説明

観察のための三次元レンダリングからのデータ集合の選択

本発明は、医用画像データを視覚化するシステム(100)であって、医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ユニット(110)と、表示された第1ビューにおいて位置を指示する指示ユニット(115)と、イベントをトリガするトリガユニット(120)と、トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ユニット(125)と、特定された解剖学的構造に基づいて医用画像データの一部を選択する選択ユニット(130)と、医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化する第2表示ユニット(135)と、を有するシステムに関する。従って、システム(100)は、医用画像データの一部が有する所定の解剖学的構造を視覚化することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断目的のための医用画像データの視覚化の分野、特に、所定の解剖学的構造を有する医用画像データの一部の視覚化に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像データの視覚化方法については、 “Method and System for Volumetric Navigation Supporting Radiological Reading in Medical Imaging Systems”と題された米国特許出願公開第2005/0065424号明細書(以下、参照文献1と表す)において記載されている。この特許文献においては、異なる観察アプリケーションの異なる観察における異なる医用画像データの集合の同期観察について記載されている。特に、この特許文献においては、二次元(2D)画像データ集合の観察と三次元(3D)画像データ集合を同期することについて記載されている。実施形態においては、放射線技師が3D視覚化アプリケーション及び患者の3D空間内の点を操作するとき、画像においてクロスヘアを介して情報が示され、この点の正確な位置については、PACSシステム等の2D観察アプリケーションに送信される。PACSシステムがこの3Dの点について受信するとき、そのPACSシステムは、その点を含む基礎データ集合内の適切な画像を特定し、そのスライスに自動的にナビゲートし、そのスライスのビューを表示し、クロスヘアを有する同じ点を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0065424号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
参照文献1に記載されているシステムがないことは、基礎データ集合内の画像データが、放射線技師等のユーザにより示された3D空間における点に基づいて示されることである。そのシステムは、ユーザが観察のための所定の解剖学的構造を選択することを可能にしない。従って、画像データの2Dビューは、所定の解剖学的構造を観察するための次善である。
【0005】
医用画像データが有する所定の解剖学的構造をより良好に視覚化することができる改善されたシステムを備えることは有利である。
【0006】
この点に関連して、本発明の特徴においては、医用画像データを視覚化するシステムは、
− 医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ユニットと、
− 表示された第1ビューにおける位置を示す指示ユニットと、
− イベントをトリガするトリガユニットと、
− トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ユニットと、
− 特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択する選択ユニットと、
− 医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化する第2表示ユニットと、
を有する。
【0007】
医用画像データの第1ビューは、第1表示ユニットにより表示される。第1ビューは、システムのユーザが、ユーザに所定の解剖学的構造を観察して、指示することを可能にする。指示することは、平行移動、回転、医用画像データのズームイン及び/又はズームアウトを含むことが可能である。所定の解剖学的構造は、人間の患者の心臓であることが可能である。指示ユニット及びトリガユニットは、マウスを用いて一緒に実行されることが可能である。マウスは、ディスプレイにおいて表示されるポインタの位置を制御する。ポインタは、表示される第1ビューにおける位置を指示するように用いられる。トリガされたイベントは、ポインタ終了イベントである。ポインタ終了イベントは、所定の持続期間の間の表示の位置にポインタが表示されているとき、ポインタ終了イベントがトリガされる。指示ユニットは、トリガされたイベントに応答して、マウスにより制御されたポインタの位置に基づいて、医用画像データのビューに示された、解剖学的構造、例えば、心臓を特定するように備えられている。特定された解剖学的構造に基づいて、選択ユニットは、特定された解剖学的構造を視覚化するように、医用画像データの一部、例えば、医用画像データを有する一部を選択するように備えられている。第2表示ユニットは、医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示する、それにより、医用画像データの一部が有する所定の解剖学的構造を視覚化するように備えられている。
【0008】
そのシステムの実施形態においては、そのシステムは、医用画像データをセグメント化するセグメントユニットを更に有する。有利であることに、医用画像データは、システムのセグメント化ユニットを用いて自動的に、半自動的に又は手動によりセグメント化されることが可能である。セグメント化は、ユーザに所定の解剖学的構造を特定するように特定化ユニットにより用いられることが可能である。
【0009】
そのシステムの実施形態においては、医用画像データがセグメント化され、解剖学的構造は、セグメント化された医用画像データに基づいて、特定される。医用画像データは、そのシステムのセグメント化ユニットによりセグメント化されることが可能である。代替として、そのシステムは、セグメント化された医用画像データを得るように備えられることが可能である。例えば、セグメント化は、形状モデルに基づくことが可能である。形状モデルは、表面メッシュ、例えば、三角形メッシュであることが可能である。セグメント化の間、三角形メッシュは、医用画像データに適合されている。適合された三角形メッシュは、例えば、画像データ座標系におけるメッシュ頂点座標により表される。この実施形態においては、所定の解剖学的構造は、適合された三角形メッシュにより規定されるボリューム内に有する位置に基づいて、有利に特定されることが可能である。
【0010】
