説明

複合材料を形成するために、カーボンナノチューブ(CNT)を流体に供給する方法およびシステム

本明細書において開示されることは、カーボンナノチューブ、CNTを粒体に供給する方法であり、CNTは、CNTの絡み合った凝集体の粉体の形で供給され、絡み合った凝集体の粉体は、投与チャンバ(16、18)に供給され、圧力パルスは、投与チャンバ(16、18)に適用されて、前記圧力および添付の剪断力によって凝集体が少なくとも部分的に崩壊されるように、投与チャンバの出口からCNTを排出し、CNTは、前記粒体の中に供給され、前記流体内に前記CNTを分散させ、かつ複合材料を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料を形成するために、カーボンナノチューブ(CNT)を流体に供給する方法およびシステムに関する。CNTは、射出成形工程または押出工程の間にプラスチック材料の中に射出される、あるいはスプレーフォーミング工程中に溶融金属の中に射出されることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
時には「炭素フィブリル」または「中空炭素フィブリル」とも呼ばれることがあるカーボンナノチューブ(CNT)は、3〜100nmの直径およびそれら直径の何倍もの長さを有する、典型的にシリンダー状のカーボンチューブである。CNTは、炭素原子の1つまたはそれより多くの層から成り、かつ種々の形態を有するコアによって特徴付けられてよい。
【0003】
CNTは、長年文献から知られている。飯島(飯島、ネイチャー 354、56−58、1991)は、CNTを最初に発明した人と一般的に考えられているが、実際には、複数のグラファイト層を有するファイバ状グラファイト材料が、1970年代および1980年代から知られている。例えば英国特許第14 699 30 A1および欧州特許第56 004 A2において、TatesおよびBakerは、炭化水素の触媒分解からの非常に微細なファイバ状炭素の堆積物を初めて記載した。しかしながら、これら刊行物では、短連鎖炭水化物に基づいて製造される炭素フィラメントは、それらの直径に関して、これ以上特徴付けられていない。
【0004】
カーボンナノチューブの最も一般的な構造はシリンダー状であり、CNTは、ただ1つのグラフェン層で構成されてよく(単層カーボンナノチューブ)、あるいは複数の同心グラフェン層で構成されてよい(多層カーボンナノチューブ)。そのようなシリンダー状CNTを製造する標準的な方法は、アーク放電、レーザアブレーション、CVDおよび触媒CVD処理に基づく。飯島(ネイチャー 354、56−58、1991)による上記の記事には、同心シームレスシリンダーの形で2つまたはそれより多くのグラフェン層を有するCNTのアーク放電法を用いた形成が、記載されている。いわゆる「巻き上げベクトル」に応じて、CNT長手軸に関して、炭素原子の対掌および非対掌なアレンジメントが可能である。
【0005】
J. Appl. Phys. 34, 1960, 283 - 290のBaconらによる記事において、通常「スクロール型」と呼ばれる、単一の連続的な巻き上げグラフェン層から成るCNTの種々の構造が、初めて記載されている。不連続なグラフェン層で構成された同様の構造は、「オニオン型」CNTという名で知られている。そのような構造は、その後、サイエンス、263, 1994, 1744 -1747のZhouらによって、およびCarbon 40, 2002, 1123 - 1130のLavinらによっても見つけられている。
【0006】
周知のように、CNTは、導電性、熱伝導性および強度に関して実に驚くべき特性を有する。例えば、CNTは、ダイアモンドを超える硬度および鋼鉄よりも10倍大きな引張強度を有する。その結果、コンパウンド材料にこれらの有利な特性の幾つかを移転させようとするセラミック、ポリマー材料もしくは金属のような、コンパウンドまたは複合材料における構成要素としてCNTを用いることは、絶え間なく取り組まれてきた。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0134496 A1から、セラミックおよび金属および長鎖カーボンナノチューブの混合粉体をボールミルによって練り分散させ、その分散させた材料を放電プラズマを用いて焼成させる、CNT分散複合材料を製造する方法が知られている。金属にアルミニウムを用いる場合、好ましい粒径は50〜150μmである。
【0008】
機械的合金化処理において、複合CNT金属粉体を製造するように、カーボンナノ材料と金属粉体とを混ぜ合わせて練る同様の方法が、日本国特許第2007 154 246 Aに記載されている。
【0009】
金属−CNT複合材料を得るもう1つの関連する方法が、国際公開WO2006/123 859 A1に記載されている。ここにおいても同様に、ボールミルにて金属粉体とCNTとを、300rpmまたはそれよりも大きな粉砕速度で混ぜ合わせる。この先行技術の主な目的の1つは、機械的特性および電気的特性を向上させるために、CNTの指向性を確保することである。この特許文献によれば、ナノフィブリルが金属内に均一に分散している複合材料に機械的物質流動処理を適用することによって、ナノフィブリルに指向性が与えられ、その物質流動処理は、例えば複合材料の押出、回転または射出であり得る。
【0010】
