説明

製膜方法及びパターニング方法、並びにこれらを用いた電子装置の製造方法

【課題】本発明は、反応活性種等の化学種を利用することにより、簡便に膜を形成することができる製膜方法、あるいはパターニング方法を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つのノズルから化学種又はその前駆体を吐出して基体上に前記化学種からなる複数の膜を配置する製膜方法を提供する。本発明は少なくとも1つのノズルから化学種又はその前駆体を吐出して前記化学種からなる複数の膜を配置するパターニング方法を提供する。また、本発明は、前記製膜方法又はパターニング方法を使用する電子装置の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製膜方法、パターニング方法並びにこれらを用いた電子装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子素子の製造において、爆発等の危険のある短鎖長のシランを用いていた。このため、コストや安全の面での改良を図る必要があった。
【0003】
また、WO2003/026359号公報には、材料の選択自由度を高くした新たなパターニングを目的として、所定の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられて、該真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給するノズルと、前記真空チャンバー内に設けられて基体を保持固定する基体ステージと、前記ノズル及び基体ステージのうち少なくともいずれか一方を移動させる移動機構と、を備え、前記移動機構により前記ノズルと前記基体との相対的な位置を制御可能となっている膜形成装置が提案され、かかる装置によるフリージェットパターニング方法が開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、特開2003−197531号公報には、材料の選択自由度を高くした新たな製造方法の実施に好適なパターニング装置の提供を目的として、材料にレーザー光を照射することによって該材料から化学種を発生させる化学種発生部と、該化学種発生部で発生した化学種を吐出するノズル部と、該ノズル部と前記化学種が配置される基体との相対的な位置を移動させる可動機構とを備えたパターニング装置が提案され、かかる装置によるフリージェットパターニング方法が開示されている(特許文献2)。
【0005】
さらに、特開平9−289337号公報には、ポリ−ジ−n−ヘキシルポリシリレン(PDHS:−SiRR'−;R=R'=C613)等を発光層とするEL素子の作製等のように、シリレンを利用した製膜法が開示されている(特許文献3)。
【特許文献1】WO2003/026359号公報
【特許文献2】特開2003−197531号公報
【特許文献3】特開平9−289337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は種々の具体的態様を包含するが、一つの具体的態様においては、例えば、反応活性種等の化学種を利用することにより、簡便に膜を形成することが可能である。これにより、電子素子や電子装置等の製造が容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製膜方法は、少なくとも1つのノズルから化学種又はその前駆体を吐出して基体上に前記化学種からなる複数の膜を配置することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る他の製膜方法は、少なくとも1つのノズルから反応活性を有する化学種を吐出することにより、基体上に、前記化学種が反応することにより生成した膜を形成することを特徴とする。
【0009】
この製膜方法において、「前記化学種が反応する」とは、例えば、(1)前記化学種同士が反応する場合、及び(2)前記化学種が他の物質と反応する場合に対応している。さらに(1)の代表的な例としては、例えば、重合反応が挙げられる。(2)の代表的な例としては、前記化学種が他の物質と気相中で反応し、前記基体上に堆積する場合や前記化学種が前記基体の表面と化学反応を起こす場合等が挙げられる。
【0010】
また、上記の製膜方法の好適な態様は、下記の点を特徴とする。
本発明に係る製膜方法において、前記少なくとも1つのノズルが複数のノズルであってもよい。かかる構成によれば、前記複数のノズルの2つ以上のノズルから同時に複数の材料を吐出することも可能となる。また、異なる複数のノズルから同一の材料を吐出することにより、ノズル毎の吐出量等のバラツキを平均化できる。例えば、前記複数のノズルのうち少なくとも2つのノズルから異なる2つの材料を吐出する場合に、前記少なくとも2つのノズルを近接させるか、前記少なくとも2つのノズルから吐出されたガス状の材料が空間的あるいは膜が形成される基体上で交わるようにするように前記少なくとも2つのノズルの相対的な位置を調整するようにすれば、一種の共蒸着を行うことも可能である。
【0011】
上記の製膜方法において、前記化学種は、前記化学種の前駆物質の反応により生成するようにしてもよい。
【0012】
上記の製膜方法において、前記化学種は、前記化学種の前駆物質に含まれる化学結合のうち少なくとも1つの化学結合が切断されることにより生成するようにしてもよい。