そのシステムの実施形態においては、そのシステムは、医用画像データを分類する分類ユニットを更に有する。有利であることに、医用画像データのデータ要素は、そのシステムの分類ユニットを用いて分類されることが可能である。分類結果は、ユーザに対して所定の解剖学的構造を特定するように特定化ユニットにより用いられることが可能である。
【0011】
そのシステムの実施形態においては、医用画像データが分類され、分類された医用画像データに基づいて解剖学的構造が特定される。代替として、そのシステムは、分類された医用画像データを得るように備えられることが可能である。医用画像データ要素を分類する分類器を用いるクラスベースのセグメント化において、医用画像データが有する位置は、解剖学的構造が含む位置として、又は解剖学的構造が含まない位置として分類される。この実施形態においては、所定の解剖学的構造は、データ要素が有する位置の分類に基づいて、有利に特定されることが可能である。
【0012】
そのシステムの実施形態においては、解剖学的構造をレンダリング及び特性するマルチボリュームについて複数のメンバー画像データを有する医用画像データは、医用画像データのデータメンバーシップに基づいている。この実施形態においては、各々の医用画像データ要素は、データ集合メンバーシップにより特徴付けられる。各々のメンバー画像データは、解剖学的構造を表すことを前提としている。第1ビューに表示されるデータ要素は、それらのデータメンバーシップにより特徴付けられる。この実施形態においては、解剖学的構造は、第1ビューにおいて表示されたデータ要素のメンバーシップに基づいて特定される。
【0013】
そのシステムの実施形態においては、医用画像データの選択された部分の第2ビューは、特定された位置に更に基づいている。医用画像データにおいて指示された位置は、医用画像データの選択された部分の最適な第2ビューを決定する更なる手掛かりを与えることが可能である。例えば、特定された位置は、医用画像データの一部の断面ビューを決定する第2面を決定することが可能である。その第2面は、第1ビューの観察面に対して垂直であることが可能である。
【0014】
そのシステムの実施形態においては、医用画像データの選択された部分の第2ビューは特定された解剖学的構造に基づいている。実施形態においては、ビューの種類はユーザ入力に基づいて決定されることが可能である。更なる実施形態においては、ビューの種類は、特定された解剖学的構造に基づいて、そのシステムにより決定されることが可能である。
【0015】
本発明の更なる特徴においては、画像取得装置は、医用画像データを可視化するシステムであって:
− 医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ユニットと、
− 表示された第1ビューにおける位置を指示する指示ユニットと、
− イベントをトリガするトリガユニットと、
− トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ユニットと、
− 特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択する選択ユニットと、
− 医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化する第2表示ユニットと、
を有する、システムを有する。
【0016】
本発明の更なる特徴においては、ワークステーションは、医用画像データを可視化するシステムであって:
− 医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ユニットと、
− 表示された第1ビューにおける位置を指示する指示ユニットと、
− イベントをトリガするトリガユニットと、
− トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ユニットと、
− 特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択する選択ユニットと、
− 医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化する第2表示ユニットと、
を有する、システムを有する。
【0017】
本発明の更なる特徴においては、医用画像データを可視化する方法であって:
− 医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ステップと、
− 表示された第1ビューにおける位置を指示する指示ステップと、
− イベントをトリガするトリガステップと、
− トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ステップと、
− 特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択する選択ステップと、
− 医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化する第2表示ステップと、
を有する。
【0018】
本発明の更なる特徴においては、コンピュータ構成によりロードされるようになっているコンピュータプログラムプロダクトは、医用画像データを視覚化する命令であって、そのコンピュータ構成は処理ユニット及びメモリを有し、そのコンピュータプログラムプロダクトは、ロードされた後、次のタスクであって、
− 医用画像データの第1ビューを表示するタスクと、
− 表示された第1ビューにおける位置を指示するタスクと、
− イベントをトリガするタスクと、
− トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定するタスクと、
− 特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択するタスクと、
− 医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化するタスクと、
を実行する能力を前記処理ユニットに与える、命令を有する。
【0019】
上記のシステムの修正及び変形に対応する、システムの、画像取得装置の、ワークステーションの、方法の及びコンピュータプログラムプロダクトの修正及び変形については、本明細書の記載に基づいて、当業者が実行することが可能である。
【0020】
当業者は、その方法が、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮影(MRI)、超音波(US)、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)及び核医学(NM)等の種々の取得モダリティによりより取得されるボリューム画像データ、即ち、三次元(3D)画像データに適用されることが可能であるが、それらに限定されるものではないことを理解することができるであろう。
【0021】
本発明の上記の及び他の特徴については、添付図を参照して以下で詳述される実施形態についての説明により明らかになり、理解することができるであろう。
【0022】
同様の参照番号は、全ての図を通して同様の構成要素を示すように用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のシステムの例示としての実施形態の模式的なブロック図である。