本発明の国際公開WO2008/052 642号および国際公開WO2009/010 297号は、CNTおよび金属を含有する複合材料を製造する更なる方法を開示する。ここにおいて、複合材料は、ボールミルを用いて機械的合金化によって製造され、ボールは11m/秒または14m/秒さえまでの非常に大きな速度まで加速させられる。得られた複合材料は、金属層とCNT層とが交互になっている層状構造によって特徴付けられ、金属材料の個々の層は、20nm〜200,000nmの厚さであってよく、かつCNTの個々の層は、20nm〜50,000nmの厚さであってよい。この先行技術の層構造は、図11aに図示される。
【0011】
これら特許文献にて更に示されるように、純アルミニウムマトリックス中に6重量%のCNTを導入することによって、引張強度、硬度および弾性率を、純アルミナと比べ著しく増大させることができる。しかしながら層構造のせいで、機械的特性は等方的でない。
【0012】
CNTの均質で等方的な分散を提供するために、日本国特許第2009 03 00 90号では、CNT金属コンパウンド材料を形成する更に別の方法が提案されている。この文献によれば、0.1μm〜100.0μmの平均主要粒子サイズを有する金属粉体は、CNTを含有する溶液に浸漬され、CNTは親水化によって金属粒子に付着させられ、それによって、金属粉体粒子の上部にメッシュ状コーティング膜を形成する。次に、CNT被覆金属粉体は、焼成処理にて更に処理させられることができる。また、その被覆金属複合物を基材表面に積層させることによって、積層金属複合物が形成され得る。得られた複合物は、より優れた機械的強度、導電性および熱伝導性を有することが報告されている。
【0013】
先行技術の上記議論から明らかなように、金属内にCNTを分散させる同じ概念を、多数の種々の方法で実施することができ、得られた複合材料は、種々の機械的特性、電気的特性および熱導電特性を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
当然のことながら、上記先行技術は、まだ実験室規模でしか実施されていない、即ち、最終的にどの種類の複合物が、産業での使用を実質的に満足させるのに十分に大規模かつ経済的に妥当な条件で製造できるか、まだ示されていないままである。更に、そのようなコンパウンド材料の機械的特性は、ほとんど調査されていない上、更に処理してある物体にする上で、複合材料がどのように挙動するか、詳細には、原材料としての複合材料の有益な特性が、それから製造した完成品にどの程度まで引き継がれることができ、かつその物体の使用のもとで、どの程度まで維持されることができるか、まだ示されていないままである。
【0015】
欧州特許第0 960 008 B1は、機械的に繊細な充填材を含有するポリウレタンを製造するための方法を記載する。記載されたシステムは、充填材のための投与手段、ポリオールのための投与手段、充填材とポリオールとを混ぜ合わせるための連続的なねじ山を有するミキシングスクリューを有して成る。それは、ポリオールと充填材との混合物を受容するための減圧ホッパー、およびその混合物を、充填材を含有するポリオールとイソシアネート成分とを混ぜ合わせるための混合ヘッドに供給するためのスクリュースピンドルまたは偏心スクリューポンプを更に有して成り、その混合ヘッドは、発泡パーツを生成するように構成される。そのシステムは、ポリウレタン内に膨張性グラファイトのような機械的に繊細な充填材を用いるのに特に適する。充填材は、20バール以下、好ましくは10バール以下のいずれかの圧力に晒される。
【0016】
国際公開WO03/029762 A1は、例えば被覆処理において用いられるべき材料の種々の量を投与するのに適する、あるいは化学分野、医学分野およびパン屋におけるようなあらゆる種類の配合に適する、細粒バルク材料の投与量を運搬するための方法および装置を記載する。国際公開WO03/029762A1の装置は、バルク材料の連続的なストリームを形成するように、投与チャンバに接続された圧力ラインおよび真空ラインを交互に用いて充填および放出されることができる、少なくとも2つの投与チャンバを用いる。
【0017】
溶融金属からのスプレーフォーミング品の方法およびシステムが、イギリスのSandvik Osprey Ltd.によって開発され、それは、英国特許第1 379 261 Aおよび英国特許第1 472 939 Aにおいて、ならびにSandvik Osprey Ltd.のウェブサイトであるwww.smt.sandvik.com/ospreyに記載されている。金属品のスプレーフォーミングは、スプレーキャスト、スプレー堆積またはその場圧密化としても当該技術分野で知られている。
【0018】
本発明の1つの目的は、プラスチックまたは金属材料内に分散させられ、かつより優れた、硬度、引張強度およびヤング係数のような機械的特性を有するカーボンナノチューブ(CNT)を含んで成る複合材料を製造する、新しい方法ならびにシステムを提供することである。
【0019】
本発明は、特定のカーボンナノチューブ(CNT)を流体に供給する方法およびシステム、ならびに前記供給方法/システムに基づいて半完成品または完成品を製造するための方法および装置を提供する。本発明によれば、CNTはナノ粒子の絡み合った凝集体の粉体の形で提供され、その粉体は投与チャンバに供給され、ならびにその凝集体が、圧力パルスおよび付随する剪断力によって少なくとも部分的に崩壊されるような方法で、圧力パルスは投与チャンバに適用され、CNTを投与チャンバの出口から排出する。その凝集体は、溶融もしくは可塑化プラスチックまたは溶融金属材料のストリームのような流体に供給されて、CNTを流体内に分散させ、複合材料を形成する。複合材料は、半完成品または完成品を、例えば押出、射出成形またはスプレー圧密化によって製造するために用いられる。
