒体供給側(図2,図3の左側)には、円筒体90を両側端部から挟んで持ち上げて移送するコンベア間移載装置54が設けられており、円筒体供給コンベア51によって搬送されてきた円筒体90を、コンベア間移載装置54によって検査装置本体2内の搬送コンベア61に移載するようになっている。
【0056】
合格品搬出コンベア52および不合格品搬出コンベア53は、ともに、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台59…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台59…を図示しない駆動チェーンで移動させることにより、検査後の円筒体90を検査装置本体2から搬出する。また、合格品搬出コンベア52と不合格品搬出コンベア53をまたぐ位置には、不合格品払出ロボット56が設けられており、検査装置本体2における検査で不合格品と判定された円筒体90を、合格品搬出コンベア52上から不合格品搬出コンベア53上に送り出すようになっている。
【0057】
検査装置本体2の円筒体搬出側(図2,図3の右側)には、円筒体90を両側端部から挟んで持ち上げて移送するコンベア間移載装置55が設けられており、検査装置本体2内の搬送コンベア62上の円筒体90を、コンベア間移載装置55によって合格品搬出コンベア52に移載するようになっている。
【0058】
検査装置本体2内の搬送コンベア61,62は、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台63…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台63…を駆動チェーンで移動させることにより、検査直前および直後の円筒体90を移送する。
【0059】
<回転移送装置>
検査前後の搬送コンベア61,62の間には、円筒体90を検査位置Bに移送する回転移送装置64が配置されている。この回転移送装置64は、円筒体90を支持するチャック部70を複数(ここでは4個)備えている。
【0060】
各チャック部70…は、回転駆動モータ65の回転軸66に接続された回転フレーム67に取り付けられており、搬送コンベア61から円筒体90を取り出すの取出位置Aと、光源10、遮光体20およびカメラ30等の検査光学系による検査を実行する検査位置Bと、搬送コンベア62に円筒体90を送り出す送出位置Cとに同時に位置するチャック部70…が存在するように配置されている。
【0061】
そして、取出位置Aに位置するチャック部70は搬送コンベア61から検査前の円筒体90をチャックして取り出し、検査位置Bに位置するチャック部70は円筒体90を回転支持して表面検査を実行し、送出位置Cに位置するチャック部70は検査後の円筒体90のチャックを解除して搬送コンベア62に送り出す作業を、同時並行して行うことができるようになっている。また、取出位置Aから検査位置Bに移動するチャック部70は、検査位置Bに搬送するまでに円筒体90の回転が安定するように、予め円筒体90の回転駆動を開始するようになっており、これにより検査位置Cに到着すれば即座に表面検査を実行して、サイクルタイムの短縮を図ることができるようになっている。
【0062】
<チャック部>
図5は、第1実施形態におけるチャック部70の正面図である。図6は、同チャック部70の側面図である。
【0063】
これらの図に示すように、各チャック部70は、1つの基準ローラ71と、2つの支持ローラ72,72とを備えており、円筒体90の両側に配置された一対のチャック部70,70が協働して、1本の円筒体90をチャックするようになっている。
【0064】
各チャック部70における基準ローラ71は、検査位置Bにおける姿勢では、円筒体90の内周面の上側に接触してその高さ位置を規定する。基準ローラ71は、チャック部本体76に対して回転可能に取り付けられ、検査実行時に円筒体90とともに回転する。また、協働して1本の円筒体90をチャックする一対のチャック部70の一方には、基準ローラ回転駆動モータ73が設けられ、検査実行時に基準ローラ71を回転駆動することにより、円筒体90を回転させることができるようになっている。
【0065】
支持ローラ72,72は、検査位置Bにおける姿勢では、円筒体90の内周面の下側左右にそれぞれ接触し、エア駆動圧によって円筒体90を下方に付勢することにより、円筒体90の内周面の上側を確実に基準ローラ71に接触させて、その高さ位置を安定させる。また、支持ローラ72、72は、チャック部本体76に対して回転可能に取り付けられ、検査実行時には円筒体90とともに回転する。また、支持ローラ72,72は、図5,図6に破線と実線とで示すように、検査位置Bにおける姿勢では、上下方向に移動することにより基準ローラ71との距離を円筒体90の内径よりも小さくして、円筒体90をチャックする前後には基準ローラ71とともに円筒体90の内側に挿入することができるようになっている。これらの動作のため、各チャック部70…には、支持ローラ72,72をエア駆動圧によって上下に移動動作させる支持ローラ駆動部74が設けられている。
【0066】
基準ローラ71および支持ローラ72,72が取り付けられたチャック部本体76は、回転移送装置64の回転フレーム67に取り付けられたチャック部ベース77に対し、スライド駆動部75によって円筒体90の軸方向にスライド動作可能となっており、円筒体90を両外側から挟み込んでチャックすることができるようになっている。
【0067】
回転移送装置64およびチャック部70は、円筒体90を所定の検査位置Bで回転可能に支持する支持部を構成している。
【0068】
<照明(光源)>
照明(光源)10は、検査位置Bに搬送されてきた円筒体90の外表面に対して検査のための照明光を照射する。この照明10は、高輝度が得られる蛍光灯等のライン状光源から構成され、円筒体90の長手方向に沿った広がりを有している。この照明10は、図2に示すように、光源支持フレーム13によって、検査位置Bにある円筒体90のほぼ真上に配置され、照射する光を効率的に円筒体90側に向けるため、光源フード12によって下方以外が覆われている。
【0069】
この照明10は、所定の広がりを有し、拡散光を照射する光源を備えている。
【0070】
拡散光とは、光源から様々な方向に拡散して照射される光をいう。なお、拡散光でない光としては、平行光が挙げられる。平行光とは、光源から発せられた光を、例えばレンズまたはファイバーを用いて集光させ、方向性を持った光の束として照射されるようにしたものである。
【0071】
照明10の光源が所定の広がりを有するとは、光源が実質的に点光源でなく、拡散光を発する部位が一定の面積を有することをいう。
【0072】
このような所定の広がりを有し、拡散光を照射する照明10を用いれば、円筒体90の表面の各部位には、この照明10の各部から種々の方向の光が入射することとなる。
【0073】
<遮光体>
遮光体20は、光源10から照射される光の一部を遮光して、円筒体90の外周面91に明暗縞を形成することで種々の異なる光学条件を構成する。この遮光体20は照明10とともに照明系として機能している。
【0074】
図7は、第1実施形態における遮光体20の斜視図である。図7に示すように、第1実施形態の遮光体20は、複数のスリット孔状の透光部23…と、遮光部24…とが交互に繰り返すように形成されたスリット体から構成されている。
【0075】
透光部23および遮光部24の大きさは、適宜設定することができるが、たとえば、透光部23の幅(開口幅)aは1〜6mm程度、遮光部24の幅は3〜6mm程度が好ましい。
