説明

複素環式芳香族アニオン塩及びイオン性導電材料としてのその使用

【課題】イオン性導電材料等として有用な化合物を提供する。
【解決手段】アニオン部分が、基(A)及び(B):


(式中、Y1、Y2、Y3、Y4及びY5は、カルボニル基等を表し;Zは、電気親和性基を表し;置換基RA、RB、RC及びRDの各々は、一価若しくは二価の有機基であるか、またはポリマー鎖の一部であり、置換基RC及びRDの少なくとも一方は、過フッ素化基である)の1個から構成される複素環式芳香族アニオン塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、アニオン電荷が脱局在化されているイオン性化合物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非-求核性アニオンまたはやや塩基性のアニオンの誘導体は、種々のカチオン電荷(例えば、着色材料または重合中の中間体種など)を安定化または活性化させるための全ての化学的用途において年々重要となってきている。これらは、有機化学の種々の反応の中間体としても作用する。電気化学において、水以外の媒体は、一次若しくは二次発電器、スーパーキャパシタンス、光の調節系等の用途でますます期待が高まってきている。通常の材料(ポリマー、可燃性液体)に弱いイオン性導電率を導入すると、静電荷を分散させることができる。
【0003】
BF4-、PF6-、AsF6-種の配位アニオンから誘導される誘導体は公知であるが、フルオリドイオン及び対応するルイス酸を遊離する解離平衡により、限定された安定性を有する。これらにより副反応(parasite reactions)及び無視不可能な毒性を示す。パークロレートアニオンClO4-は熱不安定性で危険である。他方、興味深い特性を示すビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドから誘導されるアニオンが知られている。しかしながら、このタイプの化学は、特にRFSO2-種の前駆体の製造時において、比較的制御が困難である。
【0004】
他方、ピリミジントリオン(バルビツール酸)及び硫黄原子によって酸素原子を置換することにより得られるその誘導体(チオバルビツール酸)が公知である。2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン(2,2-dimethyl-1,3-dioxane-4,5-dione:Meldrum acid)と酸を生成し得ることも公知である。いずれの場合においても、酸は、水中で5(pKa)、ジメチルスルホキシド中で10のオーダーで、比較的弱い。これらの塩は、有機溶媒中で易溶解性でも、易分離性でもない。ピリミジントリオンの場合、窒素と会合したプロトンにより形成された水素結合は、この不溶性を強化する。アルキル基と置換させると、酸の強度を大きく減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、意外にも、5の位置の炭素または1及び3の位置の窒素を置換することによってピリジミナンドリオン誘導体(piridiminandrione derivatives)及びその同族体から得られた塩の溶解性及び解離性は、置換基が電気的親和力を有する場合には、かなり増加することを知見した。炭素2及び/または炭素5上で電子親和剤(electroattractor)である置換基を保持する、1,3-ジオキサン-4,6-ジオン及びその同族体から誘導された化合物に関しても同様のことが言える。各種類で3つの置換部位で置換基及び多くの可能な組み合わせを選択すると、物理的または化学的特性をかなり改質し得る種々の材料が得られる。これらの化合物は、上記の用途に関して興味深い特性を有しており、これらの製造にはより利用し易い材料が必要である。例えば、より少ない量のフッ素を包含する安定なアニオン性複素環を得たりまたは、より利用し易いフッ素化化合物を出発物質として使用することが可能である。特定の化合物は、フッ素原子に対する期待を完全に妨げている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物は、アセンブリの電気中和性を確保するために十分な数の少なくとも1個のカチオン部分Mに結合した少なくとも1個のアニオン部分を含む。
Mはヒドロキソニウム、ニトロソニウムNO+、アンモニウムNH4+、価数mを有する金属カチオン、価数mを有する有機カチオンまたは、価数mを有する有機金属カチオンであり、アニオン部分は、式:
【化1】

(式中、Y1、Y2、Y3、Y4及びY5は、互いに独立して、カルボニル基、スルホニル基、チオカルボニル基、チオニル基、-C(=NCN)一基または-C(=C(CN)2)一基を表し;Zは、フッ素原子のハメットパラメータに少なくとも等しいハメットパラメータを有する電気親和性基を表し;
置換基RA、RB、RC及びRDは、互いに独立して、一価若しくは三価の有機基であるか、またはポリマー鎖の一部を表し、置換基RC及びRDの少なくとも一方は、過フッ素化基である)のひとつに対応する芳香族複素環であることを特徴とする。好ましくは、有機基は、1〜20個の炭素原子を有する。
【0007】
本発明の化合物において、カチオンは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、三価金属カチオン、希土類カチオンから選択される金属カチオンであり得る。例えば、Na+、Li+、K+、Sm3+、La3+、Ho3+、Sc3+、Al3+、Y3+、Yb3+、Lu3+、Eu3+が挙げられる。
カチオンは、有機金属カチオン、例えば、メタロセニウムであり得る。例えば、フェロセン、チタノセン、ジルコノセン、インデノセニウムまたはメタロセニウム アレーンから誘導されたカチオン、キラリティを場合により有するホスフィン型のリガンドと錯体形成した遷移金属のカチオン、メチル亜鉛、フェニル水銀、トリアルキル錫などの原子または原子群に共有結合した1個以上のアルキル若しくはアリール基を有する有機金属カチオンまたはトリアルキル化カチオンが挙げられる。有機金属カチオンは、ポリマー鎖の一部であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例29における、5-トリフルオロメチルスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のリチウム塩を使用して得られたサイクル曲線(充電及び放電)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様においては、本発明の化合物は、R3O+(オキソニウム)、NR4+(アンモニウム)、RC(NHR2)2+(アミジニウム)、C(NHR2)3+(グアニジニウム)、C5R6N+(ピリジニウム)、C3R5N2+(イミダゾリウム)、C3R7N2+(イミダゾリニウム)、C2R4N3+(トリアゾリウム)、SR3+(スルホニウム)、PR4+(ホスホニウム)、IR2+(ヨードニウム)、(C6R5)3C+(カルボニウム)からなる群から選択される有機カチオンを有する。所与のカチオンにおいては、基Rは、全て同一であり得る。しかしながら、カチオンは、互いに異なる基Rをも包含できる。基Rは、Hであるか、以下の基:
−アルキル、アルケニル、オキサ-アルキル、オキサ-アルケニル、アザ-アルキル、アザ-アルケニル、チア-アルキル、チア-アルケニル、シラ-アルキル、シラ-アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、ジアルキルアミノ及びジアルキルアゾ基;
−窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含む少なくとも1個の側鎖を場合により含む環式または複素環式基;
−芳香族核中にヘテロ原子を場合により含む環式または複素環式基;
−少なくとも1個の水素、酸素、硫黄またはリン原子を場合により含有する、縮合または非縮合の、複数の芳香族または複素環式核を含む基;
から選択される。
【0010】
オニウムカチオンが、Hとは異なる少なくとも2個の基Rを保持するとき、これらの基は一緒になって、カチオン電荷を有する中心を場合により包含する、芳香族または非芳香族環を形成できる。
本発明の化合物のカチオン部分がオニウムカチオンである場合、カチオンの正電荷とアニオン部分の負電荷との間のイオン結合によってアニオン部分に結合している独立したカチオン基の形態であり得る。この場合、カチオン部分は、ポリマーの繰り返し単位の一部であり得る。
オニウムカチオンは、アニオン性芳香族核によって保持されている基Zの一部でもあり得る。この場合、本発明の化合物は、両性イオンを構成する。
本発明のカチオンがオニウムカチオンである場合、前記化合物に特定の特性を与え得る置換基を化合物中に導入するために選択し得る。例えば、カチオンM+は、環中でアルキル化されている少なくとも1個の窒素原子を包含する、芳香族的性質を有するカチオン性複素環であり得る。例えば、これらは、イミダゾリウム、トリアゾリウム、ピリジニウム、4-ジメチルアミノ-ピリジニウム(4-dimethylamino-pyridinium)であり得、前記カチオンは、場合により、環の炭素原子上に置換基を保持している。これらのカチオンの中でも、融点が150℃未満である本発明のイオン性化合物を与えるようなものが特に好ましい。このような低融点化合物は、プロトン性伝導を有する材料を製造するのに特に有用である。プロトン性伝導を有する特に好ましい材料としては、モル比0.5〜10の割合で、カチオンが、窒素またはイミダゾール若しくはトリアゾール上にプロトンを付加することにより形成される本発明の化合物並びに対応する窒素化塩基が挙げられる。
【0011】
カチオンMが、場合によりポリマー網状構造中に取り込まれる、結合-N=N-、-N=N+、スルホニウム基、ヨードニウム基または置換若しくは非置換アレーン-フェロセニウムを有するカチオン基である本発明の化合物は、好適な波長の光化学作用エネルギー源により活性可能であるのと同程度に重要である。このような化合物の特定例としては、カチオンが、ジアリールヨードニウムカチオン、ジアルキルアリールヨードニウムカチオン、トリアリールスルホニウムカチオン、トリアルキルアリールスルホニウムカチオンまたは、置換若しくは非置換のフェナシルジアルキルスルホニウムカチオンであるようなものが挙げられる。上記カチオンは、ポリマー鎖の一部であり得る。
本発明のカチオンMは、基2,2'[アゾビス(2,2'-イミダゾリニオ-2-イル)プロパン]2+または2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)2+が挙げられる。本発明の化合物は、熱またはイオン化照射の作用下、重合反応、架橋反応または一般的には、遊離基を包含する化学反応を開始し得る基を遊離し得る。さらに、これらの化合物は、同一極性のポリマー性及びモノマー性有機溶媒中に易溶性である。種Cl-のアニオンの誘導体とは反対に、これはこれらの種の化合物と通常結合する。他方、これらは、薄いフィルム中にポリマーを製造するのに非常に都合がよいペルオキシドまたはアゾ型の他のフリーラジカル開始剤に反して無視し得る蒸気圧を示し、開始剤の揮発性は、フィルム表面の不都合な重合または架橋を引き起こす。
置換基を選択することにより、本発明のイオン性化合物の特性を調製し得る。
本発明の一態様により、一方では置換基RA及びRB、他方では置換基RC及びRDの一方は、互いに独立して、
a)アルキル、アルケニル、オキサ-アルキル、オキサ-アルケニル、アザ-アルキル、アザ-アルケニル、チア-アルキル、チア-アルケニル基、前記基は、場合により少なくとも1個のアリール基を保持し;
b)場合によりa)で定義された少なくとも1個の基を保持するアリール基;
c)場合により、環中に少なくとも1個のヘテロ原子を場合により有するか、またはヘテロ原子を有する少なくとも1個の側鎖を場合により保持する脂環式基または芳香族基;
d)さらに、ハロゲン化または過ハロゲン化形で、ハロゲン原子を保持する上記a)、b)及びc)で定義した基である。
上記基の中でも、炭素原子1〜10個を有するアルキル基及びアルケニル基、炭素原子1〜10個を有するハロゲン化若しくは過ハロゲン化アルキル若しくはアルケニル基、及び炭素原子1−10個を有するオキサ-アルキル若しくはオキサ-アルケニル基が特に好ましい。
【0012】
置換基Zは、-F、-Cl、-Br、-CN、-NO2、-SCN及び-N3からなる群から選択され得る。Zは、-CnF2n+1、-O-CnF2n+1、-S-CnF2n+1、-CH2-CnF2n+1、OCF=CF2または-SCF=CF2基(1≦n≦8)であり得る。さらに、Zは、フッ素化または非フッ素化されている、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、オキサジアゾールまたはチアジアゾールから誘導される複素環を含む基であり得る。
他の態様では、Zは、基REYE-または基RERGPO-(式中、YEは、カルボニル基、スルホニル基またはチオニル基を表し、RE及びRGは、互いに独立してハロゲンまたは有機基である)である。スルホニル基を含む置換基が特に好ましい。各置換基RE及びRGは、アルキル、アルケニル、オキサ-アルキル、オキサ-アルケニル、アザ-アルキル、アザ-アルケニル、チア-アルキル、チア-アルケニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、環内に少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むか、ヘテロ原子を含む少なくとも1個の側鎖を場合により保持する芳香族基であり得、前記RE及びRGは、ハロゲン化または過ハロゲン化され得る。
【0013】
一態様では、RE及びRGは、互いに独立して、炭素原子1〜12個を有し、主鎖または側鎖に少なくとも1個のヘテロ原子、O、NまたはSを場合により有し、ヒドロキシ基、カルボニル基、アミン基、カルボキシル基を保持する、アルキルまたはアルケニル基から選択される。
RE及びRGは、互いに独立して、アリール、アリールアルキル、アルキルアリールまたはアルケニルアリール基から選択され得、但し、場合により縮合している芳香族核は、窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含む。
特定の態様においては、基REまたはRGは、ヨードニウム基、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、アミジニウム、グアニジニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、トリアゾリウム、ホスホニウムまたはカルボニウム基を有する基であってもよく、前記イオン性基は、全体的または部分的にカチオンMとして作用する。本発明の化合物は、両性イオンを構成する。
RC及びRGが、熱的、光化学的またはイオン的に解離可能な基及び/または縮合可能な基及び/または少なくとも1個のエチレン性不飽和を包含する場合、本発明の化合物は、場合により他のモノマーと共に、重合、架橋または縮合にかけ得る反応性化合物である。これらは、反応性官能基を保持するポリマー上にイオン透過性基(ionophorous group)を固定するために使用し得る。
【0014】
置換基RE及びRGは、メソモルフォア(mesomorphous)基若しくは発色団基または、自己ドープ導電性ポリマーまたは加水分解可能なアルコキシシランであり得る。
置換基RE及びRGとしては、ヒンダードフェノールまたはキノンなどの遊離基をトラップし得る基が挙げられる。
置換基RE及びRGとしては、解離性ダイポール、例えば、アミド官能性、スルホンアミド官能性またはニトリル官能性も挙げられる。
置換基RE及びRGは、例えば、ジスルフィド基、チオアミド基、フェロセン基、フェノチアジン基、ビス(ジアルキルアミノアリール)基、ニトロオキシド基または芳香族イミド基などのレドックス結合もが挙げられる。
置換基RE及びRGは、錯体形成性リガンドまたは光学活性基のいずれかを包含できる。
置換基RE-YE-は、アミノ酸、または光学的若しくは生物的活性ポリペブチドを表す。
【0015】
他の変形によれば、本発明の化合物は、少なくとも1個のアニオン性芳香族複素環式基:
【化2】

