説明

走行支援装置

【課題】 ナビゲーション装置で得られた情報から判定された道路種別に対して、その道路種別に応じた適正な走行支援を行うことができる走行支援装置を提供する。
【解決手段】 本発明の走行支援ECU1における走行道路種別判定部10では、ナビゲーション情報に基づいて判断した自車両の走行路の道路種別であるナビ情報道路種別に応じたナビ道路種別信号を生成する。走行支援抑制部12では、走行道路種別判定部10から出力されたナビ道路種別信号や各種信号に基づいて、走行支援の抑制を判断する。支援内容決定部11では、自車両に対する支援内容を決定する。また、支援内容決定部11は、走行支援抑制部12から支援抑制信号が出力された際、ナビゲーション情報の利用を中止するとともに、走行支援を抑制する。支援内容実行部13では、支援内容決定部11より出力された支援内容信号に応じた走行支援を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置を利用した走行支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の走行支援装置としては、たとえば特許文献1に開示された衝突予測装置が知られている。この衝突予測装置は、自車両の走行状態を示すパラメータ値と、前方障害物と自車両との衝突を予測判定する際に利用する衝突判定基準値と、を比較して、パラメータ値が衝突判定基準値を満たした場合に衝突の予測判定をする。また、この衝突予測装置では、衝突の予測判定をするにあたり、自車両の走行環境情報を取得し、取得した走行環境情報に基づいて、衝突判定基準値を変更している。
【0003】
この衝突予測装置は、自車両の走行環境情報として、自車両の走行に伴って前方障害物検出手段が自車両の周囲に存在する連続した静止物を検出する走行環境を表す走行環境情報、自車両が交差点にて右折を開始する走行環境を表す走行環境情報および自車両が高速道路を走行する走行環境を表す走行環境情報を利用している。衝突予測装置は、自車両に搭載されたナビゲーション装置やETC端末装置からこれらの走行環境情報を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−74401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された衝突予測装置では、ナビゲーション装置から走行環境情報を取得する際、ナビゲーション装置は、自車両が走行している道路種別を判定する。また、道路種別の判定を行う際には、ナビゲーション装置は、内蔵された記録媒体に記録している道路地図情報を読み出し、自車両の位置情報を照合するマップマッチングを行っている。しかし、たとえば一般道路と高速道路が並んでいる地点では、マップマッチングを行う際のマップマッチングにミスマッチングが生じやすい。このため、上記特許文献1に開示された衝突予測装置では、自車両の走行位置が一般道路と高速道路とのいずれにあるかを判別する精度が低いものとなる。このように、道路種別の判別精度が低いと、適正な走行支援を行うことが難しくなるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ナビゲーション装置で得られた情報から判定された道路種別に対して、その道路種別に応じた適正な走行支援を行うことができる走行支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る走行支援装置は、ナビゲーション装置から出力されるナビゲーション情報に応じた走行支援を行う走行支援装置において、ナビゲーション情報には、自車両が走行する走行道路の種別である自車両走行道路種別が含まれており、ナビゲーション情報における自車両走行道路種別が変化した場合に、走行支援を抑制する抑制手段を備えることを特徴とする。
【0008】
たとえば、一般道路と高速道路とが並んでいる場所を自車両が走行するときに、ナビゲーション情報における自車両走行道路種別が変化した場合、自車両はナビゲーション装置が判定した道路と異なる種類の道路を走行していることがある。このような一般道路と高速道路が並んでいる場所では、マップマッチングのミスマッチングが生じやすく、自車両が走行している走行道路の種類を誤判定する可能性が高くなる。この点、本発明に係る走行支援装置では、ナビゲーション情報に自車両走行道路種別が変化した場合に、走行支援を抑制するようにしている。このため、走行道路の種類を誤判定している可能性が高い状態では走行支援を抑制することとなるので、その分、ナビゲーション装置で得られた情報のうち、信頼度の高い情報に対して走行支援を行うことができる。したがって、ナビゲーション装置で得られた情報から判定された道路種別に対して、その道路種別に応じた適正な走行支援を行うことができる。
【0009】
ここで、自車両の走行環境を取得する走行環境取得手段を備えるとともに、ナビゲーション装置に含まれるナビゲーション情報に基づいて自車両走行道路種別を判断する第1走行道路種別判断手段と、走行環境取得手段で取得された走行環境に基づいて、自車両走行道路種別を判断する第2走行道路種別判断手段と、を備えており、抑制手段は、第1走行道路種別判断手段の判断結果に基づく自車両走行道路種別の変化状態と、第2走行道路種別判断手段の判断結果に基づく自車両走行道路種別の変化状態に応じて、走行支援の抑制態様を調整する態様とすることができる。
【0010】
本発明に係る走行支援装置では、第1走行道路種別判断手段の他に、走行環境情報取得手段で取得された走行環境に基づいて、自車両走行道路種別を判断する第2走行道路種別判断手段を備えている。この第2走行道路種別判断手段を備えていることにより、たとえば第1走行道路種別判断手段では道路種別を誤判定することが多い一般道路と高速道路が並んでいる場所においても、自車両の走行位置を高い精度で判断することができる。高い精度で自車両の走行位置を判断することができる場合には、走行支援を行うことが好適となる。したがって、第1走行道路種別判断手段の変化状態と、第2走行道路種別判断手段の変化状態に応じて、走行支援の抑制態様を調整することにより、道路種別に応じた適正な走行支援をより多くの状況で行うことができる。
【0011】
さらに、第2走行道路種別判断手段が、自車両の走行道路における分岐地点または合流地点を通過したか否かを判断する分岐合流地点通過判断手段および自車両がETC通過ゲートを通過したか否かを判断するETCゲート通過判断手段のうちの少なくとも一方である態様とすることができる。
【0012】