【0013】
上記の製膜方法において、前記化学種は、前記前駆物質の分子構造が転位反応により変化することにより生成するようにしてもよい。
【0014】
上記の製膜方法において、前記化学種を、前記前駆物質にエネルギーを付与することにより生成するようにしてもよい。
【0015】
前記化学種を発生させるために前記前駆物質に付与するエネルギーとしては、例えば、ミリ波、サブミリ波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、真空紫外、又はX線等の電磁波や熱等が挙げられる。
【0016】
前記電磁波は、具体的には、水銀ランプ、亜鉛ランプ、キセノンランプ、あるいは、ハロゲンランプ等の通常の光源はもちろんのこと、Nd:YAGレーザ、エキシマレーザ、窒素レーザー、CO2レーザ、チタンサファイアレーザ等のレーザなどにより発生させることができる。
【0017】
上記の製膜方法において、前記化学種が反応活性種であることが好ましいが、前記反応活性種としては、例えば、ラジカル、イオン、ラジカルイオン、シリレンやカルベン等の低原子価化学種、シラエテンやジシレン等の不安定な多重結合を有する化学種、5配位や6配位シリケート等高配位化学種等が挙げられる。また、還元等により生成した0価の金属等のように、高い反応活性を有する化学種であってもよい。
【0018】
上記の製膜方法において、前記化学種が重合性を有することが好ましい。
【0019】
上記の製膜方法において、前記前駆物質に含まれる化学結合のうち少なくとも1つ切断されるか、又は転位反応により生じたものであってもよい。上記のように前記前駆物質に含まれる化学結合が開裂して生成した化学種、あるいは転位反応により生じた化学種が概して反応性が高いので、当該化学種同士、あるいは他の試剤と反応させることが可能である。
【0020】
上記の製膜方法において、前記化学種が、ラジカル、イオンラジカル、イオン、又は低原子価化学種であってもよい。
【0021】
上記の製膜方法において、前記化学種を前記ノズルから吐出することにより、前記化学種のフリージェットが生成することが好ましい。フリージェットを用いることにより、ノズルから吐出されたガス状材料に含まれる化学種または反応活性種の電子、振動、回転等のエネルギー準位が最低レベルになる、いわゆる「冷却状態」に近い状態とできるので、化学種または反応活性種が基体に着地した際に生ずる局所的な熱の発生を抑制することが可能である。このため膜が形成された周囲の影響が低減し、微細な膜またはパターンを形成しやすくなる。
【0022】
また、化学種または反応活性種が上述の「冷却状態」となることにより、化学種または反応活性種からの副反応が抑制されるので、化学種または反応活性種により形成された膜の構造や性質を均一することも可能である。
【0023】
上記の製膜方法において、前記前駆物質が金属を含む化合物であってもよい。
【0024】
上記の製膜方法において、前記前駆物質が、常温常圧(25℃、1気圧)で液体のケイ素化合物であってもよい。
【0025】
上記の製膜方法において、前記化学種がシリレンであってもよい。シリレンを前記化学種として用いることにより、比較的穏和な条件でシリコン膜を形成することが可能である。
【0026】
上記の製膜方法において、前記基体は下地膜を含み、前記複数の膜の少なくとも1つの膜は、前記下地膜上に形成され、前記下地膜は、前記シリレンが挿入反応を起こす結合を含んでいることが好ましい。
かかる構成によれば、分子レベルの反応を利用しているので、分子レベルの膜厚の制御が可能である。
【0027】
上記の製膜方法において、前記シリレンが挿入反応を起こす結合が、Z−H基(Zはカルコゲンを示す)又はY−H基(Yは14族元素を示す)であってもよい。
【0028】
本発明に係るパターニング方法は、少なくとも1つのノズルから化学種又はその前駆体を吐出して前記化学種からなる複数の膜を配置することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る他のパターニング方法は、少なくとも1つのノズルから反応活性を有する化学種を吐出して基体上に、各々が前記化学種が反応することにより生成した複数の膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0030】
上記のパターニング方法の好適な態様は、下記の点を特徴とする。
上記のパターニング方法において、前記少なくとも1つのノズルが複数のノズルであることが好ましい。かかる構成によれば、前記複数のノズルの2つ以上のノズルから同時に複数の材料を吐出することも可能となる。また、異なる複数のノズルから同一の材料を吐出することにより、ノズル毎の吐出量等のバラツキを平均化できる。
【0031】
上記のパターニング方法において、前記化学種の前駆物質が金属を含む化合物であってもよい。
【0032】
上記のパターニング方法は、前記化学種の前駆物質が、常温常圧(25℃、1気圧)で液体のケイ素化合物であってもよい。
【0033】
上記のパターニング方法において、前記化学種がシリレンであってもよい。シリレンを前記化学種として用いることにより、比較的穏和な条件でシリコンからなるパターンを形成することが可能である。
【0034】
上記のパターニング方法において、前記複数の膜を下地膜の上に形成してもよい。前記下地膜に、前記シリレンが挿入反応を起こす結合を有する化合物を含むものを用いることが好ましい。かかる構成によれば、分子レベルの反応を利用しているので、分子レベルのパターンの厚みの制御が可能である。