を包含する、2以上の価数vを有する基を表す置換基Zを含む。
【0016】
この場合、本発明の化合物のアニオン性部位に存在する負電荷は、好適な数のカチオンまたはカチオン性イオン透過性基Mにより補償されてもよい。
本発明の特定の態様では、多価基Zは、少なくとも1個の-SO2-、1個の-CO-基、炭素原子2〜8個を有する1個のパーフルオロアルキレン基、ヘテロ原子により場合により置換されている1個のフェニレン基、レドックス基-(W=W)n-またはカチオン基-(W=W)n-W+-であり、但し、Wは、窒素原子または基-C(R)-を表し、Rは、水素原子または有機基を表し、但し0≦n≦5である。カチオン基-(W=W)n-W+-が存在すると、本発明の化合物に、レーザーに非常に有用な着色特性を与える。Rは、好ましくは炭素原子1〜8個を有するか、2個の基Rは、隣接する炭素原子と共に環を形成する。一態様によれば、Zは、ポリマー鎖の繰り返し単位の一部である。従って、本発明の化合物は、高分子電解質特性を示す。
RE及びRGは、ポリ(オキシアルキレン)基またはポリスチレン基の一部であり得る。
【0017】
アニオンが、上記一般式Aに対応する本発明の化合物は、以下の反応スキーム:
【化3】