自車両が分岐地点または合流地点を通過した場合、あるいは自車両がETC通過のゲートを通過した場合には、道路種別が変化したとするナビゲーション装置で得られた情報の精度が高くなる。このため、第2走行道路種別判断手段が、自車両の走行道路における分岐地点または合流地点を通過したか否かを判断する分岐合流地点通過判断手段や自車両ETC通過ゲートを通過したか否かを判断するETCゲート通過判断手段であることにより、その道路種別に応じた適正な走行支援をさらに高い精度で行うことができる。
【0013】
そして、抑制手段は、自車両走行道路種別の変化の種類に応じて、走行支援の抑制態様を調整する態様とすることができる。
【0014】
抑制手段が、自車両走行道路種別の変化の種類に応じて、走行支援の抑制態様を調整することにより、自車両走行道路種別の変化の種類に対応した適正な走行支援の抑制を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る走行支援装置によれば、ナビゲーション装置で得られた情報から判定された道路種別に対して、その道路種別に応じた適正な走行支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る走行支援装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る走行支援装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】ナビ情報利用再開条件の設定手順を示すフローチャートである。
【図4】(a)〜(d)は、ナビゲーション装置にミスマッチングが生じた際の状態を模式的に示す平面図であり、(a)は、一般道路を走行中に、走行路が高速道路に変わった場合を示す図、(b)は、高速道路を走行中に、走行路が一般道路に変わった場合を示す図、(c)は、走行路が一般道路から高速道路に変わったが、走行路が一般道路のままの場合を示す図、(d)は、走行路が高速道路から一般道路に変わったが、走行路が高速道路のままの場合を示す図である。
【図5】ミスマッチングパターンと処理のパターンとの対応関係を示す表である。
【図6】ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない場合の走行支援の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】ナビゲーション情報にミスマッチングが生じている場合の走行支援の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る走行支援装置のブロック構成図である。本実施形態に係る走行支援装置では、走行支援として、いわゆる衝突軽減制御(Pre Crash Safety system、以下「PCS制御」という)を行っている。PCS制御では、たとえば、自車両が先行車両に衝突する可能性がある場合に、車両の速度を制御したり、乗員保護装置の早出しをしたりしている。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る走行支援装置は、走行支援ECU(Electronic ControlUnit)1を備えている。走行支援ECU1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(RandomAccess Memory)などを含むコンピュータから構成されている。走行支援ECU1には、カメラ2、ナビゲーション装置3、通信装置4、車速センサ5、ミリ波センサ6、アクセルペダルセンサ7、ブレーキペダルセンサ8、および方向指示器センサ9が接続されている。また、走行支援ECU1には、スピーカ14、スロットルアクチュエータ15、およびブレーキアクチュエータ16が接続されている。
【0019】
カメラ2は、たとえば自車両の前部に取り付けられており、自車両が走行中のときや停止中のときに自車両の前方を撮像している。カメラ2は、自車両前方を撮像することによって撮像映像を取得する。カメラ2は、取得した撮像映像を映像信号として走行支援ECU1に出力している。
【0020】
ナビゲーション装置3は、たとえば自車両に設けられており、地図データベース、GPS(Global Positioning System)受信機、入出力装置などを備えて構成されている。ナビゲーション装置3は、自車両の位置を地図データベースの中の地図情報やGPS受信機による位置情報を参照して検出する。ナビゲーション装置3は、検出した位置情報や位置情報を検出する際に利用した地図情報を示す位置情報信号を生成し、ナビゲーション情報として走行支援ECU1に送信する。また、ナビゲーション装置3は、自車両の走行に関する情報である走行案内情報をスピーカ14から音声出力したり、図示しないモニタに表示したりして、ドライバに情報案内する。
【0021】
通信装置4は、自車両に取り付けられており、車外に設けられた路側装置との間で路車間通信を行うことにより、路側装置から送信される情報を取得する。たとえば、通信装置4は、自車両の走行経路に路側装置として設けられているETC(Electronic Toll CollectionSystem)ゲートの近傍に設けられたETC用路側装置との間で路車間通信を行う。通信装置4は、ETC用路側装置との路車間通信により、自車両がETCゲートを通過した場合のETCゲート通過信号を取得する。通信装置4は、取得したETCゲート通過信号を走行支援ECU1に送信する。
【0022】
車速センサ5は、たとえば4輪に各々設けられ、各車輪の回転速度を計測することによって車両の車速を検出するセンサである。車速センサ5は、自車両の車速を検出すると、検出した自車両の車速を示す車速信号を生成する。また、車速センサ5は、生成した車速信号を走行支援ECU1に送信する。
【0023】
ミリ波センサ6は、自車両前方に取り付けられており、自車両から自車両の前方に位置する他車両までの車間距離を検出するセンサである。ミリ波センサ6は、自車両の前方にミリ波を出射し、出射したミリ波の反射波を探索することにより、他車両との車間距離を検出する。ミリ波センサ6による車間距離の検出は、所定時間ごとに行われる。ミリ波センサ6は、検出した車間距離を示す車間距離信号を生成する。さらに、ミリ波センサ6は、生成した車間距離信号を走行支援ECU1に送信する。
【0024】
アクセルペダルセンサ7は、アクセルペダルに取り付けられており、アクセルペダルの踏み込み量を検出するものである。アクセルペダルセンサ7は、検出したアクセルペダルの踏み込み量をアクセルペダル信号として走行支援ECU1およびスロットルアクチュエータ15に送信する。
【0025】