【0035】
上記のパターニング方法において、前記シリレンが挿入反応を起こす結合が、Z−H基(Zはカルコゲンを示す)又はY−H基(Yは14族元素を示す)であってもよい。
【0036】
本発明はまた、前記製膜方法を使用する電子装置の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記パターニング方法を使用する電子装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一具体的態様によれば、反応活性種等の化学種を利用することにより、簡便に膜を形成することができる製膜方法、あるいはパターニング方法が提供される。
また、コストと安全リスクの低減に適した、シリコン半導体膜の製法等に利用可能な製膜方法及びパターニング方法、並びにこれらの方法を用いた電子装置の製造方法が提供される。
【0038】
本発明に係る製膜方法、パターニング方法は、LEDアレイ、TFT、センサー等、及びこれらを備える電子装置の製造に適用可能である。
さらにはコンビナトリアルプロセスにも有用なものである。即ち、基体上の複数の領域に異なる製膜条件により形成した複数の膜を形成することができる。例えば、キャリアガスや反応性ガスの圧力やチャンバーの減圧度等の条件を調整することによって、複数の膜形成を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(製膜方法)
以下に本発明に係る製膜方法について、その好ましい実施態様に基づき説明する。
【0040】
(第1実施形態)
本発明の一具体的様として、加熱により所望の反応活性種等の化学種の前駆物質から当該化学種を発生させ、複数のノズルを利用して複数の膜を配置する製膜方法を提供する。図1は、本実施形態の製膜方法を実施するために好適な製膜装置の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、第1実施形態の製膜方法を実施するための製膜装置10は、材料を貯留するための試料室11と、試料室11から流路を介して下流に位置し、吐出により膜を形成するための複数のノズル12と、を備え、試料室11と複数のノズル12との間に、前記材料を前駆物質として化学種を発生させる化学種発生部としての加熱部13を設けたものである。
【0041】
また、製膜装置10は、複数のノズル12と、ノズル12から吐出される前記化学種により膜が形成される基板15と、基体15を設置する基体ステージ17とを内部に配置するように構成したチャンバー14を更に備えている。チャンバー14は、配管19を介し
て真空装置Pに接続されたもので、その内部空間に基体ステージ17を配設し、また被パターニング体となる基体15の出し入れを行うためのドア(図示せず)を気密に取り付けたものである。
【0042】
ノズル12は、ノズル孔12aを形成した先端側がチャンバー14内に配置され、その後端側がチャンバー14の外側にて加熱部13を介して材料供給源となる試料室11に接続されたもので、さらにこの試料室11にはキャリアガス供給源16が接続されている。ノズル12からはガス状材料吐出を行うことができるものである。ノズル12とチャンバー14の圧力差が十分大きい場合は、ノズル12から吐出されるガス状材料はいわゆるフリージェットまたは超音速分子噴流と呼ばれる状態、あるいはそれらの状態に近くなる。いわゆるフリージェット、超音速分子噴流という状態では、ノズル12から吐出されたガス状材料に含まれる化学種または反応活性種の電子、振動、回転等のエネルギー準位が最低レベルになる、いわゆる「冷却状態」に近い状態になるので、化学種または反応活性種が基体に着地した際に生ずる局所的な熱の発生を抑制することが可能である。このため膜が形成された周囲の影響が低減し、微細な膜またはパターンを形成しやすくなる。
【0043】
また、冷却状態にある化学種または反応活性種の反応は余剰のエネルギーがあまり存在しない状況で進行する。複数の反応経路がある場合においては、化学種または反応活性種からの副反応が抑制されることもある。これにより、当該化学種または反応活性種により形成された膜の微視的構造、分子・原子レベルの構造や性質を均一することも可能である。
【0044】
ノズル12には、その先端部に吐出機構が設けられている(図示せず)。この吐出機構は、特に限定されることなく種種のタイプのものが使用可能であり、例えば、一般的なメカニカルシャンターによる機構や、さらには帯電制御型、加圧振動型、電気機械変換式(いわゆるピエゾタイプ)、電気熱変換方式、静電吸引方式といった方式による機構等が採用可能である。
【0045】
試料室11は、製膜材料やパターニング材料となるための化学種の前駆物質を収納保持するためのもので、例えば、トランジスタ等の半導体素子、発光ダイオード、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層や電子輸送層、正孔輸送層などの前駆物質となる材料を、セルやルツボなどの保持具(図示せず)に保持した状態でこれを収納するものである。
【0046】