【0076】
この遮光体20は、図2〜図4に示すように、遮光体支持台25に取り付けられ、照明10と検査位置Bの円筒体90との間に常設配置されている。
【0077】
このような透光部23…および遮光部24…が形成された遮光体(スリット体)20を介し、所定の広がりを有し、拡散光を照射する照明10によって円筒体90を照明すると、円筒体90の表面では、部位によって遮光部24…により遮光される光量が異なることとなるため、到達光量が連続的に変化した明暗縞が形成されることになる。
【0078】
<カメラ>
カメラ30は、多数の光量検出要素が一次元的に配列されてなるラインセンサ32と、円筒体90の軸方向に延びる所定の検出領域31をラインセンサ32上に結像するレンズ等を備えたラインセンサカメラとして構成されており、検出領域31の各部から入射する光量を検出する。
【0079】
一般にラインセンサは、光を受光する感光部が一列だけに配置されたセンサで、エリア(2次元)センサと比べて、1ラインの画素数を多くできる点が大きな特長となる。エリアセンサでは、水平方向の画素数が高品位TV用でも例えば約1000画素程度であるが、ラインセンサでは、1000〜7500画素の画素数が容易に実現でき、近年では、画素数が10000画素を越えるセンサも登場しており、高い解像度を容易かつ安価に得ることができる。また、ラインセンサを用いることにより、エリアセンサに比べて画像を逐次処理することが可能であり、より高速の検査を実現できる利点もある。
【0080】
なお、ラインセンサ32は、一次元的な光量情報を検出できるものであればよく、一列の白黒ラインセンサでも、たとえばRGB等の各色用のセンサが合計3列に並べられたカラーラインセンサ、あるいは各色用のセンサを交互に配列してなるカラーラインセンサでもよい。さらに、ラインセンサの主たる配列方向とは垂直方向に複数列のセンサを配列したTDIラインセンサでもよい。あるいは、2次元的に配列されたセンサの特定の1または複数列のみを選択的に用いることで実質的にラインセンサとして利用されるパーシャルスキャンカメラ等であってもよい。
【0081】
このカメラ30は、その位置および角度を微調整可能なカメラ支持台34に取り付けられ、検査位置Bの円筒体90の外周面91のうち、軸方向に延びる所定の領域を検出領域31として狙っている。
【0082】
<スライドテーブル>
遮光体20が取り付けられる遮光体支持台25およびカメラ30が取り付けられるカメラ支持台34は、ともにスライドテーブル40上に取り付けられ、検査位置Bの円筒体90の軸方向についてスライド移動動作可能となっている。すなわち、スライドテーブル40は、本体フレームに固定されたスライドテーブル支持台42上をスライドコロ41によってスライド移動動作可能に支持され、スライド駆動モータ43によってスライド駆動されるようになっている。
【0083】
このスライド駆動動作のストロークは、遮光体20の透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和よりも大きく設定されている。具体的には、たとえば、透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和の1.1倍以上程度が好ましい。これにより、円筒体90の外周面の検査対象領域91の軸方向位置の全域が、遮光体20の透光部23および遮光部24の直下に位置する場合が実現されるようになっている。
【0084】
<表面検査の原理>
図8は、第1実施形態にかかる円筒体90の表面検査装置の要部の概略を表した側面図である。図9は、同斜視図である。
【0085】
図8に示すように、カメラ30は、円筒体90の曲率に応じて、遮光体20が存在しなければ常に光源10から円筒体90外周面の検査対象領域91に入射する光の正反射光を受光する位置に配置されている。
【0086】
また、カメラ30による検出領域31は、円筒体90の内周面側が基準ローラ71によって支持されている部分に対向する外周面91側部分となっている。この部分は、円筒体90の各部のうちで、基準ローラ71によって支持されているために最も位置および角度が安定する部分である。したがって、円筒体90の曲がり等の形状精度により、表面検査の結果に影響が及ぶことを低減することができる。
【0087】
また、カメラ30による検出領域31は基準ローラ71に対向する部分となっているため、サイズ(直径)が異なる円筒体90であっても、ほぼ同一の光学条件を構成することができる。とくに、円筒体90の厚みが同一であれば、検出領域31については実質的に同一の光学条件を構成することができる。したがって、種々のサイズの円筒体90の表面検査を行う場合であっても、段取り替えに要する手間および時間を最小限に抑え、効率的に表面検査を実行することができる。
【0088】
また、円筒体90は、その内周面側から支持されているため、基準ローラ71等が円筒体90の外周面91に影を生じるなどの表面検査への悪影響を低減することができる。
【0089】
また、図9に示すように、光源10は、円筒体90の軸方向に広がりを有し、下向きに種々の角度の光を照射するため、円筒体90外周面91の検査対象領域の各部位には遮光体20の透光部23を通過した種々の角度の光が入射するが、遮光体20の遮光部24…により入射する光の角度が制限されている。
【0090】
図10は、カメラから見た検査対象領域の各部位の光学条件の説明図である。図11は、カメラによって撮影された画像における各種光学条件の説明図である。図10に示すように、カメラ30から見ると、カメラ30の検出領域31には、表面欠陥がなければカメラ30に入射する正反射光が存在する明領域(正反射光領域)28と、正反射光が存在しない暗領域(正反射光制限領域)29とが形成されている。また、検出領域31には、明領域28と暗領域29の境界には、境界領域(際領域)27が含まれている。
【0091】
明領域28では、表面欠陥がなければカメラ30に正反射光が入射するが、表面欠陥があると反射角度が変化してカメラ30に捉えられなくなる。このため、表面欠陥が明領域28にあるとき、周囲より暗い欠陥(黒欠陥)として検出される場合が多い。このような黒欠陥として検出される表面欠陥は、反射角度を大きく変化させる鋭い欠陥である場合が多い。
【0092】
また、明領域28内であってもその部位によって照明光の入射角度(遮光部24により制限される方向)が異なる様々な光学条件が構成されているため、鋭い欠陥が明領域28内にあってもその深さをはじめとする種々の要因によって黒欠陥として検出される場合やされない場合がある。
【0093】
なお、明領域28であっても正常部の検出階調が飽和していなければ、正常部よりさらに明るい欠陥(白欠陥)が検出される場合もある。
【0094】
暗領域29では、表面欠陥がなければカメラ30に正反射光は入射しない。図12は、暗領域29内に表面欠陥が存在しない場合の説明図である。
【0095】
同図(a)に示すように、暗領域29内の特定の着目部位29aに着目すると、この着目部位29で反射してカメラ30に正反射光として入射するはずの光12aは遮光部24によって遮光されている。この着目部位29aには光源10から光12b、12cが入射しているが、着目部位29aに表面欠陥がなく正常であれば、これらの光12b、12cの正反射光13b、13cは斜め方向に向かい、カメラに正反射光として入射しない。したがって、カメラから見てこの着目部位29aは暗い。
【0096】