【0020】
先行技術で生じる更なる問題は、CNTを扱う場合に起こり得る暴露に関する(例えば、Baron P. A. (2003)の「未精製単層カーボンナノチューブ材料の取り扱い中のエアロゾル放出の評価」、NIOSH DART-02-191 1.1版 2003年4月;Maynard A. D.ら(2004)の「カーボンナノチューブ材料への暴露:未精製単層カーボンナノチューブ材料の取り扱い中のエアロゾル放出」、毒物学および環境衛生の学術誌、パートA、67:87-107;Han, J. H.ら(2008)の「カーボンナノチューブ研究施設における多層カーボンナノチューブ暴露のモニタリング」、吸入毒物学、20:8, 741-749参照)。
【0021】
1つの好ましい実施形態によれば、CNTを、巻き上がりの可能性が低いために容易な取り扱いを確保するのに十分に大きな平均サイズを有する絡み合ったCNT凝集体の粉体の形で提供することによって、このことを最小限に抑えることができる。ここで、CNT凝集体の少なくとも95%は、100μmよりも大きな粒子サイズを有することが好ましい。好ましくは、CNT凝集体の平均直径は、0.05mm〜5.00mmであって、好ましくは0.10mm〜2.00mmであり、最も好ましくは0.20mm〜1.00mmである。
【0022】
従って、暴露の可能性を最小限に抑えることで、金属またはプラスチック流体で処理されるべきCNTを容易に取り扱うことができる。凝集体が100μmよりも大きい場合、それらは標準的なフィルターによって容易にろ過されることができ、EN 15051−Bという意味で、呼吸が可能な低い巻き上がりが保証される。更に、この大きなサイズの凝集体で構成された粉体は、CNT原材料の容易な取り扱いを可能にする注入性および流動性を有する。
【0023】
CNTをミリメートルスケールの非常に絡み合った凝集体の形で提供しつつも、それらをナノスケールで均一に分散させることは、難しいであろうことが直ちに予想できるであろうが、本発明に基づく方法およびシステムを用いると、コンパウンド全体にわたる均質で等方的な分散が実際に可能であることが、発明者によって確かめられている。投与チャンバに適用される圧力パルスは、粉体をよく制御された量にて、それゆえCNTを正確に計量して、投与チャンバの出口から排出するだけでなく、CNTの絡み合った凝集体が、破壊または崩壊させられ、それゆえ分解させられて、オペレータによって操作される必要なく金属またはプラスチック流体の中に導入されることができる分離されたCNTを形成するという効果ももたらす。絡み合った構造および大きなCNT凝集体の使用は、それが高圧パルスを用いて投与チャンバから供給される場合、CNTの完全性を維持するのに役立つことさえできる。CNTを圧力パルスを用いて供給する場合、大きな加速力は、大きな力の勾配および剪断力を発生させ、絡み合ったCNTの凝集体を機械的に崩壊させることができるが、一方で、凝集していないCNTが損傷さえされ得る。
【0024】
それゆえ本発明は、CNTを流体の中に射出して複合材料を形成する前に、CNTを分解させるために割り当てられる処理工程を必要とせず、良好な、注入性および流動性ならびにろ過性のような処理性、かつCNT凝集体の健康上のリスクの減少を活かしている。凝集は、本発明の供給プロセスにおいて「自動的に」起こる。
【0025】
CNTの分解および投与を、圧力パルスの絶対圧力値、パルス周波数、パルス幅およびパルス負荷サイクルの少なくとも1つを制御することによって制御することができる。
【0026】
射出成形処理、押出処理、スプレー圧密化処理または同様のものにおいて、本発明の方法は、CNTを、溶融または可塑化プラスチック材料または溶融金属のような、溶融または可塑化材料の流体ストリーム中に供給するのに特に適する。そのような処理において、コンパウンド全体にわたるCNTの均質で等方的な分散を最適化するように、分解されたCNTは、流体を出力するための出力ノズルの直前の流体の中に射出されることが好ましい。分解されたCNTを出力ノズルのすぐ上流で流体ストリームの中に供給することは、上記の健康上のリスクのような、供給ラインにおける漏れのせいで、分解されたCNTによって引き起される問題を、実質的に避けることができるという更なる利点を有する。本発明の方法は、金属粒子およびCNTを有して成る複合材料の機械的合金化をもたらすよう、CNTをミルチャンバおよび粉砕部材としてのボールを有するボールミルに供給するために、分解されたCNTの量を調節するためにも用いられることができる。
【0027】
本発明の供給方法およびシステムは、処理用の流体に供給されるCNT、詳細には分解されたCNTの量の正確な調節を可能にする。当該技術分野において、本発明によって実現されることができる、ナノ粒子ストリームの質量流量を正確に計量するための手段は、存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の1つの好ましい実施形態において、少なくとも2つの投与チャンバが用いられ、かつ圧力パルスが、前記投与チャンバに連続的に適用されて、投与チャンバのそれぞれの出口からCNTを連続的に排出する。交互に充填および放出される2つまたはそれより多くの投与チャンバを用いることは、前記流体の中に供給されるべきCNTの実質的に連続的なストリームを生成するのを可能にする。