ブレーキペダルセンサ8は、ブレーキペダルに取り付けられており、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するものである。ブレーキペダルセンサ8は、検出したブレーキペダルの踏み込み量をブレーキペダル信号として走行支援ECU1およびブレーキアクチュエータ16に送信する。
【0026】
方向指示器センサ9は、方向指示器に取り付けられており、方向指示器の操作方向を検出するものである。方向指示器センサ9は、検出した方向指示器の操作方向に基づく方向指示点灯状況を方向指示点灯信号として走行支援ECU1に送信する。
【0027】
また、走行支援ECU1は、ナビゲーション装置3、通信装置4、車速センサ5、ミリ波センサ6、アクセルペダルセンサ7、ブレーキペダルセンサ8、および方向指示器センサ9から出力される走行状態信号やその他の信号を取得する。ここで、「走行状態信号」には、自車両の位置を示す「位置信号」、自車両の車速を示す「車速信号」、および自車両から自車両の前方に位置する他車両までの車間距離を示す「車間距離信号」が含まれる。
【0028】
さらに、走行支援ECU1は、取得した走行状態信号などの各種信号に基づいて所定の処理を実行し、自車両の走行支援内容を決定したり、自車両の走行支援を抑制するか否かを決定したりする。走行支援ECU1は、走行支援内容を決定した際には、スピーカ14に対して支援内容に対応した信号を出力する。
【0029】
また、走行支援ECU1は、走行道路種別判定部10、支援内容決定部11、走行支援抑制部12、および支援内容実行部13を備えている。
【0030】
走行道路種別判定部10は、ナビゲーション装置3から送信されたナビゲーション情報に基づいて自車両が走行する走行路の道路種別を判定する。走行道路種別判定部10は、ナビゲーション情報に基づいて判定した自車両の走行路の道路種別(以下「ナビ情報道路種別」という。)に応じたナビ道路種別信号を生成する。このナビ道路種別信号には、一般道路を示す一般道路信号および高速道路を示す高速道路信号が含まれる。走行道路種別判定部10は、生成したナビ道路種別信号を支援内容決定部11および走行支援抑制部12に出力する。
【0031】
支援内容決定部11は、ナビゲーション装置3、車速センサ5、およびミリ波センサ6から出力された走行状態信号、さらには、走行道路種別判定部10から出力されたナビ道路種別信号に基づいて、自車両に対する支援内容を決定する。支援内容決定部11は、決定した支援内容に応じた支援内容信号を支援内容実行部13に出力する。
【0032】
また、支援内容決定部11は、走行支援抑制部12から支援抑制信号が出力された際、ナビゲーション情報の利用を中止するとともに、走行支援を抑制する。支援内容決定部11は、走行支援を抑制する際、支援内容実行部13に対する支援内容信号の出力を中止する。さらには、走行支援抑制部12から支援抑制信号が出力された後、支援抑制信号の出力が中止された際には、ナビゲーション情報の利用を再開するとともに、走行支援を再開する。
【0033】
走行支援抑制部12は、走行道路種別判定部10から出力されたナビ道路種別信号やナビゲーション装置3、通信装置4、車速センサ5、方向指示器センサ9からそれぞれ取得した各種信号に基づいて、走行支援の抑制、および走行支援の抑制の中止を判断する。また、走行支援抑制部12は、走行支援の抑制を行うと判断した場合、支援抑制信号を支援内容決定部11へ出力する。さらに、走行支援抑制部12は、ナビゲーション情報の再開条件が成立した時点で、支援抑制信号の出力を中止する。
【0034】
支援内容実行部13は、支援内容決定部11より出力された支援内容信号に応じた走行支援を行う。支援内容実行部13では、支援内容決定部11より出力支援内容信号に基づいて、スピーカ14、スロットルアクチュエータ15、ブレーキアクチュエータ16に対する指令内容を決定する。たとえば、警報の出力という内容の支援内容信号が出力された際には、スピーカ14に対して、警報信号を出力する。また、車両の加速という内容の支援内容信号が出力された際には、スロットルアクチュエータ15に、操作量増加信号を出力するとともに、ブレーキアクチュエータ16に操作量抑制信号を出力する。逆に、車両の減速という内容の支援内容信号が出力された際には、スロットルアクチュエータ15に、操作量抑制信号を出力するとともに、ブレーキアクチュエータ16に操作量増加信号を出力する。
【0035】
スピーカ14は、車両内に設けられた音声出力装置である。スピーカ14は、支援内容実行部13から警報信号が出力された際に、出力された警報信号に応じた警報等を車両内のドライバに対して出力する。また、スピーカ14は、ナビゲーション装置3から送信される走行案内情報に応じた音声出力をドライバに対して行う。
【0036】
スロットルアクチュエータ15は、アクセルペダルセンサ7から送信されたアクセルペダル信号に基づいてスロットル開度を調整する。さらに、スロットルアクチュエータ15は、支援内容実行部13から出力された操作量増加信号や操作量抑制信号に基づいて、スロットル開度を調整する。
【0037】
ブレーキアクチュエータ16は、ブレーキペダルセンサ8から送信されたブレーキペダル信号に基づいてブレーキ量を調整する。さらに、ブレーキアクチュエータ16は、支援内容実行部13から出力された操作量増加信号や操作量抑制信号に基づいて、スロットル開度を調整する。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係る走行支援装置の動作について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る走行支援装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0039】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る走行支援装置において、走行支援ECU1は、カメラ2、ナビゲーション装置3、通信装置4、および各種センサ5〜9から送信される走行状態信号などの各種信号を取得する(S1)。次に、走行道路種別判定部10において、ナビゲーション装置3から送信されたナビゲーション情報に基づいて、ナビ情報道路種別を判断するとともに、支援内容決定部11において、自車両に対する支援内容を決定する(S2)。また、支援内容決定部11では、走行道路種別判定部10から出力されたナビ道路種別信号、車速センサ5から出力される車速信号、およびミリ波センサ6から出力される車間距離信号に基づいて、PCS制御による走行支援の内容を決定する。
【0040】