により製造できる。
【0018】
アニオンが、上記一般式Bに対応する本発明の化合物は、以下の反応スキーム:
【化4】

により製造できる。
【0019】
これらの全ての場合において:
Lは、F、Cl、Br,N-イミダゾリル、N-トリアゾイル、RF-O-、RFCH2-O-及びRFSOx-、(但し、RFは、パーフルオロアルキル基である)から選択される出発電気陰性基を表し;
Aは、カチオンM+、トリアルキル-シリル基、トリアルキルゲルマニル(germanyl)基、トリアルキルスタニル(trialkylstannyl)基またはt-アルキル基(但し、アルキル置換基は、炭素原子1〜6個を有する)を表す。
【0020】
A=Gである場合、プロトンと組み合わせて塩L-[HT+]を形成し得る第3級またはヒンダード塩T基を添加することにより、本発明の化合物の形成方向に反応を置換させるのが好都合である。
好ましい第3級塩基は、例えば、トリエチルアミン、ジ-イソプロピルエチルアミン、キヌクリジン(quinuclidine)などのアルキルアミン;1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO);ピリジン類、例えば、ピリジン、アルキルピリジン、ジアルキルアミノピリジン;イミダゾール類、例えば、N-アルキルイミダゾール、イミダゾ[1,2,-a]ピリジン;アミジン類、例えば、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノン-5-エン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク-7-エン(DBU);グアニジン類、例えば、テトラメチルグアニジン、1,3,4,7,8-ヘキサヒドロ-1-メチル-2H-ピリミド[1,2,-a]-ピリミジン(HPP)から特に選択される。
Aがt-アルキル基である化合物RC-C(O-A)2-RDを使用すると、このような基が、反応(CH3)3C-→(CH3)2C-CH2+H-により対応するアルケンの形成によるプロトン前駆体であるため、好都合である。
Aがトリアルキルシリル基である化合物RC-C(O-A)2-RDを使用すると、結合F-Siが非常に安定性が高いため、出発基がフッ素原子であるとき特に重要である。
これら全ての化合物において、Xは、-CH-または-C(Z)-を表す。X=CHにより得られた化合物は、次いで、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物の作用により、残存プロトンの置換により改質できる。
Yiの少なくとも1個が基-C(=NCN)-または基-C(=C(CN)2)-である場合、これらの基を得るための方法は、当業者には公知である。例えば、シアナミドまたはマロノニトリルとカルボニル基との反応が挙げられる。
【0021】
本発明のイオン性化合物は、別種であり得る置換基が固定されている、少なくとも1個のイオン透過性基を含む。置換基を広範に選択可能であれば、本発明の化合物は、低い極性を有する殆どの液体またはポリマー性有機媒体中でイオン性伝導特性を産生し得る。電気化学の分野、特に、一次または二次発電器で強力なエネルギーのためには、スーパーキャパシターで、可燃性バッテリー及びエレクトロルミネセントダイオードでの用途が重要である。ポリマーまたは有機液体と本発明のイオン性化合物との適合性により、イオン性化合物との接触が非常に低い場合でさえも、特記すべき帯電防止特性を産生し得る。ポリマーである本発明の化合物並びに、自己重合または共重合特性を有する本発明の化合物から得られたポリマー性化合物は、固定アニオン電荷を有するという長所と共に上記特性を有する。このことは、本発明のもう一つの目的が、溶媒の溶液中の本発明のイオン性化合物からなるイオン導電性材料からなる理由である。
一態様においては、イオン性導電材料を製造するのに使用するイオン性化合物は、カチオンがアンモニウムまたは、金属、特にリチウム若しくはカリウム、亜鉛、カルシウム、希土類金属から誘導されるカチオン、または有機カチオン、例えば、置換アンモニウム、イミダゾリウム、トリアゾリウム、ピリジニウム、4-ジメチルアミノ-ピリジニウムなどであって、前記カチオンは、場合により環の炭素原子上に置換基を保持する化合物から選択される。このようにして得られたイオン性導電材料は、正電荷と負電荷との間の相互作用が低いため、高い導電率及び溶媒溶解性を有する。電気化学的安定性の範囲は広範であり、媒体を還元並びに酸化する際に安定である。さらに、有機カチオンを有し、150℃未満の融点を有する化合物、特に、イミダゾリウム、トリアゾリウム、ピリジニウム、4-ジメチル-アミノ-ピリジニウムは、これらが溶融相にある場合には、溶媒の非存在下においても固有の高い導電率を有する。
【0022】
イオン性導電材料の特性は、置換基RA、RB、RC、RD、RE及びRGの選択によっても改変できる。
置換基RA、RB、RC、RD、RE及びRGの少なくとも1つとして、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基を選択すると、メソーゲン型のイオン性導電材料特性に、特に炭素原子6〜20個のアルキル基、アリールアルキル基、特に液晶相を生じるビフェニル単位を含むものを導入することができる。ネマチック、コレステリックまたはディスコチック(discotic)の液晶型の相中の伝導特性は、カチオンの移動度に作用することなく、電解質、特にポリマー電解質中のアニオンの移動度を減少させたり、または光学ポスティング(posting)に対する用途において重要である。この特異性は、電気化学発電器、特にリチウムカチオンを含有する電気化学発電器における用途において重要である。
【0023】
Zが熱的、光化学的またはイオン的に解離性である基及び/または少なくとも1個のエチレン性不飽和及び/または縮合可能な基を含む中性基である場合、イオン性導電材料は、ポリマーが溶媒和基を保持するか、液体またはポリマー型の極性溶媒かそのような溶媒との混合物を添加することにより、高分子電解質であるポリマーまたはコポリマーを容易に形成する。これらの生成物は、カチオンにより単独で、電気化学的発電器型の用途において非常に有用な特性を構成する導電率を有する。コポリマー中で低モル画分で使用する場合、これらは湿度に殆ど依存しない帯電防止特性を誘導し、カチオン性着色材料の固定を促進するが、この特性は、着色材料を使用するレーザ及びテキスタイル繊維に関しては有用である。
自己-ドープ導電性ポリマーである置換基Zが存在すると、外部薬剤に対してイオン性導電材料の安定性が改良される。導電率は、高温においても経時で安定である。金属と接触すると、これらの材料は、非常に弱い界面抵抗を与え、特に腐食に対し鉄金属またはアルミニウムを保護する。
Zが加水分解可能なアルコキシシランである場合、イオン性導電材料は、水の存在下、加水分解-縮合の単純なメカニズムにより安定なポリマーを形成し得、これにより、酸化物、シリカ、珪酸塩、特にガラス表面を処理して、表面伝導特性、帯電特性を生じさせ、極性ポリマーの接着を促進することができる。
置換基Zがヒンダードフェノールまたはキノンなどの遊離基トラップを含む基である場合、イオン導電材料は、以下の長所及び特性を有する。イオン導電材料は、揮発性を有さない抗酸化剤として作用し、帯電防止特性をさらに与える極性モノマー及びポリマーと適合性である。
【0024】
Zが、アミド、スルホンアミドまたはニトリルなどの解離性双極子を含む場合、イオン性導電材料は、低及び中程度の極性の媒体中、特に、溶媒若しくは揮発性可塑剤の添加を最小とするか、むしろ抑制し得る溶媒和ポリマー中で導電率を改良する。
ジスルフィド、チオアミド、フェロセン、フェノ-チアジン、基ビス(ジアルキルアミノアリール)、ニトロオキシド、芳香族イミドなどのレドックス結合を含有する置換基Zが存在すると、イオン性導電材料中に、光電気化学系、特にエレクトロクローム(electrochrome)種の光の調節系において光を電気に転換させるための、電気化学的発電器の電荷の等化及び保護素子として有用であるレドックスシャトル(redox shuttle)特性を生じさせ得る。
イオン性導電材料中に錯形成リガンドである置換基Zが存在すると、金属カチオン、特に非プロトン性媒体中を含む、有機媒体中の可溶性錯体の形態で高い電荷(2,3及び4)を有する金属カチオンをキレート化し得、溶媒和ポリマー中、特にアニオン錯体の形態でこれらのカチオンの移動を可能にする。高い電荷の金属カチオンは、溶媒和ポリマー内で実際に不動である。この種の錯形成により、遷移金属(Fe、Co...)または、特定の希土類金属(Ce,Eu...)、特に安定なレドックス結合の特定のカチオンが得られる。
【0025】
置換基RA、RB、RC、RD、RE及びRGの少なくとも1つが、O、NまたはSから選択された少なくとも1個のヘテロ原子を含有するアルキルまたはアルケニル置換基である場合、本発明の化合物を含有するイオン性導電材料は、特に極性ポリマー及び特にポリエーテル中で、錯形成及び可塑化能を有する。ヘテロ原子N及びSは、遷移金属Zn及びPbのカチオンを選択的に錯形成する。
置換基アルキルまたはアルケニルRE及びRGがヒドロキシ基、カルボニル基、アミン基、カルボキシル基、イソシアネート基またはチオイソシアネート基を有する場合、本発明のイオン性化合物は、重縮合により、ポリマーまたはコポリマー及び、ポリマーまたはコポリマーが高分子電解質の特性を含有するイオン性導電材料を与え得る。
本発明のイオン性導電材料において、置換基RE及びRGがアリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールまたはアルケニルアリール基から選択される化合物であって、側鎖及び/または芳香族核が窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含む化合物が存在すると、解離を促進し、ヘテロ原子の位置(ピリジン)に依存する錯形成の可能性または二重の酸化により共役ポリマーまたはコポリマー(ピロール、チオフェン)を与える可能性を増加させる。
イオン性導電材料が、置換基Zがポリマー鎖の繰り返し単位を表す本発明の化合物を包含する場合、該材料は、高分子電解質を構成する。
【0026】
置換基Zが、-OCnF2n+1、-OC2F4H、-SCnF2n+1及び-SC2F4H、-OCF=CF2、-SCF=CF2(ここで、nは、1〜8の整数である)からなる群から選択される本発明の化合物は、ポリマーを取り扱う際80℃以上の温度でさえも、特に酸素に対して安定なモノマー及びポリマーの前駆体である。従って、そのような化合物を包含するイオン性導電材料は、可燃性バッテリーの電解質として特に好適である。
【0027】
本発明のイオン性導電材料は、溶媒の溶液中、本発明のイオン性化合物を含む。
溶媒は、非プロトン性溶媒、極性ポリマーまたはその混合物であり得る。
非プロトン性溶媒は、例えば、直鎖エーテル及び環式エーテル、エステル、ニトリル、ニトロ誘導体、アミド、スルホン、スルホラン、アルキルスルファミド及び部分的にハロゲン化された炭化水素から選択される。特に好ましい溶媒は、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、グリム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルテトラヒドロフラン、メチル若しくはエチルホーメート、プロピレン若しくはエチレンカーボネート、アルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びメチルプロピルカーボネート)、ブチロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホラン、テトラメチレンスルホン及び炭素原子5〜10を有する、テトラアルキルスルホンアミドである。
極性ポリマーは、グラフト化イオン性基を保持することができる架橋または非架橋溶媒和ポリマーから選択することができる。溶媒和ポリマーは、硫黄、酸素、窒素及びフッ素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する溶媒和単位を包含するポリマーである。溶媒和ポリマーの例としては、ポリ(エチレンオキシド)をベースとする、網状構造を形成し得る、直鎖構造、櫛状またはブロックの列記したポリエーテルまたは、架橋可能な基を導入し得る基を保持し、重縮合により得られ且つ架橋可能基を取り込み得る基を保持する網状構造またはイソシアネートと架橋したポリエチレングリコールをベースとする架橋網状構造、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドまたはアリルグリシジルエーテル、ポリホスファゼンを含有するコポリマーが挙げられる。特定のブロックが、レドックス特性を有する官能基を有するブロックコポリマーも挙げられる。無論、上記リストは非限定的なものであり、溶媒和特性を有する全てのポリマーを使用することができる。
【0028】
本発明のイオン性導電材料は、同時に、上記非プロトン性液体溶媒から選択される非プロトン性液体溶媒及び、硫黄、窒素、酸素及びフッ素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する極性ポリマー溶媒を含む。極性ポリマーは、2〜98%液体溶媒を含む。このような極性ポリマーの例としては、アクリロニトリル、フッ化ビニリデン、N-ビニルピロリドンまたはメチルメタクリレートから誘導される単位を主に含むポリマーが挙げられる。溶媒中の非プロトン性液体の割合は、(可塑化溶媒に対応する)2%〜(ゲル化溶媒に対応する)98%を変動することができる。
本発明のイオン性導電材料は、さらに、イオン性導電材料を製造する当業界で使用される公知の塩を含有することができる。本発明のイオン性化合物と混合して使用することができる塩の中でも、パーフルオロアルカンスルホネート(perfluoroalcanesulfonates)、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン及びトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンから選択される塩が特に好ましい。
【0029】
無論、本発明のイオン性導電材料は、さらに、この種の材料で使用し得る公知の添加剤を含むことができ、これらは例えば、粉末または繊維状の鉱物または有機の充填剤(charge)である。
【0030】
本発明のイオン性導電材料は、電気化学発電器で電解質として使用できる。従って、本発明のもう一つの目的は、電解質が上記定義のイオン性導電材料であることを特徴とする、いずれもが電解質により分離されている、負極及び正極を含む電気化学発電器である。特定の一態様においては、このような発電器は、場合により酸化リチウム中のナノメートル分散液の状態の金属リチウム若しくはその合金、若しくはリチウム及び遷移金属の二重窒化物、または一般式:Li1+y+x/3Ti2-x/3O4(0≦x≦1,0≦y≦1)を有する低いポテンシャルのオキシド、または、有機材料の熱分解により誘導された炭素及び炭素化生成物からなる。他の態様においては、発電器は、酸化バナジウムVOx(2≦x≦2.5)、LiV3O8、LiyNi1-xCoxO2(0≦x≦1;0≦y≦1)、マンガンのスピネルLiyMn1-xMxO2(M=Cr、Al、V、Ni、0≦x≦0.5;0≦y≦2)、有機ポリジスルフィド、FeS、FeS2、硫酸鉄Fe2(SO4)3、カンラン石(olivine)構造のリチウム及び鉄のホスフェート及びホスホシリケート、または単独若しくは混合物で使用する鉄がマンガンにより置換されている置換生成物から選択される正極を含む。正極のコレクタは、アルミニウムが好ましい。
本発明のイオン性導電材料は、スーパーキャパシタンスでも使用することができる。従って、本発明のもう一つの目的は、高い比表面積の少なくとも1個の炭素電極または、電解質が上記定義のイオン性導電材料であるレドックスポリマーを含有する電極を使用するスーパーキャパシタンスである。
【0031】
本発明のイオン性導電材料は、pまたはnの導電性ポリマーに使用することができ、この使用は本発明のもう一つの目的を構成する。
本発明のイオン性導電材料は、さらに、エレクトロクロームデバイス中の電解質として使用することができる。電解質が本発明のイオン性導電材料であるエレクトロクロームデバイスは、本発明のもう一つの目的である。
本発明のイオン種の強い解離により、カルボカチオン、特に、特定のモノマー上の本発明の化合物のプロトン形の強い活性により、酸素または窒素と結合しているようなカルボカチオンの安定化が図れる。本発明は、カチオン反応し得るモノマーまたはプレポリマーの重合または架橋用の触媒であるブロンステッド酸源としての光開始剤として、またはポリマーの改質用の触媒としてイオン性化合物を使用することを目的とする。
カチオン性反応をし得るモノマーまたはプレポリマーの重合または架橋方法は、重合反応を触媒する酸源を構成する光開始剤として本発明の化合物を使用することを特徴とする。カチオンが結合-N=N+、-N=N-、スルホニウム基、ヨードニウム基または場合によりポリマー網状構造中に取り込まれ、置換または非置換のアレーン-フェロセニウムカチオンを有する基である本発明の化合物は、特に好ましい。
【0032】
種々の置換基の選択は、モノマーまたはプレポリマーの反応に使用する溶媒中の前記化合物の溶解性を増加させる為及び、最終ポリマーの所望の特性として作用させるために実施する。例えば、非置換アルキル基を選択すると、低極性媒体中での溶解性を与える。オキサ基またはスルホンを含む基を選択すると、極性溶媒中での溶解性を与える。硫黄またはリン原子に酸素を付加することによりそれぞれ得られたスルホキシド基、スルホン基、ホスフィンオキシド基、ホスホネート基を含む基は、接着、日光に対して改良された特性、酸化またはUVに対する耐性をポリマーに与えることができる。本発明の光開始剤と重合または架橋できるモノマーまたはプレポリマーは、カチオン重合ができるようなものである。
モノマーの中でも、環状エーテル官能性、環状チオエーテル官能性または環状アミン官能性ビニル化合物(より特にはビニルエーテル)、オキサゾリン、ラクトン及びラクタムが挙げられる。
エーテルまたは環状チオエーテル型のポリマーの中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、ブチレンオキシド、オクチレンオキシド、グリシジルエーテル及びエステル(例えば、グリシジルメタクリレート若しくはアクリレート、フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルまたはそのフッ素化誘導体)、炭素原子4〜15個を有する環状アセタール(例えば、ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキセパン)及びスピロ-ビシクロジオキソランが挙げられる。
ビニル化合物の中でも、ビニルエーテルは、カチオン重合し得るモノマーの非常に重要な種類を構成する。例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、分子量150〜5,000を有するポリ-THF-ジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アミノプロピルビニルエーテル、2-ジエチルアミノエチルビニルエーテルが挙げられる。
他のビニル化合物としては、例えば、1,1-ジアルキルエチレン(例えば、イソブテン)、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α-アルキルスチレン、例えば、α-メチルスチレン、4-ビニルアニソール、アセナフテン)、N−ビニル化合物(例えば、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルスルホンアミド)が挙げられる。
【0033】
プレポリマーの中でも、脂肪族鎖、芳香族鎖または複素環鎖によりエポキシ基が保持されている化合物、例えば、3〜15個のエチレンオキシド単位によりエトキシル化されているビスフェノールAのグリシジルエーテル(glycidic ether)、ビニルシクロヘキセンオキシドの存在下でメチルハイドロゲンシロキサン(methylhydrogensiloxane)とジアルキル、アルキルアリールまたはジアリールシロキサンとのコポリマーのヒドロシリル化(hydrosilation)により得られたエポキシシクロヘキセン-エチルの側鎖を有するシロキサン、トリエトキシ若しくはトリメトキシシラプロピルシクロヘキセンオキシドから得られたゾル-ゲル型の縮合生成物、ブタンジオールモノビニルエーテルと、脂肪族若しくは芳香族ジ-若しくはトリ-イソシアネートとの2個以上の官能基のアルコールとの反応生成物を含むウレタンが挙げられる。
本発明の重合方法は、カチオン重合し得る少なくとも1種のモノマーまたはプレポリマーと本発明の少なくとも1種のイオン性化合物とを混合し、得られた混合物を化学線またはβ放射線に暴露することからなる。好ましくは、反応混合物を5mm未満の厚さを有する薄層、好ましくは500μm以下の厚さを有する薄層を形成後、放射線に暴露する。照射時間はサンプル及び活性λ波長での電源に依存する。300m/分〜1cm/分の間の、電源前を通過する速度により定義される。5mm以上の厚さを有する最終材料層は、層を広げ、層を放射線で処理することからなる操作を何回も繰り返すことにより得ることができる。
通常、使用する光開始剤の量は、モノマーまたはプレポリマーの重量に対し0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明のイオン性化合物は、例えば、光開始剤として使用するイオン性化合物が溶解性かまたは易分散性である液体モノマーを重合する際に、溶媒の非存在下でも光開始剤として使用できる。溶媒に関連する問題(毒性、可燃性)を解決することができるので、この種の使用は特に重要である。
本発明のイオン性化合物は、重合に対して不活性である溶媒中で均一溶液の状態で光開始剤としても使用することができ、重合または架橋すべき媒体が高い粘度を有する場合にすぐに使用することができ、且つ易分散性である。
不活性溶媒の例としては、アセトン、メチル-エチルケトン及びアセトニトリルなどの揮発性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、(特にプレポリマーの取り扱いの際、より粘性を低くするために)重合または架橋すべき生成物を単に希釈することに使用する。これらは重合または架橋後、乾燥により除去される。非揮発性溶媒も挙げられる。非揮発性溶媒は、重合または架橋しようとする生成物を希釈するため、及び光開始剤として使用する本発明のイオン性化合物を溶解させるために使用することも可能であるが、形成した材料中に残存し、可塑剤として作用するだろう。例えば、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、モノ-、ジ-、トリ-エチレン若しくはプロピレングリコールのエーテル-エステル、モノ-、ジ-、トリ-エチレン若しくはプロピレングリコールのエーテル-アルコール、可塑剤、例えば、フタル酸若しくはクエン酸のエステルが挙げられる。
【0034】
本発明の別の態様においては、低分子量で且つ低粘度の化合物であり、組み合わせて使用するより粘ちょうなポリマーまたはプレポリマー用の溶媒または希釈剤及び重合モノマーとして同時に作用する、重合に対して活性である化合物を溶媒または希釈剤として使用することができる。反応後、溶媒として使用されたこれらのモノマーは、最終的に得られた高分子網状構造の一部となり、二官能性モノマーを取り扱う場合にはこれらのインテグレーション(integration)はより広い。照射後に得られた材料は、低分子量で実質的に揮発性であるか、またはポリマーが接触する物体を汚染し得る生成物をもはや含まない。例えば、反応性溶媒は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-エチレン及びプロピレングリコールのモノ及びジビニルエーテル、N-メチルピロリドン、ISP、New Jersey、アメリカよりPEPCという商品名で市販されているプロピレンカーボネートの2-プロペニルエーテルから選択することができる。
反応混合物を照射するためには、照射は、紫外線、可視線、X-線、γ-線及びβ-線から選択することができる。紫外光を化学線として使用する場合、本発明の光開始剤に、工業的な装置で製造したもののような(特に水銀蒸気ランプ用には1〜300nm)、光開始剤の最大吸収に対応するものよりもよりエネルギーが低い波長で効率的な光分解を提供しようとする増感剤を添加すると都合がよい。このような添加剤は公知であり、非限定的な例としては、アントラセン、ジフェニル-9,10-アントラセン、ペリレン、フェノチアジン、テトラセン、キサントン、チオキサントン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1,3,5-トリアリール-2-ピラゾリン及びその誘導体、特に、吸収波長を変化させ得る、アルキル、オキサ-若しくはアザ-アルキル基により芳香族核上が置換されている誘導体が挙げられる。本発明のヨードニウム塩を光開始剤として使用する場合には、イソプロピルチオキサントンが好ましい増感剤である。
【0035】
種々の型の照射について記載した中でも、紫外線照射が特に好ましい。他方、記載した他の照射方法を使用するのがより便利である。他方、光開始剤は、UV線に対し非常に敏感であり、増感剤は、エネルギー(δλ)の差が小さい時にはより効率的である。
本発明のイオン性化合物は、熱的にまたは化学線照射の作用により生成したフリーラジカル開始剤と組み合わせて使用することもできる。重合タイプが異なる官能基を含むモノマーまたはポリマーの混合物を重合または架橋することも可能である。例えば、フリーラジカルによって重合するモノマーまたはプレポリマー及び、カチオン重合により重合するモノマーまたはプレポリマーが挙げられる。この可能性は、対応するモノマー由来のポリマーの単なる混合により得られるものとは異なる物理的特性を有する浸透網状構造を生成するのに特に都合がよい。
ビニルエーテルは、ラジカル開始によっても活性でないかまたは殆ど活性ではない。従って、本発明の光開始剤、遊離ラジカル開始剤、少なくとも1種のビニルエーテル型のモノマーおよびアリル基等のような非-活性化二重結合を含む少なくとも1種のモノマーを含有する反応混合物中で、各種のモノマーの別個の重合を実施することが可能である。他方、電子を欠くモノマー、たとえば、フリーラジカル開始により交互ポリマ−1:1を与える電荷移動の錯体、電子に富むビニルエーテルの存在下で形成した、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸若しくはメタクリル酸、イタコン酸のエステルまたはアミド、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、マレイミド及びその誘導体が知られている。この化学量論に関してビニルモノマーが最初に過剰であると、純粋なカチオン性開始により重合可能な官能基を残しておくことが可能である。本発明のフリーラジカル開始剤とカチオン性開始剤との混合物の活性の開始は、本発明の光開始剤及び選択されたラジカル開始剤が活性である波長、例えば、1=250nmの化学線照射により例えば、2種類の反応体について同時に実施することができる。例えば、以下の製品:Irgacure 184(登録商標)、Irgacure 651(登録商標)、Irgacure 261(登録商標)、Quantacure DMB(登録商標)、Quantdcure ITX(登録商標)が開始剤として挙げられる。
成形し易く、カチオン性開始剤の活性を開始することによって、硬化、接着、溶解性並びに架橋度を変更することができる、プレポリマーを最初に形成するために、二種類の態様型(type)を順に使用するのも都合が良い。例えば、本発明の熱-解離性ラジカル開始剤とカチオン性光開始剤との混合物は、最初に熱の作用下、次いで化学線照射の作用下で、順に重合または架橋することができる。同様に、本発明のフリーラジカル開始剤とカチオン性光開始剤を選択した場合、本発明の光開始剤を開始させるよりもフリーラジカル開始剤は、長波長側で感光性であり、2種類の制御可能な段階で架橋することができる。フリーラジカル開始剤としては、例えば、365 nmでフリーラジカル重合を開始することができるIrgacure 651(登録商標)が挙げられる。
【0036】
本発明の目的は、ミクロリソグラフィーの分野でのフォトレジストの化学増幅反応に本発明のイオン性化合物を使用することでもある。そのような使用をする時、本発明のイオン性化合物とポリマーを含む材料フィルムを放射線に暴露する。照射により、カチオンMとポリマーの分解または変性を触媒するプロトンとが置き換わることにより酸が形成する。照射されたフィルムの一部上でポリマーの分解または変性が起き、形成したモノマーまたは転換したポリマーを除去した後に、残存する部分が未暴露部分のイメージである。この特定の用途に関しては、芳香族アニオン性複素環置換基を有するスチレニル繰り返し単位から本質的になるポリマーの形態である本発明の化合物を使用すると都合がよい。これらの化合物により、光分解後に揮発性でない生成物を得ることができ、従って、スルフィドを取り扱う際には悪臭がない。本発明の化合物の存在下でこのように変性することができるポリマーの中でも、エステル単位またはトリアリールアルキルアリールエーテル単位を含む上記ポリマー、例えば、ポリ(フタルデヒド)、ビスフェノールAと二酸とのポリマー、ボリt-ブトキシカルボニルオキシスチレン、ポリt-ブトキシ-α-メチルスチレン、ポリジ-t-ブチルフマレート-コ-アリルトリメチル-シラン及び第3級アルコールのポリアクリレートが挙げられ、特にt-ブチルポリアクリレートが挙げられる。他のポリマーは、J.V.Crivelloら、Chemistry of Materials 8,376-381(1996)に記載されている。
【0037】
高温安定性を有する本発明のイオン性化合物は、従来公知の塩に多くの利益をもたらす。これらは、型PF6-、AsF6-及び特にSbF6-の配位アニオンと共に得られるものと匹敵し得るかまたはこれよりも高い、開始及び成長反応速度を有する。
本発明の化合物において、イオン対は、カチオンMm+の固有の触媒特性の発現を可能にし、活性軌道が特に異なる媒体中の反応基質に容易に暴露される非常に高い解離を有する。有機化学の重要な反応の殆どは、反応混合物から触媒を分離する可能性と高い収率でありつつ、容易な条件下で実施することができる。キラル基を有する本発明のイオン性化合物を使用する事による非対称誘発の実験(demonstration of asymmetric induction)は、その一般性及び操作容易性の面からも特に重要である。本発明のもう一つの目的は、本発明の化合物を、フリーデルクラフツ反応、ディールスアルダー反応、アルドール化反応、マイケル付加、アルキル化反応、ピナコールカップリング反応(pinacolic coupling)、グリコシル化反応、オキセタンの開環反応、アルケンの複分解反応、チーグラ-ナッタ型重合、開環による複分解型重合及び非環式ジエンの複分解型重合における触媒として使用することである。上記反応用の触媒として使用する本発明の好ましいイオン性化合物としては、リチウム、マグネシウム、銅、亜鉛、錫、三価金属(希土類金属を含む)、プラチノイド及びその有機金属結合、特にメタロセンから選択されるものが挙げられる。
化学的、光化学的、電気化学的、光電気化学的反応を実施するための溶媒として本発明の化合物を使用することもできる。この特定の使用に関しては、カチオンがイミダゾリウム、トリアゾリウム、ピリジニウムまたは4-ジメチルアミノ-ピリジニウムであるイオン性化合物であって、前記カチオンが場合により環の炭素原子上に置換基を保持するものが好ましい。液状で使用する化合物の中でも、150℃未満の融点、より特には100℃未満の融点を有するものが好ましい。
【0038】
本発明者は、テトラアザペンタレンから誘導した基または五環式基(pentacyclic group)により保持されているアニオン電荷は、共役ポリマー型の電気導体に安定化効果を発揮し、置換基のひとつが長いアルキル鎖を有する化合物を使用すると、ドープした状態でさえも通常の有機溶媒中でこれらのポリマーを安定化させることができることを知見した。ポリマー自身の上にこれらの電荷をグラフトさせると、全体的な電荷がカチオン性であり、有機溶媒に可溶性であり、その安定性に加えて金属、アルミニウム及び鉄金属に対して抗腐食特性を有するポリマーが得られる。本発明のもう一つの目的は、カチオン部分が、ドープされた“p”共役ポリマーから構成されるポリカチオンである、本発明のイオン性化合物を含む導電材料を提供することである。この用途に好ましいイオン性化合物の例としては、置換基RA、RB、RC、RD及びZの1個が炭素原子6〜20個を有する少なくとも1個のアルキル鎖を含有するようなものである。
カチオン型の着色材料(シアニン)は、光学情報を蓄積するため(書き込み時にアクセス可能なオプティカルディスク)、レーザー用の写真用フィルムの増感剤としてますます頻繁に使用されている。単離分子に対する広範な光学特性のため、固相にあっても互いに積み重ねるというこれらの共役分子の傾向はその有用性を限定している。本発明の官能基に対応する、場合により同一分子に結合している、対のイオンを含むカチオン性着色材料を製造するために本発明のイオン性化合物を使用すると、これらの着色材料を安定化させ且つ固体ポリマーマトリックス中を含めて、凝集現象を減少させることができる。本発明のもう一つの目的は、本発明のイオン性化合物を含有することを特徴とする、カチオン性着色材料の組成物を提供することである。この用途に特に好ましいイオン性化合物としては、イオン性基の(複数の)負電荷が着色材料の分子に固定されているか、あるいはこれらが着色材料の正電荷の対イオンを構成するようなものである。このような用途に好ましい他の化合物としては、基Zが少なくともカチオン基-(W=W)n-W+-(式中、Wは窒素原子または-C(R)-基(ここでRは有機基である)を表し、0≦n≦5である)を含む二価の基であるようなものである。
【実施例】
【0039】
本発明は、以下の非限定的な実施例によりさらに説明されよう。
【0040】
実施例1
無水ジクロロメタン30ml中のブチルイソシアネートC4H9NCO 9.91g(100mmol)に、30分で、無水ジクロロメタン20mlに希釈したプロピルアミンC3H7NH2 5.91g(100mmol)を滴下添加した。2時間後、無水ジクロロメタン100ml中の塩化マロニルClCOCH2COCl 14.1g(100mmol)をアルゴン下、0℃で添加した。環化反応に伴う塩酸の放出が知見された。48時間後、溶液を蒸発させ、乾燥後、等量収率で1-プロピル-3-ジブチル-バルビツール酸が得られた。
無水テトラヒドロフラン(THF)60ml中の溶液中のこの化合物11.3g(50mmol)を、機械的撹拌下、−20℃で、1,4-ジアザ-ビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)11.22g(100mmol)を添加し、塩化トリフルオロメタンスルホニルCF3SO2Cl 8.43g(100mmol)を滴下添加した。24時間後、反応混合物を無水塩化リチウム2.12g(50mmol)と共に4時間撹拌した。DABCO塩酸塩の沈澱を除去するための濾過後、溶媒を蒸発させた。乾燥後、5-トリフルオロメタンスルホニル-1-プロピル-3-ブチル-バルビツール酸のリチウム塩を等量収率で回収し、純度をプロトンNMRで測定すると、純度は97%以上であった。
【0041】
【化5】