そして、試料室11と複数のノズル12との間に設けられる加熱部13は、例えば試料室11内に保持された材料を前駆物質として化学種を発生させる化学種発生部として機能するものである。即ち、キャリアガス供給源16からのキャリアガスにのって流通する材料は、加熱部13によって、化学種を発生させる。従って、加熱部13の温度を調整することにより、材料を前駆物質として化学種を発生し得る温度範囲内にし、使用する材料の種類に応じて適宜調整することが好ましい。化学種を発生させる温度は、基本的には用いる前駆物質あるいは発生させる化学種に依存するが、典型的な温度範囲は、100〜500℃、である。常温で取り扱い容易で、かつ、効率良く化学種を発生する際には温度範囲150〜300℃が好適である。
【0047】
ここで、加熱部13としては、前駆物質となる材料から化学種を発生させ得るものであれば特に制限されないが、例えば、ラジアントチューブヒータ、シース(パイプ)ヒータ、プラグヒータ、フランジヒータ、フィン付ヒータ、カートリッジヒータ、マイクロヒータ、鋳込みヒータ、ハンドヒータ、プレートヒータ、ブロックヒータ、石英管ヒータ、シリコンラバーヒータ、リボンヒータ、カーボンヒータ、Ni−Cr発熱体、Fe−Cr発熱体、SiC発熱体等の加熱装置を採用することができる。なお、シース(パイプ)ヒータとは、発熱線(ニクロム線、鉄−クロム線)をマグネシアを絶縁材として金属管(シース)の中に入れ、絞り加工で充填密度を上げて発熱線からの熱を金属管表面に伝達しやすくした構造のものをいう。
【0048】
また、高周波あるいはマイクロ波等の電磁波発生器付きの加熱装置を用いることもできる。また、加熱部13には、酸素、塩素、あるいはフッ素等の反応性ガスやアルゴン、ヘリウム、あるいは窒素等の不活性ガス等のガスを適宜導入してもよい。加熱部13における加熱方法は、用いる材料の沸点や融点等の物理的な性質や反応様式等の化学的な性質や、発生させる化学種の種類等、発生させる化学種の必要量等を考慮して、適宜に選択される。
また、化学種の発生を促進、あるいは発生効率や反応温度の調整するために触媒等を加熱部13内に備えていてもよい。
【0049】
ここで、化学種発生部としての加熱部13と複数のノズル12との関係は、次の通りである。即ち、複数のノズル12は、これらが設けられる物体としての放出ヘッド(図示せず)に設けられている。そして、放出ヘッドは加熱部13に接続されており、加熱部13で発生し、該加熱部13から供給された化学種は、放出ヘッド内で分岐して各ノズル12に送られるように構成されている。または、放出ヘッドは加熱部13に接続されており、加熱部13で発生し、該加熱部13から供給された化学種は、放出ヘッドに入る前に分岐され、放出ヘッド内では分岐されることなくそのまま各ノズル12に送られるように構成されていてもよい。この場合、ノズル内での分岐によるエネルギー損失の不均一をなくし、化学種の供給状態をより均一にできる。
【0050】
また、化学種を放出する機構は、加熱部13内に供給された材料を加熱することにより、その材料から化学種を発生させて加熱部13から放出させる。この放出機構は、化学種発生部としての加熱部13内の材料を加熱する加熱手段を有し、その加熱のタイミングを制御することにより、化学種放出のタイミングを制御するように構成されている。化学種放出用の加熱手段としては、例えば、電気ヒータを用いたものや、窒素レーザーやYAGレーザ等のレーザを用いたもの、又は高周波加熱装置を用いたもの等が挙げられる。なお、加熱手段としてはこれに限らず、種々の加熱手段を適用可能である。また、加熱部13から材料を加熱し化学種を発生させて放出する場合、加熱手段は、加熱部13内の材料又は化学種のうち、基体15に面する表面付近を加熱するように設けるのが好ましい。これにより、化学種を効果的に製膜させることができる。
【0051】
キャリアガス供給源16は、主にヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガスをキャリアガスとして試料室11に材料を移送するものである。なお、材料によっては、これと反応する、例えば酸素(O2)、塩素、フッ素等といった反応性ガスをキャリアガスとして試料室11に移送するようにしてもよい。試料室11に移送されたキャリアガスは、試料室11から前駆体材料を加熱部13へ同伴・移送し、さらに加熱部13内にて材料から発生した化学種を複数のノズル12に同伴・移送するものである。また、ノズル12の吐出機構によっては、キャリアガス供給源16からのキャリアガスを使用することなく、材料をチャンバー14内に吐出するようにしてもよい。
【0052】
チャンバー14の内部の圧力は、パターン精度、堆積速度、材料またはその前駆体等の種々の条件に応じて適宜設定できるが、本実施形態においては真空雰囲気としている。チャンバー14の内部を高真空とすることにより上述のようにノズル12から吐出されるガス状材料がフリージェットまたは超音速分子噴流、あるいはそれらに近い状態となるため、微細なパターンや膜を形成するのに有利となる。
【0053】
このチャンバー14を真空雰囲気下で使用する場合には、配管19を介してポンプ等の真空装置Pに接続されて真空の雰囲気とすることができ、チャンバー14の内部空間に基体15を配設し、また被パターニング体となる基体15の出し入れを行うためのドア(図示せず)を気密に取り付けたものを用いることができる。真空装置Pは、分子ターボポンプやロータリーポンプなどが組み合わされたことによってチャンバー14内を高真空度に調整可能となるよう構成されたものである。なお、この場合、真空装置Pとチャンバー14とを繋ぐ配管19は、その端部がチャンバー14内に開口しており、これによって後述する真空装置Pの作動により、チャンバー14内を排気して高真空雰囲気にし得るようになっている。