【0029】
CNTが、空気圧によってCNTの貯蔵器から投与チャンバに引き入れられ、かつ空気圧によって投与チャンバから排出されることができるように、CNTは、投与チャンバに接続される圧力ラインおよび吸引または真空ラインを用いて供給されることが好ましい。
【0030】
CNTの平均直径は、3〜100nmが好ましく、より好ましくは5〜80nm、および最も好ましくは6〜60nmである。結晶の直径が100nmのオーダーである1つの実施形態において、CNTは、約10nmの直径を有することができる;結晶の直径が200nmのオーダーである場合、CNTは、例えば約15nmの直径を有することができる。CNTは、密接な係合および連結を形成して、結晶の内側におよび/または粒界に沿って配置される。この効果は、「ナノ安定化」と呼ばれる。
【0031】
更に、アスペクト比とも呼ばれる、CNTの直径に対する長さの比は、好ましくは3よりも大きく、より好ましくは10よりも大きく、最も好ましくは30よりも大きい。CNTの高いアスペクト比は、同様に金属結晶のナノ安定化を助ける。
【0032】
本発明の1つの有利な実施形態において、CNTの少なくともほんの一部は、1つまたはそれより多くの巻き上げられたグラファイト層で構成されるスクロール構造を有し、それぞれのグラファイト層は、互いの上部の2つまたはそれより多くのグラフェン層から成る。このタイプのナノチューブは、独国特許第10 2007 044 031 A1において初めて記載された。この新しいタイプのCNT構造は、ただ1つの巻き上げられたグラフェン層で構成された「単一スクロール」構造と区別して、「マルチスクロール」構造と呼ばれる。従って、マルチスクロールCNTと単一スクロールCNTとの関係は、単層シリンダー状CNTとマルチ層シリンダー状CNTとの関係に類似する。このマルチスクロールCNTは、らせん形状の断面を有し、かつ一般的に、それぞれ6〜12のグラフェン層を有する2または3のグラファイト層を有する。
【0033】
マルチスクロール型CNTは、上記のナノ安定化に非常に適することが分かっている。その理由の1つは、マルチスクロールCNTが、直線に沿って延在するのではなく、曲がってまたは縮れて、複雑に湾曲した形状を有する傾向があるからであり、そのことは、それらが、非常に絡み合ったCNTの大きな凝集体を形成する傾向がある理由でもある。曲がった、湾曲した、かつ絡み合った構造を形成するこの傾向は、結晶と連結し、それらを安定化させる3次元ネットワークの形成を促す。
【0034】
マルチスクロール構造がナノ安定化に非常に良く適する更なる理由は、チューブが開いた本のページのように湾曲する場合、個々の層が扇形に広がる傾向があるからだと考えられており、それゆえ、結晶と連結するための起伏のある構造を形成し、それは今度は、欠陥の安定化のためのメカニズムの1つであると考えられている。
【0035】
更に、マルチスクロールCNTの個々のグラフェン層およびグラファイト層が、外見上どのような隙間も有さず、CNTの中心から周囲に向かって連続的な形態であるため、これも同様に、チューブ構造における更なる材料のより良好かつより早いインターカレーションを可能にする。なぜなら、Carbon 34, 1996, 1301 - 03に記載される単一スクロールCNTと比べて、あるいはサイエンス 263, 1994, 1744 - 47に記載されるオニオン型構造を有するCNTと比べて、より開口した縁部が、インターカレーションのための入口を形成できるからである。
【0036】
CNTの投与チャンバへのおよび投与チャンバからの供給の間、CNTを高圧に晒すことは、分解されたCNTが、流体に射出される前に機能化される、詳細には粗面化されるという更なる効果をもたらすことができる。
【0037】
ナノ粒子がマルチ層またはマルチスクロールCNTによって形成される場合、CNTを5.0MPaまたはそれよりも高い圧力、好ましくは7.8MPaまたはそれよりも高い圧力のような高圧に晒すことによって、少なくともいくらかのCNTの少なくとも最外部層を破壊させることにより、粗面化が行なわれてよい。ナノ粒子の粗面化のおかげで、金属結晶との連結効果およびそれゆえナノ安定化は、更に高まる。
【0038】
本発明は、半完成品または完成品を製造するための方法および装置も提供し、上記のように、ナノ粒子材料は流体に供給され、その流体は、例えば可塑化もしくは溶融プラスチック、溶融金属材料、または金属粒子の流体のストリームであってよい。
【0039】
本発明で使用するためのプラスチック材料は、合成ポリマー材料を含んで成ることが好ましく、それは例えばPU(ポリウレタン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチロール)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、またはイー・アイ・デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニーのテフロン(登録商標))、PA(ポリアミド)、ポリエステル、PC(ポリカーボネート)、およびPET(ポリエチレンテレフタレート)などである。プラスチックは、当該技術分野において周知であるような、例えば射出成形または押出によって処理される。