続いて、走行道路種別判定部10において、ナビゲーション装置3から送信されたナビゲーション情報に基づいて、自車両が走行する走行路の道路種別を判断し、ナビ道路種別信号を生成して走行支援抑制部12に出力する。走行支援抑制部12では、出力されたナビ道路種別信号に基づいて、ナビ情報道路種別に変化があったか否かを判断する(S3)。その結果、道路種別の変化があったと判断した場合には、通信装置4から出力されるETCゲート通過信号に基づいて、自車両がETCゲートを通過したか否かを判断する(S4)。
【0041】
その結果、ETCゲートを通過していないと判断した場合には、走行道路種別判定部10から出力されたナビ道路種別信号を参照し、ナビ情報道路種別の変化が高速道路から一般道路への変化であったか否かを判断する(S5)。ここで、ナビ情報道路種別の変化が高速道路から一般道路への変化であったと判断した場合には、分岐路を走行したか否かを判断する(S6)。なお、ここでの分岐路とは、高速道路から一般道路へ降りる際の分岐路をいう。
【0042】
分岐路を走行したか否かの判断は、ナビゲーション装置3から出力されるナビゲーション情報、車速センサ5から出力される車速信号、および方向指示器センサ9から出力される方向指示点灯信号に基づいて行われる。分岐路を走行したか否かの判断を行うにあたり、下記の4つの分岐判断条件を満たした場合に、分岐路を走行したと判断することができると考えられる。そこで、下記の4つの分岐判断条件を満たした場合に、自車両が分岐路を走行したと判断する。一方、4つの分岐判断条件の何れか1つでも満たしていない場合には、自車両が分岐路を走行していないと判断する。
【0043】
4つの分岐判断条件における1つ目の条件である第1分岐判断条件は、「自車両が走行する道路に分岐路がある」ことである。また、2つ目の条件である第2分岐判断条件は、「自車両の走行車線が分岐方向である」ことである。これらの第1分岐判断条件および第2分岐判断条件を満たすか否かは、ナビゲーション装置3から送信されるナビゲーション情報に基づいて判断される。
【0044】
さらに、3つ目の条件である第3分岐判断条件は、「分岐後の車速が所定の閾値以下まで減少した」ことである。第3分岐判断条件を満たすか否かは、車速センサ5から送信された車速信号に応じた車速の履歴に基づいて判断される。そして、4つ目の条件である第4分岐判断条件は、「分岐位置から100m手前位置までに分岐方向に方向指示器が点灯した」ことである。第4分岐判断条件を満たすか否かは、ナビゲーション装置3から送信されるナビゲーション情報および方向指示器センサ9から送信された方向指示点灯信号に基づいて判断される。
【0045】
ステップS6における判断の結果、分岐路を走行していないと判断した場合には、ナビ情報道路種別が変化しているにもかかわらず、ETCゲートを通過しておらず、しかも高速道路を走行中に分岐路をも通過していないこととなる。この場合には、ナビ情報道路種別の判定に用いたナビゲーション情報にミスマッチングが生じておらず、ナビ情報道路種別の判定が正しい判定(以下「正判定」という)であるか、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じており、ナビ情報道路種別の判定が誤った判定(以下「誤判定」という)であるかが不明である。したがって、ナビ情報道路種別の判定が誤判定である可能性があることから、ナビゲーション情報の利用を中止し(S7)、走行支援を抑制する(S8)。走行支援を抑制するにあたり、走行支援抑制部12は、支援抑制信号を支援内容決定部11に出力する。
【0046】
また、ステップS4において、自車両がETCゲートを通過したと判断した場合には、ナビ情報道路種別に基づく判断で道路種別が変化しており、しかもETCゲートを通過したこととなる。したがって、ナビ情報道路種別の判定に用いたナビゲーション情報にミスマッチングが生じておらず、ナビ情報道路種別の判定は正判定であると考えることができる。同様に、ステップS6において、自車両が分岐路を走行したと判断した場合には、ナビ情報道路種別の判定で道路種別が変化しており、しかも分岐路を走行したこととなる。したがって、ナビ情報道路種別の判定に用いたナビゲーション情報にミスマッチングが生じておらず、ナビ情報道路種別の判定は正判定であると考えることができる。
【0047】
よって、ステップS4において、ETCゲートを通過したと判断した場合およびステップS6において分岐路を走行したと判断した場合には、ナビ情報道路種別に変化があったと判定した際のナビゲーション情報は正確であると考えられる。この場合、支援内容決定部11で決定した内容によって、自車両の走行支援を適正に行うことができることとなるので、走行支援の抑制を中止する(S9)。
【0048】
走行支援の抑制を中止し、支援抑制信号の出力を中止した場合、支援内容決定部11は、決定した支援内容を支援内容実行部13に出力する。支援内容実行部13では、支援内容決定部11から出力された支援内容に応じた警報信号をスピーカ14に出力するとともに、操作量増加信号や操作量抑制信号をスロットルアクチュエータ15やブレーキアクチュエータ16に出力する。こうして、自車両に対する走行支援を行い(S10)、処理を終了する。
【0049】
他方、ステップS3において、自車両が走行する道路のナビ情報道路種別に変化がなかったと判断した場合、走行道路種別判定部10から出力された道路種別情報に基づいて、自車両が高速道路を走行中であるか否かを判断する(S11)。その結果、自車両が高速道路を走行中であると判断した場合、自車両が分岐路を走行したか否かを判断する(S12)。
【0050】
ここで、自車両が分岐路を走行していないと判断した場合には、通信装置4から出力されるETCゲート通過信号に基づいて、自車両がETCゲートを通過したか否かを判断する(S13)。その結果、自車両がETCゲートを通過していないと判断した場合には、ナビ情報道路種別が変化していない状況において、ETCゲートを通過しておらず、しかも高速道路を走行中に分岐路をも通過していないこととなる。
【0051】
この場合には、ナビ情報道路種別の判定に用いたナビゲーション情報にミスマッチングが生じておらず、ナビ情報道路種別の判定は正判定であると考えられることから、走行支援抑制部12は、支援内容決定部11に対して支援抑制信号を出力しない。そのため、支援内容決定部11では、走行状態信号等に基づいて決定した走行支援内容の支援内容信号を支援内容実行部13に出力する。こうして、自車両の走行支援を実行し(S14)、処理を終了する。
【0052】