具体的には、図12(b)の受光量分布図に示すように、暗領域29では、カメラ30の受光量が少なくなっており、明領域28は正反射光が入射するので受光量が多く明るくなっている。明領域28と暗領域29の境界領域27は、光の回折等により明領域28から暗領域29へと受光量が連続的に変化している。なお、図12(b)において二点鎖線は、遮光部24がなかった場合の受光量を示している。
【0097】
図13は、暗領域29内に表面欠陥が存在する場合の説明図である。
【0098】
同図(a)に示すように、着目部位29aに表面欠陥があれば、その形状によっては光源10からの光12b、12cの正反射光がカメラに検出される真上に向く場合がある。ここでは着目部位29aに入射角度αで入射した光12bが真上に反射方向を変えている。このとき、カメラから見て当該着目部位29aが明るくなる。この部位29aはもともと暗領域29内にあるため、周辺の正常部からは正反射光が存在しないため、表面欠陥による正反射光は際立った光量として捉えられることになる。
【0099】
具体的には、図13(b)の受光量分布図に示すように、着目部位29aを含む暗領域29では表面欠陥がなければカメラによって検出される受光量が少なく、ここに表面欠陥によってカメラに入射する正反射光が生じれば、受光量分布図ではその周囲に対して際立った光量変化として確実に捉えられることになる。すなわち、明領域28のような周囲の正常部の正反射光に埋もれさせてしまうことなく、高いコントラストをもって表面欠陥を検出することができる。
【0100】
このように、表面欠陥が暗領域29にあるとき、周囲より明るい欠陥(白欠陥)として検出される場合が多い。このような白欠陥として検出される表面欠陥は、反射角度を僅かにしか変化させないなだらかな欠陥や比較的浅い欠陥である場合が多い。
【0101】
また、暗領域29内であってもその部位によって照明光の入射角度(遮光部24により制限される方向)が異なる様々な光学条件が構成されているため、なだらかな欠陥が暗領域29内にあってもその深さをはじめとする種々の要因によって白欠陥として検出される場合やされない場合がある。
【0102】
なお、暗領域29であっても正常部の検出階調が飽和していなければ、正常部よりさらに暗い欠陥(黒欠陥)が検出される場合もある。
【0103】
境界領域27は、明領域28と暗領域29の境界に位置するため、上述した明領域28および暗領域29の両方の性質があり、黒欠陥および白欠陥のいずれも検出される。
【0104】
以上のように、照明光の入射角度の異なる種々の光学条件下で欠陥検出を行うと、各種の表面欠陥はそのサイズ、深さ、鋭いあるいはなだらかといった形状等によって、欠陥として検出される光学条件や、検出されない光学条件がある。また、その種類によって黒欠陥として検出される場合や、白欠陥として検出される場合がある。
【0105】
そこで、この実施形態では、明領域28、暗領域29および境界領域27内に形成される複数の光学条件下で所定回数の欠陥検出を行ったとき、表面欠陥が検出された回数に基づいて、さらに黒欠陥として検出された回数や白欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価するようになっている。具体的な判定方法については後述する。
【0106】
具体的な表面検査の実行は、検査位置Bに送り込まれ、基準ローラ70によって軸回りに回転駆動される円筒体90に対して、カメラ30により連続的にその外周面91を撮像することによって行われる。したがって、円筒体90の外周面91の各周方向位置が順次カメラ30の検出領域31となり、その全域を検査することができる。
【0107】
この円筒体90の回転速度は、検出したい欠陥サイズとカメラ30のラインセンサ取込速度に応じて設定される。すなわち、カメラ30によって撮影される検出領域31の実質的な幅は、円筒体90が回転している場合、ラインセンサ取込速度と円筒体90の回転速度に応じて決定されることになるが、この検出領域31の実質的な幅が、検出したい欠陥サイズより小さくなるように設定されている。
【0108】
具体的に検出される表面欠陥は、カメラの解像度30等にもよるが、たとえばミリオーダー、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダー等の種々の大きさや深さの欠陥、さらに凹み角度等の形状の異なる多様な欠陥を検出することができる。
【0109】
また、こうして円筒体90を回転させながら、遮光体20は円筒体90の軸方向について、遮光体20の透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和よりも大きなストロークでスライド移動動作する。このため、円筒体90の外周面91全域を明領域28および暗領域29、さらにこれらの境界領域27としてカメラ30の検出領域31に含れることとなり、外周面91の全域について微細な表面欠陥をも検出できる表面検査を行うことができる。
【0110】
図14は、円筒体を回転させながらカメラによって連続的に撮影して得られる画像の説明図である。この図において、横軸方向の各ラインが各瞬間にカメラ(ラインセンサ)30によって検出された検出領域31の明るさを示しており、管体90を回転させながら順次連続的に撮像を繰り返して得られた画像を縦軸方向に並べている。
【0111】
カメラ30は遮光体20とともにスライド移動動作するため、カメラ30から見ると常に同じ位置に同じ光学条件が形成されている。このため、後述するように、表面欠陥の検出を、単純な画像処理によって確実に行うことができる。
【0112】
また、このカメラ30による欠陥検出は、円筒体を複数回転(ここでは6回転)させる間、連続して行われている。このため、円筒体の外周面91上の各部は、円筒体90が複数回転して複数回、カメラ30の検出領域31に至る間に、明領域28,暗領域29および境界領域27という異なる光学条件下での欠陥検出が行われるようになっている。さらに、ここでは6回転させているため、明領域28であっても照明光の入射角度の制限が異なる光学条件や、境界領域27であっても暗領域29の右側と左側のように、制限される照明光の向きが異なる光学条件が構成されている。
【0113】
また、円筒体90を回転させながら遮光体20およびカメラ30が円筒体90の軸方向に移動するため、円筒体90の外周面91上の明領域28や暗領域29、さらにカメラ30の検出領域31は、円筒体90の外周面91上を螺旋状に移動することとなる。これをカメラ30側から見ると、円筒体90の各部は、各周回毎に、カメラ30の検出領域31内を移動することになる。具体的には、図14に示すように、円筒体90のある部位が、カメラ30の撮像画像では、1周目に位置A1に現れていたとすると、2周目では1周当たりのカメラ30のスライド量だけ横方向にずれた位置A2に現れ、以下各周毎に同じく横方向にずれた位置A3〜A6に現れることになる。これにより、円筒体90の外周面91上の各部位は、遮光体20およびカメラ30の移動により、円筒体90の一回転毎に異なる光学条件の下で表面検査されていることが分かる。
【0114】
以上のようなカメラ30により複数の光学条件下で円筒体を撮影する一連の動作は、管理コンピュータ80の制御手段によって制御され、実行されるようになっている。
【0115】
図15は、カメラによって撮像された画像から表面欠陥を検出するため、管理コンピュータ80の画像処理手段によって行われる画像処理工程の例を示す説明図である。
【0116】
図15(a)は、円筒体90を回転させながらカメラ30によって撮影された画像の例である。
【0117】