【0042】
同様の方法で、5-トリフルオロメタンスルホニル-1-アリル-3-ブチル-バルビツール酸をプロピルアミンをアリルアミンに置き換えることにより得た。
【0043】
【化6】

【0044】
これらの塩は、殆どの通常の有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム....)及びポリエチレンオキシドなどの非プロトン性溶媒和ポリマーに溶解性である。濃度12/1のO/Liの後者の溶媒では、これらは、温度60℃で10-4S/cmより高いイオン導電率を示す。
【0045】
実施例2
無水ジクロロメタン100ml中に希釈した塩化スルフリルClSO2Cl 134.96g(1mole)を、無水THF 500ml中のブチルアミンC4H9NH2 146.23g(2mole)の溶液に0℃で1時間かけて滴下添加した。反応を0℃で2時間、次いで室温で3時間継続させた。形成したブチルアミン塩酸塩を除去するために反応混合物を濾過後、溶媒をロータリーエバポレーターにより蒸発させた。得られた生成物をメタノール200ml中で再結晶させ、濾過及び乾燥後、N,N'-ジブチルスルフアミドC4H9NHSO2NHC4H9151g(収率72%)を回収した。これをプロトンNMRで純度を測定すると99%以上であった。無水アセトニトリル100ml中のN,N'-ジブチルスルファド20.83g(100mmole)及びマロン酸10.41g(100mmole)に0℃で、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(200meq)41.27gを添加した。0℃で2時間、次いで室温で24時間後、反応混合物を濾過して形成した1,3-ジシクロヘキシルウレアを除去し、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を酢酸カリウム9.81g(100meq)を含有するメタノール50ml中で再結晶させた。濾過次いで乾燥後、1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸21.7g(収率69%)が回収された。プロトンNMRによる純度は98%以上であった。
1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸を、pH2未満の水中でカリウム塩をエーテル抽出することにより製造した。次いで、実施例1に記載されたのと同様の方法により、5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のリチウム塩及び5-パーフルオロブタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のリチウム塩を、パーフルオロブタンスルホニルフルオリドで塩化トリフルオロメタンスルホニルを置換することにより得た。
カリウム塩を、カリウム塩の飽和溶液中でリチウム塩を再結晶させることにより得た。
【0046】
【化7】

【0047】
これらの塩は、通常の殆どの有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及びポリエチレンオキシドなどの非プロトン性溶媒和ポリマーで溶解性であった。12/1のO/Li濃度の後者の溶媒和ポリマー中においては、60℃の温度で、2×10-4S/cmより高いイオン導電率を示した。水中0.1g/lぐらい低い濃度においては、リチウム塩は、25mN/m未満の値に表面張力を減少させた。
【0048】
実施例3
マロン酸エチルC2H5OOCCH2COOC2H516.02g(100mmole)をプロピルアミンC3H7NH211.82g(200mmole)と反応させた。この溶液を24時間撹拌後、粘ちょうなペーストが得られ、乾燥後にはプロトンNMRで測定して等量収率のマロン酸ジプロピルアミドC3H7NHOCCH2CONHC3H7が得られた。次いで、無水ジクロロメタン20ml中に希釈した塩化スルフリルClSO2Cl 6.75g(50mmole)をピリジン30ml中のマロン酸ジプロピルアミド9.31g(50meq)の溶液に滴下添加した。反応を室温で2時間、次いで、室温で48時間継続させ、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を水30ml中に回収し、塩酸4M30mlで酸性にし、エーテル25mlで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、エーテルを蒸発させ、残渣を乾燥させると、1,3-ジプロピル-2-スルホニル-バルビツール酸11.67g(94%収率)が回収され、プロトンNMRで測定した純度は97%以上であった。
カリウム塩を水中の炭酸カリウムで上記酸を処理することにより得た。
シアン化臭素BrCN 2.12g(20mmole)を含有する無水アセトニトリル20ml中に、塩化銀AgCl 2.87g(20mmole)、次いで1,3-ジプロピル-2-スルホニル-バルビツール酸20mmole及び1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)4.49g(40mmole)を添加した。24時間後、溶媒を蒸発させ、残渣を塩化カリウムの飽和水溶液から再結晶させた。濾過次いで乾燥後、以下の化合物が得られた。
【0049】
【化8】