また、ステップS12において、自車両が分岐路を走行したと判断した場合には、ナビ情報道路種別が変化していないにもかかわらず、自車両が分岐路を走行したこととなる。このため、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じており、ナビ情報道路種別の判定は誤判定である可能性が高くなる。同様に、ステップS13において、ETCゲートを通過したと判断した場合には、ナビ情報道路種別が変化していないにもかかわらず、自車両がETCゲートを通過したこととなる。このため、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じており、ナビ情報道路種別の判定は誤判定である可能性が高くなる。
【0053】
したがって、ステップS12において分岐路を走行していると判断した場合およびステップS13においてETCゲートを通過したと判断した場合には、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じており、ナビ情報道路種別の判定は誤判定である可能性が高くなる。この場合に、誤判定されたナビ情報道路種別に基づく走行支援を行わないようにするために、ナビゲーション情報の利用を中止し(S15)、走行支援を抑制する(S16)。
【0054】
ここで、ステップS8またはステップS16において走行支援を抑制した際には、ナビゲーション情報に生じたミスマッチングが解消した可能性が低くなった段階で、早期に走行支援を再開することが望まれる。そこで、ナビゲーション情報におけるミスマッチングが解消し、ナビ情報道路種別の判定が誤判定である可能性が低くなって、ナビゲーション情報に基づく走行支援を再開することができると考えられるナビゲーション情報を再び利用するための条件であるナビ情報利用再開条件を設定する(S17)。ナビ情報利用再開条件の設定手順については、後に説明する。
【0055】
その後、ステップS17で設定したナビ情報利用再開条件を満たすか否かを判断する(S18)。その結果、ナビ情報利用再開条件を満たした場合には、ナビゲーション情報の利用を再開し(S19)、ナビゲーション情報に基づく走行支援を再開して処理を終了する。一方、ナビ情報利用再開条件を満たしていない場合には、そのまま処理を終了する。
【0056】
続いて、ナビ情報利用再開条件の設定手順について説明する。図3は、ナビ情報利用再開条件の設定手順を示すフローチャートである。ナビ情報利用再開条件を設定する際には、ナビゲーション情報の利用を中止すると判断した際の情報が用いられる。また、ナビ情報利用再開条件を設定する際には、ナビゲーション情報におけるミスマッチングの態様を利用する。
【0057】
そこで、ナビ情報利用再開条件の説明の前に、ナビ情報道路種別の判定における誤判定の態様について説明する。ナビゲーション情報のミスマッチングは、主に、一般道路と高速道路とが並設されていたり、一般道路と高速道路とが立体交差していたりする位置などにおいて発生する。
【0058】
ナビゲーション情報のミスマッチングの態様としては、図4(a),(b)に示すように、一般道路RNと高速道路RHとが立体交差している位置において、実際には、自車両Mの走行路の道路種別が変化していないにもかかわらず、ナビ情報道路種別が変化したとする態様がある。ここで、図4(a)には、自車両Mが一般道路RNを走行している際に、ナビゲーション情報による車両の位置であるナビ情報位置Nは、高速道路RHとなっている例を示す。このとき、自車両Mの実際の走行軌跡である実走行軌跡LRは、一般道路RN上にあり、自車両Mの走行軌跡と誤認された誤走行軌跡LMは、高速道路RH上にある。以下、図4(a)に示すナビゲーション情報におけるミスマッチングの態様を第1ミスマッチング態様という。
【0059】
また、図4(b)には、自車両Mが高速道路RHを走行している際に、ナビゲーション情報による車両の位置であるナビ情報位置Nは、一般道路RNとなっている例を示す。このとき、実走行軌跡LRは高速道路RH上にあり、誤走行軌跡LMは一般道路RN上にある。以下、図4(b)に示すナビゲーション情報におけるミスマッチングの態様を第2ミスマッチング態様という。
【0060】
さらに、ナビゲーション情報のミスマッチングの態様としては、図4(c),(d)に示すように、一般道路RNの近くに高速道路RHが設けられている位置において、実際には、自車両Mの走行路の道路種別が変化したにもかかわらず、ナビ情報道路種別が変化していないとする誤判定がある。
【0061】
ここで、図4(c)には、自車両Mが高速道路RHから一般道路RNに下りた際に、ナビ情報位置Nは変化していないとする例を示す。このとき、実走行軌跡LRは一般道路RN上から高速道路RH上に変化し、誤走行軌跡LMは一般道路RN上にある。以下、図4(c)に示すナビゲーション情報におけるミスマッチングの態様を第3ミスマッチング態様という。
【0062】
また、図4(d)には、一般道路RNから高速道路RHに入った際に、ナビ情報位置は変化していないとする誤判定の例を示す。このとき、実走行軌跡LRは高速道路RH上から一般道路RN上に変化し、誤走行軌跡LMは高速道路RH上にある。以下、図4(d)に示すナビゲーション情報におけるミスマッチングの態様を第4ミスマッチング態様という。
【0063】
それでは、ナビ情報利用再開条件の設定手順について説明する。図3に示すように、ナビ情報利用再開条件を設定する際には、まず、ナビゲーション装置3から送信されたナビゲーション情報に基づいて、ナビ情報道路種別に変化があったか否かを判断する(S31)。その結果、ナビ情報道路種別に変化があったと判断した場合には、ETCゲート通過信号に基づいて、自車両がETCゲートを通過したか否かを判断する(S32)。
【0064】
ここで、ETCゲートを通過していれば、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない可能性が高く、その場合には、走行支援の抑制は行われていないので、ナビ情報利用再開条件を設定する必要もない。したがって、ETCゲートを通過したと判断した場合には、ナビ情報利用再開条件を設定することなく、処理を終了する。
【0065】
一方、ETCゲートを通過していないと判断した場合には、出力されたナビ道路種別信号を参照し、ナビ情報道路種別の変化が高速道路から一般道路への変化であったか否かを判断する(S33)。その結果、ナビ情報道路種別の変化が高速道路から一般道路への変化でなかったと判断した場合には、第1再開条件を設定して(S34)、その後、処理を終了する。
【0066】