【0040】
金属が複合材料を形成するために用いられる場合、中にCNTが分散している金属材料を処理する1つの好ましい方法は、英国特許第1 379 261 Aおよび英国特許第1 472 939 Aにて、ならびにOsprey Metal社によって記載されているように、スプレーフォーミングまたはスプレー圧密化によるものである。この実施形態において、好ましくは、金属は軽金属であり、詳細にはAl、Mg、Ti、またはAl−Li合金、Al−Ni合金、Al−Si合金およびAl−Zn合金のような、先の1つもしくはそれより多くを含有するいずれかの合金である。別の実施形態において、金属はCuまたはCu合金であってよい。
【0041】
中にCNTが分散している金属材料を処理するもう1つの方法は、ボールミルを用いた機械的合金化によるもので、本発明のシステムおよび方法は、ボールミルの中への分解されたCNTを正確に計量するために用いられる。ボールミルの粉砕チャンバは固定され、そのボールは回転要素の回転運動によって加速されることが好ましい。この構成は、ボールの先端部が上記速度で動かされるように、十分な回転周波数で回転要素を駆動させることによって、ボールを8m/秒、11m/秒または更に大きな上記速度まで容易にかつ効率的に加速させることを可能にする。これは、ボールの最大速度が、通常たった5m/秒である、例えば回転ドラムを有する普通のボールミルまたは平面的なボールミルとは異なる。また、固定粉砕チャンバおよび駆動式回転要素を採用する構成は、容易に拡大縮小可能でもあり、実験室タイプのミルから、産業規模でのハイスループット機械的合金化のためのミルまで、非常に種々のサイズのボールミルのために、同じ構成が用いられることができることを意味する。
【0042】
例えばバッチ粉砕処理を想定することができるはずであり、所定量の金属粒子およびCNTが機械的合金化によって処理された後、その合金は自動的に排出され、かつそれぞれの貯蔵器から新しい材料が自動的に供給される。これは、CNTが分解され、かつ正確に計量されることを要求する。
【0043】
金属成分としてのアルミニウムに関して、本発明は、Al合金によって、現在直面している多くの問題を回避することを可能にする。亜鉛を組み込んだAl7xxxまたはLiに基づく標準EN 573−/4によるLiを組み込んだAl8xxxのような、高強度Al合金が知られているが、残念なことに、これら合金を陽極酸化によって被覆することは困難であることが分かっている。また、異なるAl合金が組み合わせられる場合、含有される合金の異なる電気−化学ポテンシャルのせいで、接触領域にて腐食が起こり得る。一方、固溶体硬化に基づく1xxx系、3xxx系および5xxx系のAl合金は、陽極酸化によって被覆されることはできるが、それらは、比較的不十分な機械的特性、低い温度安定性を有し、かつ冷間加工により極めて限られた程度までしか硬化されることができない。
【0044】
これとは対照的に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が本発明の複合材料の金属成分を形成する場合、ナノ安定化効果のおかげで、今日市販されている最も高い強度のアルミニウム合金に匹敵する、あるいはそれを超えさえする強度および硬度を有し、更に、ナノ安定化のおかげで増大した高温強度を有し、かつ陽極酸化を受け入れる態勢にある、アルミニウム系複合材料を提供することができる。本発明の複合材料の金属として、高強度アルミニウム合金を用いる場合、コンパウンドの強度を更に上昇させることさえできる。更に、複合材料中のCNTの割合を適切に調節することによって、機械的特性を所望の値に調節することができる。従って、同じ金属成分を有するが、CNTの異なる濃度を有し、それゆえ異なる機械的特性を有する材料を製造することができ、それらは、同じ電気−化学ポテンシャルを有し、従って互いに接続される場合、腐食しやすくないであろう。これは、異なる機械的特性が必要とされる場合、異なる合金を用いることが必要とされ、かつそれゆえ異なる合金が接触する場合、腐食が常に問題となる、先行技術とは異なる。
【0045】
引張強度および硬度は、複合材料内のCNTの含有量とほぼ比例して変化し得ることが分かっている。アルミニウムのような軽金属にとって、ヴィッカース硬度は、CNT含有量に対してほぼ直線的に増加することが分かっている。約9.0重量%のCNT含有量にて、複合材料は、非常に固くてもろくなる。従って、所望の機械的特性に応じて、0.5〜10.0重量%のCNT含有量が好ましいであろう。特に、5.0〜9.0%の範囲のCNT含有量が非常に有用であり、なぜならそれは、上記のナノ安定化の利点、詳細には高温安定性と組み合わせて、驚くべき強度の複合材料を作ることを可能にするからである。もう1つの好ましい実施形態において、CNT含有量は3.0〜6.0重量%である。
【0046】