【0050】
同様の方法で、プロピルアミンをトリフルオロエチルアミンに置き換えることにより、1,3-ジトリフルオロエチル-2-スルホニル-バルビツール酸及びその塩、並びに5-シアノ-1,3-ジトリフルオロエチル-2-スルホニル-バルビツール酸が得られた。
【0051】
【化9】

【0052】
これらの塩は、通常の殆どの有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及びポリエチレンオキシドなどの非プロトン性溶媒和ポリマーで溶解性であった。12/1のO/Li濃度の後者の溶媒和ポリマー中においては、100℃の温度で、10-3S/cmより高いイオン導電率を示した。
【0053】
実施例4
無水THF 30ml中の3-アミノ-1-プロパノールビニルエーテルCH2=CHO(CH2)3NH2 10.12g(100mmole)を塩化スルフリルとイミダゾールとを反応させることにより製造した、1,1'-スルホニルジイミダゾール9.91g(50mmole)と反応させた。48時間後、反応混合物を、マロン酸エチルC2H5O-OCCH2CO-0C2H58.01g(50mmole)とナトリウムメトキシドCH3ONa 8.1g(75mmole)を含有するフラスコに注いだ。
室温で96時間後、溶媒を蒸発させ、生成物をメタノール30ml中に回収した。酢酸カリウム(50meq)4.91g(50mmole)を添加後、沈澱が形成し、これを孔度No.3のフリットグラス上で濾過して回収し、冷水5mlで2回洗浄した。1,3-ビニルオキシプロピル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩11.61gを得、これを乾燥後(69%収率)、プロトンNMRで特性評価した。
THF 20ml中のこの化合物3.7g(10mmole)の溶液に−20℃で、1-(トリフルオロメタンスルホニル)イミダゾール(Flukaより市販)2.01g(10mmole)を添加した。溶液を−20℃で4時間、次いで室温で48時間継続させた。溶媒を蒸発させ、固体残渣をジクロロメタンで洗浄し、反応中に形成したイミダゾールを除去した。
以下の化合物が得られた。
【0054】
【化10】

【0055】
他方、1,3-ビニルオキシプロピル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩3.7g(10mmole)を、無水THF 15ml中の2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロアセテート1.96g(10mmole)で処理した。24時間後、得られた溶液を蒸発させ、乾燥後、5-トリフルオロアセチル-1,3-ビニルオキシプロピル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩が等量収率で得られた。
【0056】
【化11】

【0057】
ビス(トリフルオロメタン-スルホニル)イミドと共にカチオン性手段により開始された無水アセトニトリル中の重合により製造したこれらの塩のホモポリマ-は、30℃、ジメチルカーボネートとエチレンカーボネート(2:1)の混合物中の0.8Mの濃度で、10-3S/cmより高い導電率を示した。さらに、これらのホモポリマーは、通常の殆どの有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及びポリエチレンオキシドなどの非プロトン性溶媒和ポリマー中で溶解性であった。
【0058】
実施例5
無水THF 20ml中、−20℃で、ブチルアミン29.26g(40mmole)を添加し、クロロフルオロスルホンFSO2Cl 23.7g(20mmole)を滴下添加した。1時間後、2,2,2-トリフルオロエチルアミンCF3CH2NH2 19.81g(20mmole)及びピリジン2mlを添加し、反応を−20℃で2時間、次いで室温で48時間継続させた。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をメタノール中で再結晶後、N-2,2,2-トリフルオロエチル-n'-ブチル-スルファミドを回収した。同様の方法により、2,2,2-トリフルオロエチルアミンを2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミンにおきかえて、N-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル-N'-ブチル-スルファミドを製造し、2,2,2-トリフルオロエチルアミンを2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアミンに置き換えて、N-2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル-N'-ブチル-スルファミドを製造した。
これらの3種類の化合物に相当するバルビツール酸及びカリウム塩を、実施例2に記載と同様の方法により得た。
C-5にトリフルオロメタンスルホニル基を保持する酸のカリウム塩を、実施例4に記載と同様の方法により得た。
【0059】
【化12】

【0060】
これらの塩は、通常の有機溶媒の殆ど(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及び非プロトン性溶媒和ポリマーに溶解性であった。
【0061】
実施例6
実施例3と同様の方法により、マロン酸エチルをフルオロマロン酸ジエチル(Lancasterより市販)に置き換えることにより、5-フルオロ-1,3-ジブチル-バルビツール酸を得た。カリウム塩を、水酸化カリウムの滴定溶液と上記酸を混合することにより得、等量点をpH測定法により得た。凍結乾燥次いで真空乾燥後、以下の化合物が等量収率で得られた。
【0062】
【化13】

【0063】
同様の方法により、ブチルアミンを2-エチルヘキシルアミンに置き換えることにより、5-フルオロ-1,3-ジ-(2-エチルヘキシル)-バルビツール酸が得られた。
【0064】
【化14】

【0065】
実施例7
クロロ酢酸と塩化ホスホリルPOCl3を反応させることにより、Fild及びRieck(Chem.-Ztg.,(1976),100(9),391-2)により記載の方法により、クロロ-ビス(クロロスルホニル)-メチドClCH(SO2Cl)2が得られた。ジクロロメタン40ml中に、実施例2で製造したN,N'-ジブチルスルファミド6.25g(30mmole)及びクロロービス(クロロスルホニル)メチド7.42gを添加した。撹拌下、48時間後、ジクロロメタンを蒸発させ、残渣を水40mlに回収した。リチウム塩を水酸化リチウムの滴定溶液と上記酸を混合することにより得、等量点をpH測定法により測定し、凍結乾燥次いで真空乾燥後、以下の化合物が等量収率で得られた。
【0066】
【化15】

【0067】
実施例8
機械的撹拌及び窒素雰囲気下、マロン酸HOOCCH2COOH 20.81g(200mmole)及びヘキサフルオロアセトン3水塩CH3COCF3・3H20(Aldrichより市販)41.63g(200mmole)を含有する無水ジクロロメタン200mlに、−20℃で、無水ジクロロメタン100mlで希釈した塩化チオニルSOCl295.17g(800mmole)をゆっくり添加した。添加完了後(約2時間)、反応を−20℃で24時間、次いで室温で24時間継続した。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣を水100ml中に回収した。無水炭酸カリウム15.2g(110mmole)を数回に分けて添加し、無水塩化カリウムKCl 14.91g(200mmole)を添加後、得られた沈澱を再結晶させた。濾過次いで乾燥後、2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン(I)のカリウム塩35.8g(71%収率)を回収した。この純度をプロトンNMRで測定すると98%以上であった。
リチウム塩を、THF中塩化リチウムとのイオン交換(複分解)により得た。
塩化チオニルの1当量を使用した以外には、同様の方法により、以下の化合物:
ヘキサフルオロアセトンを1,1,1-トリフルオロアセトンで置き換えることにより、2-メチル-2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン(II)のカリウム塩(98%純度及び65%収率)、
ヘキサフルオロアセトンを3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-2-ペンタノンに置き換えることにより2-メチル-2-ヘプタ-フルオロプロピル-2,3-ジオキソラン-4,6-ジオン(III)のカリウム塩(97%純度及び71%収率)、及び
ヘキサフルオロアセトンを2,2,2-トリフルオロアセトフェノンに置き換えることにより、2-フェニル-2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン(IV)のカリウム塩(99%純度及び76%収率)
を得た。
【0068】
【化16】

【0069】
対応する酸を、塩の酸性溶液をエーテルで抽出することにより製造した。
C-5にニトリル基を保持する酸のカリウム塩は、実施例3に記載と同様の方法により製造した。
C-5にトリフルオロメタンスルホニル基を保持する酸のカリウム塩を、実施例1に記載と同様の方法にて製造し、C-5に4-スチレンスルホニルを保持する酸のカリウム塩を、塩化トリフルオロメタンスルホニルを塩化4-スチレンスルホニル(Dajac Monomers & Polymersより市販)に置き換えることにより実施例1に記載と同様の方法にて製造し;C-5にパーフルオロブタンスルホニル基を保持する酸のカリウム塩を、塩化トリフルオロメタンスルホニルをフッ素化パーフルオロブタンスルホニルに置き換えることにより製造し;C-5にパーフルオロブタンスルホニル基を保持する酸のカリウム塩を、塩化トリフルオロメタンスルホニルをフッ素化パーフルオロブタンスルホニルに置き換えることにより製造し;及びC-5にビニルスルホニル基を保持する酸のカリウム塩を、塩化トリフルオロメタンスルホニルとフッ素化エチレンスルホニル(ACROSより市販)と置き換えることにより製造した。
全ての場合において、リチウム塩は、THF中でリチウム塩と塩化リチウムとの間でイオン交換(複分解)により得られた。
【0070】
実施例9
無水THF 30ml及びピリジン10ml中のドデシルスルホン酸クロリドC12H25SO2Cl(Lancasterより市販)5.38g(20mmole)を、実施例2に記載の方法と同様の条件下で製造した、1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸6.29g(20mmole)に添加した。24時間後、やや着色した溶液を濾過して塩化カリウムの沈澱を除去し、炭酸リチウムLiCO3 800mgと活性炭4gと接触させた。混合物を24時間撹拌し、過剰の炭酸塩と活性炭を溶液を濾過して除去し、溶媒を蒸発させた。5-ドデシルスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニルバルビツール酸のリチウム塩10.9gを等量収率で得、生成物をプロトンNMRで分析した。
【0071】
【化17】

【0072】
この生成物は、非プロトン溶媒、特に非プロトン性溶媒和ポリマー中でテンシオ活性(tensio-active)を有していた。
【0073】
実施例10
ローダミンB 479mg(1mmole)をピリジン10ml中に懸濁させ、実施例2で得られた1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩314mg(1mmole)及びジシクロヘキシルカルボジイミド206mg(1mmole)を添加した。撹拌下48時間後、混合物を濾過してジシクロヘキシルウレアを除去し、蒸発させた。得られた化合物は、強い着色特性を有する、両性イオンであった:
【0074】
【化18】

【0075】
この化合物は、極性ポリマー中に溶解性であり、着色材料を有するレーザーを製造することができる。ローダミンB上にグラフトしたアニオン基により、オキシド、特に非粒状酸化チタンに吸着することができ、特に光電池の用途で可視線の増感剤として作用する。
【0076】
実施例11
メタンスルホン酸15mlに、0℃で、実施例8で得られた5-パーフルオロブタンスルホニル-2-フェニル-2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオンのカリウム塩5.8g(10mmole)及び二酢酸ヨードソベンゼンφ-I(OCOHCH3)2(Lancasterより市販)3.22g(10mmole)を添加した。0℃で撹拌下、6時間後、反応混合物をエーテル100ml上に注ぎ、現れた沈澱を濾過により回収し、乾燥させた。得られた両性イオン:
【0077】
【化19】

【0078】
は、化学線(光、γ線、電子ビーム)の作用下で、カチオンメカニズムにより重合を開始し得る酸を放出することができる。これは、通常の有機溶媒の殆ど(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及びポリエチレンオキシドなどの非プロトン性溶媒和ポリマー中で溶解性である。これは、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどの反応性溶媒中5重量%以上でも溶解性である。
【0079】
実施例12
4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)2.8g(10mmole)、カルボニルジイミダゾール3.24g(20mmole)及びジアミノメチルアミノピリジン100mgをエーテル20ml中に0℃で懸濁させた。CO2を放出させ(5時間)、実施例8で得られた2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオンのカリウム塩1.44g(20mmole)を添加した。
混合物をマグネチックスターラーで撹拌下、0℃で24時間、保持した。遠心分離により、以下の結晶性沈澱を単離した。
【0080】
【化20】

【0081】
この塩は、通常の殆どの有機溶媒、特に、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン及び、ポリエチレンオキシドなどの非プロトン性溶媒和ポリマーに溶解性である。これは、60℃で既に重合または架橋反応を開始するための非揮発性フリーラジカル開始剤として使用できる。
【0082】
実施例13
2,2'-アジノビス(3-エチルベンゾ-チアゾリン-6-スルホン)酸の二ナトリウム塩をまず、その二アンモニウム塩(Aldrichより市販)を水酸化ナトリウムの滴定溶液で処理することにより、その二アンモニウム塩から製造した。蒸発及び乾燥後、二ナトリウム塩を等量収率で回収した。無水アセトニトリル10ml中の後者1.12g(2mmole)に、無水ジクロロメタン1ml中溶液の塩化オキサリルClCOCOCl 508mg(4mmole)を添加した。撹拌下4時間後、無水ピリジン4ml、及び実施例3で得られた1,3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩1.47g(4mmole)を添加した。24時間後、アセトニトリルを蒸発させ、残渣を水10ml中に回収した。臭化テトラブチルアンモニウム1.29gを添加後、得られた沈澱をジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を蒸発させ、乾燥させると、以下の化合物が得られた。
【0083】
【化21】