【0054】
チャンバー14内を真空雰囲気とする場合には、真空装置Pを用いて、チャンバー14内の真空度を調整することができる。ここで、チャンバー14内は、好ましくは10-3torr(1.33322×10-1Pa)以下、より好ましくは10-5torr(1.33322×10-3Pa)以下の高真空雰囲気に調整されるようになっている。真空雰囲気を10-3torr以下にすれば、例えば吐出されにくい材料についてもこれを容易に吐出することができ、10-5torr以下にすれば、さらに多くの種類の材料を吐出可能にできるとともに、吐出する材料を気化させてこれを分子線状にし易くすることができる。なお
、前述の真空装置を用いる場合には、この装置を構成するポンプの振動がチャンバー14内に伝播しないよう、これらポンプをチャンバー14から十分に離しておくか、あるいはポンプ等に除振機能を付加させておくのが好ましい。
【0055】
また、チャンバー14内は、不活性ガス雰囲気とすることもできる。この場合には、キャリアガスとして使用する不活性ガスと同様のガス、即ちヘリウム、アルゴン、窒素等の雰囲気とすることが好ましい。
【0056】
基体ステージ17は、前記ノズル孔12aの直下に配置されたもので、例えば電気光学装置作製用の基体15を保持固定するものである。この基体ステージ17には、保持固定した基体15を前記ノズル孔12aに対してX方向、Y方向及びZ方向に移動可能にする移動機構18が設けられている。すなわち、この移動機構18は、ノズル孔12aに対して基体15をその鉛直方向(Z方向)に移動可能かつ位置決めし、基体15とノズル孔12aとの間の距離を調整するZ可動部(図示せず)と、基体ステージ17をノズル孔12aに対して水平方向(X方向、Y方向)にそれぞれ移動させかつ位置決めするX可動部(図示せず)及びY可動部(図示せず)とを備えてなるもので、これらの可動部の動作をそれぞれ制御部(図示せず)で設定したとおりに制御できるように構成されたものである。なお、これらX可動部、Y可動部及びZ可動部は、例えばリニアモータによって構成されたものとなっている。
【0057】
また、この基体ステージ17には、その載置面側に水冷式等の温度調整手段(図示せず)が設けられており、これによって基体ステージ17上の基体15を所望温度に調整できるようになっている。
【0058】
本実施形態に係る製膜装置は、上述したような基体ステージ17又は基体15とノズル12との相対的な位置を変更するための機構を含むため、基体15(あるいは基体ステージ17)とノズル12との距離を制御でき、走査するための機構を提供できる。これにより、ノズル12と基体ステージ17との相対的な位置を複数設定でき、その設定された各位置のノズル12からそれぞれ化学種を吐出できるようになり、複数の膜を形成できる。
【0059】
通常のマスクパターニングとは異なり、本発明の好ましい実施形態のように材料を吐出するノズルを移動させながら、パターニングすれば、当該材料が配置される基板との距離の均一性が保たれるため、膜厚等のバラツキも低減することができる。また、マスクの撓みの問題もないので、大面積基板にも適用可能である。
【0060】
また、上記の機構を用いて一つの連続した膜を形成することも可能であるが、当該一つの連続した膜の部分とノズルとの距離を一定にできるので、当該一つの連続した膜の部分による膜厚のバラツキの低減という効果も奏する。
【0061】
チャンバー14の圧力をノズル内の圧力に比べて十分低くすることにより、ノゾルにピエゾ素子を備える特に必要がなくなる場合もある。ピエゾ素子を用いない場合は、当該ピエゾ素子を構成する圧電素子に特に制限されないので、ノズルピッチを小さくすることができる。したがって、通常のインクジェット法等に比べ、微細な直描が可能である。
【0062】
なお、本発明の好ましい実施形態のように材料を吐出するノズルを移動させながらパターニングを行う際、マスクを用いてパターニングするようにしてもよい。その場合は、マスクを使用しない場合に比べ、四角形、円形等の所望の形状を有するパターンを有するマスクを利用することにより、所望の形状を有する膜を形成する等の利点がある。
【0063】
(他の実施形態)
本発明のその他の具体的な態様として、電磁波により反応活性種等の化学種前駆体からなる材料化合物から化学種を発生させ、複数のノズルを利用して複数の膜を配置する製膜方法を提供できる。この製膜方法は、前述した第1実施形態における加熱部13を、電磁波等が透過可能な光学窓にするか又は電磁波等を導入する手段に変えた以外は、基本的には第1実施形態の製膜装置10と同様の構造を有する製膜装置により実施することができる。電磁波としては、水銀ランプ、亜鉛ランプ、キセノンランプ、あるいは、ハロゲンランプ等の通常の光源はもちろんのこと、Nd:YAGレーザ、窒素レーザー、エキシマレーザ、CO2レーザ、チタンサファイアレーザ等のレーザなどが挙げられる。また、化学種発生手段として、電磁波としては、例えばミリ波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、真空紫外、又はX線で化学種を発生させることも可能である。また、化学種を発生あるいはガス状にするために通常の光以外の電磁波も利用することができる。例えば、マイクロ波、ラジオ波等によってプラズマ等の化学種を発生するようにしてもよい。