【図2】本発明にシステムにより表示される第1ビューにおける第1位置を指示することを示す図である。
【図3】本発明にシステムにより表示される第1ビューにおける第2位置を指示することを示す図である。
【図4】本発明の方法の例示としての実施形態のフロー図である。
【図5】本発明の画像取得装置の例示としての実施形態を模式的に示す図である。
【図6】本発明のワークステーションの例示としての実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、医用画像データを視覚化するシステム100の例示としての実施形態のブロック図を示し、そのシステム100は、
− 医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ユニット110と、
− 表示された第1ビューにおける位置を示す指示ユニット115と、
− イベントをトリガするトリガユニット120と、
− トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ユニット125と、
− 特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択する選択ユニット130と、
− 医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、医用画像データを視覚化する第2表示ユニット135と、
を有する。
【0025】
システム100の例示としての実施形態は、
− 医用画像データをセグメント化するセグメント化ユニット103と、
− 医用画像データを分類する分類ユニット105と、
− システム100におけるワークフローを制御する制御ユニット160と、
− システム100のユーザと通信するユーザインタフェース160と、
− データと記憶するメモリユニット170と、
を更に有する。
【0026】
システム100の例示としての実施形態においては、入力データについて3つの入力コネクタ181、182及び183を有する。第1入力コネクタ181は、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ又は光ディスク等のデータ記憶手段から入来するデータを受信するように備えられているが、それらに限定されるものではない。第2入力コネクタ182は、マウス又はタッチスクリーン等のユーザ入力装置から入来するデータを受信するように備えられているが、それらに限定されるものではない。第3入力コネクタ183は、キーボード等のユーザ入力装置から入来するデータを受信するように備えられている。入力コネクタ181、182及び183は入力制御ユニット180に接続されている。
【0027】
システム100の例示としての実施形態においては、出力データについて2つの出力コネクタを有する。第1出力コネクタ191は、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ又は光ディスク等のデータ記憶手段にデータを出力するように備えられている。第2出力コネクタ192は、表示装置にデータを出力するように備えられている。出力コネクタ191及び192は、出力制御ユニット190を介してそれぞれのデータを受信する。
【0028】
当業者は、システム100の入力コネクタ181、182及び183に入力装置を、そしてシステム100の出力コネクタ191及び192に出力装置を接続する多くの方法が存在することを理解しているであろう。それらの方法としては、有線及び無線接続、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)等のディジタルネットワーク、インターネット、ディジタル電話ネットワーク並びにアナログ電話ネットワークを有するが、それらに限定されるものではない。
【0029】
システム100の例示としての実施形態においては、システム100はメモリユニット170を有する。システム100は、入力コネクタ181、182及び183の何れかを介して外部の装置から入力データを受信し、メモリユニット170にそれらの受信した入力データを記憶するように備えられている。入力データのメモリユニット170へのローディングは、システム100のユニットによる関連データ部分への迅速なアクセスを可能にする。入力データは、例えば、医用画像データを有することが可能である。メモリユニット170は、ランダムアクセスメモリ(RAM)チップ、読み出し専用メモリ(ROM)チップ、並びに/若しくはハードディスクドライブ及びハードディスク等の装置により実行されることが可能であるが、それらに限定されるものではない。メモリユニット170は、出力データを記憶するように備えられることが更に可能である。出力データは、例えば、システム100の使用を文書化したログファイル及び/又は医用画像データの選択された一部を有することが可能である。メモリユニット170はまた、セグメント化ユニット103、分類ユニット105、第1表示ユニット110、指示ユニット115、トリガユニット120、特定化ユニット125、選択ユニット130、第2表示ユニット135、制御ユニット160及びメモリバスを介するユーザインタフェース165を有するシステム100の複数のユニットからデータを受信する及びそれらからデータを供給するように備えられている。メモリユニット170は、出力コネクタ191及び192のどちらかを介して出力データが外部の装置に有効であるように更に備えることが可能である。メモリユニット170におけるシステム100の複数のユニットからのデータを記憶することは、システム100のそれらの複数のユニットの性能、及びシステムの複数のユニットから外部の装置への出力データの伝達速度を有利に改善することが可能である。
【0030】
代替として、システム100は、メモリユニット170及びメモリバス175を含まないことが可能である。システム100で用いられる入力データは、システム100のユニットに接続されている、処理器又は外部のメモリ等の少なくとも1つの外部装置により供給されることが可能である。同様に、システム100により生成される出力データは、システム100のユニットに接続されている、処理器又は外部のメモリ等の少なくとも1つの外部装置に供給されることが可能である。システム100のユニットは、内部の接続を介して又はデータバスを介して、互いからのデータを受信するように備えられることが可能である。
【0031】
図1に示すシステム100の例示としての実施形態においては、システム100は、システム100におけるワークフローを制御する制御ユニット160を有する。制御ユニットは、システム100のユニットから制御データを受信し、それらのユニットに制御データを供給するように備えられることが可能である。例えば、イベントがトリガユニット110によりトリガされた後、トリガユニット110は、制御ユニット160に“イベントトリガされた”制御データを渡すように備えられることが可能であり、制御ユニット160は、指示された位置に基づいて解剖学的構造を特定するように特定化ユニット125に要求して、特定化ユニット125に“解剖学的構造を特定する”制御データを供給するように備えられることが可能である。代替として、システム100の他のユニットにおいて、制御機能が実行されることが可能である。