【0084】
この化合物は、酸化によりラジカルと安定な両性イオンであるビラジカル(biradical)を与え、酸化水性相と、酸化すべき種を含有する非混和性の有機相との間の酸化触媒を生成し得る。
【0085】
実施例14
塩化ポリアニリン2.54g(AT&T, St Egreve, France)を、水10ml中に懸濁させた。
【0086】
【化22】

【0087】
次いで、実施例6で得られた5-フルオロ-1,3-ジ-2-エチルヘキシル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩9.89gを添加した。
【0088】
【化23】

【0089】
撹拌下48時間後、トルエンに溶解性の5-フルオロ-1,3-ジ-2-エチルヘキシル-2-スルホニル-バルビツール酸でドープしたポリアニリンを回収した。このようにして得られたドープ化ポリアニリンは、四つの点で測定して6S/cmの導電率を有する導電性ポリマーであり、湿気のある媒体中で安定であった。
ドープ化ポリアニリンのトルエン中溶液から、コロナ効果により処理したポリプロピレン(PP)支持体上にフィルムを形成することができた。60℃で48時間真空乾燥後、導電性沈着物が得られ、これは、ポリアニリンに接着性であり、1ミクロン未満の厚さを有する。さらに、この導電性ポリマーは、酸またはクロリド媒体中で鉄金属に対する優れた腐食阻害剤である。保護すべき表面の処理は、ペイントの状態でPCE溶液を沈着させ、次いで乾燥させ、熱処理を100℃で実施するだけでできる。
【0090】
実施例15
無水THF 100ml中の実施例6で製造した、5-(4-スチレンスルホニル)-2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン酸のリチウム塩17g(40mmole)、アクリロニトリル3.18g(60mmole)及び1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)100mgの溶液を、乾燥アルゴンでフラッシュしながら脱気した。アクリロニトリルとスチレン誘導体との共重合を、アルゴン下、60℃で48時間実施した。
冷却後、溶液を濃縮し、ポリマーをエーテル中に再沈澱させることにより回収した。濾過次いで乾燥後、ポリ(アクリロニトリルーコ-5-(4-スチレンスルホニル)-2,2-トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン)(PANS2MF)のリチウム塩が得られた。
【0091】
【化24】

【0092】
このポリマーは、固定アニオンを有するゲル化ポリマー電解質を導入することができる。このポリマーは、ゲルを得ることができるマトリックスを構成し、高分子電解質の特性を有する。PANS2MF 40重量%、エチレンカーボネート28重量%、プロピレンカーボネート28重量%及びシリカ粒子4重量%(AEROSIL R974,Degussaより市販)で製造したゲル化電解質を製造した。このゲルは、優れた機械的特性を有し、30℃で5.7×10-4S/cmの導電率を有する。この電解質のカチオン性移動数は、0.95であると推測される。
電気化学発電器を、前記ゲル化電解質、バインダーとしてコポリマー(PANS2MF)(20容量%)と混合したカーボンコークス(80容量%)で製造した複合アノードと、カーボンブラック(6容量%)、LiCoO2(75容量%)及びバインダーとして特定のコポリマー(PANS2MF)(20容量%)で製造した複合カソードを使用して組み立てた。この発電器は、25℃でのサイクル時、第1のサイクルで80%の容量以上の容量を維持することにより、3〜4.2Vの充電/放電のサイクルを1000サイクル実施することができる。この発電器は、固定アニオンを使用しているので、電力を必要とする際に非常に優れた性能を有する。固定アニオンを使用すると、界面抵抗の発生(the evolution of the interface resistance)を立証することができる。
【0093】
実施例16
実施例15で使用しているのと同様の方法により、アクリロニトリル(97モル%)及び5-(4-スチレンスルホニル)-2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン酸(3モル%)のコポリマーを製造した。
【0094】
【化25】

【0095】
アルカリ金属またはアンモニウム塩の形態でのこのポリマーは、帯電防止特性を有するので、今日、テキスタイル用の繊維の形状で広く使用されているが、帯電防止特性を有さない、アクリロニトリルホモポリマーと都合良く置き換えることができる。さらに、このコポリマーの紡糸(スピニング)(spinning)は、非改質PANと比較して容易である。
コポリマーは、メチレンブルーなどのカチオン性着色材料と非常に優れた相互作用を有し、着色テキスタイル用繊維では重要な材料となろう。着色の安定性は、アクリロニトリルとメタアリルスホネートとの公知のコポリマーに関するようにはっきりと改良される。
【0096】
実施例17
無水ジメチルホルムアミド(DMF)40ml中のニッケル(II)フタロシアニンテトラスルホン酸のナトリウム塩4.9g(5mmole)(Aldrichより市販)に、塩化(クロロメチレン)ジメチルアンモニウム[(CH3)2N=CHCl]+,Cl-3.2g(25mmole,Aldrichより市販)を少しずつ添加した。撹拌下4時間後、反応混合物を遠心分離し、浮遊液体を除去し、デカントした生成物を無水DMF 40ml中に回収した。次いで、ピリジン2ml及び実施例5で得られた1-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)-3-ブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩7.81g(20mmole)を添加した。撹拌下48時間後、反応混合物を炭酸リチウムLi2CO3 2gと一緒に24時間撹拌した。DMFを蒸発させ、乾燥させた後、以下の化合物が得られた。
【0097】
【化26】

【0098】
この化合物は、通常の殆どの有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及び極性ポリマーに溶解性である。これは可視範囲で重要な吸収を有する。テトラブチルアンモニウム四塩の形では、ジクロロメタンまたは塩化メチレンなどの低極性溶媒並びに、メチルポリメタクリレートなどの低極性ポリマーマトリックスにも溶解性である。
1-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)-3-ブチル-2-スルホニル-バルビツール酸をグラフト化すると、互いの間のカチオン性着色材料の分子の凝集(この凝集現象は、特に情報を貯蔵するための光学ディスクにその着色材料を使用するシステムの精密性を傷つける光学吸収帯の広範化をもたらす)をはっきりと減少させることができる。
【0099】
実施例18
無水ジメチルホルムアミド60ml中の2-(3-チエニル)エタノール3.2g(25mmole)に、実施例8で得られた2-メチル-2-ヘプタフルオロプロピル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン8.4g(25mmole)、無水炭酸カリウムK2CO3 3.46g及びクラウンエーテル、18-クラウン-6(カリウムカチオンの錯形成剤:complexentとして作用)330mg(1.25mmole)を添加した。反応混合物をアルゴン下、85℃で撹拌した。48時間後、反応混合物を孔度No.3のフリットグラス上で濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。乾燥後、化合物を無水塩化カリウムKCl 1.86g(25mmole)を含有する水20mlから再結晶させた。濾過次いで乾燥後、以下の化合物を回収した。
【0100】
【化27】

【0101】
アセトニトリル中の前記化合物の5×10-2の10mlを製造し、電気重合を、パラジウム電極上の電気化学電池のアノード区画で実施した。柔軟な導電性フィルムが得られた。
【0102】
【化28】

【0103】
ドーピング(酸化)は、外部とカチオン及び電子を交換することにより実施した。この材料の導電率は、10 S/cmのオーダーであり、室温で且つ湿気のある媒体中でも安定である。位置Nまたは3にオキシエチレン鎖を有するか、非置換ピロールの存在下で実施する電気重合により、安定で、着色変化をエレクトロクローム系を構成するのに使用し得るポリマーを与える。
【0104】
実施例19
水5ml中の実施例5で得られた1-(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル)-3-ブチル-2-スルホニル-バルビツール酸400mg(1mmole)に撹拌下、濃硫酸2滴を添加した。撹拌下4時間後、無水炭酸リチウムLi2CO3 60mgを添加し、15分後、テトラブチルアンモニウム(C4H9)4NBr 322mg(1mmole)を添加した。ジクロロメタンで抽出すると、以下の化合物が回収された。
【0105】
【化29】

【0106】
可視光範囲でのこのアニオン性吸収性着色材料は、ジクロロメタン又は塩化メチレンなどの低極性溶媒並びにメチルポリメタクリレートなどの低極性ポリマーマトリックス中に溶解性である。この着色材料の分子が互いに凝集する度合いが低いため、この着色材料の光学吸収帯の広範化現象を予防することができる。
【0107】
実施例20
冷却器、メカニカルスターラー及び中性ガス(アルゴン)入口を備えた三つ首フラスコに、テトラヒドロフラン中の溶液のジメチルシロキサンと(ヒドロゲノ)(メチル)-シロキサンのコポリマー9.5g(HMS 301 25% SiH,Mw 1900,Gelest Inc.,Tullytown,PA,USAより市販)を導入した。実施例1で得られた5-トリフルオロ-アセチル-3-アリル-1-ブチル-バルビツール酸のリチウム塩14.03g及びクロロプラチナ酸(chloroplatinic acid)H2PtCl670mgを添加した。混合物を還流下4時間加熱した。ポリマーをエーテル中に再沈澱させ、THF中に溶解させ、再びエーテル中に再沈澱させた。以下のポリマーが得られた。
【0108】
【化30】

【0109】
このポリマーは、油中>2%の容量で殆どの有機溶媒または、帯電防止特性を与えるシリコン材料に溶解性である。
【0110】
実施例21
パール化学反応器中、実施例8で得られた2,2-トリフルオロ-メチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオンのリチウム塩12.9g(50mmole)及びクラウンエーテル、12-クラウン-4(リチウムカチオンの錯形成剤として作用)176mgを無水アセトニトリル60ml中に溶解させた。反応器を閉鎖後、単離前にアルゴンを15分間フラッシュした。次いで、二酸化硫黄SO2(Flukaより市販)6.41g(50mmole)を導入し、10分後、無水アセトニトリル20ml中のビニルトリエトキシシラン(Flukaより市販)9.52g(50mmole)の溶液を導入した。室温で6時間後、反応器を40℃に加熱し、その温度に48時間保持し、溶媒を蒸発させた。真空乾燥後、以下の化合物が、等量収量で得られた。
【0111】
【化31】

【0112】
この塩は、加水分解-重縮合のメカニズムによって有機珪素網状構造を構成することができる。この塩は、また、その表面を改質するために、特に帯電防止特性を与えるために、ガラスベースの材料(繊維、グレージング,...)と共に使用できる。この塩と分子量5,000のO-[2-(トリメトキシシリル)-エチル]-O'-メチルプロピレングリコール(Shearwaters Polymersより市販)(3:1モル)との溶液を水/メタノール混合物中で製造した。硝酸で洗浄したガラスプレートを100℃で乾燥させ、次いで数分間溶液中に浸漬させた。メタノールから取り出して乾燥後、帯電防止特性及びガラス表面に対する親水性(hyrophilic)を与えるのに十分な3×10-52の表面導電率が得られた。
【0113】
実施例22
実施例5により製造した5-パーフルオロブタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル−バルビツール酸のカリウム塩5.97g(10mmole)及びジフェニルヨードニウム(C6H52ICI 3.17g(10mmole)を水中、24時間一緒に撹拌した。水性層をジクロロメタンで抽出することにより、以下の化合物を回収した。
【0114】
【化32】

【0115】
この塩は、特にトリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE-3)などのジビニルエーテルなどの活性なカチオン性重合光開始剤である。この開始剤は、PF6-またはSbF6-と会合した同一スルホニウム塩よりも高い溶解性及び活性を有する。
【0116】
実施例23
テトラヒドロフラン30ml中のテトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート(CH3CN)4Pd(BF4)222.2g(5mmole)(Aldrichより市販)を、実施例2で得られた5-パーフルオロブタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のカリウム塩5.97g(10mmole)で処理した。撹拌下24時間後、反応混合物を濾過してカリウムテトラフルオロボレートKBF4の沈澱を除去し、溶媒を蒸発させた。以下の化合物が等量収量で得られた。
【0117】
【化33】

【0118】
この塩は、ジクロロメタンなどの低極性溶媒中でさえもノルボルネンのビニル重合用触媒である。
【0119】
実施例24
第1段階では、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)で錯形成したフェロセンジリチウムを製造した。アルゴン下、グローブボックス中で、1リットルフラスコに、新しく蒸留したTMEDA 37ml(247mmole)及び無水ヘキサン40mlを添加した。次いで、ヘキサン中のブチルリチウム1.6M溶液の154ml(247mmole,Aldrichより市販)を滴下添加した。10分後、溶液を強く撹拌しながら、無水ヘキサン500ml中のフェロセン18.6g(100mmole)の溶液を滴下添加した。1晩後、橙色の結晶が溶液中に現れ、これをNo.4のフリットグラス上で溶液を濾過して回収した。
真空乾燥後、1,1'-ジリシオ-フェロセン・2TMEDA 28.4g(66% 収率)が得られた。これをアルゴン下で保存した。
無水アセトニトリル30ml中のこの化合物8.61g(20mmole)を、グローブボックス中、1,3-プロパンスルホン(1,3-propanesulfone)4.89g(40mmole)で処理した。
室温で24時間後、ジメチルスルホルムアミド2滴を反応混合物に添加し、無水ジクロロメタン15ml中の塩化オキサリルClCOCOCl 5.08g(40mmole)の溶液をゆっくりと添加した。室温で4時間後、ピリジン5ml及び実施例8で製造した2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオンのカリウム塩11.61g(40mmole)を添加した。反応を24時間継続し、反応混合物を炭酸リチウムLi2CO34gの存在下で24時間撹拌した。溶媒を濾過し、蒸発させ、次いで乾燥後、以下の化合物を回収した。
【0120】
【化34】