こうして得られる画像に対しては、まず欠陥検出を容易にするため、微分処理、積分処理、膨張処理、収縮処理などの画像処理を駆使して、暗領域29や境界領域27の微弱信号を強調する加工を行う。
【0118】
そして、明領域28や暗領域29がなす縞模様の中から表面欠陥を浮き立たせるため、差分処理を行う。図15(b)は差分処理を行った画像の例である。この差分処理は、各ラインのデータについて、以前の1または複数のラインの同位置のデータとの差分を算出し、その差分の大きさを濃淡で表現したものである。
【0119】
この実施形態では、上述したようにカメラ30は遮光体20とともに管体90の軸方向に移動するため、撮像画像では、明領域28、暗領域29および境界領域27の横方向位置が変化していない。これにより、撮影画像の上下の差を求めることで容易に差分処理を行うことができる。ちなみに、遮光体20とカメラ30を連動させない場合には、明領域28等は、図中で斜め方向に延びることになるため、両者の相対速度に応じて撮影画像では斜め方向に差分を求めればよい。
【0120】
差分処理を行った撮影画像からは、周囲に対して明るさの異なる欠陥(欠陥候補)を見出すことができ、見つかった欠陥の撮影画像を検討すれば、各欠陥が周囲に対して明るい白欠陥か周囲に対して暗い黒欠陥かを判別することができる。
【0121】
管理コンピュータ80の評価手段は、この検出された表面欠陥(候補)の欠陥深さを評価するようになっている。
【0122】
<欠陥検出の流れ>
図16は、欠陥検出の流れの一例を示すフローチャートである。
【0123】
検査対象とする円筒体90がセットされれば、まず黒欠陥を数える黒欠陥カウンタと白欠陥を数える白欠陥カウントをリセットし(ステップS10)、検査(欠陥探索)を開始する(ステップS12)。
【0124】
この実施形態では、上述したように円筒体90を6回転させる間連続してカメラで撮影して欠陥検出を行うが、欠陥が発見されなければ(ステップS16でNO)、この全域について完了するまで(ステップS14でYES)検査を続ける。
【0125】
そして欠陥が発見されると(ステップS16でYES)、その欠陥が現在の検査対象ととしている円筒体90において初めて見つかった欠陥であれば(ステップS18でYES)、着目する欠陥として着目アドレスを付与する(ステップS20)。着目アドレスとは、欠陥が発見された位置を示す座標値である。初めて見つかった欠陥でなければ(ステップS18でNO)既に着目アドレスが付与されているため、見つかった欠陥が既に付与された着目アドレスを当該周回数に応じてずらした位置にあることを確認することで、既に見つかっている欠陥が当該周回においても検出されたものであることが分かる。なお、着目アドレス毎(欠陥毎)に、上記黒欠陥カウンタおよび白欠陥カウンタは設定される。
【0126】
次に見つかった欠陥が黒欠陥であるか、白欠陥であるかを判断する(ステップS22)。具体的には上述したように、たとえば差分処理前の画像により、見つかった欠陥が周囲より明るいか暗いかによって判断できる。
【0127】
そして黒欠陥であれば当該着目アドレスの黒欠陥カウンタをインクリメントし(ステップS24)、白欠陥であれば白欠陥カウンタをインクリメントして(ステップS26)、検査(欠陥探索)に戻る。
【0128】
このようにすると、検査対象である円筒体全域の検査(欠陥検出)が完了すれば、見つかった欠陥はそれぞれ着目アドレスが付与されることで区別され、それぞれが黒欠陥として検出された回数と白欠陥として検出された回数が分かる。
【0129】
<深さ評価>
次に、この欠陥検出により、1つ以上の欠陥が見つかった円筒体(検査対象物)に対して、見つかった欠陥の深さを評価することにより、各円筒体の合否判定を行う場合について説明する。なお、欠陥が見つからなかった円筒体は以下の深さ評価を行うまでもなく表面欠陥の有無と言う観点からは合格評価となる。
【0130】
ここでは、所定の深さ以上の欠陥を有する円筒体を不合格とするものとする。そして、所定の深さ以上の欠陥を有する円筒体を合格としてしまう流出を確実に防止する一方、所定の深さ以下の欠陥のみを有する円筒体を不合格としてしてしまい、収率の低下を招くことを可及的に低減することを目標とする。
【0131】
各円筒体の合否判定は、最終的には管理コンピュータ80の判別手段によって行われるが、ここでは評価手段による欠陥の深さが所定深さ以上であるか否かの判断結果が、当該円筒体の合否判定となるため、この実施形態では判別手段は形骸化している。
【0132】
図17は、欠陥の深さ評価の流れの一例を示すフローチャートである。
【0133】
この深さ評価では、まず評価対象の円筒体において見つかった欠陥候補から1つを選定して(ステップS30)、その欠陥候補に対し、1次評価として黒欠陥の検出回数を評価する(ステップS32)。
【0134】
上述したように黒欠陥は周囲より暗く検出される欠陥であり、反射角度を大きく変化させる鋭い欠陥が検出されやすい検出態様である。そして比較的深い欠陥ほど多く光学条件下で黒欠陥として検出される傾向がある。このため、黒欠陥としての検出回数が多い欠陥は、浅い欠陥ではなく、深い欠陥である可能性が高い。
【0135】
図18は、種々の深さの欠陥が黒欠陥として検出された回数を示す例である。同図において各黒丸で示すマークは実際の各欠陥について検出実験を行った結果に対応しており、横軸は各欠陥の深さを表し、縦軸は、各欠陥を上述したように照明光の入射角度が異なる光学条件下で合計6回の欠陥検出を行った場合に、黒欠陥として検出された回数を示している。
【0136】
ここで、6μm以上の深さを有する欠陥を不合格とする場合を想定すると、深さ6μm以上の欠陥は、深さ7.5μmの唯一の例外Xを除けば黒欠陥として3回以上検出されている。また、黒欠陥として1回以下しか検出されない欠陥はすべて欠陥深さが6μm以下である。
【0137】
そこでこの実施形態では、1次評価(ステップS32)において、黒欠陥としての検出回数3回以上をしきい値として設定し、黒欠陥として3回以上検出されれば6μm以上の深い欠陥である可能性が高いとして、不合格評価とする(ステップS36)。なおここで不合格とされた円筒体には深さ6μm以下の欠陥しか有さないものも含まれているが、安全側に立ってのしきい値を設定したものである。
【0138】
また、1次評価(ステップS32)では、黒欠陥としての検出回数1回以下を合格数として設定し、黒欠陥として1回以下しか検出されなければ6μm以下の問題とならない欠陥であると評価する。そして、この円筒体について検出された欠陥候補のうち未評価の欠陥が残っていれば(ステップS34でYES)、次の欠陥候補を選出して深さ評価を繰り返す(ステップS30)。全ての欠陥候補について評価が完了していれば(ステップS34でNO)、当該円筒体を合格評価する(ステップS40)。
【0139】
さらに、1次評価では、黒欠陥としての検出回数2回を再評価数として設定し、稀に混じる不合格とすべき深い欠陥を見出すため、2次評価を行う(ステップS38)。
【0140】
2次評価(ステップS38)では、上述した黒欠陥に加え、白欠陥として検出された検出回数を加えて、黒欠陥および白欠陥としての合計検出回数によって評価する。
【0141】
上述したように白欠陥は周囲より明るく検出される欠陥であり、反射角度を僅かにしか変化させないなだらかな欠陥が検出されやすく、その多くは浅い欠陥であるが、なだらかな深い欠陥も検出される。このため、深い欠陥であれば、黒欠陥としての検出回数が少ない場合(2回)には、白欠陥としてある程度の回数は検出されると考えられる。
【0142】