【0064】
また、電磁波を利用した上記実施形態の製膜方法は、化学種発生手部としての光学窓の位置を複数のノズルよりも下流(材料の流れの下流)とした、即ち、光学窓の位置を複数のノズルと基体との間に変えた以外は上記の実施形態の製膜装置と同様の構造を有する製膜装置によっても、実施することが可能である。製膜装置を用いて微細なパターンを得ようとする場合には、ノズルと基体とを接近させる必要があるため、上記のようなノズルと基板との間に光を通す場合では、精密な光学アラインメントを行うことが好ましい。
【0065】
本実施形態によれば、コストと安全リスクの低減に適した、シリコン半導体膜の製法等に利用可能な製膜方法及びパターニング方法を提供できる。また、本実施形態において発生させた化学種を少なくとも1つのノズルから、例えばガス状材料として吐出することができる。このガス状材料を用いて、直描パターニングを行えば、フォトリソグラフィー等のプロセスが省略できるので、工程の短縮化が可能となる。
【0066】
本発明に係る製膜方法は、熱や光等あるいは電磁波により化学種を発生させ、その化学種を複数のノズルから吐出することにより、複数の膜の製膜を一括して行う。ここでいう一括というのは、時間的に同時に吐出する場合でもよいし、時間的にノズル毎に吐出をずらしても良い。
【0067】
本発明に係る製膜方法によれば、配線回路等の作成に好適である微細なパターニングを行うことができる。
本発明に係る製膜方法は、絶縁体、半導体、良導体、あるいは超電導体等の種々の膜の形成に対して適用可能である。
また、本発明に係る製膜方法は、コンビナトリアルプロセスにも有効である。即ち、基体上の複数の領域に異なる製膜条件により形成した複数の膜を形成することができる。例えば、キャリアガスや反応性ガスの圧力やチャンバーの減圧度等の条件を調整することによって、複数の膜形成を達成できる。
【0068】
本発明に係る製膜方法に用いられる化学種前駆体としての材料としては、例えば、ジアルキル亜鉛(ZnR2)、トリメチルガリウム(Me3Ga)、テトラメチルシラン(Me4Si)、トリメチルアルシン(Me3As)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム等の有機基を有する化合物や、五塩化タンタル、タングステンヘキサカルボニル〔W(CO)6〕等の金属を含む化合物、ホスフィン等の有機基以外の置換基あるいは配位子を有する化合物、あるいは赤リンや黄リンなどの単体であってもよい。常温常圧(25℃、1気圧)で液体のケイ素化合物(例えば、図3に示すケイ素化合物1〜4)等が挙げられる。中でも、ケイ素化合物1〜4は、比較的、発火や爆発等の危険性が低いので、取り扱いが容易である点で好ましい。なお、ケイ素化合物3または4を用いる場合には、波長200nm程度の光により反応活性種等の化学種を発生させることが好ましい。また、ジアルキル亜鉛(ZnR2)は、ZnOの前駆物質として利用できるが、気化し易く、適度な分解性を有している点で好ましい。
【0069】
また、材料は、その化学結合が少なくとも1つ切断されるか、又は転位反応により化学種が生じるものが好ましい。その発生する化学種として、ラジカル、イオンラジカル、イオン、又は低原子価化学種(例えば、カルベンやシリレン等)のような反応活性種等を発生できる前駆物質、さらには、重合性を有するものを発生できる前駆物質が材料として好ましい。
【0070】
また、例えば、ケイ素の2価化学種であるシリレンの前駆物質を加熱し、発生したシリレンを複数のノズルまで輸送し、吐出することにより、シリコン膜を形成することができる。従来の液相や気相プロセスに用いるケイ素化合物は1分子当りの水素原子の含有量が多いため、発火や爆発等の危険性を伴ったが、特にシリレンの前駆物質として図3に示す化合物1、3を用いる場合は、それらのケイ素化合物に比較すると取り扱いが容易であるという利点もある。
【0071】
そして、前駆物質の材料から発生する化学種としての反応活性種の例としては、例えば、ラジカル、イオン、ラジカルイオン、シラエテン、シリリン、ジシレン、ジゲルメン等の不安定化学種、カルベンやシリレン等の低原子価化学種等が挙げられる。ここで、不安定化学種とは、例えば、熱力学的不安定あるいは速度論的に不安定の場合を指す。つまり、容易に活性化ポテンシャルを超えて他の化合物に変換されるものも含む。あるいは、他の反応試剤と容易に反応するもの等も挙げられる。
【0072】
化学種として特に重合活性を有する物質であれば、重合を基体上で行うことができるので、高分子により膜を形成することやマクロ構造を基体上に形成することが容易となる。重合活性を有する化学種としては、例えば、シラエテン、シリリン、ジシレン、ジゲルメ
ン等の不安定化学種、カルベンやシリレン等の低原子価化学種等が挙げられる。
中でもシリレンやジシレン等の化学種はケイ素原子が連結したポリシリレンあるいはポリシランの有用な鍵中間体として利用できる。
【0073】
図2は、第1実施形態の製膜方法を、材料としてジエチル亜鉛(ZnEt2)を用いて製膜装置10により実施した場合の例を示す概念図である。キャリアガスとして酸素(O2)を用いた場合である。予め試料室11に収納保持されていたZnEt2は、キャリアガス供給源16からのキャリアガスにより加熱部13へ同伴・移送される。そして、加熱部13における加熱により、ZnEt2はO2と反応し、ZnOとして化学種となる。その後、ノズル42のノズル孔42aから、ZnOが吐出され、例えば、アレイ状にLEDアレイ40における発光層41等を形成することができる。