ここで設定される第1再開条件について説明する。いま、ナビ情報道路種別の判定が誤判定である場合、ナビ情報道路種別が一般道路から高速道路に変化したこととなる。したがって、ナビゲーション情報のミスマッチング態様が、図4(a)に示す第1ミスマッチング態様であったと考えられる。また、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じた場合でも、ナビゲーション情報のミスマッチングが解消し、ナビ情報道路種別の判定が正判定となる場合には、走行支援を再開することが好適となる。
【0067】
その一方で、本実施形態に係る走行支援装置では、ナビ情報道路種別が変化した場合、ナビ情報道路種別の判定が正判定であっても、一般道路を走行中にETCゲートを通過しなかった場合には、ナビゲーション情報の利用が中止され、走行支援が抑制される。このように、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じておらず、ナビ情報道路種別の判定が正判定である場合には、極力早期に走行支援を再開することが好適となる。第1再開条件は、これらの条件を考慮して決定される。
【0068】
いま、ナビゲーション情報が解消し、ナビ情報道路種別の判定が正判定となる条件としては、たとえば「ナビ情報道路種別が変化してから所定時間が経過すること」と、「ナビ情報道路種別が変化してから自車両が所定距離を走行すること」とが考えられる。このとき、ナビ情報道路種別の判定が正判定であるとすると、次の事実を考慮することが考えられる。
【0069】
たとえば、一般道路から高速道路に入る場合には、ループを通過することが多い。ループを通過する際には、カーブを走行することから、PCS制御を行って乗員保護装置を早出ししようとしても、その早出しが困難となる。また、高速道路に入った後は、一般道路を走行する場合よりも車速が高くなる。
【0070】
このため、ナビ情報道路種別の判定が正判定である場合に、極力早期にナビゲーション情報を利用した走行支援を再開するためには、「ナビ情報道路種別が変化してから自車両が所定距離を走行すること」を再開条件とするのが好適となる。そこで、図5に示すように、「ナビ情報道路種別が変化してから自車両が所定距離を走行すること」を第1再開条件とする。
【0071】
さらに、ステップS33においてナビ情報道路種別の変化が高速道路から一般道路への変化であったと判断した場合には、自車両が分岐路を走行したか否かを判断する(S35)。ここで、分岐路を走行したと判断した場合には、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない可能性が高く、走行支援の抑制は行われていないので、ナビ情報利用再開条件を設定する必要もない。したがって、ETCゲートを通過したと判断した場合には、ナビ情報利用再開条件を設定することなく、処理を終了する。また、分岐路を走行していないと判断した場合には、第2再開条件を設定して(S36)、処理を終了する。
【0072】
ここで設定される第2再開条件について説明する。いま、ナビ情報道路種別の判定が誤判定である場合、ナビ情報道路種別が高速道路から一般道路に変化したこととなる。したがって、ナビゲーション情報のミスマッチング態様が、図4(b)に示す第2ミスマッチング態様であったと考えられる。ナビゲーション情報にミスマッチングが生じた場合でも、ナビゲーション情報のミスマッチングが解消し、ナビ情報道路種別の判定が正判定となる場合には、走行支援を再開することが好適となる。
【0073】
その一方で、本実施形態に係る走行支援装置では、ナビ情報道路種別が変化した場合、ナビ情報道路種別の判定が正判定であっても、高速道路を走行中にETCゲートおよび分岐路を通過しなかった場合には、ナビゲーション情報の利用が中止され、走行支援が抑制される。このように、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じておらず、ナビ情報道路種別の判定が正判定である場合には、極力早期に走行支援を再開することが好適となる。第2再開条件は、これらの条件を考慮して決定される。
【0074】
いま、ナビゲーション情報が正しくなり、ナビ情報道路種別の判定が正判定となるまでの条件としては、第1再開条件を決定する場合と同様、たとえば「ナビ情報道路種別が変化してから所定時間が経過すること」と、「ナビ情報道路種別が変化してから自車両が所定距離を走行すること」とが考えられる。このとき、ナビ情報道路種別の判定が正判定であるとすると、次の事実を考慮することが考えられる。
【0075】
たとえば、高速道路から一般道路に入る場合には、信号や渋滞があることが多い。また、高速道路から一般道路にでた後では、高速道路を走行し続ける場合よりも車速が低くなっている。このことから、時間が経過したとしても、走行距離が伸びていないことが多くなる。
【0076】
このため、ナビ情報道路種別の判定が正判定である場合に、極力早期にナビゲーション情報を利用した走行支援を再開するためには、「ナビ情報道路種別が変化してから所定時間が経過すること」を再開条件とするのが好適となる。そこで、図5に示すように、「ナビ情報道路種別が変化してから所定時間が経過すること」を第2再開条件とする。
【0077】
また、ステップS31において、ナビ情報道路種別に変化がなかったと判断した場合には、走行道路種別判定部10から出力される道路種別情報に基づいて、自車両が高速道路を走行中であるか否かを判断する(S37)。その結果、自車両が高速道路を走行中であると判断した場合、自車両が分岐路を走行したか否かを判断する(S38)。自車両が分岐路を走行したか否かの判断は、ステップS13と同様の基準に基づいて行う。
【0078】
その結果、自車両が分岐路を走行していないと判断した場合には、通信装置4から出力されるETCゲート通過信号に基づいて、自車両がETCゲートを通過したか否かを判断する(S39)。同様に、ステップS37において、自車両が高速道路を走行中で無いと判断した場合には、通信装置4から出力されるETCゲート通過信号に基づいて、自車両がETCゲートを通過したか否かを判断する(S39)。
【0079】
ここで、ステップS39において、ETCゲートを通過していないと判断した場合には、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない可能性が高く、その場合には、走行支援の抑制は行われていないので、ナビ情報利用再開条件を設定する必要もない。したがって、ETCゲートを通過したと判断した場合には、ナビ情報利用再開条件を設定することなく、処理を終了する。
【0080】