図19は、種々の深さの欠陥が白欠陥および黒欠陥として検出された合計検出回数を示す例である。同図においても各黒丸で示すマークが実際の各欠陥に対応しており、縦軸は、黒欠陥および白欠陥として検出された合計回数を示している。なお、この図19では、上述した1次評価で再評価の対象となったものだけでなく、図18と同じ欠陥群についての結果を示している。
【0143】
深さ6μm以上の欠陥に着目すると、再評価の対象となった深さ7.5μmの欠陥を含め、全て白欠陥および黒欠陥の合計検出回数は4回以上となっている。
【0144】
そこでこの実施形態では、2次評価(ステップS38)において、白欠陥および黒欠陥としての合計検出回数4回以上をしきい値として設定し、1次評価において再評価対象とされた円筒体のうち、黒欠陥または白欠陥として合計4回以上検出されれば6μm以上の深い欠陥である可能性が高いとして、不合格評価とする(ステップS36)。なおここでも不合格とされた円筒体には深さ6μm以下の欠陥しか有さないものも含まれているが、安全側に立ってのしきい値を設定したものである。
【0145】
ところで、白欠陥および黒欠陥の合計検出回数のみに基づいて合否評価を行っても、深さ6μm以上の深い欠陥を有する円筒体を不合格として判別できるが、図19に示すように、深さ1μm程度の浅い欠陥が白欠陥として検出され易いために、不合格とする必要のない浅い欠陥のみを有する円筒体を多数不合格として収率を低下させるおそれがある。そこで上述のように、黒欠陥の検出回数によってかかる浅い欠陥を合格評価することにより、かかる事態を未然に防止している。
【0146】
以上のようにすれば、所望のたとえば6μm以上の深い欠陥を有する円筒体を確実に不合格として流出を防止しながら、浅い欠陥のみを有する円筒体を不合格として収率の低下を防止する事態を可及的に防止することができる。
【0147】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0148】
この第2実施形態は、上述した第1実施形態にかかる表面検査装置1を備えた円筒体90の製造システムである。
【0149】
図20は、第2実施形態にかかる円筒体の製造システム700の構成を示す機能ブロック図である。
【0150】
この製造システム700は、円筒体90を製管する製管装置710と、上述した円筒体の表面検査装置1と、表面検査装置1の検査結果を製管装置710にフィードバックするフィードバック部720とを備えている。
【0151】
製管装置710は、たとえば、アルミニウム合金の引抜き加工によって感光ドラム基体を製管する場合であれば、原料を溶解させて押出加工材料を製造する工程、押出工程、引抜工程、曲がり矯正工程、所定長さへの切断工程、粗洗浄工程、仕上げ洗浄工程等を実行する各機械装置の集合として構成されている。なお、製管装置710は、これらの全ての工程を行うものでなくてもよい。この製管装置710は、表面精度が求められる物品である円筒体を成形する成形手段として機能している。
【0152】
押出工程は、たとえばアルミニウム製のビレットを押出してアルミニウム押出素管を得る工程である。
【0153】
図21は、この押出工程を行う押出機の概略平面図である。押出機本体730から押し出されたアルミニウム押出素管740は、複数対配置された支持ローラ750…によって押出方向前方に搬送され、切断機760により所定長さRに切断される。
【0154】
図22は、押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。この押出ダイス770は、ポートホールダイスであり、771はダイス雌型、772はダイス雄型である。ダイス雌型771には中央部に貫通上の押出孔773が形成されるとともに、押出孔773の入口側の周面が円形のベアリング部774となされている。なお、775はレリーフ部である。一方、ダイス雄型772は、その中央部に断面円形の成型凸部776を有するとともに、成形凸部776の先端周面に円形のベアリング部777が形成されている。なお778は、アルミニウムビレットを通過させる通過孔である。そして、前記ダイス雌型771と前記ダイス雄型772とが組み合わされ、雄型772の成形凸部776先端が雌型771の押出孔773に望んで雌雄両型のベアリング部774,777が環状の成形間隙779を介して対向状の配置されている。
【0155】
なお、押出方式は特に限定されることはなく、ポートホールダイスを用いたものでもマンドレル押出でもよい。
【0156】
引抜き工程は、押出加工によって得られた所定長さのアルミニウム押出素管を引抜き加工してアルミニウム引抜管を得る工程である。
【0157】
図23は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。この引抜き機780は、たとえば、アルミニウム押出素管781を引抜きダイス782と引抜きプラグ783との間に通し、押出素管781先端に形成された口付け部784をキャリッジ部のチャック部785で掴んで該キャリッジ部を前方に移動させることにより、アルミニウム引抜き管786を得るようになっている。引抜きプラグ783は、ロッド787によって支持されている。このロッド787には1個または複数個の中子788がその略全長に亘って装着されており、この中子788は、押出素管781の内周面に当接して自重により押出素管781がたわむことを防止して、引抜きの初めから終わりまで押出素管781の軸線をダイス782の軸線に一致した状態に保持できるようになっている。また、引抜き加工中には、引抜きダイス782と押出素管781との間に潤滑油が供給されるようになっている。
【0158】
なお、この引抜き工程は、プラグを固定しない浮きプラグ引き方式によって引抜きを行うようにしてもよい。また、引抜きは、1回だけ行ってアルミニウム引抜き管を得るようにしてもよいが、引抜きを複数回繰り返し行って順次的に縮径し、もってアルミニウム引抜き管を得るようにするのが好ましい。とくに、引抜きを2回行ってアルミニウム引抜き管を得るのが好ましい。
【0159】
曲がり矯正工程は、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管の曲がりを矯正する工程である。具体的には、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管は、まず、その口付け部がプレス切断法により除去され、その後、ロール矯正機に投入され、内部の矯正ロールの作用で真っ直ぐに矯正される。
【0160】
図24は、口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。この切断機790は、アルミニウム引抜き管791の口付け部792側の端部を金型793,793の内方に挿入し、切断刃794を下降させることにより、該口付け部792を切断除去する。この切断は突切り刃によって行われるから切粉の発生はなく、切粉等がロール矯正機内に持ち込まれ、アルミニウム引抜き管791にキズがつくことがないようになっている。
【0161】
図25は、曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。このロール矯正機810は、その内部の矯正ローラ812の作用によって、口付け部が切除されたアルミニウム引抜き管811を真っ直ぐに矯正するようになっている。
【0162】
粗洗浄工程は、上記引抜き工程等においてアルミニウム引抜き管に付着した潤滑油等を除去する工程である。この粗洗浄工程は、たとえば脱脂力を有する溶剤を用いて行われる。具体的手法としては、特に限定されないが、たとえば浸漬法、シャワー法等が挙げられる。