本発明によって形成される新しい複合材料の構造は、金属結晶のマイクロ構造がナノ粒子(CNT)によって安定化されるという点で、新しくかつ驚くべき効果を有する。詳細には、ナノスケール金属結晶とCNTとの密接な係合または連結のおかげで、CNTによって金属内の転位が安定化させられることが観察されている。この安定化は、ナノスケール結晶の体積に対して非常に大きな表面の割合のおかげで可能である。更に、金属成分として、固溶体硬化によって強化された合金が用いられる場合、混合された結晶または固溶体の相は、CNTとの係合または連結によって安定化されることができる。従って、均一にかつ好ましくは等方的に分散したCNTと組み合わせて、この新しい効果、詳細には、100nm以下、最大200nm以下の金属結晶に生じることが観察されるそれは、本明細書において「ナノ安定化」または「ナノ固定」と呼ばれる。ナノ安定化の更なる要旨は、CNTが金属結晶の粒子成長を抑制することである。
【0047】
ナノ安定化は、当然ながら微視的な(またはむしろナノスケールの)効果であるが、それは、中間製品としてコンパウンド材料を製造するのを可能にし、更に、新奇な巨視的機械的特性、詳細には高温安定性に関する特性を有する、それ由来の完成品を製造するのを可能にする。例えば、CNTによるナノ結晶のナノ安定化のおかげで、転位密度およびそれに関係して増大した硬度は、金属の相のいくつかの融点付近の温度で維持されることができることが観察されている。このことは、コンパウンド材料が、コンパウンドの機械的強度および硬度を保ちながら、金属の相の幾つかの融点までの温度で、熱間加工または押出の方法に適用されることができることを意味する。例えば、金属がアルミニウムまたはアルミニウム合金の場合、熱間加工は、アルミニウムの機械的特性を通常ひどく傷つけるため、当業者は、熱間加工がそれを処理するのに典型的でない方法であることを理解するであろう。しかしながら、上記のナノ安定化のおかげで、増大したヤング係数および硬度は、熱巻加工のもとでさえ保たれる。更に、原材料としてのナノ安定化コンパウンドから形成された最終製品は、軽金属が高温安定性の欠如のせいで一般的に機能しない、エンジンまたはタービンのような高温用途に用いられることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、ナノ粒子は、CNTによって互いに部分的に隔てられているだけでなく、幾つかのCNTは、結晶内に含有または組み込まれてもいる。これを、結晶から「髪」のように突出するCNTとして考えることができる。これら組み込まれたCNTは、コンパウンド材料を処理する際、圧力および/または熱の形でエネルギーが供給される場合、粒子成長および内部緩和を妨げる、即ち、転位密度の減少を妨げる上で、重要な役割を果たすと考えられている。
【0049】
CNTおよびCNT凝集体の製造および構造、ならびにCNTが金属結晶内に組み込まれる複合材料の構造に関して、優先権主張出願PCT/EP2009/006737について明確に述べられており、その内容を、参照することによって本明細書に組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に基づく、押出機においてCNTを流体ストリームの中に供給するためのセットアップの概略図を示す。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態において用いられることができる、スプレーフォーミング装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明を実施する1つの実施例として、押出プラスチック品を製造するための装置を概略的に図示する。一般的に、装置は、ナノ粒子のための供給システム10、およびCNTが中に分散しているポリウレタンまたはポリエチレンのようなプラスチックを含んで成る複合材料から、物体を形成するための押出機12を有して成る。
【0052】
図1の実施形態の供給システム10は、カーボンナノチューブ(CNT)の絡み合った凝集体の粉体を受容するための貯蔵器14、および入口が供給ライン20、20’、20”を介して貯蔵器14に接続されている2つの投与チャンバ16、18を有して成る。投与チャンバ16、18の出口は、供給ライン22、22’、22”を介して押出機12に接続される。
【0053】
供給システム10は、圧力ポンプ24’、24”、またはそれぞれの圧力ラインおよび真空ポンプ26’、26”または投与チャンバ16、18に接続されるそれぞれの真空吸引ラインを更に有して成る。バルブ28’、28”;30’、30”;32’、32”;および34’、34”は、図1に図示するように、投与チャンバ16、18と、それぞれの供給ライン20’、20”との間、供給ライン22’、22”との間、圧力ポンプ24’、24”との間、および真空ポンプ26’、26”との間に提供される。
【0054】
押出機12は、プラスチック粒質材料を押出機ヘッド40に供給するための供給ライン38を介して、PUまたはPE粒質物のようなプラスチック粒質材料のための貯蔵器36に接続される。バルブ42は、押出機12への粒質物の流れを制御する。押出機ヘッド40は、押出複合材料44が出力される押出ノズル(図示せず)を有して成る。押出機12は、押出機スピンドル(図示せず)および当該技術分野で周知の他の構成要素も有して成る。図1に図示するシステムの動作は、以下の通りである。
【0055】