また、ステップS38において分岐路を走行したと判断した場合、またはステップS39においてETCゲートを通過したと判断した場合には、第3再開条件を設定して(S40)、その後、処理を終了する。
【0081】
ここで設定される第3再開条件について説明する。ナビ情報道路種別の判定が誤判定であった場合、ナビ情報道路種別変化がないことから、実際は自車両の走行路が高速道路から一般道路または高速道路から一般道路に変化したにもかかわらず、ナビ情報道路種別変化がないこととなる。したがって、ナビゲーション情報のミスマッチング態様は、図4(c)または図4(d)に示す第3ミスマッチング態様または第4ミスマッチング態様であったと考えられる。
【0082】
この場合には、ETCゲートを通過しているか、分岐路を通過していることから、ナビゲーション情報が誤っているのは明らかである。このため、ナビゲーション情報が変われば、ナビゲーション情報は正しくなると考えられる。そこで、図5に示すように、「ナビ情報道路種別が変化したこと」を第3再開条件とする。
【0083】
このように、本実施形態に係る走行支援装置においては、ナビ情報道路種別が変化した場合に、走行支援を抑制するようにしている。このため、たとえば、一般道路と高速道路とが並んでいる場所を自車両が走行するときなど、ナビゲーション情報のミスマッチング態様が生じている可能性が高い状態では走行支援を抑制することとなる。したがって、その分、ナビゲーション情報のうち、信頼度の高い情報に対して走行支援を行うことができる。したがって、ナビ情報道路種別に対して、そのナビ情報道路種別に応じた適正な走行支援を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態に係る走行支援装置においては、ナビ情報道路種別が変化した場合であっても、ETC通過ゲートを通過した場合など、道路種別が変化した可能性が高い場合には、走行支援の抑制態様を調整する。具体的には、走行支援の抑制を中止する。このため、道路種別に応じた適正な走行支援をより多くの状況で行うことができる。さらに、ナビ情報道路種別が変化した場合であっても、分岐路を通過した場合には、走行支援の抑制態様を中止する。このため、道路種別に応じた適正な走行支援をより多くの状況で行うことができる。
【0085】
次に、本実施形態に係る走行支援装置によって、走行支援を行う場合の制御の流れの例について説明する。ここでは、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない場合の走行支援の流れとナビゲーション情報にミスマッチングが生じている場合の走行支援の流れとについて説明する。
【0086】
まず、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない場合の走行支援の流れについて説明する。図6は、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない場合の走行支援の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示すように、自車両が一般道路から高速道路に入ると(S51)、ナビ情報道路種別は一般道路から高速道路に変化する。このとき、ナビゲーション装置3から送信されるナビゲーション情報が一般道路を示す情報から高速道路を示す情報に変化する。したがって、走行道路種別判定部10では、走行支援抑制部12に出力するナビ情報種別信号を一般道路信号から高速道路信号に変化させる(S52)。
【0087】
ナビ情報種別信号を出力された走行支援抑制部12では、支援抑制信号を支援内容決定部11に出力する。支援抑制信号を出力された支援内容決定部11では、走行支援を抑制し、たとえば乗員保護装置の早出しを抑制する(S53)。このとき、ナビ情報利用再開条件としては、第1再開条件が設定されている。このため、自車両がナビゲーション情報の利用を中止し、走行支援の抑制を開始してから所定の距離、たとえば数kmを走行した後、ナビゲーション情報の利用を再開する。ここで、走行支援の抑制は、自車両が数km走行する間継続するが、自車両は高速道路を走行していることから、走行支援を抑制する時間を比較的短く済ませることができる。そして、走行支援を再開し、たとえば乗員保護装置の早出しを行う(S54)。
【0088】
続いて、自車両が高速道路から出て(S55)一般道路に下りると、ナビ情報道路種別は高速道路から一般道路に変化する。このとき、ナビゲーション装置3から送信されるナビゲーション情報が高速道路を示す情報から一般道路を示す情報に変化する。したがって、走行道路種別判定部10では、走行支援抑制部12に出力するナビ情報種別信号を高速道路信号から一般道路信号に変化させる(S56)。
【0089】
ナビ情報種別信号を出力された走行支援抑制部12では、支援抑制信号を支援内容決定部11に出力する。支援抑制信号を出力された支援内容決定部11では、走行支援を中止し、たとえば乗員保護装置の早出しを抑制する(S57)。このとき、ナビ情報利用再開条件としては、第2再開条件が設定されている。このため、自車両がナビゲーション情報の利用を中止し、走行支援の抑制を開始してから所定の時間、たとえば数分間を経過した後、ナビゲーション情報の利用を再開する。ここで、走行支援の抑制は、数分間継続するが、自車両は一般道路を走行していることから、距離を基準とする場合よりも走行支援を抑制する時間を短く済ませることができる。そして、走行支援を再開し、たとえば乗員保護装置の早出しを行う(S58)。以後、同様にして走行支援制御が行われる。
【0090】
次に、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じている場合の走行支援の流れについて説明する。図7は、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じている場合の走行支援の流れの一例を示すフローチャートである。図7に示すように、自車両が一般道路を走行中に一般道路と高速道路とが並設された場所など、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じうる場所を通過するときに(S61)、ナビ情報道路種別が一般道路から高速道路に変化したとする。このとき、ナビゲーション装置3から送信されるナビゲーション情報が一般道路を示す情報から高速道路を示す情報に変化する。したがって、走行道路種別判定部10では、走行支援抑制部12に出力するナビ情報種別信号を一般道路信号から高速道路信号に変化させる(S62)。
【0091】