【0163】
仕上げ洗浄工程は、好適には、たとえば超音波洗浄によって行われる。
【0164】
図26は、超音波洗浄機の一例を示す概念図である。この超音波洗浄機830は、洗浄増831に貯められた洗浄液832に被洗浄物である複数個のアルミニウム引抜き管833を浸漬しておき、振動子834によって洗浄液832中に超音波を送ることにより、被洗浄物であるアルミニウム引抜き管833を洗浄するものである。
【0165】
超音波の照射方式は特に限定されることはなく、上記投げ込み型のほか、接着型、振動伝達子型その他各種の洗浄機を用いることができる。また、洗浄液としては、一般には白灯油、軽油、アルカリ、界面活性剤あるいはトリクロロエチレンなどが用いられるが、これらに限定されることはなく、水系、炭化水素系、塩素系有機溶媒などを適宜用いればよい。
【0166】
上記のような押出工程、切断工程、引抜き工程、曲がり矯正工程、洗浄工程、仕上げ洗浄工程を経て得られた円筒体(アルミニウム引抜き管)90は、表面品質精度に優れ、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラム基体として好適である。
【0167】
こうして製管された円筒体(アルミニウム引抜き管)90は、上述した表面検査装置1においてその表面状態が所定の許容範囲内にあるか否かが検査され、この検査結果が所定の許容範囲内にあるのであれば、その円筒体90を完成品と判定する。
【0168】
また、表面検査装置1において、円筒体90に発生している不良の種類や特徴等が判別された場合には、この検査結果をフィードバック部720が製管装置710にフィードバックし、これにより不良管の発生を未然に防止するようになっている。
【0169】
こうして検査結果がフィードバックされた製管装置710においては、検査結果の内容に応じて、製管条件の設定に供される。具体的には、押出ダイスの取付状態や押出速度等の押出条件の設定、素管の選別、引抜きダイスの取付状態の確認や引抜き速度等の引抜き条件の設定、ロール矯正機におけるロール高さ調整や搬送速度等のロール矯正機条件が制御される。これにより、より確実に必要十分な表面精度を持った円筒体を得ることができるとともに、仮に不良管が発生した場合でも、速やかにこれに対応し、不良管の発生数を抑えることができる。
【0170】
このような製造システム700によれば、所定の形状精度を有する円筒体、および円筒体の集合を確実に得ることができる。
【0171】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、照明光の正反射光がカメラに入射する明領域や入射しない暗領域を形成したが、照明光の入射角度の異なる複数の光学条件が含まれていれば、明領域のみ、あるいは暗領域のみで複数の光学条件を設定してもよい。
【0172】
(2)上記実施形態では、検査対象領域の各部位を光学条件を変えながら6回検出するようにしたが、複数回であればよい。ただし、検出された欠陥の深さ評価の精度を確保する観点からは3回以上であることが好ましい。さらに、
検出された欠陥に対してたとえば浅い欠陥であるから不良品としない判断等を行う場合には、4回以上であることが好ましい。
【0173】
(3)上記実施形態では、1次評価と2次評価との2段階の評価の組合せによって合否判定をしたが、1回だけの評価でもよい。この場合、黒欠陥の検出回数のみ、白欠陥としての検出回数のみ、あるいは黒欠陥または白欠陥として検出された合計回数のみを評価対象とすることができる。
【0174】
また、2段階の評価の組合せとする場合であっても、1次評価で最終合否判定をせず、全ての欠陥候補について2次評価をするようにしてもよい。その場合、両評価の結果を総合的に判定して最終合否判定をすることができる。また、1次評価で合格判定のものについてのみ2次評価をしても、逆に1次評価で不合格判定のものについてのみ2次評価をしてもよい。
【0175】
またこのように2段階の評価を行う場合、1次評価および2次評価は、黒欠陥の検出回数、白欠陥の検出回数、黒欠陥または白欠陥の合計検出回数のいずれを組み合わせても、あるいは他の評価基準を採用して組み合わせてもよい。
【0176】
また、3段階以上の評価の組合せによって合否判定をしてもよい。
【0177】
(4)上記実施形態では、カメラをラインセンサカメラから構成したが、二次元的な広がりを有する撮像領域をもつエリアセンサや、特定の一点の光量を検出する光センサから構成されるカメラ等を採用してもよい。
【0178】
(5)上記実施形態では、遮光体を用いて暗領域および境界領域を形成したが、照明とカメラの角度関係により、反射光がカメラに直接検出されない暗領域を構成するようにしてもよい。
【0179】
(6)上記実施形態では、透光部および遮光部の光学特性が変化しないスリット体により明暗縞を形成したが、減光フィルター(NDフィルター)を用いたスリット体により、明部や暗部の光量を調整できるようにしてもよい。また、液晶パネルを用いたスリット体により、明部や暗部の光量を調整したり、遮光形態を連続的にまた自由に可変できるようにしてもよい。
【0180】
(7)上記実施形態では、1つの長尺の光源を用いたが、複数の光源を用いてもよい。
【0181】
(8)上記実施形態では、円筒体を回転させながら表面検査を行ったが、長尺平板材等を連続移動させながらその表面検査を行うようにしても良い。
【0182】
図27は、長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う例である。この例では、連続的に繰り出されるシート状の長尺平板材93に対し、平板材93の移動方向に対して斜めに形成された透光部623…および遮光部624…を有するスリット体62を介して光源61からの照明が平板材93上に照射されている。
【0183】
これにより、平板材93の各部位は繰り出し方向に移動するにつれて、明領域625…、暗領域626…およびそれらの境界領域を通過するようになっている。そして、ラインセンサを有する複数個のカメラ63…が、平板材の移動方向について異なる領域を検出領域631…となるように配置されていることにより、平板材93の各部位は、各カメラ63…の撮像により、明領域625…、暗領域626…および境界領域を含む種々の異なる光学条件下での検出が行われるようになっている。
【0184】
図28は、長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う別の例である。この例では、複数組の光源64およびスリット体65が平板材93の繰り出し方向に直交する幅方向について、異なる位置に明暗縞を形成するように配置されており、複数のカメラ66が各明暗縞ごとに検出領域661を受け持つように配置されることにより、平板材93の各部位が明領域655…、暗領域656…および境界領域を含む種々の異なる光学条件下での検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】第1実施形態にかかる表面検査装置の検査対象物たる円筒体の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる表面検査装置の正面図である。
【図3】同装置の平面図である。
【図4】同装置の側面図である。
【図5】第1実施形態におけるチャック部の正面図である。
【図6】同チャック部の側面図である。
【図7】第1実施形態における遮光体の斜視図である。
【図8】第1実施形態にかかる円筒体の表面検査装置の要部の概略を表した側面図である。