【0032】
図1に示すシステム100の例示としての実施形態においては、システム100は、システム100のユーザと通信するユーザインタフェース165を有する。ユーザインタフェース165は、ディスプレイにおいて観察された医用画像データを回転する及び平行移動する手段をユーザに提供するように備えられることが可能である。任意に、ユーザインタフェースは、医用画像データをセグメント化するセグメント化ユニット103を用いるモード等のシステム100の動作モードを選択するユーザ入力を受信することが可能である。当業者は、より多くの機能がシステム100のユーザインタフェース165において有利に実行されることが可能であることを理解することができるであろう。
【0033】
ボリュームの、即ち、三次元(3D)の医用画像データは要素を有する。医用画像データの各々のデータ要素(x,y,z,I)は、画像データ座標系における3つの直交座標x,y,zで典型的に表される位置(x,y,z)と、この位置における強度Iとを有する。医用画像データボリュームは、画像データ要素(x,y,z,I)に含まれる全ての位置(x,y,z)を有するボリュームとして定義される。医用画像データが複数のメンバー画像データを有するとき、各々のデータ要素は、画像データメンバーシップ指数mを更に有することが可能である。メンバー画像データは、多くの異なる方法で得ることが可能である。例えば、第1メンバー画像データは、第1画像データ取得モダリティを用いて取得することが可能であり、第2メンバー画像データは、第2画像データ取得モダリティを用いて取得することが可能である。代替として、メンバー画像データは、例えば、医用画像データをセグメント化し、そのセグメント化に基づいて複数のメンバー画像データに医用画像データを分割することにより、医用画像データを処理することにより得ることが可能である。当業者は、メンバー画像データが得られる方法が特許請求の範囲における範囲から逸脱しないことを理解することができるであろう。
【0034】
システム100の第1表示ユニット110は、ディスプレイの医用画像データのビューを表示するように備えられている。ビューは、例えば、最大強度投影(MIP)、アイソサーフェス投影(ISP)、直接ボリュームレンダリング(DVR)及び/又はディジタル再計算放射線画像(DRR)を用いて計算することが可能である。ISPにおいては、投影光は、所定のアイソサーフェスに入射するとき、終了する。アイソサーフェスは、強度関数のレベル集合として、即ち、同じ強度を有する全てのボクセルの集合として定義される。MIP及びISPに関するより多くの情報については、文献“Introduction to Volume Rendering”,by Barthold Lichtenbelt,Randy Crane,and Shaz Naqvi、Ppublished by Hewlett−Packard Professional Books,Prentice Hall,Bk&CD−Rom edition (1998)に記載されている。DVRにおいては、伝達関数は、医用画像データが有する強度に対する不透明性等のレンダリング特性を与える。DVRの実施については、文献“Generation of Transfer Functions with Stochastic Search Techniques”,by T.He et al,Proceedings of IEEE Visualization,pages227−234,1996に記載されている。DRRの実施については、文献“Reconstructing of digital radiographs by texture mapping,ray casting and splatting”,by J.Alakijala et al,Engineering in Medicine and Biology,1996,Bridging Disciplines for Biomedicine,Proceedings of the 18th Annual International Conference of IEEE,vol.2.pages643−645,1996に記載されている。当業者は、医用画像データのビューを計算するように用いることが可能である多くの方法があることを理解しているであろう。医用画像データの第1ビューを計算する方法の選択は、特許請求の範囲における範囲を制限するものではない。
【0035】
マルチボリューム視覚化において、表示される画像は、複数のメンバー画像データに基づいて決定される。異なるメンバー画像データに属す複数のデータ要素が1つの位置に対応する可能性がある。マルチボリュームDVRの方法については、文献“Volume scene graphs”,by D.R.Nadeau,Ppublished in Proceedings of the IEEE Synposium on Volume Visualization,pages49−56,2000に記載されている。
【0036】
システム100の実施形態においては、システム100は、医用画像データをセグメント化するセグメント化ユニット103を更に有する。医用画像データは、システム100のセグメント化ユニット103を用いて、自動的に、半自動的に及び/又は手動でセグメント化されることが可能である。当業者は、多くの候補のセグメント化システムが存在し、良好な候補のセグメント化システムはシステム100のセグメント化ユニット103として統合されることが可能であることを理解することができるであろう。
【0037】
システム100の実施形態においては、システム100は、医用画像データを分類する分類ユニット105を更に有する。医用画像データのデータ要素は、システム100の分類ユニット105を用いて分類されることが可能である。当業者は、多くの候補の分類システムが存在し、良好な候補の分類システムはシステム100の分類ユニット103として統合されることが可能であることを理解することができるであろう。
【0038】
システム100の指示ユニット115は、表示されるビューにおける位置を指示するように備えられている。表示されたビューの位置は、ユーザに対する所定の解剖学的構造を特性する特定化ユニット125により用いられる。システム100の実施形態においては、指示ユニット115は、マウスを用いて実行されることが可能であり、即ち、ユーザは、マウスを用いることによりディスプレイにおいて位置を指示するポインタを制御することが可能である。代替として、ポインタは、トラックボール又はキーボードを用いて制御することが可能である。ポインタは、他のツール、例えば、水平方向及び垂直方向クロスヘアで置き換えられることが可能である。水平方向及び垂直方向クロスヘアは、マウス等により制御されることが可能である。当業者は、表示されたビューにおける位置を示すように用いられる方法は特許請求の範囲における範囲を制限するものではないことを理解することができるであろう。
【0039】