ナビ情報種別信号を出力された走行支援抑制部12では、支援抑制信号を支援内容決定部11に出力する。支援抑制信号を出力された支援内容決定部11では、走行支援を中止し、たとえば乗員保護装置の早出しを抑制する(S63)。このとき、ナビ情報利用再開条件としては、第1再開条件が設定されている。このため、自車両がナビゲーション情報の利用を中止し、走行支援の抑制を開始してから所定の距離、たとえば数kmを走行するまでの間は、ナビゲーション情報の利用が中止される。
【0092】
ここで、自車両が数kmを走行している間には、ほとんどの場合、ナビゲーション情報のミスマッチングは解消され、ナビ情報道路種別は高速道路信号から一般道路信号に変化する(S64)。そして、その後自車両が数kmを走行することにより、ナビゲーション情報を利用した走行支援を再開し、たとえば乗員保護装置の早出しを行う(S65)。
【0093】
続いて、自車両が高速道路を走行中に一般道路と高速道路とが並設された場所など、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じうる場所を通過するときに(S66)、ナビ情報道路種別が高速道路から一般道路に変化したとする。このとき、ナビゲーション装置3から送信されるナビゲーション情報が道路を示す情報から一般道路を示す情報に変化する。したがって、走行道路種別判定部10では、走行支援抑制部12に出力するナビ情報種別信号を高速道路信号から一般道路信号に変化させる(S67)。
【0094】
ナビ情報種別信号を出力された走行支援抑制部12では、支援抑制信号を支援内容決定部11に出力する。支援抑制信号を出力された支援内容決定部11では、走行支援を中止し、たとえば乗員保護装置の早出しを抑制する(S68)。このとき、ナビ情報利用再開条件としては、第2再開条件が設定されている。このため、自車両がナビゲーション情報の利用を中止し、走行支援の抑制を開始してから所定の距離、たとえば数分間を走行するまでの間は、ナビゲーション情報の利用が中止される。
【0095】
ここで、自車両が数分間走行している間には、ほとんどの場合、ナビゲーション情報のミスマッチングは解消され、ナビ情報道路種別は一般道路信号から高速道路信号に変化する(S69)。そして、その後自車両が数kmを走行することにより、ナビゲーション情報を利用した走行支援を再開し、たとえば乗員保護装置の早出しを行う(S70)。以後、同様にして走行支援制御が行われる。
【0096】
このように、本実施形態に係る走行支援装置による制御を行うことにより、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じている場合には、ミスマッチングが解消した後に、ナビゲーション情報を利用した走行支援を再開することができる。しかも、ナビゲーション情報にミスマッチングが生じていない場合には、早期にナビゲーション情報を利用した走行支援を再開することができる。
【0097】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、走行支援制御としてPCS制御を行っているが、追従走行制御やナビゲーション強調支援制御など、他の走行支援制御とすることもできる。また、上記実施形態では、ナビ情報道路種別が変化した場合に、走行支援を抑制する態様として走行支援を中止するようにしているが、走行支援度合いを小さくする態様とすることもできる。
【0098】
さらに、上記実施形態では、走行支援の抑制態様を調整する態様として、走行支援の抑制を中止する態様としているが、たとえば走行支援の抑制度合いを小さくする態様とすることもできる。また、上記実施形態では、分岐路を判定する際にナビゲーション情報を用いているが、カメラ2から送信される画像情報や車速センサ5などから送信される車速信号などによる走行状態信号を用いて分岐路を判定する態様とすることもできる。
【符号の説明】
【0099】
1…走行支援ECU、2…カメラ、3…ナビゲーション装置、4…通信装置、5…車速センサ、6…ミリ波センサ、7…アクセルペダルセンサ、8…ブレーキペダルセンサ、9…方向指示器センサ、10…走行道路種別判定部、11…支援内容決定部、12…走行支援抑制部、13…支援内容実行部、14…スピーカ、15…スロットルアクチュエータ、16…ブレーキアクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置から出力されるナビゲーション情報に応じた走行支援を行う走行支援装置において、
前記ナビゲーション情報には、自車両が走行する走行道路の種別である自車両走行道路種別が含まれており、
前記ナビゲーション情報における自車両走行道路種別が変化した場合に、前記走行支援を抑制する抑制手段を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記自車両の走行環境を取得する走行環境取得手段を備えるとともに、
前記ナビゲーション装置に含まれる前記ナビゲーション情報に基づいて自車両走行道路種別を判断する第1走行道路種別判断手段と、
前記走行環境取得手段で取得された前記走行環境に基づいて、自車両走行道路種別を判断する第2走行道路種別判断手段と、を備えており、
前記抑制手段は、抑制前記第1走行道路種別判断手段の判断結果に基づく自車両走行道路種別の変化状態と、前記第2走行道路種別判断手段の判断結果に基づく自車両走行道路種別の変化状態に応じて、前記走行支援の抑制態様を調整する請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記第2走行道路種別判断手段が、前記自車両の走行道路における分岐地点または合流地点を通過したか否かを判断する分岐合流地点通過判断手段および前記自車両がETC通過ゲートを通過したか否かを判断するETCゲート通過判断手段のうちの少なくとも一方である請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記抑制手段は、前記自車両走行道路種別の変化の種類に応じて、前記走行支援の抑制態様を調整する請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の走行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272088(P2010−272088A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125776(P2009−125776)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】