真空ポンプ26がCNT凝集体を貯蔵器14から投与チャンバ16または18の中に引き入れるようにバルブ30’、30”;32’、32”を閉め、かつバルブ28’、28”、34’、34”を開けることによって、CNT凝集体は、貯蔵器14から2つの投与チャンバ16、18に交互に供給される。圧力ポンプ24によって生じた圧力パルスが投与チャンバ16または18に適用されることができるようにバルブ28’、28”;34’、34”を閉め、かつバルブ30’、30”;32’、32”を開けることによって、CNT凝集体は、分解されて投与チャンバ16および18から排出する。投与チャンバ16または18の一方にCNT凝集体が供給される間、他の投与チャンバ18または16では、CNTが結合された供給ライン22’、22”を通って実質的に連続的なストリームを発生させるように分解され放出されるような方法で、バルブ、真空ポンプおよび圧力ポンプは、制御される。CNT凝集体を投与チャンバ16、18に供給して、投与チャンバ16、18から分解されたCNTを放出するサイクルが、投与チャンバ16、18を浄化する中間工程を含んで成るような方法で、CNTの押出機12への供給は、制御されることができ、投与チャンバを浄化する前記工程のために、バルブ28’、28”;30’、30”は閉められ、かつバルブ32’、32”;34’、34”は開けられる。
【0056】
本発明の他の実施形態において、2つよりも多くの投与チャンバ16、18は、並列に提供されることができ、かつ更なる投与チャンバは、直列に提供されることができる。
【0057】
CNTを投与チャンバ16、18の中へ引き入れ、CNTを投与チャンバ16、18から排出する時、供給されるべきCNTの量を調節し、かつCNTの分解のプロセスを制御するように、圧力ポンプ24’、24”および真空ポンプ26’、26”によって生じる絶対圧力、パルス周波数、パルス幅ならびにパルス負荷サイクルは、制御されることができる。
【0058】
この種類の供給システムは、国際公開WO03/029762 A1に詳細に記載されており、参照することによって本明細書に組み込む。従って、そのシステムは、この出願において更に詳細に記載される必要はない。
【0059】
投与チャンバ16、18において絡み合ったCNT凝集体に適用される高空気圧加速力のおかげで、圧力ポンプ24’、24”によって圧力パルスが生じる時だけでなく、凝集体が真空ポンプ26’、26”を用いて投与チャンバ16、18の中に引き入れられる時にも、非常に強い力の勾配および関連する剪断力は、CNT凝集体が機械的に崩壊され、かつチューブまたはファイバの形でCNTとして回収されるように、CNT凝集体に適用される。これらCNTは、供給ライン22’、22”を介して押出機ヘッド20の中に供給され、それらは、押出機ノズルのすぐ上流で、可塑化または溶融プラスチックの中に分散される。押出機12において、粒質物または同様のものとして貯蔵器36から提供されるプラスチックは、当該技術分野において周知の方法で処理され、可塑化または溶融され、かつ押し出され、供給されるプラスチック粒質物の量は、バルブ42によって制御されることができる。本出願の文脈において、流体または可塑化プラスチック材料は、CNTが中に射出される流体と見なされる。本発明は、プラスチック材料を処理するために、押出機を用いる代わりに、射出成形処理、ブロー成形処理、注入処理、発泡処理、またはむしろ当該技術分野において既知の、あるいは展開されるべきプラスチック処理の方法にも適用されてよい。上記のように、分解されたCNTは、出力ノズルのすぐ上流で、溶融または可塑化プラスチック材料の中に射出されることが好ましく、プラスチック材料は、依然として溶融または可塑化状態にある。
【0060】
驚くべきことに、本発明は、本明細書において記載される方法およびシステムによって、プラスチック材料内でのCNTの均質かつ等方的な分散を達成することができ、それは最終的に、複合材料44として出力されることが分かっている。
【0061】
本発明の別の実施形態において、CNTは溶融金属、またはより一般的には、完成半完成品を製造するように処理される金属流体の中に射出される。好ましい実施形態において、CNTは、図2に概略的に図示するスプレー圧密化装置にて、溶融金属の中に導入される。
【0062】
スプレー圧密化装置は、金属を液体状態まで加熱するための加熱手段54によって包囲されている、溶融金属合金52の供給物を保持するためのるつぼ50を有して成る。溶融金属は、重力または当該技術分野で既知の他の手段によって、るつぼ50から流管56に、更に噴霧ノズル58に供給される。噴霧ノズル56は、基材66に堆積物64を形成する噴霧金属液滴62を生成するために、噴霧ガス入口60を有して成る。この装置は、半完成品を製造するための当該技術分野で十分に確立されており、その半完成品は、例えば圧力成形によって、それらの最終形態に成形されることができる。
【0063】
本発明に基づいて、ナノカーボンチューブは、本発明の供給システムを用いて、流管56で導入され、その一つの実施形態が、図1を参照して説明されている。溶融金属内に、それゆえ堆積物64内に、CNTを均質にかつ等方的に分散させるように、分解されたCNTは、噴霧ノズル58のすぐ上流で導入される。
【0064】
複合材料の利益のある機械的特性が、完成品または半完成品内に維持されることができることは、本発明の複合材料の驚くべき利点である。
【0065】
1つの好ましい典型的な実施形態は、図面および先の明細書にて詳細に図示され、説明されるが、これは、単なる典型的なものとして考えられるべきであり、本発明を限定するものとして考えられるべきではない。尚、この点で、好ましい典型的な実施形態が図示され、説明されるだけであり、現在または未来において請求項の保護の範囲内に位置する全ての変化形および変更が、保護されるべきである。
【符号の説明】
【0066】
10 供給システム