【0121】
この塩は、通常の有機溶媒の殆ど(テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、グリム...)及び極性ポリマー中で溶解性である。
この塩は可逆性のレドックス結合を有する。ポリエチレンオキシド中では、この塩は、直径125μmのプラチナ電極上で、リチウム電極に対して可逆性ポテンシャル3.4Vを測定できた。
液体、ゲルまたはポリマー電解質中に溶解させると、この塩は、過充電に対する保護を与えることができるので、レドックスシャトルとして作用する。この塩は、着色材料と共にエレクトロクローム系を提供できる。
【0122】
実施例25
アルドール縮合の触媒作用
アセトニトリル中、実施例2で得られたカリウム塩と、化学量論量のスカンジウムテトラフルオロボレートSc(BF4)3とを処理することにより、5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩を得た。カリウムテトラフルオロボレートKBF4の沈澱を除去するために濾過し、次いで溶媒を蒸発させた後、ジブチルアミノスルホニルマロノニトリル(Sc(DBTFSB)3)のスカンジウム塩を等量収率で回収した。
アルドール縮合中、この塩の触媒作用を以下の方法により評価した。ジクロロメタン15ml中の5-トリフルオロメチルスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩 507mg(0.4mmole)を含有する溶液(10%モル)に、ジクロロメタン10ml中の1-エン-2-メチル-1-シリルアセタール-1-メトキシプロペン(CH3)2C=C(OSiMe3)OMe 1.05g(6mmole)及びベンズアルデヒド 420mg(4mmole)の混合物を添加した。室温で撹拌下16時間後、水を添加し、生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相を水100mlの画分3回で洗浄し、ジクロロメタンを蒸発させた。次いで、残渣をテトラヒドロフラン/HCl 1M(20:1)混合物で、0℃で0.5時間処理した。ヘキセンで希釈後、重炭酸ナトリウムの飽和溶液を添加し、生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、粗な生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけた。従来技術のイッテルビウム塩トリフレート塩で得られた結果に従って、メチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-フェニルプロピオネートが91%収率で得られた。
【0123】
【化35】

【0124】
メチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-フェニルプロピオネートの化合物の収率を減少させることなく、触媒量を約5分の1だけ(by a factor near five)減らして同一反応を実施した。従来技術で使用されていた、トリフレートのイッテルビウム塩と比較して、5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩のジクロロメタン中で優れた溶解性を示した。
【0125】
実施例26
マイケル付加の触媒作用
実施例25で得られた5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩のマイケル付加に対する触媒作用を、以下の方法で評価した。ジクロロメタン10ml中のジブチルアミノスルホニルマロノニトリルのスカンジウム塩507mg(0.4mmole)の(10%モル)溶液に、ジクロロメタン10ml中のカルコン 840mg(4mmole)と1-エン-2-メチル-1-シリルアセタール-1-メトキシブロパン(CH3)2C=C(0SiMe3)OMe 1.05 g(6mmole)の混合物を添加した。室温で撹拌下12時間後、水を添加し、生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相を水100mlの3回の画分で洗浄し、ジクロロメタンを蒸発させた。残渣をテトラヒドロフラン/HCl 1M(20:1)混合物で0℃で0.5時間処理した。ヘキサンで希釈後、重炭酸ナトリウムの飽和溶液を添加し、生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発後、粗な生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけた。1,5-ジカルボニル化化合物が、従来技術のイッテルビウムトリフレート塩で得られた結果に従い、85%収率で得られた。
【0126】
【化36】

【0127】
1,5-ジカルボニル化化合物の収率を減少させることなく、触媒量を約5分の1だけ減少させて同一反応を実施した。この結果は、イッテルビウムトリフレート塩と比較して、5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩のジクロロメタン中でより優れた溶解性を示した。
【0128】
実施例27
フリーデルクラフツアシル化反応の触媒作用
実施例25で得られた5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩のフリーデルクラフツアシル化反応に対する触媒作用を以下の方法で評価した。無水ニトロメタン40ml中、5-トリフルオロメチルスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩887mg(0.7mmole)、アニソール1.08g(10mmole)及び無水酢酸2.04g(20mmole)を添加した。21℃で10分間撹拌後、反応混合物をエーテル50mlで希釈し、反応混合物を重炭酸ナトリウムNaHCO3の飽和溶液100mlで抑制した。セライトで濾過後、溶液を50mlエーテル画分で3回抽出し、集めたエーテル相を塩化カリウムの飽和溶液で洗浄した。エーテル相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた後、p-メトキシアセトフェノン1.46g(95%収率)が回収され、プロトンNMRにより99%以上の純度であった。
【0129】
【化37】

【0130】
実施例28
実施例25で得られた5-トリフルオロメタンスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩のディールスアルダー反応に対する触媒作用を以下の反応を実施することにより評価した。
【0131】
【化38】

【0132】
ジクロロメタン10ml中の新しく蒸留したシクロペンタジエン651mg(10mmole)及びメチルビニルケトン701mgの溶液に、5-トリフルオロメチルスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のスカンジウム塩200μモルを添加した。
室温で24時間後、反応混合物を濾過して懸濁液中の触媒を除去した。ガスクロマトグラフィーにより反応収率を測定したところ、90%以上であった。
【0133】
実施例29
実施例2で得られた5-トリフルオロメチル-スルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のリチウム塩及び実施例8で得られた5-シアノ-2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン酸のリチウム塩をリチウム-ポリマー技術の電気化学発電器で試験した。
各塩について、バッテリーを以下の層を重ねることにより製造した:
−2mm厚さのステンレススチール電流コレクタ;
−二酸化バナジウム(45容量%)、Shawiniganブラック(5容量%)及び分子量Mw=3×105(50重量%)からなる89μmの厚さを有する複合材料のフィルムのパステルからなるカソード;
−濃度O/Li=15/1で2つのリチウム塩の一方を含有する分子量Mw=5×106のポリエチレンオキシドのフィルムのパステルからなる電解質;
−厚さ50μmを有する金属リチウムのシートからなるアノード;
−上記電流コレクタと同様の電流コレクタ。
【0134】
電極及び電解質を構成するパステルをグローブボックス中で切断し、上述のオーダーに積み重ねた。次いでコレクタを得られたパイルの両側に設置した。
同時に発電器を大気から保護し、フィルム上に機械的応力を働かせるために全体をボタン型のバッテリーハウジングに封入した。バッテリーを、60℃の温度で乾燥オーブンに据え付けた、アルゴン下でエンクロージャ中に設置した。これを充填及び放電C10(10時間での通常容量充填または放電)の速度で1.8〜3.3Vatでサイクルさせた。
5-トリフルオロメチルスルホニル-1,3-ジブチル-2-スルホニル-バルビツール酸のリチウム塩を使用して得られたサイクル曲線を図1に示す。この図においては、%で表した使用Uを縦座標に、サイクルC数を横座標にしてある。
5-シアノ-2,2-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-4,6-ジオン酸のリチウム塩についても同様のサイクル結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物の電気中和性を確保するために十分な数の少なくとも1個のカチオン部分Mに結合した少なくとも1個のアニオン部分を含むイオン性化合物であって、Mはヒドロキソニウム、ニトロソニウムNO+、アンモニウム-NH4+、価数mを有する金属カチオン、価数mを有する有機カチオン、または、価数mを有する有機金属カチオンであることを特徴とし、且つ、アニオン部分は、式:
【化1】

(式中、Y1 、Y2、Y3、Y4及びY5は、互いに独立して、カルボニル基、スルホニル基、チオカルボニル基、チオニル基、-C(=NCN)-基または-C(=C(CN)2)-基を表し;
Zは、フッ素原子のハメットパラメータに少なくとも等しいハメットパラメータを有する電気親和性基を表し;
各置換基RA、RB、RC及びRDは、互いに独立して、一価若しくは二価の有機基を表すか、またはポリマー鎖の一部を表し、置換基Rc及びRDの少なくとも一方は、過フッ素化基である)のひとつに対応する芳香族複素環であることを特徴とする該イオン性化合物。
【請求項2】
有機カチオンが、カチオンR3O+(オキソニウム)、NR4+(アンモニウム)、RC(NHR2)2+(アミジニウム)、C(NHR2)3+(グアニジニウム)、C5R6N+(ピリジニウム)、C3R5N2+(イミダゾリウム)、C3R7N2+(イミダゾリニウム)、C2R4N3+(トリアゾリウム)、SR3+(スルホニウム)、PR4+(ホスホニウム)、IR2+(ヨードニウム)、(C6R5)3C+(カルボニウム)からなる群から選択され、基Rは、独立してHを表すか、または以下の基:
−アルキル、アルケニル、オキサ-アルキル、オキサ-アルケニル、アザ-アルキル、アザ-アルケニル、チア-アルキル、チア-アルケニル、シラ-アルキル、シラ-アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、ジアルキルアミノ及びジアルキルアゾ基;
−窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含む少なくとも1個の側鎖を場合により含む環式または複素環式基;
−芳香族核中にヘテロ原子を場合により含む環式または複素環式基;
−少なくとも1個の水素、酸素、硫黄またはリン原子を場合により含有する、縮合または非縮合の、複数の芳香族または複素環式核を含む基;
から選択される基であって、但し、複数の基Rは一緒になって、カチオン電荷を保持する中心を場合により包含する脂肪族または芳香族環を形成することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
オニウムカチオンが、基Zの一部であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
オニウムカチオンが、ポリマーの繰り返し単位の一部であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
オニウムカチオンが、環内に少なくとも1個のアルキル化窒素原子を包含する、芳香族の特徴を有するカチオン性複素環式基を含むことを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
オニウムカチオンが、イミダゾリウム基、トリアゾリウム基、ピリジニウム基、4-ジメチルアミノ-ピリジニウム基を含み、前記基は環の炭素原子上に置換基を場合により保持することを特徴とする請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
カチオンオニウムが、場合によりポリマー網状構造内に取り込まれる、結合-N=N-、-N=N+、スルホニウム基、ヨードニウム基、または置換若しくは非置換のアレーン-フェロセニウムカチオンを持つ基を有することを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
カチオンオニウムが、ジアリールヨードニウムカチオン、ジアルキルアリールヨードニウムカチオン、トリアリールスルホニウムカチオン、トリアルキルアリールスルホニウムカチオン、または置換若しくは非置換のフェナシル-ジアルキルスルホニウムカチオンであることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
カチオンが、ポリマー鎖の一部であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
オニウムカチオンが、基2,2’[アゾビス(2,2’-イミダゾリニオ-2-イル)プロパン]2+または2,2’-アゾビス(2-アミジニオプロパン)2+を含むことを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
カチオンMが、アルカリ金属のカチオン、アルカリ土類金属のカチオン、遷移金属のカチオン、三価金属のカチオン、希土類のカチオン及び有機金属カチオンからなる群から選択される金属カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
カチオンが、フェロセン、チタノセン、ジルコノセン、インデノセニウムカチオン、アレーンメタロセニウムカチオンから誘導されたカチオン、キラリティを場合により有するホスフィン型のリガンドと錯体形成した遷移金属のカチオン及び、1または複数の原子に共有結合により固定された1個以上のアルキルまたはアリール基を有する有機金属カチオンからなる群から選択されるメタロセニウムであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
一方で置換基RA及びRBが、他方では置換基RC及びR4の一方が、互いに独立して、
a)アルキル、アルケニル、オキサ-アルキル、オキサ-アルケニル、アザ-アルキル、アザ-アルケニル、チア-アルキル、チア-アルケニル、前記基は、場合により少なくとも1個のアリール基を保持し;
b)場合によりa)で定義された少なくとも1個の基を保持するアリール基;
c)場合により、環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有するか、またはヘテロ原子を有する少なくとも1個の側鎖を場合により保持する脂環式基または芳香族基;
d)さらに、ハロゲン化または過ハロゲン化形で、ハロゲン原子を保持する上記a)、b)及びc)で定義した基;
を表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
一方で置換基RA及びRBが、他方で置換基RC及びRDの一方が、炭素原子1〜10個を有するアルキル基及びアルケニル基から互いに独立して選択されることを特徴とする請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
一方で置換基RA及びRBが、他方で置換基RC及びRDの一方が、炭素原子1〜10個を有するアルキルまたはハロゲン化若しくは過ハロゲン化アルケニル基から互いに独立して選択されることを特徴とする請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
一方で置換基RA及びRBが、他方で置換基RC及びRDの一方が、炭素原子1〜10個を有するオキサ-アルキル基またはオキサ-アルケニル基から互いに独立して選択されることを特徴とする請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
ZがREYE-基またはRERGPO-基(式中、YEは、カルボニル基、スルホニル基またはチオニル基を表し、RE及びRGは、互いに独立してハロゲンまたは有機基を表す)であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Zが基RESO2-であることを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
RE及びRGは互いに独立して、アルキル、アルケニル、オキサ-アルキル、オキサ-アルケニル、アザ-アルキル、アザ-アルケニル、チア-アルキル、チア-アルケニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル基、環内に少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むか、ヘテロ原子を含む少なくとも1個の側鎖を場合により有する脂環式基または芳香族基を表し、ここで前記RE及びRGは、場合によりハロゲン化または過ハロゲン化されていることを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
RE及びRGは互いに独立して、炭素原子1〜12個を有し、主鎖または側鎖に少なくとも1個のヘテロ原子、O、NまたはSを場合により有し、及びヒドロキシ基、カルボニル基、アミン基、カルボキシル基を保持する、アルキルまたはアルケニル基から選択されることを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
RE及びRGは、互いに独立して、アリール、アリールアルキル、アルキルアリールまたはアルケニルアリール基から選択され、ここで、場合により縮合している芳香族核は、窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含むことを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
REまたはRGは、ヨードニウム、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、アミジニウム、グアニジニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、トリアゾリウム、ホスホニウムまたはカルボニウム基を有する基であり、前記イオン性基は、全体的または部分的にカチオンMとして作用することを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項23】
RE及びRGは、熱的、光化学的またはイオン的に解離可能な基及び/または縮合可能な基及び/または少なくとも1個のエチレン性不飽和を包含することを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項24】
RE及びRGが、メソモルフォア(mesomorphous)基若しくは発色団基または、自己ドープ導電性ポリマーまたは加水分解可能なアルコキシシランを表すことを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項25】
RE及びRGが、遊離基をトラップし得る基を包含することを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項26】
RE及びRGが、解離性ダイポールを包含することを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項27】
RE及びRGが、レドックス結合を包含することを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項28】
RE及びRGが、錯体形成性リガンドを包含することを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項29】
RE-YE-またはRERGPO-が、光学活性であることを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項30】
RE-YE-が、アミノ酸、または光学的若しくは生物的活性ポリペプチドを表すことを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項31】
Zが、-F、-Cl、-Br、-CN、-NO2、-SCN及び-N3-からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
Zが、基-CnF2n+1、-O-CnF2n+1、-S-CnF2n+1、-CH2-CnF2n+1、-OCF=CF2または-SCF=CF2基(1≦n≦8)から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
Zが、フッ素化または非フッ素化されている、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、オキサジアゾールまたはチアジアゾールから誘導される複素環を含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
Zが、少なくとも2に等しい価数Vを有する基であり、v個のイオン性基:
【化2】