【0074】
次に、前述したような構成の製膜方法のプロセスについて、TFTの製造におけるシリ
コンの直描パターニングを例に挙げて説明する。
【0075】
図4は、本発明に係る製膜方法により、シリコンの直描パターニングにおけるシリレンの挿入を行うプロセスを示す概略工程図である。また、図5は、本発明に係る製膜方法による製膜後におけるTFTの製造工程を示す概略工程図である。
【0076】
予めガラス基板60上にSi−Oからなる下地層61を設けた基板を用い(図4(a))、この下地層61に対して水酸化ナトリウム水溶液、硝酸水溶液及びアセトンを作用させて、下地層61の表面に水酸基を設けておく(図4(a))。
【0077】
次に、図4(b)の状態の基板上の下地層表面に対して、シリレンの導入を行う(図4(c))。この際、本発明に係る製膜方法により、例えば、ケイ素化合物1〜4の何れかを材料として用い、該材料をキャリアガスとともに流路を介して下流(ノズル方向)へ同伴・移送する。次いで、複数のノズル62の上流部に備えられた化学種発生部において、熱や光等により前記材料から化学種であるシリレン(:SiH2)を発生させる。このシリレンを複数のノズル62から吐出することにより、下地層に含まれる水酸基と反応し、Si−O結合が生成すると同時に末端にSi−H結合が残る。このSi−H結合が新たに供給されたシリレンとさらに反応して膜が形成されることになる。(図4(c)及び図4(d))。
【0078】
このように、シリレンの挿入反応を起こす場合には、下地層として、シリレンが挿入反応を起こす結合を有する化合物を含むものを用いることが好ましい。シリレンが挿入反応を起こす結合としては、例えば、前記例に示されるO−H基等のZ−H基(Zはカルコゲンを示す)や、Y−H基(Yは14族元素を示す)等が挙げられる。
【0079】
膜を形成した後、必要に応じてさらに光又は熱によるアニール等によって結晶化又は多結晶化を行なっても良い。
【0080】
上記の製膜によって、ガラス基板60に設けた下地層61上に、複数のシリコン半導膜63が形成される(図5(a))。次に、このシリコン半導膜63上に、所定のケイ素化合物によるCVDによって、SiO2を堆積し、ゲート絶縁膜64を形成する(図5(b))。さらに、それぞれのゲート絶縁膜64上に、ゲート電極65を形成する(図5(c))。その後は、通常公知のトランジスタの作製工程を施すことにより、TFTを得る。
【0081】
ゲート電極65の形成には、比較的熱で分解するようなAlMe3をCVD原料として使用してもよい。なお、TFT作製工程において、特開2003−197531号公報(特許文献2)に記載のように、アルミニウム金属をレーザー照射することにより発生させたAlを堆積してもよい。膜形成に際しては、ノズルと基体との距離を適宜設定することにより、膜のサイズを設定することができる。
【0082】
以上、本発明を好適な実施形態により詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態により何等制限されないことはいうまでもない。
例えば、基体は、前述した実施形態に記載されているガラス基板のような基板を含み、さらにアクティブマトリクス基板等をも含む。
【0083】
(パターニング方法)
本発明に係るパターニング方法は、化学種前駆体からなる材料化合物から化学種を発生させ、複数のノズルを利用して複数の膜を配置する方法である。そして、本発明のパターニング方法の好適な実施形態としては、前述した製膜方法におけるものと同様の構成からなる。従って、前記製膜方法において詳述した事項については、本発明のパターニング方
法にも同様に適用される。本発明のパターニング方法によれば、配線回路等の作成に好適である微細なパターニングを行うことができる。
【0084】
(電子装置の製造方法)
本発明に係る電子装置の製造方法は、前述した製膜方法又はパターニング方法を使用する方法である。本発明によれば、コストと安全リスクが低減された、シリコン半導体膜を備える電子装置、具体的には、LEDアレイ、TFT、センサー等、及びこれらを備える電子装置が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、反応活性種等の化学種を利用することにより、簡便に膜を形成することができる製膜方法、あるいはパターニング方法として、産業上の利用可能性を有する。さらには、コストと安全リスクの低減に適した、シリコン半導体膜の製法等に利用可能な製膜方法及びパターニング方法、並びにこれらの方法を用いた、LEDアレイ、TFT、センサー等、及びこれらを備える電子装置の製造方法として、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の製膜方法を実施するために好適な製膜装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態の製膜方法を用いて製膜を実施した例(材料:ZnEt2)を示す概念図である。
【図3】本発明に係る製膜方法に使用される材料(化学種前駆体)の一例を示す構造式である。
【図4】本発明に係る製膜方法を用いて、シリコンの直描パターニングにおけるシリレンの挿入を行うプロセスを示す概略工程図である。