12 押出機
14 貯蔵器
16 投与チャンバ
18 投与チャンバ
20、20’、20” 供給ライン
22’、22” 供給ライン
24’、24” 圧力ポンプ
26’、26” 真空ポンプ
28’、28” バルブ
30’、30” バルブ
32’、32” バルブ
34’、34” バルブ
36 貯蔵器
38 供給ライン
40 押出機ヘッド
42 バルブ
44 押出複合材料
50 るつぼ
52 溶融金属合金
54 加熱手段
56 流管
58 噴出ノズル
60 ガス入口
62 噴出液滴
64 堆積物
66 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ、CNTを流体に供給する方法であって、
CNTは、CNTの絡み合った凝集体の粉体の形で提供され、
絡み合った凝集体の粉体は、投与チャンバ(16、18)に供給され、
圧力パルスは、凝集体が前記圧力および付随する剪断力によって少なくとも部分的に崩壊されるような方法で投与チャンバ(16、18)に適用され、CNTを投与チャンバの出口から排出し、かつ
CNTは、前記流体の中に供給されて、前記CNTを前記流体内に分散させ、かつ複合材料を形成する方法。
【請求項2】
絡み合った凝集体の粉体は、少なくとも2つの投与チャンバ(16、18)に供給され、圧力パルスは、前記流体の中に供給されるべきCNTの実質的に連続的なストリームを生成するように、CNTを前記投与チャンバのそれぞれの出口から連続的に排出する、前記投与チャンバ(16、18)に連続的に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
絡み合った凝集体の粉体は、空気圧によってCNTの貯蔵器(14)から投与チャンバ(16、18)に引き入れられる、請求項1および2の一項に記載の方法。
【請求項4】
凝集体の崩壊およびCNTの流体への供給を制御するように、投与チャンバ(16、18)に適用される圧力パルスは、絶対圧力値、パルス周波数、パルス幅およびパルス負荷サイクルの少なくとも1つの観点から制御される、請求項1〜3の一項に記載の方法。
【請求項5】
CNTは、前記流体を出力するための出力ノズルのすぐ上流で流体の中に供給される、請求項1〜4の一項に記載の方法。
【請求項6】
投与チャンバに適用される圧力パルスは、前記流体の中に供給されるCNTの量を調節するように制御される、請求項1〜5の一項に記載の方法。
【請求項7】
絡み合った凝集体は、0.05mm〜5.00mm、好ましくは0.10mm〜2.00mm、最も好ましくは0.20mm〜1.00mmの平均直径を有する絡み合ったCNT凝集体である、請求項1〜6の一項に記載の方法。
【請求項8】
CNTは、3nm〜100nm、好ましくは5nm〜80nm、最も好ましくは6nm〜60nmの平均直径を有するナノチューブを含む、請求項1〜7の一項に記載の方法。
【請求項9】
CNTの直径に対する長さの比率は、3よりも大きい、好ましくは10よりも大きい、最も好ましくは30よりも大きい、請求項1〜8の一項に記載の方法。
【請求項10】
CNTの少なくともほんの一部は、1つまたはそれより多くの巻き上げられたグラファイト層で構成されるスクロール構造を有し、それぞれのグラファイト層は、互いの上部の2つまたはそれより多くのグラフェン層から成る、請求項1〜9の一項に記載の方法。
【請求項11】
CNTは、0.5〜10.0%、好ましくは3.0〜9.0%、最も好ましくは5.0〜9.0%の範囲の複合材料全体に対する重量パーセントで流体の中に供給される、請求項1〜10の一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11の一項に記載のカーボンナノチューブ、CNTを流体に供給する工程であって、該流体は可塑化または溶融プラスチックである工程、および
複合材料を押出または射出成形することによって物体を形成する工程
を包含する、半完成品または完成品を製造する方法。
【請求項13】
請求項1〜10の一項に基づいて、カーボンナノチューブ、CNTを流体に供給する工程であって、該流体は溶融金属である工程、および
複合材料のスプレー圧密化によって物体を形成する工程
を包含する、半完成品または完成品を製造する方法。
【請求項14】
請求項1〜10の一項に基づいて、CNTを流体に供給する工程であって、該流体が、前記金属粒子を含んで成る工程、ならびに
粉砕チャンバおよび粉砕部材としてのボールを有するボールミルを用いて複合材料を粉砕し、複合材料の機械的合金化をもたらす工程
を包含する、金属粒子およびカーボンナノチューブ、CNTを含有する複合材料を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−523972(P2012−523972A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505096(P2012−505096)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002390
【国際公開番号】WO2010/118896
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511199000)バイエル・インターナショナル・ソシエテ・アノニム (4)
【氏名又は名称原語表記】BAYER INTERNATIONAL SA
【Fターム(参考)】