【図9】同斜視図である。
【図10】カメラから見た検査対象領域の各部位の光学条件の説明図である。
【図11】カメラによって撮影された画像における各種光学条件の説明図である。
【図12】暗領域内に表面欠陥が存在しない場合の説明図である。
【図13】暗領域内に表面欠陥が存在する場合の説明図である。
【図14】円筒体を回転させながらカメラによって連続的に撮影して得られる画像の説明図である。
【図15】画像処理装置によって行われる画像処理工程の例を示す説明図である。
【図16】欠陥検出の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】欠陥の深さ評価の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】種々の深さの欠陥が黒欠陥として検出された回数を示す例である。
【図19】種々の深さの欠陥が白欠陥および黒欠陥として検出された合計検出回数を示す例である。
【図20】第2実施形態にかかる円筒体の製造システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図21】押出工程を行う押出機の概略平面図である。
【図22】押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。
【図23】は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。
【図24】口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。
【図25】曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。
【図26】超音波洗浄機の一例を示す概念図である。
【図27】長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う例である。
【図28】長尺平板材を連続移動させながら表面検査を行う別の例である。
【符号の説明】
【0186】
10 照明
20 遮光体(スリット体)
23 透光部
24 遮光部
27 境界領域
28 明領域
29 暗領域
30 カメラ
31 検出領域
80 管理コンピュータ
90 円筒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下における所定回数の表面欠陥の検出を行い、表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする表面検査方法。
【請求項2】
周囲より暗い黒欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項3】
周囲より明るい白欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項4】
周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数との合計回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項5】
周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数と、前記黒欠陥および白欠陥としての検出回数の合計回数のうち、2種類以上の組合せに基づいて各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項6】
検査対象領域に照射される照明光を遮光体によって遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項7】
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、検査対象領域に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項8】
管体の外周面に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
管体の軸方向に沿ったカメラの検出領域に、照明光の入射角度が異なる領域を繰り返して形成し、
管体を軸回りに回転させながら、前記照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影することにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下での欠陥検出を行い、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする管体の表面検査方法。
【請求項9】
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、管体に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する請求項8のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項10】
前記照明光の入射角度が異なる領域とともに、前記カメラによる検出領域を前記管体の軸方向に移動させることを特徴とする請求項8または9に記載の表面検査方法。
【請求項11】
前記管体は、感光ドラム用基体であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項12】
表面精度が求められる物品を成形する工程と、
前記物品を検査対象物として請求項1〜11のいずれかに記載の表面検査方法を行う表面検査工程と、
前記表面検査工程において評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を判別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別工程と、
を備えたことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の物品の製造方法により製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
【請求項14】
検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる領域を形成可能な照明系と、
前記照明系による照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を変化させながら、前記カメラにより検査対象領域の各部に対して照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項15】
表面精度が求められる物品を成形する成形手段と、
前記物品を検査対象とする請求項14に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする製造システム。
【請求項16】
管体の表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
管体の外周面に照明光を照射する照明と、
管体の軸方向に沿った検出領域における照明光の反射光を検出するカメラと、
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成され、照明光を管体の軸方向について断続的に遮ることにより、照明光の入射角度を制限して照明光の入射角度が異なる領域を繰り返し形成するスリット体と、