システム100のトリガユニット120は、イベントをトリガするように備えられている。トリガユニット120によりトリガされたイベントは、解剖学的構造を特定し始めるように特定化ユニット125により用いられる。トリガされたイベントは、特定された解剖学的構造に基づいて、医用画像データの一部を選択するように選択ユニット130を更にトリガする。トリガされたイベントは、セグメント化された画像データの一部の第2ビューを表示する第2表示ユニットを更にトリガする。システム100の実施形態においては、トリガユニット120は、マウスとしての指示ユニット115と共に実施されることが可能である。トリガユニット120は、マウスにより実施される1つのイベント、例えば、ポインタ終了イベント若しくはポインタ終了及びクリックイベントをトリガするように備えられることが可能である。ポインタ終了イベントは、所定の時間期間の間、例えば、1秒間、ディスプレイにおける位置にマウスにより制御されるポインタを留めるときに生じるように備えられることが可能である。ポインタ終了及びクリックイベントが、ポインタがディスプレイの位置にあり、且つマウスのボタンがクリックされるときに生じるように備えられることが可能である。当業者は、他のイベント、及びイベントを実行する他の方法について認識しているであろう。システムのトリガユニット120の例示としての実施形態は、本発明を例示するものであり、特許請求の範囲における範囲を制限するように意図されていない。
【0040】
特定化ユニット125は、トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定するように備えられている。指示された位置において視覚化された解剖学的構造は指示された解剖学的構造である。一実施形態においては、その解剖学的構造は、ディスプレイにおける、即ち、観察面における指示された位置から実質的に開始するプローブX線に基づいて決定される。プローブX線における等距離にある位置の各々において、最近接のデータ要素が、医用画像データから得られる。ISPの場合、最近接のデータ要素の強度は、ISPの強度閾値に対して比較される。強度閾値より大きい強度を有する第1データ要素の位置を有する解剖学的構造は、特定された解剖学的構造である。同様に、MIPについては、検出されたデータ要素は、プローブX線に沿って最大強度を有する第1データ要素である。プローブX線に沿って最大強度を有する第1データ要素の位置を有する解剖学的構造は、特定された解剖学的構造である。同様に、DVRを用いる複数のメンバー画像データのマルチボリューム視覚化において、プローブX線に沿った要素が、プローブX線に沿った要素の強度に与えられる不透過度、又は代替のレンダリング特性に基づいて選択される。不透過度閾値に等しい又はそれより大きい不透過度を有する要素が求められたとき、この要素のメンバーシップ指数は、メンバー画像データ、それ故、解剖学的構造を決定する。
【0041】
システム100の特定化ユニット125の多くの有効な実施形態が存在する。システム100の実施形態においては、医用画像データはセグメント化され、解剖学的構造を特定することは、セグメント化された医用画像データに基づいている。例えば、心臓を表す医用画像データは、例えば、左心室、右心室、左心房、右心房、左心室の周囲の心筋、冠動脈の主幹部、心門及び弁等の解剖学的構造を有することが可能である。セグメント化は、医用画像データに硬い、スケーリング可能な又は変形可能なモデルを適合させること、医用画像データのデータ要素を分類する分類器を用いること、並びにマルチボリューム視覚化における画像データメンバーシップに基づいて医用画像データのデータ要素を分類することを有する、異なる方法及びツールを用いて達成されることが可能である。セグメント化された医用画像データは、医用画像データ及びセグメント化結果を有する。
【0042】
システム100の実施形態においては、セグメント化結果は、画像データ座標系において適合されたモデルメッシュの複数の頂点の座標を有する。モデルメッシュは解剖学的構造に適合される。モデルメッシュは、適合された解剖学的構造の表面を表す。医用画像データにおける解剖学的構造に表面モデルメッシュを適合させることに基づく画像セグメント化については、文献“General Object Reconstruction based on Simplex Meshes”,by H.Delingette,Internatinal Journal of Computer Vision,vol.32,pages11−142,1999に記載されている。
【0043】
システム100の実施形態においては、医用画像データはセグメント化され、解剖学的構造を特定することは、セグメント化された医用画像データに基づいている。各々の適合されたモデルメッシュは、適合されたメッシュの表面により境界付けられた解剖学的構造ボリュームを決定する。検出されたデータ要素を有する解剖学的構造のボリュームは特定される解剖学的構造を決定する。
【0044】
医用画像データは、セグメント化ユニット103によりセグメント化されることが可能である。一実施形態においては、全体的な医用画像データがセグメント化される。任意に、セグメント化は、プローブX線に沿って第1データ要素が有する位置において局所的に実行されることが可能である。代替として、システム100により得られた医用画像データがセグメント化される。
【0045】
システム100の実施形態においては、医用画像データが分類され、解剖学的構造を特定することは分類された医用画像データに基づいている。分類は、データ要素の特徴及び/又は隣接するデータ要素の特徴に基づいている。例えば、データ要素の特徴はデータ要素が有する強度であることが可能であり、隣接要素の特徴は、隣接要素が有するパターンであることが可能である。1つのクラスに関連付けられるデータ要素は1つの解剖学的構造を規定する。解剖学的構造を規定するデータ要素のクラスのことを、以下、解剖学的構造に関連付けられたクラスという。分類はまた、ボクセルに適用されることが可能である。ボクセルは、画像ボリュームの小さいボリューム及び小さいボリュームに関連付けられる強度を有する。当業者は、ボクセルは画像データ要素と同等であるとみなされることが可能であることを理解しているであろう。磁気共鳴(MR)画像データにおけるデータ要素の分類に基づくMR頭部画像データセグメント化については、文献“A Fully Automatic and Robust Brain MRI Tissue Classification Method”by C.A.Cocosco et al,Medical Image Analysis,vol.7,pages 513−527,2003に記載されている。
【0046】
医用画像データが有する特定された解剖学的構造は、検出されたデータ要素に割り当てられたクラスに基づいている。プローブX線に沿って検出されたデータ要素のクラスに関連付けられた解剖学的構造は特定された解剖学的構造を規定する。プローブX線に沿って検出された第1データ要素の分類は、検出後に又は検出に先行して、分類ユニットにより実行されることが可能である。代替として、システム100により得られた医用画像データは分類される。