と結合していることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
基Zが、少なくとも1個の-SO2-基、1個の-CO-基、炭素原子2〜8個を有するパーフルオロアルキレン基、ヘテロ原子により場合により置換されているフェニレン基、基-(W=W)n-またはカチオン基-(W=W)n-W+-(但し、Wは、窒素原子または基-C(R)-を表し、Rは、水素原子か、または炭素原子1〜8個を有する有機基を表すか、隣接する炭素原子によって保持される2個のRは環を形成し、0≦n≦5である)を含む二価の基であることを特徴とする請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
Zが、ポリマー鎖の繰り返し単位の一部であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
RE及びRGが、ポリ(オキシアルキレン)基またはポリスチレン基の一部であることを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項38】
イオン性化合物が請求項1に記載の化合物であることを特徴とする、溶媒の溶液中にイオン性化合物を含むイオン性導電材料。
【請求項39】
イオン性化合物のカチオンが、アンモニウム、金属から誘導されたカチオンまたは、アンモニウム、イミダゾリウム、トリアゾリウム、ピリジニウム若しくは4-ジメチルアミノ-ピリジニウムにより置換された有機カチオンであり、前記有機カチオンは環内の炭素原子上に置換基を場合により保持することを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項40】
イオン性化合物が、置換基RA、RB、RC、RD、RE及びRGの少なくとも1つが、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基または、O、N及びSから選択された少なくとも1個めヘテロ原子を含有するアルキル若しくはアルケニル基及び/またはヒドロキシ基、カルボニル基、アミノ基、カルボキシル基であるような化合物であることを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項41】
置換基REまたはRGの少なくとも一方が、側鎖及び/または芳香族核が窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含むアリール、アリールアルキル、アルキルアリールまたはアルケニルアリール基から選択されることを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項42】
Zが、-OCnF2n+1、-OC2F4H、-SCnF2n+1、-SC2F4H、-OCF=CF2、-SCF=CF2(ここで、nは、1〜8の整数である)からなる群から選択されることを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項43】
置換基Zが、ポリマーの繰り返し単位を表すことを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項44】
溶媒が、直鎖エーテル及び環状エーテル、エステル、ニトリル、ニトロ誘導体、アミド、スルホン、スルホラン、スルファミド及び部分的にハロゲン化された炭化水素から選択された非プロトン性溶媒、または極性ポリマー、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項45】
溶媒が、グラフトされたイオン基を保持できる架橋または非架橋の溶媒和ポリマーであることを特徴とする請求項44に記載のイオン性導電材料。
【請求項46】
溶媒和ポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)をベースとする網状構造を形成できる直鎖構造、櫛状若しくはブロックのポリエーテル、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドまたはアリルグリシジルエーテル単位を含有するコポリマー、ポリホスファゼン、イソシアネートで架橋したポリエチレングリコールをベースとする架橋網状構造、重縮合により得ることができ、架橋可能な基を取り込み得る基を保持する網状構造及び特定のブロックがレドックス特性を有する官能基を保持するブロックコポリマーから選択されることを特徴とする請求項45に記載のイオン性導電材料。
【請求項47】
溶媒が、硫黄、酸素、窒素及びフッ素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する極性ポリマー溶媒及び非プロトン性液体溶媒から本質的になることを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項48】
極性ポリマーカチオンが、主にアクリロニトリル、フッ化ビニリデン、N-ビニルピロリドンまたはメチルメタクリレートから誘導される単位を含有することを特徴とする請求項47に記載のイオン性導電材料。
【請求項49】
さらに、繊維の粉末の形状で少なくとも第2の塩及び/または鉱物性若しくは有機電荷を含有することを特徴とする請求項38に記載のイオン性導電材料。
【請求項50】
電解質が請求項38〜49のいずれか1項に記載の材料であることを特徴とする、電解質により分離された負極及び正極を含む電気化学的発電器。
【請求項51】
負極が、場合により酸化リチウム中のナノメートル分散液の状態の金属リチウム若しくはその合金、若しくはリチウム及び遷移金属の二重窒化物、または一般式:Li1+y+x/3Ti2-x/3O4 (0≦x≦1、0≦y≦1)を有する低いポテンシャルのオキシド、または、有機材料の熱分解により誘導された炭素及び炭素化生成物からなることを特徴とする請求項50に記載の発電器。
【請求項52】
正極が、酸化バナジウムVOx(2≦x≦2.5)、LiV3O8、LiyNi1-xCoxO2(0≦x≦1;0≦y≦1)、マンガンのスピネルLiyMn1-xMxO2(M=Cr、Al、V、Ni、0≦x≦0.5;0≦y≦2)、有機ポリジスルフィド、FeS、FeS2、硫酸鉄Fe2(SO4)3、カンラン石(olivine)構造のリチウム及び鉄のホスフェート及びホスホシリケート、または単独若しくは混合物で使用する鉄がマンガンにより置換されている置換生成物から選択されることを特徴とする請求項50に記載の発電器。
【請求項53】
正極のコレクタが、アルミニウムから製造されることを特徴とする請求項50に記載の発電器。
【請求項54】
高い比面積を有する少なくとも1個の炭素電極または、電解質が請求項38〜49のいずれか1項に記載の材料であるレドックスポリマーを含有する少なくとも1つの電極を使用するスーパーキャパシタンス。
【請求項55】
pまたはnの導電性ポリマーをドーピングするための請求項38〜49のいずれか1項に記載の材料の使用。
【請求項56】
電解質が、請求項38〜49のいずれか1項に記載のものであるエレクトロクロームデバイス。
【請求項57】
反応を触媒する酸源を構成する光開始剤として請求項1に記載の化合物を使用することを特徴とする、カチオン性反応をすることができるモノマーまたはプレポリマーの重合または架橋方法。
【請求項58】
カチオンが、結合-N=N+、-N=N-、スルホニウム基、ヨードニウム基を有する基であるか、または場合によりポリマー網状構造中に取り込まれた、置換または非置換のアレーン-フェロセニウムカチオンであるイオン性化合物を使用することを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項59】
モノマーが、環状エーテル官能基、環状チオエーテル官能基または環状アミン官能基、ビニル化合物、ビニルエーテル、オキサゾリン、ラクトン及びラクタムを包含する化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項60】
プレポリマーが、エポキシ基が脂肪族鎖、芳香族鎖または複素環鎖により保持されている化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項61】
光開始剤と、カチオン性重合することができる少なくとも1種のモノマーまたはプレポリマーとを混合し、次いで該混合物をβ放射線を含む化学線照射に暴露することからなることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項62】
反応混合物を薄膜に形成後に放射線に暴露することを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項63】
光開始剤を、重合反応に対して不活性である溶媒の溶液の形態で使用することを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項64】
不活性溶媒が、アセトン、メチル-エチルケトン、アセトニトリル、プ口ピレンカーボネート、γ-ブチルラクトン、モノ-、ジ-、トリ-エチレン若しくはプロピレングリコールのエーテル-エステル、モノ-、ジ-、トリ-エチレン若しくはプロピレングリコールのエーテル-アルコール、フタル酸若しくはクエン酸のエステルからなる群から選択されることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
反応を、重合に対して活性である化合物からなる溶媒または希釈剤の存在下で実施することを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項66】
活性化合物が、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-エチレン若しくはプロピレングリコールのモノ-及びジ-ビニルエーテル、トリビニルエーテルトリメチロールプロパン及びジメタノールシクロヘキサンのジビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、2-プロペニルエーテルまたはプロピレンカーボネートからなる群から選択されることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項67】
増感剤を反応混合物に添加することを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項68】
増感剤が、アントラセン、ジフェニル-9,10-アントラセン、ペリレン、フェノチアジン、テトラセン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1,3,5-トリアリール-2-ピラゾリン及びアルキル、オキサ-若しくはアザ-アルキル基により芳香族核上が置換されている誘導体からなる群から選択されることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
反応混合物がさらに、フリーラジカル重合をすることができる少なくとも1種のモノマーまたはプレポリマー及び、化学線若しくはβ放射線の作用または熱の作用下でフリーラジカル重合開始剤を放出することができる化合物を含有することを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項70】
ポリマーを、請求項1に記載の化合物の存在下、化学線またはβ放射線に暴露することからなることを特徴とする、酸感受性基を有するポリマーの溶解特性を改質する方法。
【請求項71】
ポリマーが、第3級アルコールから誘導したエステル単位またはアリールエーテル単位を含有することを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
ポリマーが、t-ブチルポリアクリレート、t-ブチルまたはt-アミルポリイタコネート、ポリ(t-ブトキシカルボニルオキシスチレン)、ポリ(t-ブトキシスチレン)からなる群から選択されることを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
フォトレジストの化学増幅のために使用することを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項74】
請求項1に記載の化合物を含むことを特徴とする、カチオン性着色材料の組成物。
【請求項75】
アニオン基の負電荷が着色材料の分子に固定されているか、これらが着色材料の正電荷の対イオンを構成することを特徴とする請求項74に記載のカチオン性着色材料の組成物。
【請求項76】
フリーデルクラフツ反応、ディールスアルダー反応、アルドール化反応、マイケル付加、アリル化反応、ピナコールカップリング反応、グリコシル化反応、オキセタンの開環反応、アルケンの複分解反応、チーグラーナッタ型の重合、開環による複分解型重合及び非環式ジエンの複分解型重合における触媒としての請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項77】
化合物のカチオンが、リチウム、マグネシウム、銅、亜鉛、錫、三価金属、希土類、プラチノイド及び有機金属カチオンから選択されることを特徴とする請求項76に記載の使用。
【請求項78】
化学的、光化学的、電気化学的、光電気化学的反応を実施するための溶媒として請求項6に記載の化合物を使用することであって、前記化合物をその融点以上の温度で使用する、該使用。
【請求項79】
請求項1に記載の化合物を含有することを特徴とする導電性材料。
【請求項80】
イオン性化合物中、アニオン性芳香族複素環の少なくとも1個の置換基が、炭素原子6〜20個のアルキル鎖を含有することを特徴とする請求項79に記載の導電性材料。
【請求項81】
イオン性化合物のカチオン部分が、ドープされた共役ポリマー“P”からなるポリカチオンであることを特徴とする請求項79に記載の導電性材料。

【図1】
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【公開番号】特開2009−149656(P2009−149656A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10733(P2009−10733)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【分割の表示】特願平10−529516の分割
【原出願日】平成9年12月30日(1997.12.30)
【出願人】(597164909)イドロ−ケベック (30)
【氏名又は名称原語表記】Hydro−Quebec
【出願人】(500356876)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (9)
【Fターム(参考)】