【図5】本発明に係る製膜後におけるTFTの製造工程を示す概略工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのノズルから化学種又はその前駆体を吐出して基体上に前記化学種からなる複数の膜を配置する製膜方法。
【請求項2】
前記化学種は反応活性種である、請求項1に記載の製膜方法。
【請求項3】
少なくとも1つのノズルから反応活性を有する化学種を吐出することにより、基体上に、前記化学種が反応することにより生成した膜を形成すること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのノズルは複数のノズルである、請求項1乃至3のいずれかに記載の製膜方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の製膜方法において、
前記化学種は、前記化学種の前駆物質の反応により生成すること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製膜方法において、
前記化学種は、前記化学種の前駆物質に含まれる化学結合のうち少なくとも1つの化学結合が切断されることにより生成すること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項7】
請求項5に記載の製膜方法において、
前記化学種は、前記前駆物質の分子構造が転位反応により変化することにより生成すること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の製膜方法において、
前記化学種を、前記前駆物質にエネルギーを付与することにより生成すること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項9】
前記化学種は、重合性を有する、請求項1乃至8の何れかに記載の製膜方法。
【請求項10】
前記化学種が、ラジカル、イオンラジカル、イオン、又は低原子価化学種である、請求項1乃至9の何れかに記載の製膜方法。
【請求項11】
前記化学種を前記ノズルから吐出することにより、前記化学種のフリージェットが生成する請求項1乃至10の何れかに記載の製膜方法。
【請求項12】
請求項5乃至8のいずれかに記載の製膜方法において、
前記前駆物質は、金属を含む化合物であること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項13】
請求項5乃至8のいずれかに記載の製膜方法において、
前記前駆物質は、常温常圧(25℃、1気圧)で液体のケイ素化合物であること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の製膜方法において、
前記化学種がシリレンであること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項15】
請求項14に記載の製膜方法において、
前記基体は下地膜を含み、
前記複数の膜の少なくとも1つの膜は、前記下地膜上に形成され、
前記下地膜は、前記シリレンが挿入反応を起こす結合を含んでいること、
を特徴とする製膜方法。
【請求項16】
請求項15に記載の製膜方法において、
前記下地膜は、前記シリレンが挿入反応を起こす結合として、Z−H基(Zはカルコゲンを示す)又はY−H基(Yは14族元素を示す)を含むこと、
を特徴とする製膜方法。
【請求項17】
少なくとも1つのノズルから化学種又はその前駆体を吐出して前記化学種からなる複数の膜を配置するパターニング方法。
【請求項18】
少なくとも1つのノズルから反応活性を有する化学種を吐出して基体上に、各々が前記化学種が反応することにより生成した複数の膜を形成する工程を含むこと、
を特徴とするパターニング方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのノズルは複数のノズルである、請求項17又は18に記載のパターニング方法。
【請求項20】
請求項17乃至19のいずれかに記載のパターニング方法において、
前記化学種は、常温常圧(25℃、1気圧)で液体のケイ素化合物から生成させること、
を特徴とするパターニング方法。
【請求項21】
請求項17乃至20のいずれかに記載のパターニング方法において、
前記化学種がシリレンであること、
を特徴とするパターニング方法。
【請求項22】
前記複数の膜は、下地層上に形成され、
前記下地膜に、前記シリレンが挿入反応を起こす結合を有する化合物を含むものを用いる、請求項21記載のパターニング方法。
【請求項23】
前記シリレンが挿入反応を起こす結合が、Z−H基(Zはカルコゲンを示す)又はY−H基(Yは14族元素を示す)である、請求項22記載のパターニング方法。
【請求項24】
請求項1〜16の何れかに記載の製膜方法を使用する電子装置の製造方法。
【請求項25】
請求項17〜23の何れかに記載のパターニング方法を使用する電子装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−54825(P2007−54825A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189687(P2006−189687)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】