【0047】
システム100の実施形態においては、医用画像データはマルチボリュームレンダリングについて複数のメンバー画像データを有し、解剖学的構造を特定することは、医用画像データのデータメンバーシップに基づいている。メンバー画像データが有する全ての構造は、メンバー画像データと関連付けられた1つの解剖学的構造を規定する前提となっている。プローブX線に沿って検出されたデータ要素のメンバーシップ指数は、特定された解剖学的構造を規定する。
【0048】
当業者は、システム100の複数の実施形態を組み合わせることが可能であることを理解することができるであろう。例えば、メンバー画像データは更にセグメント化される及び/又は分類されることが可能である。特定化ユニット125は、セグメント化された及び/又は分類されたメンバー画像データが有する解剖学的構造を特定するように備えられることが可能である。選択ユニット130は、第2ビューを表示するために、特定された解剖学的構造に基づいて、メンバー画像データの一部を選択するように備えられることが可能である。
【0049】
当業者は、医用画像データが種々の解剖学的構造、例えば、心臓における複数の構造、肺における複数の構造、大腸における複数の構造、動脈ツリーにおける複数の構造、脳における複数の構造等を表すことが可能であることを理解しているであろう。
【0050】
特定化ユニット125が、特定化ユニット115によりディスプレイに示された位置に基づいて解剖学的構造を特定することに失敗した場合、制御ユニット160は、デフォルトの“失敗”動作を実行するように備えられることが可能であり、例えば、制御ユニットは、メッセージ“指示された位置に関連する解剖学的構造はない”を表示するようにユーザインタフェースに要求することが可能である。
【0051】
医用画像データが有する解剖学的構造を特定する上記の方法は、特定化ユニット125の実施形態を例示している。特許請求の範囲における範囲は、特定化ユニット125により用いられる医用画像データが有する解剖学的構造を特定する方法に依存しない。
【0052】
システム100の選択ユニット130は、特定された解剖学的構造に基づいて医用画像データの一部を選択するように備えられることが可能である。一旦、解剖学的構造が特定されると、医用画像データの選択された一部は、解剖学的構造の又は解剖学的構造の一部のデータ要素を有する集合として規定されることが可能である。
【0053】
システム100の実施形態においては、医用画像データの選択された一部は、特定された解剖学的構造の形状モデルに基づいている。この実施形態においては、医用画像データの選択された一部は、形状モデルの適合されたメッシュにより境界付けられるボリュームが有する複数の位置に基づいて決定されることが可能である。
【0054】
システム100の実施形態においては、医用画像データの選択された一部は、特定された解剖学的構造のクラスに基づいている。医用画像データの選択された一部は、特定された解剖学的構造が有する複数の位置として分類された複数の位置に基づいて決定されることが可能である。
【0055】
システム100の他の実施形態においては、医用画像データの選択された一部は、解剖学的構造が有するメンバー画像データに基づいている。医用画像データの選択された一部は、特定された解剖学的構造を有するメンバー画像データに基づいて決定されることが可能である。
【0056】
システム100の第2表示ユニット135は、医用画像データの選択された一部の第2ビューを表示するように備えられている。第2ビューは、選択された解剖学的構造又はその解剖学的構造の一部を視覚化することが可能である。例えば、第2ビューは、選択された解剖学的構造の断面ビューを示すことが可能である。代替として、第2ビューは、選択された解剖学的構造の3Dビューを示すことが可能である。当業者は、選択された解剖学的構造に基づいて、複数のビュー、例えば、複数の断面ビューを表示することをまた、検討することができることを理解することが可能である。
【0057】
システム100の実施形態においては、医用画像データの選択された一部の第2ビューは、特定された解剖学的構造に基づいている。例えば、第2表示ユニット135は、選択された解剖学的構造の慣性テンソルの、3つの互いに直交する主軸を計算するように備えられることが可能である。慣性テンソルのそれらの3つの互いに直交する主軸は、3つの互いに直交する部分面を決定するように用いられることが可能である。第2表示ユニットは更に、3つの部分面を用いて、選択された解剖学的構造の3つの断面ビューを表示するように備えられることが可能である。
【0058】
医用画像データの選択された一部の第2ビューは、特定された解剖学的構造に基づいている。例えば、第1ビューは、冠動脈口、即ち、冠動脈が大動脈を出るところを視覚化することが可能である。この位置の狭窄は極めて危険である。この場所の狭窄を調べるために、大動脈が冠動脈口を隠していない、例えば、冠動脈口が大動脈の一方側において可視的であるビューを生成する必要がある。腎臓に繋がる腎動脈が大動脈を出る位置について、類似するビューを生成することが可能である。更なる実施形態においては、例えば、左心室をクリックするとき、その左心室の短軸ビューが生成される。実施形態においては、ユーザ入力に基づいて、ビューの種類が決定されることが可能である。更なる実施形態においては、特定された解剖学的構造に基づくシステムにより、ビューの種類が決定されることが可能である。
【0059】
図2及び3は、システム100の実施形態であって、脳卒中の評価、外科手術計画、又は治療モニタのために典型的に用いられる磁気共鳴(MR)脳疾患アプリケーションパッケージを示している。医用画像データは2つのメンバー画像データを有する。第1のメンバー画像データは、脳組織を視覚化するT1 MRデータを有する。第2のメンバー画像データは、血管組織を視覚化するMR血管造影法を有する。
【0060】
図2は、システム100により表示される第1ビューにおける第1位置を指示することを示している。図2においては、脳組織における位置は、ポインタ205により指示される。表示された画像200は4つのビューポートを有する。右下のビューポート201においては、医用画像データの第1ビューがマルチボリュームDVRを用いてレンダリングされている。ポインタ205は、第1ビューを表示する右下ビューポート201における位置を指示している。ポインタの位置に基づいて、特定化ユニット125が、ユーザに対して所定の解剖学的構造、即ち、メンバー画像データを特定するように備えられている。医用画像データは、第1ビューの観察面における略指示された位置から開始し、医用画像データの視覚化されたボリュームに観察面に対して細垂直な方向に伝搬するプローブX線を用いて探索される。プローブX線において複数の探索位置が生成される。プローブX線の各々の探索位置において、その位置に対して最近接のデータ要素が、メンバー画像データの各々から得られる。それら2つのデータ要素の画像強度は、DVR伝達関数を用いて、不透過度値に変換される。データ要素のうちの1つに対応する不透過度値が不透過度閾値に等しいか又はそれより大きい場合、データ要素メンバーシップ指数が特定される。このデータ要素のメンバーシップ指数mは、メンバー画像データと、このメンバー画像データが有する解剖学的構造とを決定する。