管体を軸回りに回転させながら、前記スリット体を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影させることにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする管体の表面検査装置。
【請求項17】
表面精度が求められる管体を成形する成形手段と、
前記管体を検査対象物とする請求項16に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
【請求項1】
検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下における所定回数の表面欠陥の検出を行い、表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする表面検査方法。
【請求項2】
周囲より暗い黒欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項3】
周囲より明るい白欠陥として検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項4】
周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数との合計回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項5】
周囲より暗い黒欠陥として検出された回数と、周囲より明るい白欠陥として検出された回数と、前記黒欠陥および白欠陥としての検出回数の合計回数のうち、2種類以上の組合せに基づいて各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項6】
検査対象領域に照射される照明光を遮光体によって遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項7】
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、検査対象領域に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項8】
管体の外周面に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査方法であって、
管体の軸方向に沿ったカメラの検出領域に、照明光の入射角度が異なる領域を繰り返して形成し、
管体を軸回りに回転させながら、前記照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影することにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下での欠陥検出を行い、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価することを特徴とする管体の表面検査方法。
【請求項9】
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成されたスリット体によって、管体に照射される照明光を断続的に遮ることにより、照明光の入射角度が制限された領域を繰り返し形成する請求項8のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項10】
前記照明光の入射角度が異なる領域とともに、前記カメラによる検出領域を前記管体の軸方向に移動させることを特徴とする請求項8または9に記載の表面検査方法。
【請求項11】
前記管体は、感光ドラム用基体であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の表面検査方法。
【請求項12】
表面精度が求められる物品を成形する工程と、
前記物品を検査対象物として請求項1〜11のいずれかに記載の表面検査方法を行う表面検査工程と、
前記表面検査工程において評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を判別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別工程と、
を備えたことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の物品の製造方法により製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
【請求項14】
検査対象領域に照明光を照射し、その反射光をカメラで検出することにより表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
検査対象領域の各部に対して、照明光の入射角度が異なる領域を形成可能な照明系と、
前記照明系による照明光の入射角度が異なる領域の形成位置を変化させながら、前記カメラにより検査対象領域の各部に対して照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項15】
表面精度が求められる物品を成形する成形手段と、
前記物品を検査対象とする請求項14に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする製造システム。
【請求項16】
管体の表面欠陥を検出する表面検査装置であって、
管体の外周面に照明光を照射する照明と、
管体の軸方向に沿った検出領域における照明光の反射光を検出するカメラと、
複数の透光部と遮光部とが交互に繰り返すように形成され、照明光を管体の軸方向について断続的に遮ることにより、照明光の入射角度を制限して照明光の入射角度が異なる領域を繰り返し形成するスリット体と、
管体を軸回りに回転させながら、前記スリット体を管体の軸方向に移動させ、管体が複数回転する間、カメラにより管体の外周面を連続して撮影させることにより、管体の外周面の各部に対して、照明光の入射角度が異なる複数の光学条件下で所定回数の表面欠陥の検出を行わせる制御手段と、
表面欠陥が検出された回数に基づいて、各表面欠陥の深さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする管体の表面検査装置。
【請求項17】
表面精度が求められる管体を成形する成形手段と、
前記管体を検査対象物とする請求項16に記載の表面検査装置と、
前記表面検査装置により評価された表面欠陥の深さが所定の基準を満たすか否かにより物品を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該物品を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図11】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図28】
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【図15】
【公開番号】特開2007−40854(P2007−40854A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226029(P2005−226029)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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