【0061】
図2においては、指示された位置に基づく、特定された解剖学的構造は腫瘍組織を有する脳組織である。腫瘍組織を有する脳組織は、右上ビューポート202、左上ビューポート203及び左下ビューポート204に示されている脳組織の3つの断面ビューにおいて第2表示ユニット135により視覚化されている。
【0062】
図3は、システム100により表示される第1ビューにおける第2位置を指示することを示している。図3においては、欠陥組織の位置がポインタ305により指示されている。表示された画像300は4つのビューポートを有する。右下のビューポート301においては、医用画像データの第1ビューは、マルチボリュームDVRを用いてレンダリングされている。ポインタ305は、第1ビューを表示する右下のビューポート301における位置を指示している。そのポインタの位置に基づいて、指示ユニット125は、図2に示している指示方法を用いて、ユーザに対する所定の解剖学的構造、即ち、メンバー画像データを特定するように備えられている。
【0063】
図3においては、指示された位置に基づいて特定された解剖学的構造は、MR血管造影データを有する第2メンバー画像データが有する血管組織である。従って、第2メンバー画像データが有する血管組織が、右上のビューポート302、左上のビューポート303及び左下のビューポート304に示されている断面ビューに、第2表示ユニットにより表示される。
【0064】
システム100の実施形態においては、医用画像データの選択された部分の第2ビューは更に、指示された位置に基づいている。その指示された位置は、医用画像データにおける3D位置を決定することを可能にする。その3D位置は、医用画像データの選択された部分の最適な第2ビューを決定する更なる手掛かりを提供することが可能である。例えば、その指示された位置は、医用画像データのその部分の断面ビューを決定する断面を決定することが可能であり、その断面は実質的に指示された位置を有するものである。その断面は、第1ビューの観察面に対して垂直であることが可能である。任意に、3D位置は、選択された解剖学的構造の3つの実質的に互いに直交する断面を決定する直交座標系の原点であることが可能である。
【0065】
当業者は、本明細書で説明しているシステム100が、特に、医用画像データからの情報の解釈及び抽出において、医用診断する医師を支援する有用なツールであることが可能である。
【0066】
当業者は更に、システム100の他の実施形態もまた、可能であることを理解することができるであろう。特に、そのシステムの複数のユニットを再規定し、それらのユニットの機能を再配分することが可能である。例えば、システム100の実施形態においては、指示ユニット115の機能が、第1トリガユニット120の機能と組み合わされることが可能である。システム100の更なる実施形態においては、セグメント化ユニット103を置き換える複数のセグメント化ユニットを有することが可能である。それらの複数のセグメント化ユニットからの各々のセグメント化ユニットは、異なるセグメント化方法を採用するように備えられることが可能である。システム100により用いられる方法はユーザの選択に基づくことが可能である。
【0067】
システム100の複数のユニットは、処理器を用いて実施されることが可能である。通常、それらのユニットの機能は、ソフトウェアプログラムプロダクトの制御下で実行される。実行中、ソフトウェアプログラムプロダクトは、通常、RAM等のメモリにロードされ、そのメモリにより実行される。プログラムは、ROM、ハードディスク、若しくは磁気記憶手段及び/又は光記憶手段等の背景メモリからロードされることが可能であり、又はインターネット等のネットワークを介してロードされることが可能である。任意に、特定用途向け集積回路が、上記の機能を備えることが可能である。
【0068】
図4は、医用画像データを視覚化する方法400の例示としての実施形態のフローチャートを示している。方法400は、医用画像データをセグメント化するセグメント化ステップ403から開始する。医用画像データのセグメント化の後、方法400は、ディスプレイに医用画像データのビューを表示する第1表示ステップ410に進む。第1表示ステップ410の後、方法400は、イベントをトリガするトリガステップ420に進む。次のステップは、トリガされたイベントに応答して、表示された第1ビューにおいて指示された位置に基づいて、医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ステップ425である。特定化ステップ425の後、方法400は、特定された解剖学的構造に基づいて医用画像データの一部を選択する選択ステップ430に進む。選択ステップ425の後、方法400は、医用画像データの選択された部分の第2ビューを表示する第2表示ステップに進む。第2表示ステップ435の後、方法400は終了することが可能である。代替として、方法400は、指示ステップ415に進むことが可能である。
【0069】
セグメント化ステップ403は、他の時点及び他の位置において、他のステップと別個に実行されることが可能である。代替として、セグメント化ステップは、医用画像データを分類する分類ステップと置き換えられることが可能であり、又は、例えば、マルチボリュームレンダリングの場合には、削除されることが可能である。
【0070】
方法400のそれらの複数のステップの順序は必須ではなく、当業者は、あるステップの順序を変更すること、及びスレッディング(threading)モデル、マルチプロセッサシステム、又は本発明において意図されている概念と逸脱しない複数の処理を同時に用いる複数のステップを実行することが可能である。任意に、本発明の方法400の2つ又はそれ以上のステップが1つのステップに結合されることが可能である。任意に、本発明の方法400のステップが、複数のステップに分割されることが可能である。
【0071】
図5は、システム100を実施する画像取得装置500の例示としての実施形態であって、前記画像取得装置500は、システム100との内部接続を介して接続された画像取得ユニット510と、入力コネクタ501と、出力コネクタ502と、を有する、画像取得装置500の例示としての実施形態の模式図である。この構成は画像取得装置500の能力を有利に向上させて、医用画像データを視覚化するシステム100の有利な能力を有する画像取得装置を提供する。画像取得装置の実施例としては、CTシステム、X線システム、MRIシステム、USシステム、PETシステム、SPECTシステム及びNMシステムがあるが、それらに限定されるものではない。
【0072】
図6は、ワークステーション600の例示としての実施形態の模式図である。そのワークステーションはシステムバス601を有する。処理器610、メモリ620、ディスク入力/出力(I/O)アダプタ630及びユーザインタフェース(UI)640が、システムバス601に動作可能であるように接続されている。ディスク記憶装置631は、ディスクI/Oアダプタ630に動作可能であるように結合されている。キーボード641、マウス642及びディスプレイ643は、UI640に動作可能であるように結合されている。コンピュータプログラムとして実施される本発明のシステム100はディスク記憶装置631に記憶される。ワークステーション600が、プログラムをロードし、メモリにデータを入力し、処理器610におけるプログラムを実行するように備えられている。ユーザは、キーボード641及び/又はマウス642を用いてワークステーション600に情報を入力することが可能である。ワークステーションが、表示装置643及び/又はディスク631に情報を出力するように備えられている。当業者は、当該技術分野において知られているワークステーション600の多くの他の実施形態が存在し、本実施形態は、本発明の例示としての役割を果たすものであり、特定の実施形態に本発明を限定するように意図されるものではないことを理解することができるであろう。
【0073】
上記の実施形態は本発明を限定するものではなく、当業者は、同時提出の特許請求の範囲における範囲から逸脱することなく、代替の実施形態をデザインすることが可能であることに留意する必要がある。用語“を有する”は、本明細書又は特許請求の範囲において列挙されていない要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の単数表現は、複数の要素の存在を排除するものではない。本発明は、複数の別個の要素を有するハードウェアにより、及びプログラムされたコンピュータにより、実行されることが可能である。複数のユニットを列挙している装置請求項においては、それらのユニットの幾つかが、全く同一のハードウェア又はソフトウェアにより実施されることが可能である。第1、第2、第3等の表現を用いることは、何れかの順序付けを表すものではない。それらの表現は名称として解釈されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データを視覚化するシステムであって:
前記医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ユニット;
前記表示された第1ビューにおいて位置を指示する指示ユニット;
イベントをトリガするトリガユニット;
前記トリガされたイベントに応答して、前記表示された第1ビューにおいて前記指示された位置に基づいて、前記医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ユニット;
前記特定された解剖学的構造に基づいて前記医用画像データの一部を選択する選択ユニット;及び
前記医用画像データの前記選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、前記医用画像データを視覚化する第2表示ユニット;
を有するシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって:
前記医用画像データをセグメント化するセグメント化ユニット;
を更に有する、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、前記医用画像データがセグメント化され、前記解剖学的構造を特定することは、前記セグメント化された医用画像データに基づいている、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって:
前記医用画像データを分類する分類ユニット;
を更に有する、システム。
【請求項5】
請求項1又は4に記載のシステムであって、前記医用画像データが分類され、前記解剖学的構造を特定することは、前記分類された医用画像データに基づいている、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記医用画像データは、マルチボリュームレンダリングのための複数のメンバー画像データを有し、前記解剖学的構造を特定することは、前記医用画像データのデータメンバーシップに基づいている、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記医用画像データの前記選択された一部の前記第2ビューは、前記指示された位置に更に基づいている、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記医用画像データの前記選択された一部の前記第2ビューは、前記特定された解剖学的構造に更に基づいている、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムを有する画像取得装置。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムを有するワークステーション。
【請求項11】
医用画像データを視覚化する方法であって:
前記医用画像データの第1ビューを表示する第1表示ステップ;
前記表示された第1ビューにおいて位置を指示する指示ステップ;
イベントをトリガするトリガステップ;
前記トリガされたイベントに応答して、前記表示された第1ビューにおいて前記指示された位置に基づいて、前記医用画像データが有する解剖学的構造を特定する特定化ステップ;
前記特定された解剖学的構造に基づいて前記医用画像データの一部を選択する選択ステップ;及び
前記医用画像データの前記選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、前記医用画像データを視覚化する第2表示ステップ;
を有する方法。
【請求項12】
コンピュータ構成によりロードされるようになっているコンピュータプログラムであって、医用画像データを視覚化する命令を有し、前記コンピュータ構成は処理ユニット及びメモリを有する、コンピュータプログラムであり、該コンピュータプログラムは、ロードされた後、次の複数のタスクであって:
前記医用画像データの第1ビューを表示するタスク;
前記表示された第1ビューにおいて位置を指示するタスク;
イベントをトリガするタスク;
前記トリガされたイベントに応答して、前記表示された第1ビューにおいて前記指示された位置に基づいて、前記医用画像データが有する解剖学的構造を特定するタスク;
前記特定された解剖学的構造に基づいて前記医用画像データの一部を選択するタスク;及び
前記医用画像データの前記選択された一部の第2ビューを表示し、それにより、前記医用画像データを視覚化するタスク;
を実行する能力を有する前記処理ユニットを備える、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500093(P2010−500093A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523427(P2009−523427)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053130
【国際公開番号】WO2008/018029
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】